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JP2007306753A - ノッチフィルタのパラメータ調整方法、プログラムおよびモータ制御装置 - Google Patents

ノッチフィルタのパラメータ調整方法、プログラムおよびモータ制御装置 Download PDF

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JP2007306753A JP2006134893A JP2006134893A JP2007306753A JP 2007306753 A JP2007306753 A JP 2007306753A JP 2006134893 A JP2006134893 A JP 2006134893A JP 2006134893 A JP2006134893 A JP 2006134893A JP 2007306753 A JP2007306753 A JP 2007306753A
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Toru Tazawa
徹 田澤
Kazunari Narasaki
和成 楢崎
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

【課題】ノッチフィルタの幅を必要以上に大きくとると制御帯域での位相特性を悪化させ、逆にノッチフィルタの幅が狭すぎると共振周波数近傍のゲインを十分落とすことができないため発振の原因となる。これによりゲインをあまり上げられない状態となる。ノッチフィルタを使用するにあたっては適切な幅パラメータになるよう調整する必要がある。
【解決手段】制御対象の周波数特性、あるいは反共振周波数、あるいは反共振周波数とノッチ中心周波数との比に基づいてノッチフィルタの幅パラメータを調整する。また、算出されたノッチフィルタの幅パラメータの最適値を用いてモータ制御装置の制御パラメータを調整する。
【選択図】図1

Description

本発明は、モータ制御装置の制御パラメータ調整に関するもので、特にノッチフィルタのパラメータ調整方法、プログラムおよびモータ制御装置に関するものである。
従来のモータ制御装置の制御パラメータ調整方法としては、トルク指令からモータ速度までの周波数特性である負荷周波数特性を用いて制御パラメータを調整するものがある(例えば、特許文献1参照)。
図8は従来技術を説明するための図である。図8において、モータ制御装置5は、モータ1を駆動する。モータ1には、それにより駆動される負荷2が接続されている。さらに、モータ1には位置検出器3が接続されており、位置検出器3はモータ1の回転位置θmを検出し出力する。モータ1、負荷2、位置検出器3、モータ1と負荷2の連結部分およびモータ1と位置検出器3の連結部分により機械系4が構成される。
モータ制御装置5は、速度算出器6、位置制御器7、速度制御器8、スイッチ部9、フィルタ部10、トルク制御器11、周波数特性測定用トルク指令作成器12、および第2の制御パラメータ調整部513を備える。モータ1を駆動する時は、スイッチ部9がa)に切り替えられる。速度算出器6は位置検出器3の出力である回転子位置θmが入力され、モータ1の速度vmを算出し出力する。位置制御器7は位置検出器3の出力である回転位置θmが外部から入力される位置指令θrと一致するよう制御演算し速度指令vrを出力する。速度制御器8は速度演算器6の出力である速度vmが速度指令vrと一致するよう制御演算し第1のトルク指令τr1を出力する。フィルタ部10は第1のトルク指令τr1が入力されフィルタ処理をして第2のトルク指令τr2を出力する。トルク制御器11は第2のトルク指令τr2が入力され、第2のトルク指令τr2を電流指令に変換し、電流指令とモータ1に流れる電流とが一致するよう電流制御を行うことによりモータ1を駆動する。
制御パラメータの調整は以下の通り行う。まず、スイッチ部9がb)に切り替えられる。そして周波数特性測定用トルク指令作成器12は、例えばM系列信号など複数の周波数成分を含む第1のトルク指令を出力しモータ1を駆動する。この時の第1のトルク指令τr1とモータ速度vmが第2の制御パラメータ調整部513に入力される。第2の制御パラメータ調整部513では図9に示すフローチャートに示す処理を行う。以下フローチャートについて説明する。
入力された第1のトルク指令τr1とモータ速度vmをサンプリングし、第1のトルク指令τr1からモータ速度vmまでの周波数特性を算出して得る(ステップS511)。以下、求めた周波数特性を「負荷周波数特性」と呼ぶ。
負荷周波数特性のゲイン特性から共振周波数を算出し、算出した共振周波数をノッチ中心周波数とするノッチフィルタの設定パターンを算出する(ステップS512)。設定パターンとはノッチフィルタをどの共振周波数に対し適用するかの組み合わせを指す。
そして、制御系が安定となる最大の速度応答周波数ωvを全ての設定パターンについて算出する(ステップS513〜S516)。
全ての設定パターンについて速度応答周波数ωvが算出されると、その中で最大となる
速度応答周波数ωvを求め、関連づけられたノッチフィルタの設定パターンに基づいて制御パラメータを調整する(ステップS517)。
この処理により制御安定性が保証できる最大速度応答周波数ωvが短時間で得られ、同時に最適なノッチフィルタ設定パターンも得られる。なお、ノッチフィルタはフィルタ部10に設定される。
特開2005−245051号公報
しかしながら、従来のモータ制御装置の制御パラメータ調整方法では下記課題がある。算出された共振周波数に対しノッチフィルタの設定パターンを算出しているが、ノッチフィルタのパラメータに関してはノッチ中心周波数のみ言及しており幅に関する言及はない。図10にノッチフィルタの周波数特性を表す図を示す。図10において実線で示すAは幅の狭いノッチフィルタ、点線で示すBは幅の広いノッチフィルタである。幅の広いノッチフィルタBはノッチ中心周波数を中心に幅広くゲインを落とすことができる。しかしながらノッチフィルタAと比較すると、ノッチ中心周波数より低周波領域で位相遅れ量が大きい。通常、ノッチフィルタは制御帯域より高い周波数領域にある共振周波数でのゲインを落とすために用いられる。従って、ノッチフィルタの幅を必要以上に大きくとると制御帯域での位相特性を悪化させる。これにより制御系の位相余裕が減少しゲインをあまり上げられない状態が発生する。逆にノッチフィルタの幅が狭すぎると共振周波数近傍のゲインを十分落とすことができないため発振の原因となる。この場合もゲインをあまり上げられない状態となる。すなわち、ノッチフィルタを使用するにあたっては適切な幅パラメータになるよう調整する必要がある。
また、手動でモータ制御装置の制御パラメータを調整する場合、ノッチフィルタの最適な幅パラメータ調整においては試行錯誤になることが多く、調整ノウハウが必要である、あるいは調整に多くの時間を要する等の課題があった。
上記課題を解決するために本発明は、ノッチフィルタを有するモータ制御装置の制御パラメータ調整において、制御対象の周波数特性に基づいて前記ノッチフィルタのパラメータを調整する。
ノッチフィルタを有するモータ制御装置の制御パラメータ設定において、制御対象の周波数特性における反共振周波数に基づいて前記ノッチフィルタのパラメータを調整する。
ノッチフィルタを有するモータ制御装置の制御パラメータ調整において、制御対象の周波数特性における反共振周波数のうちノッチフィルタ中心周波数に最も近い反共振周波数に基づいて前記ノッチフィルタの幅パラメータを調整する。
ノッチフィルタを有するモータ制御装置の制御パラメータ調整において、制御対象の周波数特性における反共振周波数のうちノッチフィルタ中心周波数に最も近い反共振周波数と前記ノッチフィルタ中心周波数との比率に基づいて前記ノッチフィルタの幅パラメータを調整する。
ノッチフィルタを有するモータ制御装置の制御パラメータ調整において、制御対象の周波数特性における反共振周波数のうちノッチフィルタ中心周波数より低く前記ノッチフィルタ中心周波数に最も近い反共振周波数と、制御対象の周波数特性における反共振周波数のうちノッチフィルタ中心周波数より高く前記ノッチフィルタ中心周波数に最も近い反共
振周波数と、に基づいてノッチフィルタの幅パラメータを調整する。
ノッチフィルタを有するモータ制御装置の制御パラメータ調整において、制御対象の周波数特性における反共振周波数のうちノッチフィルタ中心周波数より低く前記ノッチフィルタ中心周波数に最も近い反共振周波数と前記ノッチフィルタ中心周波数との比率と、制御対象の周波数特性における反共振周波数のうちノッチフィルタ中心周波数より高く前記ノッチフィルタ中心周波数に最も近い反共振周波数と前記ノッチフィルタ中心周波数との比率と、に基づいてノッチフィルタの幅パラメータを調整する。
以上、説明したように本発明のノッチフィルタのパラメータ調整方法は、ノッチフィルタを有するモータ制御装置の制御パラメータ調整において、制御対象の周波数特性に基づいて前記ノッチフィルタのパラメータを調整する。これにより最適なノッチフィルタパラメータ設定を容易に行うことができる。
ノッチフィルタを有するモータ制御装置の制御パラメータ設定において、制御対象の周波数特性における反共振周波数に基づいて前記ノッチフィルタのパラメータを調整する。これにより最適なノッチフィルタのパラメータ設定を容易に行うことができる。
ノッチフィルタを有するモータ制御装置の制御パラメータ調整において、制御対象の周波数特性における反共振周波数のうちノッチフィルタ中心周波数に最も近い反共振周波数に基づいて前記ノッチフィルタの幅パラメータを調整する。これにより最適なノッチフィルタの幅パラメータ設定を容易に行うことができる。
ノッチフィルタを有するモータ制御装置の制御パラメータ調整において、制御対象の周波数特性における反共振周波数のうちノッチフィルタ中心周波数に最も近い反共振周波数と前記ノッチフィルタ中心周波数との比率に基づいて前記ノッチフィルタの幅パラメータを調整する。これにより最適なノッチフィルタの幅パラメータ設定を容易に行うことができる。
ノッチフィルタを有するモータ制御装置の制御パラメータ調整において、制御対象の周波数特性における反共振周波数のうちノッチフィルタ中心周波数より低く前記ノッチフィルタ中心周波数に最も近い反共振周波数と、制御対象の周波数特性における反共振周波数のうちノッチフィルタ中心周波数より高く前記ノッチフィルタ中心周波数に最も近い反共振周波数と、に基づいてノッチフィルタの幅パラメータを調整する。これにより最適なノッチフィルタの幅パラメータ設定を容易に行うことができる。
ノッチフィルタを有するモータ制御装置の制御パラメータ調整において、制御対象の周波数特性における反共振周波数のうちノッチフィルタ中心周波数より低く前記ノッチフィルタ中心周波数に最も近い反共振周波数と前記ノッチフィルタ中心周波数との比率と、制御対象の周波数特性における反共振周波数のうちノッチフィルタ中心周波数より高く前記ノッチフィルタ中心周波数に最も近い反共振周波数と前記ノッチフィルタ中心周波数との比率と、に基づいてノッチフィルタの幅パラメータを調整する。これにより最適なノッチフィルタの幅パラメータ設定を容易に行うことができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態における、ノッチフィルタを有するモータ制御装置である
。従来技術を説明した図8と同じ要素には同じ番号を付している。従来技術と異なるのは第2の制御パラメータ調整部513の代わりに第1の制御パラメータ調整部13が設けられている。
図1において、モータ制御装置5は、モータ1を駆動する。モータ1には、それにより駆動される負荷2が接続されている。さらに、モータ1には位置検出器3が接続されており、位置検出器3はモータ1の回転位置θmを検出し出力する。モータ1、負荷2、位置検出器3、モータ1と負荷2の連結部分およびモータ1と位置検出器3の連結部分により機械系4が構成される。
モータ制御装置5は、速度算出器6、位置制御器7、速度制御器8、スイッチ部9、フィルタ部10、トルク制御器11、周波数特性測定用トルク指令作成器12、および第1の制御パラメータ調整部13を備える。モータ1を駆動する時は、スイッチ部9がa)に切り替えられる。速度算出器6は位置検出器3の出力である回転子位置θmが入力され、モータ1の速度vmを算出し出力する。位置制御器7は位置検出器3の出力である回転位置θmが外部から入力される位置指令θrと一致するよう制御演算し速度指令vrを出力する。速度制御器8は速度演算器6の出力である速度vmが速度指令vrと一致するよう制御演算し第1のトルク指令τr1を出力する。フィルタ部10は第1のトルク指令τr1が入力されフィルタ処理をして第2のトルク指令τr2を出力する。トルク制御器11は第2のトルク指令τr2が入力され、第2のトルク指令τr2を電流指令に変換し、電流指令とモータ1に流れる電流とが一致するよう電流制御を行うことによりモータ1を駆動する。
制御パラメータの調整は以下の通り行う。まず、スイッチ部9がb)に切り替えられる。そして周波数特性測定用トルク指令作成器12は、例えばM系列信号など複数の周波数成分を含む第1のトルク指令を出力しモータ1を駆動する。この時の第1のトルク指令τr1とモータ速度vmが第1の制御パラメータ調整部13に入力される。第1の制御パラメータ調整部13では図2に示すフローチャートに示す処理を行う。以下フローチャートについて説明する。
ステップS1では、入力された第1のトルク指令τr1とモータ速度vmをサンプリングし、第1のトルク指令τr1からモータ速度vmまでの周波数特性を算出して得る。これを負荷周波数特性と呼ぶことにする。負荷周波数特性の算出は、例えば、サンプリングした第1のトルク指令τr1およびモータ速度vmをそれぞれフーリエ変換し、モータ速度vmのフーリエ変換結果から算出されるゲイン特性および位相特性から、第1のトルク指令τr1のフーリエ変換結果から算出されるゲイン特性および位相特性を減ずることによって得られる。
ステップS2では、まず得られた負荷周波数特性から共振周波数を算出する。共振周波数の算出は、負荷周波数特性のゲイン特性の変曲点を探索する方法などで得ることができる。そして、各共振周波数にノッチフィルタをあてる場合の幅パラメータを算出し、各共振周波数に関連づける。ノッチフィルタの幅パラメータの算出については後述する。
ステップS3では、ステップS2で得られた共振周波数に応じたノッチフィルタの設定パターンを算出する。設定パターンの算出は、最大いくつのノッチフィルタを同時に付加できるかを予め設定しておき、ノッチフィルタを付加しない場合も含めどのような付加のパターンがあるかを求める。例えば、最大2個のノッチフィルタを付加可能とし、共振周波数が3つあり、共振周波数をfp1、fp2、f3とする。この場合、図3に示す設定パターンを算出する。
そしてステップS4からステップS7をノッチフィルタの設定パターンを変えて繰り返し行う。
ステップS4では、選択されていない設定パターンがあるかどうかを判断する。ある場合はステップS5へ、ない場合はステップS8へ進む。
ステップS5では、選択されていない設定パターンの中から1つを選択する。そして、選択された設定パターンのノッチフィルタの周波数特性を負荷周波数特性に加算し、制御対象周波数特性を算出する。例えば、選択された設定パターンが図9のNo.5の場合、中心周波数をf1としたノッチフィルタの周波数特性と中心周波数をf2としたノッチフィルタの周波数特性を負荷周波数特性に加算して制御対象周波数特性を算出する。この際ノッチフィルタの幅パラメータはステップS2で関連づけられたものを用いる。
ステップS6では、0以上である位相余裕α[deg]を用いて、得られた制御対象周波数特性の位相が−180+α[deg]以下の周波数領域における最大ゲインGmax[dB]を算出する。
ステップS7では、最大ゲインGmax[dB]に基づいて速度応答周波数ωvを算出し、選択された設定パターンと関連づけて記憶しておく。ナイキストの安定定理より、フィードバック系の一巡伝達関数の周波数特性において、位相が−180[deg]以下となる周波数領域でゲインが0[dB]以下ならば安定は保証される。
ステップS8では、ステップS4からステップS7までの動作を繰り返すことにより算出された各設定パターンに対する速度応答周波数ωvの中で最大値を求め、関連づけられたノッチフィルタの設定パターンに基づいて制御パラメータを調整する。
ここで、ノッチフィルタの幅パラメータの調整について説明する。共振を有する場合、ゲインを上げていくと共振周波数での制御安定性が失われ発振する。発振を抑えるためには共振周波数でのゲインを下げるノッチフィルタを付加すればよい。この時ノッチフィルタの幅を広げすぎると制御帯域の位相特性が悪化しゲインを十分上げられなくなる。反対にノッチフィルタの幅が狭すぎると共振周波数近傍のゲインを抑えることができず発振しやすくなり結果ゲインを十分上げられなくなる。
ノッチフィルタの幅パラメータの調整について図4を用いて説明する。ここでは機械系は2慣性系としている。図4においてAで示す点線はノッチフィルタを付加する前の機械系の周波数特性、Bで示す実線はノッチフィルタを付加した後の周波数特性である。実線Bは点線Aに対しノッチフィルタによって共振周波数ωp近傍のゲインが下がっている。また、Cで示す二重線は機械系の高域ゲインを延長したもので−20db/decの傾きを持つ。Dで示す二重線は共振と反共振の中間の周波数におけるゲイン点を通る20db/decの傾きを持つ線である。ノッチフィルタは図9に示されるように対数周波数軸でノッチ中心周波数に対し左右対称である。よって二重線Cと二重線Dのうちよりゲインが高い方に着目し、ノッチフィルタ幅パラメータを調整する基準線とする。この場合、二重線Cの方が高い。そしてノッチフィルタの幅パラメータの調整は共振周波数ωpより高い領域において実線Bのゲインが二重線Cに対し所定量以上にならないようにする。
実線Aで示した機械系の伝達関数を(数1)に、機械系の共振周波数をノッチ中心周波数としたノッチフィルタの伝達関数を(数2)に、機械系の高域ゲインを伸ばした二重線Cの伝達関数を(数3)に示す。
(数1)、(数2)、(数3)においてωpは共振周波数、ωzは反共振周波数、ζはノッチフィルタの幅パラメータ、Jmは機械系のモータ側イナーシャ、JLは機械系の負荷側イナーシャである。またsはラプラス演算子である。
図5に実線Bと二重線Cの差分をとったものを示す。共振周波数ωpより高い領域において実線Bのゲインが二重線Cに対し所定量以上にならないようノッチフィルタの幅パラメータを調整することは、図5において最大ゲインが所定量以下になるようすることと同じである。図5に示すグラフの伝達関数は次式となる。
式変形にあたっては2慣性系で成り立つ(数5)を用いた。
共振比α=ωp/ωzとし、(数4)のsをjωで置き換え、伝達関数H4(s)の大きさを計算すると次式が得られる。
この式は図5の伝達関数のゲインを表す式である。全ての周波数ωにおいて(数6)が所定量k以下になるようにする。kは1(0dB)以上で十分1に近い値とする。即ち次式が成り立つようにする。
この不等式を変形すると次式が得られる。
(数8)において右辺の括弧でくくられた第2項の内部はともに正の値であるので相加平均、相乗平均の関係を使ってさらに変形すると次式が得られる。
ノッチフィルタの幅パラメータであるζは値が大きいほど幅が広くなるため(数9)を満たす最小のζを選べば共振周波数近傍のゲインを十分落としつつ、制御帯域での位相悪化を少なくすることができる。
(数9)の等号が成り立つ式を用い、所定値kをある値で固定した場合の共振比αとノッチ幅パラメータζの関係を表すグラフを図6に示す。所定量kが与えられると共振周波数と反共振周波数との比率である共振比αに応じて最適なノッチフィルタ幅パラメータを決めることができる。
このように、ユーザはモータ制御装置の制御パラメータ設定において、ノッチフィルタ
を付加する場合の幅パラメータの最適設定を容易にすることができるので、ノッチフィルタの付加を考慮した上で、安定性が保証され、かつ応答性よいパラメータ調整を試行錯誤することなく容易にできる。
なお、本実施の形態のステップS1では、第1のトルク指令とモータ速度をサンプリングし、フーリエ変換し、負荷周波数特性を算出するとしたが、フーリエ変換後のデータが入力され負荷周波数特性を算出する、あるいは前もって計算された負荷周波数特性が入力されるとしても同様の効果が得られる。
また、本実施の形態では、第1のトルク指令からモータ速度までの周波数特性を算出するとしたが、第2のトルク指令からモータ速度までの周波数特性を算出し、フィルタ部の周波数特性を加算しても同様のものを得ることができるので、第2のトルク指令からモータ速度までの周波数特性を算出あるいは入力するとしてもよい。
また、本実施の形態では、位置制御装置に対して速度応答周波数の算出を行ったが、速度制御装置に対して行うとしても同様の効果が得られる。
また、本実施の形態では、ステップS1からステップS8の動作をする第1の制御パラメータ調整部13を有するモータ制御装置として説明したが、制御対象の周波数特性や共振周波数および反共振周波数の情報を用いてノッチフィルタの幅を調整する機能を有する調整プログラムおよびそれを含む調整プログラムで合っても同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態では、制御対象の周波数特性を用いて制御パラメータを調整するものとしたが、手動で制御パラメータを調整する場合のノッチフィルタの幅のみを調整する場合に適用しても試行錯誤することなく容易に調整できるという同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態では数式を用いてノッチフィルタの幅パラメータの値を調整するとしたが、前もって数式を計算した結果をデータベースとして持ち、共振比等の入力データに基づいて参照し調整するとしてもよい。
また、本実施の形態では2慣性系の場合で説明したが共振周波数を複数持つ多慣性系の場合にも同様の考え方でノッチフィルタの幅パラメータを調整することができる。共振周波数を複数持つ機械系の場合、図8に示すようにノッチフィルタを与えるべき共振周波数ωpに対し、低い方の反共振周波数ωz1だけでなく高い方にも反共振周波数ωz2を持つ場合もある。この場合、共振比はα1=ωp/ωz1だけでなくα2=ωz2/ωpも考慮して幅を決める。図6に示されるように共振比が大きいほどノッチ幅を広くとる必要があるので、例えば、α1とα2を比較して大きい方の共振比を用い前述の方法でノッチ幅パラメータを決めるとしてもよい。あるいは、図4を用いて説明したように共振周波数ωpと反共振周波数ωz1の中間周波数におけるゲイン点を通る20dB/dec線と共振周波数ωpと反共振周波数ωz2の中間周波数におけるゲイン点を通る−20dB/dec線とを比較し、ゲインの高い方の線を基準に所定量を超えないようノッチフィルタ幅パラメータを調整するとしてもよい
本発明のノッチフィルタの制御パラメータ調整方法は、部品実装機や半導体製造装置などモータを使用する機器のモータ制御装置の制御パラメータを調整するプログラム等として有用である。また、制御パラメータを調整する機能を有するモータ制御装置等としても適用が可能である。
本発明の実施例1における従来の技術における電動機の制御装置の全体構成図 本発明の実施例1における第1の制御パラメータ調整部の動作を示すフローチャート 本発明の実施例1における設定パターン表を示す図 機械系の周波数特性およびノッチフィルタを付加した周波数特性を示す図 ノッチフィルタを付加した周波数特性から高域ゲイン特性を減じた周波数特性を示す図 共振比とノッチ幅パラメータの関係例を示す図 共振周波数を複数持つ機械系の周波数特性を示す図 従来の技術における電動機の制御装置の全体構成図 従来の技術における第2の制御パラメータ調整部の動作を示すフローチャート ノッチフィルタの周波数特性を示す図
符号の説明
1 モータ
2 負荷
3 位置検出器
4 機械系
5 モータ駆動装置
6 速度算出器
7 位置制御器
8 速度制御器
9 スイッチ部
10 第1のフィルタ部
11 トルク制御器
12 周波数特性測定用トルク指令作成器
13 第1の制御パラメータ調整部

Claims (8)

  1. ノッチフィルタを有するモータ制御装置の制御パラメータ調整において、制御対象の周波数特性に基づいて前記ノッチフィルタのパラメータを調整することを特長とするノッチフィルタのパラメータ調整方法。
  2. ノッチフィルタを有するモータ制御装置の制御パラメータ設定において、制御対象の周波数特性における反共振周波数に基づいて前記ノッチフィルタのパラメータを調整することを特長とするノッチフィルタのパラメータ調整方法。
  3. ノッチフィルタを有するモータ制御装置の制御パラメータ調整において、制御対象の周波数特性における反共振周波数のうちノッチフィルタ中心周波数に最も近い反共振周波数に基づいて前記ノッチフィルタの幅パラメータを調整することを特長とするノッチフィルタのパラメータ調整方法。
  4. ノッチフィルタを有するモータ制御装置の制御パラメータ調整において、制御対象の周波数特性における反共振周波数のうちノッチフィルタ中心周波数に最も近い反共振周波数と前記ノッチフィルタ中心周波数との比率に基づいて前記ノッチフィルタの幅パラメータを調整することを特長とするノッチフィルタのパラメータ調整方法。
  5. ノッチフィルタを有するモータ制御装置の制御パラメータ調整において、制御対象の周波数特性における反共振周波数のうちノッチフィルタ中心周波数より低く前記ノッチフィルタ中心周波数に最も近い反共振周波数と、制御対象の周波数特性における反共振周波数のうちノッチフィルタ中心周波数より高く前記ノッチフィルタ中心周波数に最も近い反共振周波数と、に基づいてノッチフィルタの幅パラメータを調整することを特長とするノッチフィルタのパラメータ調整方法。
  6. ノッチフィルタを有するモータ制御装置の制御パラメータ調整において、制御対象の周波数特性における反共振周波数のうちノッチフィルタ中心周波数より低く前記ノッチフィルタ中心周波数に最も近い反共振周波数と前記ノッチフィルタ中心周波数との比率と、制御対象の周波数特性における反共振周波数のうちノッチフィルタ中心周波数より高く前記ノッチフィルタ中心周波数に最も近い反共振周波数と前記ノッチフィルタ中心周波数との比率と、に基づいてノッチフィルタの幅パラメータを調整することを特長とするノッチフィルタのパラメータ調整方法。
  7. 請求項1から請求項6のいずれかにに記載のノッチフィルタのパラメータ調整方法を有するプログラム。
  8. 請求項1から請求項6のいずれかに記載のノッチフィルタのパラメータ調整機能を有するモータ制御装置。

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