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JP2009199818A - 絶縁電線およびワイヤーハーネス - Google Patents

絶縁電線およびワイヤーハーネス Download PDF

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JP2009199818A JP2008038875A JP2008038875A JP2009199818A JP 2009199818 A JP2009199818 A JP 2009199818A JP 2008038875 A JP2008038875 A JP 2008038875A JP 2008038875 A JP2008038875 A JP 2008038875A JP 2009199818 A JP2009199818 A JP 2009199818A
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Tatsuya Shimada
達也 嶋田
Masato Inoue
正人 井上
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Sumitomo Wiring Systems Ltd
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

【課題】細径であっても、十分な難燃性を有し、従来よりも耐外傷性、耐摩耗性に優れた絶縁電線を提供すること。
【解決手段】導体12の外周に、内層14と外層16とを有する絶縁層が被覆され、内層14は、エンジニアリングプラスチックを含有する樹脂組成物のエナメル被覆または押出被覆よりなる。外層16は、オレフィン系樹脂を含有するポリマー成分100質量部と、金属水酸化物50〜200質量部とを含有する難燃性樹脂組成物よりなる。この絶縁層の厚さは0.3mm以下であって、内層がエナメル被覆よりなる場合、その厚さは5〜50μmの範囲内にあり、一方、内層が押出被覆よりなる場合、その厚さは20〜100μmの範囲内にある。
【選択図】図1

Description

本発明は、絶縁電線およびワイヤーハーネスに関し、さらに詳しくは、車両部品、電気・電子機器部品などに好適に用いられる絶縁電線およびワイヤーハーネスに関するものである。
従来、自動車部品などの車両部品、電気・電子機器部品などの配線に用いられる絶縁電線としては、一般に、導体の外周に、ハロゲン系難燃剤を添加した塩化ビニル樹脂組成物を被覆したものが広く用いられてきた。
しかしながら、この種の塩化ビニル樹脂組成物は、ハロゲン元素を含有しているため、車両の火災時や電気・電子機器の焼却廃棄時などの燃焼時に有害なハロゲン系ガスを大気中に放出し、環境汚染の原因になるという問題があった。
そのため、地球環境への負荷を抑制するなどの観点から、近年では、ポリエチレンなどのオレフィン系樹脂などに、ノンハロゲン系難燃剤として水酸化マグネシウム等の金属水酸化物を添加した、いわゆるノンハロゲン系難燃性組成物への代替が進められている。
例えば特許文献1には、エチル−アクリル酸エチル共重合体(EEA)やポリエチレン、エチレンプロピレンゴムなどの樹脂やゴムに難燃剤として水酸化マグネシウムを添加した難燃性組成物が被覆された絶縁電線が開示されている。
特許第3339154号公報
ところが、基本的にオレフィン系樹脂などは燃えやすく、また、ノンハロゲン系難燃剤は、ハロゲン系難燃剤に比較して難燃化効果に劣る。したがって、ノンハロゲン系難燃性組成物では、十分な難燃性を確保するため、金属水酸化物などの難燃剤を多量に添加する必要があった。そのため、従来の絶縁電線では、耐外傷性や耐摩耗性などの機械的特性が著しく低下するという問題があった。
また、配線スペースの限られた自動車などに絶縁電線を用いる場合、軽量・細径化の要求があるために絶縁被覆を薄くする傾向にあり、このような径の細い絶縁電線は上記機械的特性がさらに低下し易かった。
本発明が解決しようとする課題は、細径であっても、十分な難燃性を有し、従来よりも耐外傷性、耐摩耗性に優れた絶縁電線を提供することにある。また、この絶縁電線を含んだワイヤーハーネスを提供することにある。
上記課題を解決するため本発明に係る絶縁電線は、導体の外周に、少なくとも内層と外層とを有する絶縁層が被覆され、上記内層は、エンジニアリングプラスチックを含有する樹脂組成物のエナメル被覆よりなり、上記外層は、オレフィン系樹脂を含有するポリマー成分100質量部と、金属水酸化物50〜200質量部とを含有する難燃性樹脂組成物よりなり、上記絶縁層の厚さが0.3mm以下であり、かつ、上記内層の厚さが5〜50μmの範囲内にあることを要旨とするものである。
一方、本発明に係る絶縁電線は、導体の外周に、少なくとも内層と外層とを有する絶縁層が被覆され、上記内層は、エンジニアリングプラスチックを含有する樹脂組成物の押出被覆よりなり、上記外層は、オレフィン系樹脂を含有するポリマー成分100質量部と、金属水酸化物50〜200質量部とを含有する難燃性樹脂組成物よりなり、上記絶縁層の厚さが0.3mm以下であり、かつ、上記内層の厚さが20〜100μmの範囲内にあることを要旨とするものである。
このとき、上記絶縁電線は、外径が3mm以下であることが好ましい。
また、上記外層のポリマー成分は、オレフィン系樹脂80〜95質量部と、スチレン系エラストマー20〜5質量部とを含有することが好ましい。
一方、本発明に係るワイヤーハーネスは、上記絶縁電線を含むことを要旨とするものである。
本発明に係る絶縁電線は、導体の外周に、少なくとも内層と外層とを有する絶縁層が被覆されており、その内層は、エンジニアリングプラスチックを含有する樹脂組成物のエナメル被覆よりなる。また、絶縁層の外層が、外層を形成するポリマー成分100質量部に対して金属水酸化物50〜200質量部を含有している。そして、絶縁層の厚さが0.3mm以下であり、かつ、内層の厚さが5〜50μmの範囲内にある。そのため、径の細い絶縁電線であっても、十分な難燃性を有し、耐外傷性、耐摩耗性に優れる。
一方、本発明に係る他の絶縁電線は、導体の外周に、少なくとも内層と外層とを有する絶縁層が被覆されており、その内層は、エンジニアリングプラスチックを含有する樹脂組成物の押出被覆よりなる。また、絶縁層の外層が、外層を形成するポリマー成分100質量部に対して金属水酸化物50〜200質量部を含有している。そして、絶縁層の厚さが0.3mm以下であり、かつ、内層の厚さが20〜100μmの範囲内にある。そのため、径の細い絶縁電線であっても、十分な難燃性を有し、耐外傷性、耐摩耗性に優れる。
そして、上記絶縁電線の外径が3mm以下であれば、 細径線として好適に用いることができる。
また、上記外層のポリマー成分が、オレフィン系樹脂80〜95質量部と、スチレン系エラストマー20〜5質量部とを含有すると、柔軟性に優れる。
一方、本発明に係るワイヤーハーネスによれば、上記絶縁電線を含むので、絶縁被覆材の劣化が抑えられ、長期にわたって高い信頼性を確保することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の一実施形態に係る絶縁電線10は、図1に示すように、導体12の外周に、内層14と外層16の2層よりなる絶縁層が被覆されたもので構成されている。すなわち、従来のオレフィン系樹脂と金属水酸化物とを含有する1層構成の絶縁層では、難燃性と耐外傷性および耐摩耗性とを満足させるのに限界があり、そのため、絶縁層を2層以上の構成とし、機能を分離させて、外層で難燃性を発揮させるとともに、内層で耐外傷性および耐摩耗性を発揮させる構成としている。そして、本発明の絶縁電線は、特に径が細い場合に、その効果を発揮するものである。
導体12としては、単線の金属線、複数本の金属素線が撚り合わされた撚線、撚線が圧縮加工されたものなどが挙げられる。図1(a)には、複数本の金属素線が撚り合わされた撚線よりなる導体12の例を示しており、図1(b)には、撚線を圧縮加工してなる導体12の例を示している。さらに、図1(c)には、あらかじめ各金属素線の周りに内層が形成された撚線よりなる導体12の例を示している。導体12の径や材質などは、特に限定されるものではなく、用途などに応じて適宜選択することができる。
内層14は、エンジニアリングプラスチックを含有する樹脂組成物よりなる。エンジニアリングプラスチックは、絶縁電線の耐外傷性および耐摩耗性の向上に寄与する。
エンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリカーボネート、シンジオタクチックポリスチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリオキシベンジレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンエーテルなどを例示することができる。これらは、1種または2種以上併用しても良い。
上記エンジニアリングプラスチックを含有する樹脂組成物を導体の周りにエナメル被覆または押出被覆し、内層を形成する。
エナメル被覆は、上記樹脂組成物を溶媒に溶かしてワニス化したものを、導体の周りに塗布し、焼付して形成する。例えば、導体形状のワニス塗布用ダイスを用いて、ワニス化した樹脂組成物を導体に塗布すれば、より均一なエナメル被覆を形成することができる。図1(a)および(b)に示す場合には、あらかじめ金属素線が撚り合わされた撚線よりなる導体の周りに、樹脂組成物を塗布してエナメル被覆を形成することができる。また、図1(c)に示す場合には、各金属素線の周りをエナメル被覆した後に、各素線を撚り合わせることもできる。塗布回数は特に限定されず、一回のみでも良く複数回塗布しても良い。
エナメル被覆よりなる内層を有する絶縁電線を端末加工する場合、端末部のエナメル被覆は、例えば、薬品等で溶解させたり、ヤスリ等で削り取るなどして、除去することができる。
一方、押出被覆は、上記樹脂組成物を配合して混練し、押出成型機などを用いて、導体の周りに形成することができる。
外層16は、オレフィン系樹脂と金属水酸化物とを含有する難燃性樹脂組成物よりなる。金属水酸化物の含有量は、難燃性を確保するなどの観点から、外層16のポリマー成分100質量部に対して、50〜200質量部の範囲内にある。より好ましくは、外層16のポリマー成分100質量部に対して、50〜150質量部の範囲内である。
外層16は、外層16の柔軟性を高めるなどの観点から、オレフィン系樹脂以外のポリマー成分を含有していても良い。オレフィン系樹脂以外の好適なポリマー成分としては、例えば、スチレン系熱可塑性エラストマー、EPDMやSBRなどのゴム成分などを例示することができる。この場合、外層16のポリマー成分は、オレフィン系樹脂を80質量部以上含有していることが好ましい。より好ましくは、90質量部以上である。一方、オレフィン系樹脂以外のポリマー成分を20〜5質量部の範囲内で含有することが好ましい。より好ましくは、10〜5質量部の範囲内である。
本発明の絶縁電線は、細径線として好適に用いられるものであり、その内層と外層とを含む絶縁層の厚さは、0.3mm以下にする。より好ましくは、0.2mm以下にすると良い。内層と外層とを含む絶縁層の厚さが、0.3mmを越えると、軽量化効果が小さくなるからである。なお、絶縁層の厚さが大きい絶縁電線では、細径線に比べて耐外傷性が低下しないため、本発明の構成を採用する必要性は少ない。
また、内層がエナメル被覆よりなる絶縁層の場合、内層の厚さは、5〜50μmの範囲内にある。好ましくは、10〜30μmの範囲内にあると良い。エナメル被覆よりなる内層の厚さが、5μm未満では、十分な耐外傷性および耐摩耗性が得られないからである。一方、エナメル被覆よりなる内層の厚さが50μmを越えると、十分な外層の厚みが確保できず、難燃性が低下するからである。
一方、内層が押出被覆よりなる絶縁層の場合、内層の厚さは、20〜100μmの範囲内にある。好ましくは、30〜100μm、より好ましくは30〜80μmの範囲内にあると良い。押出被覆よりなる内層の厚さが、20μm未満では、十分な耐外傷性および耐摩耗性が得られないからである。一方、押出被覆よりなる内層の厚さが100μmを越えると、十分な外層の厚みが確保できず、難燃性が低下するからである。
そして、外層の厚さは、好ましくは、100〜280μm、より好ましくは、100〜150μmの範囲内にあると良い。外層の厚さが、100μm未満では、十分な難燃性を得られ難いからであり、280μmを越えると、細径線として好適に用いることができないからである。
また、絶縁電線の外径は、3mm以下にすると良い。より好ましくは、2mm以下にすると良い。絶縁電線の外径が3mmを越えると、細径・軽量化効果が小さくなるからである。なお、絶縁層の厚さが大きい絶縁電線では、細径線に比べて耐外傷性が低下しないため、本発明の構成を採用する必要性は少ない。
スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレン−ブタジエンブロック共重合体およびその水添または部分水添誘導体であるスチレン−エチレン−スチレン共重合体(SES)やスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)、無水マレイン酸変性のスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体およびその水添または部分水添誘導体であるスチレン−エチレン−プロピレン共重合体(SEP)やスチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)、無水マレイン酸変性のスチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体などを例示することができる。これらは、1種または2種以上併用しても良い。
スチレンをハードセグメント、スチレンに挟まれたポリマーをソフトセグメントとして、ハードセグメントとソフトセグメントの割合は、ハードセグメント/ソフトセグメントが、重量比で10/90〜40/60の範囲内にあることが好ましい。
外層16に含有される金属水酸化物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウムなどを示すことができる。これらは1種または2種以上併用しても良い。より好ましくは、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムである。金属水酸化物の平均粒子径は、0.1〜20μmの範囲内にあることが好ましい。平均粒子径が0.1μm未満では、粒子が凝集しやすいため、電線物性の難燃特性が低下しやすく、一方、平均粒子径が20μmを超えると、低温特性が低下しやすい。
金属水酸化物は、表面処理されていても良い。表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、脂肪酸、脂肪酸誘導体、高級アルコール、ワックスなどを例示することができる。また、この他の表面処理剤を用いることもできる。
表面処理剤は、金属水酸化物100質量部に対して、0.1〜10質量部の範囲内にあることが好ましい。より好ましくは、0.5〜3質量部の範囲内である。0.1質量部未満では、電線特性の向上効果が低下しやすく、10質量部を超えると、過剰に添加されたものが不純物として残存しやすくなり、電線の物性を低下させやすい。
内層14および外層16には、必要に応じて、他の添加剤が配合されていても良い。例えば、電線被覆材などに用いられる一般的な充填剤や、顔料、酸化防止剤、老化防止剤などが配合されていても良い。ただし、内層14のフィラー含有量は、内層14のポリマー成分100質量部に対して10質量部以下であることが好ましい。内層14のフィラー含有量が10質量部を超えると、耐外傷性や耐摩耗性を高める効果が低下しやすい。なお、外層16に必要な量の添加剤が配合されていれば、内層14に添加剤を配合しなくても良い。
本実施形態に係る絶縁電線10は、絶縁層を内層14と外層16の2層構造にしている。すなわち、絶縁層の表面側に位置する外層16を難燃性樹脂組成物で形成して、絶縁層全体の難燃性を向上させている。一方で、内層14には難燃剤を含有させずに、絶縁層全体の耐外傷性および耐摩耗性を向上させている。したがって、絶縁層は、少なくとも、上述する内層14と外層16とを有することが必要である。
そして、本発明に係る絶縁電線は、上述する内層14と外層16とを有していれば良いため、絶縁層が2層のものに限定されるものではなく、絶縁層が3層以上のものであっても良い。このとき、内層14と外層16との間には1層以上の中間層を有する。中間層を構成する材料や中間層の厚みなどは、特に限定されるものではなく、用途などに応じて適宜選択することができる。例えば、中間層の材料は、外層や内層を構成する材料と同種の材料を用いると、製造しやすいなどの利点がある。
次に、絶縁電線の製造方法について説明する。
エナメル被覆よりなる内層は、エンジニアリングプラスチックを含有する樹脂組成物を溶剤に溶かし、ワニス化し、それを導体の周りに塗布した後、焼付して形成する。このとき、この樹脂組成物には、必要に応じて、エンジニアリングプラスチック以外のポリマーや各種添加剤などを配合しても良い。
押出被覆よりなる内層は、エンジニアリングプラスチックを含有する樹脂組成物と、必要に応じて、エンジニアリングプラスチック以外のポリマーや各種添加剤などを配合し、これらを通常のタンブラーなどでドライブレンドしたり、あるいは、バンバリミキサー、加圧ニーダー、混練押出機、二軸押出機、ロールなどの通常の混練機で溶融混練して均一に分散したりすることにより当該組成物を調整する。そして、この樹脂組成物を通常の押出成形機などを用いて、導体の周りに押出被覆し形成する。
つぎに、外層を形成する難燃性樹脂組成物を調製する。オレフィン系樹脂と、金属水酸化物と、必要に応じて、オレフィン系樹脂以外のポリマーや各種添加剤などを配合し、これらを通常のタンブラーなどでドライブレンドしたり、あるいは、バンバリミキサー、加圧ニーダー、混練押出機、二軸押出機、ロールなどの通常の混練機で溶融混練して均一に分散したりすることにより当該組成物を得ることができる。
そして、通常の押出成形機などを用いて、内層の周りに、外層を形成する難燃性樹脂組成物を押出被覆して絶縁電線を製造することができる。このとき、内層が押出被覆よりなる場合には、内層と外層とを同時に押出被覆しても良い。
さらに、中間層を有する絶縁電線の場合には、外層の調製方法に準じて、中間層を形成する樹脂組成物を調製する。中間層を有する絶縁電線の場合には、内層の周りに、中間層を形成する樹脂組成物を押出被覆し、中間層の周りに、外層を形成する難燃性樹脂組成物を押出被覆すれば良い。
次に、本発明に係るワイヤーハーネスについて説明する。
本発明に係るワイヤーハーネスは、上記絶縁電線を含んでなるものである。上記絶縁電線のみで構成される電線束であっても良いし、他の樹脂組成物が被覆された絶縁電線、例えば、塩化ビニル系の絶縁電線やハロゲン元素を含有しない他の絶縁電線などを含んで構成される電線束であっても良い。電線束は、例えばワイヤーハーネス保護材により被覆されていると良い。電線の本数は、任意に定めることができ、特に限定されるものではない。
ワイヤーハーネス保護材は、複数本の絶縁電線が束ねられた電線束の外周を覆い、内部の電線束を外部環境などから保護する役割を有するものである。ワイヤーハーネス保護材を構成する基材としては、特に限定されるものではないが、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂組成物が好ましい。樹脂組成物には、難燃剤を適宜添加すると良い。
ワイヤーハーネス保護材としては、テープ状に形成された基材の少なくとも一方の面に粘着剤が塗布されたものや、チューブ状、シート状などに形成された基材を有するものなどを、用途に応じて適宜選択して用いることができる。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
(供試材料および製造元など)
本実施例において使用した供試材料を製造元、商品名、物性値などとともに示す。
内層(エナメル被覆)
・ポリアミドイミド(PAI)[ソルベイアドバンストポリマーズ(株)「トーロン 5030」]
・ポリフタルアミド(PPA)[ソルベイアドバンストポリマーズ(株)「A1240L」]
内層(押出被覆)
・シンジオタクチックポリスチレン(SPS)[出光興産(株)「ザイロン S104」]
・ポリブチレンテレフタレート(PBT)[ポリプラスチックス(株)「ジェラネックス 700FP」]
・ポリエーテルイミド(PEI)[日本GEプラスチックス(株)「ウルテム 1000」]
・ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)[ビクトレックス・エムシー(株)「PEEK 450G」]
外層
・ポリプロピレン(PP)[(株)プライムポリマー製、「E−150GK」]
・ポリエチレン(PE)[日本ユニカー(株)製、「NUC8008」]
・スチレンエラストマー(SEBS)[(株)旭化成製、「タフテックH1043」]
・水酸化マグネシウム[マーティンスベルグ(株)製、「マグニフィンH10IV」、平均粒子径1.0μm]
・酸化防止剤[チバスペシャルティケミカルズ(株)製、商品名「イルガノックス1010」]
・金属不活性剤[チバスペシャルティケミカルズ(株)製、商品名「イルガノックスMD1024」]
(絶縁電線の製造)
内層(エナメル被覆)
実施例および比較例に示す成分の樹脂組成物を溶剤に溶かしワニス化したものを、導体形状のワニス塗布用ダイスを用いて、断面積0.35mmの撚線導体の周りに塗布し、炉内温度を470℃に設定した焼付炉で焼付を行い、エナメル被覆を形成した。
内層(押出被覆)
実施例および比較例に示す成分の樹脂組成物を混練し、断面積0.35mmの撚線導体の周りに押出被覆した。押出被覆には、直径0.75mmのニップルと、電線外径とその直径が略等しくなるダイスを使用し、押出温度250〜350℃、線速度50m/minで押出被覆した。
外層
実施例および比較例に示す成分を示された量で混合し、二軸押出機により200〜230℃で混練した。得られた組成物を上記内層の周りに、実施例および比較例に示す厚みで押出被覆した。押出成形には、直径1.1mmのダイスと上記内層を形成した導体の外径と略等しくなるニップルを使用し、押出温度はダイス230〜250℃、シリンダ200〜240℃とし、線速度50m/minで押出被覆し、絶縁電線を製造した。
(耐外傷性評価)
図2(a)(平面図)、図2(b)(側面図)に示すように、30cmの長さに切り取った電線1を、プラスチック板2a,2b上に設置する。プラスチック板2aとプラスチック板2bの間隔は、5mmとする。電線1の左端を、プラスチック板2bに固定し、電線1の右端に30Nの張力をかけて、電線1をまっすぐにする。次いで、電線1において、プラスチック板2aとプラスチック板2bの間に配置された部分の下部から1cm、電線1の径方向中央から外周側に0.8mm程度離した位置に、厚みが0.5mmの金属片3を配置する。
次いで、図3(a)〜図3(c)に示すように、金属片3を1000mm/minの速度で絶縁層4に接触させながら上方に移動させて、電線1の金属片3にかかる荷重を測定する。このとき、電線1の導体5が露出していない場合には、0.01mm単位で金属片3を電線1の中央方向に近づけ、導体5が露出するまで測定を続ける。導体が露出しない上限荷重をその電線の耐外傷性能力とし、15N以上の荷重でも導体が露出しない場合に、耐外傷性を合格とした。一方、15N以下の荷重で導体が露出した場合に、耐外傷性を不合格とした。
(耐摩耗性評価)
ISO6722に準拠して、ブレード往復法で行なった。ブレードにかかる荷重を7Nとし、試験回数4回の最小値が300回以上を合格「○」とした。一方、試験回数4回の最小値が300回未満を不合格「×」とした。
(難燃性評価)
ISO6722に準拠して行なった。すなわち、まず、実施例および比較例に係る絶縁電線を600mmの長さに切り出して試験片とした。次いで、各試験片を45°に傾け、試験片の上端から500±5mmの部分に15秒間炎を当て、試験片の絶縁層上の炎がすべて70秒以内に消え、試験片上部の絶縁層が50mm以上焼けずに残ることを合格「○」とし、そうでないときを不合格「×」とした。
表1および表2に、絶縁層を形成する樹脂組成物の配合割合および評価結果を示す。なお、表1および表2に示す値は、質量部で表したものである。
Figure 2009199818
Figure 2009199818
比較例1は、エナメル被覆よりなる内層の厚さが5μm未満であり、耐外傷性に劣っている。比較例2では、外層に金属水酸化物が含有されていないため、難燃性に劣っている。
比較例3および4は、押出被覆よりなる内層の厚さが100μmを越えているため、難燃性に劣っている。比較例5および6は、押出被覆よりなる内層の厚さが20μm未満であり、耐外傷性、耐摩耗性に劣っている。
これらに対して、実施例に係る絶縁電線は、耐外傷性、耐摩耗性、難燃性に優れていることが確認できた。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
本発明に係る難燃性樹脂組成物は、例えば、車両部品、電気・電子機器部品などに用いられる絶縁電線に好適に用いられる。
本発明の一実施形態に係る絶縁電線を表す断面図である。 絶縁電線の耐外傷性を試験評価する方法を表す図である。 絶縁電線の耐外傷性を試験評価する方法を表す図である。
符号の説明
10 絶縁電線
12 導体
14 内層
16 外層

Claims (5)

  1. 導体の外周に、少なくとも内層と外層とを有する絶縁層が被覆され、
    前記内層は、エンジニアリングプラスチックを含有する樹脂組成物のエナメル被覆よりなり、
    前記外層は、オレフィン系樹脂を含有するポリマー成分100質量部と、金属水酸化物50〜200質量部とを含有する難燃性樹脂組成物よりなり、
    前記絶縁層の厚さが0.3mm以下であり、かつ、前記内層の厚さが5〜50μmの範囲内にあることを特徴とする絶縁電線。
  2. 導体の外周に、少なくとも内層と外層とを有する絶縁層が被覆され、
    前記内層は、エンジニアリングプラスチックを含有する樹脂組成物の押出被覆よりなり、
    前記外層は、オレフィン系樹脂を含有するポリマー成分100質量部と、金属水酸化物50〜200質量部とを含有する難燃性樹脂組成物よりなり、
    前記絶縁層の厚さが0.3mm以下であり、かつ、前記内層の厚さが20〜100μmの範囲内にあることを特徴とする絶縁電線。
  3. 外径が3mm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の絶縁電線。
  4. 前記外層のポリマー成分は、オレフィン系樹脂80〜95質量部と、スチレン系エラストマー20〜5質量部とを含有することを特徴とする請求項1〜3に記載の絶縁電線。
  5. 請求項1〜4に記載の絶縁電線を含むことを特徴とするワイヤーハーネス。
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