JP2009289660A - 真空バルブ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】1対の風車形電極のうちの少なくとも一方の風車電極11は、電極棒6と接合される円形の中心部12と、中心部12の外周にあって中心部12の面より対向電極側に突出した突出部13とを有し、中心部12側から突出部13の周縁に向かい渦巻き状に伸びる複数の溝14によって突出部13が複数の円弧部に分割されており、突出部13の周方向に伸びる先端部(先端部C)が短くなるように、溝14の幅を周縁に向かうにしたがって広く形成した。
【選択図】図2
Description
この構成により、溝30によって電極内の電流経路が制限され、その電路によって生じる磁界により、アークの発弧直後から強い磁気駆動力をアークに作用させて、アークを駆動して電極の円周上を移動させることにより、アークの停滞を防止して電極の局部溶解を避け、遮断性能の向上を図っている(例えば、特許文献1参照)。
通常、短絡投入試験や短時間耐電流試験の電流ピーク付近においては、固定電極と可動電極の接触点のほぼ一点を大電流が流れるようになるため、この接触点(以下、通電点と称す)において大きな電磁反発力が発生する。しかし、本電極では、図7(a)に丸印で示すような位置に通電点が生じる可能性があり、その場合、固定電極面とこれに対向配置された可動電極面とで電流パスAが隣り合わせとなり、かつ、電流の向きが逆であるため電磁反発力が発生する。
(1)固定電極と可動電極との間に発生する電磁反発力は、上記で述べた、通電点で発生する電磁反発力と電流パスによる電磁反発力との和に等しい。
(2)固定電極面と可動電極面との電流パスによって発生する電磁反発力は通電点の位置に依存し、図7(b)に示す電極の凹部(風車部31)に近い通電点41の場合より、接触部32の先端側の通電点42の場合の方が大きい。このため、トータルの電磁反発力は先端側の通電点42の場合は、凹部に近い通電点41の場合の1.6倍になる。
通電の位置はばらつくため、電磁反発力による発弧抑制のためには接触部32の先端側に通電点42が生じてもいいように大きな接圧をかけておく必要がある。その結果、接圧バネの強化に伴い開閉機構の機械的強度も高めなければならず遮断器が大きくなるという問題点があった。
図1及び図2は、この発明の実施の形態1による真空バルブの風車形電極の平面図である。図1と図2は、一方を固定電極、他方を可動電極として組み合わせて使用するものである。以下の説明では、図1を固定電極、図2を可動電極として説明する。図3は図1のIII−IIIから見た断面図である。また、真空バルブの全体の構成図は、背景技術の項で説明した図6と同等なので、図示及び説明は省略する。
図1に示す面が後述の図2に示す可動電極11の面との対向面となり、突出部3は可動電極11の突出部13と互いに接触する構造になっている。
なお、固定電極1の接点材料としては、Crを20〜40重量%含むCu−Cr系の合金か、更に微量のTeを含むCu−Cr−Te系の合金が望ましい。また、補強板7はSUSが機械強度、耐電圧性能、導電率の点で望ましい。
可動電極11は、基本的には図1と同様であり、電極棒6と接合される円形の中心部12と、中心部12の外周を取り巻いて、対向電極側に突出した突出部13とを有し、更に複数の渦巻き状の溝14が形成されているが、溝部の形状が異なっている。
すなわち、溝14は、中心部12側から突出部13の周縁に向かい渦巻き状に伸びる複数の(図では4個の)溝14によって突出部13が4個の円弧部に分割された形となっている。更に、円弧部の突出部13の周方向に伸びる先端部(先端部C)の長さが短くなるように、すなわち、中心部12に近づくように、突出部13において溝14の幅を周縁に向かうにしたがって大きくなるように形成している。なお、溝14の渦巻き方向は、接触面側から見ると固定電極1とは反対方向になっている。
可動電極11の溝14の形状を、周縁部になるにつれて広くなるように形成したことにより、図に示すように、閉極時には、固定電極1と可動電極11の両突出部3,13の全てが接触面とはならずに、固定電極1の突出部3のうち、先端部(先端部B)では接触しない構造となっている。
短絡投入試験、短時間耐電流試験時において、両電極1,11の接触面15は図4に示すようになっているが、前述のように、電流ピークでは接触面のどこかのほぼ1点で大電流が通電する。この通電点が、電極の中心部に近い場合に比べて突出部の先端側(先端部B)に近い場合の方がトータルの電磁反発力は1.6倍になる。
そこで、本実施の形態では、図4に示すように、突出部の先端部Bでは接触しない構造としたので、従来の風車形電極に比べて、電磁反発力は抑制されることになる。
また、定格電圧が高くない場合は、突出部端部の面取りR(図5参照)を小さくして接触面積を増やすことも可能である。この場合は、真空バルブのコンディショニングで、印加電圧を高くすることや電流コンディショニングを適用するなどの方法で、定格を上げることが可能である。
図5はこの発明の実施の形態2による真空バルブの風車形電極部を示す断面図である。図示以外の電極の平面構造は、実施の形態1と同等なので、図示及び説明は省略する。また、真空バルブの全体構成は図6と同等である。
実験及び磁界解析による検討の結果によって、短絡投入試験、短時間耐電流試験での電磁反発力を低減するもう一つの方法として、突出部の高さを高くする方法があることが分った。そこで、本実施の形態では、電極の寸法関係を以下のようにしたものである。
そして、h=4mm〜8mm、k=3mm〜7mm、H=15mm以下とした。
なお、上記寸法の電極が適用される真空バルブとしては、定格電流が20kA〜40kA程度のものを想定している。
上記寸法において、特に、突出高さhが上記の範囲にあれば、電磁反発力を低減できることを、実験び磁界解析により検証した。例えば、突出高さを3mmから5mmに増やすと電磁反発力は10%程度低下する。突出高さを高くすると遮断性能にかかわる磁気駆動力が低下するため遮断性能が若干低下するが、短絡投入性能、短時間耐電流性能が電極径を決めている場合には、結果的に電極径の低減、接圧の低減を達成することができる。
なお、この寸法は、固定電極と可動電極のいずれにも適用できる。
3 突出部 4 溝
5 接合穴 6 電極棒
7 補強板 8 スペーサ
11 可動電極(風車形電極) 12 中心部
13 突出部 14 溝
15 接触面 16a〜16c アーク。
Claims (2)
- 真空容器内に接離可能に配置された1対の風車形電極を有する真空バルブにおいて、
前記風車形電極は、電極棒と接合される円形の中心部と、前記中心部の外周にあって前記中心部の面より対向電極側に突出した突出部とを有し、前記中心部側から前記突出部の周縁に向かい渦巻き状に伸びる複数の溝によって前記突出部が複数の円弧部に分割されており、
前記1対の風車形電極のうちの少なくとも一方は、前記溝の幅を前記周縁に向かうにしたがって広く形成して、前記突出部の前記円弧部の周方向に伸びる先端部の長さが短くなるようにしたことを特徴とする真空バルブ。 - 請求項1記載の真空バルブにおいて、前記中心部の面から前記対向電極側に突出した前記突出部の突出高さを、4mm以上、8mm以下としたことを特徴とする真空バルブ。
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