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JP2004285830A - エンジンの冷却装置 - Google Patents

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JP2004285830A
JP2004285830A JP2003075219A JP2003075219A JP2004285830A JP 2004285830 A JP2004285830 A JP 2004285830A JP 2003075219 A JP2003075219 A JP 2003075219A JP 2003075219 A JP2003075219 A JP 2003075219A JP 2004285830 A JP2004285830 A JP 2004285830A
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Yosuke Tateishi
洋介 立石
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Aisin Corp
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Aisin Seiki Co Ltd
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Abstract

【課題】エンジンの冷却のための冷却液を効率的に循環させることにより循環ポンプによる消費エネルギーを低減し、エンジンの燃費の向上を図ることができるエンジンの冷却装置を提供する。
【解決手段】エンジン1のジャケット2に対してラジエータ5又はバイパス流路6bを通過させて冷却液を循環させる冷却液循環路6と、冷却液を循環させる循環ポンプ3と、冷却液循環路6のラジエータ側流路6aとバイパス流路6bとの接続部に設けられて閉鎖時に冷却液をバイパス流路6bに循環させ、開放時に冷却液の全部又は一部をラジエータ側流路6aに循環させる流路制御弁4とを有し、流路制御弁4は、ジャケット2の上流側の冷却液の温度が第1基準温度のときに開放状態である弁であり、循環ポンプ3は、ジャケット2の上流側の冷却液の温度が第1基準温度付近でほぼ一定となるように動作量が制御される。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンのジャケットに対してラジエータ又はバイパス流路を通過させて冷却液を循環させ、エンジンを冷却するエンジンの冷却装置に関し、特に、冷却液の循環に電動式等の動作量の制御が可能な循環ポンプを用いる場合において効率的なエネルギー利用を図ることが可能な装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のエンジンの冷却装置としては、例えば、エンジンのジャケットとラジエータ又はバイパス流路との間に冷却液を循環させる冷却液循環路と、前記冷却液循環路のラジエータ側流路とバイパス流路との接続部に設けられて閉鎖時に冷却液をバイパス流路に循環させ、開放時に冷却液の全部又は一部をラジエータ側流路に循環させる電動サーモスタットと、前記冷却液循環路に冷却液を循環させる電動循環ポンプとを有し、制御ユニットが電動サーモスタットの開度および電動循環ポンプの回転数の制御を行うエンジンの冷却装置が公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような従来のエンジンの冷却装置では、前記制御ユニットは、エンジンのジャケット内の冷却液の温度に基づいて、電動サーモスタットの開度および電動循環ポンプの回転数の制御を行う。これにより、エンジンのクランクシャフトに接続されて駆動される機械式の循環ポンプに比べて、エンジンのジャケットやラジエータを通過する冷却液の流量を、冷却液の温度やエンジン負荷等に応じて制御することが可能となる。
【0004】
すなわち、ジャケット内の冷却液の温度が低いとき、例えばエンジンの始動直後の冷間時には電動サーモスタットを閉鎖して冷却液をバイパス流路に循環させる。このように、ジャケットを通過して温度上昇した冷却液を、ラジエータを通過させずに循環させることにより、エンジンの暖機を促進する。また、冷却液の温度が特に低い間は電動循環ポンプの運転を停止し、ジャケット内に冷却液を滞留させることにより、エンジンの暖機を更に促進するように制御を行うこともできる。一方、エンジンの暖機終了後のジャケット内の冷却液の温度が高いときには、電動サーモスタットを開放して冷却液の全部又は一部をラジエータ側流路に循環させる。このように、ジャケットを通過して温度上昇した冷却液を、ラジエータを通過させて冷却しながら循環させることにより、エンジンの温度を適温に保つ。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−303842号公報(第3−4頁、第1図、第2図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のエンジンの冷却装置は、エンジンの暖機が終了した後は、電動循環ポンプの回転数をほぼ一定に保ち、電動サーモスタットの開度を調節することにより、冷却液がラジエータ側流路及びバイパス流路を通過する割合を調節して、冷却液の温度制御を行う。したがって、冷却液の温度が低い場合には、ラジエータによる放熱を抑制してエンジンの熱による冷却液の温度上昇を促進するため、電動サーモスタットが閉じた状態となり、冷却液はバイパス流路を通過することとなる。ここで、ラジエータ及びラジエータ側流路は、一般的に、大量の冷却液を効率的に循環させて冷却することを可能にするために、バイパス流路と比較して大きい通路断面積を有するように形成されている。したがって、冷却液の温度が低いためにバイパス流路に冷却液を循環させる場合には、ラジエータ側流路を通過させる場合と比べて冷却液の通過に伴う抵抗が大きくなり電動循環ポンプの消費するエネルギーが増大することとなる。ここで、電動循環ポンプのエネルギー、すなわち電力はエンジンに取り付けられた発電機から得られるものであることから、電動循環ポンプの消費エネルギーの増大はエンジンの燃費の低下にもつながる。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、エンジンの冷却のための冷却液を効率的に循環させることにより循環ポンプによる消費エネルギーを低減し、エンジンの燃費の向上を図ることができるエンジンの冷却装置を提供することを技術課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための本発明に係るエンジンの冷却装置の第1の特徴構成は、請求項1に記載したように、エンジンのジャケットに対してラジエータ又はバイパス流路を通過させて冷却液を循環させる冷却液循環路と、前記冷却液を循環させる循環ポンプと、前記冷却液循環路のラジエータ側流路とバイパス流路との接続部に設けられて閉鎖時に冷却液をバイパス流路に循環させ、開放時に冷却液の全部又は一部をラジエータ側流路に循環させる流路制御弁と、を有するエンジンの冷却装置において、前記流路制御弁は、前記ジャケットの上流側の冷却液の温度が第1基準温度のときに開放状態である弁であり、前記循環ポンプは、前記ジャケットの上流側の冷却液の温度が前記第1基準温度付近でほぼ一定となるように動作量が制御されるという点にある。ここで、第1基準温度は、エンジンの冷却のための冷却液の最適温度付近に設定すると好適である。
【0009】
これにより、前記ジャケットの上流側の冷却液の温度が前記第1基準温度に近い一定の温度以上となった後は、前記流路制御弁の開放状態が保たれることになり、バイパス流路よりも抵抗が少ないラジエータ側流路に冷却液を定常的に循環させることができる。ここで、ラジエータ側流路は、大量の冷却液を効率的に循環させて冷却することを可能にするために、バイパス流路と比較して大きい通路断面積を有するように形成されているため、冷却液の通過に伴う抵抗は少ない。したがって、冷却液を循環させるための循環ポンプによる消費エネルギーを少なくすることができる。
【0010】
また、前記ジャケットの上流側の冷却液の温度が前記第1基準温度よりも低くなった場合には、原則として流路制御弁を切り替えるのではなく、循環ポンプの動作量を低下させることにより前記冷却液の温度を前記第1基準温度付近でほぼ一定に保つようにする制御を行うので、循環ポンプの動作量を削減でき、消費エネルギーを少なくすることができる。すなわち、前記ジャケットの上流側の冷却液の温度が低くなった場合には、循環ポンプの動作量を低下させて循環する冷却液の流量を少なくし、ラジエータを通過する冷却液の量を減少させることによりラジエータからの放熱を抑制し、エンジンの熱による冷却液の温度上昇を促進するものである。これにより、流路制御弁を切り替えずに、すなわちバイパス流路に冷却液を循環させずに、前記ジャケットの上流側の冷却液の温度を上昇させることができる。
【0011】
本発明に係るエンジンの冷却装置の第2の特徴構成は、請求項2に記載したように、前記第1の特徴構成に加えて、前記流路制御弁は、冷却液の温度に応じて自動的に開閉するサーモスタット弁であって、前記ジャケットの上流側の冷却液の温度が第1基準温度のときに全開状態であるように設定されているという点にある。
【0012】
これにより、前記循環ポンプによる冷却液の温度制御の目標値である第1基準温度で前記流量制御弁が全開状態となるので、エンジンの暖機が終了して、循環ポンプの動作量の制御により前記ジャケットの上流側の冷却液の温度がほぼ一定となっている状態においては、前記流量制御弁は全開状態に保持されることになる。したがって、バイパス流路よりも抵抗が少ないラジエータ側流路に冷却液を定常的に循環させることができ、冷却液を循環させるための循環ポンプの消費エネルギーを少なくすることができる。また、このような流量制御弁を、制御装置や動力源等を別途必要としない簡易な構成により実現することができる。
【0013】
本発明に係るエンジンの冷却装置の第3の特徴構成は、請求項3に記載したように、前記第1の特徴構成に加えて、前記流路制御弁は、所定の制御装置により開閉制御される制御弁であって、前記ジャケットの上流側の冷却液の温度に基づいて開閉制御されるという点にある。
【0014】
これにより、前記ジャケットの上流側の冷却液の温度と任意の温度設定値との比較に基づいて前記流路制御弁を開閉制御することが可能となるので、前記循環ポンプによる冷却液の温度制御の目標値である第1基準温度で前記流量制御弁が開放状態となるように制御することができる。したがって、エンジンの暖機が終了して、循環ポンプの動作量の制御により冷却液の温度がほぼ一定となっている状態では、前記流量制御弁を確実に開放状態で保持することができる。これにより、バイパス流路よりも抵抗が少ないラジエータ側流路に冷却液を定常的に循環させるように冷却液の循環経路を制御することができ、冷却液を循環させるための循環ポンプの消費エネルギーを少なくすることができる。
【0015】
本発明に係るエンジンの冷却装置の第4の特徴構成は、請求項4に記載したように、前記第3の特徴構成に加えて、前記流路制御弁は、エンジンの暖機終了後は開放状態に保持されるという点にある。
【0016】
これにより、エンジンの暖機終了後、すなわち一旦冷却液の温度が所定の温度以上になった後は、冷却液の温度が下がったとしても流路制御弁を開放状態に保持しつつ、循環ポンプの動作量を低下させることにより冷却液の温度を上昇させる制御を行うことができる。したがって、冷却液の温度が多少下がったとしても、バイパス流路よりも抵抗が少ないラジエータ側流路に冷却液を循環させた状態を保つことができるので、冷却液を循環させるための循環ポンプの消費エネルギーをより一層少なくすることができる。
【0017】
本発明に係るエンジンの冷却装置の第5の特徴構成は、請求項5に記載したように、前記第1から第4のいずれかの特徴構成に加えて、前記循環ポンプは、前記ジャケットの上流側の冷却液の温度と、前記第1基準温度、前記第1基準温度より低い温度に設定された第2基準温度、及び前記第1基準温度より高い温度に設定された第3基準温度との比較に基づいて動作量が制御され、前記ジャケットの上流側の冷却液の温度が第2基準温度以下のとき動作量は最低となり、前記ジャケットの上流側の冷却液の温度が第3基準温度以上のとき動作量は最高となり、前記ジャケットの上流側の冷却液の温度が第2基準温度以上第3基準温度以下のときその温度が第1基準温度付近でほぼ一定となるように動作量が調節されるという点にある。
【0018】
これにより、前記ジャケットの上流側の冷却液の温度が第2基準温度以下の十分に低い状態のときには、循環ポンプによる冷却液の流量をできるだけ少なくしてラジエータを通過する冷却液の量を減少させることによりラジエータからの放熱を抑制してエンジンの熱による冷却液の温度上昇を促進し、逆に前記ジャケットの上流側の冷却液の温度が第3基準温度以上の十分に高い状態のときには、循環ポンプによる冷却液の流量をできるだけ多くしてラジエータを通過する冷却液の量を増加させることによりラジエータからの放熱による冷却液の温度低下を促進することができる。そして、前記ジャケットの上流側の冷却液の温度が第2基準温度以上第3基準温度以下の第1基準温度に近い温度に達したときには、循環ポンプによる冷却液の流量を温度に応じて増減させて、その冷却液の温度がエンジンの冷却についての最適温度付近に設定された第1基準温度付近でほぼ一定となるように制御することができる。したがって、前記ジャケットの上流側の冷却液の温度を短時間で第1基準温度に近づけるとともにその温度を維持することが可能となり、エンジンの暖機及び冷却を効率的に行うことができるとともに、循環ポンプの消費エネルギーが少なくなる流路制御弁の開放状態を定常的に保持することが可能となる。
【0019】
本発明に係るエンジンの冷却装置の第6の特徴構成は、請求項6に記載したように、前記第1から第5のいずれかの特徴構成に加えて、前記ラジエータは冷却用のファンを備えており、このファンは、前記ジャケットの上流側の冷却液の温度と前記第1基準温度との比較に基づいて動作制御されるという点にある。
【0020】
これにより、前記ジャケットの上流側の冷却液の温度が、第3基準温度よりも十分に高い温度に達した場合のように、第1基準温度に対して過剰に上昇した場合には、ファンを動作させてラジエータからの放熱を更に促進させ、冷却液の温度を短時間で低下させることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
まず、本発明に係るエンジンの冷却装置の第1の実施形態について図面に基づいて説明する。本実施形態では、エンジン1のジャケット2に冷却液を循環させて冷却を行うエンジン1の冷却装置であって、冷却液を循環させる循環ポンプ3として動作量の制御が可能な電動式のポンプを用い、冷却液の循環経路を制御する流路制御弁4として冷却液の温度に応じて自動的に開閉するサーモスタット弁を用いる場合について説明する。ここで、エンジン1は車両用として一般的に用いられている水冷式の内燃機関である。図1は、本発明の第1の実施形態に係るエンジン1の冷却装置の全体構成を示す模式図であって、エンジン1の定常運転時の冷却液の流れを示す図である。また、図2は、そのエンジン1の暖機運転時の冷却液の流れを示す模式図である。
【0022】
これらの図に示すように、本実施形態に係るエンジン1の冷却装置は、エンジン1のジャケット2とラジエータ5又はバイパス流路6bとの間に冷却液を循環させる冷却液循環路6と、冷却液を循環させる循環ポンプ3と、冷却液循環路6のラジエータ側流路6aとバイパス流路6bとの接続部に設けられて閉鎖時に冷却液をバイパス流路6bに循環させ、開放時に冷却液の全部又は一部をラジエータ側流路6aに循環させる流路制御弁4とを有する。また、ここでは、車両の室内の暖房のために冷却液との熱交換を行うヒータコア7と、このヒータコア7につながるヒータ側流路6cに設けられて冷却液の循環を許容又は遮断する切換弁8も有している。
【0023】
エンジン1は、内部に図示しないピストン等が収められるシリンダが形成されたシリンダブロック1aと、このシリンダの上部を構成するシリンダヘッド1bとを有して構成されている。そして、ジャケット2は、これらのシリンダブロック1a及びシリンダヘッド1bのシリンダ周辺部に冷却液が循環可能なように形成された空洞部により構成されている。また、このジャケット2内を循環する冷却液は、水冷式の内燃機関に用いられるものであって、ここでは水に所定の添加物を加えてなる冷却水が用いられる。
【0024】
冷却液循環路6は、ジャケット2に対してラジエータ5又はバイパス流路6bを通過させて冷却液を循環させるための流路である。そのため、ここではラジエータ5を通過する流路を形成するラジエータ側流路6a、及びラジエータ5を通過しない流路を形成するバイパス流路6bと、これらのラジエータ側流路6a及びバイパス流路6bとジャケット2とをつなぐ流路を形成する中間流路6dとを有する。ここで、ラジエータ側流路6aは、大量の冷却液を効率的に循環させて冷却することを可能にするために、バイパス流路6bと比較して大きい通路断面積を有する。また、本実施形態ではジャケット2の下流側で中間流路6dから分岐して切換弁8及びヒータコア7を通過する流路を形成するヒータ側流路6cも有する。
【0025】
ラジエータ5は、冷却液の熱を放射してその温度を下げる装置である。このラジエータ5の構成は、水冷式の内燃機関において一般的に用いられているものと同様の構成を用いることが可能であり、ここでは図示しないが冷却用の多数のフィンに囲まれた複数の水路を有して構成されている。そして、このラジエータ5の水路の断面積の合計は、ラジエータ側流路6aと同様に、大量の冷却液を効率的に循環させて冷却することを可能にするために、バイパス流路と比較して大きい通路断面積を有する。また、ラジエータ5は、エンジン1の高負荷時に前記フィンを通過する空気の量を増加させて冷却を促進するためのファン9を備えている。このファン9の動作制御については後述する。
【0026】
流路制御弁4は、冷却液循環路6のラジエータ側流路6aとバイパス流路6bとの接続部に設けられて閉鎖時に冷却液をバイパス流路6bに循環させ、開放時に冷却液の全部又は一部をラジエータ側流路6aに循環させる弁である。ここで、ラジエータ側流路6aとバイパス流路6bとの接続部としては、分岐部と合流部の双方が含まれるが、本実施形態においては、流路制御弁4はラジエータ側流路6aとバイパス流路6bとの合流部に設けられている。また、本実施形態においては、流路制御弁4として冷却液の温度に応じて自動的に開閉するサーモスタット弁を用いる。より具体的には、この流路制御弁4は、温度に応じて変形するサーモワックスを駆動源とし、冷却液の温度上昇に応じて連続的に開放され、その開度に応じて冷却液の全部又は一部がラジエータ側流路6aに循環することを許容する。
【0027】
そして、この流路制御弁4は、ジャケット2の上流側の冷却液の温度が第1基準温度のときに開放状態となるものとする。ここで、ジャケット2の上流側とは、流路制御弁4の開閉の状態に関わらずジャケット2に流入する冷却液の温度と同じ温度の冷却液が流れている部分であって、具体的には、ラジエータ5の下流側における冷却液循環路6のラジエータ側流路6aとバイパス流路6bとの合流部、すなわち流路制御弁4が設けられている部分、からジャケット2の入口2aまでの間の中間流路6dが該当する。そして、第1基準温度は、エンジン1の冷却についての冷却液の最適温度付近に設定される温度であって、その温度はエンジン1により異なるが、ここでは90〜95℃付近に設定されることとする。また、流路制御弁4は、ジャケット2の上流側の冷却液の温度、すなわちここでは流路制御弁4の内部を通過する冷却液の温度が第1基準温度のときに全開状態であるように設定されていることが望ましい。また、流路制御弁4は、ジャケット2の上流側の冷却液の温度が後述する第2基準温度のときに全開状態であるように設定されていると更に好適である。このような設定とすることにより、ジャケット2の上流側の冷却液の温度が第1基準温度付近(より好ましくは第2基準温度以上の温度)にある定常運転時に、常に流路制御弁4は全開状態に保持されることとなるので、冷却液をより抵抗のすくないラジエータ側流路6aに循環させることができ、循環ポンプによる消費エネルギーを低減することが可能となる。そのため、例えば、第1基準温度が90〜95℃付近に設定されており、第2基準温度が第1基準温度T1より5〜10℃程度低い温度に設定されている場合には、流路制御弁4の設定は、開き始めの温度が例えば65〜75℃、全開状態となる温度が第2基準温度より低い温度、例えば75〜85℃程度とすると好適である。
【0028】
循環ポンプ3は、冷却液循環路6及びジャケット2に冷却液を循環させるポンプである。本実施形態においては、この循環ポンプ3として動作量の制御が可能な電動式のポンプを用いる。より具体的には、この循環ポンプ3は、後述する制御装置10からの制御信号に従って回転数が連続的に増減される電動モータを駆動源とし、ジャケット2の上流側の冷却液の温度に応じて連続的に動作量、すなわち回転数が変化するように制御され、ジャケット2とラジエータ5との間で循環する冷却液の量を増加させる。なお、循環ポンプ3の配置については、ここではジャケット2の上流側に設けているが、これに限定されるものではなく、冷却液循環路6の中間流路6d上であれば任意の位置に設けることが可能である。また、循環ポンプ3の具体的構成についても電動式に限定されるものではなく、動作量の制御が可能な方式のポンプであれば用いることが可能である。そして、この循環ポンプは、ジャケット2の上流側の冷却液の温度、すなわちエンジン1のジャケット2に流入する冷却液の温度が第1基準温度付近でほぼ一定となるように動作量が制御される。
【0029】
より具体的には、図3に示すように、循環ポンプ3の動作量、すなわち回転数は、ジャケット2の上流側の冷却液の温度と、第1基準温度T1、第1基準温度T1より低い温度に設定された第2基準温度T2、及び第1基準温度T1より高い温度に設定された第3基準温度T3との比較に基づいて制御される。これらの第1基準温度T1、第2基準温度T2、及び第3基準温度T3は、制御装置10において設定値として保持されている。ここで、第2基準温度T2及び第3基準温度T3は、冷却液の温度を第1基準温度T1に安定させるための循環ポンプ3の運動量の調節を開始する温度であって、例えば、第2基準温度T2は第1基準温度T1より5〜10℃程度低い温度とし、第3基準温度T3は第1基準温度T1より5〜10℃程度高い温度とすると好適である。
【0030】
また、ジャケット2の上流側の冷却液の温度は、冷却液循環路6におけるジャケット2の上流側の中間流路6dに配置された液温センサ11により検知される(図1又は図2参照)。ここで、液温センサ11は、冷却液循環路6を流れる冷却液の温度を制御装置10において認識できるようにするため、熱電対等の温度を電気信号として出力可能なものを用いて構成すると好適である。なお、本実施形態においては、液温センサ11はジャケット2の入口2a付近に配置しているが、これに限定されるものではなく、ジャケット2の上流側、すなわち流路制御弁4の下流側からジャケット2の入口2aまでの間の中間流路6dの任意の位置に設けることが可能である。
【0031】
そして、この循環ポンプ3は、制御装置10により、ジャケット2の上流側の冷却液の温度が第2基準温度T2以下のとき動作量は最低となり、ジャケット2の上流側の冷却液の温度が第3基準温度T3以上のとき動作量は最高となり、ジャケット2の上流側の冷却液の温度が第2基準温度T2以上第3基準温度T3以下のときその温度が第1基準温度T1付近でほぼ一定となるように動作量が調節される。なお、本実施形態においては、循環ポンプ3の制御をフィードフォワード制御としているが、フィードバック制御とすることも当然に可能である。
【0032】
具体的には、図3の冷却液の温度と循環ポンプ3の動作量(回転数)との関係のグラフに例示するような動作制御が行われる。すなわち、液温センサ11により検知されたジャケット2の上流側の冷却液の温度が第2基準温度T2以下の場合、循環ポンプ3は最低の動作量r2となるように制御される。ここで、循環ポンプ3の最低の動作量r2とは、ジャケット2内の冷却液の温度分布が大きく偏らない程度に冷却液を循環させる最低限の循環量を確保できる動作量とすると好適である。これにより、エンジン1を必要以上に冷却することがなく、暖機を促進することができる。一方、ジャケット2の上流側の冷却液の温度が第3基準温度T3以上の場合、循環ポンプ3は最高の動作量r3となるように制御される。ここで、循環ポンプ3は最高の動作量r3とは、循環ポンプ3の性能上安定的に動作できる最高の動作量とすると好適である。これにより、エンジン1の温度が適正な温度以上に上がった際にその冷却を促進することができる。
【0033】
そして、ジャケット2の上流側の冷却液の温度が第2基準温度T2以上第3基準温度T3以下の場合、循環ポンプ3は、その冷却液の温度が第1基準温度T1付近でほぼ一定となるようにジャケット2の上流側の冷却液の温度に応じて適宜動作量を調節するように制御される。本実施形態においては、ジャケット2の上流側の冷却液の温度が低いところから暖機が終了してその温度を上げる場合には、ジャケット2の上流側の冷却液の温度が第2基準温度T2を超えたところから循環ポンプ3の動作量は増加し、その温度が第1基準温度T1に近づくと循環ポンプ3の動作量の増加は緩やかになり、その温度が第1基準温度T1になったところで循環ポンプ3の動作量はほぼ一定の動作量r1となる。一方、エンジン1が高負荷状態となってジャケット2の上流側の冷却液の温度が高いところからその温度を下げる場合には、ジャケット2の上流側の冷却液の温度が第3基準温度T3を下回ったところから循環ポンプ3の動作量は減少し、その温度が第1基準温度T1に近づくと循環ポンプ3の動作量の減少は緩やかになり、その温度が第1基準温度T1になったところで循環ポンプ3の動作量はほぼ一定の動作量r1となる。ここで、ジャケット2の上流側の冷却液の温度が第1基準温度T1で安定したときの循環ポンプ3の一定の動作量r1は、エンジン1からの発熱量と循環ポンプ3によりジャケット2内を循環される冷却液による吸熱量とがほぼ釣り合う動作量である。したがって、エンジン1の負荷が大きく発熱量が多い場合にはこの動作量r1の値は上がり、逆にエンジン1の負荷が小さく発熱量が少ない場合にはこの動作量r1の値は下がることとなる。この動作量r1の値は制御装置10の制御により調節される。
【0034】
制御装置10は、本実施形態に係るエンジン1の冷却装置の各部の動作制御を行う装置であり、前述の液温センサ11を含む車両の各部に備えられた各種のセンサ等からの情報に基づいて、循環ポンプ3、ファン9、及び切換弁8を含むエンジン1の冷却装置の各部に対して制御信号を送信し、それらの各部の動作制御を行う。この制御装置10は、上記の通り、循環ポンプ3の動作制御のために第1基準温度、第2基準温度、及び第3基準温度を設定値として保持している。
【0035】
また、この制御装置10は、ラジエータ5のファン9の動作制御のために第4基準温度も設定値として保持している。そこで、制御装置10によるファン9の動作制御についてここで説明する。ファン9は、この制御装置10によりジャケット2の上流側の冷却液の温度と第1基準温度との比較に基づいて動作制御される。より具体的には、ファン9の動作の開始及び停止は、第1基準温度に基づいて定められる第4基準温度に基づいて行われる。ここで、第4基準温度は、後述する第3基準温度より更に高い温度であって、具体的には第3基準温度より5〜10℃程度高い温度とすると好適である。そして、この第4基準温度と、液温センサ11により検知されるジャケット2の上流側の冷却液の温度との比較に基づいて、制御装置10は、その冷却液の温度が第4基準温度以上のときにファン9が動作するように制御を行う。これにより、ジャケット2の上流側の冷却液の温度が第4基準温度以上の高温となった場合には、ファン9が動作してラジエータ5の放熱能力を一時的に高めることになるので、冷却液の温度が過剰に上昇してエンジン1がオーバーヒートすることを防止できる。
【0036】
次に、この制御装置10により制御されるエンジン1の冷却装置の動作について、エンジン1の始動直後の温度が低いときにエンジン1を適当な温度に暖めるための暖機運転時と、この暖機運転が終了した後の定常運転時とに分けてそれぞれ説明する。
【0037】
(暖機運転時)
エンジン1を始動した直後の暖機運転時は、ジャケット2の上流側の冷却液の温度も低い。その温度は第1基準温度よりも十分に低い温度であって、流路制御弁4の開き始める65〜75℃よりも低い温度である。したがって、流路制御弁4は閉鎖状態となっており、図2に示すように、冷却液はラジエータ5を通過しないバイパス流路6bを通ってジャケット2に循環される。また、ジャケット2の上流側の冷却液の温度は第2基準温度よりも低い温度であるため、循環ポンプ3は、最低の動作量r2で動作している。したがって、このとき冷却液は、ジャケット2内の冷却液の温度分布が大きく偏らない程度に冷却液を循環させる最低限の循環量でジャケット2及び冷却液循環路6を循環する。これにより、冷却液はラジエータ5により冷却されることがなく、かつ冷却液の循環量も非常に少なく抑えられているので、エンジン1は冷却液によってほとんど冷却されることがなく、エンジン1の温度が早く上昇するので暖機が促進される。
【0038】
そして、冷却液の温度が流路制御弁4の開き始める65〜75℃以上となった場合には、流路制御弁4が開き始めて冷却液の一部はラジエータ側流路6aに流れるが、ジャケット2の上流側の冷却液の温度が第2基準温度に達するまでは循環ポンプ3は最低の動作量r2で動作しているので冷却液の温度は引き続き上昇する。本実施形態においては、流路制御弁4は、ジャケット2の上流側の冷却液の温度が後述する第2基準温度のときに全開状態となるように設定されているので、その後、冷却液の温度上昇に伴い流路制御弁4は全開状態となる。これにより、図1に示すように、冷却液はすべてラジエータ側流路6a及びラジエータ5を通ってジャケット2に循環される状態となり、エンジン1の暖機運転は終了する。
【0039】
(定常運転時)
そして、エンジン1の暖機運転が終了した後は、図1に示すように、流路制御弁4が全開状態となり、冷却液がすべてラジエータ側流路6a及びラジエータ5を通ってジャケット2に循環される状態を保持するように循環ポンプ3の動作制御が行われる定常運転となる。このとき、循環ポンプ3は、ジャケット2の上流側の冷却液の温度、すなわちエンジン1のジャケット2に流入する冷却液の温度が第1基準温度付近でほぼ一定となるように動作量が制御される。このような循環ポンプ3の動作制御の具体的な方法は、上述の通りである。これにより、エンジン1のオーバーヒートを確実に回避しつつジャケット2の上流側の冷却液の温度を流路制御弁4が全開となる温度以上に維持することができる。したがって、冷却液をバイパス流路6bよりも抵抗のすくないラジエータ側流路6aに循環させることができ、冷却液を循環させるための循環ポンプによる消費エネルギーを低減することが可能となる。
【0040】
(第2の実施形態)
次に、本発明に係るエンジンの冷却装置の第2の実施形態について図面に基づいて説明する。本実施形態では、前記第1の実施形態とは異なり、流路制御弁4として制御装置10により開閉制御される制御弁を用いる場合について説明する。図4は、本発明の第2の実施形態に係るエンジン1の冷却装置の全体構成を示す模式図であって、エンジン1の定常運転時の冷却液の流れを示す図である。また、図5は、そのエンジン1の暖機運転時の冷却液の流れを示す模式図である。以下、前記第1の実施形態と異なる点について説明する。
【0041】
本実施形態における流路制御弁4は、制御装置10により開閉制御される制御弁であって、その開閉制御は、ジャケット2の上流側の冷却液の温度に基づいて行われる。具体的には、この流路制御弁4は、制御装置10からの信号に従って動作するアクチュエータを駆動源とし、全開状態と閉鎖状態との2つの状態が切り換えられて冷却液をラジエータ側流路6a又はバイパス流路6bのいずれかに循環させる。ここで、アクチュエータとしては、ソレノイドバルブ等を備えて空気圧あるいは油圧により動作するシリンダや、電動モータ等の各種の駆動機構が用いられる。ここで、この流路制御弁4は、前記第1の実施形態とは異なり、ラジエータ側流路6aとバイパス流路6bとの接続部としての分岐部と合流部のうち、分岐部に設けられている。そして、この制御装置10による流路制御弁4の制御は、制御装置10から流路制御弁4に対して全開又は閉鎖の信号を送信することにより行われる。
【0042】
また、制御装置10による流路制御弁4の開閉制御は、ジャケット2の上流側の冷却液の温度に基づいて行われる。ここでは、制御装置10は、冷却液循環路6におけるジャケット2の上流側の中間流路6dに配置された液温センサ11により検知されるジャケット2の上流側の冷却液の温度に基づいて流路制御弁4の制御を行うようになっている。このように液温センサ11で検知した冷却液の温度に基づいて流路制御弁4を制御する構成としたことにより、流路制御弁4をジャケット2の上流側に配置する必要がなくなるので、前記第1の実施形態と異なり、流路制御弁4をラジエータ側流路6aとバイパス流路6bとの分岐部に配置することが可能となっている。
【0043】
そして、流路制御弁4は、ジャケット2の上流側の冷却液の温度が第1基準温度のときに全開状態であるように制御される。また、流路制御弁4は、ジャケット2の上流側の冷却液の温度が第2基準温度のときに全開状態であるように制御されることとすると更に好適である。このような制御とすることにより、前記第1の実施形態と同様に、ジャケット2の上流側の冷却液の温度が第1基準温度付近(より好ましくは第2基準温度以上の温度)にある定常運転時に、常に流路制御弁4は全開状態に保持されることとなるので、冷却液をより抵抗のすくないラジエータ側流路6aに循環させることができ、循環ポンプによる消費エネルギーを低減することが可能となる。本実施形態においては、制御装置10が流路制御弁4の動作制御のために第5基準温度を設定値として保持することとし、液温センサ11により検知されるジャケット2の上流側の冷却液の温度が第5基準温度を超えたときに、流路制御弁4を全開状態とする制御を行うこととする。この第5基準温度は、第2基準温度より低い温度に設定すると好適である。具体的には、例えば、第1基準温度が90〜95℃付近に設定されており、第2基準温度が第1基準温度T1より5〜10℃程度低い温度に設定されている場合には、第5基準温度は、第2基準温度より低い例えば75〜85℃程度とすると好適である。
【0044】
また、本実施形態においては、流路制御弁4は、エンジン1の暖機終了後は開放状態、ここでは全開状態に保持されるような制御が行われる。すなわち、エンジン1を始動した後冷却液の温度が上昇し、ジャケット2の上流側の冷却液の温度が第5基準温度を超えて暖機運転が終了した後は、その冷却液の温度が第5基準温度以下となった場合でも流路制御弁4を全開状態に保持するように制御を行う。これにより、何らかの理由により流路制御弁4が全開状態となる第5基準温度以下に冷却液の温度がなった場合であっても、エンジン1の運転中は常に流路制御弁4は全開状態に保持されることとなるので、より一層循環ポンプによる消費エネルギーを低減することが可能となる。そして、エンジン1を停止したときに流路制御弁4を閉鎖状態に戻す制御を行う。なお、流路制御弁4の制御方法はこれに限定されるものではなく、通常どおりにジャケット2の上流側の冷却液の温度が第5基準温度より高いか低いかにより流路制御弁4の全開又は閉鎖を切り換える動作制御を行うことも可能である。
【0045】
なお、本実施形態においては、流路制御弁4は全開状態と閉鎖状態との2つの状態が切り換えられるのみであって、冷却液の一部がラジエータ側流路6aに流れるような中間の状態を有しないものを用いる場合について説明した。これは、本発明に係るエンジン1の冷却装置では、できる限りそのような中間の状態をなくし、冷却液がラジエータ側流路6aを通って循環される状態に早くするとともにその状態をできるだけ維持することにより、循環ポンプによる消費エネルギーの低減を図ることを目的としていることから、そのような中間の状態を有しない流路制御弁4の方がこの冷却装置には適していることによるものである。しかしながら、駆動源としてリニアアクチュエータを用い、開度を連続的に変化させることができる制御弁を流路制御弁4として用いることも当然に可能である。
なお、本実施形態における循環ポンプ3の構成及びその動作制御は、前記第1の実施形態の場合と同様である。
【0046】
次に、本実施形態に係るエンジン1の冷却装置の動作について、暖機運転時と定常運転時とに分けてそれぞれ説明する。
【0047】
(暖機運転時)
エンジン1を始動した直後の暖機運転時は、ジャケット2の上流側の冷却液の温度も低い。その温度は第1基準温度よりも十分に低い温度であって、流路制御弁4が全開状態となる第5基準温度よりも低い温度である。したがって、流路制御弁4は閉鎖状態となっており、図5に示すように、冷却液はラジエータ5を通過しないバイパス流路6bを通ってジャケット2に循環される。また、ジャケット2の上流側の冷却液の温度は第2基準温度よりも低い温度であるため、循環ポンプ3は、最低の動作量r2(図3参照)で動作している。したがって、このとき冷却液は、ジャケット2内の冷却液の温度分布が大きく偏らない程度に冷却液を循環させる最低限の循環量でジャケット2及び冷却液循環路6を循環する。これにより、冷却液はラジエータ5により冷却されることがなく、かつ冷却液の循環量も非常に少なく抑えられているので、エンジン1は冷却液によってほとんど冷却されることがなく、エンジン1の温度が早く上昇するので暖機が促進される。
【0048】
(定常運転時)
そして、本実施形態においては、冷却液の温度が上昇して第5基準温度を超えたとき流路制御弁4は全開状態となるように制御され、図4に示すように、冷却液はすべてラジエータ側流路6a及びラジエータ5を通ってジャケット2に循環される状態となり、エンジン1の暖機運転は終了する。その後は、ジャケット2の上流側の冷却液の温度が第1基準温度付近でほぼ一定となるように循環ポンプ3の動作量が制御され、冷却液がすべてラジエータ側流路6a及びラジエータ5を通ってジャケット2に循環される状態が保持される定常運転となる。このときの循環ポンプ3の動作制御の具体的な方法は、前記第1の実施形態と同様である。これにより、エンジン1のオーバーヒートを確実に回避しつつジャケット2の上流側の冷却液の温度を流路制御弁4が全開となる温度以上に維持することができる。したがって、冷却液をバイパス流路6bよりも抵抗のすくないラジエータ側流路6aに循環させることができ、冷却液を循環させるための循環ポンプによる消費エネルギーを低減することが可能となる。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るエンジンの冷却装置によれば、エンジンの冷却のための冷却液を効率的に循環させることができ、循環ポンプによる消費エネルギーを低減し、エンジンの燃費の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るエンジンの冷却装置の全体構成を示す模式図であって、エンジンの定常運転時の冷却液の流れを示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るエンジンの冷却装置の全体構成を示す模式図であって、エンジンの暖機運転時の冷却液の流れを示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るエンジンの冷却装置における冷却液の温度と循環ポンプの動作量(回転数)との関係の一例を示すグラフである。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るエンジンの冷却装置の全体構成を示す模式図であって、エンジンの定常運転時の冷却液の流れを示す図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るエンジンの冷却装置の全体構成を示す模式図であって、エンジンの暖機運転時の冷却液の流れを示す図である。
【符号の説明】
1 エンジン
2 ジャケット
3 循環ポンプ
4 流路制御弁
5 ラジエータ
6 冷却液循環路
6a ラジエータ側流路
6b バイパス流路
6d 中間流路
9 ファン
10 制御装置
11 液温センサ

Claims (6)

  1. エンジンのジャケットに対してラジエータ又はバイパス流路を通過させて冷却液を循環させる冷却液循環路と、前記冷却液を循環させる循環ポンプと、前記冷却液循環路のラジエータ側流路とバイパス流路との接続部に設けられて閉鎖時に冷却液をバイパス流路に循環させ、開放時に冷却液の全部又は一部をラジエータ側流路に循環させる流路制御弁と、を有するエンジンの冷却装置において、
    前記流路制御弁は、前記ジャケットの上流側の冷却液の温度が第1基準温度のときに開放状態である弁であり、前記循環ポンプは、前記ジャケットの上流側の冷却液の温度が前記第1基準温度付近でほぼ一定となるように動作量が制御されることを特徴とするエンジンの冷却装置。
  2. 前記流路制御弁は、冷却液の温度に応じて自動的に開閉するサーモスタット弁であって、前記ジャケットの上流側の冷却液の温度が第1基準温度のときに全開状態であるように設定されていることを特徴とする請求項1記載のエンジンの冷却装置。
  3. 前記流路制御弁は、所定の制御装置により開閉制御される制御弁であって、前記ジャケットの上流側の冷却液の温度に基づいて開閉制御されることを特徴とする請求項1記載のエンジンの冷却装置。
  4. 前記流路制御弁は、エンジンの暖機終了後は開放状態に保持されることを特徴とする請求項3記載のエンジンの冷却装置。
  5. 前記循環ポンプは、前記ジャケットの上流側の冷却液の温度と、前記第1基準温度、前記第1基準温度より低い温度に設定された第2基準温度、及び前記第1基準温度より高い温度に設定された第3基準温度との比較に基づいて動作量が制御され、前記ジャケットの上流側の冷却液の温度が第2基準温度以下のとき動作量は最低となり、前記ジャケットの上流側の冷却液の温度が第3基準温度以上のとき動作量は最高となり、前記ジャケットの上流側の冷却液の温度が第2基準温度以上第3基準温度以下のときその温度が第1基準温度付近でほぼ一定となるように動作量が調節されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のエンジンの冷却装置。
  6. 前記ラジエータは冷却用のファンを備えており、このファンは、前記ジャケットの上流側の冷却液の温度と前記第1基準温度との比較に基づいて動作制御されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のエンジンの冷却装置。
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