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JP2007307641A - 研磨布およびその製造方法 - Google Patents

研磨布およびその製造方法 Download PDF

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Keiji Yamamoto
恵司 山本
Koichi Yoshida
光一 吉田
Hiroshi Ono
浩 大野
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Abstract

【課題】仕上げ研磨における被研磨物のスクラッチを低減する。
【解決手段】不織布からなる基材層2と、この基材層2上の樹脂フィルムからなる中間層4と、この中間層4上に直接形成されてなるナップ層5とを備えおり、基材層2の不織布を構成する繊維7が、ナップ層5側へ入り込むのを中間層4で阻止することができ、不織布を構成する繊維7が、研磨層であるナップ層5に入り込んだり、あるいは、ナップ層5を突き抜けることがなく、これによって、基材層2の繊維7に起因する被研磨物のスクラッチを低減できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体ウェハやガラス基板、カラーフィルター等の仕上げ研磨に好適な研磨布およびその製造方法に関する。
一般に、半導体ウェハの製造工程は、単結晶インゴットをスライスして薄円板状のウェハを得るスライス工程と、ウェハの外周部を面取りする面取り工程と、ウェハを平面化するラッピング工程と、ウェハに残留する加工歪みを除去するエッチング工程と、ウェハ表面を研磨して鏡面化する鏡面研磨工程と、研磨されたウェハを洗浄する洗浄工程とを含んでいる。
ウェハの上記鏡面研磨工程は、基本的に、平坦度の調整を主目的とする粗研磨と、表面粗さを改善することを主目的とする仕上げ研磨とからなる。
この仕上げ研磨では、アルカリ溶液中に、コロイダルシリカ等を分散した研磨スラリーを供給しながらスウェード調の研磨布などを用いて行われる(例えば、特許文献1参照)。
スウェード調の研磨布は、例えば、不織布等にウレタン樹脂を含浸させた基材に、ウレタン樹脂をジメチルホルムアミド(DMF)などの水溶性有機溶媒に溶解させたウレタン樹脂溶液を塗布し、これを凝固液で処理して多数の気泡を有する多孔質の銀面層を形成し、前記銀面層の表面を研削加工してナップ層とし、図4に示すような基材層20と、多数の気泡60を有するナップ層50とからなるスウェード調の研磨布10を得るものである。
特開2002−59356号公報
近年、仕上げ研磨に要求される品質は、益々厳しくなっており、被研磨物の表面の微細なスクラッチ(傷)についてもその数やサイズの一層の低減が要求されている。
かかる被研磨物のスクラッチの発生原因の一つとして、図4に示すように、基材層20の構成する不織布等の繊維70、例えば、ウレタン樹脂よりも硬いポリエステル繊維70の毛羽立った一部70aが、ナップ層50内に入り込み、あるいは、ナップ層50を突き抜けて表面まで至り、仕上げ研磨中に、被研磨物の表面を傷つけることが考えられる。
本発明は、上述の点に鑑みて為されたものであって、被研磨物のスクラッチを低減できる研磨布およびその製造方法を提供することを目的としている。
(1)本発明の研磨布は、繊維材料からなる基材層と、前記基材層上に設けられるフィルム状の中間層と、前記中間層上に直接形成されてなるナップ層とを備えている。
繊維材料は、天然繊維、合成繊維あるいは再生繊維などのいずれの材料であってもよい。
フィルム状とは、薄い膜状をいい、少なくとも、基材層を構成する繊維が当該中間層を突き抜けない厚みを有すればよい。
中間層上に直接形成されるとは、中間層とナップ層との間に、粘着層などの他の層を介在させることなく、形成されることをいう。
本発明によると、繊維材料からなる基材層とナップ層との間に、フィルム状の中間層を介在させているので、基材層を構成する繊維が、研磨面側であるナップ層へ入り込むのを前記中間層で阻止することができ、基材層を構成する繊維が、ナップ層に入り込んだり、あるいは、ナップ層を突き抜けることがない。これによって、基材層の繊維に起因する被研磨物のスクラッチを低減できることになる。
また、フィルム状の中間層の上面側に、樹脂溶液を塗布し、湿式凝固させてナップ層を形成する場合に、フィルム状の中間層によって、その下面側からの水の浸入が阻止されて異常発泡が抑制され、これによって、不織布からなる基材層の上面に樹脂溶液を塗布し、湿式凝固してナップ層を形成する従来例、すなわち、基材層の下面側から水が浸入して異常発泡が生じる従来例に比べて、ナップ層の特性が向上する。
さらに、ナップ層は、中間層上に形成するので、基材層上に樹脂溶液を塗布してナップ層を形成する従来例のように、樹脂溶液が、不織布からなる基材層内部に不均一に入り込んで基材層の特性がばらつくといったこともない。
(2)本発明の研磨布の一つの実施形態では、前記基材層が、不織布に樹脂を含浸させてなる不織布層である。
この実施形態によると、基材層を構成する不織布の繊維が、ナップ層側へ入り込むのを中間層によって有効に阻止できる。
なお、本発明の他の実施形態では、不織布に代えて織布としてもよい。
(3)本発明の研磨布の他の実施形態では、前記中間層が、樹脂フィルム層である。
この実施形態によると、基材層を構成する繊維が、ナップ層側へ入り込むのを樹脂フィルム層によって有効に阻止できる。
(4)本発明の研磨布の更に他の実施形態では、前記中間層が、粘着層を介して前記基材層に貼り合わされてなるものである。
この実施形態によると、中間層上にナップ層を直接形成した後、接着剤や両面テープを用いて、中間層と基材層とを貼り合わせることにより、基材層とナップ層とを有するスウェード調の研磨布を得ることができる。
(5)本発明の他の実施形態では、前記中間層の厚さが、100μm以下である。
この実施形態によると、中間層の厚みを100μm以下と薄くしているので、中間層が介在することによる物性変化が殆ど生じない。
(6)本発明の研磨布の製造方法は、中間層となるフィルム状の中間材の表面に樹脂溶液を塗布して湿式凝固した後に、前記湿式凝固した樹脂の表面を研削することにより、前記中間層の表面に、ナップ層を直接形成する工程と、前記ナップ層が形成された前記中間層の裏面を、繊維材料からなる基材層に貼り付ける工程とを含んでいる。
本発明によると、フィルム状の中間層の表面に、ナップ層を直接形成し、基材層に貼り付けることにより、基材層とナップ層との間に中間層を介在させた研磨布を得ることができ、基材層を構成する繊維が、研磨面側であるナップ層へ入り込むのを前記中間層で阻止することができ、基材層の繊維に起因する被研磨物のスクラッチを低減できることになる。
また、フィルム状の中間層の表面に、樹脂溶液を塗布し、湿式凝固させてナップ層を形成する場合に、フィルム状の中間層によって、その裏面側からの水の浸入が阻止されて異常発泡が抑制され、これによって、不織布からなる基材層上に、樹脂溶液を塗布して湿式凝固してナップ層を形成する従来例に比べて、ナップ層の特性が向上する。
さらに、ナップ層は、中間層上に形成するので、基材層上に、樹脂溶液を塗布してナップ層を形成する従来例のように、樹脂溶液が基材層内部に不均一に入り込んで基材層の特性がばらつくといったこともない。
(7)本発明の研磨布の製造方法の一つの実施形態では、前記基材層が、不織布に樹脂を含浸させてなる不織布層である。
この実施形態によると、基材層を構成する不織布の繊維が、ナップ層側へ入り込むのを中間層によって有効に阻止できる。
(8)本発明の研磨布の製造方法の他の実施形態では、前記中間材が、樹脂フィルムである。
この実施形態によると、基材層を構成する繊維が、ナップ層側へ入り込むのを樹脂フィルム層によって有効に阻止できる。
(9)本発明の研磨布の製造方法の更に他の実施形態では、前記中間層の厚さが、100μm以下である。
この実施形態によると、中間層の厚みを100μm以下と薄くしているので、中間層が介在することによる物性変化が殆ど生じない。
本発明によれば、繊維材料からなる基材層とナップ層との間に、フィルム状の中間層を介在させているので、基材層を構成する繊維が、ナップ層側へ入り込むのを前記中間層で阻止することができ、基材層を構成する繊維が、研磨面側であるナップ層に入り込んだり、あるいは、ナップ層を突き抜けることがなく、これによって、基材層の繊維に起因する被研磨物のスクラッチを低減できることになる。
また、フィルム状の中間層上に、ナップ層を形成するので、不織布からなる基材層上に形成する従来例に比べて、湿式凝固の際の異常発泡を抑制してナップ層の特性を向上させることができるとともに、基材層上に樹脂溶液を塗布して湿式凝固させる従来例のように、樹脂溶液が基材層内部に不均一に入り込んで基材層の特性がばらつくといったこともない。
以下、図面によって本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る研磨布の概略断面図である。
この実施形態の研磨布1は、基材層2と、前記基材層2上に粘着層3を介して貼り付けられたフィルム状の中間層4と、この中間層4上に直接形成された多数の気泡6を有するナップ層5とを備えている。
中間層4となる中間材としては、樹脂フィルム、例えば、オレフィン系フィルム、ポリエステル系フィルムなどを用いることができる。
中間層4の厚みは、基材層2を構成する不織布等の繊維7がナップ層5側に入り込むのを阻止できる厚み以上であれば、可及的に薄い方が好ましい。すなわち、中間層4の厚みが厚過ぎると、中間層4の下層の基材層2が研磨に寄与できず、実質的にナップ層5だけで研磨を行なっているのと同様となって所望の研磨特性を得ることができない。
この中間層4の厚みは、その材質等に応じて適宜選択すればよいが、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを用いる場合には、その厚みの上限は、例えば、100μm以下、好ましくは、75μm以下であり、また、その下限は、例えば、25μm以上であるのが好ましい。
基材層2としては、例えば、ポリアミド系、ポリエステル系等の不織布などにウレタン樹脂を含浸したものを用いることができる。
研磨層であるナップ層5を形成するための樹脂溶液は、例えば、ウレタン樹脂をジメチルホルムアミド(DMF)などの水溶性有機溶媒に溶解させたものである。ウレタン樹脂としては、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系などのウレタン樹脂を用いることができ、異なる種類のウレタン樹脂をブレンドしてもよい。
ウレタン樹脂を溶解させる水溶性有機溶媒としては、上述のジメチルホルムアミドの他、例えば、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジメチルアセトアミド等の溶媒を用いることができる。
また、ウレタン樹脂を溶解した有機溶媒には、カーボンブラック等の充填剤や界面活性剤等の分散安定剤を添加してもよい。
次に、上記構成の研磨布の製造方法を説明する。
この実施形態の研磨布の製造方法では、ポリエステル等の不織布にウレタン樹脂を含浸した基材を作製する。
また、ウレタン樹脂および界面活性剤等を、ジメチルホルムアミド(DMF)などの溶媒に溶解させて混合し、脱泡、濾過を行って、ウレタン樹脂溶液を作製する。
このウレタン樹脂溶液を、中間材、例えば、PETフィルムの表面に塗布し、湿式凝固させ、洗浄して溶媒を除去した後、表面をバフ研削して気泡を開口させてPETフィルムの表面にナップ層を直接形成してなる中間製品を作製する。
次に、この中間製品のPETフィルムの裏面に接着剤を塗布し、上述の不織布にウレタン樹脂を含浸した基材に貼り付けることにより、図1に示す研磨布1を得るものである。
なお、接着剤に代えて、両面接着テープを用いて貼り付けてもよい。
上述の図4に示す従来例の研磨布では、不織布からなる基材層20の表面に、ウレタン樹脂溶液を塗布し、水系凝固液に浸漬して湿式凝固させてナップ層50を形成するので、湿式凝固の際に、不織布からなる基材層20の裏面側から水が浸入して異常発泡を生じるのに対して、この実施形態では、PETフィルムの表面に、ウレタン樹脂溶液を塗布し、湿式凝固させてナップ層を形成するので、湿式凝固の際に、PETフィルムの裏面から水が浸入して異常発泡を生じることがなく、ナップ層5の特性が向上する。
更に、従来例では、不織布からなる基材層20上に、ウレタン樹脂溶液を塗布した際に、ウレタン樹脂溶液が基材層20内部に不均一に入り込んで基材層20の特性がばらつくのに対して、この実施形態では、PETフィルムの表面に、ウレタン樹脂溶液を塗布するので、基材層2にウレタン樹脂溶液が入り込むこともなく、特性がばらつくこともない。
次に、実施例の研磨布および従来例の研磨布をサンプルとして製作し、シリコンウェハの研磨をそれぞれ行なってシリコンウェハ表面のスクラッチを評価した。
実施例の研磨布は、中間材として、厚さ50μmのPETフィルムを用いた。このPETフィルムの表面に、ウレタン樹脂溶液を塗布して、これを湿式凝固させ、その表面をバフ研削して気泡を開口させた後、このPETフィルムの裏面を、ポリエステル不織布にウレタン樹脂を含浸させた基材に貼り合わせて実施例の研磨布とした。
従来例の研磨布は、ポリエステル不織布にウレタン樹脂を含浸させた基材に、ウレタン樹脂溶液を塗布して、これを湿式凝固させ、その表面をバフ研削して気泡を開口させることにより、製作した。
以上のようにして得られた実施例および従来例の電子顕微鏡写真を、図2および図5にそれぞれ示す。
図2は、実施例の断面を示しており、図5(a)は、従来例の表面を、図5(b)は、従来例の断面をそれぞれ示しており、図1および図4に対応する部分には、同一の参照符号を付している。
従来例では、図5(a)の円形状に囲んだ領域Aに示すように、ナップ層を貫通して表面に至った繊維、あるいは、図5(b)の楕円形状に囲んだ領域Bに示すように、ナップ層の気泡に混入した繊維が認められる。
また、図2の実施例のナップ層に比べて、従来例では、図5(b)に示すように、気泡のばらつきも大きく、特に、楕円形状に囲んだ領域Cでは、異常発泡による下向きの涙滴状の気泡が認められ、円形状に囲んだ領域Dでは、ナップ層の下部に異常発泡による気泡の存在も認められる。
次に、実施例および従来例の研磨布をそれぞれ用いて下記の研磨条件にてシリコンウェハの仕上げ研磨を行い、スクラッチの発生頻度を評価した。スクラッチは、0.1μmの傷や欠陥を検出できるパーティクルカウンター:Hitachi,LS6600にて測定した。
研磨条件
・研磨機:Strasbaugh 6CA(Strasbaugh社製)
・ヘッド回転速度:100rpm(定盤径8´´)
・プラテン回転速度:115rpm(定盤径20´´)
・スラリー:NP8020
・スラリー流量:300ml/分
・研磨圧力:100gf/cm
・研磨時間:5 min
・スラリー希釈倍率:(1:20)
なお、研磨試験は実施例の研磨布および従来例の研磨布についてそれぞれ10回行い、スクラッチを測定した。
図3に、その結果を示す。図3において、縦軸は、シリコンウェハの面内のスクラッチの数を示し、横軸は、1回〜10回の各研磨試験を示している。また、右端には、平均値を併せて示している。
この図3から明らかなように、実施例の研磨布による研磨では、シリコウェハのスクラッチの数が、0〜2個であって、平均が0.8個であるのに対して、従来例の研磨布による研磨では、スクラッチの数が、2〜12個であって、平均が、5.8個であり、スクラッチの数が、従来例に比べて、大幅に低減している。
このように、基材層2とナップ層5との間に、フィルム状の中間層4を介在させた実施例では、従来例に比べて、シリコンウェハのスクラッチを大幅に低減することができる。
本発明は、半導体ウェハや精密ガラス基板などの研磨に有用である。
本発明の一つの実施の形態に係る研磨布の概略断面図である。 実施例の電子顕微鏡写真である。 実施例および従来例のスクラッチの数を示す図である。 従来例の研磨布の概略断面図である。 従来例の電子顕微鏡写真である。
符号の説明
1,10 研磨布 2,20 基材層
4 中間層 5,50 ナップ層

Claims (9)

  1. 繊維材料からなる基材層と、前記基材層上に設けられるフィルム状の中間層と、前記中間層上に直接形成されてなるナップ層とを備えることを特徴とする研磨布。
  2. 前記基材層が、不織布に樹脂を含浸させてなる不織布層である請求項1に記載の研磨布。
  3. 前記中間層が、樹脂フィルム層である請求項1または2に記載の研磨布。
  4. 前記中間層が、粘着層を介して前記基材層に貼り合わされてなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の研磨布。
  5. 前記中間層の厚さが、100μm以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の研磨布。
  6. 中間層となるフィルム状の中間材の表面に樹脂溶液を塗布して湿式凝固した後に、前記湿式凝固した樹脂の表面を研削することにより、前記中間層の表面に、ナップ層を直接形成する工程と、
    前記ナップ層が形成された前記中間層の裏面を、繊維材料からなる基材層に貼り付ける工程と、
    を含むことを特徴とする研磨布の製造方法。
  7. 前記基材層が、不織布に樹脂を含浸させてなる不織布層である請求項6に記載の研磨布の製造方法。
  8. 前記中間材が、樹脂フィルムである請求項6または7に記載の研磨布の製造方法。
  9. 前記中間層の厚さが、100μm以下である請求項6〜8のいずれか1項に記載の研磨布の製造方法。
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