JP2005017489A - 光アンテナ - Google Patents
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Abstract
【課題】外部からの送信された信号光を受信する光アンテナにおいて、軽量であり、信号光に対して光軸を合わせ易くする。
【解決手段】透明な材質からなり厚さ方向の一表面に入射面15、厚さ方向に沿う一側面に射出面12を備える平板状の導光部材11と、該導光部材11の前記射出面12に対向して配置される集光部材13と、該集光部材13の集光位置に配置された受光素子14とを備え、前記入射面15に、入射した光を導光部材11の背面16側において全反射させ、前記射出面12方向に向かわせる傾斜面17が設けられている光アンテナ10提供する。
【選択図】 図1
【解決手段】透明な材質からなり厚さ方向の一表面に入射面15、厚さ方向に沿う一側面に射出面12を備える平板状の導光部材11と、該導光部材11の前記射出面12に対向して配置される集光部材13と、該集光部材13の集光位置に配置された受光素子14とを備え、前記入射面15に、入射した光を導光部材11の背面16側において全反射させ、前記射出面12方向に向かわせる傾斜面17が設けられている光アンテナ10提供する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光空間伝送通信システムにおいて、信号光を受信するための光アンテナに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、光アンテナとして、信号光の損失を抑えた光検出装置を備えたものがある(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に記載の光検出装置は、導波管と、この導波管の終端に設けられている受光素子とを備えている。また、導波管は開口から受光素子に向かって次第に内径が小さくなっている。さらに、導波管の内側は、コア層とその外側を被うクラッド層とで満たされている。ここで、コア層の屈折率は、クラッド層に比べて高いものが使われている。すなわち、導波管の開口から入射した信号光は、コア層とクラッド層との境界面において全反射を繰り返しながら、コア層内を伝播する。そして、受光素子に到達した信号光は受光素子により検出される。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−148703号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ビル間のような中距離の光空間伝送システムにおいては、信号光ビームが、回折によって拡大しないようにビーム径を大きくする必要があるため、ビーム径が数十mm程度の光で通信が行われている。この光ビーム径に合わせて導波管の開口を広げてしまうと、コア層及びクラッド層の内径が大きくなるため、重くなって取り扱いにくいという問題が生じる。また、これらの媒質に用いる素材としては、サファイヤ、ZnS及びZnSeといった特殊な素材が用いられているので、光アンテナ自体が高価なものになるという問題も生じる。
一方、屋内の光無線LANとして用いられるような短距離通信の場合、信号光ビーム径は細くても構わないので、導波管の口径も小さくても良い。しかしながら、口径を小さくした分、コア層とクラッド層との境界面において全反射を生じるように、導波管の中心軸Aに対し信号光ビームの光軸を合わせ込むことが困難である。
【0005】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、軽量であり、通信光に対して光軸を合わせ易い光アンテナを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、透明な材質からなり厚さ方向の一表面に入射面、厚さ方向に沿う一側面に射出面を備える平板状の導光部材と、該導光部材の前記射出面に対向して配置される集光部材と、該集光部材の集光位置に配置された受光素子とを備え、前記入射面に、入射した光を導光部材の背面側において全反射させ、前記射出面方向に向かわせる傾斜面が設けられている光アンテナを提供する。
【0007】
この発明によれば、入射面から入射する光のうち、傾斜面から入射した光は、導光部材の背面側において全反射を行い射出面に向かう。射出面に到達した光は、扁平な面形状をした2次元的な信号光源とみなすことができる。これにより、この射出面から射出される扁平な光束は、集光部材により概略1点に集光され、受光素子において検出される。したがって、入射面を大きくすることが可能となり、光に対して光軸を合わせ易い光アンテナを構成することができる。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の光アンテナにおいて、前記傾斜面が、前記射出面に向かう方向に間隔を開けて複数配置されている請求項1に記載の光アンテナを提供する。
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の光アンテナにおいて、前記傾斜面が、前記導光部材の背面に対して45°傾斜している光アンテナを提供する。
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光アンテナにおいて、前記入射面に、部分的に窪む凹部が設けられ、前記傾斜面が前記凹部の内面に設けられている光アンテナを提供する。
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の光アンテナにおいて、前記傾斜面に反射コーティングが施されている光アンテナを提供する。
【0009】
これらの発明によれば、傾斜面から入射した光を背面において全反射させ、射出面まで伝播させることが可能となる。したがって、受光素子による受信効率が高くなるため、長距離の光空間伝送通信システムに好適である。
【0010】
請求項6に係る発明は、請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の光アンテナにおいて、前記傾斜面が、前記射出面に向かって半径が漸次小さくなる円弧状に形成されている光アンテナを提供する。
請求項7に係る発明は、請求項6に記載の光アンテナにおいて、前記導光部材が、前記射出面に向かって漸次幅寸法が小さくなる扇形に形成され、その幅方向の両端に配される側面に反射コーティングが施されている光アンテナを提供する。
【0011】
これらの発明によれば、あらゆる方位角方向から光が入射した場合においても、入射した光を受光素子まで伝播させることが可能となる。したがって、光の方位が一定でない移動体に用いられる光アンテナに適している。
【0012】
請求項8に係る発明は、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の光アンテナにおいて前記集光部材が、前記射出面に接合されたテーパ状導光部材と、該テーパ状導光部材から発せられた光を受光素子に結像させる結像レンズとを備える光アンテナを提供する。
請求項9に係る発明は、請求項8に記載の光アンテナにおいて、前記集光部材が、前記導光部材の幅方向と厚さ方向とで焦点距離が異なる光学素子からなる光アンテナを提供する。
【0013】
これらの発明によれば、射出面における像を縮小させて受光素子に結像させることが可能となる。これにより、受光素子の受光面積を小さくすることができるため、安価な受光素子を利用することができる。また、集光部材が導光部材の幅方向と厚さ方向とで焦点距離が異なる光学素子を有する場合、この光学素子を光学プラスチックの射出成型による製造が可能となるため、大量生産することができる。これにより、安価な光アンテナを構成することができる。
【0014】
請求項10に係る発明は、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の光アンテナにおいて、前記入射面の前段に、前記傾斜面に光を集光させる集光レンズが配置されている光アンテナを提供する。
この発明によれば、入射面に向かって入射した光を集光レンズにより、傾斜面に集光させることができる。このため、入射した光の大部分を導光部材の内部において全反射させ射出面まで伝播させることが可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1実施形態に係る光アンテナについて図面を参照して説明する。
本実施形態に係る光アンテナ10は、外部から送信された信号光を受信するアンテナである。この光アンテナ10は、図1に示すように、平板上の導光板(導光部材)11と、この導光板11の厚さ方向に沿う一側面に設けられた射出面12に対向して配置された集光手段(集光部材)13と、この集光手段13の集光位置に配されている受光素子14とを備えている。
【0016】
前記導光板11は、厚さ1.2mmであり、この導光板11の材質は、アクリル製である。また、導光板11の厚さ方向の一表面に入射面15が設けられ、この入射面15の大きさは縦横50mmである。
前記入射面15は、導光板11の背面16において全反射させる角度に傾斜した傾斜面17と、背面16において全反射した光を全反射させながら射出面12に向かって光を導く他の傾斜面18とを有している。
前記傾斜面17は、入射面15に沿う方向かつ射出面12に向かって鋸歯状となっており、傾斜面17の傾斜角度θ1は背面16に対して45°となっている。また、鋸歯のピッチpは約0.2mmで刻まれており、鋸歯の高さhは、受光素子14から遠くなるに連れて、次第に大きくなるように形成されており、平均的な高さhは4μm程度である。このように、形成された導光板11は、光の入射角度にもよるが、入射面15に入射した光を内部に取り込み、光を射出面12に伝播させることが可能となっている。
【0017】
前記集光手段13は、前記導光板11の射出面12に接合されたファイバテーパ(テーパ状導光部材)19と、このファイバテーパ19の像面20における像を受光素子14に結像させる結像レンズ21とを備える。
前記ファイバテーパ19は、光ファイバを束ねた後、一部を加熱しながら引き伸ばし、くびれた部分を切り出したものである。また、ファイバテーパ19は、射出面12に接合されているので、導光板11の射出面12の像をファイバテーパ19の像面20に約1/3の倍率で縮小させて伝送させるようになっている。
前記結像レンズ21は、ファイバテーパ19の像面20の像をさらに縮小させて、受光素子14に結像させるレンズであり、結像倍率は1/8以下である。
【0018】
また、光アンテナ10は、図2に示すように、基板22に設置されている。この光アンテナ10は、基板22の中間部が回転軸23を中心として仰角方向に、また、回転軸24を中心として方位角方向に回動自在に配されている。これにより、光アンテナ10を任意の方向に向けることができるようになっている。
【0019】
このように構成された本実施形態に係る光アンテナ10の作用について、以下に説明する。
本実施形態に係る光アンテナ10を用いて外部から送信された信号光を受信するには、導光板11の入射面15に形成されている傾斜面17が、信号光の方向を向くように回転軸23,24を回動させて、仰角方向及び方位角方向の向きを調整する。これらの方向調整は、ビル間のような中間距離の通信用途においては、信号光の強度が弱いので、導光板11に取り込まれる信号光が最大になるように行う。すなわち、受光素子14の出力が最大になるように調整する。
【0020】
このようにして、導光板11の入射面15から信号光が入射すると、傾斜面17から導光板11の内部に信号光が取り込まれる。この信号光は、導光板11の背面16において全反射を行い、全反射した信号光は他の傾斜面18においても全反射を行う。このように、信号光は導光板11の内部において、全反射を繰り返しながら、射出面12まで伝播する。
射出面12に到達した信号光は、ファイバテーパ19を介して、像面20に伝送される。像面20に到達した信号光は、さらに結像レンズ21により受光素子14に集光される。
【0021】
すなわち、本実施形態における光アンテナ10は、ファイバテーパ19の倍率が1/3であり、結像レンズ21の倍率は1/8以下であるため、射出面12における像が受光素子14上に1/24以下の倍率で結像することになる。したがって、射出面12の幅が50mmであるため、受光素子14上での大きさは2mm程度になり、十分小さくすることが可能となる。これにより、受光素子14の受光面積を小さくすることができるため、安価な受光素子を利用することができる。また、導光板11はアクリル製であるため、導光板11の軽量化を図ることができる。このため、入射面15を大きくすることが可能となり、信号光に対して光軸を合わせ易いという効果を有する。
【0022】
なお、本実施形態において、受光素子14の出力が最大になるように調整したが、屋内無線LANのような短距離の通信用途においては、受信光が強いので、あらかじめ閾値出力を設けておき、閾値出力以上となるように調整を行っても良い。
また、傾斜面17は、傾斜角度θ1を45°としたが、この傾斜角度θ1に限るものではなく、背面16において全反射が生じる角度であれば良い。
【0023】
次に、本発明の第2実施形態に係る光アンテナについて図面を参照して説明する。なお、以下の説明する各実施形態において、上記第1実施形態と同一構成要素については同一符号を用いてその説明は省略する。
本実施形態に係る光アンテナ30は、図3に示すように、導光板11と同様の形状の導光板31,ファイバテーパ32を用いる点及び集光手段にレンズ33を備える点において第1実施形態に係る光アンテナ10と相違している。
【0024】
前記導光板31は、導光板11と同様に射出面34にファイバテーパ32が接合されている。そして、導光板31は、導光板11の背面16を透過した光の多くが導光板31の傾斜面35に入射するように配されている。
前記レンズ33は、ファイバテーパ19,32の像面20,36に対して同じ距離及び像面20,36が焦点位置となるように配されている。これにより、像面20,36から射出された光に対して、後側焦点距離に瞳像37を形成するようになっている。
前記結像レンズ21は、瞳像37を縮小させ、受光素子14に結像させるためのものである。
【0025】
このように構成された本実施形態に係る光アンテナ30の作用について、以下に説明する。
本実施形態に係る光アンテナ30を用いて外部から送信された信号光を受信するには、傾斜面15から入射した信号光は、第1実施形態と同様に導光板11の内部において、全反射を繰り返しながら、射出面12まで伝播する。
ここで、他の傾斜面18から入射した信号光は、導光板11の背面16に臨界角よりも小さい角度θ2で入射するため、全反射は起こらずに透過する。背面16から透過した光は、導光板31の傾斜面35から入射し、導光板31の内部において全反射を繰り返して射出面34まで伝播する。
【0026】
このようにして、導光板11,31により射出面12,34まで伝播した信号光は、ファイバテーパ19,32を通過することによって縮小像を形成する。これらの像は、レンズ33によって重ね合わされて瞳像37を形成する。この瞳像37は、結像レンズ21によってさらに縮小され受光素子14に結像される。
【0027】
すなわち、本実施形態における光アンテナ30は、導光板11,31において伝播された信号光が両方とも受光素子14に集光することになる。これにより、導光板11の背面16から漏れた信号光の大部分を導光板31により射出面36まで伝播させ受光素子14に導いているので、信号光の損失を抑えることが可能となる。
【0028】
次に、本発明の第3実施形態に係る光アンテナについて図面を参照して説明する。
本実施形態に係る光アンテナ40は、図4に示すように、導光板41の入射面42にV溝(凹部)43が形成されている点及びレンズアレイ(集光レンズ)44が備えられている点において第1実施形態に係る光アンテナ10と相違する。
【0029】
前記V溝43は、入射面42に第1の傾斜面45及び第2の傾斜面46を有している。第1の傾斜面45は、入射した光を射出方向に反射させるように反射コーティングを施されている。
前記レンズアレイ44は、入射面42に向かって入射した光が第1の傾斜面45に集光するように、V溝43側に配されている。
【0030】
このように構成された本実施形態に係る光アンテナ40の作用について、以下に説明する。
本実施形態に係る光アンテナ40を用いて外部から送信された信号光を受信するには、レンズアレイ44に信号光が略垂直に入射するように、回転軸23及び回転軸24を回動させて、光アンテナ40の向きを調整する。これにより、レンズアレイ44に入射した信号光は、V溝43の第1の傾斜面45に集光する。第1の傾斜面45には反射コーティングが施されているので、第1の傾斜面45に集光した信号光は、射出方向に向かって反射し、導光板41の内部を伝播して射出面12まで向かう。そして、射出面12に到達した光は、第1実施形態と同様にして受光素子14により検出される。
【0031】
すなわち、本実施形態における光アンテナ40は、入射面42に向かって入射した信号光をレンズアレイ44により、V溝43の第1の傾斜面45に集光させることができる。このため、入射した信号光の大部分を導光板41の内部において全反射させ射出面12まで伝播させることが可能となる。したがって、受光素子14による受信効率が高いため、長距離の光空間伝送通信システムに好適である。
【0032】
次に、本発明の第4実施形態に係る光アンテナについて図面を参照して説明する。
本実施形態に係る光アンテナ50は、図5に示すように、集光手段がシリンドリカルな集光レンズ51及びレンズ52を備える点において第1実施形態に係る光アンテナ10と相違する。
【0033】
前記集光レンズ51は、入射面53側を平面とし、射出面54側のXZ断面がZ軸方向に凸面を向けたシリンドリカルレンズ面になっており、この集光レンズ51の入射面53は、導光板11の射出面12に接合されて配されている。さらに、射出面12に接している面と射出面54以外の外側部分は反射コーティングを施されている。これらにより、集光レンズ51の入射面53から入射した信号光がレンズ52方向以外、集光レンズ51の外部に漏れないようになっている。
前記レンズ52は、集光レンズ51に対向して配されており、YZ断面がZ軸の負方向に凸面を向けたシリンドリカルレンズ面になっている。
【0034】
このように構成された本実施形態に係る光アンテナ50の作用について、以下に説明する。
本実施形態に係る光アンテナ50を用いて外部から送信された信号光を受信するには、傾斜面17から入射した光は、第1実施形態と同様に導光板11の内部において、全反射を繰り返しながら、射出面12まで伝播する。
射出面12まで到達した信号光は、集光レンズ51の入射面53から入射され、内部において反射され集光レンズ51の射出面54に伝播する。射出面54のXZ断面が凸面形状になっているので、射出面54に伝播した信号光はXZ平面内に集光するように屈折してレンズ52に向かう。さらに、レンズ52を通過した信号光は、YZ平面内に集光するように屈折し、受光素子14により検出される。
【0035】
すなわち、本実施形態における光アンテナ50は、射出面12からの信号光を受光素子14に集光する集光手段として、シリンドリカルな集光レンズ51及びレンズ52を用いている。これにより、集光レンズ51及びレンズ52は、光学プラスチックの射出成型で製造することができるため、大量生産が可能となり、安価な光アンテナ50を構成できるという効果を有する。
【0036】
なお、本実施形態において、導光板11の射出面12と集光レンズ51の入射面53とを接合させて使用したが、射出成型にて製造することにより、あらかじめ接合された状態で製作することも可能となる。さらに、集光レンズ51の射出面54をX軸方向及びY軸方向の曲率が異なる自由曲面に形成することにより、レンズ52を用いず受光素子14に信号光を集光させることも可能となる。この場合、射出成型により製造する光学部品は、導光板11,集光レンズ51及びレンズ52を一体とした導光板となる。これにより、簡易に製造することができるため、大量生産が可能となる。
【0037】
次に、本発明の第5実施形態に係る光アンテナについて図面を参照して説明する。
本実施形態に係る光アンテナ60は、図6に示すように、導光板61の形状,射出面62が凸面に形成されている点及びファイバテーパ32に代えて円錐状のミラー63である点において第3実施形態に係る光アンテナ40と相違する。
【0038】
前記導光板61は、図6(a)に示すように、射出面62に向かって漸次幅寸法が小さくなる扇形に形成された導光板64を複数張り合わせて構成されている。この導光板64の幅方向の両端に配されている側面65は、反射コーティングを施された鏡面となっており、鏡面加工がされている。これにより、導光板64内を伝播する信号光が側面65から隣接する導光板66の内部に拡散するのを防いでいる。また、導光板61の第1の傾斜面45及び第2の傾斜面46が同心円状の弧を描くパターンに形成されている。
前記射出面62は、凸面に形成されているため、射出面62から射出される光を、導光板61の厚み方向に拡散しないように集光させるものである。
前記円錐状ミラー63は、射出面62に対向して配されており、射出面62から射出された光を円錐状ミラー63の側面において頂点側に反射させるものである。また、円錐状ミラー63の頂点側には、結像レンズ21が配されているため、円錐状ミラー63において反射された光を結像レンズ21により、受光素子14に結像させるようになっている。
【0039】
このように構成された本実施形態に係る光アンテナ60の作用について、以下に説明する。
本実施形態に係る光アンテナ60を用いて外部から送信された信号光を受信するには、導光板61の入射面15に信号光を入射させる。このとき、第1の傾斜面45が同心円状であること及び各扇形導光板64の側面65が鏡面に加工されていることから、導光板61に入射した信号光は、全反射を繰り返し射出面62に向かって収束しながら伝播する。射出面62に到達した信号光は、射出面62が凸面に形成されているため、厚み方向の拡散が抑えられて射出し、円錐状ミラー63において反射して結像レンズ21の方向に反射される。そして、この信号光は結像レンズ21により結像され受光素子14に検出される。
【0040】
すなわち、本実施形態における光アンテナ60は、あらゆる方位角方向から光が入射した場合においても、入射した光を受光素子14に集光させて検出させることが可能となる。したがって、光の方位が一定でない移動体に用いられる光アンテナに適している。
【0041】
なお、本実施形態において、円錐状ミラー63を用いたが、これに限るものではなく、角錐ミラー等であっても良い。
以上説明した各実施形態に係る光アンテナは、図7に示すように、近隣のビルからの光無線放送の受信や、図8に示すように、屋内光無線LANの受信など様々な光空間伝送通信システムに用いることが可能である。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明に係る光アンテナによれば、外部から送信された信号光を受光する入射面の面積を広くとることができるため、信号光に対して光軸が合わせ易くなり、信号光を容易に受光することができる。また、導光板をアクリル等の材質で製造することができるため、軽量化を図ることができ、また、大量生産することも可能となるため、低コスト化にもつながる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る光アンテナにおいて、(a)は全体構成を示す概略図であり、(b)は導光板の断面図を示す。
【図2】図1の光アンテナを基板に搭載したときの構成を示す概略図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る光アンテナの全体構成を示す概略図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係る光アンテナの全体構成を示す概略図である。
【図5】本発明の第4実施形態に係る光アンテナの全体構成を示す概略図である。
【図6】本発明の第5実施形態に係る光アンテナにおいて、(a)は全体構成を示す概略図であり、(b)は扇形の導光板を示し、(c)は扇形の導光板の断面図を示す。
【図7】本発明の光アンテナを近隣のビルからの光無線放送の受信に用いたときの全体構成図である。
【図8】本発明の光アンテナを屋内光無線LANの受信などの光空間伝送通信システムに用いたときの全体構成図である。
【符号の説明】
10,30,40,50,60 光アンテナ
11,31,41,61,64,66 導光板(導光部材)
12,34,62 射出面
13 集光手段(集光部材)
15,42 入射面
16 背面
17,35 傾斜面
19 ファイバテーパ(テーパ状導光部材)
21 結像レンズ
43 V溝(凹部)
44 レンズアレイ(集光レンズ)
45 第1の傾斜面(傾斜面)
【発明の属する技術分野】
本発明は、光空間伝送通信システムにおいて、信号光を受信するための光アンテナに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、光アンテナとして、信号光の損失を抑えた光検出装置を備えたものがある(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に記載の光検出装置は、導波管と、この導波管の終端に設けられている受光素子とを備えている。また、導波管は開口から受光素子に向かって次第に内径が小さくなっている。さらに、導波管の内側は、コア層とその外側を被うクラッド層とで満たされている。ここで、コア層の屈折率は、クラッド層に比べて高いものが使われている。すなわち、導波管の開口から入射した信号光は、コア層とクラッド層との境界面において全反射を繰り返しながら、コア層内を伝播する。そして、受光素子に到達した信号光は受光素子により検出される。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−148703号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ビル間のような中距離の光空間伝送システムにおいては、信号光ビームが、回折によって拡大しないようにビーム径を大きくする必要があるため、ビーム径が数十mm程度の光で通信が行われている。この光ビーム径に合わせて導波管の開口を広げてしまうと、コア層及びクラッド層の内径が大きくなるため、重くなって取り扱いにくいという問題が生じる。また、これらの媒質に用いる素材としては、サファイヤ、ZnS及びZnSeといった特殊な素材が用いられているので、光アンテナ自体が高価なものになるという問題も生じる。
一方、屋内の光無線LANとして用いられるような短距離通信の場合、信号光ビーム径は細くても構わないので、導波管の口径も小さくても良い。しかしながら、口径を小さくした分、コア層とクラッド層との境界面において全反射を生じるように、導波管の中心軸Aに対し信号光ビームの光軸を合わせ込むことが困難である。
【0005】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、軽量であり、通信光に対して光軸を合わせ易い光アンテナを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、透明な材質からなり厚さ方向の一表面に入射面、厚さ方向に沿う一側面に射出面を備える平板状の導光部材と、該導光部材の前記射出面に対向して配置される集光部材と、該集光部材の集光位置に配置された受光素子とを備え、前記入射面に、入射した光を導光部材の背面側において全反射させ、前記射出面方向に向かわせる傾斜面が設けられている光アンテナを提供する。
【0007】
この発明によれば、入射面から入射する光のうち、傾斜面から入射した光は、導光部材の背面側において全反射を行い射出面に向かう。射出面に到達した光は、扁平な面形状をした2次元的な信号光源とみなすことができる。これにより、この射出面から射出される扁平な光束は、集光部材により概略1点に集光され、受光素子において検出される。したがって、入射面を大きくすることが可能となり、光に対して光軸を合わせ易い光アンテナを構成することができる。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の光アンテナにおいて、前記傾斜面が、前記射出面に向かう方向に間隔を開けて複数配置されている請求項1に記載の光アンテナを提供する。
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の光アンテナにおいて、前記傾斜面が、前記導光部材の背面に対して45°傾斜している光アンテナを提供する。
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光アンテナにおいて、前記入射面に、部分的に窪む凹部が設けられ、前記傾斜面が前記凹部の内面に設けられている光アンテナを提供する。
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の光アンテナにおいて、前記傾斜面に反射コーティングが施されている光アンテナを提供する。
【0009】
これらの発明によれば、傾斜面から入射した光を背面において全反射させ、射出面まで伝播させることが可能となる。したがって、受光素子による受信効率が高くなるため、長距離の光空間伝送通信システムに好適である。
【0010】
請求項6に係る発明は、請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の光アンテナにおいて、前記傾斜面が、前記射出面に向かって半径が漸次小さくなる円弧状に形成されている光アンテナを提供する。
請求項7に係る発明は、請求項6に記載の光アンテナにおいて、前記導光部材が、前記射出面に向かって漸次幅寸法が小さくなる扇形に形成され、その幅方向の両端に配される側面に反射コーティングが施されている光アンテナを提供する。
【0011】
これらの発明によれば、あらゆる方位角方向から光が入射した場合においても、入射した光を受光素子まで伝播させることが可能となる。したがって、光の方位が一定でない移動体に用いられる光アンテナに適している。
【0012】
請求項8に係る発明は、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の光アンテナにおいて前記集光部材が、前記射出面に接合されたテーパ状導光部材と、該テーパ状導光部材から発せられた光を受光素子に結像させる結像レンズとを備える光アンテナを提供する。
請求項9に係る発明は、請求項8に記載の光アンテナにおいて、前記集光部材が、前記導光部材の幅方向と厚さ方向とで焦点距離が異なる光学素子からなる光アンテナを提供する。
【0013】
これらの発明によれば、射出面における像を縮小させて受光素子に結像させることが可能となる。これにより、受光素子の受光面積を小さくすることができるため、安価な受光素子を利用することができる。また、集光部材が導光部材の幅方向と厚さ方向とで焦点距離が異なる光学素子を有する場合、この光学素子を光学プラスチックの射出成型による製造が可能となるため、大量生産することができる。これにより、安価な光アンテナを構成することができる。
【0014】
請求項10に係る発明は、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の光アンテナにおいて、前記入射面の前段に、前記傾斜面に光を集光させる集光レンズが配置されている光アンテナを提供する。
この発明によれば、入射面に向かって入射した光を集光レンズにより、傾斜面に集光させることができる。このため、入射した光の大部分を導光部材の内部において全反射させ射出面まで伝播させることが可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1実施形態に係る光アンテナについて図面を参照して説明する。
本実施形態に係る光アンテナ10は、外部から送信された信号光を受信するアンテナである。この光アンテナ10は、図1に示すように、平板上の導光板(導光部材)11と、この導光板11の厚さ方向に沿う一側面に設けられた射出面12に対向して配置された集光手段(集光部材)13と、この集光手段13の集光位置に配されている受光素子14とを備えている。
【0016】
前記導光板11は、厚さ1.2mmであり、この導光板11の材質は、アクリル製である。また、導光板11の厚さ方向の一表面に入射面15が設けられ、この入射面15の大きさは縦横50mmである。
前記入射面15は、導光板11の背面16において全反射させる角度に傾斜した傾斜面17と、背面16において全反射した光を全反射させながら射出面12に向かって光を導く他の傾斜面18とを有している。
前記傾斜面17は、入射面15に沿う方向かつ射出面12に向かって鋸歯状となっており、傾斜面17の傾斜角度θ1は背面16に対して45°となっている。また、鋸歯のピッチpは約0.2mmで刻まれており、鋸歯の高さhは、受光素子14から遠くなるに連れて、次第に大きくなるように形成されており、平均的な高さhは4μm程度である。このように、形成された導光板11は、光の入射角度にもよるが、入射面15に入射した光を内部に取り込み、光を射出面12に伝播させることが可能となっている。
【0017】
前記集光手段13は、前記導光板11の射出面12に接合されたファイバテーパ(テーパ状導光部材)19と、このファイバテーパ19の像面20における像を受光素子14に結像させる結像レンズ21とを備える。
前記ファイバテーパ19は、光ファイバを束ねた後、一部を加熱しながら引き伸ばし、くびれた部分を切り出したものである。また、ファイバテーパ19は、射出面12に接合されているので、導光板11の射出面12の像をファイバテーパ19の像面20に約1/3の倍率で縮小させて伝送させるようになっている。
前記結像レンズ21は、ファイバテーパ19の像面20の像をさらに縮小させて、受光素子14に結像させるレンズであり、結像倍率は1/8以下である。
【0018】
また、光アンテナ10は、図2に示すように、基板22に設置されている。この光アンテナ10は、基板22の中間部が回転軸23を中心として仰角方向に、また、回転軸24を中心として方位角方向に回動自在に配されている。これにより、光アンテナ10を任意の方向に向けることができるようになっている。
【0019】
このように構成された本実施形態に係る光アンテナ10の作用について、以下に説明する。
本実施形態に係る光アンテナ10を用いて外部から送信された信号光を受信するには、導光板11の入射面15に形成されている傾斜面17が、信号光の方向を向くように回転軸23,24を回動させて、仰角方向及び方位角方向の向きを調整する。これらの方向調整は、ビル間のような中間距離の通信用途においては、信号光の強度が弱いので、導光板11に取り込まれる信号光が最大になるように行う。すなわち、受光素子14の出力が最大になるように調整する。
【0020】
このようにして、導光板11の入射面15から信号光が入射すると、傾斜面17から導光板11の内部に信号光が取り込まれる。この信号光は、導光板11の背面16において全反射を行い、全反射した信号光は他の傾斜面18においても全反射を行う。このように、信号光は導光板11の内部において、全反射を繰り返しながら、射出面12まで伝播する。
射出面12に到達した信号光は、ファイバテーパ19を介して、像面20に伝送される。像面20に到達した信号光は、さらに結像レンズ21により受光素子14に集光される。
【0021】
すなわち、本実施形態における光アンテナ10は、ファイバテーパ19の倍率が1/3であり、結像レンズ21の倍率は1/8以下であるため、射出面12における像が受光素子14上に1/24以下の倍率で結像することになる。したがって、射出面12の幅が50mmであるため、受光素子14上での大きさは2mm程度になり、十分小さくすることが可能となる。これにより、受光素子14の受光面積を小さくすることができるため、安価な受光素子を利用することができる。また、導光板11はアクリル製であるため、導光板11の軽量化を図ることができる。このため、入射面15を大きくすることが可能となり、信号光に対して光軸を合わせ易いという効果を有する。
【0022】
なお、本実施形態において、受光素子14の出力が最大になるように調整したが、屋内無線LANのような短距離の通信用途においては、受信光が強いので、あらかじめ閾値出力を設けておき、閾値出力以上となるように調整を行っても良い。
また、傾斜面17は、傾斜角度θ1を45°としたが、この傾斜角度θ1に限るものではなく、背面16において全反射が生じる角度であれば良い。
【0023】
次に、本発明の第2実施形態に係る光アンテナについて図面を参照して説明する。なお、以下の説明する各実施形態において、上記第1実施形態と同一構成要素については同一符号を用いてその説明は省略する。
本実施形態に係る光アンテナ30は、図3に示すように、導光板11と同様の形状の導光板31,ファイバテーパ32を用いる点及び集光手段にレンズ33を備える点において第1実施形態に係る光アンテナ10と相違している。
【0024】
前記導光板31は、導光板11と同様に射出面34にファイバテーパ32が接合されている。そして、導光板31は、導光板11の背面16を透過した光の多くが導光板31の傾斜面35に入射するように配されている。
前記レンズ33は、ファイバテーパ19,32の像面20,36に対して同じ距離及び像面20,36が焦点位置となるように配されている。これにより、像面20,36から射出された光に対して、後側焦点距離に瞳像37を形成するようになっている。
前記結像レンズ21は、瞳像37を縮小させ、受光素子14に結像させるためのものである。
【0025】
このように構成された本実施形態に係る光アンテナ30の作用について、以下に説明する。
本実施形態に係る光アンテナ30を用いて外部から送信された信号光を受信するには、傾斜面15から入射した信号光は、第1実施形態と同様に導光板11の内部において、全反射を繰り返しながら、射出面12まで伝播する。
ここで、他の傾斜面18から入射した信号光は、導光板11の背面16に臨界角よりも小さい角度θ2で入射するため、全反射は起こらずに透過する。背面16から透過した光は、導光板31の傾斜面35から入射し、導光板31の内部において全反射を繰り返して射出面34まで伝播する。
【0026】
このようにして、導光板11,31により射出面12,34まで伝播した信号光は、ファイバテーパ19,32を通過することによって縮小像を形成する。これらの像は、レンズ33によって重ね合わされて瞳像37を形成する。この瞳像37は、結像レンズ21によってさらに縮小され受光素子14に結像される。
【0027】
すなわち、本実施形態における光アンテナ30は、導光板11,31において伝播された信号光が両方とも受光素子14に集光することになる。これにより、導光板11の背面16から漏れた信号光の大部分を導光板31により射出面36まで伝播させ受光素子14に導いているので、信号光の損失を抑えることが可能となる。
【0028】
次に、本発明の第3実施形態に係る光アンテナについて図面を参照して説明する。
本実施形態に係る光アンテナ40は、図4に示すように、導光板41の入射面42にV溝(凹部)43が形成されている点及びレンズアレイ(集光レンズ)44が備えられている点において第1実施形態に係る光アンテナ10と相違する。
【0029】
前記V溝43は、入射面42に第1の傾斜面45及び第2の傾斜面46を有している。第1の傾斜面45は、入射した光を射出方向に反射させるように反射コーティングを施されている。
前記レンズアレイ44は、入射面42に向かって入射した光が第1の傾斜面45に集光するように、V溝43側に配されている。
【0030】
このように構成された本実施形態に係る光アンテナ40の作用について、以下に説明する。
本実施形態に係る光アンテナ40を用いて外部から送信された信号光を受信するには、レンズアレイ44に信号光が略垂直に入射するように、回転軸23及び回転軸24を回動させて、光アンテナ40の向きを調整する。これにより、レンズアレイ44に入射した信号光は、V溝43の第1の傾斜面45に集光する。第1の傾斜面45には反射コーティングが施されているので、第1の傾斜面45に集光した信号光は、射出方向に向かって反射し、導光板41の内部を伝播して射出面12まで向かう。そして、射出面12に到達した光は、第1実施形態と同様にして受光素子14により検出される。
【0031】
すなわち、本実施形態における光アンテナ40は、入射面42に向かって入射した信号光をレンズアレイ44により、V溝43の第1の傾斜面45に集光させることができる。このため、入射した信号光の大部分を導光板41の内部において全反射させ射出面12まで伝播させることが可能となる。したがって、受光素子14による受信効率が高いため、長距離の光空間伝送通信システムに好適である。
【0032】
次に、本発明の第4実施形態に係る光アンテナについて図面を参照して説明する。
本実施形態に係る光アンテナ50は、図5に示すように、集光手段がシリンドリカルな集光レンズ51及びレンズ52を備える点において第1実施形態に係る光アンテナ10と相違する。
【0033】
前記集光レンズ51は、入射面53側を平面とし、射出面54側のXZ断面がZ軸方向に凸面を向けたシリンドリカルレンズ面になっており、この集光レンズ51の入射面53は、導光板11の射出面12に接合されて配されている。さらに、射出面12に接している面と射出面54以外の外側部分は反射コーティングを施されている。これらにより、集光レンズ51の入射面53から入射した信号光がレンズ52方向以外、集光レンズ51の外部に漏れないようになっている。
前記レンズ52は、集光レンズ51に対向して配されており、YZ断面がZ軸の負方向に凸面を向けたシリンドリカルレンズ面になっている。
【0034】
このように構成された本実施形態に係る光アンテナ50の作用について、以下に説明する。
本実施形態に係る光アンテナ50を用いて外部から送信された信号光を受信するには、傾斜面17から入射した光は、第1実施形態と同様に導光板11の内部において、全反射を繰り返しながら、射出面12まで伝播する。
射出面12まで到達した信号光は、集光レンズ51の入射面53から入射され、内部において反射され集光レンズ51の射出面54に伝播する。射出面54のXZ断面が凸面形状になっているので、射出面54に伝播した信号光はXZ平面内に集光するように屈折してレンズ52に向かう。さらに、レンズ52を通過した信号光は、YZ平面内に集光するように屈折し、受光素子14により検出される。
【0035】
すなわち、本実施形態における光アンテナ50は、射出面12からの信号光を受光素子14に集光する集光手段として、シリンドリカルな集光レンズ51及びレンズ52を用いている。これにより、集光レンズ51及びレンズ52は、光学プラスチックの射出成型で製造することができるため、大量生産が可能となり、安価な光アンテナ50を構成できるという効果を有する。
【0036】
なお、本実施形態において、導光板11の射出面12と集光レンズ51の入射面53とを接合させて使用したが、射出成型にて製造することにより、あらかじめ接合された状態で製作することも可能となる。さらに、集光レンズ51の射出面54をX軸方向及びY軸方向の曲率が異なる自由曲面に形成することにより、レンズ52を用いず受光素子14に信号光を集光させることも可能となる。この場合、射出成型により製造する光学部品は、導光板11,集光レンズ51及びレンズ52を一体とした導光板となる。これにより、簡易に製造することができるため、大量生産が可能となる。
【0037】
次に、本発明の第5実施形態に係る光アンテナについて図面を参照して説明する。
本実施形態に係る光アンテナ60は、図6に示すように、導光板61の形状,射出面62が凸面に形成されている点及びファイバテーパ32に代えて円錐状のミラー63である点において第3実施形態に係る光アンテナ40と相違する。
【0038】
前記導光板61は、図6(a)に示すように、射出面62に向かって漸次幅寸法が小さくなる扇形に形成された導光板64を複数張り合わせて構成されている。この導光板64の幅方向の両端に配されている側面65は、反射コーティングを施された鏡面となっており、鏡面加工がされている。これにより、導光板64内を伝播する信号光が側面65から隣接する導光板66の内部に拡散するのを防いでいる。また、導光板61の第1の傾斜面45及び第2の傾斜面46が同心円状の弧を描くパターンに形成されている。
前記射出面62は、凸面に形成されているため、射出面62から射出される光を、導光板61の厚み方向に拡散しないように集光させるものである。
前記円錐状ミラー63は、射出面62に対向して配されており、射出面62から射出された光を円錐状ミラー63の側面において頂点側に反射させるものである。また、円錐状ミラー63の頂点側には、結像レンズ21が配されているため、円錐状ミラー63において反射された光を結像レンズ21により、受光素子14に結像させるようになっている。
【0039】
このように構成された本実施形態に係る光アンテナ60の作用について、以下に説明する。
本実施形態に係る光アンテナ60を用いて外部から送信された信号光を受信するには、導光板61の入射面15に信号光を入射させる。このとき、第1の傾斜面45が同心円状であること及び各扇形導光板64の側面65が鏡面に加工されていることから、導光板61に入射した信号光は、全反射を繰り返し射出面62に向かって収束しながら伝播する。射出面62に到達した信号光は、射出面62が凸面に形成されているため、厚み方向の拡散が抑えられて射出し、円錐状ミラー63において反射して結像レンズ21の方向に反射される。そして、この信号光は結像レンズ21により結像され受光素子14に検出される。
【0040】
すなわち、本実施形態における光アンテナ60は、あらゆる方位角方向から光が入射した場合においても、入射した光を受光素子14に集光させて検出させることが可能となる。したがって、光の方位が一定でない移動体に用いられる光アンテナに適している。
【0041】
なお、本実施形態において、円錐状ミラー63を用いたが、これに限るものではなく、角錐ミラー等であっても良い。
以上説明した各実施形態に係る光アンテナは、図7に示すように、近隣のビルからの光無線放送の受信や、図8に示すように、屋内光無線LANの受信など様々な光空間伝送通信システムに用いることが可能である。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明に係る光アンテナによれば、外部から送信された信号光を受光する入射面の面積を広くとることができるため、信号光に対して光軸が合わせ易くなり、信号光を容易に受光することができる。また、導光板をアクリル等の材質で製造することができるため、軽量化を図ることができ、また、大量生産することも可能となるため、低コスト化にもつながる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る光アンテナにおいて、(a)は全体構成を示す概略図であり、(b)は導光板の断面図を示す。
【図2】図1の光アンテナを基板に搭載したときの構成を示す概略図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る光アンテナの全体構成を示す概略図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係る光アンテナの全体構成を示す概略図である。
【図5】本発明の第4実施形態に係る光アンテナの全体構成を示す概略図である。
【図6】本発明の第5実施形態に係る光アンテナにおいて、(a)は全体構成を示す概略図であり、(b)は扇形の導光板を示し、(c)は扇形の導光板の断面図を示す。
【図7】本発明の光アンテナを近隣のビルからの光無線放送の受信に用いたときの全体構成図である。
【図8】本発明の光アンテナを屋内光無線LANの受信などの光空間伝送通信システムに用いたときの全体構成図である。
【符号の説明】
10,30,40,50,60 光アンテナ
11,31,41,61,64,66 導光板(導光部材)
12,34,62 射出面
13 集光手段(集光部材)
15,42 入射面
16 背面
17,35 傾斜面
19 ファイバテーパ(テーパ状導光部材)
21 結像レンズ
43 V溝(凹部)
44 レンズアレイ(集光レンズ)
45 第1の傾斜面(傾斜面)
Claims (10)
- 透明な材質からなり厚さ方向の一表面に入射面、厚さ方向に沿う一側面に射出面を備える平板状の導光部材と、該導光部材の前記射出面に対向して配置される集光部材と、該集光部材の集光位置に配置された受光素子とを備え、
前記入射面に、入射した光を導光部材の背面側において全反射させ、前記射出面方向に向かわせる傾斜面が設けられている光アンテナ。 - 前記傾斜面が、前記射出面に向かう方向に間隔を開けて複数配置されている請求項1に記載の光アンテナ。
- 前記傾斜面が、前記導光部材の背面に対して45°傾斜している請求項1または請求項2に記載の光アンテナ。
- 前記入射面に、部分的に窪む凹部が設けられ、前記傾斜面が前記凹部の内面に設けられている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光アンテナ。
- 前記傾斜面に反射コーティングが施されている請求項4に記載の光アンテナ。
- 前記傾斜面が、前記射出面に向かって半径が漸次小さくなる円弧状に形成されている請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の光アンテナ。
- 前記導光部材が、前記射出面に向かって漸次幅寸法が小さくなる扇形に形成され、その幅方向の両端に配される側面に反射コーティングが施されている請求項6に記載の光アンテナ。
- 前記集光部材が、前記射出面に接合されたテーパ状導光部材と、該テーパ状導光部材から発せられた光を受光素子に結像させる結像レンズとを備える請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の光アンテナ。
- 前記集光部材が、前記導光部材の幅方向と厚さ方向とで焦点距離が異なる光学素子からなる請求項8に記載の光アンテナ。
- 前記入射面の前段に、前記傾斜面に光を集光させる集光レンズが配置されている請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の光アンテナ。
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