JP2006315423A - パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 演算部は、その出力信号によってスイッチを通常制御系、特殊制御系或は戻り制御系に切り換え、単位時間毎に車速の変化量ΔVを演算し、直前に演算した車速V0と現在の車速との変化量ΔVが予め設定した変化量ΔVf以上になったかどうかを判定し、変化量ΔV≦設定変化量ΔVfのとき、スイッチを通常制御系に切り換えて、電流指令値I1或はI2に基づいた電流指令値をソレノイド励磁電流Iとして出力させ、変化量ΔV>設定変化量ΔVfのときスイッチを特殊制御系に切り換え、電流指令値I1或はI2とは別系統である予め設定した特殊制御系電流指令値をソレノイド励磁電流Iとして出力させ、変化量ΔVが設定変化量以内にあれば、スイッチを戻り制御系に切り換えて電流指令値I1或はI2に基づく電流指令値に復帰させる。
【選択図】 図1
Description
本体Bには、流量制御弁Vのスプール1とともにポンプPも一体的に組み込んでいる。
上記スプール1は、その一端を一方のパイロット室2に臨ませ、他端を他方のパイロット室3に臨ませている。上記一方のパイロット室2は、ポンプポート4を介してポンプPに常時連通している。また、他方のパイロット室3にはスプリング5を介在させている。このようにした両パイロット室2,3は、ソレノイドSOLの励磁電流Iに応じて開度を制御する可変オリフィスaを介して、たがいに連通している。
したがって、上記両パイロット室2,3は、可変オリフィスaを介して連通することになり、可変オリフィスaの上流側の圧力が一方のパイロット室に作用し、下流側の圧力が他方のパイロット室3に作用することになる。
今、エンジン等からなるポンプ駆動源12が停止していると、ポンプポート4に圧油が供給されない。ポンプポート4に圧油が供給されなければ、両パイロット室2,3には圧力が発生しないので、スプール1はスプリング5の作用で図示のノーマル位置を保つ。
このようにスプール1がスプリング5に抗して移動することによって、タンクポート11の開度を大きくするが、このときのタンクポート11の開度に応じて、ステアリングバルブ9側に導かれる制御流量QPと、タンクTあるいはポンプPに還流される戻り流量QTの分配比が決まる。言い換えれば、タンクポート11の開度に応じて制御流量QPが決まることになる。
なぜなら、可変オリフィスaは、ソレノイドSOLが非励磁状態のときにその開度を最少に保ち、励磁電流を大きくしていくにしたがってその開度を大きくするからである。
そして、操舵トルクによって決まるパワーシリンダ8の必要(要求)流量QMと、流量制御弁Vで決められる制御流量QPとを、いつも等しくすれば、ポンプP側のエネルギー損失を低く抑えることができる。なぜなら、ポンプP側のエネルギーロスは、制御流量QPとパワーシリンダ8の要求流量QMとの差によって発生するからである。
このコントローラCには、操舵角センサー16と車速センサー17とを接続し、これら両センサーの出力信号に基づいて、ソレノイドSOLの励磁電流を制御するようにしている。
このように微少流量であるが、ステアリングバルブ9側に圧油を供給するようにしたのは、装置全体の焼き付きの防止、キックバック等の外乱の防止、および応答性の確保を目的にしているからである。ただし、これらの目的は、後で説明するスタンバイ流量を確保することでも達成できるので、詳細な説明は後に譲ることにする。
そして、これら操舵角θに対するソレノイド電流指令値I1、および操舵角速度ωに対するソレノイド電流指令値I2は、テーブル値としてコントローラCにあらかじめ記憶させている。
つまり、操舵角用電流指令値I3は、1から0.6の範囲で制御する一方、操舵角速度用電流指令値I4は、1から0.8の範囲で制御するようにしている。したがって、低速域から最高速域でのゲインは、操舵角用電流指令値I3の方が、大きくなる。
このように、いずれか大きな方を採用するようにしたのは、次の理由からである。すなわち、高速走行時には、ステアリングを急操作することはまずないので、ステアリング操作した場合に、操舵角速度系電流指令値I6が小さくて、操舵角系電流指令値I5の方が大きくなるのが通常である。
したがって、低速走行時には、操舵角速度を基準にしながら、その操舵角速度系電流指令値I6を採用し、ステアリング操作の操作性すなわち応答性を高めるようにしている。このようにすることによって、走行速度がある程度速くなっても、ステアリングを急操作したときに、制御流量QPを十分に確保し、応答性を優先させることができる。
ただ、この装置では、電流指令値I5とI6の大きい方の値を選択しているので、どのような走行条件でも、いずれかの電流指令値が出力されることになる。
このスタンバイ用電流指令I7は、常に、所定の電流が可変オリフィスaのソレノイドSOLに供給されるようにするためのものである。このようにスタンバイ用電流指令値I7が供給された可変オリフィスaは、操舵角θ、操舵角速度ωおよび車速を基にしたソレノイド電流指令値が、たとえゼロだったとしても、その開度を一定に保つとともに、一定のスタンバイ流量を確保する。
今、車両の走行中には、操舵角によるソレノイド電流指令値I1と操舵角用電流指令値I3との乗算値である操舵角系電流指令値I5が出力される。これとともに、操舵角速度によるソレノイド電流指令値I2が、操舵角速度用電流指令値I4を限界値として、操舵角速度系電流指令値I6が出力される。
このソレノイド励磁電流Iは、車両の高速走行時には、主に操舵角系電流指令値I5が基準となり、車両の低速走行時には、主に操舵角速度系電流指令値I6が基準となる。
また、高速走行時であっても、ステアリングを急操作したときには、操舵角速度系電流指令値I6を基準にソレノイドの励磁電流Iが決められる。
この発明の目的は、急発進時および急ブレーキ時にも、ドライバーに違和感を与えないパワーステアリング装置を提供することである。
第3の発明は、演算部が、上記戻り制御系電流指令値に到達するための遅れ時間をあらかじめ記憶し、この遅れ時間内で上記戻り制御系電流指令値に到達させる機能を備えた点に特徴を有する。
そして、これら操舵角θに対するソレノイド電流指令値I1、および操舵角速度ωに対するソレノイド電流指令値I2は、テーブル値としてコントローラCにあらかじめ記憶させている。ただし、この発明においては、上記電流指令値I1およびI2を、コントローラCがその都度演算するようにしてもよい。
つまり、操舵角用電流指令値I3は、1から0.6の範囲で制御する一方、操舵角速度用電流指令値I4は、1から0.8の範囲で制御するようにしている。したがって、低速域から最高速域でのゲインは、操舵角用電流指令値I3の方が、大きくなるようにしている。
このように、いずれか大きな方を採用するようにしたのは、次の理由からである。すなわち、高速走行時には、ステアリングを急操作することはまずないので、ステアリング操作した場合に、操舵角速度系電流指令値I6が小さくて、操舵角系電流指令値I5の方が大きくなるのが通常である。
したがって、低速走行時には、操舵角速度を基準にしながら、その操舵角速度系電流指令値I6を採用し、ステアリング操作の操作性すなわち応答性を高めるようにしている。このようにすることによって、走行速度がある程度速くなっても、ステアリングを急操作したときに、制御流量QPを十分に確保し、応答性を優先させることができる。
ただ、この装置では、電流指令値I5とI6の大きい方の値を選択しているので、どのような走行条件でも、いずれかの電流指令値が出力されることになる。
このスタンバイ用電流指令I7は、常に、所定の電流が可変オリフィスaのソレノイドSOLに供給されるようにするためのものである。このようにスタンバイ用電流指令値I7が供給された可変オリフィスaは、操舵角θ、操舵角速度ωおよび車速を基にしたソレノイド電流指令値が、たとえゼロだったとしても、その開度を一定に保つとともに、一定のスタンバイ流量を確保する。
今、車両の走行中に、演算部Eは、車速センサー17から入力した車輪の回転数を基にして車速を演算する。また、演算部Eは、その演算結果である車速信号Vを、直前の車速信号V0と対比するとともに、その変化量│ΔV│と、あらかじめ設定した変化量ΔVfとの大小を判定する。
I1 操舵角θによるソレノイド電流指令値
I2 操舵角速度ωによるソレノイド電流指令値
I3 操舵角用電流指令値
I4 操舵角速度用電流指令値
I5 操舵角度系電流指令値
I6 操舵角速度系電流指令値
QP 制御流量
QT 戻り流量
QM 必要流量(要求流量)
QS スタンバイ流量
B 本体
1 スプール
2 一方のパイロット室
3 他方のパイロット室
4 ポンプポート
P ポンプ
SOL ソレノイド
a 可変オリフィス
8 パワーシリンダ
9 ステアリングバルブ
C コントローラ
16 操舵角センサー
17 車速センサー
T タンク
Claims (3)
- 本体にスプールを組み込み、このスプールの一端を、ポンプポートに常時連通する一方のパイロット室に臨ませ、スプールの他端を、スプリングを介在させた他方のパイロット室に臨ませ、上記一方のパイロット室の下流側にオリフィスを設け、このオリフィスを介してパワーシリンダを制御するステアリングバルブに圧油を導く一方、上記オリフィスの上流側の圧力を上記一方のパイロット室のパイロット圧とし、下流側の圧力を上記他方のパイロット室のパイロット圧とし、両パイロット室の圧力バランスでスプールの移動位置を制御するとともに、その移動位置に応じて、ポンプの吐出量を上記ステアリングバルブ側に導く制御流量QPと、タンクまたはポンプに還流させる戻り流量QTとに分配する構成にし、上記オリフィスは、ソレノイドの励磁電流Iに応じて開度を制御する可変オリフィスとするとともに、この可変オリフィスのソレノイドの励磁電流Iを制御するコントローラを設け、かつ、このコントローラには操舵角センサーを接続し、この操舵角センサーからの操舵角に応じた操舵角θと操舵角速度ωとを演算または記憶する一方、コントローラは、これら操舵角θに応じたソレノイド電流指令値I1および操舵角速度ωに応じたソレノイド電流指令値I2を記憶または演算し、これら電流指令値I1およびI2を基にして可変オリフィスのソレノイドの励磁電流Iを制御する構成にしたパワーステアリング装置において、上記コントローラに設けた演算部は、その出力信号によって、スイッチを、通常制御系、特殊制御系あるいは戻り制御系に切り換える一方、一定時間ごとに車速を検出する車速検出機能と、上記単位時間ごとに車速の変化量ΔVを演算する車速変化演算機能と、直前に演算した車速V0と現在の車速との変化量│ΔV│があらかじめ設定した変化量ΔVf以上になったかどうかを判定する機能と、変化量│ΔV│≦設定変化量ΔVfのとき、スイッチを通常制御系に切り換えて、上記電流指令値I1あるいはI2に基づいた電流指令値をソレノイド励磁電流Iとして出力させる機能と、変化量│ΔV│>設定変化量ΔVfのとき、上記スイッチを特殊制御系に切り換え、上記電流指令値I1あるいはI2とは別系統であるあらかじめ設定した特殊制御系電流指令値をソレノイド励磁電流Iとして出力させる機能と、特殊制御系に切り換わった状態で、上記変化量│ΔV│が、上記設定変化量ΔVfよりもさらに小さい設定変化量以内に変化したとき、スイッチを戻り制御系に切り換えて、電流指令値I1あるいはI2に基づく電流指令値に復帰させる機能とを備えたパワーステアリング装置。
- 演算部は、上記特殊制御系電流指令値に到達するための遅れ時間をあらかじめ記憶し、この遅れ時間内で上記特殊制御系電流指令値に到達させる機能を備えた請求項1記載のパワーステアリング装置。
- 演算部は、上記戻り制御系電流指令値に到達するための遅れ時間をあらかじめ記憶し、この遅れ時間内で上記戻り制御系電流指令値に到達させる機能を備えた請求項1または2記載のパワーステアリング装置。
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