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JP2007204380A - 新規化合物及びその医薬用途 - Google Patents

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JP2007204380A
JP2007204380A JP2006021895A JP2006021895A JP2007204380A JP 2007204380 A JP2007204380 A JP 2007204380A JP 2006021895 A JP2006021895 A JP 2006021895A JP 2006021895 A JP2006021895 A JP 2006021895A JP 2007204380 A JP2007204380 A JP 2007204380A
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Shusuke Watanabe
秀典 渡邉
Shinichiro Kubo
伸一郎 久保
Masaya Imoto
正哉 井本
Masahito Sawada
雅人 澤田
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PHARMISH Inc
University of Tokyo NUC
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Pharmish
PHARMISH Inc
University of Tokyo NUC
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Abstract

【課題】細胞運動能(遊走能)に関係する疾患の治療に有用な新規化合物及びその利用。
【解決手段】式A−Bで表される化合物。(Aは(a)〜(e)のいずれかの基、Bは(f)〜(j)のいずれかの基、Rはアルキル基。)
Figure 2007204380

【選択図】なし

Description

本発明は、新規化合物若しくはその薬理学的に許容される塩、及びそれらを有効成分として含有する医薬組成物、細胞運動能阻害剤、細胞浸潤阻害剤、及び細胞増殖阻害剤に関する。
細胞の運動能(遊走能)、浸潤能、増殖などに対して阻害活性を有する物質は、細胞運動、細胞浸潤、細胞増殖などに関係する疾患の治療薬として有用であると考えられている。
従来、細胞の運動能(遊走能)、浸潤能、増殖などに対する阻害活性物質として、UTKO-1〜5(特許文献1及び2参照)などが知られている。
特開2005−330265号公報 国際公開第05/102981号パンフレット
本発明は、細胞運動能(遊走能)に関係する疾患の治療薬として有用な新規化合物及びその利用を提供することを目的とする。
本発明者らは、下式(1)〜(6)で表される化合物(以下、それぞれを「化合物(1)」、「化合物(2)」、「化合物(3)」、「化合物(4)」、「化合物(5)」、及び「化合物(6)」と称する。)が腫瘍細胞の運動能(遊走能)に対して阻害活性を有することを見出した。
Figure 2007204380
また、本発明者らは、化合物(2)〜(6)が、腫瘍細胞の増殖に対して阻害する活性を有し、腫瘍細胞に対して強い毒性を示すことを見出した。以上の結果に基づいて、本発明者らは本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る化合物は、下記の一般式(I)で表される化合物又はその薬理学的に許容される塩である。
Figure 2007204380
式(I)中、Aは下式(a)〜(e)のいずれかで表される基であり、Bは下式(f)〜(j)のいずれかで表される基であり、Rは炭素数1〜4の低級アルキル基である。
Figure 2007204380
また、本発明に係る化合物は、上述の化合物(1)〜(6)のいずれか又はその薬理学的に許容される塩である。
本発明に係る医薬組成物は、上述の一般式(I)で表される化合物又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する。式(I)中、Aは上式(a)〜(e)のいずれかで表される基であり、Bは上式(f)〜(j)のいずれかで表される基であり、Rは炭素数1〜4の低級アルキル基である。
また、本発明に係る医薬組成物は、上述の化合物(1)〜(6)のいずれか又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する。
本発明に係る細胞運動能阻害剤は、上述の一般式(I)で表される化合物又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する。式(I)中、Aは上式(a)〜(e)のいずれかで表される基であり、Bは上式(f)〜(j)のいずれかで表される基であり、Rは炭素数1〜4の低級アルキル基である。
また、本発明に係る細胞運動能阻害剤は、上述の化合物(1)〜(6)のいずれか又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する。
本発明に係る細胞浸潤を阻害する薬剤は、上述の一般式(I)で表される化合物又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する。式(I)中、Aは上式(a)〜(e)のいずれかで表される基であり、Bは上式(f)〜(j)のいずれかで表される基であり、Rは炭素数1〜4の低級アルキル基である。
また、本発明に係る細胞浸潤を阻害する薬剤は、上述の化合物(2)〜(6)のいずれか又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する。
本発明に係る細胞増殖阻害剤は、上述の一般式(I)で表される化合物又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する。式(I)中、Aは上式(a)〜(e)のいずれかで表される基であり、Bは上式(f)〜(j)のいずれかで表される基であり、Rは炭素数1〜4の低級アルキル基である。
また、本発明に係る細胞増殖阻害剤は、上述の化合物(2)〜(6)のいずれか又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する。
本発明に係る細胞の運動能を阻害する方法は、上述の一般式(I)で表される化合物又はその薬理学的に許容される塩を作用させる工程を含む。式(I)中、Aは上式(a)〜(e)のいずれかで表される基であり、Bは上式(f)〜(j)のいずれかで表される基であり、Rは炭素数1〜4の低級アルキル基である。
また、本発明に係る細胞の運動能を阻害する方法は、上述の化合物(1)〜(6)のいずれか又はその薬理学的に許容される塩を作用させる工程を含む。
本発明に係る細胞の浸潤を阻害する方法は、上述の一般式(I)で表される化合物又はその薬理学的に許容される塩を作用させる工程を含む。式(I)中、Aは上式(a)〜(e)のいずれかで表される基であり、Bは上式(f)〜(j)のいずれかで表される基であり、Rは炭素数1〜4の低級アルキル基である。
また、本発明に係る細胞の浸潤を阻害する方法は、上述の化合物(2)〜(6)のいずれか又はその薬理学的に許容される塩を作用させる工程を含む。
本発明に係る細胞の増殖を阻害する方法は、上述の一般式(I)で表される化合物又はその薬理学的に許容される塩を作用させる工程を含む。式(I)中、Aは上式(a)〜(e)のいずれかで表される基であり、Bは上式(f)〜(j)のいずれかで表される基であり、Rは炭素数1〜4の低級アルキル基である。
また、本発明に係る細胞の増殖を阻害する方法は、上述の化合物(2)〜(6)のいずれか又はその薬理学的に許容される塩を作用させる工程を含む。
本発明によれば、細胞運動能(遊走能)に関係する疾患の治療薬として有用な新規化合物及びその利用を提供することができる。
以下、上記知見に基づき完成した本発明の実施の形態を、実施例を挙げながら詳細に説明する。実施の形態及び実施例に特に説明がない場合には、J. Sambrook, E. F. Fritsch & T. Maniatis (Ed.), Molecular cloning, a laboratory manual (3rd edition), Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, New York (2001); F. M. Ausubel, R. Brent, R. E. Kingston, D. D. Moore, J.G. Seidman, J. A. Smith, K. Struhl (Ed.), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons Ltd.などの標準的なプロトコール集に記載の方法、あるいはそれを修飾したり、改変した方法を用いる。また、市販の試薬キットや測定装置を用いている場合には、特に説明が無い場合、それらに添付のプロトコールを用いる。
なお、本発明の目的、特徴、利点、及びそのアイデアは、本明細書の記載により、当業者には明らかであり、本明細書の記載から、当業者であれば、容易に本発明を再現できる。以下に記載された発明の実施の形態及び具体的な実施例などは、本発明の好ましい実施態様を示すものであり、例示又は説明のために示されているのであって、本発明をそれらに限定するものではない。本明細書で開示されている本発明の意図並びに範囲内で、本明細書の記載に基づき、様々な改変並びに修飾ができることは、当業者にとって明らかである。
==本発明に係る化合物の薬理作用==
下式(7)で表される化合物UTKO-1は、細胞の運動能(遊走能)、浸潤能、及び増殖を阻害することから、細胞の運動に起因する疾患、細胞の浸潤を伴う疾患、腫瘍細胞の増殖に起因する疾患等に対する医薬組成物として有用であるとされている(特開2005−330265号公報及び国際公開第05/102981号パンフレット参照)。
本発明者らは、上述のように、UTKO-1中の下式(m)で表される基(以下、「基(m)」と称する。)を、上式(f)〜(j)で表される基に置換した、化合物(2)〜(6)が、UTKO-1と同様に、細胞運動能(遊走能)や細胞増殖に対して優れた阻害活性を有し、腫瘍細胞に対して毒性が強いことを明らかにした。このことから、これらの化合物において、UTKO-1から基(m)を除いた骨格部分(上式(a)で表される基)が、細胞運動、細胞浸潤、細胞増殖などの阻害活性に重要な役割を有していることが明らかになった。
Figure 2007204380
従って、化合物(2)〜(6)は、細胞運動能阻害剤、細胞浸潤阻害剤、及び細胞増殖阻害剤、並びに、細胞の運動に起因する疾患、細胞の浸潤を伴う疾患、腫瘍細胞の増殖に起因する疾患等に対する医薬組成物(予防剤、改善剤、治療剤などを含む。)として有用であると考えられる。
また、上述のUTKO-1中の上式(a)で表される基(以下、「基(a)」と称する。)を上式(b)〜(e)で表される基に置換した化合物(UTKO-2〜5)もUTKO-1と同様に、腫瘍細胞の運動能(遊走能)、浸潤能、増殖などに対して阻害する作用を有し、細胞運動能阻害剤、細胞浸潤阻害剤、細胞増殖阻害剤、及び、細胞の運動に起因する疾患、細胞の浸潤を伴う疾患、腫瘍細胞の増殖に起因する疾患等に対する医薬組成物として有用であるとされている(特開2005−330265号公報及び国際公開第05/102981号パンフレット参照)。
Figure 2007204380
このことは、UTKO-1が2つの独立した構成要素、基(a)及び基(m)から成り、それぞれが腫瘍細胞の運動能(遊走能)、浸潤能、増殖などを阻害する化合物の骨格であって、機能を発揮するためには両者が必要であるが、基(a)と基(m)が独立に交換可能であることを意味する。
従って、上述の一般式(I)において、Aが上式(b)〜(e)のいずれかで表される基であり、Bが上式(f)〜(j)のいずれかで表される基である化合物(ただし、式(I)中のRは炭素数1〜4の低級アルキル基である。)もUTKO-1〜5と同様に、腫瘍細胞の運動能(遊走能)、浸潤能、及び増殖を阻害する作用などを有し、腫瘍細胞に対して毒性が高いと考えられることから、細胞運動能阻害剤、細胞浸潤阻害剤、細胞増殖阻害剤、及び、細胞の運動に起因する疾患、細胞の浸潤を伴う疾患、腫瘍細胞の増殖に起因する疾患等に対する医薬組成物(予防剤、改善剤、治療剤などを含む。)として有用であると考えられる。
さらに、下式(8)で表される化合物(モベラスチン)中のアルデヒド基を水素原子に置換した化合物(1)は、モベラスチンに比べて、細胞運動能(遊走能)に対する阻害活性が優れていることが明らかになった。このことから、化合物(1)は、細胞運動能阻害剤及び細胞の運動に起因する疾患に対する医薬組成物(予防剤、改善剤、治療剤などを含む。)として有用であると考えられる。
Figure 2007204380
また、上述の一般式(I)で表される化合物(式(I)中、Aは上式(a)〜(e)のいずれかで表される基であり、Bは上式(f)〜(j)のいずれかで表される基であり、Rは炭素数1〜4の低級アルキル基である。)の薬理学的に許容される塩もUTKO-1〜5と同様に、腫瘍細胞の運動能(遊走能)、浸潤能、及び増殖を阻害する作用などを有し、腫瘍細胞に対して毒性が高いと考えられる。従って、一般式(I)で表される化合物(式(I)中、Aは上式(a)〜(e)のいずれかで表される基であり、Bは上式(f)〜(j)のいずれかで表される基であり、Rは炭素数1〜4の低級アルキル基である。)の薬理学的に許容される塩も、細胞運動能阻害剤、細胞浸潤阻害剤、細胞増殖阻害剤、及び、細胞の運動に起因する疾患、細胞の浸潤を伴う疾患、腫瘍細胞の増殖に起因する疾患等に対する医薬組成物(予防剤、改善剤、治療剤などを含む。)として有用であると考えられる。
なお、前記細胞の運動に起因する疾患は、例えば、血管新生、腫瘍転移、動脈硬化、糖尿病性網膜症などである。また、前記細胞の浸潤を伴う疾患は、例えば、炎症細胞の浸潤を伴う急性心筋梗塞、腫瘍細胞の浸潤による腫瘍転移、白血球の浸潤を伴う動脈硬化、単核細胞の浸潤を伴う、拘束性肺疾患、胃炎、又は急性型間質性肺炎などである。
==本発明に係る化合物の製造方法==
本発明に係る化合物は、例えば、文献(特開2005−330265号公報及び国際公開第05/102981号パンフレット参照)に記載の方法に準じて製造した、下記の一般式(II)で表される化合物、一般式(IV)で表される化合物、及び式(9)で表される化合物などを出発物質として用い、以下の反応工程式に準じて反応を行ったり、実施例に記載の方法に準じて反応を行ったりすることにより、製造することができる。なお、反応工程式中におけるRは炭素数1〜4の低級アルキル基であり、Rは上式(a)〜(e)のいずれかで表される基である。
まず、下記の一般式(II)で表される化合物を用いて、本発明の化合物である下記の一般式(III)で表される化合物の製造方法の一例を反応工程式1に基づいて説明する。
Figure 2007204380
<工程1:一般式(III)で表される化合物の製造>
一般式(II)で表される化合物の塩化メチレン溶液にピリジニウムジクロメート(PDC)を加えて攪拌する。攪拌後、反応溶液を酢酸エチルで希釈し、セライト濾過した後、濃縮する。得られた濃縮液を酢酸エチルでフロリジル濾過した後、濃縮してTHF(テトラヒドロフラン)に溶解し、濃塩酸を加えて攪拌する。その後、飽和重曹水を加え、酢酸エチルで抽出する。有機層を合わせて、水、飽和塩化ナトリウム水溶液にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過して減圧濃縮する。得られた濃縮液をクロマトグラフィーにより精製することで、一般式(III)で表される化合物を得ることができる。
次に、下記の一般式(IV)で表される化合物を用いて、本発明の化合物である下記の一般式(V)、(VI)、及び(VII)で表される化合物の製造方法の一例を反応工程式2に基づいて説明する。
Figure 2007204380
<工程2:一般式(V)で表される化合物の製造>
一般式(IV)で表される化合物の酢酸エチル溶液に、ロジウム−アルミナを加え、水素ガス中で撹拌する。攪拌後、酢酸エチルで希釈してセライト濾過し、濃縮する。得られた濃縮液をクロマトグラフィーにより精製することで、一般式(V)で表される化合物を得ることができる。
<工程3:一般式(VI)で表される化合物の製造>
アゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)のトルエン溶液をTHF(1ml)に溶解し、一般式(IV)で表される化合物及びトリフェニルホスフィン(PPh3)のTHF溶液に加えて攪拌し、反応溶液を濃縮する。得られた濃縮液をクロマトグラフィーにより精製することで、一般式(VI)で表される化合物を得ることができる。
<工程4:一般式(VII)で表される化合物の製造>
一般式(IV)で表される化合物、炭酸カリウム、及びテトラブチルアンモニウム・ハイドロスルフェートを酢酸エチルに加えた後、トルエンにRI(Rは炭素数1〜4の低級アルキル基である。)を溶解した溶液を加えて攪拌し、反応溶液を濃縮する。得られた濃縮液をクロマトグラフィーにより精製することで、一般式(VII)で表される化合物を得ることができる。
次に、下式(9)で表される化合物を用いて、本発明の化合物である下記の一般式(X)で表される化合物の製造方法の一例を反応工程式3に基づいて説明する。
Figure 2007204380
<工程5:式(10)で表される化合物の製造>
4-アリル-3,5-ビス(メトキシメトキシ)トルエン(式(9)で表される化合物)の塩化メチレン溶液に、オゾン−酸素ガスを溶液の色が薄青色になるまで吹き込む。続いて、窒素ガスを吹き込んで過剰のオゾンを窒素で置換除去した後、トリフェニルホスフィンを加えて攪拌し、反応溶液を減圧濃縮する。得られた濃縮液をクロマトグラフィーにより精製することで、式(10)で表される化合物を得ることができる。
<工程6:一般式(IX)で表される化合物の製造>
塩化クロム(II)、塩化ニッケル(II)のジメチルホルムアミド(DMF)溶液に、一般式(VIII)で表される化合物及び式(10)で表される化合物のジメチルホルムアミド溶液を滴下し、攪拌する。攪拌後、反応溶液に水を加え、ジエチルエーテルで抽出する。有機層を合わせて、水、飽和塩化ナトリウム水溶液にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過して減圧濃縮する。得られた濃縮液をクロマトグラフィーにより精製することで、一般式(IX)で表される化合物を得ることができる。
<工程7:一般式(X)で表される化合物の製造>
一般式(IX)で表される化合物のメタノール溶液に、カンファースルホン酸(CSA)を加えて攪拌する。攪拌後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて酢酸エチルで抽出する。有機層を合わせて、水、飽和塩化ナトリウム水溶液にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過して減圧濃縮する。得られた濃縮液をクロマトグラフィーにより精製することで、一般式(X)で表される化合物を得ることができる。
なお、本発明に係る化合物の薬理学的に許容される塩、例えば、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(マグネシウム塩、カルシウム塩など)、その他の金属塩(アルミニウム塩など)、無機塩(塩酸塩、アンモニウム塩、アミン類など)、有機塩(グルコサミン塩など)等は、常法に従って製造することができる。
==本発明に係る薬剤・医薬組成物==
上述の一般式(I)で表される化合物(式(I)中、Aは上式(a)〜(e)のいずれかで表される基であり、Bは上式(f)〜(j)のいずれかで表される基であり、Rは炭素数1〜4の低級アルキル基である。)若しくは化合物(1)、又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する組成物は、医薬品として、ヒト、ヒト以外の脊椎動物に投与してもよいし、試薬として実験用に用いてもよい。このような医薬品は、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤などの製剤にして経口投与してもよいし、注射剤、坐剤などの製剤にして腹腔内や静脈内への注射により非経口投与してもよい。なお、医薬品の製剤化は、従来使用されている製剤添加物(例えば、賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、矯味矯臭剤、溶剤、安定剤など)を用いて常法により行うことができる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。なお、以下の実施例において、核磁気共鳴スペクトル(1H-NMR)はJNM-AL300(日本電子製)を用いて測定した。クロマトグラフィー用のシリカゲルにはシリカゲル60N(関東化学製)を用いた。分取用シリカゲルTLCとしてはPLCプレートシリカゲル60 F254 0.5mm(メルク製)を用いた。なお、各反応は特に記載のない限り、アルゴン中で反応を行った。
[実施例1]
<2,4-ジヒドロキシ-3-{2-オキソ-3-[2-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)エチル]ブタ-3-エニル}-6-メチルベンズアルデヒド(化合物(3):UTKO-8)の調製>
3-{2-ヒドロキシ-3-[2-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)エチル]ブタ-3-エニル}-2,4-(ビスメトキシメトキシ)-6-メチルベンズアルデヒド(図1中の化合物(11))(22mg、0.0476mmol)の塩化メチレン溶液(2ml)に、ピリジニウムジクロメート(46.5mg、0.0618mmol)を加え、終夜攪拌した。反応溶液を酢酸エチルで希釈し、セライト濾過した後、濃縮した。得られた濃縮液を酢酸エチルでフロリジル濾過した後、濃縮してTHF(4ml)に溶解し、0℃において濃塩酸(1.6ml)を加えて2時間室温で攪拌した。その後、飽和重曹水を加え、酢酸エチルで3回抽出した。有機層を合わせて、水、飽和塩化ナトリウム水溶液にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて脱水し、濾過して減圧濃縮した。得られた濃縮液を分取用シリカゲルTLC(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製し、4.8 mgの2,4-ジヒドロキシ-3-{2-オキソ-3-[2-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)エチル]ブタ-3-エニル}-6-メチルベンズアルデヒド(図1中の化合物(3):UTKO-8)を得た。
1H NMR (300MHz, CDCl3): δ = 13.02 (s, 1H, Ar-OH), 10.05 (s, 1H, Ar-CHO), 9.46 ( s, 1H, Ar-OH), 6.74 (s, 1H, Ar-H), 6.36 (s, 1H, -C=CH2), 6.03 (s, 1H, -C=CH2), 4.02 (s, 2H, -CH2-Ar), 2.50 (s, 3H, Ar-CH3), 2.23 (tm ,1H, J = 7.5Hz, C=C-CH2-), 1.90 (m, 1H, Cy-H-6), 1.43〜0.99 (m, 10H, Cy-H-1, Cy-H-3, Cy-H-4, Cy-H-5, Cy-CH2-), 0.92 (s, 3H, Cy-Me2), 0.86 (s, 3H, Cy-Me2), 0.82 (d, 3H, J = 6.9 Hz, Cy-Me)
[実施例2]
<2,4-ジヒドロキシ-3-[2-ヒドロキシ-3-メチル-5-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ペンチル]-6-メチルベンズアルデヒド(化合物(2):UTKO-7)の調製>
2,4-ジヒドロキシ-3-{2-ヒドロキシ-3-[2-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)エチル]ブタ-3-エニル}-6-メチルベンズアルデヒド (化合物(7):UTKO-1)(30mg、0.0801mmol)の酢酸エチル(2ml)溶液に、5%ロジウム−アルミナ(5mg)を加え、水素ガス中で2時間撹拌した。酢酸エチルで希釈後、セライト濾過し、濃縮した。得られた濃縮液を分取用シリカゲルTLC(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製し、28 mgの2,4-ジヒドロキシ-3-[2-ヒドロキシ-3-メチル-5-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ペンチル]-6-メチルベンズアルデヒド(図2中の化合物(2):UTKO-7)を結晶として得た。
1H NMR (300MHz, CDCl3): δ = 12.83, 12.82, 12.782, 12.776 (m, total 1H, Ar-OH), 10.04, 10.03 (s, total 1H, Ar-CHO), 9.42 ( br.s, 1H, Ar-OH), 6.31 (s, 1H, Ar-H), 3.77 (m, 1H, -CH(OH)-), 3.07 (d, 0.5H, -CH2-Ar, J = 15.3Hz) 3.06 (d, 0.5H, -CH2-Ar, J = 15.3Hz), 2.66 (dd, 1H, J = 8.7, 15.3 Hz, -CH2-Ar), 2.50 (s, 3H, Ar-CH3), 1.90 (m, 1H, Cy-H-6), 1.72 (s, CH3-CH(OH)-), 1.72〜1.01 (m, 12H, Cy-H-1, Cy-H-3, Cy-H-4, Cy-H-5, Cy-CH2-, Cy-CH2-CH2-, CH3-CH-), 0.95〜0.73 (m, 12H, 4×Me)
[実施例3]
<9-ホルミル-2,5-ジヒドロ-6-ヒドロキシ-8-メチル-3-[2-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)エチル]ベンズ[b]オキセピン(化合物(4):UTKO-9)の調製>
2.2mol/lのアゾジカルボン酸ジエチルトルエン溶液(15μl、0.0330mmol)をTHF(1ml)に溶解した後、UTKO-1(化合物(7))(10mg、0.0267mmol)及びトリフェニルホスフィン(8.4mg、0.0320mmol)のTHF(2ml)溶液に加え、室温で終夜攪拌した。反応溶液を濃縮し、得られた濃縮液を分取用シリカゲルTLC(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製し、28 mgの9-ホルミル-2,5-ジヒドロ-6-ヒドロキシ-8-メチル-3-[2-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)エチル]ベンズ[b]オキセピン(図3中の化合物(4):UTKO-9)を結晶として得た。
1H NMR (300MHz, CDCl3): δ = 10.44 (s, 1H, Ar-CHO), 6.41 (s, 1H, Ar-H), 5.69 (s, 1H, Ar-OH), 5.64 (m, 1H, -C=CH-), 4.58 (s, 2H, -CH2-O-Ar), 3.44 (d, 2H, J = 5.1Hz, -CH2-Ar), 2.54 (s, 3H, Ar-CH3), 1.88 (m, 1H, Cy-H-6), 1.80 (t, 2H, J = 8.4Hz, -CH2-CH2-C=), 1.45〜1.04 (m, 9H, Cy-H-1, Cy-H-3, Cy-H-4, Cy-H-5, Cy-CH2-), 0.93 (s, 3H, Cy-Me2), 0.88 (s, 3H, Cy-Me2), 0.82 (d, 3H, J = 6.9Hz, Cy-Me)
[実施例4]
<2-ヒドロキシ-3-{2-ヒドロキシ-3-[2-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)エチル]ブタ-3-エニル}-4-メトキシ-6-メチルベンズアルデヒド(化合物(5):UTKO-10)の調製>
UTKO-1(化合物(7))(20mg、0.0534mmol)、炭酸カリウム(13.6mg、0.0990mmol)、及びテトラブチルアンモニウム・ハイドロスルフェート(n-Bu4・HSO4:21.6mg、0.0639mmol)を酢酸エチル(2ml)に加えた。その後、ヨウ化メチル(25.1mg、0.177mmol)をトルエンに溶かして6mlとした溶液1.77ml(0.0522mmol)をさらに加え、80℃で終夜攪拌した。攪拌後、室温まで下げて反応溶液を濃縮した。得られた濃縮液を分取用シリカゲルTLC(へキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し、2.1 mgの2-ヒドロキシ-3-{2-ヒドロキシ-3-[2-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)エチル]ブタ-3-エニル}-4-メトキシ-6-メチルベンズアルデヒド(図4中の化合物(5):UTKO-10)を得た。
1H NMR (300MHz, CDCl3): δ = 12.57 (s, 1H, Ar-OH), 10.13 (s, 1H, Ar-CHO), 6.32 (s, 2H, Ar-H), 5.09 (s, 1H, -C=CH2), 4.87 (s, 1H, -C=CH2), 4.28 (d, 1H, J = 9.0 Hz, -CH(OH)-), 3.90 (s, 3H, Ar-OCH3), 2.994 (d, 0.5H, J = 13.8Hz, -CH2-Ar), 2.986 (d, 0.5H, J = 13.8Hz, -CH2-Ar), 2.83 (dd, 0.5H, J = 9.0, 13.8 Hz,-CH2-Ar), 2.58 (s, 3H, Ar-Me), 2.18〜2.05(m, 2H, C=C-CH2-), 1.95 (m, 1H, Cy-H-6), 1.46〜0.90 (m, 9H, Cy-H-1, Cy-H-3, Cy-H-4, Cy-H-5, Cy-CH2-), 0.90〜0.86 (m, 9H, 3×Me)
[実施例5]
<[2,6-ビス-(メトキシメトキシ)-4-メチルフェニル]アセトアルデヒド(式 (10)で表される化合物)の調製>
−78℃において4-アリル-3,5-ビス(メトキシメトキシ)トルエン(図5中の式(9)で表される化合物)(1.50g, 5.31mmol)の塩化メチレン溶液(50ml)に、オゾン−酸素ガスを溶液の色が薄青色になるまで吹き込んだ。次に、窒素ガスを10分間吹き込んで過剰のオゾンを窒素で置換除去し、トリフェニルホスフィン(1.53g, 5.85mmol)を同温度で添加して1時間攪拌した。攪拌後、反応溶液の温度を室温まで上げ、減圧濃縮した。得られた濃縮液を中性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し、1.03 gの[2,6-ビス-(メトキシメトキシ)-4-メチルフェニル]アセトアルデヒド(図5中の式(10)で表される化合物)を無色油状物質を得た。
1H NMR (300MHz, CDCl3): δ = 9.63 (s, 1H, Ar-CHO), 6.65 (s, 2H, Ar-H), 5.16 (s, 4H, -OCH2-), 3.71 (s, 2H, Ar-CH2-), 3.45 (s, 6H, -OCH3), 2.34 (s, 3H, Ar-CH3)
[実施例6]
<1-[2,6-ビス(メトキシメトキシ)-4-メチルフェニル]-3-[2-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)エチル]-3-ブテン-2-オール(式(13)で表される化合物)の調製>
室温にて、塩化クロム(II)(337mg、2.74mmol)、塩化ニッケル(II)(17mg, 0.131mmol)のジメチルホルムアミド溶液(5ml)に、トリフルオロメタンスルホン酸 1-[2-(2,2,6-トリメチル-シクロヘキシル)エチル]ビニルエステル(図5中の式(12)で表される化合物)(150mg、0.457mmol)及び[2,6-ビス-(メトキシメトキシ)-4-メチルフェニル]アセトアルデヒド(図5中の式(10)で表される化合物)(232mg、0.914mmol)のジメチルホルムアミド溶液(5ml)を滴下し、同温にて終夜攪拌した。攪拌後、反応溶液に水を加え、ジエチルエーテルで3回抽出した。有機層を合わせて、水、飽和塩化ナトリウム水溶液にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過して減圧濃縮した。得られた濃縮液を球状中性シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製し、125 mgの1-[2,6-ビス(メトキシメトキシ)-4-メチルフェニル]-3-[2-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)エチル]-3-ブテン-2-オール(図5中の式(13)で表される化合物)を無色油状物質として得た。
1H NMR (300MHz, CDCl3): δ = 6.64 (s, 2H, Ar-H), 5.19 (s, 4H, -OCH2O-), 5.13 (s, 1H, -C=CH2), 4.89 (s, 1H, -C=CH2), 4.27 (d, 1H, J = 9.1 Hz, -CH-OH), 3.48 (s, 6H, -OCH3), 3.05 (d, 1H, J = 13.8Hz, -CH2-Ar), 2.85 (dd, 1H, J = 9.1, 13.8Hz, -CH2-Ar), 2.54 (br.s, 1H, -OH), 2.31(s, 3H, Ar-Me), 2.11(m, 2H, C=C-CH2-), 1.95 (m, 1H, Cy-H-6), 1.48〜1.06 (m, 9H, Cy-H-1, Cy-H-3, Cy-H-4, Cy-H-5, Cy-CH2-), 0.97〜0.88 (m, 9H, 3×Me)
[実施例7]
<2-{2-ヒドロキシ-3-[2-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)エチル]ブタ-3-エン}-5-メチル-1,3-ベンゼンジオール(化合物(6):UTKO-12)の調製>
1-[2,6-ビス(メトキシメトキシ)-4-メチルフェニル]-3-[2-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)エチル]-3-ブテン-2-オール(図5中の式(13)で表される化合物)(55mg、0.127mmol)のメタノール溶液(3ml)に、カンファースルホン酸(17mg、0.0732mmol)を加え、終夜攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、酢酸エチルで3回抽出した。有機層を合わせて、水、飽和塩化ナトリウム水溶液にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過して減圧濃縮した。得られた濃縮液を分取用シリカゲルTLC(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し、22 mgの2-{2-ヒドロキシ-3-[2-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)エチル]ブタ-3-エン}-5-メチル-1,3-ベンゼンジオール(図5中の化合物(6):UTKO-12)を白色結晶として得た。
1H NMR (300MHz, CDCl3): δ = 6.31 (s, 2H, Ar-OH), 6.28 (s, 2H, Ar-H), 5.09 ( s, 1H, -C=CH2), 4.91 (s, 1H, -C=CH2), 4.37 (d, 1H, J = 8.7 Hz, -CH-OH), 3.11 (d, 1H, J = 14.7 Hz, -CH2-Ar), 2.72 (dd, 0.5H, J = 8.7Hz, 14.7 Hz, -CH2-Ar), 2.71 (dd, 0.5H, J = 8.7, 14.7 Hz, -CH2-Ar), 2.22 (s, 3H, Ar-CH3), 2.15〜2.05 (m, 2H, C=C-CH2-), 1.93 (m, 1H, Cy-H-6), 1.48〜1.01 (m, 9H Cy-H-1, Cy-H-3, Cy-H-4, Cy-H-5, Cy-CH2-), 0.96 (s, 3H, Cy-Me2), 0.90 (s, 3H, Cy-Me2), 0.87 (d, 3H, J = 6.9 Hz, Cy-Me)
[実施例8]
<1-[2,6-ビス(メトキシメトキシ)-4-メチルフェニル]-3-[(6R,7S,8R)- 6,7,8-トリメチル-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デック-7-イル]-3-ブテン-2-オール(式(15)で表される化合物)の調製>
室温にて、塩化クロム(II)(286mg、2.33mmol)、塩化ニッケル(II)(14mg,0.108mmol)のジメチルホルムアミド溶液(20ml)に、トリフルオロメタンスルホン酸 (6R,7S,8R)-1-[2-(6,7,8-トリメチル-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デック-7-イル)エチル]ビニルエステル(図6中の式(14)で表される化合物)(150mg、0.388mmol)及び[2,6-ビス-(メトキシメトキシ)-4-メチルフェニル]アセトアルデヒド(式(10)で表される化合物)(197mg、0.776mmol)のジメチルホルムアミド溶液(20ml)を滴下し、同温にて終夜攪拌した。攪拌後、反応溶液に水を加え、ジエチルエーテルで3回抽出した。有機層を合わせて、水、飽和塩化ナトリウム水溶液にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過して減圧濃縮した。得られた濃縮液を中性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製し、110 mgの1-[2,6-ビス(メトキシメトキシ)-4-メチルフェニル]-3-[(6R,7S,8R)- 6,7,8-トリメチル-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デック-7-イル]-3-ブテン-2-オール(図6中の式(15)で表される化合物)を無色油状物質として得た。
1H NMR (300MHz, CDCl3): δ = 6.65 (s, 2H, Ar-H), 5.20 (s, 4H, -OCH2O-), 5.11 (s, 1H, -C=CH2), 4.86 (s, 1H, -C=CH2), 4.26 (m, 1H, -CH-OH), 4.04〜3.77 (m, 4H, -O-CH2-CH2-O-), 3.48 (s, 6H, -OCH3), 3.03 (d, 1H, J = 13.5 Hz, -CH2-Ar), 2.83 (dd, 1H, J = 9.6, 13.5Hz, -CH2-Ar), 2.55 (dd, 1H, J = 5.2, 6.9 Hz, -CH(Me)-C-O-), 2.32 (s, 3H, Ar-Me), 2.12〜1.75 (m, 4H, -CH2-CH2-CH(Me)-, C=C-CH2-), 1.54〜1.26 (m, 5H, -CH2-CH(Me)-, -CH2-CH(Me)-, C=C-CH2-CH2-), 0.91〜0.79 (m, 9H, 3×Me)
[実施例9]
<(2R,3S,4R)-3-[4-ヒドロキシ-5-(2,6-ジヒドロキシ-4-メチルフェニル)-3-メチレンペンチル]-2,3,4-トリメチルシクロヘキサノン(化合物(1):UTKO-11)の調製>
1-[2,6-ビス (メトキシメトキシ)-4-メチルフェニル]-3-[(6R,7S,8R)- 6,7,8-トリメチル-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デック-7-イル]-3-ブテン-2-オール(図6中の式(15)で表される化合物)(20mg、0.0406mmol)のメタノール溶液(4ml)に、カンファースルホン酸(20mg、0.0861mmol)を加え、8時間攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、酢酸エチルで3回抽出した。有機層を合わせて、水、飽和塩化ナトリウム水溶液にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過して減圧濃縮した。得られた濃縮液を分取用シリカゲルTLC(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し、1.4 mgの(2R,3S,4R)-3-[4-ヒドロキシ-5-(2,6-ジヒドロキシ-4-メチルフェニル)-3-メチレンペンチル]-2,3,4-トリメチルシクロヘキサノン(化合物(1):UTKO-11)を無色結晶として得た。
1H NMR (300MHz, CDCl3): δ = 6.29 (s, 4H, Ar-OH, Ar-H), 5.11 ( d, 1H, J = 3.0Hz, -C=CH2), 4.91 (s, 1H, -C=CH2), 4.40 (d, 1H, J = 8.1 Hz, -CH-OH), 3.12 (d, 1H, J = 14.4 Hz, -CH2-Ar), 2.80〜2.72 (m, 1H, -CH2-Ar), 2.55〜1.02 (m, 10H, protons of cyclohexanone, C=C-CH2-, C=C-CH2-CH2-), 0.95〜0.86 (m, 6H, 2-Me, 4-Me), 0.61(s, 3H, 3-Me)
[実施例10]
本実施例においては、実施例1、2、3、4、7、及び9により得られたUTKO-7〜12が細胞の遊走能(運動能)、細胞増殖、ファルネシル転移酵素などに与える影響、並びに、UTKO-7〜12の細胞毒性を調べるため、以下の実験を行った。
<細胞の遊走能に対する阻害効果>
UTKO-7〜12が、上述のUTKO-1〜5と同様に、腫瘍細胞の遊走能に対して阻害作用を有するかどうかを調べるため、UTKO-7〜12を用いてWound healing assayにより遊走能を測定した。
48ウェルプレートに、ヒト食道癌由来EC17細胞の懸濁液(1.5×105個/ml;RPMI1640培地)を500μlずつ添加し、37℃で24時間培養した。その後、各ウェルの細胞面の中央を一直線にマイクロピペットチップで傷をつけ、直ちに培養液上清を除去し、PBS-(Ca2+,Mg2+-free PBS;8 g/l NaCl, 0.2 g/l KCl, 0.916 g/l Na2HPO4, 0.2 g/l KH2PO4)300μlで細胞をはがさないように注意しながら洗浄して1%の血清(FBS;Tissue Culture Biologicals社製)を含むRPMI1640培地 500μlを静かに注入した。それから、上述のUTKO-1〜5あるいはUTKO-7〜12を添加し、37℃で24時間培養した後、顕微鏡下で観察し、マイクロピペットチップで傷つけた傷がどの程度埋まっているかを確認し、遊走能を評価した。
<細胞に対する毒性試験>
上述のUTKO-1〜5は、モベラスチンと比べ腫瘍細胞に対する毒性が高いことが知られている。そこで、UTKO-7〜12の細胞に対する毒性が高いかどうかを調べるため、UTKO-7〜12の細胞毒性をトリパンブルー細胞外排出試験法により検討した。96ウェルプレートに、EC17細胞の懸濁液(2.5×104個/ml;RPMI1640培地)を200μlずつ添加して37℃で24時間培養し、上述のUTKO-1〜5あるいはUTKO-7〜12を添加して37℃で3日間培養した。培養後、50μl トリプシン溶液に交換して細胞をはがし、ピペッティングにより細胞を解離した後、5倍濃縮トリパンブルー溶液(9 g/l NaCl、4 g/l トリパンブルー)を加えてよく混ぜ、血球計算板(エルマ)にて染色された細胞を数えた。なお、細胞生存率は以下の式により求めた。
(細胞生存率)=((生細胞数)/(全細胞数))×100
<細胞増殖に対する阻害効果>
UTKO-7〜12の細胞増殖に対する阻害効果を調べるため、MTTアッセイを行った。96ウェルプレートに、EC17細胞の懸濁液(2.5×104個/ml;RPMI1640培地)を200μlずつ添加して37℃で24時間培養し、上述のUTKO-1〜5あるいはUTKO-7〜12を添加して37℃で3日間培養した。その後、MTT(3-(4,5-dimethlthiazol-2-yl)-2,5-diphenyltetrazolium bromide;Sigma)溶液(PBS-で5mg/mlに調整したもの)を10μlずつ添加して37℃で4時間培養した。培養後、培地を除去し、フォルマザン沈殿(細胞のミトコンドリアに存在するコハク酸脱水素酵素により、黄色水溶性のMTTが還元された暗青色不溶性の物質)を100μlのジメチルスルホキシドで溶解し、マイクロプレートリーダー(東ソー株式会社)を用いて吸光度(測定波長570 nm,リファレンス側620 nm)を測定し、増殖阻害作用を評価した。
<ファルネシル転移酵素に対する阻害効果>
UTKO-7〜12のファルネシル転移酵素に対する阻害効果を調べるため、FTaseアッセイ法を行った。なお、FTaseはEC17細胞を以下のように粗精製したものを用いた。
Lysis buffer(10mM Hepes pH 7.4、1mM MgCl2、1mM EGTA、1mM PMSF、1μM ロイペプチン、10mM ピロリン酸ナトリウム、0.1 mM オルトバナジン酸(V)ナトリウム、及び100mM NaF)を用いて溶解したEC17細胞を氷上で30分間静置した後、10000gで15分間遠心分離した。その後、上清を回収し、更に100000gで45分間遠心分離した後、この上清に60 % 飽和濃度の硫酸アンモニウムを添加し、析出した画分を10000gで30分間遠心分離した。得られた沈殿物を回収し、透析バッファー(50mM Tris-HCl pH 7.5、1mM DTT、及び0.02mM MgCl2)で溶解した後、透析バッファーで12時間透析し、-80℃で保存した。
次に、EC17細胞より抽出したmRNAを用いてRT-PCR法を用いてH-ras遺伝子を増幅し、これをpGEX-2Tベクター(TaKaRa)にサブクローニングした。サブクローニングしたプラスミドを大腸菌DH5-α株に導入した後、形質転換した大腸菌を培養し、IPTG(イソプロピル-1-チオ-β-D-ガラクトピラノシド;STRATEGENE)で発現誘導した。その後、発現したGST-H-Ras蛋白質をグルタチオン−アガロースビーズ(Sigma)を用いて精製した。
上述のようにEC17細胞より粗精製したFTase 30 μl(30μg)、及びGST-H-Ras蛋白質 10 μl(10μg)を、反応バッファー(50mM Tris-HCl pH 7.5、1mM MgCl2、及び4mM DTTの10倍濃縮液) 6 μl、[3H]-FPP(最終濃度0.06μM(596GBq/mmol);New England Nuclear) 0.2 μl、及び薬剤(上述のUTKO-1〜5あるいはUTKO-7〜12の各溶液)3 μlと1.7mlエッペンドルフチューブで混合し、37℃で1時間インキュベートした。インキュベート後、1%のSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)を含むメタノール0.5 mlと、30%TCA 0.5mlとを加えることにより反応を停止させ、氷上で1時間静置し、セルハーベスター(ADVANTEC)を用いて酸不溶性画分をガラス繊維フィルター(Whatman GF/C filter)でトラップし、6% TCAで洗浄した。その後、フィルターを乾燥して、酸不溶性画分に含まれる放射活性を液体シンチレーションカウンター(Beckman Coulter)で測定し、FTase活性を算出した。なお、FTase活性の算出は、100℃で10分間熱処理することにより酵素活性を失活させたFTaseを用いたものをブランク値とし、全ての値からブランク値を差し引いて行った。
以上の実験による結果を表1に示す。なお、表1中の「a」は遊走能を完全に阻害した濃度を示し、「b」はIC50の値を示す。
[表1]
Figure 2007204380
表1に示すように、UTKO-7〜12は、UTKO-1〜5と同様に、FTaseに対する阻害活性を示さないものの、腫瘍細胞の遊走能に対してUTKO-1〜5より優れた阻害活性を有することがわかった。また、UTKO-7〜10及びUTKO-12は、腫瘍細胞の増殖に対してUTKO-1〜5より優れた阻害活性を有し、腫瘍細胞に対する毒性がUTKO-1〜5より高いことが明らかになった。このことから、UTKO-7〜10及びUTKO-12は薬剤として特に有用であることが示された。なお、薬剤を含まないネガティブコントロールは阻害活性が検出されなかった。
本発明の一実施例において、化合物(3)の製造過程を示す図である。 本発明の一実施例において、化合物(2)の製造過程を示す図である。 本発明の一実施例において、化合物(4)の製造過程を示す図である。 本発明の一実施例において、化合物(5)の製造過程を示す図である。 本発明の一実施例において、化合物(6)の製造過程を示す図である。 本発明の一実施例において、化合物(1)の製造過程を示す図である。

Claims (13)

  1. 下記の一般式(I)で表される化合物又はその薬理学的に許容される塩。
    Figure 2007204380
    (式(I)中、Aは下式(a)〜(e)のいずれかで表される基であり、Bは下式(f)〜(j)のいずれかで表される基であり、Rは炭素数1〜4の低級アルキル基である。)
    Figure 2007204380
  2. 下式(1)で表される化合物又はその薬理学的に許容される塩。
    Figure 2007204380
  3. 下式(2)〜(6)で表されるいずれかの化合物又はその薬理学的に許容される塩。
    Figure 2007204380
  4. 下記の一般式(I)で表される化合物又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物。
    Figure 2007204380
    (式(I)中、Aは下式(a)〜(e)のいずれかで表される基であり、Bは下式(f)〜(j)のいずれかで表される基であり、Rは炭素数1〜4の低級アルキル基である。)
    Figure 2007204380
  5. 下式(1)で表される化合物又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物。
    Figure 2007204380
  6. 下式(2)〜(6)で表されるいずれかの化合物又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物。
    Figure 2007204380
  7. 下記の一般式(I)で表される化合物又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する細胞運動能阻害剤。
    Figure 2007204380
    (式(I)中、Aは下式(a)〜(e)のいずれかで表される基であり、Bは下式(f)〜(j)のいずれかで表される基であり、Rは炭素数1〜4の低級アルキル基である。)
    Figure 2007204380
  8. 下式(1)で表される化合物又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する細胞運動能阻害剤。
    Figure 2007204380
  9. 下式(2)〜(6)で表されるいずれかの化合物又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する細胞運動能阻害剤。
    Figure 2007204380
  10. 下記の一般式(I)で表される化合物又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する細胞浸潤を阻害する薬剤。
    Figure 2007204380
    (式(I)中、Aは下式(a)〜(e)のいずれかで表される基であり、Bは下式(f)〜(j)のいずれかで表される基であり、Rは炭素数1〜4の低級アルキル基である。)
    Figure 2007204380
  11. 下式(2)〜(6)で表されるいずれかの化合物又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する細胞浸潤を阻害する薬剤。
    Figure 2007204380
  12. 下記の一般式(I)で表される化合物又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する細胞増殖阻害剤。
    Figure 2007204380
    (式(I)中、Aは下式(a)〜(e)のいずれかで表される基であり、Bは下式(f)〜(j)のいずれかで表される基であり、Rは炭素数1〜4の低級アルキル基である。)
    Figure 2007204380
  13. 下式(2)〜(6)で表されるいずれかの化合物又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する細胞増殖阻害剤。
    Figure 2007204380

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