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JP2004507593A - 高メルトフロー高グラフトポリプロピレン - Google Patents

高メルトフロー高グラフトポリプロピレン Download PDF

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Abstract

変性ポリマー、特にポリオレフィン単独よりも改善されたフローを備えたポリオレフィンが、二軸押出し機中でポリプロピレン、無水マレイン酸モノマーおよびペロキシ開始剤を反応することにより作成される。無水マレイン酸モノマーは、流体として注入し、分解/鎖切断プロセス中にベースのポリプロピレンにグラフトされる。高メルトフローおよびその他の有用な特性を備えた新規な高グラフトポリマーがペレット形態で生成される。

Description

【0001】
(発明の分野)
本発明は、数多くの用途において「接着促進剤」として機能するポリマー組成物の製造に関する。例えば、本発明の生成物は水に分散させて、水性コーティングとしてガラス繊維へ適用することができる。その他の用途としては、熱可塑性オレフィン(TPO)の染色性および塗装性を改善することが挙げられる。この生成物はまた、ポリプロピレン基材へ異種素材を接合するのに用いる処方において機能性源として非常に有効である。
【0002】
(発明の背景)
無水マレイン酸およびその他モノマーのポリオレフィンへのグラフトについては数多くの特許がある。例えば、R.A.ZelonkaおよびC.S.Wongによる米国特許第4,612,155号は、押出し機中で不飽和モノマーをポリオレフィンにグラフトすることを教示している。
【0003】
Steinkampらに付与された、米国特許第3,862,265号およびその分割出願第4,001,172号、230℃で測定されたときのメルトフローレート(MFR)が1000dg/分までとされている高レベルのグラフトまで、ただし、ポリプロピレン(PP)については僅か71dg/分までのポリオレフィンの押出し反応を開示している。PPにグラフトされた無水マレイン酸のパーセントは、わずか0.53重量%までとされている。これらの特許には、押出し機内の特別な反応ゾーンを用いると、添加した反応物質をポリマーと集中的に混合させる、または添加した反応物質をポリマーに分散させることを選択することができることが示されている。このプロセスによって、ポリマーをそのレオロジーに関して修正するばかりでなく、同時に化学手段によっても修正することができる。
【0004】
英国特許第679,562号には、フィルタまたは毛細管を通して速い線速度で好適な機械的混合をするときのポリマーのグラフト重合が示されている。
【0005】
米国特許第3,177,270号および米国特許第3,177,269号は、それぞれ、モノマーおよび開始剤を添加することによるグラフトコポリマーの形成を開示している。生成物は、分解が生じないような低い程度まで「練和」される。
【0006】
米国特許第3,013,003号には、押出し機中での分解は、安定剤を用いることにより制御できることが示されている。
【0007】
上述の特許は、押出し機中で500dg/分を超えるメルトフローレート(MFR)の材料または造粒可能な材料または高グラフト材料を製造する技術は開示していない。前述の特許のいくつかには、総量が記載されているが、ポリオレフィン生成物中のモノマーの実際のグラフト量は記載されていない。
【0008】
(発明の概要)
本発明は、一態様において、グラフトポリプロピレンポリマーを含むポリマー組成物であって、前記グラフトポリプロピレンポリマーがASTM規格E−1238(190℃、2160g)によって測定される少なくとも500dg/分のメルトフローレート(MFR)と、官能化ポリプロピレンの少なくとも1重量パーセントのグラフトモノマー含量とを有するポリマー組成物を提供する。
【0009】
他の態様において、本発明は、FTIR分光学によって測定される少なくとも約1.0重量パーセントのグラフトされた、190℃で2160gの荷重で測定されるとき少なくとも約500dg/分のメルトフローレートを有する無水マレイン酸10重量%までのエチレンを備えたポリプロピレンポリマーを含むポリマー組成物を提供する。ポリマーはポリプロピレンのホモポリマーまたはコポリマーであってよい。
【0010】
さらに他の実施形態において、本発明は、ASTM規格E−1238(190℃、2160g)によって測定される少なくとも500dg/分のメルトフローレート(MFR)と、官能化ポリプロピレンの少なくとも1重量パーセントのグラフトモノマー含量とを有するグラフトポリプロピレンポリマーを含むポリマー組成物を作成する方法であって、二軸押出し機中に、プロピレンポリマー、無水マレイン酸および過酸化物開始剤を入れ、それらを揮発性物質を放出させながら押出し機中で混合し、次いで、得られたポリマー混合物をダイを通してストランドとして押出し、前記ストランドをペレットにチョッピングすることを含む方法を提供する。
【0011】
(本発明の詳細な説明)
(グラフトモノマーを備えたグラフトポリオレフィン)
本明細書において「グラフトポリマー」という用語は、プロピレンのホモポリマー、エチレンとプロピレンとのコポリマー、特にプロピレンのインパクトおよびランダムコポリマーのようなプロピレンと少量のエチレンとのコポリマーのうちの少なくとも1種類から形成されたポリマーを説明するのに用いられる。
【0012】
本明細書において「グラフトモノマー」という用語は、エチレン性不飽和カルボン酸およびエチレン性不飽和無水カルボン酸から選択される少なくとも1種類のモノマーを説明するのに用いられる。そのような酸の誘導体およびそれらの混合物も用いて構わない。酸および無水物としては、モノ−、ジ−またはポリカルボン酸、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタトン(itatonic)酸、クロトン酸、無水イタトン酸、無水マレイン酸および置換無水マレイン酸、例えば、ジメチル無水マレイン酸または無水シトロトン(citrotonic)酸、ナジック無水物、ナジックメチル無水物、およびテトラヒドロフタル無水物が例示され、無水マレイン酸が特に好ましい。不飽和酸の誘導体としては、塩、アミド、イミドおよびエステル、例えば、マレイン酸一および二ナトリウム、アクリルアミド、マレイミド、グリシジルメタクリレートおよびジメチルフマレートが例示される。
【0013】
上述のモノマーは、押出し機中に過酸化物開始剤を存在させてポリプロピレン骨格にグラフトすることができる。得られたグラフトポリマーは、ベースポリマーに比べてメルトフローレートが増大することによりかなりの分解を示す。
【0014】
本発明のプロセスにおいて、ポリプロピレンおよび過酸化物液体は押出し機のスロートに導入される。無水マレイン酸(MA)はその融点より高く加熱されて、液体としてバレル1へ注入される(図1参照)。場合によっては、追加の酸化物を、2回目に押出し機へ、液体の形態で、下流のバレル5に供給してもよい。
【0015】
用いるのに好ましい過酸化物開始剤は、重量基準で90%の2,5ジメチル−2,5ジ(tert過酸化ブチル)ヘキサンと、4−6%の3,3,6,6テトラメチル−1,2ジオキサシクロヘキサンと、2−4%のジ(tertブチル)過酸化物と0,1−0,3%の2,2,5,5テトラメチルドロクスフラン(droxfuran)を含有するAtochem製のLupersol101TM(L1101)である。
【0016】
グラフトプロセスを行うのに用いられる押出し機は、7個の加熱/冷却バレルを備えた43mmの共回転二軸押出し機である。この押出し機の長さ/直径比は38/1である。大半の部分について、7個の各バレルおよび最後のダイの温度プロフィールは、175、190、215、215、215、200、170(℃)およびダイについては180(℃)に設定される。ベントポートは、少なくとも20mmHgの真空を引いてバレル6に位置している。
【0017】
スクリュー設計の概略を図1に示す。広いピッチの搬送エレメント(13)を最初に用いて、ベース樹脂を供給部(16,17)から即時に動かし、混練ブロックゾーン(12)(B2)へと移動させて、高剪断を与えてポリマーを溶融する(16)(B1)。混合ギア(14)を用いて、反応温度が増大するにつれて、モノマー(16)および開始剤(18)をメルトに均一に分配する。ブリスタ(15)および逆ピッチエレメントを適所に配置して、「バックミキシング」を備えた完全充填ゾーン(B3〜B5)とする。ブリスタ(15)は、ベントゾーン(11)(B6)の前に用いて溶融シールとする。ベントゾーン(B6)において、広ピッチ搬送エレメント(13)を用いて未反応モノマーを効果的に除去するのに最大の表面対体積比とする。端部(B7)の狭ピッチ搬送エレメント(13)は、ポリマーメルトをダイから押出すのに良いポンピングを与える。反応ゾーンにおいて異なる厳格さを備えたいくつかのスクリュー設計を以下の実施例においては用いており、これらは、所望の生成物を得るのに等しく良好に作用した。
【0018】
冷水の入った深いトラフを用いてダイから排出された後のストランドを冷却する。ストランドペレタイザーを用いて、固化ストランドを造粒した。
【0019】
(分析技術)
メルトフローレート(MFR):
ポリプロピレンのメルトフローレート(MFR)は190℃、2160g(ASTM1238E)で測定した。ポリプロピレンの分子量がグラフトプロセス中に大幅に減少するにつれて、メルトフローレートを低温の170℃および低重量の325gで測定した。較正曲線を170℃の条件対190℃で構成したところ以下の相関となった。
MFR(190℃、2160g)=844.8Log10[MFR(170℃、325g)]−715.3
この等式を用いて170℃および325gで測定されたMFRを標準ASTM1238E条件(190℃、2160g)に変換した。
【0020】
(グラフト無水マレイン酸の重量パーセント(%MA))
ポリオレフィンの無水マレイン酸(MA)含量を滴定により求めた。ポリマー試料を真空オーブンに入れて残渣のMAを除去し、キシレンブタノール混合物を還流しながら溶解し、無水マレイン酸をハーフエステルまで変換する。溶液を塩基で終点まで熱滴定して、無水マレイン酸含量を求める。
【0021】
実施例において、ポリプロピレンにグラフトした無水マレイン酸の量は、試料生成物からプレスしたフィルムのフーリエ変換赤外(FTIR)分光学により求めた。Bomem MB−100TM FTIR分光光度計を用いた。グラフト−無水物吸光度帯域の強度を測定し、フィルム厚さについて正規化した。グラフトレベルを、上述した滴定法により得られた吸光度対グラフトレベルの較正曲線に基づいて計算した。
【0022】
(実施例)
(実施例1)
MFRが3.4dg/分(230℃、2160g)で「A」等級のホモポリマーベースのポリプロピレンをベース樹脂として用いた(表1−1〜5)。押出し機構成を、図1に関して詳細な説明に記載した通りに設定した。押出し機にまずベース樹脂を500g/分で供給した。無水マレイン酸を、表1に示すようにベース樹脂の1.75、2.6または3.5wt%の様々な割合で注入した。最後に、過酸化物開始剤(L101)をベース樹脂の0.5、1.25または2wt%の割合で添加した。500dg/分を超えるメルトフローレートおよび1重量パーセントを超えるグラフトレベルで新規な造粒ポリプロピレン樹脂が各設定において作成された。過酸化物の供給割合が増えると、より高いメルトフローレートおよびやや高いグラフトレベルの生成物となった。無水マレイン酸レベルが増えると、全体のグラフトレベルが改善されるが、グラフト収率にはやや悪い影響がある。
【0023】
6〜8の実験で、MFRが1.2gd/分の「B」等級の代替のホモポリマーベースのポリプロピレンを用いた。プラスの符号「+」は、供給物が分離したことを示す。全ての場合において、500dg/分を超えるMFRおよび1重量パーセントを超えるグラフトレベルの生成物が得られた。
【0024】
【表1】
Figure 2004507593
【0025】
(実施例2)
本実施例において、高初期メルトフローレートを有するホモポリマーベースのポリプロピレン等級を用いた(等級C、DおよびE)。等級C、DおよびEについてのMFR(230℃、2160g)はそれぞれ10、22および35dg/分であった。手順は実施例1と実質的に同じであった。
【0026】
【表2】
Figure 2004507593
【0027】
これらの代替物を用いて作成した生成物に見られるように、高フローベースのPP等級は、実施例1と比べて、かなり高いメルトフローレート(1200gd/分を超える)およびグラフトレベル(約2重量パーセント)となった。
【0028】
(実施例3)
本実施例は、さらに高いMFR(115dg/分、230℃、2160g)の等級FのホモポリマーPPを用いることを示すものである。無水マレイン酸の供給がさらに高レベルである以外は、実施例2と同じ処理条件(条件12−15)で、実施例2と比べると生成物は高いMFRを有していなかった。無水マレイン酸の非常に高いレベルでの供給は、グラフトレベルの改善とはならなかった(2重量パーセント未満)。実際、グラフト収率(%)は急落した。
【0029】
過酸化物およびモノマー供給レベルが減じ、PP供給レベルがわずか151g/分まで減少すると、生成物のMFRは同様だが、グラフトレベルが実質的に高くなった。3.5重量パーセントを超えるグラフトレベル(条件16、18および20)が高グラフト収率と共に得られた。無水マレイン酸含量および反応収率が改善されると、低い処理レートおよび低いスクリュー速度(rpm)を用いたときに、より長い滞留時間とすることができる。過酸化物の分解供給()を用いて、グラフトレベルおよびMFRの両方に対する影響を求めた(条件19および20)。
【0030】
【表3】
Figure 2004507593
【0031】
(実施例4)
本実施例は、本発明のベース樹脂として用いるときに、エチレンとプロピレンのコポリマーをインパクトおよびランダムコポリマーの両方について用いることを例証するものである。前の実施例と同様の処理条件で、エチレン(5.7重量パーセント)−プロピレンランダムコポリマー(等級G)を用いた21の実験によれば、MFRが897dg/分およびマレイン酸グラフトレベルが2.3重量パーセントの生成物が得られた。代替のランダムコポリマーベース樹脂(等級H、4重量パーセントエチレン)に代えたところ、MFRが500dg/分、グラフトレベルが1重量パーセントを超えた(22、23)。
【0032】
実験24〜34は、長い(48L/D)共回転二軸押出し機で行った。全ての場合について、Lupersol101TMをコートマスターバッチとして供給し、分離過酸化物開始剤を用いた。液体過酸化物対コートマスターバッチを用いると、同じ結果となった(24対25および26対27)。無水マレイン酸供給レートを再び増大したところ、高いグラフトMAだが、グラフト収率は減少した(28−30)。無水マレイン酸供給レートを増大すると、MRFはやや増大する。過酸化物供給レベルを増大するとMFRとグラフト含量(31)の両方が増大する。PP供給レートが下がる前に、グラフト含量が更に増大した(32)。最後に、高エチレン含量樹脂、等級Iを用いたところ、やや低いエチレン含量、等級Hと同様のグラフトレベルおよびやや低いMFRとなった(それぞれ33、34対28、29を比較)。
【0033】
【表4】
Figure 2004507593
【0034】
本発明は、当業者に明らかな数多くの方法で変えることができ、全ての明白な等価物等は、本明細書および特許請求の範囲に入るものと考えられる。本明細書は、特許請求の範囲を解釈するための指針としてのものであって、不必要に限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明のプロセスに用いられる反応押出し機の概略図。

Claims (8)

  1. グラフトポリプロピレンポリマーを含むポリマー組成物であって、前記グラフトポリプロピレンポリマーがASTM規格E−1238(190℃、2160g)によって測定される少なくとも500dg/分のメルトフローレート(MFR)と、官能化ポリプロピレンの少なくとも1重量パーセントのグラフトモノマー含量とを有することを特徴とするポリマー組成物。
  2. 前記ポリプロピレンポリマーが、プロピレンのホモポリマー、およびエチレンとプロピレンとのコポリマーを含む群より選択されることを特徴とする請求項1に記載のポリマー組成物。
  3. 前記ポリプロピレンポリマーが、プロピレンと10重量パーセントまでの少量のエチレンとのコポリマーを含む群より選択されることを特徴とする請求項1に記載のポリマー組成物。
  4. 前記プロピレンのコポリマーがインパクトまたはランダムコポリマーであることを特徴とする請求項3に記載のポリマー組成物。
  5. 前記グラフトモノマーが、エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和無水カルボン酸、そのような酸の誘導体およびそれらの混合物、を含む群より選択されることを特徴とする請求項1に記載のポリマー組成物。
  6. 前記グラフトモノマーが無水マレイン酸であることを特徴とする請求項4記載のポリマー組成物。
  7. 少なくとも1000dg/分のメルトフローレート(MFR)と、少なくとも2.0重量パーセントのグラフトモノマー含量とを有することを特徴とする請求項1に記載の変性ポリプロピレン。
  8. ASTM規格E−1238(190℃、2160g)によって測定される少なくとも500dg/分のメルトフローレート(MFR)と、官能化ポリプロピレンの少なくとも1重量パーセントのグラフトモノマー含量とを有するグラフトポリプロピレンポリマーを含むポリマー組成物を製造する方法であって、
    二軸押出し機中に、プロピレンポリマー、無水マレイン酸および過酸化物開始剤を入れ、それらを揮発性物質を放出させながら前記押出し機中で混合し、次いで、得られたポリマー混合物をダイを通してストランドとして押出し、該ストランドをペレットにチョッピングすることを含むことを特徴とする方法。
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