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JP2011091346A - 太陽電池用バックシート及びそれを用いた太陽電池モジュール - Google Patents

太陽電池用バックシート及びそれを用いた太陽電池モジュール Download PDF

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JP2011091346A JP2009258391A JP2009258391A JP2011091346A JP 2011091346 A JP2011091346 A JP 2011091346A JP 2009258391 A JP2009258391 A JP 2009258391A JP 2009258391 A JP2009258391 A JP 2009258391A JP 2011091346 A JP2011091346 A JP 2011091346A
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Eiichi Sugimoto
榮一 杉本
純雄 ▲高▼殿
Sumio Takadono
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Dengiken Kk
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Abstract

【課題】太陽電池モジュールの発電効率を高め、かつ、意匠性に優れた、水蒸気遮断性、電気絶縁性、機械的強度、接着性等の長期的な性能劣化を最小限に抑えた、着色された太陽電池用バックシートおよびそれを用いた太陽電池モジュールを提供する。
【解決手段】光反射性のポリエステルフィルム、着色樹脂フィルム及び金属酸化物からなる薄膜層を設けた耐加水分解性で、かつ、体低分子量体析出性のポリエステルフィルムを、この順で積層して一体化されてなることを特徴とする太陽電池用バックシート及びそれを用いた太陽電池モジュール。
【選択図】図1

Description

発明の詳細な説明
産業上の利用分野
本発明は、太陽電池用バックシート及びそのバックシートを用いた太陽電池モジュールに関し、さらに詳しくは、太陽電池モジュールの発電効率を高め、かつ、意匠性に優れた、水蒸気遮断性、電気絶縁性、機械的強度、接着性等の長期的な性能劣化を最小限に抑えた、着色された太陽電池用バックシート及びそれを用いた太陽電池モジュールに関わるものである。
近年、環境問題に対する意識の高まりから、クリ−ンなエネルギ−源としての太陽電池が注目されている。一般に、太陽電池モジュ−ルは、例えば、結晶性シリコン太陽電池セル、アモルファスシリコン太陽電池セル等を製造し、表面ガラス板、封止樹脂、太陽電池セル、封止樹脂およびバックシートを、この順に積層し、真空吸引して加熱圧着するラミネ−ション法等を利用して製造されている。
太陽電池のさらなる普及のためには、発電コストの低減、太陽電池モジュールの低コスト化、設置面積の減少等が必要であり、そのためには太陽電池モジュールの発電効率を向上させることが求められている。太陽電池モジュールに入射した光は、太陽電池セルそのもの或いは太陽電池セル同士の間隙を通過して、必ずしも全量が発電に寄与しているわけではない。かかる通過光を、バックシートで反射させて、太陽電池セルへ戻すことにより太陽電池モジュールの発電効率を向上させることが知られており、光反射性に優れたバックシートが求められている。
太陽電池モジュールは産業用のみならず、家庭用としても適用が進み、様々な建築分野で使用されている。太陽電池モジュールの適用が進むにつれ、既建築物とのバランスの上に立った太陽電池モジュールの意匠性が重要視されている。すなわち、太陽電池モジュールを白色、黒色、青色等の種々の色相に着色することが要求されており、そのために、バックシートをかかる色相に着色することが求められている。
太陽電池モジュ−ルを構成するバックシ−トとしては、現在、強度に優れたプラスチック基材等が、最も一般的に使用されている。而して、太陽電池モジュ−ル用のバックシ−トとしては、強度に優れ、かつ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐薬品性、光反射性、意匠性等の諸特性に優れていることが必要である。特に、水分、酸素等の侵入を防止する防御性に優れ、極めて耐久性に富み、その保護能力性が高いことが必要とされている。
すなわち、太陽電池モジュールの発電効率を高め、かつ、意匠性に優れた、水蒸気遮断性、電気絶縁性、機械的強度、接着性等の長期的な性能劣化を最小限に抑えた、着色された太陽電池用バックシートが求められている。
従来、光反射性のバックシートとして、図10のように、光反射性フィルム121と蒸着フィルム122を接着剤123で貼り合わせた構成が提案されている(特許文献1参照)。ここに、光反射性フィルム121は白色フィルムである。図10において、1221は樹脂フィルム、1222は蒸着層である。また、蒸着フィルムの上に、光反射性層を印刷法で形成した構成も提案されている(特許文献2参照)。
従来、光反射性のバックシートの他の例として、図11のように、白色ポリエステルフィルム131、蒸着フィルム132及び透明ポリエステルフィルム133を、接着剤134で貼り合わせた構成が提案されている(特許文献3参照)。図11において、1321は基材フィルム、1322は無機酸化物薄膜層である。また、光反射性の白色インキ層を設けた蒸着フィルムと基材フィルムを接着剤で貼り合わせた構成も提案されている(特許文献4参照)。
従来、光反射性のバックシートの他の例として、図12のように、白色樹脂フィルム141、金属酸化物被着樹脂フィルム142及び耐加水分解性樹脂フィルム143を、接着剤144で貼り合わせた構成が提案されている(特許文献5参照)。図12において、1421は基材フィルム、1422は蒸着層であり、金属酸化物被着樹脂フィルム142は、いわゆる蒸着フィルムである。このバックシートの構成は、基本的には図11と同じである。
以下に、特許文献を記す。
特開2000−114564号公報 特開2001−144309号公報 特開2006−253264号公報 特開2006−210557号公報 特開2002−100788号公報
これら従来技術は、いずれも光反射性フィルムとしての白色フィルム又は白色層と蒸着フィルムとの間に他のフィルムを介在させることなく、両者を直接対向させた構成である。ここに、従来技術の蒸着フィルムは、主としてバックシートの水蒸気遮断性の役目をするものであり、光反射性及び着色を目的とするものではない。また、白色化の手段として、白色顔料、微細発泡、微細中空子等が提案されている。しかし、着色樹脂フィルムを介在させる等の着色されたバックシート、着色化の手段等については記載が認められない。すなわち、これら従来技術は、太陽電池用バックシートの光反射性を高めることを目的としてはいるが、バックシートの着色、すなわち、バックシートの意匠性の向上を意図したものではない。
一般に、太陽電池モジュ−ルは、表面ガラス板、封止樹脂、太陽電池セル、封止樹脂およびバックシートを、この順に積層し、真空吸引して加熱圧着して作製される。この時、バックシートは封止樹脂と直接接触している。而して、封止樹脂は、通常、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)であり、長期間の使用において、劣化し、微量のガス、例えば酢酸が発生する。もし、バックシートの構成要素である着色樹脂フィルムが封止樹脂と直接接触していると、着色樹脂フィルムの色相や色の濃さが変化する恐れがある。さらに、着色樹脂フィルム中の着色剤が封止樹脂へ移行して、封止樹脂が着色する恐れがある。すなわち、バックシートの機能や意匠性が低下したり、封止樹脂の機能が低下したりする恐れがある。
発明が解決しようとする課題
本発明は、上記の技術的背景に基づく問題点を解決するためになされたものであって、太陽電池モジュールの発電効率を高め、かつ、意匠性に優れた、水蒸気遮断性、電気絶縁性、機械的強度、接着性等の長期的な性能劣化を最小限に抑えた、着色された太陽電池用バックシートおよびそれを用いた太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、光反射性のポリエステルフィルム、着色樹脂フィルム及び金属酸化物からなる薄膜層を設けた耐加水分解性で、かつ、耐低分子量体析出性のポリエステルフィルムを、この順で積層して一体化されてなることを特徴とする太陽電池用バックシートよびそれを用いた太陽電池モジュールを提供するものである。
課題を解決するための手段
本発明は、かかる課題を解決するために、次の手段を採用するものである。
すなわち、
請求項1に係る発明は、
光反射性のポリエステルフィルム、着色樹脂フィルム及び金属酸化物からなる薄膜層を設けた耐加水分解性で、かつ、耐低分子量体析出性のポリエステルフィルムを、この順で積層して一体化されてなることを特徴とする太陽電池用バックシートである。
請求項2に係る発明は、
前記光反射性のポリエステルフィルムが、白色顔料、マイクロバルーン、微細気泡、微粒子等より成る群より選ばれた一種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池用バックシートである。
請求項3に係る発明は、
前記光反射性のポリエステルフィルムが、ポリエステルフィルムに光反射性層を設けたことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池用バックシートである。
請求項4に係る発明は、
前記光反射性層が、ミラーインキ及び/又は白色顔料の塗布層よりなることを特徴とする請求項3に記載の太陽電池用バックシートである。
請求項5に係る発明は、
前記光反射性層が、金属薄膜及び/又は誘電体薄膜よりなることを特徴とする請求項3に記載の太陽電池用バックシートである。
請求項6に係る発明は、
前記光反射性層が、気泡含有樹脂フィルム、マイクロバルーン含有樹脂フィルム、微粒子含有樹脂フィルム等から成る群より選ばれた一種以上であることを特徴とする請求項3に記載の太陽電池用バックシートである。
請求項7に係る発明は、
前記光反射性のポリエステルフィルムのポリエステルが、ポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池用バックシートである。
請求項8に係る発明は、
前記光反射性のポリエステルフィルムの光反射面に、微細な凹凸を設けたことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池用バックシートである。
請求項9に係る発明は、
前記着色樹脂フィルムが、白色、黒色、青色から選ばれた色相に着色されたことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池用バックシートである。
請求項10に係る発明は、
前記着色樹脂フィルムが、白色、黒色、青色から選ばれた着色剤を塗布及び/又は練りこんだことを特徴とする請求項9に記載の太陽電池用バックシートである。
請求項11に係る発明は、
前記着色樹脂の樹脂が、ポリエステルであることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池用バックシートである。
請求項12に係る発明は、
前記ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項11に記載の太陽電池用バックシートである。
請求項13に係る発明は、
前記金属酸化物が、酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化錫からなる群より選ばれた1種以上の金属酸化物であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池用バックシートである。
請求項14に係る発明は、
前記耐加水分解性で、かつ、耐低分子量体析出性のポリエステルが、ポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池用バックシートである。
請求項15に係る発明は、
前記ポリエチレンテレフタレートが、オリゴマー含有量が0.8重量%以下であることを特徴とする請求項14に記載の太陽電池用バックシートである。
請求項16に係る発明は、
前記光反射性のポリエステルフィルム、着色樹脂フィルム及び金属酸化物からなる薄膜層を設けた耐加水分解性で、かつ、耐低分子量体析出性のポリエステルフィルムを、この順で積層して、接着剤で一体化したことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池用バックシートである。
請求項17に係る発明は、
前記光反射性のポリエステルフィルムに、易接着処理層を設けたことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池用バックシートである。
請求項18に係る発明は、
温度85℃、湿度85%の環境下において、3000時間処理後の破断伸度保持率が50%以上である請求項1に記載の太陽電池用バックシートである。
請求項19に係る発明は、
温度85℃、湿度85%の環境下において、3000時間処理後の交流全面耐電圧保持率が50%以上である請求項1に記載の太陽電池用バックシートである。
請求項20に係る発明は、
請求項1〜19のいずれかに記載の太陽電池用バックシートを使用したことを特徴とする太陽電池モジュールである。
本発明の太陽電池用バックシートは、光反射性のポリエステルフィルム、着色樹脂フィルム及び金属酸化物からなる薄膜層を設けた耐加水分解性で、かつ、耐低分子量体析出性のポリエステルフィルムを、この順で積層して一体化した構成である。
図1は、本発明の太陽電池用バックシート1の断面図である。2は光反射性のポリエステルフィルム、3は着色樹脂フィルム、4は金属酸化物からなる薄膜層を設けた耐加水分解性で、かつ、耐低分子量体析出性のポリエステルフィルムであり、この順に積層して、接着剤層5にて一体化される。金属酸化物からなる薄膜層を設けた耐加水分解性で、かつ、耐低分子量体析出性のポリエステルフィルム4は、耐加水分解性で、かつ、耐低分子量体析出性のポリエステルフィルム41に金属酸化物からなる薄膜層42を設けることで作製される。
本発明の太陽電池用バックシートを構成する光反射性のポリエステルフィルムは、白色顔料、マイクロバルーン、微細気泡、微粒子等よりなる群より選ばれた一種以上を含有した構成である。白色顔料によりフィルムが白色化することで、マイクロバルーンや微細気泡によりフィルム内に微小な空洞が発生することで、また、微粒子はそれ自体が反射体となることで、入射した光を反射、散乱、或いは拡散させて、太陽電池セルを通過して来た光を、セルへ効果的に戻すことができる。
本発明の太陽電池用バックシートを構成する光反射性のポリエステルフィルムに用いられる白色顔料は、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、硫化亜鉛、三酸化アンチモン、カオリン、タルク、リトポン等の無機顔料、架橋ポリスチレン樹脂、架橋アクリル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂等のような有機顔料である。これら白色顔料の1種ないし2種以上を使用することができる。その使用量はポリエステルに対して、0.1重量%〜30重量%である。
白色顔料は、あらかじめフィルム化のためのポリエステル樹脂組成物(ペレット)に添加され、押出成形等によりフィルム化される。これにより、白色顔料がフィルム全体に均一に練り込まれた光反射性のポリエステルフィルムを作製することができる。また、必要に応じて、1軸又は2軸延伸してもよい。白色顔料で白色化されたポリエステルフィルムの例として、酸化チタン8重量%を練り込んだ厚さ100μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムがあげられる。
本発明の太陽電池用バックシートを構成する光反射性のポリエステルフィルムに用いるマイクロバルーンとは、微細な中空球体である。その例として、ガラスバルーン、シリカバルーン、シラスバルーン、カーボンバルーン、アルミナバルーン、ジルコニアバルーンのような無機バルーン、フェノールバルーン、ポリ塩化ビニリデンバルーンのような有機バルーンがあげられる。マイクロバルーンの直径は1μm〜30μmであり、その使用量はポリエステルに対して、0.1重量%〜30重量%である。
マイクロバルーンは、予めフィルム化のためのポリエステル樹脂組成物(ペレット)に添加され、押出成形等によりフィルム化される。また、必要に応じて、1軸又は2軸延伸してもよい。これにより、マイクロバルーンがフィルム全体に均一に練り込まれた光反射性のポリエステルフィルムを作製することができる。
本発明の太陽電池用バックシートを構成する光反射性のポリエステルフィルムに用いる微細気泡の形成は、ポリエステル樹脂組成物(ペレット)中に、ポリエステルとは非相溶性の樹脂を細かく分散させて、フィルム成形し、それを1軸又は2軸に延伸することによりなされる。延伸に際して、非相溶性樹脂が相分離し、非相溶性樹脂粒子の周りに空洞(気泡)が形成され、これが光の散乱作用を誘起する。
非相溶性樹脂とは、ポリエステルと溶け合わないポリマーであり、ポリ−3−メチルブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリプロピレン、ポリビニル−t−ブタン、1,4−トランス−ポリ−2,3−ジメチルブタジエン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリスチレン、ポリフルオロスチレン、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、ポリクロロトリフルオロエチレン等があげられる。
非相溶性樹脂の添加量は、ポリエステルに対して、10重量%以上、30重量%以下が好ましい。10重量%未満ではフィルム中に十分な気泡が形成されないため、光反射性が低く、30重量%を超えると、フィルムの強度が低下する。
本発明の太陽電池用バックシートを構成する光反射性のポリエステルフィルムに用いる微粒子は、略球状の粒子である。微粒子の例として、シリカ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、硫化バリウム、マグネシウムシリケートのような無機微粒子、アクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミドのような有機微粒子があげられる。
微粒子の平均粒子径は、1μm〜50μmである。微粒子の平均粒子径が1μm未満のときも、50μmを超えるときも、反射光に対する拡散性が低下するおそれがある。微粒子の添加量は、ポリエステルに対して、5重量%以上、50重量%以下が好ましい。5重量%未満では光反射性が低く、50重量%を超えるとフィルム強度が低下する。
微粒子は、予めフィルム化のためのポリエステル樹脂組成物(ペレット)に添加され、押出成形等によりフィルム化される。また、必要に応じて、1軸又は2軸延伸してもよい。これにより、微粒子がフィルム全体に均一に練り込まれた光反射性のポリエステルフィルムを作製することができる。
本発明の太陽電池用バックシートの、光反射性のポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムに光反射性層を設けてもよい。図2は本発明の太陽電池用バックシートの断面図であり、図1の構成において、光反射性のポリエステルフィルム2は、ポリエステルフィルム21に光反射性層22を設けた構成である。
本発明の光反射性層を設けた光反射性のポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムにミラーインキ及び/又は白色顔料を塗布して、光反射性層を形成した構成である。
ミラーインキを、ポリエステルフィルム上に塗布することにより、鏡面光沢性を有する金属薄膜が形成され、優れた光反射性のフィルムを得ることができる。ミラーインキは、通常、鱗片状、棒状等の金属粒子、有機溶剤ワニス、有機溶剤等からなり、通常の塗布方法でポリエステルフィルムへ塗布され、光反射性層が形成される。金属としては、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、インジウム、ニッケル、アルミニウム等から選ばれる。金属粒子の大きさは100nm以下である。
また、白色顔料を含む組成物を、ポリエステルフィルム上へ塗布することにより光反射性層が設けられた光反射性のポリエステルフィルムが得られる。用いられる白色顔料は、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、硫化亜鉛、三酸化アンチモン、カオリン、タルク、リトポン等の無機顔料、架橋ポリスチレン樹脂、架橋アクリル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂等のような有機顔料である。これら白色顔料の1種以上を使用することができる。白色顔料は樹脂、溶剤、粘度調整剤等ともに組成物とされ、ベタ刷り等公知の方法によりポリエステルフィルム上に塗布され、光反射性層が形成される。
本発明の光反射性層を設けた光反射性のポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムに、金属薄膜及び/又は誘電体薄膜よりなる光反射性層を形成した構成である。
金属薄膜用の金属としては、銀、アルミニウム、ニッケル、クロム、金、ロジウム、銅等から成る群より選ばれた一種以上が用いられる。
光反射性層としての誘電体薄膜は、誘電体多層膜といわれるもので、低屈折率膜と高屈折率膜を数層から数十層重ねた構成であり、これにより、反射率を高めることができる。低屈折率膜としての誘電体の例は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、フッ化マグネシウム等である。高屈折率膜としての誘電体の例は、酸化チタン、酸化タリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛等である。
上記金属薄膜または誘電体薄膜は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法、化学的蒸着法(CVD)、液相成長法(LPD)等公知の方法やメッキ法等により、ポリエステルフィルム上に設けられる。
本発明の光反射性層を設けた光反射性のポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムに気泡含有樹脂フィルム、マイクロバルーン含有樹脂フィルム、微粒子含有樹脂フィルム等からなる光反射性層を形成した構成である。
本発明の光反射性層としての気泡含有樹脂フィルムは、非相溶性樹脂の延伸フィルム、微細気泡を含有するフィルム等である。これらのフィルムを、公知の接着等の方法でポリエステルフィルムへ貼りつける。
前記非相溶性樹脂の延伸フィルムは、樹脂組成物(ペレット)中に、マトリックス樹脂とは非相溶性の樹脂を細かく分散させて、フィルム成形し、それを1軸又は2軸に延伸することにより得られる。
マトリックス樹脂がポリエステルの場合は、非相溶性の樹脂として、ポリ−3−メチルブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリプロピレン、ポリビニル−t−ブタン、1,4−トランス−ポリ−2,3−ジメチルブタジエン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリスチレン、ポリフルオロスチレン、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、ポリクロロトリフルオロエチレンなどがあげられる。非相溶性樹脂の添加量は、ポリエステルに対して、10重量%以上、30重量%以下が好ましい。
前記微細気泡を含有する樹脂フィルムは、耐候性、耐熱性、電気絶縁性、耐水性等に優れた樹脂フィルムに微細な気泡を含有させたものである。樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等である。
微細気泡を含有させる第一の方法は、上記樹脂中へ、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、フッ化炭素、炭酸ガス等の気体を、通常の方法で含有させることである。第二の方法は、上記樹脂を、例えば、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p,p−オキシビスベンゼンスルフォニルヒドラジド等の発泡剤を用いて、通常の方法で樹脂を発泡させることである。第三の方法は、上記樹脂に、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム等を含有させ、加熱して、発泡させることである。また、微細な気泡を含有する樹脂フィルムを、必要に応じて、1軸又は2軸延伸してもよい。
本発明の光反射性層としてのマイクロバルーン含有樹脂フィルムは、耐候性、耐熱性、電気絶縁性、耐水性等に優れた樹脂フィルムに、マイクロバルーンを含有させたものである。樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等である。
前記マイクロバルーンは、微細な中空球体であり、例えば、ガラスバルーン、シリカバルーン、シラスバルーン、カーボンバルーン、アルミナバルーン、ジルコニアバルーンのような無機バルーン、フェノールバルーン、ポリ塩化ビニリデンバルーンのような有機バルーンがあげられる。マイクロバルーンは、予めフィルム化のための樹脂組成物(ペレット)に添加され、押出成形等によりフィルム化される。また、必要に応じて、1軸又は2軸延伸してもよい。これにより、マイクロバルーンがフィルム全体に均一に練り込まれた樹脂フィルムを作製することができる。このマイクロバルーンを含有する光反射性フィルムを、公知の接着等の方法でポリエステルフィルムへ貼りつける。
本発明の光反射性層としての微粒子含有樹脂フィルムは、耐候性、耐熱性、電気絶縁性、耐水性等に優れた樹脂フィルムに、微粒子を含有させたものである。樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等である。
前記微粒子は、略球状の粒子であり、その例として、シリカ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、硫化バリウム、マグネシウムシリケートのような無機微粒子、アクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミドのような有機微粒子があげられる。
微粒子は、予めフィルム化のための樹脂組成物(ペレット)に添加され、押出成形等によりフィルム化される。また、必要に応じて、1軸又は2軸延伸してもよい。これにより、微粒子がフィルム全体に均一に練り込まれた光反射性の樹脂フィルムを作製することができる。この微粒子を含有する光反射性フィルムを、公知の接着等の方法でポリエステルフィルムへ貼りつける。
本発明の光反射性のポリエステルフィルムに用いられるポリエステルとは、ジカルボン酸誘導体とジオール誘導体との重縮合体であるポリエステル樹脂であり、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等である。
これらポリエステルのなかでも、特に、ポリエチレンテレフタレートが、機械的性質、熱的性質、電気的性質等に優れているため、本発明の光反射性のポリエステルフィルムに用いられるポリエステルとして、好んで用いられる。諸特性と生産性の上から問題ない範囲内であれば、滑り剤、着色剤、帯電防止剤、低密度化剤等が添加されていてもよい。
本発明の太陽電池用バックシートを構成する光反射性のポリエステルフィルム、特にポリエチレンテレフタレートフィルムの厚みは50μm以上が必要である。ポリエチレンテレフタレートフィルムの厚みを50μm以上とすることで、電気絶縁性が向上し、太陽電池のシステム電圧1000Vに対応できる電気絶縁性の代表的特性である部分放電電圧として、1000VDC以上を満たす太陽電池用バックシ−トが得られる。
本発明の太陽電池用バックシートにおいて、光反射性のポリエステルフィルムの光反射面に、微細な凹凸を設けることで、反射光に良好な拡散性を付与でき、太陽電池セルへ、光がより有効に戻り、発電効率を効果的に高めることができる。
図3はその一実施形態であり、図1の構成において、光反射性のポリエステルフィルム2の表面に微細な凹凸23を設けた構成である。微細な凹凸は、光反射性のポリエステルフィルムを、例えば、エンボス加工、研磨加工、線条加工等をすることにより形成することができる。また、微粒子等を含有する組成物を塗布することによっても形成することができる。凹凸の大きさ(深さ)は、1μm〜50μmである。1μm未満のときも、50μmを超えるときも、反射光に対する拡散性が低下するおそれがある。
図4は本発明の他の実施形態であり、図2の構成において、光反射性のポリエステルフィルム2の光反射性層22に微細な凹凸24を設けた構成である。光反射層への微細な凹凸の形成は、光反射性層の形成前に、ポリエステルフィルムの光反射性層を形成する面に、例えば、エンボス加工、研磨加工、線条加工、微粒子を含有する組成物の塗布等により、予め微細な凹凸を形成しておくことでも実現できる。
本発明の太陽電池用バックシートにおいて、光反射性のポリエステルフィルムの光反射面を入射光に対して傾斜させることも有効である。光が反射面に対して90度で入射しないため、反射光が光反射性のポリエステルフィルムに対して、正反射することなく、斜め方向に反射する。その結果、反射光がより多く太陽電池セルへ戻り、発電効率をさらに上げることができる。
図5はその一実施形態であり、図1の構成において、光反射性のポリエステルフィルム2の表面S1を入射光に対して傾斜させた構成である。本構成は、例えば、フィルムの幅方向で厚みの異なる光反射性のポリエステルフィルムを作製することで実現できる。
図6は他の実施形態であり、図2の構成において、光反射性のポリエステルフィルム2の光反射性層22の表面S2を入射光に対して傾斜させた構成である。本構成は、例えば、フィルムの幅方向で厚みの異なるポリエステルフィルムの傾斜面側へ光反射性層を設けることで実現できる。また、幅方向で厚みの異なる光反射性層を、ポリエステルフィルム上へ設けることでも実現できる。
本発明の太陽電池用バックシートにおいて、着色樹脂フィルムは、白色、黒色、青色から選ばれた色相に着色される。色相は目的によって異なり、入射光の反射・再利用を重視するときは白色である。また、屋根材としての意匠性、装飾性等を重視するときは黒色あるいは青色である。
本発明の着色樹脂フィルムに用いられる樹脂は、強度に優れ、かつ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、電気絶縁性等に優れたものが好ましい。例えば、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等である。
着色樹脂フィルムに用いられる樹脂としては、かかる樹脂の中でも、ポリエステルが好適である。ここに、ポリエステルとは、ジカルボン酸誘導体とジオール誘導体との重縮合体であるポリエステル樹脂であり、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等である。
これらポリエステルのなかでも、特に、ポリエチレンテレフタレートが、機械的性質、熱的性質、電気的性質等に優れているため、本発明の着色樹脂フィルムに用いられるポリエステルとして、好んで用いられる。諸特性と生産性の上から問題ない範囲内であれば、滑り剤、着色剤、帯電防止剤、低密度化剤等が添加されていてもよい。
着色剤を、予めフィルム化のための樹脂組成物(ペレット)に添加し、押出成形等によりフィルムとすることで、着色剤がフィルム全体に均一に練り込まれた着色樹脂フィルムを作製することができる。また、必要に応じて、1軸又は2軸延伸してもよい。
着色樹脂フィルムは、着色剤を樹脂フィルム上に塗布して、着色層を形成することでも作製することができる。図7において、着色樹脂フィルム3は、樹脂フィルム31に着色層32を設けた構成である。着色剤は樹脂、溶剤、粘度調整剤等ともに組成物とされ、ベタ刷りにより樹脂フィルムの片面に着色層が形成される。ベタ刷り手段は、公知のロールコーティング法、スクリ−ン印刷法、グラビア印刷法、ダイコーティング法、ディッピング法、スプレー法等、いかなるものを使用してもよい。
白色樹脂フィルムに用いられる白色顔料としては、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク等の無機顔料、架橋ポリスチレン樹脂、架橋アクリル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料がある。
黒色樹脂フィルムに用いられる黒色顔料としては、カ−ボンブラック(チャンネルまたはファ−ネス)、黒色酸化鉄、その他の黒色顔料等がある。本発明において、黒色樹脂フィルムは、茶色系あるいは褐色系の黒色、灰色系の黒色等の黒色味を帯びた黒色でもよい。
青色樹脂フィルムに用いられる青色顔料としては、ウルトラマリン、コバルトブルー、プルシアンブルー、ターコイズブルー、マンガニーズブルー、フタロシアニンブルー等がある。また、色相を調整するために、他の色相の顔料を併用してもよい。
着色樹脂フィルムに用いられる白色、黒色および青色着色剤の使用量は、樹脂100重量部に対して0.1重量部〜15重量部である。
本発明の太陽電池用バックシートを構成する金属酸化物からなる薄膜層を設けた耐加水分解性で、かつ、耐低分子量体析出性のポリエステルフィルムは、耐加水分解性で、かつ、耐低分子量体析出性のポリエステルフィルムの表面に金属酸化物の薄膜層を設けたものであり、太陽電池モジュールに対して、特に水蒸気遮断効果を発揮するものである。金属酸化物は絶縁性を有し、化学的に安定で水分とも反応することはない。従って太陽電池モジュールに使用した場合、電流がリークする恐れもなく、建築材料としても耐電圧の高い材料とすることができる。
金属酸化物としては、酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化錫からなる群より選ばれた1種以上が利用できる。これらの金属酸化物は単体でも良いし、複合酸化物となっていても良い。薄膜層の形成のしやすさ、水蒸気遮断性能等より、酸化シリコン及び/又は酸化アルミニウムが好んで用いられる。
金属酸化物薄膜層の厚さは、用いられる金属酸化物の種類、構成により異なるが、一般的には5nm〜300nmの範囲内が望ましい。膜厚が5nm未満であると均一な膜が得られないことや膜厚が十分ではないことがあり、水蒸気遮断効果を十分に果たすことができない場合がある。また、膜厚が300nmを越える場合は金属酸化物薄膜層に可撓性を保持させることができず、成膜後に折り曲げ、引っ張り等の外的要因により、金属酸化物薄膜層に亀裂を生じるおそれがある。
耐加水分解性で、かつ、耐低分子量体析出性のポリエステルフィルム上に金属酸化物薄膜層を形成するには、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法、各種CVD法等公知の方法やメッキ法等、いずれも可能であるが、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法等が好んで用いられる。
耐加水分解性で、かつ、耐低分子量体析出性のポリエステルフィルム上に金属酸化物薄膜層を形成するには、水溶性高分子と1種以上の金属アルコキシド及び/又はその加水分解物からなる溶液を塗布形成してもよい。前記金属アルコキシドとしては、テトラエトキシシラン、トリイソプロポキシアルミニウム、又はこれらの混合物等が好んでもちいられる。
前記の溶液の塗布方法は、ロールコーティング法、スクリ−ン印刷法、グラビア印刷法、ダイコーティング法、ディッピング法、スプレー法等の従来公知の手段を用いることができる。
本発明の耐加水分解性で、かつ、耐低分子量体析出性の樹脂において、耐加水分解性は、長期間の使用において樹脂自体が加水分解を受けにくいことを意味する。また、耐低分子量体析出性は、長期間の使用において樹脂中に含まれる可能性がある低分子量体が樹脂から析出しにくいこと及び/又は析出する可能性がある低分子量体を極微量しか含まないことを意味する。
樹脂が加水分解を受けると、通常、樹脂の分子量が低下し、その結果として、破断強度、破断伸度等の機械的特性、耐熱性、耐湿性等が低下する。また、官能基が生成して、耐水性、耐候性、電気的特性等が低下する。樹脂から低分子量体が析出すると、斑点の発生、黄変等による外観不良、透明性の低下、接着力の低下、電気的特性の低下等が起こる。これらは太陽電池用バックシート及びそれを用いた太陽電池モジュールとしては好ましくない現象である。
本発明の耐加水分解性で、かつ、耐低分子量体析出性の樹脂は、ポリエステルである。本発明におけるポリエステルとは、ジカルボン酸誘導体とジオール誘導体との重縮合体であるポリエステル樹脂を含み、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等を用いることができる。
これらポリエステルのなかでも、特に、ポリエチレンテレフタレートが、機械的性質、熱的性質、電気的性質等に優れているため、本発明の耐加水分解性で、かつ、耐低分子量体析出性の樹脂として、好んで用いられる。また、諸特性と生産性の上から問題ない範囲内であれば、滑り剤、着色剤、帯電防止剤、低密度化剤等が添加されていてもよい。
ポリエチレンテレフタレートは、エチレングリコールとテレフタル酸を縮合重合させたいわゆるポリマーであり、モノマーとポリマーの中間体であるオリゴマーが、通常、1.6重量%〜2重量%含まれている。ここで、オリゴマーとは構造単位の繰返しの数(重合度)が2から20程度の低重合体である。オリゴマーの含有量は、核磁気共鳴法、キシレン抽出法等の手段を利用して知ることができる。
これに対して本発明で使用する耐加水分解性で、かつ、耐低分子量体析出性樹脂は、重合反応が高度に進んで、オリゴマー含有量が0.8重量%以下のポリエチレンテレフタレートである。重合反応が進んでオリゴマー含有量が0.8重量%以下と低くなれば、耐加水分解性に優れた、すなわち、長期の使用にさいして、機械的性質、熱的性質、電気的性質等が安定した優れた樹脂シートとすることができる。また、長期の使用において、低分子量体、すなわち、オリゴマーの析出がきわめて少なく、透明性の低下、斑点の発生等が見られないため、性能や外観に悪影響しない。
光反射性のポリエステルフィルム、着色樹脂フィルム及び金属酸化物からなる薄膜層を設けた耐加水分解性で、かつ、耐低分子量体析出性のポリエステルフィルムは、この順で積層して、接着剤にて一体化されて、太陽電池用バックシートとなる。本発明の太陽電池用バックシート1の構成を示した図1において、光反射性のポリエステルフィルム2、着色樹脂フィルム3及び金属酸化物からなる薄膜層を設けた耐加水分解性で、かつ、耐低分子量体析出性のポリエステルフィルム4は、接着剤層5によって接着され、一体化される。
接着・一体化の方法としては、本発明のバックシートを構成する各フィルムに接着剤を塗布し、重ね合せ、加圧あるいは、加熱下で接着する方法等を用いることができる。
接着剤の代表的なものは、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂,ポリアミド、フェノール、ポリオレフィン、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアセタール等があげられるが、必ずしもこれらには限定さるものではない。
接着剤としては、ポリオール成分とイソシアネート成分の、通常は各々の溶剤溶液からなる2液硬化型ポリウレタン樹脂も用いられる。この場合、ポリオール成分としては、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、ポリビニールアルコール等が、イソシアネート成分としては、各種イソシアネート樹脂等が用いられる。
接着剤の厚みは、接着力、水蒸気遮断性等の点で1μm〜10μmが好ましい。また、接着剤の塗布に際しては、ロールコーティング法、スクリ−ン印刷法、グラビア印刷法、ダイコーティング法、ディッピング法、スプレー法等の従来公知の手段を用いることができる。
本発明の太陽電池用バックシートにおいて、光反射性のポリエステルフィルムに易接着処理層を設けてもよい。易接着処理層を設けることにより、バックシートと封止樹脂(通常、エチレン−酢酸ビニル共重合体)との間の接着性が著しく向上し、その結果、太陽電池モジュールの信頼性が向上する。図8は易接着処理層を設けた太陽電池用バックシートの断面図であり、易接着処理層6は、光反射性のポリエステルフィルム2の片側に設けられる。
易接着処理剤としては、ポリウレタン系、ポリエステル系、アクリル系等の熱可塑性樹脂を主成分として含有することが好ましい。これらは常温下でほとんどタック性を有さないものであり、加熱時においてタック性を有するものであればよい。したがって、ガラス転移点が20℃〜100℃の範囲内にあることが好ましい。ガラス転移点が20℃未満の場合には、易接着処理層が常温においてタック性を有しやすく、易接着処理層と易接着処理層を重ね合わせた際に接着してしまう場合があり、取扱性に問題を生じる。100℃を超える場合は、接着性が減少する恐れや、易接着処理層が脆くなって密着性が保てなくなる場合がある。
易接着処理層の厚さは0.1μm〜1μmであることが好ましい。0.1μm未満では易接着処理層を施したバックシートと封止樹脂との接着力が不十分になる恐れがある。1μmを超えるとニュートンリングが発生しやすくなる場合があり、光透過率が減少する恐れがある。
易接着処理層の形成には、ロールコーティング法、スクリ−ン印刷法、グラビア印刷法、ダイコーティング法、ディッピング法、スプレー法等の従来公知の手段を用いることができる。
易接着処理層としては、低密度ポリエチレンフィルムを用いることもできる。低密度ポリエチレンは引っ張り、引裂き、衝撃、耐折等の機械的強度に優れ、封止樹脂との溶着性にも優れているので、バックシートと封止樹脂との間の接着力が著しく向上する。低密度ポリエチレンとは密度が0.91以上、0.93未満のポリエチレンである。
低密度ポリエチレンは、厚みが5μm〜100μmのフィルム状態で、光反射性のポリエステルフィルムの片側に、例えば、ウレタン系接着剤等で貼り合わされるか、直接、溶着される。
本発明の太陽電池用バックシートにおいて、温度85℃、湿度85%の環境下において、3000時間処理後の破断伸度保持率が50%以上であることが望ましい。温度85℃、湿度85%の環境下における3000時間のエージングは、太陽電池用バックシートとして、屋外暴露状態で20年間相当の耐久性を検査する試験の一つである。この条件で試験した時の破断伸度保持率が50%未満であれば、バックシートの劣化が著しく、太陽電池用のバックシートとしての役目を果たさない。
本発明の太陽電池用バックシートにおいて、温度85℃、湿度85%の環境下において、3000時間処理後の交流全面耐電圧保持率が50%以上であることが望ましい。この条件で試験した時の交流全面耐電圧保持率が50%未満であれば、バックシートの電気絶縁性の低下が著しく、太陽電池モジュール用のバックシートとしての役目を果たさない。通常、太陽電池用バックシートとしては、電気絶縁性を十分に保つには、交流全面耐電圧が2000V/mil以上が必要である。
本発明の太陽電池用バックシートの実施態様を図1、図2、図3、図4、図5、図6、図7及び図8に、本発明の太陽電池用バックシートを用いた太陽電池モジュールの実施態様を図9に示す。また、従来の太陽電池用バックシートの実施態様を図10、図11及び図12に示す。
図9は本発明の太陽電池用バックシート1を用いた太陽電池モジュール7の断面図である。表面保護板であるガラス板8、封止樹脂9、予め配線10を配設した太陽電池セル11及び本発明の太陽電池用バックシ−ト1を順次積層し、真空吸引等により一体化した後、加熱圧着成形により一体成形する。太陽電池セルを透過したり、太陽電池セル間の間隙を通過したりした太陽光Lは、本発明のバックシート1で反射して、再度、太陽電池セルへ戻り、発電に使われる。その結果、発電効率が向上する。
発明の効果
本発明によれば、バックシートにおいて、光反射性のポリエステルフィルムを効果的に配置したことで、入射光を効果的に太陽電池セルへ戻すことができるので、その結果として、発電効率が向上した太陽電池モジュールを提供することができる。
本発明によれば、バックシートの封止樹脂層と接触する側に、ポリエステルフィルムフィルムを用いることで、長期の使用における劣化が防止できるので、バックシート、ひいては太陽電池モジュールの長期信頼性が著しく向上する。また、長期の使用におけるバックシートの色相や色の濃さが変化するのを防止できる。さらに、着色樹脂フィルム中の着色剤が封止樹脂層へ移行して、封止樹脂層が着色することが防止できる。
本発明によれば、バックシートの外気と直接接触する最外層に、耐加水分解性で、かつ、耐低分子量体析出性のポリエステルフィルムを用いたことで、バックシートの劣化や不要の低分子量体の析出が抑えられる。その結果として、長期の使用にさいして、機械的性質、熱的性質、電気的性質等が安定した優れたバックシート及び太陽電池モジュールを提供することができる。
本発明によれば、軽量で優れた耐水性や耐電圧性を具備し、意匠性に優れ、安価な太陽電池用バックシートが得られる。したがって、本発明のバックシ−トを用いた太陽電池モジュールは一般住宅用、或いは産業用の屋根材と一体化して太陽電池モジュールとした場合に、意匠性に優れ、軽量で耐久性にも優れ、かつ、電力変換効率が高く、しかも、安価な太陽電池モジュールとすることができる。
本発明によれば、太陽電池モジュールの発電効率を高め、かつ、意匠性に優れた、水蒸気遮断性、電気絶縁性、機械的強度、接着性等の長期的な性能劣化を最小限に抑えた、着色された太陽電池用バックシートおよびそれを用いた太陽電池モジュールを提供することができる。
本発明の太陽電池用バックシートの一例を示す断面図である。 本発明の太陽電池用バックシートの他の一例を示す断面図である。 本発明の太陽電池用バックシートの他の一例を示す断面図である。 本発明の太陽電池用バックシートの他の一例を示す断面図である。 本発明の太陽電池用バックシートの他の一例を示す断面図である。 本発明の太陽電池用バックシートの他の一例を示す断面図である。 本発明の太陽電池用バックシートの他の一例を示す断面図である。 本発明の太陽電池用バックシートの他の一例を示す断面図である。 本発明の太陽電池用バックシートを用いた太陽電池モジュールの断面図である。 従来の太陽電池用バックシートの一例を示す断面図である。 従来の太陽電池用バックシートの他の一例を示す断面図である。 従来の太陽電池用バックシートの他の一例を示す断面図である。
1 バックシート
2 光反射性のポリエステルフィルム
21 ポリエステルフィルム
22 光反射性層
23 光反射性のポリエステルフィルムに設けられた微細な凹凸
24 光反射性層に設けられた微細な凹凸
3 着色樹脂フィルム
31 樹脂フィルム
32 着色層
4 金属酸化物からなる薄膜層を設けた耐加水分解性で、かつ、耐低分子量体析出性のポリエステルフィルム
41 耐加水分解性で、かつ、耐低分子量体析出性のポリエステルフィルム
42 金属酸化物からなる薄膜層
5 接着剤層
6 易接着処理層
7 太陽電池モジュール
8 ガラス板
9 封止樹脂
10 配線
11 太陽電池セル
12 従来の太陽電池用バックシート
121 光反射性フィルム
122 蒸着フィルム
1221 樹脂フィルム
1222 蒸着層
123 接着剤
13 従来の他の太陽電池用バックシート
131 白色ポリエステルフィルム
132 蒸着フィルム
1321 基材フィルム
1322 無機酸化物薄膜層
133 透明ポリエステルフィルム
134 接着剤
14 従来の他の太陽電池用バックシート
141 白色樹脂フィルム
142 金属酸化物被着樹脂フィルム
1421 基材フィルム
1422 金属酸化物層
143 耐加水分解性樹脂フィルム
144 接着剤

Claims (20)

  1. 光反射性のポリエステルフィルム、着色樹脂フィルム及び金属酸化物からなる薄膜層を設けた耐加水分解性で、かつ、耐低分子量体析出性のポリエステルフィルムを、この順で積層して一体化されてなることを特徴とする太陽電池用バックシート。
  2. 前記光反射性のポリエステルフィルムが、白色顔料、マイクロバルーン、微細気泡、微粒子等より成る群より選ばれた一種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池用バックシート。
  3. 前記光反射性のポリエステルフィルムが、ポリエステルフィルムに光反射性層を設けたことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池用バックシート。
  4. 前記光反射性層が、ミラーインキ及び/又は白色顔料の塗布層よりなることを特徴とする請求項3に記載の太陽電池用バックシート。
  5. 前記光反射性層が、金属薄膜及び/又は誘電体薄膜よりなることを特徴とする請求項3に記載の太陽電池用バックシート。
  6. 前記光反射性層が、気泡含有樹脂フィルム、マイクロバルーン含有樹脂フィルム、微粒子含有樹脂フィルム等から成る群より選ばれた一種以上であることを特徴とする請求項3に記載の太陽電池用バックシート。
  7. 前記光反射性のポリエステルフィルムのポリエステルが、ポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池用バックシート。
  8. 前記光反射性のポリエステルフィルムの光反射面に、微細な凹凸を設けたことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池用バックシート。
  9. 前記着色樹脂フィルムが、白色、黒色、青色から選ばれた色相に着色されたことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池用バックシート。
  10. 前記着色樹脂フィルムが、白色、黒色、青色から選ばれた着色剤を塗布及び/又は練りこんだことを特徴とする請求項9に記載の太陽電池用バックシート。
  11. 前記着色樹脂の樹脂が、ポリエステルであることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池用バックシート。
  12. 前記ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項11に記載の太陽電池用バックシート。
  13. 前記金属酸化物が、酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化錫からなる群より選ばれた1種以上の金属酸化物であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池用バックシート。
  14. 前記耐加水分解性で、かつ、耐低分子量体析出性のポリエステルが、ポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池用バックシート。
  15. 前記ポリエチレンテレフタレートが、オリゴマー含有量が0.8重量%以下であることを特徴とする請求項14に記載の太陽電池用バックシート。
  16. 前記光反射性のポリエステルフィルム、着色樹脂フィルム及び金属酸化物からなる薄膜層を設けた耐加水分解性で、かつ、耐低分子量体析出性のポリエステルフィルムを、この順で積層して、接着剤で一体化したことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池用バックシート。
  17. 前記光反射性のポリエステルフィルムに、易接着処理層を設けたことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池用バックシート。
  18. 温度85℃、湿度85%の環境下において、3000時間処理後の破断伸度保持率が50%以上である請求項1に記載の太陽電池用バックシート。
  19. 温度85℃、湿度85%の環境下において、3000時間処理後の交流全面耐電圧保持率が50%以上である請求項1に記載の太陽電池用バックシート。
  20. 請求項1〜19のいずれかに記載の太陽電池用バックシートを使用したことを特徴とする太陽電池モジュール。
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