JP2008291595A - ラッチ錠 - Google Patents
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Abstract
【課題】自由扉の開扉状態に於いて、操作部材をロック状態にしたまま閉扉することができ、かつ確実にラッチング機能を発揮するラッチ錠を提供すること。
【解決手段】戸枠側のラッチ用受け具と、自由扉側の錠箱に傾斜面並びに係止面が互いに反対向きの状態になるように配設された上下の非反転型ラッチが操作部材の操作力によって作動する駆動部材及び該駆動部材と共働する係合作用部材を介して錠箱の内部方向へ後退動する錠本体とから成るラッチ錠に於いて、錠箱にトリガー部材を進退動自在に配設し、このトリガー部材は水平杆部分に錠箱内の制御バネに制御される操作部材用ロック手段を備え、このロック手段は、開扉時に於いて、係合作用部材を拘束する位置へと移動し、閉扉時に於いて、係合作用部材の拘束を解く位置へと移動すること。
【選択図】図2
【解決手段】戸枠側のラッチ用受け具と、自由扉側の錠箱に傾斜面並びに係止面が互いに反対向きの状態になるように配設された上下の非反転型ラッチが操作部材の操作力によって作動する駆動部材及び該駆動部材と共働する係合作用部材を介して錠箱の内部方向へ後退動する錠本体とから成るラッチ錠に於いて、錠箱にトリガー部材を進退動自在に配設し、このトリガー部材は水平杆部分に錠箱内の制御バネに制御される操作部材用ロック手段を備え、このロック手段は、開扉時に於いて、係合作用部材を拘束する位置へと移動し、閉扉時に於いて、係合作用部材の拘束を解く位置へと移動すること。
【選択図】図2
Description
本発明は、自由扉用のラッチ錠に関する。
特許文献1及び特許文献2には、「固定側に取付けられ、かつ自由扉の自由端部に取付けられた錠本体の組となる上下方向の二つの非反転型ラッチ先端部が係脱するラッチ錠用の受け具」がそれぞれ記載されている。
ここでは、特に、特許文献1について記述する。特許文献1の受け具を含むラッチ錠は、次の構成から成る(公報中の符号も入れる)。
すなわち、このラッチ錠は、(A)固定側に取付けるラッチ受部材(50)と、揺動扉側に取付ける突没自在で且つ上下一対となる2つの非反転型ラッチ部材(40a、40b)とを備え、(B)ラッチ受部材50には、ラッチ部材(40a、40b)にそれぞれ対応して扉の揺動方向中央よりにラッチヘッド収容部(52a、52b)と、一のラッチヘッド収容部52aの揺動方向右側と他のラッチヘッド収容部52bの揺動方向左側とに相互に対称的にラッチ係止部(51a、51b)を有し、(C)ラッチ部材の先端部を形成するラッチヘッド(41a、41b)は、ラッチ係止部に当接係止する係止面部(42a、42b)とラッチ係止部(51a、51b)に当接して没入する傾斜面部(43a、43b)とからなる扉の揺動方向断面において略直角三角形に形成してあり、(D)扉が閉じた状態で一のラッチヘッド(41a)と他のラッチヘッド(41b)との係止面部(42a、42b)がそれぞれラッチ係止部(51a、51b)側に位置して相互に対称に有している。
また、特許文献1の図1、図2を参照にすると、錠箱内には、操作部材の操作力により所定方向へ所定量回転するカム爪(32)を有するカム部材(駆動部材30)と、このカム部材の駆動力により錠箱内に後退動する端面コ字形状のラッチ没入部材(係合作用部材20)と、このラッチ没入部材を介して錠箱の内部へと後退する上下の非反転型ラッチ部材(40a、40b)が示されている。
したがって、特許文献1には、「戸枠側に取付けられるラッチ用受け具50と、自由扉に取付けられ、かつ操作部材の操作力によって作動する駆動部材30及び該駆動部材と共働する係合作用部材20を介して上下一対のラッチ40a、40bが錠箱の内部方向へ後退動する錠本体とから成るラッチ錠」が開示されていることに成る。
上記構成のラッチ錠は、開扉時に於いて、例えばハンドル式の操作部材を時計方向に回すと(特許文献1の図2)、ラッチ没入部材(係合作用部材)20は錠箱の後壁側へとスライドすることから、上下のラッチ部材(40a、40b)は、ラッチ没入部材のアーム部の係合爪(22a、22b)により錠箱の内部方向へ引き戻される。この作動態様は、扉を開いた場合に於いて、操作部材を操作した場合も同様である。つまり、特許文献1に記載の発明は、開扉時に操作部材が動く。
ところで、扉が自由扉であると共に、上下一対のラッチ40a、40bの傾斜面43a、43bが互いに反対向きであるラッチ錠の場合には、普通一般に操作部材を操作(回転又は揺動)することができるものの、自由扉を閉めようとする時、操作部材が回転又は揺動することなく、そのまま操作部材を押し込むだけで、或いはそのまま手前に引くだけで閉扉することができれば、操作性が良い(操作性の向上)。
そこで、現在、自由扉の開扉状態に於いて、操作部材をロック状態にしたまま閉扉することができ、かつ確実にラッチング機能を発揮するラッチ錠の出現が要望されている。
特開2006−233462号公報
特開2006−233706号公報
本発明の所期の目的は、自由扉用の非反転型ラッチを備えたラッチ錠の開扉状態に於いて、操作部材をロック状態にしたまま閉扉することができ、かつ確実にラッチング機能を発揮するラッチ錠を提供することである。第2の目的は、望ましくは、閉扉した瞬間に操作部材のロックを解くことができることである。その他各部材を合理的に組み合わせ、構成する部品点数を減らすことである。
本発明のラッチ錠は、戸枠側のラッチ用受け具と、自由扉側の錠箱に傾斜面並びに係止面が互いに反対向きの状態になるように配設された上下の非反転型ラッチが操作部材の操作力によって作動する駆動部材及び該駆動部材と共働する係合作用部材を介して錠箱の内部方向へ後退動する錠本体とから成るラッチ錠に於いて、前記錠箱にトリガー部材を進退動自在に配設し、このトリガー部材は水平杆部分に錠箱内の制御バネに制御される操作部材用ロック手段を備え、このロック手段は、開扉時に於いて、前記係合作用部材を拘束する位置へと移動し、一方、閉扉時に於いて、係合作用部材の拘束を解く位置へと移動することを特徴とする。
また、本発明のラッチ錠は、戸枠側のラッチ用受け具と、自由扉側の錠箱に傾斜面並びに係止面が互いに反対向きの状態になるように配設された上下の非反転型ラッチが操作部材の操作力によって作動する駆動部材及び該駆動部材と共働する係合作用部材を介して錠箱の内部方向へ後退動する錠本体とから成るラッチ錠に於いて、前記錠箱にトリガー部材を進退動自在に配設し、このトリガー部材は水平杆部分に連係するように錠箱に軸支され、かつ錠箱内の制御バネに制御される操作部材用ロック手段を備え、このロック手段は、開扉時に於いて、前記係合作用部材を拘束する位置へと移動し、一方、閉扉時に於いて、係合作用部材の拘束を解く位置へと移動することを特徴とする。
自由扉の開扉状態に於いて、操作部材をロック状態にしたまま閉扉することができ、かつ確実にラッチング機能を発揮する。また、請求項1に記載の発明は、制御バネを備えているので、上下の非反転型ラッチが受け具の側壁部分の縁部に衝接した段階ではなく、前記側壁部分(係合部)を乗り越えて、係入孔に入り込んだ瞬間(閉扉瞬間)に操作部材のロックを解くこと(アンロック状態にすること)ができる。
以下、図1乃至図10に示す本発明を実施するための最良の形態(第1実施例)により説明する。
(1)発明の実施の環境
Xはラッチ錠で、このラッチ錠Xは、扉Yに取付けられる錠本体1と、この錠本体のラッチに対向するように戸枠Zの縦枠に固定される受け具50とから成る。扉Yは、その基端部が戸枠Zの縦枠に蝶番を介して軸支され、水平方向に揺動する自由扉である。扉Yの自由端部に錠本体1が固定されている。
Xはラッチ錠で、このラッチ錠Xは、扉Yに取付けられる錠本体1と、この錠本体のラッチに対向するように戸枠Zの縦枠に固定される受け具50とから成る。扉Yは、その基端部が戸枠Zの縦枠に蝶番を介して軸支され、水平方向に揺動する自由扉である。扉Yの自由端部に錠本体1が固定されている。
まず、錠本体1の構成を説明する。2は扉Yにねじ等で取り付けられた錠箱で、周知のように、錠箱2は、ケース身2aと、ケース蓋2bから構成されている。錠箱2はフロント板3を有し、このフロント板3の中央部寄りの部位と下端部側には、不番の上下のラッチ用開口が形成されている。また、フロント板3の上端部には、不番の固着具用の取付け孔が形成されている。さらに、フロント板3の上端部側には、不番のトリガー用開口が形成されている。
なお、錠箱2の先端部側には、上下の非反転型ラッチ5A、5Bをそれぞれ案内するラッチガイド4が適宜に設けられている。また、トリガー部材21及び係合作用片15をそれぞれ案内する案内水平長孔が形成されている。ここでは、細部的事項の符号や説明は割愛し、主な部材について説明する。
(2)ラッチガイド4
上下のラッチガイド4は、それぞれ上下に位置する水平対向壁を有する。また、錠箱2内には、例えば図示しないラッチ用のロッキングピースを配設することもできるので、水平対向壁には、ロッキングピースの爪状先端部を受け入れる切欠状の不番の開口が形成されている。さらに、上下のラッチガイド4は、本実施例では係合作用部材15の上下のアーム部の各先端部を受け止めるストッパーの役割を果たしている。
上下のラッチガイド4は、それぞれ上下に位置する水平対向壁を有する。また、錠箱2内には、例えば図示しないラッチ用のロッキングピースを配設することもできるので、水平対向壁には、ロッキングピースの爪状先端部を受け入れる切欠状の不番の開口が形成されている。さらに、上下のラッチガイド4は、本実施例では係合作用部材15の上下のアーム部の各先端部を受け止めるストッパーの役割を果たしている。
(3)ラッチ5A、5Bとラッチばね11
符号5A、5Bは、錠箱2の前方に配設された上下一対のラッチである。これらのラッチ5A、5Bは、それぞれ非反転式の通常ラッチである。これらの通常ラッチ5A、5Bは、その後端部がラッチガイド4に案内されるようにフロント板3の上下のラッチ用開口にそれぞれ配設されている。しかも、図3示すように、これらの通常ラッチ5A、5Bは、扉の自由端面から見た場合を基準にすると、ラッチングする係止面6と傾斜面7がそれぞれ相互に対称に位置するように配設されている。
符号5A、5Bは、錠箱2の前方に配設された上下一対のラッチである。これらのラッチ5A、5Bは、それぞれ非反転式の通常ラッチである。これらの通常ラッチ5A、5Bは、その後端部がラッチガイド4に案内されるようにフロント板3の上下のラッチ用開口にそれぞれ配設されている。しかも、図3示すように、これらの通常ラッチ5A、5Bは、扉の自由端面から見た場合を基準にすると、ラッチングする係止面6と傾斜面7がそれぞれ相互に対称に位置するように配設されている。
したがって、図1では、上位のラッチ5Aの係止面6は向こう側に位置し、一方、下位のラッチ5Bの係止面6は手前側に位置している。これに対して、上位のラッチ5Aの傾斜面7は手前側に位置し、一方、下位のラッチ5Bの傾斜面7は向こう側に位置している。
それ故に、これらの通常ラッチ5A、5Bは、特許文献1の上下のラッチ部材と同様の構成である。そこで、ラッチ5A、5Bの構成を簡単に説明する。ここでは、説明の便宜上、係止面6と傾斜面7を有する前側の係合部をラッチ先端部8といい、このラッチ先端部8に水平方向に延在(連設)する後側の係合部をラッチ後端部9という。
しかして、本実施例のラッチ先端部8は、開扉時から閉扉時に於いて、受け具50の係合部51を乗り越える。一方、ラッチ後端部9は横向き凹所状の切欠部分を有し、この切欠部分内に係合作用部材15のアーム部15bの爪部が余裕をもって係合する。ここで「余裕」とは、開扉時から閉扉時に於いて、ラッチ先端部8が受け具50の係合部51を摺接しながら係入穴52へと乗り越える際にラッチバネ11のバネ力に抗して後退することができる所要間隙を意味する。
付言すると、錠箱2の中央部の上側と下側には、上下一対のバネ端支持片12がそれぞれ固定的に設けられ、これらのバネ端支持片12とラッチ5A、5Bのラッチ後端部9の各端面との間に上下のラッチバネ11がそれぞれ配設されている。
したがって、上下のラッチ5A、5Bは、それぞれラッチばね11により錠箱2のフロント板3から突出する方向に常時付勢されていることから、開扉時から閉扉した場合、ラッチばね11のバネ力に抗して後退した後は、ラッチばね11のバネ力により当初の位置へと戻る。
(4)駆動部材14と係合作用片15
錠本体1は、操作部材の操作力によって作動する駆動部材14を有している。駆動部材14は、本実施例ではカム部材であり、操作部材60の軸が嵌合するハブ14a、このハブ14aの外周から半径外方向に指先状に延びる第1係合突部14b、この第1係合突部14bに対して所定間隔離間してハブ14aの外周に設けられた第2係合突部14cをそれぞれ有する。
錠本体1は、操作部材の操作力によって作動する駆動部材14を有している。駆動部材14は、本実施例ではカム部材であり、操作部材60の軸が嵌合するハブ14a、このハブ14aの外周から半径外方向に指先状に延びる第1係合突部14b、この第1係合突部14bに対して所定間隔離間してハブ14aの外周に設けられた第2係合突部14cをそれぞれ有する。
また、錠本体1は、駆動部材14と共働する単数または複数の係合作用部材15を有している。本実施例の係合作用部材15は、図1及び図2で示すように正面視コ字形状に形成され、駆動部材14により水平方向に移動することができるように錠箱2に案内されている。
付言すると、15aは垂直の受け部で、この受け部15aの後面は、上下一対の戻しバネ16の先端部を受けている。一方、受け部15aの前面は、カム部材14の指先状第1係合突部14aを受ける。
また、15bは受け部15aの上下端部に直交方向、かつ前方に延在する上下のアーム部である。これらのアーム部15bの先端部には、図4で示すようにラッチの後端部9にそれぞれ係合する係合爪17が形成されている。また、上下のアーム部15bの各中間部には、錠箱の図示しない水平長孔と係合するカイド突起18がそれぞれ設けられている。
さらに、本実施例では、上側のアーム部15bの先端部には、後述する係合捕捉片31用の係合部(切欠部分、係合溝など)19が形成されている。なお、符号20は駆動部材14の第2係合突部14cと係合するストッパーである。
さらに、本実施例では、上側のアーム部15bの先端部には、後述する係合捕捉片31用の係合部(切欠部分、係合溝など)19が形成されている。なお、符号20は駆動部材14の第2係合突部14cと係合するストッパーである。
(5)トリガー部材
符号21は、錠箱2のフロント板3に配設された一つのトリガー部材である。このトリガー部材21は、フロント板3の上端部側のトリガー用開口に進退動自在に配設されている。このリガー部材21は設計如何によっては2個配設しても良い。また、フロント板3の中間部に配設することもできる。
符号21は、錠箱2のフロント板3に配設された一つのトリガー部材である。このトリガー部材21は、フロント板3の上端部側のトリガー用開口に進退動自在に配設されている。このリガー部材21は設計如何によっては2個配設しても良い。また、フロント板3の中間部に配設することもできる。
さて、本実施例のトリガー部材21は、断面コ字形状のトリガーヘッド22と、このトリガーヘッド22から係合作用片15の上方アーム部15bの先端部に対向するように延在する水平杆部分23と、この水平杆部分23に可動(スライド可能)に設けられ、かつ扉Yを開いた状態で操作部材60の操作を不可とするように直接又は間接的(本実施例)に前記上方アーム部15bの係合部19に係合して係合作用片15をロックする操作部材用ロック手段24と、このロック手段24のスライド位置を制御するように該ロック手段24に対して錠箱2内に配設された複数個の制御バネ25、26とから成る。
なお、制御バネ25、26は、本発明の二次的な目的を考慮して、前側制御バネ25は、後側の制御バネ26よりも弱い(扉の開閉の際におけるロック手段24の位置変位のタイミングを考慮)。
しかして、前記トリガーヘッド22には受け具50と摺接する水平のローラ27が軸支されている。また、前記ロック手段24は、図5で示すように、ドーナツ形状、或は五円玉形状をしており、水平杆部分23の後端部に外嵌合し、その外周面24aは係合捕捉片31の背側の係合部(係合面)に押圧可能である。
さらに、複数個の制御バネ25、26は、トリガーヘッド22とロック手段24との間に介在する前側の制御バネ25と、ロック手段24と錠箱内部の後端部側に固定したバネ端受け28との間に介在する後側の制御バネ26に区分けされ、前後の制御バネ25、26のバネ力は適宜に設定されている。
なお、特に図示しないが、鍔状のロック手段24の外周面24aの適宜箇所には、錠箱2のケース身2a又は/及びケース蓋2bに形成した水平案内長孔に係合するガイド突起が設けられている。また、ロック手段24は水平杆部分23の後端部から外れないように適宜に装着されている。
(6)係合捕捉片31
本実施例では、鍔状ロック手段24は、係合作用部材15の上方のアーム部15bと該ロック手段24との間に回動自在に配設された係合捕捉片31を介して係合作用部材15を拘束又は非拘束状態にする。
本実施例では、鍔状ロック手段24は、係合作用部材15の上方のアーム部15bと該ロック手段24との間に回動自在に配設された係合捕捉片31を介して係合作用部材15を拘束又は非拘束状態にする。
係合捕捉片31は、例えば指先を折り曲げた格好のL形状の係脱レバーであり、その基端部31aは横軸32に軸支され、一方、自由端部31bは係合作用部材15の上方アーム部15bの切欠状係合部19と係脱可能な爪状捕捉部となっている。そして、前記横軸32には、係合捕捉片31を所定方向(非捕捉方向、係合を解く方向)に付勢する付勢バネ33が巻装されている。
(7)主な作用―開扉時、開扉から閉扉へ
図1、図2と共に、図6を参照にして主な作用を説明する。図2は開扉時の状態を示す。また、図6の(a)と(b)は、図2の開扉状態から操作部材60を操作して扉Yを閉めた場合の状態を示す。
図1、図2と共に、図6を参照にして主な作用を説明する。図2は開扉時の状態を示す。また、図6の(a)と(b)は、図2の開扉状態から操作部材60を操作して扉Yを閉めた場合の状態を示す。
まず、図2及び図6の(a)で示す開扉時、トリガー部材21は、受け具50の係合部51から離れたので前進する。そうすると、制御バネ25、26で制御されている鍔状ロック手段24は前方へと位置変位して係合捕捉片31の背側を押圧する。その結果、係合捕捉片31は付勢バネ33のバネ力に抗して係合作用部材15のアーム部15bの係合部19に係合する。この時、鍔状ロック手段24の外周面24aが係合捕捉片31を規制することから、結果的に操作部材60を回転又は揺動操作することができない。つまり、図6の(a)は、開扉時に於いて、ロック手段24が係合捕捉片31を介して係合作用部材を拘束する位置へと移動したことを示す。
そこで、例えば操作部材60がプッシュ・プル方式である場合、操作部材60をプッシュすると、操作部材60は回転や揺動をすることなく、自由扉は閉鎖位置へと回転する。
その時、上下のラッチの先端部8、9は、受け具50の係入穴52を形成する係合部(側壁部分の傾斜状表面とアール乃至平表面)51に衝突状態に摺接(衝接)するが、上下のラッチは、姿勢を維持しながら(反転せず)、ラッチばね11のバネ力に抗してそのままの後退動し、かつ係合部51を乗り越えて受け具50の係入穴52に同時に入り込む。
図6の(b)は、上下のラッチ5A、5Bが受け具50の係入穴52に入り込んだ閉扉時の状態を示す。扉の閉戸時、トリガー部材21のトリガーヘッド22は受け具50の縁部ないし平坦面或いは隆起部分に圧接することから、錠箱2内に後退動する。そうすると、一瞬であるが、前側の制御バネ25が収縮状態となり、その後、直ぐに前側の制御バネ25が復帰し、その結果、ロック手段25が水平杆部分23をスライドして係合捕捉片31の基端部31a側へと位置変位する。
したがって、本実施例では、上下のラッチが同時に受け具50の係入穴52に入り込まない限り、操作部材60を回動操作することができない。それ故に、上下の通常ラッチは、常にラッチング可能な態勢で受け具50の係入穴52に同時に係合する。
ところで、錠本体1が上下のラッチ5A、5B用の図示しないロッキングピースを備えている場合、仮施錠状態にある上下のラッチ5A、5Bを解錠させる場合には、図示しないシリンダ錠に差し込んだ鍵、サムターン方式のカム部材、回転式の操作部材、プッシュ・プル式の操作部材等の操作力により、係合作用部材15に連係するロッキングピースをバネ力に抗して所定方向へと移動させ、かつそれらの先端部を上下のラッチ5A、5Bの係合受け部からそれぞれ同時に係合離脱させる必要があるが、本実施例では発明の限定要件ではないので割愛している。
また、本実施例では、操作部材60はレバー式のハンドルであるが、プッシュ・プル式であっても良い。付言すると、図1の閉扉状態に於いて、扉Yを開く場合には、プッシュ・プル式の操作部材60を、例えばプルする(引く)。そうすると、操作部材60の軸部に連係するように設けられ、かつ錠箱2の側壁に形成した開口を介して錠箱2内に延出する駆動片が所定方向(例えば水平方向)に移動して、係合作用部材15が戻しバネ16のバネ力に抗して所定方向に移動するように構成しても良いことはもちろんである。
(8)受け具
図7乃至図10は、錠本体1に対応する受け具50の一例を示す。本実施例の錠本体1は、錠箱2のフロント板3の上端部側に一つのトリガー部材21を進退動自在に配設し、かつ錠箱2の中心部寄りの部位と下部側に配設した一組のラッチガイド4に上下のラッチ5A、5Bをそのラッチングする係止面6並びに傾斜面7が相互に対称となるように組み込んでいることから、受け具50の係合部51、係入穴52等も錠本体1の上下のラッチ並びにトリガー部材21に対応するように形成されている。
図7乃至図10は、錠本体1に対応する受け具50の一例を示す。本実施例の錠本体1は、錠箱2のフロント板3の上端部側に一つのトリガー部材21を進退動自在に配設し、かつ錠箱2の中心部寄りの部位と下部側に配設した一組のラッチガイド4に上下のラッチ5A、5Bをそのラッチングする係止面6並びに傾斜面7が相互に対称となるように組み込んでいることから、受け具50の係合部51、係入穴52等も錠本体1の上下のラッチ並びにトリガー部材21に対応するように形成されている。
ところで、上下のラッチに対応する左右の係合部51は、それぞれ回転対称であって、かつ、上下に区分された二つの係合部分51a、51bから成っている。
例えば図9を参照に説明すると、一方(左側)の係合部分51aはラッチの係止面(先端)6が摺接する傾斜状のカム面(傾斜状表面)であり、他方(右側)の係合部分51bはラッチの傾斜面7が摺接するアングル形のカム面(アールを有する平表面)となっている。
しかも、図8で示すように、前記一方の傾斜状表面の係合部分51aは、他方のアールを有する平表面の係合部分51bよりも底壁53側に多少落ち込んでいる。なお、左右の係合部51は、それぞれ回転対称であることから、上下のラッチ5A、5Bが係入穴52に落ち込んだ(進入)ときに各ラッチ5A、5Bの係止面6がそれぞれ同時に対向する垂直受け面52a、52aも対角線方向の内面となる。
この欄では、第1実施例に於いて、トリガー部材21の水平杆部分23と、この水平杆部分23に設けたロック手段24との関係(設計変更例)について付言する。なお、設計変更例は、要部の第2実施例並びに第3実施例として位置付け、第1実施例と同一の部分には同様の符号を付し、重複する説明を割愛する。
第1実施例では、「錠箱2にトリガー部材21を進退動自在に配設し、このトリガー部材21は水平杆部分23に錠箱内の制御バネ25、26に制御される操作部材用ロック手段24を備え、このロック手段24は、開扉時に於いて、錠箱内装の係合作用部材15を錠箱2内の軸支された係合捕捉片31を介して拘束する位置へと移動し、一方、閉扉時に於いて、係合作用部材15の拘束を解く位置へと移動する」。
図11の(a)、(b)に示す第2実施例の構成も基本的に第1実施例と同様であるが、第1実施例の操作部材用ロック手段24は、トリガー部材21の水平杆部分23にスライド自在に設けられた鍔状の可動体であるのに対して、第2実施例のロック手段24Aは、トリガー部材21Aの水平杆部分23の後端部に設けた端面コ字形状の係合部41に連係(例えば係合)し、かつ錠箱に横設軸架した横軸42に軸支された「く字形状」の係合レバーである点である。
付言すると、ロック手段24Aとしての折り曲げ状の係合レバーは、その中央部が横軸42に軸支され、一端部は水平杆部分23の係合部41に入り込んだ状態で係合し、一方、他端部は係合捕捉片31Aの背側の段差状係合部43に係脱する。
したがって、この第2実施例では、ロック手段24Aは、狭義では、トリガー部材21の水平杆部分23の係合部41と、この係合部41と係合捕捉片31Aの背側の段差状係合部43との間に介在するように横軸を介して軸支された係合レバー24Aと、この係合レバー24Aと係脱する係合捕捉片31Aとから成り、広義では、少なくともトリガー部材21に連係するように錠箱に軸支され、かつ錠箱に軸支された係合捕捉片31Aの背側の係合部43と係脱する係合レバー2をいう。
この第2実施例は、係合レバー24Aをトリガー部材21Aに直接ではなく、間接的に連係(連動)するように錠箱に軸支したものであるが、このように構成しても本願発明の所期の目的を達成することができる。
次に、図12の(a)、(b)は、第1実施例の第2の設計変更例である。説明の便宜上、第2実施例の用語と符号をそのまま援用する。図12で示す第3実施例のロック手段24Aは、錠箱に横設軸架した横軸42に軸支された「く字形状」の係合レバーである点では第2実施例と同様である。但し、係合レバー24Aの一端部は、トリガー部材21Aの水平杆部分23の長孔状の係合部41A及びこの係合部41を貫通する連係ピン45を介してトリガー部材21Aに連係されるように構成されている点が若干異なる。
上記第2実施例及び第3実施例で示すように、可動式のロック手段24Aをトリガー部材21Aに直接ではなく、間接的に連係するように設けても、本願発明の所期の目的を達成することができるから、このような設計変更例は、本発明と実質的に同一であるといえる。なお、第2実施例及び第3実施例のロック手段も、第1実施例と同様に錠箱内の制御バネ25、26に間接的に制御されるので、本発明の第2の目的を達成することができる。
さらに、第1実施例では、ロック手段24は水平方向にスライドする可動型であるが、トリガー部材の進退動に応じて周方向に回転する可動型であっても良い。
後者の場合の実施例としては、特に図示しないが、水平杆部分23を螺杆状態に形成し、この水平螺杆部分23に螺合し、かつ外周の適宜箇所に係合捕捉片31(31A)の背側の係合部分に係脱する係合突起を有する回転板形式のロック手段24を装着する。
また、水平杆部分23をラック形式にして、この水平ラック杆部分23に螺合し、かつ外周の適宜箇所に係合捕捉片31(31A)の背側の係合部分に係脱する係合突起を有するピニオン部材を適宜に軸支しても良い。
加えて、水平杆部分23とロック手段24との関係は、係合捕捉片31の背側の係合部、或いは係合作用部材15のアーム部15b、或いはまたロック手段24の形状を設計変更して、固定式にすることも理論上可能である。
本発明は、主に錠前や建具の業界で利用される。
図1乃至図10は本発明の最良の実施例を示す各説明図。
閉扉時の概略の縦断面説明図。
開扉時の概略の縦断面説明図。
自由扉の自由端部側から見た説明図。
主な部材(トリガー部材、ロック手段、係合捕捉片、係合作用部材、ラッチ)の説明図。
要部(トリガー部材、ロック手段、制御バネ)の説明図。
図6の(a)は開扉時の説明図、図6の(b)は閉扉時の説明図。
受け具の正面図。
図7を基準とした左側面図。
図7の9−9線断面図。
受け具の係合部とラッチの摺接関係を示す概略説明図。
第1実施例の要部を設計変更した第2実施例であり、図11の(a)は開扉時の説明図、図11の(b)は閉扉時の説明図。
第1実施例の要部を設計変更した第3実施例の説明図であり、図12の(a)は開扉時の説明図、図12の(b)は閉扉時の説明図。
X…ラッチ錠、Y…扉、Z…戸枠、1…錠本体、2…錠箱、3…フロント板、4…ラッチガイド、5A、5B…ラッチ、6…ラッチの係止面、7…ラッチの傾斜面、8…ラッチ先端部、9…ラッチ後端部、11…ラッチばね、12…バネ端支持片、14…駆動部材、15…係合作用部材、15a…垂直の受け部、15b…上下のアーム部、16…戻しバネ、17…係合爪、18…ガイド突起、19…係合部、21、21A…トリガー部材、22…トリガーヘッド、23…水平杆部分、24、24A…操作部材用ロック手段、24a…外周面、25…弱い制御バネ、26…強い制御バネ、27…ローラ、31、31A…係合捕捉片(係合ロック片)、32…横軸、33…付勢バネ、41、41A…係合部、42…横軸、43…背側の係合部、50…受け具、50a…受け具の表面、51…係合部、51a…係合部分(傾斜状表面)、51b…係合部分(平表面)、52…係入穴、52a…垂直受け面、53…底壁、60…操作部材。
Claims (5)
- 戸枠側のラッチ用受け具と、自由扉側の錠箱に傾斜面並びに係止面が互いに反対向きの状態になるように配設された上下の非反転型ラッチが操作部材の操作力によって作動する駆動部材及び該駆動部材と共働する係合作用部材を介して錠箱の内部方向へ後退動する錠本体とから成るラッチ錠に於いて、前記錠箱にトリガー部材を進退動自在に配設し、このトリガー部材は水平杆部分に錠箱内の制御バネに制御される操作部材用ロック手段を備え、このロック手段は、開扉時に於いて、前記係合作用部材を拘束する位置へと移動し、一方、閉扉時に於いて、係合作用部材の拘束を解く位置へと移動することを特徴とするラッチ錠。
- 請求項1に於いて、ロック手段24は、係合作用部材と該ロック手段24との間に回動自在に配設された係合捕捉片を介して係合作用部材を拘束又は非拘束状態にすることを特徴とするラッチ錠。
- 請求項1に於いて、トリガー部材用の制御バネは、バネ力が弱いバネと強いバネの2種類であることを特徴とするラッチ錠。
- 戸枠側のラッチ用受け具と、自由扉側の錠箱に傾斜面並びに係止面が互いに反対向きの状態になるように配設された上下の非反転型ラッチが操作部材の操作力によって作動する駆動部材及び該駆動部材と共働する係合作用部材を介して錠箱の内部方向へ後退動する錠本体とから成るラッチ錠に於いて、前記錠箱にトリガー部材を進退動自在に配設し、このトリガー部材は水平杆部分に連係するように錠箱に軸支され、かつ錠箱内の制御バネに制御される操作部材用ロック手段を備え、このロック手段は、開扉時に於いて、前記係合作用部材を拘束する位置へと移動し、一方、閉扉時に於いて、係合作用部材の拘束を解く位置へと移動することを特徴とするラッチ錠。
- 請求項4に於いて、ロック手段は、横軸を介して軸支された係合レバーであることを特徴とするラッチ錠。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007140744A JP2008291595A (ja) | 2007-05-28 | 2007-05-28 | ラッチ錠 |
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JP2007140744A JP2008291595A (ja) | 2007-05-28 | 2007-05-28 | ラッチ錠 |
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JP2008291595A true JP2008291595A (ja) | 2008-12-04 |
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ID=40166605
Family Applications (1)
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010174535A (ja) * | 2009-01-30 | 2010-08-12 | Oki Electric Ind Co Ltd | 扉開閉検知構造 |
-
2007
- 2007-05-28 JP JP2007140744A patent/JP2008291595A/ja active Pending
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