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JP2007168013A - 工具刃先位置演算方法及び工作機械 - Google Patents

工具刃先位置演算方法及び工作機械 Download PDF

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JP2007168013A JP2005368444A JP2005368444A JP2007168013A JP 2007168013 A JP2007168013 A JP 2007168013A JP 2005368444 A JP2005368444 A JP 2005368444A JP 2005368444 A JP2005368444 A JP 2005368444A JP 2007168013 A JP2007168013 A JP 2007168013A
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Abstract

【課題】工具の実際に用いられる傾斜角度における刃先位置を精度良く演算する方法及び工作機械を提供する。
【解決手段】工具主軸13にテストバー37を装着し、刃先位置を演算すべき使用工具が加工に用いられるときと同じ角度位置に傾斜送り軸を割出し、刃先位置測定手段の測定センサ19によりテストバー37の長短2つの基準点39、41の位置を測定する。傾斜送り軸の割出し角度、工具主軸13の前端面23から使用工具の刃先までの距離、工具主軸13の前端面23からテストバー37の2つの基準点39、41までの各距離及びテストバー37の2つの基準点39、41の測定した位置のデータに基づき、使用工具の刃先位置を演算する。
【選択図】図1

Description

本発明は、A軸、B軸又はC軸の傾斜送り軸により工具主軸を傾斜したときの前記工具主軸に装着している工具の刃先位置を演算する方法及び工作機械に関する。
マシニングセンタ等のNC工作機械の工具主軸に装着した工具の刃先位置を測定するため、工具主軸に対してX、Y、Z軸方向の相対移動を行うテーブル上に工具刃先位置測定手段の測定センサを設けることが行われている。この測定センサの一般的な形態は、工具刃先との接触を検知する接触センサ又は工具刃先が光線の通路を遮断したことを検知する非接触センサが多く用いられる。工具刃先位置測定手段は、この測定センサが検知したときのX、Y、Z各送り軸に設けられた現在位置検出手段の出力値から工具刃先の位置をX、Y、Z軸の座標値として測定するものである。加工に先立って、工具主軸に装着した工具の刃先位置を工具刃先位置測定手段によって測定し、測定結果から加工プログラムで指令される工具刃先位置を補正し、加工を行うのである。
A軸、B軸又はC軸の傾斜送り軸を有する主軸頭、又はアングル主軸アタッチメントをC軸方向に旋回可能な主軸頭、すなわち工具主軸を傾斜可能にした主軸頭は、傾斜送り軸の製作誤差や歯車のバックラッシ等により、各部材の寸法から算出した設計上の工具刃先位置と実際の工具刃先位置との間にはずれがある。そのため特許文献1、2に示すように、工具主軸を傾斜したとき装着している工具の刃先位置を工具刃先位置測定手段を利用して求めておく必要がある。
特許文献1は、門形マシニングセンタのユニバーサルアタッチメント、すなわちA軸とC軸を有する主軸頭の工具主軸に工具(ボールエンドミル)を装着し、工具がワークの加工すべき傾斜面に垂直となるようにA軸、C軸を傾け、その状態で刃先位置測定装置により工具の刃先位置を測定し、設計上の刃先位置と比較して、両者のずれ量ΔX、ΔY、ΔZを算出し、このずれ量ΔX、ΔY、ΔZに基づいて刃先位置を補正する刃先位置測定装置及び刃先位置補正方法を開示している。
特許文献2は、複合加工旋盤のB軸を有する工具主軸台の工具主軸に工具を装着し、傾斜加工を行う際、工具主軸台を傾斜させ、工具刃先がツールプリセッタ(工具刃先位置測定手段)のタッチセンサに接触するようにし、その時の刃先位置測定値から工具主軸台が水平のときの基準工具補正量Lx、Lzを算出するツールプリセッタ及び工具補正量算出方法を開示している。
特開2002−172545号公報 特開2002−224936号公報
特許文献1は工具としてボールエンドミルを用いているので、工具主軸が傾斜している状態で刃先位置測定装置のキューブセンサにボールエンドミルの先端部を接触させたとき、必ずボールエンドミル刃先球部がキューブセンサに接触し、球部中心位置を求めることができる。しかし、ドリルやフラットエンドミル等の非球面形状の工具の場合は、工具が傾斜していると工具先端の刃先はキューブセンサに接触せず、刃先以外の部分しかキューブセンサに接触できず、ドリルやフラットエンドミルの刃先位置を求めることはできない問題点がある。
特許文献2は、工具の刃先がタッチセンサに接触できる角度にB軸を傾斜させ、その状態で工具の刃先位置を測定し、B軸が水平のときの基準工具補正量Lx、Lzを算出しているものの、工具を本当に測定すべき角度に位置決めして刃先位置を求めていないので、依然として傾斜送り軸の製作誤差や歯車のバックラッシ等の影響を含んだ実際の傾斜割出し角度における刃先位置を求めることはできない問題点がある。
本発明は、従来技術の問題点を解決することを課題としており、本発明の目的は、工具の実際に用いられる傾斜角度における刃先位置を精度良く演算する方法を提供することである。またこの刃先位置演算方法で演算した刃先位置のデータを用いて傾斜加工の加工プログラムの指令を補正して、ワークの傾斜加工を精度よく行うことができる工作機械を提供することである。
前述の目的を達成するために、本発明によれば、傾斜送り軸により工具主軸が傾斜したとき前記工具主軸に装着した工具の刃先位置を演算する工具刃先位置演算方法において、前記工具主軸にテストバーを装着し、刃先位置を演算すべき使用工具が加工に用いられるときと同じ角度位置に前記傾斜送り軸を割出し、刃先位置測定手段により前記テストバーの前記工具主軸の前端面からの距離が既知の長短複数の基準点の位置を測定し、前記傾斜送り軸の割出し角度、予め測定した前記工具主軸の前端面から前記使用工具の刃先までの距離、前記工具主軸の前端面から前記テストバーの複数の基準点までの各距離及び測定した前記テストバーの各基準点の位置のデータに基づいて前記傾斜送り軸を加工に用いる角度位置に割出したときの前記工具主軸に装着した前記使用工具の刃先位置を演算する工具刃先位置演算方法が提供される。
使用工具が加工に用いられるときと同じ角度位置に工具主軸が傾斜しているときのテストバーの複数の基準点の位置を測定するので、工具主軸の中心軸線がX、Y、Z軸座標における関数として認識される。この関数に使用工具の工具主軸の前端面から刃先までの距離、すなわち工具長を当てはめることにより工具主軸傾斜時の使用工具の刃先位置を演算することができる。
また、本発明によれば、傾斜送り軸により工具主軸が傾斜したときに前記工具主軸に装着した工具の刃先位置を演算する工具刃先位置演算方法において、前記工具主軸にテストバーを装着し、前記傾斜送り軸を予め定めた複数の角度位置に割出し、各割出し角度位置において刃先位置測定手段により前記テストバーの前記工具主軸の前端面からの距離が既知の長短複数の基準点の位置を測定し、前記傾斜送り軸の複数の割出し角度、前記工具主軸の前端面から前記テストバーの複数の基準点までの各距離及び前記傾斜送り軸の各割出し角度位置における前記テストバーの各基準点の位置を基準データとして記憶し、刃先位置を演算すべき使用工具が加工に用いられるときの前記傾斜送り軸の角度位置、予め測定した前記工具主軸の前端面から前記使用工具の刃先までの距離及び前記記憶した基準データに基づいて前記使用工具が加工に用いられるときの前記傾斜送り軸の角度位置における刃先位置を演算する工具刃先位置演算方法が提供される。
工具主軸を複数の角度位置に割出し、その割出し角度位置においてテストバーの複数の基準点の位置を測定して記憶するので、結局、複数の角度位置で工具主軸の中心軸線がX、Y、Z軸座標における関数として認識される。ある傾斜角度位置における工具主軸の中心軸線の関数に、使用工具の工具主軸の前端面から刃先までの距離、すなわち工具長を当てはめることにより、その傾斜角度位置における使用工具の刃先位置を演算することができる。記憶していない主軸傾斜角度位置における工具主軸の中心軸線の関数は、記憶した前後の値から内挿して求めればよい。
また、本発明によれば、前記テストバーの前記工具主軸の前端面からの距離が既知の長短複数の基準点の位置の測定は、前記工具主軸の前端面から球部中心又は球部先端までの距離が既知の長短複数本の先端が球部に形成されたテストバー又はボールエンドミルをそれぞれ前記工具主軸に装着し、前記刃先位置測定手段により前記各テストバー又は前記各ボールエンドミルの球部の中心位置又は球部の先端位置を測定することである工具刃先位置演算方法が提供される。
工具主軸の前端面から球部中心又は球部先端までの距離が既知の長短複数本の先端が球部に形成されたテストバー又はボールエンドミルをそれぞれ工具主軸に装着し、刃先位置測定手段によりテストバー又はボールエンドミルの球部中心位置又は球部先端位置を測定する。テストバー又はボールエンドミルの先端部は球状になっているので、傾斜送り軸がどのような角度位置に割出されていてもその球部中心位置又は球部先端位置を刃先位置測定手段で必ず測定することができる。
また、本発明によれば、傾斜送り軸により工具主軸が傾斜したときに前記工具主軸に装着した工具の刃先位置を演算可能にした工作機械において、A軸、B軸又はC軸の傾斜送り軸により工具主軸を傾斜可能にした主軸頭と、前記主軸頭に対してX、Y、Z軸方向に相対移動する部位に設けられた接触式又は非接触式のセンサとX、Y、Z軸の現在位置検出手段とを用いて前記工具主軸に装着した工具の刃先位置を測定する刃先位置測定手段と、前記工具主軸にテストバーを装着して、刃先位置を演算すべき使用工具が加工に用いられるときと同じ角度位置に前記主軸頭の傾斜送り軸を割出し、前記刃先位置測定手段により前記テストバーの前記工具主軸の前端面からの距離が既知の長短複数の基準点の位置を測定し、前記傾斜送り軸の割出し角度、前記工具主軸の前端面から前記テストバーの複数の基準点までの各距離及び前記テストバーの各基準点の位置のデータを記憶する記憶手段と、予め測定した前記工具主軸の前端面から前記使用工具の刃先までの距離及び前記記憶手段に記憶したデータに基づき前記傾斜送り軸を加工に用いる角度位置に割出したときの前記工具主軸に装着した前記使用工具の刃先位置を演算する刃先位置演算手段と、を具備し、前記刃先位置演算手段で演算した前記使用工具の刃先位置のデータを用いて加工のために指令される刃先位置を補正してワークを加工する工作機械が提供される。
上記の第1番目に述べた工具刃先位置演算方法によって工具主軸傾斜時の使用工具の刃先位置を演算することができ、演算した使用工具の刃先位置のデータを用いて加工プログラム等で指令される刃先位置を補正してワークを加工する。
また、本発明によれば、傾斜送り軸により工具主軸が傾斜したときに前記工具主軸に装着した工具の刃先位置を演算可能にした工作機械において、A軸、B軸又はC軸の傾斜送り軸により工具主軸を傾斜可能にした主軸頭と、前記主軸頭に対してX、Y、Z軸方向に相対移動する部位に設けられた接触式又は非接触式のセンサとX、Y、Z軸の現在位置検出手段とを用いて前記工具主軸に装着した工具の刃先位置を測定する刃先位置測定手段と、前記工具主軸にテストバーを装着して、前記主軸頭の傾斜送り軸を予め定めた複数の角度位置に割出し、各割出し角度位置において前記刃先位置測定手段により前記テストバーの前記工具主軸の前端面からの距離が既知の長短複数の基準点の位置を測定し、前記傾斜送り軸の複数の割出し角度、前記工具主軸の前端面から前記テストバーの複数の基準点までの各距離及び前記傾斜送り軸の各割出し角度位置における前記テストバーの各基準点の位置を基準データとして記憶する記憶手段と、刃先位置を演算すべき使用工具が加工に用いられるときの前記傾斜送り軸の角度位置、予め測定した前記工具主軸の前端面から前記使用工具の刃先までの距離及び前記記憶手段に記憶した基準データに基づいて前記使用工具が加工に用いられるときの傾斜角度における刃先位置を演算する刃先位置演算手段とを具備し、前記刃先位置演算手段で演算した前記使用工具の刃先位置のデータを用いて加工のために指令される刃先位置を補正してワークを加工する工作機械が提供される。
上記の第2番目に述べた工具刃先位置演算方法によって工具主軸傾斜時の使用工具の刃先位置を演算することができ、演算した使用工具の刃先位置のデータを用いて加工プログラム等で指令される刃先位置を補正してワークを加工する。
本発明によれば、工具の実際に用いられる傾斜角度が予めわかっている場合は、その傾斜角度に工具主軸を割出して得たテストバーの各基準点の位置等のデータから使用工具の刃先位置を迅速に、精度良く演算することができる。また予め、工具主軸を複数の角度位置に割出して得たテストバーの各基準点の位置等のデータから任意の角度位置に傾斜された使用工具の刃先位置を迅速に精度良く演算することができる。そして工具主軸が傾斜されたときの演算した使用工具の刃先位置のデータを用いて加工プログラム等で指令される刃先位置を補正するので、ワークの傾斜加工を精度良く行うことができる。
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施の形態を説明する。図1及び図2を参照して、工作機械の主軸台1は、基台(図示せず)上を水平な左右方向(X軸方向)と鉛直な上下方向(Y軸方向)に移動可能に設けられている。テーブル3は、基台上を水平な前後方向(Z軸方向)に移動可能に設けられている。主軸台1には、Z軸と平行な水平軸5まわりの回転方向(C軸方向)に移動可能な旋回台7が設けられている。旋回台7には、X軸と平行な水平軸9まわりの回転方向(A軸方向)に移動可能な主軸頭11が設けられている。主軸頭11には、工具主軸13が回転支持されている。A軸を動かし主軸頭11を水平角度位置にして、工具主軸13の端面に向かって水平方向に投影した図2に示すように、工具主軸13の中心15とC軸の中心17とはX軸方向にオフセットしている。工具主軸13の先端に工具を装着し、テーブル3上にワークを固定して、X、Y、Z、A、C軸方向に相対移動することによりワークに所望の加工を施す。更にB軸を含む構成にしてもよい。
テーブル3上には、工具刃先位置測定手段35(図3参照)の測定センサ19が設けられている。本実施の形態の測定センサ19は、先端に立方体のフィーラ21を有した接触式センサである。工具刃先位置測定手段35は工具の刃先、テストバーの基準点、工具主軸13の前端面(いわゆるゲージ面)23等をフィーラ21に接触させたときのX、Y、Z軸の現在位置座標を読み込むことができる。測定センサ19は、変位測定式でもよい。あるいはまた、レーザ光線等を用いた非接触式センサでもよい。現在位置座標はX、Y、Z軸に設けられる周知の現在位置検出手段(図示せず)の出力を読み取ることにより得られる。
A軸、B軸、C軸等の傾斜送り軸が付属する工作機械は、傾斜送り軸を構成する部材の加工誤差、組立誤差、歯車のバックラッシ、傾斜送り軸の移動によるモーメント荷重の変化等の影響により、傾斜送り軸をある角度位置に割出したときの工具主軸13に装着した工具の刃先位置は、設計値からずれるのが一般的である。このずれを考慮せずに加工を進めると、ワークの加工精度は悪化する。図4に示すようにボールエンドミル25を用いて加工する場合は、加工に先立って、傾斜送り軸を加工時の角度位置に割出した状態でボールエンドミル25の先端部を測定センサ19のフィーラ21に接触させ、工具刃先位置測定手段35によって先端球部の中心位置27を求めることができる。このボールエンドミル25の先端球部の中心位置27の求め方は周知であるので説明を省略する。この求めたボールエンドミル25の先端球部の中心位置27と加工プログラム作成のために用いた設計上のボールエンドミル先端球部の中心位置とのずれ量だけワーク原点オフセット補正を行うことによって精度良くワークを加工することができる。ボールエンドミル25の場合は、先端球部のいずれかの点がフィーラ21に接触するので球部中心位置27を正確に求めることができる。または球部中心位置に代え、ボールエンドミル先端位置を求めてもよい。この先端位置も正確に求めることができる。
しかし、図5に示すように、ドリル、フラットエンドミル、ラジアスエンドミル等先端部が球形状をしていない工具29の場合は、刃先位置31を正確に求めることができない。なぜなら、求めたい刃先位置31がフィーラ21に接触せず、他の位置、例えば点33がフィーラ21に接触してしまう。そこで、先端部が球形状をしていない工具29をA軸、C軸等で傾斜させた場合の刃先位置31を正確に演算で求める方法を考える。
主軸頭11がA軸、C軸に傾斜したときに工具主軸13に装着される工具29の刃先位置31は、工具29のX、Y、Z軸座標における向きと、工具主軸13の前端面23の中心位置と、工具主軸13の前端面23から工具29の刃先位置31までの距離すなわち工具長とが与えられれば一義的に演算できることに着目した。工具長は、周知のツールプリセッタにより容易に求められる。あるいは工作機械上でA軸を動かして主軸頭11を水平に割出し、工具刃先位置測定手段35を用い、フィーラ21に工具主軸13の前端面23と工具29の刃先位置31とをそれぞれ接触させて両位置の座標を測定し、両位置のZ軸座標の差から工具長を機上で求めることもできる。
工具のX、Y、Z軸座標における向きは、工具主軸13にテストバー37を装着し、所定の回転角度位置にA軸、C軸を割出してテストバーの軸線上の少なくとも2ヶ所に設けた基準点39、41の位置を測定すれば、その2点を結ぶ方向が工具のX、Y、Z軸座標における向きである。テストバー37は工具主軸13の前端面23の中心位置から少なくとも2ヶ所の基準点39、41までの距離は既知であり、その既知の距離だけ上記少なくとも2ヶ所に設けた基準点39、41から工具の基部の方向にさかのぼった位置が工具主軸13の前端面23の中心位置である。この求めた工具主軸13の前端面23の中心位置から工具29の先端方向に、上記の工具29の工具長だけ離れた位置が求める工具29の刃先位置31であり、容易に演算できる。この工具29のX、Y、Z軸座標における向きと、工具主軸13の前端面23の中心位置がわかるということは、工具主軸13の中心軸線がX、Y、Z軸座標における関数として認識されることであり、この関数に工具29の工具長を当てはめれば、工具29の刃先位置が演算できるということである。
テストバー37の軸線上に少なくとも2ヶ所設けた基準点39、41の位置を測定する方法として、先端に球部を有し、工具主軸13の前端面23の中心から先端球部の中心39、41までの距離が既知の少なくとも長短2本のテストバー43、45をそれぞれ工具主軸13に装着し、その各先端球部をフィーラ21に接触させ各テストバー43、45の先端球部の中心位置を求める。この2本のテストバー43、45のそれぞれの先端球部の中心位置39、41が、上記のテストバー37の軸線上に2ヶ所設けた基準点の位置に相当する。テストバー37の先端が球形状なのでフィーラ21に接触することにより球部中心位置が演算により求まるのである。2本のテストバーに代えて、工具長及び工具径が既知のボールエンドミルを用いてもよい。また、テストバーやボールエンドミルの球部の中心を基準点とせず、球部の先端位置を基準点としてもよい。
次に、加工に先立って、使用工具のA軸、C軸の角度位置におけるテストバー37の少なくとも2つの基準点39、41の位置及び工具主軸13の前端面23の中心位置を演算しておかなくても、工具をA軸、C軸に任意の角度に傾斜したときの工具の刃先位置を演算する方法について説明する。
工具主軸13にテストバー37を装着し、A軸、C軸を所定の角度毎、例えば10度毎に割出して、テストバー37の軸線上の少なくとも2ヶ所に設けた基準点39、41の位置を測定してデータテーブルを作り、記憶する。この記憶したデータテーブルには、工具主軸13の前端面23からテストバー37の各基準点39、41までの距離及びA軸、C軸の角度位置も関連付けて格納されている。A軸、C軸の角度位置の情報は、オペレータが都度入力してもよいが、A軸、C軸の現在位置検出手段(図示せず)の出力又はNC装置のA軸、C軸の指令値を用いることができる。
加工の段階において、使用工具の傾斜角度と同じ傾斜角度のデータがデータテーブルに記憶されているのであれば、そのときのテストバー37の2つの基準位置と工具主軸13の前端面23から各基準位置39、41までの距離、及び使用工具の工具長とから使用工具の刃先位置を演算できる。使用工具の傾斜角度位置がデータテーブルに記憶されていない角度位置の場合は、その前後の角度位置におけるデータから内挿してテストバー37の2つの基準位置39、41を算出し、以下同様にして使用工具の刃先位置を演算できる。このように使用工具が任意の角度位置に割出されたときの刃先位置、あるいはA軸、C軸を変化させながら加工する場合の刻々の工具の刃先位置を演算することができる。ここで、工具刃先位置測定手段35により測定したテストバー37の基準点39、41の各位置に代え、その測定した基準点39、41の位置と基準点39、41の設計上の位置とのずれ量をデータテーブルに記憶し、以下の演算をそのずれ量を用いて行ってもよい。
こうして演算した工具の刃先位置を用いてNC加工を行う方法は主に三つある。一つは、設計上の刃先位置に基づき加工プログラムを作成しておき、NC装置が有している傾斜加工機能の機械パラメータに演算した工具刃先位置を入力すれば、NC装置が自動的に加工プログラムを補正してワークを加工するもの。もう一つは、演算した工具刃先位置からワーク原点オフセット量や工具オフセット量を求め、その値を機械パラメータに入力し、加工プログラムを補正してワークを加工するもの。もう一つは、演算した工具刃先位置をCAM装置に入力して、新たに加工プログラムを生成してワークを加工するものがある。いずれの方法を用いても傾斜送り軸を傾斜させた加工を精度良く行える。
以上説明した工具の刃先位置演算方法を実施する工作機械について、図3を参照して説明する。NC装置51に加工プログラムを入力することにより、機械本体53でワークの加工が行われる。また、機械本体53に備えられた測定センサ19からの信号とNC装置51からのX、Y、Z軸の現在位置情報とから工具刃先位置測定手段35により、工具主軸13に装着されたテストバー37の基準位置39、41を測定できる。また、主軸頭11をA軸により水平にすれば工具29の刃先位置31、あるいは工具主軸13の前端面23の位置等も測定できる。その測定結果は演算手段55に送出される。演算手段55は、テストバー37の基準位置39、41の測定結果の場合は、その測定結果をテストバー37を装着した工具主軸13のA軸とC軸の割出し角度、及び工具主軸13の前端面23の中心からテストバー37の少なくとも2ヶ所の基準位置39、41までの距離と共に記憶手段57に送り、データテーブルとして記憶させておく。
ワークの加工を開始するに当って、演算手段55はNC装置51から使用工具の工具長とその工具が使用されるA軸とC軸の角度値を入手する。そして、記憶手段57に記憶されているデータテーブルも用いて当該工具の当該角度位置における刃先位置を演算しNC装置51に送出する。NC装置51に備えられた傾斜加工機能又はワーク原点オフセット機能や工具オフセット機能によって加工プログラムの指令が補正され、機械本体53でワークが加工される。
本実施の形態では、A軸及びC軸の傾斜送り軸を有した主軸頭の場合について述べたが、B軸を有した主軸頭やアングル主軸アタッチメントをC軸方向に旋回割出し可能な主軸頭についても同様の方法で工具刃先位置を演算できる。
本発明は、ドリル、フラットエンドミル、ラジアスエンドミル、フェースミル等先端部が球形状をしていない工具に限らず、先端部が球形状をしているボールエンドミルに適用することはもちろんできる。
また、本発明の工具刃先位置演算方法を実施する工作機械は、本実施の形態の横形マシニングセンタに限らず、立形マシニングセンタでも、傾斜送り軸付きのミーリングヘッドを備えた複合加工旋盤でもよい。
本発明の工作機械の実施の形態を示す部分側面図である。 図1の主軸頭部分の正面図である。 本発明の工作機械の実施の形態を示す構成ブロック図である。 ボールエンドミルの先端部と工具刃先位置測定手段の測定センサとの接触状態を示す斜視図である。 ドリルの先端部と工具刃先位置測定手段の測定センサとの接触状態を示す斜視図である。
符号の説明
1 主軸台
3 テーブル
7 旋回台
11 主軸頭
13 工具主軸
19 測定センサ
35 工具刃先位置測定手段
37 テストバー
39 基準点
41 基準点

Claims (5)

  1. 傾斜送り軸により工具主軸が傾斜したときに前記工具主軸に装着した工具の刃先位置を演算する工具刃先位置演算方法において、
    前記工具主軸にテストバーを装着し、刃先位置を演算すべき使用工具が加工に用いられるときと同じ角度位置に前記傾斜送り軸を割出し、
    刃先位置測定手段により前記テストバーの前記工具主軸の前端面からの距離が既知の長短複数の基準点の位置を測定し、
    前記傾斜送り軸の割出し角度、予め測定した前記工具主軸の前端面から前記使用工具の刃先までの距離、前記工具主軸の前端面から前記テストバーの複数の基準点までの各距離及び測定した前記テストバーの各基準点の位置のデータに基づいて前記傾斜送り軸を加工に用いる角度位置に割出したときの前記工具主軸に装着した前記使用工具の刃先位置を演算することを特徴とした工具刃先位置演算方法。
  2. 傾斜送り軸により工具主軸が傾斜したときに前記工具主軸に装着した工具の刃先位置を演算する工具刃先位置演算方法において、
    前記工具主軸にテストバーを装着し、
    前記傾斜送り軸を予め定めた複数の角度位置に割出し、各割出し角度位置において刃先位置測定手段により前記テストバーの前記工具主軸の前端面からの距離が既知の長短複数の基準点の位置を測定し、
    前記傾斜送り軸の複数の割出し角度、前記工具主軸の前端面から前記テストバーの複数の基準点までの各距離及び前記傾斜送り軸の各割出し角度位置における前記テストバーの各基準点の位置を基準データとして記憶し、
    刃先位置を演算すべき使用工具が加工に用いられるときの前記傾斜送り軸の角度位置、予め測定した前記工具主軸の前端面から前記使用工具の刃先までの距離及び前記記憶した基準データに基づいて前記使用工具が加工に用いられるときの前記傾斜送り軸の角度位置における刃先位置を演算することを特徴とした工具刃先位置演算方法。
  3. 前記テストバーの前記工具主軸の前端面からの距離が既知の長短複数の基準点の位置の測定は、前記工具主軸の前端面から球部中心又は球部先端までの距離が既知の長短複数本の先端が球部に形成されたテストバー又はボールエンドミルをそれぞれ前記工具主軸に装着し、前記刃先位置測定手段により前記各テストバー又は前記各ボールエンドミルの球部の中心位置又は球部の先端位置を測定することである請求項1又は2に記載の工具刃先位置演算方法。
  4. 傾斜送り軸により工具主軸が傾斜したときに前記工具主軸に装着した工具の刃先位置を演算可能にした工作機械において、
    A軸、B軸又はC軸の傾斜送り軸により工具主軸を傾斜可能にした主軸頭と、
    前記主軸頭に対してX、Y、Z軸方向に相対移動する部位に設けられた接触式又は非接触式のセンサとX、Y、Z軸の現在位置検出手段とを用いて前記工具主軸に装着した工具の刃先位置を測定する刃先位置測定手段と、
    前記工具主軸にテストバーを装着して、刃先位置を演算すべき使用工具が加工に用いられるときと同じ角度位置に前記主軸頭の傾斜送り軸を割出し、前記刃先位置測定手段により前記テストバーの前記工具主軸の前端面からの距離が既知の長短複数の基準点の位置を測定し、前記傾斜送り軸の割出し角度、前記工具主軸の前端面から前記テストバーの複数の基準点までの各距離及び前記テストバーの各基準点の位置のデータを記憶する記憶手段と、
    予め測定した前記工具主軸の前端面から前記使用工具の刃先までの距離及び前記記憶手段に記憶したデータに基づき前記傾斜送り軸を加工に用いる角度位置に割出したときの前記工具主軸に装着した前記使用工具の刃先位置を演算する刃先位置演算手段と、
    を具備し、前記刃先位置演算手段で演算した前記使用工具の刃先位置のデータを用いて加工のために指令される刃先位置を補正してワークを加工する工作機械。
  5. 傾斜送り軸により工具主軸が傾斜したときに前記工具主軸に装着した工具の刃先位置を演算可能にした工作機械において、
    A軸、B軸又はC軸の傾斜送り軸により工具主軸を傾斜可能にした主軸頭と、
    前記主軸頭に対してX、Y、Z軸方向に相対移動する部位に設けられた接触式又は非接触式のセンサとX、Y、Z軸の現在位置検出手段とを用いて前記工具主軸に装着した工具の刃先位置を測定する刃先位置測定手段と、
    前記工具主軸にテストバーを装着して、前記主軸頭の傾斜送り軸を予め定めた複数の角度位置に割出し、各割出し角度位置において前記刃先位置測定手段により前記テストバーの前記工具主軸の前端面からの距離が既知の長短複数の基準点の位置を測定し、前記傾斜送り軸の複数の割出し角度、前記工具主軸の前端面から前記テストバーの複数の基準点までの各距離及び前記傾斜送り軸の各割出し角度位置における前記テストバーの各基準点の位置を基準データとして記憶する記憶手段と、
    刃先位置を演算すべき使用工具が加工に用いられるときの前記傾斜送り軸の角度位置、予め測定した前記工具主軸の前端面から前記使用工具の刃先までの距離及び前記記憶手段に記憶した基準データに基づいて前記使用工具が加工に用いられるときの傾斜角度における刃先位置を演算する刃先位置演算手段と、
    を具備し、前記刃先位置演算手段で演算した前記使用工具の刃先位置のデータを用いて加工のために指令される刃先位置を補正してワークを加工する工作機械。
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