JP2006348023A - アミン誘導体を有効成分として含む血管新生阻害剤 - Google Patents
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- YKGYIDJEEQRWQH-UHFFFAOYSA-N CCOC(c(cc1)ccc1OC(CCCCCNC(N)=N)=O)=O Chemical compound CCOC(c(cc1)ccc1OC(CCCCCNC(N)=N)=O)=O YKGYIDJEEQRWQH-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
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Abstract
Description
血管の恒常性は内皮細胞の有する多様な機能によって保たれている。血管内皮細胞は、1)血液中の栄養物などの必要な成分を組織へ輸送する仲介をし、不必要に多量の成分が通過することを防ぐ作用、2)血液が凝固しないで円滑に循環させる作用、3)血管が離断したときに出血を阻止する作用、および4)血管の緊張を一定に保つ調節作用を有している。
血管内皮細胞によって産生されたプロテアーゼによる基底膜の分解、血管内皮細胞の遊走・増殖、血管内皮細胞の管腔形成、基底膜の形成と周皮細胞の取り囲みという段階で血管新生が生じる。血管新生は種々の疾患、特に糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、黄斑変性症、血管新生緑内障、網膜静脈閉塞症、網膜動脈閉塞症、翼状片、ルベオーシス、パンヌス等の眼科疾患と密接なつながりがある。
他方、特許文献1、特許文献2および特許文献3において、一般式[I]で表される化合物またはその塩類がトリプシン阻害活性を有し、膵炎の治療に有効であることが記載されている。しかしながら、血管新生を伴う糖尿病性網膜症や黄斑変性症などの眼疾患に関して、該化合物がいかなる薬理作用を示すかについては全く検討されていない。
特開昭57−053454号公報
特開昭61−33173号公報
特開昭51−138642号公報
他方、特許文献1、特許文献2および特許文献3において、一般式[I]で表される化合物またはその塩類がトリプシン阻害活性を有し、膵炎の治療に有効であることが記載されている。しかしながら、血管新生を伴う糖尿病性網膜症や黄斑変性症などの眼疾患に関して、該化合物がいかなる薬理作用を示すかについては全く検討されていない。
一般式[I]で表される化合物またはその塩類について、新たな医薬用途を探索することは非常に興味ある課題である。
本発明者らは、一般式[I]で表される化合物またはその塩類の新たな薬理作用を見出すために、血管新生に対する該化合物の作用を検討した。その結果、該化合物は優れた血管新生阻害作用を有しており、血管新生を伴う眼疾患の予防または治療剤として有用であることを見出した。
すなわち、本発明は、一般式[I]で表される化合物またはその塩類(以下、これらを総称して「本化合物」ともいう。)を有効成分として含む血管新生阻害剤であり、かかる化合物は糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、黄斑変性症、血管新生緑内障、網膜静脈閉塞症、網膜動脈閉塞症、翼状片、ルベオーシス、パンヌスなどの予防または治療剤として有用である。
[式中、環Aはベンゼン環またはナフタレン環を示し、Xは単結合、アルキレン基または−CH2COOCH2−を示し、Yは酸素原子またはN(R6)を示し、R1、R2およびR3は同一または異なって水素原子またはアルキル基を示し、あるいはR1とR3は結合して1または複数の二重結合を有する環を形成してもよく、R4およびR5は同一または異なって水素原子またはアルキル基を示し、R6は水素原子またはアルキル基を示す。]
また、本発明は、一般式[II]で表される化合物またはその塩類を有効成分として含む血管新生阻害剤であり、かかる化合物は糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、黄斑変性症、血管新生緑内障、網膜静脈閉塞症、網膜動脈閉塞症、翼状片、ルベオーシス、パンヌスなどの予防または治療剤として有用である。
また、本発明は、一般式[II]で表される化合物またはその塩類を有効成分として含む血管新生阻害剤であり、かかる化合物は糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、黄斑変性症、血管新生緑内障、網膜静脈閉塞症、網膜動脈閉塞症、翼状片、ルベオーシス、パンヌスなどの予防または治療剤として有用である。
[式中、
R1、R2およびR3は同一または異なって水素原子またはアルキル基を示し、あるいはR1とR3は結合して1または複数の二重結合を有する環を形成してもよい。]
本化合物の好ましい例としては、下記式[Ia]で示される6’−アミジノ−2’−ナフチル−4−グアニジノベンゾエート 二メタンスルホン酸塩(以下、「ナファモスタット」という。)、下記式[Ib]で示される6’−アミジノ−2’−ナフチル−(4−(4,5−ジヒドロ−1H−2−イミダゾリル)アミノ)ベンゾエート 二メタンスルホン酸塩(以下、「FUT−187」という。)および下記式[Ic]で示されるN,N−ジメチルカルバモイルメチル−4−(4−グアニジノベンゾイルオキシ)フェニルアセテート メタンスルホン酸塩(以下、「カモスタット」という。)が挙げられる。
R1、R2およびR3は同一または異なって水素原子またはアルキル基を示し、あるいはR1とR3は結合して1または複数の二重結合を有する環を形成してもよい。]
本化合物の好ましい例としては、下記式[Ia]で示される6’−アミジノ−2’−ナフチル−4−グアニジノベンゾエート 二メタンスルホン酸塩(以下、「ナファモスタット」という。)、下記式[Ib]で示される6’−アミジノ−2’−ナフチル−(4−(4,5−ジヒドロ−1H−2−イミダゾリル)アミノ)ベンゾエート 二メタンスルホン酸塩(以下、「FUT−187」という。)および下記式[Ic]で示されるN,N−ジメチルカルバモイルメチル−4−(4−グアニジノベンゾイルオキシ)フェニルアセテート メタンスルホン酸塩(以下、「カモスタット」という。)が挙げられる。
本化合物は、有機合成化学の分野における通常の方法に従って製造でき、特許文献2および3に詳細な製造方法が記載されている。
ここで、本明細書中で規定した各基および文言について以下に示す。「アルキレン」とは炭素原子数1〜6個の、直鎖または分枝のアルキレンを示し、具体例としてメチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、メチルメチレン、ジメチルメチレン、プロピレン、2−メチルトリメチレン等が挙げられる。「アルキル」とは炭素原子数1〜6個の、直鎖または分枝のアルキルを示し、具体例としてメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソペンチル等が挙げられる。また、「1または複数の二重結合を有する環を形成してもよく」とは、2−イミダゾリル、4,5−ジヒドロ−1H−2−イミダゾリル、2−ピリミジル、1,4,5,6−テトラヒドロ−2−ピリミジル等の環を形成してもよいことを意味する。
本化合物は、「プロドラッグ」の形態をとることができる。ここでいう「プロドラッグ」とは、本化合物を生体内で脱離し得る基で修飾した化合物を意味し、特にアミノ基やグアニジノ基のようなアシル化可能な窒素原子を含む基をアシル化またはカルバメート化した誘導体の形のプロドラッグを挙げることができる。
本化合物の塩類は医薬として許容される有機または無機の酸付加塩であればよく、その酸としては塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、酢酸、リン酸、乳酸、クエン酸、メタンスルホン酸、フマル酸、マレイン酸、マンデル酸、クエン酸、酒石酸、サリチル酸等の有機酸が挙げられる。
本化合物には光学異性体が存在し、また場合によってはジアステレオマー異性体が存在するが、これらを有効成分として含むものも本発明に含まれる。また、本化合物は溶媒和物、例えば水和物の形態をとっていてもよい。
本化合物による血管新生阻害作用は、後述するラットレーザー誘発脈絡膜血管新生に対する薬理試験において、上記一般式[I]で表される化合物またはその塩類が優れた血管新生阻害作用を有することに基づくものである。
本化合物は、必要に応じて、医薬として許容される添加剤を加え、単独製剤または配合製剤として汎用されている技術を用いて製剤化することができる。
本化合物は、前述の眼疾患の予防または治療に使用する場合、患者に対して経口的又は非経口的に投与することができ、投与形態としては、経口投与、眼への局所投与(点眼投与、硝子体内投与、結膜下投与、テノン嚢下投与等)、静脈内投与、経皮投与等などが挙げられ、必要に応じて、製薬学的に許容され得る添加剤と共に、投与に適した剤型に製剤化される。経口投与に適した剤型としては、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤などが挙げられ、非経口投与に適した剤型としては、例えば、注射剤、点眼剤、眼軟膏、ゲル、点鼻剤、坐薬などが挙げられる。これらは当該分野で汎用されている通常の技術を用いて調製することができる。また、本化合物はこれらの製剤の他に眼内インプラント用製剤やマイクロスフェアー等のDDS(ドラッグデリバリーシステム)化された製剤にすることもできる。
例えば、錠剤は、乳糖、ブドウ糖、D−マンニトール、無水リン酸水素カルシウム、デンプン、ショ糖等の賦形剤;カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポピドン、デンプン、部分アルファー化デンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等の崩壊剤;ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、アラビアゴム、デンプン、部分アルファー化デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等の結合剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、含水二酸化ケイ素、硬化油等の滑沢剤;精製白糖、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン等のコーティング剤;クエン酸、アスパルテーム、アスコルビン酸、メントール等の矯味剤などを適宜選択して用い、調製することができる。
注射剤は、滅菌精製水及び等張化のための塩化ナトリウムなどを用いて調製することができる。
点眼剤は、塩化ナトリウム、濃グリセリンなどの等張化剤;リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなどの緩衝化剤;ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等の界面活性剤;クエン酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム等の安定化剤;塩化ベンザルコニウム、パラベン等の防腐剤などから必要に応じて選択して用い、調製することができ、pHは眼科製剤に許容される範囲内にあればよいが、通常4〜8の範囲内が好ましい。
眼内インプラント用製剤は、生体分解性ポリマー、例えばポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸・グリコール酸共重合体、ヒドロキシプロピルセルロース等の生体分解性ポリマーを用い、調製することができる。
本化合物の投与量は、剤型、投与すべき患者の症状の軽重、年令、体重、医師の判断等に応じて適宜変えるこができるが、経口投与の場合、一般には、成人に対し1日あたり0.01〜2000mgを1回又は数回に分けて投与することができ、注射剤の場合、一般には、成人に対し1日あたり0.01〜200mgを1回又は数回に分けて投与することができ、また、点眼剤の場合には、通常、0.01〜10%(w/v)の有効成分濃度のものを1日1回又は数回点眼することができる。さらに、眼内インプラント用製剤の場合は、成人に対し0.01〜2000mg含有する眼内インプラント用製剤を眼内にインプラントすることができる。
後述する薬理試験の項で詳細に説明するが、上記一般式[I]で表される化合物またはその塩類のラットレーザー誘発脈絡膜血管新生に対する作用を検討したところ、上記一般式[I]で表される化合物またはその塩類は脈絡膜血管新生に対して強い阻害作用を示した。このことから、本発明の上記一般式[I]で表される化合物またはその塩類は、血管新生阻害剤、および網糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、黄斑変性症、血管新生緑内障、網膜静脈閉塞症、網膜動脈閉塞症、翼状片、ルベオーシス、パンヌスなどの予防または治療剤として有用であることがわかる。なお、本化合物と近似した公知化合物についても同様な試験を行ったが、本化合物はその公知化合物と比べてはるかに高い効果を示し、本化合物の優れた有用性を裏付けるものであった。
以下に、薬理試験および製剤例を挙げて、本発明を詳しく説明するが、これらは本発明をよりよく理解するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
[薬理試験]
一般式[I]で表される化合物またはその塩類の血管新生阻害作用を検討すべく、一般式[I]で表される化合物またはその塩類であるナファモスタット、FUT−187およびカモスタットのラットレーザー誘発脈絡膜血管新生に対する作用を検討した。比較化合物として下記式[III]で示されるエチル−4−(6−グアジニノヘキサノイルオキシ)ベンゾエート メタンスルホン酸塩(以下、「ガベキサート」という)を用いた。
一般式[I]で表される化合物またはその塩類の血管新生阻害作用を検討すべく、一般式[I]で表される化合物またはその塩類であるナファモスタット、FUT−187およびカモスタットのラットレーザー誘発脈絡膜血管新生に対する作用を検討した。比較化合物として下記式[III]で示されるエチル−4−(6−グアジニノヘキサノイルオキシ)ベンゾエート メタンスルホン酸塩(以下、「ガベキサート」という)を用いた。
ガベキサートとナファモスタット、FUT−187およびカモスタットとの化学構造を比較すると、これらはグアニジノ基および芳香環を有する点で共通しているが、その他は異なった化学構造を有する。また、ガベキサートは、トリプシン阻害活性を有すること、および、膵炎の治療に有効であることが知られており、背景技術の項で述べたとおりナファモスタット、FUT−187およびカモスタットも同活性を有する点で、ガベキサートは本発明に係る上記3化合物と共通している。
(ラットレーザー誘発脈絡膜血管新生モデルの作製)
ラットに5%(W/V)塩酸ケタミン注射液および2%塩酸キシラジン注射液の混合液(7:1)1ml/kgを筋肉内投与して全身麻酔し、0.5%(W/V)トロピカミド−0.5%塩酸フェニレフリン点眼液を点眼して散瞳させた後、クリプトンレーザー光凝固装置により光凝固を行った。光凝固は、眼底後局部において、太い網膜血管を避け、焦点を網膜深層に合わせて1眼につき8ヶ所散在状に実施した(凝固条件:スポットサイズ100μm、出力100mW、凝固時間0.1秒)。光凝固後、眼底撮影を行い、レーザー照射部位を確認した。
ラットに5%(W/V)塩酸ケタミン注射液および2%塩酸キシラジン注射液の混合液(7:1)1ml/kgを筋肉内投与して全身麻酔し、0.5%(W/V)トロピカミド−0.5%塩酸フェニレフリン点眼液を点眼して散瞳させた後、クリプトンレーザー光凝固装置により光凝固を行った。光凝固は、眼底後局部において、太い網膜血管を避け、焦点を網膜深層に合わせて1眼につき8ヶ所散在状に実施した(凝固条件:スポットサイズ100μm、出力100mW、凝固時間0.1秒)。光凝固後、眼底撮影を行い、レーザー照射部位を確認した。
(薬物の投与方法および評価方法)
1−1.腹腔内投与
ナファモスタットを5%(W/V)グルコース液(D−グルコースを生理食塩水に溶解させて調製)に25mg/mlになるように溶解し、1ml/kgの用量でナファモスタット溶液を腹腔内へ、光凝固手術日より手術日を含めて7日間1日1回投与した。同様に、25mg/mlおよび125mg/mlのFUT−187溶液ならびに125mg/mlのカモスタット溶液を調製し、1ml/kgの用量で腹腔内へ、光凝固手術日より手術日を含めて7日間1日1回投与した。比較化合物投与群にはガベキサートをグルコース液に50mg/mlになるように溶解した溶液を上記と同様に投与した。基剤投与群には5%(W/V)グルコース液を同様に投与した。
1−1.腹腔内投与
ナファモスタットを5%(W/V)グルコース液(D−グルコースを生理食塩水に溶解させて調製)に25mg/mlになるように溶解し、1ml/kgの用量でナファモスタット溶液を腹腔内へ、光凝固手術日より手術日を含めて7日間1日1回投与した。同様に、25mg/mlおよび125mg/mlのFUT−187溶液ならびに125mg/mlのカモスタット溶液を調製し、1ml/kgの用量で腹腔内へ、光凝固手術日より手術日を含めて7日間1日1回投与した。比較化合物投与群にはガベキサートをグルコース液に50mg/mlになるように溶解した溶液を上記と同様に投与した。基剤投与群には5%(W/V)グルコース液を同様に投与した。
1−2.評価方法
光凝固後7日目に10%フルオレセイン溶液0.1mlを尾静脈から注入して、蛍光眼底造影を行った。蛍光眼底造影で、蛍光露出が認められなかったスポットを陰性(血管新生なし)、蛍光露出が認められたスポットを陽性と判断した。また、若干の蛍光露出が認められる光凝固部位は、それが2箇所存在した時に陽性(血管新生あり)と判定した。式1に従って新生血管出現率を算出した。レーザー照射8ヶ所のスポットに対する陽性スポット数から新生血管発現率を算定し、式2に従い、脈絡膜血管新生阻害率を算出した。その結果を表1に示す。各投与群の例数は4〜7である。
光凝固後7日目に10%フルオレセイン溶液0.1mlを尾静脈から注入して、蛍光眼底造影を行った。蛍光眼底造影で、蛍光露出が認められなかったスポットを陰性(血管新生なし)、蛍光露出が認められたスポットを陽性と判断した。また、若干の蛍光露出が認められる光凝固部位は、それが2箇所存在した時に陽性(血管新生あり)と判定した。式1に従って新生血管出現率を算出した。レーザー照射8ヶ所のスポットに対する陽性スポット数から新生血管発現率を算定し、式2に従い、脈絡膜血管新生阻害率を算出した。その結果を表1に示す。各投与群の例数は4〜7である。
2−1.経口投与
ナファモスタットおよびFUT−187を1%(W/V)メチルセルロース液に、20mg/mlになるように溶解し、5ml/kgの用量で、光凝固手術日より手術日を含めて7日間1日3回経口投与した。同様にカモスタットを1%(W/V)メチルセルロース液に20mg/mlになるように懸濁し、5ml/kgの用量で、光凝固手術日より手術日を含めて7日間1日3回経口投与した。基剤投与群には1%(W/V)メチルセルロース液を同様に投与した。
ナファモスタットおよびFUT−187を1%(W/V)メチルセルロース液に、20mg/mlになるように溶解し、5ml/kgの用量で、光凝固手術日より手術日を含めて7日間1日3回経口投与した。同様にカモスタットを1%(W/V)メチルセルロース液に20mg/mlになるように懸濁し、5ml/kgの用量で、光凝固手術日より手術日を含めて7日間1日3回経口投与した。基剤投与群には1%(W/V)メチルセルロース液を同様に投与した。
2−2.評価方法
評価方法は、上記と同様の方法で行った。その結果を表2に示す。各投与群の例数は6〜7である。
評価方法は、上記と同様の方法で行った。その結果を表2に示す。各投与群の例数は6〜7である。
3−1.硝子体内投与
ナファモスタットを蒸留水に2mMになるように溶解し、ナファモスタット溶液を得た。光凝固直後および光凝固後3日目に、ラットに5%(W/V)塩酸ケタミン注射液および2%塩酸キシラジン注射液の混合液(7:1)1ml/kgを筋肉内投与して全身麻酔し、0.5%(W/V)トロピカミド−0.5%塩酸フェニレフリン点眼液を点眼し散瞳させた後、32Gマイクロシリンジを用いて、手術用顕微鏡下でナファモスタット溶液5μlを硝子体内へ投与した。基剤投与群には蒸留水を同様に投与した。
ナファモスタットを蒸留水に2mMになるように溶解し、ナファモスタット溶液を得た。光凝固直後および光凝固後3日目に、ラットに5%(W/V)塩酸ケタミン注射液および2%塩酸キシラジン注射液の混合液(7:1)1ml/kgを筋肉内投与して全身麻酔し、0.5%(W/V)トロピカミド−0.5%塩酸フェニレフリン点眼液を点眼し散瞳させた後、32Gマイクロシリンジを用いて、手術用顕微鏡下でナファモスタット溶液5μlを硝子体内へ投与した。基剤投与群には蒸留水を同様に投与した。
3−2.評価方法
評価方法は、上記と同様の方法で行った。その結果を表3に示す。各投与群の例数は5〜6である。
評価方法は、上記と同様の方法で行った。その結果を表3に示す。各投与群の例数は5〜6である。
4−1.結膜下投与
ナファモスタットを基剤(蒸留水または5%(W/V)グルコース溶液(D−グルコースを生理食塩水に溶解させて調製))に2mg/mlになるように溶解し、ナファモスタット溶液を得た後、光凝固手術日より手術日を含めて7日間、ナファモスタット溶液50μlを1日1回結膜下へ投与した。基剤投与群には基剤(蒸留水または5%(W/V)グルコース溶液)を同様に投与した。必要に応じて、結膜下投与前にラットに5%(W/V)塩酸ケタミン注射液および2%塩酸キシラジン注射液の混合液(7:1)0.25ml/kgを筋肉内投与して全身麻酔した。
ナファモスタットを基剤(蒸留水または5%(W/V)グルコース溶液(D−グルコースを生理食塩水に溶解させて調製))に2mg/mlになるように溶解し、ナファモスタット溶液を得た後、光凝固手術日より手術日を含めて7日間、ナファモスタット溶液50μlを1日1回結膜下へ投与した。基剤投与群には基剤(蒸留水または5%(W/V)グルコース溶液)を同様に投与した。必要に応じて、結膜下投与前にラットに5%(W/V)塩酸ケタミン注射液および2%塩酸キシラジン注射液の混合液(7:1)0.25ml/kgを筋肉内投与して全身麻酔した。
4−2.評価方法
評価方法は、上記と同様の方法で行った。その結果を表4に示す。各投与群の例数は5〜8である。
評価方法は、上記と同様の方法で行った。その結果を表4に示す。各投与群の例数は5〜8である。
式1
新生血管発現率(%)=(陽性スポット数/全光凝固部位数)×100
式2
脈絡膜血管新生阻害率(%)=(A0−AX)/A0×100
A0:基剤投与群の新生血管発現率
AX:薬物投与群の新生血管発現率
新生血管発現率(%)=(陽性スポット数/全光凝固部位数)×100
式2
脈絡膜血管新生阻害率(%)=(A0−AX)/A0×100
A0:基剤投与群の新生血管発現率
AX:薬物投与群の新生血管発現率
(結果および考察)
表1の結果から明らかなように、ナファモスタット、FUT−187およびカモスタットはともに高い脈絡膜血管新生阻害率を示した。一方で、ガベキサートは脈絡膜血管新生阻害作用を示さなかった。即ち、ナファモスタット、FUT−187およびカモスタットに代表される一般式[I]で表される化合物またはその塩類が優れた脈絡膜血管新生阻害作用を示すことが分かった。また、表2〜4の結果から明らかなように、経口投与、硝子体内投与および結膜下投与においてもナファモスタットまたはFUT−187が優れた脈絡膜血管新生阻害作用を示すことが分かった。
表1の結果から明らかなように、ナファモスタット、FUT−187およびカモスタットはともに高い脈絡膜血管新生阻害率を示した。一方で、ガベキサートは脈絡膜血管新生阻害作用を示さなかった。即ち、ナファモスタット、FUT−187およびカモスタットに代表される一般式[I]で表される化合物またはその塩類が優れた脈絡膜血管新生阻害作用を示すことが分かった。また、表2〜4の結果から明らかなように、経口投与、硝子体内投与および結膜下投与においてもナファモスタットまたはFUT−187が優れた脈絡膜血管新生阻害作用を示すことが分かった。
次に製剤例を掲げて本発明の薬剤をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら製剤例のみに限定されるものではない。
[製剤例]
製剤例1 点眼剤(1ml中)
ナファモスタット 1mg
濃グリセリン 250mg
ポリソルベート80 200mg
リン酸ニ水素ナトリウム二水和物 20mg
1N水酸化ナトリウム 適量
1N塩酸 適量
滅菌精製水 適量
滅菌精製水にナファモスタットおよびそれ以外の上記成分を加え、これらを十分に混合して点眼剤とする。
製剤例1 点眼剤(1ml中)
ナファモスタット 1mg
濃グリセリン 250mg
ポリソルベート80 200mg
リン酸ニ水素ナトリウム二水和物 20mg
1N水酸化ナトリウム 適量
1N塩酸 適量
滅菌精製水 適量
滅菌精製水にナファモスタットおよびそれ以外の上記成分を加え、これらを十分に混合して点眼剤とする。
製剤例2 錠剤(100mg中)
FUT−187 1mg
乳糖 66.4mg
トロウモロコシデンプン 20mg
カルボキシメチルセルロースカルシウム 6mg
ヒドロキシプロピルセルロース 6mg
ステアリン酸マグネシウム 0.6mg
FUT−187と乳糖を混合機中で混合し、ここへカルボキシメチルセルロースカルシウム及びヒドロキシプロピルセルロースを加え、この混合物を造粒し、得られた顆粒を乾燥後整粒し、その整粒顆粒にステアリン酸マグネシウムを加えて混合し、この混合物を打錠機で打錠する。
FUT−187 1mg
乳糖 66.4mg
トロウモロコシデンプン 20mg
カルボキシメチルセルロースカルシウム 6mg
ヒドロキシプロピルセルロース 6mg
ステアリン酸マグネシウム 0.6mg
FUT−187と乳糖を混合機中で混合し、ここへカルボキシメチルセルロースカルシウム及びヒドロキシプロピルセルロースを加え、この混合物を造粒し、得られた顆粒を乾燥後整粒し、その整粒顆粒にステアリン酸マグネシウムを加えて混合し、この混合物を打錠機で打錠する。
製剤例3 注射剤(10ml中)
FUT−187 10mg
塩化ナトリウム 90mg
滅菌精製水 適量
FUT−187及び塩化ナトリウムを滅菌精製水に溶解して注射溶液とする。
FUT−187 10mg
塩化ナトリウム 90mg
滅菌精製水 適量
FUT−187及び塩化ナトリウムを滅菌精製水に溶解して注射溶液とする。
上述した製剤を含めて、本化合物および添加物の種類ならびに量を適宜変更することにより所望の製剤を得ることができる。
Claims (7)
- 一般式[I]で表される化合物が6’−アミジノ−2’−ナフチル−4−グアニジノベンゾエート、6’−アミジノ−2’−ナフチル−(4−(4,5−ジヒドロ−1H−2−イミダゾリル)アミノ)ベンゾエートまたはN,N−ジメチルカルバモイルメチル−4−(4−グアニジノベンゾイルオキシ)フェニルアセテートである請求項1記載の血管新生阻害剤。
- 血管新生を伴う疾患が眼科疾患である請求項4記載の予防または治療剤。
- 眼科疾患が糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、黄斑変性症、血管新生緑内障、網膜静脈閉塞症、網膜動脈閉塞症、翼状片、ルベオーシスまたはパンヌスである請求項5記載の予防または治療剤。
- 投与剤型が経口剤、注射剤、点眼剤または眼内インプラント用製剤である請求項1〜3のいずれかに記載の血管新生阻害剤または請求項4〜6のいずれかに記載の予防若しくは治療剤。
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