JP2007057672A - 像加熱装置および画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】加熱用回転体を局所加熱する加熱装置及び前記加熱装置を備えた画像形成装置において、画質、騒音を悪化させることなく、ファーストプリントアウトタイムの短縮を図る。
【解決手段】待機モードにおいて第1の回転体10と第2の回転体30を離間した状態で前記第1の回転体の温度制御をおこなう。装置立上げモードにおいて待機モードによる第1の回転体の温度が未定着像tの加熱定着可能温度へ移行する際の前記第1の回転体の回転速度と、ニップ部Nで被加熱材Pを挟持搬送するときの回転速度と異なるように第1の回転体の回転をおこなう。
【選択図】図1
【解決手段】待機モードにおいて第1の回転体10と第2の回転体30を離間した状態で前記第1の回転体の温度制御をおこなう。装置立上げモードにおいて待機モードによる第1の回転体の温度が未定着像tの加熱定着可能温度へ移行する際の前記第1の回転体の回転速度と、ニップ部Nで被加熱材Pを挟持搬送するときの回転速度と異なるように第1の回転体の回転をおこなう。
【選択図】図1
Description
本発明は、被記録材に形成担持させた未定着像を加熱定着処理する像加熱装置に関し、特に複写機やプリンタ等の画像形成装置に搭載される加熱定着装置として用いれば有効な像加熱装置、および該像加熱装置を具備する画像形成装置に関するものである。
従来、電子写真方式、静電記録方式を採用する画像形成装置に具備される加熱定着装置(以下、加熱装置と記す)においては、未定着トナー像を担持した被記録材(転写シート・エレクトロファックスシート・静電記録紙・OHPシート・印刷用紙・フォーマット紙など)を、互いに圧接して回転する定着ローラと加圧ローラとで形成されるニップ部を通過させることにより未定着トナー像を被記録材上に永久画像として定着させる、いわゆる熱ローラ方式の加熱装置が広く用いられている。
また近時は、省エネルギー化やウェイトタイムの短縮化等を図るうえで有利なフィルム加熱方式(特許文献1)の加熱装置が実用化されている。また定着フィルムに弾性層を設けカラー画像の高画質化を図ったカラーオンデマンドタイプの加熱装置(特許文献2)が提案されている。同様に電磁誘導加熱方式(特許文献3)の加熱装置も提案されている。また、磁場発生手段を電磁誘導発熱性部材の外部に配置した電磁誘導外部加熱方式(特許文献4)の加熱装置も提案されている。これらの方式の加熱装置では、加熱装置が所定のプリント温度(スタンバイ温度)に昇温するまでの時間を短縮するため、プリント待機状態(スタンバイ状態)で第1の回転体としての加熱ローラや加熱フィルムを所定温度でスタンバイ温調しクイックスタート性を向上させる方法が広く用いられている。
熱ローラ方式の加熱装置において、加熱ローラを回転駆動させず、加圧ローラと当接したままプリント待機状態を続けると、加圧ローラ当接位置(ニップ部位置)の加熱ローラ温度が低下し、加熱ローラ周方向に温度ムラが発生する。プリント開始時にこの温度ムラが残っていると、トナー像にグロスムラ(光沢ムラ)ができてしまう。この問題を回避するため、プリント待機中は加熱ローラと加圧ローラを離間する加熱装置がある。加熱ローラと加圧ローラを離間してプリント待機すれば、加圧ローラへの熱流出に起因する加熱ローラの温度ムラは防止することができる。
しかしながら、従来より一般的に用いられているハロゲンヒータ(加熱手段)を用いた熱ローラ方式の加熱装置のように定着ローラ全体を均一に加熱する場合以外の加熱装置、すなわち加熱(定着)ローラ、加熱(定着)ベルト、フィルム等の定着部材を局所的に加熱する方式の加熱装置では以下の問題があった。すなわち上記スタンバイ温調時に、第1の回転体としての定着部材と第2の回転体としての加圧ローラを離間しても、定着部材周方向に局所加熱による温度ムラができてしまい、プリント開始までに温度ムラを無くすことができず、出力画像に光沢(グロス)ムラが発生することがあった。
これを回避するため、プリント待機状態では定着部材を回転駆動させつつスタンバイ温調する加熱装置がある。また空回転による定着部材の表層削れや機械ストレスによる耐久寿命低下を避けるため、上記スタンバイ温調時には定着部材と加圧ローラを離間して回転駆動をおこなう加熱装置もある。
しかしながら定着部材を待機状態で常時回転させておくのは、寿命、騒音の観点から好ましくない。
また、このような問題を避けるため回転停止で低電力スタンバイ温調をおこない、一定時間周期で定着部材を所定角度のみ回転(クリック回転)させる加熱装置がある(特許文献5)。この加熱装置ではクリック回転による定着部材の局所加熱のスタンバイ温調による耐久寿命低下や、加熱ローラ周方向の温度ムラを改善することができる。
特開昭63−313182号公報
特開平11−15303号公報(特許第3051085号)
実開昭51−109736号公報
特開平11−135246号公報
特開2002−43048号公報
本発明は、上記特許文献5の加熱装置の技術をさらに改善したものである。
そこで本発明の目的は、加熱用回転体を局所加熱する像加熱装置において、耐久寿命や騒音、画像品位を悪化させることなく、ファーストプリントアウトタイム(プリント待機状態から1枚の被記録材が排出されるまでの時間(FPOT))を短縮することにある。
また本発明の目的は、前記像加熱装置を備える画像形成装置を提供することにある。
本発明に係る像加熱装置の代表的な構成は、加熱手段と、前記加熱手段により加熱される第1の回転体と、前記第1の回転体と圧接してニップ部を形成する第2の回転体と、を有し、未定着像を形成担持させた被記録材を前記ニップ部で挟持搬送しつつ被記録材に未定着像を加熱定着する像加熱装置において、前記第1の回転体と前記第2の回転体を離間した状態で前記第1の回転体の温度制御をおこなう待機モードと、前記待機モードによる前記第1の回転体の温度が未定着像の加熱定着可能温度へ移行する際の前記第1の回転体の回転速度が、前記ニップ部で被加熱材を挟持搬送するときの回転速度と異なるように前記第1の回転体の回転をおこなう装置立上げモードと、を有することを特徴とする像加熱装置、である。
本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、被記録材に未定着像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段により被記録材上に形成した未定着像を加熱処理する像加熱装置とを具備する画像形成装置において、前記像加熱装置として上記の像加熱装置を備えたことを特徴とする画像形成装置、である。
本発明によれば、待機モードにおいて第1の回転体と第2の回転体を離間した状態で前記第1の回転体の温度制御をおこなうので、各回転体の耐久寿命を向上でき、騒音の発生を低減できる。また装置立上げモードにおいては待機モードによる第1の回転体の温度が未定着像の加熱定着可能温度へ移行する際の前記第1の回転体の回転速度と、ニップ部で被加熱材を挟持搬送するときの回転速度と異なるように第1の回転体の回転をおこなうので、局所加熱でスタンバイ温調により発生した第1の回転体の温度ムラを従来よりも短時間で収束させることができる。これにより画像不良の発生を抑制しつつファーストプリントアウトタイムを短縮することができる。
以下、本発明を図面に基づいて詳しく説明する。
(1)画像形成装置例
図14は本発明に係る像加熱装置を加熱装置(加熱定着装置)として具備させた画像形成装置の一例の概略構成図である。本例の画像形成装置は電子写真カラープリンタである。
図14は本発明に係る像加熱装置を加熱装置(加熱定着装置)として具備させた画像形成装置の一例の概略構成図である。本例の画像形成装置は電子写真カラープリンタである。
101は有機感光体やアモルファスシリコン感光体でできた感光体ドラム(像担持体)であり、矢示の反時計方向に所定のプロセススピード(周速度)で回転駆動される。感光体ドラム101はその回転過程で帯電ローラ等の帯電装置102で所定の極性・電位の一様な帯電処理を受ける。
次いでその帯電処理面にレーザ光学箱(レーザスキャナー)110から出力されるレーザ光103による、目的の画像情報の走査露光処理を受ける。レーザ光学箱110は不図示の画像読み取り装置等の画像信号発生装置からの目的画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調(オン/オフ)したレーザ光103を出力して回転感光体ドラム101面に走査露光した目的画像情報に対応した静電潜像が形成される。109はレーザ光学箱110からの出力レーザ光を感光体ドラム101の露光位置に偏向させるミラーである。
フルカラー画像形成の場合は、目的のフルカラー画像の第1の色分解成分画像、例えばイエロー成分画像についての走査露光・潜像形成がなされ、その潜像が4色カラー現像装置104のうちのイエロー現像器104Yの作動でイエロートナー画像として現像される。そのイエロートナー画像は感光体ドラム101と中間転写体ドラム105との接触部(或いは近接部)である1次転写部T1において中間転写体ドラム105の面に転写される。
中間転写体ドラム105面に対するトナー画像転写後の回転感光体ドラム101面はクリーナ107により転写残りトナー等の付着残留物の除去を受けて清掃される。
上記のような帯電・走査露光・現像・一次転写・清掃のプロセスサイクルが、目的のフルカラー画像の第2の色分解成分画像(例えばマゼンタ成分画像、マゼンタ現像器104Mが作動)、第3の色分解成分画像(例えばシアン成分画像、シアン現像器104Cが作動)、第4の色分解成分画像(例えば黒成分画像、黒現像器104BKが作動)の各色分解成分画像について順次実行され、中間転写体ドラム105面にイエロートナー画像・マゼンタトナー画像・シアントナー画像・黒トナー画像の都合4色のトナー画像が順次重ねて転写されて、目的のフルカラー画像に対応したカラートナー画像が合成形成される。
中間転写体ドラム105は、金属ドラム上に中抵抗の弾性層と高抵抗の表層を有するもので、感光体ドラム101に接触して或いは近接して感光体ドラム101と略同じ周速度で矢示の時計方向に回転駆動され、中間転写体ドラム105の金属ドラムにバイアス電位を与えて感光体ドラム101との電位差で感光体ドラム101側のトナー画像を前記中間転写体ドラム105面側に転写させる。
上記の回転中間転写体ドラム105面に合成形成されたカラートナー画像は、前記回転中間転写体ドラム105と転写ローラ106との接触ニップ部である二次転写部T2において、前記二次転写部T2に不図示の給紙部から所定のタイミングで送り込まれた被記録材Pの面に転写されていく。転写ローラ106は被記録材Pの背面からトナーと逆極性の電荷を供給することで中間転写体ドラム105面側から被記録材P側へ合成カラートナー画像を順次に一括転写する。
二次転写部T2を通過した被記録材Pは中間転写体ドラム105の面から分離されて加熱定着装置100へ導入され、未定着トナー画像の加熱定着処理を受けてカラー画像形成物として機外の不図示の排紙トレーに排出される。加熱装置100については次の(2)項で詳述する。
被記録材Pに対するカラートナー画像転写後の回転中間転写体ドラム105はクリーナ108により転写残りトナー・紙粉等の付着残留物の除去を受けて清掃される。このクリーナ108は常時は中間転写体ドラム105に非接触状態に保持されており、中間転写体ドラム105から被記録材Pに対するカラートナー画像の二次転写実行過程において中間転写体ドラム105に接触状態に保持される。
また転写ローラ106も常時は中間転写体ドラム105に非接触状態に保持されており、中間転写体ドラム105から被記録材Pに対するカラートナー画像の二次転写実行過程において中間転写体ドラム105に被記録材Pを介して接触状態に保持される。
本例装置は、白黒画像などモノカラー画像のプリントモードも実行できる。また両面画像プリントモード、或いは多重画像プリントモードも実行できる。
両面画像プリントモードの場合は、加熱装置100を出た1面目画像プリント済みの被記録材Pは不図示の再循環搬送機構を介して表裏反転されて再び二次転写部T2へ送り込まれて2面に対するトナー画像転写を受け、再度、加熱装置100に導入されて2面に対するトナー画像の定着処理を受けることで両面画像プリントが出力される。
多重画像プリントモードの場合は、加熱装置100を出た1回目画像プリント済みの被記録材Pは不図示の再循環搬送機構を介して表裏反転されずに再び二次転写部T2へ送り込まれて1回目画像プリント済みの面に2回目のトナー画像転写を受け、再度、加熱装置100に導入されて2回目のトナー画像の定着処理を受けることで多重画像プリントが出力される。
(2)加熱装置100
本例において加熱装置100は電磁誘導加熱方式の加熱装置である。図1は本例の加熱装置100の要部の横断側面模型図、図2は要部の正面模型図である。
本例において加熱装置100は電磁誘導加熱方式の加熱装置である。図1は本例の加熱装置100の要部の横断側面模型図、図2は要部の正面模型図である。
以下の説明において、長手方向とは被記録材搬送方向に直交(交差)する方向で、かつ被記録材の面と平行な方向をいう。
本例装置100は、第1の回転体としての電磁誘導発熱性の円筒状の定着ローラ10と、定着ローラ10の内部に配置された加熱手段としての磁場発生手段20と、定着ローラ10と圧接してニップ部(定着ニップ部、加熱ニップ部)Nを形成する第2の回転体としての加圧ローラ30とを基本構成とする、定着ローラ駆動方式・電磁誘導加熱方式の加熱装置である。
磁場発生手段20は、横断面略T字形状の磁性コア17a・17b・17cと、中央の磁性コア17aの周りに船底型に巻回された励磁コイル18と、を有する。磁性コア17a・17b・17cは高透磁率の部材であり、フェライトやパーマロイ等といったトランスのコアに用いられる材料がよく、より好ましくは100kHz以上でも損失の少ないフェライトを用いるのがよい。
16は横断面略半円弧状樋型のホルダであり、磁場発生手段20としての磁性コア17a・17b・17cと励磁コイル18を内側に保持している。ホルダ16の外側には空隙をもって円筒状の電磁誘導性発熱回転体である定着ローラ10が回転可能に配設してある。
19は磁性コア17a・17b・17c及び励磁コイル18と保持ステイ22との間を絶縁するための絶縁部材である。絶縁部材19とホルダ16は保持ステイ22に保持されている。そして保持ステイ22の長手方向両端が定着フレーム50に固定支持されている。保持ステイ22の材質としては鉄、アルミニウム、ステンレス、非磁性ステンレスなどの金属材料を用いることができる。また、絶縁部材19とホルダ16を保持できればよく、耐熱性樹脂で代用することもできる。なお、保持ステイ22を設けずにホルダ16を定着フレーム50で支持する構成でも良い。
磁場発生手段20において励磁コイル18は図3に示すように給電部18a・18bに励磁回路27を接続してあり、20kHzから500kHzの高周波をスイッチング電源で発生できるようになっている。励磁コイル18は励磁回路27から供給される交番電流(高周波電流)によって交番磁束を発生する。Cは交番磁束であり、発生した交番磁束の一部を表す。磁性コア17a,17b,17cに導かれた交番磁束(以下、磁束と記す)Cは、磁性コア17aと磁性コア17bとの間、そして磁性コア17aと磁性コア17cとの間において定着ローラ10の発熱層1に渦電流を発生させる。この渦電流は、発熱層1の固有抵抗によって、発熱層1にジュール熱(渦電流損)を発生させる。
発熱量Qは発熱層1を通る磁束Cの密度によって決まり、図5(A)のグラフような分布を示す。グラフの縦軸は磁性コア17aの中心を0とした角度θで表した定着ローラ10における円周方向の位置を示し、横軸は定着ローラ10の発熱層1での発熱量Qを示す。ここで、発熱域Hは最大発熱量をQとし、発熱量がQ/e以上の領域と定義する(eは自然対数の底)。これは、定着プロセスに必要な発熱量が得られる領域である。
図4は、本実施形態例における定着ローラ10の層構成模型図である。
本実施例の定着ローラ10は、芯金となる電磁誘導発熱性の金属等でできた発熱層1と、その外面に積層した弾性層2と、その外面に積層した離型層3の複合構造のものである。発熱層1と弾性層2との間の接着、弾性層2と離型層3との間の接着のために、各層間にプライマー層(図示せず)を設けてもよい。
定着ローラ10において、発熱層1が内面側(ホルダ16側)であり、離型層3が加圧ローラ30若しくは被記録材Pと接触する外面側である。この発熱層1に上述した交番磁束が作用することにより、発熱層1に渦電流が発生して発熱層1が発熱する。この熱が弾性層2、離型層3に伝達されて、定着ローラ10全体が加熱され、定着ニップ部Nに通紙(導入)される被記録材Pを加熱して未定着トナーt画像の加熱定着がなされる。
発熱層1としては、磁性及び非磁性の金属を用いることができるが、磁性金属が好ましく用いられる。このような磁性金属としては、ニッケル、鉄、強磁性ステンレス、ニッケル−コバルト合金、パーマロイといった強磁性体の金属が好ましく用いられる。又、定着ローラ10の回転時に受ける繰り返しの屈曲応力による金属疲労を防ぐために、ニッケル中にマンガンを添加した部材を用いるのも良い。
発熱層1の厚さは、次の式で表される表皮深さδ[m]より厚く、且つ1mm以下にすることが好ましい。発熱層1の厚さをこの範囲とすれば、発熱層1が電磁波を効率よく吸収することができるため、効率良く発熱させることができる。
ここで、fは励磁回路の周波数[Hz]、μは発熱層1の透磁率、κは発熱層1の導電率である。
この表皮深さδは、電磁誘導で使われる電磁波の吸収の深さを示しており、これより深いところでは電磁波の強度は1/e以下になっている。逆にいうと殆どのエネルギーはこの深さまでで吸収されている(図5(B)に示した発熱層深さと電磁波強度の関係を参照)。
発熱層1の厚さは、より好ましくは0.2〜0.8mmがよい。発熱層1の厚みが上記範囲よりも薄い場合には、ほとんどの電磁エネルギーが吸収しきれないため効率が悪くなる。又、発熱層1が上記範囲よりも厚い場合には、熱容量が大きくなり昇温速度が遅くなる。
弾性層2は、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フルオロシリコーンゴム等の、耐熱性、熱伝導率が良い材質が好ましく用いられる。
弾性層2の厚さは、定着画像品質を保証するために0.05〜3mmであることが好ましい。カラー画像を印刷する場合、特に写真画像等では、被記録材P上で大きな面積に渡ってベタ画像が形成される。この場合、被記録材Pの凹凸或いはトナー層tの凹凸に加熱面(離型層3)が追従できないと加熱ムラが発生し、伝熱量が多い部分と少ない部分で画像に光沢ムラが発生する。即ち、伝熱量が多い部分は光沢度が高く、伝熱量が少ない部分では光沢度が低くなる。弾性層2の厚さが上記範囲よりも小さい場合には、上記離型層3が被記録材P或いはトナー層tの凹凸に追従しきれず、画像光沢ムラが発生してしまう。又、弾性層2が上記範囲よりも大きすぎる場合には、弾性層2の熱抵抗が大きくなりすぎ、クイックスタートを実現するのが難しくなる。この弾性層2の厚さは、より好ましくは0.1〜2mmが良い。
弾性層2は、硬度が高すぎると被記録材P或いはトナー層tの凹凸に追従しきれず画像光沢ムラが発生してしまう。そこで、弾性層2の硬度としては60゜(JIS−A)以下、より好ましくは45゜(JIS−A)以下がよい。
弾性層2の熱伝導率λは、2.5×10-1〜8.4×10-1W/m・Kであることが好ましい。熱伝導率λが上記範囲よりも小さい場合には、熱抵抗が大きすぎて、定着ローラ10の表層(離型層3)における温度上昇が遅くなる。熱伝導率λが上記範囲よりも大きい場合には、弾性層2の硬度が高くなりすぎたり、圧縮永久歪みが発生しやすくなる。より好ましくは3.3×10-1〜6.3×10-1W/m・Kが良い。
離型層3は、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、フルオロシリコーンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、PFA、PTFE、FEP等の離型性且つ耐熱性のよい材料を用いることが好ましい。
離型層3の厚さは1〜100μmが好ましい。離型層3の厚さが上記範囲よりも薄い場合には、塗膜の塗ムラが生じ、離型性の悪い部分が発生したり、耐久性が不足するといった問題が発生する。又、離型層3の厚さが上記範囲よりも厚い場合には、熱伝導が悪化する。特に、離型層3に樹脂系の材質を用いた場合は、離型層3の硬度が高くなりすぎて、弾性層2の効果がなくなってしまう。
加圧ローラ30は、芯金30aと、前記芯金周りに同心一体にローラ状に成形被覆させたシリコーンゴム・フッ素ゴム・フッ素樹脂などの耐熱性・弾性材層30bと、を有し、さらに表層には離型層30cを設けてある。
図2に示すように、定着ローラ10は軸受け41を介して定着フレーム50に回転可能に支持されている。加圧ローラ30は、芯金30aの長手方向両端が軸受け42を介して揺動部材としての加圧フレーム51に回転可能に支持されている。加圧フレーム51は定着フレーム50に固定された支持軸52により揺動可能に支持され、加圧手段としての加圧スプリング53により加圧ローラ30が定着ローラ10に押圧されるように付勢されている。
定着ローラ10の一端には、ギア43が定着ローラ10と一体で回転するように取付けられている。また、定着ローラ10はギア43が第1回転体駆動手段としての定着ローラ回転駆動機構Mより駆動力を受けることにより矢示の時計方向に回転駆動される。
26は温度検知手段としてのサーミスタなどの温度センサであり、定着ローラ10の温度を検知する。温度センサ26は定着ローラ10の長手方向において被記録材Pの通紙域(挟持搬送域)Wの範囲内に定着ローラ10と非接触に配置してある。本例では温度センサ26として非接触タイプのものを用いているが、接触タイプのものを用いてもよい。
44は加圧解除手段としてのカムであり、短径部44aと長径部44bを有する側面略楕円形状をしている。カム44は定着フレーム50に回転可能に支持されたカム軸45の長手方向両側にそれぞれ固定されており、該カム軸45と一体となって回転するようになっている。カム軸45の一端にはギア46がカム軸45と一体で回転するように取付けられている。また、カム軸45はギア46が加圧解除駆動手段としてのカム回転駆動機構M2より駆動力を受けることにより回転駆動される。
上記のように本例の加熱装置100は、カム44の回転により加圧フレーム51を定着フレーム50に対し加圧スプリング53の加圧力に抗して支持軸52を支点に揺動させることで定着ローラ10と加圧ローラ30の当接/離間を行うように構成してある。定着ローラ10と加圧ローラ30の当接と離間は、制御手段としての制御部60の判断により選択的に切換えられる。
制御部60はCPUとROM及びRAM等のメモリからなり、メモリには当接/離間切換え制御、温調制御、定着ローラ駆動制御、プリント待機モード、装置立上げモード1、装置立上げモード2にそれぞれ対応する各種のプログラムが記憶されている。そしてCPUは上記のプログラムに従い励磁回路27、定着ローラ回転駆動機構Mおよびカム回転駆動機構M2を制御する。
(4)加熱装置100の動作説明
制御部60は、画像形成時には、カム回転駆動機構M2を駆動させカム軸45およびギア46を介してカム44を回転させて小径部44aを加圧フレーム51に当接させる(図6(A))。加圧フレーム51は加圧スプリング53の加圧力によりカム44側に押し上げられ、加圧ローラ30が加圧スプリング53の加圧力により定着ローラ10に押圧されて接触することによりニップ部N(図1)が形成される。
制御部60は、画像形成時には、カム回転駆動機構M2を駆動させカム軸45およびギア46を介してカム44を回転させて小径部44aを加圧フレーム51に当接させる(図6(A))。加圧フレーム51は加圧スプリング53の加圧力によりカム44側に押し上げられ、加圧ローラ30が加圧スプリング53の加圧力により定着ローラ10に押圧されて接触することによりニップ部N(図1)が形成される。
次いで、定着ローラ回転駆動機構Mを駆動させ定着ローラ10を矢示の反時計方向(図1)に回転駆動する。この定着ローラ10の回転駆動によりニップ部Nにおいて該定着ローラ10の表面と加圧ローラ30の表面との摩擦力で加圧ローラ30に回転力が作用する。加圧ローラ30は定着ローラ10の回転周速度にほぼ対応した周速度をもって矢示の時計方向(図1)に回転状態になる。
次に、励磁回路27をオン(ON)させ給電部18a・18bを介して励磁コイル18に高周波電流の給電を行わせる。そして温度センサ26からの定着ローラ10の検知温度に基づき励磁回路27をオン/オフ(ON/OFF)制御して励磁コイル18に対する電流供給の制御を行い定着ローラ10の温度を所定の定着温度(目標温度)に維持するように温調する。
而して、上記のように定着ローラ10が回転し、励磁回路27から励磁コイル18への給電により定着ローラ10が電磁誘導発熱し、定着ローラ10が所定の定着温度に立ち上がって温調された状態において、画像形成手段部から搬送された未定着トナー画像tが形成された被記録材Pがニップ部Nに画像面が上向き、即ち定着ローラ面に対向して導入される。この被記録材Pはニップ部Nにおいて画像面が定着ローラ10の外面に密着して定着ローラ10と一緒にニップ部Nを挟持搬送されていく。この被記録材Pが挟持搬送されていく過程において被記録材P上の未定着トナー画像tが熱と圧力を受けて被記録材P上に永久固着画像として加熱定着される。被記録材Pはニップ部Nを通過すると定着ローラ10の表面から分離して排出搬送されていく。
非画像形成時には、カム回転駆動機構M2を駆動させカム軸45およびギア46を介してカム44を約180°回転させて大径部44bを加圧フレーム51に当接させる(図6(b))。加圧フレーム51は加圧スプリング53の加圧力に抗して押し下げられ、加圧ローラ30と定着ローラ10が離間されることによりニップ部Nの形成が解除される。
次に、画像形成装置の電源オン・オフにおける加熱装置100の動作について説明する。
通常、画像形成装置の電源オフ時は加圧ローラ30と定着ローラ10を離間してある。
電源オンで定着ローラ10の加熱を開始し、定着可能状態までウォームアップを行う。定着ローラ10が所定の温度(定着可能温度)に到達するまで加熱をおこない、画像形成装置がホストコンピュータ等からプリント命令(以下、プリント信号と記す)を受信していれば加熱装置100はそのままプリント(加熱定着)動作を行う。すなわち、制御部60は、カム回転駆動機構M2を駆動して加圧ローラ30と定着ローラ10を当接させてニップ部Nを形成させ、定着ローラ回転駆動機構Mを駆動して定着ローラ10と加圧ローラ30を回転させ、ニップ部で被記録材Pを挟持搬送させることにより未定着トナー画像tの加熱定着を行う。
プリント信号を受信していなければ画像形成装置はプリント待機状態に入る。これに応じて加熱装置100は未定着トナー画像tの定着可能温度に定着ローラ温度を維持するスタンバイ温調をおこなう。すなわち、制御部60は、プリント待機モードを実行して、カム回転駆動機構M2による加圧ローラ30と定着ローラ10の離間状態を継続させると共に、励磁回路27による励磁コイル18への電流制御による定着ローラ10の温度制御を継続させる。本例での温度制御は定着ローラ10の連続回転停止状態で行われるが、所定時間毎に定着ローラ10を所定角度のみ断続的に回転させても良い。
ここでプリント待機モードによる定着ローラ10の表面温度について説明する。上記のようにプリント待機中は定着ローラ10と加圧ローラ30の圧縮永久歪みを防止するため両者を離間させ、騒音防止のため定着ローラ10の回転を停止させている。
図7は、180℃温調で定着ローラ10が停止した状態と回転している状態の定着ローラ表面温度の状態を比較したグラフである。
停止状態の定着ローラ表面温度は定着ローラ略中央から外側に向かって温度が高くなっており、最外周が180℃である。この定着ローラ表面温度は磁場発生手段20の配置と対応している(図1)。
ここで本発明に関わる加熱装置における磁場発生手段20の配置について述べる。
定着ローラ10に対して局所加熱を行うとエネルギーが一部に集中するため発熱域の温度上昇が早くなる。このため、ウォームアップ時間の短縮などには効果があった。
しかし、ニップ部N(図1)を加熱すると、装置の故障でニップ部に被記録材がある状態で、装置が停止し、かつ、加熱が停止しなかった場合、被記録材が発火したり、発煙を起こしたりすることが考えられる。
そのため、本例では発熱域をニップ部位外に配設することとした。本例のように発熱域をニップ部位外に配設し局所加熱でニップ部以外を加熱することにより、万が一、ニップ部に被記録材が滞留している状態で故障が発生し、かつ、加熱動作が停止しなかった場合でも、ニップ部は加熱されないため、発火や発煙に至ることがない。
さらに、安全装置としての温度検知素子(サーモスタット)28を図1のように発熱域に対向して配設することができ、万が一、故障が発生した場合でも安全に装置を停止することができる。すなわち、定着ローラ温度の異常上昇時(熱暴走時)の安全対策機構として、定着ローラ10の上方に温度検知素子28を設けている。温度検知素子28は、予め設定された温度になると接点を開放して励磁コイル18への通電を切断し、定着ローラ10が所定温度以上の高温となることを防止している。
さらに、定着ローラ10にゴム層を持つ場合、発熱層1から定着ローラ表面まで熱が伝わるのに時間がかかる。
次に装置立上げモードにおける定着ローラ10の回転速度について説明する。
定着ローラ10が回転している場合(定着ローラの回転方向は時計方向)、図7の実線のように、回転中には発熱域と最高温度に達する領域が異なるため、熱伝達時間を考慮してニップ部N(図1)よりも上流側で加熱域を配設することで、最高温度に達する領域をニップ部にすることができ、無駄な電力消費を低減することができる。しかしプリント待機中に定着ローラ10を回転させつづけると、ローラ回転による騒音が発生してしまう。
定着ローラ10を停止した状態での表面温度を図7に破線で示す。停止した状態では温度検知素子26(図1)が配設してある発熱域を180℃で温調すると非発熱域の最も温度が低いところでは90℃程度にしか維持できない。このため、プリント待機状態から定着可能状態にするまでに、前回転を行い、定着ローラ10の周方向の温度ムラをなくす必要がある。
ここで、前回転とは、スタンバイ状態から定着可能な状態に定着装置を立ち上げる工程のことである。具体的には、被記録材Pが定着装置に到達するまでに回転速度を安定させると同時に、定着装置の温度をプリントするのに適正な温度にする動作のことである。
この前回転の時間は温度ムラがなくなるまでの時間が必要であり、ファーストプリントアウトタイムを短縮するにはできるだけ早く温度ムラを収束させなければならない。本例では前回転時の定着ローラ周速をプリント時の周速より速くし、定着ローラ表面温度を均等化する効果を高めている。
すなわち、制御部60は、装置立上げモード1を実行して、定着ローラ回転駆動機構Mを駆動させ定着ローラ周速をプリント時の周速より速くさせて定着ローラ表面温度を均等化させる。
本例の画像形成装置は普通紙プリントモードでは通常速144mm/sec.の速度で被記録材を搬送し、プリント待機状態からプリントへ移行する際の前回転は前記通常速の4/3速である192mm/sec.でおこなう。
本例では定着ローラ10と加圧ローラ30を離間した状態でスタンバイ温調をおこなっているが、画像形成装置がプリント信号を受信すると、これに応じて加熱装置100は定着ローラ10と加圧ローラ30を加圧当接し、前回転を開始してプリント温度に向けて温調をおこなう。すなわち、制御部60は、装置立上げモード2を実行して、カム回転駆動機構M2を駆動させ加圧ローラ30と定着ローラ10を当接させてニップ部Nを形成させ、定着ローラ回転駆動機構Mを駆動させ定着ローラ周速をプリント時の周速より速くさせて定着ローラ表面温度を均等化させる。
図8にプリント前回転時における本例の定着ローラ表面温度と、比較例1として前回転をプリント時と同じ定着ローラ周速でおこなった場合の定着ローラ表面温度を示す。
図中の実線で示された定着ローラ表面温度が実施例1のもの、破線で示されたのが比較例1のものである。
前回転が開始されると、加圧ローラ側に熱が流出するため一旦定着ローラ表面温度が落ち込み、電磁誘導加熱により定着ローラの発熱域が発熱しプリント温度に向かって昇温し始める。
実施例1は図中の実線T1とB1に、比較例1は破線T2とB2に沿って昇温する。
ここでT1とT2は定着ローラ温度リップルの上端温度の推移を、B1とB2は定着ローラ温度リップルの下端温度の推移を示している。
時間の経過に伴い上端温度推移と下端温度推移の距離は次第に小さくなり、最終的にはスタンバイ温調による周方向温度ムラはなくなる。
図8をみると、前回転開始直後においてはプリント待機時のスタンバイ温調による周方向温度ムラが残っており、定着ローラ1周分の周期で温度リップルが発生する。しかし時間の経過に伴い、定着ローラが回転しつつ発熱域が発熱することにより、この温度ムラが均されて温度リップルは減少していく。
しかしながら、プリント時の周速で回転する比較例1の温度リップル減少速度が、プリント時の4/3速の周速で回転する実施例1よりも遅くなる。
これは、定着ローラの円周上のある部分が単位時間当たりに発熱域を通過する回数が、比較例1では実施例1より少ないためである。
逆にいえば、実施例1では速い周速で回転させることにより発熱回数が増え、スタンバイ温調により発生した温度ムラをより短時間で均すことができ、温度リップルをより速く収束させることができる。
本例の画像形成装置では定着ローラ表面の温度差が5℃より大きくなると、定着後のトナー画像にこの温度差に起因するグロスムラ(光沢ムラ)が顕著に現れる。
従って仮に定着ローラ表面温度がプリント温度以上に到達していても、温度リップルが5℃より大きい状態でプリント開始すると、グロスムラのある不良画像が出力される。
よって実際にプリント開始が可能になる条件は、
1)定着ローラ温度 ≧ プリント温度
且つ、
2)定着ローラ温度の周ムラ(リップル)≦ 5℃
となる。
1)定着ローラ温度 ≧ プリント温度
且つ、
2)定着ローラ温度の周ムラ(リップル)≦ 5℃
となる。
但し、定着ローラ温度はリップルをもっているので、ある時点で上記1)の条件を満たしても、その後再び定着ローラ温度がプリント温度よりも低下する場合がある。
本発明においては、このような場合プリント開始可能とは判断しない。
すなわち、一旦定着ローラ温度がプリント温度以上に上昇した後、再度プリント温度以下には低下することがない状態となってはじめて上記条件1)を満たしたと判断する。
ここで、上記を踏まえ図8について確認する。
まず比較例1であるが、定着ローラの温度自体は前回転開始から約5.5sec.でプリント温度以上に昇温できているが、温度リップル(図中R2)が5℃より大きい状態でありこの時点でプリント開始することはできない。
最終的にプリント可能とするためにはこの後空回転して温度リップルを収束させる時間が必要になる。
一方、実施例1では前回転開始より約6.3sec.でプリント温度まで昇温しており、温度リップル(図中R1)も5℃以内に減少しているため、この時点でプリント開始可能である。
実施例1でプリント可能となる6.3sec.の時点においても、比較例1では温度リップル(図中R3)が5℃より大きいためプリント開始できず空回転を続行しなければならない。
比較例1が最終的にプリント開始可能となるのは、前回転開始後約8.2sec.後であった。
このように昇温速度自体は定着ローラ周速が遅い方が速い傾向にあるものの、逆に温度リップルの減少速度が遅くなってしまうため、実際プリント可能になるまでの時間はローラ周速が速い実施例1の方が約1.9sec.短縮されている。
この結果、プリント待機状態よりプリント状態へ移行する際の前回転速度がプリント時の速度と同じである従来の方法と比較して、実施例1ではファーストプリントアウトタイムの短縮を実現することができた。
また、実施例1の手法を用いればプリント待機時の加熱装置スタンバイ温調時において、温度ムラ防止目的の定着ローラ空回転が必要なくなるので騒音が発生しない。
以上のように実施例1ではプリント待機時に特別な動作をおこなう必要がなく、騒音も発生しない非常に簡易なシーケンスでのスタンバイ温調をおこないつつ、ファーストプリントアウトタイムの短縮を可能にすることができた。
図9は本実施例の加熱装置100の要部の横断側面模型図である。
本例の加熱装置100は、加圧ローラ30側にも熱源31を有し、プリント待機時は加圧ローラ30をプリント待機モードに基づいてスタンバイ温調をおこなう。
その他の構成、シーケンスは実施例1と同様であり、再度の説明は省略する。
加圧ローラ30の熱源としてハロゲンヒータ31を芯金30aに内包させている。ハロゲンヒータ31は、加圧ローラ表面温度検知手段としての温度センサ32による検知温度に基づき制御部60がヒータ駆動回路(不図示)を駆動してハロゲンヒータ31に対する通電を制御することで定着温度に温調制御される。
本例では加圧ローラ側のハロゲンヒータ31はプリント待機時のスタンバイ温調時のみに用い、プリント前回転開始と同時に消灯する。
加圧ローラ30のスタンバイ温調温度は160℃であり、定着ローラ10のスタンバイ温調温度は実施例1と同じく180℃(=プリント温度)である。
図10にプリント前回転時における本例の定着ローラ表面温度と、比較例2として実施例1の定着ローラ表面温度を示す。
実施例2は図中の実線T3とB3に、比較例2(実施例1)は破線T1とB1に沿って昇温する。
ここでT1とT3は定着ローラ温度リップルの上端温度の推移を、B1とB3は定着ローラ温度リップルの下端温度の推移を示している。
実施例2ではプリント待機中に加圧ローラ30を加熱しているため、前回転開始後の定着ローラ温度落ち込みが比較例2(実施例1)に比較して小さい。
従って昇温速度は比較例2と同じであるが、プリント温度に到達するまでの時間は短縮される。
図10より実施例2では前回転開始より約4.9sec.でプリント温度に到達し、そのときの温度リップル(図中R4)は5℃以内に収まっている。
よってこの時点で定着開始可能であり、実施例1の6.3sec.よりも短い昇温時間とすることができ、ファーストプリントアウトタイムを更に短縮することが可能となった。
本例ではの加熱装置100ではプリント待機状態でプリント信号を受信したら、定着ローラ10と加圧ローラ30を当接せず、まず離間した状態で前回転を開始する。
定着ローラ10の温度が所定温度に到達したら、定着ローラ10と加圧ローラ30を当接しプリント温度に定着ローラ10を温調する。
上記動作以外は実施例1と同じであり、再度の説明は省略する。
図11に上記動作を実施例1、実施例2と比較した動作タイミングチャートを示す。
図中には画像形成装置の動作状態(待機/プリント)と定着ローラ回転駆動機構Mの有する定着モータの回転状態、そして定着ローラ10と加圧ローラ30の当接状態が示されている。
実施例1及び実施例2ではプリント信号のフラグがONになる(t=t0)と同時に、定着ローラ10と加圧ローラ30を当接し、定着モータの回転を開始する。
一方、実施例3ではt=t0の時点では定着ローラ10と加圧ローラ30の当接はおこなわず、定着モータの回転のみ開始する。
その後t=t1になった時点で初めて定着ローラ10と加圧ローラ30を当接させる。
ここでt1は定着ローラ温度が後述する目標温度1に到達する時間である。
図12にプリント前回転時における本例の定着ローラ表面温度と、比較例3として実施例2の定着ローラ表面温度を示す。
実施例3は図中の実線T4とB4に、比較例3(実施例2)は破線T3とB3に沿って昇温する。
ここでT3とT4は定着ローラ温度リップルの上端温度の推移を、B3とB4は定着ローラ温度リップルの下端温度の推移を示している。
実施例3では始め定着ローラ10のみを加熱するので、比較例3(実施例2)よりも昇温速度が速く、前回転開始後約2.3sec.で目標温度1に到達する。
目標温度1はプリント温度+7℃の187℃に設定されている。
定着ローラ温度が目標温度1に達したら、加圧ローラ30を当接して引き続き前回転を続ける。
この時定着ローラ温度は一旦低下した後、実線T4’とB4’に沿って昇温する。
ここでこれまでと同様に、T4’は定着ローラ温度リップルの上端温度の推移を、B4’は定着ローラ温度リップルの下端温度の推移を示している。
このときの昇温速度は比較例3(実施例2)とほぼ同じになるものの、定着ローラ10のみの状態である程度リップルが均されているので、加圧ローラ30を当接してからの温度リップルは比較例3よりも小さくなる。
従って前回転開始後約3.6sec.で定着ローラ温度がプリント温度に到達した時点での温度リップル(図中R5)は既に5℃以内に収まっており、プリント可能となる。
このように前回転途中で定着ローラ10と加圧ローラ30を当接することにより、実施例2の4.9sec.よりも更に昇温時間を短縮でき、ファーストプリントアウトタイムを短くすることが可能となった。
[その他]
1)各実施例では定着ローラ10の内部に磁場発生手段を持つ電磁誘導加熱方式の加熱装置を例示したが、本発明の像加熱装置は電磁誘導加熱方式に限定されるものではない。例えば、定着ローラや定着フィルム(ベルト)の外部に磁場発生手段を設ける電磁誘導外部加熱方式や、セラミックヒータを用いたフィルム加熱方式、フィルム加熱方式の定着フィルムに弾性層を設けたカラーオンデマンドタイプの加熱装置等、局所加熱でスタンバイ温調をおこなう方式であれば上記説明と同様の効果が得られる。
1)各実施例では定着ローラ10の内部に磁場発生手段を持つ電磁誘導加熱方式の加熱装置を例示したが、本発明の像加熱装置は電磁誘導加熱方式に限定されるものではない。例えば、定着ローラや定着フィルム(ベルト)の外部に磁場発生手段を設ける電磁誘導外部加熱方式や、セラミックヒータを用いたフィルム加熱方式、フィルム加熱方式の定着フィルムに弾性層を設けたカラーオンデマンドタイプの加熱装置等、局所加熱でスタンバイ温調をおこなう方式であれば上記説明と同様の効果が得られる。
図13に加熱手段(加熱体)として定着ローラ10の内部にセラミックヒータ25を用いたヒータ加熱方式の加熱装置の例を示す。セラミックヒータ25は、細長いセラミック基板25aと、この基板25aの表面に配置された電極部(不図示)と、この電極部に接続された抵抗発熱体としての抵抗発熱層25bと、を有する。このセラミックヒータ25は、ニップ部Nにおいてホルダ26に保持されて定着ローラ10の内面に接触している。そして基板25aの背面に配置された温度センサ29の検知温度に基づき制御部62がヒータ駆動回路62を駆動して該ヒータ駆動回路から電極部を通じて抵抗発熱層25bに通電することにより該抵抗発熱層を発熱させて定着ローラ10を定着温度に温調制御する。27はホルダ26を保持する保持ステイである。
2)各実施例ではスタンバイ温度がプリント温度(定着温度)と等しく設定されているが、消費電力低減や画像形成装置の機内昇温の低減を目的としてスタンバイ温度をプリント温度より低温にした場合、または更なるファーストプリントアウトタイム短縮の目的でスタンバイ温度をプリント温度より高温にした場合にも同様の効果を得ることが可能である。
3)加えて、画像形成装置スリープモードからの復帰時等、ある程度定着装置の昇温時間を長く取れる場合は、前回転時のローラ周速を本例で用いた周速より遅くし、回転数を少なくして定着ローラ及び加圧ローラの耐久寿命を向上させることもできる。ここで、画像形成装置スリープモードとは、スタンバイよりも低温、低電力で待機する状態のことをいう。従ってプリント可能になるまでの立ち上がり時間は、スタンバイ状態からよりも長くなる。
4)更に、スタンバイ温調中に所定時間周期で定着ローラの加熱位置を変更することにより、ある程度定着ローラの温度ムラを小さくしておけば、更にファーストプリントアウトタイムが短縮できる。
5)本発明の像加熱装置は、実施例の加熱装置に限られず、未定着画像を被記録材に仮定着する仮定着装置、定着画像を担持した被記録材を再加熱してつや等の画像表面性を改質する表面改質装置等の像加熱装置としても有効である。
1‥‥発熱層
2‥‥弾性層
3‥‥離型層
4‥‥断熱層
10‥‥定着ローラ(第1の回転体)
16‥‥ホルダ
17a,17b,17c‥‥磁性コア
20‥‥磁場発生手段(加熱手段)
26‥‥温度検知素子
28‥‥安全素子としての温度検知素子
30‥‥加圧ローラ(第2の回転体)
60‥‥制御部
100‥‥加熱定着装置(加熱装置)
N‥‥定着ニップ部(ニップ領域)
P‥‥被記録材
2‥‥弾性層
3‥‥離型層
4‥‥断熱層
10‥‥定着ローラ(第1の回転体)
16‥‥ホルダ
17a,17b,17c‥‥磁性コア
20‥‥磁場発生手段(加熱手段)
26‥‥温度検知素子
28‥‥安全素子としての温度検知素子
30‥‥加圧ローラ(第2の回転体)
60‥‥制御部
100‥‥加熱定着装置(加熱装置)
N‥‥定着ニップ部(ニップ領域)
P‥‥被記録材
Claims (11)
- 加熱手段と、前記加熱手段により加熱される第1の回転体と、前記第1の回転体と圧接してニップ部を形成する第2の回転体と、を有し、未定着像を形成担持させた被記録材を前記ニップ部で挟持搬送しつつ被記録材に未定着像を加熱定着する像加熱装置において、
前記第1の回転体と前記第2の回転体を離間した状態で前記第1の回転体の温度制御をおこなう待機モードと、
前記待機モードによる前記第1の回転体の温度が未定着像の加熱定着可能温度へ移行する際の前記第1の回転体の回転速度が、前記ニップ部で被加熱材を挟持搬送するときの回転速度と異なるように前記第1の回転体の回転をおこなう装置立上げモードと、を有することを特徴とする像加熱装置。 - 前記第2の回転体を加熱するための第2の加熱手段を有し、前記待機モードにおいて前記第2の回転体の温度制御をおこなうことを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。
- 前記装置立上げモードにおける前記第1の回転体の回転速度が、前記ニップ部で被記録材を挟持搬送するときの回転速度よりも速いことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の像加熱装置。
- 前記装置立上げモードにおいて、前記第1の回転体と前記第2の回転体を離間したまま第1の回転体を回転駆動し、前記第1の回転体の温度が所定温度に到達した後、前記第1の回転体と前記第2の回転体を当接することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の像加熱装置。
- 前記待機モードにおいて、前記第1の回転体は連続回転停止状態で温度制御されることを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。
- 前記第1の回転体は、所定時間周期で所定角度のみ回転する待機状態を有することを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。
- 前記加熱手段は、前記第1の回転体の円周の前記定着ニップ以外の一部を局所的に加熱または発熱させるものであることを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。
- 前記加熱手段は、磁場発生手段の磁場の作用で前記第1の回転体を電磁誘導発熱させるものであることを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。
- 前記磁場発生手段が前記第1の回転体の外部に設けられたことを特徴とする請求項8に記載の像加熱装置。
- 前記加熱手段は、基板と、基板上に配置された抵抗発熱体と、を有する加熱体であり、前記ニップ部において前記第1の回転体に内側より接触して前記第1の回転体を加熱することを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。
- 被記録材に未定着像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段により被記録材上に形成した未定着像を加熱処理する像加熱装置とを具備する画像形成装置において、
前記像加熱装置として請求項1乃至請求項10の何れか1項に記載の像加熱装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011022517A (ja) * | 2009-07-17 | 2011-02-03 | Fuji Xerox Co Ltd | 画像形成装置、定着装置、およびプログラム |
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US8417138B2 (en) | 2009-09-01 | 2013-04-09 | Canon Kabushiki Kaisha | Fixing device using electromagnetic induction heating method |
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2005
- 2005-08-23 JP JP2005241022A patent/JP2007057672A/ja active Pending
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