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JP2007072487A - 電子写真感光体とその製造方法 - Google Patents

電子写真感光体とその製造方法 Download PDF

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JP2007072487A
JP2007072487A JP2006339323A JP2006339323A JP2007072487A JP 2007072487 A JP2007072487 A JP 2007072487A JP 2006339323 A JP2006339323 A JP 2006339323A JP 2006339323 A JP2006339323 A JP 2006339323A JP 2007072487 A JP2007072487 A JP 2007072487A
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Akihiko Matsuyama
彰彦 松山
Ryoichi Kitajima
良一 北嶋
Hiroshi Ikuno
弘 生野
Hiroshi Tamura
宏 田村
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

【課題】感光層上にバインダー樹脂とフィラー、あるいはバインダー樹脂とフィラーと電荷輸送物質からなる表面層の積層で構成される高耐久電子写真感光体の製造方法、その製造方法を用いた高耐久電子写真感光体を提供すること。
【解決手段】導電性支持体上に少なくとも感光層と、バインダー樹脂およびフィラーを含有する表面層の積層で構成される電子写真感光体の製造方法において、バインダー樹脂を加えないでフィラーを溶媒に分散する工程の後、バインダー樹脂の溶解液と混合することにより該表面層を形成する塗工液を作成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は電子写真感光体の表面層中にフィラーを含有させた電子写真感光体の製造方法、電子写真感光体及びこの電子写真感光体を搭載した電子写真装置に関し、より詳しくは長寿命、高耐久電子写真感光体及びこの電子写真感光体を搭載した電子写真装置に関する。
本発明の電子写真感光体およびそれを用いた電子写真プロセスは、複写機、ファクシミリ、レーザープリンタ、ダイレクトデジタル製版機等に応用される。
従来技術として、特許文献1(特開平07−110587号公報)には、アゾ顔料の分散に脂環式ケトンを用い、分散後にバインダーを加えることで、分散安定性に優れた電荷発生層用塗布液が得られることが記載され、特許文献2(特開平11−038652号公報)には、有機電荷発生顔料の分散にバインダーを加えず、分散後にバインダーを加えることで、分散安定性を優れた電荷発生層用塗布液が得られることが記載され、特許文献3(特開平08−006271号公報)には、電荷発生物質を疎水性分散剤とバインダー樹脂中に分散することで、分散安定性に優れた電荷発生層用塗布液が得られることが記載され、特許文献4(特開平06−332219号公報)には、フッ素樹脂粉体と溶剤を高圧の液衝突を用いて粉砕、分散することで表面層用塗布液が得られることが記載されている。
近年、電子写真複写機、電子写真プリンターなどの高速化、小型化、高画質化に伴い感光体の高耐久化が要求されている。感光体は電子写真プロセスにおいて、帯電、露光、現像、転写、クリーニングの反復過程で機械的、化学的作用を受け劣化する。機械的劣化は感光体の摩耗、傷、化学的劣化は発生するオゾンによるバインダー樹脂、電荷移動材の酸化劣化、及び堆積物などによる画質低下が発生する。また、前記したように高速化、小型化に伴い感光体が小径化され電子写真プロセスでの使用条件は厳しくなり、特にクリーニング部ではゴムブレードが使用され、十分にクリーニングするためにはゴム硬度の上昇と当接圧力の上昇が余儀なくされ、そのために感光体の摩耗が促進され、電位変動、感度変動が生じ、それによる異常画像、カラー画像の色バランスがくずれ色再現性に問題が発生するなどの不具合が生じる。このために感光体の最表面にフィラーを添加する技術が発案されている。
表面層にフィラーを添加する方法としては、バインダー樹脂と溶剤にフィラーを分散させた塗工液、あるいはバインダー樹脂と電荷移動物質と溶剤にフィラーを分散させた塗工液を作成し、浸漬塗工法、リング塗工法、スプレー塗工法、ロール塗工法等の塗工法を用いて電荷輸送層上に塗布、乾燥して形成するのが一般的である。このように形成されたフィラーを含む表面層は均一な膜厚や均一なフィラー濃度が要求され、複写機、プリンター等に搭載した場合に不均一な膜ではハーフトーン画像に膜厚ムラに対応する濃淡ムラが発生するという問題が発生する。また、膜中のフィラー粒子径が2μm以上のものが増えると、塗膜がざらつき光の透過率が減少するため、十分な感度が得られなくなり、画像の階調性の低下、地汚れ等の問題が発生する。このような塗膜の不均一性やフィラー粒子の凝集等の問題は、塗布液中のフィラー分散状態の不良が原因であり、塗布液中のフィラーの分散性を向上させることにより解決することができる。
前述の特許文献1(特開平07−110587号公報)、特許文献2(特開平11−038652号公報)に記載の方法は、有機電荷発生顔料を溶媒に分散した後、バインダー樹脂の溶解液を加えるというものである。これらは特定の有機電荷発生顔料の分散に範囲が規定されており、本発明のような表面層に添加するフィラーの分散を対象にした発明とは異なるものである。
また、特許文献3(特開平08−006271号公報)に記載の方法は、分散剤を電荷発生物質の粒子表面に吸着することで分散安定性を高めることを目的としており、本発明のような表面層に添加するフィラーに吸着させる分散剤とは組成や構造が全く異なるものである。
また、特許文献4(特開平06−332219号公報)に記載の方法は、フィラーを含む表面層用塗工液の分散に関するものであるが、表面層にバインダー樹脂を加える場合にはフィラーとバインダー樹脂を混合して分散するものであり、バインダー樹脂がフィラー粒子の粉砕を妨げるクッションのように働くため粉砕効率が極めて悪く、バインダー樹脂を加えないで分散を行なう本発明とは異なるものである。
一方、特許文献5(特開平08−044086号公報)には、ボールミルの粉砕効率を向上させることで、分散性に優れる感光層用塗工液を得ることが記載され、特許文献6(特開平11−249324号公報)には、ビーズミルにおいてプレ分散をなくすことで、分散性に優れる電荷発生層用塗工液を得ることが記載され、特許文献7(特開2000−126638号公報)には、ビーズミルに2mm以下のメディアを用いることで、分散性に優れる電荷発生層用塗工液を得ることが記載され、特許文献8(特開平06−043672号公報)には、0.4〜0.8mmのボールを用いて粉砕することで、分散性に優れる電荷発生層用塗工液を得ることが記載され、特許文献9(特開平07−289870号公報)には、湿式の高圧霧化による分散方法が記載され、特許文献10(特開平06−332219号公報)には高圧衝突による粉砕方法を用いることで、分散性に優れる表面層用塗工液を得ることが記載されている。
前述の特許文献5(特開平08−044086号公報)に記載の方法はボールミルを用いて粉砕効率を向上させるものであり、特許文献6(特開平11−249324号公報)に記載の方法はビーズミルを用いて粉砕効率を向上させるものであり、特許文献7(特開2000−126638号公報)に記載の方法はビーズミルに2mm以下のボールを用いることで粉砕効率を向上させるものであり、特許文献8(特開平06−043672号公報)に記載の方法はボールミルに0.4〜0.8mmのボールを用いることで粉砕効率を向上させるものである。しかし、本発明は粉砕効率を抑えることで、衝撃や摩擦による発熱を20℃以下に抑えるものであり、全く逆の視点に立つ発明である。さらに、これらの発明は共に特定の有機電荷発生顔料の分散に範囲が規定されており、本発明のような表面層に添加するフィラーの分散を対象にした発明とは全く異なるものである。
また、特許文献9(特開平07−289870号公報)に記載の方法は高圧の霧化により粉砕を行なうものであり、特許文献10(特開平06−332219号公報)に記載の方法は高圧の液衝突により粉砕を行なうものである。しかし、これらの方法を用いた場合、衝撃や摩擦等による発熱量は非常に大きく、温度上昇により分散剤がフィラー表面に吸着できないことによる分散不良等の問題を生じる。更に、前記特許文献9(特開平07−289870号公報)に記載の方法は、特定の有機電荷発生顔料の分散に範囲が規定されており、本発明のような表面層に添加するフィラーの分散を対象にした発明とは全く異なるものである。
さらに、特許文献11(特許登録第2946174号公報)には、表面層に遷移金属原子を0.1〜10ppm含有する電子写真感光体が記載され、特許文献12(特開平08−146642号公報)には、最表層にシリカ粒子を含み、シリカ粒子中のAl、Ca、Fe濃度を1000ppm以下に規定する電子写真感光体が記載され、特許文献13(特開平09−179316号公報)及び特許文献14(特開平09−265202号公報)には、電荷発生層のバインダー樹脂に残存するNaイオンが500ppm以下である電子写真感光体が記載され、特許文献15(特開平11−194520号公報)には、下引き層のバインダー樹脂に残存するNaイオンが40ppm以下である電子写真感光体が記載され、特許文献16(特開2000−003049号公報)には、電荷輸送層用塗工液から吸着材を用いて有機酸を除去する方法が記載されている。
前述の特許文献11(特許登録第02946174号公報)に記載のものは、表面層に遷移金属原子を0.1〜10ppm含有するというものであり、特許文献12(特開平08−146642号公報)に記載のものは最表層にシリカ粒子を含み、シリカ粒子中のAl、Ca、Fe濃度を1000ppm以下に規定するというものであり、同じ表面層内の元素濃度を規定してはいるものの、対象としている元素が本発明とは全く異なる。
また、特許文献13(特開平09−179316号公報)、特許文献14(特開平09−265202号公報)に記載のものは電荷発生層のバインダー樹脂に残存するNaイオンを500ppm以下に規定するものであり、特許文献15(特開平11−194520号公報)に記載のものは下引層のバインダー樹脂に残存するNaイオンを40ppm以下に規定するものであり、対象とする層および元素が本発明とは全く異なる。
また、特許文献16(特開2000−003049号公報)に記載のものは電荷輸送層用塗工液から吸着材を用いて有機酸を除去するという方法であり、対象とする層も、除去対象とするイオンも本発明とは異なる。
特開平07−110587号公報 特開平11−038652号公報 特開平08−006271号公報 特開平06−332219号公報 特開平08−044086号公報 特開平11−249324号公報 特開2000−126638号公報 特開平06−043672号公報 特開平07−289870号公報 特開平06−332219号公報 特許登録第2946174号公報 特開平08−146642号公報 特開平09−179316号公報 特開平09−265202号公報 特開平11−194520号公報 特開2000−003049号公報
本発明の課題は、感光層上にバインダー樹脂とフィラー、あるいはバインダー樹脂とフィラーと電荷輸送物質からなる表面層の積層で構成される高耐久電子写真感光体の製造方法、その製造方法を用いた高耐久電子写真感光体を提供することにある。
第1群の本発明によれば、導電性支持体上に直接または中間層を介して感光層が積層され、この感光層上に少なくともバインダー樹脂とフィラー、あるいはバインダー樹脂とフィラーと電荷輸送物質を含有する表面層が積層される感光体の製造方法において、バインダー樹脂を加えないでフィラーを溶媒に分散することで、分散機内での粉砕力をバインダー樹脂がクッションのように和らげることがなくなる。このため粉砕効率が高くなり、短時間でフィラーを小粒径化することが可能となるため、分散安定性を向上させることが可能となる。加えて、バインダー樹脂を除いた量だけ分散時のフィラー濃度を高くすることができるため、粉砕効率はさらに向上し、生産性のアップも可能となる。特に分散溶媒として、ケトン類、エーテル類を用いることで、フィラーとの濡れ性が良くなるため、フィラーのさらなる小粒径化が可能となり、分散安定性をより向上させることができる。
フィラー含む表面層中に電荷輸送物質を含有させることで、電荷輸送性の不良に起因すると考えられる明部電位上昇を抑えることができるため、地汚れのない画像を得ることが可能となる。さらに、高分子電荷輸送物質を用いると膜の強度が向上するため、耐摩耗性を向上させることができる。
フィラーとしては、有機顔料よりも無機顔料のほうが硬度は高く耐摩耗性に優れている。無機顔料の中でもシリカ、アルミナ、酸化チタンは特に耐摩耗性に優れる材料であり、表面層に含有させることで高耐久な感光体を得ることができる。
分散安定性を向上させる方法として分散剤を添加する方法が知られているが、なかでも、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、あるいはそれらの構造を含む共重合体、モノカルボン酸、有機脂肪酸は分散安定性に優れ、しかも帯電不良や明部電位上昇等の不具合が発生しないことを本発明者らは見い出した。これらの物質を添加して分散することにより画像ムラや画像欠陥のない高感度で高耐久な感光体を得ることができる。
以上の構成用件を満足させることにより、高耐久性を有し、かつ繰り返し使用に対しても高画質画像を安定に得られる電子写真感光体の製造方法、及びそれらの感光体を長期に渡って安定に製造することを可能とするフィラー含有表面層用塗工液を提供することによって、高耐久化と高画質化を両立させる電子写真感光体の製造方法として、第1群の本発明を完成させるに至った。
また、第2群の本発明によれば、導電性基体上に直接または中間層を介して感光層が積層され、この感光層上に少なくともバインダー樹脂とフィラー、あるいはバインダー樹脂とフィラーと電荷輸送物質を含有する表面層が積層される感光体の製造方法において、フィラーを粉砕して溶媒中に分散する方法としてボールミルやビーズミル、サンドミル、振動ミル、超音波等の分散機を用いるのが一般的な方法である。フィラーは小粒径化するほど分散安定性が向上するため、より大きな衝撃力や摩擦力を加えて小さく砕くことが要求される。
しかし、分散剤を粉砕、分散工程に加える場合には、フィラー表面への分散剤吸着による再凝集防止が分散の進行する主要因となるため、粉砕力を大きくするとかえって吸着した分散剤が離脱したり、吸着が阻害されるような状況が起こってしまう。そして、余分に加えられたエネルギーは熱となり分散液の温度上昇を招くこととなる。
特に、感光体上に積層される表面層は分散剤を加えることで帯電性が劣化したり、逆に電荷の残留が起こることが多いため、分散剤の添加量は必要最小限に抑える必要がある。したがって、フィラー粒子の表面積に対する分散剤の量が少ないため、フィラー表面に効率良く分散剤を吸着させることが要求されるわけである。そこで、フィラー粉砕時の温度上昇と分散安定性の関連性を基に本発明者らが鋭意検討した結果、粉砕時の温度上昇が20℃以下となるように粉砕エネルギーを抑えることで、分散安定性に優れたフィラー含有表面層用塗工液が得られることを見い出した。
分散剤のなかでも、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、あるいはそれらの構造を含む共重合体、モノカルボン酸、有機脂肪酸は分散安定性に優れ、しかも帯電不良や明部電位上昇等の不具合が発生しないことも本発明者らは見い出した。
特に分散溶媒として、ケトン類、エーテル類を用いることで、フィラーと分散剤の溶解バランスが良くなるため、フィラーのさらなる小粒径化が可能となり、分散安定性をより向上させることができる。
フィラーとしては、有機顔料よりも、無機顔料のほうが硬度は高く耐摩耗性に優れている。無機顔料の中でもシリカ、アルミナ、酸化チタンは特に耐摩耗性に優れる材料であり、表面層に含有させることで高耐久な感光体を得ることができる。
分散方法としてはボールミルが最も優れており、過剰な衝撃が少なく、温度上昇も少ないため、より分散安定性に優れたフィラー含有表面層用塗工液の作成が可能となる。ボールミルを用いる場合、ボール径が10mmを越えると衝撃力が強すぎるため、分散安定性が悪化するし、1mmよりも小さなボールを用いた場合は、逆に衝撃力が弱すぎて小粒径化が困難となるため、φ1mm以上10mm以下のボールを用いることで分散安定性に優れた分散液の作成が可能となる。
フィラー含む表面層中に電荷輸送物質を含有させることで、電荷輸送性の不良に起因すると考えられる明部電位上昇を抑えることができるため、地汚れのない画像を得ることが可能となる。さらに、高分子電荷輸送物質を用いると膜の強度が向上するため、耐摩耗性を向上させることができる。
以上の構成要項を満足することにより、高耐久性を有し、かつ繰り返し使用に対しても高画質画像を安定に得られる電子写真感光体の製造方法、及びそれらの感光体を長期に渡って安定に製造することを可能とするフィラー含有表面層用塗工液を提供することによって、高耐久化と高画質化を両立させる電子写真感光体の製造方法として、第2群の本発明を完成させるに至った。
更に、第3群の本発明においては、導電性基体上に直接または中間層を介して感光層が積層され、この感光層上に少なくともバインダー樹脂とフィラー、あるいはバインダー樹脂とフィラーと電荷輸送物質を含有する表面層が積層される感光体の製造方法において、該表面層用塗工液中のフィラー分散状態は、負イオン、特に塩素イオンにより大きく左右され、塩素イオン濃度が増加するほどフィラーの分散粒径は大きくなり、沈降性も悪化する傾向がある。このような分散安定性の悪化する度合いは、該表面層用塗工液中のフィラーやバインダー樹脂の濃度、溶媒の種類等によって差はあるものの、塩素イオン濃度が1ppm以下であれば沈降性に悪化はみられず、このような塗工液を用いて作成した表面層は、膜厚ムラやざらつきのない良好な塗膜が得られることを見い出し、第3群の本発明に至った。
塩素イオンは溶媒に少量含有されている場合があり、塩素イオン濃度が1ppmを越えるような溶媒を使用すると、分散安定性の悪い表面層用塗工液ができあがってしまう。このような状況が発生しないために、あらかじめ溶媒から塩素イオンを除去する方法として、イオン吸着材を用いることを考案した。
イオン吸着材として、活性白土、フロリジル、塩基性アルミナは、塩素イオンの吸着力が高く、しかも感光体の帯電特性に影響するような成分の溶出がないため、良好に使用することができる。
分散安定性を向上させる方法として、分散剤を添加するという方法があるが、分散剤は表面層に含有させた場合、帯電不良や明部電位上昇等の不具合が発生することがあるため、必要最低限の添加量に制限される場合が多い。このように分散剤を表面層用塗工液に使用した場合も同様に、塩素イオンの濃度が増加するほどフィラーの分散粒径は大きくなり、沈降性も悪化する傾向が現われるが、塩素イオン濃度が1ppm以下であれば沈降性に悪化はみられない。
分散剤のなかでも、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、あるいはそれらの構造を含む共重合体、モノカルボン酸、有機脂肪酸は分散安定性に優れ、しかも帯電不良や明部電位上昇等の不具合が発生しないことも本発明者らは見い出した。
フィラーとしては、有機顔料よりも、無機顔料のほうが硬度は高く耐摩耗性に優れている。無機顔料の中でもシリカ、アルミナ、酸化チタンは特に耐摩耗性に優れる材料であり、表面層に含有させることで高耐久な感光体を得ることができる。
フィラー含む表面層中に電荷輸送物質を含有させることで、電荷輸送性の不良に起因すると考えられる明部電位上昇を抑えることができるため、地汚れのない画像を得ることが可能となる。さらに、高分子電荷輸送物質を用いると膜の強度が向上するため、耐摩耗性を向上させることができる。
以上の構成要項を満足することにより、高耐久性を有し、かつ繰り返し使用に対しても高画質画像を安定に得られる電子写真感光体の製造方法、及びそれらの感光体を長期に渡って安定に製造することを可能とするフィラー含有表面層用塗工液を提供することによって、高耐久化と高画質化を両立させる電子写真感光体の製造方法として、第3群の本発明を完成させるに至った。
即ち、上記課題は、本発明の(1)「導電性支持体上に少なくとも感光層と、バインダー樹脂およびフィラーを含有する表面層の積層で構成される電子写真感光体の製造方法において、バインダー樹脂を加えないでフィラーを溶媒に分散する工程の後、バインダー樹脂の溶解液と混合することにより該表面層を形成する塗工液を作成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法」、(2)「導電性支持体上に少なくとも感光層と、バインダー樹脂およびフィラーを含有する表面層の積層で構成される電子写真感光体の製造方法において、前記表面層を形成するための塗工液が、少なくともバインダー樹脂とフィラーと溶媒を含み、該表面層用塗工液中の塩素イオン濃度が1ppm以下であることを特徴とする電子写真感光体の製造方法」、(3)「あらかじめイオン吸着材により塩素イオンを除去処理した溶媒を、前記表面層用塗工液に用いることを特徴とする前記第(2)項に記載の電子写真感光体の製造方法」、(4)「前記イオン吸着材として、活性白土、フロリジル、塩基性アルミナを用いることを特徴とする請求項3に記載の電子写真感光体の製造方法」、(5)「前記表面層用塗工液が分散剤を含むことを特徴とする前記第(2)項乃至(4)項いずれか1に記載の電子写真感光体の製造方法」、(6)「前記フィラー分散の工程に用いる分散剤として、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、あるいはそれらの構造を含む共重合体、モノカルボン酸、有機脂肪酸を単独であるいは2種類以上を混合して添加することを特徴とする前記第(1)項又は(5)項に記載の電子写真感光体の製造方法」、(7)「前記フィラー分散の工程に、少なくともケトン類、エーテル類から選ばれる溶媒を用いることを特徴とする前記第(1)項乃至第(6)項のいずれか1に記載の電子写真感光体の製造方法」、(8)「前記表面層用塗工液に電荷輸送物質を含有させることを特徴とする前記第(1)項乃至第(7)項のいずれか1に記載の電子写真感光体の製造方法」、(9)「前記表面層用塗工液に含有させた電荷輸送物質が、高分子電荷輸送物質であることを特徴とする前記第(8)項に記載の電子写真感光体の製造方法」、(10)「前記表面層用塗工液に分散したフィラーが無機顔料であることを特徴とする前記第(1)項乃至(9)項のいずれか1に記載の電子写真感光体の製造方法」、(11)「前記表面層用の塗工液に分散させた無機顔料が、シリカ、アルミナ、酸化チタンの中から選ばれる1種であることを特徴とする前記第(10)項に記載の電子写真感光体の製造方法」により達成される。
また、上記課題は、本発明の(12)「前記第(1)項乃至第(11)項のいずれかに記載の製造方法で製造されたことを特徴とする電子写真感光体」により達成される。
また、上記課題は、本発明の(13)「少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段及び電子写真感光体を具備してなる電子写真装置であって、該電子写真感光体として前記第(12)項に記載の電子写真感光体を用いることを特徴とする電子写真装置」により達成される。
第1群の本発明の電子写真感光体の製造方法によれば、小粒径にフィラーを分散することができるため、分散安定性に優れたフィラー含有表面層用塗工液を作成でき、これを用いることにより、高耐久で繰返し使用に対し安定な高画質画像を作像できる感光体の提供が可能となる。また、ケトン類、エーテル類を用いることでより分散安定性に優れたフィラー含有表面層用塗工液を作成でき、これを用いることにより高耐久で繰返し使用に対し安定な高画質画像を作像できる感光体の提供が可能となる。また、分散安定性に優れたフィラー含有表面層用塗工液を作成でき、電荷輸送物質を用いることで、高感度で耐久性に優れ、繰返し使用に対し安定な高画質画像を作像できる感光体の提供が可能となる。また、分散安定性に優れたフィラー含有表面層用塗工液を作成でき、高分子電荷輸送物質を用いることで、高感度でより耐久性に優れ、繰返し使用に対して安定な高画質画像を作像できる感光体の提供が可能となる。また、分散安定性に優れたフィラー含有表面層用塗工液を作成でき、無機顔料を用いることで耐摩耗性が向上するため、より高耐久で繰返し使用に対し安定な高画質画像を作像できる感光体の提供が可能となる。また、分散安定性に優れたフィラー含有表面層用塗工液を作成でき、シリカ、アルミナ、酸化チタンを用いることでさらに耐摩耗性が向上するため、より高耐久で繰返し使用に対し安定な高画質画像を作像できる感光体の提供が可能となる。また、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、あるいはそれらの構造を含む共重合体、ポリカルボン酸、有機脂肪酸が分散剤として機能するため、より分散安定性に優れたフィラー含有表面層用塗工液を作成でき、これを用いることにより高耐久で繰返し使用に対し安定な高画質画像を作像できる感光体の提供が可能となるという優れた効果を奏する。
また、第2群の本発明の電子写真感光体の製造方法によれば、粉砕工程での温度上昇を20℃以下に抑えることで、分散安定性に優れたフィラー含有表面層用塗工液を作成でき、これを用いることにより、高耐久で繰返し使用に対し安定な高画質画像を作像できる感光体の提供が可能となる。また、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、あるいはそれらの構造を含む共重合体、ポリカルボン酸、有機脂肪酸が分散剤として良好に機能するため、より分散安定性に優れたフィラー含有表面層用塗工液を作成でき、これを用いることにより高耐久で繰返し使用に対し安定な高画質画像を作像できる感光体の提供が可能となる。また、ケトン類、エーテル類を用いることでより分散安定性に優れたフィラー含有表面層用塗工液を作成でき、これを用いることにより高耐久で繰返し使用に対し安定な高画質画像を作像できる感光体の提供が可能となる。また、分散安定性に優れたフィラー含有表面層用塗工液を作成でき、無機顔料を用いることで耐摩耗性が向上するため、より高耐久で繰返し使用に対し安定な高画質画像を作像できる感光体の提供が可能となる。また、分散安定性に優れたフィラー含有表面層用塗工液を作成でき、シリカ、アルミナ、酸化チタンを用いることでさらに耐摩耗性が向上するため、より高耐久で繰返し使用に対し安定な高画質画像を作像できる感光体の提供が可能となる。また、ボールミルを用いることで粉砕時の温度上昇を小さく抑えることができるため、より分散安定性に優れたフィラー含有表面層用塗工液を作成でき、これを用いることにより高耐久で繰返し使用に対し安定な高画質画像を作像できる感光体の提供が可能となる。また、ボールミルにφ1mm以上φ10mm以下のアルミナボールを用いることで粉砕時の温度上昇をより小さく抑えることができるため、より分散安定性に優れたフィラー含有表面層用塗工液を作成でき、これを用いることにより高耐久で繰返し使用に対し安定な高画質画像を作像できる感光体の提供が可能となる。また、分散安定性に優れたフィラー含有表面層用塗工液を作成でき、電荷輸送物質を用いることで、高感度で耐久性に優れ、繰返し使用に対し安定な高画質画像を作像できる感光体の提供が可能となる。また、分散安定性に優れたフィラー含有表面層用塗工液を作成でき、高分子電荷輸送物質を用いることで、高感度でより耐久性に優れ、繰返し使用に対して安定な高画質画像を作像できる感光体の提供が可能となるという優れた効果を奏する。 さらに、第3群の本発明の電子写真感光体の製造方法によれば、塩素イオン濃度を1ppm以下に規定することで分散安定性に優れたフィラー含有表面層用塗工液が作成できるため、高耐久で繰返し使用に対し安定な高画質画像を作像できる感光体の提供が可能となる。また、イオン吸着材を用いて溶媒中の塩素イオン濃度を1ppm以下に低減することにより、分散安定性に優れたフィラー含有表面層用塗工液が作成できるため、高耐久で繰返し使用に対し安定な高画質画像を作像できる感光体の提供が可能となる。また、イオン吸着剤として、活性白土、フロリジル、塩基性アルミナを用いることでより多くの塩素イオンを除去することができ、分散安定性に優れたフィラー含有表面層用塗工液が作成できるため、高耐久で繰返し使用に対し安定な高画質画像を作像できる感光体の提供が可能となる。また、分散剤を添加することで、より分散安定性に優れたフィラー含有表面層用塗工液を作成でき、これを用いることにより高耐久で繰返し使用に対し安定な高画質画像を作像できる感光体の提供が可能となる。また、分散剤としてポリエステル樹脂、アクリル樹脂、あるいはそれらの構造を含む共重合体、モノカルボン酸、有機脂肪酸は良好に機能するため、より分散安定性に優れたフィラー含有表面層用塗工液を作成でき、これを用いることにより高耐久で繰返し使用に対し安定な高画質画像を作像できる感光体の提供が可能となる。また、分散安定性に優れたフィラー含有表面層用塗工液を作成でき、無機顔料を用いることで耐摩耗性が向上するため、より高耐久で繰返し使用に対し安定な高画質画像を作像できる感光体の提供が可能となる。また、分散安定性に優れたフィラー含有表面層用塗工液を作成でき、シリカ、アルミナ、酸化チタンを用いることでさらに耐摩耗性が向上するため、より高耐久で繰返し使用に対し安定な高画質画像を作像できる感光体の提供が可能となる。また、分散安定性に優れたフィラー含有表面層用塗工液を作成でき、電荷輸送物質を用いることで、高感度で耐久性に優れ、繰返し使用に対し安定な高画質画像を作像できる感光体の提供が可能となる。また、分散安定性に優れたフィラー含有表面層用塗工液を作成でき、高分子電荷輸送物質を用いることで、高感度でより耐久性に優れ、繰返し使用に対して安定な高画質画像を作像できる感光体の提供が可能となるという優れた効果を奏する。
上記のように、これら本発明は、第1群の発明、第2群の発明、第3群の発明に分けて把握することができ、第1群の本発明によれば、小粒径にフィラーを分散することができ、第2群の本発明によれば、粉砕工程での温度上昇を20℃以下に抑えることで、分散安定性に優れたフィラー含有表面層用塗工液を作成でき、第3群の本発明によれば、塩素イオン濃度を1ppm以下に規定することで分散安定性に優れたフィラー含有表面層用塗工液が作成できるため、高耐久で繰返し使用に対し安定な高画質画像を作像できる感光体の提供が可能となる。
以下、これら本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられるフィラーとしてはメラミン樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子等の有機顔料、酸化チタン、シリカ、酸化錫、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、窒化ケイ素、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム等の無機顔料が挙げられるが、特に良好なものとしてシリカ、アルミナ、酸化チタンが挙げられる。
また、上記フィラーは表面を疎水化処理したものも良好に用いられ、一般に疎水化処理としてシランカップリング剤で処理したもの、あるいはフッ素系シランカップリング剤処理したもの、高級脂肪酸処理したもの、無機物処理としてはフィラー表面をアルミナ、ジルコニア、酸化スズ、シリカ処理したものが知られている。
バインダー樹脂としてはアクリル樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、エポキシ樹脂等が挙げられ、特に好ましいバインダー樹脂としては下記一般式(1)、及び一般式(2)で示されるポリカーボネートである。
Figure 2007072487
Figure 2007072487
、R、R、Rは、それぞれ独立して水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基又はハロゲン原子を表わし、又は置換もしくは無置換のアリール基を表わす。Xは脂肪族の2価基、環状脂肪族の2価基を表わし、Yは単結合、炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CO−、−CO−O−Z−O−CO−(式中Zは脂肪族の2価基を表わす。)または、
Figure 2007072487
(式中、aは1〜20の整数、bは1〜2000の整数、R、Rは置換または無置換のアルキル基又はアリール基を表わす。)を表わす。ここで、RとR、RとRは、それぞれ同一でも異なってもよい。p、qは組成を表わし、0.1≦p≦1、0≦q≦0.9、nは繰り返し単位数を表わし、5〜5000の整数である。
これらポリカーボネートは強靱性が高く、フィルム性が良いことが挙げられ、またこのフィラー層は電荷輸送機能をもたせるため電荷輸送物質との相溶性が良いことが重要な条件であることから前記一般式(1)、及び一般式(2)で示されるポリカーボネートが好適である。
フィラーを含む表面層には電荷輸送機能を付与するために電荷輸送物質を添加する。添加する電荷輸送物質としてはオキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾ−ル誘導体、チオフェン誘導体などが挙げられる。これらの電荷輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
特に、下記一般式(3)で示される電荷輸送物質は移動度が速く、上記バインダー樹脂との相溶性が良く、好ましい。
Figure 2007072487
は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基又はハロゲン原子を表わし、又は置換もしくは無置換のアリール基を表わす。R、Rは置換もしくは無置換のアリール基を表わす。Rは水素原子、それぞれ独立して置換もしくは無置換のアルキル基又はハロゲン原子を表わすが、その具体例としては以下のものを挙げることができ、同一であっても異なってもよい。
アルキル基として好ましくは、C〜C12とりわけC〜C、さらに好ましくはC〜Cの直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基はさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C〜Cのアルコキシ基、フェニル基、又はハロゲン原子、C〜Cのアルキル基もしくはC〜Cのアルコキシ基で置換されたフェニル基を含有しても良い。
具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−シアノエチル基、2−エトキシエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−メトキシベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。R、Rは置換もしくは無置換のアリール基を表わすが、その具体例としては以下のものを挙げることができ、同一であっても異なってもよい。
芳香族炭化水素基としては、スチリル基、フェニル基、縮合多環基としてナフチル基、ピレニル基、2−フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフェニレニル基、クリセニル基、フルオレニリデンフェニル基、5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテニリデンフェニル基、非縮合多環基としてビフェニリル基、ターフェニリル基などが挙げられる。
複素環基としては、チエニル基、ベンゾチエニル基、フリル基、ベンゾフラニル基、カルバゾリル基などが挙げられる。
上述のアリール基は、以下に示す基を置環基として有してもよい。
(1)ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基。
(2)アルキル基としては、上記のR、R、Rと同様のものが挙げられる。
(3)アルコキシ基としては、アルキル基は(2)で定義したアルキル基を表わす。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−シアノエトキシ基、ベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
(4)アリールオキシ基としては、アリール基としてフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これは、C〜Cのアルコキシ基、C〜Cのアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有しても良い。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−クロロフェノキシ基、6−メチル−2−ナフチルオキシ基等が挙げられる。
(5)置換メルカプト基またはアリールメルカプト基としては、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
(6)アルキル置換アミノ基としては、アルキル基は(2)で定義したアルキル基を表わす。具体的には、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−プロピルアミノ基、N,N−ジベンジルアミノ基等が挙げられる。
(7)アシル基としては、具体的にはアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、マロニル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
フィラー含む表面層中の電荷輸送物質(D)、バインダー樹脂(R)及びフィラー(F)の含有量比率はD:R:F=10〜40:35〜55:5〜40である。電荷輸送物質が10重量%以下になると電荷輸送性の低下に起因すると考えられる明部電位上昇が起き、40重量%以上であると膜強度低下が発生する。バインダー樹脂は電荷輸送物質、及びフィラーを固定させるために用いられ、35重量%以下であるとフィラー層の脆化が発生し、55重量%以上であると電荷輸送物質、及びフィラー量とのバランスの点で電気特性、膜強度で好ましくない。フィラー量は5重量%以下であると耐摩耗性の点で好ましくなく、40重量%以上であると膜の不透明化による地汚れなど画像劣化が発生する。
分散溶媒としてはメチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン類、ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブなどのエーテル類、トルエン、キシレンなどの芳香族類、クロロベンゼン、ジクロルメタンなどのハロゲン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類が使用され、ボールミル、サンドミル、振動ミルなどを用いて分散、粉砕する。
フィラーの分散状態は体積平均粒径が0.05〜1.5μm、好ましくは0.2〜1.0μmに粉砕、分散するのが好ましい。体積平均粒径が0.2μmよりも小さいと、耐摩耗性が低下するという欠点があり、体積平均粒径が1.0μmよりも大きいと書き込み光の散乱による解像度低下が発生したり、表面に突出してクリーニングブレードを傷つけクリーニング不良が発生してしまう。
フィラーを含む最表面層の膜厚は0.5〜10μmで、好ましくは1〜6μmである。塗工方法としては浸漬法、スプレー塗工法、リングコート法、ロールコータ法、グラビア塗工法、ノズルコート法、スクリーン印刷法等が採用される。
電荷輸送物質とバインダー樹脂から構成される電荷輸送層上にフィラーを含む表面層を設ける場合、電荷輸送層に用いられたバインダー樹脂とフィラー層に用いられるバインダー樹脂の構造は同じでも異なっていても構わない。
以下に、本発明の電子写真感光体を図面に沿って説明する。
図1は、本発明に使用する電子写真感光体の構成例を表わす断面図であり、導電性支持体(1)上に電荷発生物質と電荷輸送物質を主成分とする単層感光層(2)が設けられ、その上にフィラーを含む表面層(3)が設けられている。
図2は、本発明の電子写真感光体の他の構成例を表わす断面図であり、導電性支持体(1)上に電荷発生物質を主成分とする電荷発生層(4)と電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層(5)とが積層され、そらにその上にフィラーを含む表面層(3)が設けられている。
上記フィラーを含む表面層は下記の層上に設けられる。
導電性支持体としては、体積抵抗1010Ω以下の導電性を示すもの、例えばアルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、銀、金、白金、鉄などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの酸化物を、蒸着またはスパッタリングによりフィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙等に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらをD.I.,I.I.,押出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研磨などで表面処理した管などを使用することができる。
本発明における感光層は、単層型でも積層型でもよいが、ここでは説明の都合上、まず積層型について述べる。
はじめに、電荷発生層について説明する。電荷発生層は、電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダ−樹脂を用いることもある。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
無機系材料には、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物や、アモルファス・シリコン等が挙げられる。アモルファス・シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子等をドープしたものが良好に用いられる。
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることができる。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
電荷発生層に必要に応じて用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネ−ト、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミドなどが用いられる。これらのバインダー樹脂は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。更に、必要に応じて電荷輸送物質を添加してもよい。
電荷輸送物質としては、以下に表わされる電子供与性物質が挙げられ、良好に用いられる。たとえば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体などが挙げられる。これらの電荷輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
電荷発生層を形成する方法には、真空薄膜作製法と溶液分散系からのキャスティング法とが大きく挙げられる。
前者の方法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いられ、上述した無機系材料、有機系材料が良好に形成できる。
また、後述のキャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要ならばバインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノン等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより、形成できる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート法などを用いて行なうことができる。
以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。
次に、電荷輸送層について説明する。
電荷輸送層は、電荷輸送物質とバインダー樹脂とを共に溶解、塗工し電荷輸送層として使用できる。バインダー樹脂としてはフィルム性の良いポリカーボネート(ビスフェノールAタイプ、ビスフェノールZタイプ、ビスフェノールCタイプ、あるいはこれら共重合体)、ポリアリレート、ポリスルフォン、ポリエステル、メタクリル樹脂、ポリスチレン、酢酸ビニル、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂などが用いられる。これらのバインダーは、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
電荷輸送層に使用される電荷輸送物質は、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体(特開昭52−139065号公報、52−139066号公報に記載)、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体(特願平1−77839号明細書に記載)、ベンジジン誘導体(特公昭58−32372号公報に記載)、α−フェニルスチルベン誘導体(特開昭57−73075号公報に記載)、ヒドラゾン誘導体(特開昭55−154955号公報、55−156954号公報、55−52063号公報、56−81850号公報等に記載)、トリフェニルメタン誘導体(特公昭51−10983号公報に記載)、アントラセン誘導体(特開昭51−94829号公報に記載)、スチリル誘導体(特開昭56−29245号公報、58−198043号公報に記載)、カルバゾール誘導体(特開昭58−58552号公報に記載)、ピレン誘導体(特願平2−94812号明細書に記載)などを使用することができる。
また、電荷輸送層には電荷輸送物質としての機能とバインダー樹脂の機能を持った高分子電荷輸送物質も良好に使用される。これら高分子電荷輸送物質から構成される電荷輸送層は耐摩耗性に優れたものである。高分子電荷輸送物質としては、公知の材料が使用できるが、特に、トリアリールアミン構造を主鎖および/または側鎖に含むポリカーボネートが良好に用いられる。中でも、下記(I)式〜(X)式で表わされる高分子電荷輸送物質が良好に用いられ、これらを以下に例示し、具体例を示す。
Figure 2007072487
式中、R,R,Rはそれぞれ独立して置換もしくは無置換のアルキル基又はハロゲン原子、Rは水素原子又は置換もしくは無置換のアルキル基、R,Rは置換もしくは無置換のアリール基、o,p,qはそれぞれ独立して0〜4の整数、k,jは組成を表わし、0.1≦k≦1、0≦j≦0.9、nは繰り返し単位数を表わし5〜5000の整数である。Xは脂肪族の2価基、環状脂肪族の2価基、または下記一般式で表わされる2価基を表わす。
Figure 2007072487
式中、R101,R102は各々独立して置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基またはハロゲン原子を表わす。l,mは0〜4の整数、Yは単結合、炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、−O−,−S−,−SO−,−SO−,−CO−,−CO−O−Z−O−CO−(式中Zは脂肪族の2価基を表わす。)または、
Figure 2007072487
(式中、aは1〜20の整数、bは1〜2000の整数、R103,R104は置換または無置換のアルキル基又はアリール基を表わす。)を表わす。ここで、R101とR102,R103とR104は、それぞれ同一でも異なってもよい。
Figure 2007072487
式中、R,Rは置換もしくは無置換のアリール基、Ar,Ar,Arは同一又は異なるアリレン基を表わす。X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。
Figure 2007072487
式中、R,R10は置換もしくは無置換のアリール基、Ar,Ar,Arは同一又は異なるアリレン基を表わす。X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。
Figure 2007072487
式中、R11,R12は置換もしくは無置換のアリール基、Ar,Ar,Arは同一又は異なるアリレン基、pは1〜5の整数を表わす。X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。
Figure 2007072487
式中、R13,R14は置換もしくは無置換のアリール基、Ar10,Ar11,Ar12は同一又は異なるアリレン基、X,Xは置換もしくは無置換のエチレン基、又は置換もしくは無置換のビニレン基を表わす。X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。
Figure 2007072487

式中、R15,R16,R17,R18は置換もしくは無置換のアリール基、Ar13,Ar14,Ar15,Ar16は同一又は異なるアリレン基、Y,Y,Yは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わし同一であっても異なってもよい。X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。
Figure 2007072487
式中、R19,R20は水素原子、置換もしくは無置換のアリール基を表わし,R19とR20は環を形成していてもよい。Ar17,Ar18,Ar19は同一又は異なるアリレン基を表わす。X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。
Figure 2007072487
式中、R21は置換もしくは無置換のアリール基、Ar20,Ar21,Ar22,Ar23は同一又は異なるアリレン基を表わす。X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。
Figure 2007072487
式中、R22,R23,R24,R25は置換もしくは無置換のアリール基、Ar24,Ar25,Ar26,Ar27,Ar28は同一又は異なるアリレン基を表わす。X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。
Figure 2007072487
式中、R26,R27は置換もしくは無置換のアリール基、Ar29,Ar30,Ar31は同一又は異なるアリレン基を表わす。X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。
電荷輸送層の膜厚は、5〜100μm程度が適当であり、好ましくは、10〜40μm程度が適当である。
また、本発明において電荷輸送層中に可塑剤やレベリング剤を添加してもよい。可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般に樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、バインダ−樹脂100重量部に対して0〜30重量部程度が適当である。
次に、感光層が単層構成の場合について述べる。
キャスティング法等で単層感光層を設ける場合、多くは電荷発生物質と電荷輸送物質ならびにバインダー樹脂よりなる機能分離型のものが挙げられる。即ち、電荷発生物質ならびに電荷輸送物質には、前述の材料を用いることができる。
また、必要により可塑剤やレベリング剤を添加することもできる。更に、必要に応じて用いることのできるバインダー樹脂としては、先に電荷輸送層で挙げたバインダー樹脂をそのまま用いる他に、電荷発生層で挙げたバインダー樹脂を混合して用いてもよい。単層感光体の膜厚は、5〜100μm程度が適当であり、好ましくは、10〜40μm程度が適当である。
本発明に用いられる電子写真感光体には、導電性支持体と感光層(積層タイプの場合には、電荷発生層)との間に下引き層を設けることができる。下引き層は、接着性を向上する、モワレなどを防止する、上層の塗工性を改良する、残留電位を低減するなどの目的で設けられる。下引き層は一般に樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤でもって塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶解性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン、等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂などが挙げられる。また、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物、あるいは金属硫化物、金属窒化物などの微粉末を加えてもよい。これらの下引き層は、前述の感光層のごとく適当な溶媒、塗工法を用いて形成することができる。
更に本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用して、例えばゾル−ゲル法等により形成した金属酸化物層も有用である。
この他に、本発明の下引き層にはAlを陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物や、SiO、SnO、TiO、ITO、CeO等の無機物を真空薄膜作製法にて設けたものも良好に使用できる。下引き層の膜厚は0〜8μmが適当である。
また、本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤は、有機物を含む層ならばいずれに添加してもよいが、電荷輸送物質を含む層に添加すると良好な結果が得られる。
本発明に用いることができる酸化防止剤として、下記のものが挙げられる。
モノフェノール系化合物
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなど。
ビスフェノール系化合物
2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)など。
高分子フェノール系化合物
1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]グリコールエステル、トコフェロール類など。
パラフェニレンジアミン類
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
ハイドロキノン類
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
有機硫黄化合物類
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなど。
有機燐化合物類
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
これら化合物は、ゴム、プラスチック、油脂類などの酸化防止剤として知られており、市販品を容易に入手できる。本発明における酸化防止剤の添加量は、電荷輸送物質100重量部に対して0.1〜100重量部、好ましくは2〜30重量部である。
本発明は次に、上記の電子写真感光体を用い、帯電、像露光及び転写を行なうことを特徴とする電子写真方法を提供する。そしてまた、上記の電子写真感光体を有すると共に、帯電手段、像露光手段及び転写手段を備えたことを特徴とする電子写真装置を提供する。さらに、上記の電子写真感光体と帯電手段、像露光手段、現像手段、転写手段及びクリーニング手段から選ばれた少なくとも一つの手段とを一体的に形成し、電子写真装置本体に着脱自在としたことを特徴とする電子写真装置用プロセスカートリッジを提供する。
図面に基づいて、この電子写真方法、電子写真装置及び電子写真装置用プロセスカートリッジについて説明する。
図3は、本発明の電子写真装置及び電子写真装置用プロセスカートリッジの概略図である。感光体(11)はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであってもよい。帯電チャージャ(13)、転写前チャージャ(17)、転写チャージャ(20)、分離チャージャ(21)、クリーニング前チャージャ(23)には、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)、帯電ローラを始めとする公知の手段が用いられる。
転写手段には、一般に上記の帯電器が使用できるが、図に示されるように転写チャージャーと分離チャージャーを併用したものが効果的である。
画像露光部(15)にはLDもしくはLEDが用いられる。また、除電ランプ(12)等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、LED、LD、エレクトロルミネッセンス素子(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。この時像露光部、書込光源のビーム系は1200〜2400dpi相当の高解像度を達成するために10〜30μmであることが好ましい。かかる光源等は、図3に示される工程の他に、光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光などの工程を設けることにより、感光体に光が照射される。
現像ユニット(16)により感光体(11)上に現像されたトナーは、転写紙(19)に転写されるが、全部が転写されるわけではなく、感光体(11)上に残存するトナーも生ずる。このようなトナーは、ファーブラシ(24)およびブレード(25)により、感光体より除去される。クリーニングは、クリーニングブラシだけで行なわれることもあり、クリーニングブラシにはファーブラシ、マグファーブラシを始めとする公知のものが用いられる。
電子写真感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行なうと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。かかる現像手段には、公知の方法が適用されるし、また、除電手段にも公知の方法が用いられる。
図4は、本発明の他の電子写真装置の概略図である。感光体(31)は本発明の感光体であり、駆動ローラ(32a),(32b)により駆動され、帯電器(33)による帯電、光源(34)による像露光、現像(図示せず)、帯電器(35)を用いる転写、光源(36)によるクリーニング前露光、ブラシ(37)によるクリーニング、光源(38)による除電が繰返し行なわれる。図5においては、感光体(21)(勿論この場合は支持体が透光性である)に支持体側よりクリーニング前露光の光照射が行なわれる。
上記に図示した電子写真方法及び電子写真装置は、本発明における実施様態を例示したものであって、他の実施様態も可能である。例えば、図4においては、支持体側よりクリーニング前露光を行なっているが、これは感光層側から行なってもよく、また、像露光、除電光の照射を支持体側から行なってもよい。
また、光照射工程は、像露光、クリーニング前露光、除電露光が図示されているが、他に転写前露光、像露光のプレ露光、およびその他公知の光照射工程を設けて、感光体に光照射を行なうこともできる。
このようにして行なう画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンター内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形態によりそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段を含んだ1つの装置であり、また部品である。プロセスカートリッジの形状等については数多く挙げられるが、ここでは、図5にその1例を示す。このプロセスカートリッジは、本発明の電子写真感光体(26)、帯電チャージャ(27)、クリーニングブラシ(28)、画像露光部(29)、現像ローラ(30)からなるものである。
以下、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明が実施例により制限されるものではない。なお、部はすべて重量部である。
[第1群の本発明について]
実施例1
φ30mmアルミニウムシリンダー上に、下記組成の下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液を順次、塗布乾燥することにより、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、25μmの電荷輸送層を形成した。その上に、アルミナボールを入れたボールミルを用いてキシレンと下記有機フィラーを12時間分散し、そこに下記バインダー樹脂をトルエンに溶解して上記分散液に添加、混合して表面層用塗工液1を作成した。この液をスプレーで塗工して約3.0μmの表面層を設け、乾燥後、本発明の電子写真感光体を得た。
表面層用塗工液の体積平均粒径、沈降試験結果と、表面層を設けた感光体の初期画像及び1万枚通紙ランニング後の画像評価結果、表面層の摩耗減量を表1に示す。
〔下引き層用塗工液〕
アルキッド樹脂 6部
(ベッコゾール1307−60−EL、大日本インキ化学工業製)
メラミン樹脂 4部
(スーパーベッカミンG−821−60、大日本インキ化学工業製)
酸化チタン(CREL、石原産業社製) 40部
メチルエチルケトン 200部
〔電荷発生層用塗工液〕
オキソチタニウムフタロシアニン顔料 2部
ポリビニルブチラール(UCC:XYHL) 0.2部
テトラヒドロフラン 50部
〔電荷輸送層用塗工液〕
ポリカーボネート樹脂
(Zポリカ、帝人化成社製、Mv5万) 10部
ジクロルメタン 100部
1%シリコーンオイル
(KF50、信越シリコーン社製)ジクロルメタン溶液 1部
下記構造式(XI)で表わされる電荷輸送物質 3部
Figure 2007072487
〔表面層用塗工液1〕
球形メラミン(エポスターS、日本触媒製) 2部
キシレン 60部
トルエン 180部
ポリカーボネート樹脂
(Zポリカ、帝人化成製、Mv5万) 5部
実施例2
実施例1と同様に下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を設けた上に、アルミナボールを入れたボールミルを用いてシクロヘキサノンと下記有機フィラーを12時間分散し、そこに下記バインダー樹脂をテトラヒドロフランに溶解し、上記分散液に添加、混合して表面層用塗工液2を作成した。この液をスプレーで塗工して約3.0μmの表面層を設け、乾燥後、本発明の電子写真感光体を得た。
実施例1と同様に表面層用塗工液の体積平均粒径、沈降試験結果と、表面層を設けた感光体の初期画像及び1万枚通紙ランニング後の画像評価結果、表面層の摩耗減量を表1に示す。
〔表面層用塗工液2〕
球形メラミン(エポスターS、日本触媒製) 2部
シクロヘキサノン 60部
テトラヒドロフラン 180部
ポリカーボネート樹脂
(Zポリカ、帝人化成製、Mv5万) 5部
実施例3
実施例1と同様に下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を設けた上に、アルミナボールを入れたボールミルを用いてシクロペンタノンと下記有機フィラーを12時間分散し、そこに下記バインダー樹脂と電荷輸送物質(XI)式をテトラヒドロフランに溶解し、上記分散液に添加、混合して表面層用塗工液3を作成した。この液をスプレーで塗工して約3.0μmの表面層を設け、乾燥後、本発明の電子写真感光体を得た。
実施例1と同様に表面層用塗工液の体積平均粒径、沈降試験結果と、表面層を設けた感光体の初期画像及び1万枚通紙ランニング後の画像評価結果、表面層の摩耗減量を表1に示す。
〔表面層用塗工液3〕
球形メラミン(エポスターS、日本触媒製) 2部
シクロペンタノン 60部
テトラヒドロフラン 180部
ポリカーボネート樹脂
(Zポリカ、帝人化成製、Mv5万) 5部
構造式(XI)で表わされる電荷輸送物質 3部
実施例4
実施例1と同様に下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を設けた上に、アルミナボールを入れたボールミルを用いてテトラヒドロフラン60部と下記有機フィラーを12時間分散し、そこに構造式(XII)の高分子電荷輸送物質をテトラヒドロフラン120部とキシレン60部に溶解し、上記分散液に添加、混合して表面層用塗工液4を作成した。この液をスプレーで塗工して約3.0μmの表面層を設け、乾燥後、本発明の電子写真感光体を得た。
実施例1と同様に表面層用塗工液の体積平均粒径、沈降試験結果と、表面層を設けた感光体の初期画像及び1万枚通紙ランニング後の画像評価結果、表面層の摩耗減量を表1に示す。
〔表面層用塗工液4〕
球形メラミン(エポスターS、日本触媒製) 2部
テトラヒドロフラン 180部
キシレン 60部
下記構造式(XII)の高分子電荷輸送物質 8部
Figure 2007072487
実施例5
実施例1と同様に下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を設けた上に、アルミナボールを入れたボールミルを用いてシクロヘキサノンと下記無機顔料を12時間分散し、そこに下記バインダー樹脂と電荷輸送物質(XI)をテトラヒドロフランに溶解し、上記分散液に添加、混合して表面層用塗工液5を作成した。この液をスプレーで塗工して約3.0μmの表面層を設け、乾燥後、本発明の電子写真感光体を得た。
実施例1と同様に表面層用塗工液の体積平均粒径、沈降試験結果と、表面層を設けた感光体の初期画像及び1万枚通紙ランニング後の画像評価結果、表面層の摩耗減量を表1に示す。
〔表面層用塗工液5〕
酸化亜鉛(Sazex4000、堺化学製) 2部
シクロヘキサノン 60部
テトラヒドロフラン 180部
ポリカーボネート樹脂
(Zポリカ、帝人化成製、Mv5万) 5部
構造式(XI)で表わされる電荷輸送物質 3部
実施例6
実施例1と同様に下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を設けた上に、アルミナボールを入れたボールミルを用いてシクロペンタノンと下記シリカを12時間分散し、そこに下記バインダー樹脂と電荷輸送物質(XI)を1,3−ジオキソランに溶解し、上記分散液に添加、混合して表面層用塗工液6を作成し、この液をスプレーで塗工して約3.0μmの表面層を設け、乾燥後、本発明の電子写真感光体を得た。
実施例1と同様に表面層用塗工液の体積平均粒径、沈降試験結果と、表面層を設けた感光体の初期画像及び1万枚通紙ランニング後の画像評価結果、表面層の摩耗減量を表1に示す。
〔表面層用塗工液6〕
シリカ(KMPX−100、信越化学工業製) 2部
シクロペンタノン 60部
1,3−ジオキソラン 180部
ポリカーボネート樹脂
(Zポリカ、帝人化成製、Mv5万) 5部
構造式(XI)で表わされる電荷輸送物質 3部
実施例7
実施例1と同様に下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を設けた上に、アルミナボールを入れたボールミルを用いてシクロヘキサノンと下記アルミナと下記ポリカルボン酸を12時間分散し、そこに下記バインダー樹脂と電荷輸送物質(XI)をテトラヒドロフランに溶解して、上記分散液に添加、混合して表面層用塗工液7を作成した。この液をスプレーで塗工して約3.0μmの表面層を設け、乾燥後、本発明の電子写真感光体を得た。
実施例1と同様に表面層用塗工液の体積平均粒径、沈降試験結果と、表面層を設けた感光体の初期画像及び1万枚通紙ランニング後の画像評価結果、表面層の摩耗減量を表1に示す。
〔表面層用塗工液7〕
アルミナ(AKP−50、住友化学工業製) 2部
オレイン酸 0.05部
シクロヘキサノン 60部
テトラヒドロフラン 180部
ポリカーボネート樹脂
(Zポリカ、帝人化成製、Mv5万) 5部
構造式(XI)で表わされる電荷輸送物質 3部
Figure 2007072487
体積平均粒径は堀場製作所製CAPA700で計測した。
沈降性評価基準
◎:2日静置して分散粒子の沈降なし
○:1日静置して分散粒子の沈降なし
△:1日静置して分散粒子が一部沈降
×:1日静置して分散粒子が全部沈降
感光体を(株)リコー製複写機イマジオMF200に装着し、暗部電位800V、明部電位100Vに設定し画像(初期)を出し、次に1万枚の通紙試験を行なった後、同様の方法で画像(1万枚)と摩耗量(1万枚通紙前後の膜厚差)を計測した。
膜厚は渦電流式膜厚計フィシャー社製フィシャーコープMMSで測定した。
比較例1
実施例1と同様に下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を設けた上に、実施例1と同様の有機顔料とキシレンおよび、実施例1と同様のバインダー樹脂とトルエンを加えて分散を行ない、表面層用塗工液(比1)を作成した。この液をスプレーで塗工して約3.0μmの表面層を設け、乾燥後、電子写真感光体を得た。
実施例1と同様に表面層用塗工液の体積平均粒径、沈降試験結果と、表面層を設けた感光体の初期画像及び1万枚通紙ランニング後の画像評価結果、表面層の摩耗減量を表2に示す。
比較例2
実施例1と同様に下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を設けた上に、実施例5と同様の無機顔料とシクロヘキサノンおよび、実施例5と同様のバインダー樹脂、電荷輸送物質とテトラヒドロフランを加えて分散を行ない、表面層用塗工液(比2)を作成した。この液をスプレーで塗工して約3.0μmの表面層を設け、乾燥後、電子写真感光体を得た。
実施例1と同様に表面層用塗工液の体積平均粒径、沈降試験結果と、表面層を設けた感光体の初期画像及び1万枚通紙ランニング後の画像評価結果、表面層の摩耗減量を表2に示す。
比較例3
実施例1と同様に下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を設けた上に、実施例7と同様のアルミナ、ポリカルボン酸、シクロヘキサノンおよび、実施例7と同様のバインダー樹脂、電荷輸送物質と1,3−ジオキソランを加えて分散を行ない、表面層用塗工液(比3)を作成した。この液をスプレーで塗工して約3.0μmの表面層を設け、乾燥後、電子写真感光体を得た。
実施例1と同様に表面層用塗工液の体積平均粒径、沈降試験結果と、表面層を設けた感光体の初期画像及び1万枚通紙ランニング後の画像評価結果、表面層の摩耗減量を表2に示す。
比較例4
実施例1と同様に下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を設け、表面層を積層しない電子写真感光体を得た。
実施例1と同様に感光体の初期画像及び1万枚通紙ランニング後の画像評価結果、表面層(電荷輸送層)の摩耗減量を表2に示す。
Figure 2007072487
体積平均粒径は堀場製作所製CAPA700で計測した。
沈降性評価基準
◎:2日静置して分散粒子の沈降なし
○:1日静置して分散粒子の沈降なし
△:1日静置して分散粒子が一部沈降
×:1日静置して分散粒子が全部沈降…×
感光体を(株)リコー製複写機イマジオMF200に装着し、暗部電位800V、明部電位100Vに設定し画像(初期)を出し、次に1万枚の通紙試験を行なった後、同様の方法で画像(1万枚)と摩耗量(1万枚通紙前後の膜厚差)を計測する。
膜厚は渦電流式膜厚計フィシャー社製フィシャーコープMMSで測定した。
[第2群の本発明について]
参考例1
φ30mmアルミニウムシリンダー上に、下記組成の下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液を順次、塗布乾燥することにより、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、25μmの電荷輸送層を形成した。
その上に、キシレンと下記有機フィラーと分散剤(メタクリロキシ変性シリコーン)をφ0.2mmのアルミナボールを入れたガラス容器を用いてペイントシェーカーで2時間粉砕して分散した。粉砕前の液温度は20℃、粉砕終了後の液温度は35℃で、粉砕工程で15℃の温度上昇があった。そこに下記バインダー樹脂をトルエンに溶解して上記分散液に添加、混合して表面層用塗工液8を作成した。この液をスプレーで塗工して約3.0μmの表面層を設け、乾燥後、本発明の電子写真感光体を得た。
表面層用塗工液の体積平均粒径、沈降試験結果と、表面層を設けた感光体の初期画像及び1万枚通紙ランニング後の画像評価結果、表面層の摩耗減量を表3に示す。
〔下引き層用塗工液〕
アルキッド樹脂 6部
(ベッコゾール1307−60−EL、大日本インキ化学工業製)
メラミン樹脂 4部
(スーパーベッカミンG−821−60、大日本インキ化学工業製)
酸化チタン(CREL、石原産業社製) 40部
メチルエチルケトン 200部
〔電荷発生層用塗工液〕
オキソチタニウムフタロシアニン顔料 2部
ポリビニルブチラール(UCC:XYHL) 0.2部
テトラヒドロフラン 50部
〔電荷輸送層用塗工液〕
ポリカーボネート樹脂
(Zポリカ、帝人化成社製、Mv5万) 10部
ジクロルメタン 100部
1%シリコーンオイル
(KF50、信越シリコーン社製)ジクロルメタン溶液 1部
下記構造式(XIII)で表わされる電荷輸送物質 3部
Figure 2007072487
〔表面層用塗工液8〕
球形メラミン(エポスターS、日本触媒製) 2部
メタクリロキシ変性シリコーン
(サイラープレーンFM0725、チッソ社製) 0.1部
キシレン 60部
トルエン 180部
ポリカーボネート樹脂
(Zポリカ、帝人化成製、Mv5万) 5部
参考例2
参考例1と同様に下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を設けた上に、キシレンと下記有機フィラーと分散剤(ポリエステル樹脂)をφ0.2mmのアルミナボールを入れたガラス容器を用いてペイントシェーカーで2時間粉砕して分散した。粉砕前の液温度は25℃、粉砕終了後の液温度は38℃で、粉砕工程で13℃の温度上昇があった。そこに下記バインダー樹脂をトルエンに溶解して上記分散液に添加、混合して表面層用塗工液9を作成した。この液をスプレーで塗工して約3.0μmの表面層を設け、乾燥後、本発明の電子写真感光体を得た。
参考例1と同様に表面層用塗工液の体積平均粒径、沈降試験結果と、表面層を設けた感光体の初期画像及び1万枚通紙ランニング後の画像評価結果、表面層の摩耗減量を表3に示す。
〔表面層用塗工液9〕
球形メラミン(エポスターS、日本触媒製) 2部
ポリエステル樹脂 0.05部
キシレン 60部
トルエン 180部
ポリカーボネート樹脂
(Zポリカ、帝人化成製、Mv5万) 5部
参考例3
参考例1と同様に下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を設けた上に、シクロヘキサノンと下記有機フィラーと分散剤(ポリエステル樹脂)をφ0.2mmのアルミナボールを入れたガラス容器を用いてペイントシェーカーで2時間粉砕して分散した。粉砕前の液温度は20℃、粉砕終了後の液温度は33℃で、粉砕工程で13℃の温度上昇があった。そこに下記バインダー樹脂をテトラヒドロフランに溶解して上記分散液に添加、混合して表面層用塗工液10を作成した。この液をスプレーで塗工して約3.0μmの表面層を設け、乾燥後、本発明の電子写真感光体を得た。
参考例1と同様に表面層用塗工液の体積平均粒径、沈降試験結果と、表面層を設けた感光体の初期画像及び1万枚通紙ランニング後の画像評価結果、表面層の摩耗減量を表3に示す。
〔表面層用塗工液10〕
球形メラミン(エポスターS、日本触媒製) 2部
ポリエステル樹脂 0.05部
シクロヘキサノン 60部
テトラヒドロフラン 180部
ポリカーボネート樹脂
(Zポリカ、帝人化成製、Mv5万) 5部
参考例4
参考例1と同様に下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を設けた上に、シクロペンタノンと下記無機顔料と分散剤(ポリエステル樹脂)をφ0.2mmのアルミナボールを入れたガラス容器を用いてペイントシェーカーで2時間粉砕して分散した。粉砕前の液温度は20℃、粉砕終了後の液温度は35℃で、粉砕工程で15℃の温度上昇があった。そこに下記バインダー樹脂をテトラヒドロフランに溶解して上記分散液に添加、混合して表面層用塗工液11を作成した。この液をスプレーで塗工して約3.0μmの表面層を設け、乾燥後、本発明の電子写真感光体を得た。
参考例1と同様に表面層用塗工液の体積平均粒径、沈降試験結果と、表面層を設けた感光体の初期画像及び1万枚通紙ランニング後の画像評価結果、表面層の摩耗減量を表3に示す。
〔表面層用塗工液11〕
酸化亜鉛(Sazex4000、堺化学製) 2部
ポリエステル樹脂 0.05部
シクロペンタノン 60部
テトラヒドロフラン 180部
ポリカーボネート樹脂
(Zポリカ、帝人化成製、Mv5万) 5部
参考例5
参考例1と同様に下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を設けた上に、シクロペンタノンとシリカと分散剤(オレイン酸)をφ0.2mmのアルミナボールを入れたガラス容器を用いてペイントシェーカーで2時間粉砕して分散した。粉砕前の液温度は20℃、粉砕終了後の液温度は34℃で、粉砕工程で14℃の温度上昇があった。そこに下記バインダー樹脂を1,3−ジオキソランに溶解して上記分散液に添加、混合して表面層用塗工液12を作成した。この液をスプレーで塗工して約3.0μmの表面層を設け、乾燥後、本発明の電子写真感光体を得た。 参考例1と同様に表面層用塗工液の体積平均粒径、沈降試験結果と、表面層を設けた感光体の初期画像及び1万枚通紙ランニング後の画像評価結果、表面層の摩耗減量を表3に示す。
〔表面層用塗工液12〕
シリカ(KMPX−100、信越化学工業製) 2部
オレイン酸 0.05部
シクロペンタノン 60部
1,3−ジオキソラン 180部
ポリカーボネート樹脂
(Zポリカ、帝人化成製、Mv5万) 5部
参考例6
参考例1と同様に下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を設けた上に、φ20mmのアルミナボールを入れたボールミルを用いてシクロヘキサノンと下記アルミナと分散剤(ポリエステル樹脂)を12時間粉砕して分散した。粉砕前の液温度は16℃、粉砕終了後の液温度は22℃で、粉砕工程で6℃の温度上昇があった。そこに下記バインダー樹脂とテトラヒドロフランに溶解して、上記分散液に添加、混合して表面層用塗工液13を作成した。この液をスプレーで塗工して約3.0μmの表面層を設け、乾燥後、本発明の電子写真感光体を得た。
参考例1と同様に表面層用塗工液の体積平均粒径、沈降試験結果と、表面層を設けた感光体の初期画像及び1万枚通紙ランニング後の画像評価結果、表面層の摩耗減量を表3に示す。
〔表面層用塗工液13〕
アルミナ(AKP−50、住友化学工業製) 2部
ポリエステル樹脂 0.05部
シクロヘキサノン 60部
テトラヒドロフラン 180部
ポリカーボネート樹脂
(Zポリカ、帝人化成製、Mv5万) 5部
参考例7
参考例1と同様に下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を設けた上に、φ5mmのアルミナボールを入れたボールミルを用いてシクロヘキサノンと下記アルミナ分散剤(ポリエステル樹脂)を12時間粉砕して分散した。粉砕前の液温度は25℃、粉砕終了後の液温度は28℃で、粉砕工程で3℃の温度上昇があった。そこに下記バインダー樹脂をテトラヒドロフランに溶解して、上記分散液に添加、混合して表面層用塗工液14−1を作成した。
次に、下記バインダー樹脂と式(XIII)で表わされる電荷輸送物質3部をテトラヒドロフランに溶解して、上記分散液に添加、混合して表面層用塗工液14−2を作成した。
更に、式(XIV)で表わされる高分子電荷輸送物質8部をテトラヒドロフランに溶解して、上記分散液に添加、混合して表面層用塗工液14−3を作成した。
これらの液をスプレーで塗工して約3.0μmの表面層を設け、乾燥後、本発明の電子写真感光体を得た。
参考例1と同様に表面層用塗工液の体積平均粒径、沈降試験結果と、表面層を設けた感光体の初期画像及び1万枚通紙ランニング後の画像評価結果、表面層の摩耗減量を表3に示す。
〔表面層用塗工液14−1〕
アルミナ(AKP−50、住友化学工業製) 2部
ポリエステル樹脂 0.05部
シクロヘキサノン 60部
テトラヒドロフラン 180部
ポリカーボネート樹脂
(Zポリカ、帝人化成製、Mv5万) 5部
〔表面層用塗工液14−2〕
アルミナ(AKP−50、住友化学工業製) 2部
ポリエステル樹脂 0.05部
シクロヘキサノン 60部
テトラヒドロフラン 180部
ポリカーボネート樹脂
(Zポリカ、帝人化成製、Mv5万) 5部
構造式(XIII)で表わされる電荷輸送物質 3部
〔表面層用塗工液14−3〕
アルミナ(AKP−50、住友化学工業製) 2部
ポリエステル樹脂 0.05部
シクロヘキサノン 60部
テトラヒドロフラン 180部
下記構造式(XIV)で表わされる電荷輸送物質 8部
Figure 2007072487
Figure 2007072487
体積平均粒径は堀場製作所製CAPA700で計測した。
沈降性評価基準
◎:2日静置して分散粒子の沈降なし
○:1日静置して分散粒子の沈降なし
△:1日静置して分散粒子が一部沈降
×:1日静置して分散粒子が全部沈降
感光体を(株)リコー製複写機イマジオMF200に装着し、暗部電位800V、明部電位100Vに設定し画像(初期)を出し、次に1万枚の通紙試験を行なった後、同様の方法で画像(1万枚)と摩耗量(1万枚通紙前後の膜厚差)を計測した。
膜厚は渦電流式膜厚計フィシャー社製フィシャーコープMMSで測定した。
参考比較例1
参考例1と同様に下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を設けた上に、参考例1と同様のキシレンと有機フィラーと分散剤をφ0.2mmのアルミナボールを入れたガラス容器を用いてペイントシェーカーで3時間粉砕して分散した。粉砕前の液温度は20℃、粉砕終了後の液温度は50℃で、粉砕工程で30℃の温度上昇があった。そこに参考例1と同様のバインダー樹脂をトルエンに溶解して上記分散液に添加、混合して表面層用塗工液(参比1)を作成した。この液をスプレーで塗工して約3.0μmの表面層を設け、乾燥後、電子写真感光体を得た。
参考例1と同様に表面層用塗工液の体積平均粒径、沈降試験結果と、表面層を設けた感光体の初期画像及び1万枚通紙ランニング後の画像評価結果、表面層の摩耗減量を表4に示す。
参考比較例2
参考例4と同様に下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を設けた上に、参考例4と同様のシクロペンタノンと無機顔料と分散剤をφ0.2mmのアルミナボールを入れたビーズミルを用いて16℃の水で冷却しながら1時間粉砕して分散した。粉砕前の液温度は16℃、粉砕終了後の液温度は38℃で、粉砕工程で22℃の温度上昇があった。そこに参考例4と同様のバインダー樹脂をテトラヒドロフランに溶解して上記分散液に添加、混合して表面層用塗工液(参比2)を作成した。この液をスプレーで塗工して約3.0μmの表面層を設け、乾燥後、電子写真感光体を得た。
参考例1と同様に表面層用塗工液の体積平均粒径、沈降試験結果と、表面層を設けた感光体の初期画像及び1万枚通紙ランニング後の画像評価結果、表面層の摩耗減量を表4に示す。
参考比較例3
参考例7と同様に下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を設けた上に、参考例7と同様のシクロヘキサノンとアルミナと分散剤をガラス製三角フラスコに入れ、超音波分散器を用いて水道水を流しながら2時間粉砕して分散した。粉砕前の液温度は25℃、粉砕終了後の液温度は62℃で、粉砕工程で38℃の温度上昇があった。そこに参考例7と同様のバインダー樹脂と式(XIII)で表わされる電荷輸送物質3部をテトラヒドロフランに溶解して、上記分散液に添加、混合して表面層用塗工液(参比3)を作成した。この液をスプレーで塗工して約3.0μmの表面層を設け、乾燥後、電子写真感光体を得た。
参考例1と同様に表面層用塗工液の体積平均粒径、沈降試験結果と、表面層を設けた感光体の初期画像及び1万枚通紙ランニング後の画像評価結果、表面層の摩耗減量を表4に示す。
参考比較例4
参考例1と同様に下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を設け、表面層を積層しない電子写真感光体(参比4)を得た。
参考例1と同様に感光体の初期画像及び1万枚通紙ランニング後の画像評価結果、表面層(電荷輸送層)の摩耗減量を表4に示す。
Figure 2007072487
体積平均粒径は堀場製作所製CAPA700で計測した。
沈降性評価基準
◎:2日静置して分散粒子の沈降なし
○:1日静置して分散粒子の沈降なし
△:1日静置して分散粒子が一部沈降
×:1日静置して分散粒子が全部沈降…×
感光体を(株)リコー製複写機イマジオMF200に装着し、暗部電位800V、明部電位100Vに設定し画像(初期)を出し、次に1万枚の通紙試験を行なった後、同様の方法で画像(1万枚)と摩耗量(1万枚通紙前後の膜厚差)を計測する。
膜厚は渦電流式膜厚計フィシャー社製フィシャーコープMMSで測定した。
[第3群の本発明について]
実施例8
φ30mmアルミニウムシリンダー上に、下記組成の下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液を順次、塗布乾燥することにより、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、25μmの電荷輸送層を形成した。
その上に、下記有機フィラーとキシレンをφ2mmのアルミナボールを入れたガラス容器を用いて、ボールミルで12時間分散した。次に、下記バインダー樹脂をトルエンに溶解して上記分散液に添加、混合することで表面層用塗工液15を作成した。この液をスプレーで塗工して約3.0μmの表面層を設け、乾燥後、本発明の電子写真感光体を得た。
表面層用塗工液の塩素イオン濃度、体積平均粒径、沈降試験結果と、表面層を設けた感光体の初期画像及び1万枚通紙ランニング後の画像評価結果、表面層の摩耗減量を表5に示す。
〔下引き層用塗工液〕
アルキッド樹脂 6部
(ベッコゾール1307−60−EL、大日本インキ化学工業製)
メラミン樹脂 4部
(スーパーベッカミンG−821−60、大日本インキ化学工業製)
酸化チタン(CREL、石原産業社製) 40部
メチルエチルケトン 200部
〔電荷発生層用塗工液〕
オキソチタニウムフタロシアニン顔料 2部
ポリビニルブチラール(UCC:XYHL) 0.2部
テトラヒドロフラン 50部
〔電荷輸送層用塗工液〕
ポリカーボネート樹脂
(Zポリカ、帝人化成社製、Mv5万) 10部
ジクロルメタン 100部
1%シリコーンオイル
(KF50、信越シリコーン社製)ジクロルメタン溶液 1部
下記構造式(XV)で表わされる電荷輸送物質 3部
Figure 2007072487
〔表面層用塗工液15〕
球形メラミン(エポスターS、日本触媒製) 2部
キシレン 100部
トルエン 100部
ポリカーボネート樹脂
(Zポリカ、帝人化成製、Mv5万) 5部
実施例9
トルエン100部に塩化亜鉛を0.0005部溶解して、塩素イオンを2ppm以上含有するトルエンを得た。このトルエンにシリカゲルを20部加えて1時間撹拌後、10μmのテフロン(登録商標)製フィルターを用いて濾過することでイオン除去処理したトルエンを得た。
次に、実施例8と同様の下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を設け、その上に実施例8と同様の有機フィラーとキシレンを実施例8と同様の方法で分散した。さらに、実施例8と同様のバインダー樹脂を上記トルエンに溶解してフィラー分散液に添加、混合することで表面層用塗工液16を作成した。この液をスプレーで塗工して約3.0μmの表面層を設け、乾燥後、本発明の電子写真感光体を得た。
表面層用塗工液の塩素イオン濃度、体積平均粒径、沈降試験結果と、表面層を設けた感光体の初期画像及び1万枚通紙ランニング後の画像評価結果、表面層の摩耗減量を表5に示す。
実施例10
実施例9と同様の方法で塩素イオンを2ppm以上含有するトルエンを作成した。このトルエンに、実施例2のシリカゲルの代わりにフロリジル(関東化学製)を用いて、実施例9同様の方法でイオン除去処理を施したトルエンを得た。
次に、実施例9と同様の方法で表面層用塗工液17を作成し、この液をスプレーで塗工して約3.0μmの表面層を設け、乾燥後、本発明の電子写真感光体を得た。
表面層用塗工液の塩素イオン濃度、体積平均粒径、沈降試験結果と、表面層を設けた感光体の初期画像及び1万枚通紙ランニング後の画像評価結果、表面層の摩耗減量を表5に示す。
実施例11
実施例8と同様に下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を設けた上に、下記有機フィラーと分散剤(メタクリロキシ変性シリコーン)とキシレンを実施例8と同様の方法で分散した。次に、下記バインダー樹脂をトルエンに溶解して上記分散液に添加、混合することで表面層用塗工液18を作成した。この液をスプレーで塗工して約3.0μmの表面層を設け、乾燥後、本発明の電子写真感光体を得た。
表面層用塗工液の塩素イオン濃度、体積平均粒径、沈降試験結果と、表面層を設けた感光体の初期画像及び1万枚通紙ランニング後の画像評価結果、表面層の摩耗減量を表5に示す。
〔表面層用塗工液18〕
球形メラミン(エポスターS、日本触媒製) 2部
メタクリロキシ変性シリコーン
(サイラープレーンFM0725、チッソ社製) 0.05部
キシレン 100部
トルエン 100部
ポリカーボネート樹脂
(Zポリカ、帝人化成製、Mv5万) 5部
実施例12
実施例8と同様に下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を設けた上に、分散剤をメタクリロキシ変性シリコーンからポリエステル樹脂に代えた以外は実施例11と同じ方法で表面層用塗工液19を作成した。この液をスプレーで塗工して約3.0μmの表面層を設け、乾燥後、本発明の電子写真感光体を得た。
表面層用塗工液の塩素イオン濃度、体積平均粒径、沈降試験結果と、表面層を設けた感光体の初期画像及び1万枚通紙ランニング後の画像評価結果、表面層の摩耗減量を表5に示す。
〔表面層用塗工液19〕
球形メラミン(エポスターS、日本触媒製) 2部
ポリエステル樹脂 0.05部
キシレン 100部
トルエン 100部
ポリカーボネート樹脂
(Zポリカ、帝人化成製、Mv5万) 5部
実施例13
実施例8と同様に下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を設けた上に、有機フィラーを無機顔料に代えた以外は実施例12と同じ方法で表面層用塗工液20を作成した。この液をスプレーで塗工して約3.0μmの表面層を設け、乾燥後、本発明の電子写真感光体を得た。
表面層用塗工液の塩素イオン濃度、体積平均粒径、沈降試験結果と、表面層を設けた感光体の初期画像及び1万枚通紙ランニング後の画像評価結果、表面層の摩耗減量を表5に示す。
〔表面層用塗工液20〕
酸化亜鉛(Sazex4000、堺化学製) 2部
ポリエステル樹脂 0.05部
キシレン 100部
トルエン 100部
ポリカーボネート樹脂
(Zポリカ、帝人化成製、Mv5万) 5部
実施例14
実施例8と同様に下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を設けた上に、下記アルミナと分散剤(ポリエステル樹脂)とシクロヘキサノンを実施例8と同じ方法で分散した。次に、下記バインダー樹脂をトルエンに溶解して上記分散液に添加、混合することで表面層用塗工液21を作成した。この液をスプレーで塗工して約3.0μmの表面層を設け、乾燥後、本発明の電子写真感光体を得た。
表面層用塗工液の塩素イオン濃度、体積平均粒径、沈降試験結果と、表面層を設けた感光体の初期画像及び1万枚通紙ランニング後の画像評価結果、表面層の摩耗減量を表5に示す。
〔表面層用塗工液21〕
酸化チタン(CR−EL、石原産業製) 2部
ポリエステル樹脂 0.05部
シクロヘキサノン 60部
トルエン 140部
ポリカーボネート樹脂
(Zポリカ、帝人化成製、Mv5万) 5部
実施例15
実施例8と同様に下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を設けた上に、下記アルミナと分散剤(ポリエステル樹脂)とシクロヘキサノンを実施例8と同じ方法で分散した。次に、下記バインダー樹脂と構造式(XVI)で表わされる電荷輸送物質をトルエンに溶解して上記分散液に添加、混合することで表面層用塗工液22を作成した。この液をスプレーで塗工して約3.0μmの表面層を設け、乾燥後、本発明の電子写真感光体を得た。
表面層用塗工液の塩素イオン濃度、体積平均粒径、沈降試験結果と、表面層を設けた感光体の初期画像及び1万枚通紙ランニング後の画像評価結果、表面層の摩耗減量を表5に示す。
〔表面層用塗工液22〕
アルミナ(AKP−50、住友化学工業製) 2部
ポリエステル樹脂 0.05部
シクロヘキサノン 60部
トルエン 140部
ポリカーボネート樹脂
(Zポリカ、帝人化成製、Mv5万) 5部
構造式(XVI)で表わされる電荷輸送物質 3部
実施例16
実施例8と同様に下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を設けた上に、下記アルミナと分散剤(ポリエステル樹脂)とシクロヘキサノンを実施例8と同じ方法で分散した。次に、構造式(XVI)で表される高分子電荷輸送物質をトルエンに溶解して上記分散液に添加、混合することで表面層用塗工液23を作成した。この液をスプレーで塗工して約3.0μmの表面層を設け、乾燥後、本発明の電子写真感光体を得た。
表面層用塗工液の塩素イオン濃度、体積平均粒径、沈降試験結果と、表面層を設けた感光体の初期画像及び1万枚通紙ランニング後の画像評価結果、表面層の摩耗減量を表5に示す。
〔表面層用塗工液23〕
アルミナ(AKP−50、住友化学工業製) 2部
ポリエステル樹脂 0.05部
シクロヘキサノン 60部
トルエン 140部
下記構造式(XVI)で表わされる高分子電荷輸送物質 8部
Figure 2007072487
Figure 2007072487
塩素イオン濃度は、塗工液に等量のイオン交換水を加え、振とう後、放置して、分離した水をイオンクロマトグラフで半定量測定を行なった。
体積平均粒径は堀場製作所製CAPA700で計測した。
沈降性評価基準
◎:2日静置して分散粒子の沈降なし
○:1日静置して分散粒子の沈降なし
△:1日静置して分散粒子が一部沈降
×:1日静置して分散粒子が全部沈降
感光体を(株)リコー製複写機イマジオMF200に装着し、暗部電位800V、明部電位100Vに設定し画像(初期)を出し、次に1万枚の通紙試験を行なった後、同様の方法で画像(1万枚)と摩耗量(1万枚通紙前後の膜厚差)を計測した。
膜厚は渦電流式膜厚計フィシャー社製フィシャーコープMMSで測定した。
比較例5
実施例9と同様の方法で塩素イオンを2ppm以上含有するトルエンを作成した。次に、実施例8と同様に下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を設けた上に、実施例8と同様の有機フィラーと分散剤とキシレンを実施例8と同様の方法で分散した。さらに、実施例8と同様のバインダー樹脂を上記トルエンに溶解してフィラー分散液に添加、混合することで表面層用塗工液(比5)を作成した。この液をスプレーで塗工して約3.0μmの表面層を設け、乾燥後、電子写真感光体を得た。
表面層用塗工液の塩素イオン濃度、体積平均粒径、沈降試験結果と、表面層を設けた感光体の初期画像及び1万枚通紙ランニング後の画像評価結果、表面層の摩耗減量を表6に示す。
比較例6
実施例9と同様の方法で塩素イオンを2ppm以上含有するトルエンを作成した。次に、実施例8と同様に下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を設けた上に、実施例15と同様のアルミナと分散剤とシクロヘキサノンを実施例15と同様の方法で分散した。さらに、実施例15と同様のバインダー樹脂と電荷輸送物質を上記トルエンに溶解してフィラー分散液に添加、混合することで表面層用塗工液(比6)を作成した。この液をスプレーで塗工して約3.0μmの表面層を設け、乾燥後、電子写真感光体を得た。
表面層用塗工液の塩素イオン濃度、体積平均粒径、沈降試験結果と、表面層を設けた感光体の初期画像及び1万枚通紙ランニング後の画像評価結果、表面層の摩耗減量を表6に示す。
比較例7
実施例8と同様に下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を設け、表面層を積層しない電子写真感光体(比7)を得た。
感光体の初期画像及び1万枚通紙ランニング後の画像評価結果、表面層(電荷輸送層)の摩耗減量を表6に示す。
Figure 2007072487
塩素イオン濃度は、塗工液に等量のイオン交換水を加え、振とう後、放置して、分離した水をイオンクロマトグラフで半定量測定を行なった。
体積平均粒径は堀場製作所製CAPA700で計測した。
沈降性評価基準
◎:2日静置して分散粒子の沈降なし
○:1日静置して分散粒子の沈降なし
△:1日静置して分散粒子が一部沈降
×:1日静置して分散粒子が全部沈降
感光体を(株)リコー製複写機イマジオMF200に装着し、暗部電位800V、明部電位100Vに設定し画像(初期)を出し、次に1万枚の通紙試験を行なった後、同様の方法で画像(1万枚)と摩耗量(1万枚通紙前後の膜厚差)を計測した。
膜厚は渦電流式膜厚計フィシャー社製フィシャーコープMMSで測定した。
本発明の電子写真感光体の構成例を表わす断面図である。 本発明の電子写真感光体の他の構成例を表わす断面図である。 本発明の電子写真装置及び電子写真装置用プロセスカートリッジの概略図である。 本発明の他の電子写真装置を示す概略図である。 本発明の他のプロセスカートリッジを示す概略図である。
符号の説明
1 導電性支持体
2 感光層
3 表面層
4 電荷発生層
5 電荷輸送層
11 感光体
12 除電ランプ
13 帯電チャージャ
14 イレーサ
15 画像露光部
16 現像ユニット
17 転写前チャージャ
18 レジストローラ
19 転写紙
20 転写チャージャ
21 分離チャージャ
22 分離爪
23 クリーニングチャージャ
24 ファーブラシ
26 感光体
27 帯電チャージャ
28 クリーニングブラシ
29 画像露光部
30 現像ローラ
31 感光体
32a 駆動ローラ
32b 駆動ローラ
33 帯電チャージャ
34 像露光源
35 転写チャージャ
36 クリーニング前露光
37 クリーニングブラシ
38 除電光源

Claims (13)

  1. 導電性支持体上に少なくとも感光層と、バインダー樹脂およびフィラーを含有する表面層の積層で構成される電子写真感光体の製造方法において、バインダー樹脂を加えないでフィラーを溶媒に分散する工程の後、バインダー樹脂の溶解液と混合することにより該表面層を形成する塗工液を作成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  2. 導電性支持体上に少なくとも感光層と、バインダー樹脂およびフィラーを含有する表面層の積層で構成される電子写真感光体の製造方法において、前記表面層を形成するための塗工液が、少なくともバインダー樹脂とフィラーと溶媒を含み、該表面層用塗工液中の塩素イオン濃度が1ppm以下であることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  3. あらかじめイオン吸着材により塩素イオンを除去処理した溶媒を、前記表面層用塗工液に用いることを特徴とする請求項2に記載の電子写真感光体の製造方法。
  4. 前記イオン吸着材として、活性白土、フロリジル、塩基性アルミナを用いることを特徴とする請求項3に記載の電子写真感光体の製造方法。
  5. 前記表面層用塗工液が分散剤を含むことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1に記載の電子写真感光体の製造方法。
  6. 前記フィラー分散の工程に用いる分散剤として、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、あるいはそれらの構造を含む共重合体、モノカルボン酸、有機脂肪酸を単独であるいは2種類以上を混合して添加することを特徴とする請求項1又は5に記載の電子写真感光体の製造方法。
  7. 前記フィラー分散の工程に、少なくともケトン類、エーテル類から選ばれる溶媒を用いることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1に記載の電子写真感光体の製造方法。
  8. 前記表面層用塗工液に電荷輸送物質を含有させることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  9. 前記表面層用塗工液に含有させた電荷輸送物質が、高分子電荷輸送物質であることを特徴とする請求項8に記載の電子写真感光体の製造方法。
  10. 前記表面層用塗工液に分散したフィラーが無機顔料であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1に記載の電子写真感光体の製造方法。
  11. 前記表面層用の塗工液に分散させた無機顔料が、シリカ、アルミナ、酸化チタンの中から選ばれる1種であることを特徴とする請求項10に記載の電子写真感光体の製造方法。
  12. 請求項1乃至11のいずれかに記載の製造方法で製造されたことを特徴とする電子写真感光体。
  13. 少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段及び電子写真感光体を具備してなる電子写真装置であって、該電子写真感光体として請求項12に記載の電子写真感光体を用いることを特徴とする電子写真装置。
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JP2010040567A (ja) * 2008-07-31 2010-02-18 Tokyo Electron Ltd 酸化膜表面の洗浄及び保護方法および酸化膜表面の洗浄及び保護装置
US8507163B2 (en) 2008-12-11 2013-08-13 Ricoh Company, Ltd. Method of manufacturing image bearing member, image bearing member, and image forming apparatus
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