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JP2004313847A - 気液溶解装置、これを用いた水処理システム、及び水処理方法 - Google Patents

気液溶解装置、これを用いた水処理システム、及び水処理方法 Download PDF

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JP2004313847A JP2003107956A JP2003107956A JP2004313847A JP 2004313847 A JP2004313847 A JP 2004313847A JP 2003107956 A JP2003107956 A JP 2003107956A JP 2003107956 A JP2003107956 A JP 2003107956A JP 2004313847 A JP2004313847 A JP 2004313847A
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treated
gas
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ozone
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Masayuki Maeda
雅之 前田
Kyoji Nitta
恭司 新田
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NIPPON KANKYO KAGAKU KK
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Abstract

【課題】処理対象となる水にオゾン等の気体を十分に溶解することができる気液溶解装置、及びこれを用いた水処理システム、及び水処理方法を提供する。
【解決手段】本発明の気液溶解装置は、処理対象水に気体を注入するオゾン発生装置13及び供給管15と、注入されたオゾンを粉砕して処理対象水中に超微細気泡を形成しつつ、当該処理対象水を圧送する遠心ポンプ17と、遠心ポンプ17から圧送された処理対象水を撹拌する第1の反応槽21と、この第1の反応槽21から排出された処理対象水を所定時間保持する第2の反応槽37とを備えている。この構成により、注入したオゾンをほぼ完全に溶解することができ、高性能な水処理を行うことができる。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば池や湖沼等の水を浄化する際に用いる気液溶解装置、これを用いてオゾンにより水を浄化する水処理システム、及び水処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の水処理方法としては、例えば特許文献1に開示されているものがある。この公報に記載の方法では、まず、池や湖沼等の貯水池の水をポンプで汲み上げた後、これを濾過してゴミや浮遊物等を除去して濾液を得る。続いて、オゾン発生装置によって生成されたオゾンを、公知のエゼクターやスプレー式ガス吸収装置等によりこの濾液に吹き込む。こうして得られたオゾン化酸素溶存水に対してオゾン酸化処理をして殺菌、脱臭、脱色等を行った後、処理後の水を元の貯水池に戻している。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−200399号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記水処理方法において使用される公知のエゼクターやスプレー式ガス吸収装置では、オゾンを処理対象となる水に十分に溶解できないという問題があった。そのため、従来の方法では、オゾンの殺菌力、脱臭力等を十分に発揮できず、水処理性能は必ずしも高いとは言えなかった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、処理対象となる水にオゾン等の気体を十分に溶解することができる気液溶解装置を提供することを第1の目的とし、この気液溶解装置を用いることで水処理性能を大きく向上することができる水処理システム、及び水処理方法を提供することを第2の目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる気液溶解装置は、上記問題を解決するためになされたものであり、処理対象水に気体を注入する注入手段と、注入された気体を粉砕して処理対象水中に微細気泡を形成しつつ、当該処理対象水を圧送する加圧手段と、前記加圧手段から圧送された処理対象水を撹拌する第1の反応槽と、前記第1の反応槽から排出された処理対象水を所定時間滞留する第2の反応槽とを備えている。
【0007】
この構成によれば、注入された気体を微細気泡にしつつ加圧した後、第1の反応槽でこの処理対象水を撹拌している。これにより、第1の反応槽では、微細気泡のほとんどを処理対象水中に溶解することができる。そして、このような気体が溶解した処理対象水を第2の反応槽内で所定時間滞留すると、気体の溶解が確実になり、注入した気体はこの時点でほぼ完全に溶解する。本発明では、この構成により、オゾン、酸素、空気等のほとんどすべての気体をほぼ完全に溶解することが可能となる。したがって、例えば溶解した気体によって水の浄化を行う場合には、溶解した気体と処理対象水とを確実に反応させることができる。ここで、注入する気体をオゾンにすると、第1の反応槽でオゾン水を生成することができる。これにより、第2の反応槽では、オゾン水によって処理対象水を浄化することができ、極めて高い殺菌、脱色、脱臭性能を発揮することができる。なお、第2の反応槽では、オゾン水を処理対象水と十分に反応させるため、20〜60秒間、処理対象水を滞留しておくことが好ましい。このような滞留時間は、例えば第2の反応槽の容積、或いは処理対象水の単位時間当たりの流量を調整することにより、適宜設定することができる。
【0008】
上記気液溶解装置において、加圧手段は、例えば遠心ポンプによって構成することができ、この場合、遠心ポンプのインペラを1500〜3600rpmで回転させて気体を粉砕し処理対象水を2〜5kg/cmの吐出圧力で圧送することが好ましい。このような遠心ポンプを用いると、注入された気体を超微細な気泡にすることができ、第1の反応槽での気体の溶解度をさらに高めることができる。
【0009】
第1の反応槽は、処理対象水を撹拌できるものであれば特には限定されないが、反応層内に旋回流や渦流を形成できるように構成することが好ましい。例えば旋回流を形成する場合には、次のように構成することができる。すなわち、円筒状に形成された本体部と、加圧手段から圧送される気体をこの本体部内に導入する導入管とを備えるようにし、この導入管が本体部の外周面に対してその接線方向に延びるように取り付けられたものとすることができる。こうすることで、本体部内に導入された処理対象水が、本体部の壁面に沿って流れながら旋回流を形成するため、処理対象水に対する気体の溶解度をさらに高くすることができる。
【0010】
また、次のような構成にすると、上記旋回流に加え、渦流を形成することができる。すなわち、上記導入管において本体部内に臨む端部をテーパ状に形成し、このテーパ面に螺旋状に延びる少なくとも1つの開口を形成する。このようにすると、処理対象水は、捻りが加えられた状態で渦流を形成しつつ本体部内に導入されながら、上記のように旋回流を形成する。これにより、気体の溶解度をさらに高くすることができる。
【0011】
また、第2の反応槽が、第1の反応槽から導入された処理対象水を撹拌する撹拌手段を備えていることが好ましい。このようにすると、気体が溶解した処理対象水が撹拌され、気体の溶解をより確実にすることができるとともに、溶解した気体と処理対象水とを効率的に反応させることができる。撹拌手段は特には限定されないが、例えば第2の反応槽を、上記のような第1の反応槽と同一構成にすることができる。
【0012】
また、本発明にかかる水処理システムは、上記した気液溶解装置と、加圧浮上処理を行う加圧浮上装置とを備え、前記注入手段が、オゾン、酸素、及び空気を含む気体を処理対象水に注入し、前記加圧浮上装置が、前記第2の反応槽から排出された処理対象水を減圧した後、加圧浮上処理を行うものである。
【0013】
この構成によれば、注入手段がオゾンを含む気体を注入しているため、例えば貯水池等に発生するアオコを確実に処理することができ、処理対象水の殺菌、脱色、脱臭を確実に行うことができる。また、注入手段は、オゾン以外にも酸素及び空気を含んでいるため、第2の反応槽から排出された処理対象水を減圧することで、加圧浮上装置において溶解した酸素及び空気を気泡化することができる。そのため、気液溶解装置によって処理されなかった懸濁物質を、加圧浮上処理することができ、処理対象水を確実に浄化することができる。
【0014】
また、本発明にかかる水処理方法は、処理対象水にオゾンを含む気体を注入する第1工程と、前記処理対象水に注入された気体を粉砕して微細気泡を形成するとともに、当該処理対象水を加圧する第2工程と、加圧された処理対象水を第1の反応槽に導入して撹拌する第3工程と、前記第3工程で処理した処理対象水を第2の反応槽に導入し、所定時間滞留する第4工程とを備えている。この構成によれば、上記と同様に、高い効率で処理対象水を確実に浄化処理することができる。
【0015】
ここで、第2工程で遠心ポンプを使用し、インペラの回転数を1500〜3600rpmとすることにより、前記気体を粉砕し処理対象水を2〜5kg/cmの吐出圧力で圧送することが好ましい。このようなポンプを使用すると上記したように、超微細な気泡を形成することができる。また、ここで使用する遠心ポンプとしては特殊なものを必要とせず、上記のような条件で動作するものであれば、汎用品を使用することができる。したがって、浄化処理を低コストで行うことができる。
【0016】
また、第4工程で、前記第2の反応槽に導入した処理対象水を撹拌することが好ましく、第2の反応槽において処理された処理対象水を減圧した後、加圧浮上処理を行う第5工程を備えていることがさらに好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る水処理システムの一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は本実施形態に係る水処理システムの概略構成図である。
【0018】
このシステムは、池や湖沼等(以下、単に「貯水池」という)で発生したアオコ、藻等を除去するためのものである。図1に示すように、このシステムは、貯水池から処理対象水を吸い上げる導入装置1と、処理対象水をオゾンによって処理する気液溶解装置3と、加圧浮上装置5とを備えている。
【0019】
導入装置1は、貯水池Wからアオコ等が発生した処理対象水を吸い上げるフロートポンプ7を備えており、このフロートポンプ7はネット9によって覆われている。このネット9は、ゴミや大型の浮遊物を除去するためのフィルターとしての役割を果たしている。ポンプ7によって吸い上げられた処理対象水は、第1配管11によって気液溶解装置3へと送られる。
【0020】
気液溶解装置3は、第1配管11から送られる処理対象水にオゾンを注入するオゾン発生装置13を備えている。このオゾン発生装置13は公知のものであり(例えば住友精密工業株式会社製PSAオゾナイザ)、生成したオゾン、酸素、及び空気(以下、「オゾン等」という)は、バルブ16が設けられた供給管(注入手段)15を介して第1配管11に注入される。第1配管11は遠心ポンプ17に連結されており、オゾン等が注入された処理対象水はこの遠心ポンプ17に導入される。
【0021】
遠心ポンプ17は、公知のもの(例えば、株式会社酉島製作所製CEBS形片吸込渦巻きポンプ)を使用することができ、導入された処理対象水は加圧されて第2配管19に吐出される。このとき、処理対象水中のオゾン等はインペラ(羽根車、図示省略)の回転によって粉砕され、超微細気泡になる。このように超微細気泡を形成するために、インペラの回転数は1500〜3600rpmであることが好ましく、2900〜3500rpmであることがさらに好ましい。また、処理対象水を吐出する際の吐出圧力は2〜5kg/cmであることが好ましく、3.5〜4.5kg/cmであることがさらに好ましい。
【0022】
第2配管19は、第1の反応槽21に連結されており、この反応槽21に処理対象水を導入する。図2は、第1の反応槽21の平面図(a)及び断面図(b)である。図2(a)に示すように、第1の反応槽21は上端部および下端部にフランジが形成された円筒状の本体部23と、処理対象水を本体部23内に導入する導入管25とを備えている。導入管25は、フランジ27を介して第2配管19の端部に接続され、本体部23外周面の接線方向に延びるように本体部23の下端部に連結されている。
【0023】
図2(a)の拡大図に示すように、導入管25における本体部23内に臨む端部27はテーパ状に形成され、そのテーパ面27には、螺旋状に延びる複数のスリット(開口)27aが形成されている。また、本体部23の上端中央には、反応槽23内の処理対象水を排出する排出管29が取り付けられている。この排出管29は、上記した導入管25とほぼ同様に構成されており、本体部23内を臨む一端部31が螺旋状のスリット31aを有するテーパ状に形成されている。排出管29の他端部は、本体部23の外部でL字形の継手33を介して第3配管35に連結されている。
【0024】
図1に戻って水処理システムの説明を続ける。同図に示すように、第3配管35は、第2の反応槽37に連結されており、第1の反応槽21で処理された処理対象水を第2の反応槽37に導入する。第2の反応槽37は、図2で示す第1の反応槽23と同一構成となっているため、その説明を省略する。第2の反応槽37で処理された処理対象水は、その途中に減圧バルブ39が設けられた第4配管41を介して加圧浮上装置5に導入される。
【0025】
加圧浮上装置5は公知のものを使用することができ、例えば図1に示すものを使用することができる。同図に示すように、この加圧浮上装置5は、カップ状の本体槽43と、この本体槽43内に配置される円筒状の流入槽45とを備えている。本体槽43の中央には、垂直方向に延びる軸部材47が設けられており、本体槽43の上方に設けられたモータMによって回転駆動するようになっている。また、この軸部材47は、流入槽45を貫通して本体槽43の底面まで延びており、本体槽43における処理対象水の水面付近及び本体槽43の底面付近にはスカムの掻き取り具49,51が固着されている。
【0026】
流入槽45は、本体槽43に導入される処理対象水内に浸されるように配置され、その側面の上部には、第4配管41が連結されている。また、流入槽45の側面の下部には、処理された水を排出する第5配管53が設けられており、この第5配管53から排出される処理後の水は、貯水部55を介して貯水池に戻されるようになっている。また、本体槽43の水面付近及び底面付近で掻き取られたスカムは、スカム槽57に送られた後、廃棄される。
【0027】
次に、上記のように構成された水処理システムの動作について図1を参照しつつ説明する。まず、フロートポンプ7によって貯水池Wから処理対象水を吸引する。このとき、大型のゴミや浮遊物は、上述したようにネット9によって第1配管11内に吸い込まれないようになっている。吸引された処理対象水は、第1配管11を介して遠心ポンプ17へ送られ、その途中でオゾン発生装置13によって生成されたオゾン等が注入される。このとき、オゾン等の注入量は、理論溶解量の範囲内であるが、例えば処理対象水に対する容積比を1〜5%にすることが好ましい。遠心ポンプ17では、インペラの回転によってオゾン等が粉砕され処理対象水中に超微細気泡が形成される。このように、オゾン等を超微細気泡とすることで、処理対象水との接触面積が増大し、処理対象水中のアオコ等がオゾン等の酸化力によって一次的に浄化処理される。こうして超微細気泡が形成された処理対象水は、上述した高い圧力で第1の反応槽21へと圧送される。
【0028】
遠心ポンプ17から圧送された処理対象水は、第2配管19及び導入管25を経て第1の反応槽21の本体部23内へ導入される。このとき、処理対象水は、螺旋スリット付きテーパ面27を有する導入管25内に圧送されるため、導入された処理対象水は進行方向に沿って螺旋状に捻られながら本体部23内へ流入する。また、導入管25は本体部23に対して接線方向に連結されているため、導入された処理対象水は、本体部23の内壁面に沿う旋回流となって本体部23の上端へと上昇していく。このように、第1の反応槽21では、導入された処理対象水が進行方向に沿って螺旋状に捻られつつ、さらに本体部23の内壁面に沿う旋回流を形成する。これにより、処理対象水は撹拌され、遠心ポンプ17で形成された超微細気泡は、処理対象水にほぼ溶解した状態となる。すなわち、この第1の反応槽21によってオゾン水が生成されることになる。このように、第1の反応槽21では、微細気泡状のオゾンとオゾン水とが混在した状態となり、その酸化力で、アオコ等が二次的に浄化処理される。なお、第1の反応槽21では、オゾン水と処理対象となるアオコ等とを十分に反応させるため、所定時間例えば20〜60秒間をかけて処理対象水を通過させることが好ましい。このような時間は、反応槽21の容積と、処理対象水の単位時間当たりの流量とを調整することにより適宜設定することができる。例えば、直径350mm,高さ1500mmの反応槽を用いる場合に流量を10m/hとすると、上記時間内に設定することができる。
【0029】
本体部23の上端まで上昇した処理対象水は、排出管29端部のスリット31aによってさらに捻りが加えられた状態で排出され、第3配管35を介して第2の反応槽37へと導入される。ここまででオゾン等は処理対象水中にほぼ完全に溶解した状態となり、処理対象水はオゾン水として第2の反応槽37内へ導入されて処理される。第2の反応槽37は、第1の反応槽21と同一構成であるので、処理対象水は捻りが加えられた旋回流となって上昇していき、その過程でオゾン水による殺菌、脱臭、脱色処理がなされる。一般にオゾン水は、気体状のオゾンの5倍以上の酸化力があるといわれているため、この第2の反応槽37では、非常に高い酸化力で処理対象水が三次的に処理され、通常困難といわれている脱色処理も確実に行われる。例えば、アオコは、オゾンの酸化力により、その細胞壁等が破壊され、葉緑素等が溶出する。なお、第2の反応槽37では、オゾン水と処理対象となるアオコ等とを十分に反応させるため、所定時間例えば20〜60秒間をかけて処理対象水を通過(滞留)させることが好ましい。この時間設定は、上記第1の反応槽21で説明したのと同様にして行うことができる。
【0030】
続いて、第2の反応槽37から排出された処理対象水は、第4配管41を介して加圧浮上装置5に送られる。このとき、第4配管41を通過する処理対象水は、減圧バルブによって大気圧まで減圧される。これにより、溶解していた酸素や空気は、処理対象水が加圧浮上装置5内に流入するまでに気泡となって析出する。
【0031】
第4配管41を経た処理対象水は加圧浮上装置5の流入槽45に導入される。この流入槽45では、上記のように析出した気泡が、第2の反応槽37までに分離された葉緑素等の懸濁物質に付着し、スカムとなって水面まで上昇する。水面に浮遊するスカムは掻き取り具49によって掻き取られ、スカム槽51へと排出された後、廃棄される。懸濁物質が除去された処理対象水は下降しながら本体槽43へ流入するとともに、流入槽45の中間付近から第5配管53を介して貯留部55へ送られた後、元の貯水池Wへと戻される。また、本体槽43の底部には、比較的重い懸濁物質が沈殿するが、これらは掻き取り具51によって掻き取られ、スカム槽57へと送られた後、廃棄される。
【0032】
以上のように本実施形態によれば、注入されたオゾン等を微細気泡にしつつ加圧した後、第1の反応槽21でこの処理対象水に渦流や旋回流を形成して撹拌している。これにより、第1の反応槽21では、微細気泡のほとんどを処理対象水中に溶解することができるため、オゾン水を生成することができる。そして、このようなオゾン水により、極めて高い酸化力で、処理対象水の殺菌、脱色、脱臭を行うことができる。このように、本実施形態に係る気液溶解装置では、遠心ポンプ、第1の反応槽、及び第2の反応槽の3箇所でオゾンによる殺菌等を行っており、さらに最終的にはほとんどのオゾンが溶解したオゾン水によって処理対象水の浄化処理を行っているため、極めて高い浄化性能を発揮することができる。
【0033】
このシステムは、上記のようにアオコの死滅化や溶存酸素の向上に代表される貯水池の浄化だけでなく、哺乳類、鳥のし尿の液肥化、酸化可能物含有排水(食品工場排水、化学工場排水、金属イオン排水等)を処理することができる。例えば、食品工場排水に対しては、それに含まれる油分をオゾンの酸化力によって殺菌、脱色、脱臭した後、加圧浮上装置で分離することができ、排水を十分に浄化することができる。また、処理後の水は、高酸素水として利用することが可能である。
【0034】
また、このシステムで用いる遠心ポンプ17は特殊なものではなく、上記のような条件で作動するものであれば汎用品を用いることができる。そのため、水処理システムの構築を低コストで行うことができる。なお、遠心ポンプ以外でも、上記のように処理対象水に微細気泡を形成し、これを高い圧力で圧送できるものであれば、使用することができる。
【0035】
さらに、上記気液溶解装置3に加えて、加圧浮上装置5を用いることにより、気液溶解装置3で処理されなかった懸濁物質等も確実に処理することができる。
【0036】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、第1の反応槽21を図2のように構成しているが、処理対象水を撹拌できるものであれば、これに限定されるものではない。例えば、公知のスパイラルノズルやサイクロン等を利用して処理対象水を撹拌することができる。
【0037】
また、第2の反応槽37を、第1の反応槽21と同一構成にしているが、必ずしもこのようにする必要はなく、オゾン水を十分に反応させるため、処理対象水を所定の時間だけ滞留できるように構成されていればよい。但し、上記説明で示したような導入管25やスパイラルノズル等の公知の撹拌手段を設けると、オゾン水とアオコ等とが反応しやすくなるため、好ましい。
【0038】
また、上記システムでは、必要に応じて凝集剤を使用することもできる。凝集剤は、遠心ポンプ17と第1の反応槽21との間で処理対象水に注入することが好ましい。こうすることで、各反応槽21,37において懸濁物質の凝集反応が起こり、処理対象水が加圧浮上装置5に流入したところでフロックが形成される。その結果、懸濁物質を効率的に除去することができる。なお、凝集剤としては、例えばアルミ系の凝集剤やポリ硫酸第2鉄を使用することができる。
【0039】
また、上記システムでは、オゾン、酸素及び空気を注入していたが、これに加えて炭酸ガス、窒素等を注入することもでき、処理対象に応じて種々の気体を用いることができる。
【0040】
さらに、上記システムでは、気液溶解装置3と加圧浮上装置5とを組み合わせて使用したが、気液溶解装置5のみを使用することもできる。このようにすると、オゾン等を注入して浄化装置として用いることができる他、単純に気体の溶解装置として用いることもできる。すなわち、上記気液溶解装置は、極めて高い溶解度で気体を溶解することができるため、上記したオゾン、空気、炭酸ガス、酸素、窒素等、種々の気体を溶解し、例えばオゾン水や高酸素水の製造装置として使用することもできる。また、第2の反応槽37の排出側では高い残圧があるため、処理対象水の圧送や噴霧等に用いることができる。
【0041】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、処理対象となる水にオゾン等の気体を十分に溶解することができる。また、このように高い溶解度で気体を溶解することができるため、高性能な水処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る水処理システムの一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図1の水処理システムに用いる第1の反応槽の平面図及び断面図である。
【符号の説明】
3 気液溶解装置
5 加圧浮上装置
13 オゾン発生装置
15 供給管(注入手段)
21 第1の反応槽
23 本体部
25 導入管
27 テーパ面
27a スリット
37 第2の反応槽
39 減圧バルブ

Claims (12)

  1. 処理対象水に気体を注入する注入手段と、
    注入された気体を粉砕して処理対象水中に微細気泡を形成しつつ、当該処理対象水を圧送する加圧手段と、
    前記加圧手段から圧送された処理対象水を撹拌する第1の反応槽と、
    前記第1の反応槽から排出された処理対象水を所定時間滞留する第2の反応槽と
    を備えている気液溶解装置。
  2. 前記加圧手段は遠心ポンプによって構成され、当該遠心ポンプは、インペラを1500〜3600rpmで回転させることにより前記気体を粉砕し処理対象水を2〜5kg/cmの吐出圧力で圧送する請求項1に記載の気液溶解装置。
  3. 前記第1の反応槽では、処理対象水に旋回流または渦流を形成する請求項1または2に記載の気液溶解装置。
  4. 前記第1の反応槽は、円筒状に形成された本体部と、前記加圧手段から圧送される処理対象水を前記本体部内に導入する導入管とを備え、該導入管は前記本体部の外周面に対してその接線方向に延びるように取り付けられている請求項1または2に記載の気液溶解装置。
  5. 前記導入管において前記本体部内に臨む端部はテーパ状に形成され、該テーパ面には螺旋状に延びる少なくとも1つの開口が形成されている請求項4に記載の気液溶解装置。
  6. 前記第2の反応槽は、前記第1の反応槽から導入された処理対象水を撹拌する撹拌手段を備えている請求項1から5のいずれかに記載の気液溶解装置。
  7. 前記気体は、オゾンを含んでいる請求項1から6のいずれかに記載の気液溶解装置。
  8. 請求項1から6のいずれかに記載の気液溶解装置と、
    加圧浮上処理を行う加圧浮上装置とを備え、
    前記注入手段は、オゾン、酸素、及び空気を含む気体を処理対象水に注入し、
    第2の反応槽から排出された処理対象水は減圧された後、前記加圧浮上装置において加圧浮上処理がなされる水処理システム。
  9. 処理対象水にオゾンを含む気体を注入する第1工程と、
    前記処理対象水に注入された気体を粉砕して微細気泡を形成しつつ、当該処理対象水を加圧する第2工程と、
    加圧された処理対象水を第1の反応槽に導入して撹拌する第3工程と、
    前記第3工程で処理した処理対象水を第2の反応槽に導入し、所定時間滞留する第4工程と
    を備えている水処理方法。
  10. 前記第2工程では、遠心ポンプを使用し、インペラの回転数を1500〜3600rpmとすることにより、前記気体を粉砕し処理対象水を2〜5kg/cmの吐出圧力で圧送する請求項9に記載の水処理方法。
  11. 前記第4工程では、前記第2の反応槽に導入した処理対象水を撹拌する請求項9または10に記載の水処理方法。
  12. 前記第2の反応槽において処理された処理対象水を減圧した後、加圧浮上処理を行う第5工程をさらに備えている請求項9から11のいずれかに記載の水処理方法。
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