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JP2008529637A - 螺旋相対運動及び円錐ビーム束を用いたコンピュータ断層撮影方法 - Google Patents

螺旋相対運動及び円錐ビーム束を用いたコンピュータ断層撮影方法 Download PDF

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JP2008529637A JP2007554692A JP2007554692A JP2008529637A JP 2008529637 A JP2008529637 A JP 2008529637A JP 2007554692 A JP2007554692 A JP 2007554692A JP 2007554692 A JP2007554692 A JP 2007554692A JP 2008529637 A JP2008529637 A JP 2008529637A
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Abstract

本発明は、周期運動する対象物が円錐ビーム束により照射されるコンピュータ断層撮影方法に関する。円錐ビーム束を発生する放射線源と対象物との間にnPi相対運動が生成される。nPi相対運動中、対象物の他方側でのビーム束の強度に応じた測定値が収集され、そして、これら測定値からフィルタ値が決定され、相異なるグループに分類される。少なくとも1つのグループのフィルタ値が対象物の運動に応じて重み付けされ、そのとき、幾つかのグループのフィルタ値が重み付けされる場合、相異なるグループのフィルタ値は対象物の運動に応じて異なるように重み付けされる。最終的に、対象物のCT画像がフィルタ値から再構成される。

Description

本発明は、周期運動する対象物が配置される検査領域が螺旋軌道に沿って円錐ビーム束により照射されるコンピュータ断層撮影方法に関する。本発明はまた、本発明に従った方法を実行するコンピュータ断層撮影装置、及び該コンピュータ断層撮影装置を制御するコンピュータプログラムに関する。
上述の種類の方法は心臓検査にしばしば使用されるものであり、例えば非特許文献1に記載されている。これらの方法においては、測定値が検出器ユニットを用いて収集され、測定中に心臓の運動が心電計により記録される。測定値は心臓運動に応じて重み付けされ、重み付けされた測定値から心臓のコンピュータ断層画像(CT画像)が再構成される。
これら既知の方法の欠点は、重み付けされることに拘わらず、再構成されたCT画像は対象物の運動に起因するアーチファクトを含んでおり、このアーチファクトにより画質が損なわれることである。
B.M.Ohnesorge等、「Multislice CT in Cardiac Imaging: Technical Principles, Imaging Protocols, Clinical Indications and Future Perspective」、Springer Verlag、2002年、ISBN3540429662
本発明は、再構成CT画像の画質を向上することが可能な、周期運動する対象物が配置される検査領域が螺旋軌道に沿って円錐ビーム束により照射されるコンピュータ断層撮影方法を提供することを目的とする。
上記課題に鑑み、本発明に従ったコンピュータ断層撮影方法は、
a)放射線源によって、検査領域及びその中に配置された周期運動する対象物を通過する円錐ビーム束を生成する段階、
b)放射線源と検査領域との間に、回転軸についての回転及び該回転軸に平行な移動方向への移動を有し且つ螺旋の形態をとる、nPi相対運動を生成する段階、
c)nPi相対運動中に、検出器ユニットによって、検査領域の反対側でビーム束の強度に応じた測定値を収集する段階、
d)測定値をフィルタリングすることによってフィルタ値を決定し、且つフィルタ値を相異なるグループに分類する段階、
e)少なくとも1つのグループのフィルタ値を対象物の運動に応じて重み付けする段階であり、幾つかのグループのフィルタ値が重み付けされるとき、相異なるグループのフィルタ値は対象物の運動に応じて異なるように重み付けされる段階、及び
f)フィルタ値から検査領域のCT画像を再構成する段階、
を有する。
nPi相対運動、及びまた、nPi相対運動における測定値の収集であるnPi収集が広く知られている。この特有の相対運動を用いる場合、螺旋軌道の隣接する巻線(ターン)間の間隔であるピッチは、各放射線源位置からn+1個の巻線が検出器表面に投影されるように選定される。ここで、nは1より大きい奇数の自然数である。一般に、3Pi、5Pi、7Pi等といった相対運動又は収集が話題にされる。螺旋軌道の巻線の検出器表面上への投影は、m=1、3、…、nとしてmPi境界線として知られている。最も内側の2つの投影巻線がPi境界線であり、Pi境界線にそれぞれ隣接する2つの投影巻線が3Pi境界線であり、そして5Pi境界線等がそれに続く。検出器表面上でのmPi境界線の経路については以下にてより正確に説明する。
冒頭で述べられた従来技術と異なり、対象物の運動に応じた同一の指標で全ての測定値が重み付けされるのではなく、測定値がフィルタリングされ、得られたフィルタ値がグループ分けされ、フィルタ値の少なくとも1つのグループが対象物の運動に応じて重み付けされる。幾つかのグループのフィルタ値が重み付けされる場合、相異なるグループのフィルタ値は対象物の運動に応じて異なるように重み付けされる。すなわち、対象物の或る特定の運動位相中に収集された測定値をフィルタリングすることによって形成されたグループのフィルタ値は、例えば大きいあるいは小さい重み付け係数を乗じられて、対象物の同一の運動位相中に収集された測定値をフィルタリングすることによって形成された別グループのフィルタ値とは異なるように重み付けされる。このグループに依存した重み付けにより、対象物の運動に応じて重み付けられたとしても画質の向上に寄与しないフィルタ値又は画質を低下させるフィルタ値が、対象物の運動に応じて、他のフィルタ値より軽く重み付けられたり、あるいは全く重みを付けられなかったりすることが可能になる。斯くして、従来の方法と比較して画質が向上される。
請求項2に記載される実施形態において、フィルタ値は逆投影され、それにより、殆ど計算的な努力を要せずに再構成された対象物の画質が良好になる。
請求項3に従って、測定値はκフィルタを用いてフィルタリングされる。κフィルタについては後述する。κフィルタの使用、及び請求項4に記載されるようなフィルタリング前の測定値の導出により、画質の更なる向上がもたらされる。
請求項5によれば、段階d)にて、フィルタ値は、相異なるグループのフィルタ値は、様々な頻度で前記螺旋と交差するラドン平面の寄与を有するように、測定値をフィルタリングすることによってフィルタリングされ且つグループに分類される。すなわち、1つのグループのフィルタ値は、例えば、螺旋と1回から3回交差するラドン平面の寄与を有し、別の1つのグループのフィルタ値は、例えば、螺旋と4回から6回交差するラドン平面の寄与を有し、更に別の1つのグループのフィルタ値は、例えば、螺旋と7回以上交差するラドン平面の寄与を有する。
請求項5に記載される実施形態、及び請求項6に記載される実施形態により、画質の更なる向上がもたらされる。
請求項7によれば、螺旋と少なくともn回交差するラドン平面の寄与を有する第1のフィルタ値が決定され、螺旋とn回より少なく交差するラドン平面の寄与を有する第2のフィルタ値が決定される。そして、フィルタ値は、第1のフィルタ値が第1のグループを形成し且つ第2のフィルタ値が第2のグループを形成するように、相異なるグループに分類される。段階e)にて、第1のグループのフィルタ値は、対象物の運動に応じて、第2のグループのフィルタ値より重く重み付けされる。例えば、対象物の運動に応じて、第1のフィルタ値のみが重みを加えられ、第2のフィルタ値は重みを加えられない。それにより、再構成されるCT画像の画質が更に向上される。
とりわけ、1つのグループのフィルタ値がその他のグループのフィルタ値より大きい重み付け係数を乗じられる場合、双方のフィルタ値は対象物が同一の運動位相にある間に収集された測定値をフィルタリングすることによって決定されたものであるが、この1つのグループのフィルタ値は、対象物の運動に応じて、別グループのフィルタ値より重く重み付けされる。1つのグループのフィルタ値が対象物の運動に応じて別グループのフィルタ値より重く重み付けされるということは、この1つのグループのフィルタ値は、例え弱くのみであっても、対象物の運動に応じて重みを加えられ、別グループのフィルタ値は対象物の運動に応じて重みを加えられない場合をも含む。
ラドン平面は、例えば、F.Nattererの「The Mathematics of Computerized Tomography」(Wiley、New York、1986年)から知られており、それ故に、ラドン平面のコースについての更なる具体的詳細事項、及びコンピュータ断層撮影画像の再構成に関するラドン平面の意義は説明しないこととする。
請求項8は、螺旋と少なくともn回交差するラドン平面の寄与を有する第1のフィルタ値と、螺旋とn回より少なく交差するラドン平面の寄与を有する第2のフィルタ値とを決定する比較的単純な手法を記述するものである。
請求項9乃至13に記載された本発明に従ったコンピュータ断層撮影方法の実施形態は、再構成されるCT画像の画質を更に向上させるものである。
請求項14及び15は、本発明に従った方法を実行するためのコンピュータ断層撮影装置を記述するものである。請求項16は、請求項14に記載のコンピュータ断層撮影装置を制御するためのコンピュータプログラムを規定するものである。
本発明のこれら及び他の態様は、以下にて説明される実施形態を参照して明らかになる。
図1に例示されたコンピュータ断層撮影装置はガントリー1を有しており、ガントリー1は図1に示される座標系のz方向に平行な回転軸14の周りを回転可能である。この目的のため、ガントリー1はモータ2によって好ましくは一定であるが調整可能な角速度で駆動される。例えばX線管である放射線源Sが、ガントリー1に固定されている。X線管は当該放射線源Sから発生された放射線から円錐ビーム束4、すなわち、z方向とそれに垂直な方向とに(すなわち、回転軸に垂直な平面内に)ゼロではない有限の拡がりを有するビーム束、を抽出するコリメータ構成3を具備している。
ビーム束4は円筒形の検査領域13を貫通する。検査領域13内には、周期的に運動する対象物(図示せず)が配置される。この典型的な実施形態において、この対象物は、正確な運動を行い且つ患者の呼吸運動により更に前後に移動し得る心臓である。他の実施形態においては、例えば肝臓又は脳などの、その他の周期運動する人体器官、人体器官の周期運動部分、又は周期運動する技術的な物体が代わりに照射されてもよい。
検査領域13を貫通後、ビーム束4はガントリー1に固定された検出器ユニット16に入射する。検出器ユニットは、この実施形態では行と列とのマトリックス状に配置された複数の検出素子を含む検出器表面を有している。検出器の列は回転軸14に平行に延在している。検出器の行は回転軸に垂直な平面内にあり、この実施形態においては放射線源Sを中心とする円弧(中心に焦点がある検出器表面)上にある。他の実施形態においては、検出器の行はこれに代えて異なる形態をしていてもよく、例えば回転軸14を中心とする円弧を描いたり直線状であったりしていてもよい。ビーム束4が入射される各検出素子は、放射線源の各位置で、ビーム束4からのビームに対する測定値を提供する。
αmaxで示されるビーム束4の開口角は、測定値が収集されるときに検査対象が置かれる対物シリンダーの直径を定める。開口角は、ここでは、回転軸14に垂直な平面においてビーム束4のエッジにある光線が、放射線源S及び回転軸14により定められる平面に対して為す角度として定められる。
検査領域13、又は対象物若しくは患者支持台は、モータ5によって回転軸14及びz軸に平行に移動されることが可能である。これに代えて、これと等価なことであるが、ガントリーがこの方向に移動可能であってもよい。対象物が患者ではなく技術的な物体である場合、放射線源S及び検出器ユニット16は静止したままで、対象物が検査中に回転させられることも可能である。
モータ2及び5が同時に稼働する場合、放射線源S及び検出器ユニット16は検査領域13に対して螺旋(ヘリカル)軌道17を描く。しかし、回転軸14方向への前進のためのモータ5が使用されず、モータ2がガントリーを回転させる場合には、検査領域13に対する放射線源S及び検出器ユニット16の円形軌道が作り出される。以下では螺旋軌道のみを考慮する。
螺旋軌道17は次式によりパラメータ化される:
Figure 2008529637
ここで、Rは螺旋軌道17の半径、sは螺旋軌道上での角度位置、そしてhはピッチ、すなわち、螺旋軌道の2つの隣接する巻線(ターン)間の距離である。
測定値の収集中、心臓の運動が心電計8を用いて既知の手法で記録される。この目的のため、患者の胸部は電極(図示せず)により心電計8に接続される。他の実施形態においては、特に、運動している他の対象物の場合、対象物の運動は他の既知の手法で追従されてもよい。故に、例えば、心電計などの追加装置を用いた運動検出が省略され得るように、運動情報は検出器ユニット16により測定された値から得られてもよい。この目的のため、既知の手法で運動が取得可能なキモグラフを用意するために、とりわけ測定値が使用される。この手法の詳細な説明は、ここで参照されるM.Kachelriess、D.A.Sennst、W.Maxlmoser、W.A.Kalenderの論文「Kymogram detection and kymogram-correlated image reconstruction from subsecond spiral computed tomography scans of the heart」(2002年、Medical Physics 29(7)、p.1489-1503)に見出すことができる。
この実施形態においては、患者は測定中に呼吸をしていないと仮定する。故に、呼吸運動は無視され得る。他の実施形態においては、呼吸運動は、例えば、呼吸運動測定装置に接続された変形可能な腹部ベルトを用いて測定され得る。
検出器ユニット16によって収集された測定値は、例えば非接触で動作するデータ伝送(図示せず)を介して、検出器ユニット16に接続された再構成・画像処理コンピュータ10に送られる。加えて、心電図が心電計8から再構成・画像処理コンピュータ10に伝送される。再構成・画像処理コンピュータ10は検査領域13内の吸収分布を再構成し、それを例えばモニタ11上に再生する。2つのモータ2及び5、再構成・画像処理コンピュータ10、放射線源S、心電計8、及び測定値の検出器ユニット16から再構成・画像処理コンピュータ10への転送は制御ユニット7によって制御される。制御ユニット7はまた、心電計8から再構成・画像処理コンピュータ10への心電図の伝送も制御する。
他の実施形態においては、再構成のために収集された測定値及び測定された心電図は、先ず、1つ又は複数の再構成コンピュータに送られ、その再構成コンピュータが例えば光ファイバケーブル等を介して再構成データを画像処理コンピュータに転送してもよい。
本発明に従ったコンピュータ断層撮影方法の一実施形態の個々のステップについて、図2のフローチャートを参照しながら以下にて説明する。
段階101での始動後、ガントリーは或る角速度で回転する。この角速度は、この実施例では一定であるが、例えば時間や放射線源位置の関数として変化してもよい。
段階102にて、例えば患者支持台を移動させることにより、検査領域が回転軸14に平行な移動方向24(図1の座標系のz軸の反対方向)に移動させられ、放射線源Sの放射がオンに切り換えられる。それにより、検出器ユニット16は複数の角度位置sからの放射線を検出することができ、放射線源Sは検査領域13に対して螺旋軌道17上を移動する。同時に、あるいは他の例では放射線源Sがオンに切り換えられる更に前に、心電図が同時に測定されるように心電計8が起動される。
ピッチhは、ここでは、各放射線源位置y(s)に対して螺旋軌道17の少なくとも4つの隣接巻線が、それぞれの放射線源位置y(s)に由来する光線に沿って検出器表面に投影されるように選定される。4つの巻線が検出器表面に投影される場合、これは3Pi収集又は3Pi相対運動である(図4)。ここで、nを3以上の奇整数として、n+1個の巻線が検出器表面に投影される場合、その収集はnPi収集として知られ、その相対運動はnPi相対運動として知られている。
概念的な検出器表面として、その表面法線がそれぞれの放射線源位置y(s)を通り、且つ回転軸14を含む平面状の検出器表面60を考えると、この概念的な平面状検出器表面60への個々の巻線の投影経路は次式によって表され得る:
Figure 2008529637
及び
Figure 2008529637
ここで、uP1及びvP1は平面状検出器表面60上のデカルト座標系62の座標であり、uP1座標軸は回転軸14に垂直であり、vP1座標軸は回転軸14に平行で移動方向24を向いている。この座標系62は図7乃至14においては明りょう化のため平面状検出器表面60の下に示されているが、座標系62の原点は検出器表面60の中心にある。平面状検出器表面60の大きさは、焦点を中心とする検出器表面16上に入射する全ての光線が平面状検出器表面60を通るように選定される。
概念的な平面状検出器表面60上の座標と、焦点を中心とする実際の検出器表面16の座標との関係は、次式で与えられる:
Figure 2008529637
及び
Figure 2008529637
ここで、λはy(s)から放射されるビームの円錐角、すなわち、このビームが、回転軸14に垂直で放射線源位置y(s)を含む平面と為す角度である。また、βはy(s)から放射されるビームの扇角、すなわち、回転軸14に対して垂直を向き放射線源位置y(s)を含む平面上へのこのビームの投影が、放射線源位置y(s)を通り回転軸14に対して垂直を向いた直線と為す角度である。そして、変数Dは、焦点を中心とする実際の検出器表面16の中心からの放射線源位置y(s)の距離を指し示すものである。
Pi収集においては、それぞれの放射線源位置y(s)に隣接する2つの巻線のみが、焦点を中心とする実際の検出器表面16、及び概念的な平面状検出器表面60に投影される。図3における平面状検出器表面60上への上側の投影の経路81は数式(2)によって記述され、一方、図3における平面状検出器表面60上への下側の投影の経路83は数式(3)によって記述される(各々の場合で、m=1を用いている)。上側の投影は以下では上側Pi境界線81と呼ばれ、下側の投影は以下では下側Pi境界線83と呼ばれる。
本発明の範囲において、用語“上側”、“下側”、“左”及び“右”、並びにこれらと同様の表現は、図3、4、7乃至14に示されるように、平面状検出器表面60及びそれに付随する座標系62に関係するものである。故に、移動方向24とvP1座標軸とは“上方”を指しており、uP1座標軸は“右方”を指している。
3Pi収集においては、4つの隣接巻線が、焦点を中心とする実際の検出器表面16、及び概念的な平面状検出器表面60に投影される。図4における平面状検出器表面60上への最も上側の投影の経路85は数式(2)によって記述され、一方、図4における平面状検出器表面60上への最も下側の投影の経路87は数式(3)によって記述される(各々の場合で、m=3を用いている)。最も上側の投影は以下では上側3Pi境界線85と呼ばれ、最も下側の投影は以下では下側3Pi境界線87と呼ばれる。3Pi収集においては、上側Pi境界線81及び下側Pi境界線83、並びに上側3Pi境界線85及び下側3Pi境界線87が検出器表面上を走ることになる。
従って、nPi収集においては、(数式(2)による)上側Pi、3Pi、5Pi、…、nPi境界線と、(数式(3)による)下側Pi、3Pi、5Pi、…、nPi境界線とが平面状検出器表面60上を走ることになる。
上側Pi、3Pi、5Pi等の境界線は平面状検出器表面上で正のvP1座標を有し、下側Pi、3Pi、5Pi等の境界線は負のvP1座標を有する。
図4に例示される3Pi収集においては、回転軸14及び放射線源位置y(s)を含む平面から最も強く傾斜するビームの扇角が52.1°であり、且つ焦点を中心とする実際の検出器16の回転軸14方向への拡がりの175.1mm、放射線源位置y(s)の回転軸14からの距離の570mm、及び放射線源位置y(s)の焦点を中心とする実際の検出器表面16の中心からの距離の1040mmによって収集の幾何学配置がさらに区別されるとき、ピッチとしてh=57.6mmが選定され得る。
段階103にて、測定値は、部分的にsに従う、すなわち、放射線源Sの角度位置に従う次式によって得られる:
Figure 2008529637
ただし、
Figure 2008529637
ここで、Θは、同一の放射線源位置から放射されるが異なる検出素子に入射するビームによって引き起こされる測定値を識別する単位ベクトルである。単位ベクトルΘは、故に、その測定値に属するビームの向きを特定するものである。単位ベクトルの向き、すなわち、ビームの向きは、螺旋軌道17上での放射線源の角度位置sとビームが通る検査領域13内の位置xとによってパラメータ化(Θ=Θ(s,x))され得る。さらに、Df(y(s),Θ)は、対応する光線が再構成されるべき対象物を吸収分布f(x)で通過した後に、焦点を中心とする検出器によって測定された、その放射線源位置y(s)及びその光線方向Θに対する測定値を表すものである。
数式(6)に従う測定値の偏微分の場合、Θは一定に保たれることに注意すべきであり、場合ごとに平行光線群の測定値群が微分に考慮されなければならない。平行光線群は同一の円錐角を有するので、ここで用いられる焦点を中心とする検出器表面16の場合、平行光線群51は同一の検出器の行53に入射する(検出器表面16の一部の領域のみが示されている図5を参照)。故に、偏微分のため、測定値は最初に並び替えられ得る。この目的のため、放射線源の異なる角度位置sa、sb、scに属しながらも平行光線群51に属する、すなわち、同一の検出器行53に属する測定値群は、場合ごとに1つの量に結合される。そして、各々の量の測定値は、例えば、既知の平滑化技術が使用可能な、放射線源の角度位置sに従う既知の有限要素法を用いて数値的に導出される。
段階104にて、導出された測定値がそれらの光線に沿って概念的な平面状検出器表面60に投影される。
段階105にて、1つ又は複数のフィルタラインが各測定値に割当てられ、各フィルタラインは続いてフィルタ方向に割当てられる。フィルタライン及びフィルタ方向は、放射線源位置y(s)から放射され検査領域内の位置xを通過する光線に対応するフィルタリング対象の測定値に関して、第1のフィルタ値Pg(s,x)及び/又は第2のフィルタ値Pug(s,x)を得るために、次式に従って何れの測定値群が何れの順序で考慮されるかを表している:
Figure 2008529637
及び
Figure 2008529637
ここで、Ngは、放射線源位置y(s)から放射され検査領域内の位置xを通過する光線に対応するフィルタリング対象の測定値に割当てられ、この測定値に関する第1のフィルタ値Pg(s,x)を決定するために使用されるフィルタライン数である。さらに、Nugは、放射線源位置y(s)から放射され検査領域内の位置xを通過する光線に対応するフィルタリング対象の測定値に割当てられ、この測定値に関する第2のフィルタ値Pug(s,x)を決定するために使用されるフィルタライン数である。また、μq,g及びμq,ugは詳細に後述されるフィルタ係数である。さらに、Θq,g(s,x,γ)は、y(s)及びxによって上述のように定義されるフィルタリング対象測定値に関して、フィルタリング対象測定値に割り当てられ且つこの測定値に関する第1のフィルタ値を決定するために使用される、対応するフィルタ方向を有するq番目のフィルタラインを指し示す単位ベクトルである。これに準じて、Θq,ug(s,x,γ)は、y(s)及びxによって上述のように定義されるフィルタリング対象測定値に関して、フィルタリング対象測定値に割り当てられ且つこの測定値に関する第2のフィルタ値を決定するために使用される、対応するフィルタ方向を有するq番目のフィルタラインを指し示す単位ベクトルである。そして、γは、放射線源位置y(s)を始点とし検査領域内の位置xを通る方向ベクトルΘ(s,x)=Θq,g(s,x,0)=Θq,ug(s,x,0)が、それぞれ、単位ベクトルΘq,g(s,x,γ)(数式(8)に従って第1の平均値を計算する場合)、単位ベクトルΘq,ug(s,x,γ)(数式(9)に従って第2の平均値を計算する場合)と為すκ角である。
κ角γ、y(s)とxとによって与えられる測定値に関するq番目のフィルタライン71、及び単位ベクトルΘq(s,x,γ)の間の関係は図6に例示されている。ただし、添字“g”及び“ug”はこの例示には無関係であるので省略されている。放射線源位置y(s)とxとによって予め定められた測定値のq番目のフィルタライン71が位置73に指し示される場合、Θq(s,x,0)は位置73にあるこの所定の測定値をもたらした光線を示しており、単位ベクトルΘq(s,x,γ)は、γ≠0である相異なるκ角群に対して、q番目のフィルタライン71上で測定値群をサンプリングする。
測定値群に関するフィルタライン及びそれに付随するフィルタ方向は以下のように定義される。
最初に、多数の直線が分割線Lmとして定義される。ここで、mはnPi収集において1からnまでの奇数の自然数となり得る。L1は平面状検出器60の中心(uP1=0,vP1=0)を通り、上側及び下側のPi境界線に漸近するように延在している。また、L1は(uP1,vP1)座標系62に基づく正の傾きを有している。これは図7に例示されており、図7には、5Pi収集における上側Pi境界線81、上側3Pi境界線85、上側5Pi境界線89、下側Pi境界線83、下側3Pi境界線87、下側5Pi境界線91が示されている。同時に、ラインL1はそれぞれの現在の角度位置におけるy(s)の微分方向に平行に走っている。m>1では、ラインLmはL1に平行であるとともに上側mPi境界線に接するように延在している。5Pi収集の場合、ラインL3及びL5がL1に加えて定められる。また、L1に平行であるとともに下側mPi境界線に接するように延在する多数の分割線L-mが定められる。5Pi収集の場合、ラインL-3及びL-5が定められる。さらに、分割線L1と同一である分割線L-1が定められる。
さらに、図7乃至14に示される上述の(uP1,vP1)座標系62の向きにおいて負の傾きを有する多数の分割線Lm -pが定められる。ここで、p及びmはn以下の奇数の自然数であり、分割線Lm -pはまた上側mPi境界線に接するとともに下側pPi境界線にも接するように延在している。図7に例として分割線L1 -5、L1 -3、L1 -1、L3 -1及びL5 -1が示されている。
概念的な平面状検出器表面上のラインの傾きは、本発明の範囲内において、ここで用いられ且つ図7乃至14に示される(uP1,vP1)座標系62に関するものである。
さらに、図7乃至14に示される上述の(uP1,vP1)座標系62の向きにおいて正の傾きを有する多数の分割線Lm pが定められる。ここで、p及びmはn以下の奇数の自然数であり、分割線Lm pはまた上側mPi境界線に接するとともに下側pPi境界線にも接するように延在している。図8に例として分割線L7 3、L5 3、L5 5、L3 5及びL3 7が示されている。
nPi収集において、lは値1,3,…,nであり、uは値3,…,n-2であり、vは値1,3,…,n-2であるとして、フィルタラインFl (R)、Gu (R)及びGv (L)が定められる。
フィルタラインFl (R)はもっぱらlPi境界線間に延在し、フィルタラインGu (R)はもっぱらuPi境界線間に延在し、フィルタラインGv (L)はもっぱらvPi境界線間に延在している。
フィルタラインFl (R)及びGu (R)のフィルタ方向88は、平面状検出器表面60上で、図7乃至14に示される検出器表面60及び(uP1,vP1)座標系62の向きにおいて、実質的に左から右へ、すなわち、実質的に(uP1,vP1)座標系62のvP1軸の向きに延在している。フィルタラインGv (L)のフィルタ方向86は、平面状検出器表面60上で、図7乃至14に示される検出器表面60及び(uP1,vP1)座標系62の向きにおいて、実質的に右から左へ、すなわち、実質的に(uP1,vP1)座標系62のvP1軸の向きとは反対に延在している。図9乃至14には矢印86、88によって幾つかのフィルタ方向が指し示されている。
フィルタリングされるべき各測定値は、フィルタラインFl (R)、Gu (R)及びGv (L)の少なくとも1つに割り当てられ、これら割り当てられたフィルタラインはそれぞれの測定値を通って延在している。
数式(8)又は(9)に従ってフィルタリングされる測定値のフィルタラインFl (R)の経路は、この測定値が平面状検出器表面60上で分割線Llの上方に位置する場合、測定値に割り当てられたフィルタラインFl (R)の平面状検出器表面60上への投影が、上側lPi境界線の平面状検出器表面60上への投影に接して延在するように定められる。これに該当せず、この測定値が平面状検出器表面60上で分割線L-lの上方に位置する場合、フィルタラインFl (R)は、測定値に割り当てられたフィルタラインFl (R)の平面状検出器表面60上への投影が、分割線Llの平面状検出器表面60上への投影に平行に延在するように定められる。これにも該当しない場合、フィルタラインFl (R)は、測定値に割り当てられたフィルタラインFl (R)の平面状検出器表面60上への投影が、下側lPi境界線の平面状検出器表面60上への投影に接して延在するように定められる。
故に、フィルタラインFl (R)の投影は、とりわけ、上側又は下側のlPi境界線の投影に接して延在する。この場合、さらに、このフィルタラインFl (R)が概念的な平面状検出器表面上で上側又は下側のlPi境界線に接近するのは、このフィルタラインFl (R)が割り当てられたフィルタリング対象の測定値の左又は右の何れであるのかが決定される。すなわち、その接点がフィルタリング対象測定値の左又は右の何れに位置するかが決定される。
上側lPi境界線に接して延在するフィルタラインFl (R)の接点の位置を決定するため、最初に、分割線Llの接点、すなわち、分割線Llが上側lPi境界線に接触する点が決定される。フィルタラインFl (R)が割り当てられたフィルタリング対象測定値が概念的な平面状検出器上でこの接点の左に配置されている場合、フィルタラインFl (R)の接点はフィルタリング対象測定値の右側にある。これに該当しない場合には、フィルタラインFl (R)の接点は概念的な平面状検出器表面上でフィルタリング対象測定値の左側にある。
下側lPi境界線に接して延在するフィルタラインFl (R)の接点の位置を決定するため、最初に、分割線L-lの接点、すなわち、分割線L-lが下側lPi境界線に接触する点が決定される。フィルタラインFl (R)が割り当てられたフィルタリング対象測定値が概念的な平面状検出器上でこの接点の左に配置されている場合、フィルタラインFl (R)の接点はフィルタリング対象測定値の右側にある。これに該当しない場合には、フィルタラインFl (R)の接点は概念的な平面状検出器表面上でフィルタリング対象測定値の左側にある。
数式(8)又は(9)に従ってフィルタリングされる測定値のフィルタラインGu (R)の経路は、変数t及びxをゼロに設定し、且つ、測定値に割り当てられて経路が決定されるべきフィルタラインGu (R)に関して経路が決定されるまで、あるいは(u-t)が3より小さくなるか(3+x)がuより大きくなるかまで、以下の段階α)乃至δ)を実行することによって定められる。
α)この測定値が平面状検出器表面60上で分割線Lu-t 3+xの上方に位置するかどうかを検査する。上方に位置する場合、この測定値に割り当てられたフィルタラインGu (R)の平面状検出器表面60上への投影は、上側(u-t)Pi境界線の平面状検出器表面60上への投影に接して延在する。
β)値2を変数tに加算する。
γ)個々の測定値が分割線Lu-t+2 3+xの上方に位置しない場合(すなわち、段階αでフィルタラインGu (R)に関して経路が決定されていない場合)であり、且つ(u-t)が3以上である場合、変数tが2だけ増加されたことを考慮に入れて、この測定値が平面状検出器表面60上で分割線Lu-t 3+xの上方に位置するかどうかが検査される。上方に位置する場合、この測定値に割り当てられたフィルタラインGu (R)の平面状検出器表面60上への投影は、下側(3+x)Pi境界線の平面状検出器表面60上への投影に接して延在する。
δ)値2を変数xに加算する。
測定値に割り当てられたフィルタラインGu (R)の経路を段階α)乃至δ)にて決定することができなかった場合、すなわち、(u-t)が3より小さくなるか(3+x)がuより大きくなるかしたために、段階α)乃至δ)によるフィルタラインGu (R)の経路決定が終了してしまった場合、この測定値に割り当てられたフィルタラインGu (R)は下側uPi境界線に接して延在する。
フィルタラインGu (R)に関しては、フィルタラインGu (R)が下側3Pi、5Pi、…、又はuPi境界線に接して延在するとき、その接点はこのフィルタラインが割り当てられたフィルタリング対象測定点の左側にある。逆に、フィルタラインGu (R)が上側3Pi、5Pi、…、又はuPi境界線に接して延在するときには、この接点はフィルタリング対象測定点の右側にある。
数式(8)又は(9)に従ってフィルタリングされる測定値のフィルタラインGv (L)の経路は、変数t及びxをゼロに設定し、且つ、測定値に割り当てられて経路が決定されるべきフィルタラインGv (L)に関して経路が決定されるまで、あるいは(v-t)が1より小さくなるか(1+x)がvより大きくなるかまで、以下の段階ε)乃至ι)を実行することによって定められる。
ε)この測定値が平面状検出器表面60上で分割線Lv-t -(1+x)の上方に位置するかどうかを検査する。上方に位置する場合、測定値に割り当てられたフィルタラインGv (L)の平面状検出器表面60上への投影は、下側(1+x)Pi境界線の平面状検出器表面60上への投影に接して延在する。
ζ)値2を変数tに加算する。
η)個々の測定値が分割線Lv-t+2 -(1+x)の上方に位置しない場合(すなわち、段階εでフィルタラインGv (L)に関して経路が決定されていない場合)であり、且つ(v-t)が1以上である場合、変数tが2だけ増加されたことを考慮に入れて、この測定値が平面状検出器表面60上で分割線Lv-t -(1+x)の上方に位置するかどうかが検査される。上方に位置する場合、この測定値に割り当てられたフィルタラインGv (L)の平面状検出器表面60上への投影は、下側(1+x)Pi境界線の平面状検出器表面60上への投影に接して延在する。
ι)値2を変数xに加算する。
測定値に割り当てられたフィルタラインGv (L)の経路を段階ε)乃至ι)にて決定することができなかった場合、すなわち、(v-t)が1より小さくなるか(1+x)がvより大きくなるかしたために、段階ε)乃至ι)によるフィルタラインGv (L)の経路決定が終了してしまった場合、この測定値に割り当てられたフィルタラインGv (L)は下側vPi境界線に接して延在する。
フィルタラインGv (L)に関しては、フィルタラインGv (L)が上側Pi、5Pi、…、又はvPi境界線に接して延在するとき、その接点はこのフィルタラインが割り当てられたフィルタリング対象測定点の左側にある。逆に、フィルタラインGv (L)が下側Pi、5Pi、…、又はvPi境界線に接して延在するときには、この接点はフィルタリング対象測定点の右側にある。
図9乃至14には例として幾つかのフィルタラインの経路が示されている。これらの図においては各フィルタラインは破線で示されている。図9には幾つかのフィルタラインF1 (R)が、図10には幾つかのフィルタラインF3 (R)が、各々、5Pi相対運動の場合について示されている。図11には幾つかのフィルタラインG1 (L)が、図12には幾つかのフィルタラインG3 (L)が、同様に5Pi相対運動の場合について示されている。図13には幾つかのフィルタラインG3 (R)が、図14には幾つかのフィルタラインG5 (R)が、各々、7Pi相対運動の場合について示されており、上側7Piラインには参照符号90が、下側7Piラインには参照符号93が付されている。
測定値に割当てられるフィルタライン数は、故に、検出器表面上でのその位置と選択されたnPi相対運動の“n”とに依存する。
測定値が2つのPi境界線間に位置する場合、フィルタラインF1 (R)、F3 (R)、…、Fn (R)、G3 (R)、G5 (R)、…、Gn-2 (R)、G1 (L)、G3 (L)、…、Gn-2 (L)がその測定値に割り当てられる。1<r<nとして、測定値が2つのrPi境界線間に位置するが2つの(r-2)Pi境界線間には位置しない場合、フィルタラインFr (R)、Fr+2 (R)、…、Fn (R)、Gr (L)、Gr+2 (L)、…、Gn-2 (L)、Gr (R)、Gr+2 (R)、…、Gn-2 (R)がその測定値に割り当てられる。測定値が2つのnPi境界線間に位置するが2つの(n-2)Pi境界線間には位置しない場合、フィルタラインFn (R)がその測定値に割り当てられる。
例えば、5Pi相対運動においては、フィルタラインF1 (R)、F3 (R)、F5 (R)、G3 (R)、G1 (L)、及びG3 (L)が、Pi境界線間に位置する測定値に割り当てられる。フィルタラインF3 (R)、F5 (R)、G3 (R)、及びG3 (L)が、3Pi境界線間に位置するがPi境界線間に位置しない測定値に割り当てられる。そして最後に、フィルタラインF5 (R)が、5Pi境界線間に位置するが3Pi境界線間に位置しない測定値に割り当てられる。
フィルタラインFl (R)、Gu (R)及びGv (L)は、具体的な配置に関して、すなわち、検出器表面上での測定値の具体的な位置に関して、用いられる収集幾何学配置、すなわち、コンピュータ断層撮影の寸法及び選定されたピッチにもっぱら依存する。既知の収集幾何学配置においては、故に、フィルタラインFl (R)、Gu (R)及びGv (L)は、段階105の最初ではなく直ちに決定されることができる。
次に、段階106にて、平面状検出器60上に投影された測定値は、数式(8)及び(9)に従って段階105にて予め決定されたフィルタライン及びフィルタ方向に沿ってフィルタリングされ、それにより、測定値及び付随するフィルタラインごとに、それぞれの中間フィルタ値が決定される。
この目的のため、先ず、フィルタリング対象測定値及びこの測定値に割り当てられたフィルタラインが選択される。このフィルタラインに沿って、このフィルタライン上にある測定値は各々、フィルタ方向にκ係数を乗算されて足し合わされる。このとき、κ係数はκ角の正弦の増加につれて減少する。κ係数は具体的にはκ角の正弦の逆数に等しい。足し合わされた結果が中間フィルタ値となる。フィルタリング対象測定値の全てのフィルタラインに対してこれが繰り返され、この測定値とこの測定値に割当てられた各フィルタラインとに対して、それぞれの中間フィルタ値が決定される。すなわち、測定値に割り当てられた各フィルタラインに中間フィルタ値が割り当てられる。
κ角の正弦の逆数はκフィルタとして知られており、κ角の正弦の逆数に対応する関数であるがそれを正確に表さない関数もまたκフィルタとして知られている。例えば、上記逆数のテイラー展開もまたκフィルタとして知られている。
フィルタリングされるべき測定値、及びこの測定値に割り当てられたフィルタラインに関する中間フィルタ値を決定するため、このフィルタライン上に位置する測定値群は好ましくは、それらがこのフィルタライン上でκ角に関して等間隔に配置されるように、平面状検出器60上で補間される。そして、数式(8)又は(9)に従って、補間された測定値群はフィルタラインに沿ってκ係数を乗算され且つ足し合わされて、中間フィルタ値が形成される。このκ係数の乗算及び足し合わせはフーリエ変換による既知の手法で実行され得る。
ここでは、フィルタリングは平面状検出器上で実行された。他の例では、如何なる望ましい検出器上でも実行され得る。そのとき、測定値及びフィルタラインはこの検出器上に投影されなければならない。特に、段階104にて実行された平面状検出器上への投影が省略され得るように、上記の中心を焦点とする検出器上で測定値をフィルタリングすることは合理的なものとなり得る。
段階107にて、中間フィルタ値から第1及び第2のフィルタ値が決定される。この目的のため、測定値の中間フィルタ値が、それらがフィルタラインFn-2 (R)、Fn (R)、Gn-2 (R)、Gn-2 (L)に割り当てられている範囲で線形に結合され、この測定値に関する第1のフィルタ値Pgが形成される(これは、数式(8)における係数μq,gの乗算と足し合わせとに相当する)。さらに、測定値の中間フィルタ値が、それらがフィルタラインF1 (R)、F3 (R)、…、Fn-2 (R)、G1 (L)、G3 (L)、…、Gn-2 (L)、G3 (R)、G5 (R)、…、Gn-2 (R)に割り当てられている範囲で線形に結合され、この測定値に関する第2のフィルタ値Pugが形成される(これは、数式(9)における係数μq,ugの乗算と足し合わせとに相当する)。
線形結合により第1のフィルタ値Pgを決定する際、フィルタラインFn-2 (R)、Fn (R)、Gn-2 (R)、Gn-2 (L)に割り当てられた中間フィルタ値には、以下のようにフィルタ係数μq,gが乗じられる:
− フィルタラインFn-2 (R)に割り当てられた中間フィルタ値にはフィルタ係数-1が乗じられる、
− フィルタラインFn (R)に割り当てられた中間フィルタ値にはフィルタ係数1が乗じられる、
− フィルタラインGn-2 (R)に割り当てられた中間フィルタ値にはフィルタ係数1/2が乗じられる、
− フィルタラインGn-2 (L)に割り当てられた中間フィルタ値にはフィルタ係数-1/2が乗じられる。
線形結合により第2のフィルタ値Pugを決定する際、フィルタラインF1 (R)、F3 (R)、…、Fn-2 (R)、G1 (L)、G3 (L)、…、Gn-2 (L)、G3 (R)、G5 (R)、…、Gn-2 (R)に割り当てられた中間フィルタ値には、以下のようにフィルタ係数μq,ugが乗じられる:
− フィルタラインF1 (R)に割り当てられた中間フィルタ値にはフィルタ係数n/3が乗じられる、
− フィルタラインFn-2 (R)に割り当てられた中間フィルタ値にはフィルタ係数n/(n-2)が乗じられる、
− 1<k<n-2として、フィルタラインFk (R)に割り当てられた中間フィルタ値にはフィルタ係数2n/(k(k+2))が乗じられる、
− フィルタラインGn-2 (R)に割り当てられた中間フィルタ値にはフィルタ係数n/(2(n-2))が乗じられる、
− z<n-2として、フィルタラインGz (R)に割り当てられた中間フィルタ値にはフィルタ係数-n/(z(z+2))が乗じられる、
− フィルタラインGn-2 (L)に割り当てられた中間フィルタ値にはフィルタ係数n/(2(n-2))が乗じられる、
− d<n-2として、フィルタラインGd (L)に割り当てられた中間フィルタ値にはフィルタ係数n/(d(d+2))が乗じられる。
測定値の第1のフィルタ値Pgを決定するため、その測定値にフィルタラインFn-2 (R)、Fn (R)、Gn-2 (R)及びGn-2 (L)の何れが割り当てられているかが最初に調べられる。これら割り当てられたフィルタライン毎に、それぞれの中間フィルタ値が決定される。決定された各々の中間フィルタ値は対応する上述のフィルタ係数を掛け合わされる。そして、それぞれのフィルタ係数を掛け合わされた中間フィルタ値が足し合わされ、第1のフィルタ値Pgが形成される。
これに対応して、測定値の第2のフィルタ値Pugを決定するため、その測定値にフィルタラインF1 (R)、F3 (R)、…、Fn-2 (R)、G1 (L)、G3 (L)、…、Gn-2 (L)、G3 (R)、G5 (R)、…、Gn-2 (R)の何れが割り当てられているかが最初に調べられる。これら割り当てられたフィルタライン毎に、それぞれの中間フィルタ値が決定される。決定された各々の中間フィルタ値は対応する上述のフィルタ係数を掛け合わされる。そして、それぞれのフィルタ係数を掛け合わされた中間フィルタ値が足し合わされ、第2のフィルタ値Pugが形成される。
この方法は、nPi相対運動においてnPi境界線間に位置する測定値の各々に対して繰り返され、それにより、これらの測定値の各々に対して、対応するフィルタラインが該測定値に割り当てられているとき、第1及び/又は第2のフィルタ値が決定される。
第1のフィルタ値は第1のグループを形成し、第2のフィルタ値は第2のグループを形成する。
段階108にて、第1のフィルタ値Pg、すなわち、第1のグループのフィルタ値は対象物の運動に応じて重み付けられる。
第1のフィルタ値の各々は、同一時点で収集された測定値から決定されている。すなわち、第1のフィルタ値の各々は一時点、故に心電図を考えるときには1つの心臓の運動位相、に割り当てられ得る。第1のフィルタ値を重み付けするため、例えば心臓撮像から知られる重み付け手法が用いられ得る。唯一の違いは、測定値の代わりに第1のフィルタ値が対象物の運動に応じて重み付けられることである。これらの重み付け手法は、例えば、R.Manzke、T.Nielsen、G.Shechter、D.Hawkesの「Adaptive temporal resolution in medical cardiac cone beam CT reconstruction」(2003年12月、Medical Physics 第30巻、第12号、p.3072-3080)により当業者に知られており、それ故に、第1のフィルタ値の重み付けの詳細は簡潔に述べるのみとする。
検査対象物の周期運動は、測定値の収集中に記録される心電図に基づいて知られる。他の実施形態においては、対象物の運動は上述のように異なる手法で決定されることもできる。故に、運動周期内の何れの時間範囲で対象物はよりゆっくりと動いているか及び何れの時間範囲で対象物はより素早く動いているか、すなわち、何れの時間範囲で対象物は他の時間範囲よりも素早く動いているかが知られる。故に、期間に関して基本となる時点が定められる。これは、好ましくは、周期内で対象物が比較的少ししか動かない時間範囲の中心に位置する。
通例、対象物が比較的少ししか動かないような周期内の時間範囲は知られており、それ故に、運動周期に関して基本となる時点は前もって決定されることが可能である。例えば人間の心臓の場合、それは70%-RR付近の時間範囲において比較的少ししか動かないことが知られている。つまり、基本となる時点が、隣接する2つのRピーク間の間隔である固有の時間範囲の70%が取り除かれた時点に相当する70%-RRにあるとき、人間の心臓は比較的少ししか動かないことが知られている。
対象物が可能な限り少ししか動かない時間範囲に位置する基本となる時点はまた、例えば、R.Manzke、Th.Kohler、T.Nielsen、D.Hawkes、M.Grassの「Automatic phase-determination for retrospectively gated cardiac CT」(2004年12月、Medical Physics 第31巻、第12号、p.3345-3362)に記載された手法によって決定されてもよい。
対象物が心臓であるとき、基本となる時点は好ましくは収縮期ではなく拡張期に位置する。何故なら、心臓は拡張期において収縮期においてよりも動かないからである。
基本となる時点の各々の前後には所定の長さの時間範囲が存在し、基本となる時点はそれぞれの時間範囲の中心を形成する。この時間範囲の長さは、再構成に必要とされる角度範囲を与える測定値が幾つあるかに依存する。故に、この時間範囲の長さは、重み付けの後に、適用される再構成方法に必要な測定値量が利用可能になるように選択されるべきである。
この実施形態においては、時間範囲はボクセル毎に決定される。そのとき、それぞれのボクセルに関する時間範囲は、対象物の運動に応じた重み付けの後に、重み付けられた第1のフィルタ値に関するPi基準がそれぞれのボクセルに対して満たされるほどに大きくされる。Pi基準については詳細に後述する。
基本となる時点が決定され、且つこの基本となる時点の周りに時間範囲が設定されると、これらの時間範囲内に収集された測定値から決定された第1のフィルタ値に1が乗じられる。残りの第1のフィルタ値には0が乗じられ、後述される逆投影において無視される。
重み付けられた第1のフィルタ値に関するボクセルのPi基準が満たされるかどうかは、次のようにして確認されることができる。最初に、回転軸に垂直であり且つこのボクセルを通る平面が定められる。続いて、この平面上に、このボクセルを通る光線であり、それに付随する測定値が上記の基本となる時点の周りの時間範囲内の時点で収集されている光線、を測定中に発する螺旋領域が、回転軸の方向に投影される。この平面上に投影されたこれらの螺旋区画が、このボクセルを通る直線を境界とする円弧を形成するとき、このボクセルに関するPi基準は満たされていることになる。
上述のように、この対象物の運動に応じた重み付けは、単なる一例を表すものである。例えば、第1のフィルタ値と基本となる時点との間隔に応じて重み付けられる手法といった、その他の既知の手法もまた、対象物の運動に応じた第1のフィルタ値を重み付けるために使用されることができる。
段階109にて、検査領域内の吸収分布を再構成するため、重み付けられた第1のフィルタ値、及び第2のフィルタ値は、実質的に次式に従って逆投影される:
Figure 2008529637
このとき、2つのnPi境界線間にある測定値及びフィルタ値のみが考慮される。ただし、fg(x)は検査領域内の位置xにおけるCT画像の値であり、重み付けられた第1のフィルタ値の逆投影により得られたものである。また、fug(x)は検査領域内の位置xにおけるCT画像の値であり、第2のフィルタ値の逆投影により得られたものである。
先ず、重み付けられた第1のフィルタ値が逆投影される。
この逆投影について、図15に例示されたフローチャートを参照しながら説明する。他の例では、その他の既知の逆投影法が用いられ得る。
段階201にて、位置x及びこの位置に配置されたボクセルV(x)が検査領域の事前定義可能な視野(FOV)内に予め定められる。このとき、先の逆投影段階で未だ再構成されていないボクセルV(x)が選択される。
続いて段階203にて、ボクセルV(x)の中心を通りnPi境界線間の検出器表面に入射する光線を放射する角度位置s又は放射線源位置y(s)の数が決定される。
段階205にて、ボクセルV(x)の再構成に未だ使用されていない角度位置sが、段階203で決定された角度位置の中から予め定められる。
段階207にて、所定の角度位置sにより決定される放射線源位置y(s)から放射されてボクセルV(x)の中央を通る光線に対して、1つの重み付けられたフィルタ値が決定される。この実施形態においてのように、各々が測定値を記録する幾つかの長方形の検出素子から検出器表面が成る場合で、光線がある1つの検出素子の中央に入射する場合、この検出器画素により記録された測定値に割り当てられている重み付けられた第1のフィルタ値がこの光線に対して決定される。また、この光線がある1つの検出素子の中央に入射しない場合、重み付けられた第1のフィルタ値は、光線が入射した検出素子により記録された測定値に割り当てられている重み付けられた第1のフィルタ値と、隣接する重み付けられた第1のフィルタ値とから、例えば双一次補間(bilinear interpolation)による補間によって決定される。しかしながら、上述のように、第1のフィルタ値に1又は0が乗じられる場合、重み付けられた第1のフィルタ値が段階207にて決定されるのは、当然ながら、放射線源が、基本となる時点の前後に配置された時間範囲の1つ内に位置する時点において段階205にて予め定められた角度位置を前提とするときのみである。これに該当しない場合、手順は直接的に段階213に続けられ得る。
段階207にて決定された重み付けられた第1のフィルタ値は、段階209にて、更なる重み付け係数を乗じられる。この更なる重み付け係数は、段階201にて予め定められた位置xからの放射線源y(s)の距離が増大するにつれて小さくなるものである。この実施形態においては、数式(10)に従って、この重み付け係数は1/|x-y(s)|に等しい。
段階211にて、好ましくは初期的に同一であるボクセルV(x)に、重み付けられたフィルタ値が足し合わされる。
段階213にて、段階203にて決定された角度位置数の全ての角度位置sがボクセルV(x)の再構成に考慮されたかどうかが確認される。全てが考慮されていない場合、このフローチャートは段階205へと分岐する。逆の場合、段階215にて、FOV内の全てのボクセルV(x)が再構成されたかどうかが確認される。全てのボクセルが再構成されていない場合、この手順は段階201に続けられる。逆に、FOV内の全てのボクセルV(x)が終了されている場合、FOV全体の吸収、ひいてはCT画像は決定されており、この重み付けられた第1のフィルタ値の逆投影は終了される。
これに対応して、第2のフィルタ値が逆投影される。すなわち、段階201乃至215に関連して説明されたように、第2のフィルタ値が逆投影される(上述の記載において、重み付けられた第1のフィルタ値が第2のフィルタ値に置き換えられる)。
重み付けられた第1のフィルタ値、及び第2のフィルタ値の逆投影により決定されたCT画像はボクセル毎に足し合わされ、この足し合わせから、決定的に再構成された検査領域のCT画像が得られ、これにより、本発明に従ったコンピュータ断層撮影方法は終了される(段階110)。
他の例では、重み付けられた第1のフィルタ値、及び第2のフィルタ値は逆投影に先立って結合、すなわち、例えば、線形結合されたり足し合わされたりすることができる。このとき、結合されたフィルタ値のみが最終的なCT画像に逆投影されることになる。
本発明に従った方法を実施可能なコンピュータ断層撮影装置を示す図である。 本発明に従った方法を示すフローチャートである。 Pi相対運動の場合の、螺旋軌道、放射線源、焦点を中心とした平面状の検出器表面を示す斜視図である。 3Pi相対運動における、螺旋軌道、放射線源、焦点を中心とした平面状の検出器表面を示す斜視図である。 相異なる放射線源位置から放射され、同一行の検出器に入射する平行光線を示す斜視図である。 螺旋軌道の一部、放射線源、及び平面状の検出器表面を示す斜視図である。 5Pi相対運動における、平面状の検出器表面上でのmPi境界線及び分割線の経路を示す図である。 7Pi相対運動における、平面状の検出器表面上でのmPi境界線及び分割線の経路を示す図である。 5Pi相対運動におけるフィルタラインの経路を示す図である。 5Pi相対運動におけるフィルタラインの経路を示す図である。 5Pi相対運動におけるフィルタラインの経路を示す図である。 5Pi相対運動におけるフィルタラインの経路を示す図である。 7Pi相対運動におけるフィルタラインの経路を示す図である。 7Pi相対運動におけるフィルタラインの経路を示す図である。 フィルタ補正逆投影法のフローチャートである。

Claims (16)

  1. a)放射線源によって、検査領域及びその中に配置された周期運動する対象物を通過する円錐ビーム束を生成する段階、
    b)放射線源と検査領域との間に、回転軸についての回転及び該回転軸に平行な移動方向への移動を有し且つ螺旋の形態をとる、nPi相対運動を生成する段階、
    c)nPi相対運動中に、検出器ユニットによって、検査領域の反対側でビーム束の強度に応じた測定値を収集する段階、
    d)測定値をフィルタリングすることによってフィルタ値を決定し、且つフィルタ値を相異なるグループに分類する段階、
    e)少なくとも1つのグループのフィルタ値を対象物の運動に応じて重み付けする段階であり、幾つかのグループのフィルタ値が重み付けされるとき、相異なるグループのフィルタ値は対象物の運動に応じて異なるように重み付けされる段階、及び
    f)フィルタ値から検査領域のCT画像を再構成する段階、
    を有するコンピュータ断層撮影方法。
  2. 段階f)にて、再構成はフィルタ値を検査領域に逆投影することによって実行されることを特徴とする請求項1に記載のコンピュータ断層撮影方法。
  3. 段階d)にて、測定値はκフィルタを用いてフィルタリングされることを特徴とする請求項1に記載のコンピュータ断層撮影方法。
  4. 段階d)におけるフィルタリングに先立って、各測定値が光線に割り当てられ、付随する光線が平行に走る測定値群が、これら平行な光線群が放射される放射線源の螺旋上での角度位置に部分的に従って導出されることを特徴とする請求項1に記載のコンピュータ断層撮影方法。
  5. 段階d)にて、フィルタ値は、相異なるグループのフィルタ値は、様々な頻度で前記螺旋と交差するラドン平面の寄与を有するように、測定値をフィルタリングすることによってフィルタリングされ且つグループに分類されることを特徴とする請求項1に記載のコンピュータ断層撮影方法。
  6. 或るグループのフィルタ値は、対象物の運動に応じて、該グループのフィルタ値に寄与するラドン平面が前記螺旋と交差する頻度が高いほど重く重み付けされることを特徴とする請求項5に記載のコンピュータ断層撮影方法。
  7. 段階d)にて、第1及び第2のフィルタ値が、該第1のフィルタ値は前記螺旋と少なくともn回交差するラドン平面の寄与を有し、且つ該第2のフィルタ値は前記螺旋とn回より少なく交差するラドン平面の寄与を有するように、測定値をフィルタリングすることによって決定され、
    段階d)におけるフィルタ値は、第1のフィルタ値が第1のグループを形成し且つ第2のフィルタ値が第2のグループを形成するように、相異なるグループに分類され、且つ
    段階e)にて、第1のグループのフィルタ値は、対象物の運動に応じて、第2のグループのフィルタ値より重く重み付けされることを特徴とする請求項1に記載のコンピュータ断層撮影方法。
  8. 段階d)にて、測定値ごとに、第1及び/又は第2フィルタ値が:
    − 該測定値に少なくとも1つのフィルタラインを割り当てる段階であり、
    該測定値が2つのPi境界線間に位置するとき、lを値1、3、…、nとし、uを値3、…、n-2とし、そしてvを値1、3、…、n-2として、フィルタラインFl (R)、Gu (R)及びGv (L)が該測定値に割り当てられ、
    そのとき、1<r<nとして、該測定値が2つのrPi境界線間に位置するが2つの(r-2)Pi境界線間には位置しない場合、フィルタラインFr (R)、Fr+2 (R)、…、Fn (R)、Gr (L)、Gr+2 (L)、…、Gn-2 (L)、Gr (R)、Gr+2 (R)、…、Gn-2 (R)が該測定値に割り当てられ、
    該測定値が2つのnPi境界線間に位置するが2つの(n-2)Pi境界線間には位置しない場合、フィルタラインFn (R)が該測定値に割り当てられる段階、
    − 該測定値に割り当てられたフィルタラインごとに、該フィルタライン上に位置する測定値群をフィルタリングすること、及びフィルタリングされた測定値を足し合わせることによって中間フィルタ値を決定する段階であり、それにより、該測定値に割り当てられたフィルタラインごとに、該測定値及び該フィルタラインに割り当てられた中間フィルタ値が決定される段階、
    − フィルタラインFn-2 (R)、Fn (R)、Gn-2 (R)及びGn-2 (L)に割り当てられた該測定値の中間フィルタ値の線形結合により第1のフィルタ値を形成する段階、及びフィルタラインF1 (R)、F3 (R)、…、Fn-2 (R)、G1 (L)、G3 (L)、…、Gn-2 (L)、G3 (R)、G5 (R)、…、Gn-2 (R)に割り当てられた該測定値の中間フィルタ値の線形結合により第2のフィルタ値を形成する段階とから成る形成段階であり、
    付随する少なくとも1つのフィルタラインFl (R)、Gu (R)及びGv (L)の経路を決定するため、先ず、m=1、3、…、n及びp=1、3、…、nとして分割線Lm、L-m、Lm p及びLm -pが決定され、回転軸を含み且つ表面法線がぞれぞれの放射線源位置を通る概念的な平面状検出器表面へのこれらラインの投影は:
    ア)分割線L1の投影が、放射線源の位置の前記平面状検出器表面上への投影の微分方向に平行であり、
    イ)分割線L-1の投影が分割線L1の投影と同一であり、
    ウ)m>1の場合の分割線Lmの投影が、分割線L1の投影に平行であり、且つ上側mPi境界線の前記平面状検出器表面上への投影に接しており、
    エ)m>1の場合の分割線L-mの投影が、分割線L1の投影に平行であり、且つ下側mPi境界線の前記平面状検出器表面上への投影に接しており、
    オ)分割線Lm -pの投影が、上側mPi境界線の前記平面状検出器表面上への投影に接し、下側pPi境界線の前記平面状検出器表面上への投影に接し、且つ前記平面状検出器表面に関して負の傾きを有し、且つ
    カ)分割線Lm pの投影が、上側mPi境界線の前記平面状検出器表面上への投影に接し、下側pPi境界線の前記平面状検出器表面上への投影に接し、且つ前記平面状検出器表面に関して正の傾きを有する、
    ように延在し、
    該測定値に割り当てられたフィルタラインFl (R)、Gu (R)及びGv (L)は、該測定値を通って延在し、そのとき、フィルタラインFl (R)はもっぱらlPi境界線間に延在し、フィルタラインGu (R)はもっぱらuPi境界線間に延在し、フィルタラインGv (L)はもっぱらvPi境界線間に延在し、且つ
    i)或る測定値に割り当てられたフィルタラインFl (R)の前記平面状検出器表面上へ投影は、その測定値が分割線Llの上方に位置する場合、上側lPi境界線の前記平面状検出器表面上への投影に接して延在し、
    ii)或る測定値に割り当てられたフィルタラインFl (R)の前記平面状検出器表面上への投影は、前記i)に該当せず、且つその測定値が前記平面状検出器表面上で分割線L-lの上方に位置する場合、分割線Llの前記平面状検出器表面上への投影に平行に延在し、
    iii)或る測定値に割り当てられたフィルタラインFl (R)の前記平面状検出器表面上への投影は、前記i)及びii)に該当しない場合、下側lPi境界線の前記平面状検出器表面上への投影に接して延在し、
    iv)或る測定値に割り当てられたフィルタラインGu (R)の経路は、変数t及びxをゼロに設定し、且つ、測定値に割り当てられて経路が決定されるべきフィルタラインGu (R)に関して経路が決定されるまで、あるいは(u-t)が3より小さくなるか(3+x)がuより大きくなるかまで:
    α)該測定値が前記平面状検出器表面上で分割線Lu-t 3+xの上方に位置するかどうかを検査する段階であり、上方に位置する場合、その測定値に割り当てられたフィルタラインGu (R)の前記平面状検出器表面上への投影は、上側(u-t)Pi境界線の前記平面状検出器表面上への投影に接して延在する段階、
    β)値2を変数tに加算する段階、
    γ)該測定値が分割線Lu-t+2 3+xの上方に位置しない場合、すなわち、段階α)でフィルタラインGu (R)に関して経路が決定されていない場合、であり、且つ(u-t)が3以上である場合、変数tが2だけ増加されたことを考慮に入れて、該測定値が前記平面状検出器表面上で分割線Lu-t 3+xの上方に位置するかどうかを検査する段階であり、上方に位置する場合、その測定値に割り当てられたフィルタラインGu (R)の前記平面状検出器表面上への投影は、下側(3+x)Pi境界線の前記平面状検出器表面上への投影に接して延在する段階、及び
    δ)値2を変数xに加算する段階、
    を実行することによって決定され、
    v)段階α)乃至δ)にて、測定値に割り当てられたフィルタラインGu (R)に関してその経路が決定されなかった場合、フィルタラインGu (R)は下側uPi境界線に接して延在し、
    vi)或る測定値に割り当てられたフィルタラインGv (L)の経路は、変数t及びxをゼロに設定し、且つ、測定値に割り当てられて経路が決定されるべきフィルタラインGv (L)に関して経路が決定されるまで、あるいは(v-t)が1より小さくなるか(1+x)がvより大きくなるかまで:
    ε)該測定値が前記平面状検出器表面上で分割線Lv-t -(1+x)の上方に位置するかどうかを検査する段階であり、上方に位置する場合、その測定値に割り当てられたフィルタラインGv (L)の前記平面状検出器表面上への投影は、上側(v-t)Pi境界線の前記平面状検出器表面上への投影に接して延在する段階、
    ζ)値2を変数tに加算する段階、
    η)該測定値が分割線Lv-t+2 -(1+x)の上方に位置しない場合、すなわち、段階ε)でフィルタラインGv (L)に関して経路が決定されていない場合、であり、且つ(v-t)が1以上である場合、変数tが2だけ増加されたことを考慮に入れて、該測定値が前記平面状検出器表面上で分割線Lv-t -(1+x)の上方に位置するかどうかを検査する段階であり、上方に位置する場合、その測定値に割り当てられたフィルタラインGv (L)の前記平面状検出器表面上への投影は、下側(1+x)Pi境界線の前記平面状検出器表面上への投影に接して延在する段階、及び
    ι)値2を変数xに加算する段階、
    を実行することによって決定され、
    vii)段階ε)乃至ι)にて、測定値に割り当てられたフィルタラインGv (L)に関してその経路が決定されなかった場合、フィルタラインGv (L)は下側vPi境界線に接して延在する、
    形成段階、に従って決定されることを特徴とする請求項7に記載のコンピュータ断層撮影方法。
  9. 各フィルタラインにフィルタ方向が割り当てられ、そのとき、前記平面状検出器表面上に投影されたフィルタラインFl (R)及びGu (R)に割り当てられるフィルタ方向は実質的に左から右を向いており、前記平面状検出器表面上に投影されたフィルタラインGv (L)に割り当てられるフィルタ方向は実質的に右から左を向いている、ことを特徴とする請求項8に記載のコンピュータ断層撮影方法。
  10. フィルタラインGv (L)の前記平面状検出器表面上への投影が、s=1、3、…、vを有する上側sPi境界線の1つの投影に接して延在するとき、フィルタラインGv (L)の投影は上側sPi境界線の1つに、フィルタリング対象の測定値の前記平面状検出器表面上への投影の左側に位置する投影領域にて漸近し、
    フィルタラインGv (L)の前記平面状検出器表面上への投影が、s=1、3、…、vを有する下側sPi境界線の1つの投影に接して延在するとき、フィルタラインGv (L)の投影は下側sPi境界線の1つに、フィルタリング対象の測定値の前記平面状検出器表面上への投影の右側に位置する投影領域にて漸近し、
    フィルタラインGu (R)の前記平面状検出器表面上への投影が、p=3、…、uを有する上側pPi境界線の1つの前記平面状検出器表面上への投影に接して延在するとき、フィルタラインGu (R)の投影は該上側pPi境界線に、フィルタリング対象の測定値の前記平面状検出器表面上への投影の右側に位置する投影領域にて漸近し、
    フィルタラインGu (R)の前記平面状検出器表面上への投影が、p=3、…、uを有する下側pPi境界線の1つの投影に接して延在するとき、フィルタラインGu (R)の投影は下側pPi境界線の1つに、フィルタリング対象の測定値の前記平面状検出器表面上への投影の左側に位置する投影領域にて漸近し、
    フィルタラインFl (R)の前記平面状検出器表面上への投影が、上側lPi境界線の前記平面状検出器表面上への投影に接して延在し、且つ分割線Llの前記平面状検出器表面上への投影が上側lPi境界線の投影に接するように接触する位置が、フィルタリング対象の測定値の前記平面状検出器表面上への投影の左側に位置するとき、フィルタラインFl (R)の投影は上側lPi境界線に、フィルタリング対象の測定値の前記平面状検出器表面上への投影の左側に位置する投影領域にて漸近し、
    フィルタラインFl (R)の前記平面状検出器表面上への投影が、上側lPi境界線の前記平面状検出器表面上への投影に接して延在し、且つ分割線Llの前記平面状検出器表面上への投影が上側lPi境界線の投影に接するように接触する位置が、フィルタリング対象の測定値の前記平面状検出器表面上への投影の右側に位置するとき、フィルタラインFl (R)の投影は上側lPi境界線に、フィルタリング対象の測定値の前記平面状検出器表面上への投影の右側に位置する投影領域にて漸近し、
    フィルタラインFl (R)の前記平面状検出器表面上への投影が、下側lPi境界線の前記平面状検出器表面上への投影に接して延在し、且つ分割線L-lの前記平面状検出器表面上への投影が下側lPi境界線の投影に接するように接触する位置が、フィルタリング対象の測定値の前記平面状検出器表面上への投影の左側に位置するとき、フィルタラインFl (R)の投影は下側lPi境界線に、フィルタリング対象の測定値の前記平面状検出器表面上への投影の左側に位置する投影領域にて漸近し、
    フィルタラインFl (R)の前記平面状検出器表面上への投影が、下側lPi境界線の前記平面状検出器表面上への投影に接して延在し、且つ分割線L-lの前記平面状検出器表面上への投影が下側lPi境界線の投影に接するように接触する位置が、フィルタリング対象の測定値の前記平面状検出器表面上への投影の右側に位置するとき、フィルタラインFl (R)の投影は下側lPi境界線に、フィルタリング対象の測定値の前記平面状検出器表面上への投影の右側に位置する投影領域にて漸近する、
    ことを特徴とする請求項8に記載のコンピュータ断層撮影方法。
  11. フィルタラインFn-2 (R)、Fn (R)、Gn-2 (R)及びGn-2 (L)に割り当てられた測定値の中間フィルタ値の線形結合により第1のフィルタ値を形成する前記段階において、
    − フィルタラインFn-2 (R)に割り当てられた中間フィルタ値には係数-1が乗じられ、
    − フィルタラインFn (R)に割り当てられた中間フィルタ値には係数1が乗じられ、
    − フィルタラインGn-2 (R)に割り当てられた中間フィルタ値には係数1/2が乗じられ、
    − フィルタラインGn-2 (L)に割り当てられた中間フィルタ値には係数-1/2が乗じられ、且つ
    フィルタラインF1 (R)、F3 (R)、…、Fn-2 (R)、G1 (L)、G3 (L)、…、Gn-2 (L)、G3 (R)、G5 (R)、…、Gn-2 (R)に割り当てられた測定値の中間フィルタ値の線形結合により第2のフィルタ値を形成する前記段階において、
    − フィルタラインF1 (R)に割り当てられた中間フィルタ値にはn/3が乗じられ、
    − フィルタラインFn-2 (R)に割り当てられた中間フィルタ値にはn/(n-2)が乗じられ、
    − 1<k<n-2として、フィルタラインFk (R)に割り当てられた中間フィルタ値には2n/(k(k+2))が乗じられ、
    − フィルタラインGn-2 (R)に割り当てられた中間フィルタ値には-n/(2(n-2))が乗じられ、
    − z<n-2として、フィルタラインGz (R)に割り当てられた中間フィルタ値には-n/(z(z+2))が乗じられ、
    − フィルタラインGn-2 (L)に割り当てられた中間フィルタ値にはn/(2(n-2))が乗じられ、
    − d<n-2として、フィルタラインGd (L)に割り当てられた中間フィルタ値にはn/(d(d+2))が乗じられる、
    ことを特徴とする請求項8に記載のコンピュータ断層撮影方法。
  12. 段階d)にて、各フィルタ値は段階c)にて同時に収集された測定値群から決定され、且つ、段階e)にて1つのグループのフィルタ値を重み付けするとき、対象物がより素早く動いていた間に収集された測定値から決定されたこのグループのフィルタ値は、対象物がよりゆっくりと動いていた間に収集された測定値から決定されたこのグループの異なるフィルタ値より軽く重み付けされることを特徴とする請求項1に記載のコンピュータ断層撮影方法。
  13. 検査対象物は心臓であり、段階c)における収集中に心電図が同時に記録され、且つ、段階e)にて1つのグループのフィルタ値を重み付けするとき、心臓が拡張期にあった間に収集された測定値から決定されたこのグループのフィルタ値は、心臓が収縮期にあった間に収集された測定値から決定されたこのグループの異なるフィルタ値より重く重み付けされる、ことを特徴とする請求項1に記載のコンピュータ断層撮影方法。
  14. 請求項1に記載の方法を実行するコンピュータ断層撮影装置であって、
    − 検査領域及びその中に配置された対象物を通過する円錐ビーム束を生成する放射線源、
    − 検査領域に配置された対象物と放射線源とを、回転軸の周りで相対的に回転させ、且つ該回転軸に平行に移動させるための駆動構成、
    放射線源に結合された検出器ユニットであり、測定値の収集のための検出器表面を有する検出器ユニット、
    検出器ユニットによって収集された測定値から検査領域のCT画像を再構成する再構成ユニット、及び
    請求項1に記載された段階に従って、放射線源、検出器ユニット、駆動構成及び再構成ユニットを制御する制御ユニット、
    を有するコンピュータ断層撮影装置。
  15. 特に心電計である、対象物の運動を記録する手段を有することを特徴とする請求項14に記載のコンピュータ断層撮影装置。
  16. 請求項1に記載の方法を実行するための請求項14に記載のコンピュータ断層撮影装置の放射線源、検出器ユニット、駆動構成及び再構成ユニットを制御する制御ユニット用のコンピュータプログラム。
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