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JP2010163435A - 電気処理されたコラーゲン - Google Patents

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JP2010163435A JP2010015403A JP2010015403A JP2010163435A JP 2010163435 A JP2010163435 A JP 2010163435A JP 2010015403 A JP2010015403 A JP 2010015403A JP 2010015403 A JP2010015403 A JP 2010015403A JP 2010163435 A JP2010163435 A JP 2010163435A
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デイビッド ジー. シンプソン
Gary L Bowlin
エル. ボウリン,ゲリー
Gary E Wnek
イー. ネック,ゲリー
Peter J Stevens
ジェイ. スティーブンス,ピーター
Marcus E Carr Jr
イー.,ジュニア カー,マーカス
Jamil A Matthews
エイ. マシューズ,ジャミル
Saravanamoorthy Rajendran
ラジェンドラン,サラバナムーシー
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Abstract

【課題】構造完全性を保有し、かつ移植後のかかる完全性を保持する生体適合性移植片を形成するのに使用され得るコラーゲン材料を提供する。
【解決手段】コラーゲン含有溶液を充填したマイクロピペット10を接地標的11上に配置し、ワイヤー12を該溶液に入れてピペット先端13で高電圧に帯電させ、コラーゲン流14を接地標的に誘導し、電気処理コラーゲンを生産する。電気処理されたコラーゲンは、例えば、天然コラーゲン、遺伝子操作されたコラーゲン、あるいは保存的アミノ酸置換、非保存的アミノ酸置換もしくは天然に存在しないアミノ酸での置換により修飾されたコラーゲンから構成または形成することができる。
【選択図】図3

Description

[発明の分野]
本発明は、電気処理されたコラーゲン、電気処理されたコラーゲンを含む組成物、多数の機能のための、細胞外マトリックスとしての電気処理されたコラーゲンの使用、ならびに電気処理されたコラーゲンの作製および使用の新規方法に関する。さらに、本発明は、電気処理されたコラーゲンおよび細胞を組み合わせて、改変された(engineered)組織を形成することを包含する。改変された組織は、特定の器官、または「器官様」組織の合成的製品を包含し得る。
[発明の背景]
生物医科学では、生物の身体内または上での移植用デバイスを製造する際に使用することができる生体適合性組成物が継続して必要である。従来の焦点の多くは、合成ポリマーの使用に関与してきた。しかしながら、多くのかかるポリマーは、天然物質とのそれらの化学的および構造的相違点に関連する欠点を被る。線維性の被包、細胞の浸潤の欠如、および拒絶が、かかる移植片により受ける問題である。これらの問題を克服するための努力は、生体適合性を改善するためのプロテーゼ構築物を操作するための足場形成として生分解性合成ポリマーを使用することにある程度焦点を当てている。しかしながら、多くのかかるポリマーは、主な分解副生成物を生産するという欠点を被り、その分解副生成物は、個々の細胞と密接に接触すると、炎症性応答をもたらし、細胞微小環境でpHを減少させ得る。したがって、生分解性材料を用いる場合には、組織改変された構築物から適切に副生成物を確実に除去する工程が行われなくてはならない。別の問題は、生体吸収性構造材料が時間をかけて分解し、移植片の構造的衰弱をもたらすことである。線維性の被包および細胞の浸潤の欠如にも問題が残る。
合成移植片に関連した欠点を克服するために、コラーゲン移植片の使用に対して注目が向けられてきた。コラーゲンは、身体の至る所に広範に分布するタンパク質ファミリーである。この足場形成材料は、動物組織に存在する最も卓越したタンパク質の1つである。コラーゲンは、たいていの細胞外マトリックスの基本的構造要素であり、したがって、たいていの組織の重要な構造要素である。種々の方の組織および器官に存在する幾つかの形態のコラーゲンが存在する。
現在までに、コラーゲンを用いたたいていの努力は、コラーゲンゲルまたは固体コラーゲン構築物(例えば、フィルム)の使用に焦点が当てられてきた。これらの構築物を用いた場合の問題は、それらが構造強度(コラーゲンゲルと同様に)を欠如するか、または移植後に強度が失われることである。より硬質のコラーゲン移植片は、それらの構築および配向が自然組織の構築および配向とは異なることから破壊される。細胞は、正常な細胞外マトリックスの構築および線維配向に一致するように、移植コラーゲンを改作する。このプロセスは、構造的に強固な移植片の移植後の完全性を失わさせ、最終的には衰えさせる。
したがって、当該技術分野では、構造完全性を保有し、かつ移植後のかかる完全性を保持する生体適合性移植片を形成するのに使用され得るコラーゲン材料が必要とされる。好ましくは、かかる材料は、細胞外マトリックスの化学および構造を模倣し、細胞の浸潤を促進することが可能であるべきである。
[発明の概要]
本発明の組成物は、電気処理されたコラーゲンである。本発明は、任意の手段により電気処理されたコラーゲンを包含する。電気処理されたコラーゲンは、例えば、天然コラーゲン、遺伝子操作されたコラーゲン、あるいは保存的アミノ酸置換、非保存的アミノ酸置換もしくは天然に存在しないアミノ酸での置換により修飾されたコラーゲンから構成または形成することができる。電気処理で使用されるコラーゲンは、天然源に由来することできるか、合成的に製造することができるか、または任意の他の手段により生産することができる。コラーゲンおよび他のタンパク質を生産する数多くの方法が、当該技術分野で既知である。合成コラーゲンは、特定の所望のアミノ酸配列を含有するように調製することができる。電気処理されたコラーゲンはまた、コラーゲン自体、または電気処理するとコラーゲン構造を形成する任意の他の材料から形成することもできる。例としては、アミノ酸、ペプチド、変性コラーゲン由来のゼラチンのような変性ペプチド、ポリペプチド、およびタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。コラーゲンは、電気処理前、電気処理中、または電気処理後に形成することができる。したがって、電気処理前、電気処理中、または電気処理後に、プロコラーゲンをプロコラーゲンペプチダーゼと組み合わせることにより形成される電気処理されたコラーゲンは、本発明の範囲内である。
幾つかの実施形態では、本発明の組成物は、さらなる電気処理された材料を包含する。他の電気処理された材料としては、天然材料、合成材料、またはそれらの組合せを挙げることができる。天然材料の幾つかの好ましい例としては、アミノ酸、ペプチド、変性コラーゲン由来のゼラチンのような変性ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、炭水化物、脂質、核酸、糖タンパク質、リポタンパク質、糖脂質、グルコサミノグリカン、およびプロテオグリカンが挙げられるが、これらに限定されない。コラーゲンとともに電気処理するための幾つかの好ましい合成マトリックス材料としては、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、PLAおよびPGAのコポリマー、ポリカプロラクトン、ポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)、(EVOH)、ポリ(酢酸ビニル)(PVA)、ポリエチレングリコール(PEG)、およびポリ(エチレンオキシド)(PEO)が挙げられるが、これらに限定されない。
多くの望ましい実施形態では、電気処理されたコラーゲンは、1つまたはそれ以上の物質と組み合わせる。かかる物質としては、任意のタイプの分子、細胞、物体、またはそれらの組合せを挙げることができる。本発明の電気処理されたコラーゲン組成物は、1つの物質、あるいは物質の任意の組合せをさらに含むことができる。幾つかの特に望ましい実施形態は、電気処理されたコラーゲンマトリックスと組み合わせる物質として細胞の使用を包含する、任意の細胞を使用することができる。使用することができる細胞としては、幹細胞、コミットした幹細胞(committed stem cell)、および分化細胞が挙げられるが、これらに限定されない。分子は、任意の相または形態で存在することができ、分子の組合せを使用することができる。使用され得る望ましい分子の種類の例としては、ヒトまたは獣医学用治療薬、化粧品、栄養補助食品、除草剤、殺虫剤および肥料のような農業用物質、ビタミン、アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、炭水化物、脂質、核酸、糖タンパク質、リポタンパク質、糖脂質、グリコサミノグリカン、プロテオグリカン、成長因子、ホルモン、神経伝達物質、フェロモン、カローン、プロスタグランジン、免疫グロブリン、モノカインおよび他のサイトカイン、湿潤剤、金属、気体、可塑剤、鉱物、イオン、電気的および磁気的反応性材料、感光性材料、酸化防止剤、細胞エネルギー供給源として代謝され得る分子、抗原、ならびに細胞性応答または生理学的応答を引き起こすことができる任意の分子が挙げられる。物体の例としては、細胞断片、細胞片、細胞小器官、および他の細胞構成成分、細胞外マトリックス成分、錠剤、ウイルス、ならびにベシクル、リポソーム、カプセル、ナノ粒子、ならびに分子用の封入物として作用する他の構造物が挙げられるが、これらに限定されない。磁気的または電気的反応性
材料もまた、本発明の組成物内に任意に含まれる物質の例である。電気的活性物質の例としては、カーボンブラックまたはグラファイト、カーボンナノチューブ、および導電性ポリマーの様々な懸濁液が挙げられるが、これらに限定されない。磁気的活性物質の例としては、強磁性流体(磁気粒子のコロイド懸濁液)が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明はまた、本発明の組成物を作製する方法を包含する。組成物を作製する方法は、コラーゲンを電気処理することと、任意に他の材料、物質またはその両方を電気処理することとを包含するが、これらに限定されない。電気スピン(electrospin)、電気スプレー(electrospray)、電気エアロゾルエアロゾル(electroaerosol)、電気スパッタ(electrosputter)、またはそれらの任意の組合せのような1つまたはそれ以上の電気処理技法を使用して、本発明の電気処理されたコラーゲン材料およびマトリックスを作製してもよい。最も基本的な意味では、材料を電気処理するための電気処理装置は、電着機構および標的を含む。好ましい実施形態では、電着機構は、電気処理または電着されるべき1つまたはそれ以上の溶液を保持する1つまたはそれ以上のリザーバを包含する。リザーバ(単数または複数)は、リザーバから溶液の流動を可能とするための少なくとも1つの開口部、ノズル、または他の手段を有する。電気処理は、開口部または標的のいずれかでの電荷の存在により生じる一方で、他のものは接地されている。基体は、電気処理された組成物を作製するのに使用される材料を電気処理する際に可変性形体(variable feature)として使用することができる。具体的には、標的は、電気処理されたマトリックスを作製するのに使用される材料に関する実際の基体であり得るか、電気処理されたマトリックス自体に堆積される。あるいは、基体は、標的とノズルとの間に配置され得る。また標的は、具体的には、予め選定したパターンに沿って帯電することができるか、または接地させることができ、その結果開口部から流れる溶液は、特定方向へと誘導される。電場をマイクロプロセッサにより制御して、所望の構造を有する電気処理されたマトリックスを創出することができる。標的およびノズル(単数または複数)は、互いに関して移動可能であるように設計することができ、それにより形成されるべき電気処理されたマトリックスの構造に対するさらなる制御可能とする。本発明は、規定の形状を有するマトリックスを形成することが可能にする。
本発明の方法は、規定の形状を作製するように適合した金型を予め選定することと、電気処理された材料をこの金型に充填すること、またはこの金型の外側表面上に材料を電着させることとを包含する。さらなる造形は、形成されたマトリックスの手動加工により達成され得る。例えば、複数の形成されたマトリックスは、所望の形状を形成するために、縫合することができるか、密封することができるか、ステープルで留めることができるか、またはそうでなければ互いに取り付けることができる。電気処理されたマトリックスは、粉末に粉砕することができるか、または粉砕して、縞状フィブリルから構成される水化ゲルとして調製することができる。あるいは、多くのマトリックスの物理的融通性により、マトリックスを所望の構造に手動で造形することが可能である。電気処理されたコラーゲンは、例えば架橋または造形、あるいは細胞培養用のバイオリアクタに配置させることにより、さらに処理することができる。このようにして、細胞を電気処理されたマトリックスで成長させることができる。
本発明の組成物はまた、電気処理されたコラーゲン組成物に関する数多くの使用を包含する。本発明の組成物は、多数の潜在的使用を有する。使用としては、以下の:マトリックス材料のパッチ、プラグまたは組織のような構造物を含む、改変された組織および器官の製造が挙げられるが、これらに限定されない。これらの構築物および他の構築物は、細胞を補充することができるか、または細胞補充なしで使用することができる。さらなる使用としては、以下の:プロテーゼ、および他の移植片;組織足場形成;創傷の修復または包
帯;止血デバイス;縫合材料、接着剤、外科用および整形外科用ねじ、ならびに外科用および整形外科用プレートのような組織の修復および補助に使用するデバイスまたは構造物;合成移植片用の天然コーティングまたは構成成分;化粧品用移植片および補助物;器官または組織用の修復または構造的支持;物質送達;生体操作用基盤(bioengineering platyform);細胞に対する物質の影響を試験するための基盤;細胞培養;および多数の他の使用が挙げられる。
したがって、本発明の目的は、電気処理されたコラーゲンを含む組成物を提供することで、上述の制限および欠点を克服することである。
本発明のさらなる目的は、電気処理されたコラーゲンおよび他の電気処理された材料を含む組成物を提供することである。
本発明の別の目的は、電気処理されたコラーゲンおよび非電気処理された材料を含む組成物を提供することである。
本発明のさらなる目的は、電気処理されたコラーゲン、および細胞、分子、物体、またはそれらの組合せを含む組成物を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、マトリックス中の電気処理されたコラーゲン組成物を提供することである。
本発明のさらなる目的は、構造および組成物中に細胞外マトリックスに類似した電気処理されたコラーゲンマトリックスを含む組成物を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、電気処理されたコラーゲンを含む組成物を作製する方法を提供することである。
本発明のさらなる目的は、電気処理されたコラーゲンマトリックスを含む構築物を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、本発明の構築物を含む生体改変された(bioengineered)組織を提供する。
本発明のさらなる目的は、本発明の構築物を含む生体改変された器官を提供することである。
本発明のさらなる別の目的は、本発明の構築物を作製する方法を提供することである。
本発明のさらなる目的は、本発明の構築物を作製する方法を提供することである。
本発明の別の目的は、物質送達方法を提供することである。
本発明のさらなる目的は、in vitroで細胞および組織を試験ならびに研究する方法を提供することである。
本発明のさらなる目的は、細胞および組織培養の方法を提供する。
本発明の別の目的は、本発明の組成物を含む生体操作用基盤(platform)を提供することである。
本発明のこれらおよび他の目的、特徴および利点は、以下の開示した実施形態の詳細な説明、および添付の図面を参照した後に、明らかとなるであろう。
I型/エラスチン80:20のSEM顕微鏡写真(サイズバー=1μm、倍率4,000倍)。 電気スピンニングされたI型/III型エラスチン45:35:20マトリックスのSEM顕微鏡写真(サイズバー=1μm、倍率4,300倍)。 電気処理装置および回転壁バイオリアクタを含む電気処理デバイスの実施形態の概略図である。 電気処理装置および回転壁バイオリアクタを含む電気処理デバイスの実施形態の概略図である。 電気処理装置および回転壁バイオリアクタを含む電気処理デバイスの別の実施形態の概略図である。 細胞播種前の電気スピンニングされたマトリックス(左)、および足場形成から発達した動脈区域(右)の例である。 電気スピンニングされたコラーゲンからのVEGFの代表的放出プロフィール。VEFGは、コラーゲン0、25、50、または100ng/mlの濃度で同時電気スピンニングした。次に、材料をPBS中に浸して、試料を単離して、ELISAに付した。 電気スピンニングして、かつグルタルアルデヒド蒸気固定したコラーゲンからのVEGFの放出。VEFGは、コラーゲン0、25、50、または100ng/mlの濃度で同時電気スピンニングした。電気スピンニングされた材料を、15分間のグルタルアルデヒド蒸気固定に付した。次に、材料をPBS中に浸して、試料を単離して、ELISAに付した。 67nm縞形成を示す、電気スピンニングされたI型コラーゲンの透過型電子顕微鏡写真(白の目盛バーは100nmを示す)。 コラーゲンI型およびII型(ヒト胎盤)の電気スピンニングされた50:50ブレンドのSEM。このマトリックスは、HFIPに懸濁させたI型およびIII型コラーゲンの混合物から構成される単一リザーバ供給源(最終タンパク質濃度は0.06g/mlに等しかった)から電気スピンニングされた。この異種ネットワークは、繊維径390±290nmを平均とする繊維から構成される(倍率4,300倍)。 コラーゲンI型/エラスチン80:20マトリックスを用いた培養の1週後の顕著な平滑筋細胞付着および遊走を示すSEM顕微鏡写真。プロテーゼの管腔面(目盛りサイズ=10μm、倍率4,300倍)。 播種前の固定II型コラーゲンマトリックスの走査型電子顕微鏡写真(目盛りサイズ=10μm、倍率1,600倍)。 播種した軟骨細胞を用いた培養の1週後のII型コラーゲンマットの断面図。播種側に対するほぼ完全な被覆(右)およびマット内の幾つかの再構築(すぐ左)が見られる(目盛りサイズ=10μm、倍率700倍)。 コラーゲンコーティング前のステント(目盛りサイズ=100μm、倍率43倍)。 コラーゲンナノファイバーでコーティングした後(細胞播種前)のステント(目盛りサイズ=100μm、倍率55倍)。
[好適な実施形態の詳細な説明]
定義
「電気処理」および「電着」という用語は、材料の電気スピンニング、電気スプレー処理、電気エアロゾルエアロゾル処理、および電気スパッタリングの全ての方法、かかる方法の2つ以上の組合せ、ならびに材料が、電場を通ってかつ標的に対して流動、噴霧、スパッタリング(sputter)、または滴下される任意の他の方法を包含するように広く定義される。電気処理された材料は、帯電基体の方向にある1つまたはそれ以上の接地リザーバから、あるいは接地標的に対して帯電リザーバから、電気処理することができる。「電気スピンニング」とは、開口部からの帯電した溶液または溶融液を流動させることにより、溶液または溶融液から繊維を形成するプロセスを意味する。「電気エアロゾル処理」とは、開口部からの帯電したポリマー溶液または溶融液を流動させることにより、溶液または溶融液から液滴を形成するプロセスを意味する。電気処理という用語は、本明細書中に記載する特定の実施例に限定されず、その用語は、標的上に材料を堆積させるために電場を用いる任意の手段を包含する。
「材料」という用語は、任意の化合物、分子、物質、あるいは電気処理中もしくは後に任意のタイプの構造または構造の群を形成するそれらの群あるいは組合せを指す。材料としては、天然材料、合成材料、またはそれらの組合せが挙げられる。天然に存在する有機材料としては、材料が生産されたか、または生産することができようと、あるいは材料が合成的に変更されたか、または変更することができようとに関わらず、植物または他の生物の身体において天然で見られる任意の物質が挙げられる。合成材料としては、人工合成、加工、または製造の任意の手段により調製される任意の材料が挙げられる。好ましくは、材料は、生物学的適合性の材料である。
本発明の組成物を作製するための電気処理用の材料の1つの好ましい種類は、タンパク質である。細胞外マトリックスタンパク質は、本発明の好ましい種類のタンパク質である。例としては、コラーゲン、フィブリン、エラスチン、ラミニン、およびフィブロネクチンが挙げられるが、これらに限定されない。本発明で特に好ましい群のタンパク質は、任意のタイプのコラーゲンである。さらなる好ましい材料は、細胞外マトリックスの他の構成成分、例えばプロテオグリカンである。それぞれの場合において、それらの名称は、それらの最も広い定義で、本出願全体にわたって使用され、異なるファミリーのタンパク質および他の分子内に存在することが一般に認識される様々なアイソフォームを包含する。天然に存在するこれらのタンパク質および分子のそれぞれの複数のタイプ、ならびに合成的に製造され得るかまたは製造されるか、あるいは遺伝子操作により生産され得るかまたは生産されるタイプが存在する。例えば、コラーゲンは、多くの形態およびタイプで存在し、これらのタイプおよびサブセットのすべてが、本発明に包含される。
タンパク質という用語、および特定のタンパク質またはタンパク質の種類を定義するのに使用される任意の用語としてはさらに、タンパク質またはタンパク質のタイプもしくは種類に関して、断片、類縁体、保存的アミノ酸置換物、非保存的アミノ酸置換物、および天
然に存在しないアミノ酸での置換物が挙げられるが、これらに限定されない。したがって、例えば、コラーゲンという用語は、コラーゲンまたはコラーゲンの任意のタイプもしくは種類に関して、断片、類縁体、保存的アミノ酸置換物、および天然に存在しないアミノ酸または残基での置換物が挙げられるが、これらに限定されない。「残基」という用語は、アミド結合によりタンパク質に組み込まれる、アミノ酸(DまたはL)またはアミノ酸擬似体を指すのに本明細書中で使用される。したがって、残基は、天然に存在するアミノ酸であってもよく、あるいは限定されない限りは、天然に存在するアミノ酸に類似した様式で機能する天然アミノ酸の既知の類縁体(すなわち、アミノ酸擬似体)を包含し得る。さらに、アミド結合擬似体として、当業者に既知のペプチド骨格修飾が含まれる。
さらに、当業者は、上述するように、コードされた配列における、単一アミノ酸または少数のアミノ酸(好ましくは、10%未満、より好ましくは1%未満)を変更、付加または欠失する、個々の置換、欠失または付加は、保存的に改変された変化であり、ここでこの変化は、アミノ酸の、化学的に類似したアミノ酸での置換をもたらすことを認識するであろう。機能的に類似したアミノ酸を提供する保存的置換の表が当該技術分野で既知である。以下の6つの群はそれぞれ、互いに保存的置換であるアミノ酸を含有する:
1)アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T)、
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、
4)アルギニン(R)、リシン(K)、
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V)、および
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)。
タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドという用語はさらに、全アミノ酸配列の90〜95%であり得る断片、またタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドのアミノ酸配列よりも5〜10%長い全アミノ酸配列の伸長物も包含することが理解されよう。
ペプチドの長さが比較的短い(すなわち、約50アミノ酸未満)場合、ペプチドは、多くの場合、標準的な科学的ペプチド合成技法を用いて合成される。配列のC末端アミノ酸を不溶性支持体に結合した後に、残りのアミノ酸を配列に順次付加する固相合成は、本明細書中に記載する抗原エピトープの化学的合成のための好ましい方法である。固相合成用の技法は、当業者に既知である。
あるいは、電気処理され得るタンパク質またはペプチドは、組換え核酸方法論を用いて合成される。一般に、これは、ペプチドまたはタンパク質をコードする核酸配列を創出することと、特定のプロモーターの制御下にある発現カセット中に核酸を配置させることと、宿主中でペプチドまたはタンパク質を発現させることと、発現されたペプチドまたはタンパク質を単離することと、必要に応じて、ペプチドまたはタンパク質を再生することとを含む。当業者をかかる手順へと導くのに十分な技法は、文献中に見られる。
幾つかの所望のタンパク質断片またはペプチドが、ベクターに組み込まれたヌクレオチド配列でコードされる場合、当業者であれば、タンパク質断片またはペプチドは、1つまたはそれ以上のアミノ酸からなるスペーサー分子(例えばペプチドのような)により分離されてもよいことを理解することができるであろう。一般に、スペーサーは、所望のタンパク質断片またはペプチドとともに連結されるか、またはそれらの間の幾らかの最小距離もしくは他の空間的関係を保存するにすぎず、特定の生物学的活性を有さない。しかしながら、スペーサーの構成アミノ酸は、フォールディング、正味の電荷、または疎水性のような分子の幾つかの特性に影響を与えるように選択してもよい。発現された組換えタンパク質の精製に有用であり得る残基の生産用にコードするヌクレオチド配列をベクターに構築してもよい。かかる配列は当該技術分野で既知である。例えば、ポリヒスチジン配列をコ
ードするヌクレオチド配列は、ニッケルカラム上での発現された組換えタンパク質の精製を容易にするために、ベクターに付加してもよい。
いったん発現されれば、組換えペプチド、ポリペプチド、およびタンパク質は、硫酸アンモニア沈殿、アフィニティカラム、カラムクロマトグラフィ、ゲル電気泳動等を含む当業者に既知の標準的手順に従って、精製することができる。約50〜99%均一性の実質的に純粋な組成物が好ましく、80〜95%すなわちより高い均一性が、治療薬としての使用に最も好ましい。
また、指定タンパク質の幾つかを形成することが可能な分子は、マトリックスでの形成タンパク質の使用のための所望の特性を得るために、電気処理中に他のポリマーと混合することができる。
合成材料、好ましくは生物学的適合性の合成材料の別の種は、ポリマーを包含する。かかるポリマーとしては、以下の:ポリ(ウレタン)、ポリ(シロキサン)またはシリコーン、ポリ(エチレン)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル)、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アクリル酸)、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(メタクリル酸)、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA)、ポリ無水物、およびポリオルトエステル、または生物学的適合性である開発され得る任意の他の類似の合成ポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。「生物学的適合性合成ポリマー」という用語はまた、コポリマーおよびブレンド、ならびに一般に、一緒にまたは他のポリマーとの上述のポリマーの任意の他の組合せを包含する。これらのポリマーの使用は、所定の適用および必要とされる仕様に応じる。これらのポリマーおよびポリマーのタイプのより詳細な解説は、Brannon−Peppas, Lisa, 「Polymer
in Controlled Drug Delivery」, Medical Plastics and Biomaterials, November 1997(これは、完全に本明細書に記載されているかのように参照により本明細書に援用される)に記載されている。
「材料」はまた、電気処理中または後に、異なる材料に変えることが可能な電気処理された材料電気処理された材料を包含する。例えば、プロコラーゲンは、プロコラーゲンペプチダーゼと組み合わせられると、コラーゲンを形成する。プロコラーゲン、プロコラーゲンペプチダーゼ、およびコラーゲンはすべて、材料の定義内である。同様に、タンパク質フィブリノーゲンは、トロンビンと組み合わせるとフィブリンを形成する。電気処理されるフィブリノーゲンまたはトロンビン、ならびに後に形成されるフィブリンは、材料の定義内に包含される。
好ましい実施形態では、電気処理された材料は、マトリックスを形成する。「マトリックス」という用語は、電気処理された材料から構成される任意の構造物を指す。マトリックスは、繊維、または材料の液滴、あるいは任意のサイズまたは形状の繊維および液滴のブレンドから構成される。マトリックスは、単一構造物または構造物群であり、1つまたはそれ以上1つまたはそれ以上の材料を用いて、1つまたはそれ以上1つまたはそれ以上の電気処理方法により形成することできる。マトリックスは、特定の多孔性を保有するように設計される。物質は、マトリックス内に堆積されてもよく、あるいはマトリックス上に固着または配置されてもよい。細胞は、マトリックス内または上に堆積され得る物質である。
「物質」という用語は、その最も広い定義で、本出願全体にわたって使用される。物質と
いう用語は、1つもしくは複数の、任意のタイプもしくはサイズの分子、物体、または細胞、あるいはそれらの組合せを包含する。物質は、固体、半固体、湿潤混合物または乾燥混合物、気体、溶液、懸濁液、それらの組合せが挙げられるが、それらに限定されない任意の形態であり得る。物質は、任意のサイズの分子および任意の組合せの分子を包含する。細胞には、天然状態であろうと、遺伝子操作または任意の他のプロセスにより変更されていようと、全ての細胞型の原核細胞および真核細胞が含まれる。細胞は、天然供給源由来であり得るし、あるいはin vitroで培養され得て、生存していても死んでいてもよい。異なる型の細胞の組合せを使用することができる。物体は、電気処理された材料と組み合わせられ得るか、またはそれに結合され得る任意のサイズ、形状、および組成であり得る。物体の例としては、細胞断片、細胞片、細胞壁の断片、細胞外マトリックス構成物質、ウイルス壁の断片、細胞小器官、および他の細胞構成成分、錠剤、ウイルス、ベシクル、リポソーム、カプセル、ナノ粒子ならびに分子用の封入物として作用する他の構造物が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の組成物は、1つの物質または物質の任意の組合せを含んでもよい。
本出願全体にわたって、「溶液」という用語は、電気処理方法のリザーバ中の液体について記載するのに使用される。この用語は、電気処理されるべき材料を含有する任意の液体を包含するように広く定義される。電気処理中に材料を形成することが可能な任意の溶液は、本発明の範囲内であることが理解されよう。本出願では、「溶液」という用語はまた、電気処理されるべき材料か何かを含有する懸濁液または乳濁液を指す。「溶液」は、有機性または生物学的適合性形態であり得る。この広い定義は、電気処理における多くの変化で使用することができる、多数の溶媒または他の液体、およびキャリア分子(例えば、ポリ(エチレンオキシド)(PEO))の観点で適切である。本出願では、「溶液」という用語はまた、電気処理されるべき材料、物質か何かを含有する溶融液、水化ゲルおよび懸濁液を指す。
溶媒
開口部またはシリンジの先端、あるいは物質が電気処理される他の部位に材料または物質を送達するのを可能にする任意の溶媒が使用され得る。溶媒は、電気処理されるべき材料もしくは物質を溶解または懸濁するのに使用され得る。材料もしくは物質を溶解または懸濁するのに有用な溶媒は、物質または材料に依存する。電気スピニング処理技法には、より特定の溶媒条件が必要であることが多い。例えば、コラーゲンは、水、2,2,2−トリフルオロエタノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(ヘキサフルオロイソプロパノールすなわちHFIPとしても知られている)もしくはそれらの組合せ中の溶液または懸濁液として電着することができる。フィブリンモノマーは、尿素、モノクロロ酢酸、水、2,2,2−トリフルオロエタノール、HFIP、またはそれらの組合せのような溶媒から、電着または電気スピンニングすることができる。エラスチンは、水、2,2,2−トリフルオロエタノール、イソプロパノール、HFIP、もしくはイソプロパノールと水のようなそれらの組合せ中の溶液または懸濁液として電着することができる。1つの望ましい実施形態では、エラスチンは、250mg/mlのエラスチンを含有するイソプロパノール70%および水30%の溶液から電気スピンニングされる。他の低級アルコール、特にハロゲン化アルコールを使用してもよい。天然マトリックス材料を電気処理する際に使用され得るか、または他の溶媒と組み合わせてもよい他の溶媒としては、アセトアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン(NMP)、酢酸、トリフルオロ酢酸、酢酸エチル、アセトニトリル、無水トリフルオロ酢酸、1,1,1−トリフルオロアセトン、マレイン酸、ヘキサフルオロアセトンが挙げられる。
膜と会合したタンパク質およびペプチドは、多くの場合疎水性であることから、水溶液中
に容易に溶解することができない。かかるタンパク質は、メタノール、クロロホルム、およびトリフルオロエタノール(TFE)のような有機溶媒、および乳化剤中に溶解することができる。タンパク質化学の技術分野の当業者に既知の任意の他の溶媒、例えば、クロマトグラフィ、特に高速液体クロマトグラフィで有用な溶媒を使用してもよい。タンパク質およびペプチドはまた、例えば、HFIP、ヘキサフルオロアセトン、鉱酸水溶液と合わせたクロロアルコール、5%塩化リチウムを含有するジメチルアセトアミド、ならびに酢酸、塩酸およびギ酸のような非常に希釈した酸中に可溶性である。N−メチルモルホリンN−オキシドは、多くのポリペプチドとともに使用することができる別の溶媒である。単独で、あるいは有機酸または塩と組み合わせて使用される他の例としては、以下の:トリエタノールアミン、ジクロロメタン、塩化メチレン、1,4−ジオキサン、アセトニトリル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、酢酸エチル、グリセリン、プロパン−1,3−ジオール、フラン、テトラヒドロフラン、インドール、ピペラジン、ピロール、ピロリドン、2−ピロリドン、ピリジン、キノリン、テトラヒドロキノリン、ピラゾール、およびイミダゾールが挙げられる。溶媒の組合せもまた使用され得る。
合成ポリマーは、例えば、HFIP、塩化メチレン、酢酸エチル、アセトン、2−ブタノン(メチルエチルケトン)、ジエチルエーテル、エタノール、シクロヘキサン、水、ジクロロメタン(塩化メチレン)、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、ギ酸メチル、および様々な溶媒混合物から電着することができる。HFIPおよび塩化メチレンは、望ましい溶媒である。溶媒の選定は、電着されるべき合成ポリマーの特性に依存する。
溶媒の選定は、ポリマー−ポリマー相互作用を安定化する二次力、およびこれらの相互作用を強力なポリマー−溶媒相互作用で置き換える溶媒の能力の考慮に幾分基づいている。コラーゲンのようなポリペプチドの場合では、かつ共有結合的架橋が存在しない場合では、鎖間の基本的二次力は、(1)骨格上の固定電荷の引力に起因し、かつ一次構造に左右されるクーロン力(例えば、リシンおよびアルギニン残基は、生理学的pHでは正に帯電し、アスパラギン酸またはグルタミン酸は、負に帯電するであろう)、(2)永久双極子の相互作用に起因する双極子−双極子(ポリペプチドで一般に見られる水素結合は、かかる相互作用のうち最強である)、および(3)非極性種の、極性水分子と有利に相互作用する低い傾向による、ポリペプチドの非極性領域の会合に起因する疎水性相互作用である。したがって、これらの相互作用と有利に競合することができる溶媒または溶媒の組合せが、ポリペプチドを溶解または分散させることができる。例えば、HFIPおよびTFEは、非常に疎水性のフッ化領域に隣接した高極性OH結合を保有する。以下の理論によって拘束されることを望まないが、アルコール部分は、ペプチドと水素結合することができ、また骨格上の電荷を溶媒和することもでき、したがって分子間のクーロン相互作用が減少すると考えられる。さらに、これらの溶媒の疎水性部分は、ポリペプチド中の疎水性ドメインと相互作用することができ、疎水性相互作用を介して凝集するポリペプチドの傾向に抵抗するのを助長する。さらに、HFIPおよびTFEのような溶媒は、水と比較してそれらの低い全極性により、αへリックスのような二次構造を安定化する分子内水素結合にはあまり競合しないと考えられる。したがって、これらの溶媒中のαへリックスは、より強力な分子内水素結合により安定化されると考えられる。これらの溶媒中のポリペプチド二次構造の安定化は、特にコラーゲンおよびエラスチンの場合、電気処理中にコラーゲンフィブリルの適切な形成を保護するのに望ましいと考えられる。
さらに、溶媒が蒸発する際に繊維を創出するために、電気スピンニングジェットの安定化を促進するのに、溶媒が比較的高い蒸気圧を有することが望ましい場合が多いが、必ずしも必要ではない。比較的揮発性の溶媒はまた、乾燥電気処理された材料のスプレー処理および形成中および後に、液滴の合体を最小限に抑えるのに、電気スプレー処理には望ましい。高沸点溶媒を包含する実施形態では、スピンニング溶液またはスプレー処理溶液、お
よび任意に電気処理蒸気自体を加温することで、あるいは減圧下で電気処理することで、溶媒蒸発を促進することが望ましい場合がある。また、繊維を生じる安定なジェットとの創出が、ポリマー/溶媒混合物の低表面張力により促進されることが考えられる。溶媒選択はまた、この考慮により導かれ得る。
機能的な用語では、電気処理に使用される溶媒は、電気処理が実行可能であるように、電気処理されるべきコラーゲンおよび/または他の材料との混合物を創出する主な役割を担う。所定の溶媒の濃度は、多くの場合、行われる電気処理のタイプを決定する際での重要な考慮すべき点である。例えば、電気スプレー処理では、溶媒は、液体の初期ジェットがばらばらになって液滴となるように、電気処理された材料の液滴の分散液を助長すべきである。したがって、電気スプレー処理で使用される溶媒は、制約を受けていない液柱を安定化する力を創出すべきではない。電気スピンニングでは、電気処理された材料の分子間の相互作用がジェットを安定化し、繊維形成を引き起こす。電気スパン実施形態に関しては、溶媒は、ジェットがばらばらになって液滴を形成するのを防ぐために、ポリマーを十分に溶解または分散させるべきであり、それにより繊維形態の安定なジェットを形成することが可能となるはずである。幾つかの実施形態では、電気スプレー処理から電気スピンニングへの移行は、濃度の関数としてポリマー溶液に関する粘度測定(ブルックフィールド粘度計を用いて)を検査することで決定することができる。電気処理されるべきポリマーまたは他の材料の濃度が増加するにつれ、粘度は増加する。しかしながら、材料の伸長鎖の絡み合いを伴う臨界濃度を超えると、より低濃度の濃度ではより緩やかに一次的に上昇するのと対照的に、ブルックフィールド粘度は濃度とともにより迅速に増加する。線形性からの逸脱は、電気スプレー処理から電気スピンニングへの移行とおおよそ一致する。
溶媒中の任意の電気処理された材料の溶解性は、材料を修飾することで増大させてもよい。材料の溶解性を増加するための材料を修飾する任意の方法を使用してもよい。例えば、米国特許第4,164,559号(Miyata et al.)は、溶解性を増加するために、コラーゲンを化学的に修飾する方法について開示している。
本発明の組成物
電気処理されたコラーゲン
本発明の組成物は、電気処理されたコラーゲンを含む。本発明は、任意の手段により電気処理されたコラーゲンを包含する。電気処理されたコラーゲンは、「タンパク質」の定義で上述した用語の完全な意味内の任意のコラーゲンから構成または形成することができる。したがって、コラーゲンは、コラーゲンの任意のタイプもしくは種類に関して、コラーゲン断片、類縁体、保存的アミノ酸置換物、非保存的アミノ酸置換物、および天然に存在しないアミノ酸または残基での置換物を包含し得る。電気処理で使用されるコラーゲンは、天然源に由来することできるか、合成的に製造することができるか、遺伝子操作により生産することができるか、または任意の他の手段もしくはそれらの組合せにより生産することができる。天然源としては、生存生物の組織で生産されるか、または組織内に含有されるコラーゲンが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、マトリックス中に移植されるべき電気処理されたコラーゲンとしては、自系コラーゲン、同種生物由来のコラーゲン、または別の種由来のコラーゲンを挙げることができるが、これらに限定されない。使用することができる幾つかのコラーゲンとしては、コラーゲンI型、II型、III型、IV型、V型、VI型、VII型、VIII型、IX型、X型、XI型、XII型、XIII型、XIV型、XV型、XVI型、XVII型、XVIII型、およびXIX型が挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの好ましいコラーゲンとしては、I型およびII型が挙げられる。合成コラーゲンは、任意の人工手段により生産される合成コラーゲンも包含し得る。コラーゲンおよび他のタンパク質を生産する数多くの方法が当該技術分野で既知である。合成コラーゲンは、特定の配列を用いて調製することができる。例えば、遺伝子操作したコラーゲンは、天然コラーゲンと異なる特定の所望のアミノ酸配列を
伴って調製することができる。改変されたコラーゲンは、例えば、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質合成を含む任意の手段により生産してもよい。例えば、細胞は、in vivoまたはin vitroで遺伝子操作して、コラーゲン、またはコラーゲンを形成することが可能な分子、あるいはコラーゲンのサブドメインを生産することができ、所望のコラーゲンを収集することができる。1つの例示的実施形態では、細胞またはペプチドに関するコラーゲンタンパク質上の結合部位を形成する望ましい配列を、天然コラーゲンで見られるよりも高い量で含むことができる。電気処理されたコラーゲンはまた、コラーゲン自体、または電気処理するとコラーゲン構造を形成する任意の他の材料から形成してもよい。例としては、アミノ酸、ペプチド、変性コラーゲン由来のゼラチンのような変性ペプチド、ポリペプチド、およびタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。コラーゲンは、電気処理前、電気処理中、または電気処理後に形成することができる。例えば、電気処理前、電気処理中、または電気処理後に、プロコラーゲンをプロコラーゲンペプチダーゼと組み合わせることにより形成される電気処理されたコラーゲンは、本発明の範囲内である。
電気処理されたコラーゲンは、電気スピンニング技法、電気エアロゾル技法、電気スプレー処理技法、または電気スパッタリング技法、あるいはそれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されない任意の電気処理技法を用いて作製され得る。したがって、電気処理された液滴電気処理された液滴、粒子、繊維、フィブリル、またはそれらの組合せはすべて、本発明の電気処理されたコラーゲン組成物に含まれる。1つの望ましい実施形態では、コラーゲンは、電気スピンニングされて、コラーゲン繊維を形成する。幾つかの実施形態では、電気スピンニングされたコラーゲンは、電子顕微鏡で検査すると、繰り返しの縞状模様を有する。この縞状模様は、細胞外マトリックスにおける細胞により生産されるコラーゲンフィブリルにの特色である。幾つかの実施形態では、コラーゲンI型、II型および/またはIII型の縞状模様は、これらのコラーゲンに特徴的な自然のパターンである約65〜67mmの間隔を有する。いくつかの実施形態では、コラーゲンI型、II型および/またはIII型の縞状模様は、約67nmである。好ましい実施形態では、電気スピンニングされたコラーゲンに特徴的な縞状模様は、それにより細胞を、特性の活性を促進または調節するコラーゲン分子内の活性部位へ接近させることから重要な属性である。ゼラチン由来の電気処理した変性コラーゲンを含む幾つかの実施形態を包含する他の実施形態では、特徴的な横縞模様が存在しない。幾つかの実施形態では、変性コラーゲンは、横縞模様を欠如した繊維構造に電気スピンニングされる。
幾つかの望ましい配列を、合成コラーゲンに組み込むことができる。コラーゲン分子に組み込むことができる任意の配列を使用してもよい。例えば、コラーゲン分子内の15アミノ酸配列であるP−15部位は、骨芽細胞を促進して、骨の構成成分であるヒドロキシアパタイトを産生および分泌する。同様の様式で操作および処理することができるコラーゲン分子内の特定部位および配列の別の例としては、インテグリン分子に特徴的なRGD結合部位である。RGD部位は、細胞接着用の結合部位として作用する多くの細胞外マトリックス材料に存在する3個のアミノ酸(Arg−Gly−Asp)の配列である。RGD部位は、例えばインテグリンにより認識および結合される。さらに、電気処理されたコラーゲンは、電気処理前、電気処理中、または電気処理後に特定の所望の配列を富化することができる。配列は、線状または他の形態で付加することができる。幾つかの実施形態では、RGD配列は、シクロRGDと呼ばれる環状形態で配列される。
他の電気処理された材料
幾つかの実施形態では、電気処理されたコラーゲン組成物は更なる電気処理された材料を含有する。上記で定義するように、他の電気処理された材料としては、天然材料、合成材料、またはそれらの組合せを挙げることができる。例としては、アミノ酸、ペプチド、変性コラーゲン由来のゼラチンのような変性ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、炭水化
物、脂質、核酸、糖タンパク質、ミネラル、リポタンパク質、糖脂質、グルコサミノグリカン、およびプロテオグリカンが挙げられるが、これらに限定されない。
コラーゲンを用いて電気処理するための幾つかの好ましい材料は、天然に存在する細胞外マトリックス材料、および天然に存在する細胞外マトリックス材料のブレンドであり、フィブリン、エラスチン、ラミニン、フィブロネクチン、ヒアルロン酸、コンドロイチン4−硫酸、コンドロイチン6−硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリン硫酸、ヘパリン、およびケラタン硫酸、ならびにプロテオグリカンが挙げられるが、これらに限定されない。これらの材料は、ヒトもしくは他の動物または細胞からの単離あるいは合成的製造を含む任意の手段により、製造または単離されてもよい。電気処理されたコラーゲンと組み合わせるための幾つかの特に好ましい天然マトリックス材料は、フィブリン、エラスチンおよびフィブロネクチンである。例えば、図1は、I型コラーゲン/エラスチン(80:20)の電気スピンニングされたマトリックスの走査型電子顕微鏡写真である。図2は、I型コラーゲン/III型コラーゲン/エラスチン(55:35:20)の電気スピンニングされたマトリックスの走査型電子顕微鏡写真である。組織、細胞外マトリックス材料の粗製抽出物、非天然組織もしくは細胞外マトリックス材料の抽出物も、単独でまたは組み合わせて包含される。細胞、組織、器官および腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない生物学的材料の抽出物もまた電気処理されてもよい。
これらの電気処理された材料は、本発明の組成物を形成する際に、他の材料および/物質と組み合わせてもよいことが理解されよう。例えば、電気処理ペプチドは、皮下移植する場合に、免疫原性を増強するためにアジュバントと組み合わせてもよい。別の例としては、細胞を含有する電気処理されたコラーゲンマトリックスは、コラーゲンマトリックス中の細胞の成長および分裂を刺激するために、電気処理生物学的適合性ポリマーおよび成長因子と組み合わせてもよい。
合成電気処理された材料としては、人工合成、加工、または製造の任意の方法により調製される任意の材料が挙げられる。合成材料は、好ましくは、in vivoまたはin vitroで投与するのに生物学的適合性である。かかるポリマーとしては、以下の:ポリ(ウレタン)、ポリ(シロキサン)またはシリコーン、ポリ(エチレン)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル)、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アクリル酸)、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)、ポリ(エチレングリコール)、合成ポリカチオン(polycations)(例えば、ポリ(エチレンイミン))、合成ポリアニオン(polyanions)(例えば、ポリ(スチレンスルホネート)およびポリ(メタクリル酸))、ポリ(メタクリル酸)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA)、ナイロン、ポリアミド、ポリ無水物、ポリ(エチレン−コ−ビニルアルコール)(EVOH)、ポリカプロラクトン、ポリ(酢酸ビニル)(PVA)、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)、およびポリオルトエステル、または生物学的適合性である開発され得る任意の他の類似の合成ポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの好ましい合成マトリックス材料としては、PLA、PGA、PLAおよびPGAのコポリマー、ポリカプロラクトン、ポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)、EVOH、PVA、およびPEOが挙げられる。マトリックスは、電気スピンニングした繊維、電気エアロゾル、電気スプレーまたは電気スパッタリングを施した液滴、あるいは上述の組合せから形成され得る。
天然材料を使用する実施形態では、これらの材料は、天然源に由来し得るか、合成的に製造され得るか、あるいは遺伝子操作した細胞により製造され得る。例えば、遺伝子操作したタンパク質は、天然のタンパク質と異なる特定の所望のアミノ酸配列で調製することでができる。
電気処理されたコラーゲンと組み合わせるための種々の材料、またはそれらの組合せを選択することで、電気処理された材料の多くの性質を操作することができる。電気処理されたコラーゲンから構成されるマトリックスの特性を調製してもよい。電気処理されたコラーゲンおよび他の電気処理された材料は、適用されると治療効果を提供することができる。さらに、マトリックス材料の選択は、移植されるマトリックスの永続性に影響を及ぼし得る。例えば、フィブリンから作製されるマトリックスは、迅速に分解する一方で、コラーゲンから作製されるマトリックスは、より耐久性であり、合成マトリックス材料は、さらに耐久性である。タンパク質のような天然材料から作製されるマトリックスの使用はまた、移植されたマトリックスに対する拒絶すなわち免疫学的応答を最低限に抑える。したがって、電気処理用の材料および物質送達での使用の選択は、所望の使用により影響される。一実施形態では、治癒プロモーター、鎮痛薬および/または麻酔薬、ならびに抗拒絶物質と組み合わせた電気処理フィブリンまたはコラーゲンの経皮パッチを皮膚に適用してもよく、続いて皮膚中へ溶解させてもよい。別の実施形態では、骨への送達用の電気処理されたコラーゲン移植片は、骨成長を促進するのに有用な材料、骨芽細胞およびヒドロキシアパタイトから構築されてもよく、長期間持ちこたえるように設計してもよい。マトリックスが、マトリックスから放出されるべき物質を含有する実施形態では、生体適合性物質のような電気処理された組成物を組み込むことで、電気処理された組成物からの物質の放出を調整することができる。例えば、層状または積層構造物を、物質放出プロフィールを制御するのに使用することができる。非層状構造物も使用することができ、この場合、放出は、構築物の各構成成分の相対安定性により制御される。例えば、交互の電気処理された材料から構成される層状構造物は、標的上に異なる材料を順次電気処理することで調製することができる。外層は、例えば内層に関するよりも速くまたは遅く溶解するように適応させることができる。複数の作用物質が、この方法により、任意に異なる放出速度で送達され得る。層は、経時的な単一作用物質の複雑な多動態放出プロフィールを提供するように適応させることができる。上述の組合せを使用することで、それぞれが複雑なプロフィールで放出される複数の放出物質の放出を提供する。
構造物の層化は、天然材料の組成物をより厳密に模倣するために、幾つかの実施形態で使用される。例えば、連続層中のI型コラーゲン、II型コラーゲン、およびエラスチンの量を操作することは、血管の壁のような構造の深度を横切る分布の勾配または他のパターンを模倣するために、幾つかの実施形態で使用される。他の実施形態は、層化せずにそのようなパターンを達成する。例えば、電気処理実行中の、電気処理装置へのI型コラーゲン、II型コラーゲン、およびエラスチンの供給速度を変更することにより、層化せずに連続勾配およびパターンを創出することが可能となる。
合成物質は、種々の溶媒から電気処理することができる。これは、幾つかの材料の送達にとって重要であり得る。幾つかの実施形態では、コラーゲンを電気処理するのに使用される溶媒中に不溶性である薬剤は、合成材料を電気処理するのに使用される溶媒中に可溶性である。幾つかの実施形態では、合成物を用いることで、電気処理されたコラーゲンマトリックスと組み合わせることができる材料の数を増加させる。ポリマーは、かかる感受性を提供するような方法でポリマーを誘導体化してもよい。これらの特性は、in vivoおよびin vitroで様々な物質を送達するように設計した電気処理された材料を作製および使用する際に、融通性を提供する。
マトリックスのような電気処理材コラーゲン組成物はまた、マトリックス成分の特定のサブドメインから構成することもでき、誘導体化することができる合成骨格を伴って調製することができる。例えば、RGDペプチド配列、および/またはヘパリン結合ドメインおよび/または他の配列を、合成材料に化学的に結合することができる。結合配列(単数または複数)を有する合成ポリマーをコラーゲンと電気処理して構築物にすることができる
。これは、特有の特性を有するマトリックスを生じる。これらの例では、RGD部位は、マトリックスの合成成分に結合し、それと相互作用するための細胞用部位を提供する。ヘパリン結合部位を操作して、合成骨格に対するペプチド成長因子の足場用の部位として用いることができる。血管新生ペプチド、遺伝物質、成長因子、サイトカイン、酵素および薬剤は、官能性を提供するために、電気処理された材料の骨格に結合することができる他の非限定的な物質の例である。治療効果を有するマトリックス材料の別の実施形態は、電気処理フィブリンである。フィブリンマトリックス材料は出血の停止を助長する。ペプチド側鎖もまた、高分子骨格上の官能基に分子を結合するのに使用され得る。分子および他の物質は、当該技術分野で既知の技法により、電気処理されるべき材料に結合することができる。
電気処理されたコラーゲン組成物と組合わせた物質
多くの望ましい実施形態では、電気処理されたコラーゲンは1つまたはそれ以上1つまたはそれ以上の物質と組合される。上述するように、本発明における「物質」という単語は、その最も広い定義で使用される。本発明の電気処理されたコラーゲン組成物が1つまたはそれ以上の物質を含む実施形態では、物質としては、任意のタイプもしくはサイズの分子、細胞、物体、またはそれらの組合せを挙げることができる。本発明の組成物は、1つまたはそれ以上の物質、あるいは物質の任意の組合せを含んでもよい。
望ましい実施形態は、電気処理されたコラーゲンマトリックスと組合せた物質としての細胞が含む。任意の細胞を使用することができる。幾つかの好ましい例としては、幹細胞、コミットした幹細胞(committed stem cell)、および分化細胞が挙げられるが、これらに限定されない。使用することができる幹細胞の例としては、胚幹細胞、骨髄幹細胞、および臍帯幹細胞が挙げられるが、これらに限定されない。様々な実施形態で使用される細胞の他の例としては、骨芽細胞、筋芽細胞、神経芽細胞、線維芽細胞、神経膠芽細胞、生殖細胞、肝細胞、軟骨細胞、ケラチノサイト、平滑筋細胞、心筋細胞、結合組織細胞、膠細胞、上皮細胞、内皮細胞、ホルモン分泌細胞、免疫系細胞、およびニューロンが挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態では、多くのタイプの幹細胞が所定の器官にいったん送達されると器官特異的パターンで分化するように誘導され得ることから、使用されるべき幹細胞のタイプを予め選定することが不要である。例えば、肝臓に送達される幹細胞は、単に肝臓の生化学的環境内に置かれることで、肝臓細胞になるように誘導され得る。マトリックス中の細胞は、足場形成(scaffolding)または接種を提供する目的、特定の化合物を生産する目的、またはその両方に適し得る。
物質が細胞を包含する実施形態には、in vitroで培養され得るか、天然源に由来し得るか、遺伝子操作され得るか、または任意の他の手段により生産され得る細胞を包含する。原核細胞または真核細胞の任の天然源を使用してもよい。マトリックスが生物中に移植される実施形態は、レシピエント由来の細胞、同種ドナーまたは異なる種のドナー由来の細胞、または細菌細胞もしくは微生物細胞を使用することができる。供給源から収集され、使用前に培養された細胞も包含される。
幾つかの実施形態では、遺伝子操作した細胞を使用する。操作には、1つまたはそれ以上の遺伝子を発現するように細胞をプログラムすること、1つまたはそれ以上の遺伝子の発現を示すこと、またはその両方を包含する。本発明で有用な遺伝子操作細胞の一例は、1つまたはそれ以上の所望の分子を作製および分泌する遺伝子操作細胞である。遺伝子操作細胞を含む電気処理されたコラーゲンマトリックスを生物中に移植させると、生産された分子は、局所効果または全身効果をもたらすことができ、考え得る物質として上記に特定した分子を包含することができる。細胞はまた、マトリックスの用途の1つが免疫応答を生じることである実施形態で、抗原性材料を生産することができる。細胞は、目的の以下
の非包括的なリスト:炎症を阻害または刺激すること、治癒を促進すること、免疫拒絶に抵抗すること、ホルモン置換を提供すること、神経伝達物質を置換すること、癌細胞を阻害または破壊すること、細胞成長を促進すること、血管形成を阻害または刺激すること、組織を増強すること、および以下の組織、ニューロン、皮膚、滑液、腱、軟骨、靭帯、骨、筋肉、器官、硬膜、血管、骨髄、および細胞外マトリックスを補充または増強することを助長するための物質を生産することができる。
遺伝子操作は、例えば、細胞に遺伝物質を付加すること、もしくは細胞から遺伝物質を除去すること、現存する遺伝物質を変更すること、またはその両方を包含することができる。細胞がトランスフェクトされるか、そうでなければ遺伝子を発現するように操作される実施形態は、一過的にトランスフェクトした遺伝子、もしくは永続的にトランスフェクトした遺伝子、またはその両方を使用することができる。遺伝子配列は、完全長または部分長であってもよく、クローニングさされても、天然に存在してもよい。
物質が分子である実施形態では、任意の分子を使用することができる。分子は、例えば、有機性であっても無機性であってもよく、また固体、半固体、液体、または気相であってもよい。分子は、他の分子との組合せまたは混合物で存在してもよく、また溶液、懸濁液、または任意の他の形態であってもよい。使用され得る分子の種類の例としては、ヒトまたは獣医学用治療薬、化粧品、栄養補助食品、除草剤、殺虫剤および肥料のような農業用物質、ビタミン、塩、電解液、アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、炭水化物、脂質、核酸、糖タンパク質、リポタンパク質、糖脂質、グリコサミノグリカン、プロテオグリカン、成長因子、ホルモン、神経伝達物質、フェロモン、カローン、プロスタグランジン、免疫グロブリン、モノカインおよび他のサイトカイン、湿潤剤、金属、気体、鉱物、可塑剤、イオン、電気的および磁気的反応性材料、感光性材料、酸化防止剤、細胞エネルギー供給源として代謝され得る分子、抗原、ならびに細胞性応答または生理学的応答を引き起こすことができる任意の分子が挙げられる。分子の任意の組合せ、ならびにこれらの分子のアゴニストまたはアンタゴニストを使用することができる。
幾つかの好ましい実施形態には、任意の医薬品または薬剤が挙げられるが、これらに限定されない任意の治療用分子の使用が包含される。医薬品の例としては、麻酔薬、催眠薬、鎮静薬および睡眠誘発物質、抗精神病薬、抗うつ薬、抗アレルギー薬、抗狭心症薬、抗関節炎薬、喘息治療薬、抗糖尿病薬、下痢止め薬、抗痙攣薬、抗通風薬、抗ヒスタミン薬、止痒薬、吐薬、抗嘔吐薬、鎮痙薬、食欲抑制薬、神経刺激性物質、神経伝達物質アゴニスト、アンタゴニスト、受容体遮断薬、および再摂取調整剤、β−アドレナリン遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬、ジスルフィラムおよびジスルフィラム様薬剤、筋弛緩薬、鎮痛薬、解熱薬、刺激薬、抗コリンエステラーゼ剤、副交感神経作用剤、ホルモン、抗凝固薬、抗血栓薬、血栓崩壊薬、免疫グロブリン、免疫抑制薬、ホルモンアゴニスト/アンタゴニスト、ビタミン、抗菌剤、抗腫瘍薬、制酸薬、消化薬、緩下薬、下剤、防腐剤、利尿薬、消毒薬、抗真菌薬、寄生生物撲滅薬、駆虫薬、重金属、重金属アンタゴニスト、キレート剤、気体および蒸気、アルカロイド、塩、イオン、オータコイド、ジギタリス、強心配糖体、抗不整脈薬、抗高血圧薬、血管拡張薬、血管収縮薬、抗ムスカリン薬、神経節刺激剤、神経節遮断剤、神経筋遮断剤、アドレナリン作用性神経阻害薬、酸化防止剤、ビタミン、化粧品、抗炎症薬、創傷治癒製品、抗トロンボン形成剤、抗腫瘍剤、抗血管新生剤、麻酔薬、抗原性作用物質、創傷治癒剤、植物抽出物、成長因子、皮膚軟化薬、湿潤剤、拒絶/抗拒絶薬、殺精薬、コンディショナー、抗細菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗生物質、精神安定薬、コレステロール低減薬、鎮咳薬、ヒスタミン遮断薬、モノアミンオキシダーゼ阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない任意の治療用分子の使用が包含される。米国薬局方に列挙されるすべての物質も、本発明の物質の範囲内に包含される。
他の好ましい実施形態は成長因子の使用を伴う。本発明で有用な成長因子としては、トラ
ンスフォーミング成長因子−α(「TGF−α」)、トランスフォーミング成長因子−β(「TGF−β」)、血小板由来成長因子(AA、ABおよびBBアイソフォームを含む)(「PDGF」)、線維芽細胞成長因子(「FGF」)(FGF酸性アイソフォーム1および2、FGF塩基性型2、ならびFGF4、8、9、および10を含む)、神経成長因子(「NGF」)(NGF2.5s、NGF7.0s、およびβNGFならびにニューロトロフィンを含む)、脳由来神経栄養性因子、軟骨由来因子、骨成長因子(BGF)、塩基性線維芽細胞成長因子、インスリン様成長因子(IGF)、血管内皮成長因子(VEGF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、インスリン様成長因子(IGF)IおよびII、肝細胞成長因子、神経膠神経栄養性成長因子(GDNF)、幹細胞因子(SCF)、ケラチノサイト成長因子(KGF)、トランスフォーミング成長因子(TGF)(TGFα、β、β1、β2、β3を含む)、骨格成長因子、骨マトリックス由来成長因子、および骨由来成長因子、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明で有用なサイトカインとしては、カルジオトロフィン(cardiotrophin)、間質細胞由来因子、マクロファージ由来ケモカイン(MDC)、黒色腫成長刺激活性(MGSA)、マクロファージ炎症タンパク質1α(MIP−1α)、2、3α、3β、4および5、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、TNF−α、およびTNF−βが挙げられるが、これらに限定されない。本発明で有用な免疫グロブリンとしては、IgG、IgA、IgM、IgD、IgE、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの好ましい成長因子としては、VEGF(血管内皮成長因子)、NGF(神経成長因子)、PDGF−AA、PDGF−BB、PDGF−AB、FGFb、FGFa、およびBGFが挙げられる。
本発明における物質として有用な他の分子としては、成長ホルモン、レプチン、白血病阻害因子(LIF)、腫瘍壊死因子αおよびβ、エンドスタチン、アンジオスタチン、トロンボスポンジン、骨形成(osteogenic)タンパク質−1、骨形成(bone morphogenetic)タンパク質2および7、オステオネクチン、ソマトメジン様ペプチド、オステオカルシン、インターフェロンα、インターフェロンαA、インターフェロンβ、インターフェロンγ、インターフェロン1α、およびインターロイキン2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16、17および18が挙げられるが、これらに限定されない。
アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、およびタンパク質を包含する実施形態とては、任意のサイズおよび複雑性を有するかかる分子の任意のタイプならびにそのような分子の組合せを挙げることができる。例としては、構造タンパク質、酵素およびペプチドホルモンが挙げられるが、これらに限定されない。これらの化合物は、様々な機能を供することができる。幾つかの実施形態では、マトリックスは、活性部位に関する競合により酵素活性を抑制する配列を含有するペプチドを含有してもよい。他の用途では、免疫応答を促進し、免疫を誘起する抗原性作用物質を構築物に組み込むことができる。
核酸のような物質の場合、任意の核酸が存在し得る。例としては、デオキシリボ核酸(DNA)、ent−DNA、およびリボ核酸(RNA)が挙げられるが、これらに限定されない。DNAを包含する実施形態としては、cDNA配列、任意の供給源由来の天然DNA配列、およびセンスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、DNAは、裸であり得る(例えば、米国特許第5,580,859号、同第5,910,488号)か、複合体を形成し得るか、または被包され得る(例えば、米国特許第5,908,777号、同5,787,567号)。DNAは、任意の種類のベクター、例えばウイルスベクターまたはプラスミドベクターに存在することがで
きる。幾つかの実施形態では、使用される核酸は、電気処理されたマトリックス内部および/または外部で、細胞中の遺伝子の発現を促進または阻害する働きをする。核酸は、細胞への取り込みを高めるのに効果的に任意の形態であり得る。
本発明の電気処理されたコラーゲン組成物中の物質はまた、物体を包含する。物体の例としては、細胞断片、細胞片、細胞小器官、および他の細胞構成成分、錠剤、およびウイルス、ならびにベシクル、リポソーム、カプセル、ナノ粒子、分子用の封入物として作用する他の構造物が挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態では、物体は、ベシクル、リポソーム、カプセル、あるいは電気処理後のある時点(例えば、移植時または後の刺激もしくは相互作用時)に放出される化合物を含有する他の封入物である。1つの例示的実施形態では、リポソームのようなトランスフェクション剤は、電気処理された材料もしくはマトリックス中または上に配置させる細胞に組み込まれた所望のヌクレオチド配列を含有する。他の実施形態では、細胞断片、特異的細胞分画または細胞片は、マトリックスに組み込まれる。細胞断片の存在は、組織によっては治癒を促進することが知られている。
磁気的または電気的反応性材料もまた、本発明の電気処理されたコラーゲン組成物内に任意に含まれる物質の例である。電気的活性物質の例としては、強磁性流体(磁気粒子のコロイド懸濁液)、および導電性ポリマーの様々な懸濁液が挙げられるが、これらに限定されない。直径約10nmの粒子、直径約1〜2ミクロンのポリマー被包磁気粒子、および室温以下のガラス転移温度を有するポリマーを含有する強磁性流体が特に有用である。電気的活性材料の例としては、ポリアニリンおよびポリピロールのような導電性ポリマー、関連材料であるスルホン化ポリアクリルアミドのようなイオン伝導性ポリマー、ならびにカーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ、金属粒子、および金属皮膜のプラスチックまたはセラミック材料のような導電体を含むが、これらに限定されないポリマーである。
他の実施形態では、電気処理されたコラーゲン材料またはマトリックス中の幾つかの物質は、他の物質の機能を補充または増強する。例えば、組成物が特定の遺伝子を発現する細胞を含む場合、組成物は、細胞により取り込まれ、細胞中での遺伝子発現に影響を及ぼすオリゴヌクレオチドを含有することができる。フィブロネクチンは、任意にマトリックスに組み込まれて、ピノサイトーシスによるオリゴヌクレオチドの細胞取り込みを増加させる。
上記に詳述するように、電気処理された材料自体が治療効果を提供することができる。したがって、本発明は、電気処理された材料にさらなる物質を組み込むことなく、ある位置に電気処理された材料を送達することにより、治療効果をもたらす方法を包含する実施形態を包含する。マトリックス材料単独が送達される実施形態、ならびにマトリックス中に他の物質が含まれる実施形態は、本発明の範囲内である。
電気処理されたコラーゲン組成物の安定性および貯蔵
電気処理されたコラーゲンを含む本発明の電気処理されたコラーゲン組成物の安定性はまた、配合と使用との間の組成物の長期の貯蔵を可能とする。安定性は、物質が、例えば浸漬およびスプレー処理により電気処理された材料形成後に適用される実施形態において、使用者のより大きな融通性を可能とする。形成された電気処理されたマトリックスを製造および貯蔵することができ、特定の用途で添加される正確な物質組成物を調製し、移植または塗布の直前に特定の必要性に適応させることができる。この特質により、使用者には治療オプションと在庫管理の両方においてより大きな融通性が可能となる。多くの実施形態では、電気処理されたコラーゲンは、いったん電気処理されれば乾燥状態であり、本質的に脱水されており、それにより乾燥または凍結状態での貯蔵が容易である。さらに、電
気処理されたコラーゲン組成物は、完了時点で実質的に無菌であり、それにより治療用途および化粧品用途でさらなる利点を提供する。
本発明の電気処理されたコラーゲン組成物に関する貯蔵条件は、組成物中の電気処理された材料および物質に依存するであろう。例えばタンパク質を含む実施形態では、0℃以下の温度で、真空下で、あるいは凍結乾燥条件で組成物を貯蔵することが必要であるか、またはそれが望ましい。例えば室温で、暗所で、真空または減圧下で、不活性雰囲気下で、冷凍室温度で、水溶液または他の液体溶液中で、あるいは粉末形態でといった他の貯蔵条件を使用することができる。当業者は、組成物中に含まれる材料および物質に関する適切な貯蔵条件を理解し、適切な貯蔵条件を選定することが可能である。
本発明の電気処理されたコラーゲン組成物、およびこれらの組成物を含む配合物は、当業者に既知の従来の手段により殺菌してもよい。かかる手段としては、濾過、照射、および過酢酸またはエチレンオキシドガスのような殺菌化学作用物質への暴露が挙げられるが、これらに限定されない。熱の適用がコラーゲンを変性しない実施形態では、熱を使用してもよい。本発明の組成物はまた、細菌成長を阻害するために、チメロサールのような静菌剤と組み合わせてもよい。
本発明の電気処理されたコラーゲン組成物を含む配合物は、単位用量または複数回用量容器、例えば密閉アンプルおよびバイアル中に提供してもよく、また使用直前に滅菌液体キャリア(例えば、注射用蒸留水)を添加することだけが必要なフリーズドライ(凍結乾燥)状態で貯蔵してもよい。即時調合注射溶液および懸濁液は、当業者により一般に使用される滅菌粉末、顆粒および錠剤から調製され得る。好ましい単位投薬配合物は、投与成分の用量または単位、あるいはそれらの適切な分画を含有するものである。上述に特に記載した成分のほかに、本発明の配合物は、当業者により一般に使用される他の作用物質を含んでもよいことが理解されるはずである。
本発明の電気処理されたコラーゲン組成物は、組成物を投与するのに使用する方法に応じて、様々な方法で包装され得る。一般に、配布用物品は、適切な形態で組成物または組成物を含む配合物を含有する容器を含む。適切な容器は、当業者に既知であり、ボトル(プラスチックおよびガラス)、サシェット、アンプル、プラスチック袋、金属円筒体等のような材料が挙げられる。容器はまた、パッケージの内容物へ無分別な接近を防止するための不正開封防止組立品を包含し得る。さらに、容器は、容器の内容物について記載するラベルを容器上に付されている。ラベルはまた、適切な注意を包含し得る。
電気処理されたコラーゲン組成物の他の特徴
本発明の電気処理されたコラーゲン組成物は、多くの有益な特徴を有する。特徴によっては、生物の身体内での移植片、あるいは身体の組織もしくは器官の置換物としての使用を可能にする。多くの好ましい実施形態では、電気処理された材料は、マトリックス、好ましくは細胞外マトリックスに類似したマトリックスを形成する。例えば、選定されるコラーゲンのタイプは、組成物が移植される組織に対する類似性に基づくことができ、あるいはプロテーゼの場合では、組織、構造または器官のタイプは、置換、修復、または増大される。かかる実施形態では、電気処理された材料は、組織より厳密に模倣するために、他の細胞外マトリックスと組み合わせる。かかる組合せは、マトリックスの形成前、形成中、または形成後に行われ得る。幾つかの細胞外材料は、コラーゲンと一緒にマトリックスに電気処理されるか、または他の手段により形成される。幾つかの実施形態では、いったんマトリックスが製造されれば、マトリックス材料は、電気処理されたコラーゲンに添加される。
本発明の電気処理されたコラーゲン組成物は、それらを細胞外マトリックスの形成に適切
にする多くの特徴を有する。電気スピンニングされたフィブリル構造および縞形成は、天然に存在するコラーゲンに類似している。この方法で形成されるマトリックスの密度および構造は、既知の方法により達成されるものよりも優れており、天然の細胞外マトリックスのものに類似している。
電気スピンニングされたコラーゲンを包含する実施形態では、既知の製造プロセスにより生産することができるものよりもかなり直径が小さい繊維が生産される。電気スピンニングされたコラーゲン繊維は、数ミクロンから100ナノメーター以下に至るまでの範囲の横断面直径を有することが観察された。電気スピンニングされた繊維直径は、例えば組成(コラーゲンの供給源およびタイプ、ならびに他の材料とブレンディングの両方に関して)、ならびに電気スピンニングされるべきコラーゲンおよび他の材料の濃度を変更することで操作することができる。幾つかの実施形態では、繊維形成を調製するか、または繊維形成に影響を及ぼす分子の添加および除去が、コラーゲン繊維形成を操作するのに付加することができる。例えば多くのプロテオグリカンは、繊維形成を調節すること(繊維の直径に影響を及ぼすことを含む)が知られている。広範な繊維直径を達成することが可能である。種々の実施形態での電気スピンニングされた繊維直径の幾つかの例としては、100〜730nmの個々のフィラメント直径を有するI型コラーゲン、100±40nmの平均直径を有するI型コラーゲン繊維、1.0μmの平均直径を有するII型コラーゲン繊維、3±2.5ミクロンの平均直径を有するII型コラーゲン繊維、250±150nmの平均直径を有するIII型コラーゲン生産繊維、390±290nmの平均直径を有するI型およびIII型コラーゲン生産繊維の電気スピンニングされたブレンド、および800±700nmの直径を有するI型コラーゲン/III型コラーゲン/エラスチン(45:35:20)のブレンドが挙げられる。多くの実施形態では、電気スピンニングされた材料は、連続繊維として形成し、その結果、スピンニングされた材料は、顕微鏡検査で自由端の証拠を示さない。
移植片における電気スピンニングされたコラーゲンマトリックスの使用は、移植片の細胞の浸潤を促進する。実際に、本発明のマトリックスを含む構築物は、移植される構築物により達成することが可能であることがこれまでに知られていない細胞遊走に関する傾向を示す。移植片中の孔径は、宿主周辺組織とのデバイス/材料の相互作用に影響を及ぼすことが既知である。多孔質構造物に関して、相互作用は、デバイスの構造体内の孔のサイズ、サイズ分布、および連続性に依存する。細胞が、構造物へ、構造物から、または構造物を通り抜けて遊走することが可能であるには、孔径は、約10ミクロンより大きくなくてはならないとこれまで考えられた。しかしながら、少なくとも数種天然タンパク質の電気スピンニングされたナノファイバーから構成される移植片にはこの制限が施されないことが観察された。一実施形態では、平均孔径3.7ミクロンを有する電気スピンニングされたコラーゲン/エラスチンへの有意な細胞遊走が起きた。浸潤もまた、より小さな孔径を有する移植片で成し遂げられ得る。電気処理されたコラーゲンマトリックスの孔径は、プロセスパラメータの制御により、例えば電解強度による繊維堆積速度および心軸の動きを制御することにより、溶液の濃度(したがって、繊維サイズ)を変化させることにより、容易に操作することができる。多孔率はまた、塩または他の抽出剤のような孔原性(porogenic)材料を混合することにより操作することができ、それらは、マトリックス中の規定サイズの孔を残すであろう。望ましい場合には、細胞がマトリックスに浸潤する度合いは、マトリックス中に存在する架橋の量による度合いに制御することができる。高度に架橋されたマトリックス材料は、架橋の低い度合いを有するマトリックスほど迅速に浸潤されない。マトリックスに合成材料を添加することも、細胞が材料に浸潤する度合いを制限することができる。
電気処理されたコラーゲンは、既知のコラーゲン移植片よりも高い構造強度を有し、かつ移植後に構造強度を維持するというさらなる利点を有する。電気処理されたマトリックス
は、現在の移植片で使用されるコラーゲンゲルよりも高い構造完全性を有する。電気処理されたマトリックスはまた、既知のコラーゲンマトリックス技術よりも、移植後の再形成および再吸収に対して低い感受性を示す。さらに、本発明は、電気処理されたコラーゲンが再吸収される度合いを制御する方法を包含する。幾つかの実施形態では、電気スピンニングされたコラーゲンは、7〜10日、もしくはそれ未満の期間で、非常に迅速に再吸収され得る。他の実施形態では、コラーゲンフィブリルの広範囲にわたる架橋のような特徴は、マトリックスを非常に安定で、かつ数ヶ月から数年持ち堪えることが可能とさせるのに使用される。架橋の変化もまた、天然組織を模倣するさらなる能力を提供する。身体内の天然コラーゲンは、種々の度合いの架橋および生物学的安定性を示す。自然コラーゲンでの架橋の度合いは、年齢、生理学的状態の関数として、また様々な疾患過程に応答して様々であり得る。
電気処理されたコラーゲン組成物を他の電気処理された材料と組み合わせる能力は、多数のさらなる利点を提供する。電気処理されたコラーゲン、およびさらなる電気処理細胞外マトリックス材料を含む組成物または構築物を調製することは、細胞外マトリックスを模倣する能力をさらに高めることができる。幾つかの好ましい実施形態では、電気処理されたコラーゲンは、細胞外マトリックス材料の組成物を模倣するのに適切な相対量で、フィブリン、エラスチン、ラミニン、フィブロネクチン、インテグリン、ヒアルロン酸、コンドロイチン4−硫酸、コンドロイチン6−硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリン硫酸、ヘパリン、およびケラタン硫酸、ならびにプロテオグリカンのような電気処理された材料と組み合わせることができる。適切な場合には、細胞外材料を含む物質は、電気処理以外の手段により調製することができ、電気処理されたコラーゲンと組み合わせることができる。幾つかの実施形態では、結合組織から単離したコラーゲンの複数の粗製抽出物を電気処理することができる。かかる実施形態では、マトリックスは、治癒、再生、および細胞分化のような活性を促進するのに必要とされ得る様々な構造要素および調節要素を含有する。
他の電気処理された材料は、他のマトリックス特性を提供するために、マトリックス中に含まれ得る。一例は、移植マトリックスの持続性および生分解を制御する能力である。マトリックス材料としてのフィブリンは、移植されるとコラーゲンよりも速く分解する傾向にある一方で、幾つかの合成ポリマーは、よりゆっくりと分解する傾向にある。これらの材料の相対含有量を制御することは、マトリックスが分解する速度に影響を及ぼす。別の例として、材料は、ヒートシーリング、化学的シーリング、および機械的圧力を加えること、またはそれらの組合せに対する、マトリックス、またはマトリックスから形成される構築物の感受性を増大させるために包含されてもよい。合成ポリマーの含入は、マトリックスの、焼灼される能力またはヒートシールされる能力を高めることが観察された。マトリックス材料中に電気的または磁気的反応性ポリマーを包含することは別の例である。幾つかの実施形態では、かかるポリマーは、圧電効果を提供するか、または電場もしくは磁場に応答して、電気処理された材料の形状、多孔率および/または密度を変更する導電性マトリックスを調製するのに使用される。別の例は、治療効果を有することが知られているマトリックス材料の使用である。例えば、フィブリンマトリックスは、出血の停止を助長する。フィブリンは、初期段階の治癒中に生じる一過性マトリックスの構成成分であり、また隣接領域での血管系の成長を促進し得て、多くの他の方法では、天然の治癒プロモーターである。
電気処理された組成物に物質を組み込む能力は、さらなる有益性を可能にする。1つのかかる有益性は、よりいっそう厳密な組織の模倣、およびより優れた移植片の生体適合性である。幾つかの好ましい実施形態では、幹細胞、所望の細胞型に分化するコミットした幹細胞、または望ましい型の分化細胞は、より厳密に組織を模倣するために組み込まれる。さらに、細胞を電気処理されたコラーゲンで被包するか、またはそうでなければ細胞を電気処理された材料と組み合わせるのに使用可能な方法は、既知の方法により達成され得る
よりもマトリックス中でより大きな細胞密度をもたらす。この密度は、上述の細胞浸潤の改善によりさらに増大される。
本発明の組成物の、天然材料を模倣する能力は、移植されるマトリックスの免疫拒絶の危険性を最小限に抑える。例えば、自系材料を使用することができる。しかしながら、天然材料への厳密な類似は、異種材料を使用する幾つかの実施系形態でさえ、免疫反応の回避を可能としてきた。例えば、ラット外側広筋に移植された、電気スピンニングされたウシI型コラーゲンの円筒体(長さ25mmで幅2mm)は、7〜10日間免疫応答を示さなかった。電気スピンニングされた電気スピンニングされたI型コラーゲンから構成される同様の構築物を、筋芽細胞で補充して移植した。同様の結果から、炎症または拒絶の証拠が見られず、移植片は、密集していた。さらに、マトリックスの幾つかの実施形態では、移植片による一般的な問題である、レシピエント組織による移植片の被包を回避することが観察された。被包が望ましい実施形態では、マトリックス構造物は、炎症および被包を促進するように変更される。
好適なマトリックス特性を提供することができる物質としては、移植片内および周辺の細胞ならびに組織に治療上の影響または生理学的影響をもたらすことができる薬剤および他の物質が上げられる。任意の物質が使用され得る。多くの実施形態では、移植される電気処理されたマトリックスの性能を改善する電気処理されたコラーゲンマトリックス中の物質を包含する。使用することができる物質の例としては、ペプチド成長因子、抗生物質、および/または抗拒絶薬が挙げられるが、これらに限定されない。例えばオリゴヌクレオチド、プロモーター、細胞接着阻害剤、ホルモン、および成長因子のような細胞機能に影響を及ぼす化学物質は、電気処理されたコラーゲンに組み込むことができる物質のさらなる例であり、電気処理された材料からのそれらの物質の放出は、電気処理された材料での細胞の発現または他の機能を制御する手段を提供することができる。あるいは、所望の化合物を製造するように改変した細胞を包含することができる。構築物全体を、例えばバイオリアクタまたは従来の培養で培養するか、あるいは直接in vivoに配置させる。例えば、血管新生は、ペプチド、タンパク質としてまたは遺伝子治療として投与される、血管新生因子および成長促進因子により刺激され得る。血管新生剤は、電気処理されたコラーゲンマトリックスに組み込むことができる。あるいは、血管新生が望ましくない場合、アンジオスタチンのような血管新生材料を電気処理されたコラーゲンマトリックスに包含してもよい。神経成長因子は、マトリックスおよび組織へのニューロンの成長を促進するために電気処理されたコラーゲンマトリックスへと電気スピンニングされ得る。分解性電気処理されたコラーゲンマトリックスでは、マトリックスの漸進的分解/崩壊により、これらの因子が放出され、所望の組織の成長を加速するであろう。マトリックスにおいて細胞の分化を調節するために、物質を電気処理されたコラーゲンマトリックスに組み込むことができる。レチノイン酸のようなオリゴヌクレオチドおよびペプチド薬剤は、かかる物質の例である。センスおよびアンチセンス方向で特定のタンパク質をコードするオリゴヌクレオチドDNAまたはメッセンジャーRNA配列を使用することもできる。例えば、タンパク質の発現が望ましい場合、センスオリゴヌクレオチドは、細胞による取り込み、および発現を提供され得る。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、所定の遺伝子配列の発現を抑制するために放出され得る。移植片は、物質がマトリックス内、マトリックスの外側、またはその両方に含まれる細胞に影響を及ぼすように設計することができる。
本発明のマトリックスの特定の性質を研究および定量化するための方法が幾つか存在する。コラーゲンベースのマトリックスに関する繊維径および孔寸法(多孔率)は、例えばUTHSCSA ImageTool 2.0(NIH Shareware)でデジタル化および分析されるSEM顕微鏡写真により求めることができる。多孔率とは異なる性質である水浸透性もまた、標準的な方法を用いて研究され得る。原子間力顕微鏡検査はまた、
周囲液体または気体環境で、広範囲の温度にわたって、生物学的検体の表面トポグラフィの三次元画像を作成するのに使用することができる。このツールにより、マトリックス構成成分間の関係および相互作用を決定することが可能となる。構築物組成物分析としては、例えば構築物間質空間による細胞分布の度合いを決定するための組織学分析を挙げることができる。この分析を助長するために、任意の既知の細胞染色技法(例えば、ヘマトキシリンおよびエオシン、ならびにマッソン三色)を用いて細胞を染色してもよい。細胞の細胞増殖活性は、例えばDNA合成を活発に受ける細胞に組み込まれる標識で生合成的に細胞を標識し(例えば、ブロモデオキシウリジンを用いて)、かつ細胞が核分裂を受ける程度を決定するための抗標識抗体を用いることで研究することができる。細胞密度は、例えば、既知の技法を利用して酵素消化試料中のDNAの量を測定することで求められ得る。細胞によるコラーゲンマトリックスの分解または再構築の度合いは、例えば細胞からのマトリックスメタロプロテイナーゼの発現および活性を測定することで求められ得る。電気処理されたコラーゲンマトリックス中の細胞の機能性を測定するための方法の1つは、組織の様々な生理学的指標の特性を測定することによるものである。例えば、構築物の収縮性を決定するために、筋細胞を、電気信号で刺激してもよく、あるいは化学的作用物質または薬剤(例えばカルバコール)で攻撃してもよい。内分泌構築物での細胞機能は、所望のホルモン産生を測定することで決定することができる。上述の列挙は、包括的でなく、現存の方法用いて、組織およびマトリックスを特性化する際に、多数のパラメータおよび指標を使用することができることは当業者に理解されよう。
電気処理されたコラーゲン組成物の製造方法
電気処理
電気処理されたコラーゲン組成物を作製する方法は、コラーゲンを電気処理することと、任意に他の材料、物質、またはその両方を電気処理することとを包含するが、これらに限定されない。上記に定義するように、電気スピン、電気スプレー、電気エアロゾル、電気スパッタ、またはそれらの任意の組合せのような1つまたはそれ以上の電気処理技法を使用して、本発明の組成物における電気処理されたコラーゲンおよびマトリックスを作製してもよい。最も基本的な意味では、材料を電気処理するための電気処理装置は、電着機構および標的基体を含む。電着機構は、電気処理または電着されるべき1つまたはそれ以上の溶液を保持するリザーバ(単数または複数)を包含する。リザーバ(単数または複数)は、リザーバから溶液の流動を可能とするための少なくとも1つの開口部またはノズルを有する。「開口部」および「ノズル」という用語は、全体にわたり使用されているが、これらの用語は限定することを意図するものではなく、電気処理中に溶液が流動し得る場所を総称して指す。1つまたはそれ以上のノズルが、電気処理装置中に配置されてもよい。複数のノズルが存在する場合、各ノズルが、同じかまたは異なる溶液を含有する1つまたはそれ以上のリザーバに取り付けられる。同様に、同じかまたは異なる溶液を含有する複数のリザーバに接続された単一ノズルが存在し得る。複数のノズルが単一リザーバに接続し得る。種々の実施形態が単一もしくは複数のノズルおよび/またはリザーバを包含することから、1つもしくは複数のノズルまたはリザーバに関する本明細書中での任意の言及は、単一ノズル、リザーバ、および関連装置を包含する実施形態、ならびに複数のノズル、リザーバ、および関連装置を包含する実施形態について言及するものとみなされるべきである。ノズルのサイズは、ノズルからの溶液の増加または減少された流れを提供するのに変更させることができる。リザーバに接続して使用される1つまたはそれ以上のポンプは、リザーバからノズル(単数または複数)まで流れる溶液流を制御するのに使用することができる。ポンプは、電気処理中に種々の点で流れを増加または減少するようにプログラムすることができる。本発明では、ポンプは必ずしも必要ではないが、材料が処理用電場へ送達される速度を制御する有用な方法を提供する。エアブラシのようなデバイスを用いた予め形成したエアロゾルとして材料を活発に電場へと送達することができ、それにより電着速度を増加して、材料の新規組合せを提供することができる。ノズルは、同時に、または順次、材料を送達するようにプログラムしてもよい。
電気処理は、開口部または標的のいずれかでの電荷の存在により生じ、他のものは接地されている。幾つかの実施形態では、ノズルまたは開口部が帯電しており、標的は接地されていることがわかっている。電気処理技術分野の当業者は、ノズルおよび溶液を接地させることができ、標的を帯電させることができることを認識するであろう。電気処理された組成物を形成する、電場の創出、および電気処理された材料または物質に対する電場の影響は、電荷が溶液で見出されようと接地標的で見出されようと生じる。異なる実施形態では、標的とノズルまたは材料供給源との間の空間は、空気または選択ガスを含有することができる。様々な実施形態では、空間は、真空下、または大気圧以下もしくは正常な大気圧以上で維持することができる。電気処理で使用される溶媒は通常、プロセス中に蒸発する。これは、電気処理された材料が乾燥していることを保証することから好適であるとみなされる。水または他の揮発性の低い溶媒を使用する実施形態では、電気処理は、蒸発を助長するために、真空または他の制御雰囲気(例えば、アンモニアを含有する雰囲気)中で任意に行われてもよい。電気処理は、重力に関して様々な方向に配向させることができるか、あるいは無重力環境で行うことができる。
基体は、電気処理された組成物を作製するのに使用される材料を電気処理する際に可変性形体として使用することができる。具体的には、標的は、電気処理されたマトリックスを作製するのに使用される材料に関する実際の基体であり得るか、電気処理されたマトリックス自体に堆積される。あるいは、基体は、標的とノズルとの間に配置され得る。例えば、ノズルと標的との間にペトリ皿を配置させることができ、マトリックスは、皿に形成され得る。他の変形としては、ノズルと標的との間の非粘着性表面、および標的とノズルとの間に組織または手術領域を置くことが挙げられるが、これらに限定されない。また標的は、具体的には、予め選定したパターンに沿って帯電することができるか、または接地させることができ、その結果開口部から流れる溶液は、特定方向へと誘導される。電場をマイクロプロセッサにより制御して、所望の構造を有する電気処理されたマトリックスを創出することができる。標的およびノズル(単数または複数)は、互いに関して移動可能であるように設計することができ、それにより形成されるべき電気処理されたマトリックスの構造に対するさらなる制御可能とする。全プロセスは、特定の予め選定した電気処理されたマトリックスを得る特定のパラメータを用いてプログラムされるマイクロプロセッサにより制御することができる。任意の電気処理技法を、単独でまたは別の電気処理技法と併用して使用して、本発明の組成物を作製してもよいことが理解されよう。
電気処理されたコラーゲンの形態としては、懸濁液または溶液、ゼラチン、微粒子懸濁液、または水化ゲル中の予め処理したコラーゲンが挙げられるが、これらに限定されない。フィブリンも電気処理される場合、例えば電場にフィブリンゲルを押出すために背後に圧力ヘッドを備えたシリンジまたはエアブラシ装置を用いることで、圧力をかけることで電気処理された予め形成されたゲルとして用いられ得る。概して、電気処理技法、特に電気スピンニング法を用いて繊維を生産する場合、形成されるべきポリマー繊維のモノマーを使用することが好ましい。幾つかの実施形態では、微細フィラメントを生産するためのモノマーを使用することが望ましい。他の実施形態では、マトリックスに材料強度を付加し、物質を組み込むためのさらなる部位を提供するための部分的繊維を包含することが望ましい。ゼラチン形態のコラーゲンのようなマトリックス材料を使用して、材料の溶解する能力を改善してもよい。酸抽出方法は、モノマーサブユニットの構造を維持するためにかかるゲルを調製する際に使用することができる。続いて、ユニットは、モノマーの構造を変更するために、酵素で処理することができる。
2つの材料を組み合わせて、第3の材料を形成する実施形態では、これらの構成成分を含有する溶液を、電気処理手順において開口部から流す直前に一緒に混合することができる。このようにして、第3の材料は、まさしく細繊維または微小液滴が電気スピンニングプ
ロセスで形成されるように形成する。あるいは、かかるマトリックスは、マトリックス材料を形成することができる分子を電子スプレーすることで、湿気のあるもの、そうでなければマトリックスの形成が電場内にフィラメントを形成するのを可能するのに必要な他の分子の制御雰囲気で形成することができる。
あるいは、2つ以上のマトリックス材料を組み合わせて、第3のマトリックス材料を形成する実施形態では、マトリックス材料は、互いと合わせて、または互いを別個に電気処理することができる。幾つかの望ましい実施形態では、これは、所望の時間まで2つの分子が第3を形成するのを可能としない条件下で行われる。これは、幾つかの方法で達成することができる。あるいは、分子は、PEOまたはコラーゲンのような他の合成もしくは天然ポリマーのようなキャリアと混合することができる。キャリアは、反応物が開始されるまで、所定の位置に反応物を保持するように作用する。
上述のように、キャリアは、マトリックス材料と併用することができることが理解されよい。細胞外マトリックスタンパク質のような種々の材料、および/または物質は、PEGまたはフィラメントを形成する他の既知のキャリアと混合することができる。例えばフィブリノーゲンおよびコラーゲンは、PEGまたはフィラメントを形成する他の既知のキャリアと混合することができる。これは、「ヘアリー(hairy)フィラメント」を生じ、そのヘアーはコラーゲン、フィブリン、または他のマトリックス材料である。「ヘアー」は、周囲のマトリックスキャリアをゲルへと架橋するか、または免疫グロブリンのようなマトリックスキャリア内の物質と細胞が相互作用する反応性部位を提供する。このアプローチは、マトリックスを形成するか、または通常ゲル化しない分子をゲル化するのに使用することができる。
あるいは、電気処理されたコラーゲンは、シートを形成するためにスパッタリングすることができる。シートを形成する他の分子としては、PGA、PLA、PGAおよびPLAのコポリマー、コラーゲン、ならびにフィブロネクチンが挙げられる。幾つかの実施形態では、シートは、組み合わせて第3の材料を形成することができる2つ以上の材料ととともに形成される。このシートは、第3の材料への変換を可能とする湿潤環境に置くことができる。
所望の結果を得るためになされ得る複数の装置の変化および変形に加えて、同様に、電気処理されたコラーゲン溶液を変化させて、異なる結果を得ることができる。例えば、材料が溶解しているか、懸濁されているか、そうでなければマトリックスのプロセスまたは安全な使用に対する有害な影響なく組み合わせられる任意の溶媒または液体を使用することができる。材料、または材料を形成する化合物を、他の分子、モノマーまたはポリマーと混合して、所望の結果を得ることができる。幾つかの実施形態では、溶液の粘度を改質するためにポリマーを添加する。さらなる別の実施形態では、複数のリザーバを使用する場合、それらのリザーバ中の成分を別個にまたはノズルで連結して電気スプレーして、その結果様々なリザーバ中の成分が、溶液の電場への流動と同時に互いに反応することができる。また、複数のリザーバを使用する場合、異なるリザーバ中の異なる成分は、処理期間中一時的に同調させることができる。これらの成分は物質を含んでもよい。
電気処理されたコラーゲン自体に対する変更を包含する実施形態は、本発明の範囲内である。幾つかの材料は、例えばそれらの炭水化物プロフィール、あるいははタンパク質、ペプチドまたはポリペプチドのアミノ酸配列を変更させることで直接変更させることができる。また、化学的架橋のような既知の技法を用いて、あるいは特定結合性相互作用により、電気処理前、電気処理中または電気処理後に、マトリックス材料に他の材料を結合することができる。さらに、プロセスの温度および他の物理特性を変形させて、異なる結果を得ることができる。マトリックスを、圧縮または伸張して、新規材料特性を生じさせても
よい。さらなる化学変化が可能である。
異なるポリマー溶液および/または異なるタイプおよび量の物質(例えば、成長因子)を有する同じ溶液の複数のジェットを用いた電気処理を使用して、迅速なスクリーニング用の生体材料のライブラリーを調製することができる。かかるライブラリーは、医薬品、先端材料、およびスクリーニングされ得る化合物の大量(例えば、ライブラリー)の迅速な調製用のコンビナトリアル合成技法を用いた触媒産業で望まれている。例えば、放出される成長因子の最小量、および特定型の細胞の分化を促進するため繊維性コラーゲン足場からの最適放出速度は、本発明の組成物および方法を用いて研究することができる。他の変数としては、コラーゲンの種類、および繊維直径が挙げられる。電気処理は、並行して細胞を培養して、期待できる細胞成長基質として作用する選択組成物を決定するために研究することができる試料アレイへの接近を容認する。
様々な有効な条件を用いて、コラーゲンマトリックスを電気処理することができる。以下に好ましい方法を記載するが、同じ結果を達成するために他のプロトコルに従うことができる。コラーゲン繊維を電気スピンニングする際の図3を参照すると、マイクロピペット10に、コラーゲンを含有する溶液を充填して、接地標的11、例えばRCCSバイオリアクタの中心円筒体内部に位置する金属接地スクリーン上に吊り下げる。この実施形態は、材料の供給源として作用する2つのマイクロピペットを包含するが、本発明は、たった1つの供給源、または3つ以上の供給源を包含する実施形態を包含する。微細ワイヤ12を溶液中に入れて、各ピペット先端13にて高電圧へと溶液を帯電させる。各溶液および装置配置に関して決定した特定電圧で、各ピペット先端中で懸濁した溶液を接地標的に向かって誘導する。この材料流14は、例えばコラーゲンが材料である場合、連続フィラメントを形成し得て、接地標的に到達すると、収集および乾燥して、電気処理されたコラーゲン繊維の三次元の超薄型相互接続マトリックスを形成する。反応条件に応じて、単一連続フィラメントが形成されて、不織マトリックスで堆積される場合がある。
上述のように、電気処理技法および物質の組合せが幾つかの実施形態で使用される。図4を参照すると、マイクロピペット先端13はそれぞれ、異なる材料または物質を含有するマイクロピペット10に接続されている。マイクロピペットは、接地標的11上に吊り下げる。さらに、微細ワイヤ12を用いて溶液を帯電させる。マイクロピペットの1つは、コラーゲン繊維14流を生じる。別のマイクロピペットは、電気スピンニングされたPLA繊維16流を生じる、第3のマイクロピペットは、細胞の電気エアロゾル17を生じる。第4のマイクロピペットは、PLA液滴の電気スプレー18を生じる。マイクロピペットは同じ電圧供給15に取り付けられるが、PLAは、溶液中のPLA濃度の変動により第4のマイクロピペットから、電気スピンニングではなく電気スプレーされる。あるいは、異なる電位の印加により、使用されるべき電気処理方法を変化させるのを可能にするために、各マイクロピペットに別個の電圧供給(図示せず)を取り付けることができる。
同様に、今度は図5を参照すると、コラーゲン材料を、接地基体11に関して異なる角度で配置された、2つのマイクロピペットの一方から電気スピンニングしたコラーゲン繊維19、および他方のマイクロピペットから電気スプレーしたコラーゲン液滴20として適用することができる。さらに、マイクロピペット先端13は、様々な濃度の材料を含有するマイクロピペット10に取り付けられ、したがって、微細ワイヤ12により、同じ電圧供給15を用いるにもかかわらず、異なるタイプの電気処理流を生じる。
最小電流がこのプロセスに関与し、したがって、電気処理、この場合電気スピンニングは、電流が手順中に溶液の温度上昇をわずかに引き起こすか、または全く引き起こさないため、電気処理された材料されるコラーゲンまたは他の材料を変性させない。溶融電気スピンニングでは、材料の溶融に伴う温度上昇がいくらか存在する。かかる実施形態では、材
料または物質が、変性するか、そうでなければそれらに損傷を与えるかまたは傷める温度に暴露しないことを保証する注意を働かせる。
電気エアロゾル処理プロセスを用いて、材料の電気処理された液滴の高密度のマット様マトリックスを生産することができる。電気エアロゾルプロセスは、手順中に、電気処理された材料を形成する低濃度のマトリックス材料または分子を利用する点で、電気スピンニングプロセスの変法である。ノズルの帯電先端で繊維または単一フィラメントのスプレーを生産する代わりに、小滴が形成される。次に、これらの液滴は帯電先端から基体へと移動して、融合液滴から構成されるスポンジ様マトリックスを形成する。幾つかの実施形態では、液滴は、直径10ミクロン未満である。他の実施形態では、「線上ビーズ(beads on a string)」のような、液滴とともにフィブリルから形成される構築物が生じてもよい。液滴は、ポリマーおよび溶媒に応じて、100ナノメートルから10ミクロンのサイズの範囲であり得る。
初期に記載した電気スピンニングプロセスと同様に、電気エアロゾルプロセスは、様々な有効条件を用いて実施することができる。例えば図5に示すような、電気スピンニングプロセスで使用されるのと同じ装置が、電気エアロゾルプロセスに利用される。電気スピンニングとの違いとしては、マイクロピペットリザーバ中の溶液中に入れるマトリックス材料を形成する材料もしく物質の濃度、および/または液滴流を創出するのに使用される電圧が挙げられる。
溶液中の材料または物質の濃度の変化は、ピペットの先端からの液滴の形成および流動を獲得するための特定電圧の変更を要することを、当業者は理解するであろう。
電気処理プロセスは、これらの方法を用いて作製される電気処理された組成物電気処理された組成物の任意の所定の用途に関する特定要件を応じるように操作することができる。一実施形態では、マイクロピペットは、接地基体に関してx面、y面およびz面を移動する枠中に配備することができる。マイクロピペットは、接地基体、例えば管状心軸の周囲に配備することができる。このようにして、マイクロピペットから流動される材料を形成する材料または分子は、特異的に狙いをつけることができるか、またはパターンを形成することができる。マイクロピペットは手動で移動させることができるが、マイクロピペットが配備される枠は、好ましくは特定マトリックスを作製する人物により規定されるべきコラーゲンの流動パターンを可能とするマイクロプロセッサおよびモータにより制御される。かかるマイクロプロセッサおよびモータは、当業者に既知である。例えば、マトリックス繊維または液滴は、特定方向に配向され得るか、それらは層状であり得るか、またはそれらは完全にランダムであり配向されないようにプログラムされ得る。
電気スピンニングプロセスでは、流れ(単数または複数)は、分岐して繊維を形成することができる。分岐度は、電圧、接地構造、マイクロピペット先端から基体までの距離、マイクロピペット先端の直径、および電気処理された材料を形成する材料または化合物の濃度が挙げられるが、これらに限定されない多くの要素により変化させることができる。上述のように、すべての反応条件およびポリマーが、単一連続フィラメントが生産される条件下で、真のマルチフィラメントを生産するわけではない。材料および様々な組合せはまた、それらをエアロゾル処理させるデバイスからの電場に材料を注入することで、システムの電場に送達され得る。このプロセスは、電圧(例えば、0〜30,000ボルトの範囲)、マイクロピペットの先端から基体までの距離(例えば、0〜40cm)、マイクロピペット先端と標的の相対位置(すなわち、上、下、横等)、およびマイクロピペット先端の直径(約0〜2mm)が挙げられるが、これらに限定されない多くの要素のより変更することができる。これらの変数の幾つかは、微細繊維織布を電気スピンニングする技術分野の当業者には既知である。
接地標的の構造は、所望のマトリックスを生産するように変更することができる。例えば平面または線状または複数点接地を有する接地基体を変化させることで、流動材料の方向を変更して、特定の用途にカスタマイズすることができる。例えば、一連の平行線を含む接地標的を使用して、特定方向に電気スピンニングされた材料を配向させることができる。接地標的は、円筒状心軸であってもよく、それにより管状マトリックスが形成される。最も好ましくは、接地は、特定の接地構造にプログラムされる特定接地構造を指示するマイクロプロセッサにより制御され得る可変表面である。あるいは、例えば、接地は、コラーゲンを流動させる固定マイクロピペット先端に関して、x面、y面およびz面で移動する枠上に配備され得る。
材料が流動されるか、スプレーされるか、またはスパッタリングされる基体は、接地標的自体であり得るか、またはそれは、マイクロピペット先端と接地標的との間に配置され得る。基体は、特異的な形状、例えば神経誘導、皮膚パッチ、膜鞘(fascial sheath)、またはin vivoでの続く使用のための血管移植片であり得る。電気処理された組成物は、充填されるべき欠陥または部位に適合する形状を成し得る。例としては、腫瘍を除去した部位、皮膚中の外傷部位(切断、生検部位、孔または他の欠陥)、および骨の欠落部分または粉々の部分が挙げられる。電気処理された組成物は、物質送達に有用な形状、例えば皮膚パッチ、摂取用ロゼンジ、腹腔内移植片、皮下移植片、ステント内層または外層、心臓血管弁、腱、角膜、靭帯、歯科用プロテーゼ、筋移植片、または神経誘導へと造形してもよい。電気処理は、大きな融通性を可能として、必要とされる事実上任意の形状へと構築物をカスタマイズすることを可能とする。多くのマトリックスは、それらを事実上任意の形状に成形させるのに十分融通性がある。マトリックスを造形する際に、例えばヒートシーリング、化学的シーリング、および機械的圧力の印加、またはそれらの組合せにより、マトリックスの一部を封止してもよい。ヒートシーリングの例は、マトリックスの2つの部分間の架橋を形成するための本明細書中に記載する架橋技法の使用である。シーリングはまた、造形マトリックス中の開口部を閉鎖するのにも使用され得る。縫合もまた、マトリックスの部分を互いに結合するために、またはマトリックス中の開口部を閉鎖するのに使用され得る。合成ポリマーの含入は、マトリックスがヒートシーリングされる能力を増強することが観察された。
電気処理、特に電気スピンニングおよび電気エアロゾル処理の他の変形としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:
1.異なる溶液を使用して、2つ以上の異なる繊維または液滴を同時に生産すること(繊維または液滴アレイ)。この場合では、単一構成成分溶液は、別個のリザーバに維持され得る。
2.同じリザーバ(複数可)中の混合溶液(例えば、細胞、成長因子、またはその両方のような物質と一緒の材料)を用いて、電気処理された材料ならびに1つまたはそれ以上の物質(繊維組成物「ブレンド」)から構成される繊維または液滴を生産すること。非生物学的であるが、生物学的適合性物質を生物学的分子と混合することができる。
3.異なる溶液または同じ溶液に関して印加される複数の電位を利用すること。
4.2つ以上の構造的に異なる接地標的(すなわち、大小のメッシュスクリーン)を供給すること。
5.接地標的の前に金型または心軸または他の非接地標的を置くこと。
6.標的上にテフロン(登録商標)のような作用物質を適用して、標的から電気処理された材料を除去するのを容易にすること(すなわち、電気処理された材料が標的にくっつかないように、材料をより滑りやすくする)。
7.複数の電気処理方法を用いて適用される材料を包含する電気処理された材料を形成すること。例えば、同じ組成物中の電気スピンニングした繊維および電気エアロゾル液滴は、所望の特定構造に依存して、適用によっては有益であり得る。この繊維と液滴の組合せは、同じマイクロピペットおよび溶液を使用して、電荷を変化させることで、接地基体からの距離を変化させることで、リザーバ中のポリマー濃度を変化させることで、複数のマイクロピペット(幾つかは繊維流動用、他のものは液滴流動用)を使用することで、あるいは当業者に想定される方法の任意の他の変形により得ることができる。繊維および液滴は、層状であり得るか、または同じ層中に一緒に混合され得る。複数のマイクロピペットを包含する用途では、マイクロピペットは、標的に関して、同じかまたは異なる方向および距離で配置させることができる。
8.複数の標的を使用すること。
9.電気処理中に標的または心軸を回転して電気処理された材料を特定の極性または配列を有するようにする。
これらの変形はすべて、広範な電気処理された材料および物質を生産するために、別個にまたは組み合わせて実施することができる。
電気処理された材料の様々な特性は、それら内に懸濁および成長させるべき細胞の必要性および仕様に従って調製することができる。例えば多孔性は、電気処理された材料およびマトリックスを作製する方法に従って変化させることができる。例えば特定のマトリックスを電気処理することが、繊維(液滴)サイズおよび密度により変化させることによりできる。マトリックス中で成長させるべき細胞が、栄養流および廃棄物排除の大量の取り扱いを要する場合、緩いマトリックスを創出することができる。他方で、作製される組織が非常に高密度環境を要する場合、高密度マトリックスを設計することができる。多孔性は、塩または他の抽出可能な作用物質を混合することで操作することができる。塩の除去は、マトリックス中の規定サイズを有する孔を残すであろう。
電気処理されたコラーゲンの一実施形態では、適切なおおよその範囲は、電圧(0〜30,000ボルト、pH7.0〜8.0、温度20〜42℃、およびコラーゲン0〜5mg/mlである。コラーゲンを電気処理するための一実施形態は、標的からの距離127mm、シリンジポンプ速度10ml/hrで、25kVでシリンジから電気処理される、HFIP中に溶解したI型コラーゲン(carfskin)の酸抽出物0.008g/1.0mlの濃度のコラーゲンを使用する。この濃度では、コラーゲンは、電気スピンニングの任意の証拠(繊維形成)を示さず、入力電圧に関係なく、ポリマー溶液は、シリンジ先端から、電気スプレー処理された液滴および漏出を形成した。エラスチンに関する一実施形態は、250mg/mlの濃度で、70%イソプロパノール/水中に溶解した項靱帯由来のエラスチンを使用する。続いてこの溶液を攪拌して、確実に混合して、1mlシリンジに充填する。いったん充填されれば、シリンジをシリンジポンプ上に配置させて、10ml/hrの流速に設定する。心軸をシリンジ先端から7インチにところに配置させ、選択速度で回転させる。次に、ポンプおよび電源を入れて、電圧を24,000キロボルトに設定する。様々な特性を有する電気処理されたコラーゲンマトリックスは、pHを移動すること、イオン強度を変化させること(例えば、有機塩の添加)、あるいはさらなるポリマー基質または陽イオン性材料を添加することで操作することができる。
物質を電気処理された材料と組み合わせる方法
物質は、様々な手段で電気処理されたコラーゲンと組み合わせることができる。幾つかの実施形態では、物質は、電気処理されたコラーゲンおよび他の材料から放出されるべき分子、またはそれらの内部に含有される分子を包含し、したがって、電気処理された材料のマトリックスに添加されるか、またはその内部に組み込まれる。物質は、電気処理用材料の溶媒キャリアまたは溶液中で混合することができる。この系では、材料は、様々な物質と混合されて、直接電気処理され得る。得られた電気処理されたマトリックスおよび物質を含む組成物は、特定部位に局所的に適用することができ、物質は、周囲の環境中で崩壊を被る材料の関数として、材料から放出され得る。物質はまた、拡散により、本発明の電気処理された組成物から放出されてもよい。
組み込まれた物質に関する電気処理されたコラーゲンおよび他の電気処理された材料の状態は左右され、系の化学により制御することができ、またマトリックス材料の選択、使用する溶媒(複数可)、およびこれらの溶媒中でのマトリックス材料の溶解性に基づいて変化する。これらのパラメータは、物質(または周囲の環境への他の要素)の放出を制御するように操作することができる。電気処理された材料に組み込まれるべき物質が材料と混和性でない場合、異なる構成成分用の別個の溶媒リザーバを使用することができる。したがって、コラーゲン溶液と混和性でない物質は、電気処理される他の材料のための溶媒キャリア中に、たとえば別個のリザーバからのコラーゲンとともに混合することができる。かかる実施形態での混合は、標的への堆積前に、堆積中に、および/または堆積後に、あるいはそれらの組合せで行われる。物質は、電気処理された材料内に封入または係合されてもよく、材料が電気処理を受ける前に材料に結合されてもよく、あるいはマトリックス材料内の特定部位に結合されてもよいことが理解されよう。
この実施形態の変形では、物質は、電気処理された材料から放出される1つまたはそれ以上の化合物を順次含有するアルギン酸塩のような化合物もしくはポリマーのマトリックスを含む粒子または凝集体である。薬剤または細胞などの物質は、例えばカルシウムの存在下でアルギン酸塩中で薬剤懸濁液または薬剤微粒子を組み合わせることで、アルギン酸塩と組み合わせることができる。アルギン酸塩は、カルシウムに暴露されると凝集体を形成する炭水化物である。凝集体は、薬剤を捕捉するのに使用され得る。凝集体は時間をかけて溶解し、アルギン酸塩中に捕捉された物質を放出する。粒子は、続いてより大きな電気処理されたマトリックス内に組み込まれ、生物学的適合性であるが、比較的安定であり、徐々に分解するであろう。幾つかの実施形態では、電気処理された材料は、一連の真珠のようである。これは、電気処理の物理的態様である。電気処理される材料の濃度が低い場合、ビーズの電気スプレー処理が行われる。濃度が増加するに連れ、幾つかのビーズおよび幾つかの繊維が存在する。電気処理される材料の濃度のさらなる増加は、大部分繊維を引き起こすか、または全て繊維を引き起こす。したがって、ひも上の真珠の概観は、遷移相である。
物質が電気処理されたマトリックス材料を結合しないか、またはそれと相互作用しない場合、薬剤をPGAまたはPLAペレット中に封入することができるか、あるいは電気スピンニングした材料中にペレットを生じるように電気エアロゾル処理することができる。いくつかの薬剤(例えば、ペニシリン)をこのようにして捕捉することができる。物質を含有するペレットまたは電気エアロゾル処理した液滴は、投与後に溶解し始めて、封入された材料を送達する。作用物質によっては、スピンニング前または後に、共有結合により、合成または天然ポリマーに結合させることができる。
他の実施形態では、物質は、電気処理される。物質は、電気処理中のコラーゲンおよび/または他の材料と同じ開口部から、または異なる開口部から電気処理され得る。物質はまた、材料と同じかまたは異なるタイプの電気処理を施すことができる。分子は、直接的に
または材料に対する親和性を有する分子への連結により、コラーゲンマトリックスで電気処理されたコラーゲンまたは他の材料に結合させることができる。この実施形態の例は、コラーゲンに対する親和性を有するヘパリンにポリペプチド物質を結合することを包含する。この実施形態は、例えば酵素的崩壊または加水分解的崩壊による材料の分解速度を制御することで、放出速度を制御することが可能である。
他の実施形態では、電気処理されたコラーゲンは、電着プロセス中に物質を封入することができる。これは、電気処理流の供給源および電気処理された材料に対する標的との間の空間中に物質を配置させることで達成することができる。供給源と標的との間の空間にかかる物質を置くことは、物質を、空気または他の気体中に浮遊させること、滴下すること、スプレーすること、または電気処理することが挙げられるが、これらに限定されない多数の方法により達成することができる。物質は、例えば、微粒子、エアロゾル、コロイド、または蒸気の形態で空間中に存在し得る。これらの実施形態では、電気処理された材料またはマトリックスは、物質を物理的に封入する。この実施形態はまた、より大きな粒子(例えば、細胞、巨大粒子、または錠剤)を被包するのに使用することができる。例えば、マトリックスが形成する際に錠剤がマトリックスへと滴下される場合、錠剤は、マトリックスで包まれる。マトリックスが形成される際に細胞のような小さな物体がマトリックスへと滴下されるか、マトリックス内部のエアロゾルに置かれる場合、物体は、フィラメント間、フィラメント内に捕捉され得るか、またはフィラメントの外側に取り付けられ得る。例えば、溶液中またはマトリックス内に物体を懸濁させることで、物体は、フィラメントの製造中に、電気スピンニングされたマトリックスの一部となり得る。あるいは、被包は、マトリックスが形成する際にマトリックス材料流中上に、またはマトリックス材料流へと物質を滴下することで行われ得る。したがって、物体は、電気処理された材料のマトリックスによって包まれるようになる。これらの実施形態は、溶解せず、かつ/または大きすぎて材料の生産に使用される溶媒中で懸濁液を形成することができない物質を、マトリックス物質の内部に組み込むのに使用することができる。例えば、ミストまたは蒸気形態では、供給源と標的との間の空間での物質の分布および組成を制御することを用いて、電気処理された材料の物理的および化学的特性、ならびに電気処理された材料中の物質の分布パターンを変更することができる。上述の実施形態全てに関して、物質は、カプセル、ベシクル、または続く放出用の他の容器中の電気処理された材料中に配置させることができる。溶媒キャリアは、フィラメントのような電気処理された材料が形成する際に電気処理技法で蒸発することが多いため、物質は、電気処理されたマトリックス内に配置されてもよく、溶媒毒性は、大いに減少されるか、または排除される。
多くの実施形態では、物質は細胞を含む。細胞を上述した任意の手段で電気処理されたコラーゲンマトリックスと組合わせて、マトリックスで小さな物体を組合わせることができる。細胞は、例えばコラーゲンを含有する溶液または他の液体中に懸濁され得るか、溶液と標的との間の領域に配置され得るか、あるいは電気処理前、電気処理中、もしくは電気処理後に別個の供給源から標的または基体に送達され得る。細胞は、マトリックスが標的上に堆積する際にマトリックスへと、マトリックス上へ滴下され得るか、電気処理された材料への細胞用送達系としてのエアロゾル内部に浮遊させ得る。細胞は、この方法で送達することができると同時に、マトリックスが形成される。例えば、心臓線維芽細胞は、1ミリリットル当たり細胞が約百万個の濃度で、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に懸濁させた。細胞の懸濁液は、Paascheエアブラシのリザーバ内に入れた。このタイプのデバイスを使用して細胞を送達する効率を試験するために、始めに細胞懸濁液を100mm培養皿上にスプレーした。細胞の幾つかが生き残り、皿に付着して、基層にわたって展開した。第2の試行では、培養皿をエアブラシからさらに離れたところに置いて、実験を繰り返した。皿上で細胞が観察された。それらは、衝突により平らになっているようにようであり、基層の表面にわたって部分的に展開していた。培地を皿に添加して、細胞をインキュベーターに入れた。1時間の培養後、細胞を再び点検して、その多くがさらに基
層にわたって展開しているのがわかった。これらの結果は、簡素なエアブラシデバイスを使用して、細胞をエアロゾル液滴に配置させて、要求に応じてそれらを所定の表面または部位に送達することができることを実証している。細胞生存度は、この技法を、技法で生じたせん断力に対して抵抗性である細胞に制限すること、細胞を和らげる添加剤を有する細胞懸濁液を開発すること、またはより薄層状の流れを生じるエアロゾル処理デバイスを精密化することで改善することができる。さらに、細胞エアロゾルをマトリックス材料へと誘導することは、標的または心軸間の空間中にマトリックスを形成することであり、電気処理される分子の供給源(複数可)は、細胞を和らげる効果を生じる。以下の主張に拘束されることを望まないが、細胞は、電気スピンニングまたは電気処理により生産されるフィラメントまたは他の本体のストーム(storm)に捕捉されて、心軸上へ引っ張られると考えられる。この状況は、細胞を固体表面上へ直接スプレーすることよりも、細胞にとって衝撃は少ないであろう。
幾つかの実施形態形態では、コラーゲン、および電気処理される他の材料が引き合わせる前またはそれと同時に、細胞が添加される。このようにして、細胞は、三次元マトリックス全体にわたって懸濁される。
フィラメントが標的とポリマー供給源との間の空間で生産される際に細胞を添加することができる。これは、標的上へ細胞を滴下すること、電気処理されたコラーゲンマトリックスが形成する際に細胞を電気処理されたコラーゲンマトリックスへ滴下すること、細胞をコラーゲンマトリックスへともしくは標的上へエアロゾル処理すること、あるいはコラーゲンマトリックスが凝集して接地標的付近もしくは接地標的上に形成する際に細胞をコラーゲンマトリックスへと電気スプレーすることにより達成される。別の実施形態では、形成中の電気処理された材料またはマトリックスへ細胞をスプレーするか、または滴下して、それにより電気処理された材料が供給源溶液と標的との間の空気間隙を横切る際に捕捉される。
電気処理されたコラーゲンに細胞を送達する代替的方法は、細胞への電気エアロゾル送達を包含する。細胞は、例えば標準的なポリスチレン培養皿上へ直接8kVで静電気的スプレーすることで堆積させることができ、静電気細胞スプレー処理は実行可能なアプローチであることを示唆する。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の心臓線維芽細胞は、最大20Kvの電位差で電気エアロゾル処理されてきた。別の例では、シュワン細胞(ラット)を一日後に、従来法によりPSペトリ皿上に電気スプレーした。シュワン細胞をまた、一日後に10kVで皿の裏側に金属接地平面を有するPSペトリ皿上に電気スプレーした。両方の試料が、一週後にほぼ集密にまで成長した。電気エアロゾルアプローチは、幾つかの明瞭な利点を提供する。第1に、送達相中に生じるせん断力(すなわち、エアロゾルの生産)は、細胞にとってかなり衝撃が少ないようである。第2に、エアロゾルの方向は、高度のファイデリティで制御することができる。本質的に細胞エアロゾルは、所定の表面上に塗布することができる。これにより、細胞が特定部位を標的とすることが可能である。電気エアロゾル送達では、細胞は、適切な媒質(例えば、培地、生理学的塩等)中に懸濁され、電圧を課せられ、接地標的に向かって誘導される。このプロセスは、電気処理、特に電気スピンニングで使用するプロセスに非常に類似している。このプロセスは、液滴が生産されて接地標的に誘導される際に、液滴内部に捕捉された細胞の微細ミストを生じる。
細胞は、エアロゾルおよび電気エアロゾル技法を用いて、電気処理されたコラーゲン上に送達され得る。細胞の電気エアロゾルは、電気処理用材料と平行に(すなわち、並んで)、または別個の部位から送達され得る。細胞は、電着プロセス中に空気間隙内に生産されるか、または標的に誘導されるフィラメントあるいは粒子のストームに送達され得る。細胞および電気処理された材料はまた、標的へ交互に送達され得る。すなわち、細胞および
電気処理された材料は、材料を電着させて、細胞をエアロゾル処理して、材料を電着させて、細胞をエアロゾル処理する。これにより、別個の層中の構築物の別個の層化が可能となる。さらに、蒸気供給源は、細胞を収集するのに使用される標的の心軸上へ水を誘導することで提供され得る。この水分を提供することは、処理中に細胞を脱水させないことで細胞生存度を改善する。細胞は、任意のエアロゾル戦略で、任意の時間で、または任意の方向性から電気処理されたコラーゲンに添加することができる。さらに、このプロセスの利点は一般に、例えばコラーゲンは標的心軸上に乾燥した状態で収集することである。したがって、コラーゲン用の幾つかの溶媒は毒性である場合があるが、それらは、フィラメントが標的上に集まる前に、系から失われる。
細胞はまた、エアロゾルを生産する前にキャリア内に捕捉され得る。例えば、細胞は、アルギン酸塩のような材料内部に被包され得る。被包細胞は、処理中のせん断および衝撃から物理的に保護される。この形態で電気処理された材料に送達される細胞は、スプレーされるか、または静電気的に播種される場合に、より高い生存度を有するであろう。
電気処理されたコラーゲンはまた、所望の位置に直接送達することができる。例えば、電気処理された材料は、分子もしくは細胞のような物質ありまたはなしで、皮膚創傷上に直接生産することができる。次にさらなる細胞または材料を創傷部位上へまたは創傷部位へエアロゾル処理することができる。他の手術部位もまた、様々な電着技法、またはこれらの方法の組合せを用いた材料の送達に順応し得る。
磁気的および電気的活性材料は、電気処理され得る(例えば電気スピンニングにより生産される電導性ポリマー繊維を調製することを含む)。さらに、電導性ポリマーは、例えばモノマー(例えば、ピロール)の組込み、続く重合開始剤および酸化剤(例えば、FeCl)による処理により、マトリックス中で原位置で調製することができる。最終的に電導性ポリマーは、例えばポリピロールまたはポリアニリンの電気化学的合成用の陽極としてマトリックス被覆導体を用いることで電気処理した後に、材料中で成長され得る。電気処理されるコラーゲンまたは他の材料を、ピロールまたはアニリンの水溶液へ添加して、封入された電気処理された材料形成化合物を伴って、陽極にて導電性ポリマーを創出することができ、続いてそれを他の化合物で処理して、材料の形成を起こすことができる。
物質を電気処理されたコラーゲンと組み合わせる2つ以上の方法を、単一実施形態または適用で使用することができる。組み合わせる方法は、電気処理されたコラーゲンが1つまたはそれ以上の物質を放出する実施形態で、さらに放出される物質が複雑な放出動態を有するように意図された場合で、特に有用であり得るが、かかる組合せは、これらの実施形態に限定されない。
電気処理された材料およびマトリックスの形状
本発明はまた、規定の形状を有するコラーゲン含有細胞外マトリックスを製造する方法を提供する。当該方法は、規定の形状を作製するように適合した金型を予め選定することと、電気処理技法を用いてコラーゲンまたはコラーゲン形成分子をこの金型に充填することとを包含する。実施形態の他の例では、当該方法は、規定の形状を作製するように適合した金型または心軸を予め選定することを包含し、ここで金型は接地標的基体を含み、マトリックスの形状は、心軸の外側寸法により左右される。したがって、1つまたはそれ以上の、コラーゲンまたはコラーゲンを形成することが可能な分子を含む帯電溶液を、基体上にコラーゲンを堆積させるのに効果的な条件下で、接地標的基体上に流動させて、規定の形状を有する細胞外マトリックスを形成する。基体上に流動されるコラーゲンは、電気スピンニングされた繊維、または電気スプレー処理した液滴を包含し得る。次に、基体の形状を有する形成されたマトリックスを硬化させて、心軸から取り外すことが可能である。基体は、特異的な形状、例えば神経誘導、皮膚または筋肉パッチ、膜鞘(fascial
sheath)、椎骨板、膝半月板、靭帯、腱、またはin vivoでの続く使用のための血管移植片であり得る。コラーゲンマトリックスは、充填されるべき欠陥または部位に適合する形状を成し得る。例えば、腫瘍を除去した部位、皮膚中の外傷部位(切断、生検部位、孔または他の欠陥)、または骨の欠落部分または粉々の部分を再現すなわち元に戻すために。電気処理は、大きな融通性を可能として、必要とされる事実上任意の形状へと構築物をカスタマイズすることを可能とする。幾つかの好ましい例としては、円筒形状、平らな楕円形形状、長方形エンベロープ形状(例えば、封筒)、または任意の他の形状が挙げられる。コラーゲンは、事実上任意の形状に形成することができる。袋状器官にような複雑な形状を形成することができる。基盤の全体の三次元構造形状は、生体操作され得る組織の最終設計および型により決定される。
特異的に造形された金型を調製する方法が幾つか存在する。例えば、置換されるのが望ましい特定タイプの器官または組織は、生検部位または悪性黒色腫を発見した後に除去される広範囲に付随する広い頭皮領域に適合する皮膚パッチのような特定形状を有する。当該形状は、当該形状を模倣するように設計された金型内部で複製および創出される。この金型を、この金型にコラーゲンを電着させることで充填することができる。このようにして、コラーゲンマトリックスは、金型形状を正確に模倣する。特定の形状を有する細胞外コラーゲンマトリックスを創出することは、新規器官を創出するのに非常に重要であり得る。マトリックスの形状は、特定の様式で分化するために、コラーゲンマトリックスに播種された細胞を誘導することができる。成長因子または他の物質は、本明細書中の他の箇所に記載するように組み込んでもよい。これは、より効果的でより天然状の器官または組織が創出される結果をもたらす。細胞のような所望の物質を充填されるべき中空マトリックス、または中空器官もしくは構造物を置換するべき中空マトリックスも作製することができる。密閉領域が望ましい円筒形状の生体操作基盤、または任意の他の形状の構築物に関しては、生体操作用基盤の一端を封止するために、縫合糸、膠、ステープル、またはヒートシール、あるいは幾つかの他の方法を使用してもよい。これにより、一端で閉じ、他端で開放した中空基盤を生じる。電着コラーゲン含有基盤は、今や細胞または他の材料で充填することができるか、あるいは細胞または他の材料を構築物の外側表面に配置させてもよい。例えば、電気処理手順からのコラーゲンの混合物、細胞などの他の材料、あるいは薬剤または成長因子などの分子を基盤内に配置させてもよい。構築物を材料で充填するのに使用したエンベロープの遊離した開放端は、密閉された生体操作用基盤を生産するために、縫合することができるか、膠接合することができるか、あるいはヒートシールすることができる。電気処理中に細胞を材料と混合することで、細胞がマトリックス全体にわたって分配される結果となり、その結果細胞は、ゲルに遊走する必要はない。しかしながら、上述のように電気処理されたコラーゲンは、浸潤を促進することがわかった。
さらなる造形は、形成されたマトリックスの手動加工により達成され得る。例えば、複数の形成されたマトリックスは、所望の形状を形成するために、縫合することができるか、密封することができるか、ステープルで留めることができるか、またはそうでなければ互いに取り付けることができる。あるいは、多くのマトリックスの物理的融通性により、マトリックスを所望の構造に手動で造形することが可能である。
電気処理されたコラーゲンならびに他の電気処理された材料および物質の分布パターン
本発明の多くの実施形態は、電気処理された材料内の電気処理されたコラーゲンおよび/または物質のパターンまたは分布を操作する手段を包含する。例えば、電気処理用標的はまた、予め選定したパターンに沿って、特異的に帯電され得るか、または接地され得て、その結果標的に対して流動された電気処理された材料は、標的もしくは基材上に特定方向または分布に誘導される。電場はマイクロプロセッサで制御して、所望の構造を有するマトリックスを創出することができる。標的および電気処理用ノズル(単数または複数)は、互いに関しておよび標的に対して移動可能であることができ、それにより形成されるべ
き電気処理された材料の構造に対するさらなる制御を可能にする。物質が電気処理される実施形態では、この操作はまた、電気処理された材料内での物質の分布を制御することを可能とする。例えば、電気処理されたコラーゲンマトリックスは、心軸上で調製することができ、別個のリザーバからの物質が、現存するマトリックスにわたって特定パターンで、スプレー、滴下、電気処理され得る。これはまた、ある供給源からのマトリックスおよび別の供給源からの物質を同時に電気スプレーすることで達成することができる。この例では、マトリックス供給源は、固定されていてもく、物質供給源は、標的心軸に関して移動される。
かかるパターンの確立を可能とする他の形態としては、同じかまたは異なる材料の複数層を堆積する能力、異なる電気処理方法の組合せ、電気処理用の異なる内容物を用いた複数の開口部の使用、および物質を材用と組み合わせる多数の方法の存在が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、物質の勾配は、電気処理された材料に沿って創出することができる。例えばマトリックスが円筒状構築物へと造形される実施形態では、勾配は、構築物の長軸(左側から右側へ)または垂直軸(内側から外側へ)に沿って作成することができる。この配置を用いて、指定部位内への細胞の移動を誘導するための化学誘引物質勾配を提供する。したがって、例えば、血管新生作用物質がコラーゲンベースの構築物に沿った垂直軸勾配で調製される実施形態では、その作用物質は、材用のシートの背面上に凝集され得る。腹面側が創傷に対して置かれることができ、構築物の背面上のより高濃度の血管新生材料は、電気スピンニングされた材料へと内皮細胞の遊走を増加するであろう。また複雑なパターンを有する実施形態は、任意に1つまたはそれ以上の物質ととともに、1つまたはそれ以上の電気処理されたポリマーの特定の予め選定した電気処理パターンを獲得するために、特定パラメータでプログラム化したマイクロプロセッサを使用することができる。
電気処理されたコラーゲン材料のさらなる処理
電気処理されたコラーゲンおよび他の電気処理された材料は、様々な特性に影響を及ぼすようにさらに処理してもよい。幾つかの実施形態では、電気処理された材料は架橋される。幾つかの実施形態では、架橋は、構造剛性を増加し、続く電気処理された材料の溶解を遅延させることで、例えば電気処理された材料が分解する速度、またはマトリックス内に含まれる物質が電気処理された材料から放出される速度を変更させる。電気処理されたコラーゲンおよび他の材料は、架橋剤の存在下でそれらを形成することによりそれらの形成と同時に架橋され得るか、または電着後に架橋剤で処理され得る。架橋材料に関する当業者に既知の任意の技法を使用してもよい。技法の例としては、架橋剤の適用、および特定の架橋照射の適用が挙げられる。1つまたはそれ以上のタンパク質と連携する架橋剤の例としては、アルデヒド(例えば、グルタルアルデヒド)のような縮合剤、カルボジイミドEDC(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル))、光の特定波長に暴露すると架橋する感光性物質、四酸化オスミウム、カルボジイミド塩酸塩、およびNHS(n−ヒドロキシスクシンイミド)、および第XIIIa因子が挙げられるが、これらに限定されない。グルタルアルデヒドは、コラーゲンにとって望ましい架橋剤である。紫外線照射は、幾つかの実施形態でマトリックス材料を架橋するのに使用される照射の一例である。天然材料を他の天然材料と架橋することができる。例えば、コラーゲンは、フィブロネクチンおよび/またはヘパリン硫酸の添加により架橋および/または安定化され得る。幾つかのポリマーに関して、熱を使用して、マトリックスを変更させて、構築物の隣接する構成成分を融合することでマトリックスの要素を架橋することができる。別の例では、コラーゲンは、細胞要素により媒介される天然プロセスを用いて架橋してもよい。例えば、電気スピンニングされたコラーゲンは、リシルオキシダーゼ酵素カスケードにより架橋することができる。合成ポリマーはまた、部分的に可溶化させて、物質の構造を変更させてもよく、例えばアルコールまたは塩基に対する幾つかの合成物の短時間の暴露は、隣接するフィラメントを部分的に溶解して、ともにアニーリングすることができる。ポリマーによ
っては、化学的融合または熱融合技法を用いて架橋してもよい。合成ポリマーは概して、高エネルギー照射(例えば、電子ビーム、γ線)を用いて架橋させることができる。これらは通常、ポリマー骨格上のフリーラジカルの創出で作用し、続いて結合し、架橋をもたらす。骨格フリーラジカルはまた、熱または光の存在下で、過酸化物、アゾ化合物、アリールケトン、および他のラジカル生産化合物により発生され得る。ラジカルを生産する酸化還元反応(例えば、遷移金属塩の存在下での過酸化物)も使用することができる。多くの場合では、ポリマー骨格または側鎖上の官能基は反応して、架橋を形成することができる。例えば、多糖類は、ジアリールクロリドで処理して、ジエステル架橋を形成することができる。架橋はまた、望ましい場合マトリックスの適用後に行われてもよい。例えば、創傷に適用されたマトリックスは、マトリックスの創傷への接着を増強するために、適用後に架橋されてもよい。
電気処理されたコラーゲン用の好ましい架橋剤の1つは、グルタルアルデヒドである。I型コラーゲン/III型コラーゲン/エラスチン(45:35:20)マトリックスを用いた幾つかの実施形態では、適切な条件下で少なくとも約10分間、グルタルアルデヒド蒸気にマトリックス暴露させることで、満足のいく度合いの架橋を提供した。一般に、グルタルアルデヒド架橋の間隔が長いほどマトリックスの安定性が増大するが、細胞浸潤は減少する。望ましい範囲は、約10〜約20分間の暴露である。暴露は、最上部が残存した状態の35cmペトリ皿の中心に最上部を取り出した滅菌10cmペトリ皿に置くことで作製されるガスチャンバを調製することで達成された。3%グルタルアルデヒド溶液およそ4mlを小さいほうの皿に入れ、コラーゲンマットを大きなほうの皿に縁に向かって入れた。3%グルタルアルデヒド溶液は、50%グルタルアルデヒドを蒸留水および0.2Mカコジル酸ナトリウム緩衝液と混合することで作製された。
さらなる物質は、例えば物質または物質を含有する溶液に電気処理された材料を浸漬することで、または電気処理された材料上へ溶液または物質をスプレーすることで、形成後に電気処理された材料に適用することができる。in vitroまたはin vivoで細胞と接触させて配置させたコラーゲンマトリックスは、マトリックスへ遊走する細胞により浸潤される。マトリックスに細胞を播種する任意のin vitro方法を使用することができる。例としては、例えば、米国特許第6,010,573号(Bowlin et al.)、米国特許第5,723,324号(Bowlin et al.)、および米国特許第5,714,359号(Bowlin et al.)に開示されるもののようなバイオリアクタの配置、あるいは静電的細胞播種技法の使用が挙げられる。電気処理されたマトリックスはまた、既知の滅菌方法で滅菌してもよい。例えば、電気処理された材料は、70%アルコール溶液に浸すことができる。別の好ましい滅菌方法は、コラーゲンベースの組織に関して既知の過酢酸滅菌手順である。
形成された電気処理された材料の物理的処理も可能である。電気処理されたマトリックスは、粉末に粉砕してもよく、または粉砕して、縞状フィブリルから構成される水化ゲルとして調製してもよい。幾つかの実施形態では、電気処理された材料に印加した圧縮のような機械的な力は、材料の結晶構造を変更させることで、マトリックスの破壊を早める。したがって、マトリックスの構造は、放出動態に影響を及ぼすように操作され得る別のパラメータである。ポリウレタン、およびポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)のような他の弾性材料、シリコーン、およびポリジエン(例えば、ポリイソプレン)、ポリカプロラクトン、ポリグルコール酸、ならびに関連ポリマーは、放出速度が機械的歪に変更され得る材料の例である。
電気処理されたコラーゲンを含有する改変された組織のさらなる処理
電気処理されたコラーゲンおよび細胞を含有する電気改変された組織がいったん構築されれば、組織をレシピエントに挿入することができる。あるいは、細胞成長を高めるために
、構造物を培養に配置させることができる。改変された組織の特定のタイプの成長を促進するために、種々のタイプの栄養分および成長因子を培養に添加(またはレシピエントに投与)することができる。一例では、具体的に改変された筋組織の調製と関連して、より機能的な筋移植片を形成するのに細胞の整列を刺激するために、コラーゲンおよび細胞を含有する電気改変された組織を、機械的また受動的に染色することができるか、あるいは電気的に予め調整することができる(電気的脱分極により収縮する心筋または骨格筋細胞のような電気的感受性細胞を刺激する)。歪を加えることにより、移植片の引っ張り強度を増加させる。例えば、細胞の有力な伸縮または伸張は、細胞が伸張に付されたかのように肥大を引き起こす。皮膚パッチでは、機械的応力を加えることで、有意な伸張力に暴露される頭皮のような領域で使用する皮膚の配向が促進され得る。歪を加えることにより有益であり得る他の組織としては、筋組織、靭帯組織、および腱組織が挙げられるが、これらに限定されない。この状況での受動的歪は、歪が、細胞がマトリックスを収縮して再編成したかのように細胞自身により誘導されるプロセスを指す。これは通常、電気改変されたコラーゲンマトリックスの端を固定することで誘導される。細胞が収縮し、マトリックスを変更する際、マトリックスの固定端は、適所に残存し、それにより細胞が等長負荷に対して「引っ張られる」際に細胞を緊張させる。歪は、細胞を整列させるだけでなく、歪は、成長および発達に関して細胞にシグナルを送信する。構築物もまた外部で緊張させることができ、すなわち構築物を構成した後、機械的整列を引き起こすように伸張させることができる。伸張は通常、経時的にゆるやかな様式で適用される。コラーゲンはまた、細胞を構築物に添加する前に、マトリックスで整列を引き起こすように伸張させることができる(すなわち、マトリックスを形成し、マトリックスを伸張させ後に、細胞を添加することができる)。機械的または受動的物理的歪を加える任意の既知の方法が使用され得る。
移植用に電気処理されたコラーゲンマトリックスを細胞と組み合わせるさらなる方法は、構築物を調製した後に、構築物に細胞を添加することである。細胞を構築物内の管腔または空間に配置させることができるか、または成長を促進するために移植片に隣接して移植することができる。あるいは、移植片は、バイオリアクタに配置させることができる。低せん断の高栄養分灌流環境を提供する設計されたデバイスである、数種の市販のバイオリアクタが存在する。最近まで、たいていの利用可能なバイオリアクタは、懸濁液中に細胞を維持し、インペラ、または他の攪拌手段を用いることで散布することにより、栄養分および酸素を送達していた。これらの方法は、細胞を損傷するかまたは大規模な構築物の形成を阻害し得る高せん断環境をもたらす。RCCSバイオリアクタ(Synthecon)は、回転壁バイオリアクタである。それは、大外側円筒体内に配置された、電気スピンニングプロセス用基体として用いることができる小内側円筒体から構成される。電気スパンまたは電気エアロゾルマトリックスは、内側円筒体上で製造され得るが、バイオリアクタ内の他の位置が、播種用マトリックスの配置に使用され得る。内側円筒体と外側円筒体との間の間隙は、細胞用培養容器空間としての機能を果たす。培地は、外部疎水性膜を介して酸素添加される。Synthecon製のRCCSバイオリアクタの低せん断環境は、活発な攪拌または散布とともに生じる栄養分の損傷または「洗い流し(washing
away)」なしで、細胞−細胞、および細胞−細胞外マトリックス(ECM)相互作用を促進する。通常は、RCCSデバイスは、懸濁液中に細胞を維持するのに要される場合、8から最大60までのRPMの回転速度、また容器の中心シャフトに沿って固定化された培地に関しては8RPM未満(好ましくは2〜3RPM)で作動される。Synthecon製のバイオリアクタは、標準的な組織培養インキュベーターで使用され得る。スピン速度に関するこれらの値および他のパラメータは、創出される特定の組織に応じて様々であり得る。
他の用途では、電気スピンニングされた構築物は、RCCSバイオリアクタ内で製造および配置されてもよく、連続自由落下、大規模な多層状構築物の形成を助長する浮遊環境を
受けることが可能であり得る。バイオリアクタ内に細胞を配置する前に、細胞を構築物に添加してもよい。あるいは、バイオリアクタを、電気スピンニングマトリックス上へ細胞を播種するための基盤として使用してもよい。例えば、円筒状構築物をバイオリアクタ容器内に配置させることができる。細胞を容器に添加して、自由落下中の電気スピンニングされた構築物と相互作用させてもよい。浮遊物中で構築物を維持するのに必要な速度は、構築物に存在する材料のサイズおよび密度に依存する。より大きな構築物(直径2〜4mmで長さ10〜12mm)には、15〜20rpmに近い回転速度が必要とされ得る。より大きな構築物、例えば軟骨は、よりいっそう速い回転速度を必要とし得る。
マトリックスのような電気処理されたコラーゲン材料は、プロテーゼの形成に有用である。電気処理されたマトリックスの用途の1つは、中位の直径および小さな直径の血管プロテーゼの形成である。この実施形態に関する幾つかの好ましい材料は、コラーゲンおよびエラスチン、特にコラーゲンI型およびコラーゲンIII型である。幾つかの例としては、バイパスまたは移植用の冠状血管、大腿動脈、膝窩動脈、上腕動脈、脛骨動脈、橈骨動脈、大動脈分岐、または相当する静脈が挙げられるが、これらに限定されない。電気処理された材料は、血管プロテーゼの内側上で内皮細胞、および平滑筋細胞、例えばコラーゲンチューブと組み合わせると特に有用であり、またコラーゲンチューブの外側上で線維芽細胞と組み合わせると特に有用である。テーパー容器および/または分岐容器を含むより複雑な形状も構築することができる。異なる形状の心軸は、電気スパン/電気エアロゾルポリマー周辺に大型繊維を巻きつけるのに、あるいは電気スパン/電気エアロゾルポリマーを配向させるのに必要である。
大きな直径(例えば、50〜200μm)のコラーゲンまたは他の繊維のような電気処理されたコラーゲンおよび他の繊維の組合せは、細胞にとって最適な成長条件を提供することができる。大きな直径の繊維は、構築物に機械的支持を付与する基本的構造マトリックスを形成し、電気処理されたマトリックスを、細胞を送達かつ/または支持するための足場形成として使用する。これは、構造マトリックス上への細胞付着を促進する。大規模なコラーゲン繊維は、必要に応じてさらなる機械的強度を付与するために、他の生体改変された器官および組織に組み込むことができる。例えば、大きな繊維は、骨格筋、心筋および腸および胃のような他の平滑筋ベースの器官の製造のための足場形成として設計される電気スピンニングされたマトリックス内に配置させることができる。代替的製造戦略では、円筒状構築物は、適切な標的、例えば円筒状心軸上へ電気スピンニングされる。他の形状は、望ましい場合移植片が配置される部位の形状に基づいて使用され得る。この実施形態でのマトリックスは、電気処理されたコラーゲン、および他の構成成分、例えばフィブリン、PGA、PLA、およびPGA−PLAブレンド、PEO、PVAまたは他のブレンドを包含する。この構築物の異なる構成成分の相対比は、特定用途に適応される(例えば、皮膚移植片で血管新生の増強に関しては、フィブリンを多く、コラーゲンを少なくする)。円筒状筋肉を製造するために、構築物は、筋肉または幹細胞、あるいは他の細胞型で充填されて、電気スピンニングされた構築物の遠心端は、縫合されるか、または封止(sear shut)される。幾つかの実施形態では、細胞を様々なマトリックス材料と混合して、構築物内でのそれらの分布を増大する。例えば、細胞は、構築物への挿入前に、電気処理されたコラーゲンおよびフィブリンと任意に混合することができる。この戦略の目的は、構築物に対するさらなる機械的支持を提供し、細胞に、成長を促進するために構築物内の三次元マトリックスを提供することである。これはまた、構築物内で一様な分布で細胞を維持するのを助長する。この方法は、構築物内での細胞の整列を増強するのに使用することができる。この充填材料は、円筒状構築物へと直接押出すことができ、充填物が押出されると整列が起こる。内皮細胞を、構築物へ挿入される他の細胞(または他の細胞型)と混合することは、血管新生を加速するために行うことができる。この目的を達成する別の方法は、円筒状シースの形成を助ける電気処理されたコラーゲンマトリックスに直接内皮細胞を電着させることである。構築物を含む電気処理されたマトリックス内の
繊維の整列は、任意に、標的および供給源溶液の、互いに関しての相対移動を制御することで制御される。腱線維芽細胞のような他の細胞型は、任意に、構築物を形成する外側結合組織シースの形成を増強するために、構築物の外側表面へまたは構築物の外側表面上へ電気スピンニングされる。
別の例では、電気処理された材料のシートを調製し、円筒体へ巻き、電気処理された円筒体へ挿入する。構築物は、上述のような細胞で充填し、縫合して閉じて、バイオリアクタ中にまたは直接原位置に配置させる。外側円筒体の長軸と平行して電気スピンニングされた材料シートのフィブリルを整列させることで、筋肉様電気処理された組成物の生産用の足場形成が生産される。シートの長軸に沿って配列されたフィブリルと接触している細胞は、シートのフィブリルと平行して展開し、in vivoに存在するのと類似した組織化パターンで整列および層化した細胞の筋構築物を形成する。この基本的設計は、骨格筋および心筋が挙げられるが、これらに限定されない多くの種々の組織を生産するように適合させることができる。次に、円筒状組織構築物を、移植するか、またはRCCSバイオリアクタ内に配置させる。懸濁液中でこの型の構築物を維持するための回転速度は、組織の過剰質量および外側円筒体を製造するのに使用される特定材料に応じて、4〜20rpmの範囲である。
電気処理されたコラーゲンのマトリックスを含有する改変された組織の血管新生は、単独でまたは他の材料とともに手術後数日で原位置で起きる。幾つかの実施形態では、電気処理された材料を含有する改変された構築物の血管新生は、製造中に構築物へ内皮細胞を混合することで増強される。血管供給を伴う電気処理された材料を含有する改変された組織を供給する別の代替法は、網へ組織を一時的に移植することである。網は、現存のインキュベーターのような改変された組織の支持に使用され得る広範かつ豊富な血管供給を有する。改変された組織をバイオリアクタから取り出し、網において包み、網中の周辺組織からの栄養分および酸素の拡散により支持する。あるいは、またはこのアプローチに加えて、改変された組織は、網の内因性血管供給に直接つなげられる。血管は、部分的に貫通させることができるか、あるいは網から離れて切り取られ得るか、または切断され得る。構築物に応じて、電気処理されたコラーゲン、フィブリン、または他の材料を含有する改変された組織で血管周辺を包む。改変された組織は、貫通された血管から漏出する栄養分により、あるいは血管が無傷のままである場合、単に栄養分の拡散により支持される。戦略に関わらず、改変された組織は、網およびその豊富な血管供給で取り囲まれる。この手順は、網の外側の血管を用いて実施することができる。
電気処理されたコラーゲン、および任意の他の材料を含有する組織は、内因性血管系により操作することができる。この血管系は、人工血管または移植レシピエントにおけるドナー部位から切除した血管から構成され得る。次に、電気処理されたマトリックス材料を含有する改変された組織は、血管周辺へ集められる。改変された組織の集合中または後に、かかる血管を組織で包み込むことで、改変された組織は、レシピエントの血管系へ接続され得る血管を有する。この例では、網中の血管、または他の組織が切断され、改変された組織の血管が、網の血管の2つの自由な端に接続される。血液は、網の血管から改変された組織の血管系へ、組織まで入り、網の血管へと排出される。網の組織を包み、組織を網の血管へ接続することで、改変された組織は、その製造中に組織に組み込まれた網および血管からの栄養分の拡散により支持される。適切な時間が経った後、網から組織を取り出して、レシピエントの正確な部位に配置させる。この戦略を用いることで、電気処理された材料を含有する改変された組織は、バイオリアクタから取り出された後の最初の数日間中に、栄養分が豊富な環境で支持される。網の環境はまた、移植組織中の新たな血管の形成を促進する。この網インキュベータ戦略は、電気処理中のマトリックス材料中の血管新生因子を組み合わせることのような他の戦略を組み合わせることができる。幾つかのオプションが利用可能である。例えば、移植片を血管芽細胞および/または内皮細胞とともに
播種して、改変された組織がいったん原位置に配置されれば血管要素の形成を加速することができる。別の例として、血管新生ペプチドは、浸透圧ポンプによる改変された組織へ導入され得る。方法の組合せも使用することができる。浸透圧ポンプの使用により、ペプチド、または上述のように血管新生ペプチドもしくは成長因子を、生物学的に効果的にかつ費用効率の高い様式で、所定の部位へ直接送達することが可能である。ウサギの虚血性後肢へ送達されたVEGFは、毛細血管床の成長を加速し、血管の分岐形成を増加させ、虚血制御に関する筋性能を改善した。代替的アプローチは、電気処理されたマトリックス材料を含有する完全分化組織構築物を、それらを原位置に移植する直前に、さらなる内皮細胞および/または血管線維芽細胞とともに播種することである。
幾つかの実施形態では、幹細胞または移植片を構築するのに使用される他の細胞を、組織再構成を要する被験体、または他の適合性ドナーから単離する。これは、細胞が、再構成を要する被験体に由来する(自系組織)ため、免疫応答を誘発しない細胞を使用するという利点を提供する。比較的小さな生検材料を用いて、移植片を構築するための十分な数の細胞を獲得することができる。これは、機能的欠陥、および細胞にとってドナー部位として機能する内因性組織に対する損傷を最低限に抑える。
幾つかの実施形態では、本発明の電気処理されたコラーゲンマトリックスは、移植される電気処理されたマトリックスの性能を改善するマトリックス中の物質を包含する。使用することができる物質の例としては、ペプチド成長因子、抗生物質、および/または抗拒絶薬、麻酔薬、鎮痛薬、抗炎症剤が挙げられる。あるいは、所望の化合物を製造するように改変した細胞を包含することができる。構築物全体を、例えばバイオリアクタまたは従来の培養で培養するか、あるいは直接in vivoに配置させる。例えば、血管新生は、ペプチド、タンパク質としてまたは遺伝子治療として投与される、血管新生因子および成長促進因子により刺激され得る。血管新生剤は、電気処理されたマトリックスに組み込むことができる。神経成長因子は、マトリックスおよび組織へのニューロンの成長を促進するためにマトリックスに組み込むことができる。これらの因子を移植環境へ放出することを制御するために、さまざまな方法を使用することができる。分解性マトリックスでは、マトリックスの漸進的分解/崩壊により、これらの因子が放出され、所望の組織の成長を加速するであろう。
電気処理されたコラーゲンマトリックスはまた、他のマトリックス構築プロセスと関連させて使用することもできる。換言すると、押出管は、その上に電気スピンニングされた外層を有することができ、ここで異なる層は互いに補完して、特定型の細胞成長を促進するのに適切なマトリックスを提供する。例えば、主としてコラーゲンチューブから構成される血管移植片は、コラーゲン、および特定のレシピエントにおける移植片の許容性を促進するために添加される細胞の両方の電気スパン層を有することができる。第2の例は、1つの層中で線維芽細胞を成長させ、第1層を電気処理されたコラーゲンで覆い、続いてフィブリンマトリックス中で表皮細胞から構成される第2層を成長させることにより形成されるin vitro皮膚調製物である。この層化技法は、様々な組織を作製するのに使用することができる。
本発明の組成物に関する使用
本発明の電気処理されたコラーゲン組成物は、多数の潜在的使用を有する。使用としては、組織もしくはマトリックス材料のパッチまたはプラグのような構造物を含む改変された組織および器官の製造、プロテーゼ、および他の移植片、組織足場形成、創傷の修復または包帯、止血デバイス、縫合材料、外科用および整形外科用ねじ、ならびに外科用および整形外科用プレートのような組織修復ならびに支持に使用するためのデバイス、合成移植片用の天然コーティングまたは構成成分、化粧品用移植片および補助物、器官または組織用の修復または構造的支持、物質送達、生体操作用基盤、細胞に対する物質の影響を試験
するための基盤、細胞培養、および多数の他の使用が挙げられるが、これらに限定されない。この考え得る使用の議論は、包括的であると意図されず、多くの他の実施形態が存在する。コラーゲンと他の電気処理された材料およびまたは特定の物質との組合せに関して多くの特定の例を以下に提供するが、多くの他の材料および物質の組合せを使用してもよい。
組織または器官増強あるいは置換としての電気処理された組成物の使用
電気処理されたコラーゲン材料中の細胞を組み合わせる能力は、組織、器官、または器官様組織を構築するために、本発明の組成物を使用する能力を提供する。かかる組織または器官に含まれる細胞は、物質を送達する機能を供する細胞、置換組織の起源を提供する播種細胞、またはその両方を含むことができる。細胞の多くの型は、組織または器官を創出するのに使用することができる。幹細胞、コミットした幹細胞、および/または分化細胞は、様々な実施形態で使用される。これらの実施形態で使用される幹細胞の例としては、肝臓、腎臓等の器官または器官様組織を作製するのに使用される胚幹細胞、骨髄幹細胞、および臍帯幹細胞が挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態では、電気処理された組成物の形状は、シグナルを細胞に送信するのを助けて、特定タイプの所望の方法で成長および繁殖する。他の物質(例えば、分化誘導物質)は、特定型の細胞成長を促進するために、電気処理されたマトリックスに添加することができる。さらに、細胞型の種々の混合物は、幾つかの実施形態では、組成物中に組み込まれる。組織または器官を生体操作するための電気処理されたコラーゲン材料およびマトリックスを使用する能力は、広範な生体改変した組織置換用途を生み出す。生体操作された構成成分の例としては、骨、歯構造物、関節、軟骨、骨格筋、平滑筋、心筋、腱、半月板、靱帯、血管、ステント、心臓弁、角膜、鼓膜、神経誘導、組織あるいは器官パッチまたはシーラント、他の欠落した組織用の充填物、化粧品修復用シート、皮膚(皮膚等価物を作製するために添加される細胞を有するシート)、気管、喉頭蓋および声帯のような咽頭の軟質構造物、鼻軟骨、瞼板、気管軟骨、甲状軟骨、および披裂軟骨のような他の軟骨構造物、結合組織、血管移植片およびそれらの構成成分、ならびに局所塗布用シート、ならびに肝臓、腎臓および膵臓のような器官の修復または置換が挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態では、かかるマトリックスは、移植片の機能を改善するように、薬物および本発明の物質送達電気処理されたマトリックスと組み合わせられる。例えば、抗生物質、抗炎症剤、局所麻酔薬、またはそれらの組合せは、治癒過程を速め、不快感を低減するために、生体改変した器官のマトリックスへ添加することができる。
電気処理されたコラーゲンマトリックスが、多数の整形外科用途を有する。骨は、電気処理されたコラーゲンを、例えば骨芽細胞、および骨成長因子と組み合わせることで作製することができる。幾つかの実施形態では、マトリックスはまた、成長および治癒を促進するために、移植部位に電流を印加することを可能にする導電性材料を含有することができる。任意に、コラーゲンは、ヒドロキシアパタイトの生産を加速するために、天然に存在するコラーゲン中よりも多くP−15部位を含有するように遺伝子操作してもよい。かかる骨プロテーゼは、例えば、股関節部置換のような関節修復および置換において、あるいは失われたか、あるいは劣化した骨組織を置換するのに使用することができる。軟骨は、II型コラーゲンを軟骨芽細胞およびプロテオグリカンのような他のマトリックス材料と組み合わせることで操作してもよい。幾つかの実施形態では、崩壊を施されない合成型のヒアルロン酸を用いて、改変された組織の水化を促進する。任意に、血管新生阻害剤を、軟骨での新生血管形成を防止するためにマトリックス中に包含することができる。かかる操作軟骨は、例えば脊椎板修復または置換、心臓線維性骨格の再構築、鼻もしくは耳の置換または増強、あるいは股関節修復で使用され得る。マトリックスはまた、例えばマトリックスにぞうげ質芽細胞(dentinoblast)を組み込むことにより、ぞうげ質を操作するのに使用することもできる。靭帯(例えば、膝半月板、膝蓋靱帯、側副靱帯、十字靱帯、回旋腱板、および股関節の寛骨臼唇を含む)は、エラスチンおよびコラーゲン
のマトリックス中で線維芽細胞を用いて調製され得る。幾つかの実施形態では、押出中心コアは、アンモニア駆動型原線維発生により調製および修飾される。次に、電気処理されたマトリックスは、外側表面に適用され得る。あるいは、靱帯全体を、電気処理により形成することができる。任意に、回転ノズルまたはエアボルテックスのような手段により、わずかなねじれを創出することができる。幾つかの実施形態では、患者の損傷した靱帯を、粗製混合物中ですり砕き、続いて新たな靱帯としてスプレー処理することでき、自系組織の使用を可能にする。腱(例えば、回旋腱板、アキレス腱、および索腱を含む)、および筋肉もまた、細胞およびマトリックス材料の適切な組合せを用いて調製され得る。腱と筋肉の組合せも可能である。幾つかの関節置換用途では、合成移植片を、改変された組織でコーティングして、移植片の適合性を改善してもよい。骨および/または軟骨の関節への成長が望ましくない実施形態では、マトリックスは、成長を阻害する作用物質を含有するように操作され得る。
神経学的用途では、マトリックスは、例えば、神経誘導、硬膜パッチ、損傷神経のシーラント、事故または疾患中に損失した脳の損傷/除去領域用の充填物としてのおよび脳脊髄液漏出用の「硬膜」または「クモ膜」パッチとしての脳構築物の製造に使用することができる。任意に、幹細胞および神経成長因子をマトリックス中に包含してもよい。構築物はまた、有髄化細胞で補充することもできる。幾つかの神経学的実施形態では、構築物中または上にPGA層を使用して、細胞浸潤を制限して、線維症を最小限にするか、または回避することが望ましい。
心血管用途では、マトリックスは、ステントを製造するのに、あるいは合成材料から構成されるコートステントをコーティングするのに使用することができ、したがって天然材料で囲まれた合成材料を含むハイブリッドステントを提供する。天然材料は、例えばコラーゲンおよび平滑筋細胞を含有してもよい。任意に、DNAベクターを、足場形成の再構築時にマトリックスへと遊走するか、またはマトリックスに播種される細胞により取り込まれるように、かかるマトリックス中に配置させてもよい。マトリックスは、例えば、心臓弁、弁尖、および例えば冠状動脈バイパス移植片として使用するためのプロテーゼ血管に二次加工することができる。多くの実施形態では、血管プロテーゼは、電気処理されたマトリックス材料を用いて、バイオリアクタ中で「擬似性微小重力(simulated microgravity)で調製される。例えば、図6は、細胞播種前の電気スピンニングされたマトリックス(左)、および足場形成から発達した動脈区域(右)の写真である。このアプローチは、高い栄養分送達を提供する低せん断環境で構築物に細胞を播種する方法を提供する。これらの実施形態の幾つかでは、内皮細胞内層を、細胞上に播種して、天然血管の特徴を示す成層構造を有する移植片を創出する。内皮内層は、小径の動脈の凝固および封鎖を防止する。マトリックスはまた、損傷または亀裂した心筋を置換するのに使用される。心筋のパッチを調製することができる。代替的に、心臓に移植された平滑筋細胞は心筋に変換することが観察された。幾つかの実施形態では、心筋パッチとして使用されるマトリックスは、新たな組織の血管新生を可能にするために、血管内皮成長因子を含む。任意に、組織の神経支配を引き起こすために、神経成長因子が含まれ、その結果新たな組織の収縮が、他の心筋と協調するようになる。心筋パッチはまた、望ましい成長因子を用いるが、細胞を用いずに調製することができる。心臓弁は、細胞を用いて、または用いずに、電気処理されたコラーゲンを用いて構築することができる。弁は、弁尖予備調整のために、in vitroで、例えばバイオリアクタで構築される。幾つかの実施形態では、天然弁の構造を模倣して、取り付けおよび構造的支持の手段を提供するために、縁の周囲の輪を太くさせる。
マトリックスは、皮膚での多数の用途も有し、化粧品用途は、顔面筋および結合組織を包含する。マトリックスは、任意のタイプの創傷または外傷(皮膚擦傷または化学的剥皮が挙げられるが、これらに限定されない)用の包帯として使用してもよい。止血機能を助長
し、治癒を促進するために、フィブリンで電気処理したかかるマトリックスが包含され得る。マトリックス材料は、しわ、瘢痕、または傷用の充填剤として注入することもできる。幹細胞、線維芽細胞、上皮細胞、および/または内皮細胞は、組織成長を提供するために包含され得る。かかる組織プラグを添加することにより、瘢痕化が低減する。マトリックスはまた、唇、鼓膜、角膜、眼瞼板、額、頤、頬、耳、鼻、および胸などの生きたままの増強、修復ならびに輪郭削りを調製するのに使用され得る。マトリックスの使用は、処置、修復、および輪郭削りの他の方法と併用してもよい。例えば、コラーゲンマトリックス注入は、しわの処置用のBotox(ボツリヌス毒素)と併用することができる。マトリックスはまた、たるんだ首およびたるんだ頬を支持するためのスリングとして作用するように造形することもできる。
電気処理されたコラーゲンマトリックスは、プロテーゼ器官または器官の一部を製造するのに使用することもできる。三次元電気処理されたマトリックス中でのコミットした細胞系の混合は、複雑な器官を模倣する構造物を生産するのに使用され得る。マトリックスを造形する能力は、肝臓葉、膵臓、他の内分泌腺、および腎臓のような器官を置換するための複雑な構造物の調製を可能にする。このような場合では、細胞は、器官において細胞の機能を呈するように移植される。好ましくは、免疫拒絶の可能性を最小限に抑えるために、自系細胞または幹細胞が使用される。あるいは、栄養分が細胞に移動するのを可能にしたままで、免疫監視機構から細胞を保護するのに十分小さな孔径を有するマトリックス中に細胞を配置させることができる。
幾つかの実施形態では、マトリックスは、部分的置換または増強を調製するのに使用される。例えば、特定の疾患状態では、器官は、機能障害となる程度に傷跡が残されている。典型的な例は、肝硬変である。肝硬変では、正常な肝細胞が瘢痕組織の線維帯に捕捉される。本発明の一実施形態では、肝臓に生検を行い、生存肝臓細胞を獲得し、電気処理されたマトリックス中で培養し、日常的な肝臓移植に対する細胞間橋(bridge)または移植のための置換物として患者に再度移植する。
別の例では、グルカゴン分泌細胞、インスリン分泌細胞、ソマトスタチン分泌細胞、および/または膵ポリペプチド分泌細胞、またはそれらの組合せを別個の培養で成長させた後、電気処理により電気処理された材料とともにそれらを混合することにより、人工膵島が創出される。続いて、これらの構造物を、糖尿病用の移植可能な長期治療として、皮膚下、腹膜後、肝臓内、または他の望ましい位置に配置させる。
他の実施例では、ホルモン産生細胞は、例えば成長ホルモン分泌の合成および分泌(とりわけ、黄体化ホルモン、卵胞刺激ホルモン、プロタクチンおよび甲状腺刺激ホルモン)に影響を及ぼすために下垂体前葉細胞を置換するのに使用される。ライディヒ細胞および濾胞上皮細胞のような生殖腺細胞は、テストステロンまたはエストロゲンレベルを補充するのに用いられる。特殊設計した組合せは、閉経後および閉経期の女性、または内因性テストステロン分泌が衰えた後の男性におけるホルモン置換療法で有用である。ドパミン産生ニューロンは、黒質中の欠陥または損傷ドパミン細胞を補充するために、マトリックス中で使用および移植される。幾つかの実施形態では、レシピエントまたはドナーからの幹細胞を、わずかに損傷した細胞、例えば膵島細胞または肝細胞と混合して、電気処理されたマトリックス中に配置させ、所望の細胞型への幹細胞の分化を制御するために後に収集するこことができる。他の実施形態では、甲状腺細胞を播種して成長させて、小さな甲状腺ホルモン分泌構造物を形成することができる。この手順は、in vitroまたはin vivoで実施される。新たに形成された分化細胞は、患者に導入される。多数の他の実施形態が存在する。コラーゲンは、極めて重要な構造要素および多数の解剖学的要素であり、構造物は、本発明のマトリックスを用いて、作製、修復または増強することができる。幾つかのタイプの移植片は、組織構造、組織学、および分子組成に関する情報を用いて
調製することができ、それらの情報のすべてが、当業者には入手可能である。
医療デバイスおよび手順における他の使用
電気処理されたコラーゲン構築物の他の使用は、漏出に対する閉塞のための閉塞または強化を包含する。例えば、電気処理されたコラーゲンマトリックスは、肺容量減少(部分的除去)後に肺の開口部を封止するのに使用することができる。この使用は、止血目的だけでなく、胸膜腔への空気の漏出および気胸を防ぐためにも重要である。電気処理されたコラーゲンはまた、動脈瘤用の強化物として、あるいは吻合部位で使用するためのスリーブにおいて形成することもできる。かかるスリーブは、強化が望ましい領域にわたって配置され、縫合されるか、封止されるか、あるいはそうでなければ血管に取り付けられる。マトリックスはまた、脳脊髄液の漏出用の止血パッチおよびプラグとして使用することもできる。さらに別の使用は、ドライアイ症候群を患う患者用の涙点の閉塞としての使用である。別の使用は、精管または卵管のような管路または管にマトリックスを注入することによる妊娠方法としての使用である。
マトリックスはまた、外傷、手術もしくは劣化を受けた組織または構造物を支持あるいは結合するのに使用することができる。例えば、マトリックスは、分娩後失禁を患う患者用の膀胱頸部懸濁液手順で使用することができる。直腸支持、膣支持、ヘルニアパッチ、および子宮脱の修復は、他の例示的使用である。マトリックスは、食道逆流の場合に、食道括約筋のような弱体化または機能不全括約筋を修復あるいは強化するのに使用することができる。他の例は、例えば癌性阻組織の除去において、除去後に、声帯、喉頭蓋、および気管における組織を強化すること、および置換することを包含する。
外科的修復または構築の分野で、幾つかの使用が可能である。例えば、本発明のマトリックスはまた、デバイスが使用される組織と同じ材料で作製される組織または整形外科用ねじ、プレート、縫合系、またはシラーントを作製するのに使用される。幾つかの実施形態では、他の結合デバイスの代わりに、組織を取り付けるか、または結合するのに、電気処理されたマトリックスを生物の身体の部位に直接適用することが使用される。
診断的使用および研究的使用
本発明の電気処理されたコラーゲン構築物はまた、研究のための細胞のin vitro培養を可能にする。in vitroで細胞外マトリックスおよび組織条件を模倣する能力は、細胞の研究および操作用の新たな基盤を提供する。幾つかの実施形態では、選択細胞をマトリックス中で成長させ、選択薬剤、物質、または処置に暴露させる。例えば、癌患者の腫瘍細胞を用いた培養物を使用して、様々なタイプの化学療法および放射線治療に対する感受性をin vitroで特定することができる。このようにして、代替的化学療法および放射線治療処置を分析して、特定の患者に対する最上の処置を推定する。例えば、コラーゲンおよび癌細胞、好ましくは患者自身の癌細胞を含む改変された組織を製造することができる。次に、この組織の複数の試料を、多重の異なる癌治療に付すことができる。続いて異なる処置からの結果を、有効性の評価について互いに直接比較することができる。
電気処理されたコラーゲンマトリックスの別の使用は、in vitroでの細胞の操作用の生体操作用基盤としての使用である。この用途は、マトリックス中での細胞の配置、および特定の方法でそれらを操作するように細胞を処理することを提供するという点で、研究用および試験用基盤としての使用に類似している。例えば、幹細胞は、それらの分化を制御する条件下でマトリックス中に配置させることができる。分化は、分化に影響を与えるマトリクス中のマトリックス材料または物質の使用により制御される。例えば、分化を促進するのに役割を果たすレチノイン酸のような作用物質を、マトリックス内に配置させてもよい。他の実施形態では、分化プロセスに関連した遺伝子配列をマトリックスに電
気スピンニングしてもよい。例えば、転写因子MYO Dを、線維芽細胞または幹細胞にトランスフェクトする場合、トランスフェクトされた細胞は、筋特異的遺伝子配列の発現、および骨格筋への細胞の分化を開始し始める。I型コラーゲンのP15部位は、骨特異的遺伝子配列の誘導に関連する。
本発明の組成物は、様々な遺伝子治療を試験および適用するのにも有用である。in vitroで本発明の組成物と連動させることにより、種々のタイプの遺伝子治療および操作は、細胞、材料等の懸濁液に予め選定したDNAを挿入することで達成することができる。例えば、エレクトロポレーションのような非ウイルス技法は、本発明のマトリックスへ挿入する前に培養細胞を処理するのに使用される。他の実施形態では、細胞は、組成物がレシピエントに挿入される前にマトリックス内で処理される。in vitro遺伝子移入は、ウイルス産物へのレシピエントの暴露を回避し、残存ウイルス粒子による炎症の危険性を低減し、生殖細胞系ウイルス組込みの潜在性を回避する。それは、第VIII因子(抗血友病因子)に関するもののような大型遺伝子を許容するのに十分大きなウイルス外被を発見または操作する問題を回避する。しかしながら、in vitro遺伝子治療は、幾つかの実施形態では、例えば本発明の電気処理技法により電気処理された材料が創出される際に電気処理された材料にDNAを組み込むことで達成され、それにより幾つかのDNAは、レシピエントに組成物を適用した後に、組成物と接触しているin vivo細胞に組み込まれるであろう。これは、センスおよび/またはアンチセンスオリゴヌクレオチドのような小遺伝子配列に特に当てはまる。別の例は、細胞培養および成長のためのマトリックスの使用である。細胞を、コラーゲンマトリックスに電気処理するか、あるいはそうでなければ挿入して、細胞再生および組織成長を可能にする条件に配置することができる。任意に、マトリックスは、バイオリアクタ中に配置させることができる。
物質送達における電気処理されたコラーゲンマトリックスの使用
本発明の電気処理されたコラーゲン組成物の使用の1つは、所望の位置への、1つまたはそれ以上の物質の送達である。幾つかの実施形態では、電気処理された材料は、単に材料自体を送達するのに使用される。他の実施形態では、電気処理された材料は、電気処理された材料中に含有される物質、あるいは電気処理された材料中に含有される物質により生産または放出される物質を送達するのに使用される。例えば、細胞を含有する電気処理された材料は、身体中に移植することでき、移植後に細胞により生産される分子を送達するのに使用することができる。本組成物は、in vivo位置に、in vitro位置に、または他の位置に物質を送達するのに使用することができる。本組成物は、任意の方法でこれらの位置に投与することができる。
物質送達の分野では、本発明の組成物は、広範な放出プロフィールおよび放出動態を用いて、物質の送達を可能とする多くの属性を有する。例えば、物質および物質を電気処理された材料と組み合わせる方法の選定は、物質放出プロフィールに影響を及ぼす。物質が電気処理されたコラーゲンに固定化されない範囲では、電気処理されたコラーゲンからの放出は、拡散の関数である。かかる実施形態の例は、物質が電気処理されたコラーゲン上にスプレーされるものである。物質が電気処理された材料に固定化される範囲では、放出速度は、電気処理された材料が分解する速度に密接に関連している。かかる実施形態の例は、物質が電気処理されたコラーゲンに共有結合するものである。物質が電気スピンニングした凝集体またはフィラメント内に捕捉される場合、放出動態は、周囲の材料が分解または崩壊する速度により決定されるであろう。さらに別の実施形態は、感光性結合により電気処理された材料に結合される物質である。かかる結合を光に暴露すると、電気処理された材料から物質を放出する。逆に、本発明の幾つかの実施形態では、材料を光に暴露させて、in vivoまたはin vitroで作用物質の結合を引き起こすことができる。懸濁液でなく溶液中で化合物を電気処理された材料と組み合わせると、異なるパターンの放出をもたらし、それによりプロセスに関してさらに別の制御レベルを提供する。さらに
、電気処理されたコラーゲンの多孔性を調製することができ、それは物質の放出速度に影響を及ぼす。多孔性の増大は、放出を容易にする。物質の放出はまた、電気処理されたコラーゲンをフライス削り、断片化または粉砕することで増大される。粉砕材料は、例えば創傷部位に適用され得るか、摂取され得るか、またはカプセルもしくは錠剤のような別の形状に成形され得る。物質が、電気処理された材料中に被包された錠剤、または電気処理されたフィラメント内部に捕捉された分子のような大型粒子の形態で存在する実施形態では、放出は、粒子が溶解または分解する速度、および電気処理された材料構造物の破壊または分解の複雑な相互作用に左右される。物質が1つまたはそれ以上の所望の化合物を発現する細胞を含む実施形態では、細胞の機能および生存度、ならびに発現の時期、強度、および持続性に影響を及ぼす要素はすべて、放出動態に影響を及ぼすことができる。例えばオリゴヌクレオチド、プロモーター、細胞接着阻害剤、ホルモン、および成長因子のような細胞機能に影響を及ぼす化学物質は、電気処理された材料に組み込むことができ、電気処理された材料からのそれらの物質の放出は、電気処理された材料での細胞の発現または他の機能を制御する手段を提供することができる。
幾つかの実施形態での放出動態は、任意の手段により電気処理されたコラーゲン材料を架橋することで操作される。幾つかの実施形態では、架橋は、構造剛性を増加し、続く電気処理された材料の溶解を遅延させることで、例えば電気処理されたコラーゲンマトリックスが分解する速度、または化合物が電気処理された材料から放出される速度を変更させる。電気処理されたコラーゲンマトリックスは、架橋剤の存在下で形成され得るか、または電着後に架橋剤で処理され得る。当業者に既知であるような、物質を架橋する任意の技法を使用してもよい。技法の例としては、架橋剤の適用、および特定の架橋照射の適用が挙げられる。1つまたはそれ以上のタンパク質と連携する架橋剤の例としては、アルデヒド(例えば、グルタルアルデヒド)のような縮合剤、カルボジイミドEDC(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル))、光の特定波長に暴露すると架橋する感光性物質、四酸化オスミウム、カルボジイミド塩酸塩、およびNHS(n−ヒドロキシスクシンイミド)、および第XIIIa因子が挙げられるが、これらに限定されない。紫外線照射は、幾つかの実施形態でマトリックス材料を架橋するのに使用される照射の一例である。天然材料を他の天然材料と架橋することができる。例えば、コラーゲンは、フィブロネクチンおよび/またはヘパリン硫酸の添加により架橋および/または安定化され得る。幾つかのポリマーに関して、熱を使用して、マトリックスを変更させて、構築物の隣接する構成成分を融合することでマトリックスの要素を架橋することができる。ポリマーはまた、部分的に可溶化させて、物質の構造を変更させてもよく、例えばアルコールまたは塩基に対する幾つかの合成物の短時間の暴露は、隣接するフィラメントを部分的に溶解して、ともにアニーリングすることができる。ポリマーによっては、化学的融合または熱融合技法を用いて架橋してもよい。合成ポリマーは概して、高エネルギー照射(例えば、電子ビーム、γ線)を用いて架橋させることができる。これらは通常、ポリマー骨格上のフリーラジカルの創出で作用し、続いて結合し、架橋をもたらす。骨格フリーラジカルはまた、熱または光の存在下で、過酸化物、アゾ化合物、アリールケトン、および他のラジカル生産化合物により発生され得る。ラジカルを生産する酸化還元反応(例えば、遷移金属塩の存在下での過酸化物)も使用することができる。多くの場合では、ポリマー骨格または側鎖上の官能基は反応して、架橋を形成することができる。例えば、多糖類は、ジアリールクロリドで処理して、ジエステル架橋を形成することができる。架橋はまた、望ましい場合マトリックスの適用後に行われてもよい。例えば、創傷に適用されたマトリックスは、マトリックスの創傷への接着を増強するために、適用後に架橋されてもよい。
物質の放出動態はまた、電気処理されたコラーゲンおよび他の電気処理された材料の物理的および化学的組成物を操作することで制御される。例えば、PGAの小繊維は、PGAのより直径の大きな繊維より加水分解を受けやすい。小PGA繊維から構成される電気処理された材料内に送達される作用物質は、より直径の大きなPGA繊維から構成される材
料内部に調製される場合よりも迅速に放出される。
幾つかの実施形態では、ペプチドのような物質は、局在化ドメインで、制御された様式で放出され得る。例としては、物質が化学的にまたは共有結合的に電気処理された材料に結合される実施形態が挙げられる。ペプチド勾配の形成は、例えば血管新生における多くの生物学的プロセスの重要な調節要素である。形成された電気処理されたコラーゲンマトリックスの物理的処理は、放出動態を操作する別の方法である。幾つかの実施形態では、電気処理された材料に印加した圧縮のような機械的な力は、材料の結晶構造を変更させることで、マトリックスの破壊を早める。したがって、マトリックスの構造は、放出動態に影響を及ぼすように操作され得る別のパラメータである。ポリウレタン、およびポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)のような他の弾性材料、シリコーン、およびポリジエン(例えば、ポリイソプレン)、ポリカプロラクトン、ポリグルコール酸、ならびに関連ポリマーは、放出速度が機械的歪に変更され得る材料の例である。したがって、これらの材料を含有するマトリックスは、物理的な操作による制御を受ける。
放出動態は、異なる特性および物質を有する電気処理された材料の層を含む積層物を調製することでも制御することができる。例えば、他の電気処理された材料と交互に並ぶ電気処理されたコラーゲンから構成される層状構造物は、標的上に異なる材料を順次電気処理することで調製することができる。外層は、例えば内層に関するよりも速くまたは遅く溶解するように適応させることができる。複数の作用物質が、この方法により、任意に異なる放出速度で送達され得る。層は、経時的な単一作用物質の複雑な多動態放出プロフィールを提供するように適応させることができる。上述の組合せを使用することで、それぞれが複雑なプロフィールで放出される複数の放出物質の放出を提供することができる。
電気処理されたコラーゲンまたは他の電気処理された材料中に組み込まれる粒子中に物質を浮遊させることは、放出プロフィールを制御する別の手段を提供する。これらの小粒子マトリックスの組成物の選定は、電気処理された材料からの化合物の放出を制御するさらに別の方法を提供する。放出プロフィールは、プロセスで使用される材料の組成物によって適応され得る。
物質が電気処理されたマトリックスにおいてリポソームまたは他のベシクルに含まれる実施形態も存在する。特定のpH範囲、温度範囲、またはイオン濃度で液体中に置かれる場合、1つまたはそれ以上の化合物を放出するベシクルが好ましい。かかるベシクルを調製する方法は当業者に既知である。電気処理された材料は、即座に所定の部位に送達され得るか、または乾燥状態で、もしくは放出が起きないpHで貯蔵された後、放出が起きるpHを有する液体を含有する位置に送達される。この実施形態の例は、創傷から放出される血液または他の液体のpHで所望の化合物を放出するベシクルを含有する電気処理された材料である。マトリックスは、創傷を覆って配置され、創傷から液体の放出時に液体を放出する。
電気処理されたコラーゲン材料に磁気的感受性または電気的感受性のある成分を組み込むことにより、放出プロフィールを制御する別の手段を提供する。次に、電気処理されたコラーゲンの形状、多孔性および/または密度を変更するために、磁場または電場を、マトリックスの幾らかまたは全てに印加することができる。例えば、場は、磁気的または電気的に感受性のある粒子の動きに起因して、マトリックスの運動または構造変化を刺激することができる。かかる運動は、電気処理されたマトリックスからの化合物の放出に影響を及ぼすことができる。例えば、材料の構造の変更は、材料が化合物放出に適する程度を増加または減少させることができる。
幾つかの実施形態では、電気処理されたコラーゲンとともに処理または同時処理された磁
気的または電気的に感受性のある成分は、皮下的に移植させて、長期間にわたる薬剤の放出を可能とし得る。磁場または電場を材料に通すことより、薬剤放出が誘導される。電気処理されたコラーゲン構造は安定であり、電磁気刺激なしでは実質的に変化することはない。かかる実施形態は、長期間にわたる制御された薬剤送達を提供する。例えば、磁気または電気特性およびインスリンを有する電気処理されたコラーゲン材料を製造して、目立たない部位にて皮下に配置させることができる。組成物に磁場または電場を通すことで、インスリン放出が誘導され得る。同様の戦略を用いて、感光性要素を有する構築物から化合物を放出してもよく、これらの材料を光に暴露させると、材料自体の破壊を引き起こすか、あるいは感光性部分により電気処理されたコラーゲン材料に結合された物質の放出を引き起こすであろう。
他の実施形態では、物質は、電気的材料または磁気的材料と一緒に電気処理されたコラーゲン材料内に被包されるベシクルを含む。ベシクルは、ベシクルから放出されるべき化合物を含有する。電気処理された材料に電場または磁場を通すと、例えばベシクルを破裂するまで変形させることにより、あるいはベシクル壁の透過性を変化させる(場合によっては反転させる)ことにより、ベシクル内の化合物は放出され得る。これらの実施形態の例としては、細胞への遺伝子送達プロセスの効率を高める核酸を含有するトランスフェクション剤(例えば、リポソーム)が挙げられる。
他の実施形態では、電気処理されたコラーゲンおよび物質を含む組成物は、薬物の局所送達、または経皮パッチの構成成分の局所送達用の経皮パッチとして使用される。これらの実施形態の幾つかでは、導電性材料は、かかる組成物に組み込まれ、続いて1つまたはそれ以上の物質が電流の通過に応答して送達されるイオン導入システムの構成成分として使用される。導電性材料は、骨の損傷に対して直接的な治癒効果を有することができる。例えば、骨折部位へ小電流を通すことは治癒を促進する。電流を伝導するか、または生成する電気処理された骨模倣物を作製して、骨折内に配置させることができる。電流の付加は、電気処理された組成物単独の添加よりも速く速度で治癒を促進する。
他の実施形態では、電気処理されたコラーゲン材料または電磁気特性を含有するその一部は、磁石に暴露することで刺激されて、移動し、それにより材料から放出されるべき分子を含有する感圧性カプセルまたは他の封包物に物理的圧力を印加するか、またはそれを放出する。実施形態により、運動は、被包分子の放出速度に影響を及ぼす。
電場および磁場に対する組成物の応答は、電気処理されたコラーゲンおよび他の任意の電気処理された材料の組成、フィラメントのサイズ、および添加される伝導性材料の量のような特質により制御することができる。ポリアニリンからの電気機械的応答は、ドーピング誘導性体積変化の結果であるが、浸透圧勾配を引き起こすイオン勾配は、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)のようなイオンゲルにおける場誘導性変形を招く。それぞれの場合で、イオン輸送動力学は、応答を抑制し、軽快な輸送が小繊維で観察される。ゲル膨潤および収縮動力学は、ゲル繊維の直径の二乗に比例することがわかっている。0.1s未満の繊維束の電気機械的応答時間は、典型的な筋肉で可能である。
細胞により生産される分子の送達を包含する実施形態は、細胞に対する拒絶および免疫応答が回避され得る多くの手段を提供する。したがって、レシピエントからの細胞を用いた実施形態は、細胞に対する拒絶ならびに炎症および免疫学的応答に関連する問題を回避する。レシピエント以外の生物からの細胞が使用される実施形態では、マトリックスは、レシピエントの免疫系による免疫監視機構から細胞を隔離することができる。電気処理された材料またはマトリックスの孔径のようなパラメータを制御することで、マトリックス中に捕捉される細胞に対する栄養支援が可能であると同時に、細胞は、レシピエントの免疫
系による検出および応答から保護される。例えば、ドナーから収集したインスリンを製造する膵島細胞を電気処理されたマトリックス中に被包して、インスリンを作製することができないレシピレントに移植することができる。かかる移植片は、例えば皮下的に、肝臓内に、または筋内に配置させることができる。幾つかの免疫応答に関して、宿主系からの永続的な隔離が必要でない場合がある。電気処理されたコラーゲン材料は、所定の期間移植した材料を遮蔽して、破壊し始めるように設計することができる。さらなる別の実施形態では、所望の化合物を製造するように改変した細菌または他の微生物剤を使用することができる。この実施形態は、レシピエントまたはドナーからの細胞よりもより操作しやすい細胞を使用するという利点を提供する。また、電気処理されたコラーゲン材料は、この実施形態では免疫応答から細菌を遮蔽するように作用することができる。細菌キャリアを使用する利点は、これらの微生物が広範な産物を発現するようにより操作がしやすいことである。細胞が一過的にトランスフェクトされる実施形態は、発現を規定の期間に制限することが可能である。一過性の遺伝子操作は、合併症の危険を最低限に抑えるためにかかる復帰が望ましい実施形態では、細胞をその本来の状態に復帰させることが可能である。
幾つかの実施形態では、細胞は、当該技術分野で既知の様々な手段により特定の遺伝子の発現が促進または阻害され得るように遺伝子操作してもよい。例えば、テトラサイクリン感受性プロモーターを遺伝子配列へと操作することができる。当該配列は、テトラサイクリンが存在するまで発現されない。細胞マーカーまたは細菌マーカーもまた、挿入材料を同定するのに使用することができる。例えば、操作遺伝材料内に配置されたグリーン蛍光タンパク質は発現されると緑色を放つ。この特質を用いた実施形態により、マトリックス中の細胞、細菌または遺伝子配列の生存度の確認が可能である。かかるマーカーの可視性はまた、移植される電気処理された組成物を回収する手助けとなる。
本発明は放出動態の汎用性を提供するが、1つまたはそれ以上の物質は電気処理されたコラーゲンから全く放出されない実施形態も存在する。物質は、所望の部位で機能することができる。例えば、幾つかの実施形態では、特定分子の抗体は、電気処理されたコラーゲンマトリックス上に固定化され、組成物は、所望の部位に配置される。この実施形態では、抗体は、組成物の近傍にある分子を結合するように作用する。この実施形態は、抗体に結合する分子を単離するのに有用である。1つの例は、望ましくない酵素に不可逆的に結合し、それにより酵素を不活性化する固定化物質を含有する電気処理されたコラーゲンマトリックスである。
本発明の組成物は、薬学的に許容可能または化粧品上許容可能なキャリアと組み合わせて、in vitroまたはin vivoで組成物として投与され得る。投与形態としては、注射液、溶液、クリーム、ゲル、移植片、ポンプ、軟膏、エマルジョン、懸濁液、ミクロスフェア、粒子、微粒子、ナノ粒子、リポソーム、ペースト、パッチ、錠剤、経皮送達デバイス、スプレー、エアロゾル、または当業者に精通している他の手段が挙げられるが、これらに限定されない。かかる薬学的に許容可能または化粧品上許容可能なキャリアは、当業者に一般的に既知である。本発明の薬学的配合物は、既知の容易に入手可能な成分を用いて、当該技術分野で既知の手順により調製することができる。例えば、化合物は、一般的な賦形剤、希釈剤、または担体とともに配合することができ、錠剤、カプセル、懸濁液、粉末等に成形することができる。かかる配合物に適した賦形剤、希釈剤、およびキャリアとしては、以下の:充填剤および増量剤(例えば、デンプン、糖、マンニトール、およびケイ酸誘導体)、結合剤(例えば、カルボキシメチルセルロースおよび他のセルロース誘導体、アルギン酸塩、ゼラチン、およびポリビニルピロリドン)、加湿剤(例えば、グリセロール)、崩壊剤(例えば、炭酸カルシウム、および炭酸水素ナトリウム)、溶解遅延剤(例えば、パラフィン)、吸収促進剤(例えば、第四アンモニウム化合物)、界面活性剤(例えば、セチルアルコール、グリセロールモノステアレート)、吸着担体(例えば、カオリン、およびベントナイト)、乳化剤、防腐剤、甘味料、安定剤、着色剤、香
料剤、風味剤、潤滑剤(例えば、タルク、ステアリン酸カルシウムおよびステアリン酸マグネシウム)、固形ポリエチルグリコール、およびそれらの混合物が挙げられる。
「薬学的に許容可能または化粧品上許容可能なキャリア」、または「薬学的に許容可能または化粧品上許容可能なベシクル」という用語は、不都合な生理学的応答または化粧品応答を引き起こすことなく生存動物またはヒト組織と接触させて使用するのに適しており、かつ有害な様式で組成物の他の構成成分と相互作用しない、水または生理食塩水、ジェル、クリーム、軟膏剤、溶媒、希釈剤、液体軟膏基剤、軟膏、ペースト、移植片、リポソーム、ミセル、巨大ミセル等が挙げられるが、これらに限定されない任意の液体、固体または半固体(限定されない)を意味するのに本明細書中で使用される。当業者に既知の他の薬学的に許容可能または化粧品上許容可能なキャリアあるいはベシクルを用いて、本発明の分子を送達するための組成物を作製してもよい。
配合物は、有効成分を単独で、好ましくは特定の位置で、おそらく長期間にわたって放出するように構成され得る。かかる組合せは、放出動態を制御するためのさらなる機構を提供する。コーティング、エンベロープ、および保護マトリックスは、例えば高分子物質またはワックスから作製され得る。
本発明の組成物、またはかかる組成物および様々な形態に特に適した本発明のキャリアのような他の材料を含む配合物のin vivo投与方法としては、経口投与(例えば、口腔または舌下投与)、肛門投与、直腸投与、座剤としての投与、局所塗布、エアロゾル塗布、吸入、腹腔内投与、静脈内投与、経皮投与、皮内投与、皮下投与、筋内投与、子宮内投与、膣投与、体腔への投与、腫瘍または内部損傷の位置での外科的投与、器官の内腔および実質への投与、および腸管外投与が挙げられるが、これらに限定されない。上記投与の様々な形態に有用な技法としては、局所塗布、摂取、外科的投与、注射、スプレー、経皮送達デバイス、浸透圧ポンプ、所望の部位上での直接電着、および当業者に精通している他の手段が挙げられるが、これらに限定されない。塗布部位は、表皮のような外部、または内部、例えば胃潰瘍、手術領域、あるいは他の箇所であり得る。
本発明の電気処理されたコラーゲン組成物は、クリーム、ジェル、溶液、懸濁液、リポソーム、粒子、または治療用および化粧品化合物の配合ならびに送達の技術分野の当業者に既知の他の手段の形態で適用することができる。電気処理されたコラーゲン材料の超微細粒子のサイズは、治療薬の吸入送達に使用することができる。皮下投与に適した配合物の幾つかの例としては、移植片、デポ剤、針、カプセル、および浸透圧ポンプが挙げられるが、これらに限定されない。膣投与に適した配合物の幾つかの例としては、クリームおよびリングが挙げられるが、これらに限定されない。経口投与に適した配合物の幾つかの例としては、丸剤、液体、シロップ、および懸濁液が挙げられるが、これらに限定されない。経皮投与に適した配合物の幾つかの例としては、ジェル、クリーム、ペースト、パッチ、スプレー、およびジェルが挙げられるが、これらに限定されない。皮下投与に適切な送達機構の幾つかの例としては、移植片、デポ剤、針、カプセル、および浸透圧ポンプが挙げられるが、これらに限定されない。腸管外投与に適切な配合物としては、酸化防止剤、緩衝液、静菌薬、および配合物を対象とするレシピレントの血液と等張にする溶質を含有し得る水性滅菌注射溶液ならびに非水性滅菌注射溶液、ならびに沈殿防止剤および増粘剤を含み得る水性滅菌懸濁液ならびに非水性滅菌懸濁液が挙げられるが、これらに限定されない。即時調合注射溶液および懸濁液は、当業者により一般に使用される滅菌粉末、顆粒および錠剤から調製され得る。
本発明の組成物が、例えば1つまたはそれ以上の「薬学的に許容可能または化粧品上許容可能なキャリア」または賦形剤と組み合わせられる実施形態は、単位投薬形態で利便性高く提供され得て、また従来の薬学的技法により調製され得る。かかる技法としては、有効
成分および薬学的キャリア(複数可)または賦形剤(複数可)を含有する組成物を会合させる工程が挙げられる。一般に、配合物は、均一にかつ緊密に、液体キャリアと有効成分を会合させることで調製される。好ましい単位投薬配合物は、投与成分の用量もしくは単位、またはそれらの適切な分画を含有するものである。上記に特記した成分のほかに、本発明の組成物を含む配合物は、当業者により一般に使用される他の作用物質を包含し得ることが理解されるはずである。投与容量は、投与経路に応じて様々である。例えば、筋内注射は、約0.1ml〜1.0mlの容量範囲であり得る。
本発明の組成物は、所望の生理学的結果または薬理学的結果をもたらす任意の用量範囲で物質を提供するために、ヒトまたは動物に投与され得る。投薬量は、投与される物質(単数または複数)、所望の治療終点、作用部位でまたは体液中での所望の有効濃度、および投与タイプに依存する。物質の適切な用量に関する情報は、当業者に既知であり、L.S. Goodman and A. Gilman, eds, The Pharmacological Basis of Therapeutics, Macmillan Publishing, New York, およびKatzung, Basic & Clinical Pharmacology, Appleton & Lang, Norwalk, Connecticut, (6th Ed. 1995)のような参照文献中に見出され得る。1つの望ましい投薬量範囲は、0.01μg〜100mgである。別の望ましい投薬量範囲は、0.1μg〜50mgである。別の望ましい投薬量範囲は、0.1pg〜1.0μgである。所望の治療の技術分野の熟練臨床医は、投与されるべき状況および物質の定めるところにより、特定の投薬量および用量範囲、ならびに投与頻度を選択し得る。例えば、ホルモン置換治療の技術分野の熟練臨床医は、状況が定めるところにより、エストロゲン分子およびエストロゲン調節分子と組み合わせて投与されるべきプロゲステロンのような物質に関する特定の投薬量および用量範囲、ならびに投与頻度を選択し得る。例えば、プロゲステロン、および当業者に既知の他のプロゲスチンは、約50μg〜300mg、好ましくは100μg〜200mg、より好ましくは1mg〜100mgの範囲の量で投与され得る。特定の投薬量、ならびにエストロゲン分子およびエストロゲン調節分子およびプロゲステロンの投薬量の組合せは、投与経路および頻度、ならびに治療されるべき状態に依存するであろう。例えば、組成物が経口用に配合される場合、好ましくはカプセルのような投薬単位形態では、各投薬単位は、好ましくはエストロゲン分子およびエストロゲン調節分子1μg〜5mg、およびプロゲステロン50μg〜300mgを含有し得る。米国特許第4,900,734号は、エストロゲン分子およびプロゲスチンの許容可能な用量組合せのさらなる例を提供する。
電気的または磁気的活性成分を包含する他の使用
本発明の組成物は、物質送達のほかに、さらに多くの用途がある。電気処理された材料中の電気的または磁気的活性成分の組込みが、電気処理された材料を振動電場または磁場に応答して周期的に移動させる実施形態が存在する。かかる電気処理された材料は、例えば心臓開存(patent)に対するポンピング作用または心室マッサージを提供することで、左心室援助デバイスにて使用することができる。振動は、伝導性材料に関する磁場または電場の受動運動、またはその逆により達成することができる。材料選定を操作することで、電気処理された材料は、永続的に配置されたままであるか、または時間をかけて溶解するように設計することができ、心臓がひとたび十分に回復されれば、デバイスを回収するための手術の必要性を排除する。
移植電気処理された材料を用いて、電荷または電流を組織へ伝導する実施形態も存在する。例えば、電気的に活性な成分は、神経内殖、幹細胞分化、または操作筋肉の収縮を促進するか、あるいは電気処理された材料が骨を再構成するためのキャリアとして使用される整形外科的用途で骨の形成を促進するように電気的に刺激され得る。一実施形態では、例えば、電気処理された材料は、骨損傷部位に適用され、治癒を容易にして促進するために
、物質に電流を印加するのに使用される。損傷した骨への小電流の印加は、骨損傷の治癒を加速するか、または治癒を促進することが知られている。
磁気的反応性材料を包含する他の実施形態では、磁場は、比較的非侵襲性の手段により、例えば腹膜内で材料の運動を誘導することで、物質を含有する電気処理された材料を配置させるのに使用される。他の実施形態では、電気的に活性な化合物を含有する組成物は、電場駆動型細胞遊走を生じるのに使用される。このアプローチは、治癒過程を加速し、細菌のコロニー形成の危険性を最小限に抑える。一例では、整形外科的移植片は、電気的に活性なポリマーの極薄(100ミクロン未満)層で被覆される。コーティングに取り付けられた非常に薄い電極により、移植後、電場誘導型細胞遊走が移植片表面に向かうように、外部電極を介して電場を印加することができる。望ましい場合、方向は逆転させることができる。場の配向は、移植片、および外部電極の構造に依存する。
外科的用途では、抗血管ペプチドまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドを電気処理された材料に組み込むことができ、それを局在化放出および効果を可能とするように、従来の治療では難しい腫瘍の周辺を包むか、またはその腫瘍内部に配置させる。抗血管物質の放出は、腫瘍成長を抑制する。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、構築物から腫瘍へと放出されて、所定の発現遺伝子配列を抑制するのに使用することができる。別の例では、増殖を制御する遺伝子配列に対するアンチセンス配列は、電気処理されたマトリックスで被覆したステント内部に送達され得る。ステントの配置に通常付随する伸張は、平滑筋の増殖を開始させ、細胞分裂を抑制するように設計したアンチセンス配列は、手順に付随する平滑筋細胞増殖の有害な影響を減少する。別の実施形態では、電気処理された材料は、センスおよびアンチセンスオリゴヌクレオチドを送達して、ある期間、局在化細胞の機能を促進または阻害する。例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドが電気処理された材料から放出されて、創傷において有害の酵素の発現を抑制する。かかる酵素の例は、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)であり、これは、多くの場合慢性創傷で過剰発現される。別の例では、創傷に適用された電気処理された材料は、メタロプロテイナーゼの組織阻害剤(TIMP)をコードするヌクレオチド配列を含有するプラスミドを放出する。創傷における細胞はTIMPを発現し、MMP機能を阻害するTIMPの局所送達をもたらす。
実施例1
I型コラーゲン、PGAおよびPLAから構成される移植片からの線維芽細胞成長因子(FGF)放出
線維芽細胞成長因子(FGF、Chemicon, Temecula, CAから入手)を、I型コラーゲン(80%)、PGA(10%)、およびPLA(10%)から構成されるマトリックス材料の溶液中に溶解させた。割合は、互いに関する材料の重量を指す。これらの材料を、1ml当たり0.08gmの最終濃度でHFIPに溶解させた。コラーゲン/PGA/PLA電気スピンニング溶液の50ng/mlのFGF濃度を提供するのに十分なFGFを溶液1mlに添加した。材料を、長さ約25〜35mmの接地スピンニング16ゲージ針の外側表面上へ円筒体の形状で電気スピンニングした。電気スピンニングの終了後、材料を針から取り除いて、電気スピンニングした円筒体を、構築物の外側周辺の縫合糸を輪にして締めて、きつく引っ張って端を封入することにより、縫合して閉じた。同様の結果が、熱い鉗子を用いて、端を一緒につまんで、まさに端を熱封止することで得ることができる。中空封入構築物が形成された。次に構築物をラットの外側広筋内に外科的に移植した。構築物を7日間所定の位置に放置し、検査のために回収した。マトリックス中のFGFは、電気スピンニングした円筒体の壁内部で筋肉形成を促進することで、電気スピンニングしたマトリックス内での筋肉形成を加速した。
実施例2
I型コラーゲン、PGAおよびPLAから構成される移植片材料からの血管内皮成長因子(VEGF)放出
血管内皮成長因子(VEGE、Chemicon, Temecula, CAから入手)を、実施例1に記載するように、I型コラーゲン(80%)、PGA(10%)、およびPLA(10%)から構成されるマトリックス材料の溶液中に溶解させた。これらの材料を、1ml当たり0.08gmの最終濃度でHFIPに溶解させた。コラーゲン/PGA/PLA電気スピンニング溶液の50ng/mlのVEGF濃度を提供するのに十分なVEGFを溶液1mlに添加した。材料を電気スピンニングして、円筒状の構築物を形成し、実施例1に記載するのと同じ手順で、ラットの筋肉に移植した。構築物を7日間所定の位置に放置し、検査のために回収した。構築物全体にわたって存在するVEGFは、機能的毛細管の密度を増加させた。これは、赤血球(RBC)を含有する毛細管の存在から明らかであった。
実施例3
電気処理されたコラーゲン、PGAおよびPLAから構成される構築物からのVEGFの放出
マトリックス内にVEGFをスピンニングされた電気処理されたコラーゲンおよびPGA:PLAコポリマーの構築物を、80%コラーゲンおよび20%PGA:PLAを用いて調製した。コラーゲンおよびPGA:PLAを、1ml当たり0.08gmの最終組合せ濃度でHFIPに溶解させた。異なる量のVEGFをコラーゲンおよびPGA:PLAコポリマーの溶液1mlに添加した溶液を調製した。電気スピンニング溶液1ml中にそれぞれVEGF0ng、25ng、50ng、および100ngを含有する別個の電気スピンニング用溶液を調製した。円筒状構築物(直径2mm)上に材料1mlを電気スピンニングすることで、各溶液に関して構築物を調製した。構築物を標的針から取り出して、半分に切断した。次に、電気スピンニングされた各試料の一方の半分を、グルタルアルデヒド蒸気固定に暴露して、コラーゲン繊維を架橋した。架橋は、構築物をグルタルアルデヒド蒸気に15分間暴露することで達成した。蒸気固定のために、電気処理された構築物の試料を100mm組織培養皿に入れた。50%グルタルアルデヒド1mlを含有する35mm組織培養皿を100mm組織培養皿の内側に置いた。100mm組織培養皿のふたを戻し、試料を室温で15分間置いたままにした。次に、蒸気固定試料、および未固定の電気スピンニングされた構築物の試料をPBS中に浸して、架橋してない試料および架橋試料に関するVEGFの量(電気スピンニングされた材料1mg当たりピコグラムで表される)を、種々の時間で測定し、それぞれ図7および図8に示す。PBS中へのVEGFの放出を、ELISA法により時間の関数として測定した。VEGF用のELISAキットは、Chemicon International(品番 cyt214)から購入し、キットに提供された使用法に従ってELISAを実施した。試料を遠心分離して、微粒子物を除去し、使用まで−20℃で貯蔵した。
図7および図8では、白ひし形は、VEGFを添加していないPGA:PLAコポリマーおよびコラーゲンを含有する溶液から電気スピンニングした繊維からの放出を表す。白四角は、VEGF25ngを添加したPGA:PLAコポリマーおよびコラーゲンを含有する溶液から電気スピンニングした繊維からの放出を表す。白丸は、VEGF50ngを添加したPGA:PLAコポリマーおよびコラーゲンを含有する溶液から電気スピンニングした繊維からの放出を表す。白三角は、VEGF100ngを添加したPGA:PLAコポリマーおよびコラーゲンを含有する溶液から電気スピンニングした繊維からの放出を表す。結果は、マトリックスがPBS中でVEGFを放出することだけでなく、グルタルアルデヒドによる架橋がマトリックスからの放出を遅らせることを実証する。
実施例4
電気処理されたコラーゲンマトリックス:膵島
培養インスリン分泌細胞の混合物を、電気処理されたコラーゲンマトリックス中に播種して、電気処理されたコラーゲン含有組織を形成する。インスリン分泌細胞を含有する電気処理されたマトリックスを、インスリンを必要とする糖尿病レシピエントに移植する。この電気処理されたコラーゲンまたはフィブリン含有組織は任意に血管を含有する。マトリックスを腹膜後隙に移植して、血管を肝門脈循環に吻合させる。インスリン含有細胞からインスリンが放出され、循環へと伝達される。
インスリン分泌細胞を含有する電気処理されたマトリックスは任意に、膵島のホルモン補完を模倣するために、グルカゴン、ソマトスタチン、膵ポリペプチド、またはそれらの組合せを合成および分泌する細胞を補充される。
任意に、異種細胞(例えば、同種ドナーからの操作細菌または細胞)を、細胞への栄養分の拡散を可能とするが、レシピレントの免疫系による細胞の検出が可能でないか、またはその検出を阻害もしくは遅延する孔径を有するマトリックス中に配置する。
実施例5
創傷治癒用の電気処理されたコラーゲンマトリックス
慢性創傷を患う患者の健常部位からケラチノサイトを収集する。細胞を培養して成長させて、エレクトロポレーションでトランスフェクトして、VEGFを発現させる。次に、トランスフェクトされた細胞を電気スピンニングされたコラーゲンマトリックス中で混合するかまたは調製する。マトリックスメタノプロテイナーゼ(MMP)用のアンチセンスオリゴヌクレオチドもまたマトリックスにスピンニングさせる。マトリックスを創傷表面に局所塗布する。移植片付近または移植片中の細胞はアンチセンス配列を取り込み、それらのトランスフェクトした遺伝子配列を発現し、MMP生産が低減する。他の用途では、細胞を遺伝子操作して、VEGFを分泌させてもよく、それにより治癒を促進する。アンチセンスオリゴヌクレオチドの放出により、通常慢性創傷で過剰発現されるMMPの発現が抑制される。したがって、創傷部位は、天然の治癒過程を同時に促進する移植片により修復される。任意に、マトリックスは、フィブリン、またはフィブリンおよびコラーゲンの混合物から構成される。フィブリンは、出血の中止を補佐し、治癒を促進する。
実施例6
骨修復用の電気スピンニングされたコラーゲンマトリックス
骨損傷の患者からの骨芽細胞を培養して、I型コラーゲンを含む電気スピンニングしたマトリックスに組み込む。マトリックスは、損傷部位の空洞または欠陥の形状に成形される。骨成長因子(BGF)、骨形成タンパク質(BMP)またはこれらのタンパク質をコードする遺伝子配列を、マトリックス中に電気スピンニングし、任意に電気スピンニングしたマトリックスに組み込まれる。マトリックスは、新たな骨の成長を助長し、マトリックス中のBGFまたはBMPは、骨の成長を促進する。
任意に、使用されるコラーゲンは、正常なコラーゲン中よりも多くのP−15部位を有するコラーゲンポリマーを発現する遺伝子操作細胞により、in vitroで生産される。過剰なP−15部位は、骨芽細胞を促進して、ヒドロキシアパタイトを生産および分泌して、さらに骨の成長を助長する。
任意に、マトリックスはさらに、電気的活性材料であるポリピロールともにみ電気処理される。移植マトリックスの各端に電極を接続する。帯電した電極を後に電極全体の表面に印加して、移植片を通過する小電流を創出して、骨損傷の治癒をさらに促進する。別の実施形態では、圧電要素をマトリックス中に電気スピンニングして、治癒を促進する放電を生じてもよい。
実施例7
電気処理されたコラーゲンマトリックス:心臓パッチ
この例では、心臓パッチを調製する。コラーゲンの整列フィラメントを有する電気処理された材料のシートを調製する。シートを所望の形状でひだシートへと折り曲げ、かつ/または円筒体へと巻く。第2の構築物を、所望の形状、例えば長方形で電気スピンニングする。無傷の心臓の細胞層を模倣するひだシートを電気処理した長方形の形態に挿入する。構築物に細胞を充填し、縫合して閉じて、バイオリアクタ中にまたは原位置に直接配置させる。外側の長方形の形態の長軸に沿って平行して電気スピンニングした材料のひだシートのフィブリルを整列させることで、心臓の筋肉様構築物が得られる。自然心臓組織は、上塗り層および下敷き層を有する軸からわずかに離れた隣接細胞層を有する正常軸に沿って整列された細胞の層から構成される。この構築物は、マトリックスが調製され、細胞が、マトリックスが調製される際にマトリックス上に直接電気処理、滴下またはスプレーされる以下に記載の方法により、より正確に模倣される。シートの長軸に沿って整列されたコラーゲンのフィブリルと接触している細胞は、シートの下敷きフィブリルと平行して展開し、in vivo様の組織化パターンで整列かつ層化された細胞の筋肉構築物を形成する。構築物は、直接移植することができるか、あるいはRCCSバイオリアクタ内に配置させることができる。RCCSバイオリアクタ内の懸濁液中にこのタイプの構築物を維持するための回転速度は、組織の質量および外側円筒体を製造するのに使用される特定材料に応じて、4〜20rpmの範囲である。この設計の変形形態としては、マトリックス中の血管新生因子、遺伝子配列、ならびに炎症および/または拒絶を抑制する作用物質の添加が挙げられる。他の細胞型、例えば微小血管内皮細胞を構築物に添加して、構築物内の毛細管系の形成を加速してもよい。この設計原理での他の変形形態を使用することができる。例えば、マトリックスが接地標的上に堆積される際に細胞をマトリックスに電気処理してもよい。スピンニングおよびスプレー処理中に繊維のピッチを変更することで、繊維が非常に正確に堆積される際に細胞を繊維上へ滴下または電気処理することが、構築物内の細胞の位置付けを制御する。
実施例8
I型コラーゲンの電気スピンニング
I型コラーゲンを使用した(子ウシの皮、Sigma Chemical Co.)。コラーゲンを、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−イソプロパノール(HFIP)中に、HFIP3ml中に0.1181gの濃度で懸濁させた。溶液または懸濁液(乳白色溶液)になったら、溶液を1mlシリンジプランジャーに充填した。次に、含有されたコラーゲン溶液用の電気スピンニングノズルおよびチャージングポイントとして作用するように15ゲージルーアースタブアダブターをシリンジに配置させた。充填したシリンジをシリンジポンプ(KD Scientific)セットに配置させて、1.0mlシリンジプランジャー(Becton Dickinson)を利用して18ml/hrで溶液を分配した。高電圧供給からの正のリード線を、ルーアースタブダプターの金属部分に取り付けた。シリンジポンプを作動させた。高電圧供給を作動させ、20kVに設定した。接地標的は、アダプターの先端からおよそ6インチに配置した303ステンレス鋼心軸(幅(W)0.6cm×高さ(H)0.05cm×長さ(L)4cm)であった。スピンニングプロセス中、心軸をおよそ500rpmで回転させた。コラーゲン溶液約1mlを電気スピンニングして、接地心軸上に白色マットを形成した。電気スピンニング後、コラーゲンマットを心軸から取り出して、走査型電子顕微鏡用に加工した。生産されたマットは、およそ200ミクロン厚であった。
透過型電子により、およそ100nmのコラーゲン繊維径、および自然コラーゲン重合の特徴である典型的に67nmの縞形成が明らかとなった。
実施例9
コラーゲンおよびエラスチンの電気スピンニング
この実施例の方法は、電気スピンニングされる溶液以外は実施例8と同じであった。この場合、電気スピンニング溶液は、コラーゲン0.1155g、項靱帯(Fluka)由来のエラスチン0.1234g、およびHFIP5mlから構成された。懸濁液約2mlを電気スピンニングして、マットを形成した。生産されたマットは、およそ50ミクロン厚であった。
実施例10
I型コラーゲン、III型コラーゲン、およびエラスチンの電気スピンニング
この実施例の方法は、電気スピンニングされる溶液以外は実施例8と同じであった。この実施例では、電気スピンニングされる溶液は、I型コラーゲン0.067g、III型コラーゲン0.067g、項靱帯由来のエラスチン0.017g、およびHFIP2mlから構成された(I型44%、III型44%、エラスチン12%)。この比は、自然動脈壁組織で見られる比に類似している。生産されたマットは、およそ100ミクロン厚であった。
実施例11
コラーゲン(I型およびIII型)の電気スピンニング、架橋、構造分析、および強度試験
酸可溶性凍結乾燥コラーゲンを全ての実験に使用した。別記しない限り、試薬は全て、Sigma Chemical Company(St. Louis, MI)から購入した。この研究に関して、子ウシの皮由来のI型コラーゲン、ヒト胎盤から単離したI型およびIII型コラーゲンを使用した。コラーゲンを、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFIP)中に、様々な濃度で溶解した。コラーゲンの懸濁液を、シリンジポンプ(モデル100、KD Scientific Inc., New Hope, Pa.)を配備した1mlシリンジに配置させた。シリンジを、18ゲージの平滑端針でキャップした。高電圧供給(Spellman CZE1000R、Spellman High Voltage Electronics Corp.)からの正のリード線を、金属シリンジ針の外側表面に、ワニ口クリップを介して取り付けた。303ステンレス鋼から製造した円筒状(幅(W)0.6cm×高さ(H)0.05cm×長さ(L)4cm)接地標的を、シリンジ先端から4〜6インチに配備した。電気スピンニング開始時に、シリンジポンプを設定して、0〜25ml/hrの様々な速度で供給源溶液を送達した。同時に、供給源溶液および接地標的心軸を通して高電圧を印加した(15〜30キロボルト(kV))。別記しない限り、心軸をおよそ500r.p.mで回転させた。要約すると、電気スピンニングプロセス中、コラーゲンのアイソタイプおよび濃度、課せられた電圧、エアギャップ距離、ならびに流速を検査した。子ウシの皮由来のI型コラーゲンを、4mm径の円筒状培養基盤(長さ=1cm)上へ電気スピンニングした。構築物をグルタルアルデヒド中、室温で24時間架橋した後、リン酸緩衝生理食塩水の幾つかの変更物ですすいだ。
実施例12
コラーゲンを電気スピンニングするための様々な条件の試験
予備検査により、コラーゲンを電気スピンニングするのに好ましい溶媒としてHFIPが特定された。HFIPは、沸点61℃を有する揮発性溶媒である。コラーゲン繊維の電気スピンニングは、生産される最終繊維径に対する濃度依存性を示した。例えば、I型コラーゲン(子ウシの皮)の酸抽出物0.008g/1.0mlの濃度で、HFIPに容易に可溶性であった。しかしながら、この濃度では、コラーゲンは、電気スピンニングのいかなる証拠(繊維形成)をも示さず、入力電圧に関わらず、ポリマー溶液は、液滴を形成し、シリンジ先端から漏出した。コラーゲンの濃度を0.0083g/mlまで10倍増加
することで、にごった溶液が生じ、電気スピンニング中に繊維の形成をもたらした。これらの繊維が標的心軸上で不織マットとして集合した。供給源溶液中のコラーゲン濃度のさらなる増加は、繊維形成を大いに変更しなかった。
次に、電圧入力パラメータを検査した。I型コラーゲンを、0.083g/mlでHFIPに懸濁させた後、15から30kVまでを、2.0kVの増分で変更させた電圧を施した。繊維形成は、25kV(電場規模=2000V/cm)で最も顕著であった。この入力電圧で供給源溶液および接地標的との間のエアギャップ距離を変更することは、電気スピンニングプロセスに著しく影響を及ぼした。最適なエアギャップ距離は、およそ125mmであった。コラーゲンフィブリルは、実質的により短いエアギャップ距離にわたってスピンニングすることができるが、これらのフィブリルは、かなりの溶媒を保持し、湿潤状態で標的上に集合した。エアギャップ距離が250mmの臨界間隔を超えると、スピンニングされた繊維は、標的心軸上に集合することができなかった。
電気スピンニングプロセスで発生させた電場は、シリンジリザーバからコラーゲン供給源溶液を抜き出すのに十分であった。しかしながら、コラーゲン供給源溶液がシリンジポンプによる電気スピンニング場へ送達される速度をメーターで計ることで、より一様なコラーゲンマットを生成することが可能である。繊維形成は、コラーゲン供給源溶液がおよそ5.0ml/hrの速度で電場に送達される場合に最適であった。より早い送達速度では、繊維形成は一貫しなかった。
標的心軸の回転もまた、コラーゲンの堆積に影響を及ぼした。500r.p.m.未満の速度で回転している心軸上へ電気スピンニングされたコラーゲンフィブリルは、フィラメントのランダム多孔質マトリックスを生じた。心軸の回転数を4,500r.p.m.(心軸表面はおよそ1.4m/秒で移動)に増大することにより、回転軸に沿って線状の平行配列でのフィブリルの堆積が生じた。整列したフィブリルおよび整列していないフィブリルの透過型電子顕微鏡分析により、これらのフィラメントがすべて、自然コラーゲンの特徴である67m縞形成を示すことが明らかとなった。
このタイプの電気スピンニングされたコラーゲン足場の応力歪プロフィールを測定した。子ウシの皮由来のI型コラーゲンを、4,500r.p.m.で回転している長方形標的心軸上に、最適条件下で電気スピンニングした。足場形成を標的から取り出し、25mm(長さ)×25mm(幅)のシートに作り上げた。このマトリックスを製造するのに使用される条件下で、足場形成は、断面積直径0.187mmを平均とした。複製試料を、心軸回転の基本軸に平行または垂直である細片に切断した。このアプローチは、局所的繊維方向が電気スピンニングされたマトリックスの材料特性を調整する方法の検査を可能とした。基本軸フィブリル整列と平行した相場の材料試験は、1.5±0.2MPaのビーク応力で、1.17±0.34Nの平均荷重を示した。縦軸試料に関する平均モジュラスは、52.3±5.2MPaであった。横繊維配向では、破壊時のピーク荷重は、0.75±0.04Nであり、ピーク応力は、0.7±0.1MPaであった。繊維長軸を横切るモジュラスは、26.1±4.0MPaであった。これらのデータは、電気スピンニングされた足場形成を構成する繊維の局所的配向が操作マトリックスの材料特性を直接調整することを示す。このタイプの不織マトリックスへの架橋の様々な度合いの組み込みは、特定用途に、マトリックスの材料特性をさらに適応させるのに使用することができる。
コラーゲンの独自性および供給源を、電気スピンニングプロセスに対する影響に関して研究した。ヒト胎盤から単離したI型コラーゲンを、子ウシの皮のI型コラーゲンに対して最適化した条件を用いて電気スピンニングした。子ウシの皮のコラーゲンに対して、この材料を電気スピンニングすると、あまり一様でない繊維マトリックスが生じた。個々のフィラメントは、直径100〜730nmの範囲であった。これらの実験で使用した0.0
83g/mlのコラーゲンは、胎盤から単離される場合のI型コラーゲンに関する臨界移行濃度を表すようである。供給源溶液中に存在するヒト胎盤コラーゲンの濃度を増加し(電気スピンニング供給源溶液の粘性を増加)、すべての他の変数を等しく保つと、より大きな直径の繊維の形成に好都合であるようである。逆に、供給源溶液の濃度を減少する(電気スピンニング供給源溶液の粘性を減少)と、平均フィラメント直径が減少し、主として100nm繊維から構成されるマトリックスが生じる。
コラーゲンの一次配列は、電気スピンニングプロセスにおけるこのポリマーの形成に直接影響を及ぼす。III型コラーゲンを電気スピンニングする予備的試みは、このペプチドの最適濃度が、I型(子ウシの皮)の最適濃度よりも50%未満の値であるおよそ0.04g/ml(HFIP)であることを示した。子ウシの皮I型コラーゲンを電気スピンニングするのに最適化した他の条件すべてを用いて、0.04g/ml(HFIP)でIII型コラーゲンを電気スピンニングすることで、平均直径250±150nmを有する繊維が生じた。自然ECM内のI型コラーゲン対III型コラーゲンの相対比は、コラーゲンベースのネットワークの構造特性および機能特性に影響を及ぼす。50:50の比でI型ヒト胎盤コラーゲン(0.08g/ml(HFIP))およびIII型ヒト胎盤コラーゲン(0.04g/ml(HFIP))の最適濃度をブレンドすること(最終コラーゲン濃度0.06g/ml)は、電気スピンニングプロセス中のフィブリルの形成に影響を及ぼした。子ウシの皮I型コラーゲンについて最適化した電気スピンニング条件下で、ブレンドした材料は、直径390±290nmを平均とする繊維から構成される足場を形成した(図10)。
架橋についてもまた研究した。コラーゲンマットがUV光に暴露される時間量に関係なく、あらゆる試料は、温培地に配置させると即座に溶解した。グルタルアルデヒド暴露が、いくらか異なる結果をもたらした。1、2、および5分のマットは温培地に溶解する一方で、溶解が起きる速度は、研究した時間間隔のいずれのUV暴露マットよりも遅かった。10および20分のマットは、培地に配置されるといくらか透明になったが、溶解しなかった。グルタルアルデヒドに一晩暴露したマットは、最初にチャンバに入れたときよりも色がいくらか濃く見えた。それは、ごくわずかなコンプライアンスを有し、培地に配置されると溶解しないか、または任意の低粘稠化の徴候を示した。45:35:20(コラーゲンI型、III型、エラスチン)マットのグルタルアルデヒドへの10分以上の暴露は、マットを不溶性にさせるのに十分な架橋を生じる。
実施例13
電気スピンニングされたコラーゲンの生物学的特性
電気スピンニングされたコラーゲンの生物学的特性を、組織培養実験で検査した。大動脈平滑筋細胞を、RCCSバイオリアクタ中に懸濁させて、電気スピンニングされたコラーゲンの種々の配合物上に蒔いた。RCCSバイオリアクタにより提供される低せん断の高栄養分環境は、細胞−マトリックス相互作用、およびin vitroでの大規模な組織質量の形成を促進する。これらの培養物の顕微鏡検査から、足場は、7日以内に平滑筋細胞で密集することが明らかとなった。断面分析は、電気スピンニングされたコラーゲンが原線維ネットワークへの広範な細胞浸潤を促進することを示した。平滑筋細胞は、マトリックス内の奥深くで観察され、電気スピンニングされたコラーゲンのフィブリル内で完全に絡まっていた。
実施例14
電気スピンニングされたコラーゲン−エラスチンマトリックスのin vivoでの生体適合性
in vivoでの材料生体適合性を研究するために、電気スピンニングされた80:20のI型コラーゲン/エラスチンマトリックスを、SDラット(Charles Riv
er)の両方の後脚に2週間移植した。この研究に使用した雌ラットは、およそ200gの体重であった。円筒状構築物を移植して、この特定の製造基盤の性能を試験した。手術前に、ラットをペントバルビタールの静脈内注射(5〜7mg/100g(体重))で麻酔した。外側広筋のすぐ上方にある後脚の側面部分に沿って長さ10〜15mmで切開した。平滑切開により筋腹に小さなチャネルを調製した。電気スピンニングされたコラーゲン/エラスチン構築物をチャネルに配置させた。内因性筋肉を、移植材料の上に一緒に縫合し直し、皮膚切開を修復し、その領域をベタジンで灌注した。14日後、ペントバルビタールの静脈内注射で鎮静させ、両側の気胸により屠殺した。肺の虚脱を目視で確認し、移植組織を、組織学的評価のために回収した。組織学的標本に関して、この組織を、強度半分のカルフォンスキー固定液中に24時間固定し、包埋して、厚く切断した。
in vivoでの細胞浸潤を確認するために、SEM下で血管を観察した。1週後のラットモデルから血管を取り出すことで、この培養の2週後の血管と類似した細胞遊走、浸潤、および被覆が明らかとなった。移植の領域で、あるいは移植の領域周辺で炎症(膨潤)は見られなかった。ラットはまた、ケージ周辺で液体移動を示した。マトリックス中のコラーゲン繊維の目に見える被包は見られず、むしろほぼ全部の血管マトリックスが、ラット由来の骨格筋細胞で覆われていた。
実施例15
in vitroでの電気処理されたマトリックスへの細胞浸潤
平滑筋細胞とともに培養した3層状のI型/エラスチン80:20のマトリックスのSEM検査により、マトリックスへの三次元細胞遊走を含む顕著な細胞付着および成熟が明らかとなった。たった1週後、走査型電子顕微鏡法により示されるように、目に見える細胞遊走および付着が見られた(図11)。
バイオリアクタ中で2週後、細胞成熟がはるかに顕著になった。細胞は、管の管腔領域を横切って集密層を形成するようであった。管の横断面のSEMは、壁の中心領域の細胞遊走および再構築を示した。足場の外壁領域への細胞遊走は、2週目の管では観察されなかった。しかしながら、壁の中心領域は、管腔領域の被覆前に完全に浸潤された。
培養の3週後、完全に集密な平滑筋細胞層が、血管の管腔表面を横切って形成された。血管の外側領域へ向かう細胞遊走は、2週目の試料を上回って増加した。幾らかの未熟細胞が管腔表面上で依然として見てとれたが、コラーゲン繊維は見られなかった。
組織学的染色(H&E、および三色)下で、細胞遊走は、2週目および3週目の試料で見られた。マトリックス再構築は2週目の試料で明らかであるものの、マトリックス再構築は、3週目の試料ではるかに顕著であった。マトリックスのいくらか層状の層が当該領域で観察されるように、この再構築は、より管腔的であるようであった。さらに、3週目の試料は、試料壁にわたる等しい細胞密度から明らかなように、至るところで平滑筋細胞(SMC)浸潤を示した。
実施例16
靭帯設計の実証
靭帯設計の実現可能性を判定するために、4.0mlのI型コラーゲン96%、およびエラスチン4%を、25×25mm四方の心軸上に電気スピンニングした。試料は、実施例8に記載するのと同じ方法を用いて電気スピンニングした。次に、得られたマットを、播種チャンバ中に固定して、3時間線維芽細胞を播種した。次に、播種したマットを、1週間回転細胞培養して、細胞浸潤させた。培養の1週後、マットを、滅菌テフロン(登録商標)クランプを用いて両端で保持し、抵抗が感じられるまで一端を右回りに回転させた。さらなる線維芽細胞を、播種チャンバ中で3時間、ねじれたマットに播種した。次に、マ
トリックスを取り出して、もう1週間回転細胞培養し、その後、マトリックスをSEMおよび組織学用に固定した。
軟骨設計の実証
軟骨設計の研究のために、電気スピンニングされたII型コラーゲン上での軟骨細胞成長の実現可能性を判定した。最初に、II型コラーゲン試料100mgを、0.10g/mlの濃度で、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFIP)に入れて、電気スピンニングした。試料は、実施例8に記載するのと同じ方法を用いて電気スピンニングした。いったんII型コラーゲン溶液の1ml容量全部がスピンニングされれば、得られた電気スピンニングされたマットを心軸から取り出して、3%グルタルアルデヒドガス中で固定して、走査型電子顕微鏡法で示されるように固定II型コラーゲンマトリックスを形成した(図12)。次に、培地中に懸濁した軟骨細胞の溶液(1,000,000個の細胞)をマトリックスに添加して、3時間播種チャンバに置いた。次に、マットをチャンバから取り出して、回転培養細胞システム中で、それぞれ1週間および2週間培養した。1週目の試料は、播種した側上にほぼ完全な被覆を、またマット内にいくらかの再構築を示した(図13)。
3層状プロテーゼ設計の実証
小径の血管マトリックスの生理学的タンパク質分布を厳密に模倣する試みでは、コラーゲンI型/エラスチン80:20のミックス3mlを、0.083g/mlの濃度で生産し、管状(内径4mm)心軸上に電気スピンニングし、取り出して、3%グルタルアルデヒドガスで固定した。試料は、実施例8に記載するのと同じ方法を用いて電気スピンニングした。生理学的血管壁に類似して、この層は、線維芽細胞および平滑筋細胞を播種されるべきプロテーゼの外壁として作用する。管をカットガット縫合糸により両端で縛って閉じ、その外側表面に線維芽細胞を播種して、回転細胞培養システム中に入れた。培養の4日後、管を取り出し、一端をほどいて、懸濁平滑筋細胞溶液を管腔に注入した。次に、再開封した端を縫合糸により縛り、管を4日間培養した。第1の管を培養したままである一方で、エラスチン70%およびI型30%から構成される第2の管を、内径2mmを有する心軸上に電気スピンニングした。固定後、内径2mmの管を内径4mmの管へと滑らせ、この2つの管を3日間回転細胞培養した。これは、小さいほうの管へのSMC遊走を確実にするために行った。培養の3日後、ヒト臍静脈内皮細胞を内径2mmの管の内側に注入し、さらに2日間培養した。次に、得られたプロテーゼを取り出し、組織学用に固定した。
実施例17
ナノサイズの繊維の水性電気処理されたマトリックス
この実施形態では、溶媒キャリアとして水を用いて、電気処理用ラット尾コラーゲンを送達した。水の揮発性を増加するために、電気スピンニングを真空中で行った。デバイスは、供給源溶液(水/コラーゲン)、高電圧供給源(30,000V)、および接地からなる標準的な電気スピンニングデバイスから構成されていた。
真空フラスコを縦一列に並べて、直結ポンプに接続した。電気スピンニングに使用するチャンバをゴムストッパーでキャップした。30ゲージ針を備えた1mlシリンジを、ストッパーに用意したポートに通した。二方活栓を、シリンジ供給源とシリンジとの間に配置した。シリンジポートを閉じて、ポンプを開始した。チャンバを、5〜10分間真空へとポンピングさせた。2つの真空フラスコの総容積は、およそ6.25リットルであった。平衡状態が確立されたら、第1の真空チャンバへポンプを接続するホースをクランプで封止した。シリンジ上の活栓を開放し、コラーゲン溶液(5mg/mlコラーゲン)を20〜25kVに帯電させた。溶媒は最初、シリンジ供給源から落ち、電圧が臨界レベルに達すると、テーラーコーンの一過性の形成が見られ、続いて繊維の形成が見られた。水が蒸
発し、真空が消散すると、電気スピンニングプロセスは止まった。SEMは、繊維が幾つかの微細下部構造および縞状の周期性の証拠を示すようであることを実証した。選択繊維は、全直線長がmmに近く、繊維は、直径がミクロン以下のスケールであった。
実施例18
電気スピンニングされたマトリックスを利用した、組織操作心臓弁および心臓弁尖の開発高分子マトリックスを、心軸(金型)上で直接形成して、心臓弁または心臓弁尖を生産する。取り付けたマイクロピペット先端(ノズル)を有するリザーバを、コラーゲン溶液および高分子溶液で充填して、接地標的からある距離を置いて配置させる。接地標的は、金属心軸(非粘着表面)である。微細ワイヤを、各ピペット先端(スプレーノズル)内の溶液中に入れて、高分子溶液または溶融物を高電圧に帯電させる。特定の電圧で、ピペット先端中の高分子溶液または懸濁された溶融物を、接地標的(心軸)に向かってピペットの先端から誘導させる。この溶液流(スプレー)は、モノフィラメントとして始まり、それは、ピペット先端および接地標的の間で、マルチフィラメントに変換される(電場駆動型現象)。これは、「ウェブ状」構造の生産を可能として、標的部位に蓄積する。接地標的に到達すると、マルチフィラメントは集合して、乾燥して、三次元連続高分子マトリックス(ファブリック)を形成する。このアプローチの有効性を試験するための実験では、この技法を用いて、ポリ乳酸/ポリグリコール酸(PLA/PGA、50/50)ポリマー、およびポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)の生分解性フィラメントを生産し、その両方が塩化メチレンに溶解した。
心臓弁および心臓弁尖用の高分子足場形成の電気スピンニングは、配向がランダムであり得るが、以下に記載するように通常特定の配向で生産される。望ましい繊維配向が縦方向である場合、心軸/接地標的は、高分子スプレーに対して垂直に移動させる。この配置により、主に特異的に(単一方向)配向された繊維から構成される管状マトリックスの直接的な生産が可能となる。
この場合での特定配向は、接地標的の主軸に関して任意の望ましいピッチである。この配向は、心軸/接地表面の同時回転および縦方向移動により制御される。これにより、特定のピッチまたは一連の複数のピッチ(クロスハッチング配置)から構成されるマトリックスの生産を可能にする。
生分解性材料を利用する場合、核酸(ベクター)のような物質が、足場に組み込むために電気スピンニング高分子溶液に任意に添加される。播種細胞による足場形成の消費/再構築時に、細胞は、ベクターをそれらのDNAに組み込み(すなわち、遺伝子操作)、所望の効果を生じる。成長因子または他の物質が、組織再生/治癒を助長するために、電気スピニングしたマトリックスに任意に組み込まれる。
実施例19
ポリマー溶液によるステントの電気スピンコーティング
この実施例に関して、1/7wt/volのHFIP中のポリマー(PGA95%およびPCL5%)を使用した。印加電圧は、7インチの距離にあるステント表面(Palmaz−Schatzステント)へシリンジ先端で24.5kVであった。スピンニングは、およそ20〜30秒間実施した。スピンニングのために、ステントに、中心を通して25ゲージ針を配備し、端で90°に曲げて、電気スピンニング中、ステント/心軸の回転中に針上の適所にステントを保持した。コーティングの一様な分配を得るために、電気スピンニング中、回転用スピンニング装置上の4mm径の心軸の端にシリンジのプラスチック台を留めた。ステントの配備は、ステント管腔を通して2つの25ゲージ針を配置させ、ステントを物理的に引っ張って開放させることで実行した。ステントは、PGA−PCLの繊維により一様にコーティングされ、その直径は、配備前よりも83%大きかった。
実施例20
電気スピンニングされたコラーゲンで被覆したステント手順
25ゲージ針をステント(Palmaz−Schatzステント)の中心を通して挿入した。心軸回転中にステントが針上に確実に維持されるために、針の先端を90°曲げた。続いて、針および取り付けたステントを、金属心軸延長物(内径2mm)の端に取り付けた。ステントを調製した後に、コラーゲン(ラット尾I型)0.080gを、HFIP溶液1ml中に入れた。次に、コラーゲン溶液を1mlシリンジに入れて、18ゲージの平滑針を取り付けた。試料は、実施例8に記載するのと同じ方法を用いて電気スピンニングした。溶液およそ400μlをステント上に電気スピンニングした。次に、ステントを針から取り出し、SEM下で研究した。結果は、図14および15で比較した。電気スピンニングされたコラーゲン繊維は、ステントをコーティングした。
実施例21
血管樹操作:
電気スピンニングされた繊維は、任意の形状の心軸上に形成される。したがって、継目ない1つの連続構造である複数の分岐を有する血管樹が作製される。例は、4重バイパス手順のための冠状バイパス血管樹の電気スピンニングである。金型は、注文作製してもよく(3D注文作製の生体模倣構造)であり得るか、あるいは血管樹は、様々な利用可能なサイズを有する集団特異性を平均とするように設計することができる。
継目のないラット大動脈−腸骨二分岐移植片をポリエチル酢酸ビニルから生産した。この実施例では、金型は、ステンレス鋼ロッドおよびペーパークリップから形成された。次に、ポリマーを電気スピンニングして、金型周辺に継目のない二分岐を形成した。次に、二分岐を1つの継目のない構築物として心軸から滑らせてとった。
実施例22
生物医学的操作用途での電気スピンニング:筋肉生体操作電気スピンニングの研究
PGA、PLA、PGA:PLA、およびコラーゲンを、HFIP(Sigma, St. Louis)中に懸濁させて調製した(容積当たり7〜8重量%)。様々なポリマー溶液を1mlシリンジに充填して、20kVに帯電し、25〜30cmsのエアギャップを通って回転接地心軸に誘導した。この研究に用いた構築物は、14ゲージ針上に調製され、その長さは20〜25mmであった。円筒状構築物を心軸から取り外して、使用前に70%アルコール中で滅菌した。
細胞単離
新生ラットを屠殺して、皮膚を取り出した。骨格筋を四肢および胸郭から切除して、細分化して、12時間のコラゲナーゼ消化(200ユニット/mlコラーゲナーゼ活性、Worthington Biochemical, NJ)を施した。消化の終結時に、組織にカニューレを通して、100ミクロンメッシュフィルタを通してろ過して、10%ウマ血清(Sigma, St. Louis)および5%ウシ胎児血清(Mediatech, VA)を補充したDMEM−F12中に希釈した。線維芽細胞を、2つの差次的接着の1時間サイクルにより、単離物から部分的に精製した。部分的に精製した筋芽細胞をコラーゲン(1mg/ml)中に懸濁させて、電気スピンニングされた円筒状構築物に配置させた。円筒状構築物中の単離細胞を、移植前にSynthecon製の回転壁バイオリアクタ(Houston, TX)中で24時間培養した。
外科的手順
成体SDラット(150〜200gm)をペントバルビタールで麻酔した。さらに、後半身を取り出した。皮膚をベタジンで洗浄し、外側広筋腹内で切開した。円筒状構築物をブ
ラインドチャネル内に配置した。一面を覆う筋肉を移植片の上で縫合し、皮膚切開を修復した。次に、全領域をベタジンで二度ふきとった。7日後、移植片を回収して、組織学的および超微細構造検査用に調製した。組織全てを、光学電子顕微鏡法または透過型電子顕微鏡法用のルーチンな加工前に、カルフォンスキーの固定液に24時間ルーチンで固定した。
予備移植片実験を行い、電気スピンニングされたPGA、PLA、PGA:PLA、またはI型コラーゲンおよびPGA:PLAのブレンドの生物物理的特性を特性化した。成体SDラット(150〜200gm)に麻酔して、外側広筋腹に小チャネルを用意した。電気スピンニングされたPGA、PLA、PGA:PLAブレンド(50:50)、またはI型コラーゲン:PGA:PLAのブレンド(80:10:10)から構成される円筒状構築物(14ゲージ針上で電気スピンニングされたもの、およそ25mm長)を調製し、チャネルに配置させた。電気スピンニングされた構築物の遠位端を縫合して閉じて、密封円筒体を形成した。次に、構築物を用意したチャネルに配置させた。電気スピンニングされたコラーゲンと少量のPGA:PLAをブレンドすることにより、縫合を許容する相当な材料強度のマトリックスが生じた。電気スピンニングされたマトリックスは同時に、生体操作筋肉用の筋膜鞘および腱挿入として機能する。移植片が適所に存在したら、筋肉を移植片上で縫合して閉じて、皮膚切開を修復した。これらの実験の目的は、種々の材料が統合し、周辺組織から構築物への細胞の浸潤を可能にする程度を判定することであった。1週後、試料を回収して、顕微鏡評価用に調製した。
PGAの構築物は、宿主組織にあまり組み込まれなかった。繊維カプセルが、移植片と宿主の周辺筋組織との界面に明らかであった。マクロファージであるとみなされる大きな円形状の多核細胞が、繊維カプセルのすぐ下方のドメインで明らかであった。数個の細胞は、構築物の周囲を超えて浸潤した。移植片の中心ドメインは、マトリックスの残部で占有され、細胞をほとんど欠如していた。PLAから構成される構築物は、PGA移植片を特徴付ける顕著な繊維カプセルの形成を促進しなかった。これらの移植片は、構築物と宿主組織との界面により平滑な移行帯域を示した。細胞は、円筒状移植片全体に散在していた。小径の血管が、PLAベースのマトリックス内で観察された。PLAベースの移植片内の細胞の亜集団は四酸化オスミウムで強烈に染色され、脂質を蓄積していたようであった。PGA:PLAの50/50混合物から構成される構築物の生物物理学的特性は、中間であった。移植片の縁にある繊維帯域が明らかであった。数個の大きな多核細胞が、移行帯域に存在したが、PGA:PLA混合物は、PGAベースの構築物と同程度には、これらの細胞の蓄積を促進しないようであった。少数の細胞が、構築物の中心コアに浸潤し、大きなオスミウム陽性細胞が存在しなかった。
これらの結果に対比して、I型コラーゲン:PGA:PLA繊維ブレンド(80:10:10)から製造される移植片は、周辺組織からの細胞で密集した。移行帯域に繊維カプセルの徴候は見られなかった。多数の血管が構築物全体に存在した。電気スピンニングされたマトリックス内の細胞は、電気スピンニングされたマトリックスの局所軸に平行して伸張および配向していた。移植片の中心ドメインは、細胞で密集していた。コラーゲンベースのマトリックスは、宿主組織に十分に組み込まれ、毛細血管および小動脈の形成を支持した。
次に、I型コラーゲンベースのマトリックスが、宿主組織への内因性細胞の送達用の基盤として機能するかどうかを判定するために、I型コラーゲンベースのマトリックスを研究した。電気スピンニングされたI型コラーゲン:PGA:PLA(80:10:10)、またはPAG:PLAの50:50混合物から構成される円筒状構築物を調製した。構築物を一端で縫合して閉じて、筋芽細胞を富化させた細胞懸濁液を充填した。筋芽細胞補充後、構築物の開放端を第2の縫合セットで封止して、閉鎖円筒体を形成した。次に、構築
物をラット外側広筋に用意したチャネル内に配置させた。上述のように、一面を覆う筋肉を移植片の上で縫合した。7日後、コラーゲンベースの移植片は、宿主組織に十分に組み込まれた。炎症または繊維被包の徴候は見られなかった。全般に、構築物は細胞で密集していた。小動脈および毛細血管が、移植片全体に見られた。上述のように、電気スピンニングされたマトリックス内の細胞は、コラーゲンフィラメントの局所配向に平行して配向していた。分化中の筋管がこれらのドメイン(これに限定されないが)中で濃縮していた。幾つかの制限されたドメインでは、筋管が平行配列で組織化された。しかしながら、移植片の他の区域の筋管は、完全に異なる軸に沿って配向されることが多い。移植片の中心コアは、細胞で充填され、分化中の筋管が時折観察された。機能的血管は、中心コアドメインの細胞と混ざり合っていた。これらの結果と対比して、PGA:PLA基盤上で製造した生体操作筋肉は、繊維カプセルで被包され、宿主の周辺組織にあまり組み込まれなかった。大きな多核細胞は、移植片と内因性組織の界面に沿った境界帯域の多くに並んだ。円筒状構築物内の存在する細胞質量は、移植片の内壁から離層したようであった。
短期間での移植片研究では、改変された組織を、ラット外側広筋腹内に無負荷状態で配置した。活性に関連した機械的力が生体改変された組織筋肉の分化および組み込みにどのように影響を与え得るかを検査するために、腱から腱への移植研究を行った。I型コラーゲン:PGA:PLAのブレンド(80:10:10)から構成される電気スピンニングされた構築物を調製し、筋芽細胞を富化した懸濁液を充填して、封止した。次に、改変された組織を、四頭筋の下部筋肉から外側広筋を分離する平面内で外側広筋腹の奥深くへ通した。移植片の近位端を外側立筋の起源の腱へ縫合した。切開を修復し、ラットを8週間回復させた。この期間に、動物をルーチンに観察し、不快で異常な挙動または動きの徴候は見られなかった。
回復時に、移植組織は、分化筋肉の古典的な光学顕微鏡および超微細構造特性を示した。起源と挿入部位との間の中間点で採取した組織試料は、筋原線維が密集した筋管の平行配列を示した。隣接するZ帯は、筋管の多くでは完全外面登録(lateral registry)であった。これらの筋管のいくつかの内部のサブドメインは、隣接するサブドメインよりも強烈に、トルイジンブルー/クリスタルバイオレット染色で染色された。これらの結果と対比して、移植片の遠位端に位置する筋管は、平行配列を示さなかった。縦断面では、個々の筋管は、絡み合ったプロフィールを示した。任意の所定の筋管では、筋原線維は、筋形質で密集しており、Z帯は、側面配列であった。これらの筋管の絡み合った性質は、製造プロセスを反映し得る。これらのドメインは、構築物を密閉するのに使用される縫合のごく近くにあり、続いて外側広筋の腱結合に移植片を固着する。これらのドメインを通して置かれる機械的力は、非常に複雑である可能性があり、分化をもたらすが、筋管配列はとぼしい。超微細構造レベルでは、改変された組織は、ミトコンドリアに散在した筋原線維の平行配列を示した。筋小胞体は、これらのフィラメントを被膜し、Z帯のレベルでT細管を伴って終結した。筋管の小割合が構造異常の徴候を示し、副横縞パターンを有する筋節が明らかであった。電子高密度帯が、Z帯の一端で、AI境界付近で、時折観察された。二重MおよびH帯もまた、幾つかの筋管で観察された。
実施例23
2,2,2−トリフルオロエタノールからのコラーゲンの電気スピンニング
使用したコラーゲンは、I型(ラット尾、酸抽出)であった。コラーゲンを、2,2,2−トリフルオロエタノール(TFE)中に、HFIP4ml中に0.100gの濃度で懸濁させた。溶液または懸濁液(乳白色溶液)になったら、溶液を10mlシリンジプランジャーに充填した。次に、含有されたコラーゲン溶液用の電気スピンニングノズルおよびチャージングポイントとして作用するように18ゲージスタブ針をシリンジ上に配置した。充填したシリンジをシリンジポンプ(KD Scientific)セットに配置して、Becton Diehinson製の10mlシリンジプランジャーを利用して11
ml/hrの速度で溶液を分配した。高電圧供給からの正のリード線を、スタブダプターの金属部分に取り付けた。シリンジポンプを作動させ、高電圧供給を作動させ、20kVに設定した。接地標的は、アダプターの先端からおよそ6インチに配置した303ステンレス鋼心軸(幅(W)0.6cm×高さ(H)0.05cm×長さ(L)4cm)であった。実験では、コラーゲン溶液を電気スピンニングして、接地心軸上に細かい白色マットを形成した。電気スピンニング後、コラーゲンマットを心軸から取り出して、走査型電子顕微鏡評価用に加工した。生産されたマットは、およそ100ミクロン厚であった。このマットの平均繊維サイズは、0.11±0.06ミクロンであった。TFEは、フーリエ変換赤外分光法により示されるように、コラーゲンの二次構造を改質しなかった。
実施例24
電気スピンニングされたポリ(乳酸)およびコラーゲン/エラスチンにおける平滑筋細胞遊走
小径の血管移植片開発用の足場を、電気スピンニングされたコラーゲン/エラスチンナノファイバーを用いて構築し、この足場への平滑筋細胞(SMC)遊走を、電気スピンニングされたポリ(乳酸)足場に対して検査した。300〜400ミクロンの壁厚および長さ1cmを有する4mm径管を、ポリ(乳酸)(PLA)(Alkermes, Inc.)、およびコラーゲン(I型)/エラスチン80:20からそれぞれ電気スピンニングした。試料は、実施例8に記載するのと同じ方法を用いて電気スピンニングした。これらの円筒状構築物を、播種用の大動脈平滑筋細胞(500,000個のSMC/ml)とともに、55mlのSTLV管(Rotary Cell Culture System, Synthecon, Inc.)に入れた。さらなる細胞を添加せずに、培地を2日毎に変えた。STV管から足場を取り出し、走査旗電子顕微鏡(SEM)および組織学的評価用に加工した。足場の検査により、電気スピンニングされたコラーゲン/エラスチンマトリックスは、平均孔径3.7±1.6ミクロン、繊維寸法0.08±0.02ミクロンを示した。SMC遊走は1週後足場壁を通って実証されたと同時に、2週後には細胞遊走ははるかに顕著であった。培養の3週後には、完全に集密なSMC層が、足場壁を横切ってSMCの高密度とともに外部表面で見られた(全体にわたって一様な分布)。PLA足場の検査は、平均孔寸法26±4ミクロン、繊維寸法10±1ミクロンを示した。PLA移植片は、壁のコアへの限られたSMC輸送を示した。111日後でさえも、細胞は、足場の断面に見られた散在した細胞を伴う円筒状足場の外側表面上で優勢に集密な層を形成した。
本結果は、10〜30ミクロンの孔径が細胞浸潤/遊走を可能としない現在の見解に対比して、数ミクロンの孔寸法を有する電気スピンニングされたコラーゲン/エラスチンナノファイバーから構成される足場に細胞が遊走することを実証する。電気スピンニングされたコラーゲン/エラスチン足場形成は、構造のコアへのほんのわずかな細胞遊走が期待されるか、または細胞遊走が全く期待されない3.7ミクロンの平均孔寸法の結果から明らかなように、受け入れられるパラダイムに従わない。したがって、孔径の一桁の減少(PLAに対して)により、SMCは、すぐにこの微細孔寸法構造に遊走し始めた。これらの結果は、組織操作の領域全体にわたる用途を有する電気スピンニングされた(ナノ構造の)コラーゲンベースの足場に細胞が遊走するパラダイムを支持する。
実施例25
電気スピンニングされたコラーゲン/高分子ナノファイバーおよびナノ孔パラダイム
ナノ孔を有する高分子ナノファイバーから構成される電気スピンニングされた構造を作製し、医療用途に関する新たなパラダイムを提供する。試料は、実施例8に記載するのと同じ方法を用いて電気スピンニングした。コラーゲンI型の電気スピンニングされたマトリックスのSEMにより、直径平均0.1±0.04ミクロンを有するフィラメントの複雑な分岐形成が明らかとなった。この足場の孔径は、0.74±0.56ミクロンであり、
0.2〜2.3ミクロンの範囲であった。平滑筋細胞を、回転培養システム(Synthecon, Inc.)中でマトリックスとともに培養した。ナノ構造の足場の全断面を横切った細胞の一様な分布を伴った、コラーゲンナノ構造のマトリックスへの平滑筋細胞の広範な細胞浸潤を示す、培養21日後の電気スピンニングされたコラーゲン足場形成が生じた。
対照的に、電気スピンニングされたPLAは、111日後でさえ、構造のコアへのSMCのわずかな(大部分は外側表面上で細胞単層)遊走が可能であった。結果は、電気スピンニングされたナノメートルコラーゲン繊維を用いて創出されたミクロン以下の孔径構造に細胞が遊走することを実証する。
実施例26
層状積層物の電気スピンニング
異なる配向に沿って分布された繊維から構成される多層状材料を形成する方法について記載する。この方法は、マトリックスに直接細胞を電気スピンニングする必要のない多層状器官構築物の構築用の鋳型を形成する能力を提供する。
マトリックス材料、生体適合性ポリマー、ブレンドまたは他の材料を、回転標的心軸上に電気スピンニングする。この心軸は、円筒状であるか、または任意の他の形状である。長方形標的心軸およびコラーゲンをこの実施例では使用するが、他の材料および心軸の他の形状を使用してもよく、本発明の範囲内とみなされる。コラーゲンの第1の層を心軸上に電気スピンニングし、回転軸に沿って分布された整列したフィラメント層が形成される。次に、第2の別個の層において、PEG、PVOHまたは他のマトリックスのような水溶性フィラメントを第1の層の上に調製する。この中間層は、別個の供給源からスプレー処理される。コラーゲン層が崩壊するのを回避するために、水溶性層を塗布する前に、UV架橋、化学的処理、または他の手段により、コラーゲン層を安定化してもよい。次に、コラーゲンの第2の層を、中間水溶性層(この実施例では層2)上に電気スプレー処理する。この第3の層は、コラーゲンの最初の層と同じ配向であってもよく、あるいはコラーゲンの最初の層と異なる配向であってもよい。心臓または血管を作製する際に、この第3の層は、第1の層に関してわずかに釣り合わせる(第1の層と全く同じ軸に沿っているわけではないが、完全な心臓の構造整列を模倣するためにわずかに軸を釣り合わせる)。次に、コラーゲン層を、蒸気固定または他の安定化剤を使用することにより安定化させる。安定化用の処理は、各連続層を異なる程度で安定化するために各連続層後に、あるいは標的心軸上でまたは標的心軸上で、またはそこから切り離して、製造プロセスの完了時に行われる。選択コラーゲン層、またはコラーゲン層すべてが、本明細書中に記載するように、成長因子、またはcDNA配列、医薬品、他のペプチドのような他の作用物質で任意に補充される。構築物の後処理もまた行ってもよい。調製されるべき多数の層は、用途によって様々であり、本質的に限定されない。
次に、構築物を心軸から任意に取り出して、水に浸す。これにより、水溶性層の選択的除去が生じる。この設計戦略では、他の溶媒の組合せもまた可能であり、この記述に記載される組合せに限定されない。コラーゲン層が異なる道筋に沿って調製された場合、最終構築物は、わずかに異なるか、または非常に異なる極性を有する2つの異なるコラーゲン層から構成される。
ここで構築物を、細胞播種用に調製する。この実施例では、構築物の遠位端を封止し、細胞が中心管腔(心軸が存在した部位)に浸潤する。細胞はここでは、別個の異なる層である。このタイプの構築物は、神経誘導の製造のような多くの用途で使用され得る。円筒状構築物は、外側層に細胞(または他の材料)を選択的に浸潤させる。自然神経を取り囲んで保護するシュワン細胞を使用してもよい。このデバイスは、シュワン細胞が内部細胞層
に浸潤し、神経が再生する際に神経をコーティングするのに必要な位置に存在するため、神経誘導として使用することができる。内部コラーゲン層を横切った細胞の浸潤速度は、PGA:コラーゲン形成またはPGAの積層物を用いて任意に遅延されるか、あるいはコラーゲン単独由来の内部層を作製することで加速される。神経誘導では、ラミニンおよび他の基底膜材料の添加を任意に使用して、神経再成長を加速、促進または支持する。構築物の長さに沿った成長因子の勾配が任意に使用される。
この方法の別の用途では、単軸に沿った細胞整列は、固形構築物内で制御され得る。このタイプの構築物は、骨格筋の製造に望ましいが、この用途に限定されない。外部鞘を調製し、この実施例ではコラーゲンから構成される円筒状構築物について記載するが、本発明は、このタイプのデザインに限定されない。次に、材料の平坦なシートを、回転長方形心軸上に電気スピンニングする。整列したコラーゲンから構成されるシートを製造し、回転軸に平行して配列させる。シートを心軸から取り出して、フィブリルの軸と平行して巻きつけるか、またはひだ状に(もしくは望ましいように)折りたたむ。ここでシートを外側円筒状鞘に挿入する(滑らせる)。得られた構造物は、コラーゲンのひだ状シートまたは巻きつけられたシートで「充填」された円筒状鞘から構成される。端を封止して、細胞を充填する。最終的な結果は、円筒体の長軸に沿って配列したコラーゲンフィブリル(または他のフィブリル)の内部コアを有する半固形円筒体である。このタイプの構築物に播種した細胞は、ひだ状シートの下部フィブリルと平行して展開する。本発明は、神経誘導として、血管の形成において、平滑筋ベースの器官の形成において、および他の用途で有用である。
上記に引用した特許、刊行物および抜粋はすべて、その全体が参照により本明細書に援用される。上述のものは単に本発明の好ましい実施形態に関するものであり、併記の特許請求項に規定されるような本発明の精神および範囲を逸脱することなく、無数の修正または変更が本発明においてなされ得ることが理解されるはずである。

Claims (17)

  1. 電気処理されたコラーゲン。
  2. 電気処理されたコラーゲンが、電気スピンニングされている、請求項1に記載の電気処理されたコラーゲン。
  3. マトリックス中の、請求項1または2に記載の電気処理されたコラーゲン。
  4. 1つまたはそれ以上の物質をさらに含む、請求項3に記載の電気処理されたコラーゲンマトリックス。
  5. 前記1つまたはそれ以上の物質が細胞である、請求項4に記載の電気処理されたコラーゲンマトリックス。
  6. 前記1つまたはそれ以上の物質が、治療薬、化粧品、成長因子、分化誘導体、酸化防止剤、ビタミン、ホルモン、核酸、ペプチド、皮膚軟化薬、湿潤剤、またはコンディショナーである、請求項4に記載の電気処理されたコラーゲンマトリックス。
  7. さらなる前記電気処理された材料をさらに含む電気処理されたコラーゲンマトリックスであって、該さらなる電気処理された材料が、1つまたはそれ以上の天然材料、1つまたはそれ以上の合成材料、あるいはそれらの組合せである、請求項3に記載の電気処理されたコラーゲンマトリックス。
  8. 請求項3に記載の電気処理されたコラーゲンマトリックス、および細胞を含む改変された組織。
  9. 請求項3ないし7のいずれか一項に記載の電気処理されたコラーゲンマトリックスを含む構築物。
  10. 所望の位置に物質を送達する方法であって:
    該物質を、先行する請求項のいずれか一項に記載の電気処理されたコラーゲンと組み合わせ、そして
    該所望の位置に、該物質と組み合わせた該電気処理されたコラーゲンを配置させること
    を含む方法。
  11. 請求項1もしくは2に記載の電気処理されたコラーゲン、または請求項3に記載の電気処理されたコラーゲンマトリックスを製造する方法であって:
    コラーゲンまたはコラーゲンを形成することが可能な分子を含む1つまたはそれ以上の帯電した溶液を、基体上にコラーゲンまたはコラーゲンを形成することが可能な分子を電着させるのに効果的な条件下で、接地標的基体上に電着させ、それにより該電気処理されたコラーゲンまたは電気処理されたコラーゲンマトリックスを形成すること
    を含む方法。
  12. 請求項8に記載の改変された組織を製造する方法であって:
    コラーゲンまたはコラーゲンを形成することが可能な分子を含む1つまたはそれ以上の帯電した溶液を、該電気処理されたコラーゲンまたはコラーゲンを形成することが可能な分子を堆積させるのに効果的な条件下で、接地標的基体上に電着させること、および
    該基体上にまたは該基体中に細胞を添加すること
    を含む方法。
  13. 物質に対する細胞の生物学的応答を評価する方法であって:請求項5に記載の電気処理されたコラーゲンマトリックスおよび細胞に、該物質を適用すること、および、
    該細胞の生物学的応答を評価すること
    を含む方法。
  14. 所望の位置への、物質または電気処理された材料の送達のための、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の電気処理されたコラーゲンの使用。
  15. 前記物質が、1つまたはそれ以上の分子、細胞、物体、またはそれらの組合せを含む、請求項14に記載の使用。
  16. 前記物質が、治療用物質、化粧品用物質、またはそれらの組合せを含む、請求項14に記載の使用。
  17. 物質または電気処理された材料の送達に有用な薬剤の調製のための、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の電気処理されたコラーゲンの使用。
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