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JP2006018185A - 液晶表示装置 - Google Patents

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JP2006018185A JP2004198370A JP2004198370A JP2006018185A JP 2006018185 A JP2006018185 A JP 2006018185A JP 2004198370 A JP2004198370 A JP 2004198370A JP 2004198370 A JP2004198370 A JP 2004198370A JP 2006018185 A JP2006018185 A JP 2006018185A
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Hiroshi Nagai
博 永井
Hidenori Ikeno
英徳 池野
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NEC LCD Technologies Ltd
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Abstract

【課題】 黒表示時の斜め視野における光漏れを低減できる液晶表示装置を提供する。
【解決手段】 液晶表示装置100は、偏光板101とTFT基板102との間に、負の1軸光学特性を有する第1光学補償層117を有し、CF基板104と偏光板105との間に、2軸光学特性を有する第2光学補償層118を有する。第1光学補償層117の面内リタデーションをI1(nm)とし、第2光学補償層118の面内リタデーションをI2(nm)とすると、I1及びI2は、
240nm≦I1≦425nm、
200nm≦I2≦(0.75×I1+61)nm
、又は、
500nm≦I1≦730nm、
(0.60×I1−272)nm≦I2≦180nm
の関係を満たしている。
【選択図】 図1


Description

本発明は、液晶表示装置に関し、更に詳しくは、IPS(インプレーンスイッチング)モードの液晶表示装置に関する。
一般に、IPSモードの液晶表示装置は、ホモジニアス配向の液晶層と、それらを挟み込む一対の基板と、各基板の外側にそれぞれ貼り付けられた一対の偏光板とを有する。IPSモードの液晶表示装置では、液晶層の液晶分子の初期配向は、電界が印加されない状態で黒表示となるように設定されており、電界を印加したときに、液晶層の配向方向が概ね45°回転して白表示となるように設計されている。IPSモードの液晶表示装置は、液晶の回転方向が基板に平行な方向であり、TN(Twist Nematic)型の液晶表示装置に比して、高視野角を実現できる。
IPSモードの液晶表示装置では、偏光板の光軸(光吸収軸又は光透過軸)と平行又は垂直な方位角では高視野角を実現できるものの、偏光板の光軸から45°ずれた方位角から、視野角を変化させつつ液晶表示装置を観察すると、視野角に応じて色が変化して観察される現象が発生する。このような、視野角の変化に伴って色が変化して観察される問題に対しては、マルチドメインIPSモードの液晶表示装置が提案されている。マルチドメインIPSモードの液晶表示装置では、電極を複数回屈曲させることにより、方位角依存性をなくして、色の変化を抑制している。
また、斜め視野において、視野角を変化させた際に生じる色変化の問題を解決できる別の技術としては、特許文献1に記載された技術がある。この技術では、液晶層と、光出射側の偏光板との間に、補償層を設けている。補償層は、正の一軸光学異方性を有しており、基板面に垂直な方向に光軸を有している。この技術では、視野角の変化による液晶層の複屈折量の変化を、補償層の複屈折量の変化で補償することにより、視野角の変化に伴う表示の色付きを抑制している。
特開平11−133408号公報(図1、段落0031、0032)
ところで、IPSモードの液晶表示装置では、偏光板の一部を構成する保護層が負の1軸光学異方性を有し、その光軸が基板面に垂直な方向であるため、斜め視野方向から観察した場合には、リタデーションが発生する。リタデーションの発生により、バックライト光源側から偏光板を介して液晶層に入射する光が、楕円偏光に変化する。ISPモードの液晶表示装置では、その楕円偏光に変化した光により、液晶層を通過する光に偏光変化が起こり、斜め視野において光漏れが発生する。また、IPSモードの液晶表示装置を、偏光板の光軸からずれた方位角の斜め視野から観察した場合には、一対の偏光板が直交状態とならないことから、黒表示時において、光漏れが発生する。このような光漏れは、斜め視野方向から観察した際のコントラスト比を悪化させ、コントラスト視野角特性を悪化させる。
IPSモードの液晶表示装置で、斜め視野における視野角を変化させた際に生じる色変化の問題については、マルチドメインIPSモードの採用や特許文献1に記載の技術により、概ね解決されている。しかし、色変化の問題が解消されると、今度は、それまでは大きな問題とはされていなかった黒表示時の斜め視野における光漏れの問題が大きな問題として認識される。この黒表示の斜め視野における光漏れの問題は、マルチドメインIPSモードや特許文献1に記載の技術によって解消することはできず、この問題を解消できる液晶表示装置が望まれる。
本発明は、斜め視野における光漏れを抑制し、表示品質を向上させた液晶表示装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の第1の視点の液晶表示装置は、ツイスト角がほぼ0°で基板に対して液晶分子長軸がほぼ平行に配列されたホモジニアス配向の液晶層と、該液晶層を挟み液晶層の光入射側及び光出射側にそれぞれ配設された第1及び第2の基板と、前記第1の基板の光入射側及び前記第2の基板の光出射側にそれぞれ配設された第1及び第2の偏光板とを有し、前記液晶層に対して基板とほぼ平行方向の電界を印加する電極を配置した横方向電界駆動型の液晶表示装置において、前記第1の基板又は前記第2の基板に隣接して配設される第1の位相差板と、前記第2の偏光板の光入射側に配設される第2の位相差板とを有し、前記第1の位相差板の屈折率について、位相差板面内の遅相軸方向の屈折率をns1、進相軸方向の屈折率をnf1、厚さ方向の屈折率をnz1とし、前記第2の位相差板の屈折率について、位相差板面内の遅相軸方向の屈折率をns2、進相軸方向の屈折率をnf2、厚さ方向の屈折率をnz2としたとき、下記式
0≦(ns1−nz1)/(ns1−nf1)≦0.5
0≦(ns2−nz2)/(ns2−nf2)≦0.5
を満たし、前記第1及び第2の位相差板の遅相軸は基板面に対してほぼ平行であり、前記第1の位相差板は、進相軸が前記液晶層の初期配向の光軸を基板面に投影した方向とほぼ平行となるように配置され、前記第2の位相差板は、遅相軸が前記液晶層の初期配向の光軸を基板面に投影した方向とほぼ平行となるように配置されており、前記第1の位相差板の面内リタデーションI1(nm)をI1=(ns1−nf1)×dとし(但し、dは換算厚み)、第2位相差板の面内リタデーションI2(nm)をI2=(ns2−nf2)×dとすると(但し、dは換算厚み)、I1及びI2は、下記式、
240nm≦I1≦425nm
200nm≦I2≦(0.75×I1+61)nm
を満たすことを特徴とする。
また、本発明の第2の視点の液晶表示装置は、ツイスト角がほぼ0°で基板に対して液晶分子長軸がほぼ平行に配列されたホモジニアス配向の液晶層と、該液晶層を挟み液晶層の光入射側及び光出射側にそれぞれ配設された第1及び第2の基板と、前記第1の基板の光入射側及び前記第2の基板の光出射側にそれぞれ配設された第1及び第2の偏光板とを有し、前記液晶層に対して基板とほぼ平行方向の電界を印加する電極を配置した横方向電界駆動型の液晶表示装置において、前記第1又は第2の基板に隣接して配設される第1の位相差板と、前記第2の偏光板の光入射側に配設される第2の位相差板とを有し、前記第1の位相差板の屈折率について、位相差板面内の遅相軸方向の屈折率をns1、進相軸方向の屈折率をnf1、厚さ方向の屈折率をnz1とし、前記第2の位相差板の屈折率について、位相差板面内の遅相軸方向の屈折率をns2、進相軸方向の屈折率をnf2、厚さ方向の屈折率をnz2としたとき、下記式
0≦(ns1−nz1)/(ns1−nf1)≦0.5
0≦(ns2−nz2)/(ns2−nf2)≦0.5
を満たし、前記第1及び第2の位相差板の遅相軸は基板面に対してほぼ平行であり、前記第1の位相差板は、進相軸が前記液晶層の初期配向の光軸を基板面に投影した方向とほぼ平行となるように配置され、前記第2の位相差板は、遅相軸が前記液晶層の初期配向の光軸を基板面に投影した方向とほぼ平行となるように配置されており、第1位相差板の面内リタデーションI1(nm)をI1=(ns1−nf1)×dとし(但し、dは換算厚み)、第2位相差板の面内リタデーションI2(nm)をI2=(ns2−nf2)×dとすると(但し、dは換算厚み)、I1及びI2は、下記式、
500nm≦I1≦730nm
(0.60×I1−272)nm≦I2≦180nm
を満たすことを特徴とする。
本発明の液晶表示装置では、第1位相差板は、液晶層の位相差波長分散を打ち消して、液晶層を通過した光の偏光状態が波長ごとに異なった状態とならないようにするための光学補償を行い、第2位相差板は、第1及び第2の偏光板の光吸収軸からずれた方位から観察した際に、第1及び第2の偏光板の光吸収軸が直交状態からずれて見えないようにするための光学補償を行う。従来の横電界方式の液晶表示装置では、第1及び第2の偏光板の光吸収軸からずれた方位から、視野角をつけて液晶表示装置を観察すると、光漏れが観察されるが、本発明の液晶表示装置では、第1及び第2位相差板のリタデーションを、上記範囲に設定することにより、斜め視野で観察される光漏れを抑制できる。
本発明の液晶表示装置は、前記第1の位相差板が、2軸光学異方性、又は、負の1軸光学異方性を有し、前記第2の位相差板が、2軸光学異方性、又は、負の1軸光学異方性を有する構成を採用できる。特に、第1の位相差板が負の1軸光学異方性を有し、第2の位相差板が2軸光学異方性を有する構成が好ましい。負の1軸光学異方性を有する位相差板は、例えば負の1軸光学異方性を有するDiscotic液晶を光軸が基板と平行な方向となるように配向したフィルム、又は、これと同様な光学特性を示すフィルムを用いて形成できる。また、2軸光学異方性を有する位相差板は、例えば、フィルムを延伸したものを用いて形成できる。
本発明の液晶表示装置では、前記第1及び第2の位相差板について、z1及びz2を、それぞれ、z1=(ns1−nz1)/(ns1−nf1)、z2=(ns2−nz2)/(ns2−nf2)と定義すると、z1≦z2の関係を有することが好ましい。例えば第1及び第2の位相差板がそれぞれ2軸光学異方性を有するときには、第1の位相差板には、負の1軸光学異方性に近い光学特性を有する位相差板を使用することが好ましい。
本発明の液晶表示装置では、前記第1の位相差板の進相軸と、前記液晶層の初期配向の光軸を基板面に投影した方向とがなす角度が±2°の範囲内、望ましくは0°であることが好ましく、前記第2の位相差板の遅相軸と、前記液晶層の初期配向の光軸を基板面に投影した方向とがなす角度が±2°の範囲内、望ましくは0°であることが好ましい。
本発明の液晶表示装置では、前記第1及び第2の偏光板のそれぞれが、入射光をほぼ直線偏光に変換する機能を有する偏光層と、該偏光層を挟む一対の保護層とを有し、該保護層の屈折率楕円体について、直交する3つの光学的弾性軸のうち最大の屈折率を有する軸方向の屈折率をnx、2番目に大きな屈折率を有する軸方向の屈折率をny、最小の屈折率を有する軸方向の屈折率をnzとすると、nxとnyはほぼ等しく、nzが基板面に対してほぼ垂直な方向を向いている構成を採用できる。
本発明の液晶表示装置では、前記液晶層を、ポジ型の液晶により構成し、或いは、ネガ型の液晶により構成することができる。
本発明の液晶表示装置は、偏光板の光吸収軸からずれた方位で、視野角をつけて観察した際に観察される光漏れを抑制できるため、液晶表示装置の表示品質を向上できる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態の液晶表示装置を断面図で示している。液晶表示装置100は、IPSモードの液晶表示装置として構成され、バックライト光源側から順に、光入射側の偏光板(第1偏光板)101、光学補償層117、薄膜トランジスタ・アレイ基板(TFT基板)102、液晶層103、カラーフィルタ(CF)基板104、光学補償層118、及び、光出射側の偏光板(第2偏光板)105を有する。
液晶層は、ツイスト角がほぼ0°で、基板に対して分子長軸方向がほぼ平行に配列されたホモジニアス配向の液晶分子112を有する。液晶層は、ポジ型の液晶又はネガ型の液晶により構成される。液晶層103とTFT基板102との間には、配向膜111が配置され、液晶層103とCF基板104との間には、配向膜113が配置されている。
TFT基板102は、ガラス基板106、絶縁膜107、TFT108、画素電極109、及び、対向電極110を有する。絶縁層107は、有機膜とシリコン窒化膜とを含む。TFT108は、画素電極109に供給する電位を制御する。液晶表示装置100では、画素電極109と対向電極110とがTFT基板102上に形成されており、これら電極の間の電位差により、液晶層103の液晶分子112に横方向の電界が印加される。
CF基板104は、着色層114、遮光層115、及び、ガラス基板116を有する。着色層114は、液晶層103を通過した光を、RGBの3原色の何れかの色に着色する。遮光層115は、TFT108や図示しないデータ線等を遮光する。
図2(a)及び(b)は、それぞれ、図1の液晶表示装置100の一部を拡大して示している。同図(b)に示すように、第1偏光板101は、偏光層120と、その偏光層120を相互間に挟み込む第1及び第2の保護層121、122とを有する。同図(a)に示すように、第2偏光板105は、偏光層120と、その偏光層120を相互間に挟み込む第3及び第4の保護層123、124とを有する。
偏光層120は、例えばPVAから成り、入射した光の偏光をほぼ直線偏光とする。保護層121〜124は、それぞれ、例えばTACから成り、光軸が偏光板に垂直方向する、負の1軸光学異方性を有する位相差板と同様に作用する。各保護層の屈折率楕円体が有する、直交する3つの光学的弾性軸のうち、最大の屈折率を有する方向の屈折率をnx、2番目に大きな屈折率を有する方向の屈折率をny、最も小さな屈折率を有する方向の屈折率をnzとしたとき、nxとnyとはほぼ等しく、nz方向は基板面に対してほぼ垂直な方向を向いている。
光学補償層117及び118は、位相差板として構成され、それぞれ所定の光学特性を有する。光学補償層117及び118は、例えば貼り付けやコーディングにより形成できる。光学補償層117及び118の光学的弾性軸は、面内の遅相軸方向及び進相軸方向については基板に平行な方向であり、厚さ方向については基板に垂直な方向である。
第1光学補償層117は、負の1軸光学異方性を有しており、第1偏光板101とTFT基板102との間に配置される。第1光学補償層117は、例えば面内にほぼ平行な光軸を有し、負の1軸光学異方性を有するDiscotic液晶を光軸が基板にほぼ平行となるように配向したフィルム、或いは、それと同様な特性を示すフィルムを用いて形成できる。第1光学補償層117の光軸方向と、液晶層103の遅相軸方向とは、そのズレが±2°の範囲内にあるように、望ましくは方向が一致するように設定される。
第1偏光板を光が透過すると、第1偏光板101の偏光層120で直線偏光となった光が、第1偏光板101の保護層122でわずかに楕円偏光となる。この楕円偏光となった光が、液晶層103を通過すると、第2偏光板105には、位相差波長分散によって偏光状態が波長毎に異なった状態となった光が入射されることになる。第1光学補償層117は、液晶層103の光学異方性(正の1軸光学異方性)とは逆の光学特性(負の1軸光学異方性)を有することで、液晶層103で生じる位相差波長分散を補償し、液晶層103で生じる波長毎に発生した位相差を打ち消し、第2偏光板105に入射する光を所望の偏光状態にする。
第2光学補償層118は、二軸光学異方性、又は、負の1軸光学異方性を有しており、第2偏光板105の光入射側に隣接して配置される。第2光学補償層118は、二軸光学異方性を有するものであれば、例えばフィルムを延伸したものを用いて形成できる。第2光学補償層118の遅相軸方向と、液晶層103の遅相軸方向とは、そのズレが±2°の範囲内にあるように、望ましくは方向が一致するように設定される。
液晶表示装置100を、偏光板101、105の光軸から45°ずれた方位から視野角をつけて観察すると、一対の偏光板101、105の光軸が直角からずれて観察される。光学補償層118は、斜め視野から観察した際に、観察する方向に応じて複屈折率が異なることにより、その一対の偏光板101、105の光軸が直角からずれて観察されることを補償する。光学補償層117及び118のこのような働きにより、第2偏光板105に入射する光を所望の偏光状態とすることができ、全ての観察方向で光漏れと色付きを抑えることができ、特に、黒表示時に斜め視野から観察した場合の光漏れを抑えることが可能となる。
ここで、第2光学補償層118によって光学補償する際には、第2光学補償層118の位相差波長分散により、波長により偏光状態が変化するため、光漏れや色付きといった問題が発生することが考えられる。このような場合でも、第1光学補償層117によって、第2光学補償層118に入射する光の偏光状態をコントロールすることにより、第2光学補償層118の出射光の偏光状態を揃えることができる。また、第2偏光板105に入射した光は、第3保護層123において、偏光状態が変化するが、第2光学補償層118によって、第2偏光板105の偏光層120に入射する光の偏光状態をコントロールすることで、第3保護層123の出射光の偏光状態を揃えることができる。
本発明者は、上記構成を有する液晶表示装置100についてシミュレーションを行い、光学補償層117及び118のそれぞれのリタデーションを含む光学特性について、光漏れを抑制して、黒表示時の斜め視野における光漏れを気にならないレベルとすることができる条件を求めた。シミュレーションでは、斜め視野として、図3に示す座標系において、観察者の視点方向を示す任意のベクトル(視野方向)をXY平面上に投影したときにX軸との間でなす角を方位角φ、任意のベクトルとXY平面とがなす角を視野角θとしたとき、方位角φ=45°における視野角θ=70°を採用した。
リタデーションについては、図4に示すように、面内の遅相軸方向の屈折率をnsとし、面内の進相軸方向の屈折率をnfとし、厚さ方向の屈折率をnzとするとき、換算の厚みをd[mm]として、面内のリタデーションを(ns−nf)×dとして定義する。シミュレーションでは、(ns−nz)=0の光学特性を有する第1光学補償層117を使用し、また、0≦(ns−nz)/(ns−nf)≦0.5の光学特性を有する第2光学補償層118を使用した。
なお、本発明者らは、シミュレーションに先立ち、通常のIPS型の液晶表示装置において、バックライトの輝度を徐々に低下させたとき、バックライトの輝度をどのレベルまで下げると、斜め視野における光漏れが表示品質にあまり影響を与えなくなるのかを実験により確認した。実験の結果、バックライトの輝度を通常の1/2とすれば、斜め視野における光漏れは、表示にあまり影響を与えなくなり、バックライトの輝度を1/4にすれば、斜め視野における光漏れはほとんど観察されないことを確認できた。そこで、上記斜め視野における光漏れが気にならないレベルとしては、通常のIPS型の液晶表示装置を斜めから観察した場合における光漏れの輝度(光漏れの量)を基準として、その光漏れの量が、半分となるレベルを採用した。
図5は、シミュレーションによる、光学補償層117及び118のリタデーションの組み合わせと、斜め視野における光漏れとの関係を3次元グラフとして示している。同図では、光漏れの量を、通常のIPS型の液晶表示装置を斜めから観察した場合における光漏れの量に対する割合(輝度比)として示している。同図に示すグラフから、光学補償層117及び118のリタデーションの組合せによっては、斜め視野における光漏れを、光漏れが気にならないレベル(輝度比0.5)以下にできることが理解できる。
図6は、図5に示すシミュレーション結果を2次元グラフとして示している。図6に示すグラフにおいて、輝度比が0.5より大きくなるリタデーションの組合せ(領域)と、0.5よりも小さくなるリタデーションの組合せとの間の境界を1次式で近似し、輝度比が0.5以下となる領域を求めると、図7に示す2つの領域(領域A、領域B)が得られる。第1光学補償層117のリタデーションを(Δnd)1、第2光学補償層118のリタデーションを(Δnd)2とすると、光漏れを気にならないレベルとすることができる光学補償層117及び118のリタデーションの組み合わせは、
領域A:
240nm≦(Δnd)1≦425nm
200nm≦(Δnd)2≦(0.75×(Δnd)1+61)nm
領域B:
500nm≦(Δnd)1≦730nm
(0.60×(Δnd)1−272)nm≦(Δnd)2≦180nm
として表すことができる。
本実施形態では、光学補償層117と118のリタデーションの組み合わせを図7中に示す領域A又は領域Bの範囲内に設定することで、黒表示時の斜め視野方向における光漏れを気にならないレベルにまで低減している。これは、光学補償層117及び118の面内リタデーションを、図7に示す領域A又は領域Bの範囲内の組み合わせに設定することにより、光入射側の第1偏光板101を構成する第2保護層122や、液晶層103、CF基板104で生じる光の分散を、光学補償層117、118によって抑えることができるものであり、その結果、光出射側の第2偏光板105を構成する偏光層120の位置で、光分散が少ない状態を作り出すことができるためであると考えられる。本実施形態では、このように、黒表示時の斜め視野における光漏れを、光漏れが気にならないレベルにまで低減できるため、液晶表示装置の表示品質を向上させることができる。
図8は、本発明の第2実施形態の液晶表示装置を示している。本実施形態は、光学補償層117が、CF基板104側に配置され、光学補償層118と液晶層103との間に配置される点で、第1実施形態と相違する。この構成を有する液晶表示装置100aについてシミュレーションを行ったところ、図5に示す第1実施形態のシミュレーション結果と同様な結果が得られた。従って、図8に示す本実施形態の構成を採用する場合にも、光学補償層117及び118の面内リタデーションの組合せを、図7に示す領域A又は領域Bの範囲内の組合せとすることで、第1実施形態と同様に、黒表示時の斜め視野における光漏れを低減できる。
なお、上記各実施形態では、第1光学補償層117として、負の1軸光学異方性を有するものを使用したが、これに代えて、二軸光学異方性を有するものを使用することもできる。この場合には、第1光学補償層117の光学特性を、z1=(ns1−nz1)/(ns1−nf1)とし、第2光学補償層118の光学特性を、z2=(ns2−nz2)/(ns2−nf2)としたとき、0<z1≦z2(≦0.5)の関係を有する光学補償層117及び118を使用するとよい。二軸光学異方性を有する第1光学補償層117を用いる場合には、特に、負の1軸光学異方性に近い二軸光学異方性を有する第1光学補償層117を用いることで、上記各実施形態で説明したのと同様に、光漏れを抑えることが可能となる。
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明の液晶表示装置は、上記実施形態にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。例えば、液晶表示装置がモノクロ表示を行う場合には、図1に示す着色層114は不要である。
本発明の第1実施形態の液晶表示装置を示す断面図。 (a)及び(b)は、それぞれ、図1に示す液晶表示装置100の一部を拡大して示す断面図。 方位角φ及び視野角θを定義する斜視図。 光学補償層のリタデーションを定義する斜視図。 光学補償層117及び118のリタデーションの組み合わせと、斜め視野における光漏れとの関係を示す3次元グラフ。 光学補償層117及び118のリタデーションの組み合わせと、斜め視野における光漏れとの関係を示す2次元グラフ。 黒表示時の光漏れを低減できる光学補償層のリタデーションの組み合わせ範囲を示すグラフ。 本発明の第2実施形態の液晶表示装置を示す断面図。
符号の説明
100:液晶表示装置
101、105:偏光板
102:TFT基板
103:液晶層
104:カラーフィルタ基板
106、116:ガラス基板
107:絶縁層
108:TFT
109:画素電極
110:対向電極
111、113:配向膜
112:液晶分子
114:着色層
115:遮光層
117、118:光学補償層
120:偏光子
121〜124:保護膜(TAC)

Claims (10)

  1. ツイスト角がほぼ0°で基板に対して液晶分子長軸がほぼ平行に配列されたホモジニアス配向の液晶層と、該液晶層を挟み液晶層の光入射側及び光出射側にそれぞれ配設された第1及び第2の基板と、前記第1の基板の光入射側及び前記第2の基板の光出射側にそれぞれ配設された第1及び第2の偏光板とを有し、前記液晶層に対して基板とほぼ平行方向の電界を印加する電極を配置した横方向電界駆動型の液晶表示装置において、
    前記第1の基板又は前記第2の基板に隣接して配設される第1の位相差板と、前記第2の偏光板の光入射側に配設される第2の位相差板とを有し、
    前記第1の位相差板の屈折率について、位相差板面内の遅相軸方向の屈折率をns1、進相軸方向の屈折率をnf1、厚さ方向の屈折率をnz1とし、前記第2の位相差板の屈折率について、位相差板面内の遅相軸方向の屈折率をns2、進相軸方向の屈折率をnf2、厚さ方向の屈折率をnz2としたとき、下記式
    0≦(ns1−nz1)/(ns1−nf1)≦0.5
    0≦(ns2−nz2)/(ns2−nf2)≦0.5
    を満たし、
    前記第1及び第2の位相差板の遅相軸は基板面に対してほぼ平行であり、前記第1の位相差板は、進相軸が前記液晶層の初期配向の光軸を基板面に投影した方向とほぼ平行となるように配置され、前記第2の位相差板は、遅相軸が前記液晶層の初期配向の光軸を基板面に投影した方向とほぼ平行となるように配置されており、
    前記第1の位相差板の面内リタデーションI1(nm)をI1=(ns1−nf1)×dとし(但し、dは換算厚み)、第2位相差板の面内リタデーションI2(nm)をI2=(ns2−nf2)×dとすると(但し、dは換算厚み)、I1及びI2は、下記式、
    240nm≦I1≦425nm
    200nm≦I2≦(0.75×I1+61)nm
    を満たすことを特徴とする液晶表示装置。
  2. ツイスト角がほぼ0°で基板に対して液晶分子長軸がほぼ平行に配列されたホモジニアス配向の液晶層と、該液晶層を挟み液晶層の光入射側及び光出射側にそれぞれ配設された第1及び第2の基板と、前記第1の基板の光入射側及び前記第2の基板の光出射側にそれぞれ配設された第1及び第2の偏光板とを有し、前記液晶層に対して基板とほぼ平行方向の電界を印加する電極を配置した横方向電界駆動型の液晶表示装置において、
    前記第1又は第2の基板に隣接して配設される第1の位相差板と、前記第2の偏光板の光入射側に配設される第2の位相差板とを有し、
    前記第1の位相差板の屈折率について、位相差板面内の遅相軸方向の屈折率をns1、進相軸方向の屈折率をnf1、厚さ方向の屈折率をnz1とし、前記第2の位相差板の屈折率について、位相差板面内の遅相軸方向の屈折率をns2、進相軸方向の屈折率をnf2、厚さ方向の屈折率をnz2としたとき、下記式
    0≦(ns1−nz1)/(ns1−nf1)≦0.5
    0≦(ns2−nz2)/(ns2−nf2)≦0.5
    を満たし、
    前記第1及び第2の位相差板の遅相軸は基板面に対してほぼ平行であり、前記第1の位相差板は、進相軸が前記液晶層の初期配向の光軸を基板面に投影した方向とほぼ平行となるように配置され、前記第2の位相差板は、遅相軸が前記液晶層の初期配向の光軸を基板面に投影した方向とほぼ平行となるように配置されており、
    第1位相差板の面内リタデーションI1(nm)をI1=(ns1−nf1)×dとし(但し、dは換算厚み)、第2位相差板の面内リタデーションI2(nm)をI2=(ns2−nf2)×dとすると(但し、dは換算厚み)、I1及びI2は、下記式、
    500nm≦I1≦730nm
    (0.60×I1−272)nm≦I2≦180nm
    を満たすことを特徴とする液晶表示装置。
  3. 前記第1及び第2の位相差板について、z1及びz2を、それぞれ、z1=(ns1−nz1)/(ns1−nf1)、z2=(ns2−nz2)/(ns2−nf2)と定義すると、z1≦z2の関係を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
  4. 前記第1の位相差板は、2軸光学異方性、又は、負の1軸光学異方性を有することを特徴とする、請求項1〜3の何れか一に記載の液晶表示装置。
  5. 前記第2の位相差板は、2軸光学異方性、又は、負の1軸光学異方性を有することを特徴とする、請求項1〜4の何れか一に記載の液晶表示装置。
  6. 前記第1の位相差板の進相軸と、前記液晶層の初期配向の光軸を基板面に投影した方向とがなす角度が±2°の範囲内にあることを特徴とする、請求項1〜5の何れか一に記載の液晶表示装置。
  7. 前記第2の位相差板の遅相軸と、前記液晶層の初期配向の光軸を基板面に投影した方向とがなす角度が±2°の範囲内にあることを特徴とする、請求項1〜6の何れか一に記載の液晶表示装置。
  8. 前記第1及び第2の偏光板のそれぞれが、入射光をほぼ直線偏光に変換する機能を有する偏光層と、該偏光層を挟む一対の保護層とを有し、該保護層の屈折率楕円体について、直交する3つの光学的弾性軸のうち最大の屈折率を有する軸方向の屈折率をnx、2番目に大きな屈折率を有する軸方向の屈折率をny、最小の屈折率を有する軸方向の屈折率をnzとすると、nxとnyはほぼ等しく、nzが基板面に対してほぼ垂直な方向を向いていることを特徴する、請求項1〜7の何れか一に記載の液晶表示装置。
  9. 前記液晶層は、ポジ型の液晶により構成されていることを特徴とする、請求項1〜8の何れか一に記載の液晶表示装置。
  10. 前記液晶層は、ネガ型の液晶により構成されていることを特徴とする、請求項1〜8の何れか一に記載の液晶表示装置。

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