JP2010115856A - スクリーン印刷装置およびプラズマディスプレイパネル - Google Patents
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Abstract
【課題】スクリーン印刷法におけるスキージと乳剤の摩擦を軽減する事により、ノッキングなどの不具合の発生を低減する事で、塗布膜の膜厚分布を良好な状態とすること、およびそれにより、均質なディメンジョンのパネル構成要素を作製し表示品質の優れたパネルを提供すると共に、コストメリットに優れた多面取り工法においても均質なディメンジョンのパネルを作製することにより、低コストのパネルを提供することを目的とする。
【解決手段】スクリーン印刷装置のスキージ走行範囲20の助走板18に助走板凹凸21を設ける事によりスキージ16と乳剤15との接触面積を小さくし、摩擦を低減することにより、ノッキング等の不具合の発生を減らし、塗布膜の膜厚ばらつきを低減することができ、表示品質の均一なプラズマディスプレイパネルを量産性の良い多面取り工法において低コストで提供できる。
【選択図】図1
【解決手段】スクリーン印刷装置のスキージ走行範囲20の助走板18に助走板凹凸21を設ける事によりスキージ16と乳剤15との接触面積を小さくし、摩擦を低減することにより、ノッキング等の不具合の発生を減らし、塗布膜の膜厚ばらつきを低減することができ、表示品質の均一なプラズマディスプレイパネルを量産性の良い多面取り工法において低コストで提供できる。
【選択図】図1
Description
本発明は、ペースト状の材料を、印刷スクリーン版を通してガラス基板などの被印刷物に転写するスクリーン印刷技術に関し、特にプラズマテレビや大型モニター等に用いられるプラズマディスプレイパネルの電極や誘電体等のパネル構造物を形成するときに用いるスクリーン印刷装置、およびそのスクリーン印刷装置によって作製したプラズマディスプレイパネルに関する。
スクリーン印刷法は、ポスターや看板などの商業的な用途からプリント基板やプラズマディスプレイ、液晶ディスプレイなどの電子産業への用途まで、広く普及している。近年、電子産業用途への普及に伴い、印刷対象への均一な成膜が要求されるため、より高精度な技術へと発展している。
さらに、プラズマディスプレイや液晶ディスプレイのように大型デバイスへの用途を考えた場合、ディスプレイ自体の大型化や、複数の素材を同時に生産できる大きな基板への一括成膜化が進んでいるため、印刷面積は飛躍的に大きくなっている。特にプラズマディスプレイにおいては、パネル構造物の多くをスクリーン印刷法によって作製していることに加え、大型化、多面取り化が急速に進んでいるため、大型スクリーン印刷の需要が増えている。
一方、プラズマディスプレイは、放電現象を利用したディスプレイであるが、各々の画素に放電空間を形成し、電圧印加を可能とするプラズマディスプレイパネル(以下、「パネル」と略記する)と、各々の画素における放電による発光を制御して映像表示を可能とする駆動回路とからなる。
パネル方式として代表的な交流面放電型パネルは、対向配置された前面板と背面板との間に多数の放電セルが形成されている。前面板は、フロート法による硼珪酸ナトリウム系ガラスの前面ガラス基板上に、透明電極およびバス電極からなる1対の走査電極および維持電極(表示電極対)および遮光を行うブラックストライプがそれぞれ平行に複数対形成され、それらを覆うように誘電体層と、さらにその上に酸化マグネシウム(MgO)からなる保護層とが形成されている。背面板は、排気および放電ガス導入用の細孔を設けた背面ガラス基板上に複数の平行なデータ電極と、それらデータ電極を覆うように誘電体層と、さらにその上にデータ電極と平行に複数の隔壁とがそれぞれ形成され、誘電体層の表面と隔壁の側面とに赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の各色に発光する蛍光体層がそれぞれ形成されている。
前面板と背面板とは表示電極対とデータ電極とが立体交差するように対向配置され、その周囲がシールフリットにより密封されるとともに放電ガス(例えば、Ne−Xeの場合で約530hPa〜800hPaの圧力)が導入されている。このような構成のパネルでは、表示電極対とデータ電極とが対向する部分に放電セルが形成され、各電極に映像信号にもとづく駆動電圧をそれぞれ印加することによって各放電セル内で放電を発生させ、放電により発生する紫外線でR、G、Bの各色の蛍光体を励起発光させてカラー表示を行っている。
ここで、上述したような前面板および背面板の構成要素の作製方法として、スクリーン印刷法が多く用いられている。具体的には、感光性ペーストをスクリーン印刷法により塗布形成した後にフォトリソグラフィ法によりパターン形成される前面板のバス電極およびブラックストライプや、背面板のデータ電極および隔壁などのほかに、ベタ膜形成される前面板の誘電体および背面板の誘電体などが挙げられる。なお、前面板の保護層や背面板の蛍光体層および前面板と背面板の封止に用いるシールフリットに至るまでもスクリーン印刷法を用いて形成することは可能である。つまりは、パネルのほとんどの構成要素にスクリーン印刷法を用いることは可能である。
スクリーン印刷法について、図7〜図9を用いて説明する。図7は、従来のスクリーン印刷法の動作を概略的に示す断面図であり、図8は、図7におけるスキージ端部を拡大して概略的に示す断面図である。また図9は、従来のスクリーン印刷装置における印刷スクリーン版とスキージとの位置関係を概略的に示す平面図である。なお、図7(a)は印刷方向10に平行な方向から見た断面概略図であり、図7(b)は印刷方向10に垂直な方向から見た概略断面図である。図8は図7(b)のスキージ端部近傍を拡大した概略図である。
スクリーン印刷法は、ガラス基板などの非印刷物11に印刷スクリーン版を通してペースト12を転写して塗布膜50を形成する技術である。印刷スクリーン版は、ポリスチレンやSUSなどからなる糸を織って作製した紗14を、版枠13の内側に面内のテンションが出来るだけ均一となるように張り、印刷領域以外を乳剤15で保護することで作製する。
塗布膜50の形成方法としては、印刷スクリーン版の上にペースト12をのせ、スクレッパーで印刷領域の紗14の糸と糸の隙間にペースト12を充填した後に、スキージ16を長手方向にほぼ一定の圧力で押し当てて印刷方向10に走行することで、紗14の糸と糸の隙間に充填されたペースト12を被印刷物11に接触させ転写して塗布膜50を形成している。なお被印刷物11は印刷機の印刷ステージ17上に固定され、被印刷物11の外周には助走板18を設置し、少なくともスキージ16の走行範囲で被印刷物11と印刷ステージ17の段差を補っている。スクリーン印刷装置は、これらの一連のスクリーン印刷法の動作を行うことを可能とする装置である。
ここで、塗布膜50の形成について図7(a)の印刷方向と平行な方向の断面で説明すると、スキージ16は印刷スクリーン版の上で余分なペースト12もかきとっているが、かきとる際のペースト12の流動(ローリング)が安定でないと、かきとるペーストの量が安定せず、塗布膜50の膜厚を不均一にしてしまう。特にスキージ16の走行開始時はある程度ローリングを行い、安定にする必要があるため印刷範囲19からはずれた乳剤15の上から走行開始する必要がある。またスキージ16の走行終了時は、紗14と塗布膜50が完全に剥れる状態にするため、印刷範囲19よりもはずれた乳剤15の部分まで走行させる必要がある。
また、図7(b)の印刷方向と垂直な方向の断面で説明すると、紗14の反発力がスキージ16の端部に集中してより強い力を受け、被印刷物側への押し込み力が低下し、塗布膜の膜厚が安定しないため、印刷範囲19はスキージ16端部からある程度、距離を離す必要がある。したがってスキージ16端部は、乳剤15の上に位置することとなる。以上より、図9に従来の助走板とスキージとの位置関係を概略図として示すように、スキージの走行範囲20は、印刷範囲19よりも外周に広い範囲となる。また、少なくともスキージの走行範囲20の領域は、被印刷物11と印刷ステージ17との段差を補うために、紗14と印刷ステージ17の間にSUSなどの金属製もしくはポリエチレンなどのプラスチック製の助走板18を設置するのが一般的である。
このように形成した塗布膜50は、乾燥により溶剤成分を除去させた後、パターンを形成する場合には、乾燥を行った塗布膜50を露光により感光させ、不要部分を現像で除去した後、焼成してパネル構成要素を形成し、また、パターンを形成しない場合には、焼成のみを行いパネル構成要素を形成する。
ここで、スクリーン印刷法の出来映えとして一般的に重要な要素である塗布膜の膜厚を均一に形成するためには、ペーストの転写量を一定とすることが必要である。紗からのペーストの転写は、スキージを押し当てる事で紗に充填されたペーストを被印刷物に接触させると共に余分なペーストをかきとることでなされている。ここで印刷面積全体に渡り一定量のペーストを被印刷物に転写するためには、いくつか注意すべき点がある。その一つとして、スキージの押し当てる力を幅方向および走行方向に均一にすることが挙げられる。特に走行方向に関しては、スキージの走行を滑らかにする必要がある。また、スクリーン版に関しても紗のテンションをある程度確保しないと、面内均一な反発力が得られず、印刷膜の膜厚もばらつく要因となる。しかしながら、これらの要素は相反する性質を持っている。幅方向の均一性を確保するためにはスクリーン版の反発力に押し負けないために、ある程度強い力でスキージを押し当てる必要があるが、スキージとスクリーン版の摩擦がより強くなるため、スキージの走行に対しては不利となる。特にスクリーン版の乳剤部分は、スキージとの接触面積が大きくなるためスキージと乳剤の摩擦が大きくなり、ひどい場合はノッキングといわれるスキージ走行時のびびりが発生する場合もある。印刷の状態を最適化するためには、スクリーン版の反発力とスキージの押し当て力を最適化して、ノッキングなどの不具合なく膜厚を均一にする条件を選択する必要がある。また、スキージと乳剤の摩擦を減らす手段として、スキージの先端形状を様々な形状とする方法もある(例えば、特許文献1参照)。
特開平2−150352号公報
ところで、昨今、パネルの量産において効率よくパネルを作製するために、基板を多面取りすることで低コスト化を図っているが、その際には一度にスクリーン印刷する面積が大きくなるため、印刷スクリーンも大型化しており、一辺が3mを超えるスクリーン版も多く用いられている。
また、多面取り化による大面積成膜技術の進化に伴い、ディスプレイの大画面化も進んでいる。印刷スクリーンが大型化すると、面内の反発力分布を同等に保つ事は困難となり、通常反発力のばらつきは大きくなる。またスキージの長さも長くなるため、幅方向の押し当て力の均一性を確保するためには、特に幅方向両端部分がスクリーン版の反発力も大きくなる傾向にあるため、より強い力で押し込む必要があり、スクリーン版とスキージの摩擦は従来のスクリーン版サイズの場合よりさらに増す事となる。したがって、ノッキングなどの不具合も発生する可能性が高くなる。
本発明はこれらの課題に鑑みなされたものであり、スクリーン印刷法におけるスキージと乳剤との摩擦を軽減する事により、ノッキングなどの不具合の発生を低減する事で、塗布膜の膜厚分布を良好な状態とすることを目的とする。
さらに、均質なディメンジョンのパネル構成要素を作製し表示品質の優れたパネルを提供すると共に、コストメリットに優れた多面取り工法においても均質なディメンジョンのパネルを作製することにより、低コストのパネルを提供することを目的とする。
上記目的を実現するために本発明のスクリーン印刷装置は、印刷スクリーン版を通して被印刷物にペースト状の材料を転写するスクリーン印刷装置であって、助走板の、印刷スクリーン版と接触する面の少なくともスキージが接触する領域に凹凸を形成したものである。
助走板に凹凸をつけることで、スキージと乳剤の接触面積を減らす事ができるため、スキージ走行時の乳剤との摩擦が減り、滑らかな走行ができるため、ノッキングなどの不具合を低減することができる。すなわち、印刷時はスキージをある程度の強さで押し込むため、凹凸の凸部分にスキージからの押し込み力は集中するため、実質的にスキージとの接触面積が減少したかのような効果となり、スキージと乳剤の摩擦を減らすことができる。
また、スキージの長手方向と同一方向に連続的に凹凸を形成しないことにより、凹凸がスキージ走行方向に対する段差とならないようにしており、このことにより、助走板の凹凸の凹部にスキージがはまり込んでしまいスキージの滑らかな走行が阻害されてしまうという問題を発生させることなく、スキージ走行中、常に接触面積を減らすという効果を得ることができ、その結果、スキージの滑らかな走行を実現できる。
また、助走板の凹凸の高低差が、印刷領域近傍で小さくなっていることにより、助走板の凹凸による印刷領域との段差を小さくする事ができるため、印刷領域端部で助走板凹凸の影響を受けて膜厚が局所的にばらつくのを防ぐ事ができ、均一な膜厚を実現する事ができる。
また、上記目的を実現するために本発明のパネルは、前記スクリーン印刷装置を用いて作製したことを特徴とする。
前記のスクリーン印刷装置を用いることにより、大型パネルやパネルを多面取りで作製する大型印刷スクリーン版を用いた場合も、ノッキングなどの不具合の発生を抑制できるため、印刷面内で膜厚を略同一とすることが可能となるため、現状性能を維持しつつ、量産性に優れたパネルを作製可能であると共に、大型パネルの実現も可能とする事ができる。
本発明によれば、スクリーン印刷時のスキージと乳剤との摩擦を軽減する事ができるので、ノッキングなどの不具合の発生を低減することができ、もって、塗布膜の膜厚分布を良好な状態とすることが可能となる。
さらに、均質なディメンジョンのパネル構成要素を作製し表示品質の優れたパネルを提供すると共に、コストメリットに優れた多面取り工法などの大型スクリーン印刷においても均質なディメンジョンのパネルを作製することができ、低コストのパネルを提供することが可能となる。
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて説明する。
図5は、本発明の一実施の形態によるスクリーン印刷装置を用いて作製されるパネル45の構造を示す分解斜視図である。
ガラス製の前面板31上には、透明電極32およびバス電極33から構成される走査電極34および維持電極35とからなる表示電極対39と、遮光を行うブラックストライプ36とが互いに平行に複数形成されている。そして表示電極対39とブラックストライプ36を覆うように誘電体層37が形成され、その誘電体層37上に酸化マグネシウム(MgO)等からなる保護層38が形成されている。
背面板40上にはデータ電極41が複数形成され、データ電極41を覆うように誘電体層42が形成され、さらにその上に井桁状の隔壁43が形成されている。そして、隔壁43の側面および誘電体層42上には赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の各色に発光する蛍光体層44が設けられている。
これら前面板31と背面板40とは、微小な放電空間を挟んで表示電極対39とデータ電極41とが交差するように対向配置され、その外周部をガラスフリット等の封着材によって封着されている。そして放電空間には、ネオンやキセノン等を含む放電ガスが所定の圧力(例えば、Ne−Xe混合ガスの場合、約530hPa〜800hPaの圧力)で封入されている。放電空間は隔壁43によって複数の区画に仕切られており、表示電極対39とデータ電極41とが交差する部分に放電セルが形成されている。そしてこれらの放電セルが放電、発光することにより画像が表示される。なお、パネル45の構造は上述したものに限られるわけではなく、例えばストライプ状の隔壁を備えたものであってもよい。
このパネル45の製造方法について説明する。用いる基板は、量産性に優れ低コスト化が可能な多面取りを行う基板(例えば、42吋サイズ16面取り基板など)を用い、複数枚同時に途中工程まで形成する。
まず、ガラス製の前面板31上に、走査電極34および維持電極35とブラックストライプ36とを形成する。これらの走査電極34および維持電極35は透明電極32とバス電極33とから構成される。透明電極32は、薄膜プロセス等を用いて膜形成した後にフォトリソグラフィ法等を用いてパターニングして形成される。
バス電極33は、銀材料を含む感光性ペーストを用い、スクリーン印刷法により透明電極32がパターン形成された基板上に前記感光性ペーストを転写した後、所望の温度で乾燥して膜形成を行う。その後、バス電極33のパターンを有するフォトマスクを介して紫外光を照射した後、アルカリなどを含む現像液で不要部分を除去して、所望の温度で焼成することで固化している。
また、ブラックストライプ36も同様に、黒色顔料を含む感光性ペーストをスクリーン印刷法により形成して所望の温度で乾燥した後、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングし、焼成することにより形成される。なお、バス電極33は、銀材料を含む感光性ペーストのみならず、黒色顔料を含む感光性ペーストと重ね合わせて複数層として形成しても良い。
この後、走査電極34、維持電極35およびブラックストライプ36を覆うように前面板31上にガラス粉末等の誘電体材料を含む誘電体ペーストをスクリーン印刷法やダイコート法等により塗布して誘電体ペースト層を形成した後、所望の温度で乾燥する。その後、焼成固化することにより、走査電極34、維持電極35およびブラックストライプ36を覆う誘電体層37が形成される。なお、誘電体層37は、単層で形成しても、複数層に分けて形成しても良い。次に、誘電体層37上に酸化マグネシウム(MgO)からなる保護層38を真空蒸着法やスクリーン印刷法、ダイコート法等により形成する。
以上の工程により前面板31上に所定の構成要素(表示電極対39、ブラックストライプ36、誘電体層37、保護層38)が形成され、前面板31が完成する。なお、基板として多面取り基板を用いているため、いずれかの工程の間で割断を行い、単板状態にする必要がある。一般的には保護層38を形成する前に割断を行うが、これに限られるわけではない。また、100吋サイズを超える超大型パネルを作製する際も同様に作製されるが、この時は割断が行われない場合もある。
一方、背面板40は次のようにして形成される。なお、用いる基板は、量産性に優れ低コスト化が可能な多面取りを行う基板(例えば、42吋サイズ16面取り基板など)を用い、複数枚同時に途中工程まで形成する。
まず、ガラス製の背面板40上に、銀材料を含む感光性ペーストをスクリーン印刷法により転写した後、所望の温度で乾燥して膜形成を行う。その後、データ電極41のパターンを有するフォトマスクを介して紫外光を照射した後、アルカリなどを含む現像液で不要部分を除去して、所望の温度で焼成固化することでデータ電極41を形成する。
次に、データ電極41が形成された背面板40上にスクリーン印刷法等によりデータ電極41を覆うようにガラス粉末等の誘電体材料を含む誘電体ペーストを塗布し、所望の温度で乾燥を行うことで誘電体ペースト層を形成する。その後、誘電体ペースト層を焼成することにより誘電体層42を形成する。
この後、誘電体層42上に隔壁材料を含む隔壁形成用ペーストをスクリーン印刷法やダイコート法等により塗布し所望の温度で乾燥して隔壁ペースト層を形成する。そのあと所定の形状にパターニングすることにより、隔壁材料層を形成した後、所望の温度で焼成固化することにより隔壁43を形成する。ここで、誘電体層42上に塗布した隔壁ペースト層をパターニングする方法としては、フォトリソグラフィ法やサンドブラスト法等を用いることができる。
そして、隔壁43を形成した背面板40には、隣接する隔壁43間の誘電体層42上、および隔壁43の側面に蛍光体材料を含む蛍光体ペーストをスクリーン印刷法やディスペンサー法等により塗布し所望の温度で乾燥した後、所望の温度で焼成することにより蛍光体層44が形成される。
以上の工程により、背面板40上に所定の構成要素(データ電極41、誘電体層42、隔壁43、蛍光体層44)が形成され、背面板40が完成する。なお、基板として多面取り基板を用いているため、いずれかの工程の間で割断を行い、単板状態にする必要がある。一般的には蛍光体層44を形成する前に割断を行うが、これに限られるわけではない。また、100吋サイズを超える超大型パネルを作製する際も同様に作製されるが、この時は割断が行われない場合もある。
そして、スクリーン印刷法やインクジェット法またはディスペンサー法により、前面板31または背面板40の周囲の所定の位置に封着材を塗布し、封着材に含まれる樹脂成分を燃焼できる温度で仮焼成を行った後、前面板31と背面板40とを電極形成面側が向かい合うように対向配置させてパネル45を組み立てる。続いて、前面板31および背面板40の周囲を気密封着し、排気および放電ガス導入用の排気管を封着材によって気密封着する。そして、排気管を通してパネル45内部を真空排気し、パネル45内部へネオンやキセノン等を含む放電ガスを所定の圧力(例えば、Ne−Xe混合ガスの場合、約530hPa〜800hPaの圧力)にて導入を行った後、排気管を加熱して溶融し排気管を閉塞して封じ切る。
以上のようにして、ネオンとキセノンの混合ガスは放電ガスとしてパネル45内部の放電空間に封入され、パネル45が完成する。完成したパネル45では、表示電極対39およびデータ電極41に映像信号にもとづく駆動電圧を選択的に印加して放電セル内に放電を発生させ、その放電によって発生した紫外線が各色の蛍光体層44を励起してR、G、Bの各色を発光させることによってカラー画像の表示を実現している。
図6は、上述したパネル45の電極配列を模式的に示す平面図である。パネル45には、行方向に長いn本の走査電極SC1〜SCn(図5の走査電極34)およびn本の維持電極SU1〜SUn(図5の維持電極35)が配列され、列方向に長いm本のデータ電極D1〜Dm(図5のデータ電極41)が配列されている。そして、1対の走査電極SCi(i=1〜n)および維持電極SUi(i=1〜n)と1つのデータ電極Dj(j=1〜m)とが交差した部分に放電セルが形成され、放電セルは放電空間内にm×n個形成されている。なお、図5に示したように、走査電極SCiと維持電極SUiとは互いに平行に対をなして形成されているために、走査電極SC1〜SCnと維持電極SU1〜SUnとの間に大きな電極間容量Cpが存在する。
このパネル45は、サブフィールド法、すなわち、1フィールド期間を複数のサブフィールドに分割した上で、発光させるサブフィールドの組み合わせによって階調表示を行う方法で駆動する。各サブフィールドは、初期化期間、書込み期間および維持期間を有し、初期化期間では初期化放電を発生し、続く書込み動作に必要な壁電荷を各電極上に形成する。書込み期間では、表示を行うべき放電セルにおいて選択的に書込み放電を発生し壁電荷を形成する。そして維持期間では、走査電極と維持電極とからなる表示電極対に交互に維持パルスを印加し、書込み放電を起こした放電セルで維持放電を発生させ、対応する放電セルの蛍光体層を発光させることにより画像表示を行う。
次に、以上の説明におけるパネル45の製造方法について述べる。
図1は、本発明の一実施の形態によるスクリーン印刷装置の概略構成を示す平面図である。また、図2、図3は、本発明の一実施の形態によるスクリーン印刷装置におけるスキージ端部を拡大して概略的に示す断面図である。
スクリーン印刷装置は、被印刷物を設置固定する印刷ステージ17と、印刷スクリーン版を固定し上下動が可能であるクランプ機構と、スキージ16およびスクレッパーの走行および上下動が可能な走行機構を少なくとも有するものである。
被印刷物11の固定は、印刷ステージ17に設けられた吸着溝より吸着することで被印刷物11を固定している。また、被印刷物11の周囲は、被印刷物11と厚さが類似した助走板18を設置している。印刷スクリーン版のクランプ機構は、印刷スクリーン版の版枠を印刷装置に固定し、かつ印刷スクリーン版と被印刷物11のクリアランスを所望の距離に設定できる。スキージ16およびスクレッパーの走行機構は、スキージ16およびスクレッパーの固定および取り外しが可能であり、かつ被印刷物11に対して平行に設置する為の調整機構も具備している。
ここで、助走板18はSUS板からなり、板厚は被印刷物11の厚さより0.3mm薄いものを用いた。なお、助走板18の材質はポリエチレンなどのプラスチックやSUS以外の金属などでもよい。また助走板18は、図1に示すように4分割構造の例を示したが、一体構造であってもよく、また助走板18の分割の継ぎ目がスキージ16の長手方向と平行方向にならなければ、8分割などの多分割でもよい。
そして、本発明の一実施の形態によるスクリーン印刷装置においては、スキージ走行範囲20の中のスキージ16の両端部が走行する部分の助走板18a、18bに、助走板凹凸21を形成した。
ここで、助走板凹凸21の高さは被印刷物11に近い側からスキージ16端部側にかけて連続的に高くし、助走板凹凸21の平面的な形状は、図1に示すように、印刷方向10と平行な直線群とした。
なお、助走板凹凸21としては、図2に示すような、別途、別部材を何らかの方法で接合して形成したものや、図3に示すような、一枚板からの削り出して形成したものなどを挙げることができる。
また、助走板凹凸21の平面形状は、上記実施の形態に限られる事なく、スキージの長手方向と同一方向に連続的に形成されていなければ、例えば図4(a)〜(d)に、スクリーン印刷装置における印刷スクリーン版とスキージとの位置関係を模式的に平面図で示すように、どのような形態であっても良い。
ここで、図4(b)〜(d)のように、スキージが走行する際にペーストが印刷パターンに向かって流れるような形状にすると、ペーストがスキージ端部からはみ出る量が抑制できるため、ペーストの使用効率が良くなり、なお良い。
上述したような助走板18を備えたスクリーン印刷装置を用いて、転写するペーストをスクレッパーで印刷領域全体に充填した後にスキージ16を一定の圧力で押し当てながら、ガラス基板等の被印刷物11にペーストを印刷して塗布膜を形成する。この際、印刷スクリーン版はパネルの量産性を増すため多面取りが可能な大型サイズのものを用いる場合があり、このような場合の印刷条件としては、形成する層により異なるため一概には言えないものの、概ね、従来のサイズの印刷スクリーン版を用いた場合の印刷条件よりも、スキージの押し込み量を例えば20%程度増やす必要が生じ、ノッキング発生の要因となってしまう場合があるが、本発明によれば、そのような押し込み量の増加にもかかわらず、いずれの層の形成時もノッキングの発生はなかった。
すなわち、上述したようなスクリーン印刷装置を用いて、図5に示すような、前面板のバス電極33、ブラックストライプ36、誘電体層37、保護層38、および背面板のデータ電極41、誘電体層42、隔壁43、蛍光体層44などの構成要素を作製することで、各々の膜厚等のディメンジョンばらつきが少ない良好なパネル45の作製が可能となった。
以上、本発明によれば、助走板に凹凸を設けることで、スキージと乳剤との接触面積を減らし、摩擦を低減することにより、ノッキング等の不具合を発生させる事なく塗布膜を形成でき、面内膜厚分布を良好な状態とでき、その結果、コストメリットに優れた多面取り工法や、付加価値の高い大型パネルにおいても、均質なディメンジョンのパネル構成要素を作製し表示品質の優れたパネルを提供することが可能となる。
以上のように本発明は、大画面、高精細のパネルを提供する上で有用な発明である。
10 印刷方向
11 被印刷物
12 ペースト
13 版枠
14 紗
15 乳剤
16 スキージ
17 印刷ステージ
18 助走板
19 印刷範囲
20 スキージ走行範囲
21 助走板凹凸
31 前面板
32 透明電極
33 バス電極
34 走査電極
35 維持電極
36 ブラックストライプ
37 誘電体層
38 保護層
39 表示電極対
40 背面板
41 データ電極
42 誘電体層
43 隔壁
44 蛍光体層
45 プラズマディスプレイパネル
11 被印刷物
12 ペースト
13 版枠
14 紗
15 乳剤
16 スキージ
17 印刷ステージ
18 助走板
19 印刷範囲
20 スキージ走行範囲
21 助走板凹凸
31 前面板
32 透明電極
33 バス電極
34 走査電極
35 維持電極
36 ブラックストライプ
37 誘電体層
38 保護層
39 表示電極対
40 背面板
41 データ電極
42 誘電体層
43 隔壁
44 蛍光体層
45 プラズマディスプレイパネル
Claims (4)
- 印刷スクリーン版を通して被印刷物にペースト状の材料を転写するスクリーン印刷装置であって、助走板の、印刷スクリーン版と接触する面の少なくともスキージが接触する領域に凹凸を形成したスクリーン印刷装置。
- 前記凹凸は、スキージの長手方向と同一方向に連続的に形成されていない請求項1に記載の印刷スクリーン印刷装置。
- 前記凹凸は、その凹部分と凸部分との高低差が、印刷領域近傍で小さくなっている請求項1または2に記載のスクリーン印刷装置。
- 請求項1から3のいずれかに記載のスクリーン印刷装置を用いて作製したプラズマディスプレイパネル。
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2008
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