JP2009069363A - クリーニング装置、並びに、これを備える画像形成装置、プロセスカートリッジ及び記録体搬送ユニット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 感光体軸方向に長尺なブレード31を感光体10表面に押しつけて付着物を除去するクリーニング装置で、ブレード31の上流側面31aの方が下流側面31bよりも、当接辺に対して直交する方向の長さが長く、ブレードの反りを規制するブレードホルダ32の水平部32Aを、ブレード上流側面の対向面に固着し、感光体表面上における当接辺が当接する当接部分Pの法線Nよりも感光体表面移動方向下流側で枠体33に支持されたブレードホルダ32の鉛直部32Bにより、その水平部を介してブレード31を保持する構成で、ブレード31がエッジ層31fとベース層31gとからなる二層構造を有する。
【選択図】 図1
Description
ブレード方式のクリーニング装置としては、従来から、トレーリング方式とカウンタ方式の2つの方式が知られている。以下、電子写真方式の画像形成装置における感光体用のクリーニング装置を例に挙げて、各方式のクリーニング装置について説明する。
このクリーニング装置では、ドラム状の感光体(表面移動部材)10の表面移動方向Aに対して直交する感光体回転軸方向に沿って長尺な弾性部材からなるクリーニングブレード231が、その長尺方向に延びる一辺(以下「当接辺」という。)を感光体10の表面に押しつけられた構成となっている。トレーリング方式では、クリーニングブレード231の当接辺が当接する感光体表面上の当接部分Pの法線Nよりも、感光体表面移動方向上流側で装置本体に支持されたブレードホルダ(保持部材)232により、クリーニングブレード231が保持される。本明細書において「トレーリング方式」とは、弾性部材を保持する保持部材の装置本体に対する支持部が、弾性部材の当接辺が当接する表面移動部材の表面上の当接部分の法線よりも、表面移動部材表面移動方向上流側に位置するものをいうものとする。
このクリーニング装置も、感光体の表面移動方向Aに対して直交する感光体回転軸方向に長尺な弾性部材からなるクリーニングブレード231が、その長尺方向に延びる当接辺を感光体10の表面に押しつけられた構成になっている。カウンタ方式では、クリーニングブレード231の当接辺が当接する感光体表面上の当接部分Pの法線Nよりも、感光体表面移動方向下流側で装置本体に支持されたブレードホルダ232により、クリーニングブレード231が保持される。本明細書において「カウンタ方式」とは、弾性部材を保持する保持部材の装置本体に対する支持部が、弾性部材の当接辺が当接する表面移動部材の表面上の当接部分の法線よりも、表面移動部材表面移動方向下流側に位置するものをいうものとする。
詳しく説明すると、トレーリング方式の場合、当接圧を高めるべくクリーニングブレード231を大きな力で押しつけると、クリーニングブレード231が反ってしまって、クリーニングブレード231の当接辺に対して感光体表面移動方向上流側に位置するクリーニングブレードの上流側面231aが感光体表面に当たってしまう腹当たり現象が生じてしまう。腹当たり現象が生じると、クリーニングブレード231と感光体表面との当接面積が急激に増大するため、クリーニングブレード231を大きな力で押しつけても逆に当接圧は小さくなり、除去性能が低下することになる。これに対し、カウンタ方式の場合、当接圧を高めるべくクリーニングブレード231を大きな力で押しつけても、摩擦力がクリーニングブレードの反りに抗して働くので、クリーニングブレード231の反りが少ない。そのため、クリーニングブレード231を大きな力で押しつけても腹当たり現象が生じにくく、小さい当接面積に対して大きな押しつけ力を付与することができる。よって、高い当接圧を実現でき、高い除去性能が得られる。
このクリーニング装置によれば、バックアップ部材によってクリーニングブレードの反りを抑制することにより、トレーリング方式でも高い当接圧を実現しようとしたものである。
単層構造のクリーニングブレードが低硬度のゴム材料からなる場合、感光体と当接するブレードのエッジ先端が回転する感光体に巻き込まれてブレード全体が大きく変形してしまうことがある。このような変形が生じると感光体とブレードとが当接する面積が大きくなり、当接圧が低下してクリーニング不良の原因となる。一方、単層構造のクリーニングブレードが高硬度のゴム材料からなる場合、感光体に当接させた状態の形状に近づくように、経時で永久変形してしまうことがある。永久変形してしまうと、感光体に対する食い込み量が低下し状態となり、当接圧が低下してクリーニング不良の原因となる。
これに対して、特許文献2、3および4では、クリーニングブレードとして、互いに特性が異なる2層以上の多層構造を有するブレードを用いるクリーニング装置が記載されている。このように、特性の異なる多層構造を有するブレードを用いることによって、単層構造のクリーニングブレードにおける不具合を抑制し、クリーニング性の向上を図っている。
しかし、従来のカウンタ方式のクリーニング装置においては、高い除去性能を得ようとして当接圧を高めるべくクリーニングブレードを大きな力で押しつけ過ぎると、クリーニング対象である感光体(表面移動部材)やクリーニングブレード自体が摩耗しすぎて感光体やクリーニングブレードの寿命が短くなるという問題があった。
また、上記特許文献1に記載のクリーニング装置において、バックアップ部材とクリーニングブレードとの間は、少なくともクリーニングブレードの先端領域では固着されていない。そのため、感光体の回転駆動中にクリーニングブレードと感光体表面との間の摩擦力が何らかの要因で変化したときにクリーニングブレードのバタツキが発生するおそれがある。なお、このクリーニング装置においては、トレーリング方式ではあるが、バックアップ部材を設けた結果、バタツキが発生しにくいという上述したトレーリング方式の長所が打ち消されている。
また、請求項2の発明は、請求項1のクリーニング装置において、上記弾性部材は、上記上流側面から該上流側面の対向面に向かう方向に積層されていることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2のクリーニング装置において、上記弾性部材は二層構造からなり、二層のうち上記表面移動部材に接触する上記一辺を含む層をエッジ層とし、他方の層をベース層としたときに、該エッジ層のJISA硬度の値が該ベース層のJISA硬度の値よりも大きいことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1、2または3のクリーニング装置において、上記弾性部材は二層構造からなり、二層のうち上記表面移動部材に接触する上記一辺を含む層をエッジ層とし、他方の層をベース層としたときに、該エッジ層の反発弾性係数の値が該ベース層の反発弾性係数の値よりも小さいことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1、2、3または4のクリーニング装置において、上記弾性部材は、上記一辺を境に隣接する2つの面のうち、上記表面移動部材の表面移動方向上流側に位置する上流側面の方が、該表面移動部材の表面移動方向下流側に位置する下流側面よりも、該一辺に対して直交する方向の長さが長いものであることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項5のクリーニング装置において、上記弾性部材は、上記上流側面における少なくとも上記下流側面との隣接部分に対応した裏面部分と、該下流側面における少なくとも該上流側面との隣接部分に対応した裏面部分とのなす角度が鈍角であることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項6のクリーニング装置において、上記上流側面は、上記下流側面との隣接部分である第一上流側面と、該第一上流側面から、上記力の方向及び上記長尺方向の両方に対して直交する方向と略平行な方向に延在する第二上流側面とを備えていることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項6又は7のクリーニング装置において、上記鈍角は、95[°]以上140[°]以下の範囲内であることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7または8のクリーニング装置において、上記反り規制部材は、上記表面移動部材の表面に近接する側の端部が、上記弾性部材の上記対向面における上記下流側面との境界辺と同じ位置か、該境界辺よりも上記表面移動部材の表面に近い位置まで延びるように、構成されていることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9のクリーニング装置において、上記反り規制部材は、上記弾性部材の上記対向面全面に対して取り付けられていることを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10のクリーニング装置において、上記反り規制部材と上記弾性部材の上記対向面とが互いに重なり合う領域のうち、少なくとも上記表面移動部材の表面に近接する側の端部領域については固着処理を施すことを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはのクリーニング装置において、上記弾性部材により加えられる上記表面移動部材の表面上における上記当接部分の法線方向の押しつけ力を高める付勢手段を有することを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項12のクリーニング装置において、上記弾性部材を上記表面移動部材に押しつけていない状態で、該弾性部材の上記下流側面における該表面移動部材の表面移動方向上流側部分と、該表面移動部材の表面における上記当接部分の接線の表面移動方向下流側部分とのなす角が、5[°]以上50[°]以下となる姿勢で、該弾性部材を該表面移動部材に押しつける構成となっていることを特徴とするものである。
また、請求項14の発明は、表面移動部材である像担持体上に形成した画像を最終的に記録材に転移させる画像形成装置において、上記像担持体上に付着した不要な付着物を除去するためのクリーニング手段として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13のクリーニング装置を用いることを特徴とするものである。
また、請求項15の発明は、請求項14の画像形成装置において、上記像担持体と上記クリーニング装置とを一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在に設けられるプロセスカートリッジを有することを特徴とするものである。
また、請求項16の発明は、表面移動部材である記録材搬送部材の表面に担持された記録材上に画像を形成する画像形成装置において、上記記録材搬送部材上に付着した不要な付着物を除去するためのクリーニング手段として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13のクリーニング装置を用いることを特徴とするものである。
また、請求項17の発明は、請求項13の画像形成装置において、上記記録材搬送部材と上記クリーニング装置とを一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在に設けられる記録体搬送ユニットを有することを特徴とするものである。
また、請求項18の発明は、請求項14、15、16または17の画像形成装置において、上記画像を構成するトナーとして、体積平均粒径が3[μm]以上7[μm]以下であること、平均円形度が0.940以上0.998以下であること、形状係数SF−1及びSF−2がそれぞれ100以上160以下であることのいずれか1つを満たすトナーを用いることを特徴とするものである。
また、請求項19の発明は、請求項14、15、16または17の画像形成装置において、上記画像を構成するトナーとして、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤及び離型材を含むトナー組成物を有機溶媒に溶解及び/又は分散させて有機溶媒組成物を作成し、樹脂微粒子が存在する水系媒体に該有機溶媒組成物を分散させ、架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーを用いることを特徴とするものである。
また、請求項20の発明は、表面移動部材である像担持体上に形成した画像を最終的に記録材に転移させる画像形成装置の本体に着脱自在に構成され、該像担持体と該像担持体上に付着した不要な付着物を除去するためのクリーニング手段とを一体に支持したプロセスカートリッジにおいて、上記クリーニング手段として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13のクリーニング装置を用いることを特徴とするものである。
また、請求項21の発明は、表面移動部材である記録材搬送部材の表面に担持された記録材上に画像を形成する画像形成装置の本体に着脱自在に構成され、該記録材搬送部材と該記録材搬送部材上に付着した不要な付着物を除去するためのクリーニング手段とを一体に支持した記録体搬送ユニットにおいて、上記クリーニング手段として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13のクリーニング装置を用いることを特徴とするものである。
しかも、本発明においては、弾性部材の当接辺に対して直交する方向にその上流側面が伸びて該上流側面の対向面が縮むような弾性部材の反りを反り規制部材により規制している。これにより、弾性部材の反りが規制されていないものに比べて、弾性部材と表面移動部材の表面との間における表面移動部材表面移動方向の当接部長さ(以下「当接幅」という。)を短くすることができる。すなわち、弾性部材の反りが規制されていない従来のカウンタ方式や従来のトレーリング方式においては、弾性部材の当接辺を表面移動部材の表面に押しつけることで、弾性部材の反りと弾性部材自体の変形とが生じる。当接幅は、弾性部材の反りが大きいほど長くなり、また、弾性部材自体の変形が大きいほど長くなる。本発明においては、反り規制部材により弾性部材の反りが規制されていることから、当接幅は主として弾性部材自体の変形によって決まる。したがって、本発明においては、弾性部材の反りが規制されていない従来のカウンタ方式や従来のトレーリング方式に比べて、当接幅を短くすることができる。そして、同じ当接圧であっても当接幅が短いほど表面移動部材や弾性部材の摩耗が少なくなるので、本発明によれば、弾性部材の反りが規制されていない従来のカウンタ方式や従来のトレーリング方式に比べて、表面移動部材や弾性部材の摩耗を抑制できる。
なお、本発明において、反り規制部材を弾性部材に固着した場合、表面移動部材の表面移動中に弾性部材と表面移動部材の表面との間の摩擦力が何らかの要因で変化したときでも、上記特許文献1に記載のクリーニング装置と比較して弾性部材にバタツキが生じにくい。すなわち、上記特許文献1に記載のクリーニング装置において、バックアップ部材とクリーニングブレードとの間は、少なくともクリーニングブレードの先端領域では固着されていることに関しては開示されていない。そのため、感光体の回転駆動中にクリーニングブレードと感光体表面との間の摩擦力が何らかの要因で変化したときにクリーニングブレードのバタツキが発生するおそれがある。本発明において、反り規制部材を弾性部材に固着した場合には、上記特許文献1に記載のクリーニング装置と比較して弾性部材にバタツキが生じにくい。さらに、弾性部材が二層以上の多層構造を有することにより、単層構造の弾性部材よりもクリーニング性を向上することができる。
図2は、本実施形態におけるプリンタを示す概略構成図である。
プリンタ100は、フルカラー画像を形成するものであって、画像形成部120及び給紙部130とから主として構成されている。なお、以下の説明において、添え字Y,C,M,Bkは、それぞれ、イエロー用、シアン用、マゼンタ用、ブラック用の部材であることを示すものである。
なお、中間転写ベルト162における二次転写ローラ165よりも表面移動方向下流側であってプロセスカートリッジ121Yの上流側には、二次転写後の残留トナー等の付着物を除去するためのクリーニング装置を設けてもよい。この場合、このクリーニング装置についても後述する感光体用のクリーニング装置と同様の構成を採用してもよい。このクリーニング装置は、中間転写ベルト162と一体に支持された状態で二次転写装置160に設けるとよい。
また、プロセスカートリッジ121Y,121C,121M,121Bkの下方には、帯電された感光体10Y,10C,10M,10Bkの表面にレーザ光を照射して静電潜像を形成する露光装置140が配置されている。
また、露光装置140の下方には、給紙部130が配置されている。給紙部130には、記録材としての転写紙を収容する給紙カセット131及び給紙ローラ132が設けられており、レジストローラ対133を経て中間転写ベルト162と二次転写ローラ165との間の二次転写ニップ部に向けて所定のタイミングで転写紙を給送する。
また、二次転写ニップ部の出口側には、定着装置90が配置されており、この定着装置90の転写紙搬送方向下流側には、排紙ローラ及び排紙された転写紙を収納する排紙収納部135が配置されている。
なお、各プロセスカートリッジの構成はほぼ同様であるので、以下の説明では色分け用の添え字Y、C、M、Bkを省略して、プロセスカートリッジの構成及び動作について説明する。
プロセスカートリッジ121は、感光体10と、感光体10の周りに配置されたクリーニング装置30、帯電装置40及び現像装置50とを備えている。
現像装置50は、感光体10の表面にトナーを供給して静電潜像を可視像化するものであり、現像剤を表面に担持する現像剤担持体としての現像ローラ51と、現像剤収容部に収容された現像剤を攪拌する攪拌スクリュー52と、攪拌された現像剤を現像ローラ51に供給する供給スクリュー53とから主として構成されている。
プリント命令を受け付けたら、まず、感光体10を図中矢印Aの方向に回転させ、帯電装置40の帯電ローラ41によって感光体10の表面を所定の極性に一様帯電させる。帯電後の感光体10に対し、露光装置140は、入力されたカラー画像データに対応して光変調された例えばレーザビーム光を色ごとに照射し、これによって各感光体10の表面にそれぞれ各色の静電潜像を形成する。各静電潜像に対し、現像装置50の現像ローラ51から各色の現像剤を供給し、各色の静電潜像を各色の現像剤で現像し、各色に対応したトナー像を形成して可視像化する。次いで、一次転写ローラ161にトナー像と逆極性の転写電圧を印加することにより転写電界を形成し、一次転写ローラ161で中間転写ベルト162を弱圧接することで一次転写ニップを形成する。これらの作用により、各感光体10上のトナー像は中間転写ベルト162上に効率よく一次転写される。中間転写ベルト162上には、各感光体10で形成された各色のトナー像が互いに重なり合うように転写され、積層トナー像が形成される。
図1は、クリーニング装置30の主要部を感光体10の回転軸方向(Y方向)から見たときの説明図である。
図4は、クリーニング装置30の主要部を示す斜視図である。
図5は、ブレード31の押しつけ力の測定装置を示す説明図である。この測定装置200は、実際には、市販のセンサ用コンディショナ「WGA−710B(共和電業製)」及び組み合わせられるロードセル「LMA−A−20N(共和電業製)」である。この測定装置200は、ロードセル201を3つ備えており、各ロードセル201は、半円筒形状のセル台202の上に、ブレード31の長尺方向中心点と、その中心点から長尺方向両端に向けて140[mm]離れた2地点の合計3箇所でそれぞれ固定されている。また、ロードセル201には、感光体10と同じ曲率半径の曲面を有する治具203が載せられる。この治具203は、ブレード31の長尺方向に沿って3つ並べて配置され、各治具203の底面中心に各ロードセル201にそれぞれセットされる。
ブレード31は、治具203との位置関係が感光体10との位置関係と同じ関係となるように、測定装置200にセットされる。
なお、測定に際しては、事前に、規定の重りを各治具203の上に載せ、センサ用コンディショナ204に表示されるそれぞれの値が同じ値になるように設定したり、センサ用コンディショナ204に表示される値が治具203による荷重をキャンセルした値となるように設定したりする必要があることは言うまでもない。
また、本実施形態のクリーニング装置30によれば、従来のカウンタ方式のクリーニング装置よりも、当接圧を高めるのが容易である。したがって、従来のカウンタ方式のクリーニング装置であっても除去が困難だった小粒径で球形をなしたトナーに対しても、十分な除去性能を発揮し得る。
また、本実施形態のブレード31は、ポリウレタンゴムを素材とし、二層構造となっている。すなわち、図1及び図4に示すようにブレード31は上流側面31aを含むエッジ層31fと、ベース層31gとの二層から構成される。弾性部材であるブレード31が二層以上の多層構造を有することにより、単層構造の弾性部材よりもクリーニング性を向上することができる。
従来、クリーニングブレードは金属製の支持板と支持板に保持されたゴム材料から構成されることが一般的である。このような単層の場合、例えばJISA硬度が70[度]を越えるような高硬度材料を用いた場合には、永久変形が大きく、初期に比べて経時でのヘタリによって当接圧が低下してしまい、クリーニング不良が発生する場合がある。特許文献2に記載のクリーニングブレードであれば、この永久変形のような課題に対しては、高硬度単層の場合に比べて永久変形によるクリーニング性能の低下は改善されると考えられる。
しかし、特許文献2に記載のクリーニングブレードでは、感光体表面に対して法線方向にエッジ層、ベース層の順番に積層されている。その為、ベース層はブレード全体の中変形から大変形の領域に対して効果があるものの、ブレードと感光体が当接する先端稜線部の動きについては、エッジ層の材料が支配的になる。また、自由長があるために高い線圧を付加した場合には、支持板に支持されている部分と感光体表面に当接する部分との間でブレードが変形し易い構成となっている。また、ベース層のJISA硬度が65〜70[度]であるために、球形トナーをクリーニングするために高い線圧を付加した場合には支持板とゴム板との間でブレードが変形する結果、感光体とブレードの当接幅が大きくなり、球形トナーをクリーニングするために必要な面圧を付加することが出来ない。
しかし、特許文献3に記載のクリーニングブレードでは、実質的にブレードの自由長をなくし、加圧時にゴム部材と支持板の間で発生するゴム部材の反りをなくしているに過ぎない。板部材を含めた場合には、二層構造を有しているが、実質的には、ゴム層が一層で、自由長がないブレードである。
また、多層構造であるクリーニングブレードは、特許文献2に記載のクリーニングブレードと同様に感光体表面に対して法線方向に積層されている。
具体的には、感光体10の表面移動方向上流側から順にエッジ層31f、ベース層31gと積層され、ベース層31gに対して感光体10の表面移動方向下流側に反り規制部材であるブレードホルダ32の水平部32Aが配置されている。
すなわち、弾性ゴムからなるブレード31のゴムの積層方向が、弾性体の圧縮方向である点が異なる。すなわち、ブレード先端稜線部が感光体10との摩擦力で変形する方向に向かって積層構造をもっている。つまり感光体10の表面移動方向の上流から順にエッジ層、ベース層、反り規制部材(支持部材)の順に構成されるため、従来の多層構造のクリーニングブレードと比較して積層方向が異なる。
また、エッジ層31fの反発弾性係数をEr、ベース層31gの反発弾性係数をBrとしたとき、ErとBrとの大小関係は、Er<Brとしている。
(但し、反発弾性係数は温度によって変化するが、常にEr<Brを満たすものとする。)
しかしながら、高硬度で低反発弾性材料の問題点として、復元性が低いために永久変形が発生したり、低温環境下ではゴム弾性が低下したりする結果、感光体に対して追従できなくなり、クリーニング不良が発生するなどの課題が生じる場合がある。
特に、従来から使用されてきた図9に示すような自由長を有するブレードのように、ゴムブレードを撓ませて使用するクリーニングブレードでは、上述のような高硬度、低反発弾性材料を用いた場合にはブレード全体が反った状態でひずんでしまい、ブレード先端部と感光体の当接状態を維持できないという課題が顕著に発生する。
また、単層で高硬度材料からなるブレードでは、突発的に感光体との間の摩擦力が増大してブレードに過剰な応力が働いた場合や、異物などが当接部に介在した場合には、ブレード稜線に欠けが発生したり、感光体表面に傷が発生したりするなどの課題がある。
クリーニング装置30では、反り規制部材によって保持されているブレード31が、図1及び図4に示す様に、感光体10の表面移動方向に沿って、エッジ層31f、ベース層31gの順番に積層されている。
一方、クリーニング装置30では、エッジ層31fに比べて低硬度で、反発弾性係数が高い材料をベース層31gとして設けている。その為、摩擦力によって引っ張られた復元性の弱いエッジ層31fを、復元性の高いベース層31gが感光体移動方向の下流側から押し返す効果がある。
また、突発的な摩擦力の増加によって先端稜線部に過剰な応力が働いた場合にも、低硬度のベース層31gによってエッジ層31fに働く過剰な応力を緩和することが出来る。
特許文献2、3及び4等に見られるように感光体表面の法線方向に積層構造を有する場合には、クリーニング装置30のように感光体移動方向下流側から、エッジ層31fの先端稜線部を押し返すという効果は得られない。クリーニング装置30のようにゴム材料の圧縮方向に積層することによる特有の効果である。
このように、ブレード31が感光体移動方向に対して、反発弾性や硬度等の材料物性の異なるエッジ層31fとベース層31gとからなる積層構造を有するため、小粒径で円形度の高いトナーに対しても経時に渡ってクリーニング性を維持することが出来る。
このように、従来のクリーニング装置では、クリーニングブレードのカット面が感光体上流側に位置するため、クリーニング動作時にはカット面が引き伸ばされる方向に力が働く。
カット面はエア面に比べて切断時の傷が多いため、カット面が引き伸ばされるような従来のクリーニング装置では、クリーニングブレード磨耗、欠けが発生しやすい。
一方、クリーニング装置30のブレード31では、カット面のように傷がなく、鏡面状態であるエア面(または金型面)を感光体上流側に配置しているので、クリーニング時にはエア面(または金型面)が引き伸ばされる。このため、カット面が引き伸ばされる従来のクリーニングブレードに比べて、ブレード磨耗、欠けの発生が起こりにくいという効果も併せ持つ。
また、ベース層31gの硬度はJISA硬度で60〜70[度]とし、反発弾性係数は23[℃]で40[%]以上とすればよい。
更には、エッジ層31fの硬度をJISA硬度で75〜80[度]、反発弾性係数を10〜30[%](23[℃])とし、ベース層31gの硬度をJISA硬度で65〜70[度]、反発弾性係数を50[%]以上(23[℃])とすることが望ましい。
すなわち、環境変動に対するロバスト性が向上する。詳しくは、ブレードの自由長部分が長い場合のようにブレードの反りが発生する構成においては、温湿度によってブレード31の反りによる力が変化する。例えば、高温高湿環境下でブレードを反ったまま放置すると塑性変形してしまい、ヘタリという現象が起こる。こうなると、感光体10の表面に対するブレードの当接圧が低下して、クリーニング性が低下し、クリーニング不良が発生するおそれがある。したがって、ブレード31の反りは実質的には発生しない本実施形態では、環境変動に対するロバスト性が向上する。
また、ブレードの反りが発生するということは、ブレードが反るだけの自由度をもっていることである。ブレードの自由度が大きいと、カウンタ方式の場合、ブレードと感光体との摩擦力が高まったときにブレードめくれという深刻な不具合を発生しやすい。ブレード31の反りは実質的には発生しない本実施形態によれば、ブレードめくれが防止される。
また、水平部32Aの上記端部は、必ずしもブレード31の上記境界辺まで延びている必要はなく、ブレード31の反りを実質的に規制できれば、上記境界辺には届かない位置までしか延びていなくてもよい。すなわち、ブレード31の反りを実質的に規制できれば、上記境界辺よりも水平部32Aの上記端部の方が感光体表面から離れた構成としてもよい。この場合、水平部32Aの上記端部を上記境界辺よりも感光体表面からどの程度まで離すことが許容されるかは、ブレード31の硬度や、ブレード31と感光体10の表面との間の摩擦係数などによって決まってくる。その許容範囲は、例えば、線圧が0.790[N/cm]となるようにブレード31を感光体10の表面に押しつけたときの当接部における感光体表面移動方向長さ(当接幅)が、50[μm]以下となる範囲を判断の目安とすることができる。なお、水平部32Aの上記端部と上記境界辺との距離は、ブレード31の下流側面31bの長さT2の1/4程度までは許容されるものと推測される。更に確認すれば、T2の1/2〜同程度までは許容される可能性がある。
次に、上記クリーニング装置の変形例について説明する。
図6は、本変形例におけるクリーニング装置の主要部を感光体回転軸方向から見たときの説明図である。
本変形例のクリーニング装置は、ブレード31の上流側面が、下流側面31bとの隣接部分である第一上流側面31cと、この第一上流側面31cから、感光体10の表面移動時に当接辺が感光体表面から受ける力の方向(ブレードホルダ32の鉛直部32Bが延びる方向とほぼ同じ方向)及びブレード31の長尺方向の両方に対して直交する方向(ブレードホルダ32の水平部32Aが延びる方向とほぼ同じ方向)と略平行な方向に延在する第二上流側面31dと、から構成されている。そして、ブレード31の上流側面における少なくとも下流側面31bとの隣接部分である第一上流側面31cに対応した裏面部分と、下流側面31bにおける少なくとも上流側面との隣接部分に対応した裏面部分とのなす角度(以下「ブレード先端角度」という。)が鈍角となるように、ブレード31が形成されている。なお、本変形例のクリーニング装置は、この構成を除いては、上記実施形態のクリーニング装置と同様の構成である。
一般に、ブレード31の上流側面における少なくとも下流側面31bとの隣接部分に対応した裏面部分と、下流側面31bにおける少なくとも上流側面との隣接部分に対応した裏面部分とのなす角度(ブレード先端角度)は、上記実施形態のように90[°]である。しかし、本変形例のように、ブレード先端角度を90[°]よりも大きな角度すなわち鈍角にすることにより、ブレード31の磨耗量を大幅に低減できることが、本発明者らの研究によって明らかとなった。なお、ブレード31の磨耗量を大幅に低減できる理由は次のように考えられる。すなわち、ブレード31は感光体10の表面との間に働く摩擦力の作用を受けて変形するが、ブレード先端角度が90[°]である場合よりも鈍角である場合の方がその変形量が小さい。よって、ブレード先端角度が90[°]である場合よりも鈍角である場合の方が、ブレード31と感光体10の表面との当接幅が小さくなり、ブレード31の磨耗量が低減される。また、当接幅が小さくなると、上述したように、ブレード31を感光体10の表面に対して押し付ける押し付け力が同じ場合、当接圧が高まる。逆に言えば、同じ当接圧を得る場合には、当該押し付け力を弱めることができる。よって、より低い押し付け力でトナーの除去が可能となる。
本実施形態のクリーニング装置30によれば、高い除去性能を実現し得ることから、平均円形度が0.940以上、更に0.960以上0.998以下のトナーを除去する用途にも実用化できる。更には平均円形度が0.96以上0.998以下のトナーを除去することが本発明の効果を十分に発揮できる。
しかし、トナーの平均円形度が0.93未満では、忠実な現像、転写率の高い転写ができなくなる。これは、トナーが不定形では、トナー表面の帯電が不均一であり、また、重心と帯電の中心がずれるために電界に対して忠実な移動が困難になるためである。
まず、電解水溶液100〜150[mL]中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を、0.1〜5[mL]加える。ここで、電解液とは、1級塩化ナトリウムを用いて、約1%NaCl水溶液を調製したもので、ISOTON R−II型(コールターサイエンティフィックジャパン社製)を使用した。これに更に測定試料を2〜20[mg]加え、電解液中に懸濁させて、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行った。上記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、上記試料中のトナー粒子の体積及び個数をチャンネルごとに測定して、トナーの体積分布と個数分布とを算出する。
図8(a)及び(b)は、トナーの形状を模式的に表した図であり、同図(a)は形状係数SF−1を説明するための説明図であり、同図(b)は形状係数SF−2を説明するための説明図である。
形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記式(1)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
SF−1={(MXLNG)2/AREA}×(100π/4)・・・(1)
また、形状係数SF−2は、トナー形状での凹凸の割合を示すものであり、下記式(2)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。SF−2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
SF−2={(PERI)2/AREA}×(100π/4)・・・(2)
形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析して計算した。
ポリエステルは、多価アルコール化合物と多価カルボン酸化合物との重縮合反応によって得られる。
多価アルコール化合物(PO)としては、2価アルコール(DIO)および3価以上の多価アルコール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、または(DIO)と少量の(TO)との混合物が好ましい。
2価アルコール(DIO)として好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。
3価以上の多価アルコール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
多価カルボン酸(PC)としては、2価カルボン酸(DIC)および3価以上の多価カルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独、および(DIC)と少量の(TC)との混合物が好ましい。2価カルボン酸(DIC)としては、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上の多価カルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族多価カルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の重縮合反応は、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280[℃]に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。
多価イソシアネート化合物(PIC)としては、脂肪族多価イソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、イソシアネート類及び上記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
多価イソシアネート化合物(PIC)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有されるイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。
2価アミン化合物(B1)としては、芳香族ジアミン、脂環式ジアミン及び脂肪族ジアミンなどが挙げられる。
3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。
アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。
アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。
これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
着色剤としては、公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、ナフトールイエローS、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄鉛、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、リソールファストスカーレットG、ベンジジンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ファストスカイブルー、インジゴ、群青、紺青、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、クロムグリーン、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、フタロシアニングリーン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15[wt%]、好ましくは3〜10[wt%]である。
荷電制御剤としては公知のものが使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。このうち、特にトナーを負極性に制御する物質が好ましく使用される。
離型剤としては、融点が50〜120[℃]の低融点のワックスが、バインダー樹脂との分散の中でより離型剤として効果的に働く。このようなワックス成分としては、ロウ類及びワックス類として、カルナバワックス、綿ロウ等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス、及びパラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス等が挙げられる。
また、これら天然ワックスの外に、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス、エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス等が挙げられる。
トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤として、無機微粒子が好ましく用いられる。この無機微粒子の一次粒子径は、5×10-3〜2[μm]であることが好ましく、特に5×10-3〜0.5[μm]であることが好ましい。
また、BET法による比表面積は、20〜500[m2/g]であることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5[wt%]であることが好ましく、特に0.01〜2.0[wt%]であることが好ましい。
無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。中でも、流動性付与剤としては、疎水性シリカ微粒子と疎水性酸化チタン微粒子を併用するのが好ましい。
次に、トナーの製造方法について詳細する。ここでは、好ましい方法について示すが、これに限られることではない。
着色剤、未変性ポリエステル、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー、離型剤を有機溶媒中に分散させトナー材料液を作る。有機溶媒は、沸点が100[℃]未満の揮発性であることが、トナー母体粒子形成後の除去が容易である点から好ましい。具体的には、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素などを単独あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。有機溶媒の使用量は、ポリエステルプレポリマー100重量部に対し、通常0〜300重量部、好ましくは0〜100重量部、さらに好ましくは25〜70重量部である。
トナー材料液を界面活性剤、樹脂微粒子の存在下、水系媒体中で乳化させる。水系媒体は、水単独でも良いし、メタノールなどのアルコール、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類、低級ケトン類などの有機溶媒を含むものであってもよい。トナー材料液100重量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー材料液の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000重量部を超えると経済的でない。
また、水系媒体中の分散を良好にするために、界面活性剤、樹脂微粒子等の分散剤を適宜加える。界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩などのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体や、アルキルトリメチルアンモニム塩などの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤等が挙げられる。また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。
樹脂微粒子は、既述の物質を用いることができる。また、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等の無機化合物分散剤も用いることができる。樹脂微粒子、無機化合物分散剤と併用して使用可能な分散剤として、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸−β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−β−ヒドロキシエチル、アクリル酸−β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−γ−ヒドロキシプロピルなどが使用できる。
上記洗浄、脱溶剤の工程前後いずれかにおいて、乳化分散液を一定温度で一定時間放置し、生成したトナー粒子を熟成させる工程を設けることができる。これにより、所望の粒径を有するトナー粒子を作製できる。熟成工程の温度は25〜50[℃]が好ましく、時間は10分間〜23時間が好ましい。
帯電制御剤の打ち込み、及び無機微粒子の外添は、ミキサー等を用いた公知の方法によって行われる。
これにより、小粒径であって、粒径分布のシャープなトナーを容易に得ることができる。
二成分現像剤としての磁性キャリアとしては、粒子径20〜200[μm]程度の鉄粉、フェライト粉、マグネタイト粉、磁性樹脂キャリアなど従来から公知のものが使用できる。また、被覆材料としては、アミノ系樹脂、例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。またポリビニル及びポリビニリデン系樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂及びシリコーン樹脂等が使用できる。また必要に応じて、導電粉等を被覆樹脂中に含有させてもよい。導電粉としては、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛等が使用できる。
これらの導電粉は、平均粒子径1[μm]以下のものが好ましい。平均粒子径が1[μm]よりも大きくなると、電気抵抗の制御が困難になる。
なお、各実施例のトナーは以下のごとく作製されるが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、「部」は重量部を示す。
(樹脂微粒子エマルションの合成)
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30、三洋化成工業製)11部、スチレン83部、メタクリル酸83部、アクリル酸ブチル110部、過硫酸アンモニウム1部を仕込み、3800回転/分で30分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75[℃]まで昇温し、4時間反応させた。さらに、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75[℃]で6時間熟成してビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液微粒子分散液1を得た。微粒子分散液1をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(LA−920:堀場製作所製)で測定した体積平均粒径は、110[nm]であった。微粒子分散液1の一部を乾燥して樹脂分を単離した。樹脂微粒子の形状は球形状であった。該樹脂分のTgは58[℃]であり、重量平均分子量は13万であった。
水990部、[微粒子分散液1]83部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.3%水溶液(エレミノールMON−7:三洋化成工業製)37部、酢酸エチル90部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを水相1とする。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物724部、テレフタル酸276部を入れ、常圧下230[℃]で7時間重縮合し、さらに10〜15[mmHg]の減圧下で5時間反応して低分子ポリエステル1を得た。低分子ポリエステル1は、数平均分子量2300、重量平均分子量6700、ピーク分子量3800、Tg43[℃]、酸価4であった。
冷却管、撹拌機および窒索導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリット酸22部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧下230[℃]で7時間反応し、さらに10〜15[mmHg]の減圧で5時間反応した中間体ポリエステル1を得た。中間体ポリエステル1は、数平均分子量2200、重量平均分子量9700、ピーク分子量3000、Tg54[℃]、酸価0.5、水酸基価52であった。次に、冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、中間体ポリエステル1を410部、イソホロンジイソシアネート89部、酢酸エチル500部を入れ100[℃]で5時間反応し、プレポリマー1を得た。プレポリマー1の遊離イソシアネート重量%は、1.53[%]であった。
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、イソホロンジアミン170部とメチルエチルケトン75部を仕込み、50[℃]で4時間半反応を行い、ケチミン化合物1を得た。ケチミン化合物1のアミン価は417であった。
水1200部、カーボンブラック(Printex35:デクサ製)540部(DBP吸油量=42[ml]/100[mg]、pH=9.5)、ポリエステル樹脂1200部を加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で混合し、混合物を2本ロールを用いて130[℃]で1時間混練後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕、マスターバッチ1を得た。
撹拌棒および温度計をセットした容器に、低分子ポリエステル1を378部、カルナバワックス100部、酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下80[℃]に昇温し、80[℃]のまま5時間保持した後、1時間で30[℃]に冷却した。
顔料・ワックス分散液1を749部、プレポリマー1を115部、ケチミン化合物1を2.9部、容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化製)で5000[rpm]で2分間混合した後、容器に水相1を1200部加え、TKホモミキサーで、回転数13000[rpm]で25分間混合し、乳化スラリー1を得た。
撹拌機および温度計をセットした容器に、乳化スラリー1を投入し、30[℃]で7時間脱溶剤した後、45[℃]で7時間熟成を行い、分散スラリー1を得た。
100部の分散スラリー1を減圧濾過した後、
イ) 濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12000[rpm]で10分間)した後濾過した。
ロ) イ)の濾過ケーキに1%塩酸をpH3.5〜4.5になるように制御して加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000[rpm]で15分間)した後、濾過した。
ハ) ロ)の濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12000[rpm]で10分間)した後濾過する操作を2回行い、濾過ケーキ1を得た。
ニ) 濾過ケーキ1を循風乾燥機にて40[℃]で40時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、トナー母体粒子1を得た。その後、トナー母体粒子1100部に疎水性シリカ1.5部と疎水化酸化チタン0.5部を加え、ヘンシェルミキサーにて混合後、目開き35μmメッシュで篩い、トナー1を得た。得られたトナー1の物性は下記の表1に示す。
トナー2において、以下の条件に変更した以外はトナー1と同様にしてトナー2を得た。
得られたトナー2の物性を上記表1に示す。
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30:三洋化成工業製)11部、スチレン83部、メタクリル酸83部、アクリル酸ブチル110部、過硫酸アンモニウム1部を仕込み、3800回転/分で30分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱することで系内温度75[℃]まで昇温し、1時間反応させた。さらに、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75[℃]で6時間熟成してビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液である微粒子分散液2を得た。微粒子分散液2を粒度分布測定装置(LA−920:シスメックス社製)で測定した体積平均粒径は、40[nm]であった。微粒子分散液2の一部を乾燥して樹脂分を単離した。樹脂微粒子の形状は球形状であった。該樹脂分のTgは56[℃]であり、重量平均分子量は12万であった。
トナー3において、以下の条件に変更した以外はトナー1と同様にしてトナー3を得た。
得られたトナー3の物性を上記表1に示す。
顔料・ワックス分散液1を749部、プレポリマー1を115部、ケチミン化合物1を2.9部、容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化製)で5000[rpm]で2分間混合した後、容器に水相1を1200部加え、TKホモミキサーで、回転数13000[rpm]で10分間混合し、乳化スラリー2を得た。
撹拌機および温度計をセットした容器に、乳化スラリー2を投入し、30[℃]で6時間脱溶剤した後、45[℃]で5時間熟成を行い、分散スラリー2を得た。
トナー4において、以下の条件に変更した以外はトナー1と同様にしてトナー4を得た。
得られたトナー4の物性を上記表1に示す。
顔料・ワックス分散液1を749部、プレポリマー1を115部、ケチミン化合物1を2.9部、容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化製)で5000[rpm]で2分間混合した後、容器に水相1を1200部加え、TKホモミキサーで、回転数13000[rpm]で40分間混合し、乳化スラリー3を得た。
撹拌機および温度計をセットした容器に、乳化スラリー3を投入し、30[℃]で8時間脱溶剤した後、45[℃]で5時間熟成を行い、分散スラリー3を得た。
トナー5において、以下の条件に変更した以外はトナー1と同様にしてトナー5を得た。
得られたトナー5の物性を上記表1に示す。
撹拌棒および温度計をセットした容器に、低分子ポリエステル1を378部、カルナバ/ライスワックス(重量比5:5)130部、酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下80[℃]に昇温し、80[℃]のまま4時間保持した後、1時間で30[℃]に冷却した。次いで、容器にマスターバッチ1を500部、酢酸エチル500部を仕込み、2時間混合し、原料溶解液2を得た。
1324部の原料溶解液2を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル:アイメックス社製)を用いて、送液速度1[kg/hr]、ディスク周速度6[m/秒]、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、10パスの条件で、カーボンブラック、ワックスの分散を行った。次いで、低分子ポリエステル1の65%酢酸エチル溶液1324部を加え、上記条件のビーズミルで5パスし、顔料・ワックス分散液2を得た。顔料・ワックス分散液2の固形分濃度は50[%]であった。
トナー6において、以下の条件に変更した以外はトナー1と同様にしてトナー6を得た。
得られたトナー6の物性を上記表1に示す。
撹拌棒および温度計をセットした容器に、低分子ポリエステル1を378部、カルナバ/ライスワックス(重量比3:7)ワックス100部、酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下80[℃]に昇温し、80[℃]のまま4時間保持した後、1時間で30[℃]に冷却した。次いで、容器にマスターバッチ1を500部、酢酸エチル500部を仕込み、0.8時間混合し、原料溶解液3を得た。
1324部の原料溶解液3を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル:アイメックス社製)を用いて、送液速度1[kg/hr]、ディスク周速度6[m/秒]、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、5パスの条件で、カーボンブラック、ワックスの分散を行った。次いで、低分子ポリエステル1の65%酢酸エチル溶液1324部を加え、上記条件のビーズミルで3パスし、顔料・ワックス分散液3を得た。顔料・ワックス分散液3の固形分濃度は50[%]であった。
トナー7において、以下の条件に変更した以外はトナー1と同様にしてトナー7を得た。
得られたトナー7の物性を上記表1に示す。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物229部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物529部、テレフタル酸208部、アジピン酸46部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧下230[℃]で7時間反応し、さらに10〜15[mmHg]の減圧下で5時聞反応した後、反応容器に無水トリメリット酸44部を入れ、180[℃]、常圧で3時間反応し、低分子ポリエステル2を得た。低分子ポリエステル2は、数平均分子量2300、重量平均分子量6700、ピーク分子量3100、Tg43[℃]、酸価25であった。
撹拌棒および温度計をセットした容器に、低分子ポリエステル2を378部、カルナバワックス100部、酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下80[℃]に昇温し、80[℃]のまま5時間保持した後、1時間で30[℃]に冷却した。次いで、容器にマスターバッチ1を500部、酢酸エチル500部を仕込み、1時間混合し、原料溶解液4を得た。
1324部の原料溶解液4を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル:アイメックス社製)を用いて、送液速度1[kg/hr]、ディスク周速度6[m/秒]、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、カーボンブラック、ワックスの分散を行った。次いで、低分子ポリエステル2の65%酢酸エチル溶液1324部を加え、上記条件のビーズミルで3パスし、顔料・ワックス分散液4を得た。顔料・ワックス分散液4の固形分濃度は50[%]であった。
顔料・ワックス分散液4を749部、プレポリマー1を115部、ケチミン化合物1を2.9部、容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化製)で5000[rpm]で2分間混合した後、容器に水相1を1200部加え、TKホモミキサーで、回転数13000[rpm]で40分間混合し、乳化スラリー4を得た。
撹拌機および温度計をセットした容器に、乳化スラリー4を投入し、30[℃]で8時間脱溶剤した後、45[℃]で5時間熟成を行い、分散スラリー4を得た。
トナー8において、以下の条件に変更した以外はトナー1と同様にしてトナー8を得た。
得られたトナー8の物性を上記表1に示す。
撹拌棒および温度計をセットした容器に、低分子ポリエステル1を378部、カルナバワックスワックス380部、酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下80[℃]に昇温し、80[℃]のまま4時間保持した後、1時間で30[℃]に冷却した。次いで、容器にマスターバッチ1を500部、酢酸エチル500部を仕込み、2時間混合し、原料溶解液5を得た。
1324部の原料溶解液5を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル:アイメックス社製)を用いて、送液速度1[kg/hr]、ディスク周速度6[m/秒]、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、7パスの条件で、カーボンブラック、ワックスの分散を行った。次いで、低分子ポリエステル1の65%酢酸エチル溶液1324部を加え、上記条件のビーズミルで4パスし、顔料・ワックス分散液5を得た。顔料・ワックス分散液5の固形分濃度は50[%]であった。
ここで、従来装置とは、図7(b)に示すカウンタ方式のクリーニング装置であって、そのブレード材質はポリウレタンゴム素材のJISA硬度70[°]であり、ブレード寸法はT1=2.0[mm]で、T3=326[mm]の直方体形状のものである。このブレードを両面テープでブレードホルダに貼り付け、ブレードホルダから感光体表面側へ延びるブレード長(自由長;L)は7.6[mm]である。当接角θは21.6[°]に設定し、食い込み量は1.0[mm]とした。線圧は0.788[N/cm]とした。感光体10は有機感光体を用いた。
クリーニング性能の評価時には、画像面積率75%パターンを100枚連続プリントした後のクリーニング装置通過後の感光体上のトナーをプリンタックCテープ(日東電工製)で転写し、そのテープを白紙に貼り付けた後、マクベス反射濃度計RD514型で測定し、ブランク濃度との差が0.005未満のものを「◎」とし、0.005〜0.010のものを「○」とし、0.011〜0.02のものを「△」とし、0.02を超えるものを「×」として評価した。
また、視覚的な総合評価を下記のごとく行った。
◎:実使用可能。バタツキ等の異音なし。すり抜けのトナーも無い。あっても下記「○レベル」のようにテープ転写し、白紙に貼ることにより、テープの汚れ度合いを肉眼で判別する方法では観測することができない。
○:実使用は可能なレベル。異音なし。スジの発生も無い又は弱いスジがある程度。すり抜けるトナーの発生が認められる。
△:実使用不可の可能性あり。異音の兆候が感じられる。幅が1[mm]以下のスジがA4横サイズの画像上に1〜10本程度発生。
×:実使用不可。異音や感光体の損傷の前兆(おそれ)が感じられる。全面スジ発生。
一方、実施例装置を用いた場合は、どの物性のトナーを用いてもクリーニング性能悪化やブレードからの異音・感光体損傷の兆しもない。但し、トナー3を用いたときには従来装置のクリーニング性能より優位ではあるものの、トナーのすり抜けらしき発生が認められる。また、スジではないが、その兆候が認められることから、トナー粒径が3[μm]程度以下になれば実施例装置を用いても大きな効果は期待できないと予想される。粒径分布や物性値バラツキ等々、更なるトナー物性との組み合わせが必要となる。
また、弾性部材であるブレード31は、上流側面31aから上流側面31aの対向面31eに向かう方向に積層されている。すなわち、ブレード先端稜線部が感光体10との摩擦力で変形するブレードの圧縮方向に向かって積層構造をもっている。この圧縮方向は反り規制部材であるブレードホルダ32の水平部32Aに対する弾性部材であるブレード31の貼り付け面であるブレード31の上記対向面31e(固着面)に対して法線方向である。摩擦力によって引っ張られた復元性の弱いエッジ層31fを、復元性の高いベース層31gが感光体移動方向の下流側から押し返すことができ、感光体10との摩擦力の変動に対してブレード31が十分に追従することができる。これにより、摩擦力が変動しても良好なクリーニングを維持することができる。
また、弾性部材であるブレード31は二層構造からなり、二層のうち表面移動部材である感光体10に接触する一辺を含む層であるエッジ層31fのJISA硬度の値が、他方のベース層31gのJISA硬度の値よりも大きい。すなわち、エッジ層31fのJISA硬度をEh、ベース層31gのJISA硬度をBhとしたとき、EhとBhとの大小関係は、Eh>Bhとしている。一辺が感光体10と当接するエッジ層31fが高硬度であることにより、感光体10に接触した状態での当接辺周辺が変形することを抑制することができ、当接部の面積が広くなることを抑制することができる。これにより、当接部の面積が広くなることに起因して接触圧が低下し、クリーニング不良となることを防止することができる。
また、弾性部材であるブレード31は二層構造からなり、二層のうち表面移動部材である感光体10に接触する一辺を含む層であるエッジ層31fの反発弾性係数の値が、他方のベース層31gの反発弾性係数の値よりも小さい。エッジ層31fの反発弾性係数をEr、ベース層31gの反発弾性係数をBrとしたとき、ErとBrとの大小関係は、Er<Brとしている。高硬度のエッジ層31fのみでは反発弾性係数が低く、永久変形が発生するおそれがあるが、エッジ層31fよりも反発弾性係数の値が大きいベース層31gを備え、変形したエッジ層31fを元に戻す方向の力が働くことにより、ブレード31が永久変形することを防止することができる。これにより、永久変形に起因する当接圧の低下を防止し、経時に渡ってクリーニング性を維持することができる。このように、高硬度・低反発材料からなるエッジ層31fと低硬度高反発材料からなるベース層31gとを積層することによって、クリーニング性の向上を図ることができる。さらに、耐磨耗性向上の為に、エッジ層31fとして高硬度、低反発弾性材料を用いた場合にも、ベース層31gによって表面移動部材である感光体10に対する追従性を良好にすることにより、小粒径で円形度の高いトナーを経時に渡って良好にクリーニングすることが出来る。
特に、上記変形例のブレード31は、その上流側面を、下流側面31bとの隣接部分である第一上流側面31cと、この第一上流側面31cから、感光体10の表面移動時に当接辺が感光体表面から受ける力の方向(ブレードホルダ32の鉛直部32Bが延びる方向とほぼ同じ方向)及びブレード31の長尺方向の両方に対して直交する方向(ブレードホルダ32の水平部32Aが延びる方向とほぼ同じ方向)と略平行な方向に延在する第二上流側面31dとで構成している。そして、上流側面における少なくとも下流側面31bとの隣接部分(第一上流側面31c)に対応した裏面部分と、下流側面31bにおける少なくとも上流側面との隣接部分に対応した裏面部分とのなす角度が鈍角である。このような構成により、上述したとおり、ブレード31の摩耗を更に効果的に抑制することができる。なお、上記鈍角は、95[°]以上140[°]以下の範囲内であるのが好ましい。
特に、本実施形態では、ブレードホルダ32の水平部32Aは、感光体10の表面に近接する側の端部が、ブレード31の上記対向面31e(固着面)における上記下流側面31bとの境界辺と同じ位置まで延びるように構成されている。これにより、ブレード31の自由長部分が無くなるので、ブレード31の反りを有効に規制できる。
また、本実施形態では、ブレードホルダ32の水平部32Aがブレード31の上記対向面31e全面に対して固着されているので、ブレードホルダ32の水平部32Aとブレード31との密着性が高く、ブレード31のバタツキを有効に抑止できる。
なお、ブレードホルダ32の水平部32Aとブレード31の上記対向面31eとが互いに重なり合う領域のうち、少なくとも感光体10の表面に近接する側の端部領域について固着処理を施すせば、ブレード31のバタツキを有効に抑止できる。
また、本実施形態では、ブレード31により加えられる感光体表面上における当接部分Pの法線方向の押しつけ力を高める付勢手段としてのスプリング36を備えている。これにより、感光体10の偏心等により枠体33と感光体10の表面との距離関係が変化しても、その変化に応じてブレードホルダ32が変位可能となるので、枠体33と感光体10の表面との距離関係に高い精度が要求されないし、感光体10に対するブレード31の組み付け精度も高い精度が要求されない。
また、本実施形態では、ブレード31を感光体10に押しつけていない状態で、ブレード31の下流側面31bにおける感光体表面移動方向上流側部分と、感光体10の表面における当接部分Pの接線の表面移動方向下流側部分とのなす角(当接角)θが、5[°]以上50[°]以下となる姿勢で、ブレード31を感光体10に押しつける構成となっている。これにより、十分な除去性能(クリーニング性能)を容易に実現できる。
また、本発明は、感光体用のクリーニング装置だけでなく、感光体以外の表面移動部材、例えば中間転写ベルト162の表面に付着した転写残トナー等の付着物を除去するためのクリーニング装置にも適用できる。また、感光体や中間転写ベルトのような像担持体に限らず、表面に記録材を担持してこれを搬送する記録材搬送部材の表面に付着したトナーや紙粉などの付着物を除去するためのクリーニング装置にも適用できる。なお、記録材搬送部材とそのクリーニング装置とを一体的に支持した記録体搬送ユニットのクリーニング装置にも適用可能である。
そのほか、本発明は、表面に付着した付着物を除去することが必要となるあらゆる表面移動部材用のクリーニング装置に適用できる。もちろん、その表面移動部材は、ドラム状のものであってもベルト状のものであってもよく、表面が移動する部材であればどのようなものであってもよい。ただし、ベルト状の表面移動部材用のクリーニング装置の場合、そのベルトを支持する支持ローラとブレードとの間にベルトを挟み込むようにクリーニング装置を配置するのが一般的であるが、ベルト内周面側に平板部材等のバックアップ部材を配置し、そのバックアップ部材とブレードとの間にベルトを挟み込むようにクリーニング装置を配置するようにしてもよい。また、本実施形態のようにクリーニング対象が感光体10の場合、その感光体は、有機感光体でも、非晶質シリコーン系感光体でも、有機感光体表面に架橋構造を有するバインダー樹脂からなる保護層が設けられた感光体でもよく、あらゆる感光体に対するクリーニング装置として本発明は適用可能である。クリーニング対象が中間転写ベルト162の場合、その中間転写ベルトは、耐熱性・伸縮性を考慮したポリイミド系の中間転写ベルトでも、ポリエチレン系材料を用いた中間転写ベルトでも、フッ素系・ゴム系の中間転写ベルトでも、よく、あらゆる中間転写ベルトに対するクリーニング装置として本発明は適用可能である。
なお、ここで説明した様々な応用例においては、上記実施形態で説明した感光体用のクリーニング装置30の構成をほとんどそのまま利用でき又はその応用例に応じて適宜修正したものを利用できる。
30 クリーニング装置
31 ブレード
31a 上流側面
31b 下流側面
31c 第一上流側面
31d 第二上流側面
31e 対向面
31f エッジ層
31g ベース層
32 ブレードホルダ
32A 水平部
32B 鉛直部
33 枠体
34 支軸
36 スプリング
37 調整ネジ
40 帯電装置
50 現像装置
120 画像形成部
121 プロセスカートリッジ
130 給紙部
140 露光装置
160 二次転写装置
162 中間転写ベルト
165 二次転写ローラ
200 測定装置
201 ロードセル
202 セル台
203 治具
204 センサ用コンディショナ
231 クリーニングブレード
232 ブレードホルダ
Claims (21)
- 表面移動部材の表面移動方向に対して直交する方向に長尺な弾性部材におけるその長尺方向に延びる一辺を該表面移動部材の表面に押しつけて、該表面移動部材の表面上の付着物を除去するクリーニング装置において、
上記弾性部材は、上記表面移動部材の表面移動時に上記一辺が該表面移動部材の表面から受ける力の方向に略平行な方向の厚さよりも、該力の方向及び上記長尺方向の両方に対して直交する方向の厚さの方が厚く形成された部材であり、
該一辺を境に隣接する2つの面のうちの該表面移動部材の表面移動方向上流側に位置する上流側面が伸びかつ該上流側面の対向面が縮むような該弾性部材の反りを規制する反り規制部材を、該弾性部材における上流側面の対向面に取り付け、
該表面移動部材の表面上における上記一辺が当接する当接部分の法線よりも該表面移動部材の表面移動方向下流側で装置本体に支持された保持部材により、該反り規制部材を介して該弾性部材を保持し、
該弾性部材は二層以上の多層構造を有することを特徴とするクリーニング装置。 - 請求項1のクリーニング装置において、
上記弾性部材は、上記上流側面から該上流側面の対向面に向かう方向に積層されていることを特徴とするクリーニング装置。 - 請求項1または2のクリーニング装置において、
上記弾性部材は二層構造からなり、二層のうち上記表面移動部材に接触する上記一辺を含む層をエッジ層とし、他方の層をベース層としたときに、
該エッジ層のJISA硬度の値が該ベース層のJISA硬度の値よりも大きいことを特徴とするクリーニング装置。 - 請求項1、2または3のクリーニング装置において、
上記弾性部材は二層構造からなり、二層のうち上記表面移動部材に接触する上記一辺を含む層をエッジ層とし、他方の層をベース層としたときに、
該エッジ層の反発弾性係数の値が該ベース層の反発弾性係数の値よりも小さいことを特徴とするクリーニング装置。 - 請求項1、2、3または4のクリーニング装置において、
上記弾性部材は、上記一辺を境に隣接する2つの面のうち、上記表面移動部材の表面移動方向上流側に位置する上流側面の方が、該表面移動部材の表面移動方向下流側に位置する下流側面よりも、該一辺に対して直交する方向の長さが長いものであることを特徴とするクリーニング装置。 - 請求項5のクリーニング装置において、
上記弾性部材は、上記上流側面における少なくとも上記下流側面との隣接部分に対応した裏面部分と、該下流側面における少なくとも該上流側面との隣接部分に対応した裏面部分とのなす角度が鈍角であることを特徴とするクリーニング装置。 - 請求項6のクリーニング装置において、
上記上流側面は、上記下流側面との隣接部分である第一上流側面と、該第一上流側面から、上記力の方向及び上記長尺方向の両方に対して直交する方向と略平行な方向に延在する第二上流側面とを備えていることを特徴とするクリーニング装置。 - 請求項6又は7のクリーニング装置において、
上記鈍角は、95[°]以上140[°]以下の範囲内であることを特徴とするクリーニング装置。 - 請求項1、2、3、4、5、6、7または8のクリーニング装置において、
上記反り規制部材は、上記表面移動部材の表面に近接する側の端部が、上記弾性部材の上記対向面における上記下流側面との境界辺と同じ位置か、該境界辺よりも上記表面移動部材の表面に近い位置まで延びるように、構成されていることを特徴とするクリーニング装置。 - 請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9のクリーニング装置において、
上記反り規制部材は、上記弾性部材の上記対向面全面に対して取り付けられていることを特徴とするクリーニング装置。 - 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10のクリーニング装置において、
上記反り規制部材と上記弾性部材の上記対向面とが互いに重なり合う領域のうち、少なくとも上記表面移動部材の表面に近接する側の端部領域については固着処理を施すことを特徴とするクリーニング装置。 - 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはのクリーニング装置において、
上記弾性部材により加えられる上記表面移動部材の表面上における上記当接部分の法線方向の押しつけ力を高める付勢手段を有することを特徴とするクリーニング装置。 - 請求項12のクリーニング装置において、
上記弾性部材を上記表面移動部材に押しつけていない状態で、該弾性部材の上記下流側面における該表面移動部材の表面移動方向上流側部分と、該表面移動部材の表面における上記当接部分の接線の表面移動方向下流側部分とのなす角が、5[°]以上50[°]以下となる姿勢で、該弾性部材を該表面移動部材に押しつける構成となっていることを特徴とするクリーニング装置。 - 表面移動部材である像担持体上に形成した画像を最終的に記録材に転移させる画像形成装置において、
上記像担持体上に付着した不要な付着物を除去するためのクリーニング手段として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13のクリーニング装置を用いることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項14の画像形成装置において、
上記像担持体と上記クリーニング装置とを一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在に設けられるプロセスカートリッジを有することを特徴とする画像形成装置。 - 表面移動部材である記録材搬送部材の表面に担持された記録材上に画像を形成する画像形成装置において、
上記記録材搬送部材上に付着した不要な付着物を除去するためのクリーニング手段として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13のクリーニング装置を用いることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項13の画像形成装置において、
上記記録材搬送部材と上記クリーニング装置とを一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在に設けられる記録体搬送ユニットを有することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項14、15、16または17の画像形成装置において、
上記画像を構成するトナーとして、体積平均粒径が3[μm]以上7[μm]以下であること、平均円形度が0.940以上0.998以下であること、形状係数SF−1及びSF−2がそれぞれ100以上160以下であることのいずれか1つを満たすトナーを用いることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項14、15、16または17の画像形成装置において、
上記画像を構成するトナーとして、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤及び離型材を含むトナー組成物を有機溶媒に溶解及び/又は分散させて有機溶媒組成物を作成し、樹脂微粒子が存在する水系媒体に該有機溶媒組成物を分散させ、架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーを用いることを特徴とする画像形成装置。 - 表面移動部材である像担持体上に形成した画像を最終的に記録材に転移させる画像形成装置の本体に着脱自在に構成され、該像担持体と該像担持体上に付着した不要な付着物を除去するためのクリーニング手段とを一体に支持したプロセスカートリッジにおいて、
上記クリーニング手段として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13のクリーニング装置を用いることを特徴とするプロセスカートリッジ。 - 表面移動部材である記録材搬送部材の表面に担持された記録材上に画像を形成する画像形成装置の本体に着脱自在に構成され、該記録材搬送部材と該記録材搬送部材上に付着した不要な付着物を除去するためのクリーニング手段とを一体に支持した記録体搬送ユニットにおいて、
上記クリーニング手段として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13のクリーニング装置を用いることを特徴とする記録体搬送ユニット。
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