JP2007291837A - 水系塗材組成物及びその施工方法並びにそれによる壁構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】合成樹脂エマルジョン、粘土、シルト、砂、水からなることを特徴とする水系塗材組成物であり、合成樹脂エマルジョンがアクリル樹脂系エマルジョンであり、水系塗材と土壁用土、砂、水からなることを特徴とするものであり、凹凸を有する塗膜を形成後、水系塗材組成物を塗布する壁面施工方法である。
【選択図】図1
Description
合成樹脂系エマルジョンは、アクリル酸エステル共重合系樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン・酢酸ビニル系樹脂、酢酸ビニル・アクリル酸エステル系樹脂、エチレン・塩化ビニル系樹脂、シリコン変性アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂等の樹脂エマルジョンが使用でき、成膜助剤無添加で、施工時温度以下の成膜温度を持つか、成膜助剤の添加により、実施条件で成膜条件を達成すれば、良い。これらには架橋タイプ、粉末型のエマルジョン等であっても使用できる。このうちアクリル酸エステル共重合系樹脂等のアクリル樹脂系エマルジョンが塗材乾燥後の塗膜物性がよく、好ましい。成膜助剤としてはテキサノール等が挙げられる。合成樹脂の固形分としては成膜助剤も含む。
土壁用土は淡路土、浅黄土、黄土、白土、京錆土など一般的に土壁に使用される左官用土であり、これに準じたものも使用可能である。
粘土、シルト、砂は日本統一土質分類等で分類に準じ、粒径で分類する。粘土は5μm未満であり、透水性が低く、保水時に粘着力を示すものであるが、粒径で分類する。天然粘土や、クレー、タルク、珪藻土、及びベントナイト等が挙げることができる。また シルトは5〜75μmであり、上記土壁用土には、粘土、シルト、砂を含有する。炭酸カルシウム粉、珪石粉、寒水石粉等は粉砕程度に応じて、粒径により、シルト、砂の分類となる。
本発明の効果を得るための水系塗材組成物の形態は、揮発成分を除いた重量を100重量%として、合成樹脂系エマルジョンの固形分2〜12重量%、粘土およびシルト(土壁用土)25〜35重量%、砂55〜73重量%が好ましく、このうちひび割れを生じるには前記と同じ固形分を100重量%として、合成樹脂系エマルジョンの固形分として 6〜12重量%、粘土およびシルト(土壁用土)26〜35重量%、砂55〜65重量%が好ましい。市販の水系塗材、JISA6909に規定される合成樹脂エマルジョン系仕上塗材に、粘土、シルト、砂を添加しても良い。塗材、塗料には、隠蔽性、着色を目的として、酸化チタン、体質顔料等が用いられるが、粒径に応じて、添加量を調整する。前記、水系塗材を用いる場合は、土壁用土と砂を添加しても良い。前記水系塗材の例として、アイカ工業(株)製アイカジョリパットJP−100、JQ−650(いずれも商品名)などが挙げられる。
モルタル、石膏ボード、合板等に、必要に応じて、シーラーを塗布する。乾燥後本発明の水系塗材組成物の下地となる下塗り材を塗布する。下塗り材はJISA6909に規定する外装薄塗材E、可とう形外装薄塗材E、内装薄塗材E、外装厚塗材E、内装厚塗材E等の合成樹脂エマルジョン系仕上塗材で、塗布時に塗布具にて、凹凸を付与するか或いは粗めの砂(0.5〜2.5mm)にて、表面を均一に凹凸ができる様にする。この凹凸の大小、密度は添加する前記砂の大きさ、添加量により変えることができる。これにより、付着力の向上、下地材の強度向上均質化、ひび割れを均一化、望みにより形状を変化させる。この砂の種類に制限は無いが、塗布具の摩耗、粒径が揃っていること、入手性等で、寒水石が好ましい。添加量は、塗材に対して同重量部以下が好ましい。この下塗り材は1.0kg/m2以上必要で、少ないとゼロスパン、すなわち、実使用のクラック(割れ)が発生し易い。この下塗り材乾燥後、本発明の水系塗材組成物を所望意匠に応じて、所定塗布厚コテ仕上げする。この下塗り材は耐水性、非透水性を賄っており、ひび割れによる壁性能の低下は無い。この仕上げ材となる水系塗材組成物は2.0kg/m2以上塗布することでJISA6909に規定される吸放湿性70以上となる。
意匠材料として、土壁で、補強用、割れ防止用に用いられるすさ、すなわち、藁すさ、紙すさ、麻すさ等も意匠上用いることができる。すさの長さ、素材の性質から、割れに及ぼす影響は千種万様であるが、本発明と組み合わせて、天然素材のもつ、安らぎを演出する意匠を創生できる。
アクロナールYJ−1701D(商品名、BASFディスパージョン(株)製、アクリル樹脂系エマルジョン、固形分55%、MFT20℃)25重量部、造膜助剤としてテキサノールCS−12(チッソ(株)製)1.5重量部、炭酸カルシウム粉(平均粒径25μm)10重量部、硅石粉(平均粒径150μm)46重量部、チタン白(酸化チタン、顔料)3.5部、水14重量部を配合し、混合撹拌し、水系塗材Aとした。この塗材AはJISA6909外装薄塗材Eに適応される仕様を満足できる。
以下 前記 水系塗材Aを用いて、実施例1〜6、比較例1、2の配合をし、これらの評価結果を表1に示した。
塗材Aを54重量部、土壁用土として、白土(近畿壁材工業(株)製)8重量部、砂として、川砂5号(中内建材店製)11重量部、寒水石5厘((株)カルファイン製1.5mm)14重量部、水13重量部を配合して、比較例1の水系塗材組成物とした。
塗材Aを無配合とし、土壁用土として、白土(近畿壁材工業(株)製)14重量部、砂として、みじん砂(中内建材店製)57重量部、水29重量部を配合して、比較例2の水系塗材組成物とした。
実施例1〜6の表1の結果は下塗り材として水系塗材Aを塗布したものであるが、これを塗布しないものはゼロスパン0.1以下となった。また 実施例の代わりに塗材Aのみを塗布したものの、調湿性すなわちJISA6909(建築用仕上塗材)に規定の吸放湿性試験の結果は25以下であった。
外観評価:25℃にて、無風室内にて実験を行った。1m角の石膏ボードにジョリパットシーラーJS−500(アイカ工業(株)製アクリル樹脂エマルジョン系、商品名)を塗布して乾燥させ、水系塗材A100重量部に寒水石3厘((株)カルファイン製1.0mm)50重量部を配合したものを1.5kg/m2塗布乾燥した。これに実施例1〜6、比較例1、2の水系塗材組成物を2kg/m2塗布し、自然乾燥した。
モルタル板は基板は、JISR5201の10.4(供試体の作り方)に規定する方法によって調製したモルタルを、内のり寸法70×70×20mmの金属製型枠を用いて成形し、温度20±2℃、湿度80%以上の状態で24時間静置した後、脱型し、その後6日間20±2℃の水中で養生し、更に7日間以上養生室で静置した後、JIS R6252に規定する150番研磨紙を用いて成形時の下面を十分に研磨したものとする。
試験の測定手順は、あらかじめ試験体の質量を測定し、温度23±2℃、湿度45±5%の恒温恒湿器に24時間静置した後、質量を測定する。その後温度23±2℃、湿度90±5%の恒温恒湿器に24時間静置した後、質量を測定する。このサイクルを2サイクル行い、これら試験体の吸放湿量をJISA6909に規定の吸放湿性試験の試験手順により算出した。(数値は平均1変化あたりg/m2に換算したもの)
評価として 内装薄塗材、内装厚塗材の調湿形の規格である吸放湿性g/m2吸放湿量70以上を満たすものを○、満たさないものを×とする。
2 突き合わせ面
3 下地(石膏ボード)
4 万能試験機つかみ具
Claims (8)
- 合成樹脂エマルジョン、粘土、シルト、砂、水からなることを特徴とする水系塗材組成物。
- 塗布乾燥後、ひび割れが生じることを特徴とする請求項1記載の水系塗材組成物。
- 合成樹脂エマルジョンがアクリル樹脂系エマルジョンであることを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の水系塗材組成物。
- JISA6909に規定される合成樹脂エマルジョン系仕上塗材と土壁用土、砂、水からなることを特徴とする水系塗材組成物。
- 塗布乾燥後、ひび割れが生じることを特徴とする請求項4記載の水系塗材組成物。
- JISA6909に規定される合成樹脂エマルジョン系仕上塗材がアクリル樹脂系エマルジョンからなることを特徴とする請求項4乃至5のいずれかに記載の水系塗材組成物。
- JISA6909に規定される合成樹脂エマルジョン系仕上塗材で凹凸を有する塗膜形成後、請求項1乃至6いずれか記載の水系塗材組成物を塗布することを特徴とする壁面施工方法。
- 請求項7記載の壁面施工方法で形成されることを特徴とする壁構造。
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