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JP2011132311A - 水性塗料組成物及び塗装物品 - Google Patents

水性塗料組成物及び塗装物品 Download PDF

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JP2011132311A
JP2011132311A JP2009291171A JP2009291171A JP2011132311A JP 2011132311 A JP2011132311 A JP 2011132311A JP 2009291171 A JP2009291171 A JP 2009291171A JP 2009291171 A JP2009291171 A JP 2009291171A JP 2011132311 A JP2011132311 A JP 2011132311A
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dispersion
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Tomoo Yamada
共男 山田
Shinichi Ueda
伸一 上田
Masami Sugishima
正見 杉島
Yuta Nodera
雄太 野寺
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Kansai Paint Co Ltd
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Abstract

【課題】 塗料安定性に優れ、かつワキの発生がなく仕上り性が良好な塗装物品を提供できる水性塗料組成物を提供すること。
【解決手段】 水酸基及びカルボキシル基含有樹脂(A)、架橋剤(B)、並びに特定の水分散体(C)を含有する塗料組成物であって、該塗料中における水酸基及びカルボキシル基含有樹脂(A)と架橋剤(B)の固形分合計に対して、ベンゾイン又はベンゾインの誘導体(c1)を0.1〜30質量%含有することを特徴とする水性塗料組成物。
水分散体(C):ベンゾイン又はベンゾインの誘導体(c1)と界面活性剤(c2)及び水の混合物を分散して得られた分散体
【選択図】 なし

Description

本発明は、塗料安定性に優れ、かつワキの発生がなく仕上り性が良好な塗膜を提供できる水性塗料組成物に関する。
従来、自動車車体の外板部は、防食及び美感の付与を目的として、通常、カチオン電着塗料による下塗り塗料、中塗り塗料、及び上塗り塗料から形成される複層塗膜により被覆されている。
一方、従来の塗料は有機溶剤を用いた塗料が主流であったが、健康や環境への影響の懸念から、自動車用塗料(例えば、水性中塗り塗料、着色ベース塗料)においても
揮発性有機化合物の低減(低VOC化)が求められ、水性塗料が主流となってきている。
しかし、水性塗料による塗膜は硬化中に水が突沸して、いわゆる「ワキ」が発生し易く、この現象は15〜40μmの膜厚において認められることがあり、仕上り性低下の原因となっている。
従来、特許文献1には、ポリエステル樹脂、水性アミノ樹脂、ポリエーテルポリオール、アルキルエーテル化ベンゾインを主成分とする水性中塗り塗料が開示されている。
また、特許文献2には、酸価が10〜100mgKOH/g、水酸基価が20〜300mgKOH/gで、且つ数平均分子量が800〜10,000のポリエステル樹脂、水性アミノ樹脂、線状低分子量ポリエステルジオール、及びアルキルエーテル化ベンゾインを主成分とする水性中塗り塗料が開示されている。
他に、特許文献3には、被塗物表面に、中塗り塗料、ベース塗料、及びクリヤー塗料を順次ウェットオンウェット方式で塗装した後、焼き付け処理を行い各塗膜を硬化させる3コート1ベーク方式の塗膜形成方法において、該中塗り塗料、ベース塗料、及びクリヤー塗料の少なくとも一つにベンゾイン又はベンゾイン誘導体及びビニル系重合物を添加することを特徴とする方法が開示されている。さらに、製造例1には、中塗り塗料に対し、ベンゾイン0.4部をディスパー撹拌しながら配合して、中塗り塗料を得たとあるように、塗料中にベンゾインをそのまま配合している。
これらの特許文献1〜3に記載の水性塗料組成物では、製造条件によってはベンゾインの分散が不十分なためブツや肌荒れなど塗膜の仕上り性を損うことがあった。また、添加したベンゾインが樹脂成分との相溶性が十分でない為に、ワキへの効果も十分でない場合があった。
特開平4−41572号公報 特開平4−93374号公報 特開2002−113414号公報
本発明が、解決しようとする課題は、塗料安定性に優れ、かつワキの発生がなく仕上り性が良好な塗膜を提供できる水性塗料組成物、及び上記性能に優れる塗装部品を得ることである。
本発明者らは、水酸基及びカルボキシル基含有樹脂(A)、架橋剤(B)、並びにベンゾイン又はベンゾインの誘導体(c1)と界面活性剤(c2)及び水の混合物を分散して得られた水分散体(C)を含有する水性塗料組成物を見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
1.水酸基及びカルボキシル基含有樹脂(A)、架橋剤(B)、並びに下記特徴の水分散体(C)を含有する塗料組成物であって、該塗料中における水酸基及びカルボキシル基含有樹脂(A)と架橋剤(B)との固形分合計に対して、水分散体(C)をベンゾイン又はベンゾインの誘導体(c1)が0.1〜30質量%となる量含有することを特徴とする水性塗料組成物。
水分散体(C):ベンゾイン又はベンゾインの誘導体(c1)と界面活性剤(c2)及び水の混合物を分散して得られた分散体
2.水分散体(C)の平均粒子径が、20μm以下であることを特徴とする1項に記載の水性塗料組成物。
3.水分散体(C)のベンゾイン又はベンゾインの誘導体(c1)の濃度が、5〜60質量%であることを特徴とする1項又は2項に記載の水性塗料組成物、
4.自動車用の中塗り塗料又は着色ベース塗料である1項〜3項のいずれか1項に記載の水性塗料組成物、
5.1項〜4項のいずれか1項に記載の水性塗料組成物を用いた塗膜形成方法、に関する。
本発明の水性塗料組成物は、塗料安定性(例え40℃以上に加温されてその後5℃以下に貯蔵するような厳しい条件下であっても)に優れる。さらに、塗料中のベンゾイン又はベンゾインの誘導体は、沈降したり凝集ブツを生じることがない為、塗膜の仕上り性に優れる。さらに、塗装時のワキ発生限界膜厚を向上することできる。
本発明の水性塗料組成物を自動車用の水性中塗り塗料や着色ベース塗料に用いた場合、塗膜上にワキ、ブツなどの塗膜欠陥を生じることなく、仕上り性に優れた複層塗膜を得ることができる。このことから塗装ラインにおいては塗膜欠陥の補修にかかる手間や費用、さらにはワキ対策で行っている予備加熱の軽減に繋がり、省エネルギー化に貢献できるものである。
本発明は、水酸基及びカルボキシル基含有樹脂(A)、架橋剤(B)、並びにベンゾイン又はベンゾインの誘導体(c1)と界面活性剤(c2)及び水の混合物を分散して得られる水分散体(C)を含有する水性塗料組成物に関する。以下、詳細に述べる。
[水酸基及びカルボキシル基含有樹脂(A)]
水酸基及びカルボキシル基含有樹脂(A)は、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂などをあげることができる。
水酸基及びカルボキシル基含有ポリエステル樹脂
水酸基及びカルボキシル基含有樹脂(A)としては、水酸基及びカルボキシル基含有ポリエステル樹脂、水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂等を用いるのが好ましい。これらの水酸基及びカルボキシル基含有樹脂は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。水酸基及びカルボキシル基含有ポリエステル樹脂は、常法により、例えば、多塩基酸と多価アルコールとのエステル化反応によって合成することができる。
該多塩基酸は、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物である。該多塩基酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等を挙げることができる。また、これらの多塩基酸の無水物等も使用することができる。
また、該多価アルコールは、1分子中に2個以上の水酸基を有する化合物である。該多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,9−ノナンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチルペンタンジオール、水素化ビスフェノールA等のジオール類;トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の三価以上のポリオール;2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールペンタン酸、2,2−ジメチロールヘキサン酸、2,2−ジメチロールオクタン酸等のヒドロキシカルボン酸などを挙げることができる。
また、プロピレンオキサイド及びブチレンオキサイドなどのα−オレフィンエポキシド、高分岐飽和脂肪酸のグリシジルエステルなどのモノエポキシ化合物を、ポリエステル樹脂中のカルボキシル基と反応させることにより、ポリエステル樹脂に導入しても良い。高分岐飽和脂肪酸のグリシジルエステルとしては、市販品を使用できる。市販品としては、例えば「カージュラE10P」(商品名、HEXIONスペシャリティケミカルズ社製、合成高分岐飽和脂肪酸のグリシジルエステル)などを挙げることができる。
水酸基及びカルボキシル基含有ポリエステル樹脂の水酸基価は、50〜200mgKOH/gの範囲内であり、好ましくは80〜150mgKOH/gの範囲内である。また、水酸基及びカルボキシル基含有ポリエステル樹脂の酸価は、5〜100mgKOH/gの範囲内であり、好ましくは20〜70mgKOH/gの範囲内である。水酸基及びカルボキシル基含有ポリエステル樹脂の数平均分子量は、250〜4,000であるのが好ましく、300〜3,500であるのがより好ましく、300〜3,000であるのが更に好ましい。水酸基及びカルボキシル基含有ポリエステル樹脂は、アルキッド樹脂、ウレタン変性ポリエステル樹脂であってもよい。
水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂
水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂は、常法に従い、例えば、ラジカル重合性モノマーを共重合することによって合成することができる。水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂としては、溶液重合法により合成される樹脂を用いることが好ましい。この重合反応に使用する有機溶剤としては、例えば、プロピレングリコール系、ジプロピレングリコール系等の親水性有機溶剤を使用するのが好ましい。
上記ラジカル重合性モノマーとしては、公知のものを使用でき、例えば、水酸基含有ラジカル重合性モノマー、カルボキシル基含有ラジカル重合性モノマー及びその他のラジカル重合性モノマーを使用することができる。本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート又はメタアクリレート」を意味する。
水酸基含有ラジカル重合性モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
カルボキシル基含有ラジカル重合性モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸などを挙げることができる。
その他のラジカル重合性モノマーとしては、例えば、スチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキセニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、p−クミルフェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシ(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシランなどを挙げることができる。
水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂の水酸基価は、10〜200mgKOH/gの範囲内であり、好ましくは60〜180mgKOH/gの範囲内である。
また、水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂の酸価は、10〜100mgKOH/gの範囲内であり、好ましくは25〜60mgKOH/gの範囲内である。水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂の数平均分子量は、1,000〜4,000であるのが好ましく、1,000〜3,000であるのがより好ましい。水酸基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂は、ウレタン変性したアクリル樹脂であってもよい。
[架橋剤(B)]
架橋剤(B)は、メラミン樹脂及びブロックポリイソシアネート化合物、非ブロックポリイソシアネートなどを用いることができるが、これらに限定されるものではなく、硬化性や塗膜性能の面からメラミン樹脂やブロックポリイソシアネート化合物が好ましい。
メラミン樹脂
メラミン樹脂としては、具体的には、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン等のメチロールメラミン;これらのメチロールメラミンのアルキルエーテル化物又は縮合物;メチロールメラミンのアルキルエーテル化物の縮合物等を挙げることができる。メチロールメラミンのアルキルエーテル化は、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール等のモノアルコールを用いて、公知の方法により行うことができる。
メラミン樹脂としては、市販品を用いることができる。市販されている商品名として、例えば、日本サイテックインダストリーズ社製の「サイメル303」、「サイメル323」、「サイメル325」、「サイメル327」、「サイメル350」、「サイメル370」、「サイメル380」、「サイメル385」、「サイメル212」、「サイメル251」、「サイメル254」、「マイコート776」;モンサント社製の「レジミン735」、「レジミン740」、「レジミン741」、「レジミン745」、「レジミン746」、「レジミン747」;住友化学社製の「スミマールM55」、「スミマールM30W」、「スミマールM50W」;三井化学社製の「ユーバン20SB」、「ユーバン20SE−60」、「ユーバン28−60」などを挙げることができる。
メラミン樹脂は、トリアジン単核体含有率が35質量%以上であるのが好ましく、40質量%以上であるのがより好ましく、45質量%以上であるものが更に好ましい。また、塗料組成物の貯蔵安定性、塗膜の平滑性等に優れる観点から、メトキシ基/ブトキシ基のモル比率が100/0〜60/40mol%程度であるメチル化メラミン樹脂、メトキシ基の比率が高いメチル・ブチル混合エーテル化メラミン樹脂であるのが好ましい。メチル・ブチル混合エーテル化メラミン樹脂において、メトキシ基/ブトキシ基のモル比率は、100/0〜70/30mol%程度であるのがより好ましい。
特に好ましいメラミン樹脂として、トリアジン単核体含有率が35質量%以上であり、且つ、メトキシ基/ブトキシ基のモル比率が100/0〜70/30mol%であるメチル化メラミン樹脂、メチル・ブチル混合エーテル化メラミン樹脂であるものを挙げることができる。
かかるメラミン樹脂としては、市販品を用いることができる。市販されている商品名として、例えば、日本サイテックインダストリーズ社製の「サイメル325」、「サイメル327」、「サイメル350」、「サイメル212」、「サイメル251」、「マイコート212」、「マイコート776」等を挙げることができる。メラミン樹脂は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
また、架橋剤(B)として、メラミン樹脂を使用する場合は、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸などのスルホン酸;これらの酸とアミンとの塩を触媒として使用することができる。
ブロックポリイソシアネート化合物
ブロックポリイソシアネート化合物は、1分子中に遊離のイソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート化合物のすべてのイソシアネート基をブロック剤で封鎖した化合物である。
ポリイソシアネート化合物及びブロック剤としては、前記ウレタン変性ポリエステル樹脂の説明で例示した、1分子中に封鎖されていない遊離のイソシアネート基を2個以上有する化合物であるポリイソシアネート化合物及び遊離のイソシアネート基を封鎖する化合物であるブロック剤を使用できる。
また、ブロック剤として、1分子中に1個以上のヒドロキシル基及び1個以上のカルボキシル基を有するヒドロキシカルボン酸を使用することができる。ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、ヒドロキシピバリン酸、ジメチロールプロピオン酸などをあげることができる。ヒドロキシカルボン酸でブロックされたブロックポリイソシアネート化合物は、原料のヒドロキシカルボン酸に由来するカルボキシル基を有しており、該カルボキシル基の親水性に基づいて、水分散性が良好である点から、好ましい。ポリイソシアネート化合物とブロック剤との反応は公知の方法で行なうことができる。
ブロックポリイソシアネート化合物の数平均分子量は、250〜4,000であるのが好ましく、300〜3,000であるのがより好ましく、300〜2,500であるのが更に好ましい。本発明の水性塗料組成物において、水酸基及びカルボキシル基含有樹脂(A)と架橋剤(B)との割合は、両者の合計固形分100質量%に基づいて、水酸基及びカルボキシル基含有樹脂(A)が85〜60質量%、好ましくは80〜65質量%、架橋剤(B)が15〜40質量%、好ましくは20〜35質量%である。
[水分散体(C)]
水分散体(C)は、ベンゾイン又はベンゾインの誘導体(c1)と界面活性剤(c2)及び水の混合物の分散体である。ベンゾイン又はベンゾインの誘導体(c1)の具体例は、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインn−プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインn−へキシルエーテル、ベンゾインn−オクチルエーテル等を挙げることができる。これらの中でも工業的な入手容易性や塗料安定性の観点から、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテルが好ましい。
上記、界面活性剤(c2)としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系、両
性イオン系のいずれでもよい。ノニオン系界面活性剤を使用する場合には、HLBが8以上、好ましくは約10〜約20の範囲内がよい。HLBが8未満になると水分散性が劣るといった欠点がある。
上記HLBは、分子中の親水基と親油基との釣り合いを示す、Hydrophile−Lipophile Balanceの略である。本明細書においてHLBは次の方法で求めたものである。乳化剤が多価アルコ−ルと脂肪酸エステルの場合は、HLB=20(1−S/A)の式、明瞭なケン化価が求めにくい場合は、HLB=(E+P)/5の式、親水基としてポリオキシエチレン基のみを含む場合は、HLB=E/5の式で求めた。上記各式において、Sはエステルのケン化価、Aは脂肪酸の酸価、Pは多価アルコ−ル重量分布、Eはオキシエチレン基の重量分布を示す。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル、ポリオキシアルキレンソルビタンアルキルエステルポリオキシアルキレングリコール、アルキルポリグルコシド、ポリオキシエチレン誘導体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミドなどが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルリン酸塩などが挙げられる。カチオン系界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩などが挙げられる。両性イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルベダインが挙げられる。
界面活性剤(c2)の割合は、ベンゾイン又はベンゾインの誘導体(c1)と界面活性剤(c2)の固形分合計に対して、界面活性剤(c2)が1〜50質量%、好ましくは3〜30質量%、さらに好ましくは5〜20質量%がよい。界面活性剤(c2)が1質量%未満になると水分散体の安定性が低下し、一方50質量%を越えると、耐水性などの塗膜性能を低下させるので好ましくない。
なお水分散体(C)は、ベンゾイン又はベンゾインの誘導体(c1)と界面活性剤(c2)及び水に、必要に応じて、増粘剤、有機溶剤、表面調製剤、中和剤等を加えて、分散して得ることができる。
水分散体(C)は、分散手段として、例えば、シェーカー、ボールミル、ペブルミル、サンドミル、遊星ボールミル、ホモジナイザーなどを用い、平均粒子径(注1)が20μm以下、好ましくは0.1〜10μm、さらに好ましくは1〜7μmの平均粒子径となるように分散することが、水性塗料組成物に添加した時の塗料安定性や耐ワキ性に優れる為に好ましい。
(注1)平均粒子径:「平均粒子径」は、UPA−EX250(日機装株式会社製、
商品名、粒度分布測定装置、動的光散乱法・レーザードップラー法(UPA法))を用いて測定した。
このようにして得られた水分散体(C)のベンゾイン又はベンゾインの誘導体(c1)の濃度は、5〜60質量%、好ましくは10〜50質量%であることが、貯蔵安定性の面から好ましい。
本発明の水性塗料組成物における水分散体(C)の含有量は、上記水酸基及びカルボキシル基含有樹脂(A)と架橋剤(B)の固形分合計に対して、ベンゾイン又はベンゾインの誘導体(c1)の量が0.1〜30質量%、好ましくは1〜20質量%、さらに好ましくは1.5〜10質量%となる量を含有することが、水性塗料安定性と耐ワキ性の向上の為に必要である。
本発明の水性塗料組成物には、公知の顔料成分を使用することができる。そのような顔料としては、例えば、二酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリン顔料、スレン系顔料、ペリレン顔料などの着色顔料;クレー、カオリン、バリタ、硫酸バリウム、タルク、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナホワイトなどの体質顔料;アルミニウムフレーク、雲母フレークなどの光輝性顔料などを挙げることができる。
これらの顔料成分の配合割合は、水酸基及びカルボキシル基含有樹脂(A)と架橋剤(B)の合計100質量部に対して、2〜200質量部が好ましく、30〜170質量部がより好ましく、50〜150質量部が更に好ましい。
上記の顔料成分の中に、厚さ0.1〜2μm、より好ましいは0.2〜1.5μmで、その長手方向寸法1〜100μm、好ましくは2〜20μmである、うろこのような薄く平らな形状の偏平状顔料ある。具体的には、例えば、タルク、アルミニウムフレーク、雲母フレークなどである。
このような偏平状顔料の含有量は、水酸基及びカルボキシル基含有樹脂(A)と架橋剤(B)の合計100質量部に対して、2〜30質量部、好ましくは5〜20質量部であることが望ましい。この範囲内で該粒子を含有する場合には、該粒子が塗膜面に対して平行に配向する効果により、塗膜の平滑性を向上させることができる。
本発明の水性塗料組成物においては、更に必要に応じて、有機溶剤、体質顔料、分散剤、増粘剤、沈降防止剤、ウレタン化反応促進用触媒(例えば、有機錫化合物など)、基体樹脂の水酸基とメラミン樹脂との反応促進用触媒(例えば、酸触媒)、消泡剤、防錆剤、紫外線吸収剤、表面調整剤などを適宜配合することができる。
[水性塗料組成物の調製方法]
本発明の水性塗料組成物の調製方法は、限定されるものではなく、例えば、以下に述べる方法(1)〜方法(4)により行うことができる。
方法(1):水酸基及びカルボキシル基含有樹脂(A)、架橋剤(B)、水分散体(C)及び場合によりその他の添加剤を一緒にし、十分に混ぜ合わせて中和剤を添加して分散して得られたエマルションに、顔料分散ぺーストを配合する方法。
方法(2):予め水酸基及びカルボキシル基含有樹脂(A)を中和し、架橋剤(B)、水分散体(C)及び場合によりその他の添加剤を一緒にし、十分に混ぜ合わせて分散して得られたエマルションに、顔料分散ぺーストを配合する方法。
方法(3):水分散体(C)、顔料成分や触媒、その他の添加剤及び水を加え分散して顔料分散ペーストを調製し、その顔料分散ペーストに、水酸基及びカルボキシル基含有樹脂(A)、架橋剤(B)及び場合によりその他の添加剤を一緒にし十分に混ぜ合わせて中和剤を添加し、分散して得られた水分散体を配合する方法。
方法(4):あらかじめ作製した水性塗料組成物の中に、水分散体(C)を配合する方法、が挙げられる。
上記の中和剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物;アンモニア;エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ベンジルアミン、モノエタノールアミン、ネオペンタノールアミン、2−アミノプロパノール、3−アミノプロパノールなどの第1級モノアミン化合物;ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジ−n−プロパノールアミン、ジ−iso −プロパノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミンなどの第2級モノアミン化合物;ジメチルエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、メチルジエタノールアミン、ジメチルアミノエタノールなどの第3級モノアミン化合物;ジエチレントリアミン、ヒドロキシエチルアミノエチルアミン、エチルアミノエチルアミン、メチルアミノプロピルアミンなどのポリアミン化合物等を挙げることができる。これらのうち、第1級モノアミン化合物、第2級モノアミン化合物、第3級モノアミン化合物、ポリモノアミン化合物を使用するのが好ましい。
中和剤の添加量は、適宜選択することができるが、硬化性樹脂成分中の酸基の総量に対して、0.4〜1.2当量であるのが分散安定性の向上の観点から好ましく、0.5〜1.0当量であるのがより好ましい。
本発明の水性塗料組成物は、通常、塗装するに際して、必要に応じて脱イオン水で希釈して、例えば、フォードカップNo.4を用いて、20℃で測定して、好ましくは30〜120秒間、より好ましくは35〜90秒間の粘度に調整する。この場合、固形分濃度は35〜65質量%であるのが好ましく、40〜60質量%であるのがより好ましい。
本発明の水性塗料組成物は、公知の方法、例えば、エアースプレー、エアレススプレー、回転霧化塗装などにより塗装することができる。塗装の際、静電印加することもできる。
塗装膜厚は、特に制限されるものではないが、通常、硬化塗膜で10〜45μm、好ましくは20〜40μmが適している。塗膜の硬化は、通常、110〜180℃、好ましくは130〜170℃で、10〜40分間加熱することにより行うことができる。
[水性塗料組成物の塗膜形成方法]
なお本発明の水性塗料組成物は、塗料安定性に優れ、かつ耐ワキ性が良好であり仕上り性に優れた塗膜を形成することができる。
上記、水性塗料組成物の被塗物としては、特に制限されるものではなく、例えば、自動車、二輪車等の各種自動車車体、家電製品、鋼製家具、厨房器具などを挙げることができる。また、これら被塗物を形成する冷延鋼板、亜鉛メッキ鋼板、亜鉛合金メッキ鋼板、ステンレス鋼板、錫メッキ鋼板等の鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板等の金属基材;プラスチック基材等であってもよい。また、被塗物としては、上記車体や金属基材の金属表面に、リン酸塩処理、クロメート処理等の表面処理が施されたものであってもよい。
本発明の水性塗料組成物は、上記の被塗物に、電着塗膜、中塗り塗膜、次いで上塗り塗膜を形成して塗膜を形成する方法における自動車塗料用の中塗り塗料又は上塗着色ベース塗料、クリヤ塗料として有用である。
上記の塗膜形成方法において、本発明の水性塗料組成物は、水分散体(C)を未添加の水性塗料組成物に比べて、ワキ発生限界膜厚を通常2μm以上、好ましくはワキ膜厚を3μm以上、さらに好ましくは4μm以上向上することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。本発明はこれによって限定されるものではない。尚、「部」及び「%」は「質量部」及び「質量%」を示す。
製造例1 水酸基及びカルボキシル基含有ポリエステル樹脂No.1の製造
加熱装置、攪拌装置、温度計、還流冷却器、水分離器を備えた4つ口フラスコに、
無水フタル酸28.0部、アジピン酸25.7部、ネオペンチルグリコール26.4
部、トリメチロールプロパン22.9部を仕込んだ。次に、内容物を160℃から
230℃まで3時間かけて昇温させた後、230℃で保持し、生成した縮合水を水分
離器により留去させながら、酸価が3mgKOH/g以下になるまで反応させた。
次に、生成物に無水トリメリット酸6.69部を付加反応させた後、N−ジメチ
ルエタノールアミンをカルボキシル基に対して当量添加して中和してから、脱イオン
水を徐々に加えて水分散することにより、固形分40%の水酸基及びカルボキシル基
含有ポリエステル樹脂No.1の水分散液を得た。得られた水酸基及びカルボキシル
基含有ポリエステル樹脂No.1の水酸基価は137mgKOH/g、酸価は40m
gKOH/g、数平均分子量は2,000であった。
製造例2〜3
表1に示す原料を用いて、製造例1と同様にして、水酸基及びカルボキシル基含
有ポリエステル樹脂No.2〜No.3を得た。
Figure 2011132311
製造例4 水分散体No.1の製造例(実施例相当)
シェーカーに、ベンゾイン2部、ポリオキシエチレングリコールオクチルフェニルエーテル2部、水6部を配合して混合物を3時間分散して、水分散体No.1を得た。水分散体No.1の平均粒子径(注1参照)は6μmであった。水分散体No.1のベンゾイン又はベンゾイン誘導体の濃度は20質量%である。
製造例5 水分散体No.2の製造例(実施例相当)
表2の配合内容とする以外は、製造例4と同様にして、水分散体No.2を得た。水分散体No.2の平均粒子径(注1参照)は5μmであった。水分散体No.2のベンゾイン又はベンゾイン誘導体の濃度16質量%である。
(注2)ノイゲンTDX−50:第一工業製薬社製、商品名、ポリオキシアルキレントリデシルエーテル、ノニオン系界面活性剤。
製造例6 顔料分散体Aの製造例
シェーカーに、製造例1で得た水酸基及びカルボキシル基含有ポリエステル樹脂No.1を37.5部(固形分15部)、製造例4で得た水分散体No.1を10部(固形分4部)、タルク(注3)10部、チタン白(注4)80部、カーボンブラック(注5)1部、脱イオン水136.5部を加えた混合物を5時間分散して、顔料分散体Aを得た。顔料分散体Aの平均粒子径は8μmであった。
(注3)タルク:MICRO ACE S−3、日本タルク社製、厚さ0.3〜0.9μm、長手方向寸法5〜10μm。
(注4)チタン白:JR−805、テイカ社製、ルチル型チタン白。
(注5)カーボンブラック:カーボンMA−100、三菱化学社製。
Figure 2011132311
比較製造例1 顔料分散体Bの製造例
シェーカーに、製造例1で得た水酸基及びカルボキシル基含有ポリエステル樹脂No.1を37.5部(固形分15部)、ベンゾイン4部、タルク(注3)10部、チタン白(注4)80部、カーボンブラック(注5)1部、脱イオン水142.5部を加えた混合物を5時間分散して、顔料分散体Bを得た。顔料分散体Bの平均粒子径は10μmであった。
比較製造例2 顔料分散体Cの製造例
表3の配合内容とする以外は、比較製造例1と同様にして、顔料分散体Cを得た。顔料分散体Cの平均粒子径は12μmであった。
Figure 2011132311
製造例7 顔料分散ペーストの製造
シェーカーに、製造例1で得た水酸基及びカルボキシル基含有ポリエステル樹脂No.1を37.5部(固形分15部)、タルク(注3)10部、チタン白(注4)80部、カーボンブラック(注5)1部、脱イオン水136.5部を加えた混合物を5時間分散して、固形分40%の顔料分散ペーストを得た。顔料分散ペーストの平均粒子径は8μmであった。
実施例1 水性塗料No.1の製造例
製造例7で得られた顔料分散ペースト106部(固形分)に、製造例4で得た固形分40%の水分散体No.1を4部(固形分)製造例2で得た40%のカルボキシル基含有ポリエステル樹脂No.2を60部(固形分)、サイメル325(注6)25部(固形分)をディスパーにて攪拌しながら加えて、ジメチルエタノールアミン及び脱イオン水を加えて、粘度をフォードカップNo.4で30秒間(20℃)に調整して水性塗料No.1を得た。
(注6)サイメル325:三井サイテック社製、商品名、イミノ基含有メトキシ変性
メラミン樹脂、数平均分子量1,000、固形分80%。
実施例2〜6
表4の配合とする以外は、実施例1と同様にして水性塗料No.2〜No.6を得た。
Figure 2011132311
(注7)バイヒドロールVPLS2310:住化バイエルウレタン社製、商品名、ブロック化ポリイソシアネート。
比較例1〜6
表5の配合とする以外は、実施例1と同様にして水性塗料No.7〜No.12
を得た。下記の試験板作成及び評価基準に従って、試験に供した結果を表5に示す。
Figure 2011132311
着色ベース塗料の製造
製造例8 アクリル樹脂エマルション(AC)の製造
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器、窒素導入管および滴下装置を備えた反応容器に脱イオン水130部、アクアロンKH−10(注8)0.52部を仕込み、窒素気流中で撹拌混合し、80℃に昇温した。
次いで下記のモノマー乳化物(1)のうちの全量の1%量および6%過硫酸アンモニウム水溶液5.3部を反応容器内に導入し80℃で15分間保持した。その後、残りのモノマー乳化物(1)を3時間かけて、同温度に保持した反応容器内に滴下した。滴下終了後、1時間熟成を行なった。
次いで、下記のモノマー乳化物(2)を1時間かけて滴下した。1時間熟成した後、5%ジメチルエタノールアミン水溶液40部を反応容器に徐々に加えながら30℃まで冷却し、100メッシュのナイロンクロスで濾過することにより、固形分濃度30%のアクリル樹脂エマルション(AC)を得た。得られたアクリル樹脂は、酸価が33mgKOH/g、水酸基価が25mgKOH/gであった。
(注8)アクアロンKH−10:ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩エステルアンモニウム塩、第一工業製薬株式会社製、有効成分97%。
モノマー乳化物(1):脱イオン水42部/アクアロンKH−10 0.72部/メチレンビスアクリルアミド2.1部/スチレン2.8部/メチルメタクリレート16.1部/エチルアクリレート28部/n−ブチルアクリレート21部の乳化物
モノマー乳化物(2):脱イオン水18部/アクアロンKH−10 0.31部/過硫酸アンモニウム0.03部/メタクリル酸5.1部/2−ヒドロキシエチルアクリレート5.1部/スチレン3部/メチルメタクリレート6部/エチルアクリレート1.8部/n−ブチルアクリレート9部の乳化物。
製造例9 ポリエステル樹脂溶液(PE2)の製造
温度計、サーモスタット、攪拌装置、還流冷却器および水分離器を備えた反応容器に、トリメチロールプロパン109部、1,6−ヘキサンジオール141部、ヘキサヒドロ無水フタル酸126部およびアジピン酸120部を仕込み、160℃〜230℃の間を3時間かけて昇温させた後、230℃で4時間縮合反応させた。次いで、得られた縮合反応生成物にカルボキシル基を付加するために、さらに無水トリメリット酸38.3部を加え、170℃で30分間反応させた後、2−エチル−1−ヘキサノールで希釈し、固形分濃度70%であるポリエステル樹脂溶液(PE2)を得た。得られたポリエステル樹脂は、酸価が46mgKOH/g、水酸基価が150mgKOH/g、重量平均分子量が6,400であった。
製造例10 光輝性顔料分散液(P1)の製造例
攪拌混合容器内において、アルミニウム顔料ペースト(商品名「GX−180A」旭化成メタルズ株式会社製、金属含有量74%)19部、2−エチル−1−ヘキサノール35部、リン酸基含有樹脂溶液(注9)8部および2−(ジメチルアミノ)エタノール0.2部を均一に混合して、光輝性顔料分散液(P1)を得た。
(注9)リン酸基含有樹脂溶液:スチレン25部/n−ブチルメタクリレート27.5部/分岐高級アルキルアクリレート(商品名「イソステアリルアクリレート」大阪有機化学工業株式会社製)20部/4−ヒドロキシブチルアクリレート7.5部/リン酸基含有重合性モノマー溶液(注10)15部/2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート12.5部を反応して得られた固形分濃度50%のリン酸基含有樹脂溶液。リン酸基含有樹脂のリン酸基による酸価は83mgKOH/g、水酸基価は29mgKOH/g、重量平均分子量は10,000であった。
(注10)リン酸基含有重合性モノマー溶液:モノブチルリン酸57.5部/グリシジルメタクリレート42.5部を有機溶媒中で反応して得られた、固形分濃度50%のリン酸基含有重合性モノマー溶液。
実施例7 着色ベース塗料No.1の製造
製造例8で得たアクリル樹脂エマルション(AC)100部、製造例9で得たポ
リエステル樹脂溶液(PE2)57部、製造例10で得た光輝性顔料分散液(P1)62部およびサイメル325(イミノ基含有メチル化メラミン樹脂、商品名、日本サイテック社製、固形分80%)37.5部を均一に混合し、更に、ポリアクリル酸系増粘剤(商品名「プライマルASE−60」ロームアンドハース社製)、製造例4で得た水分散体No.1を10部(固形分4部)を混合し、2−エチル−1−ヘキサノール、および脱イオン水を加えて、塗料固形分25%の着色ベース塗料No.1を得た。
比較例7 着色ベース塗料No.2の製造
製造例8で得たアクリル樹脂エマルション(AC)100部、製造例9で得たポリエステル樹脂溶液(PE2)57部、製造例10で得た光輝性顔料分散液(P1)62部およびサイメル325(イミノ基含有メチル化メラミン樹脂、商品名、日本サイテック社製、固形分80%)37.5部を均一に混合し、更に、ポリアクリル酸系増粘剤(商品名「プライマルASE−60」ロームアンドハース社製)、2−エチル−1−ヘキサノール10部、および脱イオン水を加えて、塗料固形分25%の着色ベース塗料No.2を得た。
試験板作成1(耐ワキ性、水性塗料組成物)
以下の工程1〜4によって、耐ワキ性を評価する為の「試験板A」を得た。
工程1:パルボンド#3020(日本パーカライジング株式会社製、商品名、り
ん酸亜鉛処理)を施した冷延鋼板(15cm×45cm)に、エレクロンGT−10LF(関西ペイント株式会社製、商品名、カチオン電着塗料)を電着塗装し、膜厚で20μmの電着塗装板を得た。
工程2:次いで、実施例と比較例で得た各々の水性塗料No.1〜No.12を用い、工程1で得た塗装板に、膜厚が20〜60μmになるようにで水平状態にて傾斜塗装し、ブース雰囲気(23℃、相対湿度67%)で2分30秒間放置し、その後80℃で3分間予備乾燥した。次いで、塗装ブースの雰囲気になるように放冷した。
工程3:さらにその上に、水性メタリックベースコートWBC713T(関西ペイント社製、商品名、アクリル・メラミン樹脂系塗料)を膜厚15μmに塗装し、ブース雰囲気(23℃、相対湿度67%)で1分30秒間放置し、その後80℃で3分間予備乾燥した。
工程4:次いで、その未硬化塗面にKINO#1200TWクリヤ(関西ペイント社製、商品名、酸・エポキシ硬化型アクリル樹脂系のクリヤ塗料)を膜厚35μmに塗装し、ブース雰囲気(23℃、相対湿度67%)で5分間放置した後、140℃で20分加熱硬化して「試験板A」を得た。
試験板作成2(耐ワキ性、着色ベース塗料)
以下の工程1〜4によって、耐ワキ性を評価する為の「試験板B」を得た。
工程1:試験板作成1における工程1と同様である。
工程2:次いで、WP−305(関西ペイント社製、商品名、ポリエステル樹脂・メラミン樹脂硬化系の水性中塗り塗料)を用い、工程1で得た塗装板に、膜厚が35μmになるようにで水平状態にて塗装し、ブース雰囲気(23℃、相対湿度67%)で2分30秒間放置し、その後80℃で3分間予備乾燥した。次いで、塗装ブースの雰囲気になるように放冷した。
工程3:さらにその上に、着色ベース塗料No.1又は着色ベース塗料No.2
を膜厚が10〜40μmになるようにで水平状態にて傾斜塗装し、ブース雰囲気(23℃、相対湿度67%)で1分30秒間放置し、その後80℃で3分間予備乾燥した。
工程4:試験板作成1における工程4と同様にして「試験板B」を得た。
試験板作成3(塗料貯蔵後の仕上り性、水性塗料組成物)
工程1:試験板作成1における工程1と同様である。
工程2:次いで、工程1で得た塗装板に、水性塗料No.1〜No.12を膜厚が35μmになるように塗装し、ブース雰囲気(23℃、相対湿度67%)で2分30秒間放置し、その後80℃で3分間予備乾燥した。次いで、塗装ブースの雰囲気になるように放冷した。
工程3:さらにその上に、水性メタリックベースコートWBC713T(関西ペイント社製、商品名、アクリル・メラミン樹脂系塗料)を膜厚15μmに塗装し、ブース雰囲気(23℃、相対湿度67%)で1分30秒間放置し、その後80℃で3分間予備乾燥した。
工程4:試験板作成1における工程4と同様にして、「試験板C」を得た。
試験板作成4(塗料貯蔵後の仕上り性、着色ベース塗料)
工程1:試験板作成1における工程1と同様である。
工程2:次いで、工程1で得た塗装板に、WP−305(関西ペイント社製、商品名、ポリエステル樹脂・メラミン樹脂硬化系の水性中塗り塗料)を膜厚が35μmになるように塗装し、ブース雰囲気(23℃、相対湿度67%)で2分30秒間放置し、その後80℃で3分間予備乾燥した。次いで、塗装ブースの雰囲気になるように放冷した。
工程3:さらにその上に、着色ベース塗料No.1又は着色ベース塗料No.2
を膜厚15μmに塗装し、ブース雰囲気(23℃、相対湿度67%)で1分30秒間放置し、その後80℃で3分間予備乾燥した。
工程4:試験板作成1における工程4と同様にして、「試験板D」を得た。
実施例8〜14
下記(注11)〜(注13)の評価内容に従って、試験に供したので表6に結果を示す。
Figure 2011132311
比較例7〜13
下記(注11)〜(注13)の評価内容に従って、試験に供したので、表7に結果を示す。
Figure 2011132311
(注11)貯蔵安定性:
実施例と比較例で得た各々の水性塗料No.1〜No.12、及び着色ベース塗料No.1と着色ベース塗料No.2を、1,000gを蓋付きガラス瓶入れて、40℃にて5日間貯蔵した後、さらに5℃にて2日間貯蔵後の状態を観察し、下記基準に基づいて評価した。
◎は、塗料の白濁も沈降もなく、20℃にて攪拌すると直ぐに貯蔵前の状態に戻り、問題なし
〇は、塗料の白濁はないが、塗料の沈降がみられるものの20℃(室温)にて1時間未満攪拌すれば貯蔵前の状態に戻る。
△は、塗料が白濁し、かつ塗料が沈降してケーキ層がみられ、20℃(室温)にて1〜5時間攪拌すれば貯蔵前の状態に戻る。
×は、塗料が白濁し、かつ塗料が沈降してケーキ層がみられ、20℃にて5時間を越えて攪拌しても凝集ブツが残る。
(注12)耐ワキ性:
前記の「試験板作成1」の試験板Aにて得た試験板にて水性塗料No.1〜No.12のワキ限界膜厚を測定した。前記の「試験板作成2」の試験板Bにて得た試験板にて着色ベース塗料No.1〜No.2のワキ限界膜厚を測定した。
(注13)塗料貯蔵後の仕上り性:
前記の「試験板作成3」の試験板C、前記の「試験板作成4」に従って得た試験板D、を以下の評価内容に従って評価した。
◎は、問題なく良好
○は、わずかに肌に凹凸があるが問題なし
△は、ブツ又は肌荒れの少なくとも一方の発生が見られる
×は、ブツ又は肌荒れの少なくとも一方の発生が著しい
本発明は、ワキ性に優れた塗膜を提供できる為、工業用製品の塗装に好適である。

Claims (5)

  1. 水酸基及びカルボキシル基含有樹脂(A)、架橋剤(B)、並びに下記特徴の水分散体(C)を含有する塗料組成物であって、該塗料中における水酸基及びカルボキシル基含有樹脂(A)と架橋剤(B)との固形分合計に対して、水分散体(C)をベンゾイン又はベンゾインの誘導体(c1)が0.1〜30質量%となる量含有することを特徴とする水性塗料組成物。
    水分散体(C):ベンゾイン又はベンゾインの誘導体(c1)と界面活性剤(c2)及び水の混合物を分散して得られた分散体
  2. 水分散体(C)の平均粒子径が、20μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の水性塗料組成物。
  3. 水分散体(C)のベンゾイン又はベンゾインの誘導体(c1)の濃度が5〜60質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の水性塗料組成物。
  4. 自動車用の中塗り塗料又は着色ベース塗料である請求項1〜3のいずれか1項に記載の水性塗料組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の水性塗料組成物を用いた塗膜形成方法。
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