JP2007314725A - 地盤安定化用混和剤、地盤安定化材料、及びそれを用いた地盤安定化工法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 リン酸塩、アルカリ金属塩化物、及びポリアクリル酸類を含有してなる地盤安定化用混和剤、リン酸塩100部に対して、アルカリ金属塩化物が20〜250部、ポリアクリル酸類が20〜200部である該地盤安定化用混和剤、さらに、有機酸を含有してなる地盤安定化用混和剤、並びに、該地盤安定化用混和剤100部中、固形分濃度が10〜55部である該地盤安定化用混和剤、セメント、該地盤安定化用混和剤、及び水を含有してなる地盤安定化材料、セメント、リン酸塩、アルカリ金属塩化物、及びポリアクリル酸類を含有してなる地盤安定化材料、該地盤安定化材料を地盤中に高圧注入し、土と混合して硬化させる地盤安定化工法を構成とする。
【選択図】 なし
Description
この地盤安定化工法としては、例えば、セメントミルクを、高圧で地中深くに噴射し、土と混合して硬化させ安定化する工法が挙げられる(非特許文献1参照)。
この工法は、例えば、地中にセメントミルクを噴射する管を挿入し、管を回転させながら管先端付近からセメントミルクを高圧噴射し、地中の土を切削すると同時に、切削されたセメントミルクと土との混合物を、別の管内を通して地上へ排出しながら、一定速度で管を上昇させ、地中を、セメントミルクと土との混合物で置換して硬化させ、地盤を安定化させる工法である。
切削によりセメントミルクと土とを混合した場合に、セメント粒子と土の粒子とが電気的作用により互いに凝集するために、セメントミルクと土との混合物である混合土の粘性が上昇し、そのため、これを地上へ排出できにくくなるといった課題があった。
しかしながら、これらの超高圧噴流注入工法用セメント添加剤は、砂質土や砂分の多いシルト地盤では、その結果がある程度認められるが、粘性土地盤においては、粘性低下の効果が小さいために多量に添加する必要があり、強度発現性が向上しにくいという課題があった。
しかしながら、これらは、粘性土地盤において、強度発現性に優れるが粘性低下の効果が小さいという課題があった。
本発明で使用する部や%は特に規定のない限り質量基準である。
本塩化物の使用量は、リン酸塩100部に対して、20〜250部が好ましく、30〜200部がより好ましい。20部未満では高い強度発現性が得られない場合があり、250部を超えると充分な粘性低減効果が得られない場合がある。
ポリアクリル酸類とは、ポリアクリル酸やその誘導体又はそれらの塩類であって、具体的には、ポリアクリル酸やポリアクリル酸エステル共重合体又はそれらのナトリウム塩、カリウム塩、及びカルシウム塩等が使用可能であるが、入手しやすさからナトリウム塩の使用が好ましく、共重合体としては架橋分岐型が好ましい。特に、本発明では、ポリアクリル酸ナトリウム、中でも低重合度の、水に可溶な重合体で、固形分が90%以上で、25℃における40%濃度のスラリー粘度が、10,000cps以下の可溶性重合度タイプのものの使用が、高い粘性低減効果が得られる面から好ましく、50〜2,000cpsの粘度のものがより好ましい。
ポリアクリル酸類の使用量は、リン酸塩100部に対して、20〜200部が好ましく、30〜150部がより好ましい。20部未満では充分な粘性低減効果が得られない場合があり、200部を超えると固結するまで多くの時間を費やし、高い強度発現性が得られない場合がある。
有機酸類は、本混和剤中で、金属イオンを安定化させるものであり、この目的で使用可能な物質であれば特に限定されるものではなく、例えば、カルボキシル基を少なくとも1個、好ましくは1〜3個、より好ましくは2〜3個有する有機酸であり、さらに、1〜3個の水酸基及び/又は1〜3個のアミノ基を有するものの使用も可能である。
これら有機酸類の具体例としては、例えば、(1)ぎ酸、酢酸、及びプロピオン酸等のモノカルボン酸類、(2)シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フマル酸、及びフタル酸等のジカルボン酸類、(3)トリメリト酸やトリカルバリリル酸等のトリカルボン酸類、(4)クエン酸、酒石酸、グルコン酸、及びリンゴ酸等のオキシカルボン酸類、リンゴ酸のオキシジカルボン酸類、(5)アスパラギン酸やグルタミン酸等のアミノカルボン酸類、(6)エチレンジアミン四酢酸(EDTA)やトランス-1,2-ジアミノシクロヘキサン四酢酸(CyDTA)等のアミノポリカルボン酸類、(7)エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)〔EDTPO〕、エチレンジアミンジ(メチレンホスホン酸)〔EDDPO〕、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)〔NTPO〕、1-ヒドロキシエチリデン-1,1'-ジホスホン酸〔HEDPO〕等のホスホン酸類、 (8)アセチルアセトンやヘキサフルオロアセチルアセトンなどのジケトン類等の錯体形成剤が挙げられ、本発明では、これら錯体形成剤のうちの一種又は二種以上の使用が可能である。また、錯体形成剤はアルカリ金属を含有するものも使用可能である。これらのうちで、粘性低減に効果があり、強度発現性が阻害されにくいクエン酸ナトリウムの使用が好ましい。
有機酸類の使用量は特に限定されるものではないが、リン酸塩100部に対して、0.1〜100部が好ましく、0.3〜60部がより好ましい。0.1部未満では粘性を低減させる効果が低下する場合があり、100部を超えると強度発現性が阻害される場合がある。
アルカリ金属硫酸塩としては、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、及び硫酸リチウムが使用可能であり、これらのうちの一種又は二種以上を使用することが可能である。これらのうちでは、強度発現性の面で硫酸ナトリウムの使用が好ましい。
アルカリ金属硫酸塩の使用量は、リン酸塩100部に対して、20〜250部が好ましく、30〜150部がより好ましい。20部未満では高い強度発現性が得られない場合があり、250部を超えると充分な粘性低減効果が得られない場合がある。
溶解温度は40〜80℃が好ましく、溶解時間はこれらの材料が完全に溶解する時間で、10分〜3時間が好ましい。昇温速度や冷却速度は特に限定されるものではなく、あらかじめ、40〜80℃に予熱した材料や温水を使用して溶解することも可能である。
溶解時には攪拌することが好ましく、攪拌することで溶解時間を短縮することが可能である。
減水剤は、セメントコンクリートの流動性を改善するために使用するものをいい、液状や粉状のいずれも使用可能である。
減水剤としては、例えば、リグニンスルホン酸系、ナフタレンスルホン酸系、及びポリカルボン酸系等の公知の減水剤が使用可能である。
削孔径は特に限定されるものではないが注入ロッドが挿入できる大きさであればよい。
削孔の深さは、改良したい領域により変化し特に限定されるものではないが、10〜50m程度が通常である。
次に、二重管や三重管構造の注入ロッドを挿入し、本発明の地盤安定化材料に水を加えたセメントミルクを、グラウトポンプ、超高圧ポンプ、又はコンプレッサーなどを用いて圧送し、二重管又は三重管のノズルから噴射する。
セメントミルクの圧送圧力は大きい方が好ましいが、二重管、三重管、又はこれらのノズルの磨耗等を考慮すると50〜700kg/cm2程度が通常である。
セメントミルクの送液量は特に限定されるものではないが、30〜800リットル/分程度が好ましい。
表1に示すリン酸塩、本塩化物、及びポリアクリル酸類を混合し、50℃で30分間撹拌して、液体の本混和剤を調製した。
次いで、セメント100部に対して、調製した本混和剤を5部混合し、さらに、水140部混合してセメントミルクを調製した。
このセメントミルクを、水/粉体質量比120%の粘土と、容積比で1:1の割合で混合してスライムを得、その粘度と圧縮強度とを測定した。結果を表1に併記する。
なお、粉末状の本混和剤を調製して、同様に実験を行った。
セメント :普通ポルトランドセメント、市販品、密度3.15g/cm3
リン酸塩a:リン酸二水素ナトリウム、市販品
リン酸塩b:リン酸、市販品
本塩化物ア:塩化ナトリウム、市販品
本塩化物イ:塩化カリウム、市販品
ポリアクリル酸類:ポリアクリル酸ナトリウム、市販品、粘度1,000 cps
粘土 :ベントナイト粉末、市販品、密度2.30g/cm3
粘度 :得られたスライムを温度20℃、湿度80%、回転数20rpmの条件下でB型粘度計により測定
圧縮強度 :得られたスライムを4cm×4cm×16cmの型枠に流し込み、硬化後脱型して得た供試体を、温度20℃で封緘養生し、材齢7日における圧縮強度を測定
表2に示すリン酸塩、本塩化物、及びポリアクリル酸類を混合し、表2に示す固形分濃度の本混和剤を調製したこと以外は実験例1と同様に行った。結果を表2に併記する。
表3に示すリン酸塩、本塩化物、ポリアクリル酸類、及び有機酸類を混合し、50℃で30分間攪拌して液体の本混和剤を調製したこと以外は実験例1と同様に行った。結果を表3に併記する。
有機酸類A:クエン酸ナトリウム、市販品
有機酸類B:コハク酸、市販品
リン酸塩a100部、本塩化物ア100部、及びポリアクリル酸類100部を混合し、50℃で30分間攪拌して固形分30%の液体の本混和剤を調製した。
セメント100部に対して、表4に示す量の本混和剤を水と混合して140部の溶液とし、これをセメントと混合してセメントミルクを調製した。
このセメントミルクを水/粉体質量比120%の粘土を、セメントミルクと容積比で1:1の割合で混合してスライムを得た。このスライムの粘度と圧縮強度とを測定した。結果を表4に示す。
Claims (8)
- リン酸塩、アルカリ金属塩化物、及びポリアクリル酸類を含有してなる地盤安定化用混和剤。
- リン酸塩、アルカリ金属塩化物、及びポリアクリル酸類を含有してなる液体の地盤安定化用混和剤。
- リン酸塩100部に対して、アルカリ金属塩化物が20〜250部、ポリアクリル酸類が20〜200部である請求項1又は請求項2に記載の地盤安定化用混和剤。
- さらに、有機酸類を含有してなる請求項1〜請求項3のうちのいずれか一項に記載の地盤安定化用混和剤。
- 液体の地盤安定化用混和剤100部中、固形分濃度が10〜55部である請求項2〜請求項4のうちのいずれか一項に記載の地盤安定化用混和剤。
- セメントと、請求項1〜請求項5のうちのいずれか一項に記載の地盤安定化用混和剤とを含有してなる地盤安定化材料。
- セメント、リン酸塩、アルカリ金属塩化物、及びポリアクリル酸類を含有してなる地盤安定化材料。
- 請求項6又は請求項7に記載の地盤安定化材料を地盤中に高圧注入し、土と混合して硬化させる地盤安定化工法。
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