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JP2007074847A - ステータコアの製造装置および圧粉磁心の製造装置 - Google Patents

ステータコアの製造装置および圧粉磁心の製造装置 Download PDF

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JP2007074847A JP2005260446A JP2005260446A JP2007074847A JP 2007074847 A JP2007074847 A JP 2007074847A JP 2005260446 A JP2005260446 A JP 2005260446A JP 2005260446 A JP2005260446 A JP 2005260446A JP 2007074847 A JP2007074847 A JP 2007074847A
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和高 立松
Yasuhiro Endo
康浩 遠藤
Toshiya Yamaguchi
登士也 山口
Eisuke Hoshina
栄介 保科
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Abstract

【課題】 搭載性に優れた回転電機のステータコアを高い生産性で製造可能なステータコアの製造装置を提供する。
【解決手段】 ステータコア100は、軸方向に接合された2個の圧粉磁心の成形体D1,D2からなる。ヨーク部20は、ティース10の軸方向端面から軸方向外方に突出した突出部を含む。ティース10は、軸方向の長さがステータコア100の径方向外方に向けて漸減し、かつ周方向の長さがステータコア100の径方向外方に向けて漸増する。成形体D1,D2はそれぞれ、ダイに充填された磁性粉末を軸方向の一方側に配した単一のパンチと、軸方向の他方側に並列に配した2つのパンチとで加圧することにより成形される。2つのパンチは、ヨーク部20を成形する第1のパンチとティース10を成形する第2のパンチとからなり、成形体の磁性粉末の密度が均一となるように、別個にストロークが制御される。
【選択図】 図7

Description

この発明は、回転電機の固定子(以下、ステータとも称する)を構成するステータコアの製造装置および圧粉磁心の製造装置に関し、より特定的には、搭載性に優れた回転電機を実現し得るステータコアの製造装置およびステータコアを構成する圧粉磁心の製造装置に関する。
ステータとロータとからなる回転電機において、ステータは、複数のスロットが形成されたステータコアと、スロット間に設けられる櫛歯(以下、ティースとも称する)に巻回されたコイルとから構成される。また、ロータは、ロータコアと、磁力を帯びた磁石と、回転軸となるシャフトとから構成される。
かかる構成において、コイルに電力が供給されることにより、磁界が発生する。発生した磁界に基づいて、ロータとステータとの間に磁束の流れが形成されることによって、ロータは回転力を得る。例えば回転電機を動力源とする自動車においては、この回転力によって車輪が駆動される。
ここで、ステータにおいては、スロットの断面積に対するコイルが占有する断面積の面積比(以下、占積率とも称する)の向上を目的としたステータの構造が、従来から多数開示されている(たとえば特許文献1および2参照)。
図10は、たとえば特許文献1に開示される回転電機におけるステータの構造を示す図である。
図10(A)は、ステータを構成することになる1極分の積層コア51に巻線52が巻回された状態を、図10(B)は、同図(A)の水平断面をそれぞれ示す。
積層コア51は、所定数の電磁鋼板を積層して形成されており、ティース部53とヨーク部54とのなす両側の空間が、巻線52の配置のためのスロット部55として機能する。
積層コア51には、後述するコアエンド部材57が装着された状態で、スロット部55の内面を覆うように絶縁キャップ56が被せられる。この絶縁キャップ56の外周に巻線52が所定回数だけ巻回されて、図10(A)の状態となる。
図10(B)を参照して、ティース部53の幅寸法Wについては、ステータ外周からステータ内周に向かって漸次幅狭となるように、両端面がテーパ状に形成され、これによってティース部53の両側に形成されるスロット部55の投影形状が、平行四辺形もしくは長方形となるように設定されている。
図10(C)は、同図(A)の巻線52と絶縁キャップ56とを取り除いた状態を、図10(D)は、同図(C)のD方向矢視図をそれぞれ示す。
図10(C)を参照して、積層コア51の積層方向両端面には、ティース部53の投影形状と略同一の輪郭形状を持つコアエンド部材57がそれぞれ装着される。コアエンド部材57は、磁性粉末の成形体にて形成され、表面の巻線受圧面57aは、ステータ外周から内周側に向かって段階的に高くなるように形成されている(図10(D)参照)。
以上の構成において、積層コア51が回転電機の一部として機能する際には、ティース部53を磁束が通過する。このとき、ティース部53におけるステータ内周側の先端部では、その幅寸法Wが小さいために磁束密度が高くなり、磁束が飽和する可能性がある。そこで、当該ステータ構造においては、積層コア51の鋼板積層方向の両端面に配したコアエンド部材57を磁路として機能させている。ただし、コアエンド部材57は、材質によって磁気特性が異なるため、径方向に沿って内周側、外周側および中央部分における等価断面積が求められ、その値が互いに等しくなるように設定される。
このような構成によれば、スロット部55のデッドスペースが縮小化されることにより、スロット部55での巻線52の占積率が向上し、小型で高出力な回転電機を実現することができる。
特開2002−369418号公報 特開2005−45898号公報
しかしながら、図10に示す従来のステータ構造においては、巻線52の占積率が向上する一方で、同図(D)から明らかなように、ティース部53の軸方向両端面に配したコアエンド部材57によって、軸方向に形成される巻線52の巻回部分(コイルエンド部)がヨーク部54から突出した形状となる。そのため、当該ステータから構成される回転電機において、その搭載性に問題を有していた。
また、コアエンド部材57は、表面の巻線受圧面57aがステータ外周から内周側に向かって段階的に高くなる階段状に形成されるが、このような複雑な形状を磁性粉末の成形体によって一体的に形成するためには、成形工程において成形体の磁性粉末の密度を均一にするための高度な加圧制御が必要とされる。これは、成形工程を複雑化し、ステータコアの生産性の向上を困難なものとしていた。したがって、成形工程における加圧制御を可能な限り容易なものとすれば、ステータコアの生産性を改善することができる。
それゆえ、この発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、その目的は、搭載性に優れた回転電機のステータコアを高い生産性で製造可能なステータコアの製造装置を提供することである。
この発明によれば、軸方向端面に水平面部分と斜面部分とを含むステータコアの製造装置は、磁性粉末を加圧成形し、第1および第2の圧粉磁心の成形体をそれぞれ形成する成形手段と、形成された第1および第2の圧粉磁心の成形体を軸方向に接合してステータコアを形成する接合手段とを備える。成形手段は、軸方向の一方から磁性粉末を加圧して略水平面からなる一方端面を成形する第1加圧手段と、水平面部分を成形する第1加圧部材と、斜面部分を成形する第2加圧部材とを用いて、軸方向の他方から磁性粉末を加圧して他方端面を成形する第2加圧手段とを含む。接合手段は、第1の圧粉磁心の成形体の一方端面と、第2の圧粉磁心の成形体の一方端面とを接合してステータコアを形成する。
上記のステータコアの製造装置によれば、軸方向端面が水平面と斜面とからなるステータコアを単一の成形体でするときに対して、加圧制御の自由度よりも低減されることから、高い生産性でステータコアを製造することができる。
好ましくは、ステータコアは、環状に延在し、水平面部分を軸方向端面とするヨーク部と、ヨーク部の内周側に配列され、斜面部分を軸方向端面とする複数のティースとを含む。第2加圧手段は、第1加圧部材を用いて、ヨーク部が各複数のティースの軸方向端面から軸方向外方に突出した突出部を有するように、水平面部分を成形する手段と、第2加圧部材を用いて、各複数のティースの軸方向の長さが径方向外方に向けて漸減するように、斜面部分を成形する手段とを含む。
上記のステータコアの製造装置によれば、ヨーク部の突出部とティースの斜面状の軸方向端面とは、異なる加圧部材の各々を加圧制御することにより、容易に成形することができる。
好ましくは、第2加圧手段は、突出部の軸方向の長さと、ステータコアに巻回されるコイルのコイルエンド部の最外周側の軸方向の長さとが略等しくなるように、他方端面を成形する。
より好ましくは、第2加圧手段は、各第1および第2の圧粉磁心の成形体の径方向に垂直な断面のいずれにおいて、ヨーク部の軸方向端面と各複数のティースの軸方向端面との間隔が、コイルエンド部の軸方向の長さと略等しくなるように、他方端面を成形する。
上記のステータコアの製造装置によれば、コイルをティースに巻回したときに形成されるコイルエンド部は、ステータコアから軸方向に突出することなく、その体格内にほぼ収まることから、回転電機の搭載性を改善することができる。
好ましくは、成形手段は、第1および第2の圧粉磁心の成形体の周方向の長さが径方向外方に向けて漸増するように、径方向から磁性粉末を加圧して径方向端面を成形する第3加圧手段をさらに含む。第1および第2の圧粉磁心の成形体の軸方向の長さと周方向の長さとは、各複数のティースの径方向に垂直な断面が径方向外方に向けて略等面積となるように設定される。
上記のステータコアの製造装置によれば、ティースにおける磁束密度分布を均一にでき、コギングトルクや鉄損の発生を抑えることができる。
好ましくは、ヨーク部の周方向に垂直な断面は、ティースの径方向に垂直な断面の略半分以上の面積からなる。
より好ましくは、ヨーク部と各複数のティースとの接合部の断面積は、ティースの径方向に垂直な断面の面積に対して同等以上である。
上記のステータコアの製造装置によれば、ティース〜接合部〜ヨーク部に至る磁束の経路における漏洩磁束の発生が抑えられることから、コギングトルクの発生を一層抑えることができる。
この発明によれば、互いに傾斜角度の異なる第1の面と第2の面とを有する圧粉磁心の製造装置は、第1加圧部材を用いて、磁性粉末を加圧して第1の面を成形する第1の加圧手段と、第2加圧部材を用いて、前記磁性粉末を加圧して第2の面を成形する第2の加圧手段とを備える。
上記の圧粉磁心の製造装置によれば、第1の面と第2の面とは、異なる加圧部材の各々を加圧制御することにより、容易に成形することができる。
この発明によれば、水平面と斜面とを軸方向端面とする圧粉磁心の成形体からなるステータコアを、簡易かつ低コストに製造することができる。
また、この発明によれば、搭載性に優れ、かつ良好な性能を備えた回転電機を、高い生産性で構築することができる。
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一符号は同一または相当部分を示す。
図1は、この発明の実施の形態に従う回転電機のステータにおける1極分のステータコアの斜視図である。なお、図示は省略するが、ステータコアは、全体として、図1の1極分のスタータコア100を回転電機の極数だけ環状に配した中空円筒形状を有する。そして、ステータコアは、環状のヨーク部と、ヨーク部の内周側に径方向内方を指して環状に配列された所定数のティースからなるティース部と、互いに隣り合うティースの間に形成され、軸方向に延在する所定数のスロットとを含む。ティースおよびスロットの個数は、回転電機の極数に対応している。
図1を参照して、ステータコア100は、任意の1極において、ヨーク部20とティース10とが略T字形状を構成する。ステータコア100は、磁性粉末を成形用金型にて圧縮成形した磁心(以下、圧粉磁心とも称する)からなり、後述するステータコアの製造装置により、ヨーク部20とティース10とが一体的に成形される。
ティース10の周方向(θ方向に相当)の両脇には、隣り合うティース10(図示せず)との間において、スロットがそれぞれ形成される。コイルは、図示は省略するが、このティース10を跨ぐようにして隣り合うスロットに挿入されることにより、ティース10の各々に巻回して固着される。
本実施の形態において、ステータコア100は、ヨーク部20とティース10との間で軸方向(z方向に相当)の長さが異なることを第1の特徴とする。詳細には、図1に示すように、ヨーク部20は、ティース10の軸方向の両端面からそれぞれ軸方向外方に突出した突出部を有する。このため、ヨーク部20は、軸方向において、この突出部だけティース10よりも長くなっている。この点において、この発明によるステータ構造は、ヨーク部とティース部との間で軸方向の長さを同じとする従来のステータ構造とは異なる。
さらに、この発明によるステータコア100は、ティース10において、径方向に垂直な断面の形状が、径方向に沿って徐々に変化する、異形断面を有することを第2の特徴とする。例えば、図1のティース10において、最も内周側に位置する断面(図中のA断面に相当)と、最も外周側に位置する断面(図中のC断面に相当)と、これらの中間に位置する断面(図中のB断面に相当)とでは、互いに形状が異なっている。なお、これらのA〜C断面を含む径方向の各断面の間には、以下に述べるように、面積が互いに等しく、かつアスペクト比が互いに異なるという関係が成立している。なお、これらの特徴は、ステータコア100を圧粉磁心としたことによって、その成形性を生かし、容易に実現することができる。
図2は、図1のステータコア100の周方向の断面図である。
図2を参照して、ステータコア100において、ティース10は、略扇形状の断面を有しており、内周側に向かって周方向の長さが次第に短くなっている。具体的には、図1に示す径方向に沿ったA〜C断面の各々について、周方向の長さをそれぞれL1θ,Lθ,L2θとすると、これらの間には、L1θ<Lθ<L2θの関係が成り立つ。
ティース10の軸方向に垂直な断面をこのような扇形状とすることによって、ティース10の両脇に形成されるスロット30は、それぞれ、図中の斜線領域で示すように、略矩形状となる。すなわち、斜線領域において、C断面における周方向の幅hと、A断面における周方向の幅jとが略等しくなる。これにより、スロット30におけるコイルの占積率が向上する。詳細には、例えば平角銅線をコイルとして用いたときには、コイルはスロット30の内部に規則性をもって整列されることから、コイルの緻密化が可能となり、占積率をさらに向上させることができる。
図3は、図1のステータコア100の軸方向の断面図である。
図3から明らかなように、ティース10は、軸方向の長さが、径方向に沿って徐々に変化する。詳細には、軸方向の長さは、ステータ外周側に向かって次第に短くなる。図1に示す径方向に沿ったA〜C断面の各々について、軸方向の長さをそれぞれL1Z,L,L2Zとすると、これらの間には、L1Z>L>L2Zの関係が成り立つ。さらに、最も長いA断面の軸方向の長さL1Zにおいても、ヨーク部20の軸方向の長さよりも短いことが分かる。
ここで、図2および図3によれば、ティース10は、A〜C断面の間で、周方向および軸方向の長さに関して、L1θ<Lθ<L2θおよびL1Z>L>L2Zの関係を有することが分かる。すなわち、ティース10は、ステータ内周側から外周側に向かって、周方向の長さが長く、かつ軸方向の長さが短くなる。ステータコア100は、ティース10の形状を周方向のみならず、軸方向にも変化させた点において、ティース部53の軸方向の長さを一定とする図14に示す従来のステータコアとは相違する。また、ヨーク部20の軸方向の長さが、ティース10の軸方向の長さの最大値よりもさらに長いという点において、ヨーク部54の軸方向の長さがティース部分(ティース部53+コアエンド部材57)の軸方向の長さよりも短い図14に示す従来のステータコアとは相違する。
さらに、ティース10の最外周側においてティース10と接合されるヨーク部20は、上述したように、ティース10の軸方向の両端面から軸方向外方に向けて突出した突出部を有する。この突出部の軸方向の長さmは、ヨーク部20の軸方向端面とティース10の最外周側の端面との高低差に値する。さらに、ヨーク部20の軸方向端面とティース10の最内周側の端面とにおいても、軸方向の長さkの高低差が生じている。
ここで、コイルをティース10に巻回したときに、軸方向に沿ってスロット30から突出したコイルの両端部分は、コイルエンド部40を形成する。ティース部分(コアエンド部材を含む)の軸方向の長さがヨーク部の軸方向の長さよりも長い従来のステータコアにおいては、このコイルエンド部40は、ステータコアの軸方向の両端面から突出した状態となる。そのため、上述したように、搭載性において不具合が生じる。
そこで、本実施の形態では、図3に示すように、コイルエンド部40の軸方向の端面と、ヨーク部20の軸方向の端面との高低差をなくし、両端面が略同一平面をなすように、ティース10およびヨーク部20の形状を設定する。
詳細には、スロット30におけるコイルの巻回スペースは、図2の斜線領域で示したように、A断面およびC断面において、それぞれ周方向の幅jおよび周方向の幅hを有する。このため、コイルを巻回したときに、軸方向に形成されるコイルエンド部40においても、A断面およびC断面において、それぞれ軸方向に、幅jおよび幅hとほぼ等しい高さを有することとなる。仮に、ティース10の軸方向端面がヨーク部20の軸方向端面と同じ高さであるとすれば、コイルエンド部40は、A断面およびC断面において、それぞれ高さjおよびhだけステータコア100から突出することになる。
そこで、この突出部分をなくすために、本実施の形態によるステータコア100では、A断面におけるヨーク部20の軸方向端面とティース10の軸方向端面との高低差kを、コイルエンド部40のA断面の軸方向の高さjと略同じとなるように設定する。さらに、C断面におけるヨーク部20の軸方向端面とティース10の軸方向端面との高低差m(=ヨーク部20の突出部の軸方向の長さ)を、コイルエンド部40のC断面の高低差hと略同じとなるように設定する。
このような構成とすることにより、コイルをティース10に巻回したときに形成されるコイルエンド部40は、ステータコア100から軸方向に突出することなく、その体格内にほぼ収まることから、回転電機の搭載性を改善することができる。
以上のように、本実施の形態によるステータコアを適用した回転電機は、ステータコア100のヨーク部20に突出部を設けたこと、およびティース10を径方向に沿って異形断面としたことによって、高いコイルの占積率を保ちながら、搭載性が向上される。
ここで、スロット30におけるコイルの占積率が高められると、ティース10の内部に発生する磁束が増加し、より大きな出力トルクの発生が期待される。しかしながら、ステータコア100の内部において、磁束の飽和などによって無効となる磁束が増加すれば、トルク変動や鉄損が生じ、却って回転電機の制御性能を劣化させることになる。
このため、本実施の形態では、先述したように、ティース10の形状において、径方向に垂直な断面を一定面積に保ちながら、そのアスペクト比を変化させる構成とする。また、ヨーク部20の形状において、漏洩磁束の低減を考慮した構成とする。以下にその詳細を説明する。
図4は、図1に示すステータコア100におけるティース10の径方向に垂直な断面を説明するための図である。
図4を参照して、図1におけるティース10のA〜C断面は、いずれも略矩形状であり、軸方向および周方向の各辺において、上述したように、それぞれ、L1Z>L>L2Z、およびL1θ<Lθ<L2θの関係を有する。
さらに、A〜C断面は、その断面積をそれぞれS,S,Sとすると、これらの間に、S=S=Sの関係を有する。すなわち、ティース10の形状は、径方向に垂直な断面を一定面積に保ちながら、軸方向の辺と周方向の辺との比(アスペクト比)が漸次変化している。特に、本願発明では、図4に示すように、A断面とC断面との関係において、一定面積を保ちながら、アスペクト比を反転させた設計とすることも可能である。
ここで、ティース10の径方向に垂直な断面を面積一定としたのは、以下の理由による。
ステータコア100の内部で生じた磁束は、ティース10の内部を径方向(ティース10のA〜C断面に垂直な方向)に通過する。このとき、ティース10の内部において、磁束集中による局部的な磁束飽和が起こると、コイルを鎖交する有効磁束が減少する。このとき生じた無効磁束によって、回転電機には、コギングトルクと称されるトルク変動や鉄損が発生する。これらのコギングトルクや鉄損は、モータ効率を低下させるだけでなく、騒音や振動の原因となることから、ステータコア100内の磁束密度分布を均一にし、磁束飽和を緩和する必要が生じる。そこで、図4で述べたように、ティース10の径方向に垂直な断面を一定面積とすれば、ティース10における磁束密度分布を均一にでき、コギングトルクや鉄損の発生を抑えることができる。
図5は、ステータコア100の内部における磁束の流れを示す説明図である。
図5を参照して、ティース10の内部を径方向に沿って通過した磁束は、矢印で示すように、ティース10とヨーク部20との接合面(以下、単に接合面とも称する)を介してヨーク部20へ流れ込む。ヨーク部20に流入した磁束は、さらにヨーク部20の内部を周方向に互いに逆向きに流れる。
ここで、このようなティース10〜接合面〜ヨーク部20に至る磁束の経路において、漏洩磁束が生じることによっても、先述したコギングトルクが発生することが知られている。この漏洩磁束を抑えるためには、磁束の経路において、磁束が通過する断面積が減少しないことが必要とされる。これには、ティース10の径方向に垂直な断面に対して、接合面の面積が同等以上であればよい。さらに、ヨーク部20の周方向に垂直な断面の面積が、ティース10の径方向に垂直な断面の少なくとも1/2以上であればよい。
すなわち、接合面の面積の1/2(斜線領域Sの面積に相当)およびヨーク部20の周方向に垂直な断面積(斜線領域Sの面積に相当)のいずれか一方でもティース10の径方向に垂直な断面積S(=全面積Sの1/2に相当)を下回れば、その箇所において漏洩磁束が生じることになる。なお、上記の1/2とは、ティース10を通過した磁束が、ヨーク部20において周方向で互いに反対方向に分流されることによる。
すなわち、本実施の形態において、ヨーク部20の形状は、上述したコイルエンド部40との関係に加えて、S≦S,Sの関係を満たすように決定される。
以上のように、この発明によるステータコアによれば、ヨーク部20に配した突出部とティース10に配した異形断面とによって、搭載性に優れ、かつ小型高出力の回転電機を実現することができる。このとき、ティース10およびヨーク部20の形状を、無効磁束の低減を考慮して決定することから、回転電機の効率低下および騒音・振動の発生が抑えられる。
次に、この発明によるステータコア100を製造するための製造装置について説明する。ステータコア100の製造装置は、以下に述べる圧粉磁心の成形体を形成する成形工程と、成形工程により形成した2個の圧粉磁心の成形体を軸方向に接合して、一体のステータコア100を形成する接合工程とを備える。すなわち、ステータコア100は、軸方向に結合された2個の圧粉磁心の成形体で構成される。
一般に、圧粉磁心の成形工程においては、粒子ごとに酸化膜が被膜された磁性粉末を成形用金型に充填し、これを加圧成形することによって所望の形状に一体的に成形する方法が採用される。この成形方法をステータコア100に適用すると、図6のようになる。
図6は、一般的な成形方法を適用したときのステータコア100の成形工程を示す図である。
図6を参照して、磁性粉末は、各粒子に酸化膜が被膜された後に、成形用金型となるダイ200に充填される。そして、充填された磁性粉末は、ダイ200の上方に配されたパンチ201,203および下方に配されたパンチ202,204により垂直方向に加圧される。なお、図6における加圧方向は、成形後のステータコア100の軸方向に対応する。このようにして、ステータコア100は一体的に成形される。
ここで、図6の圧粉磁心の成形工程において、ダイ200の上方に配されたパンチ201,203は、加圧によってヨーク部20を成形するパンチ203と、加圧によってティース10を成形するパンチ201との2つのパンチで構成される。ダイ200の下方においても同様に、ヨーク部20を成形するパンチ204とティース10を成形するパンチ202とで構成される。すなわち、ヨーク部20とティース10とは、互いに異なる加圧手段によって加圧成形される。
このようにダイ200の上方および下方のパンチ201〜204をそれぞれ分割した構成としたのは、この発明によるステータコア100の軸方向端面が、ヨーク部20の軸方向端面に相当する平面部分と、ティース10の軸方向端面に相当する斜面部分とを有することに起因する。
詳細には、上方および下方のパンチ201〜204をそれぞれ単体のパンチで構成した場合、ティース10とヨーク部20とを構成する磁性粉末は、当該単体のパンチに設定された一定のストローク(移動量)で一律に加圧される。このとき、ティース10の軸方向長さがステータ外周側に向かって次第に短くなることから、加圧過程においてティース10を構成する磁性粉末にかかる圧力は、径方向において不均一となり、ステータ内周側にかかる圧力がステータ外周側にかかる圧力よりも高くなる。そのため、ティース10を構成するはずの磁性粉末は、圧力がより低いティース10のステータ外周側からヨーク部20へと流れ込む。したがって、加圧成形後のステータコア100において、磁性粉末の密度には、ティース10のステータ内周側が相対的に低く、かつティース10のステータ外周側およびヨーク部20が相対的に高いといった偏りが生じてしまう。
そして、このような磁性粉末の密度の偏りは、ステータコア100全体の強度を低下させることとなる。特に、ヨーク部20とティース10との接合部分であるステータコア100の括れ部分において亀裂が生じるおそれがある。また、ティース10にコイルを巻回して形成したステータを搭載した回転電機においては、ステータコア100の内部で生じる磁束が不均一となり、所望のモータ性能を得ることができないという問題も起こり得る。
そこで、このような磁性粉末の密度の偏りを解消する手段として、図6に示すように、単体のパンチを、ティース10を成形するパンチ201,202とヨーク部20とを成形するパンチ203,204とに分割し、各々のパンチで独立した加圧制御を行なう構成とする。これによれば、成形体の磁性粉末の密度が均一となるように、ダイ200の上方に配されたパンチ201のストロークとパンチ203のストロークとは個別に制御される。同様に、ダイ200の下方に配されたパンチ202のストロークとパンチ204のストロークとには個別に制御される。すなわち、合計4つのパンチ201〜204のストロークを別個に制御することによって、磁性粉末の密度が均一な成形体を形成することができる。
ところが、このような加圧制御を実際の成形工程に適用するにあたっては、合計4つのパンチ201〜204のストロークを別個に制御することから、加圧制御における自由度は4となり、制御が複雑化するという問題が新たに生じる。結果として、製造コストが増大し、生産性を低下させてしまう。したがって、生産性の向上のためには、加圧制御の自由度はできる限り少ないことが望まれる。
そこで、この発明では、ステータコア100の生産性を高める手段として、以下に示すように、2個の圧粉磁心の成形体で一体のステータコア100を形成する構成とする。なお、以下に示すステータコア100については、図6の一体成形型のステータコア100と対比させて、分割型のステータコア100とも称する。
図7は、この発明による回転電機における1極分のステータコア100の斜視図である。また、図8は、図7のステータコア100の軸方向の断面図である。
図7を参照して、ステータコア100は、軸方向(z方向)に沿って結合された2個の成形体D1,D2からなる。成形体D1と成形体D2(図中の斜線領域に相当)とは、同一の形状を有し、軸方向に垂直方向の一方端面(ステータコア100の軸方向端面と反対側の端面に相当)を水平面とする。
次に、成形体D1(=成形体D2)の成形工程について説明する。図9は、成形体D1(=D2)の成形工程を説明するための図である。
図9を参照して、成形体D1は、ダイ200に充填された磁性粉末を、ダイ200の上方に配されたパンチ206および下方に配されたパンチ202,204により垂直方向に加圧して成形される。このとき、図9から明らかなように、成形体D1の水平面となる一方端面は、単体のパンチ206により加圧される。また、成形体D1の他方端面は、ティース10を成形するパンチ202とヨーク部20を成形するパンチ204とによって加圧される。そして、パンチ202とパンチ204とは、上述したように、成形体D1の磁性粉末の密度が均一となるように、別個にストロークが制御される。すなわち、成形体D1の成形工程において、加圧制御における自由度は3となる。これは、図6に示す一体成形型のステータコア100の成形工程における自由度4よりも低いことから、加圧制御が著しく簡易化されることは明らかである。
なお、図9において、ダイ200の下方に配されるパンチ202,204を分割する構成としたのは、磁性粉末を充填するに先立って、ダイ200およびパンチ202,204,206の壁面には、成形体の離型性を良くするための成形潤滑剤が塗布されるが、壁面が同一平面上にないパンチ202,204への成形潤滑剤の塗布については、ダイ200の下方にパンチ202,204を配し、上方から成形潤滑剤を噴射する構成とするのが簡易かつ均一に塗布することができるからである。
そして、図9の成形工程によって形成された成形体D1と成形体D2とは、軸方向に結合されて一体化され、ステータコア100を構成する。なお、成形体D1と成形体D2との結合は、たとえば成形体D1,D2を一体的に回転電機の収容部材であるハウジングに圧入すること、もしくは成形体D1,D2からなるステータコア100のティース10にコイルを巻回することなどによって行なわれる。
以上のように、この発明によるステータコア100は、分割型のステータコアを採用したことによって加圧制御の自由度が低減されることから、製造コストの増大を抑え、生産性を向上することが可能となる。
なお、図9に示すダイ200とパンチ202,204,206とは、この発明によるステータコアの製造装置における「成形手段」を構成する。詳細には、ダイ200の上方のパンチ206は、「第1加圧手段」を構成し、ダイ200下方のパンチ202,204は、「第2加圧手段」を構成する。さらに、ダイ200は、「第3加圧手段」を構成する。特に、第2加圧手段において、パンチ204は「第1加圧部材」を構成し、パンチ202は「第2加圧部材」を構成する。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明は、水平面と斜面とからなる軸方向端面を有するステータコアの製造装置に適用することができる。
この発明の実施の形態に従う回転電機のステータにおける1極分のステータコアの斜視図である。 図1のステータコアの周方向の断面図である。 図1のステータコアの軸方向の断面図である。 図1に示すステータコアにおけるティースの径方向に垂直な断面を説明するための図である。 ステータコアの内部における磁束の流れを示す説明図である。 一般的な成形方法を適用したときのステータコアの成形工程を示す図である。 この発明による回転電機における1極分のステータコアの斜視図である。 図7のステータコアの軸方向の断面図である。 成形体D1(=D2)の成形工程を説明するための図である。 特許文献1に開示される回転電機におけるステータの構造を示す図である。
符号の説明
10 ティース、20,54 ヨーク部、30 スロット、40 コイルエンド部、51 積層コア、52 巻線、53 ティース部、55 スロット部、56 絶縁キャップ、57 コアエンド部材、57a 巻線受容面、100 ステータコア、200 ダイ、201〜204,206 パンチ。

Claims (8)

  1. 軸方向端面に水平面部分と斜面部分とを含むステータコアの製造装置であって、
    磁性粉末を加圧成形し、第1および第2の圧粉磁心の成形体をそれぞれ形成する成形手段と、
    形成された前記第1および第2の圧粉磁心の成形体を前記軸方向に接合して前記ステータコアを形成する接合手段とを備え、
    前記成形手段は、
    前記軸方向の一方から前記磁性粉末を加圧して略水平面からなる一方端面を成形する第1加圧手段と、
    前記水平面部分を成形する第1加圧部材と、前記斜面部分を成形する第2加圧部材とを用いて、前記軸方向の他方から前記磁性粉末を加圧して他方端面を成形する第2加圧手段とを含み、
    前記接合手段は、前記第1の圧粉磁心の成形体の前記一方端面と、前記第2の圧粉磁心の成形体の前記一方端面とを接合して前記ステータコアを形成する、ステータコアの製造装置。
  2. 前記ステータコアは、
    環状に延在し、前記水平面部分を軸方向端面とするヨーク部と、
    前記ヨーク部の内周側に配列され、前記斜面部分を軸方向端面とする複数のティースとを含み、
    前記第2加圧手段は、
    前記第1加圧部材を用いて、前記ヨーク部が各前記複数のティースの軸方向端面から軸方向外方に突出した突出部を有するように、前記水平面部分を成形する手段と、
    前記第2加圧部材を用いて、各前記複数のティースの前記軸方向の長さが径方向外方に向けて漸減するように、前記斜面部分を成形する手段とを含む、請求項1に記載のステータコアの製造装置。
  3. 前記第2加圧手段は、前記突出部の前記軸方向の長さと、前記ステータコアに巻回されるコイルのコイルエンド部の最外周側の軸方向の長さとが略等しくなるように、前記他方端面を成形する、請求項2に記載のステータコアの製造装置。
  4. 前記第2加圧手段は、各前記第1および第2の圧粉磁心の成形体の径方向に垂直な断面のいずれにおいて、前記ヨーク部の前記軸方向端面と各前記複数のティースの前記軸方向端面との間隔が、前記コイルエンド部の軸方向の長さと略等しくなるように、前記他方端面を成形する、請求項3に記載のステータコアの製造装置。
  5. 前記成形手段は、前記第1および第2の圧粉磁心の成形体の周方向の長さが径方向外方に向けて漸増するように、前記径方向から前記磁性粉末を加圧して径方向端面を成形する第3加圧手段をさらに含み、
    前記第1および第2の圧粉磁心の成形体の前記軸方向の長さと前記周方向の長さとは、各前記複数のティースの前記径方向に垂直な断面が前記径方向外方に向けて略等面積となるように設定される、請求項4に記載のステータコアの製造装置。
  6. 前記ヨーク部の前記周方向に垂直な断面は、前記ティースの前記径方向に垂直な断面の略半分以上の面積からなる、請求項5に記載のステータコアの製造装置。
  7. 前記ヨーク部と各前記複数のティースとの接合部の断面積は、前記ティースの前記径方向に垂直な断面の面積に対して同等以上である、請求項6に記載のステータコアの製造装置。
  8. 互いに傾斜角度の異なる第1の面と第2の面とを有する圧粉磁心の製造装置であって、
    第1加圧部材を用いて、磁性粉末を加圧して前記第1の面を成形する第1の加圧手段と、
    第2加圧部材を用いて、前記磁性粉末を加圧して前記第2の面を成形する第2の加圧手段とを備える、圧粉磁心の製造装置。
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