JP2005253731A - 使い捨ての着用物品 - Google Patents

Abstract

【課題】胴周り被覆域において肌が透けて見えることを防止できる使い捨ての着用物品の提供。
【解決手段】前胴周り被覆域６と後胴周り被覆域７と股部被覆域８とを有する着用物品１の前後胴周り被覆域６，７における肌側シート２２と着衣側シート２１とが胴周り方向への弾性的な伸長性を有する。これらシート２１，２２は、不織布で形成されていて、互いに重なり合う部位を有し、その部位における着衣側シート２１には、胴周り方向で起伏を繰り返す複数のひだ４１が形成される。
【選択図】図１

Description

この発明は、使い捨てのおむつ、トレーニングパンツ、失禁患者用パンツ等として使用するのに好適な使い捨ての着用物品に関する。

実開平３−１６９２０号公報（特許文献１）に開示された使い捨てブリーフは、トップシートと、バックシートと、これら両シート間に介在するコアとを有するもので、トップシートとバックシートとが伸縮性不織布で形成されている。
実開平３−１６９２０号公報

特許文献１に開示されたブリーフにおいて、伸縮性不織布からなるトップシートとバックシートとは、非伸縮性不織布からなるものと比較して一般的に高価であるから、このブリーフは材料コストがかさむ傾向にある。しかし、そのコストを削減するために、例えば坪量の低い伸縮性不織布を使用すると、不織布は坪量の低下とともに肌が透けて見え易いものになる。

この発明が課題とするところは、使い捨て着用物品の胴周り被覆域に弾性的に伸長可能な不織布を使用したときに、その不織布の坪量が低くても、肌が透けて見えることがないように前記着用物品に改良を施すことにある。

課題を解決するための手段および発明の効果

前記課題解決のために、この発明が対象とするのは、前胴周り被覆域と後胴周り被覆域と股部被覆域とを有し、これら被覆域によって胴周り開口と一対の脚周り開口とが形成される着用物品の前記前後胴周り被覆域の少なくとも一部分が前記物品着用者の肌に当接可能な肌側シートと着衣に当接可能な着衣側シートとからなり、これら両シートのそれぞれが胴周り方向へ弾性的に伸長可能である使い捨ての着用物品である。

かかる着用物品において、この発明が特徴とするところは、前記両シートのそれぞれが不織布からなっていて互いに重なり合う部位を有し、前記部位における前記両シートのうちの少なくとも前記着衣側シートには、前記胴周り開口と前記脚周り開口との中間域に前記胴周り方向で起伏を繰り返す複数のひだが形成されていること、にある。

かような着用物品では、重なり合う着衣側シートと肌側シートとのうちの着衣側シートに複数のひだが形成されているから、肌から肌側シートと着衣側シートとを透過しておむつを見る人の眼に入る光線のうちで、肌から人の眼に直進して着用者の肌が透けて見え易くなるように作用する光線の割合がそのようなひだが形成されていない平滑なシートの場合に比べて低くなるので、着衣側シートや肌側シートの坪量が低くても、肌は簡単に透けて見えることがない。

この発明の実施態様の一つにおいて、前記中間域における前記両シートの間には、互いに平行して前記胴周り方向へ延びる複数条の弾性帯状片が介在している。

かような着用物品では、帯状片が肌側シートと着衣側シートとを離間させるスペーサとして作用するので、着衣側シートのひだが伸びてしまっても、肌は簡単に透けて見えることがない。

この発明の実施態様の他の一つにおいて、前記両シートにおける不織布のそれぞれは、繊度が０．１〜７ｄｔｘ、坪量が１０〜３０ｇ／ｍ^２の範囲にある。

この発明によれば、着衣側シートと肌側シートとしてこのような小さな繊度と低い坪量とを有する不織布を使用しても、肌が透けて見えることを防ぐことができる。

この発明に係る使い捨ての着用物品として使い捨てのおむつを例にとり、その詳細を説明すると、以下のとおりである。

図１に斜視図で示された使い捨てのおむつ１は、パンツ型のものであって、図において環状を呈する胴周り部材２と、Ｕ字状を呈する股部部材３とを有する。胴周り部材２は、前胴周り被覆域６と後胴周り被覆域７とを有し、これら両被覆域６，７の側縁部１１，１２どうしが合掌状に重なり合い、図の上下方向へ間欠的に並ぶ接合域１３において互いに接合している。股部部材３は、股部被覆域８と、股部被覆域８の上方に位置する前接合域９ａ（図２参照）と後接合域９ｂとを有し、これら接合域９ａと９ｂとのそれぞれが前胴周り被覆域６の内面と後胴周り被覆域７の内面とに接着剤３７（図３参照）を介して接合している。かようなおむつ１では、前胴周り被覆域６と後胴周り被覆域７とによって胴周り開口１６が形成され、これら両胴周り被覆域６，７と股部被覆域８とによって一対の脚周り開口１７が形成されている。

図２は、図１におけるおむつ１の前後胴周り被覆域６，７の側縁部１１，１２を接合域１３において剥離して、おむつ１を矢印Ａで示されるおむつ１の前方と、矢印Ｂで示されるおむつ１の後方とに向かって展開して得られるおむつ１の部分破断展開図である。胴周り部材２における前後胴周り被覆域６，７のそれぞれは、おむつ１が着用されたときに着用者の着衣側に位置するシートとなる外面シート２１と、着用者の肌側に位置するシートとなる内面シート２２とを有する。図１において、外面シート２１は着衣に当接するものであり、内面シート２２は肌に当接するものである。これら外面シート２１と内面シート２２とは、胴周り方向へ弾性的に伸長可能な不織布からなり、接着剤２３または溶着によって胴周り方向において間欠的に接合している。また、図１において胴周り開口１６の縁となる前後胴周り被覆域６，７の縁部２６，２７では、胴周り方向へ延びる複数条の胴周り弾性部材２８，２９が外面シート２１と内面シート２２との間にあって、これらシート２１，２２の少なくとも一方に接着剤（図示せず）を介して接合している。

股部部材３は、ほぼ矩形のものであって、液透過性のトップシート３１と、液不透過性のバックシート３２と、これら両シート３１，３２間に介在する液吸収性のコア３３とを有し、これらによって股部被覆域８と前接合域９ａと後接合域９ｂとが形成されている。トップシート３１とバックシート３２とは、コア３３の周縁から延出する部分において接着剤（図示せず）を介して互いに接合している。股部部材３の両側縁部３４では、コア３３に沿って図２の上下方向へ延びる脚周り弾性部材３６が接着剤(図示せず)を介してトップシート３１の内面に伸長状態で接合している（図３参照）。

図３は、図１のＩＩＩ−ＩＩＩ線切断面を示す図である。図において環状の胴周り部材２の内側に収まる股部部材３は、前後の接合域９ａ，９ｂそれぞれにおけるバックシート３２が接着剤３７を介して前胴周り被覆域６と後胴周り被覆域７との内面シート２２に接合している。胴周り部材２では、内面シート２２が平滑な状態でおむつ１の胴周り方向へ延びる一方、外面シート２１は胴周り方向において山３８と谷３９とからなる起伏を繰り返す複数のひだ４１を形成した状態でその胴周り方向へ延びている（図１参照）。かような外面シート２１は、複数の谷３９のうちの少なくとも一部において、接着剤２３または溶着により、内面シート２２に接合している。

外面シート２１と内面シート２２とは、胴周り方向へ弾性的に伸長可能な不織布、より好ましくは０．１〜７ｄｔｘの繊度と、１０〜３０ｇ／ｍ^２の坪量とを有し、胴周り方向へ弾性的に１．５〜３倍伸長可能な不織布からなる。ここで外面シート２１と内面シート２２とを形成する不織布が弾性的に伸長可能であるとは、その不織布を１．５倍の長さにまで伸長した後にその伸長から解放すると、その不織布が元の長さの１．１倍以下にまで短時間で、例えば５秒以内に復帰することを意味している。これら外面シート２１と内面シート２２とで形成される前胴周り被覆域６と後胴周り被覆域７とは、これら両被覆域６，７それぞれに対応する大きさの内面シート２２をそれが弾性的に復帰し得る範囲内において胴周り方向へ所要の伸長率だけ、例えばｍ％伸長し、その伸長した内面シート２２に対して、胴周り方向において非伸長状態または内面シート２２の伸長率（ｍ％）よりも低い伸長率で伸長した状態にあって、伸長した内面シート２２と同じ大きさを有する外面シート２１を胴周り方向において間欠的に接合することによって得ることができる。例えば、胴周り方向へ２倍（１００％）伸長した内面シート２２に、非伸長状態または胴周り方向へ１．２〜１．７倍（２０〜７０％）伸長した状態にあって伸長した内面シート２２と同じ大きさを有する外面シート２１を胴周り方向において間欠的に接着または溶着し、しかる後に内面シート２２を収縮させると、平滑な内面シート２２に対して外面シート２１がひだ４１を形成した状態で接合している前胴周り被覆域６と後胴周り被覆域７とを得ることができる。これら前胴周り被覆域６と後胴周り被覆域７との内面シート２２に股部部材３を接合することによって、図２に示される展開した状態のおむつ１を得ることができる。胴周り弾性部材１１，１２は、伸長状態で予め内面シート２２に接合しておくこともできれば、非伸長状態で内面シート２２に予め接合しておくこともできる。

このように形成されたおむつ１を着用すると、内面シート２２は、股部部材３と重なることのない前後胴周り被覆域６，７の側部４６，４７（図１，２参照）において着用者の肌に密着することがある。もう一方の外面シート２１は、山３８において内面シート２２から離間して、内面シート２２との間に空隙４８を形成している。着用者の肌から内面シート２２と外面シート２１とを透過しておむつ１の外へ向かって進む光線は、内面シート２２を透過して空隙４８に入り、しかる後に外面シート２１を透過しておむつ１を見る人の眼に入る。そのような光線は、肌から人の眼に向かって直進して肌が透けて見えることの原因となるものの割合が、空隙４８の存在によって、胴周り部材２に空隙４８が形成されていない場合に比べて著しく減少すると考えられ、その結果として、このおむつ１では、それを着用したときに、胴周り部材２の外側から肌が透けて見えることを防止できる。おむつ１の胴周り部材２に空隙４８が形成されていない場合の例としては、外面シート２１と内面シート２２との２枚の不織布で胴周り部材２を作るのではなく、外面シート２１の坪量と内面シート２２の坪量との和に相当する坪量と、外面シート２１の厚さと内面シート２２の厚さとの和に相当する厚さとを有する１枚の不織布で胴周り部材２を作る場合や、図３のおむつ１において内面シート２２が胴周り方向へ伸長して、外面シート２１の山３８が低くなり、そのような外面シート２１と平滑な内面シート２２とが密着するように重なり合った場合等がある。なお、図示例のおむつ１は、外面シート２１と内面シート２２とが密着して重なり合うほどにまで胴周り方向へ伸長しても、胴周り部材２が非伸長性の不織布で形成されている場合のように胴周り方向への伸びが完全に止まってしまうということがないので、胴周り寸法の大きい着用者がこのおむつ１を着用しても胴周りを強く締めつけられるという感じが生じ難い、という特徴をも有している。

図４，５，６は、この発明の実施態様の一例を示す図２と同様な図と、同図のＶ−Ｖ線切断面と、ＶＩ−ＶＩ線切断面とを示す図である。このおむつ１の前胴周り被覆域６と後胴周り被覆域７とは、同じ構造のもので、外面シート２１と内面シート２２とを有する。外面シート２１と内面シート２２とは、胴周り方向へ弾性的に伸長可能な不織布からなり、外面シート２１は胴周り方向において山３８と谷３９とを繰り返す複数のひだ４１を有する一方、内面シート２２は胴周り方向へ平滑に延びている。胴周り開口１６を形成する前後胴周り被覆域６，７の縁部２６，２７では、複数条の胴周り弾性部材２８が外面シート２１と内面シート２２との間において胴周り方向へ延び、非伸長状態または伸長状態で内面シート２２に接合している。また、前胴周り被覆域６では、縁部２６とこれに平行していて脚周り開口１７の一部分を形成する縁部５２との中間域において、一条または複数条の胴周り方向へ弾性的に伸長可能な帯状片からなるスペーサ５１が外面シート２１と内面シート２２との間にあって胴周り方向へ延び、接着剤５６を介して内面シート２２に対して非伸長状態で接合している。後胴周り被覆域７では、前胴周り被覆域６と同様に、縁部２７とこれに平行していて脚周り開口１７の一部分を形成する縁部５３との中間域において、一条または複数条の胴周り方向へ弾性的に伸長可能な帯状片からなるスペーサ５１が外面シート２１と内面シート２２との間にあって胴周り方向へ延び、接着剤５６を介して内面シート２２に対して非伸長状態で接合している。外面シート２１は、接着剤５７を介して胴周り方向において間欠的に個々のスペーサ５１に接合する他に、内面シート２２にも接合している。

図７は、図５において前胴周り被覆域６が胴周り方向へ伸長したときの状態を示す図である。内面シート２２とスペーサ５１とが一体となって胴周り方向へ伸長すると、外面シート２１の山３８が低くなって外面シート２１は次第に平滑になるが、外面シート２１と内面シート２２との間にはスペーサ５１が存在するので、これら両シート２１と２２とは、スペーサ５１を含む図７の断面図において少なくともスペーサ５１の厚さＷだけ離間している。図４〜７の構造を有するおむつ１は、おむつ１が着用されて胴周り部材２の胴周り方向への伸長割合が大きくなっても、外面シート２１と内面シート２２とが重なり合っている胴周り部材２の側部４６，４７では、図１〜３の構造を有するおむつ１の場合ほどに肌が透けて見えるということがない。かように作用するスペーサ５１は、天然ゴムや合成ゴム、発泡ポリウレタン等のエラストマーからなる帯状片によって作ることができる。スペーサ５１の厚さＷは０．３ｍｍ〜３ｍｍであることが好ましく、０．５〜２ｍｍであることがより好ましい。スペーサ５１の幅は、０．５〜３ｍｍであることが好ましい。

図８は、この発明の実施態様の他の一例を示す図２と同様な図である。図示例のおむつ１では、胴周り部材２を形成している外面シート２１と内面シート２２とが砂時計型を呈し、ドット状に塗布された接着剤２１を介して接合している。これら両シート２１，２２は、前胴周り被覆域６と後胴周り被覆域７とを有することに加えて、これら両域６，７の間に股部被覆域６１をも有し、股部被覆域６１の両側縁部には、弧を画いて延びる脚周り弾性部材６６が伸長状態または非伸長状態で内面シート２２に取り付けられている。このような胴周り部材２もまた、おむつ１の幅方向へ弾性的に伸長した内面シート２２に対して弾性的に伸長可能な外面シート２１を例えば非伸長状態で接合した後に、内面シート２２を収縮させることによって得ることができる。かような外面シート２１には、そのほぼ全体にひだ４１が形成される。この発明は、図８の態様に代えて、図８の外面シート２１と内面シート２２との間に股部部材３を介在させる態様で実施することも可能である。

図９もまた、この発明の実施態様の一例を示す図２と同様な図である。ただし、このおむつ１は、図１の如きパンツ型のものではなくて開放型のものであって、図２のそれと同じように形成された胴周り部材２と股部部材３とを有し、胴周り部材２の外面シート２１には複数のひだ４１が形成されているが、後胴周り被覆域７の両側縁部１２には、おむつ１の外側へ向かって延びるテープファスナ６２が取り付けられている。おむつ１を着用するときには、前後胴周り被覆域６，７を着用者の胴周りに当てた後に、これら両胴周り被覆域６，７の少なくとも一方を胴周り方向へ伸長しながらテープファスナ６２を前胴周り被覆域６の外面シート２１に対して剥離可能に止着する。テープファスナ６２は、その内面６３に粘着剤が塗布されているものでもよいし、外面シート２１を形成している不織布または外面シート２１に設けられるターゲット域に対して着脱可能な複数のフックを有するメカニカルファスナのフック部材が取り付けられているものであってもよい。

この発明において、図２に例示の構造を有する前後胴周り被覆域６，７は、いずれか一方の胴周り被覆域６または７を１枚の不織布、プラスチックフィルム、不織布とプラスチックフィルムとの複合シート等からなるものに代えることができる。また、これら胴周り被覆域６，７の少なくとも一方を胴周り方向への弾性的な伸長性を持たないものに代えることもできる。さらにはまた、胴周り弾性部材２８および／または２９を省いてこの発明を実施することもできる。

この発明によれば、前後胴周り被覆域において着用者の肌が透けて見えることのない使い捨てのおむつ等の着用物品を製造することが可能になる。

使い捨ておむつの斜視図。 使い捨ておむつの部分破断展開図。 図１のＩＩＩ−ＩＩＩ線切断面を示す図。 実施態様の一例を示す図２と同様な図。 図４のＶ−Ｖ線切断面を示す図。 図４のＶＩ−ＶＩ線切断面を示す図。 伸長状態にあるおむつの図５と同様な図。 実施態様の他の一例を示す図２と同様な図。 実施態様のさらに他の一例を示す図２と同様な図。

符号の説明

１ 使い捨ての着用物品（使い捨てのおむつ）
６ 前胴周り被覆域
７ 後胴周り被覆域
８ 股部被覆域
１６ 胴周り開口
１７ 脚周り開口
２１ 着衣側シート（外面シート）
２２ 肌側シート（内面シート）
４１ ひだ
５１ 帯状片（スペーサ）

Claims (3)

1. 前胴周り被覆域と後胴周り被覆域と股部被覆域とを有し、これら被覆域によって胴周り開口と一対の脚周り開口とが形成される着用物品の前記前後胴周り被覆域の少なくとも一部分が前記物品着用者の肌に当接可能な肌側シートと着衣に当接可能な着衣側シートとからなり、これら両シートのそれぞれが胴周り方向へ弾性的に伸長可能である使い捨ての着用物品において、
   前記両シートのそれぞれが不織布からなっていて互いに重なり合う部位を有し、前記部位における前記両シートのうちの少なくとも前記着衣側シートには、前記胴周り開口と前記脚周り開口との中間域に前記胴周り方向で起伏を繰り返す複数のひだが形成されていることを特徴とする前記着用物品。
2. 前記中間域における前記両シートの間には、互いに平行して前記胴周り方向へ延びる複数条の弾性帯状片が介在している請求項１記載の着用物品。
3. 前記両シートにおける不織布のそれぞれは、繊度が０．１〜７ｄｔｘ、坪量が１０〜３０ｇ／ｍ^２の範囲にある請求項１または２記載の着用物品。

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