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JP2007055144A - 応力発光構造物および応力発光構造物の製造方法、並びに真贋判定装置 - Google Patents

応力発光構造物および応力発光構造物の製造方法、並びに真贋判定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】有価証券等の偽造防止用に応力発光材料が含まれていることを特徴とする応力発光構造物、その製造方法、および真贋判定装置を提供する。
【解決手段】本発明の応力発光構造物は、偽造防止用に、歪エネルギーにより発光する応力発光材料や複数の結晶構造が混在してなる混相を含んでいる応力発光材料等の応力発光材料を含み、該応力発光材料を基板上にスクリーン印刷等することにより製造される。そのため、手で軽く変形させただけでも発光し、特別な装置や労力を必要とせずに、簡単に長期間真贋を判定することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、応力発光構造物およびその製造方法、並びに真贋判定装置に関し、特に、特定の応力発光材料を含むことにより、手で軽く変形させる程度の外力を加えただけで発光する応力発光構造物およびその製造方法、並びに有価証券等の真贋判定装置に関する。
近年、紙幣、株券等の有価証券や、身分証明書、免許書等の偽造による被害が社会問題化しており、偽造技術は巧妙を極める一方であることから、偽造防止を簡易かつ有効に行いうる技術が待望されている。そこで、従来、種々の偽造防止技術が提案されている。例えば、特許文献1には、有価物に蛍光性または発光性物質を印刷用インクに加えた機密部を載置し、当該機密部を光学マルチチャネル増幅器を用いて検出することにより真贋を判定し、偽造を防止する技術が開示されている。
また、化学発光物質を用いた偽造防止技術としては、化学発光物質を吸収した高吸水性ポリマー微粒子を油性分散媒体中に分散させた化学発光物質組成物を有価証券に印刷等して、自己発光を確認する技術が特許文献2に開示されている。さらに、正触媒を証券類に仕込んでおき、当該正触媒の存在下で発光する化学発光体を上記証券類に吹き付けて、発光の有無によって真贋を判定する技術が特許文献3に開示されている。
一方、近年、機械的な外力等の刺激によって発光する材料、または機械的な外力などの刺激を加えて変形させることによって強く発光する材料が開発されている。このように外力などの機械的な刺激によって発光する材料は、応力発光材料と呼ばれている。本発明者らは、種々の応力発光材料をこれまで開発してきた(例えば、特許文献4〜7)。
応力発光材料を用いた偽造防止技術としては、マンガン添加硫化亜鉛等の摩擦発光材料を紙幣等に混成し、プラスチックロッドで表面を摩擦し押圧することによって発せられる可視光を観察することにより真贋を判定する技術が特許文献8に開示されている。
特表2002−528781号公報(平成14(2002)年9月3日公表) 特開2003−64272号公報(平成15(2003)年3月5日公開) 特開2003−85613号公報(平成15(2003)年3月20日公開) 特開2000−119647号公報(平成12(2000)年4月25日公開) 特開2001069251号公報(平成13(2001)年2月20日公開) 特開2000−313878号公報(平成12(2000)年11月14日公開) 特開2002−194349号公報(平成14(2002)年7月10日公開) 特表2002−508718号公報(平成14(2002)年3月19日公表)
有価証券等の偽造防止技術には、大量の証券等の真贋判定が必要となる場合や、コストの問題を考慮すると、特別な真贋判定装置や労力を必要とせず、できるだけ簡単に判定ができることが求められる。また例えば有価証券等が長期間流通した後に真贋判定が必要とされるケースも多々存在することから、真贋判定効果が長期間持続することが求められる。
しかしながら、上記特許文献1〜3、8の技術は、これらの点において未だ満足できる技術とは言えない。すなわち、特許文献1に記載の技術は、真贋判定のために特殊な装置を用いることが必要であるが、特許文献1に記載の技術に限らず、蛍光性又は発光性物質を利用した偽造防止技術は、特定の装置(例えばUVライト等)を用いて発光させることが必要であり、手間とコストがかかるという問題がある。また、そのような装置がない場所で緊急の判定を要する場合に対応できないという問題がある。
さらに、特許文献8に記載の技術では、証券等の表面を摩擦・押圧する必要があるため、証券等に力を加えるための道具や労力が必要である。したがって、証券等の真贋を簡易に、短時間で判定することは困難である。
また、特許文献2、3に記載の技術は、特別な真贋判定装置は必要としないものの、2種類の化学物質を反応させ、それに伴い発生する光を検出する技術であるため、時間の経過とともに発光が減衰し、それほど長期間の性能保持はできないという問題がある。すなわち、真贋判定効果を長期間持続することができないという問題がある。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、有価証券等の偽造防止用に応力発光材料が含まれていることを特徴とする応力発光構造物、その製造方法、および真贋判定装置を提供することにある。
上記応力発光材料は、外力などの機械的な刺激によってそれ自体が発光する材料である。そこで、本発明者は鋭意検討し、特定の応力発光材料を用いることで、手で軽く変形させるだけで、特別な真贋判定装置や労力を必要とせず、誰にでも簡単に真贋判定ができ、証券等を長期間使用した後も真贋判定を可能とすることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る応力発光構造物は、偽造防止用に応力発光材料が含まれている応力発光構造物であって、以下の(1)〜(4)からなる群より選ばれた少なくとも1種類の応力発光材料を含むことを特徴とする応力発光構造物であることを特徴としている。
(1)多面体構造の複数の分子によって形成される母体構造の空間に、アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンが、挿入された基本構造を有し、
上記空間に挿入された、アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンの、一部が、希土類金属イオン、遷移金属イオン、III族の金属イオン、およびIV族の金属イオンからなる群より選択される、少なくとも1種の金属イオンによって置換されていることを特徴とする応力発光材料。
(2)少なくともAlO様構造およびSiO様構造の四面体構造を有する複数の分子が、その四面体構造の頂点の原子を共有して結合することにより形成された母体構造の空間に、アルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンの少なくとも一方が挿入された基本構造を有し、
上記母体構造は、さらに、非対称性のフレームワーク構造を有しており、
上記空間に挿入されたアルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンの少なくとも一方の一部が、希土類金属イオンおよび遷移金属イオンの少なくとも1種の金属イオンに置換されている応力発光材料。
(3)歪エネルギーにより発光する条件を満たしている応力発光材料。
(4)複数の結晶構造が混在してなる混相を含んでいる応力発光材料。
上記構成によれば、応力発光構造物が(1)〜(4)からなる群より選ばれた少なくとも1種類の応力発光材料を少なくとも1種類含む。そして、上記応力発光材料は、歪みを生じやすい構造を有しているので、当該応力発光構造物は、手で軽く変形させるだけで発光させることができる。したがって、特別な真贋判定装置や労力を必要とせず、誰でも簡単に真贋判定を行うことができる。
また、上記(1)〜(4)の応力発光材料は、外力を加えれば自ら発光するものであり、発光を得るために二種類以上の化学物質を反応させる必要はないため、応力発光構造物の発光性が減衰することはない。したがって、証券等を長期間使用した後も真贋判定を可能とすることができる。
上記応力発光構造物においては、上記基本構造は長石構造であることが好ましい。長石構造は、SiOまたはAlOの四面体が連続的につながった3次元のフレーム状の構造であり、陽イオンがその隙間に入っており、歪みやすい。そのため、長石構造を基本構造とする応力発光構造物は、手で軽く変形させるだけで発光させることができる。したがって、特別な真贋判定装置や労力を必要とせず、誰でも簡単に真贋判定を行うことができる。
上記応力発光構造物では、上記応力発光材料には、少なくとも1種のアルミン酸塩からなる母体材料を含有しているとともに、歪による圧電効果に由来する発光機構を実現するために、上記母体材料には、自発分極性を有する結晶構造が含まれることが好ましい。
このような応力発光構造物は強誘電体であり、かつ、電場発光体となるので、圧電による歪みエネルギーを電気に変換し、さらに電場発光性により光を放出することができる。したがって、手で軽く変形させるだけで発光させることができ、特別な真贋判定装置や労力を必要とせず、誰でも簡単に真贋判定を行うことができる。
上記応力発光構造物では、上記母体材料がα−SrAlであることが好ましい。α−SrAlは、歪みエネルギーに伴う圧電効果により強く発光するので、より小さな外力で発光させることが可能である。したがって、より効率的な偽造防止を行うことができる。
また、本発明に係る応力発光構造物は、シート状に形成されていることが好ましい。シート状であれば、上記応力発光構造物を簡単に携帯することができるし、簡単に変形できるから発光させることは容易である。したがって、場所を選ばずに真贋判定を行うことができ、高い利便性を提供することができる。本発光材料の特徴は発光粒子内に局在する発光中心原子が個別にひずみエネルギーの変化により発光することであるため、多種多様な利用形式を取ることができる。
また、本発明に係る応力発光構造物は、耐水性を有することが好ましい。応力発光材料の種類によっては水に入れると特性を失うものもある。上記構成によれば、水に入れても特性が失われることがないので、例えば応力発光構造物が紙である場合のように製造工程に水が必要な場合でも、応力発光材料を填料として添加できる。したがって、偽造防止効果を有する応力発光構造物を容易に製造することができる。また、応力発光構造物が水に濡れた場合でも真贋判定をすることができるため、応力発光構造物が持つ偽造防止効果をさらに高めることができる。
また、本発明に係る応力発光構造物は、上記応力発光材料の粒度が、0.2μm以上50μm以下であることが好ましい。応力発光材料の粒度が上記範囲であれば、粒度が、広く用いられている印刷方法であるスクリーン印刷に適したものとなる。したがって、良好な状態で応力発光材料を印刷することができる。
また、本発明に係る応力発光構造物は、上記応力発光材料から発光される光を反射する反射材を含むことが好ましい。上記構成によれば、反射材によって応力発光材料から発せられる光が強められるため、応力発光構造物をより明るく見えるようにすることができる。したがって、真贋判定をより容易に行うことが可能となる。
また、本発明に係る応力発光構造物は、上記応力発光材料から発光される光を拡散する拡散材を含むことが好ましい。上記構成によれば、拡散材によって上記応力発光材料から発光される光が拡散されるため、応力発光構造物をより明るく見えるようにすることができる。したがって、真贋判定をより容易に行うことが可能となる。
また、本発明に係る応力発光構造物は、上記応力発光材料を含有する接合剤よりも高い弾性率の粒子を含むことが好ましい。上記粒子は、応力発光構造物に外部からの機械的エネルギーがかかった場合に、応力集中により、応力発光材料にかかる応力を増大し、上記エネルギーを効率よく注入することができるため、応力発光材料の発光を強くし、応力発光構造物をより明るく見えるようにすることができる。したがって、真贋判定をより容易に行うことが可能となる。
また、本発明に係る応力発光構造物は、表面に保護膜が設けられていることが好ましい。上記構成によれば、応力発光構造物の表面を保護できるので、摩擦等による応力発光材料の剥落を防ぐことができる。したがって、長時間使用されても真贋判定が可能な応力発光構造物を提供することができる。
また、本発明に係る応力発光構造物は、ラミネート加工されていることが好ましい。上記構成によれば、ラミネート加工によって応力発光構造物の表面が保護されるので、摩擦等による応力発光材料の剥落を防ぐことができる。したがって、長時間使用されても真贋判定が可能な応力発光構造物を提供することができる。
また、本発明に係る応力発光構造物は、紫外線吸収層が表面に設けられていることが好ましい。上記構成によれば、表面に紫外線吸収層が設けられているので、UVライトの下に本発明の応力発光構造物を置いたときに、本発明の応力発光構造物は光らない。そのため、本発明に係る応力発光構造物は、UVライトを用いても通常のものと見分けがつかず、偽造対策処理がなされていることを見破られるおそれがない。
さらに、外力を与えたときに応力発光材料が発光するか否か、およびUVライト下で応力発光構造物が光らないかという2つの観点から真贋判定ができるので、偽造防止を効率的に実現できる。
また、本発明に係る応力発光構造物は、上記紫外線吸収層が特定のパターンにて設けられていることが好ましい。上記構成によれば、紫外線吸収層を特定パターンにて設けることで、本発明の応力発光構造物に紫外線を照射したとき、特定パターンの部分だけ応力発光構造物が光らないようにできる。このパターンを確認することで真贋を判定することも可能なので、より効率的な偽造防止が実現できる。
本発明に係る応力発光構造物の製造方法は、基板上に偽造防止用の応力発光材料をスクリーン印刷することを特徴としている。スクリーン印刷は、空気と水以外の物すべてに印刷が可能であるとされており、平面だけでなく、曲面、立面、特殊形状、成形品にも印刷が可能である。したがって、紙で作られる有価証券類、プラスチックフィルム、カード類等あらゆるタイプの対象に対して、本発明に係る応力発光構造物を用いた偽造防止技術を適用可能である。
本発明に係る応力発光構造物の製造方法は、基板上に偽造防止用の応力発光材料をスプレー印刷することを特徴としている。スプレー印刷は、手軽で経済性に優れ、また、複雑な形状の表面に容易に印刷できる、という特徴を有する。したがって、表面に凹凸を有するエンボス加工された紙のようなものでも本発明に係る応力発光構造物を用いた偽造防止技術を適用可能である。
本発明に係る応力発光構造物の製造方法は、基板上に偽造防止用の応力発光材料をインクジェット印刷することを特徴としている。インクジェット印刷は、速度、経済性、印字品質に優れる。したがって、本発明に係る応力発光構造物を安価に、高い印刷精度で製造することができる。
本発明に係る応力発光構造物の製造方法は、基板上に偽造防止用の応力発光材料をオフセット印刷することを特徴としている。オフセット印刷は、商業的に最も広く用いられている印刷方法であり、同じ版の印刷物を大量に印刷する場合に適している。また、精細な印刷が可能であり、平らな紙やフィルムだけでなく、凹凸や地模様のある特殊紙など、様々なものに印刷することができる。したがって、大量に流通する有価証券類、カード類等に対して、本発明に係る応力発光構造物を用いた偽造防止技術を適用することができる。
本発明に係る応力発光構造物の製造方法は、基板上に偽造防止用の応力発光材料をパターニングすることを特徴としている。上記構成によれば、任意のパターンで発光する応力発光構造物を得ることができる。したがって、有価証券等の偽造防止効果をさらに高めることができる。
本発明に係る真贋判定装置は、偽造防止用に応力発光材料が含まれている応力発光構造物に応力を与える応力付与手段と、上記応力発光構造物の発光を検知する光検知手段と、を備えていることを特徴としている。上記構成によれば、応力発光構造物への応力の付与と、その結果応力発光構造物から発せられた光の検出を連続的に行うことができる。したがって、高速で効率的に有価証券等の真贋判定をすることができる。
本発明に係る応力発光構造物は、偽造防止用に応力発光材料が含まれている応力発光構造物であって、特定の応力発光材料を含むことを特徴としている。それゆえ、特別な真贋判定装置や労力を必要とせず、誰にでも簡単に真贋判定ができ、証券等を長期間使用した後も真贋判定を可能とすることができる。
また、本発明に係る応力発光構造物の製造方法は、基板上に偽造防止用の応力発光材料をスクリーン印刷、スプレー印刷、インクジェットまたはオフセット印刷するので、それぞれの印刷法が有する特性を生かして応力発光構造物を製造することができる。
また、本発明に係る真贋判定装置は、偽造防止用に応力発光材料が含まれている応力発光構造物に応力を与える応力付与手段と、上記応力発光構造物の発光を検知する光検知手段とを備えているので、高速で効率的に有価証券等の真贋判定をすることができる。
本発明の一実施の形態について説明すれば、以下のとおりであるが、本発明はこれに限定されるものではない。本実施の形態では、本発明に係る応力発光構造物、その製造方法、真贋判定装置の順に説明する。
(A)応力発光構造物
本明細書中で使用される場合、用語「応力発光材料」は、外部から加えられた歪みエネルギーによって発光する材料が意図され、「応力発光性材料」または「応力発光性物質」と相互交換可能に使用される。すなわち、応力発光材料は、外部から加えられた歪みエネルギーによって材料自体が発光するという性質を有し、かつその歪みエネルギーに比例して発光強度を変化させるという性質を有する。よって、応力発光構造物は応力発光材料を含んでなる構造体であるということが、当業者に容易に理解される。
本発明に係る応力発光構造物は、偽造防止用に以下の(1)〜(4)からなる群より選ばれた少なくとも1種類の応力発光材料を含む構造物である。そこで、次に(1)〜(4)の応力発光材料について説明する。
<(1)多面体構造の複数の分子によって形成される母体構造の空間に、アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンが、挿入された基本構造を有し、上記空間に挿入された、アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンの、一部が、希土類金属イオン、遷移金属イオン、III族の金属イオン、およびIV族の金属イオンからなる群より選択される、少なくとも1種の金属イオンによって置換されている応力発光材料>
上記(1)の応力発光材料は、多面体構造の複数の分子により形成された母体構造の空間に、アルカリ金属イオンとアルカリ土類金属イオンとが挿入された基本構造を有するので、(1)の応力発光材料を含む応力発光構造物は、手で軽く変形させるだけで発光することができる。
本明細書において、「多面体構造の分子」とは、中心の原子と結合する別の原子を結ぶことによって、多面体構造が形成される分子をいう。すなわち、多面体は、仮想的なものである。例えば、SiO分子やAlO分子は、それぞれ、ケイ素原子(Si)またはアルミニウム原子(Al)を中心に、酸素原子(O)を頂点に有することにより、四面体構造を形成している。多面体構造の分子としては、他に、GaO、MgO、PO、BO等が挙げられる。
また、「母体構造」とは、多面体(例えば、四面体,六面体,八面体等)を結晶の最小単位とする分子(多面体構造の分子)を、単独あるいは複数種類、組み合わせて、1次元、2次元、または3次元結合することによって形成された構造をいう。このようにして形成された母体構造は、大きな空間(隙間)を含む柔軟な構造を有している。すなわち、上記母体構造では、上記空間において歪が生じやすい。
このように、上記母体構造が歪むことにより、発生する歪エネルギーは、応力発光材料の発光中心を励起する。その励起状態の発光中心が、基底状態に戻る時に、上記応力発光材料は発光する。したがって、母体構造が上記のような構造を有することにより、上記応力発光材料は強い発光を示すことができる。
上記母体構造の具体例としては、図1〜図3に示す構造が挙げられる。
図1は、四面体構造のSiOとAlOとによって、3次元的に母体構造(フレームワーク)が構成され、その空間にCaが挿入されたCaAlSiの構造を示している。その結果、自発歪をもつ構造を有する。すなわち、図1に示す基本構造は、後述する長石構造である。図2は、SiOによって、2次元的な母体構造(フレームワーク)が構成され、その空間に、SrとMgとが挿入されたSrMgSiの構造を示している。これらの構造は、自発歪をもつ構造を有する。図3は、POとアルカリ土類金属(Ba)とが交互に配置されたBa(POの構造を示している。これら3例ははすべて、自発歪をもつ構造を有する。
本明細書において、「自発歪」とは、構造に変化が生じて、別の構造に変化する時に生じる歪みのことである。例えば、発光材料は、温度が上昇すると、対称性のよい構造に変化するが、そこから、温度や圧力が変化すると、構造に変化が生じて、別の相に変わる。「自発歪」とは、このような対称性のよい構造から、その構造と比較してどの程度歪んでいるかを示す指標であって、発光材料自身が有する歪みを示す。なお、「自発歪」には、外力によって発光材料に生じさせた歪は、含まれない。これらの材料には、結晶の対称中心を有しない特徴がある。
本発明において、上記母体構造を形成する多面体構造の分子は、特に限定されるものではないが、四面体構造、六面体構造、または八面体構造の分子であることが好ましく、AlO、PO、BO、SiOであることが特に好ましい。これら多面体構造の分子は非常に硬いのに対して、母体構造の中に挿入される発光中心の周りの構造はフレキシブル性が高い。そのため、応力を加えたとき、フレキシブル性が高い構造の発光中心のところに応力が集中し、上記母体構造が歪みやすくなる。したがって、上記応力発光材料は、歪エネルギーによる応力発光が起こりやすい。
また、上記母体構造は、1種類の多面体構造の分子によって形成されてもよく、複数種類の多面体構造の分子によって形成されてもよい。
上記基本構造は、上記母体構造の空間に、アルカリ金属イオンとアルカリ土類金属イオンとが挿入されることにより形成されるが、具体的には、アルミノケイ酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、ケイ酸塩、またはアルミン酸塩によって実現される。
本明細書において、「アルミノケイ酸塩」、「リン酸塩」、「ホウ酸塩」、「ケイ酸塩」、および「アルミン酸塩」とは、それぞれアルミノケイ酸、リン酸、ホウ酸、ケイ酸、およびアルミン酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩をいう。
上記アルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンは、特に限定されるものでないが、例えば、アルカリ金属イオンとして、Li、Na、K、Rb、Cs等のイオンが挙げられる。また、アルカリ土類金属イオンとしてはCa、Mg、Ba、Sr等のイオンが例示できる。
また、上記母体構造の空間に挿入されるアルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンは、1種類でも2種類以上でもよい。さらに、複数種類のアルカリ金属およびアルカリ土類金属が挿入される場合、それら複数種類のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属は、互いにイオン半径の異なるものであることが好ましい。これにより、応力発光材料の自発歪が変化し、応力発光材料が発光しやすくなる。
また、母体構造の空間に挿入されたアルカリ金属またはアルカリ土類金属の一部が、他のイオンで置換してもよい。結晶構造を維持できれば、置換させることによりひずみやすくことになり、応力発光しやすくなる。
上記基本構造は、P−1空間群に属する三斜晶構造、P−42m空間群に属する正方晶構造、または、R−3空間群に属する三方晶構造を有することが好ましい。P−1空間群に属する三斜晶構造の例としては、アノーサイト様構造が挙げられる。なお、「アノーサイト様構造」とは、アノーサイト構造のみを示すものではなく、3次元構造の空間にアルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンを挿入できる範囲で、アノーサイト構造に類似する構造(類似の組成物)も包含する意味である。
また、P−42m空間群に属する正方晶構造の例としては、オケルマナイト(akermanite、オケルマン石)様構造が挙げられる。なお、「オケルマナイト様構造」とは、オケルマナイト構造のみを示すものではなく、母体構造の空間に、アルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンを挿入できる範囲で、オケルマナイト構造に類似する構造(類似の組成物)も包含する意味である。
また、上記基本構造は、アルミノケイ酸塩の組成を持つ長石(フェルドスパー)構造であることが好ましい。アルミノケイ酸塩は、ポリケイ酸イオンの一部をアルミニウムで置換することにより得られる。アルミノケイ酸塩は、結晶構造の空間(隙間)にアルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンが挿入されている。
長石構造とは、理想化学組成がZ(Si,Al)(ただし、Zはアルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、0<Al/Si≦1)で示されるアルミノケイ酸塩の構造である。なお、長石は、通常、曹長石(albite、アルバイト)NaAlSi、アノーサイト(anorthite、灰長石)CaAlSi、およびカリ長石KAlSiを端成分とする固溶体である。すなわち、長石とは、アノーサイト構造を含む複数のアルミノケイ酸塩の混合物である。
長石構造では、四面体構造のSiO分子およびAlO分子が最小単位であり、これらの分子が全ての頂点を共有して複数結合することにより、3次元構築体が形成される。さらに、長石構造では、上記3次元構築体に形成された空間(隙間)に、Z(アルカリ金属またはアルカリ土類金属)が挿入されている。
上記基本構造の他の例としては、「アノーサイト様構造」、「長石様構造」、「準長石(feldspathoid、フェルドスパソイド)構造」等が挙げられる。
「アノーサイト様構造」とは、前述のように、アノーサイトのみを示すものではなく、発光体の3次元構造を形成する母体構造の空間に、アルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンを挿入できる範囲で、アノーサイト構造に類似する構造(類似の組成物)も包含する意味である。同様に、「長石様構造」とは、長石構造のみを示すものではなく、3次元構造の空間に、アルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンを挿入できる範囲で、アノーサイト構造に類似する構造(類似の組成物)も包含する意味である。
また、「準長石」とは、「長石」と同様、アルミノケイ酸塩であり、かつ、AlOおよびSiOは、全ての頂点を共有して複数結合することにより、3次元構築体を形成している。準長石としては、例えば、白榴石(leucite、リューサイト)KAlSi、かすみ石(nepheline、ネフェリン)NaAlSiO、およびこれらの組成物に結晶構造が類似する組成物等が挙げられる。
(1)の応力発光材料は、上記母体構造の空間に挿入されたアルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンの一部が、希土類金属イオン、遷移金属イオン、III族の金属イオン、およびIV族の金属イオンからなる群より選択される少なくとも1種の金属イオンによって置換されていることが好ましい。
上記希土類金属イオン、遷移金属イオン、III族の金属イオン、およびIV族の金属イオンは、特に限定されるものではないが、発光中心となるものであることが好ましい。例えば、希土類金属のイオンとして、ユウロピウム(Eu)、ジプシロシウム(Dy)、ランタン(La)、ガドリニウム(Gd)、セリウム(Ce)、サマリウム(Sm)、イットリウム(Y)、ネオジウム(Nd)、テルビウム(Tb)、プラセオジム(Pr)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、スカンジウム(Sc)、プロメチウム(Pm)、ホルミウム(Ho)、ルテチウム(Lu)等のイオンが例示される。
また、遷移金属のイオンとして、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、アンチモン(Sb)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、バナジウム(V)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ニオビウム(Nb)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、タングステン(W)等のイオンが例示される。
さらに、III族の金属イオンとして、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)等のイオンが例示される。
加えて、IV族の金属イオンとして、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)等のイオンが例示される。
なお、これら希土類金属のイオン、遷移金属のイオン、III族の金属イオン、およびIV族の金属イオンは、これらの中から、少なくとも1つのイオンを選択すればよい。
応力発光材料では、希土類金属イオンおよび遷移金属イオンの含有量、言い換えれば、発光中心の含有量が発光に大きく影響する。(1)の応力発光材料において、上記含有量は特に限定されるものではないが、母体構造の3次元構造を維持できる範囲内であることが好ましい。
具体的には、0.1mol%以上20mol%以下の範囲内であることが好ましく、0.2mol%以上10mol%以下の範囲内であることがより好ましく、0.5mol%以上5mol%以下の範囲内であることが特に好ましい。なお、上記含有量が、0.1mol%未満の場合、効率的な発光が得られず、20mol%を越えると母体構造が乱れ、発光効率が低下する。
また、応力発光材料では、発光中心の種類によって発光色が変化する。言い換えれば、本発明においては、選択する上記希土類金属イオン、遷移金属イオン、III族の金属イオン、およびIV族の金属イオンの種類によって発光色を変化させることができる。従来の応力発光材料は、発光波長が500nm以上(緑色〜赤色の波長域)では、強い発光を得ることができるが、それより短い発光波長域、すなわち、紫外線〜青色の波長域では、強い発光を得ることができなかった。しかし、(1)の応力発光材料において、例えば、希土類金属イオンとして、Ceイオンを選択すれば、強い紫外線発光を呈する応力発光材料(高強度応力発光材料)を実現することができる。
したがって、(1)の応力発光材料では、上記母体構造に形成される空間に、少なくともCeイオンが挿入されていることが好ましい。すなわち、(1)の応力発光材料の発光中心が、Ceイオンまたはその混合物を用いることが好ましい。これにより、好適に紫外線発光を示す応力発光材料を提供することができる。なお、本明細書において、「紫外線」とは、波長200〜400nmの領域の放射をいう。
上記(1)の応力発光材料の基本構造は、下記一般式(1)〜一般式(6)のいずれか1つで示されることがより好ましい。
1−xAlSi ・・・(1)
1−xAlSi ・・・(2)
(X1−x)(SiAl1−x)AlSi ・・・(3)
Ca1−x―yAl2―xSi2+x ・・・(4)
2−xMgSi ・・・(5)
3−x(PO ・・・(6)
(ただし、式中、MおよびNは、2価の金属イオンであって、少なくとも1つは、Ca、Sr、Ba、MgまたはMnであり、XおよびYは、1価の金属イオンであって、少なくとも1つは、Li,Na,またはKであり、0≦x,y≦0.8である。)
具体的には、特に強い紫外線発光を示す応力発光材料としては、アルカリ金属酸化物またはアルカリ土類金属酸化物、アルミニウム酸化物、およびシリコン酸化物から構成されたアルミノケイ酸塩であって、かつ、長石構造、好ましくはアノーサイト構造を維持できる範囲内で、この中のアルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンの一部を、別の1価の金属イオン、または2価の金属イオンと置換し、さらに1種類以上の遷移金属イオンまたは希土類金属イオンと置換した発光材料が好ましい。
また、紫外線発光を示す(1)の応力発光材料は、下記一般式(7)
1−x−yAlSi ・・・(7)
(ただし、式中のMおよびNはそれぞれ、アノーサイト構造ではCa、Sr、Mg、またはBaであり、長石構造では、Li、NaまたはKであり、Qは、希土類金属イオン、遷移金属イオン、III族の金属イオン、もしくはIV族の金属イオンであり、0≦x≦0.8、0.001≦y≦0.1を満たす数である。)で示される応力発光材料であることが好ましい。
さらに、上記応力発光材料において、アルカリ土類金属イオンとしてCaを選択し、かつ、そのCaサイトの一部を、希土類金属イオンとしてCeで置換した応力発光材料がより好ましい。
すなわち、上記応力発光材料は、下記一般式(8)、
Ca1−yAlSi・・・(8)
(式中、Qは、Euまたは他の発光中心イオンであり、yは0.001≦y≦0.1を満たす数である。)で示される応力発光材料であることが、さらに好ましい。
なお、ここでいう「発光中心イオン」とは、希土類金属イオン、遷移金属イオン、III族の金属イオン、もしくはIV族の金属イオンをいう。
また、上記一般式(8)は、Ca1−mCeAlSi(式中、mは、0.001≦m≦0.1を満たす数である。)と表すこともできる。
上記(1)の応力発光材料は、応力発光材料の組成となるように、原料を秤量し、焼成することによって製造することができる。上記応力発光材料の製造における焼成温度は、特に限定されるものではなく、所定の母体構造を形成できる範囲であればよい。この焼成温度は、応力発光材料の組成に応じて設定することが好ましい。また、焼成時の急速の降温は、所定の結晶性が得られにくいため、ゆっくり(段階的に)降温することが特に好ましい。
上記(1)の応力発光材料の原料としては、特に限定されるものではなく、焼成によって酸化物となるものであることが好ましい。例えば、前述のようなアルミノケイ酸塩の組成に応じて、焼成により、アルカリ金属の酸化物およびアルカリ土類金属の酸化物、アルミニウム酸化物、シリコン酸化物、ならびに、希土類金属の酸化物および/または遷移金属の酸化物が形成されるように、原料を秤量して、焼成することにより応力発光材料を製造することができる。
このような原料としては、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の、無機化合物または有機化合物の塩を用いることができる。また、希土類金属、遷移金属、III族の金属、またはIV族の金属の、無機化合物または有機化合物の塩を用いることができる。
上記無機化合物の塩として、炭酸塩、酸化物、ハロゲン化物(例えば塩化物)、水酸化物、硫酸塩、および硝酸塩等が挙げられる。また、上記有機化合物の塩として、酢酸塩、およびアルコラート等が挙げられる。また、アルミニウム酸化物およびシリコン酸化物の原料としては、AlおよびSiOを用いることができる。
さらに、上記応力発光材料の製造時には、ホウ酸、または塩化アンモニウム等のフラックス剤を用いることもできる。
また、上記の応力発光材料の原料の量は、製造する応力発光材料の組成に応じて、構成原子比に相当する割合の量を用いる。上記母体構造を容易に歪ませるために、アルカリ金属イオン、またはアルカリ土類金属イオンの、格子欠陥を形成させることが有利である。そのため、化学組成量論よりもアルカリ金属、またはアルカリ土類金属の組成は0.1モル%から10モル%の範囲内に減らすことが好ましい。
<(2)少なくともAlO様構造およびSiO様構造の四面体構造を有する複数の分子が、その四面体構造の頂点の原子を共有して結合することにより形成された母体構造の空間に、アルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンの少なくとも一方が挿入された基本構造を有し、上記母体構造は、さらに、非対称性のフレームワーク構造を有しており、上記空間に挿入されたアルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンの少なくとも一方の一部が、希土類金属イオンおよび遷移金属イオンの少なくとも1種の金属イオンに置換されている応力発光材料>
上記(2)の応力発光材料は、少なくともAlO様構造およびSiO様構造の四面体構造を有する複数の分子によって形成された3次元構造(3次元フレーム構造)と、非対称性のフレキシブルなフレーム構造とを有する基本構造に、発光中心が挿入された構成である。したがって、(2)の応力発光材料を含む応力発光構造物は、手で軽く変形させるだけで発光することができる。
上記基本構造は、少なくとも上記四面体構造を有する複数の分子が、その多面体の頂点の原子を共有して結合することにより形成された母体構造の空間に、アルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンの少なくとも一方が挿入された構造である。そして、上記母体構造は、さらに、非対称性のフレームワーク構造を有している。
上記母体構造を形成するための多面体構造の分子は、少なくとも上記四面体構造を有していれば、同一の分子であってもよいし、異なる分子であってもよい。
上記「母体構造」は、言い換えれば、少なくとも上記四面体構造を結晶の最小単位とする分子を、単独あるいは複数種類組み合せて、お互いの分子が頂点の原子を共有して結合することによって形成されたものである。
これにより、この母体構造は、大きな空間(隙間)を含む網目状の3次元構造を有するようになる。そして、この空間(隙間)に、種々の陽イオン(アルカリ金属またはアルカリ土類金属)が挿入されることにより、応力発光体のフレーム構造となる。このフレーム構造は、本発明にかかる応力発光体の基本構造(基本骨格)となる。なお、(2)の応力発光材料の母体構造(3次元構造)を構築するためには、少なくとも上記四面体構造を有する四面体、または八面体の分子が好適である。
上記「非対称性のフレームワーク構造」とは、フレーム構造に加えて、自発ひずみ(後述)または弾性異方性を示す構造を示している。このような母体構造は、歪やすく、しかも、その歪エネルギーを効率よくフレームの中心にある発光中心の電子構造を変化させやすい。これにより、特に強い応力発光を示す構造となる。
このように、(2)の応力発光材料は、フレキシブルな3次元フレーム構造と、非対称性のフレキシブルなフレームワーク構造とを、同時に備えている。
上記空間には、アルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンの少なくとも一方が挿入されていればよく、そのイオンの種類は、1種類でも2種類以上でもよい。また、アルカリ金属イオンとアルカリ土類金属イオンとが、それぞれ少なくとも1つ、挿入されていてもよい。上記イオンとしては、(1)の応力発光材料の項で説明したものを用いることができる。
また、母体構造をさらに歪みやすくするために、母体構造の空間に挿入されたアルカリ金属またはアルカリ土類金属の一部が、他のイオン(例えば、希土類金属イオンまたは遷移金属イオン)で置換されていてもよい。置換するイオンは、母体構造の結晶構造(非対称性のフレキシブルな3次元フレーム構造)を維持できれば、特に限定されるものではない。
この置換するイオンは、例えば、上記母体構造に形成された空間に挿入されているアルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンとは、イオン半径の異なる希土類金属イオンまたは遷移金属イオンが好適である。これにより、母体構造を歪みやすくすることが可能となり、より強い発光を示す応力発光材料を提供できる。なお、ここでの希土類金属イオンまたは遷移金属イオンは、母体構造を歪みやすくするためのものであって、後述する発光中心として機能しないものであってもよい。
(2)の応力発光材料は、母体構造の空間に挿入された上記イオンの一部が、希土類金属イオンおよび遷移金属イオンの少なくとも1つの金属イオンに置換されている。これにより、(2)の応力発光材料は、発光する機能を有する。つまり、ここでの希土類金属イオンおよび遷移金属イオンは、応力発光材料における発光中心(発光中心イオン)となる。
このように、(2)の応力発光材料は、母体構造に形成された空間に、アルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンの少なくとも一方が挿入されており、その挿入されたイオンの一部が、発光中心となる希土類金属イオンおよび/または遷移金属イオンに置換されている。
特に、(2)の応力発光材料は、フレキシブルな3次元フレーム構造と、フレキシブルのフレームワーク構造とを有する母体構造を有しているため、母体構造には、大きな空間が形成されている。このため、この空間に歪を生じさせると、その歪エネルギーを、発光中心の励起に利用できる。発光中心が励起されると、発光中心が励起状態から基底状態に戻る時に、発光する。(2)の応力発光材料は、母体構造に、歪を生じさせやすい空間を有しているため、特に強い応力発光を示すことができる。
上記(2)の応力発光材料の基本構造は、少なくともAlO様構造およびSiO様構造の四面体構造を有する複数の分子が、その四面体構造の頂点の原子を共有して結合することにより形成された母体構造の空間に、アルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンの少なくとも一方が挿入された構成であれば、特に限定されるものではない。
具体的には、この基本構造としては、例えば、アルミノケイ酸塩の組成を持つ長石(フェルドスパー)構造を挙げることができる。とりわけ、アノーサイト様構造は好適である。
このような基本構造は、例えば上記一般式(1)〜(4)のいずれかで示されるアルミノケイ酸塩であることがより好ましい。
上記一般式(1)〜(4)式において、アルカリ金属またはアルカリ土類金属は、少なくとも1種類であればよく、2種類に限定されるものでもない。すなわち、例えば、(3)式では、2種類以上のアルカリ金属(X)と、2種類以上のアルカリ土類金属(M)とを有するものであってもよい。
また、例えば、上記一般式(1)〜(4)式の場合のように、応力発光体が、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を複数備える場合、それら複数のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属は、互いにイオン半径の異なるものであることが好ましい。これにより、上述のように、応力発光材料の自発歪が変化し、応力発光材料が発光しやすくなる。
上記希土類金属イオン、遷移金属イオンとしては、発光中心となるものであれば特に限定されるものではない。例えば、(1)の応力発光材料の項で説明したものと同様のものを用いることができる。上記希土類金属イオンおよび遷移金属イオンの含有量は母体構造の3次元構造を維持できる範囲であれば特に限定されるものではない。具体的には、(1)の応力発光材料の項で説明した範囲内であることが好ましい。
また、上述のように応力発光材料では発光中心の種類によって発光色が変化するが、(2)の応力発光材料では、発光中心の希土類金属イオンとして、Euを用いることによって、好適に青色発光を示す発光体を提供することができる。なお、発光中心は、1種類に限定されるものではなく、複数種類の混合物を用いることもできる。例えば、EuとDyとの混合物を用いることもできる。
具体的には、特に強い青色発光を示す応力発光材料としては、アルカリ金属酸化物またはアルカリ土類金属酸化物、アルミニウム酸化物、およびシリコン酸化物から構成されたアルミノケイ酸塩であって、かつ、この中のアルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンの一部を、長石様構造、より好ましくはアノーサイト様構造を維持できる範囲内で、別のアルカリ金属またはアルカリ土類金属イオンと置換し、さらに1種類以上の遷移金属イオンまたは希土類金属イオンと置換した応力発光材料が好ましい。
より詳細には、特に強い青色発光を示す応力発光材料は、下記(9)および(10)式
1−x−yAlSi ・・・(9)
1−x−yAl2−XSi2+X ・・・(10)
ただし、式中のMおよびNはそれぞれ、2価の金属イオンであり、少なくとも1種類は、Ca,Sr,MgまたはMnであり、XおよびYは、1価の金属イオンであり、少なくとも1種類は、Li,Na,またはKであり、Qは希土類金属イオンもしくは遷移金属イオンであり、0≦x≦0.8、0.001≦y≦0.1を満たす数である。
で示される発光体であることが好ましい。
ただし、(9)式のように、アルカリ土類金属の場合、AlおよびSiはそれぞれ2のままで、式のxにより変化はしない。一方、(10)式のように、アルカリ金属の場合、電荷バランスをとるために、1価のアルカリ金属の数xが増えた分、4価のSiの数が増え(2+x)に、また3価のAlが減り(2−x)となっている。
さらに、上記応力発光材料において、アルカリ土類金属としてCaを選択し、かつ、そのCaサイトの一部を、少なくとも1種類の発光中心で置換した応力発光材料がより好ましい。すなわち、
Ca1−yAlSi・・・(11)
ただし、式中のQはEuおよび他の発光中心の少なくとも1種類、yは0.001≦y≦0.1を満たす数である。
なお、式(11)は、発光中心がEuのみの場合、Ca1−m−nEuAlSiと表すこともできる。ただし、式中のmおよびnは、0.001≦m≦0.1を満たす数である。
発光中心がEuのみの場合、mは0より大きく0.1以下の範囲であり、発光中心がEuとその他の発光中心イオンの混合物である場合、混合物の発光中心としての含有量(m)は0より大きく0.2以下の範囲であればよい。
このような応力発光材料は、青色の発光を、特に強く示すことができる。なお、式(11)では、発光中心(Q)が、少なくともEuを含んでいることが好ましい。すなわち、式(11)において、発光中心の希土類金属イオンとして、少なくともEuを含んでいることが好ましい。例えば、発光中心がEuのみ、またはEuとDyとの混合物であることがより好ましい。このように、発光中心としてEuを含んでいれば、青色発光を特に強く示す応力発光材料とすることができる。
青色の発光は、短波長であるためエネルギーが高い。このため、この応力発光材料を発光させると、そのエネルギーを、励起光として利用できる。例えば、青色発光を示す応力発光体と、赤・黄・緑などの青とは異なる色の発光体であって、青色の光で発光し、かつ、応力で発光しない発光材料とを混合して複合材料とする。この複合材料に、応力を加えると、青色の応力発光体のみが、発光する。そして、この青色の応力発光材料の発光により、そのエネルギーを、青以外の発光体を励起させるための励起エネルギーとして利用することができる。これにより、青以外の色の発光材料を発光させることができる。その結果、複合材料の発光色を変えることができる。
また、青色の発光は、エネルギーが高いため、検出器による検出が容易である。このため、発光材料の発光強度を容易に検出することができる。さらに、青色、特に400nm付近での光は、蛍光灯などの照明器具から放出が少なく、その発光を計測する時に照明環境下でも干渉が少ない利点がある。
次に、上記(2)の応力発光材料の製造方法を説明する。
(2)の応力発光材料は、応力発光材料の組成となるように、原料を秤量し、焼成することによって製造することができる。これらの原料の量は、製造する応力発光材料の組成に応じて、構成原子比に相当する割合の量を用いる。
また、応力発光材料が歪みやすくするために、アルカリイオンまたはアルカリ土類イオンの格子欠陥を形成させることが好ましい。そこで、アルカリ金属、またはアルカリ土類金属の組成が、非化学量論組成となるように、化学量論組成よりも、0.1モル%から20mol%の範囲分、減らす事が望ましい。
上記応力発光体の製造における焼成温度は、3次元構造の母体構造を形成できる範囲であれば、特に限定されるものではない。この焼成温度は、応力発光体の組成に応じて設定することが好ましい。また、ゆっくり(段階的に)降温することが特に好ましいのは(1)の応力発光材料と同様である。
なお、応力発光体の原料としては、焼成によって酸化物となるものであれば、特に限定されるものではない。例えば、前述のようなアルミノケイ酸塩の組成に応じて、焼成により、アルカリ金属の酸化物またはアルカリ土類金属の酸化物、アルミニウム酸化物、シリコン酸化物、および、希土類金属の酸化物および/または遷移金属の酸化物が形成されるように、原料を秤量して、焼成することにより発光体を製造することができる。
このような原料としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の無機塩(炭酸塩、酸化物、ハロゲン化物(例えば塩化物)、水酸化物、硫酸塩、硝酸塩など)、または、有機化合物の塩(酢酸塩、アルコラートなど)を用いることができる。また、希土類金属または遷移金属の無機物の塩(酸化物、ハロゲン化物(例えば塩化物)、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩など)または有機化合物の塩(酢酸塩、アルコラートなど)を用いることができる。また、アルミニウム酸化物およびシリコン酸化物の原料としては、AlおよびSiOを用いることができる。
なお、上記応力発光体の製造時には、ホウ酸、または塩化アンモニウムなどのフラックス剤を用いることもできる。
<(3)歪エネルギーにより発光する条件を満たしている応力発光材料>
上記(3)の応力発光材料は、歪エネルギーにより発光する材料であるため、歪エネルギーの形成によって、圧電効果、格子欠陥、および変形による発熱の少なくとも何れかの機構により発光する。したがって、(3)の応力発光材料を含む応力発光構造物は、手で軽く変形させるだけで発光することができる。
圧電効果による発光では、歪形成力が加えられることで材料に歪エネルギーが生じ、当該歪エネルギーに伴う圧電効果により電気が発生し、これにより電場発光する。
(3)の応力発光材料のように、圧電効果により発光する材料は圧電体であるため、結晶構造に対称中心が存在しないことが重要となる。さらに、対称中心が存在しない材料の中では、特に自発分極が存在する構造が重要である。
言い換えれば、応力発光材料において歪による圧電効果に由来する発光機構を実現するためには、当該応力発光材料に含有される母体材料に、自発分極性を有する結晶構造を形成するように、原料を混合して焼成すればよいことになる。後述するように、圧電効果により強く発光する材料の一例として、α−SrAl24相の結晶材料を好適に用いることができる。
格子欠陥による発光では、材料に格子欠陥が存在すると、歪エネルギーにより格子欠陥にトラップされている電子と正孔(ホール)とが再結合することが可能となるため、これにより発光する。具体的には、歪エネルギーが生じたとき、上記格子欠陥の中心では、周囲の結晶場が歪の揺らぎにより変化するため、トラップされている電子または正孔が励起され、その結果これらが再結合することにより発光が生じる。
したがって、格子欠陥となるサイトでは、結晶中の結合が緩やかなものであるとともに、当該サイトが結晶中で歪を受けやすい位置を占めることが好ましい。それゆえ、材料中の格子欠陥の制御は極めて重要なものとなる。
言い換えれば、応力発光材料において格子欠陥に由来する発光機構を実現するためには、上記応力発光材料に含有される母体材料に、少なくとも1種、好ましくは2種以上の金属イオンを欠陥中心の中心イオンとして添加すればよいことになる。(3)の応力発光材料では、後述するように、α−SrAl24相の結晶材料において、SrサイトやAlサイトを金属イオンが置換するように、各種金属を添加している。
次に、発熱による発光では、歪形成により材料が変形すると、この変形に伴い熱が発生し、発熱(温度上昇)に伴いサーモルミネッセンス(熱発光)により発光する。このようにサーモルミネッセンスを利用した発光機構では、サーモルミネッセンスのピークの位置と形が重要となり、応力発光材料の用途等を考慮すれば、当該応力発光材料の使用温度近傍にそのピークがあることが好ましい。例えば、応力発光材料を室温(15〜25℃の範囲内)付近で用いる場合には、この温度範囲内にサーモルミネッセンスのピークがあることが好ましい。サーモルミネッセンスのピークは複数のピークがあるものがより好ましい、使用温度近傍の100℃の範囲内にブロードのピークがあるものが望ましい。
言い換えれば、応力発光材料において発熱に由来する発光機構を実現するために、上記応力発光材料に含有される母体材料におけるサーモルミネッセンスのピークが当該応力発光材料の使用温度近傍となるように原料を混合して焼成すればよいことになる。
(3)の応力発光材料は、特に限定されるものではないが、歪による圧電効果に由来する発光機構を実現するために、上記母体材料には、自発分極性を有する結晶構造が含まれるものを挙げることができる。より具体的には、例えば、上記母体材料としてα−SrAl24を挙げることができる。
xSrO.yAl23の材料系に関して、組成に関係なく応力発光する知見が得られている(例えば、Sr3Al26、Sr2Al611、SrAl47、Sr4Al1425等)。そこで、これら材料系について共通する構造を見出したところ、何れも、実際にはSrAl24に由来していることが明らかとなった。
α−SrAl24の結晶構造は単斜晶で、この結晶相は自発分極性を有する。単斜晶以外の結晶構造では自発分極性が見られず、自発分極性を有する結晶相は弾性領域で応力発光を示す。
自発分極性を有する結晶相は強誘電性を有していることから、弾性領域で応力発光する応力発光材料は強誘電性を有することになる。このときの応力発光は、圧電による歪エネルギーを電気に変換し、さらに、電場発光性により光を放出する。したがって、歪により発光する応力発光材料は圧電および電場発光の相乗効果により電場発光体となっている。つまり、歪による圧電効果に由来する発光機構を実現する応力発光材料は強誘電体であり、かつ、電場発光体となっている。
圧電効果により発光する材料においては、前述したように、結晶構造に対称中心が存在しないことが重要となる。したがって、(3)の応力発光材料で用いることのできる母体材料としては、上記α−SrAl24以外にも、結晶構造に対称中心が存在しない構造の材料系を有効に用いることができる。例えば、アルミン酸以外にも多くの材料系を利用することができ、タングステン酸塩、ニオブ酸塩、チタン酸塩等を利用することができる。
(3)の応力発光材料においては、歪による圧電効果に由来する発光機構以外にも、前述したように、格子欠陥に由来する発光機構が実現されていてもよい。具体的には、例えば、母体材料に、少なくとも1種の金属イオンを欠陥中心の中心イオンとして添加すればよい。特に、母体材料として、自発分極性を有する結晶構造が含まれるものを用いた場合、上記中心イオンの添加により、母体材料の自発分極性を有する結晶構造中に、格子欠陥を形成することができる。
例えば、母体材料として上記α−SrAl24を例に挙げると、当該α−SrAl24の構造は、図4に示すように、AlO4の四面体6つでフレームが形成され、そのトンネル内にSrが配置された構成となる。そこで、SrまたはAlのサイトを置換するように、上記中心イオンを添加することで、自発分極性を有する結晶構造中に格子欠陥を形成することができる。このように、本発明では、母体材料として、結晶構造中にトンネル構造を有しているとともに、トンネル中に配置する元素はイオン結合で配置される材料が好ましく用いられる。
まず、添加された上記中心イオンが、α−SrAl24のSrサイトを置換している場合には、中心イオンとして添加される金属イオンが、Srよりもイオン径が小さいものである場合と、Srよりもイオン径が大きいものである場合とを挙げることができる。このように、Srと比較してイオン径が異なる金属イオンを添加することによって、結晶構造を歪みやすくすることが可能となり、弾性領域での発光強度をより向上させることが可能になる。
上記Srよりもイオン径が小さい金属イオンとしては特に限定されるものではなく、I−VIIIの何れの金属イオンであっても用いることができる。Sr2+のイオン径は0.132nmであるので、これよりも小さいイオン径を有する金属イオンを選択すればよい。より具体的には、Ca、Mg、Na、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mn、Co、Ni、Sn、Cu、Zn、Y、Cd、Mo、Ta、W、Fe、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等を挙げることができる。これら金属イオンは1種のみを用いてもよいし、2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
上記金属イオンの中でも、Mg、Na、Zn、Cu、Eu、Tm、Ho、Dy、Sn、Mn、Nd、Pr、Ca、からなる群より選択される少なくとも1種が用いられることが好ましい。上記群より選択される金属イオンを用いることにより、結晶構造をより歪みやすくすることが可能となり、弾性領域での発光強度を向上させることが可能となる。
次に、Srよりもイオン径が大きい金属イオンとしても特に限定されるものではないが、具体的には、Ba、K、Pbを挙げることができるが、中でも、Baおよび/またはKが用いられることが好ましい。これら金属イオンは1種のみを用いてもよいし、2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
Srサイトを置換する金属イオンとしては、Srよりもイオン径が小さいものと大きいものとの両方を添加することが好ましい。これによって、結晶構造をより一層歪みやすくすることが可能となり、弾性領域での発光強度をさらに向上することが可能となる。
(3)の応力発光材料においては、上記中心イオンとして添加される金属イオンとして、価数の異なる金属イオンを少なくとも2種以上添加することが好ましい。例えば、金属イオンとして上記のようにSrを採用した場合、Srは+2価のイオンである(Sr+2)であるため、価数の異なる金属イオン、例えば、+1価、+3価、+4価、+5価、+6価の少なくとも何れかの価数の金属イオンを添加することが好ましい。これにより、有効に格子欠陥を形成することができるため、有利となる。
上記のように、α−SrAl24を例に挙げると、Srサイトは構造的にはAlO4により形成されるフレーム中に存在するトンネルに入っていることになるため、構造的には自由度が高くなる。その結果、上記のように、様々な種類の金属イオンでSrサイトを置換することが可能になる。これは、α−SrAl24以外の母体材料を採用する場合でも同様である。このようにトンネル構造やひずみ易い構造を有すると応力発光を実現する上で有利となる。
上記中心イオンとして添加され、α−SrAl24のSrサイトを置換している金属イオンの添加量は特に限定されるものではなく、α−SrAl24の結晶構造を維持できる範囲内であればよいが、好ましくは、Srを基準として0.1〜40モル%の範囲内で添加すればよい。この範囲内であれば、結晶構造を維持できるとともに、結晶構造を歪みやすくすることが可能になり、弾性領域での発光強度を有効に向上することが可能となる。
さらに、中心イオンとして、Srよりもイオン径が小さい金属イオンと、Srよりもイオン径が大きい金属イオンとの両方を添加する場合には、全金属イオンの添加量が化学量論よりも少ないことが好ましい。このように添加量を設定することで、弾性領域での発光強度をより高いものとすることが可能となる。
次に、添加された上記中心イオンが、α−SrAl24のAlサイトを置換している場合にも、中心イオンとして添加される金属イオンが、Alよりもイオン径が小さいものである場合と、Alよりもイオン径が大きいものである場合とを挙げることができる。ここで、Srサイトに比較してAlサイトは、AlO4の四面体を構築しているため、Srサイトのように、置換できる金属イオンの選択範囲は広くない。
Al3+のイオン径は0.053nmであるので、これより小さいイオン径の金属イオンとしては、B、Siを挙げることができる。このうち、Bを用いることがより好ましい。Bを添加することで、発光強度をより向上させることが可能となる。一方、Alのイオン径よりも大きいイオン径を有する金属イオンとしては、Ga、In、Tl、Zr、Ti、V、Nbを挙げることができる。このうち、Ga、Inを用いることがより好ましい。
Alサイトを置換する金属イオンの場合も、Srサイトを置換する金属イオンと同様に、Alよりもイオン径が小さいものと大きいものとの両方を添加することが好ましい。また、Alサイトを置換している金属イオンの添加量は特に限定されるものではなく、α−SrAl24の結晶構造を維持できる範囲内であればよいが、好ましくは、Alを基準として0.1〜20モル%の範囲内で添加すればよい。
次に、(3)の応力発光材料の製造方法について説明する。
(3)の応力発光材料の製造方法は特に限定されるものではなく、上記各発光機構を実現できるような結晶構造を形成するように、公知の方法を用いて製造すればよい。具体的には、α−SrAl24を例に挙げると、上記母体材料に、自発分極性を有する結晶構造を形成するように、原料を混合して焼成すればよい。このときの原料としては、例えば、SrCO3およびAl23を用いることができる。さらに、欠陥中心の中心イオンとなる金属イオンを添加する場合には、当該金属イオンの酸化物を原料または最終的に酸化物になる原料に混合すればよい。
上記焼成の条件は特に限定されるものではなく、各イオンが所望の比率となるように原料を所定量混合して公知の焼成条件で焼成すればよい。焼成工程での雰囲気は特に限定されるものではなく、不活性ガス雰囲気下であればよいが、必要に応じてH2等のガスを所定量混合した雰囲気としてもよい。焼成温度は、特に限定されるものではなく、公知の温度範囲内とすることができるが、結晶構造を十分に形成することが温度範囲の選定条件となる。
<(4)複数の結晶構造が混在してなる混相を含んでいる応力発光材料>
(4)の応力発光材料は、複数の結晶構造を混在してなる混相とすることにより、単独の結晶構造では実現出来なかった、目視できる高効率な赤色応力発光が可能な発光材料である。なお、上記「混相」とは、複数の結晶構造が混在していることが、X線結晶回折(XRD)測定により確認できるもの、すなわちXRD測定の結果、複数の結晶構造に対応するピークが得られるものをいい、固溶体とは異なるものである。上記(4)の応力発光材料は、外力を加えて変形を生じさせることによって発光することができ、手で軽く変形させるだけで発光することができる。
上記混相は、ウルツ鉱型構造の酸化亜鉛と、立方晶又はウルツ鉱型構造の硫化亜鉛と、立方晶の酸化マンガンとの結晶構造の中から少なくとも2種類以上の結晶構造を有する複合結晶体であることが好ましい。この構成により、酸化亜鉛、硫化亜鉛、及び、酸化マンガンのうち、単独あるいはこれらの2つからなるものでは実現出来なかった、赤色発光体とすることが可能になる。すなわち、一般式、xZnO+yZnS+zMnOで表される混相とすることにより、赤色発光材料を実現することができる。
上記混相を構成する金属イオンの一部は、他の金属イオンに置換されたものであってもよい。この場合、上記混相を構成している金属イオンとは別の上記他の金属イオンはTeイオンであることが好ましい。これにより、(4)の応力発光材料の赤色発光の強度を大きく向上させることが可能となる。上記Teイオンは、上記混相を構成する金属イオン100モルに対し、0.1モル以上5モル以下の範囲内となるようにすることが好ましい。
(4)の応力発光材料は、上記混相が、正方晶構造のチタン酸バリウム、斜方晶構造のチタン酸カルシウム、菱面体晶構造のチタン酸マグネシウム、及び立方晶構造のチタン酸ストロンチウムの中から、少なくとも2種類以上を含むものであってもよい。この場合、上記混相を構成する金属イオンの一部が、他の金属イオンに置換されているものであってもよい。
また、(4)の応力発光材料は、一般式(Ca1−xA’Ba1−yTiO3、(Mg1−xA’Ba1−yTiO3、及び(Sr1−xA’)yBa1−yTiO(0.0001≦x≦0.05,0.005≦y≦0.995,A’はDy,La,Gd,Ce,Sm,Y,Nd,Tb,Pr,Erからなる群より選ばれる希土類元素)からなるものであってもよい。
上記の構成により、応力や電場を加えることにより光を発する発光性と圧電性とを兼ね備えた発光材料とすることができる。また、A’として示している希土類元素としては、プラセオジム(Pr)が最も好ましく用いられる。
本発明の発光材料は、強誘電性正方晶のBa1−xCaTiO3:Pr固溶体(0<x<0.23)と、常誘電性の斜方晶のBaCa1−yTiO:Pr固溶体(0.9<y<1)とからなる混相であってもよい。
また、(4)の応力発光材料は、発光強度が上記機械的な外力の大きさに比例するものであってもよい。
また、(4)の応力発光材料は、上記A’はEr又はPrであり、Er又はPrの配合量とCaの配合量とが最適化されたものであることが好ましい。
上記Caの比率が40%以上80%以下の範囲内、あるいは、上記Caの比率が1%以上35%以下の範囲内であることが好ましい。また、上記Caの比率が55%以上65%以下の範囲内、あるいは、上記Caの比率が25%以上35%以下の範囲内であることがより好ましい。
応力発光材料は、機械的な外力、例えば応力、せん断力、衝撃力、圧力等を加えることによって発光し、発光強度は、一般的に加える外力が大きいほど高くなる傾向がある。そして、特許文献8に記載の技術のように、摩擦発光材料を用いているため、発光させるためには表面を摩擦し押圧しなければならない場合もある。
しかしながら、上記(1)〜(4)の応力発光材料は、摩擦発光材料とは異なり、上述のように発光性に優れるため、大きな力を加えることなく、手で軽く変形させる程度の弱い外力を加えるだけでも発光することができ、特定の装置(例えばUVライト等)を用いなくても、その発光を目視で確認することができる。
したがって、上記(1)〜(4)の応力発光材料が含まれる本発明に係る応力発光構造物は、特定の装置や、応力発光構造物に力を加えるための道具や労力を用いなくても簡易に、短時間で真贋を判定することができるため、高い偽造防止性を有する。
また、上記(1)〜(4)の応力発光材料は、外力を加えれば自らが発光するものであり、発光を得るために二種類以上の化学物質を反応させる必要はないため、応力発光構造物の発光性が減衰することはない。したがって、証券等を長期間使用した後も真贋判定を可能とすることができる。この点からも、本発明に係る応力発光構造物は高い偽造防止性を有するといえる。
<応力発光構造物>
次に、本発明に係る応力発光構造物について、図5〜図16を参照しながら説明する。
本発明に係る応力発光構造物は、上記(1)〜(4)からなる群より選ばれた少なくとも1種類の応力発光材料を含むことが必要であるが、他の成分については特に限定されるものではない。また、上記(1)〜(4)の応力発光材料は、少なくとも1種類含まれていればよいため、複数種を組み合わせて用いてもよい。
上記他の成分としては、例えば上記応力発光材料を固定するための基板を挙げることができる。上記基板としては、上記応力発光材料を固定することができるものであれば特に限定されるものではない。例えば、有機物でも無機物でもあるいはこれらの組み合わせでもよく、天然由来のものでも、合成品でもあるいはこれらの組み合わせでもよい。
具体的には、例えば、通常の紙の他に、合成紙、あるいはポリエチレン、透明性を有するポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、塩化ビニルなどの合成フィルムを用いることもでき、また、カーボン、ガラス、セラミックス、金属、木、あるいはこれらの組み合わせ、およびこれらの加工製品などを挙げることができる。
図5は、本実施の形態において一例として用いられる、応力発光層を基板上に固定してなる応力発光構造物の縦断面を示す模式図である。
図5に示すように、応力発光構造物1は、応力発光層11と、基板12とを備えて構成されている。応力発光層11は、上記応力発光材料を含む層であり、上記応力発光材料の微粒子を接合剤に分散させたものである。応力発光層11としては、例えば応力発光材料を含む塗料、インキの乾燥膜等を挙げることができる。本明細書中で使用される場合、用語「接合剤」は、応力発光微粒子を分散させる媒体が意図される。好ましい接合剤としては、高分子有機材料が挙げられる。
応力発光材料の微粒子を分散させるための接合剤は、透明性および/または柔軟性を有する高分子有機材料であることが好ましい。特に、接合剤に応力発光材料の微粒子を混合してシート状応力発光構造物を作製する場合、接合剤は、種々の揮発性溶媒によって希釈可能であることが好ましい。好ましい接合剤は、ゴムまた樹脂であり、より好ましくは、エポキシ系樹脂およびアクリル樹脂などである。
基板12は、応力発光層11を固定するものであり、例えば上述のものを用いることができる。
応力発光層11は、例えばスクリーン印刷、スプレー印刷、インクジェット印刷、刷毛塗り、ロールコーテイング法、キスコート、ホイラーコート、カーテン塗装法、浸漬法、静電塗装法、グラビアコーター、グラビアオフセットコーター、平板オフセットコーター、ダイリソコーター、フレキソ、エアナイフコーター、バーコーター、凸版印刷、凹版印刷などの塗工手段により基板12の面の所定部あるいは全部に塗工し、必要に応じて乾燥、硬化することにより、基板12に固定される。
応力発光層11が塗工された応力発光構造物1に外力を加えると、手で軽く変形させただけでも、応力発光層11が変形によって発光する。このような方法を用いれば、少ない応力発光材料で大面積の発光が得られる。
なお、図5では基板12の片面の全体に渡って応力発光層11が固定された二層構造となっているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、基板12の2面以上に固定されていてもよい。また、必ずしも基板12の面全体に固定されていなくても、一部に固定されていてもよい。応力発光層11の基板12への塗工量は、特に限定されるものではない。また、応力発光層11は、基板12の内部に浸透していてもよい。
図6は、応力発光層を基板の上面と下面とに固定してなる応力発光構造物の縦断面を示す模式図である。図6に示すように応力発光層11aを基板12の上面に固定し、応力発光層11bを基板12の下面に固定して応力発光構造物1を構成することで、応力発光構造物1の発光量を増加させることができる。したがって、より少ない応力を付加するだけで真贋判定をすることができ、偽造防止性を向上することができる。
また、応力発光層11aに含まれる応力発光材料と、応力発光層11bに含まれる応力発光材料とを、別々の色を発光する応力発光材料とすることによって、基板12の上面と下面とで別々の発光色とすることも可能である。
また、応力発光層11は、基板12上に特定のパターンにてパターニングされていてもよい。図7は、応力発光層が基板上に特定のパターンにて設けられている応力発光構造物の縦断面を示す模式図である。図7では、応力発光層11は、基板12上に応力発光層11a〜11eとして、部分的に設けられている。このように、応力発光層11を基板12上に特定のパターンにて設けることにより、応力発光層11を任意の形状や模様に発光させ、応力発光構造物1を観察したときに当該形状や模様を目視することができる。
応力発光層11を基板12上にパターニングする方法としては、例えば、上述の塗工手段を用いる際に、塗工手段に応じた公知のパターン化手法を用いることができる。
図8は、図7に示した応力発光構造物に外力を加え、上から観察した様子を示す模式図である。図8に示すように、応力発光構造物1のうち、応力発光層11a〜11eがパターニングされた部分だけが光るので、間隔の開いた帯状の発光を目視で観察することができる。
図9は、応力発光層を基板上に特定のパターンで設け、発光を文字として観察できるようにした応力発光構造物に外力を加え、上から観察した様子を示す模式図である。図9に示すように、「ACHO」の文字を構成するように応力発光層11を基板12上にパターニングすることで、応力発光構造物1のうち、応力発光層11が「ACHO」の文字を構成するようにパターニングされた部分だけが光るので、当該文字を目視で観察することができる。
なお、図7〜図9に示した応力発光層11に含まれる応力発光材料は、別々の色の光を発光するものを組み合わせて用いることによって、任意の2色以上の色を発光させることも可能である。
図7〜図9に例示したように、応力発光層が基板上に特定のパターンにて設けられている応力発光構造物を作製すれば、外力を加えることにより、応力発光材料を偽造者が予想し得ない形状や模様として発光させることができる。したがって、このパターンを確認することで真贋を判定することも可能なので、より効率的な偽造防止が実現できる。
本発明の応力発光構造物は、上記応力発光材料と他の無機材料又は有機材料との複合材料とし、これに機械的外力を加えて、それを変形させることによっても発光させることができる。例えば、上記応力発光材料を樹脂やプラスチックなどの有機材料に任意の割合で混合又は埋込んで応力発光構造物を形成し、この応力発光構造物に機械的な外力を加えると、上記応力発光材料が、機械的な変形によって発光する。
上記応力発光構造物の用途は、偽造防止の必要性があるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、例えば紙を材料とする有価証券(紙幣、株券、金券、債権書等)、各種チケット、身分証明書、パスポート、保険証、公文書、各種証明書等や、プラスチックを材料とするICカード、磁気カード、リライトカード等のカード類などを挙げることができる。また、応力発光構造物の形態としては、特に限定されるものではなく、例えばシート状、板状、箔状等が挙げられるが、簡単に携帯することができるため、シート状に形成されたものであることが特に好ましい。
本明細書中で使用される場合、用語「シート」は、平面状の薄い構造物であって折り曲げ等の加工が容易である構造物(例えば、紙)が意図される。本明細書中で意図されるシートの厚さは特に限定されないが、好ましくは0.5mm以下、より好ましくは0.1mm以下である。5〜50μmの厚さのいわゆる薄膜もまたシートであることが当業者に容易に理解される。
応力発光構造物をシート状に形成するための方法は、当該分野において周知の方法を使用すればよく、特に限定されない。例えば、押し出し機の先端に取り付けた金型から流動状態の材料を押し出し成形する押し出し法、または加熱した回転ローラーで材料を融かしつつ圧延し、さらにロールで冷却しつつ圧延してシートを形成するカレンダー加工法が好ましく用いることができる。
上記応力発光材料は、必ずしも耐水性を有していなくてもよいが、応力発光材料の種類によっては水に入れると特性を失うものもあるため、耐水性を有することが好ましい。応力発光材料に耐水性を付与する方法としては、例えば応力発光材料を表面処理する方法を挙げることができる。
表面処理に用いる化合物(以下適宜「表面処理剤」という)としては、上記応力発光材料の表面と反応することができる官能基を有する有機化合物であれば、特に限定されるものではないが、酸性基またはそのエステルを含む化合物であることが好ましい。酸性基としては、リン酸基、亜リン酸基、スルホン酸基、カルボン酸基、およびシラノール基の少なくとも何れかであることがより好ましく、リン酸基であることがさらに好ましい。
表面処理剤の分子量は特に限定されるものではなく、上記の官能基を有していればよい。また、官能基の数は、一つでもよく、複数有していてもよい。さらに、官能基の位置についても特に限定されるものではなく、側鎖に結合していてもよいし、末端に結合していてもよい。
表面処理の方法は、上記の表面処理剤を応力発光材料と反応させることができるものであればよく、特に限定されるものではない。上記の表面処理剤を応力発光材料と反応させる方法としては、例えば、上記表面処理剤を有機溶媒に溶解させ、当該溶液に上記応力発光材料を添加し、攪拌する方法を好適に用いることができる。
このように表面処理を施し、耐水性を付与した応力発光材料は、基板が紙である応力発光構造物の製造に特に好ましく用いることができる。紙の製造は水系のパルプ溶液から行われ、通常紙の製造時には、紙の白度、不透明度、印刷適性の向上のため、填料としてタルク、クレー、炭酸カルシウム等の鉱物の微粒子が添加されるが、耐水性を付与した応力発光材料は水に入れても特性を失わないので、これらの鉱物の微粒子と同様に填料として加えることができるという利点がある。また、耐水性を付与した応力発光材料は、水系インクの構成成分として用いることができるという利点もある。
応力発光材料の粒度は、特に限定されるものではないが、印刷方法によってそれぞれの方法に適した粒度が異なる。例えばスクリーン印刷の場合は、粒度が0.01μm以上50μm以下であることが好ましく、0.2μm以上10μm以下であることがさらに好ましく、0.2μm以上2μm以下であることが特に好ましい。
また、スプレー印刷の場合は0.2μm以上50μm以下であることが好ましく、インクジェット印刷の場合は0.01μm以上1μm以下であることが好ましい。オフセット印刷の場合は、0.01μm以上2μm以下であることが好ましい。応力発光材料の粒度を上記範囲に調整することにより、上記粒度が各印刷方法に適したものとなるので、良好な状態で応力発光材料を印刷することができる。
上記応力発光構造物には、応力発光材料の発光性を損なわない限り、他の添加物を混合しても構わない。ここで、「他の添加物」としては、例えば、反射材、拡散材、上記応力発光材料を含有する接合剤よりも高い弾性率の透明な粒子等が挙げられる。
上記「反射材」とは、応力発光材料から発光される光を反射する材料である。これにより、応力発光材料から発せられる光が強められるため、応力発光構造物をより明るく見えるようにすることができる。反射材としては、例えば金属アルミニウム、ゲルマニウム等を用いることができる。
上記「拡散材」とは、応力発光材料から発光される光を拡散する材料である。上記応力発光材料から発光される光が拡散されるため、応力発光構造物をより明るく見えるようにすることができる。拡散材としては、例えばシリカ、アルミナ等を用いることができる。
応力発光材料を含有する接合剤よりも高い弾性率の粒子(以下「微細構造物」という)とは、球状、針状または繊維状の形態を有する任意の物質であって、これらの形態の特徴を現わすパラメータ(例えば、粒径および直径)が小さい構造を有する物質が意図される。本発明において使用される微細構造物は、上記接合剤より大きな弾性率を有することを特徴としており、接合剤の種類によって任意に選択され得る。
上記応力発光構造物は、上記微細構造物を含むことに起因して、外力に応じて当該微細構造物間に応力集中が発生して、応力発光材料の微粒子に対してより強い応力が作用し、その結果、より強い光を発生させることができる。
「弾性率」は、外力を適用された物質(弾性体)が変形する際に生じる歪みと外力の割合(力/歪み)である。一般に「弾性率」は、ヤング率、体積弾性率、剛性率またはポアゾン比で表されるが、本明細書中で使用される場合、用語「弾性率」は、体積弾性率が意図される。
好ましい微細構造物としては、金属、ガラス、セラミクス、プラスチック、人工繊維(例えば、セルロース)または天然繊維(例えば、ナイロン、アクリルまたはポリエステル)シリカ、アルミナ等が挙げられる。微細構造物の形状は、繊維状、針状または球状であることが好ましい。微細構造物の大きさは、最終生成品である応力発光構造物中に含まれる大きさであれば特に限定されないが、応力発光構造物内に応力集中を発生させるために、その直径は応力発光材料の微粒子より大きいことが好ましい。
従って、微細構造物の大きさは、用途に応じた応力発光構造物の厚みおよび応力発光材料の微粒子の大きさによって変動し得るが、1μm〜0.2mmであることが好ましく、20μm〜100μmであることがより好ましい。微細構造物の形状が針状である場合は、そのアスペクト比が20〜100であることが好ましい。なぜなら、針状の微細構造物においてその端部での応力集中が球状の場合と比較して大きくなるからである。
上記微細構造物は透明性を有していなくてもよいが、微細構造物間に存在する応力発光材料の微粒子の発光を効率よく周囲に放射するために透明であることが好ましい。
上述の添加剤の他に含有可能な添加剤としては、例えば、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、結晶核剤、発泡剤、抗菌・防黴剤、充填剤、強化剤、導電性フィラー、帯電防止剤等を挙げることができる。
本発明に係る応力発光構造物は、表面に保護層が設けられていることが好ましい。上記保護層としては、応力発光構造物の表面を保護できるもので、発光を妨げないものであれば特に限定されるものではない。例えば、透明樹脂のラミネートフィルム、プラスチックコーティング膜、透明な無機薄膜等を挙げることができる。表面に保護層を設けることにより、応力発光構造物の表面を保護できるので、長時間使用されても真贋判定が可能な応力発光構造物を提供することができ、偽造防止性をより高めることができる。
保護層を設ける方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いることができる。例えば、ラミネート加工の方法としては、熱溶融性樹脂を溶かして基材と接着させるTダイ押出ラミネート法や、接着用樹脂を使用せずウレタンフォームを火炎で溶かし布などと貼り合わせるフレームラミネート法等が挙げられる。
その他の方法としては、塗布法(ロールコーティング(ロールコータ)、インモールドコーティング、流動層コーティング等)、機械的処理法(ショットブラスト、ショットピーニング等)、熱処理法(浸炭、窒化、イオン注入等)、化学的処理法、湿式めっき法、溶射法、PVD法(真空蒸着、分子線エピタキシー法、スパッタ法、イオンプレーティング法等)、CVD法(熱CVD法、プラズマCVD法、光CVD法、レーザCVD法等)などの方法を用いることができる。
また、本発明に係る応力発光構造物は、紫外線吸収層が表面に設けられていることが好ましい。「紫外線吸収層」とは、可視光(波長:400〜700nm)を80%以上透過し、紫外線(波長:400nm以下)の透過が5%以下であるような光学的特性を持つ層である。紫外線吸収層としては特に限定されるものではない。例えば、市販の紫外線吸収塗料等を用いることができる。
紫外線吸収塗料としては、例えば樹脂に有機系紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、トリアジン系、ヒンダードアミン系、ベンゾエート系、ベンゾイルレゾルシノール系等)あるいは無機系紫外線吸収剤(酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛等)を複合化させたものを用いることができる。また、紫外線吸収層を応力発光構造物の表面に設ける方法としては、例えば上述の保護膜を設ける方法や、公知の印刷方法、例えばオフセット印刷、スクリーン印刷、スプレー印刷、インクジェット法を用いることができる。
蛍光性又は発光性物質を取り込ませた有価証券等の真贋判定は、当該有価証券等をUVライトの下において紫外線を照射し、蛍光性又は発光性物質の発光を観察することによって行われる。しかしながら、紫外線吸収層が表面に設けられた応力発光構造物は、紫外線がカットされるので、紫外線を照射しただけでは光らない。
そのため、本発明に係る応力発光構造物は、UVライトを用いても通常のものと見分けがつかず、偽造対策処理がなされていることを見破られるおそれがない。さらに、外力を与えたときに応力発光材料が発光するか否か、およびUVライト下で応力発光構造物が光らないかという2つの観点から真贋判定ができるので、偽造防止を効率的に実現できる。
上記「表面」とは、偽造対策処理がなされていることを見破られないという観点からは、UVランプ等を照射したときに紫外線が当たりうる箇所には紫外線吸収層が設けられていることが好ましいため、応力発光構造物の表面全体であることが好ましい。ただし、UVライト下で応力発光構造物が光らないかという観点での真贋判定にも利用できるので、必ずしも表面全体に限定されるものではない。
図10は、基板上に固定した応力発光層の表面全体を紫外線吸収層で覆った応力発光構造物を上から観察した様子を表す模式図である。図10に示すように、応力発光構造物1においては、応力発光層11の表面全体が紫外線吸収層13で覆われているので、応力を印加しない限り、紫外線を照射しただけでは応力発光層11は光らない。
また、上記紫外線吸収層は特定のパターンにて設けられていても構わない。図11は、基板上に固定した応力発光層の上に紫外線吸収層を特定のパターンにて設け、紫外線を照射して観察した様子を示す模式図である。図11に示すように、基板12の上に設けられた応力発光層11の上に紫外線吸収層13を「AIST」の文字を構成するようにパターニングすることで、応力印加時は応力発光層11の全面が光るが、紫外線照射時は「AIST」の文字が白抜きとなって目視で観察される。
このように、紫外線吸収層を特定パターンにて設けることで、応力発光構造物1に紫外線を照射したとき、特定パターンの部分だけ応力発光構造物が光らないようにできる。このパターンを確認することで真贋を判定することも可能なので、より効率的な偽造防止が実現できる。
上述の保護層、紫外線吸収層は、上述のように応力発光構造物の表面に設けられていることが好ましい。図12は、応力発光層を基板上に固定し、応力発光層の上に表面層を設けて三層構造とした応力発光構造物の縦断面を示す模式図である。
図12において、表面層14は、保護層および/または紫外線吸収層である。すなわち、表面層14は、保護層のみからなるものであってもよいし、紫外線吸収層のみからなるものであってもよいし、保護層および紫外線吸収層からなるものであってもよい。保護層および紫外線吸収層からなる表面層14は、例えば紫外線吸収層の上に保護層を形成することによって製造することができる。
また、上記表面層14は、微細構造物15を含んでいてもよい。図13は、図12に示す三層構造の応力発光構造物の表面層にさらに微細構造物を含ませた応力発光構造物の縦断面を示す模式図である。表面層14に微細構造物15が含まれることにより、外力が印加されたときに応力集中により、応力発光層11にかかる応力が増大されるため、発光を強くすることができる。
表面層14に微細構造物15を含ませる方法としては、例えばラミネート樹脂やプラスチックコーティング用樹脂に微細構造物を予め混練させておき、それを用いて、上述の保護膜を設ける方法により表面層を形成するような方法を用いることができる。
上述の反射材、拡散材は、それぞれ、応力発光材料から発光される光を反射、拡散して応力発光構造物をより明るく見えるようにするものであるから、応力発光構造物中においては、応力発光層の下部に含まれることが好ましい。上記三層構造の応力発光構造物は、表面層の代わりに支持層を有するものであってもよい。
図14は、支持層を基板上に固定し、当該支持層の上に応力発光層を設けて三層構造とした応力発光構造物の縦断面を示す模式図である。支持層16は、反射材および/または拡散材からなる。また、上記支持層16は、微細構造物15を含んでいてもよい。微細構造物15は、応力発光層11に加わる力を集中させて発光輝度を高める役割を果たすので、応力発光層11の上部にあってもよいし、下部にあってもよいが、発光の透過性を考慮すると、支持層16に含まれる方が好ましい。
支持層16に微細構造物15を含ませる方法としては、例えば反射材および/または拡散材に微細構造物を予め混練させておき、それを用いて、上述の保護膜を設ける方法により支持層を形成するような方法を用いることができる。
図15は、支持層を基板上に固定し、当該支持層の上に応力発光層を設け、さらに当該応力発光層層の上に表面層を設けて四層構造とした応力発光構造物の縦断面を示す模式図である。
図16は、図15に示す四層構造の応力発光構造物の支持層にさらに微細構造物を含ませた応力発光構造物の縦断面を示す模式図である。図16に示す応力発光構造物1では、外力が印加されると、微細構造物15により応力発光層11にかかる応力が増大されるため、応力発光層11の発光がより強くなり、さらにその光が支持層16によってより明るく見えるようになる。そのため、図16に示す応力発光構造物は、非常に効率よく偽造防止効果を発揮することができる。
図16では、微細構造物15は支持層16に含まれているが、これに限定されるものではない。微細構造物15は、応力発光層11に加わる力を集中させて発光輝度を高める役割を果たすので、応力発光層11の上部にあってもよいし、下部にあってもよい。例えば、表面層14に含まれていても構わない。なお、発光の透過性を考慮すると、支持層16に含まれる方が好ましい。
(B)応力発光構造物の製造方法
(1)スクリーン印刷
一実施形態において、本発明に係る応力発光構造物の製造方法では、基板上に偽造防止用の応力発光材料をスクリーン印刷する。スクリーン印刷とは、孔版印刷の一種で、パターン支持材としてスクリーンメッシュを用い、その上に作られた版画像を通して印刷インクを被印刷体に転移させ画像複製を行う技術の総称である。
スクリーン印刷による応力発光構造物の製造は例えば以下のように行うことができる。まず、スクレッパーなどを用いて、スクリーンメッシュに設けられたパターンに応力発光材料を充填する。続いて、スクリーンメッシュを紙やプラスチックフィルム等の基板に押し付け、開口部から応力発光材料を吐出させて基板に転写することにより、応力発光構造物を得ることができる。応力発光材料を塗布したくない部分には、乳剤でマスキングをして応力発光材料が漏れないようにすればよい。印刷は、手刷りで行ってもよいし、印刷装置を用いてもよい。印刷装置としては、従来公知の装置を用いることができる。
(2)スプレー印刷
一実施形態において、本発明に係る応力発光構造物の製造方法では、基板上に偽造防止用の応力発光材料をスプレー印刷する。
スプレー印刷による応力発光構造物の製造は例えば以下のように行うことができる。まず、応力発光材料を含む塗料を入れた容器に圧縮空気等により圧力をかけ、ノズルから微細な霧状に噴出させて基板に吹き付けることにより、応力発光構造物を得ることができる。応力発光材料を塗布したくない部分には、マスキングを施して応力発光材料が付着しないようにすればよい。印刷装置としては、従来公知の装置を用いることができる。
(3)インクジェット印刷
一実施形態において、本発明に係る応力発光構造物の製造方法では、基板上に偽造防止用の応力発光材料をインクジェット印刷する。
インクジェット印刷による応力発光構造物の製造は例えば以下のように行うことができる。まず、インクリザーバに充填した応力発光材料を、インクリザーバのノズル部分で超音波振動により粒状とし、帯電電極で塗布する位置に対応した電荷を与え、偏向電極で噴出方向へ偏向する。このときの角度は帯電量と偏向電極の電圧で制御され,所定の位置(幅方向)に応力発光材料の粒を塗布する。塗布されない応力発光材料の粒は帯電されず,インクリザーバへ戻し再使用される。印刷装置としては、従来公知の装置を用いることができる。
(4)オフセット印刷
オフセット印刷は、商業的に最も広く用いられている印刷方法であり、同じ版の印刷物を大量に印刷する場合に適している。精細な印刷が可能であり、また、平らな紙やフィルムだけでなく、凹凸や地模様のある特殊紙など、様々なものに印刷することができる。したがって、大量に流通する有価証券類、カード類等に対して、本発明に係る応力発光構造物を用いた偽造防止技術を適用可能である。
一実施形態において、本発明に係る応力発光構造物の製造方法では、基板上に偽造防止用の応力発光材料をオフセット印刷する。オフセット印刷とは、親水面と撥水面を形成した版にインクをつけ、転写胴(ブランケット)にインクを移し、転写胴から被印刷体に転写することで印刷する技術の総称である。油性のインクは撥水面のみにのることを利用して、画線部(インクが付く部分)と非画線部(インクが付かない部分)を分けることができる。
オフセット印刷による応力発光構造物の製造は例えば以下のように行うことができる。まず、版に応力発光材料をつけ、ゴム等の弾性をもったシート(ブランケット)の上に転写し、ついで被印刷体へ転写することにより、応力発光構造物を得ることができる。印刷装置としては、従来公知の装置を用いることができる。
(5)基板上に偽造防止用の応力発光材料をパターニングする応力発光構造物の製造方法
応力発光材料は、スクリーン印刷、スプレー印刷、インクジェット印刷等の塗工手段を用いて基板上に固定することができるが、その際に応力発光材料をパターニングすることにより、特定のパターンにて基板上に固定することができる。パターニングの方法としては、例えば、上述の塗工手段を用いる際に、基板上の所望のパターンを設けたい場所以外をマスキングする方法等を用いることができる。
なお、上述のように、応力発光材料は接合剤に分散させた応力発光層として基板上に固定しても構わない。
(C)真贋判定装置
次に、本発明に係る真贋判定装置の実施形態について図17から図19に基づいて説明すると以下のとおりである。
図17は、一実施の形態に係る真贋判定装置100の構成の概略を示す横断面図である。図17に示すように、真贋判定装置100は、運搬および加圧用ローラー(応力付与手段)101、運搬用ローラー102、発光センサ(光検知手段)103、挿入口104、排出口105を備えて構成されている。
運搬および加圧用ローラー(応力付与手段)101は、回転することにより検査対象106に応力を与えるものである。挿入口104から真贋判定装置100に挿入された検査対象106には、回転している運搬および加圧用ローラー(応力付与手段)101と接触し、運搬および加圧用ローラー(応力付与手段)101から回転力によって排出口105側に移送される間に運搬および加圧用ローラー(応力付与手段)101と接触することにより発生する応力が加わる。
なお、図17では運搬および加圧用ローラー(応力付与手段)101は1つのみ示されているが、その数は特に限定されるものではなく、2つ以上備えていても構わない。例えば運搬および加圧用ローラー(応力付与手段)101を2つ設け、当該2つのローラーの間に検査対象106を挟み、検査対象106に応力を印加するとともに排出口105側に移送する構成であってもよい。
また、真贋判定装置100には、挿入口104から挿入された検査対象106を載置し、移送する移送手段を設けてもよい。例えば、運搬および加圧用ローラー(応力付与手段)101の下部にベルトコンベアを設け、当該ベルトコンベア上に検査対象106を載置し、移送するようにしてもよい。
発光センサ(光検知手段)103は、検査対象106から発せられる光を検出するためのものである。発光センサ(光検知手段)103としては、光を検出することができるものであれば特に限定されない。例えばフォトダイオード、フォトトランジスタ、フォトIC、光導電セル、イメージセンサ、フォトマル等従来公知のセンサを用いることができる。
検査対象106が本発明の応力発光構造物であれば、検査対象106は印加された応力によって発光し、当該光を発光センサ(光検知手段)103が検知するため、検査対象106が真性品であると判別できる。一方、検査対象106が応力発光材料を含まない偽造品であれば発光しないので、発光センサ(光検知手段)103は光を検知しない。そのため、検査対象106が偽造品であると判別できる。
運搬用ローラー102は、運搬および加圧用ローラー(応力付与手段)101から移送されたけ検査対象106を排出口105に移送するためのものである。挿入口104は検査対象106を真贋判定装置100に挿入するためのものである。排出口105は、検査対象106を真贋判定装置100から排出するためのものである。
真贋判定装置100の用途としては、具体的には自動改札機、セキュリティカードリーダー等を挙げることができる。
図18は、他の実施の形態に係る真贋判定装置200の構成の概略を示す縦断面図である。図18に示すように、真贋判定装置200は、運搬および加圧用ローラー(応力付与手段)201、発光センサ(光検知手段)202、挿入および排出口203、を備えて構成されている。
運搬および加圧用ローラー(応力付与手段)201は、回転することにより検査対象106に応力を与えるものである。図18では、運搬および加圧用ローラー(応力付与手段)201は、201aおよび201bの2つが設けられており、挿入および排出口203から真贋判定装置200に挿入された検査対象106は、回転している運搬および加圧用ローラー(応力付与手段)201aおよび201bの間に挟まれることにより応力が印加される。運搬および加圧用ローラー(応力付与手段)201の数は限定されるものではなく、少なくとも1つ備えていればよい。
発光センサ(光検知手段)202は、検査対象106から発せられる光を検出するためのものである。発光センサ(光検知手段)202としては、真贋判定装置100と同様のセンサを用いることができる。検査対象106が本発明の応力発光構造物であれば、検査対象106は印加された応力によって発光し、当該光を発光センサ(光検知手段)202が検知するため、検査対象106が真性品であると判別できる。一方、検査対象106が応力発光材料を含まない偽造品であれば発光しないので、発光センサ(光検知手段)202は光を検知しない。そのため、検査対象106が偽造品であると判別できる。
挿入および排出口203は、検査対象106を真贋判定装置200の内部に挿入および外部に排出するためのものである。図18では挿入口と排出口は一つにまとめられているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、挿入口と排出口が別々に設けられていてもよい。図18のように挿入口と排出口が一つにまとめられている場合は、例えば切り替えスイッチ等を設け、運搬および加圧用ローラー(応力付与手段)201の回転方向を挿入時と排出時で逆方向に切り替える。図18では、検査対象106の挿入時は運搬および加圧用ローラー(応力付与手段)201aおよび201bを左回りに回転させ、排出時は右回りに回転させればよい。
真贋判定装置200の用途としては、具体的にはATM等を挙げることができる。
図19(a)および図19(b)は、他の実施の形態に係る真贋判定装置300の構成の概略を示す縦断面図である。図19(a)は、検査対象に圧力をかける前の状態を示す図であり、図19(b)は、真贋判定のため検査対象に圧力をかけているときの状態を示す図である。図19(a)および図19(b)に示すように、真贋判定装置300は、ピストン(応力付与手段)301、発光センサ(光検知手段)302、筐体303を備えて構成されている。
ピストン(応力付与手段)301は、検査対象106に応力を与えるものであり、ピストン先端部301aとピストン可動部301bとから構成されている。ピストン可動部301bは、上下運動することができ、ピストン先端部301aを検査対象106と接触させる。また、ピストン可動部301bは、内部に発光センサ(光検知手段)302を備えている。
ピストン先端部301aは、検査対象106と直接接触する部分であり、検査対象106が真正品すなわち応力発光構造物である場合は、検査対象106から発せられた光を、発光センサ(光検知手段)302が検知できるように透過する必要がある。そのため、ピストン先端部301aは透明であることが好ましい。例えば、透明プラスチックまたはガラスで作られていることが好ましい。また、ピストン先端部301aの形状は特に限定されるものではないが、発光センサ(光検知手段)302が効率よく集光できるようにするために、レンズ状になっていることが好ましい。
発光センサ(光検知手段)302は、検査対象106から発せられる光を検出するためのものであり、真贋判定装置100、真贋判定装置200と同様のセンサを用いることができる。筐体303は、ピストン301を摺動させるための外枠であり、下部には検査対象106がセットされる。
真贋判定装置300では、ピストン可動部301bを下方に動かし、ピストン先端部301aを検査対象106に接触させて、検査対象106に圧力を印加する。検査対象106が発光した場合は、ピストン先端部301aを透過した光を、ピストン可動部301bの内部に設けられた発光センサ(光検知手段)302が検知する。なお、ピストン可動部302は、モーター等の動力によって動かしてもよいし、手動で可動動かしてもよい。
検査対象106が本発明の応力発光構造物であれば、検査対象106は印加された圧力によって発光し、当該光を発光センサ(光検知手段)302が検知するため、検査対象106が真性品であると判別できる。一方、検査対象106が応力発光材料を含まない偽造品であれば発光しないので、発光センサ(光検知手段)302は光を検知しない。そのため、検査対象106が偽造品であると判別できる。
真贋判定装置300の用途としては、具体的には検札用スタンプ等を挙げることができる。
なお、本発明は以上説示した各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以上のように、本発明の応力発光構造物は、特定の応力発光材料を含むので、手で軽く変形させるだけで発光することができる。そのため、特別な真贋判定装置や労力を必要とせず、誰にでも簡単に真贋判定ができ、長期間使用した後も真贋判定可能な、偽造防止性が高い応力発光構造物となっている。したがって、本発明の応力発光構造物は、有価証券、各種証明書等、カード類など、偽造防止が求められるものに広く適用可能であり、印刷業、金融業、保険業等の産業に広く応用することが可能である。
CaAlSiの結晶構造を示す模式図である。 SrMgSiの結晶構造を示す模式図である。 Ba(POの結晶構造を示す模式図である。 α−SrAl24の構造を示す模式図である。 応力発光層を基板上に固定してなる応力発光構造物の縦断面を示す模式図である。 応力発光層を基板の上面と下面とに固定してなる応力発光構造物の縦断面を示す模式図である。 応力発光層が基板上に特定のパターンにて設けられている応力発光構造物の縦断面を示す模式図である。 図7に示した応力発光構造物に外力を加え、上から観察した様子を示す模式図である。 応力発光層を基板上に特定のパターンで設け、発光を文字として観察できるようにした応力発光構造物に外力を加え、上から観察した様子を示す模式図である。 基板上に固定した応力発光層の表面全体を紫外線吸収層で覆った応力発光構造物を上から観察した様子を表す模式図である。 基板上に固定した応力発光層の上に紫外線吸収層を特定のパターンにて設け、紫外線を照射して観察した様子を示す模式図である。 応力発光層を基板上に固定し、応力発光層の上に表面層を設けて三層構造とした応力発光構造物の縦断面を示す模式図である。 図12に示す三層構造の応力発光構造物の表面層にさらに微細構造物を含ませた応力発光構造物の縦断面を示す模式図である。 支持層を基板上に固定し、当該支持層の上に応力発光層を設けて三層構造とした応力発光構造物の縦断面を示す模式図である。 支持層を基板上に固定し、当該支持層の上に応力発光層を設け、さらに当該応力発光層層の上に表面層を設けて四層構造とした応力発光構造物の縦断面を示す模式図である。 図15に示す四層構造の応力発光構造物の支持層にさらに微細構造物を含ませた応力発光構造物の縦断面を示す模式図である。 真贋判定装置100の構成の概略を示す横断面図である。 真贋判定装置200の構成の概略を示す縦断面図である。 真贋判定装置300の構成の概略を示す縦断面図である。図19(a)は、検査対象に圧力をかける前の状態を示す図であり、図19(b)は、真贋判定のため検査対象に圧力をかけているときの状態を示す図である。
符号の説明
1 応力発光構造物
11 応力発光層
12 基板
13 紫外線吸収層
14 表面層
15 微細構造物
16 支持層
100 真贋判定装置
101 運搬および加圧用ローラー(応力付与手段)
103 発光センサ(光検知手段)
106 検査対象
200 真贋判定装置
201 運搬および加圧用ローラー(応力付与手段)
202 発光センサ(光検知手段)
300 真贋判定装置
301 ピストン(応力付与手段)
301a ピストン先端部
301b ピストン可動部
302 発光センサ(光検知手段)

Claims (20)

  1. 偽造防止用に応力発光材料が含まれている応力発光構造物であって、以下の(1)〜(4)からなる群より選ばれた少なくとも1種類の応力発光材料を含むことを特徴とする応力発光構造物。
    (1)多面体構造の複数の分子によって形成される母体構造の空間に、アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンが、挿入された基本構造を有し、
    上記空間に挿入された、アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンの一部が、希土類金属イオン、遷移金属イオン、III族の金属イオン、およびIV族の金属イオンからなる群より選択される、少なくとも1種の金属イオンによって置換されている応力発光材料。
    (2)少なくともAlO様構造およびSiO様構造の四面体構造を有する複数の分子が、その四面体構造の頂点の原子を共有して結合することにより形成された母体構造の空間に、アルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンの少なくとも一方が挿入された基本構造を有し、
    上記母体構造は、さらに、非対称性のフレームワーク構造を有しており、
    上記空間に挿入されたアルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンの少なくとも一方の一部が、希土類金属イオンおよび遷移金属イオンの少なくとも1種の金属イオンに置換されている応力発光材料。
    (3)歪エネルギーにより発光する条件を満たしている応力発光材料。
    (4)複数の結晶構造が混在してなる混相を含んでいる応力発光材料。
  2. 上記基本構造が長石構造であることを特徴とする請求項1に記載の応力発光構造物。
  3. 上記応力発光材料には、少なくとも1種のアルミン酸塩からなる母体材料を含有しているとともに、
    歪による圧電効果に由来する発光機構を実現するために、上記母体材料には、自発分極性を有する結晶構造が含まれることを特徴とする請求項1に記載の応力発光構造物。
  4. 上記母体材料がα−SrAlであることを特徴とする請求項3に記載の応力発光構造物。
  5. シート状に形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の応力発光構造物。
  6. 上記応力発光材料は、耐水性を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の応力発光構造物。
  7. 上記応力発光材料の粒度が、0.2μm以上50μm以下であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の応力発光構造物。
  8. 上記応力発光材料から発光される光を反射する反射材を含むことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の応力発光構造物。
  9. 上記応力発光材料から発光される光を拡散する拡散材を含むことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の応力発光構造物。
  10. 上記応力発光材料を含有する接合剤よりも高い弾性率の粒子を含むことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の応力発光構造物。
  11. 表面に保護膜が設けられていることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の応力発光構造物。
  12. 表面がラミネート加工されていることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の応力発光構造物。
  13. 紫外線吸収層が表面に設けられていることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の応力発光構造物。
  14. 上記紫外線吸収層が特定のパターンにて設けられていることを特徴とする請求項13に記載の応力発光構造物。
  15. 基板上に偽造防止用の応力発光材料をスクリーン印刷することを特徴とする応力発光構造物の製造方法。
  16. 基板上に偽造防止用の応力発光材料をスプレー印刷することを特徴とする応力発光構造物の製造方法。
  17. 基板上に偽造防止用の応力発光材料をインクジェット印刷することを特徴とする応力発光構造物の製造方法。
  18. 基板上に偽造防止用の応力発光材料をオフセット印刷することを特徴とする応力発光構造物の製造方法。
  19. 基板上に偽造防止用の応力発光材料をパターニングすることを特徴とする応力発光構造物の製造方法。
  20. 偽造防止用に応力発光材料が含まれている応力発光構造物に応力を与える応力付与手段と、
    上記応力発光構造物の発光を検知する光検知手段と、を備えていることを特徴とする真贋判定装置。
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