以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
<1:第1実施形態>
本発明の基板装置に係る第1実施形態について、図1から図4を参照して説明する。
<1−1;基板装置の構成>
先ず、本発明の基板装置の構成について、図1を参照して説明する。図1(a)は、本実施形態に係る基板装置の構成例におけるコンタクトホール付近の断面図であり、図1(b)は、基板装置の上面側から見た平面図である。図1(a)は、図1(b)のB−B’断面図に相当する。
図1(a)及び図1(b)に示すように、基板装置は、基板700上に、下層導電部702と上層導電部710とが、層間絶縁膜704を介して積層形成され、且つ両者間がコンタクトホール706により電気的に接続された積層構造を備えている。
よって、下層導電部702と上層導電部710とを夫々、例えば配線や電子素子の一部をなす導電膜から構成すれば、基板装置における積層構造内に、各種配線や電子素子を作り込むことができる。よって、例えば電気光学装置或いは電気光学パネルやその駆動回路等の各種の電気電子装置を構築できる。
図1(a)及び図1(b)において、コンタクトホール706内には、その側壁に沿って側壁膜708が形成されている。側壁膜708によって、コンタクトホール706内に、該コンタクトホール706の縁における径より小径であり且つ上層導電部710側から該コンタクトホール706の底に向かう小穴712が規定されている。小穴712は、コンタクトホール706の縁において、層間絶縁膜704の表面の高さよりも低い側壁膜708の上端面から下層導電部702までに至る貫通穴となる。この貫通穴の底部の周囲にて下層導電部702に接触するように、側壁膜708は形成されている。これにより、コンタクトホール706の入口付近には、コンタクトホール706単独の場合よりも緩やかな傾斜形状或いは段差形状が、コンタクトホール706及び小穴712によって形成される。
尚、図1(b)中、コンタクトホール708及び小穴712の輪郭を夫々円形状として示してあるが、コンタクトホール708及び小穴712の輪郭は、図1(a)に示す形状に限定されず、例えば矩形、長方形、多角形など、当業者が適宜決め得る設計事項である。
上層導電部710は、層間絶縁膜704上における小穴712外から小穴712内まで連続的に設けられている。図1(a)に示すように、上層導電部710は、前述したような貫通穴として形成された小穴712を介して下層導電部702に接触する。よって、本実施形態によれば、上層導電部710は、該上層導電部710における小穴712の底部に形成された一部分によって、コンタクトホール706内を介して、下層導電部702と相互に電気的に接続されることになる。
尚、側壁膜708を構成する材料膜として導電膜を用いた場合、更に上層導電部710は、該上層導電部710における小穴712を規定する側壁膜708を介して、下層導電部702と相互に電気的に接続されることになる。即ち、側壁膜708に導電性があれば、これによっても、コンタクトホール710内の電気抵抗を低めることができる。
<1−2;基板装置の製造方法>
次に、上述した基板装置の製造プロセスについて、図2乃至図6を参照して説明する。ここに図2乃至図6は、製造プロセスの各工程における基板装置の積層構造を、図1(a)の断面図及び図1(b)の平面図に関して、順を追って示す工程図である(前者は図2〜図6中上方に位置する各図(a)に、後者は図2〜図6中下方に位置する各図(b)に示されている。)。
先ず図2の工程に示すように、同図中に図示しない基板上に、下層導電部702が所定のパターンとして形成される。下層導電部702は、例えばスパッタリング、蒸着等による成膜後にフォトリソグラフィ及びエッチング処理を施すことにより、例えば導電性ポリシリコン膜、金属膜等の導電膜を用いて構成される。
続いて、図3の工程に示すように、下層導電部上702に、例えばスパッタリング、蒸着等によって、酸化シリコン膜、特殊ガラス膜等の層間絶縁膜704が形成される。
その後、図4の工程に示すように、異方位エッチング又は等方性エッチング、或いはドライエッチング又はウエットエッチングなどのエッチングによって、下層導電部702にまで至るコンタクトホール706が開孔される。
その後、図5の工程に示すように、コンタクトホール706内も含めて層間絶縁膜704上に、例えばスパッタリング、蒸着等により、導電性ポリシリコン膜、導電性金属膜、絶縁膜等の材料膜708aが成膜される。材料膜708aは層間絶縁膜704上に、該層間絶縁膜704の上部表面に成膜される。よって、コンタクトホール706内にも材料膜708aが成膜されることになる。
その後、図6の工程に示すように、材料膜708aがエッチバックされる。より具体的には、層間絶縁膜704上に成膜された材料膜708aの表面を、マスクなしでエッチングすることにより後退させ、コンタクトホール706外における層間絶縁膜704上に形成された材料膜708a部分を好ましくは完全に除去する。これにより、コンタクトホール706内に側壁膜708が形成される。側壁膜708は、材料膜708aのエッチバック後、小穴712として下層導電部702に至る貫通穴を規定するように形成される。また、側壁膜708の上端面712Sは、エッチバックにより、層間絶縁膜704の表面よりも低くなるように形成されている。尚、図6の工程では、好ましくは、層間絶縁膜704の表面に垂直な方向に指向性を持たせた異方位エッチングが行われる。例えばドライエッチングなどの異方位エッチングにより、導電膜からなる側壁膜708に対するエッチングを低減しつつ、層間絶縁膜704の一面に形成された材料膜708aや、コンタクトホール706の底面上に形成された材料膜708aを効率的に除去できる。
その後、コンタクトホール706内に側壁膜708が形成された状態にある層間絶縁膜704上に、例えば導電性ポリシリコン膜、金属膜等の導電膜からなる上層導電部710が形成される。上層導電部710は、スパッタリング、蒸着等による導電膜の成膜とフォトリソグラフィ等によるパターニングとによって形成される。これにより、図1に既に示したように、コンタクトホール706の入口付近には、コンタクトホール706単独の場合よりも緩やかな傾斜形状或いは段差形状が、コンタクトホール706及び小穴712によって形成される。従って、上層導電部710を構成する導電膜が、例えばそのスパッタリング等による成膜の際に、コンタクトホール706内でオーバーハング形状やピンチオフ形状となるのを効果的に防止できる。
このように本実施形態によれば、図1に示した基板装置を比較的容易に製造でき、特に、小穴712を規定する側壁膜708を、マスクを必要とすることなくコンタクトホール706内に形成できるので、マスクによる寸法精度や位置精度が落ちることなく且つ簡単な工程により形成できる。よって、コンタクトホール706により接続される、上層又は下層導電部710又は702である配線のピッチを狭めたり、電子素子等の微細化を進める場合に、大変有利となる。
以上の結果、本実施形態によれば、微細化に適していると共に低抵抗化が容易であるコンタクトホール706を有する基板装置を実現できる。
<2:第2実施形態>
本発明の基板装置に係る第2実施形態について、図5乃至図7を参照して説明する。
<2−1;基板装置の構成>
先ず、第2実施形態における基板装置の構成について、図7を参照して説明する。図7(a)は、本実施形態に係る基板装置の構成例におけるコンタクトホール付近の断面図であり、図7(b)は、基板装置の上面側から見た平面図である。図7(a)は、図7(b)のB−B’断面図に相当する。
第2実施形態において、基板装置の構成は、側壁膜の詳細な構成を除いて、第1実施形態における図1に示す基板装置と同様である。尚、図5において、第1実施形態との共通個所には同一符号を付して重複する説明を省略する。
図7(a)及び図7(b)に示すように、側壁膜708は、第1側壁膜708b及び第2側壁膜708cを含む多層膜からなる。第1側壁膜708bは後述する一の材料膜から形成され、第2側壁膜708cは、一の材料膜と同一又は異なる他の材料膜から形成される。尚、第1側壁膜708b及び第2側壁膜708cの形成について詳細は後述する。
小穴712aは、コンタクトホール706の縁において、層間絶縁膜704の表面の高さよりも低い側壁膜708bの上端面から下層導電部702までに至る貫通穴となる。更に小穴712bは、側壁膜708bの上端面の高さよりも更に低い側壁膜708cの上端面から下層導電部702までに至る貫通穴となる。これにより、コンタクトホール706の入口付近には、コンタクトホール706単独の場合よりも緩やかな傾斜形状或いは段差形状が、コンタクトホール706並びに小穴712a及び712bによって形成される。
<2−2;基板装置の製造方法>
次に、上述した基板装置の製造プロセスについて、図8乃至図11を参照して説明する。ここに図8乃至図11は、製造プロセスの各工程における基板装置の積層構造を、図7(a)の断面図及び図7(b)の平面図に関して、順を追って示す工程図である(前者は図8〜図11中上方に位置する各図(a)に、後者は図8〜図11中下方に位置する各図(b)に示されている。)。
第2実施形態において、基板装置の製造方法は側壁膜708の形成を除いて、第1実施形態と同様である。よって、側壁膜708の形成についてのみ以下に説明する。
図8の工程では、第1実施形態における図5の工程と同様の手順により、一の材料膜708bbが成膜される。尚、一の材料膜708bbは第1実施形態における図5の工程で用いられる材料膜708aと同様の材料を用いて構成されるのが好ましい。
その後、図9の工程では、第1実施形態における図6の工程と同様の手順により、コンタクトホール706内に、コンタクトホール706の底に向かう一の小穴712aを規定する第1側壁膜708bが形成される。
続いて、図10の工程では、図8の工程と同様に、一の小穴712a内も含めて層間絶縁膜704上に、他の材料膜708ccが成膜される。
その後、図11の工程では、図9の工程と同様の手順によって、一の小穴712a内にのみ他の材料膜708ccを残存させて、第2側壁膜708cを形成する。一の小穴712a内において、第2側壁膜708cによって、一の小穴712aの底に向かう他の小穴712bが規定される。尚、他の小穴712bは、図1(a)及び図1(b)に示す小穴712と同様の構成となっている。
その後、層間絶縁膜704上に、上層導電部710が形成される。上層導電部710は、層間絶縁膜704上における、第2側壁膜708cにより規定される他の小穴712b外から該小穴712b内まで連続的に設けられるので、上層導電部710は、該上層導電部710における他の小穴712bの底部に形成された一部分によって、コンタクトホール706内を介して、下層導電部702と相互に電気的に接続されることになる。これにより、図7に示した第2実施形態に係る基板装置が得られる。
尚、一の材料膜708bb及び他の材料膜708ccとして導電膜を用いた場合、更に上層導電部710は、該上層導電部710における他の小穴712bの側壁部に形成された部分によっても、第1及び第2側壁膜708b及び708cを介して、下層導電部702と相互に電気的に接続されることになる。
本実施形態では特に、コンタクトホール706の入口付近に、コンタクトホール706単独の場合よりも緩やかな傾斜形状或いは段差形状を、コンタクトホール706並びに一及び他の小穴712a及び712bの組合せにより容易に実現できる。従って、上層導電部710を構成する導電膜が、例えばそのスパッタリング等による成膜の際に、コンタクトホール706内でオーバーハング形状やピンチオフ形状となるのを効果的に防止できる。しかも、上述の如くこのような二つの小穴712a及び712bを規定する第1及び第2側壁膜708b及び708cを夫々、マスクを必要とすることなく形成できるので、マスクによる寸法精度や位置精度が落ちることなく且つ簡単な工程により形成できる。これらより、コンタクトホール706により接続される、上層又は下層導電部710又は702である配線のピッチを狭めたり、電子素子等の微細化を進める場合に、大変有利となる。
以上の結果、第2実施形態によれば、微細化に適していると共に低抵抗化が容易であるコンタクトホール706を有する基板装置を実現できる。
尚、後述する第3実施形態又は第4実施形態と同様の製造方法を更に用いることにより、特に、側壁膜708を構成する多層膜の形成位置や膜厚或いは形状を膜毎に変化させることで、一層緩やかな傾斜形状或いは段差形状を実現することも可能となる。但し、単純に積層され、同一領域に形成される複数の膜を含む多層膜であってもよい。
<3:第3実施形態>
本発明の基板装置に係る第3実施形態について、図12を参照して説明する。
<3−1;基板装置の構成>
先ず、第3実施形態における基板装置の構成について説明する。第3実施形態において、基板装置の構成は、側壁膜及び上層導電部の詳細な構成を除いて、第1実施形態における図1に示す基板装置と同様である。ここに、図12は、第3実施形態における基板装置のコンタクトホール付近での断面図である。図12において、第1実施形態との共通個所には同一符号を付して重複する説明を省略する。
図12において、側壁膜708dによって規定される小穴712cは、下層導電部702までに至る貫通穴とならない点が、図1に示す小穴712の構成と異なっている。そして、側壁膜708dは、小穴712cの底部及びその周辺にて下層導電部702に接触する。第3実施形態では、側壁膜708dを構成する材料膜として導電膜が用いられる。
上層導電部710は、層間絶縁膜704上における小穴712c外から小穴712c内まで連続的に設けられている。そして、小穴712c内に成膜された上層導電部710の一部分、より具体的には小穴712cの側壁部及び底部に形成された部分と、これに接触する小穴712cの底部をも構成する側壁膜708dとにより、上層導電部710と下層導電部702との電気的な接続が得られる。
<3−2;基板装置の製造方法>
次に、上述した基板装置の製造プロセスについて説明する。第3実施形態において、基板装置の製造方法は側壁膜708dの形成を除いて、第1実施形態とほぼ同様である。よって、側壁膜708dの形成についてのみ、図5及び図6を参照して以下に説明する。
図5の工程における材料膜708の成膜と同様の手順により材料膜が成膜され、続いて、図6の工程と概ね同様の手順により、コンタクトホール706内に側壁膜708dが形成される。第3実施形態では、側壁膜708dは、非貫通穴である小穴712cを規定するように形成される。
よって、第3実施形態においても、第1実施形態と同様に、微細化に適していると共に低抵抗化が容易であるコンタクトホール706を有する基板装置を実現することができる。
<4;第4実施形態>
本発明の基板装置に係る第4実施形態について、図13乃至図18を参照して説明する。
<4−1;基板装置の構成>
先ず、第4実施形態における基板装置の構成について、図13を参照して説明する。図13(a)は、本実施形態に係る基板装置の構成例におけるコンタクトホール付近の断面図であり、図13(b)は、基板装置の上面側から見た平面図である。図13(a)は、図13(b)のB−B’断面図に相当する。
第4実施形態において、基板装置の主要な構成は、第1実施形態における図1に示す基板装置と同様である。尚、図13において、第1実施形態との共通個所には同一符号を付して重複する説明を省略する。
図13(a)及び図13(b)に示すように、側壁膜708によって規定される小穴712dは、下層導電部702dにまで至らない貫通穴として形成されている点が、図1に示す小穴712の構成と異なっている。より具体的には、小穴712dは、コンタクトホール上部706a内に、コンタクトホール上部706aの縁における径より小径であり且つコンタクトホール上部706aの底に向かう貫通穴として形成される。そして、側壁膜708は、小穴712dの底部の周囲にて下層導電部702dに接触しないように形成されている。尚、本実施形態に係る下層導電部702dは、図13(a)から分かるように、コンタクトホール上部706aの径とほぼ同様の幅を有する。
また、上層導電部710は、層間絶縁膜704上における小穴712d外からコンタクトホール下部706b内まで連続的に設けられている。ここに、コンタクトホール上部706aと、その内周に側壁膜が形成されていないコンタクトホール下部706bとは、最終的に層間絶縁膜を704貫通する一連のコンタクトホールとされる。そして、上層導電部710は、小穴712d内及びコンタクトホール下部706b内に設けられた部分によって、下層導電部702dとコンタクトホール内を介して相互に電気的に接続されることになる。尚、貫通穴の下側に延びるコンタクトホール下部706bは、側壁膜708が形成されたコンタクトホール上部706aよりも径が小さく、例えば側壁膜708により規定される貫通穴と同じ径であってもよい。
また、側壁膜708を構成する材料膜として導電膜を用いた場合、更に上層導電部710は、該上層導電部710における小穴712d内に形成された部分によっても、側壁膜708を介して、下層導電部702dと相互に電気的に接続されることになる。即ち、側壁膜708に導電性があれば、これによっても、コンタクトホール内の電気抵抗を低めることができる。
<4−2;基板装置の製造方法>
次に、上述した基板装置の製造プロセスについて、図14乃至図17を参照して説明する。ここに図14乃至図17は、製造プロセスの各工程における基板装置の積層構造を、図13(a)の断面図及び図13(b)の平面図に関して、順を追って示す工程図である(前者は図14〜図17中上方に位置する各図(a)に、後者は図14〜図17中下方に位置する各図(b)に示されている。)。
第4実施形態において、基板装置の製造方法は第1実施形態と同様の工程を含む。よって、第1実施形態と異なる工程についてのみ以下に説明する。
図14の工程では、層間絶縁膜704に、第1実施形態の場合と異なり(図4参照)、下層導電部702dにまで至らないコンタクトホール上部706aが、エッチングにより開孔される。尚、コンタクトホール上部706aは、予めパターニングされた下層導電部702dの幅とほぼ同様の径を有するように開孔される。
続いて、図15の工程では、コンタクトホール上部706a内も含めて層間絶縁膜704上に、例えばスパッタリング、蒸着等により、導電性ポリシリコン膜、導電性金属膜、絶縁膜等の材料膜708aが成膜される。
続いて、図16の工程では、第1実施形態における図6の工程と同様の手順により、材料膜708aがエッチバックされる。よって、図16の工程では、何らのマスクを用いることもなく、コンタクトホール上部706a内にのみ材料膜を残すことが可能となる。これにより、コンタクトホール上部内に側壁膜708が形成される。側壁膜708は、材料膜708aのエッチバック後、小穴712dとしてコンタクトホール上部706aの底に至る貫通穴を規定するように形成される。このように、小穴712dを貫通穴として形成すれば、その底に露出した層間絶縁膜704を、次のエッチング工程により掘り進めることが容易となる。但し小穴712dが非貫通穴であっても、その底部を含めて次のエッチング工程により掘り進めることも可能である。
また、下層導電部702d及び側壁膜708の膜種が、エッチバックするのにエッチレート差が無い場合に有効な手段である。上述したような第1又は第2実施形態では、エッチバックをする際に下層導電部702dも一緒に削ってしまい、最悪の場合、下層導電部702dを失ってしまう可能性がある。さらに、第4実施形態では、エッチバック時に下地を層間絶縁膜704とすることでエッチバック時に下地導電膜702dを余分に削らないという利点も得られる。
その後、図17の工程では、ドライエッチング等で、小穴712d内を含む層間絶縁膜704の一面をエッチングすることで、層間絶縁膜704に、小穴712dの底から下層導電部702まで至るコンタクトホール下部706bが開孔される。コンタクトホール下部706bは、側壁膜708がエッチングの際のマスクとして機能するので、コンタクトホール上部706aより小径であり、且つ小穴712dとほぼ同径となる。
更に本実施形態では好ましくは、図16(a)及び図17(a)に示したように、側壁膜708の上端面と層間絶縁膜704の表面との高さ差Δd1と、側壁膜708の下端面と下層導電部702dの表面との高さ差Δd2とをほぼ同様にするように、図16の工程におけるエッチングを停止しておく。すると、図17の工程におけるエッチングによって、コンタクトホール下部706bが下層導電部702dに至るとほぼ同時に、側壁膜708の上端面と層間絶縁膜704の表面との高さを揃えることが可能となる。また、側壁膜708の下端面と下層導電部702dの表面との高さ差Δd2を上述のような値とすることにより、エッチングの際に下層導電部702を保護することが可能となる。
このように小穴712dの底側に位置する層間絶縁膜704の一部分にコンタクトホール下部706bを開孔する際には特に、側壁膜708がマスクとなってエッチングできるという大きな利益が得られる。即ち、側壁膜708がマスクとなって、側壁膜708により規定される小穴712dとほぼ同径のコンタクトホール下部706bを、小穴712dの底から下層導電部702まで至るように開孔できる。
尚、この方法では、特に、側壁膜708を形成するエッチバックの際、非貫通穴の底部である層間絶縁膜706bによって下層導電部702をエッチバックから守ることが出来る。
その後、第1実施形態と同様の手順により、層間絶縁膜704上に上層導電部710が形成される。
以上により、図14に示した第4実施形態の基板装置が得られる。
第4実施形態では特に、下層導電部702dとコンタクトホール706との間におけるアラインメントずれに対するマージンを大きくでき、しかも、上導電部710とコンタクトホール706との間におけるアラインメントずれに対するマージンを大きくできるという大きな利点がある。この利点について、次に図18を参照して説明する。ここに図18(a)は、便宜上、上層導電部710の幅を狭くすると共に下層導電部702dに対してコンタクトホール706がアラインメントずれを起こした場合における、本実施形態に係る基板装置の構成例におけるコンタクトホール付近の断面図であり、図18(b)は、この場合における基板装置の上面側から見た平面図である。図18(a)は、図18(b)のB−B’断面図に相当する。
図18(a)及び図18(b)に示すように、コンタクトホール上部706aの入り口における径よりも、コンタクトホール下部706bにおける下層導電部702dと接触する領域の径を、側壁膜708の厚みdに応じて小さくできる。即ち、下層導電部702dに対して、コンタクトホール706aを開孔する際のアラインメントずれがΔSだけ生じても、これを側壁膜708の厚みdにより吸収できる。言い換えれば、アラインメントずれΔSが側壁膜708の厚みdより小さい限り、コンタクトホール706による電気的導通が良好に得られると共に、下層導電部702dの脇をエッチングが抜けて、その下層側に位置する不図示の他の配線や電極或いは電子素子等に対して悪影響を及ぼすことを効果的に回避できる。
しかも、図18(b)に示したように、側壁膜708を導電膜から形成することで、上層導電部710の幅をコンタクトホール上部706aの径と比べて細めても、上層導電部710のコンタクトホール706を介しての電気的導通を良好に得られる。或いは、コンタクトホール706に対して上層導電部710がアラインメントずれしても、側壁膜708の厚みdより小さければ、コンタクトホール706による電気的導通が良好に得られると共に、上層導電部710の脇を抜けて、コンタクトホール706内にエッチングが進行する事態についても未然防止可能となる。これらにより、配線ピッチや電子素子ピッチを微細化するのに大変有利となる。
以上の結果、第4実施形態によれば、微細化に適していると共に低抵抗化が容易であるコンタクトホールを有する基板装置を実現することができる。
<5;基板装置及びその製造方法の変形形態>
次に以上説明した第1から第4実施形態における基板装置の変形形態及びそれらの製造方法についての変形形態について説明する。
先ず、図19を参照して基板装置の変形形態について説明する。ここに、図219は、変形形態における基板装置のコンタクトホール付近での断面図である。図19において、第1実施形態との共通個所には同一符号を付して重複する説明を省略する。尚、本変形形態が第2から第4実施形態いずれかに適用される場合についても、第1実施形態と同様である。
図19において、小穴712の縁にはテーパが形成されている。よって、コンタクトホール706の入口付近に、一層緩やかな傾斜形状或いは段差形状を、テーパを有する小穴により容易に実現できる。このようなテーパを有する小穴712は、例えば、ウエットエッチングにより若しくはこれとドライエッチングとの組合せにより、比較的容易に形成できる。
更に基板装置の他の変形形態として、側壁膜708は遮光性に優れた材料から構成されてもよい。このように構成すれば、遮光性に優れた側壁膜708を、コンタクトホール706内に形成できるので、当該基板装置におけるコンタクトホール706付近における遮光性能或いは耐光性能を顕著に向上させられる。従って、例えば光リーク電流の発生により性能が劣化するTFT等の半導体素子が、下層導電部702の延在先に接続されている場合や、下層導電部702の更に下層側や近辺に配置されている場合に、非常に有益である。
尚、このような遮光性に優れた側壁膜の材料としては、窒化チタン、タングステン等の光吸収能力が高い材料や、光透過率が低い材料が挙げられる。また、光反射率が高い材料として例えばアルミニウム等を用いれば、反射により遮光が可能である。他方、遮光性に優れると共に光反射率が低い材料であれば、コンタクトホール付近における乱反射を防ぐことも可能となる。
更に基板装置の製造方法の変形形態として、図6の工程の前又は後に、CMP(化学的機械研磨)処理を層間絶縁膜704の一面に対して施す工程が行われても良い。図6の工程の前にCMP処理を施すことにより、コンタクトホール706内に成膜された側壁膜708となる材料膜708a部分を殆ど薄くすること無く、層間絶縁膜704の一面に形成された材料膜708a部分を、ある程度、殆ど又はほぼ完全に除去できる。そして、後の図6の工程では、層間絶縁膜704の一面に形成された材料膜708a部分を容易に完全除去できると共に、それまでのエッチング量を著しく少なくできる。このため、エッチング後にコンタクトホール706内に残される材料膜708aである側壁膜708の厚みを十分厚く或いは所望の膜厚に確保できる。また、図6の工程の後に、CMP処理を施すことにより、層間絶縁膜704の平坦化を図ることができると共に、層間絶縁膜704の一面に形成された材料膜708a部分の除去を、より完璧に行える。更に、コンタクトホール706の縁の高さと、コンタクトホール708内に形成された側壁膜708により規定される小穴712の縁の高さとを同じにすることも可能となる。
更にまた、基板装置の製造方法の他の変形形態として、図5の工程において、材料膜708aとしてポリシリコン膜を成膜すると共に、その後、上層導電部710として、側壁膜708たるポリシリコン膜よりもドープ量が多いポリシリコン膜から構成される導電膜を形成するようにしてもよい。このように材料膜708a及び上層導電部710を形成すれば、コンタクトホール706内には、その外周寄りに側壁膜708たるドープ量が相対的に少ないポリシリコン膜が存在し、その中央寄りに小穴内に配置された上層導電部710を構成する導電膜部分である、例えばリン等のドープ量が相対的に多いポリシリコン膜が存在する。ここで、通常は、下層導電部702は、図1には図示しない基板面に沿って、コンタクトホール706の開孔位置からいずれかの方向に延在する。上述したように材料膜708a及び上層導電部710を形成すると、側壁膜708の膜厚の分だけ、下層導電部702の延在先にドーパントが拡散する可能性或いは該下層導電部702の延在先に至るドーパントの拡散量を低減できる。従って、下層導電部702の延在先として、ドーパントの拡散が悪影響を及ぼすような半導体層、例えばTFTのチャネル領域やLDD(Lightly Doped Drain)型のTFTのLDD領域などが存在する場合に、これに対して、上側導電部710を構成するドープ量が多いポリシリコン膜から、製造工程中の高温化における熱拡散によりドーパントが伝わることを、側壁膜708の存在により低減できる。逆に、ドープ量を増大させることで、例えば配線、電極等として機能する上層導電部710の電気抵抗を低めることが可能となる。
<6;第6実施形態>
次に、第6実施形態として、本発明に係る基板装置を含んでなる、本発明の電気光学装置に係る実施形態を、図20から図25を参照して説明する。尚、以下の実施形態は、本発明の電気光学装置を、駆動回路内臓型のTFTアクティブマトリクス駆動形式の液晶装置に適用したものである。
<6−1;電気光学装置の全体構成>
先ず図20及び図21を参照して電気光学装置の全体構成について説明する。ここに、図20は、TFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た電気光学装置の平面図であり、図21は、図20のH−H’断面図である。
図20及び図21において、第6実施形態に係る電気光学装置では、TFTアレイ基板10と対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。また、シール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔(基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材が散布されている。あるいは、当該液晶装置が液晶ディスプレイや液晶テレビのように大型で等倍表示を行う液晶装置であれば、このようなギャップ材は、液晶層50中に含まれてよい。
シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。但し、このような額縁遮光膜53の一部又は全部は、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設けられてもよい。
シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。また、走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺に沿い、且つ、前記額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。更に、このように画像表示領域10aの両側に設けられた二つの走査線駆動回路104間をつなぐため、TFTアレイ基板10の残る一辺に沿い、且つ、前記額縁遮光膜53に覆われるようにして複数の配線105が設けられている。
また、対向基板20の4つのコーナー部には、両基板間の上下導通端子として機能する上下導通材106が配置されている。他方、TFTアレイ基板10にはこれらのコーナー部に対向する領域において上下導通端子が設けられている。これらにより、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。
図21において、TFTアレイ基板10上には、画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線が形成された後の画素電極9a上に、配向膜が形成されている。他方、対向基板20上には、対向電極21の他、格子状又はストライプ状の遮光膜23、更には最上層部分に配向膜が形成されている。また、液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。
なお、図20及び図21に示したTFTアレイ基板10上には、これらのデータ線駆動回路101、走査線駆動回路104等に加えて、画像信号線上の画像信号をサンプリングしてデータ線に供給するサンプリング回路、複数のデータ線に所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路、製造途中や出荷時の当該電気光学装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路等を形成してもよい。
<6−2;画素部における構成>
以下では、本発明の第6実施形態における電気光学装置の画素部における構成について、図22から図25を参照して説明する。ここに図22は、電気光学装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路であり、図23は、データ線、走査線、画素電極等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の平面図であり、図24は、図23のうち特に走査線、TFT、及び該TFTに対して形成されるコンタクトホールの配置関係を示すためこれらの要素を抜き出して描いた平面図である。図25は、図23のA−A´断面図である。なお、図25においては、各層・各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、該各層・各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。
<6−2−1;画素部の回路構成>
図22において、第6実施形態における電気光学装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素には、それぞれ、画素電極9aと当該画素電極9aをスイッチング制御するためのTFT30とが形成されており、画像信号が供給されるデータ線6aが当該TFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給しても構わないし、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。
また、TFT30のゲートにゲート電極3aが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線11a及びゲート電極3aにパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmを、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9aは、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込む。
画素電極9aを介して電気光学物質の一例としての液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、対向基板に形成された対向電極との間で一定期間保持される。液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能とする。ノーマリーホワイトモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として電気光学装置からは画像信号に応じたコントラストをもつ光が出射する。
ここで保持された画像信号がリークするのを防ぐために、画素電極9aと対向電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70を付加する。この蓄積容量70は、走査線11aに並んで設けられ、固定電位側容量電極を含むとともに定電位に固定された容量電極300を含んでいる。
<6−2−2;画素部の具体的構成>
以下では、上記データ線6a、走査線11a及びゲート電極3a、TFT30等による、上述のような回路動作が実現される電気光学装置の、具体的の構成について、図23乃至図25を参照して説明する。
まず、図23において、画素電極9aは、TFTアレイ基板10上に、マトリクス状に複数設けられており、画素電極9aの縦横の境界に各々沿ってデータ線6a及び走査線11aが設けられている。データ線6aは、後述するようにアルミニウム膜等を含む積層構造からなり、走査線11aは、例えば導電性のポリシリコン膜等からなる。また、走査線11aは、半導体層1aのうち図中右上がりの斜線領域で示したチャネル領域1a´に対向するゲート電極3aにコンタクトホール12cvを介して電気的に接続されており、該ゲート電極3aは該走査線11aに含まれる形となっている。すなわち、ゲート電極3aとデータ線6aとの交差する箇所にはそれぞれ、チャネル領域1a´に、走査線11aに含まれるゲート電極3aが対向配置された画素スイッチング用のTFT30が設けられている。これによりTFT30(ゲート電極を除く。)は、ゲート電極3aと走査線11aとの間に存在するような形態となっている。
次に、電気光学装置は、図25に示すように、例えば、石英基板、ガラス基板、シリコン基板からなるTFTアレイ基板10と、これに対向配置される、例えばガラス基板や石英基板からなる対向基板20とを備えている。
TFTアレイ基板10の側には、図25に示すように、前記の画素電極9aが設けられており、その上側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜16が設けられている。画素電極9aは、例えばITO膜等の透明導電性膜からなる。他方、対向基板20の側には、その全面に渡って対向電極21が設けられており、その下側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜22が設けられている。対向電極21は、上述の画素電極9aと同様に、例えばITO膜等の透明導電性膜からなる。
このように対向配置されたTFTアレイ基板10及び対向基板20間には、前述のシール材52(図20及び図21参照)により囲まれた空間に液晶等の電気光学物質が封入され、液晶層50が形成される。液晶層50は、画素電極9aからの電界が印加されていない状態で配向膜16及び22により所定の配向状態をとる。
一方、TFTアレイ基板10上には、前記の画素電極9a及び配向膜16の他、これらを含む各種の構成が積層構造をなして備えられている。この積層構造は、図25に示すように、下から順に、走査線11aを含む第1層、ゲート電極3aを含むTFT30等を含む第2層、蓄積容量70を含む第3層、データ線6a等を含む第4層、容量配線400等を含む第5層、前記の画素電極9a及び配向膜16等を含む第6層(最上層)からなる。また、第1層及び第2層間には下地絶縁膜12が、第2層及び第3層間には第1層間絶縁膜41が、第3層及び第4間には第2層間絶縁膜42が、第4層及び第5層間には第3層間絶縁膜43が、第5層及び第6層間には第4層間絶縁膜44が、それぞれ設けられており、前述の各要素間が短絡することを防止している。また、これら各種の絶縁膜12、41、42、43及び44には、例えば、TFT30の半導体層1a中の高濃度ソース領域1dとデータ線6aとを電気的に接続するコンタクトホール等もまた設けられている。以下では、これらの各要素について、下から順に説明を行う。
(積層構造・第1層の構成―走査線等―)
まず、第1層には、例えば、Ti、Cr、W、Ta、Mo等の高融点金属のうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したもの、或いは導電性ポリシリコン等からなる走査線11aが設けられている。該走査線11aは下側遮光膜としても機能する。
図23及び図24において、走査線11aは、平面的にみて、同図中のX方向に沿うように、ストライプ状にパターニングされている。より具体的には、図23及び図24において、ストライプ状の走査線11aは、同図中のX方向に沿うように延びる本線部と、データ線6a或いは容量配線400が延在する同図中のY方向に延びる突出部とを備えている。なお、図24に示すように、隣接する走査線11aから延びる突出部は相互に接続されることはなく、したがって、該走査線11aは1本1本分断された形となっている。
(積層構造・第2層の構成―TFT等―)
次に、第2層として、ゲート電極3aを含むTFT30が設けられている。TFT30は、図25に示すように、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有しており、その構成要素としては、上述したゲート電極3a、例えばポリシリコン膜からなりゲート電極3aからの電界によりチャネルが形成される半導体層1aのチャネル領域1a´、ゲート電極3aと半導体層1aとを絶縁するゲート絶縁膜を含む絶縁膜2、半導体層1aにおける低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1c並びに高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1eを備えている。
また、第6実施形態では、この第2層に、上述のゲート電極3aと同一膜として中継電極719が形成されている。この中継電極719は、平面的に見て、図23及び図24に示すように、各画素電極9aのX方向に延びる一辺の略中央に位置するように、島状に形成されている。中継電極719とゲート電極3aとは同一膜として形成されているから、後者が例えば導電性ポリシリコン膜等からなる場合においては、前者もまた、導電性ポリシリコン膜等からなる。
なお、上述のTFT30は、好ましくは図25に示したようにLDD構造をもつが、低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cに不純物の打ち込みを行わないオフセット構造をもってよいし、ゲート電極3aをマスクとして高濃度で不純物を打ち込み、自己整合的に高濃度ソース領域及び高濃度ドレイン領域を形成するセルフアライン型のTFTであってもよい。
(積層構造・第1層及び第2層間の構成―下地絶縁膜―)
以上説明した走査線11aの上、かつ、TFT30の下には、例えばシリコン酸化膜等からなる下地絶縁膜12が設けられている。下地絶縁膜12は、走査線11aからTFT30を層間絶縁する機能のほか、TFTアレイ基板10の全面に形成されることにより、TFTアレイ基板10の表面研磨時における荒れや、洗浄後に残る汚れ等で画素スイッチング用のTFT30の特性変化を防止する機能を有する。
この下地絶縁膜12には、平面的にみて半導体層1aの両脇に、後述するデータ線6aに沿って延びる半導体層1aのチャネル長の方向に沿った溝状のコンタクトホール12cvが掘られており、このコンタクトホール12cvに対応して、その上方に積層されるゲート電極3aは下側に凹状に形成された部分を含んでいる。また、このコンタクトホール12cv全体を埋めるようにして、ゲート電極3aが形成されていることにより、該ゲート電極3aには、これと一体的に形成された側壁部3bが延設されるようになっている。これにより、TFT30の半導体層1aは、図24によく示されているように、平面的にみて側方から覆われるようになっており、少なくともこの部分からの光の入射が抑制されるようになっている。
また、この側壁部3bは、前記のコンタクトホール12cvを埋めるように形成されているとともに、その下端が前記の走査線11aと接するようにされている。ここで走査線11aは、上述のようにストライプ状に形成されていることから、ある行に存在するゲート電極3a及び走査線11aは、当該行に着目する限り、常に同電位となる。
(積層構造・第3層の構成―蓄積容量等―)
さて、前述の第2層に続けて第3層には、蓄積容量70が設けられている。蓄積容量70は、TFT30の高濃度ドレイン領域1e及び画素電極9aに接続された画素電位側容量電極としての下部電極71と、固定電位側容量電極としての容量電極300とが、誘電体膜75を介して対向配置されることにより形成されている。この蓄積容量70によれば、画素電極9aにおける電位保持特性を顕著に高めることが可能となる。また、第6実施形態に係る蓄積容量70は、図23及び図24の平面図を見るとわかるように、画素電極9aの形成領域にほぼ対応する光透過領域には至らないように形成されているため(換言すれば、遮光領域内に収まるように形成されているため)、電気光学装置全体の画素開口率は比較的大きく維持され、これにより、より明るい画像を表示することが可能となる。
より詳細には、下部電極71は、例えば導電性のポリシリコン膜からなり画素電位側容量電極として機能する。ただし、下部電極71は、金属又は合金を含む単一層膜又は多層膜から構成してもよい。また、この下部電極71は、画素電位側容量電極としての機能のほか、画素電極9aとTFT30の高濃度ドレイン領域1eとを中継接続する機能をもつ。ちなみに、ここにいう中継接続は、前記の中継電極719を介して行われている。
容量電極300は、蓄積容量70の固定電位側容量電極として機能する。第6実施形態において、容量電極300を固定電位とするためには、固定電位とされた容量配線400(後述する。)と電気的接続が図られることによりなされている。また、容量電極300は、Ti、Cr、W、Ta、Mo等の高融点金属のうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したもの、或いは好ましくはタングステンシリサイドからなる。これにより、容量電極300は、TFT30に上側から入射しようとする光を遮る機能を有している。
誘電体膜75は、図25に示すように、例えば膜厚5〜200nm程度の比較的薄いHTO(High Temperature Oxide)膜、LTO(Low Temperature Oxide)膜等の酸化シリコン膜、あるいは窒化シリコン膜等から構成される。
第6実施形態において、この誘電体膜75は、図25に示すように、下層に酸化シリコン膜75a、上層に窒化シリコン膜75bというように二層構造を有するものとなっている。上層の窒化シリコン膜75bは画素電位側容量電極の下部電極71より少し大きなサイズにパターニングされ、遮光領域(非開口領域)内で収まるように形成されている。
なお、第6実施形態では、誘電体膜75は、二層構造を有するものとなっているが、場合によっては、例えば酸化シリコン膜、窒化シリコン膜及び酸化シリコン膜等というような三層構造や、あるいはそれ以上の積層構造を有するように構成してもよい。むろん単層構造としてもよい。
(積層構造、第2層及び第3層間の構成―第1層間絶縁膜―)
以上説明したTFT30ないしゲート電極3a及び中継電極719の上、かつ、蓄積容量70の下には、例えば、NSG(ノンシリケートガラス)、PSG(リンシリケートガラス)、BSG(ボロンシリケートガラス)、BPSG(ボロンリンシリケートガラス)等のシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等、あるいは好ましくはNSGからなる第1層間絶縁膜41が形成されている。
そして、この第1層間絶縁膜41には、TFT30の高濃度ソース領域1dと後述するデータ線6aとを電気的に接続するコンタクトホール81が、後記第2層間絶縁膜42を貫通しつつ開孔されている。また、第1層間絶縁膜41には、TFT30の高濃度ドレイン領域1eと蓄積容量70を構成する下部電極71とを電気的に接続するコンタクトホール83が開孔されている。さらに、この第1層間絶縁膜41には、蓄積容量70を構成する画素電位側容量電極としての下部電極71と中継電極719とを電気的に接続するためのコンタクトホール881が開孔されている。更に加えて、第1層間絶縁膜41には、中継電極719と後述する第2中継電極6a2とを電気的に接続するためのコンタクトホール882が、後記第2層間絶縁膜を貫通しつつ開孔されている。
本実施形態では特に図25において、コンタクトホール83内には、その側壁に沿って側壁膜85が形成されている。即ち、コンタクトホール83は、図1に示したコンタクトホール706と同様に構成されている。蓄積容量70における下部電極71は、側壁膜85によって規定される小穴84外から小穴84内まで連続的に設けられている。そして、下部電極71は、該下部電極71における小穴84の底部に形成された一部分によって、コンタクトホール83内を介して、半導体層1aにおける高濃度ドレイン領域1eと相互に電気的に接続されることになる。尚、側壁膜85を構成する材料膜として導電膜を用いた場合、更に下部電極71は、該下部電極71における小穴84の側壁部に形成された部分によっても、側壁膜85を介して、高濃度ドレイン領域1eと相互に電気的に接続されることになる。
また、好ましくは、側壁膜85はポリシリコン膜として形成されており、下部電極71は側壁膜85たるポリシリコン膜よりもドープ量が多いポリシリコン膜から構成される。
このように構成すれば、TFT30のチャネル領域1a’や低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1c並びに高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1eなどに対して、下部電極71を構成するポリシリコン膜から、製造工程中の高温化における熱拡散により、例えばリン等のドーパントが伝わることを、ドープ量の少ない側壁膜85の存在により低減できる。逆に、ドープ量を増大させることで、下部電極71の電気抵抗を低めることが可能となる。
更に、図24に示すように、下側遮光膜としても機能する走査線11aは、TFT30、半導体層1a、及びコンタクトホール83を覆うように形成されている。また、側壁膜85をポリシリコン膜として形成すれば遮光性が確保される。よって、コンタクトホール83付近における光漏れ或いは遮光性能の低下が効果的に防止されている。従って、TFT30における光リーク電流の発生を防止することが可能となる。
よって、当該電気光学装置では、高品位の画層表示を行うことが可能となる。
(積層構造・第4層の構成―データ線等―)
さて、前述の第3層に続けて第4層には、データ線6aが設けられている。このデータ線6aは、図25に示すように、下層より順に、アルミニウムからなる層(図25における符号41A参照)、窒化チタンからなる層(図25における符号41TN参照)、窒化シリコン膜からなる層(図25における符号401参照)の三層構造を有する膜として形成されている。窒化シリコン膜は、その下層のアルミニウム層と窒化チタン層を覆うように少し大きなサイズにパターニングされている
また、この第4層には、データ線6aと同一膜として、容量配線用中継層6a1及び第2中継電極6a2が形成されている。これらは、図23に示すように、平面的に見ると、データ線6aと連続した平面形状を有するように形成されているのではなく、各者間はパターニング上分断されるように形成されている。
ちなみに、これら容量配線用中継層6a1及び第2中継電極6a2は、データ線6aと同一膜として形成されていることから、下層より順に、アルミニウムからなる層、窒化チタンからなる層、プラズマ窒化膜からなる層の三層構造を有する。
(積層構造・第3層及び第4層間の構成―第2層間絶縁膜―)
以上説明した蓄積容量70の上、かつ、データ線6aの下には、例えばNSG、PSG,BSG、BPSG等のシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等、あるいは好ましくはTEOSガスを用いたプラズマCVD法によって形成された第2層間絶縁膜42が形成されている。この第2層間絶縁膜42には、TFT30の高濃度ソース領域1dとデータ線6aとを電気的に接続する、前記のコンタクトホール81が開孔されているとともに、前記容量配線用中継層6a1と蓄積容量70の上部電極たる容量電極300とを電気的に接続するコンタクトホール801が開孔されている。さらに、第2層間絶縁膜42には、第2中継電極6a2と中継電極719とを電気的に接続するための、前記のコンタクトホール882が形成されている。
(積層構造・第5層の構成―容量配線等―)
さて、前述の第4層に続けて第5層には、容量配線400が形成されている。この容量配線400は、平面的にみると、図23に示すように、図中X方向及びY方向それぞれに延在するように、格子状に形成されている。該容量配線400のうち図中Y方向に延在する部分については特に、データ線6aを覆うように、且つ、該データ線6aよりも幅広に形成されている。また、図中X方向に延在する部分については、後述の第3中継電極402を形成する領域を確保するために、各画素電極9aの一辺の中央付近に切り欠き部を有している。
さらには、図23中、XY方向それぞれに延在する容量配線400の交差部分の隅部においては、該隅部を埋めるようにして、略三角形状の部分が設けられている。容量配線400に、この略三角形状の部分が設けられていることにより、TFT30の半導体層1aに対する光の遮蔽を効果的に行うことができる。すなわち、半導体層1aに対して、斜め上から進入しようとする光は、この三角形状の部分で反射又は吸収されることになり半導体層1aには至らないことになる。したがって、光リーク電流の発生を抑制し、フリッカ等のない高品質な画像を表示することが可能となる。この容量配線400は、画素電極9aが配置された画像表示領域10aからその周囲に延設され、定電位源と電気的に接続されることで、固定電位とされている。
また、第4層には、このような容量配線400と同一膜として、第3中継電極402が形成されている。この第3中継電極402は、後述のコンタクトホール804及び89を介して、第2中継電極6a2及び画素電極9a間の電気的接続を中継する機能を有する。なお、これら容量配線400及び第3中継電極402間は、平面形状的に連続して形成されているのではなく、両者間はパターニング上分断されるように形成されている。
他方、上述の容量配線400及び第3中継電極402は、下層にアルミニウムからなる層、上層に窒化チタンからなる層の二層構造を有している。
(積層構造・第4層及び第5層間の構成―第3層間絶縁膜―)
以上説明した前述のデータ線6aの上、かつ、容量配線400の下には、NSG、PSG、BSG、BPSG等のシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等、あるいは好ましくは、TEOSガスを用いたプラズマCVD法で形成された第3層間絶縁膜43が形成されている。この第3層間絶縁膜43には、前記の容量配線400と容量配線用中継層6a1とを電気的に接続するためのコンタクトホール803、及び、第3中継電極402と第2中継電極6a2とを電気的に接続するためのコンタクトホール804がそれぞれ開孔されている。
(積層構造・第6層並びに第5層及び第6層間の構成―画素電極等―)
最後に、第6層には、上述したように画素電極9aがマトリクス状に形成され、該画素電極9a上に配向膜16が形成されている。そして、この画素電極9a下には、NSG、PSG、BSG、BPSG等のシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等、あるいは好ましくはNSGからなる第4層間絶縁膜44が形成されている。この第4層間絶縁膜44には、画素電極9a及び前記の第3中継電極402間を電気的に接続するためのコンタクトホール89が開孔されている。画素電極9aとTFT30との間は、このコンタクトホール89及び第3中継層402並びに前述したコンタクトホール804、第2中継層6a2、コンタクトホール882、中継電極719、コンタクトホール881、下部電極71及びコンタクトホール83を介して、電気的に接続されることとなる。
本実施形態では特に図25において、コンタクトホール89は、図1に示したコンタクトホール706と同様に構成されてもよい。更に、コンタクトホール89に係る構成を、例えば第1実施形態と同様の製造方法を用いて形成する場合、第4層間絶縁膜44に対して、既に説明した変形例と同様のCMP処理が行われるのが好ましい。これにより、第4層間絶縁膜44の表面を平坦化できる。そして特に、コンタクトホール89の入口付近が、側壁膜87の存在によってコンタクトホール89単独の場合よりも緩やかな傾斜形状或いは段差形状とされている。このため、画素電極9aと、該画素電極9aにおける小穴88の底部に形成された一部分についても、大きく窪むこと或いは殆ど窪むことがなくなり、平坦化できる。
従って、画素電極9aによる電気光学動作を、コンタクトホール89の周辺を含めて平坦化された該画素電極9aにより良好に行える。より具体的には、平坦化された画素電極9aを用いることで、段差による液晶50の配向不良や、縦電界の乱れによる液晶50の配向不良を低減できる。このように、高品位の画層表示が可能な電気光学装置を製造できる。
<7;電子機器>
次に、以上詳細に説明した電気光学装置を各種の電子機器に適用される場合について説明する。
<7−1;プロジェクタ>
まず、この電気光学装置たる液晶装置をライトバルブとして用いたプロジェクタについて説明する。図26は、プロジェクタの構成例を示す平面図である。この図に示されるように、プロジェクタ1100内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット1102が設けられている。このランプユニット1102から射出された投射光は、ライトガイド1104内に配置された4枚のミラー1106および2枚のダイクロイックミラー1108によってRGBの3原色に分離され、各原色に対応するライトバルブとしての液晶装置1110R、1110Bおよび1110Gに入射される。液晶装置1110R、1110Bおよび1110Gの構成は、上述した電気光学装置と同等であり、画像信号処理回路から供給されるR、G、Bの原色信号でそれぞれ駆動されるものである。そして、これらの液晶装置によって変調された光は、ダイクロイックプリズム1112に3方向から入射される。このダイクロイックプリズム1112においては、RおよびBの光が90度に屈折する一方、Gの光が直進する。したがって、各色の画像が合成される結果、投射レンズ1114を介して、スクリーン等にカラー画像が投写されることとなる。
<7−2;モバイル型コンピュータ>
次に、この電気光学装置たる液晶装置を、モバイル型のパーソナルコンピュータに適用した例について説明する。図27は、このパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。図において、コンピュータ1200は、キーボード1202を備えた本体部1204と、液晶表示ユニット1206とから構成されている。この液晶表示ユニット1206は、先に述べた電気光学装置にバックライトを付加することにより構成されている。
<7−3;携帯電話>
さらに、この電気光学装置たる液晶装置を、携帯電話に適用した例について説明する。図28は、この携帯電話の構成を示す斜視図である。図において、携帯電話1300は、複数の操作ボタン1302とともに、反射型の液晶装置1005を備えるものである。この反射型の液晶装置1005にあっては、必要に応じてその前面にフロントライトが設けられる。
尚、図26から図28を参照して説明した電子機器の他にも、液晶テレビや、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等などが挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う基板装置、並びにこれを備えた電気光学装置及び電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。