JP2005272790A - 水性インク組成物およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光分散法による平均粒径が20nm以上200nm以下の顔料と、ゲルパーミエーションクトマトグラフィーによるスチレン換算数平均分子量が5000以上200000以下である水分散性ポリマーと、を含有し、表面張力が20mN/m以上40mN/m以下であり、前記顔料は、前記水分散性ポリマーに被覆されたポリマー被覆顔料である、水性インク組成物とする。
【選択図】 なし
Description
(a)ベンジルアクリレートおよび/またはベンジルメタクリレートを有し、これらのベンジル系モノマーを全モノマー重量の40重量%以上80重量%以下有するモノマーの共重合体である。
(b)前記水分散性ポリマーは、アクリレートとアクリル酸とを全モノマー重量の80重量%以上有するモノマーの共重合体である。
(c)前記水分散性ポリマーは、パラクミルフェノキシエチレングリコールアクリレートを少なくとも一部に含むモノマーの共重合体である。
(d)前記水分散性ポリマーはその全重量に対して1重量%以上20重量%以下の硫黄(S)を含有する。
(e)前記水分散性ポリマーは、ウレタンアクリレートおよび/またはウレタンメタクリレートと、非ウレタンアクリレートおよび/または非ウレタンメタクリレートと、アクリル酸および/またはメタクリル酸とを少なくとも一部に含むモノマーの重合体であって、アロファネート結合及びビウレット結合の総量がポリマー固形分に対して1.0mmol/g以下であり、ウレタン結合、ウレア結合、アロファネート結合及びビウレット結合の総量がポリマー固形分に対して10.0mmol/g以下である、共重合体である。
本発明の水性インク組成物に含まれる顔料は、光分散法による粒径が20nm以上200nm以下であることが好ましい。20nm以下では、耐光性や耐ガス性が低下する。200nmを超えると専用紙上での光沢が出にくくなり、印刷時において非印字部との間に光沢の差ができてしまう。より好ましくは30nm以上である。また、150nm以下であることが好ましく、より好ましくは、100nm以下であり、さらに好ましくは80nm以下である。特に顔料の該粒径が80nmを超えると顔料が高濃度であっても専用紙上での光沢を確保することができる。以上のことから、光分散法による粒径は20nm以上80nm以下が好ましく、より好ましくは、20nm以上70nm以下であり、さらに好ましくは、30nm以上65nm以下である。なお、本明細書において「顔料の粒径」というときには、何ら被覆されていない形態の顔料の粒径をいうものとする。また、「光分散法による粒径」というときには、特に断りのない限り、光分散法によって求めた平均粒径をいうものとする。
本発明の水分散性ポリマーは、ゲルパーミエーションクトマトグラフィー(GPC)によるスチレン換算数平均分子量が5000以上200000以下であることが好ましい。5000未満では、インク組成物とするときに用いるビヒクルの特性により脱離して悪影響を及ぼしやすい、具体的には、印字品質を向上させるための添加剤であるアセチレングリコール系、アセチレンアルコール系、シリコン系の各界面活性剤、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル若しくは1,2−アルキレングリコールあるいはこれら混合物と脱離したポリマーにより、ヘッドを構成する接着剤などをアタックしやすくなるからである。200000を超えるとインクの粘度が上昇しやすくなることと、安定な分散体を得ることが難しくなる。より好ましくは10000以上あるいは20000以上である。また、好ましくは、100000以下である。
本水分散性ポリマーは、また、ベンジルアクリレートおよび/またはベンジルメタクリレートを全モノマー重量の40%以上80%以下含んでいることが好ましい。ベンジル基を有するアクリル系モノマー及びメタクリル系モノマーの総量が40%未満では、PPC用紙など普通紙の発色性が低下し、80%を超えると分散安定性を得られにくくなるからである。なお、ベンジル基含有水分散性ポリマーは、ベンジルアクリレートおよびベンジルメタクリレート以外のモノマーは、アクリル酸および/またはメタクリル酸と他のアクリレートおよび/またはメタクリレートであることが好ましい。これらのモノマーのみから共重合されていることが好ましい。
本水分散性ポリマーは、アクリレートとアクリル酸との全モノマー重量に対する比率が80%以上であるモノマー組成物の共重合体であることが好ましい。80%未満では、専用紙における定着性や光沢性が低下する。より好ましくは90%以上である。一層好ましくは、100%である。アクリレートとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、フェノールEO変性アクリレート、N-ビニルピロリドン、イソボロニルアクリレート、ベンジルアクリレート、パラクミルフェノールEO変性アクリレート、2−ヒドロキシエチル−3−フェノキシプロピルアクリレートなど市販のアクリレートを用いることができる。また、アクリル酸の代わりにω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸ダイマーなどを用いることができる。好ましくは、ベンジルアクリレートおよび/またはブチルアクリレートを用いる。さらに好ましくは、ベンジルアクリレートを全モノマー重量の40%以上80%以下含有するモノマーの共重合体である。なお、アクリル酸−アクリレート系水分散性ポリマーは、スチレン換算数平均分子量が20000以上200000以下であることが好ましく、より好ましくは、20000以上100000以下である。
また、本水分散性ポリマーは、パラクミルフェノキシエチレングリコールアクリレートをモノマーとして用いた共重合体であることが好ましい。パラクミルフェノキシエチレングリコールアクリレートを含むことにより、ポリマー屈折率が向上し、かつガラス転移温度が高くならないので光沢紙での光沢性と定着性が向上する。好ましくは、モノマー全重量の10%以上であり、より好ましくは20%以上であり、さらに好ましくは30%以上であり、一層好ましくは50%以上である。
本水分散性ポリマーは、該ポリマーの全重量に対して1%以上20%以下の硫黄(S)を含有することが好ましい。1%未満では、他の成分によって屈折率を向上できるが定着性が低下し、20%を超えると分散が難しくなり不安定になる。より好ましくは下限が3%以上であり、上限は15%以下である。なお、ポリマー中の硫黄は、2400CHNエレメンタルアナライザー(パーキンエルマー社(米国製))を用いて元素分析することによりあるいはこれと同等の精度を得ることができる測定装置により測定できる。
本水分散性ポリマーは、ウレタンアクリレートおよび/またはウレタンメタクリレートと、非ウレタンアクリレートおよび/または非ウレタンメタクリレートと、アクリル酸および/またはメタクリル酸とをモノマー成分とを少なくとも一部に含むモノマーの共重合体であって、アロファネート結合及びビウレット結合の総量がポリマー固形分に対して1.0mmol/g以下であり、好ましくは、ウレタン結合、ウレア結合、アロファネート結合及びビウレット結合の総量がポリマー固形分に対して10.0mmol/g以下であることが好ましい。
(非ウレタン(メタ)アクリレート)
非ウレタン(メタ)アクリレートとしては、ウレタン(メタ)アクリレート以外の(メタ)アクリレートを意味する。特に限定しないが、例えば、(メタ)アクリル酸の分岐したあるいは分岐していない鎖状脂肪族エステル、脂環族エステルあるいは芳香族エステルである(メタ)アクリレート等を用いることができ、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル、(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノールEO変性(メタ)アクリレート、N−ピロリドン、パラクミル変性EO(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ基含有ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシ基含有ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシ基含有ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ基含有ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシ基含有ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシ基含有ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキルメタクリレート、ヒドロキシアルキルアクリレート、ジメチルアミノメタクリレート、ジメチルアミノアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレートを用いることができる。
本ポリマーにあっては、ウレタン結合、ウレア結合、アロファネート結合及びビウレット結合を所定量含むことができ、これらの結合はウレタン(メタ)アクリレートによって本ポリマーに供給されていることが好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートにおけるウレタン鎖部分は、少なくともウレタン結合を含み、ウレア結合、アロファネート結合及びビウレット結合のいずれかあるいは2種以上を含んでいる。
ウレタンオリゴマーを得るための有機ポリイソシアネートとしては、公知の脂肪族ジイソシアネート、脂環族のジイソシアネート及び芳香族イソシアネート並びにこれらの変性体を用いることができる。ジイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(CHMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、イソプロピリデンビス(4−シクロヘキシルジイソシアネート)(IPC)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、水添キシリレンジイソシアネート(水添XDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、トルイレンジイソシアネート、フェニルメタンジイソシアネート等を挙げることができる。
本ポリマーには、親水性を付与するためにカルボキシル基を備えていることが好ましい。本ポリマーにおけるカルボキシル基は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、フマール酸を用いることができる。また、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸ダイマー等も用いることができる。これらは1種あるいは2種以上を組み合わせて用いることができるが、好ましくは、アクリル酸および/またはメタクリル酸であり、より好ましくはアクリル酸である。
ウレタン系水分散性ポリマーにおいては、ウレタン(メタ)アクリレートを重合ユニットとして備えており、少なくともウレタン結合を有するが、本ポリマーは、アロファネート結合及びビウレット結合の総量がポリマー固形分に対して1.0mmol/g以下であることが好ましい。1.0mmol/gを超えると顔料の分散安定性が顕著に低下するからである。より好ましくは、0.1mmol/g以下である。すなわち、分散安定性の観点からはアロファネート結合及びビウレット結合が含まれないようなモノマー組成及び重合条件等が選択されることが好ましい。また、本ポリマーは、ウレタン結合、ウレア結合、アロファネート結合及びビウレット結合の総量がポリマー固形分に対して10.0mmol/g以下であることが好ましい。10.0mmol/gを超えても顔料の分散安定性が低下するからである。これらの4種の結合の総量は、好ましくは0.1mmol/g以上である。0.1mmol/g未満であると、光沢紙定着性が低下するからである。
ウレタン系水分散性ポリマーにおけるこれらの結合の各量及び上記した各総量は、以下のように測定することができる。すなわち、アミンで本ポリマー中のアロファネート及びビウレットを選択的に分解後、未反応アミンを逆滴定によりこれらの含有量(当量)を求めておき、さらに、このアミン分解物につきGC−MS(ガスクロマトグラフィー−マススペクトロメトリー)を用いて、アミン分解によりビウレット結合及びアロファネート結合から生成したウレタン結合及びウレア結合を含めて未反応のウレタン結合及びウレア結合を測定する。こうすることで、ウレタン結合等の各量及び各種総量を求めることができる。本ポリマーにあっては、n−ブチルアミンを用いてウレタン結合、ウレア結合を分解しない条件でアロファネート結合及びビウレット結合を分解することができる。n−ブチルアミンを用いた定量工程は、具体的には、本ポリマーにn−ブチルアミンを過剰量添加して40℃で24時間放置後、0.1%濃度の塩酸溶液にて逆滴定する工程とすることができる。なお、この方法と同等の正確性と精度とが得られる限り他の方法によってもこれらの各結合量及び各種総量を測定することができる。そのような他の方法としては、アミン分解を利用してプロトンNMRあるいはガスクトマトグラフィーを用いて分析する方法、アミン分解後ピリジンで加水分解する方法等を挙げることができる。なお、これらの各結合量等の測定については、渡辺健市ほか『アミン分解及びピリジン分解のプロトン核磁気共鳴法による熱硬化ポリウレタンのアロハネート結合の定量』分析化学第44巻第1号,p.49(1995)等を参考にすることができる。
これらの水分散性ポリマーは、溶液重合や乳化重合により得ることができる。重合開始剤としては、過硫酸カリウムや過硫酸アンモニウムの他に、過硫酸水素やアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、アゾビスアセトキシフェニルエタン、アゾビスメチルブタンアミドジヒドロクロライドテトラハイドレート、アゾビスメチルブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、ジメチルアゾビスイソブチレート、アゾビスシアノ吉草酸、過酸化ベンゾイル、過酸化ジブチル、過酢酸、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルヒドロキシパーオキシド、パラメンタンヒドロキシパーオキシドなどラジカル重合に用いられる一般的な開始剤を用いることができる。
(a)ベンジルアクリレートおよび/またはベンジルメタクリレートを有し、これらのベンジル系モノマーを全モノマー重量の40重量%以上80重量%以下有するモノマーの共重合体である。
(b)前記水分散性ポリマーは、アクリレートとアクリル酸とを全モノマー重量の80重量%以上有するモノマーの共重合体である。
(c)前記水分散性ポリマーは、パラクミルフェノキシエチレングリコールアクリレートを少なくとも一部に含むモノマーの共重合体である。
(d)前記水分散性ポリマーはその全重量に対して1重量%以上20重量%以下の硫黄(S)を含有する。
(e)前記水分散性ポリマーは、ウレタンアクリレートおよび/またはウレタンメタクリレートと、非ウレタンアクリレートおよび/または非ウレタンメタクリレートと、アクリル酸および/またはメタクリル酸とを少なくとも一部に含むモノマーの重合体であって、アロファネート結合及びビウレット結合の総量がポリマー固形分に対して1.0mmol/g以下であり、ウレタン結合、ウレア結合、アロファネート結合及びビウレット結合の総量がポリマー固形分に対して10.0mmol/g以下である、共重合体である。
本水性インク組成物においては、前記顔料は、水分散性ポリマーによって被覆されたポリマー被覆顔料(マイクロカプセル化顔料ともいう。)として存在することが好ましい。ポリマー被覆顔料は、顔料が高分子化合物によって被覆あるいは囲繞された形態で水性媒体中に分散可能なものである。かかるポリマー被覆顔料は、特に、下記する顔料が、高分子化合物によって被覆されてなるものが好ましい。顔料としては、ブラックインクはカーボンブラックを、シアンインクはC.I.Pigment Blue 15:1、 C.I.Pigment Blue 15:3、 C.I.Pigment Blue 15:4を、マゼンタインクはC.I.Pigment Red 122、 C.I.Pigment Red 146、 C.I.Pigment Red169、 C.I.Pigment Red 81:2、 C.I.Pigment Red 176、 C.I.Pigment Red 184、C.I.Pigment Red 185、 C.I.Pigment Red 202、 C.I.Pigment Red 208、 C.I.Pigment Red 57:1、 C.I.Pigment Violet 32、 C.I.Pigment Violet 19を、イエローインクはC.I.Pigment Yellow 73、C.I.Pigment Yellow 74、C.I.Pigment Yellow 109、C.I.Pigment Yellow 110、 C.I.Pigment Yellow 128、 C.I.Pigment Yellow 129、 C.I.Pigment Yellow 138、 C.I.Pigment Yellow 150、 C.I.Pigment Yellow 151、 C.I.Pigment Yellow 154、 C.I.Pigment Yellow 155、C.I.Pigment Yellow 180、C.I.Pigment Yellow 185等から選択される一種以上が好ましい。水性インク組成物中のポリマー被覆顔料の含有量は、ポリマー被覆顔料の濃度として2%以上8%以下の範囲が好ましく、より好ましくは3%以上8%以下の範囲である。
ポリマー被覆顔料は、公知の物理的機械的手法または化学的手法で製造される。具体的には、相分離法(コアセルベーション)、液中乾燥法(界面沈澱法)、スプレードライング法、パンコーティング法、液中硬化被覆法、界面重合法、in situ法、超音波法等を特に制限されずに用いることができる。本インク組成物においては、ポリマー被覆顔料として特開平9−151342号公報に記載されているアニオン性ポリマー被覆顔料を用いることができる。また、特開平10−316909号公報に記載されている方法によっても得ることができる。
例えば、顔料の存在下において、本発明の水分散性ポリマーのモノマーを乳化重合等により重合させることによりポリマー被覆顔料を得ることができる。すなわち、顔料を分散させた系に対して、重合性モノマーと重合開始剤と必要に応じて連鎖移動剤を添加して所定の条件で重合反応を行う。顔料の分散系は、他のモノマーと共重合可能な重合性基を有する分散剤を用いて構成することもできる。具体的には、超音波発生器と攪拌機と温度調整器とを備えた反応容器に、顔料と、水と、必要に応じて重合性界面活性剤を使用して超音波を所定時間照射して粉砕処理を行う。なお、超音波発生器を用いる超音波分散方法の他に、ボールミル、ロールミル、アイガーミル等の一般的な分散機を用いる分散方法や、ハイスピードミキサー、ビーズミル、サンドミルあるいはロールミルなどによる分散方法も使用できる。次いで、モノマーと、重合性開始剤とを更に添加して所定の重合温度で重合反応を行うことにより好適に得ることができる。ここで、反応容器には上記連鎖移動剤を添加することもできる。
ポリマー被覆顔料の好ましい製造方法として、転相乳化法を挙げることができる。ポリマーの親水性を低下させることで疎水性の高い顔料の表面への吸着性が向上してインクジェットに通常用いられる界面活性剤や溶剤のアタックを受けにくくなり安定性が向上する。したがって、通常、アクリルスチレン系のポリマーを用いて通常のメディア分散をおこなっても安定性は得られにくいが、本発明の水分散性ポリマーで転相乳化法によれば、インクの安定が向上し普通紙の発色性が向上する。
(分散体A1〜A4の製造)
まず、分散体A1はカーボンブラックであるモナーク880(キャボット製)を用いる。攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、スチレン20部、2−エチルヘキシルメタクリレート5部、ブチルメタクリレート15部、ラウリルメタクリレート10部、メタクリル酸2部、t―ドデシルメルカプタン0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したスチレン150部、アクリル酸15部、ブチルメタクリレート50部、t−ドデシルメルカプタン1部、メチルエチルケトン20部およびアゾビスイソブチロニトリル1部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。
上記と同様な手法で分散体A2〜A4を得た。分散ポリマーと顔料の重量比が20:80になるように調整した。分散体2はピグメントブルー15:3(銅フタロシアニン顔料:クラリアント製)を用いた。分散体3はピグメントレッド122(ジメチルキナクリドン顔料:クラリアント製)を用いた。分散体4はピグメントイエロー180(ジケトピロロピロール:クラリアント製)を用いた。
分散体A5〜A8は分散体A1〜A4と同様に作製した。分散体5はカーボンブラックであるレーベンC(コロンビアンカーボン製)、分散体6はピグメントブルー15:4(銅フタロシアニン顔料:クラリアント製)を用いた。分散体7はピグメントバイオレット19(キナクリドン顔料:クラリアント製)を用いた。分散体8はピグメントイエロー74(縮合アゾ顔料:クラリアント製)を用いた。
反応容器に滴下装置、温度計、水冷式還流コンデンサー、攪拌機を備え、イオン交換水100部を入れ、攪拌しながら窒素雰囲気70℃で、重合開始剤の過流酸カリを0.2部を添加しておいた。イオン交換水7部にラウリル硫酸ナトリウムを0.05部、グリシドキシアクリレート4部、ベンジルメタクリレート25部、テトラヒドロフルフリルアクリレート6部、ブチルメタクリレート5部およびt−ドデシルメルカプタン0.02を入れたモノマー溶液を、70℃に滴下して反応させて1次物質を作成する。その1次物質に、過流酸アンモニウム10%溶液2部を添加して攪拌し、さらにイオン交換水30部、ラウリル硫酸カリ0.2部、スチレン30部、ブチルメタクリレート25部、ブチルアクリレート6部、アクリル酸2部、1、6−ヘキサンジオールジメタクリレート1部、t−ドデシルメルカプタン0.5部よりなる反応液を70℃で攪拌しながら添加して重合反応させた後、水酸化ナトリウムで中和しpH8〜8.5にして0.3μmのフィルターでろ過した高分子微粒子30%水溶液を作成してエマルジョンAとした。
以下水性インクの具体例としてのインクジェット記録用インクに好適な組成の例を示す。分散体の添加量はその量(固形分濃度:顔料と分散ポリマーの合計量)を重量で換算したものとして示す。尚、本実施例中の残量の水の中にはインクの腐食防止のためトップサイド240(パーマケムアジア社製)を0.05%、インクジェットヘッド部材の腐食防止のためベンゾトリアゾールを0.02%、インク系中の金属イオンの影響を低減するためにEDTA(エチレンジアミン四酢酸)・2Na塩を0.04%それぞれイオン交換水に添加したものを用いた。
各インク組成を表1に示す。
TEGmBE:トリエチレングリコールモノブチルエーテル
オルフィンE1010(アセチレングリコール系界面活性剤:日信化学工業株式会社製)
DEGmBE:ジエチレングリコールモノブチルエーテル
オルフィンSTG(アセチレングリコール系界面活性剤:日信化学工業株式会社製)
サーフィノール61(アセチレンアルコール系界面活性剤:エアープロダクツ(米国)製)
DPGmBE:ジプロピレングリコールモノブチルエーテル
PGmBE:プロピレングリコールモノブチルエーテル
をそれぞれ示す。
表2に、上記の方法で作成した水性インクを60℃で30日放置したときの粘度変化率(%)を示す。製造例A1〜A8および製造例A1のインクでポリマーの合成方法(合成時間およびラジカル重合開始剤の量)を変えて分子量と分散Mw/Mnの値をそれぞれ変えたもの、および顔料の平均粒径を変えたものについて示す。粒径の測定はゼータサイザー3000HS(マルバーン社(英国)製))を用いて測定した。粘度変化率の測定は、アントンパール(ドイツ)製AMVnにより角度60°において測定し、1−(30日後の値)/(初期の値)の100分率(%)として示す。ODの測定はGRETAG MACBETH SPECTROSCAN(GRETAG社製)を用いて行なった。
表3に普通紙の印字品質の評価結果を示す。製造例A1において、ポリマーを重合するときの条件(合成時間およびラジカル重合開始剤の量)を調整して分子量の異なるポリマーを用いた分散体を作成してその比較を示す。これらの評価に用いた紙は、市販の普通紙でXerox4024紙(米国Xerox社製)、Xerox10紙(富士ゼロックス社製)、Ricopy6200紙(リコー株式会社製)、エプソンEPP紙(セイコーエプソン株式会社製)である。ODの測定は表2に示すと同様な方法による。
表4に製造例A1〜4のインクについて顔料濃度を変えたときのODについて示す。これらの評価に用いた紙は、市販の普通紙でXerox4024紙(米国Xerox社製)およびXerox10紙(富士ゼロックス社製)である。ODの測定は表2に示す方法と同様な方法による。
表5に製造例A1において、ポリマーを重合するときの条件(合成時間およびラジカル重合開始剤の量)を調整して分子量の異なるポリマーを用いた分散体を作成してその専用紙の定着性とODの評価結果を示す。OD値評価は表2に示す場合と同じ方法による。定着性の評価は専用紙(PM写真用紙)を用いて印刷面とその裏面を300gの荷重で重ね合わせて1m/sの速度で移動させたときのインクの剥がれ具合を観察する方法による。表5中Aは全く剥がれがないもの、Bはわずかにはがれがあるもの、Cは剥がれがあり裏面に移るもの、Dはかなり剥がれがあり裏面に移るものである。
表6に製造例A1〜A8のインクおよび製造例A1において組成を変更して表面張力を変えたものについて吐出安定性の評価結果を示す。表面張力の上昇は表1のオルフィンE1010、オルフィンSTG、サーフィノール61、DEGmBE、TEGmBE、PGmBEおよびDPGmBEの添加量を減少させることによる。表面張力の低下はフッ素系界面活性剤フタージェント251(株式会社ネオス製)を用いることによる。表面張力の測定は自動表面張力計CBVP−A3型(協和界面科学株式会社製)による。吐出安定性はセイコーエプソン株式会社製のインクジェットプリンターEM−930Cを用いて、A4版Xerox P紙にマイクロソフト社のワードのMS明朝文字をスタイル標準サイズ10で2000字/ページの割合で100ページ連続印字して印字乱れを生じないものをA、10個所未満印字乱れのあるものをB、10個所以上100個所未満印字乱れのあるものをC、100個所以上印字乱れのあるものをDとする。
表7に製造例A1において、ポリマーを重合するときの条件(合成時間およびラジカル重合開始剤の量)を調整して分子量の異なるポリマーを用いた分散体を作成してその材料アタック性を示す。評価に用いた材料はインクカートリッジの構成材料の一つであるブチルゴムを用いて70℃で7日放置したときの重量減少率(%)で示す。
まず、分散体B1はカーボンブラックであるモナーク880(キャボット製)を用いる。攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、ベンジルメタクリレート20部、2−エチルヘキシルメタクリレート5部、ブチルメタクリレート15部、ラウリルメタクリレート10部、メタクリル酸2部、t―ドデシルメルカプタン0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したベンジルメタクリレート150部、アクリル酸15部、ブチルメタクリレート50部、t−ドデシルメルカプタン1部、メチルエチルケトン20部およびアゾビスイソブチロニトリル1部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させる。次に、反応容器にメチルエチルケトンを添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。
分散体B5〜B8はベンジルメタクリレートの代わりにベンジルメタクリレート50%とベンジルアクリレート50%の混合物を用いる以外は分散体B1〜B4と同様に作成した。分散体B5はカーボンブラックであるラーベンC(コロンビアンカーボン製)、分散体B6はピグメントブルー15:4(銅フタロシアニン顔料:クラリアント製)を用いた。分散体B7はピグメントバイオレット19(キナクリドン顔料:クラリアント製)を用いた。分散体B8はピグメントイエロー74(縮合アゾ顔料:クラリアント製)を用いた。
以下水性インクの具体例としてのインクジェット記録用インクに好適な組成の例を示す。分散体の添加量はその量(固形分濃度:顔料と分散ポリマーの合計量)を重量で換算したものとして示す。<>は顔料の平均粒径をnm単位で示す。尚、本製造例中の残量の水の中にはインクの腐食防止のためトップサイド240(パーマケムアジア社製)を0.05%、インクジェットヘッド部材の腐食防止のためベンゾトリアゾールを0.02%、インク系中の金属イオンの影響を低減するためにEDTA(エチレンジアミン四酢酸)・2Na塩を0.04%それぞれイオン交換水に添加したものを用いた。各インク組成を表8に示す。
TEGmBE:トリエチレングリコールモノブチルエーテル
オルフィンE1010(アセチレングリコール系界面活性剤:日信化学工業株式会社製)
DEGmBE:ジエチレングリコールモノブチルエーテル
オルフィンSTG(アセチレングリコール系界面活性剤:日信化学工業株式会社製)
サーフィノール61(アセチレンアルコール系界面活性剤:エアープロダクツ(米国)製)
DPGmBE:ジプロピレングリコールモノブチルエーテル
PGmBE:プロピレングリコールモノブチルエーテル
をそれぞれ示す。
表9に、上記の方法で作成した水性インクを60℃で30日放置したときの粘度変化率(%)を示す。製造例B1〜B8および製造例B1のインクでポリマーの合成方法(合成時間およびラジカル重合開始剤の量)を変えて分子量と分散Mw/Mnの値をそれぞれ変えたもの、および顔料の平均粒径を変えたものについて示す。粒径の測定はゼータサイザー3000HS(マルバーン社(英国)製))を用いて測定した。粘度変化率の測定は、アントンパール(ドイツ)製AMVnにより角度60°において測定し、1−(30日後の値)/(初期の値)の100分率(%)として示す。ODの測定はGRETAG MACBETH SPECTROSCAN(GRETAG社製)を用いて行なった。
表10に普通紙の印字品質の評価結果を示す。製造例B1〜B8において、ポリマーを重合するときの条件(合成時間およびラジカル重合開始剤の量)を調整して分子量の異なるポリマーを用いた分散体を作成してその比較を示す。これらの評価に用いた紙は、市販の普通紙でXerox4024紙(米国Xerox社製)、Xerox10紙(富士ゼロックス社製)、Ricopy6200紙(リコー株式会社製)、エプソンEPP紙(セイコーエプソン株式会社製)である。ODの測定は表3に示すものと同様な方法による。表10には、製造例B1についての結果を示す。
表11に製造例B1において、ベンジルメタクリレート、ベンジルアクリレートおよびブチルメタクリレートの計算導入量(ポリマー全体の85%分)を変えて、その他は同様にして作成したポリマー(分子量約50000)を用いた分散体を作成して、その分散体を用いて作成したインクの普通紙におけるODの評価結果およびインクの保存安定性の結果を示す。保存安定性は70℃7日における増粘率(%)で示す。このでは普通紙としてXerox 4024(米国Xerox社製)を用い、プリンターとしてセイコーエプソン株式会社製EM930Cを用いてフォト720dpiで印刷した例を示す。OD値評価は表10に示す場合と同じ方法による。
表12に製造例B1において、ポリマーを重合するときの条件(合成時間およびラジカル重合開始剤の量)を調整して分子量の異なるポリマーを用いた分散体、および実施例1においてベンジルメタクリレートをスチレンに代えて作成したポリマーを用いた分散体を作成して、その専用紙の定着性とODの評価結果を示す。OD値評価は表3に示す場合と同じ方法による。定着性の評価は専用紙(PM写真用紙)を用いて印刷面とその裏面を300gの荷重で重ね合わせて1m/sの速度で移動させたときのインクの剥がれ具合を観察する方法による。表3中AAは2回移動させても全く剥がれがないもの、Aは1回では全く剥がれがないが2回移動させるとわずかに剥れが生じるもの、Bはわずかにはがれがあるもの、Cは剥がれがあり裏面に移るもの、Dはかなり剥がれがあり裏面に移るものである。
表13に製造例B1〜B8のインクおよび実施例1において組成を変更して表面張力を変えたものについて吐出安定性の評価結果を示す。表面張力の上昇は表8のオルフィンE1010、オルフィンSTG、サーフィノール61、DEGmBE、TEGmBE、PGmBEおよびDPGmBEの添加量を減少させることによる。表面張力の低下はフッ素系界面活性剤フタージェント251(株式会社ネオス製)を用いることによる。表面張力の測定は自動表面張力計CBVP−A3型(協和界面科学株式会社製)による。吐出安定性はセイコーエプソン株式会社製のインクジェットプリンターEM−930Cを用いて、A4版Xerox P紙にマイクロソフト社のワードのMS明朝文字をスタイル標準サイズ10で2000字/ページの割合で100ページ連続印字して印字乱れを生じないものをA、10個所未満印字乱れのあるものをB、10個所以上100個所未満印字乱れのあるものをC、100個所以上印字乱れのあるものをDとする。
表14に製造例B2,B3,B4および製造例B6,B7,B8において、ベンジルメタクリレートの代わりにスチレンを用いて調整したポリマーを用いた分散体(実施例に対応して比較例B2,B3,B4および比較例B6,B7,B8)を作成してその変色性を示す。変色性はEM930Cを用いて製造例B2〜B4のシアンインク、マゼンタインクおよびイエローインクを用いたグレーパターン(3水準:ODが異なる)を作成し、Xerox4024紙およびセイコーエプソン製PM写真用紙に印字して30℃45%の条件に1年放置したときのΔEの評価結果として示す。
(分散ポリマーの分子量の分散の測定)
分子量は、合成したポリマーの一部を取り、株式会社日立製作所製L7100システムのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、溶剤をTHFとして測定したときのスチレン換算数平均分子量を得た。また、分散は、スチレン換算数平均分子量と同様にして求めたスチレン換算重量平均分子量を用いて、Mn(数平均分子量)とMw(重量平均分子量)から求めた。
各水性インク組成物を60℃で30日放置したときの粘度変化率(%)として示す。
ゼータサイザー3000HS(マルバーン社(英国)製)(光分散法)を用いて測定した。
アントンパール(ドイツ)製AMVnにより角度60°において測定して、1−(30日後の値)/(初期の値)の100分率(%)として示す。
GRETAG MACBETH SPECTROSCAN SPM−50(GRETAG社製)を用いて行なった。
入射角60度における記録面の鏡面光沢度をグロスチェッカ(IG−320:堀場製作所製)にて測定を行い、各記録紙ごとに5回の平均をとった値とした。メディアは専用紙(セイコーエプソン株式会社製PM写真用紙)で、用いるプリンターはセイコーエプソン株式会社製EM930Cを用いてフォト720dpiで印刷したものを用いた。
自動表面張力計CBVP−A3型(協和界面科学株式会社製)によって行なった。
セイコーエプソン株式会社製のインクジェットプリンターEM−930Cを用いて、A4版XeroxP紙にマイクロソフト社のワードのMS明朝文字をスタイル標準サイズ10で2000字/ページの割合で100ページ連続印字して印字乱れの発生状況を観察することで行なった。
定着性の評価は専用紙(PM写真用紙)を用いて印刷面とその裏面を300gの荷重で重ね合わせて30cm/sの速度で移動させたときのインクの剥がれ具合を観察する方法で行なった。
GRETAG MACBETH SPECTROSCAN SPM−50(GRETAG社製)を用いてL*、a*およびb*を測定してそのスカラー値として計算することによる。
分散体C1はカーボンブラックであるモナーク880(キャボット製)を用いた。攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、ベンジルアクリレート20部、2−エチルヘキシルアクリレート5部、ブチルアクリレート15部、ラウリルアクリレート10部、アクリル酸2部、t―ドデシルメルカプタン0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したベンジルアクリレート150部、アクリル酸15部、ブチルアクリレート50部、t−ドデシルメルカプタン1部、メチルエチルケトン20部およびアゾビスイソバレロニトリル1部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。分子量の分散(Mw/Mn)の値は3.1であった。
以下水性インクの具体例としてのインクジェット記録用インクに好適な組成の例として表15に示す。表15中分散体の添加量はその量(固形分濃度:顔料と分散ポリマーの合計量)を重量で換算したものとして示す。尚、本表15中の残量の水の中にはインクの腐食防止のためトップサイド240(パーマケムアジア社製)を0.05%、インクジェットヘッド部材の腐食防止のためベンゾトリアゾールを0.02%、インク系中の金属イオンの影響を低減するためにEDTA(エチレンジアミン四酢酸)・2Na塩を0.04%それぞれイオン交換水に添加したものを用いた。
上記の方法で作成した水性インクを60℃で30日放置したときの粘度変化率(%)を示す。粘度変化率は小さいほど安定であることを示す。製造例C1〜C8および製造例C1のインクでポリマーの合成方法(合成時間およびラジカル重合開始剤の量)を変えて数平均分子量と分散Mw/Mnの値をそれぞれ変えたもの、および顔料の平均粒径を変えたものについて示す。分子量の分散Mw/Mnは分子量の異なる複数種のポリマーを混合して用いた。結果を表16に示す。表16で示す分子量は数平均分子量である。
製造例C1において、ポリマーを重合するときの条件(合成時間およびラジカル重合開始剤の量)を調整して数平均分子量の異なるポリマーを用いた分散体、および実施例1と同じ顔料と市販のアクリルスチレン系の分散ポリマーを用いてアルミナビーズを用いたアイガーミルで分散した分散体を作製してそれらの比較を示す。OD値は高い値のものほど良好であることを示す。これらの評価に用いた紙は、市販の普通紙でXerox4024紙(米国Xerox社製)、Xerox10紙(富士ゼロックス社製)、Ricopy6200紙(リコー株式会社製)、エプソンEPP紙(セイコーエプソン株式会社製)である。表17にこれら普通紙の印字品質の評価結果を示す。これらの結果から、転相乳化によって普通紙の種類を問わないで明らかに好ましい普通紙OD値が得られることがわかる。また、数平均分子量が5000以上200000以下で好ましく、より好ましくは20000以上であり、また、100000以下である。
製造例C1において、分散ポリマーをアクリレートおよびアクリル酸からなる成分であるベンジルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、ラウリルアクリレートおよびアクリル酸をそれぞれ、メタクリレートおよびメタクリル酸からなる成分であるベンジルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ラウリルメタクリレートおよびメタクリル酸へ部分的に変更したときの、専用紙(セイコーエプソン株式会社製PM写真用紙)に印刷した印刷物の光沢性の違いについて示す。ここで製造例はC11〜C19として示す。また、ここで示す添加量はモノマーの仕込みの重量(重量%)による。結果を表18に示す。光沢度は高い値のものほど良好であることを示す。これらの結果から、アクリル量が80%以上であると好ましい光沢度が得られることがわかる。
製造例C1において、ポリマーを重合するときの条件(合成時間およびラジカル重合開始剤であるアゾビスイソバレロニトリルの量)を調整して数平均分子量の異なるポリマーを用いた分散体、およびベンジルメタクリレートをスチレンに代えて作製したポリマーを用いた分散体を作製して、その専用紙の定着性とODの評価結果を以下の表19に示す。OD値評価は表17に示す場合と同じ方法による。表19で示す分子量は数平均分子量である。表19中AAは2回移動させても全く剥がれがないもの、Aは1回では全く剥がれがないが2回移動させるとわずかに剥れが生じるもの、Bはわずかにはがれがあるもの、Cは剥がれがあり裏面に移るもの、Dはかなり剥がれがあり裏面に移るものである。表19に示すように、スチレンを含有した結果、アクリル酸およびアクリレートの総量が80%未満であると、水分散性ポリマーを用いた場合には全体的に定着性が優れないことがわかった。また、ポリマーの分子量が好ましくは5000以上であり、より好ましくは10000以上であり、さらに好ましくは、20000以上であることがわかった。一層好ましくは30000以上である。また、好ましくは300000以下であり、より好ましくは200000以下であることがわかった。
製造例C2、C3およびC4において、ベンジルアクリレートの代わりにスチレンを用いて調製したポリマーを用いた分散体(比較例C1、C2およびC3)を作製してその変色性を評価した。比較例1、2および3は、それぞれ製造例C2、C3およびC4におけるベンジルアクリレートの代わりにスチレンを用いる以外は同じ手法で作製した。
(分散ポリマーの屈折率の測定)
合成した分散ポリマーから溶剤と水を除去してフィルム状の試料を作成してアッベの屈折計3Tによって測定した。
日立製作所製紫外可視分光光度計U3300を用いて、インクの1000倍希釈液を1cm角のセルに入れ300nm〜800nmの範囲で測定して得られるピーク値(カーボンブラックは500nmと固定)の値から得られるもので、1−(インクの状態で6ヶ月静置したときの吸光度/初期の吸光度)で得られる値であり%で示す。
定着性の評価は専用紙(PM写真用紙)を用いて印刷面とその裏面を300gの荷重で重ね合わせて1m/sの速度で移動させたときのインクの剥がれ具合を観察する方法で行なった。
分散体D1はカーボンブラックであるモナーク880(キャボット製)を用いた。攪拌機、温度計、還留管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、パラクミルフェノキシエチレングリコールアクリレート65部、ベンジルアクリレート10部、アクリル酸2部、t―ドデシルメルカプタン0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したパラクミルフェノキシエチレングリコールアクリレート150部、アクリル酸15部、ブチルアクリレート5部、t−ドデシルメルカプタン1部、メチルエチルケトン20部およびアゾビスイソバレロニトリル1部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。
以下に、水性インクの具体例として、インクジェット記録用インクに好適な組成の例を表21に示す。
ポリマー合成に用いるモノマーの種類を変えて屈折率の異なるポリマーを合成して上記と同様に各種の分散体を作成したときの普通紙ODと光沢紙光沢度の評価結果を表22に示す。本実施例のようにパラクミルフェノキシエチレングリコールアクリレートを用いたものをポリマーI、パラクミルフェノキシエチレングリコールアクリレートの代わりにラウリルアクリレートを用いたものをポリマーII、パラクミルフェノキシエチレングリコールアクリレートの代わりに2−エチルヘキシルアクリレートを用いたものをポリマーIIIとする以外は、他の成分は同じで、分散体D1〜D4と同様にして分散体を調製し、これを用いて対応する製造例と同様にしてインクを調製した。
上記と同様に、顔料の粒子径の異なる分散体を作製し、これを用いて調製した対応する製造例と同様にしてインクを調製した。これらのインクを60℃で30日放置したときの粘度変化率(%)および沈降率(%)を表23に示す。表23に示すように、顔料の平均粒径は、20nm以上であることが好ましく、150nm以下であることが好ましいことがわかった。より好ましくは、30nm以上100nm以下である。
製造例D1において、分散ポリマーを重合するときの条件(合成時間およびラジカル重合開始剤の量および反応時間)を調整して分子量の異なるポリマーを用いた分散体を用いたときおよび製造例D1においてパラクミルフェノキシエチレングリコールアクリレートを他のアクリレートまたはメタクリレートへ部分的に変更したポリマーを用いた分散体を作成して、これを用いてインクの製造例を調製し、これを用いて専用紙の定着性を評価した結果を表24に示す。
(ポリマー中の硫黄量の測定)
合成した分散ポリマーを2400CHNエレメンタルアナライザー(パーキンエルマー社(米国製))を用いて元素分析することによって硫黄の重量%を測定した。
また、分散ポリマーの分子量の測定、分散安定性の評価、粒径の測定、粘度変化率の測定、ODの測定、光沢度の測定については実施例3で示した方法を、分散ポリマーの屈折率の測定、沈降率および専用紙の定着性評価については、実施例4で示した方法を用いた。
分散体E1はカーボンブラックであるモナーク880(キャボット製)を用いた。攪拌機、温度計、還留管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、フェニルチオメタクリレート(住友精化製)25部、ベンジルアクリレート20部、アクリル酸2部、t―ドデシルメルカプタン0.3部を入れて80℃に加熱し、別に用意したフェニルチオメタクリレート50部、ベンジルアクリレート40部、アクリル酸15部、ブチルアクリレート5部、t−ドデシルメルカプタン1部、メチルエチルケトン20部およびアゾビスイソバレロニトリル1部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。
以下水性インクの具体例として、インクジェット記録用インクに好適な組成の例を表25に示す。表25中分散体の添加量はその量(固形分濃度:顔料と分散ポリマーの合計量)を重量で換算したものとして示す。尚、本表25中の残量の水の中にはインクの腐食防止のためトップサイド240(パーマケムアジア社製)を0.05%、インクジェットヘッド部材の腐食防止のためベンゾトリアゾールを0.02%、インク系中の金属イオンの影響を低減するためにEDTA(エチレンジアミン四酢酸)・2Na塩を0.04%それぞれイオン交換水に添加したものを用いた。
ポリマー合成に用いるモノマーの種類を変えて屈折率の異なるポリマーを合成して上記と同様に分散体を作成したときの普通紙ODと光沢紙光沢度の評価結果を表26に示す。本実施例のようにフェニルチオメタクリレートを用いたものをポリマーI、フェニルチオメタクリレートの代わりにラウリルアクリレートを用いたものをポリマーII、フェニルチオメタクリレートの代わりに2−エチルヘキシルアクリレートを用いたものをポリマーIIIとする。他の成分は同じで、分散体E1〜E4と同様にして分散体を調製し、これを用いて対応する製造例と同様にしてインクを調製した。
上記と同様に、顔料の粒子径の異なる分散体用いて作成した水性インクを60℃で30日放置したときの粘度変化率(%)および沈降率(%)を表27に示す。
製造例E1において、分散ポリマーを重合するときの条件(合成時間およびラジカル重合開始剤の量および反応時間)を調整してスチレン換算数平均分子量の異なるポリマーを用いた分散体を用いたときおよびインク組成例1においてフェニルチオメタクリレートを他のアクリレートまたはメタクリレートへ部分的に変更したポリマーを用いた分散体を調製し、これを用いて対応する製造例と同様にしてインクを調製した。専用紙の定着性の評価結果を表28に示す。定着性の評価は黙視によって行った。表28中Aは2回移動させても全く剥がれがないもの、Bは1回では全く剥がれがないが2回移動させるとわずかに剥れが生じるもの、Cはわずかにはがれがあるもの、Dは剥がれがあるものである。また、パラクミルフェノキシエチレングリコールアクリレート以外のモノマーを用いた場合、十分な光沢紙定着性が得られにくかった。
分散体F1における顔料はカーボンブラックであるモナーク880(キャボット製)を用いた。攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、表1に示すモノマー組成及びベンジルアクリレート20部、2−エチルヘキシルアクリレート15部、ブチルアクリレート15部、ラウリルアクリレート10部、アクリル酸2部、t―ドデシルメルカプタン0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したベンジルアクリレート50部、2−エチルヘキシルアクリレート15部、アクリル酸15部、ウレタンアクリレートCN961(日本化薬製)50部、t−ドデシルメルカプタン1部、メチルエチルケトン120部およびアゾビスイソバレロニトリル1部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながらポリマーを重合反応させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを添加して40%濃度のポリマー溶液を作成した。ポリマーの分子量の分散(Mw/Mn)の値は3.1であり、スチレン換算数平均分子量は10.21×104であった。また、このときのウレタン結合、ウレア結合、アロファネート結合、及びビウレット結合は、含有量は1.0mmol/gであった。
(ウレタン結合、ウレア結合、アロハネート結合及びビウレット結合の測定)
合成したポリマーにn-ブチルアミンを過剰量添加して、40℃で24時間放置した後0.1%濃度のHCl溶液で逆滴定して架橋のアロハネートおよびビウレット基を切断した。このアミン処理したポリマーにつき、アミンによって分解されて生成するウレタンおよびウレアを含めてGC-MSで測定してウレタン結合、ウレア結合、アロファネート結合及びビウレット結合の総量及び各量を算出した。
このときのウレタン基、尿素基、アロハネート基およびビウレット基含有量は1.3mmol/gであった。
水性インクの具体例としてのインクジェット記録用インクに好適な組成の例を表30に示す。表30中、分散体の添加量はその量(固形分濃度:顔料と分散ポリマーの合計量)を重量で換算したものとして示す。なお、表30中の残量の水の中にはインクの腐食防止のためトップサイド240(パーマケムアジア社製)を0.05%、インクジェットヘッド部材の腐食防止のためベンゾトリアゾールを0.02%、インク系中の金属イオンの影響を低減するためにEDTA(エチレンジアミン四酢酸)・2Na塩を0.04%それぞれイオン交換水に添加したものを用いた。表2の組成に基づいて、分散体F1〜F8についてそれぞれ製造例F1〜F8のインクジェットインクを調製した。
(1)ポリマーのウレタン結合、ウレア結合、アロファネート結合及びビウレット結合と分散安定性及び定着性
製造例F1〜F8及び別に合成したウレタン結合、ウレア結合、アロファネート結合及びビウレット結合を含有するアクリレートを分散体F1に用いたウレタンアクリレートの代わりに添加する以外は分散体F1の製造例と同様に操作して、これらの結合の量を種々に異ならせてポリマーを合成し、分散体を調製し、さらに、表30の製造例F1の組成に基づいて各種インクの製造例FA1〜FA20を調製して、これらの製造例FA1〜FA20について分散安定性及び専用紙定着性を測定した。分散安定性及び専用紙定着性については以下のように測定した。結果を表31に示す。
(分散安定性の評価)
インクを60℃で30日放置したときの粘度変化率(%)を分散安定性の指標として測定した。粘度変化率は小さいほど安定であることを示す。粘度変化率は、アントンパール(ドイツ)製AMVnにより角度60°において測定して、1−(30日後の値)/(初期の値)の100分率(%)として示した。
専用紙(セイコーエプソン株式会社製PM写真用紙)を用いて印刷した面とその裏面を300gの荷重で重ね合わせて30cm/sの速度で移動させたときのインクの剥がれ具合を観察する方法で行なった。なお、AAは2回移動させても全く剥がれがないもの、Aは1回では全く剥がれがないが2回移動させるとわずかに剥れが生じるもの、Bはわずかにはがれがあるもの、Cは剥がれがあり裏面に移るもの、Dはかなり剥がれがあり裏面に移るものとした。
分散体1の製造において、合成時間及びラジカル重合開始剤の量を異ならせてスチレン換算数平均分子量と分散Mw/Mnとを異ならせた複数のポリマーを合成し、これらのポリマーを1種あるいは2種以上組み合わせるとともに、表30のインク製造例F1の組成に基づいて混合する際顔料内包粒子の平均粒径を異ならせることで多種類の分子量及び分散ならびに各種の平均粒径を組み合わせた15種類の亜種のインクの製造例FB1〜FB15を調製した。これらのインクF1の亜種インクの製造例FB1〜FB15とインク製造例F2〜F8について粘度変化率を測定した。結果を表32に示す。表32に示す分子量はスチレン換算数平均分子量である。また、各インクにおけるポリマー被覆顔料粒子の平均粒径は、ゼータサイザー3000HS(マルバーン社(英国)製)を用いて測定した。
分散体F1の製造において、ポリマーを重合するときの条件(合成時間およびラジカル重合開始剤の量)を調整して数平均分子量の異なる6種類のポリマーを合成し、各種の分散体を調製し、さらに、表30の製造例F1の組成に基づいてインクの製造例FC1〜FC6を調製して、これらの製造例FC1〜FC6について専用紙定着性とODとを測定した。また、分散体F1の製造例においてウレタンアクリレートの代わりにスチレンを用いる以外は分散体F1の製造と同様に操作して数平均分子量の異なる6種類のポリマーを合成し、各種の分散体を調製し、さらに、表30の製造例F1の組成に基づいてインクの製造例FD1〜FD6を調製して、これらの製造例FD1〜FD6について専用紙定着性とODとを測定した。なお、ODの測定は以下のとおりとした。結果を表33に示す。
GRETAG MACBETH SPECTROSCAN SPM−50(GRETAG社製)を用いてL*、a*及びb*を測定し、そのスカラー値として計算した。
Claims (42)
- 水性インク組成物であって、
光分散法による粒径が20nm以上200nm以下の顔料と、
ゲルパーミエーションクトマトグラフィーによるスチレン換算数平均分子量が5000以上200000以下である水分散性ポリマーと、
を含有する、組成物。 - 前記顔料の前記粒径は20nm以上80nm以下であり、前記スチレン換算数平均分子量が20000以上200000以下であり、前記顔料の濃度が4重量%以上である、請求項1に記載の組成物。
- 表面張力が20mN/m以上40mN/m以下である、請求項1または2に記載の組成物。
- 前記顔料は、前記水分散性ポリマーに被覆されたポリマー被覆顔料を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
- 前記ポリマー被覆顔料は転相乳化によって得られる、請求項4に記載の組成物。
- インクジェット記録用である、請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
- 前記水分散性ポリマーは、カルボキシル基含有モノマーとアクリレートおよび/またはメタクリレートとを主体とするモノマーの共重合体である、請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
- 前記カルボキシル基含有モノマーは、アクリル酸および/またはメタクリル酸である、請求項7に記載の組成物。
- 前記水分散性ポリマーは、アクリル酸および/またはメタクリル酸とアクリレートおよび/またはメタクリレートとを全モノマー重量の80重量%以上有するモノマーの共重合体である、請求項8に記載の組成物。
- 水性インク組成物であって、
光分散法による粒径が20nm以上150nm以下の顔料と、
アクリル酸および/またはメタクリル酸とアクリレートおよび/またはタクリレートとを主体とするモノマーの共重合体であって、ゲルパーミエーションクトマトグラフィーによるスチレン換算数平均分子量が10000以上200000以下である水分散性ポリマーと、
を含有し、
表面張力が20mN/m以上40mN/m以下である、組成物。 - 前記水分散性ポリマーは、ベンジルアクリレートおよび/またはベンジルメタクリレートを有し、これらのベンジル系モノマーを全モノマー重量の40重量%以上80重量%以下有するモノマーの共重合体である、請求項1〜10のいずれかに記載の組成物。
- 前記水分散性ポリマーは、アクリレートとアクリル酸とを全モノマー重量の80重量%以上有するモノマーの共重合体である、請求項1〜10のいずれかに記載の組成物。
- 前記水分散性ポリマーは、アクリレートとアクリル酸とを全モノマー重量の90重量%以上有するモノマーの共重合体である、請求項12に記載の組成物。
- アクリレートは、ベンジルアクリレートおよび/またはブチルアクリレートを含む、請求項12または13に記載の組成物。
- 前記水分散性ポリマーは、パラクミルフェノキシエチレングリコールアクリレートを少なくとも一部に含むモノマーの共重合体である、請求項1〜10のいずれかに記載の組成物。
- 前記水分散ポリマーは、パラクミルフェノキシエチレングリコールアクリレートを全モノマー重量の50重量%以上有するモノマーの共重合体である、請求項15に記載の組成物。
- 前記水分散性ポリマーは、パラクミルフェノキシエチレングリコールアクリレートと当該パラクミルフェノキシエチレングリコールアクリレート以外の他のアクリレートとアクリル酸とを少なくとも一部に含むモノマーの共重合体である、請求項15または16に記載の組成物。
- 前記水分散性ポリマーは、パラクミルフェノキシエチレングリコールアクリレートと前記他のアクリレートとアクリル酸とを全モノマー重量の80重量%以上有するモノマーの共重合体である、請求項17に記載の組成物。
- 前記他のアクリレートは、ベンジルアクリレートおよび/またはブチルアクリレートを含む、請求項17または18に記載の組成物。
- 前記水分散性ポリマーの屈折率が1.50以上である、請求項15〜19のいずれかに記載の組成物。
- 前記水分散性ポリマーは、該ポリマーの全重量の1重量%以上20重量%以下の硫黄(S)を含有する、請求項1〜10のいずれかに記載の組成物。
- 前記水分散性ポリマーは、硫黄含有モノマーとアクリレートとアクリル酸とを主体とするモノマーの共重合体である、請求項21に記載の組成物。
- 前記アクリレートは、ベンジルアクリレートおよび/またはブチルアクリレートを含む、請求項22に記載の組成物。
- 前記硫黄含有モノマーは、チオアクリレートおよび/またはチオメタクリレートである、請求項22または23に記載の組成物。
- 前記硫黄含有モノマーは、フェニルチオメタクリレートである、請求項24に記載の組成物。
- 前記水分散性ポリマーの屈折率が1.50以上である、請求項21〜25のいずれかに記載の組成物。
- 前記水分散性ポリマーは、ウレタンアクリレートおよび/またはウレタンメタクリレートと、非ウレタンアクリレートおよび/または非ウレタンメタクリレートと、カルボキシル基含有モノマーとを少なくとも一部に含むモノマーの共重合体であって、アロファネート結合及びビウレット結合の総量がポリマー固形分に対して1.0mmol/g以下であり、ウレタン結合、ウレア結合、アロファネート結合及びビウレット結合の総量がポリマー固形分に対して10.0mmol/g以下である、請求項1〜10のいずれかに記載の組成物。
- アロファネート結合及びビウレット結合の総量がポリマー固形分に対して0.1mmol/g以下である、請求項27に記載の組成物。
- ウレタン結合、ウレア結合、アロファネート結合及びビウレット結合の総量がポリマー固形分に対して0.1mmol/g以上である、請求項27または28に記載の組成物。
- 前記水分散性ポリマーは、前記ウレタンアクリレートおよび/または前記ウレタンメタクリレートと前記非ウレタンアクリレートおよび/または前記非ウレタンメタクリレートとを、全モノマー重量の80重量%以上有するモノマーの共重合体である、請求項27〜29のいずれかに記載の組成物。
- 前記水分散性ポリマーは、ウレタンアクリレートと非ウレタンアクリレートとアクリル酸との共重合体である、請求項27〜30のいずれかに記載の組成物。
- 前記水分散性ポリマーは、前記非ウレタンアクリレートとして、ベンジルアクリレートおよび/またはイソボロニルアクリレートを少なくとも一部のモノマーとする共重合体である、請求項27〜31のいずれかに記載の組成物。
- 前記水分散性ポリマーは、ウレタンアクリレートと、アルキルアクリレート、シクロアルキルアクリレート及び芳香族アクリレートを含む非ウレタンアクリレートと、アクリル酸とを共重合モノマーとして有し、前記ウレタンアクリレート及び前記非ウレタンアクリレートを全モノマー重量の80重量%以上有するモノマーの共重合体であって、ウレタン結合、ウレア結合、アロファネート結合及びビウレット結合の総量がポリマー固形分に対して0.1mmol/g以上10.0mmol/g以下であり、アロファネート基及びビウレット結合の総量がポリマー固形分に対して1.0mmol/g以下である、請求項1〜10のいずれかに記載の組成物。
- グリセリンおよび/またはトリメチロールプロパンを含有する、請求項27〜33のいずれかに記載の組成物。
- 炭素数が5〜8の1,2−アルキルジオールと、
繰り返し単位が10以下のアルキレングリコールの炭素数が4〜10のモノアルキルエーテルと、
を含有する請求項1〜34のいずれかに記載の組成物。 - 前記1,2−アルキルジオールは1,2−ヘキサンジオールであり、前記アルキレングリコールモノアルキルエーテルは、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテルである、請求項35に記載の組成物。
- インクジェット記録用インク組成物に用いる顔料の水分散用ポリマーであって、
ゲルパーミエーションクトマトグラフィーによるスチレン換算数平均分子量が5000以上200000以下であって、カルボキシル基含有モノマーとアクリレートおよび/またはメタクリレートとを主体とするモノマーの共重合体であって、さらに、以下の(a)〜(e)のいずれかの特徴を備える、ポリマー。
(a)ベンジルアクリレートおよび/またはベンジルメタクリレートを有し、これらのベンジル系モノマーを全モノマー重量の40重量%以上80重量%以下有するモノマーの共重合体である。
(b)前記水分散性ポリマーは、アクリレートとアクリル酸とを全モノマー重量の80重量%以上有するモノマーの共重合体である。
(c)前記水分散性ポリマーは、パラクミルフェノキシエチレングリコールアクリレートを少なくとも一部に含むモノマーの共重合体である。
(d)前記水分散性ポリマーはその全重量に対して1重量%以上20重量%以下の硫黄(S)を含有する。
(e)前記水分散性ポリマーは、ウレタンアクリレートおよび/またはウレタンメタクリレートと、非ウレタンアクリレートおよび/または非ウレタンメタクリレートと、アクリル酸および/またはメタクリル酸とを少なくとも一部に含むモノマーの重合体であって、アロファネート結合及びビウレット結合の総量がポリマー固形分に対して1.0mmol/g以下であり、ウレタン結合、ウレア結合、アロファネート結合及びビウレット結合の総量がポリマー固形分に対して10.0mmol/g以下である、共重合体である。 - 水性インク組成物の製造方法であって、
請求項37に記載の水分散性ポリマーと顔料と有機溶媒と当該有機溶媒に対して過剰量の水とを含む混合液を調製し、該混合液の水相に前記ポリマーの少なくとも一部を前記顔料を被覆した状態で分散させる顔料分散工程と、
前記水相に存在するポリマー及び顔料を前記水相の少なくとも一部とともにあるいは前記水相から分離した状態で用いて水性インク組成物を調製する組成物調製工程と、を備える、製造方法。 - 前記水分散性ポリマーは溶液重合によって合成される、請求項38に記載の製造方法。
- 前記水分散性ポリマーの溶液重合はラジカル重合開始剤によって開始される、請求項39に記載の製造方法。
- インクジェット記録方法であって、
請求項1〜36のいずれかに記載の水性インク組成物をインクジェット記録方式により記録媒体表面に付与する工程、を備える、記録方法。 - インクジェット記録物であって、記録媒体表面に請求項1〜36のいずれかに記載の水性インク組成物からなるインクジェット記録方式によるドットパターンを有する、記録物。
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