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JP2004122500A - 液体収納部と液体使用部とを連通する液体連通構造、および前記液体連通構造を用いた液体供給システムおよびインクジェット記録装置 - Google Patents

液体収納部と液体使用部とを連通する液体連通構造、および前記液体連通構造を用いた液体供給システムおよびインクジェット記録装置 Download PDF

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JP2004122500A
JP2004122500A JP2002287837A JP2002287837A JP2004122500A JP 2004122500 A JP2004122500 A JP 2004122500A JP 2002287837 A JP2002287837 A JP 2002287837A JP 2002287837 A JP2002287837 A JP 2002287837A JP 2004122500 A JP2004122500 A JP 2004122500A
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liquid
ink
gas
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Application number
JP2002287837A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Ishinaga
石永 博之
Ryoji Inoue
井上 良二
Hidemiki Ogura
小倉 英幹
Tetsuya Ohashi
大橋 哲也
Nobuyuki Kuwabara
桑原 伸行
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Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
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Publication date
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Abstract

【課題】インクジェット記録ヘッドに対して密閉構造を持つ液体(インク)供給システムにおいて、記録動作および液体供給動作の障害となる気体を、構造の複雑化を伴うことなく液体供給経路から迅速かつ円滑に排除できるようにする。また、インクタンクへの気体の上記排除性能を活用することにより、インクタンクの構成の簡略化および低廉化を図る。
【解決手段】インクタンク10と、これから供給されるインクを記録ヘッド20に導くための供給部50とを、2つの連通路53,54を介して流体連通させる。そして、供給部内に気体が存在している状態において、一方の連通路53を介してインクタンク10からインクを移動させると同時に、他方の連通路54を介して気体がインクタンク10に移送させる。また、インク供給系内の負圧を好ましい状態に維持するために外気を導入する機構をインク供給経路側に設ける。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、液体使用部としての記録ヘッドあるいはペンなどに、インクなどの液体を、液体収納部としてのインクタンクなどから無駄なくかつ安定して供給するとともに、液体使用部内に存在する気体を液体収納部へ排出するための液体連通構造、およびこれを用いた液体供給システムおよび該システムを用いるインクジェット記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液体使用装置、例えばインクジェット記録ヘッドを用いて記録媒体へと液体であるインクを付与することにより記録媒体上に画像を形成するインクジェット記録装置は、記録時の騒音が比較的小さくしかも小さなドットを高い密度で形成できるため、昨今においてはカラー印刷を含めた多くの印刷に利用されている。このようなインクジェット記録装置の一形態として、一体不可分にまたは分離可能に取り付けられたインクタンクからインクの供給を受けるインクジェット記録ヘッドと、記録ヘッドを搭載して記録媒体に対し記録ヘッドを所定方向に相対的に走査させるキャリッジと、記録媒体を記録ヘッドに対して上記所定方向に直交する方向に相対的に搬送(副走査)させる搬送手段と、を具え、記録ヘッドの主走査の過程でインク吐出を行わせることにより記録を行うものがある。さらに、キャリッジ上に、ブラックインクおよびイエロー、シアン、マゼンタ等の各カラーインクが吐出が可能な記録ヘッドを搭載し、ブラックインクによるテキスト画像のモノクローム印刷のみではなく、各インクの吐出割合を変えることにより、フルカラー印刷を可能としたものもある。
【0003】
かかるインクジェット記録装置においては、インク供給経路内部に混入してくる、またはしている空気等の気体の排出を適切に行うことが問題となる。
【0004】
ここで、供給系内部に進入してくる気体には大きく分類して4種類の発生要因がある。
1)プリントヘッドのインク吐出口から進入する、ないしは吐出動作に伴って発生するもの、
2)インク内部に溶存していた気体が分離したもの、
3)供給経路を構成する素材を通して外部から気体透過により進入してくるもの、および、
4)カートリッジ形態のインクタンクを交換する際に進入してくるもの、
である。
【0005】
ところで、インクジェット記録ヘッド内に形成されるインク流路は非常に微細に構成されており、従ってインクタンクから記録ヘッドに供給されるインクは、塵埃等の異物が混入していない清浄な状態であることが要求される。すなわち、塵埃等の異物が混入しているような場合、記録ヘッド内のインク流路の中でも特に狭い吐出口ないしこれに直接連通する液路部分に異物が詰まるという問題が発生し、これにより正常なインクの吐出動作が行えなくなり、記録ヘッドの機能の回復が不可能となることもある。
【0006】
そこで、一般に記録ヘッドと、インクタンクに突入するインク供給針との間のインク流路に、異物を除去するフィルタ部材を配置し、このフィルタ部材によって記録ヘッド側への異物の侵入が防止できるように構成されることが多い。
【0007】
一方、昨今においては記録の高速化を実現するために、インクを吐出するための吐出口数も増してきており、またインクを吐出させるためのエネルギを発生する素子に加える駆動信号も益々高周波数のものが採用されつつある。このために、単位時間当たりのインクの消費量も急激に増加している。
【0008】
これに伴い、フィルタ部材を通過するインク量も当然ながら増大するが、フィルタ部材による圧力損失を低減するためには、供給路を一部拡大して大面積のフィルタ部材を配置するのが有効である。このために、供給経路内に気泡が混入すると、拡大部におけるフィルタ部材の上流側の空間に滞留し易く、これを排出できない状態となって、インクの円滑な供給が阻害されるという問題が生じる。また、供給経路内部に溜まっていた気体が微細な気泡となって吐出口に導かれるインク内部に混入し、インクの不吐出を生じさせる等の問題を引き起こす恐れもある。
【0009】
従って、インク供給経路内に滞留する空気は速やかに除去されることが強く望ましく、そのためにいくつかの方法が挙げられる。
【0010】
その一つは、次に述べるようなクリーニング操作を行うことである。
インクジェット記録ヘッドは、記録媒体に対向して配置される吐出口から液体であるインクを例えば滴として吐出させて印刷を行う関係上、吐出口からのインク溶媒の蒸発に起因するインク粘度の上昇やインクの固化、吐出口への塵埃の付着、さらには吐出口内方の液路への気泡の混入などにより吐出口に目詰まり等が生じ、印刷不良を起こすことがある。
【0011】
このために、インクジェット記録装置には、非印刷動作時に記録ヘッドの吐出口を覆うためのキャッピング手段や、吐出口が形成された記録ヘッドの面(吐出口形成面)を必要に応じて清掃するワイピング部材が備えられる。キャッピング手段は、印刷の休止時に前述した吐出口のインクの乾燥を防止する蓋として機能するだけでなく、吐出口に目詰まりが生じた場合には、キャップ部材により吐出口形成面を覆い、例えばキャップ部材の内部に連通する吸引ポンプにより負圧を作用させることにより、吐出口からインクを吸引排出させて吐出口のインク固化による目詰まりや、液路内の増粘インクあるいは混入気泡によるインク吐出不良を解消する機能をも備えている。
【0012】
これらインク吐出不良を解消させるために行うインクの強制的な排出処理はクリーニング操作とも呼ばれ、これは装置の長時間の休止後に印刷を再開する場合や、またユーザが記録画像の品質が悪化したのを認識して例えばクリーニングスイッチを操作した場合などに実行され、そのようにインクを強制排出させた後に、ゴムなどの弾性板からなるワイピング部材により吐出口形成面のワイピング操作を伴う処理である。
【0013】
そして、インクを初めて記録ヘッドの流路ないし液路内へ充填するための初期充填時や、インクタンクを交換した場合に実行されるクリーニング操作時において、キャッピングされた吐出口形成面に対し吸引ポンプを高速度で駆動することで大きな負圧を作用せしめ、これによりインク供給路内で高い流速を得て滞留気泡を排出させようとする試みもなされている。
【0014】
しかしながら、フィルタ部材が持つ動圧を抑えるためのフィルタ部材の面積の増大化と、残留気泡との問題は相容れない作用に基づくものであり、残留気泡を吐出口側から吸引ポンプで除去するのは極めて困難である。すなわち、吸引ポンプによるインクの流れにより気泡がフィルタを通過する条件として、フィルタを通過するインクに所定の流速が必要であるが、それを発生させるにはフィルタ両側に大きな圧力差を生じさせなくてはならない。それを実現するには、通常フィルタ面積を小さくして流路抵抗を高めるか、吸引ポンプを大流量化することが考えられるが、フィルタを小さくするとヘッドへの供給性能が損なわれ、また、大流量で気体を除去しようとする場合には、大量のインクが排出されてしまい、インクをいたずらに消費することにもなる。
【0015】
そこで、気泡除去の他の方法として考えられるのは、外部へ直接排出させる方法と、インクタンク側に移動させ、インク供給を阻害しないタンク内の部位に留めてしまう方法との二つとなる。これらのうち、前者については、供給路中に外部への連通口を配置する構成を有するものとなるが、これは次の理由により好ましい方法とは言えない。
【0016】
すなわち、通常のインクジェット記録装置においては、吐出口からのインクの好ましくない漏出を防止する目的で、インクタンク内に吸収体などの毛管力発生部材を配設したり、あるいは可撓性のインク収納袋に対しばね等の弾性部材を配置して内容積拡大方向への付勢力を作用させたりすることにより、インクタンクのインク収納空間に負圧を発生させているものが多い。このような場合においては、供給路に気泡除去のために単なる連通口が配置されると、却って連通口からエアが侵入することで負圧が解除されてしまうことになるので、連通口には圧力調整弁等の配設が必要となり、インク供給システムひいてはこれを用いる記録装置の構造が複雑化・大型化することになるからである。また、気泡排出用の連通口からのインクの漏洩を防止するために、気体は通過できるが液体は通過できない撥水膜等の配設を要したり、あるいは気泡が滞留した場合にのみ連通口を開放して排出させる装置(気泡量検知機構や連通口開閉機構等)が必要となるので、製造価格の増大や構造の複雑化・大型化が生じるからである。
【0017】
一方、インクタンク側に気泡を移動させることを考える。このとき、インクタンクに移動する気泡の体積に相当する量のインクをヘッド側に移送することができれば、インクタンク内容積の変動はなく、発生する負圧を一定として、記録ヘッドに対し吐出口に形成されるメニスカスの保持力と平衡する負圧を作用することができるので、好ましいことである。また、インクタンクがカートリッジ形態のものであれば、収納するインク残量がなくなったときに新しいものと交換されるので、インク供給系から完全に気体を除去することができる構成であると言い得る。
【0018】
ここで、インクタンク側に気体を円滑に移送する上で、上記拡大部におけるフィルタ部材の上流側の部分をさらに上流側に向かって例えばテーパ状に形成すること、すなわちインク供給針からのインク供給路がフィルタ部材配設位置に向かって急拡大しないように形成することが有効であるとも考えられる。
【0019】
しかし、民生用に広く普及しているインクジェット記録装置においては、ブラックインクおよびカラーインクをそれぞれ収納したカートリッジ形態のインクタンクを、記録ヘッドないしこれを搭載するキャリッジに対しその上部から着脱可能に装着できるように構成されることが多く、例えばインクカートリッジにはキャリッジに上向きに搭載された中空のインク供給針を突入させて記録ヘッドに対するインク供給が可能となるように構成されている。従って、インクカートリッジと記録ヘッドを連結するインク供給針の管径が問題となる。つまり、カートリッジ装着の操作を簡便にするためにも、細い供給針が求められているが、細い管の場合メニスカス力が大きくなるために気泡を円滑に移動することができないのである。
【0020】
ところで、インクタンク側に気体を移動させる機構については、これまでにもいくつかの提案がなされている。
【0021】
例えば、特許文献1においては、記録ヘッド側を、大気連通口を有する第1室と毛管力発生部材を有する第2室とに分離し、第1室とインクタンクとを第1室側の開口の高さが異なる2以上の連通路で連結させることで、連通路の1つからインクタンク側にエアが供給されるようにした構成が開示されている。かかる構成は、第1室と第2室との水頭差、あるいは、第2室に配置した毛管力発生部材によりヘッドに負圧を作用させているものであり、第1室に大気連通口を配置させることができている。
【0022】
しかしながら、この特許文献1の構成は、変形しないインクタンク内のインクを使い切るためにインク供給に応じて大気を導入することが目的であり、インク供給経路内に残留した気泡の排除を目的とするものではない。特に、インクの供給路となる第1室は大気連通口によって大気開放されているため負圧が発生しない、常時大気に触れているもので、本願のようにヘッドに所定の負圧を印加するためインク収容部やインク供給部を実質的に密閉するシステムとは異なり、密閉供給系特有の気体混入についての課題の認識すらない。すなわち、インク供給経路とりわけ第2室ないし記録ヘッド側からの気体をもインクタンクに移送するために同文献開示の技術を適用することはできない。
【0023】
また、他の提案として、特許文献2には、負圧発生部材収納室と液体収納室とを分離可能とした場合に、両者を連結する連通部に気体優先導入路と液体導出路とを配置し、確実に気体を導入できるようにした構成が開示されている。しかしながら、同文献においても、インクタンクと記録ヘッドとの間に毛管力発生部材と大気連通口が配置されている構成が開示されており、特許文献1と同様、大気連通口としての開口から気体が自由に出入りする大気開放系のインク供給路であり、密閉系特有のインク供給経路内に残留した気泡の排除をするという観点すらなく、同文献開示の技術は適用できない。
【0024】
さらに、特許文献3には、下側に液体導出管(drain conduit 66,72,74)と気体導入管(vent conduit 76,82,84)を突出させてなるインク収納容器(ink container 50)が開示され、液体導出管は収納容器の内壁底面に上部開口があり、気体導出管は収納容器の収納空間内部に開口が配置されている構成が示されている。同文献に開示の技術の目的は、リザーバ(reservoir 16,18,20)を有する部材(14)にインクをリフィルするためのシステムの構成であって、リザーバより下流のインク供給経路ないしインクを使用する部分内に残留している気泡除去を目的としたものではない。また、液体導出管と気体導入管の下部開口高さが等しいために管内でメニスカスを形成してしまうと、液体や気体の移動ができなくなるとも考えられる。さらに、インク収納容器および部材14の内部と大気とを連通する連通口が存在せず、かつ負圧を調整する要素がないため、インクの使用を続けて行くと内部の負圧が急激に高まり、インク使用部分に対するインク供給不能に陥る原理のものである。
【0025】
さらに、特許文献4には、負圧発生部材収納室とインク収納室とを有してなるリザーバタンクにインクを補充するための補充タンクが結合可能で、インク収納室の空間に対しその上部および下部において補充タンクが結合した場合に、下部の液体連通管を介して補充タンクからインクがインク収納室に導入される一方、上部の気体連通管を介してインク収納室から空気が補充タンク側に導入されるようにした構成が開示されている。しかしながら、同文献においても、インク収納室と記録ヘッドとの間に負圧発生部材と大気連通口とが配置されている構成において特許文献1および2と本質的に変わりはなく、従って密閉系特有のインク供給経路内に残留した気泡の排除をするという観点すらなく、同文献開示の技術を適用できすることはできない。
【0026】
【特許文献1】
特開平5−96744号公報
【0027】
【特許文献2】
特開平11−309876号公報
【0028】
【特許文献3】
米国特許第6,347,863号明細書
【0029】
【特許文献4】
特開平10−29318号公報
【0030】
【発明が解決しようとする課題】
以上の通り、これら特許文献1〜4には、気体をインクタンクに導入する点については開示があるが、使用状態において密閉構造であるインク供給経路内に滞留する気体を、インクタンク側に円滑に移送し、留めておく目的には、いずれも合致していない。
【0031】
よって本発明は、液体使用部分に対して密閉構造を持つ液体供給システムにおいて、液体使用動作および液体供給動作の障害となる気体を、構造の複雑化を伴うことなく液体供給経路から迅速かつ円滑に排除できるようにすることを目的とする。
【0032】
また、本発明の他の目的は、密閉構造のインク供給経路内に残留する気体を円滑かつ迅速にインクタンク側に移送させると共に、記録装置の実使用時においても、滞留気泡に起因する問題点、すなわちインク供給の不良や混入気泡による吐出口の目詰まり等に起因した記録不良が生じないインクジェット記録装置を提供することにある。
【0033】
さらに、本発明は、インクタンクへの気体の上記移送性能を活用し、インクタンクの構成の簡略化および低廉化を図ることを目的とする。
【0034】
【課題を解決するための手段】
そのために、本発明液は、液体を収納する液体収納部と、前記液体を使用する液体使用部とを液体連通する液体連通構造であって、前記液体連通構造は、それぞれが前記液体収納部と前記液体使用部とを連通する複数の連通路を具え、前記液体収納部側が前記液体収納部内の前記液体の存在によって閉状態となり、かつ、前記液体使用部側が前記液体使用部内の前記液体の存在によって実質的密閉空間を形成し、前記密閉空間内に気体が存在する状態において、前記気体を、前記複数の連通路の一部を介して、前記液体収納部に移送可能であるとともに、前記密閉空間をなす部位に設けられ、前記液体使用部への前記液体の供給に伴って、液体供給経路内部に外気を導入可能な弁機構を具えたことを特徴とする。
【0035】
ここで、前記複数の連通路の少なくとも一部の前記液体使用部側付近に気体が存在する状態において、前記複数の連通路の一部の連通路を介して前記液体収納部から前記液体使用部に前記液体が移動すると同時に、前記複数の連通路の他の一部の連通路を介して前記気体が前記液体収納部に移送されるものとすることができる。
【0036】
そして、前記複数の連通路の少なくとも一部の前記液体使用部側付近に気体が存在する状態において、前記複数の連通路の一部の連通路を介して前記液体収納部から前記液体使用部に前記液体が移動して前記液体使用部内の前記気体圧力が増加することで、前記複数の連通路の他の一部の連通路の連通路を介して前記気体が前記液体収納部に移送されるものとすることができる。
【0037】
以上にあって、液体使用時の姿勢において、鉛直方向に関し、前記液体連通構造は、前記液体収納部より実質的に下位に位置し、さらに前記液体使用部より実質的に上位に位置するものとすることができる。
【0038】
さらに、本発明は、上記のいずれかの液体連通構造を用い、前記液体収納部から前記液体使用部に前記液体を供給可能な液体供給システムに存する。
【0039】
ここで、前記液体収納部は、液体の収納空間を画成するとともに、前記液体使用部への前記液体の供給に伴って前記収納空間の内容積を減少する方向に変位可能な可動部材を少なくとも一部に有するさらに前記液体収納部は、前記変位の方向とは反対の方向に前記可動部材を付勢する付勢部材を有するものとすることができる。
【0040】
または、前記密閉空間に液体連通した状態で設けられ、液体の収納空間を画成するとともに、前記液体収納部から前記液体使用部へ前記液体供給経路を介した液体の供給に伴って、前記収納空間の容積を減少する方向に変位可能な可動部材を少なくとも一部に有するとともに、当該変位の方向とは反対の方向に前記可動部材を付勢する付勢部材を有するものとすることができる。
【0041】
以上において、前記弁機構は、前記液体供給経路内の負圧が所定値以上に高まったときに前記外気の導入を行うものとすることができる。
【0042】
また、前記液体収納部を前記複数の連通路を介して前記液体供給経路に着脱可能とすることができる。
【0043】
ここで、前記液体収納部の非装着時に、前記複数の連通路の前記液体収納部側の開口を閉塞可能なシャッタ部材を具えることができる。
【0044】
また、以上において、前記液体使用部は前記液体としてのインクを吐出することにより記録を行うためのインクジェット記録ヘッドであり、該インクジェット記録ヘッドに前記インクを導くものとすることができる。
【0045】
ここで、前記記録ヘッドを分離可能に一体に構成されてなるものとすることができる。
【0046】
また、本発明は、それらのような液体供給システムを用い、使用時の姿勢において、鉛直方向に関し、前記液体供給経路より前記複数の連通路が実質的に上位に位置し、さらに前記液体収納部が前記複数の連通路より実質的に上位に位置するよう前記液体供給システムを保持して記録を行うインクジェット記録装置に存する。
【0047】
さらに、本発明は、以上のいずれかの形態の液体供給システムに用いられる前記液体収納部をなし、前記複数の連通路を介して前記液体供給経路に接続可能である液体タンクに存する。
【0048】
また、上記液体供給システムにおいて、前記弁機構は、前記液体供給経路内への前記外気の導入は許可し、反対方向への液体または気体の移動を許可しないものとすることができる。
【0049】
さらに、本発明は、液体としてのインクを吐出することにより記録を行うためのインクジェット記録ヘッドであって、上記いずれかの形態の液体連通構造を一体に有することを特徴とする。
【0050】
ここで、インクジェット記録装置に対し着脱可能なカートリッジの形態を有するものとすることができる。
【0051】
加えて、本発明液体タンクは、上記いずれかの形態の液体連通構造に接続される前記液体収納部をなし、前記複数の連通路を介して前記液体連通構造に接続可能なカートリッジの形態を有することを特徴とする。
【0052】
また、本発明液体タンクは、上記インクジェット記録ヘッドが有する前記液体連通構造に対して、前記複数の連通路を介して接続可能なカートリッジの形態を有することを特徴とする。
【0053】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明をインクジェット記録装置に適用したいくつかの実施の形態について図面を参照して説明する。
【0054】
なお、本明細書において、「記録」とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する場合、または記録媒体の加工を行う場合を言うものとする。
【0055】
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板等、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能な物も言うものとするが、以下では「用紙」または単に「紙」ともいうものとする。
【0056】
なお、本発明の液体供給システムに用いられる液体として、以下の各実施形態ではインクを例にとって説明を行っているが、適用可能な液体としては、インクに限ることなく、例えばインクジェット記録分野にあっては、記録媒体に対する処理液などを含むことは言うまでもない。
【0057】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態による液体供給システムの模式的断面図である。
【0058】
図1に示す実施形態のインク供給システムは概して、液体収納容器としてのインクタンク10と、インクジェット記録ヘッド(以下、単に「記録ヘッド」と称する)20と、それらの間を連絡するインク供給路を形成する供給部50とから構成されている。供給部50は、記録ヘッド20と分離可能または分離不能に一体のものでも良く、また、記録ヘッド20を搭載するキャリッジに設けられてその上部からインクタンク10が着脱可能であるとともに、当該装着時においてインクタンク10から記録ヘッド20に至るインク供給経路を閉成するものでも良い。
【0059】
インクタンク10は、概してインク収納空間が画成されるインク収納室12からなり、インク収納室12内には記録ヘッドから吐出させるためのインクが収納され、吐出動作に伴って記録ヘッドに供給される。
【0060】
インク収納室12には、一部に変形可能な可撓性膜(シート部材)11が配設されており、この部分と不撓性の外装15との間でインクを収納する空間を画成している。このシート部材11から見たインク収納空間に対する外側空間、すなわち図におけるシート部材11に対して上側の空間は、大気に開放され大気圧と等しくされている。さらにこのインク収納空間内は、下方に設けられている供給部材への接続部およびバルブ室への連通路13を除いて、実質的に密閉空間を形成している。
【0061】
本例のシート部材11の中央部分は平板状の支持部材である圧力板14によって形状が規制されており、その周縁部分が変形可能となっている。そして、このシート部材11は、予めその中央部分が凸状に形成されていて、側面形状がほぼ台形となっている。このシート部材11は、後述するように、インク収納空間内におけるインク量の変化や圧力変動に応じて変形する。その際に、シート部材11の周辺部分がバランスよく伸縮変形し、そのシート部材11の中央部分がほぼ水平姿勢を保ったまま、図の左右方向に平行移動する。このようにシート部材11がスムーズに変形(移動)するため、その変形に伴う衝撃の発生がなく、衝撃に起因するインク収納空間内に異常な圧力変動が生じることもない。
【0062】
またインク収納空間内には、圧力板14を介してシート部材11を図の右方向に付勢する押圧力を作用することで、記録ヘッドのインク吐出部に形成されるメニスカスの保持力と平衡して記録ヘッドのインク吐出動作が可能な範囲にある負圧を発生させる圧縮ばね形態のばね部材40が設けられている。それとともに、インク収納室内の空気が環境変化(周囲温度や気圧)によって体積変動した場合、ばねとシートの変位で受容し、室内の負圧が大きく変動しないようになっている。(この表現は、他の件にも反映させてください。この機構はバッファ効果がメインで、ある程度の負圧を発生している程度。タンク内の負圧を制御するのは一方向バルブがメイン。)19はばね部材40を支持する固定部材である。
【0063】
なお、図1の状態は、インク収納空間内にほぼ完全にインクが充填された状態を示しているが、この状態でもばね部材40は圧縮された状態にあり、インク収納空間内に適切な負圧が生じているものとする。
【0064】
記録ヘッド20とインクタンク10との結合は、図示の例では記録ヘッドに一体に設けられている供給部50の接続部51がインクタンク10内に挿入されることによってなされる。これによって両者が流体的に結合され、記録ヘッド20へ向けてインクが供給可能となる。なお、この接続部51が挿通されるインクタンク側開口にはゴム等の封止部材17が取り付けられ、接続部51の周囲に密着してインクタンク10からのインク漏出を防止するとともに、接続部51とインクタンク10との接続を確実なものにしている。なお、封止部材17には、接続部51の挿通を容易とするために、当該挿通位置に予めスリット等を形成しておいてもよい。そして、接続部51が挿通されないときは、封止部材17自体の弾性力によってスリットが閉じられることにより、インクの漏出を防止しているものである。
【0065】
接続部51は内部が軸方向に沿って2分割された中空針状の部材であり、それぞれの中空部の、上側すなわちインク収納室12内に位置づけられる開口位置(以下、タンク側開口位置という)は鉛直方向に関してほぼ同一の高さである一方、下側すなわちヘッドに連結された供給部内での開口位置(以下、ヘッド側開口位置という)は高さが異なる構成となっている。以下、供給部50内でのヘッド側開口位置が鉛直方向において相対的に下にある方の流路(図中の右の流路)をインク流路54、ヘッド側開口位置が鉛直方向において上にある方の流路(図中の左の流路)をエア流路54と称するが、これは気泡排除過程において、主としてインク流路53からインクが記録ヘッド側に導出され、エア流路54からはインクタンク側にエアが移送されるからであって、後述するように各流路においてインクおよびエアの両者の移動も行われるものである。すなわち、それら流路の呼称は、それぞれの流体専用であることを意味するものではない。
【0066】
供給部50内におけるインク供給経路は、インクタンク10との接続部(上流)側から徐々に拡大し、そして記録ヘッド20(下流)に向かって縮小する断面を有する。インク供給経路の最大拡大部にはフィルタ23が備えられ、供給されるインク中に混入した不純物が記録ヘッド20内へ流れ込んでいくことを防止している。気体の滞留によって形成される供給部50内の気液界面は、流路53および54の横断面積より大きい。こうすることで、流路53を通してインクタンク10内のインクの水頭差が供給部50内のインクにかかった場合に、供給部50内に存在する気体の圧力がより高まり、エア流路54から容易にインクタンク10に向けて気体を排出することが可能となる。
【0067】
供給部50には、インク供給経路内の負圧が所定値以上に高まったときに外部から気体(空気)を導入するとともに、供給部50からのインク漏出を阻止するための一方向弁が設けられる。この一方向弁は、連通口36を有して弁閉鎖部材となる圧力板34と、バルブ室筐体内壁の連通口36との対向位置に固定されて連通口36を密閉可能なシール部材37と、圧力板と接合されるとともに連通口36が貫通したシート部材31とを有し、バルブ室30内においても供給部50への連通口13および大気への連通口36を除いて実質的に密閉空間を維持している。そしてシート部材31より図中左側の、バルブ室筐体内の空間は、大気連通口32によって大気に開放され、大気圧と等しくされている。
【0068】
シート部材31は、中央部分の圧力板34と接合されている部分以外の周縁部分は変形可能となっている。このような構成をとることによって弁閉鎖部材である圧力板34の、図の左右方向への移動が円滑に行われる。
【0069】
バルブ室30の内部には、弁の開放動作を規制するための弁規制部材として、ばね部材35を設けてある。ここでもばね部材35はやや圧縮された状態としておき、この圧縮の反力によって圧力板34を図の左方に押す構成としている。このばね部材35の伸縮によって、連通口36に対するシール部材37の密着/離間を行うことで弁としての機能をもたせ、さらに大気連通口32から連通口36を介してバルブ室30内部への気体の導入のみを許可する一方向弁機構としている。
【0070】
ここでシール部材37としては、連通口36が確実に密閉されるものであればよい。すなわち、少なくとも連通口36と接触する部位が開口面に対して平坦性を保つ形状を有したもの、あるいは連通口36の周囲に密着可能なリブを有したもの、さらには連通口36内に先端が突入して連通口36を閉塞可能な形状を有するものなど、密着状態が確保できるものであればよく、またその材質も特に限定されない。しかし、この密着はばね部材35の伸長力で達成されるものであるので、この伸長力の作用によって動くシート部材31と圧力板34に追随し易いもの、すなわち収縮性をもつゴムのような弾性体でシール部材を形成することは、より好ましい。
【0071】
記録ヘッド20には、所定方向(例えば後述のようにキャリッジ等の部材に搭載されて記録媒体に対し相対移動しつつ吐出動作を行うシリアル記録方式を採るものにあっては当該移動方向と異なる方向)に配列された複数の吐出口と、各吐出口に連通する液路と、液路に配置されてインクを吐出するために利用されるエネルギを発生する素子とが設けられる。ここで、記録ヘッドにおけるインクの吐出方式すなわちエネルギ発生素子の形態は特に限定されるものではなく、例えば、通電に応じ発熱する電気熱変換体を当該素子として用い、その発生する熱エネルギをインク吐出に利用するものであってもよい。その場合には、電気熱変換体の発熱によってインクに膜沸騰を生じさせ、そのときの発泡エネルギによってインク吐出口からインクを吐出させることができる。また、電圧の印加に応じて変形するピエゾ素子のような電気機械変換素子を用い、その機械的エネルギを利用してインク吐出を行うものでも良い。
【0072】
なお、記録ヘッド20および供給部50は、分離可能または分離不能に一体化されたものでもよく、また別体に構成されて連通路を介し接続されるものでも良い。一体化した場合には、記録装置内の搭載部材(例えばキャリッジ)に着脱可能なカートリッジの形態とすることもできる。
【0073】
また、図示の例ではインク収納室12内のばね40およびバルブ室30内のばね35をともにコイルばねの形態として模式的に示しているが、他の形態のばねを用い得るのは勿論である。特に、例えば円錐弦巻ばねとすることもできるし、板ばねを用いることもできる。さらに板ばねを用いる場合には、断面略U字形状を有する一対の板ばね部材を、U字形状の開放端同士を対応させた状態で組合せてなるものでもよい。
【0074】
図2〜図7を用い、供給部50に滞留するのインクタンクへの気泡除去の過程を説明する。
【0075】
図2は、新しいインクタンク10が供給部50ないし記録ヘッド20に未装着状態である状態を示す。ここで、インクタンク10は完全にインクIが充填されている状態であり、ばね部材40による負圧が発生しているとともに、シート部材11がインクタンク外側へ突出した状態となっている。記録ヘッド20側においては、それまで装着されていたインクタンク10が空になっても供給部50に残ったインクを使用して記録が行われていたため、そのインクタンク側からエアが侵入し、供給部50におけるフィルタ23の上流領域において上部に気体が溜まっている状態となっている。
【0076】
図3は、図2の状態から、新たなインクタンク10を装着した瞬間の状態を示す。記録ヘッド20ないし供給部50側は大気に開放されている状態であるために、フィルタ23の上流領域の気体の圧力は大気圧と等しい。それに対し、インクタンク内は、ばね部材40により大気圧よりも低い圧力(負圧)となっている。これにより、インクタンク10を装着した瞬間にフィルタ23の上流領域の気体の一部がインク収納室12内に移動してその上部に溜まり、インク収納室12内と供給部50内とで圧力が平均化される。しかしながら、接続部51のインク流路53およびエア流路54内ではそれぞれインクがメニスカスを形成しており、そのメニスカスにより、圧力バランスがつりあった段階で気体の移動が停止する。供給部側の気体の容積によってはこの状態で気体除去が完了する場合もあるが、図示の場合には気体の容積が大きく、除去すべき気体が残存している。
【0077】
図4は、記録ヘッド20からインクを例えば滴として吐出させている状態を模式的に示している。インクを吐出させると、記録ヘッド20ないし供給部50内の負圧が高まり、接続部51に形成されるインクのメニスカスを破り、インクタンク10から供給部50に向けてインクが移動する。これに伴い、インク収納室12の内容積が減少し、シート部材11が圧力板14に規制されつつ下方に向けて変形する。これによりばね部材40が圧縮され、インク収納室12内の負圧も高まる。
【0078】
ここで、本実施形態では、インク流路53とエア流路54とは管径をほぼ等しくしてあり、そのため流路の圧力損失は記録ヘッド20ないし供給部50内の負圧に対して大きな差がなく、流路それぞれからインクが供給される。インク流路53のヘッド側開口53hがインクに接している図示の状態では、インク流路53からそのままインクが流れ込む一方、供給部50ないし記録ヘッド20内で生じた気泡はフィルタ上流領域に移動し、既に残存している気体とともに当該領域すなわち供給部50の上部に滞留している。この状態で、エア流路54のヘッド側開口54hの位置において、インクはメニスカスを形成するが、記録ヘッド20ないし供給部50内の負圧が高ければ滴下する。なお、本実施形態においては、記録動作に伴うインク吐出または記録動作以外の動作として行うインク吐出(予備吐出)により、接続部51内がインクで満たされた状態となるが、記録ヘッド20の吐出口形成面をキャップ部材で封止し、吸引ポンプにより、吐出口からインクを排出することによりこの状態を得ることもできる。
【0079】
図5は、インク吐出あるいは吐出口形成面側からのインク吸引が停止した状態を示す。この状態で、水頭差により、インク流路53では供給部50へのインク移動が生じるような力が発生し、エア流路54ではインクタンク10側へのエア排出が生じるような力が発生する。
【0080】
図6は、それらの力により、供給部50へのインク移動とインクタンク10側へのエア排出とが同時に進行している状態である。
【0081】
図7は、フィルタ上流領域内の気液界面がエア流路54のヘッド側開口54hの位置まで上昇した状態を示している。そしてこの状態で、インク移動およびエア排出が停止する。
【0082】
以上の通り、本実施形態によれば、接続部51の内部を2分割して2つの流路を設け、各流路のヘッド側開口位置の高さに差をつけることで、複雑な構成を必要とすることなく、フィルタ上流領域の滞留気体をインクタンク側に速やかに移送することが可能となる。
【0083】
また、インクタンクの交換操作後に若干のインク吐出あるいは吐出口形成面側からのインク吸引等を行えば供給部内に滞留していた気体を迅速かつ円滑にインクタンク側に移送して供給経路から排除できることになり、吐出口側から吸引動作を行うことによって気体を排除する場合のような大量のインク浪費が生じることもない。
【0084】
次に、図1、図8および図9を用いて、インクタンク10から記録ヘッド20へのインク供給の過程で、インク供給系内の圧力が所定値より小さくなったとき(負圧が所定値以上に高まったとき)の動作について説明する。
【0085】
インクタンク10内にインクが十分に満たされている図1の初期状態からインク消費(記録ヘッドへのインク供給)が始まり、これに追従してシート部材11ないし圧力板14はインク収納空間の内容積を減少させる方向(図1の左方向)に変位して行き、図8に示す位置に至る。
【0086】
この状態からさらにインク消費が進むと、インクタンク10ないし記録ヘッド20に至るインク供給系内は、内部のインク量が減少した分、圧力が減少(負圧が増大)する。
【0087】
そして、図9に示すように、インク供給系内の負圧と、バルブ室30内における弁規制部材によって作用する力等とがつりあった状態からさらにインク消費が継続されて負圧がさらに強まった瞬間に、連通口36が開放されて大気の流入が生じ、供給部50内にインクが取り込まれる。このときに供給部50内の負圧が緩和され連通口36が閉鎖される。このよう、バルブユニットによりインク流路およびヘッドには、所定の負圧が安定して印加され、ヘッドの吐出特性を良好にする。一方、インクタンク10内での負圧とのバランスにより、供給部50内の気体は、接続部51に形成される流路の少なくとも一方(ヘッド側開口54hのみが気体に接しているのであればエア流路54)を介して、インクタンク10内に移送される。
【0088】
以上のように、インクタンク10内に適宜気体の導入が行われることによって、収納するインクを効率的に、ほぼすべてを消費しきることができるようになる。
【0089】
また、バルブ室30を供給部50側に配置して外気の取り込みを可能とするとともに、供給部50側からインクタンク側に円滑に気体を移送できる構成としたことにより、交換頻度の高い部材であるインクタンク10の構成の簡略化および低廉化の面で有利である。
【0090】
さらに、上記インクタンク10の構成において、インクタンクの周囲環境の変化、例えば、温度上昇あるいは減圧等が生じても、シート部材11ないし圧力板14の左方への最大変位位置から初期位置までの間の容積分、収納空間内に取り込まれている空気の膨張が許容されるので、換言すれば当該容積分の空間がバッファ領域として機能するので、周囲環境の変化に伴う圧力の上昇を緩和し、吐出口からのインク漏出を効果的に防止することができる。
【0091】
また、初期充填状態からの液体導出に伴いインク収納空間の内容積が減少し、バッファ領域が確保されるまでは、気体が移送されてこないので、それまでに周囲環境の急激な変化や振動や落下などが生じてもインク漏れが発生しない。さらに、インク未使用状態から予めバッファ領域を確保しているのではないので、インク収納容器の容積効率も高く、コンパクトな構成とすることができる。
【0092】
また、インクに色材として顔料を含むものを用いた場合は、エアーがタンクに輸送される際に、顔料粒子の沈降を拡散させ、インクの保存安定性や吐出の信頼性を確保できる。
【0093】
(第2の実施形態)
以上の第1の実施形態によれば、供給部50に滞留した気体ないしはバルブ室30から供給部50に導入された気体を、インクタンク10および供給部50の内部の圧力のバランスによって接続部51を介しインクタンク10内に適宜移送することで、インクタンク10に収納されたインクを効率的に、ほぼすべて消費しきることができるようになる。
【0094】
図10(a)は、このようにインク収納部に収納していたインクをすべて使い切った後、交換のためにそのインクタンクを取り外した状態を、また同図(b)は、インクが完全に充填されている新たなインクタンクを装着するときの状態を示している。
【0095】
これらの図10(a)および(b)から明らかなように、また図2についても説明したとおり、インクタンク10が取り外された状態では、接続部51のタンク側開口53tおよび54hは大気に開放されるので、記録ヘッド20ないし供給部50側は大気に開放されている状態であるために、フィルタ23の上流領域の気体の圧力は大気圧と等しい。それに対し、インクタンク内は、ばね部材40により大気圧よりも低い圧力(負圧)となっている。これにより、インクタンク10を装着した瞬間にフィルタ23の上流領域の気体の一部がインク収納室12内に移動してその上部に溜まり、インク収納室12内と供給部50内とで圧力が平均化される。しかしながら、接続部51のインク流路53およびエア流路54内ではそれぞれインクがメニスカスを形成しており、そのメニスカスにより、圧力バランスがつりあった段階で気体の移動が停止する。供給部側の気体の容積によってはこの状態で気体除去が完了する場合もあるが、図示の場合には気体の容積が大きく、除去すべき気体が残存している。
【0096】
よって、記録ヘッド20からインクを吐出または強制排出させることで記録ヘッド20ないし供給部50内の負圧をが高め、接続部51に形成されるインクのメニスカスを破ってインクタンク10から供給部50に向けてインクを移動させる一方、供給部50側の気体をインクタンク10に移送させている。
【0097】
本構成の場合は、インクタンク交換に時間を要しない場合は問題ないが、インクタンクをはずして長期間放置した場合は、連通路が大気開放状態であるため、ノズルには正圧がかかり、振動などの外部要因も加わるなどすると、ノズルからインクが漏出するような場合がある。また、連通路からのインク蒸発でその部分のインク固着などが発生する場合もある。
【0098】
図11は、上記構成において、さらに長期信頼性をも実現したもので、第2の実施形態に係る液体供給システムの模式的断面図である。この構成は、接続部51に設けられたインク流路53のタンク側開口53tおよびエア流路54のタンク側開口54tを閉塞可能なゴム等の弾性部材によるシャッタ57と、このシャッタ57を当該閉塞位置に位置づけるべく支持するためのばね58とを供給部50に設けたものである。
【0099】
かかる構成によれば、インクタンク10が取り外された状態では、それまでインクタンク10によって圧縮されていたばね58が伸長してシャッタ58がタンク側開口53tおよびタンク側開口54tを閉塞し、供給部50内の圧力が保持される。また、新たなインクタンク10が取り付けられる状態では、当該取り付け操作に伴ってばね59が圧縮され、接続部51がインクタンク10内に突入した状態で開口53tおよび54t側がインクタンク内で開放される。
【0100】
すなわち、インクタンクの交換操作中にわたってヘッド側の密閉状態が維持されるため、長時間インクタンクをはずした状態でも、インク固着などが発生せず、またヘッドへの負圧も維持されているため、ノズルからのインクたれ出し等の不具合が発生しない。
【0101】
(第3の実施形態)
次に、インクタンクの構成をさらに簡略化・低廉化するための液体供給システムの構成について説明する。
【0102】
図12はかかる構成を説明するための液体供給システムの模式的断面図である。本実施形態が第1の実施形態と異なるのは、インクタンク10’には上述した負圧発生昨日およびバッファ機能を実現する手段を設けることなく、そのままインクを収納する形態とする一方、同様の機能を実現する機能室400を供給部50側に設けたものである。
【0103】
ここで、機能室400を構成する筺体内は、変形可能な可撓性膜(シート部材)411によって2つの空間に区画されており、当該区画された一方の空間が連通口432を介して大気に開放され、大気圧と等しくされている。また、他方の空間は連通口413を介して供給部50に接続され、インク連通している。
【0104】
シート部材411の中央部分は平板状の支持部材である圧力板414によって形状が規制されており、その周縁部分が変形可能となっている。そして、このシート部材411は、予めその中央部分が大気開放側の空間に向かって凸状に形成されていて、側面形状がほぼ台形となっている。また、インク連通側空間内には、圧力板414を介してシート部材411を図の上方向に付勢する押圧力を作用することで、記録ヘッドのインク吐出部に形成されるメニスカスの保持力と平衡して記録ヘッドのインク吐出動作が可能な範囲にある負圧を発生させる圧縮ばね形態のばね部材440が設けられている。
【0105】
すなわち、機能室400の内部は、第1実施形態におけるインクタンク10の内部とほぼ同様に構成され、同様の機能を果たすものである。なお、図12の状態は、インクタンク10’内にほぼ完全にインクが充填された状態を示しているが、この状態でばね部材440は圧縮された状態にあり、インク供給系内には適切な負圧が生じているものとする。
【0106】
図12〜図15を用いて本実施形態の動作を説明する。
図13は図12の初期状態からインクを排出し始めた状態を示し、まずシート部材411ないし圧力板414が変形して、機能室400のインク連通側空間の内容積が収縮し、バッファ領域が確保される。
【0107】
図14はこの後、さらにインクが排出されて機能室400のインク連通側空間を含む液体供給系内の負圧が高まることでバルブ室30から供給部50内に外気を取り入れ、さらにインクタンク10’に対して気体を移送し始めた状態である。
【0108】
図15は、供給部50に滞留した気体ないしはバルブ室30から供給部50に導入された気体を、インクタンク10’に適宜移送する一方、供給室50内にインクを移動させることで、インクタンク10’に収納されたインクを効率的に消費して行く状態の説明図である。そして、このような状態で温度の上昇や減圧などの環境変化が生じた場合には、インクタンク10’ないし供給部50内の気体が膨張し、インク供給系内の圧力が高まることになるが、それを機能室400が果たすバッファ機能が吸収するので、記録ヘッド20に不都合な加圧力を作用することを防止できることになる。
【0109】
本実施例は、消耗品であるインクタンクに機能部品をほとんど設けず、ヘッド側に設けたことにより、消耗品の価格を極めて安価にすることが可能である。それだけでなく、ヘッド部に大気の導入を許可して、逆に供給路内のインクや空気の排出を許可しない一方向バルブと、環境変化に対応して所定の負圧を維持するバッファを設けることにより、バルブからの大気導入の際に生じる負圧の変動(リップル)に対し、バッファが瞬時にリップルを平滑化させるコンデンサの役割をはたすため、ヘッドに対しての負圧変動がより抑えられ、ヘッドの吐出特性を極めて安定させるものである。
【0110】
(インクジェット記録装置の構成例)
図16は、本発明を適用可能なインクジェット記録装置の構成例を説明するための図である。
【0111】
本例の記録装置150はシリアルスキャン方式のインクジェット記録装置であり、ガイド軸151,152によって、キャリッジ153が矢印Aの主走査方向に移動自在にガイドされている。キャリッジ153は、キャリッジモータおよびその駆動力を伝達するベルト等の駆動力伝達機構により、主走査方向に往復動される。キャリッジ153には、上記のいずれかの実施形態を可とし、記録ヘッドないし供給部と、これに装着されてインクを供給するインクタンクとからなる液体供給システム154が搭載される。記録媒体としての用紙Pは、装置の前端部に設けられた挿入口155から挿入された後、その搬送方向が反転されてから、送りローラ156によって矢印Bの副走査方向に搬送される。記録装置150は、記録ヘッドを主走査方向に移動させつつ、プラテン157上の用紙Pの記録領域に向かってインクを吐出させる記録動作と、その記録幅に対応する距離だけ用紙Pを副走査方向に搬送する搬送動作と、を繰り返すことによって、用紙P上に順次画像を記録する。
【0112】
なお、記録ヘッドは、上述のように、インクを吐出するためのエネルギとして、電気熱変換体から発生する熱エネルギを利用するものであってもよい。その場合には、電気熱変換体の発熱によってインクに膜沸騰を生じさせ、そのときの発泡エネルギによって、インク吐出口からインクを吐出することができる。また、記録ヘッドにおけるインクの吐出方式は、このような電気熱変換体を用いた方式のみに限定されず、例えば、圧電素子を用いてインクを吐出する方式等であってもよい。
【0113】
キャリッジ153の移動領域における図16中の左端には、キャリッジ153に搭載された記録ヘッドのインク吐出口の形成面と対向する回復系ユニット(回復処理手段)158が設けられている。回復系ユニット158には、記録ヘッドのインク吐出口のキャッピングが可能なキャップと、そのキャップ内に負圧を導入可能な吸引ポンプなどが備えられており、インク吐出口を覆ったキャップ内に負圧を導入することにより、インク吐出口からインクを吸引排出させて、記録ヘッドの良好なインク吐出状態を維持するための回復処理を行うことができる。また、画像形成とは別に、キャップ内に向かってインク吐出口からインクを吐出させることによって記録ヘッドの良好なインク吐出状態を維持する回復処理(予備吐出処理」ともいう)を行うこともできる。
【0114】
(その他)
なお、インクタンクおよび供給部間の気液交換を円滑にするための接続部の構成、特に気体の移送に伴うインク移動の開始を円滑に行わせるためのインク流路の構成は、上述のようにそのヘッド側開口を鉛直方向に関して相対的に低い位置となるようにする構成に限られない。
【0115】
インク流路のヘッド側開口の位置とエア流路のヘッド側開口の位置に高さの差を設けなくても、例えば、上述のように内部を2分割して接続部51に2つの流路を設けるとともに、一方のヘッド側開口の一部が供給部の内壁面に接するようにしたり、あるいは一方の流路に沿って微細な溝を形成する部分を併設し、さらにその溝がヘッド側開口からさらに延長して供給部内方に突出するようにしたりすることで、当該ヘッド側開口部において高い圧力を作用するメニスカスが形成されなくなるようになし、これにより当該流路からインクが供給部内に流れ落ち易くなるようにすることができる。
【0116】
また、当該開口部分を拡大した形状とすること、流路間で径に差をつけること、あるいは材質の適切な選択や表面処理を行うことで流路内面の状態が流路間で異なっているようにすることなどによっても、同様の効果が期待できる。
【0117】
加えて、記録ヘッド側ないしインク供給部側にインク流路およびエア流路を有する接続部を設ける代わりに、インクタンク側にこれを設け、供給部内に突入可能な構成とすることもできる。
【0118】
また、内部を2分割して2つの流路を形成した接続部とするのではなく、各流路を形成する別体の部材としてもよい。さらに、流路の数は2つに限られず、3以上設けられるものでもよい。また、内部を複数に分割して複数の流路を形成する接続部とする場合にも、上例のように流路間の隔壁を直線状に形成するのみならず、同心円状に形成することで多重管構成の接続部とすることができる。
【0119】
さらに、内部を複数に分割して複数の流路を形成する接続部とする場合、気体の移送とインクの移動とが相互に干渉して円滑かつ迅速な気液交換を阻害しない限り、各流路が完全に区画されていなくても良い。
【0120】
上述のインク供給システムの諸実施形態では、基本的にいずれも吸収体等にインクを保持させずにそのまま貯留ないし供給されるようにした構成を採用する一方、可動部材(シート部材、圧力板)とこれを付勢するばね部材とにより負圧発生手段を構成するとともに供給システム内を密閉構造とすることで、記録ヘッドに対して適切な負圧を作用するようにした。
【0121】
かかる構成は、吸収体により負圧を発生させる従来技術の構成に対して、容積効率が高く、かつインク選定の自由度も向上できるものである。また、そればかりでなく、近年の記録の高速化に伴って求められるインク供給の高流量化や安定化の要望にも好ましく応え得るものである。しかし、インクタンクの一部に吸収体が設けられている構成であっても、本願発明を適用できることは勿論である。
【0122】
また、供給経路に滞留する気体を排除する目的に対しては、記録ヘッドから最も離れた最上流位置であるインクタンクにこれを移送するものとし、そのために複数の流路を介してインクタンクとインク供給経路とを連結するとともに、両者の圧力のバランスを利用することでインクタンクからのインク導出とインクタンクへの気体導入とが並行して行われるようにした。
【0123】
かかる構成によれば、供給経路内の滞留気体を、複雑な装置を必要とせず、部品点数の増加が少なく簡単な構造でありながら、円滑かつ迅速にインクタンク側に排除することができる。また、排除のタイミングも、気体がある程度蓄積すると圧力のバランスに従って自ずと行われるため、気体排除の信頼性が高いものである。また、かかる構成は、インク供給経路すなわち供給部に外気を導入することで負圧維持を行うための弁機構を設けた場合にも、導入された気体が多くなれば自ずと排除されるために有利な構成であり、これはインクタンクによって負圧を発生する場合より一層構成の簡略化および低廉化に資することができる構成である。
【0124】
また、気体排除の過程において、常にインクタンクの負圧を維持しているのでインクジェット記録ヘッドのインク吐出口などからの液体漏洩を確実に防止することができる。さらには、気体をインクタンク側に排除することによって、記録ヘッドの吐出口側からインク吸引を行うことで気体を排除する方法に比較してインク消費量を格段に減少させることができ、インク浪費を抑えて、ランニングコストの低減にも貢献するものである。
【0125】
加えて、供給経路に対して着脱可能に構成されたインクタンクを用いる場合において、従来は、交換操作時に供給経路側に気体が侵入することを防止するために、供給経路がインクで満たされている状態で、すなわちインクを完全に消費しきる前にインクタンクの交換を行っている場合が多かった。しかし上記構成によれば、交換操作時に供給経路内に気体が侵入しても、新たなインクタンクを装着すればそのインクタンクに対して容易に排除できるので、インクが完全に消費された後に交換を行うことができ、またこれにより、ランニングコストのさらなる低減できるのみならず、環境問題に対しても資するところが大きい。
【0126】
さらに、上述の実施形態においてはいずれも、通常の使用時の姿勢においてインクタンクを最も高所に配置し、供給部ないし記録ヘッドが低所に配置されている。これは、気液交換を迅速かつ円滑に、かつ簡単な構成で行う上で非常に好ましい配置である。
【0127】
なお、インクタンクの構成にもよるが、インクタンクに導入された気体は、これがインク供給経路に戻らず、インク供給が阻害されない位置であれば、インクタンク内のどこに貯留されてもよい。しかし、インクを吸収体などに含浸させずにそのまま貯留するようにした上記実施形態の構成は、導入された気体がそのままインクタンク内の最上部に位置することになるので、好ましいものである。
【0128】
そしてこのように、インクタンク内に吸収体が存在しない場合には、タンクの容積そのものがインクの容量となりうるので、必要以上にインクタンクを大きくする必要がなく、またタンクの形状も比較的自由に設計できるのである。
【0129】
また、以上の説明では本実施形態の記録方式として、シリアル型のインクジェット記録装置を適用してきたが、本発明および本実施形態はこれに限定されるものではない。また、シリアル型でなくライン走査型の記録装置であっても本発明および本実施形態を適用することは可能である。さらに、液体供給システムは、インクの色調(色や濃度など)に対応して複数設けることができるのは言うまでもない。
【0130】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、液体使用部分に対して密閉構造を持つ液体供給システムにおいて、液体使用動作および液体供給動作の障害となる気体を、構造の複雑化を伴うことなく液体供給経路から迅速かつ円滑に排除できるようになった。
【0131】
また、インクジェット記録装置に適用した場合、密閉構造のインク供給経路内に残留する気体を円滑かつ迅速にインクタンク側に移送させると共に、記録装置の実使用時においても、滞留気泡に起因する問題点、すなわちインク供給の不良や混入気泡による吐出口の目詰まり等に起因した記録不良を防止できる。
【0132】
また、インクに色材として顔料を含むものを用いた場合は、エアーがタンクに輸送される際に、顔料粒子の沈降を拡散させ、インクの保存安定性や吐出の信頼性を確保できる。
【0133】
さらに、本発明は、インクタンクへの気体の上記排除性能を活用することにより、インク供給系内の負圧を好ましい状態に維持するために外気を導入する機構をインク供給経路側に設け、これによってインクタンクの構成の簡略化および低廉化を図ることができる。
【0134】
以上より、ヘッドへの負圧を安定化した状態でインク供給できる本発明によって、印字性能と信頼性およびコストダウンが同時に実現可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態による液体供給システムの模式的断面図である。
【図2】第1の実施形態における気体除去過程を説明するための図であり、新しいインクタンクが供給部ないし記録ヘッドに未装着である状態を示す模式的断面図である。
【図3】第1の実施形態における気体除去過程を説明するための図であり、図2の状態から、新たなインクタンクを装着した瞬間の状態を示す模式的断面図である。
【図4】第1の実施形態における気体除去過程を説明するための図であり、記録ヘッドからインクを吐出させている状態を示す模式的断面図である。
【図5】第1の実施形態における気体除去過程を説明するための図であり、図4のインク吐出あるいは排出が停止した状態を示す模式的断面図である。
【図6】第1の実施形態における気体除去過程を説明するための図であり、図6の状態からインク移動と気体排出とが同時に進行している状態を示す模式的断面図である。
【図7】第1の実施形態における気体除去過程を説明するための図であり、インク移動および気体排出が停止した状態を示す模式的断面図である。
【図8】第1の実施形態における負圧調整のための外気取入れ動作を説明するための説明図である。
【図9】第1の実施形態における負圧調整のための外気取入れ動作を説明するための説明図である。
【図10】(a)および(b)は、第1の実施形態の構成によるインクタンク交換操作時の状態を説明するための説明図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る液体供給システムの構成を説明するための模式的断面図である。
【図12】本発明の第3の実施形態に適用されるインク供給システムの構成を説明するための模式的断面図である。
【図13】第3の実施形態に係る液体供給システムの動作を説明するための模式的断面図である。
【図14】第3の実施形態に係る液体供給システムの動作を説明するための模式的断面図である。
【図15】第3の実施形態に係る液体供給システムの動作を説明するための模式的断面図である。
【図16】本発明を適用可能なインクジェット記録装置の構成例を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 インクタンク
11 シート部材
12 インク収納室
13 連通口
14 圧力板
17 封止部
19 固定部材
20 記録ヘッド
22 フィルタ
30 バルブ室
31 バルブ室シート部材
34 バルブ室圧力板
35 バルブ室ばね部材
32,36 連通口
37 シール部材
40 ばね部材
50 供給部
51 接続部
53 インク流路
54 エア流路
150 インクジェット記録装置
154 液体供給システム
153 キャリッジ
158 回復系ユニット
430 機能室
431 バルブ室シート部材
434 バルブ室圧力板
435 バルブ室ばね部材
432,436 連通口

Claims (19)

  1. 液体を収納する液体収納部と、前記液体を使用する液体使用部とを液体連通する液体連通構造であって、
    前記液体連通構造は、それぞれが前記液体収納部と前記液体使用部とを連通する複数の連通路を具え、
    前記液体収納部側が前記液体収納部内の前記液体の存在によって閉状態となり、かつ、前記液体使用部側が前記液体使用部内の前記液体の存在によって実質的密閉空間を形成し、
    前記密閉空間内に気体が存在する状態において、前記気体を、前記複数の連通路の一部を介して、前記液体収納部に移送可能であるとともに、
    前記密閉空間をなす部位に設けられ、前記液体使用部への前記液体の供給に伴って、液体供給経路内部に外気を導入可能な弁機構を具えたことを特徴とする液体連通構造。
  2. 前記複数の連通路の少なくとも一部の前記液体使用部側付近に気体が存在する状態において、前記複数の連通路の一部の連通路を介して前記液体収納部から前記液体使用部に前記液体が移動すると同時に、前記複数の連通路の他の一部の連通路を介して前記気体が前記液体収納部に移送されることを特徴とする請求項1に記載の液体連通構造。
  3. 前記複数の連通路の少なくとも一部の前記液体使用部側付近に気体が存在する状態において、前記複数の連通路の一部の連通路を介して前記液体収納部から前記液体使用部に前記液体が移動して前記液体使用部内の前記気体圧力が増加することで、前記複数の連通路の他の一部の連通路の連通路を介して前記気体が前記液体収納部に移送されることを特徴とする請求項2に記載の液体連通構造。
  4. 液体使用時の姿勢において、鉛直方向に関し、前記液体連通構造は、前記液体収納部より実質的に下位に位置し、さらに前記液体使用部より実質的に上位に位置することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の液体連通構造。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の前記液体連通構造を用い、前記液体収納部から前記液体使用部に前記液体を供給可能な液体供給システム。
  6. 前記液体収納部は、液体の収納空間を画成するとともに、前記液体使用部への前記液体の供給に伴って前記収納空間の内容積を減少する方向に変位可能な可動部材を少なくとも一部に有することを特徴とする請求項5に記載の液体供給システム。
  7. 前記液体収納部は、前記変位の方向とは反対の方向に前記可動部材を付勢する付勢部材を有することを特徴とする請求項6に記載の液体供給システム。
  8. 前記密閉空間に液体連通した状態で設けられ、液体の収納空間を画成するとともに、前記液体収納部から前記液体使用部へ前記液体供給経路を介した液体の供給に伴って、前記収納空間の容積を減少する方向に変位可能な可動部材を少なくとも一部に有するとともに、当該変位の方向とは反対の方向に前記可動部材を付勢する付勢部材を有することを特徴とする請求項5に記載の液体供給システム。
  9. 前記弁機構は、前記液体供給経路内の負圧が所定値以上に高まったときに前記外気の導入を行うことを特徴とする請求項5ないし8のいずれかに記載の液体供給システム。
  10. 前記弁機構は、前記液体供給経路内への前記外気の導入は許可し、反対方向への液体または気体の移動を阻止することを特徴とする請求項9に記載の液体供給システム。
  11. 前記液体収納部が前記複数の連通路を介して前記液体供給経路に着脱可能であることを特徴とする請求項5ないし10のいずれかに記載の液体供給システム。
  12. 前記液体収納部の非装着時に、前記複数の連通路の前記液体収納部側の開口を閉塞可能なシャッタ部材を具えたことを特徴とする請求項11に記載の液体供給システム。
  13. 前記液体使用部は前記液体としてのインクを吐出することにより記録を行うためのインクジェット記録ヘッドであり、該インクジェット記録ヘッドに前記インクを導くことを特徴とする請求項5ないし12のいずれかに記載の液体供給システム。
  14. 前記記録ヘッドを分離可能に一体に構成されてなることを特徴とする請求項13に記載の液体供給システム。
  15. 請求項13または14に記載の液体供給システムを用い、使用時の姿勢において、鉛直方向に関し、前記液体供給経路より前記複数の連通路が実質的に上位に位置し、さらに前記液体収納部が前記複数の連通路より実質的に上位に位置するよう前記液体供給システムを保持して記録を行うことを特徴とするインクジェット記録装置。
  16. 液体としてのインクを吐出することにより記録を行うためのインクジェット記録ヘッドであって、請求項1ないし4のいずれかに記載の液体連通構造を一体に有することを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  17. インクジェット記録装置に対し着脱可能なカートリッジの形態を有することを特徴とする請求項16に記載のインクジェット記録ヘッド。
  18. 請求項1ないし4のいずれかに記載の液体連通構造に接続される前記液体収納部をなし、前記複数の連通路を介して前記液体連通構造に接続可能なカートリッジの形態を有することを特徴とする液体タンク。
  19. 請求項16または17に記載のインクジェット記録ヘッドが有する前記液体連通構造に対して、前記複数の連通路を介して接続可能なカートリッジの形態を有することを特徴とする液体タンク。
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