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JP2011064041A - 柱継手構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】接合する端部が開口した中空状の一対の柱部材の端部間を連結するために用いる接合部材が、その柱部材の外側に大きく突出することを容易に防止することができるような柱継手構造を提供する。
【解決手段】上柱部材44に接合される第1上端部分41bと、それとの連結断面部から最も遠い部分が外側に突出するよう形成されている第1下端部分41cを有する第1接合部材41と、下柱部材45に接合される第2下端部分42bと、それとの連結断面部から最も遠い部分が外側に突出するよう形成され、第1下端部分41cと互いに面接触する第2上端部分42cを有する第2接合部材42と、第1下端部分41cと第2上端部分42cに対応する凹部を有し、この凹部がそれらの周面を押圧されることで、上柱部材44と下柱部材45をこの長さ方向に連結する1対の半環状部材51,52を備えた。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、建築構造物等において、中空状の鋼管などを用いた柱部材の上下端部間を、上下方向に連結するために用いられる柱継手構造に関するものである。
従来は、中空状の鋼管などを用いた柱部材の継手構造としては、図9,10に示すような、仮組立て用の仮設板部材71,72を使用して、四角筒状の鋼管などの柱部材74,75の端部同士の位置合わせをした後、その端部同士を溶接で接合する溶接継手構造がほとんどであった(例えば特許文献1に記載の従来例参照)。
同図に示す仮設板部材71は、四角筒状の鋼管などの柱部材74下端部の周部4面各幅の、上下方向に伸びる各中心線に沿って、その側辺が溶接により柱部材74に接合され、やはり四角筒状の鋼管などの柱部材75上端部の周部4面各幅の、上下方向に伸びる各中心線に沿って、その側辺が溶接により柱部材75に接合される。
そして、柱部材74の下端部と柱部材75の上端部を突き合わせて、柱部材74,75それぞれに接合した2枚の仮設板部材71に、1枚又は2枚の仮設板部材72を片面側又は両面側に重ねて配置し、仮設板部材71,72間をボルトとナットで締め付けて互いを固定する(図10参照)。
このようにして、柱部材74,75相互間の水平断面方向の位置合せをする仮組立てが終わったら、柱部材74,75の端面間を溶接Wで接合するようになっている(図10参照)。
しかしながら、このような柱部材の溶接を用いた継手構造は、その施工が現場で溶接作業を行うために風及び雨など天候の影響を受けると共に、溶接作業には熟練した溶接技能者を必要とし、また溶接後に溶接部の検査が必要となる。さらに、仮組立て用の仮設板部材71,72が必要となり、それらは柱部材74,75の外側に大きく突出するため、柱部材74,75間の溶接後に溶断して除去しなければならなかった。
そのため、溶接を用いない継手構造として、例えば特許文献1に記載されている実施の形態のような、高力ボルトを用いたボルト接合による継手構造が各種提案されている。このような接合に高力ボルトを用いた中空状の柱部材の継手構造は、溶接や仮組立て用の仮設板部材を用いない接合構造を提供することや、接合に用いられる部材が柱部材の外側に大きく突出するのを防止することを目的としている。
特開平7−127142号
しかしながら、このような中空状の柱部材の接合に高力ボルトを用いた継手構造においては、ボルトの挿入及び締結の作業を、中空状の柱部材の外側から行わなければならないため、例えば特許文献1の図5に示す植込みボルト25のような特殊なボルトを用いる必要がある。
また、接合される柱部材の内側もしくはその内側の継手部材にナットを前もって取り付けておくか、または接合される柱部材内側の継手部材にネジ孔を形成しておく必要がある。接合される柱部材の外側からボルト締結作業を行う場合、外側からナットを締付ける方法と、外側からボルトの頭部を締付ける方法がある。
外側からナットを締付けて行う場合は、ナットの高さ寸法はボルトの頭部の高さ寸法より大きく、またボルトのネジ部にはナットの高さ寸法より長く外側に突出する余長部が必要であるため、依然として締結部材が接合される柱部材の外側に大きく突出してしまうという問題がある。また外側からボルトの頭部の締め付けを行う場合は、内側のナットが固定されていないとボルトとナットが共に回転して充分な締結を行なうことができないという問題がある。
また、このような高力ボルトを用いた継手構造の施工においては、仮組立て時の仮止めに使用する仮ボルトに、本組立て用のボルトを使用する場合は、ボルトを傷める場合が多く、その場合は充分な締結ができなくなる。このため、上記仮ボルトに本組立て用のボルトを使用することは原則としてできない。このため、組立て後に仮ボルトを本組立て用のボルトと取替える作業を行う必要があり、その作業に手間が掛かるという問題がある。
そこで本発明は、上記問題点に鑑みて、接合する端部が開口した中空状の一対の柱部材の端部間を連結するために用いる接合部材が、その柱部材の外側に大きく突出することを容易に防止することができるような柱継手構造を提供することを課題とするものである。
上記課題を解決するために、本発明による柱継手構造は、
接合する端部が開口した中空状の上柱部材の下端面に一体的に接合される第1上端部分と、この第1上端部分との連結断面部から最も遠ざかる部分が外側に向かって突出するよう形成されている第1下端部分とを有する第1接合部材と、
接合する端部が開口した中空状の下柱部材の上端面に一体的に接合される第2下端部分と、この第2下端部分との連結断面部から最も遠ざかる部分が外側に向かって突出するよう形成されると共に、前記第1下端部分と互いに面接触する第2上端部分とを有する第2接合部材と、
前記第1下端部分と前記第2上端部分に対応する凹部を有し、この凹部が互いに面接触した状態の前記第1下端部分と前記第2上端部分の周面に押圧されることにより、前記上柱部材と前記下柱部材をこの長さ方向に連結することを可能とする1対の半環状部材とを備えたことを特徴とするものである。
また、本発明による柱継手構造は、
前記第1下端部分と前記第2上端部分の側面には凸状テーパ面が形成され、
前記1対の半環状部材の凹部は、前記第1下端部分と前記第2上端部分に対応する凹状テーパ面が形成されている
ことを特徴とするものである。
また、本発明による柱継手構造は、
前記第1接合部材と前記第2接合部材から外側に向かって突出するよう形成されている前記第1下端部分と前記第2上端部分の水平方向の外形寸法が、大きくとも前記上柱部材及び前記下柱部材の水平断面の外形寸法と同等に形成されている
ことを特徴とするものである。
また、本発明による柱継手構造は、
前記1対の半環状部材の互いに接する各端部同士の接触面は、互いに水平断面が揃って配置された前記上柱部材及び前記下柱部材の対角線の方向と一致するように配置されている
ことを特徴とするものである。
また、本発明による柱継手構造は、
前記1対の半環状部材の互いに接する各端部同士には複数のネジ締結用の貫通孔がそれぞれ互いに対応する位置に形成されて、
前記1対の半環状部材の接合は前記貫通孔を貫通するボルトとナットとのネジ締結により行なうようになっている
ことを特徴とするものである。
また、本発明による柱継手構造は、
前記第1接合部材及び前記第2接合部材は上下方向の軸線の周りに軸孔が開口した中空断面を有し、
前記第1接合部材及び前記第2接合部材の最も薄い水平断面の肉厚は前記上柱部材及び前記下柱部材の水平断面の肉厚よりも厚く形成されている
ことを特徴とするものである。
このような本発明の柱継手構造によれば、
接合する端部が開口した中空状の上柱部材の下端面に一体的に接合される第1上端部分と、この第1上端部分との連結断面部から最も遠ざかる部分が外側に向かって突出するよう形成されている第1下端部分とを有する第1接合部材と、
接合する端部が開口した中空状の下柱部材の上端面に一体的に接合される第2下端部分と、この第2下端部分との連結断面部から最も遠ざかる部分が外側に向かって突出するよう形成されると共に、前記第1下端部分と互いに面接触する第2上端部分とを有する第2接合部材と、
前記第1下端部分と前記第2上端部分に対応する凹部を有し、この凹部が互いに面接触した状態の前記第1下端部分と前記第2上端部分の周面に押圧されることにより、前記上柱部材と前記下柱部材をこの長さ方向に連結することを可能とする1対の半環状部材とを備えたことにより、
接合する端部が開口した中空状の一対の柱部材の端部間を接合するために用いる接合部材が、その柱部材の外側に大きく突出することを容易に防止することができる。
また、本発明の柱継手構造によれば、
前記第1下端部分と前記第2上端部分の側面には凸状テーパ面が形成され、
前記1対の半環状部材の凹部は、前記第1下端部分と前記第2上端部分に対応する凹状テーパ面が形成されていることにより、
前記第1下端部分と前記第2上端部分のそれぞれの側面がテーパ状に形成されていない場合に比べて、接合部材に加えられる負荷が接合部材の一部に集中しないようにすることができる。
また、本発明の柱継手構造によれば、
前記第1接合部材と前記第2接合部材から外側に向かって突出するよう形成されている前記第1下端部分と前記第2上端部分の水平方向の外形寸法が、大きくとも前記上柱部材及び前記下柱部材の水平断面の外形寸法と同等に形成されていることにより、
第1,第2接合部材が上・下柱部材の水平方向外側へ突出する程度を少なくすることができる。
また、本発明の柱継手構造によれば、
前記1対の半環状部材の互いに接する各端部同士の接触面は、互いに水平断面が揃って配置された前記上柱部材及び前記下柱部材の対角線の方向と一致するように配置されていることにより、
第1,第2接合部材と1対の半環状部材が、上・下柱部材の水平方向外側へ突出する程度を少なくすることができる。
また、本発明の柱継手構造によれば、
前記1対の半環状部材の互いに接する各端部同士には複数のネジ締結用の貫通孔がそれぞれ互いに対応する位置に形成されて、
前記1対の半環状部材の接合は前記貫通孔を貫通するボルトとナットとのネジ締結により行なうようになっていることにより、
ボルトとナットとの締結を第1,第2接合部材と1対の半環状部材の外側から行なうことができるために、作業を容易にすることができる。
また、本発明の柱継手構造によれば、
前記第1接合部材及び前記第2接合部材は上下方向の軸線の周りに軸孔が開口した中空断面を有し、
前記第1接合部材及び前記第2接合部材の最も薄い水平断面の肉厚は前記上柱部材及び前記下柱部材の水平断面の肉厚よりも厚く形成されていることにより、
柱継手構造に係る負荷に耐えることができると共に、軽量にすることができ、使用する材料を少なくすることができる。
本発明の一実施の形態に係る柱継手構造10を示す上・下柱部材44,45の接合部の側面図である。 図1における柱継手構造10のA−A線断面矢視図である。 上・下柱部材44,45の各端部接合前の状態を示す斜視図である。 図1における上部接合部材41を示す図であり、図4(a)はその側面図、図4(b)はその下面図である。 図1における下部接合部材42を示す図であり、図5(a)はその上面図、図5(b)はその側面図である。 図1における第1半環状部材51を示す図であり、図6(a)はその側面図、図6(b)はその正面図、図6(c)はその下面図である。 図1における第2半環状部材52を示す図であり、図7(a)はその側面図、図7(b)はその正面図、図7(c)はその下面図である。 図1における柱継手構造10の接合前の分解側面図である。 従来の柱継手構造の分解側面半断面図である。 従来の柱継手構造の組立側面半断面図である。
以下、本発明に係る柱継手構造の実施の形態について、図面に基づいて具体的に説明する。
図1ないし図8は、本発明の一実施の形態に係る柱継手構造10について説明するために参照する図である。
本発明の一実施の形態に係る柱継手構造10は、図1,2に示すように、上部接合部材41(第1接合部材)と、下部接合部材42(第2接合部材)と、第1半環状部材51と、第2半環状部材52(1対の半環状部材)により構成されている。そして、このような構成の柱継手構造10は、図3に示すような、接合する端部が開口した角筒状(中空状)の上柱部材44の下端部と下柱部材45の上端部の間をその長さ方向に連結するために用いられる。
まず、上部接合部材41は、その上端面41a(図4(a)中上端側)を、予め工場等で上柱部材44の下端面44a(図3参照)に接触させて溶接により一体的に接合されている。そして、下部接合部材42は、その下端面42a(図5(b)中下端側)を、予め工場等で下柱部材45の上端面45a(図3参照)に接触させて溶接により一体的に接合されている。
上部接合部材41は、図4に示すように、軸線の周りに大きな円形の軸孔41gが形成された中空状になっており、接合部41b(第1上端部分)と、円錐台部41c(第1下端部分)とが一体的に形成されるように、鍛造や鋳造等の任意の適切な製法により形成されている。
上部接合部材41の接合部41bは、その上端面41aにおいて角筒状の上柱部材44の下端面44aと突合わされて溶接されるため、その上柱部材44の下端面44aの外形に揃えるように、その平面形状が上柱部材44の下端面44aと同じ形状、すなわち四隅部に丸みを有し、略正方形の板部41hを有して形成されている。
上部接合部材41の板部41hの下面と円錐台部41cの上端水平断面との間には、この上端水平断面から板部41hの下面に向かって水平方向の外形寸法が徐々に大きくなる、凸状のテーパ面が形成されている。
上部接合部材41の円錐台部41cには、その上端水平断面から下端面41eに向かって水平方向の外形寸法が徐々に大きくなる凸状のテーパ面が形成されている。上記接合部41bの凸状テーパ面とこのような円錐台部41cの凸状テーパ面との間には、くびれ部41dが形成されている。
また、円錐台部41cにおいて水平方向の外形寸法が最大となる下端面41eにおいて、その水平方向の外形寸法が上柱部材44と下柱部材45の水平断面の外形寸法より大きくならないように形成されている。
また、上部接合部材41のくびれ部41dの水平断面の肉厚は、上・下柱部材44,45の水平断面の肉厚よりも厚く形成されている。
下部接合部材42は、図1に示すように、上部接合部材41の下方に配置されているが、その形状は上部接合部材41と全く同じものであって、上部接合部材41とは上下を逆さまに配置されている点において異なっているだけである。ただ、説明の便宜上、下部接合部材42の各部には、上部接合部材41と異なる符号を付してあり、部分によっては異なる名称を用いている。
すなわち、図5に示すように、下部接合部材42の下端面42aは図4の上部接合部材41の上端面41aに、接合部42b(第2下端部分)は図4の接合部41bに、逆円錐台部42c(第2上端部分)は図4の円錐台部41cに、くびれ部42dは図4のくびれ部41dに、上端面42eは図4の下端面41eに、軸孔42gは図4の軸孔41gに、板部42hは図4の板部41hに、それぞれ対応するものである。
次に、第1半環状部材51と第2半環状部材52は、図1,2に示すように、それぞれ半環状に形成されており、第1半環状部材51の両端部が円周方向から径方向に折れ曲って外側に突出している端部51aと、第2半環状部材52の両端部が円周方向から径方向に折れ曲って外側に突出している端部52aを有し、それらの面同士が互いに接触することにより、上記両端部51a,52a以外の2つの半環部分が互いに対向して全体が環状となるように形成されている。
また、図6,7の各(a)、(b)に示すように、それらの端部51a,52aのそれぞれには、第1半環状部材51と第2半環状部材52それぞれの両端部同士の締結に用いるための、頭付ボルト54が緩く挿通するボルト孔51b,52bが3個ずつ形成されている。
図6(a)、(b)に示すように、第1半環状部材51の内周面は、断面が「く」の字状に凹んで形成され、その上半分には、上部接合部材41の円錐台部41c(図4参照)の凸状テーパ面に対応する凹状テーパ面51cが形成されており、その下半分には、下部接合部材42の逆円錐台部42c(図5参照)の凸状テーパ面に対応する凹状テーパ面51dが形成されている。
また第1半環状部材51と同様に、図7(a)、(b)に示すように、第2半環状部材52の内周面も、断面が「く」の字状に凹んで形成され、その上半分には、上部接合部材41の円錐台部41cの凸状テーパ面に対応する凹状テーパ面52cが形成されており、その下半分には、下部接合部材42の逆円錐台部42cの凸状テーパ面に対応する凹状テーパ面52dが形成されている。
第1半環状部材51と第2半環状部材52は、それぞれの両端部51a,52aを互いに接触させて一体的に繋がるようネジ締結することにより、第1半環状部材51の凹状テーパ面51c,51dと第2半環状部材52の凹状テーパ面52c,52dとが、対応する凸状テーパ面を有する上部接合部材41の円錐台部41cと下部接合部材42の逆円錐台部42cを取り囲んで、その外周を押圧することができる。
このことによって、上部接合部材41と下部接合部材42を一体化させることができ、上部接合部材41と下部接合部材42が第1、第2半環状部材51,52と協働して、上柱部材44と下柱部材45を連結する柱継手の機能を発揮することができる。
このような本発明の一実施の形態に係る柱継手構造10を用いて、上・下柱部材44,45の端部間を連結する手順について、以下に説明する。
まず、図8に示すように、上柱部材44に溶接された上部接合部材41の下端面41eを、下柱部材45に溶接された下部接合部材42の上端面42eに接触させる。
次に、上部接合部材41の円錐台部41cと下部接合部材42の逆円錐台部42cを、第1半環状部材51の凹状テーパ面51c,51dと第2半環状部材52の凹状テーパ面52c,52dとが接触するように、第1半環状部材51と第2半環状部材52により上部接合部材41の円錐台部41cと下部接合部材42の逆円錐台部42cを挟んで取り囲む。
図2に示すように、第1半環状部材51の端部51aと第2半環状部材52の端部52aを合わせて、頭付ボルト54を左右の一方から挿通し、この頭付ボルト54の先端ネジ部にナット56が座金を介して締結することにより、上部接合部材41の円錐台部41cと下部接合部材42の逆円錐台部42cが上下方向に離れないよう連結される。これにより、上柱部材45と下柱部材46はその長さ方向に連結される。
このとき、第1半環状部材51の端部51aと、第2半環状部材52の端部52aが互いに接触する面を、上柱部材45及び下柱部材46の柱の対角線の方向と一致するように配置させることにより、それらの端部51a,52aが上・下柱部材44,45の水平方向外側へ突出する程度を少なくすることができる。
このような本発明の一実施の形態に係る柱継手構造10によれば、接合する端部が開口した角筒状の上・下柱部材44,45の端部間を連結するために用いる上部接合部材41及び下部接合部材42と、第1半環状部材51及び第2半環状部材52が、その上・下柱部材44,45の水平方向外側に大きく突出することを防止することができる。
また、このような本発明の一実施の形態に係る柱継手構造10によれば、第1半環状部材51の凹状テーパ面51c,51d及び第2半環状部材52の凹状テーパ面52c,52dが、対応する凸状テーパ面を有する上部接合部材41の円錐台部41c及び下部接合部材42の逆円錐台部42cの外周を取り囲んで押圧することできる。
このため、上部接合部材41と半環状部材51,52の接触面積、及び、下部接合部材42と半環状部材51,52との接触面積が大きくなることにより、上部接合部材41と下部接合部材42の接合を確実なものとすることができる。また、円錐台部41cと逆円錐台部42cのそれぞれの側面に凸状のテーパが形成されているので、その凸状のテーパが形成されていない場合に比べて、上部接合部材41と下部接合部材42に加えられる負荷が、各々の接合部材の一部に集中しないようにすることができる。
また、このような本発明の一実施の形態に係る柱継手構造10によれば、第1半環状部材51と第2半環状部材52のボルトとナットを用いる締結を上部接合部材41、下部接合部材42、第1半環状部材51と第2半環状部材52の外側から行なうことができる。そのため、柱部材間の連結に本柱継手構造10を用いることで作業を容易にすることができる。
また、このような本発明の一実施の形態に係る柱継手構造10によれば、上部接合部材41、下部接合部材42を中空状にすることができるために、上部接合部材41、下部接合部材42を軽量にすることができると共に、使用する材料を少なくすることができる。
また、このような本発明の一実施の形態に係る柱継手構造10によれば、上・下柱部材44,45の内側に継手部材を設けたり、そのような継手部材にネジ孔を形成しておく必要も生じないため、作業を容易にすることができる。
また、本発明の柱継手構造10によれば、ボルトとナットを用いる締結作業を全て外側から行なうことができるので、作業を容易にすることができると共に、ボルトとナットが共に回転するようなことも容易に防止できるので、充分な締結を行なうことができる。
また、このような本発明の一実施の形態に係る柱継手構造10によれば、柱部材間の連結に従来の高力ボルトを用いた継手構造のように、施行の際に仮組立てをすること自体が必要なくなるので、作業を容易にすることができる。
なお、上記一実施の形態においては、柱部材に角筒状のものを用いた場合について説明したが、円筒状等の他の異なる形状の断面を有する柱部材を用いた場合にも本発明は適用することができる。またその際には、上部接合部材41の接合部41bや下部接合部材42の接合部42b等の各部の外形を上記柱部材に対応するように変更をしたり、前記端部51a,52aが壁にぶつからないような位置に配置してもよい。
また、上記一実施の形態においては、第1半環状部材51と第2半環状部材52には互いに同一形状の部材を用いたが、互いに多少は異なる形状の部材を用いてもよい。
また、上記一実施の形態においては、一般的な形状を有する頭付ボルト54を用いたが、その頭部にトルク管理部材を有する、締付けトルクを管理できる頭付ボルトを用いることもできる。このような頭付ボルトのトルク管理部材は、頭付ボルトの締付けトルクが所定値を超えると破断して除去されるようになっている。
また、上記一実施の形態においては、第1半環状部材51と第2半環状部材52を締結するためのボルト孔51b,52bは各端部に3個ずつ形成されていたが、接続する上・下柱部材44,45の外径寸法や肉厚の変更等に対応してその数は増減してもよい。
10 柱継手構造
41 上部接合部材
41b 接合部
41c 円錐台部
41e 下端面
42 下部接合部材
42b 接合部
42c 逆円錐台部
42e 上端面
44 上柱部材
44a 下端面
45 下柱部材
45a 上端面
51,52 第1,第2半環状部材
51a,52a 端部
51b,52b ボルト孔
51c,51d,52c,52d 凹状テーパ面
54 頭付ボルト
56 ナット
71,72 仮設板部材
74,75 柱部材
W 溶接

Claims (6)

  1. 接合する端部が開口した中空状の上柱部材の下端面に一体的に接合される第1上端部分と、この第1上端部分との連結断面部から最も遠ざかる部分が外側に向かって突出するよう形成されている第1下端部分とを有する第1接合部材と、
    接合する端部が開口した中空状の下柱部材の上端面に一体的に接合される第2下端部分と、この第2下端部分との連結断面部から最も遠ざかる部分が外側に向かって突出するよう形成されると共に、前記第1下端部分と互いに面接触する第2上端部分とを有する第2接合部材と、
    前記第1下端部分と前記第2上端部分に対応する凹部を有し、この凹部が互いに面接触した状態の前記第1下端部分と前記第2上端部分の周面に押圧されることにより、前記上柱部材と前記下柱部材をこの長さ方向に連結することを可能とする1対の半環状部材と
    を備えたことを特徴とする柱継手構造。
  2. 前記第1下端部分と前記第2上端部分の側面には凸状テーパ面が形成され、
    前記1対の半環状部材の凹部は、前記第1下端部分と前記第2上端部分に対応する凹状テーパ面が形成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の柱継手構造。
  3. 前記第1接合部材と前記第2接合部材から外側に向かって突出するよう形成されている前記第1下端部分と前記第2上端部分の水平方向の外形寸法が、大きくとも前記上柱部材及び前記下柱部材の水平断面の外形寸法と同等に形成されている
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の柱継手構造。
  4. 前記1対の半環状部材の互いに接する各端部同士の接触面は、互いに水平断面が揃って配置された前記上柱部材及び前記下柱部材の対角線の方向と一致するように配置されている
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の柱継手構造。
  5. 前記1対の半環状部材の互いに接する各端部同士には複数のネジ締結用の貫通孔がそれぞれ互いに対応する位置に形成されて、
    前記1対の半環状部材の接合は前記貫通孔を貫通するボルトとナットとのネジ締結により行なうようになっている
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の柱継手構造。
  6. 前記第1接合部材及び前記第2接合部材は上下方向の軸線の周りに軸孔が開口した中空断面を有し、
    前記第1接合部材及び前記第2接合部材の最も薄い水平断面の肉厚は前記上柱部材及び前記下柱部材の水平断面の肉厚よりも厚く形成されている
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の柱継手構造。
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