JP2004339400A - 建材用塗料組成物、硬化塗膜の形成方法及び建材 - Google Patents
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Abstract
【課題】多孔質木質系素材に対して、短時間で、堅い塗装表面状態を得ることのできる建材用塗料組成物およびその塗装方法を提供する。
【解決手段】第一の構成は、電子線硬化型モノマーを50%以上含有する建材用下塗り塗料組成物であって、該電子線硬化型モノマーがフッ素を有するモノマー及び又はケイ素を有するモノマーを含有し、25℃に於ける粘度が500cps以下であることを特徴とする建材用塗料組成物。第二の構成は、木質基材上に、前記塗料組成物を塗布する工程、電子線を照射する工程、紫外線硬化型上塗り塗料を塗布する工程、紫外線を照射する工程をこの順に有することを特徴とする硬化塗膜の形成方法。
【選択図】 なし
【解決手段】第一の構成は、電子線硬化型モノマーを50%以上含有する建材用下塗り塗料組成物であって、該電子線硬化型モノマーがフッ素を有するモノマー及び又はケイ素を有するモノマーを含有し、25℃に於ける粘度が500cps以下であることを特徴とする建材用塗料組成物。第二の構成は、木質基材上に、前記塗料組成物を塗布する工程、電子線を照射する工程、紫外線硬化型上塗り塗料を塗布する工程、紫外線を照射する工程をこの順に有することを特徴とする硬化塗膜の形成方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物の内装建材や家具等として使用する化粧板用の建材用塗料組成物、及び建材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、木質系素材に対してはイソシアネートを使用した2液混合系ウレタン塗料又は紫外線を照射することにより塗料を硬化させるUV硬化型塗料による塗装が一般的に行われている。しかし、ポーラスな素材に対して塗装した場合、UV硬化型塗料は木材内部迄浸透した塗料を硬化させる事が困難であり、イソシアネート混合型ウレタンでは硬化迄の時間がかかる為、複合塗膜での塗装において、最終仕上げまで多くの時間が必要である。
【0003】
ポーラスな木材表面を硬くする為、合成樹脂注入処理木材(WPC)等に示されるように、木質材内の空隙部分にアクリルやポリエステル樹脂等のラジカル重合型樹脂を注入、硬化させる事により木材そのものの強度を上げる事が出来るが、その工程には専用の減圧釜を用いて減圧、加圧、加熱処理が必要であり、処理時間も乾燥も含め半日〜二日程度と長い時間が必要である。
【0004】
木材の耐久性向上のための樹脂含浸の例として、アミノ樹脂と、ポリエチレングリコール鎖状脂肪族二塩基酸からなる不飽和ポリエステルを混合した木材含浸用樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
例えば、数平均分子量600,1000,4000等の市販されたポリエチレングリコール、フェノール樹脂、ビニル系モノマー、エポキシ樹脂等を使用し、予め乾燥した木材を真空加圧含浸装置中で浸漬し、減圧により脱気する。その後加温しながら加圧し樹脂を木材中に含浸させた後、常温に戻し硬化させる。これらの複雑な工程により多くの時間とノウハウ、労力が必要となってくる。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−254106号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、ポーラスな木質系素材に対して、特定の電子線硬化型モノマーを有する建材用塗料組成物を用い、電子線照射で硬化させることにより、短時間で、堅い塗装表面状態を得る塗装方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、特定の電子線硬化型塗料を用いることにより上記課題を解決することを見出し本発明に至った。
【0009】
すなわち、本発明は第一に、電子線硬化型モノマーを50%以上含有する建材用塗料組成物であって、該電子線硬化型モノマーがフッ素を有するモノマー及び又はケイ素を有するモノマーを含有し、25℃に於ける粘度が500cps以下であることを特徴とする建材用塗料組成物を提供する。
【0010】
本発明は第二に、多孔質木質基材表面に、電子線硬化型モノマーを50%以上含有する建材用塗料組成物であって、該電子線硬化型モノマーがフッ素を有するモノマー及び又はケイ素を有するモノマーを含有し、25℃に於ける粘度が500cps以下である建材用下塗り塗料組成物を塗布する工程、電子線を照射する工程、紫外線硬化型上塗り塗料を塗布する工程、紫外線を照射する工程をこの順に有することを特徴とする硬化塗膜の形成方法を提供する。
【0011】
本発明は第三に、表面鉛筆硬度がH以下である多孔質木質基材表面に、電子線硬化型モノマーを50%以上含有する建材用塗料組成物であって、該電子線硬化型モノマーがフッ素を有するモノマー及び又はケイ素を有するモノマーを含有し、25℃に於ける粘度が500cps以下である建材用塗料組成物を塗布する工程、電子線を照射する工程、紫外線硬化型上塗り塗料を塗布する工程、紫外線を照射する工程をこの順に有する方法で形成され、表面硬度が3H以上であることを特徴とする硬化塗膜を有する建材を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明は、電子線硬化型モノマーを50%以上含有する建材用下塗り塗料組成物であって、該電子線硬化型モノマーがフッ素を有するモノマー及び又はケイ素を有するモノマーを含有し、25℃に於ける粘度が500cps以下であることを特徴とする建材用下塗り塗料組成物及び該塗料組成物を用いた硬化塗膜の形成方法、更に該形成方法で製造された硬化塗膜を有する建材に関する。以下、各構成要件について詳細に記載する。
【0013】
本発明の建材用下塗り塗料組成物は、基材に十分浸透させる必要性がある。高粘度、チキソ性を有する塗料はその浸透性を阻害し、又、表面張力の高い水や分子量が高く、フェニル基等に代表される骨格の大きい活性エネルギー線硬化型モノマーではなかなか基材に浸透しにくい。その為、基材に対して十分な浸透性を得るために、本発明の建材用下塗り塗料組成物の粘度は25℃に於いて、500cps以下であることが必要である。また、粘度が60cps以上であることがタレの発生を防止し、塗布量のコントロールが容易となるために好ましい。
【0014】
浸透性の高い電子線硬化型モノマーとしては、一分子中に少なくとも1つ以上のフッ素を含有するモノマー、一分子中に少なくとも1つ以上のケイ素を含有するモノマーが好ましく用いられる。更に、グリコール系の二重結合を含有するモノマーが好ましく用いられる。
【0015】
一分子中に少なくとも1つ以上のフッ素を含有するモノマーとしては、テトラフルオロプロピルアクリレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、2,2,2,−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,2,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート等が挙げられる。より好ましくは分子量の低い2,2,2,−トリフルオロエチルアクリレートである。
【0016】
一分子中に少なくとも1つ以上のケイ素を含有するモノマーとしては、ケイ素を含有するトリメチルシクロヘキシルエチルメタクリレートが挙げられる。
【0017】
グリコール系の二重結合を有するモノマーとしては、数平均分子量100〜400のポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、等があげられる。より好ましくは分子量の低い数平均分子量100〜400のポリエチレングリコールジアクリレートである。
【0018】
これらの反応性希釈剤は、それぞれ単体で用いることも出来るし、2種以上混合して用いる事も出来る。
【0019】
本発明の建材用塗料組成物には、これらのモノマーの他に、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート等のオリゴマー成分を有しても良いが、活性エネルギー線硬化性成分の内、電子線硬化型モノマー成分を50質量%以上含有する必要がある。
【0020】
本発明の建材用塗料組成物には、特に必須成分ではないが、必要に応じて通常の光増感剤を使用する事が出来る。例えばベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾインプロピルエーテル、キサントン、チオキサントン等、又、必要に応じて通常の光増感助剤、例えば、モルホリン、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル等があげられる。
【0021】
本発明の建材用塗料組成物には着色を目的として、通常の着色顔料、例えばチタン白、ベンガラ、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、アゾ系黄色顔料、アゾ系赤色顔料などを混合又は連肉して着色剤として使用することが出来る。
【0022】
非反応性希釈剤は電子線で硬化させる為これを多量に使用すると、電子線照射時に揮発し、チタン分離箔等を汚染する等の弊害が発生する。しかし、粘度を下げる目的や、浸透性をコントロールする等の目的で、10%以下の少量使用することが出来る。例えばメタノール、MEK、MIBK、メチルイソブチルケトン、セロソルブアセテート等が挙げられる。
【0023】
本発明の硬化塗膜の形成方法に用いる建材用塗料組成物は、充填剤及び他の添加剤と混合し、通常の塗料調製の方法で製造される。
【0024】
本発明の硬化塗膜を有する建材に用いる木材としては多孔質木質基材が用いられ、表面鉛筆硬度がH以下である多孔質木質基材表面に用いるときに特に効果を発揮する。多孔質木質基材としては、カバ、さくら、ひのき、すぎ、ラジアターパイン、チーク等が挙げられる。
【0025】
本発明の建材用塗料組成物は従来一般に用いられている塗装方法で塗装することが出来る。カーテンフローコーター、ゴムナチュラルロールコーター、ナチュラルリバースロールコーター、スポンジナチュラルロールコーター、スクイズコーター、デッピング等が上げられるが、表面に多く、又規定塗布量を乗せることが出来、表面が均一で、ある程度塗料を押し込む作用のある、ナチュラルリバースロールコーターが好ましい。
【0026】
使用する電子線照射装置は公知の装置を用いる事が出来るが、使用する加速電圧は、100〜500Kvが望ましい。100Kv未満だと十分に内部に電子線が到達せず硬化が不十分となる。500Kvを越えると高すぎるエネルギー量により基材表面を破壊するおそれがある。
【0027】
【実施例】
以下に参考例、実施例及び比較例を示して本発明をさらに詳しく説明する。それらにおいて「部」は「質量部」を意味する。
【0028】
(実施例1)
塗料配合(下塗り塗料1)
ユニディックV5500 10部
テトラフルオロプロピルアクリレート 85部
トリメチロールプロパントリアクリレート 5部
【0029】
予め赤外線ヒーターにて基材表面を50℃程度に加温したカバ単層フローリングに対して上記下塗り塗料1を加温式カーテンフローコーターにて80g/m2塗装後、塗料を浸透させる為、60℃熱風ヒーター中で30秒セッティングし、電子線を照射して硬化させた。
【0030】
塗料配合(上塗塗料1)
ユニディックV5500 30部
ネオペンチルグリコールジアクリレート 20部
トリプロピレングリコールジアクリレート 32部
イルガキュアー184 9部
サイシリア440 9部
【0031】
その後、上記UV硬化型上塗り塗料1をゴムナチュラルロールコーターで30g/m2塗装し、UV(250mj)で硬化して試料とした。
【0032】
(比較例1)
塗料配合(下塗り塗料2)
ユニディックV5500 15部
ネオペンチルグリコールジアクリレート 80部
トリメチロールプロパントリアクリレート 5部
イルガキュアー184 6部
【0033】
予め赤外線ヒーターにて基材表面を60℃程度に加温したカバ単層フローリングに対して上記下塗り塗料2を溝切りゴムナチュラルコーターにて80g/m2塗装後、熱風ヒーター中で30秒セッティングし、紫外線を照射して硬化させた。その後、前記上塗り塗料1をゴムナチュラルロールコーターで30g/m2塗装し、UV(250mj)で硬化して試料とした。
【0034】
(比較例2)
塗料配合(下塗り塗料3)
ユニディックV5500 60部
テトラフルオロプロピルアクリレート 30部
トリメチロールプロパントリアクリレート 10部
【0035】
予め赤外線ヒーターにて基材表面を50℃程度に加温したカバ単層フローリングに対して上記下塗り塗料1を加温式カーテンフローコーターにて80g/m2塗装後、塗料を浸透させる為、60℃熱風ヒーター中で30秒セッティングし、電子線を照射して硬化させた。その後、前記上塗り塗料1をゴムナチュラルロールコーターで30g/m2塗装し、UV(250mj)で硬化して試料とした。
【0036】
前記した材料は以下を用いた。
・ユニディック5500:大日本インキ化学工業(株)製のエポキシアクリレート
・テトラフルオロプロピルアクリレート:大阪有機化学工業(株)製のビスコート4F
・トリメチロールプロパントリアクリレート:第一工業製薬(株)製のニューフロンティアTMPTA
・トリプロピレングリコールジアクリレート:第一工業製薬(株)製のニューフロンティアTPGDA
・サイシリア440:富士シリシア化学(株)製のシリカパウダー
【0037】
【表1】
【0038】
【発明の効果】
本発明の建材用塗料組成物及び硬化塗膜形成方法により、多孔質で柔らかい木質基材表面に対して、硬い表面硬度を簡便な塗装方式で短時間に少ない塗装工程で得る事が出来る。
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物の内装建材や家具等として使用する化粧板用の建材用塗料組成物、及び建材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、木質系素材に対してはイソシアネートを使用した2液混合系ウレタン塗料又は紫外線を照射することにより塗料を硬化させるUV硬化型塗料による塗装が一般的に行われている。しかし、ポーラスな素材に対して塗装した場合、UV硬化型塗料は木材内部迄浸透した塗料を硬化させる事が困難であり、イソシアネート混合型ウレタンでは硬化迄の時間がかかる為、複合塗膜での塗装において、最終仕上げまで多くの時間が必要である。
【0003】
ポーラスな木材表面を硬くする為、合成樹脂注入処理木材(WPC)等に示されるように、木質材内の空隙部分にアクリルやポリエステル樹脂等のラジカル重合型樹脂を注入、硬化させる事により木材そのものの強度を上げる事が出来るが、その工程には専用の減圧釜を用いて減圧、加圧、加熱処理が必要であり、処理時間も乾燥も含め半日〜二日程度と長い時間が必要である。
【0004】
木材の耐久性向上のための樹脂含浸の例として、アミノ樹脂と、ポリエチレングリコール鎖状脂肪族二塩基酸からなる不飽和ポリエステルを混合した木材含浸用樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
例えば、数平均分子量600,1000,4000等の市販されたポリエチレングリコール、フェノール樹脂、ビニル系モノマー、エポキシ樹脂等を使用し、予め乾燥した木材を真空加圧含浸装置中で浸漬し、減圧により脱気する。その後加温しながら加圧し樹脂を木材中に含浸させた後、常温に戻し硬化させる。これらの複雑な工程により多くの時間とノウハウ、労力が必要となってくる。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−254106号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、ポーラスな木質系素材に対して、特定の電子線硬化型モノマーを有する建材用塗料組成物を用い、電子線照射で硬化させることにより、短時間で、堅い塗装表面状態を得る塗装方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、特定の電子線硬化型塗料を用いることにより上記課題を解決することを見出し本発明に至った。
【0009】
すなわち、本発明は第一に、電子線硬化型モノマーを50%以上含有する建材用塗料組成物であって、該電子線硬化型モノマーがフッ素を有するモノマー及び又はケイ素を有するモノマーを含有し、25℃に於ける粘度が500cps以下であることを特徴とする建材用塗料組成物を提供する。
【0010】
本発明は第二に、多孔質木質基材表面に、電子線硬化型モノマーを50%以上含有する建材用塗料組成物であって、該電子線硬化型モノマーがフッ素を有するモノマー及び又はケイ素を有するモノマーを含有し、25℃に於ける粘度が500cps以下である建材用下塗り塗料組成物を塗布する工程、電子線を照射する工程、紫外線硬化型上塗り塗料を塗布する工程、紫外線を照射する工程をこの順に有することを特徴とする硬化塗膜の形成方法を提供する。
【0011】
本発明は第三に、表面鉛筆硬度がH以下である多孔質木質基材表面に、電子線硬化型モノマーを50%以上含有する建材用塗料組成物であって、該電子線硬化型モノマーがフッ素を有するモノマー及び又はケイ素を有するモノマーを含有し、25℃に於ける粘度が500cps以下である建材用塗料組成物を塗布する工程、電子線を照射する工程、紫外線硬化型上塗り塗料を塗布する工程、紫外線を照射する工程をこの順に有する方法で形成され、表面硬度が3H以上であることを特徴とする硬化塗膜を有する建材を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明は、電子線硬化型モノマーを50%以上含有する建材用下塗り塗料組成物であって、該電子線硬化型モノマーがフッ素を有するモノマー及び又はケイ素を有するモノマーを含有し、25℃に於ける粘度が500cps以下であることを特徴とする建材用下塗り塗料組成物及び該塗料組成物を用いた硬化塗膜の形成方法、更に該形成方法で製造された硬化塗膜を有する建材に関する。以下、各構成要件について詳細に記載する。
【0013】
本発明の建材用下塗り塗料組成物は、基材に十分浸透させる必要性がある。高粘度、チキソ性を有する塗料はその浸透性を阻害し、又、表面張力の高い水や分子量が高く、フェニル基等に代表される骨格の大きい活性エネルギー線硬化型モノマーではなかなか基材に浸透しにくい。その為、基材に対して十分な浸透性を得るために、本発明の建材用下塗り塗料組成物の粘度は25℃に於いて、500cps以下であることが必要である。また、粘度が60cps以上であることがタレの発生を防止し、塗布量のコントロールが容易となるために好ましい。
【0014】
浸透性の高い電子線硬化型モノマーとしては、一分子中に少なくとも1つ以上のフッ素を含有するモノマー、一分子中に少なくとも1つ以上のケイ素を含有するモノマーが好ましく用いられる。更に、グリコール系の二重結合を含有するモノマーが好ましく用いられる。
【0015】
一分子中に少なくとも1つ以上のフッ素を含有するモノマーとしては、テトラフルオロプロピルアクリレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、2,2,2,−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,2,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート等が挙げられる。より好ましくは分子量の低い2,2,2,−トリフルオロエチルアクリレートである。
【0016】
一分子中に少なくとも1つ以上のケイ素を含有するモノマーとしては、ケイ素を含有するトリメチルシクロヘキシルエチルメタクリレートが挙げられる。
【0017】
グリコール系の二重結合を有するモノマーとしては、数平均分子量100〜400のポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、等があげられる。より好ましくは分子量の低い数平均分子量100〜400のポリエチレングリコールジアクリレートである。
【0018】
これらの反応性希釈剤は、それぞれ単体で用いることも出来るし、2種以上混合して用いる事も出来る。
【0019】
本発明の建材用塗料組成物には、これらのモノマーの他に、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート等のオリゴマー成分を有しても良いが、活性エネルギー線硬化性成分の内、電子線硬化型モノマー成分を50質量%以上含有する必要がある。
【0020】
本発明の建材用塗料組成物には、特に必須成分ではないが、必要に応じて通常の光増感剤を使用する事が出来る。例えばベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾインプロピルエーテル、キサントン、チオキサントン等、又、必要に応じて通常の光増感助剤、例えば、モルホリン、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル等があげられる。
【0021】
本発明の建材用塗料組成物には着色を目的として、通常の着色顔料、例えばチタン白、ベンガラ、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、アゾ系黄色顔料、アゾ系赤色顔料などを混合又は連肉して着色剤として使用することが出来る。
【0022】
非反応性希釈剤は電子線で硬化させる為これを多量に使用すると、電子線照射時に揮発し、チタン分離箔等を汚染する等の弊害が発生する。しかし、粘度を下げる目的や、浸透性をコントロールする等の目的で、10%以下の少量使用することが出来る。例えばメタノール、MEK、MIBK、メチルイソブチルケトン、セロソルブアセテート等が挙げられる。
【0023】
本発明の硬化塗膜の形成方法に用いる建材用塗料組成物は、充填剤及び他の添加剤と混合し、通常の塗料調製の方法で製造される。
【0024】
本発明の硬化塗膜を有する建材に用いる木材としては多孔質木質基材が用いられ、表面鉛筆硬度がH以下である多孔質木質基材表面に用いるときに特に効果を発揮する。多孔質木質基材としては、カバ、さくら、ひのき、すぎ、ラジアターパイン、チーク等が挙げられる。
【0025】
本発明の建材用塗料組成物は従来一般に用いられている塗装方法で塗装することが出来る。カーテンフローコーター、ゴムナチュラルロールコーター、ナチュラルリバースロールコーター、スポンジナチュラルロールコーター、スクイズコーター、デッピング等が上げられるが、表面に多く、又規定塗布量を乗せることが出来、表面が均一で、ある程度塗料を押し込む作用のある、ナチュラルリバースロールコーターが好ましい。
【0026】
使用する電子線照射装置は公知の装置を用いる事が出来るが、使用する加速電圧は、100〜500Kvが望ましい。100Kv未満だと十分に内部に電子線が到達せず硬化が不十分となる。500Kvを越えると高すぎるエネルギー量により基材表面を破壊するおそれがある。
【0027】
【実施例】
以下に参考例、実施例及び比較例を示して本発明をさらに詳しく説明する。それらにおいて「部」は「質量部」を意味する。
【0028】
(実施例1)
塗料配合(下塗り塗料1)
ユニディックV5500 10部
テトラフルオロプロピルアクリレート 85部
トリメチロールプロパントリアクリレート 5部
【0029】
予め赤外線ヒーターにて基材表面を50℃程度に加温したカバ単層フローリングに対して上記下塗り塗料1を加温式カーテンフローコーターにて80g/m2塗装後、塗料を浸透させる為、60℃熱風ヒーター中で30秒セッティングし、電子線を照射して硬化させた。
【0030】
塗料配合(上塗塗料1)
ユニディックV5500 30部
ネオペンチルグリコールジアクリレート 20部
トリプロピレングリコールジアクリレート 32部
イルガキュアー184 9部
サイシリア440 9部
【0031】
その後、上記UV硬化型上塗り塗料1をゴムナチュラルロールコーターで30g/m2塗装し、UV(250mj)で硬化して試料とした。
【0032】
(比較例1)
塗料配合(下塗り塗料2)
ユニディックV5500 15部
ネオペンチルグリコールジアクリレート 80部
トリメチロールプロパントリアクリレート 5部
イルガキュアー184 6部
【0033】
予め赤外線ヒーターにて基材表面を60℃程度に加温したカバ単層フローリングに対して上記下塗り塗料2を溝切りゴムナチュラルコーターにて80g/m2塗装後、熱風ヒーター中で30秒セッティングし、紫外線を照射して硬化させた。その後、前記上塗り塗料1をゴムナチュラルロールコーターで30g/m2塗装し、UV(250mj)で硬化して試料とした。
【0034】
(比較例2)
塗料配合(下塗り塗料3)
ユニディックV5500 60部
テトラフルオロプロピルアクリレート 30部
トリメチロールプロパントリアクリレート 10部
【0035】
予め赤外線ヒーターにて基材表面を50℃程度に加温したカバ単層フローリングに対して上記下塗り塗料1を加温式カーテンフローコーターにて80g/m2塗装後、塗料を浸透させる為、60℃熱風ヒーター中で30秒セッティングし、電子線を照射して硬化させた。その後、前記上塗り塗料1をゴムナチュラルロールコーターで30g/m2塗装し、UV(250mj)で硬化して試料とした。
【0036】
前記した材料は以下を用いた。
・ユニディック5500:大日本インキ化学工業(株)製のエポキシアクリレート
・テトラフルオロプロピルアクリレート:大阪有機化学工業(株)製のビスコート4F
・トリメチロールプロパントリアクリレート:第一工業製薬(株)製のニューフロンティアTMPTA
・トリプロピレングリコールジアクリレート:第一工業製薬(株)製のニューフロンティアTPGDA
・サイシリア440:富士シリシア化学(株)製のシリカパウダー
【0037】
【表1】
【0038】
【発明の効果】
本発明の建材用塗料組成物及び硬化塗膜形成方法により、多孔質で柔らかい木質基材表面に対して、硬い表面硬度を簡便な塗装方式で短時間に少ない塗装工程で得る事が出来る。
Claims (6)
- 電子線硬化型モノマーを50%以上含有する建材用下塗り塗料組成物であって、該電子線硬化型モノマーがフッ素を有するモノマー及び又はケイ素を有するモノマーを含有し、25℃に於ける粘度が500cps以下であることを特徴とする建材用塗料組成物。
- グリコール系の二重結合を有する電子線硬化型モノマーを含有する請求項1に記載の建材用塗料組成物。
- 多孔質木質基材表面に、電子線硬化型モノマーを50%以上含有する建材用塗料組成物であって、該電子線硬化型モノマーがフッ素を有するモノマー及び又はケイ素を有するモノマーを含有し、25℃に於ける粘度が500cps以下である建材用塗料組成物を塗布する工程、電子線を照射する工程、紫外線硬化型上塗り塗料を塗布する工程、紫外線を照射する工程をこの順に有することを特徴とする硬化塗膜の形成方法。
- 多孔質木質基材の表面鉛筆硬度がH(JISZ2101)以下である請求項3に記載の硬化塗膜の形成方法。
- 電子線の加速電圧が、100〜500Kvである請求項3又は4に記載の硬化塗膜の形成方法。
- 表面鉛筆硬度がH以下である多孔質木質基材表面に、電子線硬化型モノマーを50%以上含有する建材用塗料組成物であって、該電子線硬化型モノマーがフッ素を有するモノマー及び又はケイ素を有するモノマーを含有し、25℃に於ける粘度が500cps以下である建材用塗料組成物を塗布する工程、電子線を照射する工程、紫外線硬化型上塗り塗料を塗布する工程、紫外線を照射する工程をこの順に有する方法で形成され、表面硬度が3H以上であることを特徴とする硬化塗膜を有する建材。
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JP2010005799A (ja) * | 2008-06-24 | 2010-01-14 | Panasonic Electric Works Co Ltd | 撥水撥油性木質建材 |
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JP2020002222A (ja) * | 2018-06-27 | 2020-01-09 | アイカ工業株式会社 | 光硬化性目止め剤 |
-
2003
- 2003-05-16 JP JP2003138617A patent/JP2004339400A/ja active Pending
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