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JP2009160953A - 動力出力装置およびその制御方法並びに車両、駆動装置 - Google Patents

動力出力装置およびその制御方法並びに車両、駆動装置 Download PDF

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隆生 伊藤
Masakazu Nomura
誠和 野村
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Abstract

【課題】蓄電装置の性能の発揮と動力出力装置が備える機器の保護とを両立させる。
【解決手段】バッテリの充放電電流Ibに基づいて演算される劣化ファクターDと定格出力Woutrとに基づいて出力制限Woutを設定し(S310〜S330,S390)、過出力要求フラグFout2が値1のとき(エンジンを始動するとき)には(S340,S400)、昇圧回路の許容負荷LFmaxが閾値LFref以上のときには出力制限Woutに所定出力Wsetを加えた出力を制御用出力制限Wout*に設定し(S360,S380)、昇圧回路の許容負荷LFmaxが閾値LFref未満のときには出力制限Woutを制御用出力制限Wout*に設定する(S360,S410)。そして、制御用出力制限Wout*の範囲内でエンジンと二つのモータを制御すると共に許容負荷LFmaxの範囲内で昇圧回路を駆動制御する。
【選択図】図8

Description

本発明は、動力出力装置およびその制御方法並びに車両、駆動装置に関する。
従来、この種の動力出力装置としては、駆動軸への要求出力に対して設定されるエンジンの運転ポイントやモータの出力に基づいてバッテリの出力要求を設定し、設定した出力要求がバッテリの定格出力を超えているときには短時間に設定されている所定時間に限って定格出力を超える出力を許可するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この動力出力装置では、短時間ではあるが、バッテリの定格出力を超える出力を許可することにより、バッテリの性能を発揮させるものとしている。
特開2002−58113号公報
このように、動力出力装置が備えるバッテリの性能を十分に発揮させることは重要な課題の一つとされている。一方、動力出力装置が備える構成部品を保護することも重要な課題の一つとされている。
本発明の動力出力装置およびその制御方法並びに車両、駆動装置は、蓄電装置の性能の発揮と動力出力装置が備える機器の保護とを両立させることを主目的とする。
本発明の動力出力装置およびその制御方法並びに車両、駆動装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の第1の動力出力装置は、
駆動軸に動力を出力可能な動力出力用機器を備える動力出力装置であって、
前記動力出力用機器に電力を供給可能な蓄電手段と、
前記動力出力用機器の温度を検出する温度検出手段と、
前記検出された動力出力用機器の温度に基づいて該動力出力用機器の駆動を許容する程度である駆動許容程度を設定する駆動許容程度設定手段と、
前記蓄電手段に入出力される電流に基づいて、第1の所定値を超えたときに前記蓄電手段の劣化の開始が想定されるパラメータである劣化パラメータを演算する劣化パラメータ演算手段と、
前記演算された劣化パラメータが前記第1の所定値より小さい第2の所定値以下である第1の状態のときには前記蓄電手段の定格出力を前記蓄電手段の出力制限に設定し、前記演算された劣化パラメータが前記第2の所定値を超えた第2の状態のときには該劣化パラメータが前記第1の所定値を超えないように前記定格出力より小さい出力を前記蓄電手段の出力制限に設定する出力制限設定手段と、
前記設定された出力制限を超える電力による前記蓄電手段からの放電の要求である超過出力要求がなされていないときには前記設定された出力制限の範囲内かつ前記設定された駆動許容程度の範囲内で前記動力出力用機器を制御し、前記超過出力要求がなされているときに前記設定された駆動許容程度が所定程度以上のときには前記設定された出力制限を超える所定の超過出力の範囲内かつ前記設定された駆動許容程度の範囲内で前記動力出力用機器を制御し、前記超過出力要求がなされているときに前記設定された駆動許容程度が前記所定程度未満のときには前記設定された出力制限の範囲内かつ前記設定された駆動許容程度の範囲内で前記動力出力用機器を制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の第1の動力出力装置では、蓄電手段に入出力される電流に基づいて、第1の所定値を超えたときに蓄電手段の劣化の開始が想定されるパラメータである劣化パラメータを演算し、演算した劣化パラメータが第1の所定値より小さい第2の所定値以下である第1の状態のときには蓄電手段の定格出力を蓄電手段の出力制限に設定し、演算した劣化パラメータが第2の所定値を超えた第2の状態のときには劣化パラメータが第1の所定値を超えないように定格出力より小さい出力を蓄電手段の出力制限に設定する。これにより、劣化パラメータが第1の所定値を超えないようにすることができる。そして、設定した出力制限を超える電力による蓄電手段からの放電の要求である超過出力要求がなされていないときには、出力制限の範囲内かつ動力出力用機器の温度に基づいて設定される動力出力用機器の駆動を許容する程度である駆動許容程度の範囲内で動力出力用機器を制御する。また、超過出力要求がなされているときに駆動許容程度が所定程度以上のときには出力制限を超える所定の超過出力の範囲内かつ駆動許容程度の範囲内で動力出力用機器を制御する。これにより、蓄電手段の性能をより発揮させることができる。さらに、超過出力要求がなされているときに駆動許容程度が所定程度未満のときには出力制限の範囲内かつ駆動許容程度の範囲内で動力出力用機器を制御する。これにより、所定の超過出力の範囲内で動力出力用機器を制御するものに比して動力出力用機器をより適正に保護することができる。以上より、蓄電装置の性能の発揮と動力出力用機器の保護とを両立させることができる。
こうした本発明の第1の動力出力装置において、前記動力出力用機器は、内燃機関と、該内燃機関の出力軸に動力を出力可能な第1の電動機と、前記駆動軸に動力を出力可能な第2の電動機と、前記蓄電手段が接続された低電圧系と前記第1の電動機の駆動回路および前記第2の電動機の駆動回路が接続された高電圧系とに接続され前記高電圧系の電圧を調整する高電圧系電圧調整手段と、を備える機器であり、前記超過出力要求は、前記第1の電動機により前記内燃機関をモータリングして始動する際になされる要求である、ものとすることもできる。
この内燃機関と第1の電動機と第2の電動機と高電圧系電圧調整手段とを備える態様の本発明の第1の動力出力装置において、前記超過出力要求は、前記内燃機関を始動する際になされる始動用超過出力要求および前記駆動軸に所定の大駆動力が要求されるときになされる駆動用超過出力要求であり、前記制御手段は、前記始動用超過出力要求と前記駆動用超過出力要求とが共になされていないときには前記設定された出力制限の範囲内で前記動力出力用機器を制御し、前記始動用超過出力要求がなされているとき及び前記第1の状態で前記駆動用超過出力要求がなされているときには前記設定された駆動許容程度が所定程度以上か否かに基づいて前記所定の超過出力または前記設定された出力制限の範囲内で前記動力出力用機器を制御し、前記第2の状態で前記始動用超過出力要求がなされていないときには前記駆動用超過出力要求がなされているか否かに拘わらず前記設定された出力制限の範囲内で前記動力出力用機器を制御する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、始動用超過出力要求がなされているときに駆動許容程度が所定程度以上のときには、駆動要求により十分に対応しつつ内燃機関を迅速に始動することができる。また、第1の状態で駆動用超過出力要求がなされているときに駆動許容程度が所定程度以上のときには、駆動要求により十分に対応することができる。さらに、第2の状態で始動用超過出力要求がなされていないときには、蓄電手段からの大電力での放電を抑制することができ、劣化パラメータの増加を抑制することができる。
また、内燃機関と第1の電動機と第2の電動機と高電圧系電圧調整手段とを備える態様の本発明の第1の動力出力装置において、前記温度検出手段は、前記高電圧系電圧調整手段の温度を検出する手段であり、前記駆動許容程度設定手段は、前記高電圧系電圧調整手段の駆動許容程度を設定する手段であり、前記制御手段は、前記設定された駆動許容程度の範囲内で前記高電圧系電圧調整手段を制御する手段である、ものとすることもできる。
さらに、内燃機関と第1の電動機と第2の電動機と高電圧系電圧調整手段とを備える態様の本発明の第1の動力出力装置において、前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸と前記第1の電動機の回転軸との3軸に接続され、該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段を備えるものとすることもできる。
本発明の第1の動力出力装置において、前記駆動許容程度設定手段は、前記検出された動力出力用機器の温度が所定温度より高いときに、該動力出力用機器の温度が高いほど小さくなる傾向に前記駆動許容程度を設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、動力出力用機器の過度の温度上昇を抑制することができる。
また、本発明の第1の動力出力装置において、前記蓄電手段は、リチウムイオン二次電池であるものとすることもできる。
本発明の第2の動力出力装置は、
駆動軸に動力を出力可能な動力出力用機器を備える動力出力装置であって、
前記動力出力用機器に電力を供給可能な蓄電手段と、
前記動力出力用機器の温度を検出する温度検出手段と、
前記蓄電手段に入出力される電流に基づいて、第1の所定値を超えたときに前記蓄電手段の劣化の開始が想定されるパラメータである劣化パラメータを演算する劣化パラメータ演算手段と、
前記演算された劣化パラメータが前記第1の所定値より小さい第2の所定値以下である第1の状態のときには前記蓄電手段の定格出力を前記蓄電手段の出力制限に設定し、前記演算された劣化パラメータが前記第2の所定値を超えた第2の状態のときには該劣化パラメータが前記第1の所定値を超えないように前記定格出力より小さい出力を前記蓄電手段の出力制限に設定する出力制限設定手段と、
前記設定された出力制限を超える電力による前記蓄電手段からの放電の要求である超過出力要求がなされていないときには前記設定された出力制限の範囲内かつ前記検出された動力出力用機器の温度に基づく駆動制限の範囲内で前記動力出力用機器を制御し、前記超過出力要求がなされているときに前記検出された動力出力用機器の温度が所定温度以下のときには前記設定された出力制限を超える所定の超過出力の範囲内かつ前記駆動制限の範囲内で前記動力出力用機器を制御し、前記超過出力要求がなされているときに前記検出された動力出力用機器の温度が所定温度を超えているときには前記設定された出力制限の範囲内かつ前記駆動制限の範囲内で前記動力出力用機器を制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の第2の動力出力装置では、蓄電手段に入出力される電流に基づいて、第1の所定値を超えたときに蓄電手段の劣化の開始が想定されるパラメータである劣化パラメータを演算し、演算した劣化パラメータが第1の所定値より小さい第2の所定値以下である第1の状態のときには蓄電手段の定格出力を蓄電手段の出力制限に設定し、演算した劣化パラメータが第2の所定値を超えた第2の状態のときには劣化パラメータが第1の所定値を超えないように定格出力より小さい出力を蓄電手段の出力制限に設定する。これにより、劣化パラメータが第1の所定値を超えないようにすることができる。そして、設定した出力制限を超える電力による蓄電手段からの放電の要求である超過出力要求がなされていないときには、出力制限の範囲内かつ動力出力用機器の温度に基づく駆動制限の範囲内で動力出力用機器を制御する。また、超過出力要求がなされているときに動力出力用機器の温度が所定温度以下のときには、出力制限を超える所定の超過出力の範囲内かつ駆動制限の範囲内で動力出力用機器を制御する。これにより、蓄電手段の性能をより発揮させることができる。さらに、超過出力要求がなされているときに動力出力用機器の温度が所定温度を超えているときには、出力制限の範囲内かつ駆動制限の範囲内で動力出力用機器を制御する。これにより、動力出力用機器の過度の温度上昇を抑制することができ、動力出力用機器をより適正に保護することができる。以上より、蓄電装置の性能の発揮と動力出力用機器の保護とを両立させることができる。
本発明の車両は、上述のいずれかの態様の本発明の第1または第2の動力出力装置、即ち、基本的には、駆動軸に動力を出力可能な動力出力用機器を備える動力出力装置であって、前記動力出力用機器に電力を供給可能な蓄電手段と、前記動力出力用機器の温度を検出する温度検出手段と、前記検出された動力出力用機器の温度に基づいて該動力出力用機器の駆動を許容する程度である駆動許容程度を設定する駆動許容程度設定手段と、前記蓄電手段に入出力される電流に基づいて、第1の所定値を超えたときに前記蓄電手段の劣化の開始が想定されるパラメータである劣化パラメータを演算する劣化パラメータ演算手段と、前記演算された劣化パラメータが前記第1の所定値より小さい第2の所定値以下である第1の状態のときには前記蓄電手段の定格出力を前記蓄電手段の出力制限に設定し、前記演算された劣化パラメータが前記第2の所定値を超えた第2の状態のときには該劣化パラメータが前記第1の所定値を超えないように前記定格出力より小さい出力を前記蓄電手段の出力制限に設定する出力制限設定手段と、前記設定された出力制限を超える電力による前記蓄電手段からの放電の要求である超過出力要求がなされていないときには前記設定された出力制限の範囲内かつ前記設定された駆動許容程度の範囲内で前記動力出力用機器を制御し、前記超過出力要求がなされているときに前記設定された駆動許容程度が所定程度以上のときには前記設定された出力制限を超える所定の超過出力の範囲内かつ前記設定された駆動許容程度の範囲内で前記動力出力用機器を制御し、前記超過出力要求がなされているときに前記設定された駆動許容程度が前記所定程度未満のときには前記設定された出力制限の範囲内かつ前記設定された駆動許容程度の範囲内で前記動力出力用機器を制御する制御手段と、を備える動力出力装置や、駆動軸に動力を出力可能な動力出力用機器を備える動力出力装置であって、前記動力出力用機器に電力を供給可能な蓄電手段と、前記動力出力用機器の温度を検出する温度検出手段と、前記蓄電手段に入出力される電流に基づいて、第1の所定値を超えたときに前記蓄電手段の劣化の開始が想定されるパラメータである劣化パラメータを演算する劣化パラメータ演算手段と、前記演算された劣化パラメータが前記第1の所定値より小さい第2の所定値以下である第1の状態のときには前記蓄電手段の定格出力を前記蓄電手段の出力制限に設定し、前記演算された劣化パラメータが前記第2の所定値を超えた第2の状態のときには該劣化パラメータが前記第1の所定値を超えないように前記定格出力より小さい出力を前記蓄電手段の出力制限に設定する出力制限設定手段と、前記設定された出力制限を超える電力による前記蓄電手段からの放電の要求である超過出力要求がなされていないときには前記設定された出力制限の範囲内かつ前記検出された動力出力用機器の温度に基づく駆動制限の範囲内で前記動力出力用機器を制御し、前記超過出力要求がなされているときに前記検出された動力出力用機器の温度が所定温度以下のときには前記設定された出力制限を超える所定の超過出力の範囲内かつ前記駆動制限の範囲内で前記動力出力用機器を制御し、前記超過出力要求がなされているときに前記検出された動力出力用機器の温度が所定温度を超えているときには前記設定された出力制限の範囲内かつ前記駆動制限の範囲内で前記動力出力用機器を制御する制御手段と、を備える動力出力装置を搭載し、車軸が前記駆動軸に連結されてなることを要旨とする。
この本発明の車両では、上述のいずれかの態様の本発明の第1または第2の動力出力装置を搭載するから、本発明の動力出力装置が奏する効果、例えば、蓄電装置の性能の発揮と動力出力用機器の保護とを両立させることができる効果などと同様の効果を奏することができる。
本発明の第1の駆動装置は、
蓄電手段と共に用いられて駆動軸を駆動する駆動装置であって、
前記蓄電手段からの電力の供給を受けて前記駆動軸に動力を出力可能な動力出力用機器と、
前記動力出力用機器の温度を検出する温度検出手段と、
前記検出された動力出力用機器の温度に基づいて該動力出力用機器の駆動を許容する程度である駆動許容程度を設定する駆動許容程度設定手段と、
前記蓄電手段に入出力される電流に基づいて、第1の所定値を超えたときに前記蓄電手段の劣化の開始が想定されるパラメータである劣化パラメータを演算する劣化パラメータ演算手段と、
前記演算された劣化パラメータが前記第1の所定値より小さい第2の所定値以下である第1の状態のときには前記蓄電手段の定格出力を前記蓄電手段の出力制限に設定し、前記演算された劣化パラメータが前記第2の所定値を超えた第2の状態のときには該劣化パラメータが前記第1の所定値を超えないように前記定格出力より小さい出力を前記蓄電手段の出力制限に設定する出力制限設定手段と、
前記設定された出力制限を超える電力による前記蓄電手段からの放電の要求である超過出力要求がなされていないときには前記設定された出力制限の範囲内かつ前記設定された駆動許容程度の範囲内で前記動力出力用機器を制御し、前記超過出力要求がなされているときに前記設定された駆動許容程度が所定程度以上のときには前記設定された出力制限を超える所定の超過出力の範囲内かつ前記設定された駆動許容程度の範囲内で前記動力出力用機器を制御し、前記超過出力要求がなされているときに前記設定された駆動許容程度が前記所定程度未満のときには前記設定された出力制限の範囲内かつ前記設定された駆動許容程度の範囲内で前記動力出力用機器を制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の第1の駆動装置では、蓄電手段に入出力される電流に基づいて、第1の所定値を超えたときに蓄電手段の劣化の開始が想定されるパラメータである劣化パラメータを演算し、演算した劣化パラメータが第1の所定値より小さい第2の所定値以下である第1の状態のときには蓄電手段の定格出力を蓄電手段の出力制限に設定し、演算した劣化パラメータが第2の所定値を超えた第2の状態のときには劣化パラメータが第1の所定値を超えないように定格出力より小さい出力を蓄電手段の出力制限に設定する。これにより、劣化パラメータが第1の所定値を超えないようにすることができる。そして、設定した出力制限を超える電力による蓄電手段からの放電の要求である超過出力要求がなされていないときには、出力制限の範囲内かつ動力出力用機器の温度に基づいて設定される動力出力用機器の駆動を許容する程度である駆動許容程度の範囲内で動力出力用機器を制御する。また、超過出力要求がなされているときに駆動許容程度が所定程度以上のときには出力制限を超える所定の超過出力の範囲内かつ駆動許容程度の範囲内で動力出力用機器を制御する。これにより、蓄電手段の性能をより発揮させることができる。さらに、超過出力要求がなされているときに駆動許容程度が所定程度未満のときには出力制限の範囲内かつ駆動許容程度の範囲内で動力出力用機器を制御する。これにより、所定の超過出力の範囲内で動力出力用機器を制御するものに比して動力出力用機器をより適正に保護することができる。以上より、蓄電装置の性能の発揮と動力出力用機器の保護とを両立させることができる。
本発明の第2の駆動装置は、
蓄電手段と共に用いられて駆動軸を駆動する駆動装置であって、
前記蓄電手段からの電力の供給を受けて前記駆動軸に動力を出力可能な動力出力用機器と、
前記動力出力用機器の温度を検出する温度検出手段と、
前記蓄電手段に入出力される電流に基づいて、第1の所定値を超えたときに前記蓄電手段の劣化の開始が想定されるパラメータである劣化パラメータを演算する劣化パラメータ演算手段と、
前記演算された劣化パラメータが前記第1の所定値より小さい第2の所定値以下である第1の状態のときには前記蓄電手段の定格出力を前記蓄電手段の出力制限に設定し、前記演算された劣化パラメータが前記第2の所定値を超えた第2の状態のときには該劣化パラメータが前記第1の所定値を超えないように前記定格出力より小さい出力を前記蓄電手段の出力制限に設定する出力制限設定手段と、
前記設定された出力制限を超える電力による前記蓄電手段からの放電の要求である超過出力要求がなされていないときには前記設定された出力制限の範囲内かつ前記検出された動力出力用機器の温度に基づく駆動制限の範囲内で前記動力出力用機器を制御し、前記超過出力要求がなされているときに前記検出された動力出力用機器の温度が所定温度以下のときには前記設定された出力制限を超える所定の超過出力の範囲内かつ前記駆動制限の範囲内で前記動力出力用機器を制御し、前記超過出力要求がなされているときに前記検出された動力出力用機器の温度が所定温度を超えているときには前記設定された出力制限の範囲内かつ前記駆動制限の範囲内で前記動力出力用機器を制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の第2の駆動装置では、蓄電手段に入出力される電流に基づいて、第1の所定値を超えたときに蓄電手段の劣化の開始が想定されるパラメータである劣化パラメータを演算し、演算した劣化パラメータが第1の所定値より小さい第2の所定値以下である第1の状態のときには蓄電手段の定格出力を蓄電手段の出力制限に設定し、演算した劣化パラメータが第2の所定値を超えた第2の状態のときには劣化パラメータが第1の所定値を超えないように定格出力より小さい出力を蓄電手段の出力制限に設定する。これにより、劣化パラメータが第1の所定値を超えないようにすることができる。そして、設定した出力制限を超える電力による蓄電手段からの放電の要求である超過出力要求がなされていないときには、出力制限の範囲内かつ動力出力用機器の温度に基づく駆動制限の範囲内で動力出力用機器を制御する。また、超過出力要求がなされているときに動力出力用機器の温度が所定温度以下のときには、出力制限を超える所定の超過出力の範囲内かつ駆動制限の範囲内で動力出力用機器を制御する。これにより、蓄電手段の性能をより発揮させることができる。さらに、超過出力要求がなされているときに動力出力用機器の温度が所定温度を超えているときには、出力制限の範囲内かつ駆動制限の範囲内で動力出力用機器を制御する。これにより、動力出力用機器の過度の温度上昇を抑制することができ、動力出力用機器をより適正に保護することができる。以上より、蓄電装置の性能の発揮と動力出力用機器の保護とを両立させることができる。
本発明の第1の動力出力装置の制御方法は、
駆動軸に動力を出力可能な動力出力用機器と、前記動力出力用機器に電力を供給可能な蓄電手段と、を備える動力出力装置の制御方法であって、
(a)前記動力出力用機器の温度に基づいて該動力出力用機器の駆動を許容する程度である駆動許容程度を設定し、
(b)前記蓄電手段に入出力される電流に基づいて、第1の所定値を超えたときに前記蓄電手段の劣化の開始が想定されるパラメータである劣化パラメータを演算し、
(c)前記演算された劣化パラメータが前記第1の所定値より小さい第2の所定値以下である第1の状態のときには前記蓄電手段の定格出力を前記蓄電手段の出力制限に設定し、前記演算された劣化パラメータが前記第2の所定値を超えた第2の状態のときには該劣化パラメータが前記第1の所定値を超えないように前記定格出力より小さい出力を前記蓄電手段の出力制限に設定し、
(d)前記設定された出力制限を超える電力による前記蓄電手段からの放電の要求である超過出力要求がなされていないときには前記設定された出力制限の範囲内かつ前記設定された駆動許容程度の範囲内で前記動力出力用機器を制御し、前記超過出力要求がなされているときに前記設定された駆動許容程度が所定程度以上のときには前記設定された出力制限を超える所定の超過出力の範囲内かつ前記設定された駆動許容程度の範囲内で前記動力出力用機器を制御し、前記超過出力要求がなされているときに前記設定された駆動許容程度が前記所定程度未満のときには前記設定された出力制限の範囲内かつ前記設定された駆動許容程度の範囲内で前記動力出力用機器を制御する、
ことを要旨とする。
この本発明の第1の動力出力装置の制御方法では、蓄電手段に入出力される電流に基づいて、第1の所定値を超えたときに蓄電手段の劣化の開始が想定されるパラメータである劣化パラメータを演算し、演算した劣化パラメータが第1の所定値より小さい第2の所定値以下である第1の状態のときには蓄電手段の定格出力を蓄電手段の出力制限に設定し、演算した劣化パラメータが第2の所定値を超えた第2の状態のときには劣化パラメータが第1の所定値を超えないように定格出力より小さい出力を蓄電手段の出力制限に設定する。これにより、劣化パラメータが第1の所定値を超えないようにすることができる。そして、設定した出力制限を超える電力による蓄電手段からの放電の要求である超過出力要求がなされていないときには、出力制限の範囲内かつ動力出力用機器の温度に基づいて設定される動力出力用機器の駆動を許容する程度である駆動許容程度の範囲内で動力出力用機器を制御する。また、超過出力要求がなされているときに駆動許容程度が所定程度以上のときには出力制限を超える所定の超過出力の範囲内かつ駆動許容程度の範囲内で動力出力用機器を制御する。これにより、蓄電手段の性能をより発揮させることができる。さらに、超過出力要求がなされているときに駆動許容程度が所定程度未満のときには出力制限の範囲内かつ駆動許容程度の範囲内で動力出力用機器を制御する。これにより、所定の超過出力の範囲内で動力出力用機器を制御するものに比して動力出力用機器をより適正に保護することができる。以上より、蓄電装置の性能の発揮と動力出力用機器の保護とを両立させることができる。
本発明の第2の動力出力装置の制御方法は、
駆動軸に動力を出力可能な動力出力用機器と、前記動力出力用機器に電力を供給可能な蓄電手段と、を備える動力出力装置の制御方法であって、
(a)前記蓄電手段に入出力される電流に基づいて、第1の所定値を超えたときに前記蓄電手段の劣化の開始が想定されるパラメータである劣化パラメータを演算し、
(b)前記演算された劣化パラメータが前記第1の所定値より小さい第2の所定値以下である第1の状態のときには前記蓄電手段の定格出力を前記蓄電手段の出力制限に設定し、前記演算された劣化パラメータが前記第2の所定値を超えた第2の状態のときには該劣化パラメータが前記第1の所定値を超えないように前記定格出力より小さい出力を前記蓄電手段の出力制限に設定し、
(c)前記設定された出力制限を超える電力による前記蓄電手段からの放電の要求である超過出力要求がなされていないときには前記設定された出力制限の範囲内かつ前記動力出力用機器の温度に基づく駆動制限の範囲内で前記動力出力用機器を制御し、前記超過出力要求がなされているときに前記動力出力用機器の温度が所定温度以下のときには前記設定された出力制限を超える所定の超過出力の範囲内かつ前記駆動制限の範囲内で前記動力出力用機器を制御し、前記超過出力要求がなされているときに前記動力出力用機器の温度が所定温度を超えているときには前記設定された出力制限の範囲内かつ前記駆動制限の範囲内で前記動力出力用機器を制御する、
ことを要旨とする。
この本発明の第2の動力出力装置の制御方法では、蓄電手段に入出力される電流に基づいて、第1の所定値を超えたときに蓄電手段の劣化の開始が想定されるパラメータである劣化パラメータを演算し、演算した劣化パラメータが第1の所定値より小さい第2の所定値以下である第1の状態のときには蓄電手段の定格出力を蓄電手段の出力制限に設定し、演算した劣化パラメータが第2の所定値を超えた第2の状態のときには劣化パラメータが第1の所定値を超えないように定格出力より小さい出力を蓄電手段の出力制限に設定する。これにより、劣化パラメータが第1の所定値を超えないようにすることができる。そして、設定した出力制限を超える電力による蓄電手段からの放電の要求である超過出力要求がなされていないときには、出力制限の範囲内かつ動力出力用機器の温度に基づく駆動制限の範囲内で動力出力用機器を制御する。また、超過出力要求がなされているときに動力出力用機器の温度が所定温度以下のときには、出力制限を超える所定の超過出力の範囲内かつ駆動制限の範囲内で動力出力用機器を制御する。これにより、蓄電手段の性能をより発揮させることができる。さらに、超過出力要求がなされているときに動力出力用機器の温度が所定温度を超えているときには、出力制限の範囲内かつ駆動制限の範囲内で動力出力用機器を制御する。これにより、動力出力用機器の過度の温度上昇を抑制することができ、動力出力用機器をより適正に保護することができる。以上より、蓄電装置の性能の発揮と動力出力用機器の保護とを両立させることができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
図1は本発明の一実施例であるハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図であり、図2はモータMG1,MG2を含む電機駆動系の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図1に示すように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30に接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに減速ギヤ35を介して接続されたモータMG2と、直流電流を交流電流に変換してモータMG1,MG2に供給可能なインバータ41,42と、バッテリ50からの電力をその電圧を変換してインバータ41,42に供給可能な昇圧回路55と、バッテリ50と昇圧回路55とに介在するシステムメインリレー56と、車両全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
エンジン22は、例えばガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関であり、エンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量調節制御などの運転制御を受けている。エンジンECU24には、エンジン22の運転状態を検出する各種センサからの信号、例えば、エンジン22のクランクシャフト26のクランク角を検出する図示しないクランクポジションセンサからのクランクポジションなどが入力されている。エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、エンジンECU24は、図示しないクランクポジションセンサからのクランクポジションに基づいてクランクシャフト26の回転数、即ちエンジン22の回転数Neも演算している。
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32にはリングギヤ軸32aを介して減速ギヤ35がそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aからギヤ機構60およびデファレンシャルギヤ62を介して、最終的には車両の駆動輪63a,63bに出力される。
モータMG1およびモータMG2は、図2に示すように、いずれも外表面に永久磁石が貼り付けられたロータと三相コイルが巻回されたステータとを備える周知の同期発電電動機として構成されている。インバータ41,42は、6つのトランジスタT11〜T16,T21〜26と、トランジスタT11〜T16,T21〜T26に逆方向に並列接続された6つのダイオードD11〜D16,D21〜D26と、により構成されている。トランジスタT11〜T16,T21〜T26は、それぞれインバータ41,42が電力ライン54として共用する正極母線54aと負極母線54bとに対してソース側とシンク側になるよう2個ずつペアで配置されており、対となるトランジスタ同士の接続点の各々にモータMG1,MG2の三相コイル(U相,V相,W相)の各々が接続されている。したがって、正極母線54aと負極母線54bとの間に電圧が作用している状態で対をなすトランジスタT11〜T16,T21〜T26のオン時間の割合を制御することにより三相コイルに回転磁界を形成でき、モータMG1,MG2を回転駆動することができる。インバータ41,42は、正極母線54aと負極母線54bとを共用しているから、モータMG1,MG2のいずれかで発電される電力を他のモータに供給することができる。正極母線54aと負極母線54bとには平滑用のコンデンサ57が接続されている。モータMG1,MG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42のトランジスタT11〜T16,T21〜T26へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からの信号に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm
2も演算している。
昇圧回路55は、図2に示すように、2つのトランジスタT31,T32とトランジスタT31,T32に逆方向に並列接続された2つのダイオードD31,D32とリアクトルLとにより構成されている。2つのトランジスタT31,T32は、それぞれインバータ41,42の正極母線54aと負極母線54bとに接続されており、その接続点にリアクトルLが接続されている。また、リアクトルLと負極母線54bとにはそれぞれシステムメインリレー56を介してバッテリ50の正極端子と負極端子とが接続されている。したがって、トランジスタT31,T32をオンオフ制御することによりバッテリ50の直流電力をその電圧を昇圧してインバータ41,42に供給したり正極母線54aと負極母線54bとに作用している直流電圧を降圧してバッテリ50を充電したりすることができる。リアクトルLと負極母線54bとには平滑用のコンデンサ58が接続されている。以下、昇圧回路55より電力ライン54側を高電圧系といい、昇圧回路55よりバッテリ50側を低電圧系という。
バッテリ50は、リチウムイオン二次電池として構成されており、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された電圧センサ51aからの端子間電圧Vb,バッテリ50の出力端子に接続された電力ラインに取り付けられた電流センサ51bからの充放電電流Ib,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51cからの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。また、バッテリECU52は、バッテリ50を管理するために電流センサ51bにより検出された充放電電流Ibの積算値に基づいて残容量SOCを演算したり、バッテリ50の入出力制限Win,Woutを設定したりしている。バッテリ50の入出力制限Winは、実施例では、電池温度Tbに基づく基本値Wintmpにバッテリ50の残容量SOCに基づく入力制限用補正係数を乗じることにより設定するものとした。また、バッテリ50の出力制限Woutは、実施例では、電池温度Tbに基づく基本値Wouttmpにバッテリ50の残容量SOCに基づく出力制限用補正係数を乗じたもの(以下、定格出力Woutrという)に対して必要に応じて劣化ファクターDに基づいて補正することにより設定するものとした。図3に電池温度Tbと基本値Wouttmpとの関係の一例を示し、図4にバッテリ50の残容量SOCと出力制限用補正係数との関係の一例を示す。また、劣化ファクターDは、基準値Dmaxを超えたときにバッテリ50の劣化の開始が想定されるパラメータであり、実施例では、充放電電流Ibを用いて次式(1)または式(1)から得られる式(2)により演算するものとした。式(1)中、「α」および「β」は、電池温度Tbと残容量SOCとに依存するパラメータであり、実験などにより定めることができる。また、式(2)中、「κ」は、パラメータα,βに基づくパラメータ即ち電池温度Tbと残容量SOCとに依存するパラメータであり、実験などにより定めることができる。以下、バッテリ50の出力制限Woutの設定について説明する。
dD/dt +α・D=β・Ib (1)
D=κ・∫Ib・dt (2)
バッテリ50は、リチウムイオン電池として構成されているが、このリチウムイオン二次電池については、大電流による放電が継続されると、端子間電圧Vbが電池性能を十分に発揮できる電圧範囲の下限である下限電圧Vbminよりも高くても、あるタイミングからバッテリ50の劣化が開始して端子間電圧Vbが比較的急峻に低下し始める特性を有することが明らかにされている。この様子を図5に示す。また、以下、この端子間電圧Vbが比較的急峻に低下し始めるタイミングを劣化開始タイミングという。実施例では、このようなリチウムイオン二次電池の特性を考慮して、劣化開始タイミングに至ったときにバッテリ50の劣化の開始を想定するものとした。なお、この劣化開始タイミングは、前述の劣化ファクターDが基準値Dmaxを超えたタイミングに相当する。ところで、劣化ファクターDは、式(2)に示すように、パラメータκと充放電電流Ibの積算値との積として演算されるものであるから、バッテリ50から大電流による放電が継続して行なわれるほど大きな値となり、バッテリ50への充電が行なわれているときには徐々に小さくなっていく。このため、実施例では、この劣化ファクターDの特性を考慮して、劣化ファクターDが基準値Dmaxより小さい制限開始閾値(制御目標値)Dtag以下のときには定格出力Woutrをバッテリ50の出力制限Woutに設定し、劣化ファクターDが制限開始閾値Dtagより大きいときには定格出力Woutrと制御開始閾値Dtagと劣化ファクターDとを用いて式(3)によりバッテリ50の出力制限Woutを設定するものとした。式(3)は、劣化ファクターDと制御開始閾値Dtagとの偏差を打ち消すためのフィードバック制御の式であり、式(3)中、右辺第2項の「Kp」は比例項のゲインであり、右辺第3項の「Ki」は積分項のゲインである。「Kp」および「Ki」は、バッテリ50の出力制限Woutをできるだけ小さくせずに劣化ファクターDが基準値Dmaxを超えないようにすることができる値を実験などにより定めることができる。このようにバッテリ50の出力制限Woutを設定することにより、劣化ファクターDが基準値Dmaxを超えないようにすることができる。即ち、劣化開始タイミングに至らないようにすることができる。こうして設定されるバッテリ50の出力制限Woutの時間変化の様子の一例を図6に示す。バッテリ50の出力制限Woutは、図6に示すように、劣化ファクターDが制限開始閾値Dtag以下のときには定格出力Woutrが設定され、劣化ファクターDが制限開始閾値Dtagを超えた以降は劣化ファクターDが基準値Dmaxを超えないように劣化ファクターDが大きいほど小さくなる傾向に設定される。
Wout=Woutr+Kp・(Dtag-D)+Ki・∫(Dtag-D)・dt (3)
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、温度センサ55aからの昇圧回路55の温度Tup(例えば、リアクトルLの温度)や、電圧センサ57aからのコンデンサ57の電圧(以下、高電圧系の電圧VHという),電圧センサ58aからのコンデンサ58の電圧,イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70からは、昇圧回路55のトランジスタT31,T32へのスイッチング制御信号やシステムメインリレー56への駆動信号などが出力ポートを介して出力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力
がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。なお、トルク変換運転モードと充放電運転モードは、いずれもエンジン22の運転を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようエンジン22とモータMG1,MG2とを制御するモードであり、実質的な制御における差異はないため、以下、両者を合わせてエンジン運転モードという。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特にバッテリ50の出力管理に基づく駆動制御の際の動作について説明する。図7は実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートであり、図8はこうした駆動制御に用いられるバッテリ50の制御用出力制限Wout*を管理するためにバッテリECU52により実行される出力管理ルーチンの一例を示すフローチャートである。両ルーチン共、所定時間毎(例えば、数msec毎)に繰り返し実行される。以下、まず、駆動制御について説明し、その後、駆動制御で用いられるバッテリ50の出力制限Woutの管理について説明する。
駆動制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや車速センサ88からの車速V,エンジン22の回転数Ne,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,バッテリ50の制御用出力制限Wout*,温度センサ55aからの昇圧回路55の温度Tupなど制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS100)。ここで、エンジン22の回転数Neは、図示しないクランクポジションセンサからの信号に基づいて演算されたものをエンジンECU24から通信により入力するものとした。また、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、回転位置検出センサ43,44により検出されたモータMG1,MG2の回転子の回転位置に基づいて演算されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。さらに、バッテリ50の制御用出力制限Wout*は、図8に例示する出力管理ルーチンにより設定されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。
こうしてデータを入力すると、入力したアクセル開度Accが閾値Aref以上か否かを判定し(ステップS110)、アクセル開度Accが閾値Aref以上と判定されたときには、バッテリ50から定格出力Woutrを超えた出力を要求するために超過出力要求フラグFout1に値1を設定してバッテリECU52に送信する(ステップS120)。ここで、閾値Arefは、バッテリ50から定格出力Woutrを超えた出力を要求するか否かを判定するために設定されるものであり、例えば、70%や80%などに設定される。超過出力要求フラグFout1に値1が設定されたときのバッテリ50の制御用出力制限Wout*については図8の出力管理ルーチンを用いて後述する。なお、アクセル開度Accが閾値Aref未満のときには、バッテリ50から定格出力Woutrを超えた出力を要求する必要がないから、超過出力要求フラグFout1に値1を設定することなく次の処理に進む。
続いて、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいて車両に要求されるトルクとして駆動輪63a,63bに連結された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*と車両に要求される要求パワーPe*とを設定する(ステップS130)。要求トルクTr*は、実施例では、アクセル開度Accと車速Vと要求トルクTr*との関係を予め定めて要求トルク設定用マップとしてROM74に記憶しておき、アクセル開度Accと車速Vとが与えられると記憶したマップから対応する要求トルクTr*を導出して設定するものとした。図9に要求トルク設定用マップの一例を示す。要求パワーPe*は、設定した要求トルクTr*にリングギヤ軸32aの回転数Nrを乗じたものとバッテリ50が要求する充放電要求パワーPb*とロスLossとの和として計算することができる。なお、リングギヤ軸32aの回転数Nrは、車速Vに換算係数kを乗じること(Nr=k・V)によって求めたり、モータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで割ること(Nr=Nm2/Gr)によって求めることができる。
そして、計算した要求パワーPe*を閾値Prefと比較する(ステップS140)。ここで、閾値Prefは、エンジン22の運転を停止してモータMG2から出力された動力だけで走行するモータ運転モードの範囲を設定するものであり、モータMG2の性能やバッテリ50の容量などにより設定することができる。要求パワーPe*が閾値Prefより大きいときには、エンジン22が運転されているか否かを判定し(ステップS150)、エンジン22が運転されていると判定されたときには、要求パワーPe*に基づいてエンジン22を運転すべき運転ポイントとしての目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する(ステップS160)。この設定は、エンジン22を効率よく動作させる動作ラインと要求パワーPe*とに基づいて行なわれる。エンジン22の動作ラインの一例と目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する様子を図10に示す。図示するように、目標回転数Ne*と目標トルクTe*は、動作ラインと要求パワーPe*(Ne*×Te*)が一定の曲線との交点により求めることができる。
次に、エンジン22の目標回転数Ne*とモータMG2の回転数Nm2と動力分配統合機構30のギヤ比ρと減速ギヤ35のギヤ比Grとを用いて次式(4)によりモータMG1の目標回転数Nm1*を計算すると共に計算した目標回転数Nm1*と入力したモータMG1の回転数Nm1とエンジン22の目標トルクTe*と動力分配統合機構30のギヤ比ρとに基づいて式(5)によりモータMG1から出力すべきトルクとしてのトルク指令Tm1*を計算する(ステップS170)。ここで、式(4)は、動力分配統合機構30の回転要素に対する力学的な関係式である。エンジン22からパワーを出力している状態で走行しているときの動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を図11に示す。図中、左のS軸はモータMG1の回転数Nm1であるサンギヤ31の回転数を示し、C軸はエンジン22の回転数Neであるキャリア34の回転数を示し、R軸はモータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで除したリングギヤ32の回転数Nrを示す。式(4)は、この共線図を用いれば容易に導くことができる。なお、R軸上の2つの太線矢印は、モータMG1から出力されたトルクTm1がリングギヤ軸32aに作用するトルクと、モータMG2から出力されるトルクTm2が減速ギヤ35を介してリングギヤ軸32aに作用するトルクとを示す。また、式(5)は、モータMG1を目標回転数Nm1*で回転させるためのフィードバック制御における関係式であり、式(5)中、右辺第2項の「k1」は比例項のゲインであり、右辺第3項の「k2」は積分項のゲインである。
Nm1*=Ne*・(1+ρ)/ρ-Nm2/(Gr・ρ) (4)
Tm1*=-ρ・Te*/(1+ρ)+k1(Nm1*-Nm1)+k2∫(Nm1*-Nm1)dt (5)
そして、要求トルクTr*に設定したトルク指令Tm1*を動力分配統合機構30のギヤ比ρで除したものを加えて更に減速ギヤ35のギヤ比Grで除してモータMG2から出力すべきトルクの仮の値である仮トルクTm2tmpを次式(6)により計算すると共に(ステップS180)、バッテリ50の制御用出力制限Wout*と設定したトルク指令Tm1*に現在のモータMG1の回転数Nm1を乗じて得られるモータMG1の消費電力(発電電力)との偏差をモータMG2の回転数Nm2で割ることによりモータMG2から出力してもよいトルクの上限としてのトルク制限Tm2maxを次式(7)により計算すると共に(ステップS190)、設定した仮トルクTm2tmpを式(8)によりトルク制限Tm2maxで制限してモータMG2のトルク指令Tm2*を設定する(ステップS200)。ここで、式(6)は、図11の共線図から容易に導くことができる。
Tm2tmp=(Tr*+Tm1*/ρ)/Gr (6)
Tm2max=(Wout*-Tm1*・Nm1)/Nm2 (7)
Tm2*=min(Tm2tmp,Tm2max) (8)
こうしてエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定すると、エンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*についてはエンジンECU24に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40にそれぞれ送信する(ステップS210)。目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信したエンジンECU24は、エンジン22が目標回転数Ne*と目標トルクTe*とによって示される運転ポイントで運転されるようにエンジン22における吸入空気量制御や燃料噴射制御,点火制御などの制御を行なう。また、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*でモータMG1が駆動されると共にトルク指令Tm2*でモータMG2が駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。こうした制御により、バッテリ50の制御用出力制限Wout*の範囲内でエンジン22を効率よく運転して駆動軸としてのリングギヤ軸32aに要求トルクTr*を出力して走行することができる。
次に、昇圧回路55の温度Tupに基づいて昇圧回路55の許容負荷LFmaxを設定する(ステップS220)。この許容負荷LFmaxは、実施例では、昇圧回路55の温度Tupと許容負荷LFmaxとの関係を予め定めて負荷設定用マップとして記憶しておき、昇圧回路55の温度Tupが与えられると記憶したマップから対応する許容負荷LFmaxを導出して設定するものとした。許容負荷設定用マップの一例を図12に示す。昇圧回路55の許容負荷LFmaxは、図示するように、昇圧回路55の温度Tupが所定温度Tup1以下の領域では所定値LF1が設定され、昇圧回路55の温度Tupが所定温度Tup1より高い領域では昇圧回路55の温度Tupが高いほど所定値LF1から値0に向けて小さくなる傾向に設定される。これは、昇圧回路55の過度の温度上昇を抑制して昇圧回路55を保護するためである。ここで、所定値LF1は、昇圧回路55の仕様などに基づいて定められ、例えば、低電圧系と高電圧系との間でやりとりされる最大電力やその近傍の電力に相当する負荷などを用いることができる。また、所定温度Tup1は、昇圧回路55の過度の温度上昇を抑制するために許容負荷LFmaxを所定値LF1から小さくし始める温度として設定され、昇圧回路55の仕様などにより定められる。
こうして昇圧回路55の許容負荷LFmaxを設定すると、設定した許容負荷LFmaxの範囲内で昇圧回路55を駆動制御して(ステップS230)、駆動制御ルーチンを終了する。昇圧回路55の駆動制御は、具体的には、昇圧回路55の負荷LFが許容負荷LFmax以下となる範囲内で高電圧系の電圧VHが目標電圧VH*に近づくようにトランジスタT31,T32をスイッチング制御することにより行なうことができる。ここで、目標電圧VH*は、モータMG1,MG2に予め設定された定格最大電圧やそれより若干低い電圧を用いるものとしたり、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*に基づいてモータMG1,MG2に予め設定された定格最大電圧以下の範囲内で設定される電圧を用いるものとしたりすることができる。このように昇圧回路55の負荷LFが許容負荷LFmax以下となる範囲内でトランジスタT31,T32をスイッチング制御することにより、昇圧回路55の過度の温度上昇を抑制することができる。この結果、昇圧回路55をより適正に保護することができる。
ステップS140で要求パワーPe*が閾値Pref以下のときには、モータ運転モードで走行すべきであると判断し、エンジン22が停止されるようエンジン22の目標回転数Ne*および目標トルクTe*に共に値0を設定し(ステップS240)、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定し(ステップS250)、ステップS180〜S230の処理を実行して、駆動制御ルーチンを終了する。こうしてエンジン22が停止した以降は、バッテリ50の制御用出力制限Wout*の範囲内でモータMG2から駆動軸としてのリングギヤ軸32aに要求トルクTr*を出力して走行する。
ステップS150でエンジン22が運転されていないと判定されたときには、超過出力要求フラグFout2に値1を設定してバッテリECU52に送信し(ステップS260)、モータMG1のトルク指令Tm1*にエンジン22のモータリング用のトルクTcrを設定する(ステップS270)。そして、エンジン22の回転数Neを閾値Nrefと比較し(ステップS280)、エンジン22の回転数Neが閾値Nref未満のときにはステップS180〜S230の処理を実行して駆動制御ルーチンを終了し、エンジン22の回転数Neが閾値Nref以上のときにはエンジン22の燃料噴射や点火制御などを指示し(ステップS290)、ステップS180〜S230の処理を実行して駆動制御ルーチンを終了する。ここで、閾値Nrefは、燃料噴射制御や点火制御を開始するエンジン22の回転数Neであり、例えば、1000rpmや1200rpmなどを用いることができる。また、指示を受信したエンジンECU24は、エンジン22における燃料噴射制御や点火制御を行なう。
以上、駆動制御について説明した。上述したように、この駆動制御では、アクセル開度Accが閾値Aref以上のときに超過出力要求フラグFout1に値1が設定され(ステップS120)、エンジン22を始動するときに超過出力要求フラグFout2に値1が設定される(ステップS260)。また、駆動制御では、モータMG2のトルク指令Tm2*を設定する際にバッテリ50の制御用出力制限Wout*が用いられる(ステップS190)。次に、こうした駆動制御で用いられるバッテリ50の制御用出力制限Wout*の管理について説明する。
図8の出力管理ルーチンが実行されると、バッテリECU52の図示しないCPUは、まず、昇圧回路55の許容負荷LFmaxや、超過出力要求フラグFout1,Fout2,温度センサ51cからの電池温度Tb、バッテリ50の残容量SOC,劣化ファクターDなどバッテリ50の出力管理に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS300)。ここで、昇圧回路55の許容負荷LFmaxおよび超過出力要求フラグFout1,Fout2は、図7の駆動制御ルーチンにより設定されたものをハイブリッド用電子制御ユニット70から通信により入力するものとした。また、バッテリ50の残容量SOCは、電流センサ51bにより検出された充放電電流Ibの積算値に基づいて設定されて図示しないRAMの所定アドレスに書き込まれたものを読み込むことにより入力するものとした。さらに、劣化ファクターDは、図示しない劣化ファクター演算ルーチンにより充放電電流Ibに基づいて式(1)または式(2)により演算されて図示しないRAMの所定アドレスに書き込まれたものを読み込むことにより入力するものとした。
こうしてデータを入力すると、バッテリ50の電池温度Tbと残容量SOCとに基づいて定格出力Woutrを設定する(ステップS310)。定格出力Woutrの設定は、前述したように、図3の電池温度Tbと基本値Wouttmpとの関係を示すマップを用いて基本値Wouttmpを設定すると共に図4の残容量SOCと出力制限用補正係数との関係を示すマップを用いて出力制限用補正係数を設定し、基本値Wouttmpに出力制限用補正係数を乗じることにより行なうことができる。
続いて、劣化ファクターDを前述の制限開始閾値Dtagと比較し(ステップS320)、劣化ファクターDが制限開始閾値Dtag以下のときには、定格出力Woutrをバッテリ50の出力制限Woutに設定する(ステップS330)。そして、超過出力要求フラグFout1,Fout2の値を調べる(ステップS340)。前述したように、超過出力要求フラグFout1にはアクセル開度Accが閾値Aref以上のときに値1が設定され、超過出力要求フラグFout2にはエンジン22を始動するときに値1が設定される。超過出力要求フラグFout1,Fout2が共に値0のとき(共に値1が設定されていないとき)には、バッテリ50の出力制限Woutを制御用出力制限Wout*に設定してハイブリッド用電子制御ユニット70に送信して(ステップS410)、出力管理ルーチンを終了する。
超過出力要求フラグFout1,Fout2のうち少なくとも一方が値1のときには、前回の超過出力設定処理(出力制限Woutより大きな出力を制御用出力制限Wout*に設定するステップS380の処理)の実行を終了してから所定時間t1を経過しているか否かを判定する(ステップS350)。ここで、所定時間t1は、超過出力設定処理を実行する間隔として設定されるものであり、バッテリ50の性能や出力制限Woutに対して超過してもよい出力(後述の所定出力Wset)などにより定めることができる。前回の超過出力設定処理の実行を終了してから所定時間t1を経過していないと判定されたときには、超過出力設定処理を実行すべきでないと判断し、バッテリ50の出力制限Woutを制御用出力制限Wout*に設定してハイブリッド用電子制御ユニット70に送信して(ステップS410)、出力管理ルーチンを終了する。
前回の超過出力設定処理の実行を終了してから所定時間t1を経過していると判定されたときには、昇圧回路55の許容負荷LFmaxを閾値LFrefと比較する(ステップS360)。ここで、閾値LFrefは、超過出力設定処理を実行してよいか否かを判定するために用いられるものであり、例えば、所定値LF1の70%や80%,90%,100%などに相当する値を用いることができる。
許容負荷LFmaxが閾値LFref以上のときには、超過出力設定処理を実行してよいと判断し、今回の超過出力設定処理を開始してから所定時間t2を経過したか否かを判定し(ステップS370)、今回の超過出力設定処理を開始してから所定時間t2を経過していないと判定されたときには、バッテリ50の出力制限Woutに所定出力Wsetを加えた出力である超過出力(Wout+Wset)を制御用出力制限Wout*に設定してハイブリッド用電子制御ユニット70に送信して(ステップS380)、出力管理ルーチンを終了する。ここで、所定時間t2は、超過出力設定処理を継続して実行することができる制限時間として設定されるものであり、バッテリ50の性能や所定出力Wsetなどにより定めることができる。また、所定出力Wsetは、出力制限Woutを超えて出力してもよい上限の出力を設定するものであり、バッテリ50の性能などにより定めることができる。こうして超過出力(Wout+Wset)が制御用出力制限Wout*に設定されると、その後に駆動制御が実行されるときには、所定出力Wsetの分だけモータMG2のトルク指令Tm2*を大きく設定することができる。これにより、エンジン22を始動するときには、運転者の要求により十分に対応しつつエンジン22を迅速に始動することができる。また、アクセル開度Accが大きく踏み込まれたときには、運転者の要求により十分に対応することができる。ところで、超過出力(Wout+Wset)の許可は出力管理ルーチンの起動間隔の分だけ遅くなるが、実施例ではその間隔は数msecであるから、この時間遅れを運転者に感じさせることはない。
今回の超過出力設定処理を開始してから所定時間t2を経過したと判定されたときには、超過出力設定処理を終了するために、超過出力要求フラグFout1,Fout2に値0を設定し(ステップS420)、バッテリ50の出力制限Woutを制御用出力制限Wout*に設定してハイブリッド用電子制御ユニット70に送信して(ステップS410)、出力管理ルーチンを終了する。なお、超過出力要求フラグFout1,Fout2への値0のセットは、実施例では、バッテリECU52からハイブリッド用電子制御ユニット70に通信により制御信号を出力することにより行なわれる。
ステップS360で許容負荷LFmaxが閾値LFref未満のときには、超過出力設定処理を実行すべきでないと判断し、超過出力要求フラグFout1,Fout2に値0を設定し(ステップS420)、バッテリ50の出力制限Woutを制御用出力制限Wout*に設定してハイブリッド用電子制御ユニット70に送信して(ステップS410)、出力管理ルーチンを終了する。これにより、超過出力(Wout+Wset)が制御用出力制限Wout*に設定されるものに比してバッテリ50から出力制限Woutを超えた電力が出力されるのを抑制することができ、即ち、昇圧回路55を介してバッテリ50とモータMG1,MG2との間で出力制限Woutに相当する電力より大きな電力がやりとりされるのを抑制することができ、昇圧回路55の温度上昇を抑制することができる。
ステップS320で劣化ファクターDが制限開始閾値Dtagより大きいときには、前述した式(3)によりバッテリ50の出力制限Woutを計算する(ステップS390)。そして、超過出力要求フラグFout2の値を調べ(ステップS400)、超過出力要求フラグFout2が値1のとき即ちエンジン22を始動するときには、ステップS350以降の処理を実行する。これにより、運転者の要求により十分に対応しつつエンジン22を迅速に始動することができる。そして、エンジン22の始動した後は、エンジン22から出力される動力の一部を用いてモータMG1によって発電された電力をバッテリ50に充電すれば、劣化ファクターDを小さくすることができる。即ち、大電流による放電が継続されることに起因したバッテリ50の劣化を抑制することができる。
一方、超過出力要求フラグFout2が値0のときには、バッテリ50の出力制限Woutを制御用出力制限Wout*に設定してハイブリッド用電子制御ユニット70に送信して(ステップS410)、出力管理ルーチンを終了する。即ち、超過出力要求フラグFout2が値0のときには、超過出力要求フラグFout1に拘わらず、出力制限Woutが制御用出力制限Wout*に設定されるのである。これにより、劣化ファクターDの増加を抑制することができる。即ち、劣化開始タイミングにより至らないようにすることができる。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、バッテリ50の充放電電流Ibに基づいて演算される劣化ファクターDが基準値Dmaxより小さい制限開始閾値Dtag以下のときには、バッテリ50の電池温度Tbと残容量SOCとに基づく定格出力Woutrを出力制限Woutに設定し、劣化ファクターDが制限開始閾値Dtagより大きいときには、劣化ファクターDが基準値Dmaxを超えないように定格出力Woutrより小さい出力を出力制限Woutに設定する。そして、超過出力要求フラグFout2が値1のとき(エンジン22を始動するとき)に昇圧回路55の許容負荷LFmaxが閾値LFref以上のときには、出力制限Woutに所定出力Wsetを加えた出力である超過出力(Wout+Wset)を制御用出力制限Wout*に設定してこの制御用出力制限Wout*の範囲内でモータMG1によってエンジン22がモータリングされて始動されると共に要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようエンジン22とモータMG1,MG2とを制御すると共に許容負荷LFmaxの範囲内で昇圧回路55を駆動制御するから、運転者の要求により十分に対応しつつエンジン22を迅速に始動することができる。また、エンジン22を始動するときでも許容負荷LFmaxが閾値LFref未満のときには、出力制限Woutを制御用出力制限Wout*に設定してこの制御用出力制限Wout*の範囲内でエンジン22とモータMG1,MG2とを制御すると共に許容負荷LFmaxの範囲内で昇圧回路55を駆動制御するから、バッテリ50から出力制限Woutを超えた電力が出力されるのを抑制することができ、昇圧回路55の過度の温度上昇を抑制することができる。この結果、昇圧回路55をより適正に保護することができる。さらに、劣化ファクターDが制限開始閾値Dtagより大きいときに超過出力要求フラグFout2が値0のときには、超過出力要求フラグFout1の値に拘わらず(アクセル開度Accが閾値Aref以上か否かに拘わらず)出力制限Woutを制御用出力制限Wout*に設定してこの制御用出力制限Wout*の範囲内でエンジン22とモータMG1,MG2とを制御すると共に許容負荷LFmaxの範囲内で昇圧回路55を駆動制御するから、バッテリ50から出力制限Woutを超えた電力が出力されるのを抑制することができ、バッテリ50の劣化が開始すると想定される劣化開始タイミングに至らないようにすることができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、バッテリ50の制御用出力制限Wout*の設定において、超過出力要求フラグFout1,Fout2の両方を考慮するものとしたが、超過出力要求フラグFout1,Fout2のうち一方だけを考慮するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、昇圧回路55の温度TupとしてリアクトルLの温度を用いるものとしたが、トランジスタT31,T32の温度などを用いるものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、超過出力要求フラグFout2が値1のとき(エンジン22を始動するとき)や劣化ファクターDが制限開始閾値Dtag以下のときに超過出力要求フラグFout1が値1のとき(アクセル開度Accが閾値Aref以上のとき)には、昇圧回路55の許容負荷LFmaxが閾値LFref以上か否かに基づいて出力制限Woutまたは超過出力(Wout+Wset)を制御用出力制限Wout*に設定するものとしたが、昇圧回路55の温度Tupが閾値Tupref以下か否かに基づいて出力制限Woutまたは超過出力(Wout+Wset)を制御用出力制限Wout*に設定するものとしてもよい。ここで、閾値Tuprefは、図11を用いて前述した所定温度Tup1やそれよりも若干高い温度などを用いることができる。また、昇圧回路55の温度Tupに代えてまたは加えて、モータMG1,MG2やインバータ41,42の温度を用いるものとしてもよい。モータMG1,MG2やインバータ41,42の温度を用いる場合、昇圧回路55を備えないハード構成としてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、超過出力要求フラグFout2が値1のとき(エンジン22を始動するとき)や劣化ファクターDが制限開始閾値Dtag以下のときに超過出力要求フラグFout1が値1のとき(アクセル開度Accが閾値Aref以上のとき)には、昇圧回路55の許容負荷LFmaxを用いて出力制限Woutまたは超過出力(Wout+Wset)を制御用出力制限Wout*に設定するものとしたが、モータMG1,MG2やインバータ41,42の許容負荷(駆動制限)を用いて出力制限Woutまたは超過出力(Wout+Wset)を制御用出力制限Wout*に設定するものとしてもよい。この場合、昇圧回路55を備えないハード構成としてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2の動力を減速ギヤ35により変速してリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図13の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2の動力をリングギヤ軸32aが接続された車軸(駆動輪63a,63bが接続された車軸)とは異なる車軸(図13における車輪64a,64bに接続された車軸)に出力するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の動力を動力分配統合機構30を介して駆動輪63a,63bに接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図14の変形例のハイブリッド自動車220に例示するように、エンジン22のクランクシャフト26に接続されたインナーロータ232と駆動輪63a,63bに動力を出力する駆動軸に接続されたアウターロータ234とを有し、エンジン22の動力の一部を駆動軸に伝達すると共に残余の動力を電力に変換する対ロータ電動機230を備えるものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の動力を動力分配統合機構30を介して駆動輪63a,63bに接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図15の変形例のハイブリッド自動車320に例示するように、エンジン22に発電用のモータMG1が取り付けられていると共に走行用のモータMG2を備えるものとしてもよい。
また、こうしたハイブリッド自動車に適用するものに限定されるものではなく、自動車以外の車両や船舶,航空機などの移動体に搭載される動力出力装置の形態や建設設備などの移動しない設備に組み込まれた動力出力装置の形態としても構わないし、こうした動力出力装置の制御方法の形態としても構わない。さらに、蓄電装置と共に用いられて駆動軸を駆動する駆動装置の形態としても構わない。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン22と動力分配統合機構30とモータMG1,MG2と昇圧回路55との組み合わせが「動力出力用機器」に相当し、バッテリ50が「蓄電手段」に相当し、温度センサ55aが「温度検出手段」に相当し、昇圧回路55の温度Tupに基づいて昇圧回路55の許容負荷LFmaxを設定する図7の駆動制御ルーチンのステップS220の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「駆動許容程度設定手段」に相当し、基準値Dmaxを超えたときにバッテリ50の劣化の開始が想定されるパラメータである劣化ファクターDを充放電電流Ibに基づいて演算するバッテリECU52が「劣化パラメータ演算手段」に相当し、劣化ファクターDが基準値Dmaxより小さい制限開始閾値Dtag以下のときにはバッテリ50の電池温度Tbと残容量SOCとに基づく定格出力Woutrをバッテリ50の出力制限Woutに設定し、劣化ファクターDが制限開始閾値Dtagより大きいときには劣化ファクターDが基準値Dmaxを超えないように劣化ファクターDと制限開始閾値Dtagとに基づいて定格出力Woutrより小さい出力をバッテリ50の出力制限Woutに設定する図8の出力管理ルーチンのステップS310〜S330,S390の処理を実行するバッテリECU52が「出力制限設定手段」に相当し、超過出力要求フラグFout1,Fout2が共に値0のときや、超過出力要求フラグFout2が値1のときに許容負荷LFmaxが閾値LFref未満のとき,劣化ファクターDが制限開始閾値Dref以下で超過出力要求フラグFout1が値1のときに許容負荷LFmaxが閾値LFref未満のとき,劣化ファクターDが閾値Drefより大きいときに超過出力要求フラグFout2が値0のときにはバッテリ50の出力制限Woutを制御用出力制限Wout*に設定してハイブリッド用電子制御ユニット70に送信し、超過出力要求フラグFout2が値1のときに許容負荷LFmaxが閾値LFref以上のときや、劣化ファクターDが制限開始閾値Dref以下で超過出力要求フラグFout1が値1のときに許容負荷LFmaxが閾値LFref以上のときにはバッテリ50の出力制限Woutに所定出力Wsetを加えた出力である超過出力(Wout+Wset)を制御用出力制限Wout*に設定してハイブリッド用電子制御ユニット70に送信する図8の出力管理ルーチンを実行するバッテリECU52と、受信した制御用出力制限Wout*の範囲内で要求トルクTr*により走行するようエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定して各ECUに送信すると共に許容負荷LFmaxの範囲内で昇圧回路55を駆動制御する図7の駆動制御ルーチンを実行するハイブリッド用電子制御ユニット70と、受信した目標回転数Ne*と目標トルクTe*とに基づいてエンジン22を制御するエンジンECU24と、受信したトルク指令Tm1*,Tm2*に基づいてモータMG1,MG2を制御するモータECU40と、が「制御手段」に相当する。また、エンジン22が「内燃機関」に相当し、モータMG1が「第1の電動機」に相当し、モータMG2が「第2の電動機」に相当し、昇圧回路55が「高電圧系電圧調整手段」に相当し、動力分配統合機構30が「3軸式動力入出力手段」に相当する。さらに、エンジン22と対ロータ電動機230とモータMG2と昇圧回路55との組み合わせや、動力分配統合機構30を備えないエンジン22とモータMG1,MG2と昇圧回路55との組み合わせも「動力出力用機器」に相当する。
ここで、「動力出力用機器」としては、エンジン22と動力分配統合機構30とモータMG1,MG2と昇圧回路55との組み合わせや、エンジン22と対ロータ電動機230とモータMG2と昇圧回路55との組み合わせ,動力分配統合機構30を備えないエンジン22とモータMG1,MG2と昇圧回路55との組み合わせに限定されるものではなく、エンジン22や昇圧回路55を備えないものとするなど、駆動軸に動力を出力可能なものであれば如何なるものとしても構わない。「蓄電手段」としては、リチウムイオン電池として構成されたバッテリ50に限定されるものではなく、動力出力用機器に電力を供給可能なものであれば如何なるものとしても構わない。「温度検出手段」としては、昇圧回路55の温度を検出する温度センサ55aに限定されるものではなく、モータMG1,MG2やインバータ41,42の温度を検出するものなど、動力出力用機器の温度を検出するものであれば如何なるものとしても構わない。「駆動許容程度設定手段」としては、昇圧回路55の温度Tupに基づいて昇圧回路55の許容負荷LFmaxを設定するものに限定されるものではなく、動力出力用機器の温度に基づいて動力出力用機器の駆動を許容する程度である駆動許容程度を設定するものであれば如何なるものとしても構わない。「劣化パラメータ演算手段」としては、基準値Dmaxを超えたときにバッテリ50の劣化の開始が想定されるパラメータである劣化ファクターDを充放電電流Ibに基づいて演算するものに限定されるものではなく、蓄電手段に入出力される電流に基づいて、第1の所定値を超えたときに蓄電手段の劣化の開始が想定されるパラメータである劣化パラメータを演算するものであれば如何なるものとしても構わない。「出力制限設定手段」としては、劣化ファクターDが基準値Dmaxより小さい制限開始閾値Dtag以下のときにはバッテリ50の電池温度Tbと残容量SOCとに基づく定格出力Woutrをバッテリ50の出力制限Woutに設定し、劣化ファクターDが制限開始閾値Dtagより大きいときには劣化ファクターDが基準値Dmaxを超えないように劣化ファクターDと制限開始閾値Dtagとに基づいて定格出力Woutrより小さい出力をバッテリ50の出力制限Woutに設定するものに限定されるものではなく、劣化パラメータが第1の所定値より小さい第2の所定値以下である第1の状態のときには蓄電手段の定格出力を蓄電手段の出力制限に設定し、劣化パラメータが第2の所定値を超えた第2の状態のときには劣化パラメータが第1の所定値を超えないように定格出力より小さい出力を蓄電手段の出力制限に設定するものであれば如何なるものとしても構わない。「制御手段」としては、ハイブリッド用電子制御ユニット70とエンジンECU24とモータECU40とバッテリECU52とからなる組み合わせに限定されるものではなく単一の電子制御ユニットにより構成されるなどとしてもよい。また、「制御手段」としては、超過出力要求フラグFout1,Fout2が共に値0のときや、超過出力要求フラグFout2が値1のときに許容負荷LFmaxが閾値LFref未満のとき,劣化ファクターDが制限開始閾値Dref以下で超過出力要求フラグFout1が値1のときに許容負荷LFmaxが閾値LFref未満のとき,劣化ファクターDが閾値Drefより大きいときに超過出力要求フラグFout2が値0のときにはバッテリ50の出力制限Woutを制御用出力制限Wout*に設定し、設定した制御用出力制限Wout*の範囲内で要求トルクTr*により走行するようエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定してエンジン22とモータMG1,MG2とを制御すると共に許容負荷LFmaxの範囲内で昇圧回路55を駆動制御し、超過出力要求フラグFout2が値1のときに許容負荷LFmaxが閾値LFref以上のときや、劣化ファクターDが制限開始閾値Dref以下で超過出力要求フラグFout1が値1のときに許容負荷LFmaxが閾値LFref以上のときにはバッテリ50の出力制限Woutに所定出力Wsetを加えた出力である超過出力(Wout+Wset)を制御用出力制限Wout*に設定し、設定した制御用出力制限Wout*の範囲内で要求トルクTr*により走行するようエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定してエンジン22とモータMG1,MG2とを制御すると共に許容負荷LFmaxの範囲内で昇圧回路55を駆動制御するものに限定されるものではなく、出力制限を超える電力による蓄電手段からの放電の要求である超過出力要求がなされていないときには出力制限の範囲内かつ駆動許容程度の範囲内で動力出力用機器を制御し、超過出力要求がなされているときに駆動許容程度が所定程度以上のときには出力制限を超える所定の超過出力の範囲内かつ駆動許容程度の範囲内で動力出力用機器を制御し、超過出力要求がなされているときに駆動許容程度が所定程度未満のときには出力制限の範囲内かつ駆動許容程度の範囲内で動力出力用機器を制御するものであれば如何なるものとしても構わない。「内燃機関」としては、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関に限定されるものではなく、水素エンジンなど如何なるタイプの内燃機関であっても構わない。「第1の電動機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG1に限定されるものではなく、誘導電動機など、内燃機関の出力軸に動力を出力可能なものであれば如何なるタイプの電動機であっても構わない。「第2の電動機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG2に限定されるものではなく、誘導電動機など、駆動軸に動力を出力可能なものであれば如何なるタイプの電動機であっても構わない。「高電圧系電圧調整手段」としては、2つのトランジスタT31,T32とトランジスタT31,T32に逆方向に並列接続された2つのダイオードD31,D32とリアクトルLとからなる昇圧コンバータとして構成された昇圧回路55に限定されるものではなく、蓄電手段が接続された低電圧系と第1の電動機の駆動回路および第2の電動機の駆動回路が接続された高電圧系とに接続され高電圧系の電圧を調整するものであれば如何なるものとしても構わない。「3軸式動力入出力手段」としては、上述の動力分配統合機構30に限定されるものではなく、ダブルピニオン式の遊星歯車機構を用いるものや複数の遊星歯車機構を組み合わせて4以上の軸に接続されるものやデファレンシャルギヤのように遊星歯車とは異なる作動作用を有するものなど、駆動軸と出力軸と発電機の回転軸との3軸に接続され3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力するものであれば如何なるものとしても構わない。なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための最良の形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、動力出力装置や車両の製造産業などに利用可能である。
本発明の一実施例である動力出力装置を搭載したハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。 モータMG1,MG2を含む電機駆動系の構成の概略を示す構成図である。 バッテリ50の電池温度Tbと基本値Wouttmpとの関係の一例を示す説明図である。 バッテリ50の残容量SOCと出力制限用補正係数との関係の一例を示す説明図である。 バッテリ50から大電流による放電が継続されたときの端子間電圧Vbの時間変化の様子を示す説明図である。 劣化ファクターDが基準値Dmaxを超えないように設定されるバッテリ50の出力制限Woutの時間変化の様子の一例を示す説明図である。 実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 バッテリECU52により実行される出力管理ルーチンの一例を示すフローチャートである。 要求トルク設定用マップの一例を示す説明図である。 エンジン22の動作ラインの一例と目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する様子を示す説明図である。 エンジン22からパワーを出力している状態で走行しているときの動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を示す説明図である。 許容負荷設定用マップの一例を示す説明図である。 変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。 変形例のハイブリッド自動車220の構成の概略を示す構成図である。 変形例のハイブリッド自動車320の構成の概略を示す構成図である。
符号の説明
20,120,220,320 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、35 減速ギヤ、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51a 電圧センサ、51b 電流センサ、51c 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、54a 正極母線、54b 負極母線、55 昇圧回路、55a 温度センサ、56 システムメインリレー、57,58 コンデンサ、57a,58a 電圧センサ、60 ギヤ機構、62 デファレンシャルギヤ、63a,63b 駆動輪、64a,64b 車輪、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、230 対ロータ電動機、232 インナーロータ、234 アウターロータ、MG1,MG2 モータ、D11〜D16,D21〜D26,D31,D32 ダイオード、T11〜T16,T21〜T26,T31,T32 トランジスタ、L リアクトル。

Claims (13)

  1. 駆動軸に動力を出力可能な動力出力用機器を備える動力出力装置であって、
    前記動力出力用機器に電力を供給可能な蓄電手段と、
    前記動力出力用機器の温度を検出する温度検出手段と、
    前記検出された動力出力用機器の温度に基づいて該動力出力用機器の駆動を許容する程度である駆動許容程度を設定する駆動許容程度設定手段と、
    前記蓄電手段に入出力される電流に基づいて、第1の所定値を超えたときに前記蓄電手段の劣化の開始が想定されるパラメータである劣化パラメータを演算する劣化パラメータ演算手段と、
    前記演算された劣化パラメータが前記第1の所定値より小さい第2の所定値以下である第1の状態のときには前記蓄電手段の定格出力を前記蓄電手段の出力制限に設定し、前記演算された劣化パラメータが前記第2の所定値を超えた第2の状態のときには該劣化パラメータが前記第1の所定値を超えないように前記定格出力より小さい出力を前記蓄電手段の出力制限に設定する出力制限設定手段と、
    前記設定された出力制限を超える電力による前記蓄電手段からの放電の要求である超過出力要求がなされていないときには前記設定された出力制限の範囲内かつ前記設定された駆動許容程度の範囲内で前記動力出力用機器を制御し、前記超過出力要求がなされているときに前記設定された駆動許容程度が所定程度以上のときには前記設定された出力制限を超える所定の超過出力の範囲内かつ前記設定された駆動許容程度の範囲内で前記動力出力用機器を制御し、前記超過出力要求がなされているときに前記設定された駆動許容程度が前記所定程度未満のときには前記設定された出力制限の範囲内かつ前記設定された駆動許容程度の範囲内で前記動力出力用機器を制御する制御手段と、
    を備える動力出力装置。
  2. 請求項1記載の動力出力装置であって、
    前記動力出力用機器は、内燃機関と、該内燃機関の出力軸に動力を出力可能な第1の電動機と、前記駆動軸に動力を出力可能な第2の電動機と、前記蓄電手段が接続された低電圧系と前記第1の電動機の駆動回路および前記第2の電動機の駆動回路が接続された高電圧系とに接続され前記高電圧系の電圧を調整する高電圧系電圧調整手段と、を備える機器であり、
    前記超過出力要求は、前記第1の電動機により前記内燃機関をモータリングして始動する際になされる要求である、
    動力出力装置。
  3. 請求項2記載の動力出力装置であって、
    前記超過出力要求は、前記内燃機関を始動する際になされる始動用超過出力要求および前記駆動軸に所定の大駆動力が要求されるときになされる駆動用超過出力要求であり、
    前記制御手段は、前記始動用超過出力要求と前記駆動用超過出力要求とが共になされていないときには前記設定された出力制限の範囲内で前記動力出力用機器を制御し、前記始動用超過出力要求がなされているとき及び前記第1の状態で前記駆動用超過出力要求がなされているときには前記設定された駆動許容程度が所定程度以上か否かに基づいて前記所定の超過出力または前記設定された出力制限の範囲内で前記動力出力用機器を制御し、前記第2の状態で前記始動用超過出力要求がなされていないときには前記駆動用超過出力要求がなされているか否かに拘わらず前記設定された出力制限の範囲内で前記動力出力用機器を制御する手段である、
    動力出力装置。
  4. 請求項2または3記載の動力出力装置であって、
    前記温度検出手段は、前記高電圧系電圧調整手段の温度を検出する手段であり、
    前記駆動許容程度設定手段は、前記高電圧系電圧調整手段の駆動許容程度を設定する手段であり、
    前記制御手段は、前記設定された駆動許容程度の範囲内で前記高電圧系電圧調整手段を制御する手段である、
    動力出力装置。
  5. 前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸と前記第1の電動機の回転軸との3軸に接続され、該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段を備える請求項2ないし4のいずれか1つの請求項に記載の動力出力装置。
  6. 前記駆動許容程度設定手段は、前記検出された動力出力用機器の温度が所定温度より高いときに、該動力出力用機器の温度が高いほど小さくなる傾向に前記駆動許容程度を設定する手段である請求項1ないし5のいずれか1つの請求項に記載の動力出力装置。
  7. 前記蓄電手段は、リチウムイオン二次電池である請求項1ないし6のいずれか1つの請求項に記載の動力出力装置。
  8. 駆動軸に動力を出力可能な動力出力用機器を備える動力出力装置であって、
    前記動力出力用機器に電力を供給可能な蓄電手段と、
    前記動力出力用機器の温度を検出する温度検出手段と、
    前記蓄電手段に入出力される電流に基づいて、第1の所定値を超えたときに前記蓄電手段の劣化の開始が想定されるパラメータである劣化パラメータを演算する劣化パラメータ演算手段と、
    前記演算された劣化パラメータが前記第1の所定値より小さい第2の所定値以下である第1の状態のときには前記蓄電手段の定格出力を前記蓄電手段の出力制限に設定し、前記演算された劣化パラメータが前記第2の所定値を超えた第2の状態のときには該劣化パラメータが前記第1の所定値を超えないように前記定格出力より小さい出力を前記蓄電手段の出力制限に設定する出力制限設定手段と、
    前記設定された出力制限を超える電力による前記蓄電手段からの放電の要求である超過出力要求がなされていないときには前記設定された出力制限の範囲内かつ前記検出された動力出力用機器の温度に基づく駆動制限の範囲内で前記動力出力用機器を制御し、前記超過出力要求がなされているときに前記検出された動力出力用機器の温度が所定温度以下のときには前記設定された出力制限を超える所定の超過出力の範囲内かつ前記駆動制限の範囲内で前記動力出力用機器を制御し、前記超過出力要求がなされているときに前記検出された動力出力用機器の温度が所定温度を超えているときには前記設定された出力制限の範囲内かつ前記駆動制限の範囲内で前記動力出力用機器を制御する制御手段と、
    を備える動力出力装置。
  9. 請求項1ないし8のいずれか1つの請求項に記載の動力出力装置を搭載し、車軸が前記駆動軸に連結されてなる車両。
  10. 蓄電手段と共に用いられて駆動軸を駆動する駆動装置であって、
    前記蓄電手段からの電力の供給を受けて前記駆動軸に動力を出力可能な動力出力用機器と、
    前記動力出力用機器の温度を検出する温度検出手段と、
    前記検出された動力出力用機器の温度に基づいて該動力出力用機器の駆動を許容する程度である駆動許容程度を設定する駆動許容程度設定手段と、
    前記蓄電手段に入出力される電流に基づいて、第1の所定値を超えたときに前記蓄電手段の劣化の開始が想定されるパラメータである劣化パラメータを演算する劣化パラメータ演算手段と、
    前記演算された劣化パラメータが前記第1の所定値より小さい第2の所定値以下である第1の状態のときには前記蓄電手段の定格出力を前記蓄電手段の出力制限に設定し、前記演算された劣化パラメータが前記第2の所定値を超えた第2の状態のときには該劣化パラメータが前記第1の所定値を超えないように前記定格出力より小さい出力を前記蓄電手段の出力制限に設定する出力制限設定手段と、
    前記設定された出力制限を超える電力による前記蓄電手段からの放電の要求である超過出力要求がなされていないときには前記設定された出力制限の範囲内かつ前記設定された駆動許容程度の範囲内で前記動力出力用機器を制御し、前記超過出力要求がなされているときに前記設定された駆動許容程度が所定程度以上のときには前記設定された出力制限を超える所定の超過出力の範囲内かつ前記設定された駆動許容程度の範囲内で前記動力出力用機器を制御し、前記超過出力要求がなされているときに前記設定された駆動許容程度が前記所定程度未満のときには前記設定された出力制限の範囲内かつ前記設定された駆動許容程度の範囲内で前記動力出力用機器を制御する制御手段と、
    を備える駆動装置。
  11. 蓄電手段と共に用いられて駆動軸を駆動する駆動装置であって、
    前記蓄電手段からの電力の供給を受けて前記駆動軸に動力を出力可能な動力出力用機器と、
    前記動力出力用機器の温度を検出する温度検出手段と、
    前記蓄電手段に入出力される電流に基づいて、第1の所定値を超えたときに前記蓄電手段の劣化の開始が想定されるパラメータである劣化パラメータを演算する劣化パラメータ演算手段と、
    前記演算された劣化パラメータが前記第1の所定値より小さい第2の所定値以下である第1の状態のときには前記蓄電手段の定格出力を前記蓄電手段の出力制限に設定し、前記演算された劣化パラメータが前記第2の所定値を超えた第2の状態のときには該劣化パラメータが前記第1の所定値を超えないように前記定格出力より小さい出力を前記蓄電手段の出力制限に設定する出力制限設定手段と、
    前記設定された出力制限を超える電力による前記蓄電手段からの放電の要求である超過出力要求がなされていないときには前記設定された出力制限の範囲内かつ前記検出された動力出力用機器の温度に基づく駆動制限の範囲内で前記動力出力用機器を制御し、前記超過出力要求がなされているときに前記検出された動力出力用機器の温度が所定温度以下のときには前記設定された出力制限を超える所定の超過出力の範囲内かつ前記駆動制限の範囲内で前記動力出力用機器を制御し、前記超過出力要求がなされているときに前記検出された動力出力用機器の温度が所定温度を超えているときには前記設定された出力制限の範囲内かつ前記駆動制限の範囲内で前記動力出力用機器を制御する制御手段と、
    を備える駆動装置。
  12. 駆動軸に動力を出力可能な動力出力用機器と、前記動力出力用機器に電力を供給可能な蓄電手段と、を備える動力出力装置の制御方法であって、
    (a)前記動力出力用機器の温度に基づいて該動力出力用機器の駆動を許容する程度である駆動許容程度を設定し、
    (b)前記蓄電手段に入出力される電流に基づいて、第1の所定値を超えたときに前記蓄電手段の劣化の開始が想定されるパラメータである劣化パラメータを演算し、
    (c)前記演算された劣化パラメータが前記第1の所定値より小さい第2の所定値以下である第1の状態のときには前記蓄電手段の定格出力を前記蓄電手段の出力制限に設定し、前記演算された劣化パラメータが前記第2の所定値を超えた第2の状態のときには該劣化パラメータが前記第1の所定値を超えないように前記定格出力より小さい出力を前記蓄電手段の出力制限に設定し、
    (d)前記設定された出力制限を超える電力による前記蓄電手段からの放電の要求である超過出力要求がなされていないときには前記設定された出力制限の範囲内かつ前記設定された駆動許容程度の範囲内で前記動力出力用機器を制御し、前記超過出力要求がなされているときに前記設定された駆動許容程度が所定程度以上のときには前記設定された出力制限を超える所定の超過出力の範囲内かつ前記設定された駆動許容程度の範囲内で前記動力出力用機器を制御し、前記超過出力要求がなされているときに前記設定された駆動許容程度が前記所定程度未満のときには前記設定された出力制限の範囲内かつ前記設定された駆動許容程度の範囲内で前記動力出力用機器を制御する、
    動力出力装置の制御方法。
  13. 駆動軸に動力を出力可能な動力出力用機器と、前記動力出力用機器に電力を供給可能な蓄電手段と、を備える動力出力装置の制御方法であって、
    (a)前記蓄電手段に入出力される電流に基づいて、第1の所定値を超えたときに前記蓄電手段の劣化の開始が想定されるパラメータである劣化パラメータを演算し、
    (b)前記演算された劣化パラメータが前記第1の所定値より小さい第2の所定値以下である第1の状態のときには前記蓄電手段の定格出力を前記蓄電手段の出力制限に設定し、前記演算された劣化パラメータが前記第2の所定値を超えた第2の状態のときには該劣化パラメータが前記第1の所定値を超えないように前記定格出力より小さい出力を前記蓄電手段の出力制限に設定し、
    (c)前記設定された出力制限を超える電力による前記蓄電手段からの放電の要求である超過出力要求がなされていないときには前記設定された出力制限の範囲内かつ前記動力出力用機器の温度に基づく駆動制限の範囲内で前記動力出力用機器を制御し、前記超過出力要求がなされているときに前記動力出力用機器の温度が所定温度以下のときには前記設定された出力制限を超える所定の超過出力の範囲内かつ前記駆動制限の範囲内で前記動力出力用機器を制御し、前記超過出力要求がなされているときに前記動力出力用機器の温度が所定温度を超えているときには前記設定された出力制限の範囲内かつ前記駆動制限の範囲内で前記動力出力用機器を制御する、
    動力出力装置の制御方法。
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