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JP2005110721A - 拡張カテーテル - Google Patents

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JP2005110721A JP2003344876A JP2003344876A JP2005110721A JP 2005110721 A JP2005110721 A JP 2005110721A JP 2003344876 A JP2003344876 A JP 2003344876A JP 2003344876 A JP2003344876 A JP 2003344876A JP 2005110721 A JP2005110721 A JP 2005110721A
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Naohisa Ogushi
直久 大串
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Abstract

【課題】 腕の動脈から経皮的に導入されて大きく屈曲する大動脈弓を通過できる柔軟性と、当該大動脈弓を経由して腹部大動脈を通って下肢末梢動脈の目的治療部位までの長い経路を到達できる押し込み性とを兼ね備えた、操作性の高い拡張カテーテルを提供する。
【解決手段】 シャフト本体10と、シャフト本体先端部に設けたバルーン12と、基端側にガイドワイヤー開口部141を有し、ガイドワイヤが挿通されるガイドワイヤ用ルーメンとを備え、カテーテル有効長が1570〜1630mmであり、ガイドワイヤー開口部141とシャフト本体10の先端との距離が247〜253mmである拡張カテーテル1。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば血管内における血管内狭窄部を治療するために狭窄部を拡張し、狭窄部末梢側における血流の改善を図るための拡張カテーテルに関するものである。
近年、心臓の冠状動脈や四肢末梢血管の狭窄による虚血を改善する手段として、血管内治療術として経皮的動脈血管拡張術が行われている。当手術には経皮的動脈血管形成術用カテーテル(以下、拡張カテーテル)が使用されている。
この血管形成術の進行中には、しばしばカテーテルを交換する必要がある。たとえば、バルーンサイズの変更、狭窄部付近の診断、処置具の変更等の際に、カテーテルの交換が必要となる。カテーテルの交換の一つの方法として、長い交換用ガイドワイヤを用いる方法がある。しかし、長いワイヤの操作は時間がかかり、しかも2人以上の術者を必要とするため扱いにくい。この問題に対処するために「ラピッドエクスチェンジ」タイプのカテーテルが用いられる。このタイプは、カテーテルの先端部分のみがガイドワイヤをたどる構造になっている。下記特許文献1は、このラピッドエクスチェンジタイプのカテーテルの一例を開示している。
一方、血管形成術では、血管内に経皮的に進入(アプローチ)する部位として、大腿部若しくは腕(手首)があるが、術後の止血時間や入院期間等、患者のQOL(Quality Of Life)を考慮して、近年は手首を含め腕の動脈から血管内に進入(アプローチ)する手技が行われることが多くなっている。
腕(手首)からアプローチする手技は、心臓血管(冠状動脈)に発生した狭窄部を拡張し虚血を改善する経皮的冠状動脈形成術(PTCA)で比較的広く行われていたが、この場合には、血管へのアプローチ部位から治療部位である心臓までの経路は異なっても、それらの経路の長さはほぼ同じであり、使用される治療用具または診断用具の長さの設計は異としなかった。しかし、最近広く行われるようになってきた四肢末梢血管治療の場合には、アプローチ部位により、治療部位までの距離が異なってくる。特に下肢末梢血管(総腸骨動脈等を含む)の治療に際し、手首付近からアプローチしたい場合でも、従来の心臓までの到達を想定したカテーテルでは、治療部位まで到達できない。
特開2001−353225号公報
本発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、血管内治療において、腕の動脈からカテーテルを導入して大動脈弓を経由して腹部大動脈を通って下肢末梢動脈(総腸骨動脈等を含む)の治療を行う場合、経路が長くても治療が可能なカテーテルを提供することにある。特に、本発明は、腕(手首付近)から下肢末梢動脈まで到達する途中にある大きく屈曲する大動脈弓を通過できる柔軟性と、当該大動脈弓を経由して腹部大動脈を通って下肢末梢動脈の目的治療部位までの長い経路を到達できる押し込み性とを兼ね備えた、操作性の高いラピッドエクスチェンジ拡張カテーテルを提供することにある。
本発明の拡張カテーテルは、腕の動脈から導入し、大動脈弓および腹部大動脈を経由して下肢末梢動脈に導入される拡張カテーテルであって、チューブ状のシャフト本体と、前記シャフト本体の基端付近に取り付けられ、圧力印加装置が取り付けられるハブと、該シャフト本体の先端部に設けられ、前記ハブより圧力が印加されることにより拡張されるバルーンと、前記バルーンの基端より基端側であって前記シャフト本体の先端部に基端側開口部を有し、ガイドワイヤが挿通されるガイドワイヤ用ルーメンとを備えており、前記拡張カテーテルのカテーテル有効長が少なくとも1570mmであり、前記ガイドワイヤ用ルーメンの前記基部側開口部と前記シャフト本体の先端との距離が247〜253mmであることを特徴とする。
本発明の拡張カテーテルでは、カテーテル有効長が少なくとも約1570mmであるため、腕(手首)の動脈からのアプローチでも、総腸骨動脈等の下肢末梢動脈まで、長い経路をたどって導入することが出来る。なお、カテーテル有効長とは、実質的に体腔内に挿入可能な長さを指す。具体的には、チューブ本体の基端にハブが取り付けられたカテーテルにおいては、ハブ先端からチューブ本体先端までの長さである。また、ハブより先端側に耐キンクチューブが取り付けられ、この耐キンクチューブよりも先端側の部分が体腔内に挿入されるカテーテルにおいては、耐キンクチューブの先端からチューブ本体先端までの長さである。なお、上記有効長は、約1570〜1630mmがより好ましい。
また、ガイドワイヤ用ルーメンの前記基部側開口部と前記シャフト本体の先端との距離が約250±3mmのため、この手技で通常使用される長さ1000mmのガイディングカテーテルの先端側から前記基部側開口部が出ることがなく、腕(手首)からアプローチ可能な下肢末梢血管治療用のラピッドエクスチェンジタイプ拡張カテーテルとして好適に用いられる。
前記シャフト本体の先端から基端側に1000mmにわたって延設する部分は、応力を加えることにより曲率半径20mmになるように曲がることができ、かつ応力の除去により曲率半径50mm以上となることが好ましい。これにより、腕(手首付近)から下肢末梢動脈まで到達する途中にある大きく屈曲する大動脈弓を確実に通過でき、腕の動脈より下肢末梢血管へ確実に導入できる。
前記シャフト本体は、比較的剛性の高いチューブ状の基部シャフトと、前記基部シャフトより先端側に設けられ、前記基部シャフトより剛性の低いチューブ状の先端シャフトとを備えることが好ましい。
そして、前記基部シャフトの先端側部分は、前記基部シャフトの基端側部分よりも柔軟に変形可能な柔軟変形部となっていることが好ましい。これにより、剛性の高い基部シャフトにより十分な押し込み性を確保できるとともに、基部シャフトの先端側部分が柔軟なため、腕(手首)から下肢末梢動脈まで到達する途中にある大きく屈曲する大動脈弓を通過できる柔軟性も兼ね備える拡張カテーテルを提供できる。前記柔軟変形部の長さは、1050〜1150mmであることが好ましい。また、前記柔軟変形部は、応力を加えることにより曲率半径20mmになるように曲がることができ、かつ応力の除去により曲率半径50mm以上となることが好ましい。これにより、当該柔軟変形部の柔軟性が十分なものとなり、上記大動脈弓を確実に通過できる。
また、前記柔軟変形部は、剛性が先端方向に向かって連続的又は段階的に小さくなっていることが好ましい。これにより、基部シャフトから先端シャフトにかけて、カテーテルの長手方向にわたって剛性を徐々に変化させることが可能となり、耐キンク性に優れた拡張カテーテルを提供できる。そして、前記柔軟変形部は、前記先端シャフト内に侵入しており、かつ螺旋状のスリットを有していることが好ましい。
前記基部シャフトは、好ましくは、金属管から構成される。基部シャフトの先端側部分に螺旋状のスリットを設けるには、レーザー加工(例えばYAGレーザー)、放電加工、化学エッチング、切削加工等の一般的に行われる技術を用いることができる。この場合、螺旋状のスリットのピッチを、スリットの先端部側で短く、基端部側で長く形成することにより、形成される基部シャフト柔軟変形部の剛性が緩やかに変化するようにしてもよい。このようにすることにより、上記柔軟変形部の剛性をより緩やかに変化させることが可能となり、キンクをより効果的に防止できる。
以下、本発明の拡張カテーテルの実施例を図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施例に係る拡張カテーテルの一部を破断し、基部シャフトの一部を省略し、主要構成部材を拡大して示す外観図である。図2は基部シャフトを示す外観図である。図3は基部シャフトの先端部および先端シャフトの基端部を示す断面図である。
図1に示されるように、拡張カテーテル1はいわゆるラピッドエクスチェンジ型のカテーテルであり、ガイドワイヤ(図示せず)に沿って血管内に挿入される。拡張カテーテル1は、チューブ状のシャフト本体10と、シャフト本体10の基端付近に取り付けられ、圧力印加装置が取り付けられるハブ16と、シャフト本体10の先端部に設けられ、ハブ16より圧力が印加されることにより拡張されるバルーン12と、バルーン12の基端より基端側であってシャフト本体10の先端部に基端側開口部141を有し、ガイドワイヤが挿通されるガイドワイヤ用ルーメンとを備えており、カテーテル有効長が少なくとも1570mmであり、前記ガイドワイヤ用ルーメンの基部側開口部141とシャフト本体10の先端との距離が247〜253mmである。
本実施例において、拡張カテーテル1は、基端側からハブ16、耐キンクチューブ17、基部シャフト15、中間部分14、先端シャフト13、バルーン12および内管シャフト11からなっている。シャフト本体10は、基端側から基部シャフト15、中間部分(言い換えれば、先端シャフトの基端側部分)14および先端シャフト13を備える。
基端側のハブ16にはインフレーターの様な圧力印加装置と接続できるようにルアーテーパーが形成されている。ハブ16には金属または一部の樹脂など比較的剛性の高い材質からなる基部シャフト15が流体連通可能に接合されている。基部シャフト15には、血管形成術中に拡張カテーテル1をガイディングカテーテル(図示せず)に挿入した深度がどのくらいか容易に確認できるように深度マーカー151が設けられている。さらに、基部シャフト15の基端付近であってハブ17の先端側には、ハブ17の先端付近における基部シャフト15のキンク(折れ曲がり)を防止するために、耐キンクチューブ17が基部シャフト15の外側に載置されている。後に詳細に説明するように、基部シャフト15の先端側部分は基端側部分よりも柔軟に変形可能な柔軟変形部152となっている。
基部シャフト15の先端側には中間部分14が流体連通可能に設けられている。中間部分14の先端側には樹脂などの材質からなる比較的剛性の低い先端シャフト13が流体連通可能に設けられている。先端シャフト13の先端側にはバルーン12の基端部が流体連通可能に設けられている。
先端シャフト13及びバルーン12の内部を内管シャフト11が同軸状に貫通している。内管シャフト11の先端部は先端チップ111となっており、先端チップ111はバルーン12の先端より延長されており、先端チップ111はバルーン12の先端側と液密を保った状態で接合されている。一方、内管シャフト11の基端は中間部分14から先端シャフト13にかけての一部分に設けられたガイドワイヤ開口部141まで延長され、液密を保った状態で接合されている。この内管シャフトの先端からガイドワイヤ開口部141にかけての内腔がガイドワイヤ用ルーメンとなっており、図1に示したガイドワイヤ2は先端チップ111の先端開口を入口とし、ガイドワイヤ開口部141を出口として、内管シャフト11内に挿通される。バルーン12の内部の内管シャフト11周囲には造影マーカー121が設けられている。
バルーン12は拡張させない状態では、内管シャフト11の外周に折り畳まれた状態になっている。バルーン12は拡張した状態では、中央部がほぼ円筒状になり血管の狭窄部を容易に拡張できる。また、造影マーカー121は血管形成術中、X線透視下で狭窄部位へのバルーン12の位置決めを容易にするために設けられている。
上述した構成を有する拡張カテーテル1において、ハブ16に取り付けられた圧力印加装置(図示せず)で圧力を印加すると、圧力媒体はハブ16から基部シャフト15、基部シャフト侵入部152、中間部分14、先端シャフト13と内管シャフト11との隙間を経てバルーン12に至り、バルーン12を拡張させることができる。なお、基部シャフト15、中間部分14、先端シャフト13、内管シャフト11及び各接合部分は、バルーン12が破裂する圧力以上の耐圧性能を有することはいうまでもない。
そして、拡張カテーテル1は、カテーテル有効長が少なくとも1570mmであることを特徴とする。このため、手首をはじめとする腕の動脈からのアプローチでも、総腸骨動脈等の下肢末梢動脈まで、長い経路をたどって拡張カテーテル1を導入することができる。なお、本実施例では、上記カテーテル有効長は、耐キンクチューブ17の先端からシャフト本体10の先端(内管シャフト11の先端)までの長さである。なお、上記カテーテル有効長の上限は特に制限されないが、血管拡張術の手技中における術者の操作性等、カテーテルを取り扱う際の利便性を考慮して、1630mm以下であればより好ましい。
また、ガイドワイヤ開口部141とシャフト本体10の先端(内管シャフト11の先端)との距離は、247〜253mmである。このため、通常使用される長さ1000mmのガイディングカテーテルの先端側から基部側開口部141が出ることがなく、手首からアプローチ可能な下肢末梢血管治療用のラピッドエクスチェンジタイプ拡張カテーテルとして好適に用いられる。
さらに、シャフト本体10の先端から基端側に1000mmにわたって延設する部分は、応力を加えることにより曲率半径20mmになるように曲がることができ、かつ応力の除去により曲率半径50mm以上となるように構成されている。
このため、図4に示すように、拡張カテーテル1を腕(手首)の動脈41からアプローチさせた際に、シャフト本体10の先端から1000mmの長さにわたって延設する部分10aが大動脈弓42の急激な曲がりに沿って確実に湾曲し、かつ、大動脈弓42を通過したあと腹部大動脈43内に位置した際は真直ぐに近い形状に復元し、下肢末梢動脈に向かって導入される。したがって、腕(手首)の動脈41から大きく屈曲した大動脈弓42を経由して腹部大動脈43を通って下肢末梢動脈(右総腸骨動脈44、左総腸骨動脈45等)まで確実に導入できる拡張カテーテル1を提供できる。なお、図4において、40は心臓を示し、41は橈骨動脈、42は大動脈弓、43は腹部大動脈、44は右総腸骨動脈、45は左総腸骨動脈を示すものである。
図2を参照して基部シャフト15の構造をより詳細に説明する。図2に示すように、基部シャフト15はメインシャフト部153と、メインシャフト部153の先端部をスパイラルスリット加工することにより形成された柔軟変形部152により構成されている。このため、基部シャフト15の先端側部分となる柔軟変形部152は、スリットが形成されてない基部シャフト15の基端側部分(メインシャフト部153)よりも柔軟に変形可能となっている。したがって、剛性の高い基部シャフト15により十分な押し込み性を確保できるとともに、基部シャフト15の先端側部分が柔軟なため、腕(手首)から下肢末梢動脈まで到達する途中にある大きく屈曲する大動脈弓を通過できる柔軟性に優れた拡張カテーテル1を提供できる。
図2では、螺旋状のスリットのピッチがスリットの先端部側では短く、基端部側では長くなっており、これらの間の部分ではピッチが先端へ向かうほど徐々に短くなっている。これにより、先端へ向かうほどスリットのピッチが狭くなっている。この柔軟変形部152は、メインシャフト部153の先端部をレーザー加工することにより形成される。なお、本発明では、スリットのピッチを先端に向かって狭くする構成としては、上記のようなもののほか、例えば、ピッチを先端に向かってスリットの基部から先端まで一定の割合で狭くするようにしてもよい。
図3に示されるように、基部シャフト15の先端側部分の柔軟変形部152は中間部分14内に延長して配置されており、中間部分14に設けられたガイドワイヤ開口部141付近まで延長されている。これにより、柔軟変形部152は、中間部材14の後端側より中間部材14内に侵入する基部シャフト侵入部を構成する。また、基部シャフト15(柔軟変形部152)の先端は、ガイドワイヤ開口部141付近に到達している。さらに、中間部分14の外周方向における一部(側面に形成された側口)に内管シャフト11の基端部が固着されており、この内管シャフト11の基端開口が中間部分14の外部に露出して、ガイドワイヤ開口部141を形成されている。なお、ガイドワイヤ開口部141は、中間部材ではなく、基部シャフト15または先端シャフト13に設けてもよく、また中間部分14と先端シャフト13の境界部(接合部)に設けてもよい。
このように中間部分14内部に柔軟変形部152を配置することにより、中間部分14をメインシャフト部153より剛性が低く(柔らかく)、先端シャフト13より剛性が高く(硬く)なるようにすることができる。こうして、拡張カテーテル1を構成するシャフトの剛性を基端側から先端側にかけて徐々に変化させることができ、中間部分14が急激に曲がる際にも応力が1カ所に集中することがなく、キンクの発生を低減させることが可能である。
本実施例では、拡張カテーテル1の基部シャフト15(メインシャフト部153)の先端付近をレーザー加工等の一般的に行われる技術を用いてスパイラルスリット加工することにより、キンク防止の役割を果たす柔軟変形部152が形成されている。このように簡便な工程でメインシャフト部153と一体化した柔軟変形部152を形成することができ、従来よりカテーテルの組み立て工程を簡略化することができる。そして、柔軟変形部152を中間部分14内部に配置することにより、中間部分14が急激に曲がる際にも応力が1カ所に集中することがなく、 キンクの発生を効果的に低減できる。また、螺旋状のスリットのピッチを先端部側で短く、基端部側で長く形成することにより、シャフト全体の剛性を緩やかに変化させることができ、キンクの発生をより効果的に低減できる。
なお、本発明では、柔軟変形部152の構成は上記螺旋状のスリットを形成したものに限定されず、例えば基部シャフトの先端より基端方向に延びる複数のスリット若しくは複数の細孔を基部シャフトの先端側部分に形成することにより、基部シャフトの基端側部分よりも柔軟に構成したものとしてもよい。
次に、本発明の拡張カテーテルを構成する各部材の材質および寸法などについてより詳細に説明する。
基部シャフト15には比較的剛性の高い材質、例えばNi−Ti、真鍮、SUS、アルミ等の金属を用いることが好ましい。なお、比較的剛性の高い材質であれば、ポリイミド、塩化ビニル、ポリカーボネート等の樹脂を用いることもできる。
基部シャフト15のメインシャフト部153は、外径が約0.5mm〜3.5mm、好ましくは0.7mm〜1.7mm、肉厚が約10〜170μm、好ましくは20〜120μm、長さが1300mm〜1400mm、好ましくは1320mm〜1380mmのチューブである。
基部シャフト15の柔軟変形部152は、外径が約0.3mm〜3mm、好ましくは0.5〜1.5mm、肉厚が10〜150μm、好ましくは20〜100μmである。
そして、柔軟変形部152の長さは、1050〜1170mm、好ましくは1070〜1130mmである。このように柔軟変形部152の長さを設定することにより、手首付近から下肢末梢動脈まで拡張カテーテル1を到達させる際に、剛性の高い基部シャフト15のうち十分な長さの柔軟変形部152を大きく屈曲する大動脈弓に沿って確実に位置させることができる。したがって、剛性の高い基部シャフト15により高い押し込み性を備えるとともに、腕の動脈から下肢末梢動脈にかけての経路の途中にある大きく屈曲した大動脈弓も確実に通過できる柔軟性も兼ね備える拡張カテーテル1を提供できる。
さらに、柔軟変形部152は、応力を加えることにより曲率半径20mmになるように曲がることができ、かつ応力の除去により曲率半径50mm以上となるように構成されている。これにより、当該柔軟変形部152の柔軟性が十分なものとなり、腕の動脈から下肢末梢動脈にかけての経路の途中にある大きく屈曲した大動脈弓を確実に通過できる。
先端シャフト13と中間部分14は同一のチューブで構成してもよく、先端シャフト用のチューブと中間部分用のチューブとを別々に用意して適宜つなぎ合わせた構成でもよい。
基部シャフト15の柔軟変形部152における螺旋状のスリットのピッチは図示の例のように先端部側で短く、基端部側で長くする場合において、先端部側で0.1〜10mm、好ましくは0.3〜2mmであり、基端部側で1〜20mm、好ましくは2〜10mmである。また、螺旋スリットの幅は1mm以下、好ましくは0.01〜0.5mm程度である。
先端シャフト13および中間部分14を構成する材料としては、例えばポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、またはこれら二種以上の混合物など)、ポリオレフィンの架橋体、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、フッ素樹脂、ポリイミドなどの高分子材料またはこれらの混合物などを用いることができる。
先端シャフト13および中間部分14は、外径が0.7〜1.7mm、より好ましくは0.9〜1.5mm、肉厚が25〜200μm、より好ましくは50〜100μmのチューブである。中間部分14の長さは、1060〜1160mm、より好ましくは1080〜1140mmである。また、中間部分14を除いた先端シャフト13の長さは、230〜250mm、より好ましくは238〜244mmである。
内管シャフト11を構成する材料としては、ある程度可撓性を有するものが用いられる。例えばポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、またはこれら二種以上の混合物など)、ポリオレフィンの架橋体、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、ポリイミド、フッ素樹脂などの高分子材料またはこれらの混合物などを用いることができる。
内管シャフト11は、外径が約0.1〜1.0mm、好ましくは0.3〜0.7mm、肉厚が約10〜150μm、好ましくは20〜100μm、長さが240〜280mm、より好ましくは250〜260mmのチューブである。
バルーン12の材質としては、血管の狭窄部を拡張できるように、ある程度の可塑性を有するものが好ましい。例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマーなど)、ポリオレフィンの架橋体、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレートなど)、ポリエステルエラストマー、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、フッ素樹脂などの高分子材料、シリコーンゴム、ラテックスゴムなどを用いることができる。また、これら高分子材料を適宜積層した積層フィルムも使用できる。二軸延伸ブロー成形法等により形成したバルーン12を先端シャフト13の先端側に取り付けた構成としてもよいし、先端シャフト13の先端部分に延伸ブロー成形などを施してバルーン12を一体に形成してもよい。
バルーン12は、拡張されたときの円筒部分の外径が3.0〜15.0mm、好ましくは4.0〜10.0mm、長さが5〜50mm、好ましくは10〜40mmであり、全体の長さが10〜90mm、好ましくは15〜80mmである。
造影マーカー12は、コイルスプリングまたはリングで形成することが好ましく、1個以上設けることができる。造影マーカー12の材質としては、X線造影性の高い材料、例えばPt、Pt合金、W、W合金、Au、Au合金、Ir、Ir合金、Ag、Ag合金などを用いることが好ましい。
腕の動脈からアプローチして大動脈弓を経由して腹部大動脈を通って総腸骨動脈等を含む下肢末梢動脈に導入して、当該下肢末梢動脈内における狭窄部を拡張し、狭窄部末梢側における血流の改善を図ることのできる拡張カテーテルとして利用できる。
本発明の一実施例に係る拡張カテーテルを示す図。 図1の拡張カテーテルの基部シャフトを示す図。 図1の拡張カテーテルの基部シャフトの先端部および先端シャフトの基端部の拡大断面図。 図1の拡張カテーテルを腕の動脈から大動脈弓を経由して下肢末梢動脈に向かって導入した様子を説明する図。
符号の説明
1…拡張カテーテル
10…シャフト本体
11…内管シャフト
111…先端チップ
12…バルーン
121…造影マーカー
13…先端シャフト
14…中間部分
141…ガイドワイヤ開口部
15…基部シャフト
151…深度マーカー
152…柔軟変形部
153…メインシャフト部
16…ハブ
17…耐キンクチューブ

Claims (10)

  1. 腕の動脈から導入し、大動脈弓および腹部大動脈を経由して下肢末梢動脈に導入される拡張カテーテルであって、チューブ状のシャフト本体と、前記シャフト本体の基端付近に取り付けられ、圧力印加装置が取り付けられるハブと、該シャフト本体の先端部に設けられ、前記ハブより圧力が印加されることにより拡張されるバルーンと、前記バルーンの基端より基端側であって前記シャフト本体の先端部に基端側開口部を有し、ガイドワイヤが挿通されるガイドワイヤ用ルーメンとを備えており、
    前記拡張カテーテルのカテーテル有効長が少なくとも1570mmであり、前記ガイドワイヤ用ルーメンの前記基部側開口部と前記シャフト本体の先端との距離が247〜253mmであることを特徴とする拡張カテーテル。
  2. 前記シャフト本体の先端から基端側に1000mmにわたって延設する部分は、応力を加えることにより曲率半径20mmになるように曲がることができ、かつ応力の除去により曲率半径50mm以上となることを特徴とする請求項3又は4に記載の拡張カテーテル。
  3. 前記シャフト本体は、比較的剛性の高いチューブ状の基部シャフトと、前記基部シャフトより先端側に設けられ、前記基部シャフトより剛性の低いチューブ状の先端シャフトとを備える請求項1又は2に記載の拡張カテーテル。
  4. 前記基部シャフトの先端側部分は、前記基部シャフトの基端側部分よりも柔軟に変形可能な柔軟変形部となっている請求項3に記載の拡張カテーテル。
  5. 前記柔軟変形部の長さが1050〜1170mmである請求項4に記載の拡張カテーテル。
  6. 前記柔軟変形部は、応力を加えることにより曲率半径20mmになるように曲がることができ、かつ応力の除去により曲率半径50mm以上となることを特徴とする請求項4又は5に記載の拡張カテーテル。
  7. 前記柔軟変形部は、剛性が先端方向に向かって連続的又は段階的に小さくなっている請求項4ないし6のいずれかに記載の拡張カテーテル。
  8. 前記柔軟変形部は、前記先端シャフト内に侵入しており、かつ螺旋状のスリットを有している請求項4ないし7のいずれかに記載の拡張カテーテル。
  9. 前記基部シャフトが金属管からなる請求項3ないし8のいずれかに記載の拡張カテーテル。
  10. 前記先端シャフトの内側に前記先端シャフトと同軸的に設けられた内管シャフトをさらに備え、該内管シャフトの内腔が前記ガイドワイヤ用ルーメンを形成している請求項3ないし9のいずれかに記載の拡張カテーテル。
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