JP2004163746A - 液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1基板1に形成された画素電極4と、第2基板7に形成されたカラーフィルタ9と、該カラーフィルタ9上に形成された共通電極10と、前記第1基板1及び第2基板7上に積層された垂直配向膜11、12とを有する液晶表示装置において、第1基板1上の垂直配向膜11に液晶分子が所定方向に配向するようにラビング処理を行い、かつ前記画素電極4の前記所定方向側の端部と対向している前記第2基板7部分の有効画素範囲外に液晶分子の配向を制御するための突起15を設ける。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、広視野角の液晶表示装置に関し、特にVA(Vertically Aligned)方式の液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に液晶表示装置には薄型軽量、低消費電力という特徴があり、特に、TFT(Thin Film Transistor)型の液晶表示装置は携帯端末から大型テレビに至るまで幅広く利用されている。この液晶表示装置として従前からツイストネマティック(TN)方式液晶表示装置がよく使用されており、表示装置として高い性能、品質を維持している。
【0003】
そこで、以下、本発明のVA方式の液晶表示装置の理解のために、まずこのTN方式液晶表示装置について説明する。図6(A)に示すように、TN方式のTFT型液晶表示装置50は、画素電極51が形成された基板52と、共通電極53が形成された基板54を対向するように配置し、この一対の基板間に液晶を封入することにより液晶層を形成している。両基板上52、54の配向膜56、57にはラビング等によって配向処理が行われ、その配向方向は対向する基板の配向方向と90度異なる(クロスニコル配置)ように設定されている。液晶分子55はこの配向方向に規制されてその方向に水平配列し、基板間では水平方向に90度捻れて配列する。
【0004】
各基板の外側には偏光板58、59が基板に対向して配置されるが、ノーマリブラックモードのときは両偏光板の透過軸が同一方向になるように配置され、ノーマリホワイトモードのときには両偏光板の透過軸が90度をなすように配置される。一方の偏光板を通過した透過光は直線偏光となって液晶層を通過するが、このとき液晶分子が90度捻れて配列しているので透過光は旋廻して偏光方向が90度捻れる。このときノーマリブラックモードでは一方の液晶層を通過した透過光は他方の偏光板を通過できないので暗表示になるが、ノーマリホワイトモードのときは液晶層を通過した透過光は他方の偏光板を通過できるので明表示となる。通常よく使用されているのは後者のノーマリホワイトモードのTN方式液晶表示装置である。
【0005】
次に、電極52及び54間に電圧を印加して液晶分子55に電界を印加すると、図6(B)に示すように、液晶分子55が垂直方向に立ち上がり、捻れがとれる。ただし、配向膜表面では配向規制力の方が強いため、液晶分子55の配向方向は配向膜に沿ったままとなる。このような状態では、液晶分子は通過する光に対しては等方的であるため、液晶層に入射された直線偏光の偏光方向の回転は生じない。したがって、ノーマリホワイトモードのTN方式液晶表示装置では、上の偏光板59を通過した直線偏光は下の偏光板52を通過できず、暗状態となる。この後、再び電圧を印加しない状態にすると、配向規制力により図6(A)の状態となり、表示は明状態に戻る。
【0006】
このTN方式TFT型液晶表示装置の製造技術は近年において格段の進歩を遂げ、正面でのコントラスト・色再現性などはCRTを凌駕するまでに至っている。しかし、TN方式液晶表示装置は視角依存性が大きく、視野角が狭いという大きな欠点があった。そこで、広視野角が実現できる方式の液晶表示装置として、液晶層に電界を横方向に印加するイン−プレーンスイッチング(IPS)方式の液晶表示装置が提案されている。
【0007】
このIPS方式液晶表示装置60は、図7に示すように、液晶層を挟持する一対の基板62、64のうち、一方の基板、たとえば基板62側に櫛歯状の画素電極61と櫛歯状の共通電極63を配置している。両基板上の配向膜66、67には櫛歯状の電極61、63の方向と同一方向に配向処理が施され、電極に電圧を印加しないときは、図7(A)に示すように、液晶分子65が配向方向と同一方向に水平配列する。各基板の外側には偏光板68、69が基板62、64に対向して配置され、両偏光板の透過軸が90度をなし、かつ偏光板の透過軸と対向する基板の配向方向が同一方向もしくは直交方向になるように設定されている。
【0008】
このIPS方式液晶表示装置では、一方の偏光板を透過した光は直線方向となって液晶層を通過するが、このとき液晶層は、TN方式液晶表示装置の液晶層(図6参照)とは異なり、捻れていないので、透過光は旋回することなく液晶層を通過する。したがって、透過光は他の偏光板で遮られるために暗表示になる。電極61、63間に電圧を印加すると、液晶層に横方向の電界が発生し、液晶分子65の誘電率異方性が正であるので、液晶層の一部の液晶分子が電界方向に捻れる。このとき、一方の偏光板を通過した直線偏光の透過光は液晶層を通過するときに複屈折されて楕円偏光の透過光になり、他方の偏光板を通過して明表示になる。
【0009】
IPS方式の液晶表示装置は、液晶分子を立ち上がらせずに横方向に配列しているために、液晶分子の方向によって複屈折性はあまり変化しないので、非常に良好な視角特性を有しており、超広視野角の液晶表示装置が得られるが、一方では非常に応答速度が遅く、輝度が低く、色度の質も低いという欠点も有している。
【0010】
そこで、広視野角を保ちながら応答が早い方式のものとして、VA(vertically aligned)方式の液晶表示装置が開発された。この方式の液晶表示装置70は、図8に示したように、一対の基板72、74間に誘電率異方性が負の液晶が封入され、一方の基板72には画素電極71が、他方の基板74には共通電極73が配置されている。両基板72、74上の配向膜76、77には共に垂直配向処理が施され、電極71、73に電圧を印加しないときは、図8(A)に示したように、液晶分子75は垂直に配列している。両基板72、74の外側には偏光板78、79がクロスニコル配置されている。そして両電極71、73に電圧を印加していないときは基板間の液晶分子75が垂直に配列しているので、一方の偏光板を通過した直線偏光の透過光がそのまま液晶層を通過して他方の偏光板によって遮られ、暗状体すなわち黒表示となる。また両電極71、73に電圧を印加したときは、基板間の液晶分子75が水平に配列するので、一方の偏光板を通過した直線偏光の透過光は液晶層を通過するときに複屈折され楕円偏光の通過光になり、他方の偏光板を通過し、明状体すなわち白表示となる。
【0011】
このVA方式の液晶表示装置は、電極に電圧を印加しないときに全ての液晶分子75は配向膜上に垂直に完全に立った状態で整列すると、電圧を印加したときは、各液晶分子75が水平方向に倒れる向きを制御できないために、そのままでは液晶分子75はそれぞれランダムな方向に倒れて水平に配列するので、表示ムラが目立ってしまい、各画素周辺部でも液晶分子の配向が乱れてディスクリネーションが発生するという問題点が存在していた。
【0012】
電極間に電圧を印加したときに垂直に立っていた液晶分子が倒れる方向を規制して均一な表示状態となすには、電極間に電圧を印加しないときに、液晶分子が完全に垂直とはならずに垂直軸からわずかな角度だけ、すなわちプレチルト角だけ傾いて立っているようになすと共に、その傾き方向の分布状態も各画素ごとにほぼ同等となす必要がある。
【0013】
一方、上述のVA方式の液晶表示装置の問題点を解決するための技術として、1画素内に複数の液晶分子の配向を制御するための構造物(ドメイン)を形成した、たとえば、下記特許文献1に開示されているような、いわゆるマルチドメイン−VA方式(MVA方式)の液晶表示装置が開発されている。
【0014】
下記特許文献1に開示されている発明について述べる前に、まずこの特許文献1に従来例として示されているMVA方式の液晶表示装置の動作原理を図9を参照して説明する。図9(A)は、従来のMVA方式の液晶表示装置における電圧無印加状態における断面図を示す。ガラス基板101の対向面上に、第1の突起パターン106が形成され、対向基板136の対向面上に第2の突起パターン118が互い違いに配置されている。TFTが形成されたガラス基板101及び対向基板136の対向面上に突起パターン116及び118を覆うように垂直配向膜128が形成され、ガラス基板101と対向基板136との間には液晶分子130を含む液晶材料129が充填されている。液晶分子130は、負の誘電率異方性を有している。また、ガラス基板101及び対向基板136の外側にはそれぞれ偏光板131及び132がクロスニコル配置されている。
【0015】
このMVA方式液晶表示装置においては、電圧無印加時には液晶分子130は基板表面に対して垂直に配向するため、第1及び第2の突起パターン116及び118の斜面上の液晶分子130aはその斜面に対して垂直に配向しようとする。このため、第1及び第2の突起パターン116及び118の斜面上の液晶分子130aは、基板表面に対して斜めに配向するが、画素内の広い領域で液晶分子130が垂直に配向するため、良好な黒表示状態が得られる。
【0016】
一方、図9(B)は、液晶分子30が斜めになる程度の電圧を印加した状態、すなわち中間調表示状態における断面図を示す。図9(A)に示すように、予め傾斜している液晶分子130aは、その傾斜方向により大きく傾き、その周囲の液晶分子130も液晶分子130aの傾斜に影響を受けて同一方向に傾斜する。このため、第1の突起パターン116と第2の突起パターン118との間の液晶分子130は、その長軸が図において右上がりになるように配列し、第1の突起パターン116よりも左側の液晶分子130及び第2の突起パターン118よりも右側の液晶分子130はその長軸が図において右下がりになるように配列する。
【0017】
この従来のMVA方式液晶表示装置は、1画素内に液晶分子の傾斜方向の異なるドメインが複数個画定され、第1及び第2の突起パターン116及び118がドメインの境界を画定するようになっているため、垂直に立っていた液晶分子が倒れる方向を規制できるので均一な表示が可能となっている。しかしながら、このMVA方式の液晶表示装置においては、液晶材料の複屈折効果によって白色表示を行っているので、複屈折の際の波長分散効果により白色表示状体における赤(R)、緑(G)、青(B)の各画素の透過率に差が生じ、色つきが生じるという欠点が存在していた。そのため、下記特許文献1に係る発明では、上記のような突起パターンだけでなく、以下に示すようなスリットを有する画素電極を採用している。この発明のMVA方式液晶表示装置の構成を図10及び図11を用いて説明する。図10はR、G及びBからなる1つの画素部分を上方からみた平面図であり、図11は図10のA−A線断面図である。
【0018】
図10及び図11において、ガラス基板201の表面上に、複数のゲートバスライン205が図の行方向(横方向)に延在しており、このゲートバスライン205をゲート絶縁膜240が覆っている。このゲート絶縁膜の240上に、図の列方向(縦方向)に延在する複数のドレインバスライン207が配置され、ゲートバスライン205とデータバスライン207との交差箇所に対応して、薄膜トランジスタ(TFT)210が設けられている。TFT210のドレイン電極は、対応するドレインバスライン207に接続され、ゲートバスライン205は対応するTFT210のゲート電極を兼ねている。
【0019】
ドレインバスライン207とTFT210とは保護絶縁膜248により覆われており、2本のゲートバスライン205と2本のデータバスライン207とに囲まれた領域内に画素電極212が配置されており、各画素電極212は対応するTFT210のソース電極に接続されている。赤色画素の画素電極212R、緑色画素の画素電極212G、及び青色画素の画素電極212Bが、行方向にこの順番で配列し、一つの画素を構成している。
【0020】
TFTが形成されたガラス基板201に、ある間隔を隔てて対向基板236が配置されており、この対向基板236の対向面上に列方向に延在するジグザグパターンに沿って突起パターン218が形成されている。突起パターン218は行方向に等間隔で配列し、ゲートバスライン205と交差する位置、及び2本のゲートバスライン205の中央で約90度折れ曲がっている。
【0021】
各画素電極212には、スリット217が形成され、このスリット217は突起パターン218をその配列ピッチの半分だけ行方向にずらせて得られる仮想的なジグザグパターンに沿って配置されており、このスリット217により、その近傍に、基板面に対して斜め方向に電界が発生する。この斜め方向の電界が液晶分子を特定の方向にチルトさせるため、スリット127は、図9(B)に示す第1の突起パターン16と同様に、ドメイン境界を規定する。
【0022】
TFT基板235には、ガラス基板201上にゲート絶縁膜240及び保護絶縁膜248が設けられ、この保護絶縁膜248の上には画素電極212が形成されている。画素電極212にはスリット217が形成され、画素電極212及び保護絶縁膜248の表面は配向膜228により覆われている。
【0023】
対向基板236は、ガラス基板227の対向面上にカラーフィルタ251が形成され、カラーフィルタ251の表面上にITOからなる共通電極254が形成されている。共通電極254の表面上に、突起パターン218が形成されている。突起パターン218は、例えばポリイミド系のフォトレジストにより形成される。突起パターン218及び共通電極254の表面を、配向膜228が覆っている。
【0024】
この例においては、B画素の画素電極212Bに形成されたスリット217の幅が10μmに設定され、R及びG画素の画素電極212R及び212Gに形成されたスリット217の幅が7μmに設定され、B画素の透過率を最大にするようにスリット幅が設定されている。
【0025】
セルギャップを4〜4.5μmとした場合には、B画素の透過率が相対的に低くなるので、この例では、R及びG画素のスリット幅を最適値からずらせている。このように、R及びG画素の透過率をB画素の透過率に比べて相対的に低下させることにより、複屈折効果の波長分散によるB画素の透過率の低下を補償している。これにより、RGB画素の透過率の差が縮小し、白表示時の色付きを軽減することができるようになされている。
【0026】
【特許文献1】
特開2000−267079号公報
【0027】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来のVA方式の液晶表示装置においては、各液晶分子のプレチルトの方向を一方向に制御しないと表示ムラが目立つとともに、画素周辺部分でディスクリネーションが生じてしまうという問題点が存在していた。また、上記特許文献1に開示されたMVA方式の液晶表示装置は、画素電極にスリットを設けることを構成要件としているが、このスリットの内部には電界が生じないためにスリット内では液晶分子の配向規制が弱くなること、スリット内の互いに向かい合うエッジ付近では液晶分子が逆方向に傾斜するのでスリット内では液晶分子の配向が乱れやすく、表示ムラが発生し易いという問題点があり、加えて、画素電極にスリットを設けるだけでなく、各画素ごとの液晶分子の配向を制御するために各画素部分に突起を設けることが必要であり、この突起が透明である限りは透過率のロスは殆どなくすことができて高輝度が期待できるが、現実の問題としては、この突起の透過率の損失は無視することができず、輝度が低くなると共にこの突起が黒く見える現象が生じる。
【0028】
本発明者らは上述のようなVA方式ないしはMVA方式の液晶表示装置の利点及び欠点を総合的に勘案し、液晶表示装置の有効画素内に突起やスリットを存在させずに、輝度が高く、画素周辺のディスクリネーションも少なく、また表示ムラも少ないVA方式の液晶表示装置を得るべく種々実験を重ねた結果、本願発明を完成するに至ったのである。
【0029】
【課題を解決するための手段】
本願の発明者等は、前記図8に示したようなVA方式の液晶表示装置においては、基板72及び74上のそれぞれの配向膜の配向方向を180度反対方向に、垂直軸からプレチルト角に相当する角度だけ配向することにより、各液晶分子のプレチルトの方向を一方向に制御することが可能となるが、このような方式では、各画素の一方のプレチルト方向の端部周辺部で画素電極73の角部の存在により液晶分子の配向が乱れてしまい、その周辺部分でディスクリネーションが生じてしまうが、このディスクリネーションは液晶分子の配向を制御するための突起を有効画素範囲外に設けることにより防止し得ることを見出した。
【0030】
すなわち、本発明によれば、第1基板に形成された画素電極と、第2基板に形成されたカラーフィルタと、該カラーフィルタ上に形成された共通電極と、前記第1基板及び第2基板上に積層された垂直配向膜とを有し、前記第1基板と第2基板とを対向配置してこの一対の基板間に誘電率異方性が負の液晶を封入した液晶表示装置において、前記第1基板上の垂直配向膜は液晶分子が所定方向に配向するようにラビング処理がなされており、かつ前記画素電極の前記所定方向側の端部と対向している前記第2基板部分の有効画素範囲外には液晶分子の配向を制御するための突起が設けられている液晶表示装置が提供される。係る液晶表示装置によれば、有効画素内に突起やスリットが存在しないために輝度が高く、しかも画素周辺のディスクリネーションも少ないVA方式の液晶表示装置が得られる。
【0031】
係る態様においては、さらに第2基板上の垂直配向膜は、前記所定方向とは180度逆の方向に配向するようにラビング処理がなされているものを使用することが好ましい。係る態様によれば、液晶分子の配向性がより良好となるために、画素周辺のディスクリネーションをより減少させることができる。
【0032】
また、前記画素電極の所定方向側の端部は、薄膜トランジスタ(TFT)が形成されている端部とは反対側の端部となすことが好ましい。係る態様によれば画素電極の端部と突起との間の距離が小さくなるので、画素電極端部で生じる液晶分子のディスクリネーションを有効に減少させることができる。
【0033】
さらに、前記突起は、第2基板に設けられているブラックマトリクスの位置に設けることが好ましい。係る態様によれば、本来ブラックマトリックスは遮光の目的で設けられているものであるから、突起を設けても輝度に何らの影響を与えることがないので、高輝度の液晶表示装置が得られる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は画素電極とカラーフィルタの関係を示す平面図であり、図2は図1のA−A線横断面図、図3(A)〜(D)は各画素電極上の液晶分子の配向方向を示す概略図であり、図4は図3(C)の状態の液晶表示装置のB−B線横断面図、図5は図3(D)の状態の液晶表示装置のC−C線横断面図である。
【0035】
ガラス基板などの第1基板1上には走査線2と信号線3がマトリクス状に配線されている。走査線2と信号線3で囲まれる領域が1画素に相当し、この領域内に画素電極4が配置され、走査線2と信号線3の交差部には薄膜トランジスタ5(TFT)が形成されている。TFT5は走査線2から延在したゲート電極5a上に信号線3から延在したソース電極5bやドレイン電極5c等を積層して形成される。ソース電極5bやドレイン電極5c上には絶縁膜6が積層され、ドレイン電極5cと画素電極4は絶縁膜6に形成されたコンタクトホールを介して接続されている。画素電極4は第1基板1の法線方向から見たときに図1に示すようにTFT5の部分が欠けたほぼ長方形の形状をしており、この画素電極4を含む第1基板1上には垂直配向膜11で被覆されている。
【0036】
一方、第1基板1からは所定距離だけ離れて第2基板7が配置され、この第2基板上には格子状のブラックマトリックス8が形成されている。このブラックマトリックス8は第1基板1上の走査線2や信号線3に対応する位置に設けられている。また、第2基板上には各画素毎にカラーフィルタ9が設けられ、行方向にR、G、Bの順に並んでいる。図1の破線はカラーフィルタ9の周縁部9aを示し、カラーフィルタ9の周縁部9aはブラックマトリックス8と重なると共に画素電極4の輪郭付近に対応している。ブラックマトリックス8及びカラーフィルタ9はITO等で形成される共通電極10及び垂直配向膜12で覆われ、画素電極4に電圧が印加されたときに画素電極4と共通電極10との間に電界が生じるようになされている。
【0037】
なお、ここではカラーフィルタ9とブラックマトリックス8とが重ならないように設けた例を示したが、一般に同色のカラーフィルタは縦ラインの画素に沿って帯状に形成されるので、ブラックマトリックス上にカラーフィルタを形成してもよい。前記何れの場合においても、液晶パネルを表示面からみた場合に、第2基板の遮蔽物であるブラックマトリックスと第1基板の遮蔽物(TFT素子や配線等)が存在しない部分が表示に寄与するので、この部分が有効画素範囲となる。
【0038】
以下においては、この画素電極4の形状を説明のためにTFTの部分を省略して長方形で表すこととする。まず、各画素電極4の表面に設けられている垂直配向膜11に対してラビング処理を行わないと、各画素電極4に電圧を印加しない場合は各液晶分子は垂直に配列しており、また、各画素電極に電圧を印加すると各画素電極4のエッジ効果により液晶分子の配向方向は図3(A)に矢印で示したようになる。この画素電極4の表面に設けられている配向膜11に対して図3(B)白抜き矢印に示す方向に配向が生じるようにラビング処理を行うと、各画素電極4に電圧を印加しない場合には各液晶分子は矢印方向に極わずかに傾いてはいるが実質的に垂直方向に配列しており、各画素電極4に電圧を印加すると、液晶分子はまず最初に配向膜界面の液晶分子が傾斜し、隣の液晶分子同士が順次傾斜していくため、液晶分子は図3(C)に示すように一方向に配向する。しかしながら、図3(C)における上端部近傍13,すなわち図4の右端部近傍の符号13で示す領域では画素電極4のエッジ効果により液晶分子14の配向方向が他の部分の配向方向とは揃わず、ディスクリネーションが発生してしまう。なお、画素電極4に対向する第2基板側の垂直配向膜12に対して図3(B)に示した方向とは180度逆の方向に配向するようにラビング処理を行うと、電圧印加時に液晶分子14をより強く配向させることができるが、それでも前記符号13で示した領域でディスクリネーションの発生がみられる。
【0039】
一方、図3(D)及び図5に示すように、画素電極4の端部に対向する第2基板側の有効画素範囲外に突起15を設けると、この突起15により図3(D)の上端部、すなわち図5の右端部の液晶分子14の配向が規制され、図3(C)及び図4に示したような端部領域13におけるディスクリネーションを防止することができるようになる。この場合、第2基板側の有効画素範囲外には各画素を区画するために遮光用のブラックマトリックスが設けられているから、この突起15は、図2に示すように、ブラックマトリックス8部分に設けるとよい。
【0040】
なお、図5に示されている構成の場合、この突起15の左側は液晶分子の配向規制に有効に作用するが、右側は有効に作用しない。それ故、突起15の右側による液晶分子の規制方向とこの突起の右側に隣接する別の画素電極(図示せず)のエッジ付近による液晶分子の配向規制方向が逆方向となるため、この突起15とこれの右側に隣接する別の画素電極のエッジとの距離が近すぎると表示ムラが起こってしまう。したがって、突起15をブラックマトリックス上8に設けることにより、突起15とこの突起15の右側に隣接する別の画素電極との距離を遠ざけることができるようになるとともに、その突起15の右側部分をブラックマトリックスで遮光することにより表示ムラが生起する部分を有効画素範囲外とすることができるようになり、良好な表示画質を達成することができ、しかも、従来のMVA方式の液晶表示装置で生じるような突起等による新たな光吸収が全くないため、輝度を高くすることができる。
【0041】
なお、突起15の左側に関しては、画素電極の左側のエッジ効果を取り除くために、突起の左側を画素電極4のエッジと重ねた方がよい場合もある。この場合は、突起15の一部がブラックマトリックス8からはみ出てしまい、有効画素範囲内に入ってしまうためにわずかに輝度の低下が生じるが、画素電極4のエッジ効果をさらに有効に低減できるので、より良好な表示画質を達成することができるようになる。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の液晶表示装置においては、液晶分子の配向を規制する突起を対向基板のブラックマトリックスが存在する位置に設けたので、周辺部のディスクリネーションが減り、しかも、従来の有効画素内に突起を有する液晶表示装置と比較すると高輝度の液晶表示装置が得られるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の液晶表示装置における画素電極とカラーフィルタの関係を示す平面図である。
【図2】図2は、図1のA−A線横断面図である。
【図3】図3は各画素電極上の液晶分子の配向方向を説明する図であり、図3(A)は何らの配向処理をも行わない場合のエッジ効果による液晶分子の配向方向を示す図、図3(B)はラビングにより付与する配向方向を説明する図、図3(C)は液晶分子が所定の方向に配向した場合のディスクリネーションの生成を説明する図、図3(D)は本発明による有効画素範囲外に突起を設けた構成を説明する図である。
【図4】図4は、図3(C)のB−B線横断面図である。
【図5】図5は、図3(D)のC−C線横断面図である。
【図6】図6は、TN方式の液晶表示装置の動作原理を説明する図である。
【図7】図7は、IPS方式の液晶表示装置の動作原理を説明する図である。
【図8】図8は、VA方式の液晶表示装置の動作原理を説明する図である。
【図9】図9は、MVA方式の液晶表示装置の動作原理を説明する図である。
【図10】図10は、スリットと突起を有する従来例のMVA方式の液晶表示装置の平面図である。
【図11】図11は、図10のA−A線横断面図である。
【符号の説明】
1 第1基板
3 信号線
4 画素電極
5 TFT
7 第2基板
8 ブラックマトリックス
9 カラーフィルタ
10 共通電極
11、12 配向膜
14 液晶分子
15 突起
Claims (4)
- 第1基板に形成された画素電極と、第2基板に形成されたカラーフィルタと、該カラーフィルタ上に形成された共通電極と、前記第1基板及び第2基板上に積層された垂直配向膜とを有し、前記第1基板と第2基板とを対向配置してこの一対の基板間に誘電率異方性が負の液晶を封入した液晶表示装置において、前記第1基板上の垂直配向膜は液晶分子が所定方向に配向するようにラビング処理がなされており、かつ前記画素電極の前記所定方向側の端部と対向している前記第2基板部分の有効画素範囲外には液晶分子の配向を制御するための突起が設けられていることを特徴とする液晶表示装置。
- 前記第2基板上の垂直配向膜は前記所定方向とは180度逆の方向に配向するようにラビング処理がなされていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
- 前記画素電極の所定方向側の端部は、薄膜トランジスタ(TFT)が形成されている端部とは反対側の端部であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
- 前記突起は、前記第2基板に設けられているブラックマトリクスの位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
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