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JP2007169352A - 接着性組成物、接着剤、接着方法及び家具 - Google Patents

接着性組成物、接着剤、接着方法及び家具 Download PDF

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JP2007169352A JP2005365772A JP2005365772A JP2007169352A JP 2007169352 A JP2007169352 A JP 2007169352A JP 2005365772 A JP2005365772 A JP 2005365772A JP 2005365772 A JP2005365772 A JP 2005365772A JP 2007169352 A JP2007169352 A JP 2007169352A
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Abstract

【課題】常温で高速硬化して強固に接着する接着剤を提供する
【解決手段】(イ)少なくとも1分子中に1個のビニル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー100質量部、(ロ)ハイドロパーオキサイド型有機過酸化物0.5〜5質量部、(ハ)コバルト石鹸であって金属コバルトとして0.04〜0.4質量部、(ニ)ポリエチレンイミン0.1〜5質量部、からなることを特徴とする接着性組成物と、前記接着性組成物からなる多液型接着剤、及びそれを用いた接着方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、高速硬化性に優れたアクリル系接着剤組成物であり、常温で容易に高速硬化して、強固に接着する接着性組成物、接着剤並びに接着方法に関しするものであり、特に鋼板製家具の用途に好適な接着性組成物、接着剤並びに接着方法に関する。
従来、アクリル系樹脂は、耐久性がよいこと、環境に優しいことなどから、成形材料や塗料、接着剤などの分野で幅広く利用されている。アクリル系接着剤は、アクリル系モノマーやオリゴマーを重合開始剤として、有機過酸化物と、有機過酸化物を分解してラジカルを発生させる硬化剤とを使用して重合し、硬化することにより接着が行われる。
有機過酸化物と硬化剤との組み合わせは、一般に「硬化開始剤系」と呼ばれる。また、「二剤型アクリル系接着剤」とは、硬化開始剤系を(A)有機過酸化物を含有する組成物と(B)硬化剤を含有する組成物との二剤に硬化開始剤系成分を分離したアクリル系接着剤であり、大部分は(A)と(B)の二剤が液状であることから二液主剤型接着剤とも呼ばれている。
この接着剤は、(A)と(B)の二液を使用直前に混合して被着体に塗布して接着する方法と、一方の被着体表面に(A)剤を他方の被着体表面に(B)剤を塗布し、互いに接合して接着する方法で用いられる。
(A)に使用するハイドロパーオキサイド型有機化酸化物とは、ハイドロパーオキサイド基を分子中に有する有機過酸化物であるが、特に、常温での半減時間の長いクメンハイドロパーオキサイド(以下、「CHP」と記す。)やジイソプロピルベンゼンジ゛ハイドロパーオキサイドが保存安定性の面から一般に使用されている。
(B)に使用される硬化剤は大別して、エチレンチオウレア誘導体と金属石鹸や金属キレート化合物であるが、何れも接着剤とした時に常温での硬化時間はエポキシ系接着剤に比べ、高速で硬化するものが開発されている(特許文献1〜4参照)。
特開昭52−18478号公報 英国特許第715382号公報 米国特許第3,591,438号明細書 米国特許第3,625,930号明細書
しかしながら、これらの硬化剤を用いても、最終的な接着特性を維持しつつ、常温で秒速で硬化する接着剤はなかった。このために、接合してから硬化固定するまで、接着位置のズレや外れなどを防止する目的で、仮固定治具が使用されているのが現状である。
前記したとおりに、現状のアクリル系接着剤を用いる場合には、接着現場において多数の仮固定治具を使用しなければならない欠点があり、例えば家具製造等での生産性が改善できず、コストを低下させる妨げとなっていた。前記の欠点を解決した、仮固定治具を使用しなくとも定位置に接着できる接着剤が強く望まれている。
本発明は、従来技術の前記問題解決を具体的課題としてなされたもので、アクリル系接着剤の有する優れた特性を維持しながら、常温下で、極めて速く硬化する性質を有する接着性組成物、接着剤を提供し、更に前記組成物や接着剤を用いた接着方法を提供することを目的としている。
本発明は、(イ)少なくとも1分子中に1個のビニル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー100質量部、(ロ)ハイドロパーオキサイド型有機過酸化物0.5〜5質量部、(ハ)コバルト石鹸であって金属コバルトとして0.04〜0.4質量部、(ニ)ポリエチレンイミン0.1〜5質量部、からなることを特徴とする接着性組成物である。
本発明は、前記接着性組成物からなる接着剤であって、(イ)、(ロ)、及び(ニ)を必須成分とするA剤と、(イ)と(ハ)とを必須成分とするB剤とからなることを特徴とする接着剤であり、(イ)と(ハ)とを必須成分とするB剤と、(イ)と(ハ)とを必須成分とするC剤と、(ニ)を必須成分とするD剤とからなることを特徴とする接着剤である。
本発明は、一方の被着体の表面にB剤とC剤とからなる塗布面を形成し、当該塗布面又は他方の被着体の前記塗布面に相対する面に、D剤を塗布し、被着体同士を接合することを特徴とする接着方法であり、前記の接着方法で接着される部分が鋼板製であることを特徴とする家具である。
本発明の接着性組成物は、(ロ)ハイドロパーオキサイド型有機過酸化物、(ハ)コバルト石鹸、(ニ)ポリエチレンイミンの三者が特定割合で存在しているので、少なくとも1分子中に1個のビニル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーが、室温下で、ほとんど瞬時といえる程に速やかに硬化するという現象を発現することができる。従い、多液型接着剤とすることにより、任意の状況下で、室温で急速に硬化する性質を有する接着剤を提供できる。
本発明の接着剤は、前記特定の組成を有する接着性組成物からなるので、任意の状況下で、室温で急速に硬化する性質を有し、従来使用されてきた仮固定治具の使用を不要とすることができるし、例えば家具製造等での生産性を向上させることができ、生産コストを低下させることに寄与し得る。
本発明の接着方法は、前記接着性組成物に関して、(ロ)ハイドロパーオキサイド型有機過酸化物、(ハ)コバルト石鹸、(ニ)ポリエチレンイミンの三者の組み合わせ順序を特定することにより、硬化の進み方を二段階に進ませることができるという知見に基づいており、一方の被着体の表面にB剤とC剤とからなる塗布面を形成し、穏やかに硬化を進ませておき、最終的に更にD剤と接触させて塗布面を急激に硬化させるものであり、接着作業におけるポットライフを作業者の作業進捗程度に適合させることができる。
従い、この接着方法で得られる被着体は、作業者が位置ズレを起こすことなく接合されており、充分な接着強度を保持すると共に外観上も優れる。
本発明に用いる(イ)成分は、少なくとも1分子中に1個のビニル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーである。ここで、メタ)アクリル酸エステルとは、メタクリル酸エステルとアクリル酸エステルの総記(以下、〜(メタ)アクレートと記す。)であり、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリアクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロトリエン(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、アルキルオキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変成テトラフルフリル(メタ)アクリレート、エトキシカルボニルメチル(メタ)アクリレート、フェノールエチレンオキシド変成アクリレート、パラクミルフェノールエチレンオキシ変成アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキシド変成アクリレート、ノニルフェノールポリプロピレンオキシド変成アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、ポリグリセロールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1.4ブタンジオール(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート(大阪有機化学社製ビスコート#540)、ポリエステル(メタ)アクリレート(東亜合成社製アロニックスM−6100、共栄化学社製エポキシエステル3000M)、ウレタンアクリレート(東亞合成社製アロニックスM−1100)、ポリエチレングリコールウレタン変成ジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールウレタン変成ジ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート(東亞合成社製アロニックスM−5710)、ポリブタジエンジメタクリレート(日本曹達社製TE−2000)、アクリルニトリルブタジェンメタクリレート(宇部興産社製Hycar VTBNX)等が挙げられる。これらは硬化物の物性を調整する目的で、2種類以上混合して使用するが、単独で用いても勿論構わない。更に、特性改良などの目的でゴム成分やシクロペンタジエン樹脂、石油樹脂(日本石油社製 ネオポリマーS、荒川化学社製アルコン)、等などを溶解混合しても良い。更に、早期の表面乾燥性を付与する目的でパラフィンワックスを添加しても良い。
本発明に用いる(ロ)ハイドロパーオキサイド型有機過酸化物としては、ジイソプロピルベンゼンジハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−パーブチルハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、パーメンタハイドロパーオキサイドなどが挙げられ、このうちジイソプロピルベンゼンジハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイドが容易にレドックス反応を惹起して良好な硬化性を示すという理由から好ましく選択される。特に、クメンハイドロパーオキサイドは、自然分解速度が非常に小さく、常温では無視できる程度であることから、(A)成分中に添加して、保存できる特徴があり、好ましい。
(ロ)ハイドロパーオキサイド型有機過酸化物の含有量については、1〜5質量部が選択される。5質量部を超えるときは皮膚刺激性が増加したり、保存安定性が低下したりすることがあるし、0.1質量部未満であれば硬化不良が発生する場合がある。
本発明に用いる(ハ)コバルト石鹸は、有機過酸化物を分解してラジカルを発生させるコバルト脂肪酸塩類であり、例えば、ナフテン酸コバルトやオクチル酸コバルトなどが挙げられる。これらのコバルト石鹸はコバルト含有量により液状から半固体状まであるが、取り扱いが容易なものを使用すればよく、金属コバルトとして0.04質量部以上が選択される。0.04質量部未満では硬化が遅くなる場合がある。上限については技術的にこれを定める理由はないが、40質量部を超える時には高価なコバルトを含んでも顕著な性能向上が見られず、費用対効果の面で得策でない。
本発明に用いる(ニ)ポリエチレンイミンは、コバルトイオンと反応して有機過酸化物を超高速で分解することにより、接着剤を速やかに硬化させる硬化剤として機能する物質であり、例えば、ポリエチレンイミンおよびOH変成ポリエチレンイミン(日本触媒社製エポミン)などが挙げられる。これらは取り扱い性や性能を向上させる目的で複数混合使用してもよいが、(イ)成分100質量部に対し、0.5〜5質量部が選択され、1〜4質量部が好ましい範囲である。0.5質量部未満では数10秒の硬化時間を有し、硬化速度が充分に満足できる程に速くないケースもあるし、5質量部を超えると最終強度が低下してしまうことがあるので好ましくない。
本発明の接着性組成物は、前記組成を有するので、ポリエチレンイミンとコバルトイオンが反応した生成物が常温でCHPを超高速度で分解して、多量のラジカルを発生させることにより、超高速度で硬化することができ、しかも得られる硬化体は従来のアクリル系接着剤と同様の機械的性質を示すという、際立った特徴を有している。更に、本発明の接着性樹脂組成物は、−30℃程度の極低温雰囲気においても数分で硬化するという極めて優れた低温硬化性を有する。従い、例えば、−25〜−30℃に達する鮮魚類の保存冷凍庫の接着作業に、冷凍室や冷凍保存室の温度を常温に戻すことなく作業ができるなどの大きな利点がある。
本発明の接着剤は、前記接着性組成物について、(ロ)、(ハ)、(二)の三者について、全てを別の液剤とする方法、或いは一者を他の2者と別の液剤とする方法等で硬化開始を制御できるが、本発明者はいろいろ検討した結果、
(1)(イ)、(ロ)、及び(ニ)を必須成分とするA剤と、(イ)と(ハ)とを必須成分とするB剤と、を用いる方法
(2)(イ)と(ハ)とを必須成分とするB剤と、(イ)と(ハ)とを必須成分とするC剤と、更に(ニ)を必須成分とするD剤と、を順次組み合わせてゆく方法
が極めて作業性に優れ、いろいろな用途に適用可能であるとの知見を得て、本発明に至ったものである。
(1)に示した方法は、一般に「ハネムーン接着」と呼ばれる方法であり、一方の被着体の表面(接合面)にA剤又はB剤の一方を塗布し、他の被着面の表面(接合面)にA剤又はB剤の残された一方を塗布し、両塗布面を接合し、硬化反応を生じさせて接着させる方法である。本発明の「A剤とB剤とからなる」接着剤は、この用途に適するもので、両者を接合するとほとんど瞬時に硬化し、接着できるので、接着作業を生産性高く行う場合に好適な接着剤である。
(2)に示した方法は、本発明の接着方法であるが、まずB剤とC剤とを用いて、一方の被着体の表面(接合面)に塗布面を形成するが、この中には(ニ)が含まれないので、その硬化速度は瞬時に硬化するものとはならない、次いで、その表面上又は他方の被着体の表面(接合面)上にD剤として(ニ)を存在させることで、両接合面が合わさった時を基点として、硬化反応が急速に進行し、短時間での硬化が達成される。即ち、本発明の接着剤は、初期固着性を与えることができるので、従来必要であった位置固定に必要な多数の治具を不要にできる特徴がある。
つまり、本発明の「B剤とC剤とD剤とからなる」接着剤は、前記した使用方法に好適であり、位置精度高く接着したい用途、例えば時計、家具等の商品上外観を特に重視する製品の接着に好適である。尚、B剤とC剤とを予め混合しておくことも考えられるものの、この場合には、ポットライフが短くなり、実用上問題となる。
また、本発明の接着性樹脂組成物、接着剤、或いは前記A〜D剤に関して、有機過酸化物の保存安定性を改善する目的で重合禁止剤を少量添加することができるし、例えば、ハイドロキノン、ピロガロール、モノメチルヒドロキノンなどのフェノール系の安定剤を配合しても良い。また、流動性などの改良を目的として、保存安定性を阻害しない程度の充填材、例えば、高純度の超微粉末シリカ、などを添加しても良い。更に、特性改良の目的で、シランカップリング剤や燐酸(メタ)アクリレートエタノールアミン塩などを添加しても良い。但し、コバルト石鹸を使用している場合は、燐酸(メタ)アクリレート、燐酸(メタ)アクリレートアミン塩の添加により、コバルト石鹸のクメンハイドロパーオキサイドを分解する能力が極端に低下してしまうので、イミダゾール化合物でコバルトを遮蔽してから上記の燐酸(メタ)アクリレートおよびエタノールアミン塩を添加するほうが望ましい。更に、高速固定プライマーとして使用する場合は、エタノール、イソプロピルアルコールなどの安全な溶剤で希釈しても差し支えない。
実施例、比較例に基づいて、本発明を一層詳説する。尚、各種物性は次に示す測定法によった。
接着強度
・フェライトマグネット試験片:未磁化フェライト 角型25mm×12.5mm×5mm 質量=7.7g(TDK社製)
・接着試験片:鉄(テストピース社製 SPCC)
・同上表面処理:アセトン脱脂後、150メッシュ金剛砂サンドブラスト
・鉄/鉄引っ張りせん断強度:JIS K−6855
・鉄/鉄剥離強度:JIS K−6854に準拠
固着時間
平滑な表面の25.4mm×100mmの鉄試験片の一端を23℃雰囲気で、ラップ長25.4mmで接合して、接合後100gの荷重で動かなくなるまでの時間とした。
(実施例1)
2−ヒドロキシエチルメタクリレート(共栄化学社製 ライトエステルHO)20g、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(ローム アンド ハース社製QM−657)40g、1,2−ポリブタジェンウレタン変成ジメタクリレート(日本曹達社製TE−2000)40g、パラフィンワックス(日本精鑞社製)1gを投入して攪拌混合しながら70℃まで加熱してパラフィンワックスを溶解してから25℃に冷却した。次いで、クメンハイドロパーオキサイド(日本油脂社製パークミルH80)1gを投入、次いで、ポリエチレンイミン(日本触媒社製「エポミン」)1.5gを添加、混合攪拌して得られた液にオクチル酸コバルト(シントーファインケミカル社製オクトライフCo8)1gを投入混合すると直ちに発熱して硬化した。
(実施例2)<A剤の製造>
2−ヒドロキシエチルメタクリレート(共栄化学社製 ライトエステルHO)200g、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(ローム アンド ハース社製QM−657)400g、1,2−ポリブタジェンウレタン変成ジメタクリレート(日本曹達社製TE−2000)400g、パラフィンワックス(日本精鑞社製)10gを投入して攪拌混合しながら70℃まで加熱してパラフィンワックスを溶解してから25℃に冷却した。次いで、亜麻仁油(和光純薬社製試薬)50g、クメンハイドロパーオキサイド(日本油脂社製パークミルH80)20gを投入、次いで、燐酸メタクリレートエタノールアミン中和液(ユニケミカル社製ホスマーMH)2.5g、ポリエチレンイミン(日本触媒社製「エポミン」)30gを添加、混合攪拌してA剤を得た。
<B剤の製造>
2−ヒドロキシエチルメタクリレート200g、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート400g、1,2−ポリブタジェンウレタン変成ジメタクリレート400g,パラフィンワックス10g、2メチルイミダゾール(四国化成社製キュアゾール2MZ)1.1gを投入して攪拌混合しながら70℃まで加熱してパラフィンワックスおよび2メチルイミダゾールを溶解してから25℃に冷却した。次いで、オクチル酸コバルト(シントーファインケミカル社製オクトライフCo8)20gを投入、混合攪拌後に燐酸メタクリレートエタノールアミン中和液(ユニケミカル社製ホスマーMH)2.5gを添加、混合攪拌してB剤を得た。
<試験片の作成と評価結果>(1)常温接着試験
23℃、相対湿度65%雰囲気で上記A剤0.2gとB剤0.2gを、鉄せん断試験片接合部上に並べて秤量して混合後に接合して固着時間を測定した結果15秒であり、1時間後の鉄/鉄せん断強度は18MPa、1日養生後の鉄/鉄せん断強度は22MPaであった。
(2)低温接着試験
−30℃の低温室に上記A剤とB剤が入れてあるラインミキサー付き2連式塗布ガン(電気化学工業社製)と鉄試験片を1昼夜放置して、試験片に塗布接合した結果、約3分で固着して、1日養生後に23℃に戻しせん断強度を測定した結果、20MPaであった。
(実施例3)<B剤の製造>
2−ヒドロキシエチルメタクリレート200g、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート400g、1,2−ポリブタジェンウレタン変成ジメタクリレート400g,超微粉シリカ(トクヤマ社製トクシールU)200g、パラフィンワックス10g、2メチルイミダゾール(四国化成社製キュアゾール2MZ)1.1gを投入して攪拌混合しながら70℃まで加熱してパラフィンワックスおよび2メチルイミダゾールを溶解してから25℃に冷却した。次いで、オクチル酸コバルト(シントーファインケミカル社製オクトライフCo8)20gを投入、混合攪拌後に燐酸メタクリレートエタノールアミン中和液(ユニケミカル社製ホスマーMH)2.5gを添加、混合攪拌してB剤を得た。
<C剤の製造>
2−ヒドロキシエチルメタクリレート(共栄化学社製 ライトエステルHO)200g、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(ローム アンド ハース社製QM−657)400g、1,2−ポリブタジェンウレタン変成ジメタクリレート(日本曹達社製TE−2000)400g、超微粉シリカ(トクヤマ社製トクシールU)200g、パラフィンワックス(日本精鑞社製)10gを投入して攪拌混合しながら70℃まで加熱してパラフィンワックスを溶解してから25℃に冷却した。次いで、亜麻仁油(和光純薬社製試薬)50g、クメンハイドロパーオキサイド(日本油脂社製パークミルH80)20gを投入、次いで、燐酸メタクリレートエタノールアミン中和液(ユニケミカル社製ホスマーMH)2.5g、混合攪拌してC剤を得た。
<高速硬化用プライマー:D剤>
ポリエチレンイミンを10mlのポリプロピレン製注射器に注入して、針先から微量塗布した。
<試験片の作成と評価結果>(1)鉄/鉄接着試験
23℃、相対湿度65%雰囲気で一方の試験片接合予定部に約0.001g程度のプライマーを両端近くに塗布した。ついで上記A剤とB剤が入れてあるラインミキサー付き2連式塗布ガン(電気化学工業製)から、他方の試験片上に平らに塗布して、双方の試験片を接合し、固着時間を測定した結果、15秒であった。1日養生後の鉄/鉄せん断強度は23MPaであった。
(2)フェライト/鉄せん断試験
23℃、相対湿度65%雰囲気で上記A剤とB剤が入れてあるラインミキサー付き2連式塗布ガン(電気化学工業製)から、フェライト接合面(25mm×12.5mm)上に約0.2g程度平らに塗布して、両端近くに約0.001g程度のプライマーを塗布して鉄試験片に接合して6秒後には垂直にしてもフェライト自重7.7gで動かなくなった。1日養生後のせん断強度は8.5MPaでフェライトが材破した。
(3)鋼板家具の接着
試験用SUS304板(0.9m×1.8m×0.8mm)に0.8mmの同材料でできている断面形状は深さ30mm、幅60mmのU字の両端部に20mmの接着部を有する長さ1.6mの補強材2本の接着部に接着剤を塗布して、約200mm間隔でプライマーを塗布SUS板に接合して接着試験ボードを作成した。同様にコの字補強材を横方向に接着した。1時間後に壁に垂直近くに立てかけ、長さ0.8mの補強材の接着部に前記同様に接着剤およびプライマーを塗布して接着試験ボードに接合した結果、13秒で固着して自重で位置ズレを起こさなかった。
(比較例1)
実施例1の組成からポリエチレンイミンを除いた組成では約18分後に高度に粘度が上昇したが、25分後でも液状であり、固体化は30分以降であった。
(比較例2)(1)常温接着試験
実施例2のA剤からポリエチレンイミンを除いたA剤と、実施例2のB剤を用いて、実施例2と同様の条件で接着試験を実施した結果、20分の可使時間があり、固着時間は33分であり、1時間養生後のせん断強度は1.5MPa、1日養生後のせん断強度は21MPaであった。
(2)低温接着試験
−30℃の低温室に実施例2のA剤からポリエチレンイミンを除いたA剤とB剤が入れてあるラインミキサー付き2連式塗布ガン(電気化学工業製)と鉄試験片を1昼夜放置して、試験片に塗布接合した結果、1日養生後も固着しなかった。
(比較例3)(1)鉄/鉄せん断試験
実施例3の記A剤とB剤が入れてあるラインミキサー付き2連式塗布ガン(電気化学工業製)から、鉄試験片上に平らに塗布して、2枚を接合した結果、固着時間を測定した結果、25〜28分であり、1時間後1.5MPa、1日養生後は23MPaであった。
(2)フェライト/鉄せん断試験
23℃、相対湿度65%雰囲気で上記A剤とB剤が入れてあるラインミキサー付き2連式塗布ガン(電気化学工業製)から、フェライト接合面(25mm×12.5mm)上に約0.2g程度平らに塗布して鉄試験片に接合して15分後においても若干傾けるとフェライト自重で動き固着するのに25分以上かかった。尚、1日養生後のせん断強度は8.5MPaでフェライトが材破した。
(3)鋼板家具の接着
実施例3の条件で、長さ0.8mの補強材の接着部に接着剤を塗布して接着試験ボ-ドに接合した結果、固着して自重で位置ズレを起こさないためには25分以上かった。
本発明の接着性樹脂組成物、接着剤、それを用いた接着方法は、従来のアクリル系接着剤の瞬間接着性に乏しいという欠点が改善され、初期固着性を与えられることから、従来技術に於いて必要であった、位置固定に必要な多数の治具を必要としない効果を発揮できるので、例えば家具製造等のさまざまな産業に於いて、生産性を向上させることに寄与するので、産業上有用である。
また、−30℃程度の極低温雰囲気においても、数分で硬化するという極めて優れた低温硬化性を有することから、例えば、−25〜−30℃に達する鮮魚類の保存冷凍庫の接着作業に冷凍室や冷凍保存室の温度を常温に戻すことなく作業ができるなどの効果を期待でき産業上有用である。

Claims (5)

  1. (イ)少なくとも1分子中に1個のビニル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー100質量部、(ロ)ハイドロパーオキサイド型有機過酸化物0.5〜5質量部、(ハ)コバルト石鹸であって金属コバルトとして0.04〜0.4質量部、(ニ)ポリエチレンイミン0.1〜5質量部、からなることを特徴とする接着性組成物。
  2. 請求項1の接着性組成物からなる接着剤であって、(イ)、(ロ)、及び(ニ)を必須成分とするA剤と、(イ)と(ハ)とを必須成分とするB剤とからなることを特徴とする接着剤。
  3. 請求項1の接着性組成物からなる接着剤であって、(イ)と(ハ)とを必須成分とするB剤と、(イ)と(ハ)とを必須成分とするC剤と、(ニ)を必須成分とするD剤とからなることを特徴とする接着剤。
  4. 一方の被着体の表面にB剤とC剤とからなる塗布面を形成し、当該塗布面又は他方の被着体の前記塗布面に相対する面に、D剤を塗布し、被着体同士を接合することを特徴とする接着方法。
  5. 請求項4記載の接着方法で接着される部分が鋼板製であることを特徴とする家具。
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