JP2008260228A - インクジェットヘッド駆動装置及びインクジェットヘッド駆動方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 インクが充填された複数の圧力室と、この各圧力室の容積を、駆動パルスをアクチュエータに印加することにより変化させ、圧力室に連通して形成されたノズルから記録媒体にインク滴を吐出するとともに駆動パルス数により吐出するインク滴の数を制御して階調印字を行うインクジェットヘッドを駆動する駆動装置において、最初のインク滴を吐出させる駆動パルスの前に圧力室の圧力を減少するためのデブーストパルスを加える駆動信号発生手段を具備し、デブーストパルスは、圧力室の容積を所定時間膨張させる拡張パルスまたは前記圧力室の容積を所定時間収縮させる圧縮パルスとこれに続く休止時間とで構成されるインクジェットヘッド駆動装置である。
【選択図】 図6
Description
図16は、2ドロップ印字でのドット形状を拡大して示す図である。1ドロップ目のインク滴と2ドロップ目のインク滴とが合体せず分離している。また分離の状況は一定ではなくそれぞれのドットでばらついている。ただし、この現象は高階調印字である、例えば5ドロップ印字においては生じていない。
発明者は上述の印字品質低下の原因について調査及び検討を実施した。上述のように複数のインク滴を連続に吐出させる場合、インク滴が合体しないのは、それぞれのインク滴においては、その直前に吐出したインク滴の残留圧力の影響を受ける結果、ドロップ毎の吐出速度の差が大きくなって着弾ずれが生じているためと考えられる。
これを明らかにするために、マルチドロップ駆動方法により複数のインク滴を吐出させて、ドロップ数とインク滴の吐出速度を測定した。この測定は、隣り合う複数のヘッドを同時に駆動させる複ノズル駆動モードと、隣り合う複数のヘッドを同時に駆動させない単ノズルモードとで実行した。これは上述の印字品質不良は複ノズル駆動モードにおいて発生し、単ノズル駆動モードにおいて発生していないからである。なお、このマルチドロップ駆動には、図15に示す駆動波形を用いた。
この測定結果からわかるように、不具合を生じたインクジェット記録ヘッド1では、複ノズル駆動モードにおいて、1ドロップ目と2ドロップ目とで吐出速度に大きな差が生じている点で単ノズル駆動モードでの測定値と異なっている。更に、2ドロップ目の吐出速度が1ドロップ目の吐出速度よりも小さくなっている点に特徴が見られる。
図3は、着弾位置ずれを求める計算過程を示している。
1ドロップ目のインク滴の吐出速度V1、2ドロップ目のインク滴の吐出速度V2、インク滴の飛翔距離、即ちヘッドと印字媒体との間隔GAP、1ドロップを吐出させる周期DC、印字媒体の搬送速度Vのそれぞれの諸元には図3に示す数値を用いた。
T1d=GAP/V1=123.5μs ・・・式(1)
T2d=GAP/V2=200.0μs ・・・式(2)
インク滴1ドロップ目の着弾時から2ドロップ目の着弾時までの時間差である着弾時間差分Tdelayは式(3)で表される。
Tdelay=T2d+DC−T1d=83.8μs ・・・式(3)
従って、1ドロップ目と2ドロップ目のインク滴の着弾位置ずれLは式(4)で表される。
L=V×Tdelay=34μm ・・・式(4)
インク滴1ドロップが印字媒体に着弾することで形成されるドットの直径がこの着弾位置ずれLと同程度であることから、この検討結果によれば、大きな着弾ずれが発生することがわかる。
通常マルチドロップ駆動では、2ドロップ目以降のインク滴においては、その直前に吐出したインク滴の残留圧力振動を利用して最初の1ドロップ目のインク滴よりも吐出速度を高めることができる。これに対して、最初の1ドロップ目のインク滴はメニスカスが静止した状態から圧力振動を付与するため2ドロップ目以降のインク滴よりも吐出速度が小さくなる。
従って、通常は1ドロップ目の吐出速度が小さく、2ドロップ目、3ドロップ目とドロップ数が増加するにつれて吐出速度が増加するのが通常の吐出特性である。
従って、2ドロップ目のインク滴の飛翔時間T2dが1ドロップ目のインク滴の飛翔時間T1dよりも大きく、式(3)で示す着弾時間差分Tdelayが大きくなるように作用していることが理解できる。
複ノズル駆動モードで吐出速度の差が大きいのは、隣接するノズルの拡縮の影響を受けるためと考えられる。またドットの分離状況がノズル毎に異なるのも同様の理由であると考えられる。
しかしながら、使用されている駆動波形は、基準となる駆動波形について、拡張パルスp1の継続時間t1、収縮パルスp2の継続時間t2および休止時間t3を種々調整して決定されたものである。
即ち、この駆動波形は、印字される画質(例えば、各印字モードにおける階調再現性など)、印字速度、消費電力などを総合的に評価して採用したものである。このため、駆動波形を再度調整して上述の印字不良を解消した場合は、逆に他の基準が充足されなくなる場合も考えられる。
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
図4及び図5において、インクジェットヘッド1は、インクを収容する複数の圧力室31を隔壁32で仕切って形成し、各圧力室31にはインク滴を吐出するノズル33が設けられている。
一方、駆動シーケンス発生部43は、駆動パルス数nが所定数N(=4)以上の場合には、駆動パルスPdをn回選択出力するように波形選択部44を制御する。
マルチドロップ駆動方式においては、この駆動パルスPdが吐出するインク滴の数だけ連続的に発生される。
Vaa電源端子と接地端子間にはFET1、FET2の直列回路が接続され、この各FET1、2の接続点からの出力1が圧電部材35の片側の電極端子へ接続されている。また、Vaa電源端子と接地端子間にはFET3、FET4の直列回路が接続され、各FET3,4の接続点からの出力2が圧電部材35のもう片方の電極端子へ接続されている。
所謂ブーストパルスが圧力室31内のイニシャル圧力を上昇させることを目的とするのに対して、圧力室31内のイニシャル圧力を下げることを目的とするこのパルスをデブーストパルスと呼ぶものである。
次にデブーストパルスPdbにおいて、拡張パルスDBpのパルス幅DBt1を決定する方法について説明する。
図11は、拡張パルスDBpのパルス幅DBt1と吐出速度の関係を測定した図である。なお、この測定は複ノズル駆動モードで駆動して実行した。
パルス幅DBt1が増加するにつれて、インク滴1ドロップ目の吐出速度は減少した。一方、インク滴2ドロップ目の吐出速度は、パルス幅DBt1が増加するにつれて山型に変化した。また、インク滴3ドロップ目の吐出速度は、最初の内はパルス幅DBt1が増加しても変化しなかったが、さらにパルス幅DBt1が増加するにつれて減少した。
一方、インク滴4〜7ドロップ目の吐出速度は、パルス幅DBt1が増加した場合であってもその影響による変化はほとんどみられなかった。
パルス幅DBt1を適切に選択することで、インク滴1ドロップ目の吐出速度をインク滴2ドロップ目の吐出速度よりも小さくすることができ、またインク滴1ドロップ目の吐出速度とインク滴2ドロップ目の吐出速度の差を小さくすることができる。更に、ドロップ数が大きくなるとデブーストパルスの影響を受けにくくなることがわかる。
そこで、パルス幅DBt1を、インク滴1ドロップ目の吐出速度とインク滴2ドロップ目の吐出速度との差が小さくなる値に設定すればよい。
この理由は、高階調印字では、ドロップ数が大きくなるため形成されるドット径が大きくなり、ドロップ数が少ない場合に発生するドット分離状態が、後続のドロップにより解消されることとなるからである。
また、図8に示すデブーストパルスPdbは圧力室31の容積を拡張させる拡張パルスを使用したが、この形態に限られず圧力室31の容積を収縮させる圧縮パルスであっても良い。
Claims (10)
- インクが充填された複数の圧力室と、この各圧力室の容積を、駆動パルスをアクチュエータに印加することにより変化させ、前記圧力室に連通して形成されたノズルから記録媒体にインク滴を吐出するとともに駆動パルス数により吐出するインク滴の数を制御して階調印字を行うインクジェットヘッドを駆動する駆動装置において、
最初のインク滴を吐出させる駆動パルスの前に前記圧力室の圧力を減少するためのデブーストパルスを加える駆動信号発生手段を具備し、
前記デブーストパルスは、前記圧力室の容積を所定時間膨張させる拡張パルスまたは前記圧力室の容積を所定時間収縮させる圧縮パルスとこれに続く休止時間とで構成されること
を特徴とするインクジェットヘッド駆動装置。 - インクが充填された複数の圧力室と、この各圧力室の容積を、駆動パルスをアクチュエータに印加することにより変化させ、前記圧力室に連通して形成されたノズルから記録媒体にインク滴を吐出するとともに駆動パルス数により吐出するインク滴の数を制御して階調印字を行うインクジェットヘッドを駆動する駆動装置において、
前記インク滴の数が所定数N(但し、1<N≦M、Mは最大階調のインク滴数)より少ない場合には、最初のインク滴を吐出させる駆動パルスの前に前記圧力室の圧力を減少するためのデブーストパルスを加え、インク滴の数が所定数N以上である場合には前記デブーストパルスを印加しない駆動信号発生手段を具備し、
前記デブーストパルスは、前記圧力室の容積を所定時間膨張させる拡張パルスまたは前記圧力室の容積を所定時間収縮させる圧縮パルスとこれに続く休止時間とで構成されること
を特徴とするインクジェットヘッド駆動装置。 - 駆動信号発生手段は、
駆動パルス数を発生する駆動パルス発生手段と、
この駆動パルス発生手段より発生される駆動パルス数があらかじめ記憶された所定数N(但し、1<N≦M、Mは最大階調のインク滴数)以上であるかを判定する判定手段と、
この判定手段により前記駆動パルス数が所定数N未満であると判定された場合には、デブーストパルスに続いて前記駆動パルス数の駆動パルスを前記アクチュエータに印加し、前記判定手段により前記駆動パルス数が所定数N以上であると判定された場合には、前記駆動パルス数の駆動パルスを前記アクチュエータに印加するパルス印加手段とからなることを特徴とする請求項2に記載のインクジェットヘッド駆動装置。 - 判定手段は、あらかじめ記憶された所定数Nを外部より変更できることを特徴とする請求項3に記載のインクジェットヘッド駆動装置。
- デブーストパルスが有る場合には、1ドロップ目のインク滴の吐出速度が2ドロップ目のインク滴の吐出速度以下であり、デブーストパルスが無い場合は、1ドロップ目のインク滴の吐出速度が2ドロップ目のインク滴の吐出速度よりも大きいことを特徴とする請求項4記載のインクジェットヘッド駆動装置。
- デブーストパルスが有る場合には、1ドロップ目のインク滴の吐出速度と2ドロップ目のインク滴の吐出速度が略等しく、デブーストパルスが無い場合は、1ドロップ目のインク滴の吐出速度が2ドロップ目のインク滴の吐出速度よりも大きいことを特徴とする請求項4記載のインクジェットヘッド駆動装置。
- デブーストパルスが有る場合は、デブーストパルスが無い場合に比べて1ドロップ目のインク滴の吐出速度が減速し、2ドロップ目のインク滴の吐出速度が加速していることを特徴とする請求項5又は6記載のインクジェットヘッド駆動装置。
- デブーストパルスの期間長は、1つの駆動パルスの期間長と略同じであることを特徴とする請求項7記載のインクジェットヘッド駆動装置。
- インクが充填された複数の圧力室の容積を、駆動パルスをアクチュエータに印加することにより変化させ、前記圧力室に連通して形成されたノズルから記録媒体にインク滴を吐出するとともに駆動パルス数により吐出するインク滴の数を制御して階調印字を行うインクジェットヘッド駆動方法において、
最初のインク滴を吐出させる駆動パルスの前に前記圧力室の圧力を減少するためのデブーストパルスを加えるように制御し、
前記デブーストパルスは、前記圧力室の容積を所定時間膨張させる拡張パルスまたは前記圧力室の容積を所定時間収縮させる圧縮パルスとこれに続く休止時間とで構成されること
を特徴とするインクジェットヘッド駆動方法。 - インクが充填された複数の圧力室の容積を、駆動パルスをアクチュエータに印加することにより変化させ、前記圧力室に連通して形成されたノズルから記録媒体にインク滴を吐出するとともに駆動パルス数により吐出するインク滴の数を制御して階調印字を行うインクジェットヘッド駆動方法において、
前記インク滴の数が所定数N(但し、1<N≦M、Mは最大階調のインク滴数)より小さい場合には、最初のインク滴を吐出させる駆動パルスの前に前記圧力室の圧力を減少するためのデブーストパルスを加え、インク滴の数が所定数N以上である場合には前記デブーストパルスを印加しないように制御し、
前記デブーストパルスは、前記圧力室の容積を所定時間膨張させる拡張パルスまたは前記圧力室の容積を所定時間収縮させる圧縮パルスとこれに続く休止時間とで構成されること
を特徴とするインクジェットヘッド駆動方法。
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