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JP2009222801A - 光学フィルム - Google Patents

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JP2009222801A JP2008064637A JP2008064637A JP2009222801A JP 2009222801 A JP2009222801 A JP 2009222801A JP 2008064637 A JP2008064637 A JP 2008064637A JP 2008064637 A JP2008064637 A JP 2008064637A JP 2009222801 A JP2009222801 A JP 2009222801A
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antireflection
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Miyuki Tsuchihata
美由喜 土畑
Tomohisa Nishimoto
智久 西本
Masayuki Haya
正幸 芳屋
Yasumori Maeda
康守 前田
Katsuhito Ninomiya
克仁 二宮
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Maxell Ltd
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Hitachi Maxell Ltd
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Abstract

【課題】 紫外線吸収剤の添加された透光性基材や紫外線を透過しない透光性基材を用いた場合においても高い耐擦傷性及び耐薬品性を有する反射防止機能を備えた光学フィルムを提供する。
【解決手段】ウェットコート法により形成されたハードコート層2と反射防止層3とを含む複合層の二重結合の反応率について、下記数式(I)(II)を満たす光学フィルム。
式(I)α,β > 60、 式(II) α/β >0.95
ただし、α,βは[1−{(硬化後の複合層中の二重結合基の量)/(未硬化時の複合層中の二重結合基の量)}]×100で算出される反応率で、αは複合層の表面から0.55μmまで、βは0.63μmまでの複合層の反応率。
【選択図】 図1

Description

本発明は、耐擦傷性と耐薬品性に優れた反射防止機能を有する光学フィルムに関する。
プラズマディスプレイパネル(PDP)等に代表される高精細かつ大画面ディスプレイの開発が急速に進んでいる。ディスプレイにおいて、光学フィルムは、画面への外光の映り込みを防止するため反射防止層を有し、画面の最表面に配置される。そのため、外部からの影響も大きく、高い耐擦傷性や耐薬品性が要求される。
従来の光学フィルムにおける反射防止層は、より低い反射率を実現するため、フッ素原子を導入したり、空隙を導入した中空シリカ微粒子を用いることが提案されていたが、いずれも皮膜強度及び密着性が損なわれ、このままでは耐擦傷性が低下する恐れがあり課題であった。
最近では、透光性基材上に電離放射線硬化性樹脂を用いた塗布層を硬化して形成した反射防止層を有する反射防止フィルムにおいて、二重結合反応率と密着性および耐擦傷性の関係を見出し、これらを改良する手段が提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。
特開2007−213045号公報
しかし、特許文献1に記載の手法では、基材側からUV(紫外線)照射をしなければ効果なく、UVカット基材(紫外線吸収剤の添加された基材や紫外線を透過しない基材)への適用不可や材料を選択しなければならないといった問題があり不十分である。
本発明は、上記問題を解決するもので、高い耐擦傷性及び耐薬品性を有する反射防止機能を備えた光学フィルムを提供するものである。
そこで本発明者らは、反射防止層の二重結合反応率について、以下の下記数式(I)(II)を満たすことにより、耐擦傷性及び耐薬品性に効果があることを見出した。すなわち、本発明の光学フィルムは下記の構成のものである。
(1)透光性基材と、該透光性基材の一方の主面側に形成されているハードコート層と、更にその上側に形成されている反射防止層とを含む複合層を該透光性基材の一方の主面側に有する光学フィルムであって、
前記ハードコート層並びに反射防止層は、それぞれ電離放射線硬化性樹脂成分を含有する塗布液を塗布、乾燥、硬化して形成するウエットコーティング法により形成された層であり、
前記複合層の二重結合の反応率について、下記数式(I)(II)を満たすことを特徴とする光学フィルム。
式(I)α,β > 60
式(II) α/β >0.95
ただし、α,βは[1−{(硬化後の複合層中の二重結合基の量)/(未硬化時の複合層中の二重結合基の量)}]×100で算出される反応率であって、それぞれαは複合層の表面から0.55μmまでの複合層の反応率、βは複合層の表面から0.63μmまでの複合層の反応率である。
(2)前記(1)項に記載の光学フィルムにおいては、前記電離放射線硬化性樹脂が、ラジカル重合可能な二重結合を有する化合物を含む電離放射線硬化性組成物からなることが好ましい。
(3)また、前記(1)〜(2)項のいずれか1項に記載の光学フィルムにおいては、前記反射防止層が、中空シリカ微粒子を含む層を有することが好ましい。
(4)また、前記(1)〜(3)項のいずれか1項に記載の光学フィルムにおいては、前記反射防止層が1層の反射防止層からなり、ハードコート層の屈折率をnH、反射防止層の屈折率をnRとすると、nR<nHであることが好ましい。
(5)また、前記(1)〜(3)項のいずれか1項に記載の光学フィルムにおいては、前記反射防止層が、ハードコート層側から順に、それぞれ、第1反射防止層、第2反射防止層、第3反射防止層の3層の反射防止層からなり、ハードコート層の屈折率をnH、第1反射防止層の屈折率をn1、第2反射防止層の屈折率をn2、第3反射防止層の屈折率をn3とすると、n3<nH<n1<n2であることが好ましい。
(6)また、前記(1)〜(5)項のいずれか1項に記載の光学フィルムにおいては、前記透光性基材の他方の主面側に、近赤外線吸収層が形成されていることが好ましい。
本発明によれば、耐擦傷性と耐薬品性に優れた反射防止層を有する光学フィルムを提供することができる。
また、前記透光性基材の他方の主面側に、近赤外線吸収層が形成されていることが好ましい態様とすることにより、上記の効果のほか、本光学フィルムを、プラズマディスプレイなどの近赤外線が放出されやすいディスプレイの表面に配置すれば、放出される不要な近赤外線が遮断され、周辺の電子部品を用いる機器に悪影響を与えることがなく、特にテレビジョンやエアーコンディショナー等のリモートコントローラーなどの誤動作を生じさせるといった問題が解消でき好ましい。
本発明の光学フィルムにおいて、ハードコート層と、更にその上側に形成されている反射防止層とを含む複合層の二重結合の反応率は、以下の方法で測定、算出する。
<二重結合基の量の測定>
FT−IR装置(サーモフィッシャー製、Thermo Nicolet Nexus470)を用いて、光学フィルム試料の前記複合層が形成されている側を400cm-1〜4000cm-1の波長領域で、スペクトルを測定する(A)。次に、同じ光学フィルム試料に反応を促進する光源となる電離放射線を、二重結合(C=C)由来の810cm-1が消滅するまで照射し、前記同様の波長領域で測定しベースラインを求める(B)。A−Bの差スペクトルより、二重結合(C=C)由来の810cm-1のピーク強度をカルボニル基(C=O)由来の1730cm-1のピーク強度の比で規準化し、二重結合基の量と規定する。
<測定条件>
本件では、α,βは、それぞれ前記複合層の表面から0.55μmまでの反応率、0.63μmまでの反応率と規定する。この測定深さは、角度可変ATR測定ユニット“Seagull”(HARRICK社製)を用い、高屈折率プリズムの種類と赤外線光源の入射角度の選択によって適切に設定することができる。すなわち、用いる高屈折率プリズムの種類が決まれば、赤外線光源の入射角度を特定の角度に選定すると、前記複合層の表面から0.55μmまで赤外線を入射し、そこで反射して前記赤外線が測定試料から外部へ出るのであるが、その間に試料によって吸収された赤外線の特定波長(二重結合(C=C)由来の810cm-1)のピーク強度を測定する。赤外線光源の入射角度を変えることにより、前記複合層の表面から0.63μmまでの反応率も測定できる。赤外線光源の入射角度(試料表面に下した垂線を基準とした場合の角度)は45°以上78°以下に設定するのが好ましく、二重結合の反応率の測定、算出には、高屈折率プリズムにGe(屈折率:4.0)を使用することが好ましいので、Geプリズムを用いた場合には、前記複合層の表面から0.55μmまでの反応率を測定するには、赤外線光源の入射角度は76°、前記複合層の表面から0.63μmまでの反応率を測定するには、赤外線光源の入射角度は60°となる。本発明においては高屈折率プリズムにGe(屈折率:4.0)を使用した。
<二重結合反応率の算出>
光学フィルム試料(ハードコート層を透光性基材の上に塗布し、乾燥し、硬化させ、ついでこの上に反射防止層を塗布し、乾燥し、硬化させたもの。反射防止層が2層以上からなる場合には、下層側の反射防止層を塗布し、乾燥し、硬化させた後、順次その上に上層側の反射防止層を塗布し、乾燥し、硬化させる。)から二重結合基の量を、未硬化時の試料(塗布、乾燥のみで形成した層:ハードコート層を透光性基材の上に塗布し、乾燥させ、ついでこの上に反射防止層を塗布し、乾燥させたもの。反射防止層が2層以上からなる場合には、下層側の反射防止層を塗布し、乾燥させた後、順次その上に上層側の反射防止層を塗布し、乾燥させる。)から二重結合基の量を、測定深さごとに高屈折率プリズム、赤外線光源の入射角度を設定して測定し、次式から、複合層の表面から0.55μmまでの複合層の反応率をα,複合層の表面から0.63μmまでの複合層の反応率をβとして算出する。
[1−{(硬化後の複合層中の二重結合基の量)/(未硬化時の複合層中の二重結合基の量)}]×100
0.55μmまでの反応率と0.63μmまでの反応率の比、すなわち、α/βは0.95より大きいことが好ましい。α/βは複合層中の深さ方向の反応率の分布を示しており、大きいほど表面近傍における反応が十分で、より強い表面層が形成されていることを示す。0.95以下であると、表面近傍の反応が不十分のため層の強度が不十分である。また、α,β > 60であることが必要であり、α,βが60以下であると、得られた光学フィルムが変質する可能性があり、保存安定性が低下し好ましくない。
次に本発明の光学フィルムを構成する各構成要素について説明する。
本発明の光学フィルムは、透光性基材と、該透光性基材の一方の主面側に形成されているハードコート層と、更にその上側に形成されている反射防止層とを含む複合層を該透光性基材の一方の主面側に有する光学フィルムであり、必要に応じて、前記透光性基材の他方の主面側に、近赤外線吸収層が形成されている態様とすることも好ましい。
ハードコート層と、更にその上側に形成されている反射防止層とからなる複合層は、ハードコート層が1層、反射防止層が1層の合計2層からなる複合層であってもよく、反射防止層が2層以上の層から形成されていてもよい。反射防止層の層数は、反射の程度と反射光の品位、コストに応じて単層、二層、三層構造のように適宜の層構造とすることが可能である。
反射防止層が1層の場合には、反射防止層は、ハードコート層よりも屈折率の低い低屈折率層からなるものである。上記低屈折率層の屈折率としては、例えば1.40未満、より好ましくは1.38以下に設定することが、反射率を低減させるために好ましい。
反射防止層が2層以上の層から形成されている場合には、反射防止層の最上層は、低屈折率層とする。反射防止層が二層構造の場合、人間の目の視感度の高い波長の光の反射率を低減させるためには、基材側から高屈折率層、低屈折率層の順に積層させることが好ましい。反射防止層が多層の場合、通常、最もよく用いられるのが、透光性基材/ハードコート層/第1反射防止層/第2反射防止層/第3反射防止層の構成のものが好適に用いられ、この場合に、より広い波長領域で反射率を低くするために、ハードコート層の屈折率をnH、第1反射防止層の屈折率をn1(中屈折率層と称することがある)、第2反射防止層の屈折率をn2(高屈折率層と称することがある)、第3反射防止層の屈折率をn3(低屈折率層と称することがある)とすると、n3<nH<n1<n2とするのが一般的である。前記中屈折率層の屈折率n1は1.55〜1.65、上記高屈折率層の屈折率n2は1.75〜1.85、上記低屈折率層の屈折率n3は1.35〜1.45の範囲とすることが好ましい。
透光性基材としては、可視光に対して透光性を有していれば特に限定されない。可視光領域の光透過率が80%以上の透光性基材が好ましく、光透過率が88%以上がより好ましい。また、ヘイズは2.0%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがより好ましい。
透光性基材には、例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、脂環式ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、トリアセチルセルロース系樹脂等の材料をフィルム状に加工したものを用いることができる。また、必要に応じて、透光性基材の片面または/および両面に易接着層(プライマー層)が設けられている透光性基材を用いることができる。
フィルム状に加工する方法としては、押出成形法、カレンダー成形法、圧縮成形法、射出成形法などの方法が挙げられる。透光性基材の厚さは通常10〜500μm程度である。なお、基材には、酸化防止剤、難燃剤、耐熱剤、紫外線吸収剤、易滑剤、帯電防止剤等の添加剤をさらに含んでいてもよい。
また、ハードコート層及び反射防止層は、電離放射線硬化性樹脂を形成するための材料を含む樹脂形成材料を用いて形成されている。これにより、合理的に層形成ができる。
上記電離放射線硬化性樹脂の形成材料としては、通常、ラジカル重合可能な二重結合を有する化合物を含む材料が用いられる。例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基を有するモノマー、プレポリマー、ポリマーを用いることができる。電離放射線硬化性樹脂の形成材料を、以下、電離放射線硬化性樹脂バインダーと称することがある。これらは単独でも二種類以上を組み合わせても用いることができ、中でも(メタ)アクリロイル基を有するモノマー、プレポリマーを用いることが好ましい。さらに、生産性及び硬度の両立の観点より、ラジカル重合可能な不飽和基(二重結合)を2つ以上有する多官能樹脂を用いることが好ましい。
電離放射線硬化性樹脂の材料は、耐擦傷性を向上させる観点から、特に、重合可能な不飽和基を2つ以上有する多官能アクリレ−ト等を含んでいると好ましい。
不飽和基を2つ以上有する多官能アクリル系化合物としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサントリメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート等の、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とから生成されるエステル類、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン等のビニルベンゼンおよびその誘導体等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいが、2種以上を組み合せて用いてもよい。なかでも、耐擦傷性をより高める観点から、ペンタエリスリトールトリアクリレートおよびジペンタエリスリトールヘキサアクリレートから選ばれる少なくとも1種が好ましい。ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、およびジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートについては、膜強度を高める観点からは好ましいが、屈折率が高いので、反射防止層の低屈折率層に使用する場合には、屈折率がこれらよりも低い他の多官能アクリル系化合物と組み合せて用いると好ましい。尚、上記において「(メタ)アクリ・・・・」は、「アクリ・・・・」及び/又は 「メタクリ・・・・」を意味する。
また、ハードコート層を形成する電離放射線硬化型樹脂として、分子中に水素結合を形成するような結合基や官能基を多く有していると、透光性基材との密着性が向上する。また、ビスフェノールA変性(メタ)アクリレート等の高屈折率樹脂をもちいると、ハードコート層の屈折率を高くすることができる。
上記ハードコート層及び反射防止層に含まれる電離放射線硬化性樹脂バインダーを硬化させる際に、紫外線照射を行う場合には、塗料に光重合開始剤を添加する。光重合開始剤としては、アセトフェノン類、べンゾフェノン類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物、2、3-ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、チウラム化合物類、フルオロアミン化合物などが用いられる。これらは単独でも、二種以上を組み合わせても使用できる。光重合開始剤の使用量は、通常、用いる電離放射線硬化性樹脂バインダーの質量に対し1〜15質量%の範囲が好ましい。
上記ハードコート層及び反射防止層用塗料の組成物のその他の成分として、重合禁止剤、酸化防止剤、分散剤、界面活性剤、光安定剤及びレベリング剤、金属酸化物、各種無機微粒子などの添加剤を必要に応じて添加してもよい。また、ウエットコーティング法で成膜後乾燥させる限りは、任意量の溶媒を添加することができる。
溶媒としては、例えば、電離放射線硬化性樹脂バインダーを溶解させることが可能で、かつ、中空シリカ微粒子などの無機化合物微粒子などを添加する場合にそれらの添加物が安定して分散可能な有機溶媒であれば特に限定されない。例えば、ヘキサン、ミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;酢酸ブチル等のエステル系溶剤;メタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤;メチルエチルケトン、イソブチルメチルケトン等のケトン系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルビロリドン、ピリジン等の非プロトン性極性溶剤;テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤;エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコール誘導体等が挙げられる。また、これらの溶剤のうちの1種のみを用いてもよいが、2種以上組み合わせて用いてもよい。
ハードコート層に用いる金属酸化物に導電性金属を用いることで、屈折率の調整ができ、反射防止フィルムに帯電防止性能を持たせることができる。導電性酸化物のみで規定の屈折率にするには、ハードコート層中の金属酸化物の含有量が多くなる場合がある。よって、金属酸化物を2種類にすることで、金属酸化物の含有量が多くなりすぎずに屈折率を高くできる。
上記ハードコート層に含まれる金属酸化物としては、例えば、アンチモンドープスズ酸化物(ATO)、インジウムドープスズ酸化物(ITO)、リンドープスズ酸化物(PTO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化錫(SnO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、アンチモン酸亜鉛(ZnSb26)等を使用できる。この金属酸化物は、微粒子状のものが好適に使用され、その一次粒子径は、100nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましく、20nm以下が特に好ましい。この範囲内であれば、電離放射線硬化型樹脂中における分散性が向上し、塗膜形成時のヘイズが小さくなるからである。なお、上記一次粒子径は、小さければ小さいほど、ハードコート層における導電性金属酸化物の含有量を多くすることができ、かつハードコート層の透明性も高くなるので好ましい。
透光性基材の上にハードコート層を形成する方法についてはいわゆるウエットコーティング法であれば特に制限はなく、上記材料を含む塗布液を透光性基材上に塗布することにより形成できる。塗布方法も特に制限されず、例えば、ロールコート、ダイコート、エアナイフコート、ブレードコート、スピンコート、リバースコート、グラビアコート等の塗工法、又はグラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷等の印刷法等を用いることができる。
上記ハードコート層の膜厚は、0.7μm〜2.0μmであることが好ましく、より好ましくは、0.7μm〜1.5μmである。0.7μmより小さい場合、硬度が不十分であり、2.0μmより大きいと、コストもかかる。
なお、光学フィルムの塗膜硬度は、JIS K5600で規定する鉛筆硬度試験による評価で、H以上が好ましく、2H以上であることがより好ましい。
ハードコート層の上に反射防止層を形成する方法については特に制限はなく、前述のハードコート層と同様に、反射防止層を形成するための材料を含む塗布液をハードコート層上に塗布することにより形成できる。
反射防止層を形成するための材料としては、上述したとおり電離放射線硬化性樹脂が用いられ、電離放射線硬化性樹脂として、前記ハードコート層の所に記載したと同様の電離放射線硬化型樹脂バインダーを用いることができる。
反射防止層の屈折率を調整するため、例えば、ラジカル重合可能な二重結合を有する化合物(モノマー、プレポリマー、ポリマー)の種類を選定したり、配合割合を変えたり、金属酸化物を配合したり、適宜の添加剤を用いることができる。
反射防止層を形成する場合に、低屈折率層を構成する層には、屈折率を低くするために、一般的に用いられている公知の低屈折率材料を用いてよい。例えば、中空状シリカ微粒子や多孔質シリカ微粒子などの空隙を有するシリカやフッ化マグネシウム等の低屈折率無機微粒子、あるいはフッ素系樹脂等を用いることができる。特に、中空状シリカ微粒子を用いることが好ましい。中空シリカ微粒子の平均粒子径は、当該低屈折率層の厚みを大きく超えないことが好ましく、特に0.1μm以下であることが好ましく、細かいほど好ましい。平均粒子径が大きくなると散乱が生じ、ヘイズ値が大きくなってしまうおそれがある。尚、ここで平均粒子径とは、レーザードップラー方式で測定された平均粒子径を基準とするものであり、以下、他の粒子の平均粒子径についても同様である。
これらの低屈折率の無機化合物の使用割合は、用いる無機化合物の種類、形状、大きさ、屈折率、用いるバインダー樹脂の種類などにより異なるので一概に規定し難いが、強いて目安を示すとすれば、前記電離放射線硬化性樹脂バインダーと前記無機化合物の質量の総和の65質量%以下が耐擦傷性の保持の理由で好ましく、さらには、反射防止性能を十分発揮させる観点からも、前記硬化性樹脂バインダーと前記無機化合物の質量の総和の65〜35質量%程度の範囲から適宜選定されることがより好ましい。
このほか、上述したとおり、反射防止層を形成するための前記電離放射線硬化性樹脂バインダー材料中には、光重合開始剤、重合禁止剤、酸化防止剤、分散剤、界面活性剤、光安定剤及びレベリング剤、金属酸化物、各種無機微粒子などの添加剤を必要に応じて添加してもよい。また任意量の溶媒を添加することができる。
反射防止層の厚さdは、反射防止層が1層の低屈折率層からなる場合には、ハードコート層上に配置される低屈折率層の膜厚は、反射防止層の屈折率nRと上記膜厚dの積である光学膜厚がλ/4(λ:人間の可視光線の波長。人間の目の視感度が高い光の波長550nmに設定されることが多い)となるように設定されると、反射率がより低くなり好ましい。すなわち具体的な膜厚dはλ/4nRの近傍となるように設定されると好ましい。この場合の低屈折率層の屈折率は、前述したように1.40未満、より好ましくは1.38以下に設定さることが好ましい。低屈折率層の屈折率とハードコート層の屈折率との差が大きいほど、反射防止性能は向上する。このように低屈折率層の屈折率やどの可視光の波長を選定するかによって異なるので光学膜厚は一概に規定できないが、通常、光学膜厚としては120nm〜150nm程度の範囲になることが多い。
反射防止層が2層以上の層から形成されている場合には、反射防止層の最上層は、前述したように低屈折率層とする。
反射防止層の層数は、反射の程度と反射光の品位、コストに応じて単層、二層、三層構造のように適宜層構造とすることが可能である。一般に、単層構造で反射防止を行うためには、前述したように屈折率と厚さの積である光学膜厚はλ/4(λは波長を示す。)とすることが好ましい。二層構造の場合、人間の目の視感度の高い波長のみの反射率を低減させるためには、基材側から高屈折率層、低屈折率層の順に積層させて、それぞれの光学膜厚はλ/4、λ/4とし、広い波長領域で反射率を低くするためには、基材側から高屈折率層、低屈折率層の順に積層させて、それぞれの光学膜厚はλ/2、λ/4とするなど目的に応じて光学膜厚を設定することができる。三層構造の場合、より広い波長領域で反射率を低くするためには、基材側から中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層の順に積層させて、それぞれの光学膜厚を例えばλ/4、λ/2、λ/4とすればよい。この場合に前述したように、前記中屈折率層の屈折率n1は1.55〜1.65、上記高屈折率層の屈折率n2は1.75〜1.85、上記低屈折率層の屈折率n3は1.35〜1.45の範囲とすることが好ましいので、例えば、上記中屈折率層の屈折率n1とその厚さd1との積n11(光学膜厚)は100nm〜150nm、上記高屈折率層の屈折率n2とその厚さd2との積n22(光学膜厚)は210nm〜260nm、上記低屈折率層の屈折率n3とその厚さd3との積n33(光学膜厚)は120nm〜150nmとすることが好ましい。
本発明の光学フィルムにおいては、上記透光性基材の他方の主面側に近赤外線吸収層をさらに配置することができる。これにより、本実施形態の反射防止フィルムをPDP(プラズマディスプレイ)などの近赤外線が放出されやすいディスプレイの表面に配置すれば、プラズマ放電を起こした際に放出される不要な近赤外線が遮断され、周辺の電子部品を用いる機器に悪影響を与えることがなく、特にテレビやエアコン等のリモコンの誤動作を生じさせるといった問題が解消できる。
上記近赤外線吸収層の材料は、近赤外線を吸収する透光性を有する材料であれば特に制限されず、通常は、近赤外線を吸収する化合物を分散させた樹脂が用いられる。
上記近赤外線を吸収する化合物は、850〜1100nmの波長領域に最大吸収波長を有する化合物であることが好ましい。近赤外線吸収層が上記化合物を含んでいると、波長400〜850nmの可視光の透過率を大きく低減させることなく、波長領域850〜1100nmの近赤外線の透過率を低減させることが可能となる。これにより、本実施形態の反射防止フィルムをPDP等の近赤外線吸収フィルターとしても好適に用いることができる。
上記850〜1100nmの波長領域に最大吸収波長を有する化合物としては、例えば、アミニウム系、アゾ系、アジン系、アントラキノン系、インジゴイド系、オキサジン系、キノフタロニン系、スクワリウム系、スチルベン系、トリフェニルメタン系、ナフトキノン系、ジイモニウム系、フタロシアニン系、シアニン系、ポリメチン系等の有機色素を用いることができる。
上記近赤外線を吸収する化合物を分散させる樹脂としては、透光性を有する樹脂であればよく、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、セルロース樹脂、ポリブチラール樹脂等を用いることができ、またこれらの樹脂の2種以上を組み合わせてポリマーブレンドとしても用いることができる。
近赤外線吸収層形成用塗料に含まれる溶媒としては、例えば、近赤外線吸収化合物及び分散させるバインダが安定である有機溶媒であれば特に限定されない。例えば、ヘキサン、ミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;酢酸ブチル等のエステル系溶剤;メタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤;メチルエチルケトン、イソブチルメチルケトン等のケトン系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ピリジン等の非プロトン性極性溶剤;テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤;エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコール誘導体等が挙げられる。また、これらの溶剤のうちの1種のみを用いてもよいが、2種以上組み合わせて用いてもよい。
透光性基材の上に近赤外線吸収層を形成する方法については特に制限はなく、前述のハードコート層の場合と同様に上記材料を含む塗布液を基材に塗布することにより形成できる。近赤外線吸収層の厚さは、1〜10μmが好ましく、2〜7μmがより好ましい。厚さが1μm未満では、近赤外線の吸収が困難となり、10μmを超えるとクラックが生じたり、カール(フィルムの反り)が発生したりする。
近赤外線吸収層には、PDPのネオン輝線スペクトル(オレンジ色)をカットする化合物を適宜添加することも可能である。これにより、PDPにおいて赤色をより鮮やかに発色させることができる。ネオン輝線スペクトルをカットする化合物としては、580〜620nmの波長領域に最大吸収波長を有する有機色素が使用でき、例えば、シアニン系、アズレニウム系、スクワリウム系、ジフェニルメタン系、トリフェニルメタン系、オキサジン系、アジン系、チオピリウム系、ビオローゲン系、アゾ系、アゾ金属錯塩系、アザポルフィリン系、ビスアゾ系、アントラキノン系、フタロシアニン系等の有機色素を用いることができる。
上記近赤外線吸収層の厚さ、材料の種類、含有率等は、波長850〜1100nmの全領域において、反射防止フィルムの分光透過率が20%以下となるように適宜定めればよい。
以下、図面に基づき本発明を説明するが、上記実施形態で説明した事項と共通する事項については、その説明を省略する場合がある。
図1は、本発明の反射防止機能を有する光学フィルムの一例を示す断面図である。図1において、本発明の光学フィルムは、透光性基材1と、透光性基材1の一方の主面側に形成されているハードコート層2と、また、ハードコート層2の上に、反射防止層3が設けられている。また、透光性基材1の他方の主面側に、近赤外線吸収層4が形成されている。なお、図示していないが、反射防止層3は図3の例で示すように2層以上の多層からなるものでもよい。
図2は、本発明の反射防止機能を有する光学フィルムの別の一例を示す断面図である。図1に示した光学フィルムと異なる点は、透光性基材1とハードコート層2の間に、易接着層(プライマー層)5が更に設けられている。その他の構成は図1に示した光学フィルムと同様であり、透光性基材1、易接着層(プライマー層)5、ハードコート層2、反射防止層3並びに、透光性基材1の他方の主面側に設けられた近赤外線吸収層4からなる。なお、図示していないが、反射防止層3は図3の例で示すように2層以上の多層からなるものでもよいことは図1に示した光学フィルムの場合と同様である。
易接着層5が配置されている場合には、透光性基材1とハードコート層2との接合強度が向上する。易接着層としては、光学フィルムの透光性基材の表面に設けられる従来公知のものなどが採用でき、ないしは、従来公知の易接着手法などによって形成され得る。
易接着層5の厚さは、0.3μm未満であると好ましく、0.1μm未満であるとより好ましい。
次に、図3は、本発明の反射防止機能を有する光学フィルムの別の一例を示す断面図である。図1や図2に示した光学フィルムと異なる点は、図3に示した光学フィルムは、反射防止層3が、中屈折率の層3a、高屈折率の層3b、低屈折率の層3cの三層からなる点である。これらの層の屈折率の範囲や光学膜厚については上記で説明したとおりである。尚、図3に示した本発明の反射防止機能を有する光学フィルムは、透光性基材1の両方の主面に易接着層(プライマー層)5、5´を有しているものを示したが、易接着層(プライマー層)5、5´は存在する方が好ましいが、透光性基材1のいずれか一方の面、又は両方の面とも易接着層(プライマー層)は存在しなくてもよい。
[実施例]
以下、実施例に基づき本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例における「部」は質量部を意味する。
まず、各塗料の組成および作製方法について説明する。
<ハードコート層塗料の作製>
(1)アンチモンドープ酸化スズ微粒子(三菱マテリアル製、平均粒子径20nm) 5.5部
(2)酸化ジルコニウム微粒子(第一希元素製、平均粒子径10nm) 4.5部
(3)分散剤“Disperbyk-180”(ビックケミー社製) 1.0部
(4)アセチルアセトン(溶媒) 5.0部
(5)プロビレングリコールモノメチルエーテル(溶媒) 30部
と0.3mm(平均粒径:以下同様)のジルコニアビーズを容器に入れ、ペイントシェーカーで3時間分散した後、ジルコニアビーズを取り除いて、ATO/ZrO2重量比55:45の分散液を作製した。(ATOはアンチモンドープスズ酸化物を示す。)
この分散液に
(6)ペンタエリスリトールトリアクリレート 2部
(7)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 2.7部
(8)光重合開始剤“IRGCURE184”(チバスペシャルティケミカルズ製) 0.3部
を添加してハードコート塗料を調製した。
このハードコート塗料を透光性基材ポリエチレンテレフタレート2軸延伸フィルム(東レ社製“ルミラー)の一方の主面側に、上記ハードコート層用塗料をマイクログラビアコータ(康井精機社製)を用いて塗布し、その後乾燥させた。続いて、窒素パージ下で塗膜に紫外線を700mJ/cm2の線量で照射して塗膜を硬化させ、厚さ0.7μmのハードコート層を形成した(塗膜中の金属酸化物の割合29vol.%,塗膜の屈折率1.64)。
<低屈折率層塗料の作製>
下記材料を混合および攪拌して、低屈折率膜形成用塗料を作製した。
(1)中空シリカ微粒子分散体(触媒化成社製 固形分:10wt%,平均粒子径:60nm):55部
(2)ペンタエリスリトールトリアクリレート:2部
(3)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:2.5部
(4)光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、“IRGACURE(登録商標)907”):2.0部
(5)メタクリル変性シリコーンオイル“X24−174DX” (信越化学工業社製):0.01部
(6)イソプロピルアルコール:100部
この低屈折率塗料を上記のハードコート層の上に、マイクログラビアコータを用いて塗布して乾燥させた。その後、窒素パージ下で塗膜に紫外線を700mJ/cm2の線量で照射して塗膜を硬化させ、厚さ107nmの低屈折率層を形成した(塗膜の屈折率1.37)。
<近赤外線吸収層の作製>
下記材料を混合・攪拌して、近赤外線吸収層用塗料を作製した。
(1)アクリル樹脂“ダイヤナール”(三菱レイヨン社製):100部
(2)芳香族ジイモニウム色素“CIR−1085”(日本カーリット社製):6部
(3)シアニン部位・ジチオール金属錯体部位含有近赤外線吸収化合物“SD50−E04N”(住友精化社製、最大吸収波長:877nm):1部
(4)シアニン部位・ジチオール金属錯体部位含有近赤外線吸収化合物“SD50−E05N”(住友精化社製、最大吸収波長:833nm):1部
(5)メチルエチルケトン:125部
(6)トルエン:460部
次に、上記透光性基材の他方の主面側に、上記近赤外線吸収層用塗料を上記マイクログラビアコータを用いて塗布し、厚さが4μmになるように近赤外線吸収層を形成し、評価用の視感度反射率0.6の光学フィルムを作製した。
実施例1で用いたハードコート塗料中の(6)及び(7)の成分をそれぞれ
(6)ペンタエリスリトールトリアクリレート 2.5部
(7)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 3.3部
に変更して添加し、ハードコート塗料を調製した(ハードコート層塗膜中の金属酸化物の割合24vol.%,塗膜の屈折率1.62)。それ以外は実施例1同様に反射防止層及び近赤外線吸収層を形成し、視感度反射率0.6の光学フィルムを得た。
実施例1で用いた低屈折率塗料中の(1)、(2)及び(3)の成分をそれぞれ
(1)中空シリカ微粒子分散体(触媒化成社製 固形分:10wt%,平均粒子径:60nm):43質量部
(2)ペンタエリスリトールトリアクリレート:2.5部
(3)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:3.2部
に変更し、低屈折率塗料を調製した(塗膜の屈折率1.40)。それ以外は実施例1同様に反射防止層及び近赤外線吸収層を形成し、視感度反射率1.5の光学フィルムを得た。
前記実施例3と同様のハードコート塗料を上記透光性基材の一方の主面側に、マイクログラビアコータ(康井精機社製)を用いて塗布し、その後乾燥させた。続いて、大気下で塗膜に紫外線を700mJ/cm2の線量で照射して塗膜を硬化させ、厚さ0.7μmのハードコート層を形成した(塗膜の屈折率1.64)。
次に、前記実施例3と同様の低屈折率塗料を上記のハードコート層の上に、マイクログラビアコータを用いて塗布して乾燥させた。その後、大気下で塗膜に紫外線を1500mJ/cm2の線量で照射して塗膜を硬化させ、厚さ107nmの低屈折率層を形成し(塗膜の屈折率1.40)、視感度反射率1.4の反射防止層を形成した。さらに、実施例1同様に近赤外線吸収層を形成し、光学フィルムを得た。
前記実施例3と同様のハードコート塗料を上記透光性基材の一方の主面側に、マイクログラビアコータ(康井精機社製)を用いて塗布し、その後乾燥させた。続いて、大気下で塗膜に紫外線を700mJ/cm2の線量で照射して塗膜を硬化させ、厚さ1.2μmのハードコート層を形成した(塗膜の屈折率1.64)。
次に、前記実施例3と同様の低屈折率塗料を上記のハードコート層の上に、マイクログラビアコータを用いて塗布して乾燥させた。その後、大気下で塗膜に紫外線を1500mJ/cm2の線量で照射して塗膜を硬化させ、厚さ107nmの低屈折率層を形成し(塗膜の屈折率1.40)、視感度反射率1.4の反射防止層を形成した。さらに、実施例1同様に近赤外線吸収層を形成し、光学フィルムを得た。
<ハードコート層塗料の作製>
(1)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:2.7部
(2)ジペンタエリスリトールペンタアクリレート:2.0部
(3)シクロヘキサノン:18.8部
(4)光重合開始剤“IRGCURE184”(チバスペシャルティケミカルズ製) 0.33部
を混合撹拌し、ハードコート塗料を調製した。このハードコート塗料を透光性基材ポリエチレンテレフタレート2軸延伸フィルム(東レ社製“ルミラー”)の一方の主面側に、上記ハードコート層用塗料をマイクログラビアコータ(康井精機社製)を用いて塗布し、その後乾燥させた。続いて、窒素パージ下で塗膜に紫外線を700mJ/cm2の線量で照射して塗膜を硬化させ、厚さ1.8μmのハードコート層を形成した(塗膜の屈折率1.52)。
<中屈折率層塗料の作製>
(1)アンチモンドープ酸化スズ微粒子(三菱マテリアル製、平均粒子径20nm) 5.5部
(2)分散剤“Disperbyk-180”(ビックケミー社製) 1.0部
(3)アセチルアセトン(溶媒) 5.0部
(4)プロビレングリコールモノメチルエーテル(溶媒) 30部
と0.3mmのジルコニアビーズを容器に入れ、ペイントシェーカーで3時間分散した後、ジルコニアビーズを取り除いて、ATO分散液を作製した。(ATOはアンチモンドープスズ酸化物を示す。)
この分散液に
(5)ペンタエリスリトールトリアクリレート 1部
(6)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 2.2部
(7)光重合開始剤“IRGCURE184”(チバスペシャルティケミカルズ製) 0.25部
(8)イソプロピルアルコール 130.3部
を添加し、混合撹拌し、中屈折率層塗料を調製した。この中屈折率塗料を上記のハードコート層の上に、マイクログラビアコータを用いて塗布して乾燥させた。その後、窒素パージ下で塗膜に紫外線を700mJ/cm2の線量で照射して塗膜を硬化させ、厚さ88nmの中屈折率層を形成した(塗膜の屈折率1.60)。
<高屈折率層塗料の作製>
(1)酸化チタン超微粒子(石原テクノ製“TTO55(A)”):30部
(2)ジメチルアミノエチルメタクリレート(共栄社化学製“ライトエステルDM”):1部
(3)リン酸基含有メタクリレート(日本化薬製“KAYAMER PM−21”):4部
(4)シクロヘキサノン:65部
と0.3mmのジルコニアビーズを容器に入れ、ペイントシェーカーで3時間分散した後、ジルコニアビーズを取り除いて、酸化チタンの分散液を作製した。
この分散液に
(5)ペンタエリスリトールトリアクリレート 5.5部
(6)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 4.5部
(7)光重合開始剤“IRGCURE184”(チバスペシャルティケミカルズ製) 0.7部
(8)メチルイソブチルケトン:395部
を混合撹拌し、高屈折率層塗料を調製した。この高屈折率塗料を上記の中屈折率層の上に、マイクログラビアコータを用いて塗布して乾燥させた。その後、窒素パージ下で塗膜に紫外線を700mJ/cm2の線量で照射して塗膜を硬化させ、厚さ144nmの高屈折率層を形成した(塗膜の屈折率1.84)。
さらに、実施例1と同様の低屈折率塗料を上記高屈折率層の上に、マイクログラビアコータを用いて塗布して乾燥させた。その後、窒素パージ下で塗膜に紫外線を700mJ/cm2の線量で照射して塗膜を硬化させ、厚さ98nmの低屈折率層を形成した(塗膜の屈折率1.37)。
次に、上記透光性基材の他方の主面側に、実施例1と同様の近赤外線吸収層用塗料を上記マイクログラビアコータを用いて塗布し、厚さが4μmになるように近赤外線吸収層を形成し、評価用の視感度反射率0.2の光学フィルムを作製した。
比較例1
前記実施例1と同様のハードコート塗料を上記透光性基材の一方の主面側に、マイクログラビアコータ(康井精機社製)を用いて塗布し、その後乾燥させた。続いて、大気下で塗膜に紫外線を700mJ/cm2の線量で照射して塗膜を硬化させ、厚さ0.7μmのハードコート層を形成した(塗膜の屈折率1.64)。
次に、前記実施例1と同様の低屈折率塗料を上記のハードコート層の上に、マイクログラビアコータを用いて塗布して乾燥させた。その後、大気下で塗膜に紫外線を1500mJ/cm2の線量で照射して塗膜を硬化させ、厚さ107nmの低屈折率層を形成し(塗膜の屈折率1.37)、視感度反射率0.5の反射防止層を形成した。さらに、実施例1同様に近赤外線吸収層を形成し、光学フィルムを得た。
比較例2
前記実施例1と同様のハードコート塗料を上記透光性基材の一方の主面側に、マイクログラビアコータ(康井精機社製)を用いて塗布し、その後乾燥させた。続いて、大気下で塗膜に紫外線を700mJ/cm2の線量で照射して塗膜を硬化させ、厚さ1.2μmのハードコート層を形成した(塗膜の屈折率1.64)。
次に、前記実施例1と同様の低屈折率塗料を上記のハードコート層の上に、マイクログラビアコータを用いて塗布して乾燥させた。その後、大気下で塗膜に紫外線を1500mJ/cm2の線量で照射して塗膜を硬化させ、厚さ105nmの低屈折率層を形成し(塗膜の屈折率1.37)、視感度反射率0.5の反射防止層を形成した。さらに、実施例1同様に近赤外線吸収層を形成し、光学フィルムを得た。

これら実施例の結果を表1に示す。
Figure 2009222801
上記実施例1〜6及び比較例1,2の光学フィルムの特性を下記のように評価した(α,βの評価方法は前述したとおりである)。
<反射率>
分光光度計“Ubest V−570型”(日本分光社製)を用い、300〜800nmの波長領域において視感度反射率Yを測定した。
<耐擦傷性>
#0000のスチールウールを用いて2.45N/cm2の荷重を各評価用光学フィルムの低屈折率膜にかけた状態で、スチールウールを10往復させた後、低屈折率膜の表面の状態を観察して、以下の4段階で評価した。
◎:傷が全くつかなかった
○:ほとんど見えない傷がついた
△:明確に傷が確認できた
×:膜の剥離が生じた
<耐薬品性>
次の4種類の薬品を光学フィルムに1ml滴下し、30分後に“ベンコット”(旭化成せんい株式会社製 長繊維セルロース系不織布からなる工業用ワイパー)で拭き取り、滴下痕を以下の4段階で評価した。
<薬品>
NaOH 0.3wt%
NaOH 3.0wt%
NH3 3.0wt%
HCl pH1水溶液
<評価>
◎:全く変化なし
○:息を吹きかけて変化が確認できる程度の変化
△:変色が確認された。
×:膜の剥離が生じた
本発明の光学フィルムは、耐擦傷性と耐薬品性に優れた反射防止機能を有する光学フィルムであり、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイなどの各種電子機器のディスプレイの前面の反射防止フィルムとして有効に用いることができる。
本発明の光学フィルムの一実施形態例を示す断面図。 本発明の光学フィルムの別の一実施形態例を示す断面図。 本発明の光学フィルムの更に別の一実施形態例を示す断面図。
符号の説明
1 透光性基材
2 ハードコート層
3 反射防止層
3a 中屈折率の層
3b 高屈折率の層
3c 低屈折率の層
4 近赤外線吸収層
5、5´ 易接着層

Claims (6)

  1. 透光性基材と、該透光性基材の一方の主面側に形成されているハードコート層と、更にその上側に形成されている反射防止層とを含む複合層を該透光性基材の一方の主面側に有する光学フィルムであって、
    前記ハードコート層並びに反射防止層は、それぞれ電離放射線硬化性樹脂成分を含有する塗布液を塗布、乾燥、硬化して形成するウエットコーティング法により形成された層であり、
    前記複合層の二重結合の反応率について、下記数式(I)(II)を満たすことを特徴とする光学フィルム。
    式(I)α,β > 60
    式(II) α/β >0.95
    ただし、α,βは[1−{(硬化後の複合層中の二重結合基の量)/(未硬化時の複合層中の二重結合基の量)}]×100で算出される反応率であって、それぞれαは複合層の表面から0.55μmまでの複合層の反応率、βは複合層の表面から0.63μmまでの複合層の反応率である。
  2. 前記電離放射線硬化性樹脂が、ラジカル重合可能な二重結合を有する化合物を含む電離放射線硬化性組成物からなる請求項1に記載の光学フィルム。
  3. 前記反射防止層が、中空シリカ微粒子を含む層を有する請求項1〜2のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  4. 前記反射防止層が1層の反射防止層からなり、ハードコート層の屈折率をnH、反射防止層の屈折率をnRとすると、nR<nHである請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  5. 前記反射防止層が、ハードコート層側から順に、それぞれ、第1反射防止層、第2反射防止層、第3反射防止層の3層の反射防止層からなり、ハードコート層の屈折率をnH、第1反射防止層の屈折率をn1、第2反射防止層の屈折率をn2、第3反射防止層の屈折率をn3とすると、n3<nH<n1<n2である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  6. 前記透光性基材の他方の主面側に、近赤外線吸収層が形成されている請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の光学フィルム。
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