JP2004017434A - 酸化チタン含有木質合成材組成物及び該酸化チタン含有木質合成材組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】廉価で空気清浄効果の高い酸化チタン含有木質合成材組成物及び該酸化チタン含有木質合成材組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】木粉と熱可塑性樹脂との混合物から成る木質合成材組成物29の表面に、トルエン等に顔料及び酸化チタン粉を含有した塗料(着色料)をロール又はスプレー等で塗布する。塗布後、木質合成材組成物29の表面をサンディングペーパー(度数40〜180)等で研磨し、塗料内に含有する酸化チタンを表面に露出させる。木質合成材組成物29の表面には凸凹又は多数の小さい傷条を付けたので、表面のサンディングが容易になる。このように、酸化チタンを表面に露出させることにより、酸化チタンが備える空気清浄効果が充分に発揮される。また、酸化チタンの使用量は少量で済むので、安価に製造できる。
【選択図】 図1
【解決手段】木粉と熱可塑性樹脂との混合物から成る木質合成材組成物29の表面に、トルエン等に顔料及び酸化チタン粉を含有した塗料(着色料)をロール又はスプレー等で塗布する。塗布後、木質合成材組成物29の表面をサンディングペーパー(度数40〜180)等で研磨し、塗料内に含有する酸化チタンを表面に露出させる。木質合成材組成物29の表面には凸凹又は多数の小さい傷条を付けたので、表面のサンディングが容易になる。このように、酸化チタンを表面に露出させることにより、酸化チタンが備える空気清浄効果が充分に発揮される。また、酸化チタンの使用量は少量で済むので、安価に製造できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、木粉等のセルロース系破砕物と熱可塑性樹脂の混合物から製造される木質合成材組成物及び該木質合成材組成物の製造方法に係り、詳しくは、空気清浄効果を備える酸化チタン含有木質合材組成物及び該酸化チタン含有木質合成材組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、家具(テーブル、椅子、たんす、事務机、テレビ台等)、インテリア製品(屋外家具、デッキ材、フェンス)、間仕切り板、床、屋根、浴室、トイレ、外装材、内装材、仮設ハウス、物置、玄関ドア、室内ドア、カウンター、フラワーボックス、ラティス、犬小屋等、種々の用途に木製の板材(天然木又はベニヤ板のような合板等)が広く利用されている。しかしながら、木製の板材をこのように製品化する際には、連結金具等を必要とするため見栄えが悪くなることもある。また、水に弱く、腐蝕し易い等、耐久性にも問題があるので、特に風雨に直接晒される屋外にて利用する場合等には好ましくないことが多々ある。そのような点から、最近では上記製品の原材料である木製の板材の代替材として、木粉及び合成樹脂(例えば熱可塑性樹脂等)の混合物を原料とした木質合成材組成物から成る板材が普及してきている。
【0003】
上記製品の原材料となる木質合成材組成物は、木粉及び熱可塑性樹脂を加熱・混練すると共に、所定形状に成形して得られる。これらの混合割合等によっても異なるが、木質合成材組成物は比重が0.97〜1.48と、一般の木材の板材(例えば、ベニヤ板のような合板の比重は0.45〜0.75)に比較して大きく重いため、軽量化を図るべく、内部に中空部を形成することもある。また、カラフルな製品を製造したり用途の多様化を図るべく、これらの木質合成材組成物を成形する際又は加工して製品化する際に、その用途に応じて着色剤、充てん剤(補強剤)、安定剤、可塑剤、発泡剤、難燃剤等を加え、種々の優れた性能を発揮させている。着色剤等の種類は原料となる合成樹脂の種類によっても異なり、製品の付加価値を高めるために使用する場合が多い。
【0004】
一方、現在、我々の生活環境の悪化に伴い、室内作業者、例えば、事務者等には、空気清浄機能を備えた空気調和装置が設置されており、空気の環境への配慮がなされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、現在の合成樹脂製品(例えば、上記木質合成材組成物から成る製品)については、合成樹脂等には空気清浄機能がないのが現状である。酸化チタン等は表面に露出しなければ充分な効果は期待できないので、少量の酸化チタン等を効率良く製品の表面に集中させることが必要である。また、酸化チタン等を含有した塗料等を製品の表面に塗布しても、酸化チタン等が表面に露出しない場合もある。表面を削れば美観が損なわれ製品とならないおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、上記課題を解決すべく、空気清浄機能を備えたチタン含有木質合成材組成物及び該酸化チタン含有木質合成材組成物の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、セルロース系破砕物40〜60重量%と熱可塑性樹脂60〜40重量%とを混合した木質合成粉から木質合成材組成物を成形し、該木質合成材組成物の表面に酸化チタンを含有した塗料を塗布し、該塗布後、前記塗料を研磨して前記酸化チタンを表面に露出させることを特徴とする酸化チタン含有木質合成材組成物の製造方法である。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記塗料はトルエン溶剤中に前記酸化チタンを混合したものであることを特徴とする請求項1記載の木質合成材組成物の製造方法である。
【0009】
請求項3記載の発明は、前記塗料は顔料を混合したものであることを特徴とする請求項1又は2記載の木質合成材組成物の製造方法である。
【0010】
請求項4記載の発明は、前記塗料の塗布後に、前記顔料を混合した着色料を塗布し、該塗布後、前記塗料及び前記着色料を研磨して前記酸化チタンを表面に露出させることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の酸化チタン含有木質合成材組成物の製造方法である。
【0011】
請求項5記載の発明は、セルロース系破砕物40〜60重量%と熱可塑性樹脂60〜40重量%とを混合した木質合成粉から木質合成材組成物を成形し、該木質合成材組成物の表面に酸化チタンを包含したゼラチンを塗布し、該塗布後、前記木質合成材組成物の表面を加温し、前記ゼラチンを溶出させて前記酸化チタンを表面に露出させることを特徴とする酸化チタン含有木質合成材組成物の製造方法である。
【0012】
請求項6記載の発明は、前記木質合成材組成物の表面に凸凹又は傷条を形成することを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の酸化チタン含有木質合成材組成物の製造方法である。
【0013】
請求項7記載の発明は、前記木質合成材組成物は中空構造の板材であることを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の酸化チタン含有木質合成材組成物の製造方法である。
【0014】
請求項8記載の発明は、請求項1乃至7いずれかに記載の酸化チタン含有木質合成材組成物の製造方法によって製造された酸化チタン含有木質合成材組成物である。
【0015】
ここでいうセルロース系破砕物としては、木粉等が好ましい。木粉等はその含有水分量を3重量%以内、好ましくは0.3重量%以内とする。また、平均粒径は50〜300メッシュ、好ましくは60(篩下)〜150(篩上)メッシュとする。木粉の種類は問わない。強化剤(サフラニン液等)を数%程度以下(例えば0.5%)で混合することもある。また、熱可塑性樹脂としては、好ましくは汎用プラスチック(ポリオレフィン、ポリスチレン系樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニール等)、エンジニアリングプラスチック(ポリアミド、ポリカーボネート、飽和ポリエステル、ポリアセタール等)等である。例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、塩化ビニル樹脂(PVC)又はナイロン等の熱可塑性エラストマーより成ることが好ましい。
【0016】
酸化チタンは、半導体の性質を有し、ダイオードとして整流、感光素子等に用いられ、また、トランジスタとして増幅、発振等に広く用いられている。現在では、光ファイバーの素材や高品質のペットボトルの製造に欠かせない触媒としても用いられている。ここで用いる酸化チタンは粉粒体状のものが好ましい。
【0017】
塗料とは、顔料が混合されていても良いし、されていなくても良い。顔料が混合されていない場合は、酸化チタンを含有した塗料の塗布後にさらに顔料を含んだ着色料を塗布することが好ましい。塗布するのは両面でも良いし、片面でも良い。研磨とは、サンディングペーパー等で塗料等の酸化チタン以外の物質を研磨し、酸化チタンを表面に露出させることが好ましい。加温とは、ゼラチンを溶出し包含されている酸化チタンを表面に露出させることができれば良く、例えば、湯等をかけて洗い流すことが好ましい。
【0018】
木質合成材組成物の形状としては、板材、柱材等が挙げられる。また、中空構造のものが好ましい。木質合成材組成物の成形には押出成形が好ましい。このときに使用する押出成形装置の金型の中にフッ素樹脂シートを設け、該フッ素樹脂シートの表面に凹凸を設けて、木質合成材組成物の表面に凸凹のある表面を形成することが好ましい。表面に凸凹を形成することにより、塗料や着色料が塗布し易くなる上、サンディングペーパー等で研磨し易くなる。また、成形後に研削研磨して傷条を多数形成することが好ましい。
【0019】
また、木質合成材組成物(例えば、中空構造の板材)の製造に適用される押出成形装置は、原料を加熱、練成し、スクリュをもって押出す押出機に、前記押出機から押し出された押出し生地を加熱する溶融部及び該溶融部から押し出された押出し生地を冷却する徐冷部から成る成形室と、前記溶融部から押出し生地の押出方向に平行に突出して少なくとも前記徐冷部に延長する中子体とを備えた成形ダイを連結すると共に、該成形ダイより押し出された木質合成材組成物を引き取る引取手段を備えた押出成形装置であって、少なくとも前記成形ダイの溶融部において前記中子体の少なくとも一部が、フッ素樹脂シート(好ましくはアラミド繊維フッ素樹脂シート)の収容体により被覆されていることが好ましい。前記引取手段は無くても実施できる。
【0020】
前記中子体が、成形された木質合成材組成物に形成される各中空部の断面形状と略同様の断面形状を有し、押出方向を長さ方向として略平行に配置された複数の棒状部材と、前記各棒状部材に連続し、前記溶融部において前記棒状部材の端部を結合する結合部から成る場合にあっては、このうちの少なくとも前記結合部を、アラミド繊維の織布にフッ素樹脂分散液を含浸させて乾燥、焼成して成る前記フッ素樹脂シートの収容体により被覆することが好ましい。
【0021】
この収容体による被覆は、前記中子体の前記結合部を、前記フッ素樹脂シートから成る袋状体の収容体内に挿入することにより行っても良い。また、別の方法としては、一辺に対し直交方向を成す切り込みが前記棒状部材間に形成される間隙の位置に対応して設けられた二枚の前記フッ素樹脂シートを重ね合わせ、前記切り込みに対し平行な2辺と、前記切り込みを挟んだ両側において接合することにより、一端開口が前記棒状部材の形成本数に対応して複数に分岐された筒状体を形成し、前記中子体の前記結合部と前記棒状部材の少なくとも前記結合部寄りの端部をこの筒状体の収容体内に挿入することにより行なうこともできる。また、前記袋状体及び前記筒状体を接合して両者を一体に収容体として形成することもできる。前記結合部をなくして、棒状部材を分離したものでも実施できる。
【0022】
さらに、前記中子体を被覆する材料と同様の前述のフッ素樹脂シートが、前記押出成形装置の前記成形ダイ内壁面にも貼設されていることが好ましい。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0024】
なお、本実施形態にあっては、一例として、セルロース系破砕物と熱可塑性樹脂を加熱・混練して得られた混練物を、冷却・固化して所定の粒径に粉砕したもの(本明細書において「木質合成粉」という。)を原料として成る木質合成材組成物の製造について説明する。
【0025】
〔木質合成材組成物〕
本実施形態で用いる木質合成粉の原料となるセルロース系破砕物たる木粉は、熱可塑性樹脂成形材とのなじみを良好にすると共に、成形押出し時における摩擦抵抗を減じ、成形機の損耗、毀損の防止を図るべく、その粒径を50〜300メッシュ、好ましくは60(篩下)〜150(篩上)メッシュの微細な粉末状とする。また、成形時における木酸ガスを揮散し、水蒸気あるいは気泡発生のおそれをなくし、表面の肌荒れを防止する意図から、木粉の乾燥前においてその含有水分量を15重量%以内、好ましくは11重量%以内、理想的には5重量%以内、特に好ましくは0.3重量%以内とする。
【0026】
なお、かかる木粉の特性をさらに向上させるため、尿素系樹脂接着剤に木材チップ等の素材を浸漬あるいはこれに添加し、加熱硬化した後に破砕、微粉末化することが可能である。使用目的に応じて、木粉には顔料を添加し、予め着色しておくこともできる。
【0027】
また、熱可塑性樹脂成形材としては、廃棄された各種の樹脂成形品をそのまま、もしくは表面樹脂塗膜を形成した樹脂成形品を複数の各小片に破砕し、これに圧縮研削作用等を付加して樹脂塗膜を研削、剥離することにより素材化した、PVC、PET、PP等の樹脂を用いることができる。
【0028】
そして、木粉乾燥後、含有水分量3重量%、好ましくは0.3重量%以内、平均粒径200メッシュ以下のセルロース系破砕物40〜60重量%に対して熱可塑性樹脂成形材60〜40重量%をともに攪拌衝撃翼により混合、ゲル化混練し、ゲル化した混練材料を冷却して、さらに粒径200メッシュ以下に整粒して得た木質合成粉を用いることにより、木粉の摩擦抵抗を減じ得る良好な混練状態の生地が形成される。
【0029】
本実施形態において用いる木質合成粉及び木質合成材組成物の製造方法の一例として、図1を参照して説明する。
【0030】
(1)乾燥工程
熱源(ボイラー熱、電気熱、ヒーター熱等)を使用することなく、回転の衝撃によるせん断発熱を利用して水分を木粉からたたき出す乾燥方法である。水分除去に必要な時間は約15分である。一例としてミキサーを用い、セルロース系破砕物である木粉を乾燥させる。ミキサーの攪拌衝撃翼を回転させ剪断発熱が生じることによってミキサー内の温度が上昇し、これによりミキサーに投入された木粉が乾燥される。本実施形態にあっては、投入された木粉の含有水分量が0.3重量%以下となるように乾燥する。木粉の粒径は50〜200メッシュが好ましい。水分は0〜0.3重量%に乾燥することが好ましい。方法はミキサーを回転させて水分を除く。
【0031】
また、顔料等として酸化チタン等を添加する場合には、この乾燥工程において前記木粉と共にミキサー内にこれを投入する。顔料の種類は、無機、有機を問わない。顔料の重量比率は、顔料の種類により異なる。例えば、木粉100重量%に対して10重量%前後の白酸化チタンを投入する。木粉のみに着色し、熱可塑性樹脂を着色しないので、木粉の変色を防ぐことができる。木粉で紫外線を防ぎ、劣化を少なくすることができる。
【0032】
(2)溶融・混練工程
木粉と熱可塑性樹脂を混合・溶融し、一体化する。高速回転翼による発熱で木粉とプラスチックとを溶融し、分子レベルで一体化する。重量比率は、顔料と木粉の混合体40〜60重量%に、着色しない熱可塑性樹脂60〜40重量%である。熱可塑性樹脂は、溶融混合して顆粒状ペレットとする。溶融機ミキサーの回転数は、850〜900rpm、温度は180〜190℃である。
【0033】
例えば、乾燥された木粉55重量%に対して、熱可塑性樹脂成形材としてPP45重量%を前記ミキサー内に投入し、さらに攪拌加圧する。熱可塑性樹脂成形材の形態は、本実施形態では直径3mm程度の大きさの粒状からなるペレットを使用している。
【0034】
熱可塑性樹脂成形材は、熱可塑性合成樹脂製品の廃材から得られた回収熱可塑性樹脂、バージンの熱可塑性樹脂、あるいはバージンの熱可塑性樹脂と前記回収熱可塑性樹脂をそれぞれ、例えば50重量%ずつ用いることもできる。
【0035】
この工程においては、原材料内の木粉によりPP等の熱可塑性樹脂は大きな塊とはならず、直径約10〜100mmの粘土状にゲル化した「混練材料」が形成される。
【0036】
(3)冷却・造粒(整粒)工程
本工程では、一例として前述の混練材料の冷却と造粒とを同時に行うことができる、所謂クーリングミキサーを用いる。前工程において形成された混練材料はクーリングミキサーヘ投入され、冷却水により冷却されたミキサー本体内周壁面で冷却され、直径約25mm以下に造粒された「造粒原料」が形成される。
【0037】
前記工程で形成された造粒原料は、さらに必要に応じてカッタミルを使用して粒径8mm以下に整粒することで、ペレット状の「木質合成粉」とする。なお、整粒工程は必ずしも必要ではなく、前述の冷却・造粒工程により得られる造粒物のサイズによってはこれを省略することもできる。
【0038】
木粉と熱可塑性樹脂成形材との混合、分散状態を定常的に維持し、良好なる流動性を有すると共に、冷却による凝縮、縮小作用とも相まって、化学的な反応や接着によらない木質合成粉が形成される。
【0039】
(4)成形工程
押出成形装置1に木質合成粉(顆粒状ペレット)を投入し、木粉が高濃度で混合されたものを高粘度の状態に溶融させ、押出成形装置1で高圧力で押し出し、金型の中に押し込み、高圧力で押し固めながら木質合成材組成物29を押し出す(図2〜図6参照)。粘度が高いので、前方への圧力が加えられた状態で押し出す。粘度が高いほど流れが早いチクソトロピーの原理を応用している。押出成形装置1の詳細は後述する。金型の中にフッ素樹脂シート50’を設け、フッ素樹脂シート50’の表面に凹凸をつけ、金型の中にフッ素樹脂シート50’を貼り、高圧力を加えて木質合成材組成物29の表面に熱可塑性樹脂の凹凸の或る(溝の或る)表面等を作り中空形状の製品を作る。このフッ素樹脂シート50’は、アラミド繊維の織布にフッ素樹脂分散液を含浸、乾燥、焼成したシートである。そのためシートの表面には、アラミド繊維の織り目が格子状等の所定形状に現われている(図7(a)及び(b)参照)。また、木質合成材組成物29の成形後に、目の粗いサンディングペーパー(度数40〜60)等で表面を研削し、傷条を多数形成することもできる。
【0040】
(5)塗布工程
前記の通り成形された木質合成材組成物29の表面に、トルエンやラッカー等に顔料及び酸化チタン粉を含有した塗料(着色料)をロール又はスプレー等で塗布する。なお、塗布方法は、立体的なものにはスプレー方式、一部に静電塗装方式、平面的なものにはカーテンフローコータ、ローラコータ、ボトムコータ等が用いられる。次いで、塗料塗布後の木質合成材組成物は自然乾燥される。このとき、塗料は木粉に浸透するので、塗料の密着性が向上する。なお、塗料は、トルエンやラッカー等に酸化チタン粉を含有していれば良く、木質合成材組成物に着色しない場合には、顔料を混合する必要はない。また、塗料(顔料が混合されているといないとを問わず)の塗布後に、さらに顔料を混合した塗料(着色料)を塗布しても良い。
【0041】
(6)サンディング工程
上記塗布後、木質合成材組成物29の表面をサンディングペーパー(度数40〜180)等で研磨し、塗料内に含有する酸化チタンを表面に露出させる。このとき、表面は溝の部分まで全て削ることが好ましい。木質合成材組成物29の表面には凸凹又は多数の小さい傷条を付けたので、表面のサンディングが容易になる。このように、酸化チタンを表面に露出させることにより、酸化チタンが備える空気清浄効果が充分に発揮される。
【0042】
また、サンディングすることにより、色を表面に出すことができ、独特の木質感、自然感を出すことができる。木目模様は、着色剤が木粉に浸透して滲みが生じることと、凹凸形状の表面にある着色木粉はそれぞれ切断位置が異なるため各着色木粉の濃淡が異なること等との相乗作用により、結果的に、独特の色調を演出し、天然木の木目に近い濃淡のぼかした模様がかもし出される。
【0043】
(7)仕上げ工程
最後に、木質合成材組成物29の表面にクリアラッカーあるいは艶消し等の透明塗料を塗布し、乾燥して仕上げる。この仕上げ塗料には、アミノアルキッド、ラッカー、ポリエステル、ポリウレタン等がある。これにより、木質感が向上する。
【0044】
また、他の実施形態として、(5)の塗布工程において、酸化チタンを包含したゼラチンを塗布することもできる。この場合、(6)のサンディング工程に代えて、木質合成材組成物29の表面に湯等をかけることにより、ゼラチンを溶出し、酸化チタンを表面に露出させることが好ましい。また、ゼラチン溶出後に表面をサンディングしても構わない。この方法であれば、木質合成材組成物29に限らず、衣類等の繊維にも酸化チタンを好適に塗布することが可能となる。
【0045】
〔押出成形装置〕
図2〜図6に示す通り、前記木質合成粉を木質合成材組成物29に成形する本発明の押出成形装置1は、押出機70と、この押出機70により吐出された押出し生地79を所定形状に成形する成形ダイ10、及び成形ダイ10のダイ出口23より押し出された木質合成材組成物29を引き取る引取手段30を備えており、成形ダイ10は、押出ダイ19及びフランジ17より成る連結手段を介して押出機70に連結されている。
【0046】
(1)押出機
図2において、70は前述の押出成形装置1を構成する押出機である。一般に押出機70はスクリュ型で単軸押出成形装置と多軸押出成形装置があり、この変形又はこれらが組み合わさった構造を持つものがあるが、本発明ではいずれの押出成形装置も使用することができる。
【0047】
71はスクリュで、図2に示す実施形態にあっては単軸型であり、このスクリュ71はギヤ減速機72を介して図示せざるモータによって駆動され、バレル74内で回転する。ホッパ73から投入された木質合成粉は、このスクリュ71の回転によって混練されながら前方へと押出される。
【0048】
バレル74の外面にはバンドヒータ75を設けており、このバンドヒータ75によりバレル74内で木質合成粉が加熱され、スクリュ71の溝に沿って前方へ搬送されながら漸次溶融・練成される。
【0049】
(2)連結手段
押出機70により溶融・練成された木質合成粉は、押出ダイ19及びフランジ17から成る連結手段を介して成形ダイ10へ押出し生地79として押出される。
【0050】
図2及び図3において、バレル74先端には押出ダイ19が連結されており、本実施形態にあっては、この押出ダイ19は、バレル74の出口側の後端面に直径65mmの円形を成す流入口13、成形ダイ側の先端面に幅65mm、高さ25mmの略楕円形状を成す射出口15を備えており、押出ダイ19内には、流入口13から射出口15に向けて徐々に小径に断面変形する連通孔が形成されている。もっとも、この押出ダイ19は押出機70の大きさに応じて種々の大きさに形成できる。
【0051】
押出ダイ19の先端には、フランジ17が取り付けられている。本実施形態にあっては、このフランジ17は、押出ダイ19の射出口15と同形状の流入口16と、幅97.5mm高さ46.7mmの射出口18を備えており、フランジ17内には流入口16から射出口18にかけて徐々に大径に断面変形する連通孔が形成されている。
【0052】
なお、押出ダイ19やフランジ17の周壁内に加熱手段たるヒ一夕(図示せず)を取り付けても良い。ヒータにより、押出機70より押し出された押出し生地79は、押出ダイ19及びフランジ17から連通孔を経る際にも加熱保温されるので、押出ダイ19から成形ダイ10内へ流動する押出生地79の流動状態が良好となる。
【0053】
しかも、押出ダイ19は、通常の一般的なダイとは異なり射出口15が大きいため、多量の溶融原料(本実施形態にあっては木質合成粉)を吐出することができ、且つ圧密を促進することが可能な形状に形成されているので、通常の押出ダイで生じていたようなダイの目詰まりが生じない。
【0054】
(3)成形ダイ
図2〜図4において、10は成形ダイであり、上記連結手段を介して押出機70より押し出された押出し生地79が導入される。
【0055】
成形ダイ10は、導入された押出し生地79を加熱する溶融部21a及び溶融部21aから押し出された押出生地79を徐冷する徐冷部21bから成る成形室22と、押出し生地79に中空部を形成する中子体40を備えている。
【0056】
成形室22は、加熱及び冷却手段をそれぞれ備える上下2枚の金属板を両側縁に配置した金属製の図示せざるスペーサで断面方形に形成したもので、前記スペーサの交換により任意の目的とする成形板の肉厚が得られるように調整する。
【0057】
成形ダイ10は、一例として、幅230mm、高さ250.7mmの矩形状の断面を成し、成形室22の入口から出口までの距離は1000mmとする。
【0058】
本実施形態にあっては、溶融部21aは、フランジ17の射出口18と同形状の入口及び出口を有する長さ61mmの押出し生地79の流路を成すと共に、この溶融部21aの入口と同形状の断面形状を成す徐冷部21bが形成され、成形室22が押出し方向に一定の断面形状に形成されている。
【0059】
図3において、14はヒータで、電熱ヒータ等の加熱手段から成り、押出し生地79を加熱保温し、押出し生地79の流動性を維持するため、溶融部21aの上下に等間隔で挿通して配管設置されている。
【0060】
また、25は冷却管で、成形室22の徐冷部21bを冷却する冷却手段の一例を示すもので、この冷却管25に冷却液を供給して成形室22内の押出し生地79をその外側から冷却する。この冷却管は、成形ダイ出口23(図6参照)の方向に向けて4分の3を占める徐冷部21bに、等間隔で挿通して配管設置されている。なお、冷却管25の間隔を次第に狭くするように設けることもでき、あるいは冷却管25を成形ダイ10の外壁に配設することもできるが、成形室22内の押出し生地79を冷却できればよいので、この構造に限定されない。
【0061】
成形ダイ10の内壁面は、フッ素樹脂により被覆されていることが好ましい。このフッ素樹脂の被覆方法としては、フッ素樹脂を直接表面にコーティングすることによって行っても良いが、交換が容易であり且つ耐久性に富むという点で、母材となるシートにフッ素樹脂をコーティングしたフッ素樹脂シート50’の貼設により行うことが好ましい。
【0062】
フッ素樹脂シート50’は、成形室22の上下の内壁面、すなわち木質合成材組成物29の表裏面を形成する面に相当する内壁面のみに施すこともできるが、成形室22の上下左右の内壁面全体に一連に貼設することが好ましい。
【0063】
成形ダイ10内壁面に貼設するフッ素樹脂シート50’としては、ガラス繊維の織物を母材とし、これにフッ素樹脂をコーティングしたもの(以下、本明細書において「ガラス繊維フッ素樹脂シート」という。)等を使用することもできるが、後述するフッ素樹脂分散液を含浸させ、乾燥、焼成して成るアラミド繊維の織布(以下、本明細書において「アラミド繊維フッ素樹脂シート」という。)を用いることが好ましい。
【0064】
図3〜図5において、40は中子体で、この中子体40は、大別して木質合成材組成物29内に形成される各中空部の断面形状と略同様の断面形状を有し、成形ダイ10の溶融部21aから成形ダイ出口23側(図4であれば左側)に向かって押出し生地79の押出方向と略平行に突出する複数の棒状部材48a〜48cを有する分割部48と、この分割部48に連続して形成され、分割部48を構成する棒状部材48a〜48cの上流側端部を結合する結合部45により構成されている。
【0065】
前述の分割部48を構成する棒状部材48a〜48cは、本実施形態にあっては、成形ダイ10の溶融部21aから成形ダイ出口23側に向かって、その矩形状の断面を僅かに狭めるテーパー状を成しており、従って成形ダイ出口23方向に向かって木質合成材組成物29を押し出し易い形状に構成されている。
【0066】
本実施形態にあっては図4に示すように、長さを681mm、成形ダイ10入口側端部(図4中右側)において高さ34.5mm、幅25.4mm、成形ダイ出口23側端部(図4中左側)において高さ33.8mm、幅24.8mmにその矩形状の断面を徐々に狭めるテーパー状の2本の棒状部材48a,48c間に、長さを681mm、成形ダイ10入口側端部において高さ34.5mm、幅24.4mm、成形ダイ出口23側端部において高さ33.8mm、幅23.8mmにその矩形状の断面を徐々に狭めるテーパー状の1本の棒状部材48bを、上記2本の棒状部材48a、48cに対し所定の間隔で略平行に設けると共に、該3本の棒状部材48a〜48cを成形ダイ10の溶融部21b内においてこれら3本の棒状部材48a〜48cと一体的に形成された結合部45により結合しており、中子体40は、この結合部45及び棒状部材48a〜48cにより全体として略櫛歯状に形成されている。
【0067】
なお、分割部48の棒状部材48a〜48cは、木質合成材組成物29内に形成する中空部の数に応じて2本以下、または4本以上とすることができ、断面形状も矩形に限定されず、種々の形状を採ることが可能である。
【0068】
本実施形態にあっては、棒状部材48a〜48cを結合して成る中子体40の結合部45は、長さ116mm、高さ21.9mm、幅131.6mmのブロック状であり、結合部45の押出し生地79の押出方向上流側端部は、図4に示すように平面において両角部が丸められており、且つ、図5に示すように縦断面において半円弧状に膨出した全体として丸みを帯びた形状に形成され、押出し生地79との間に生じる摩擦抵抗を緩和するよう形成されている。
【0069】
また、結合部45は、押出し生地79の押出方向下流において棒状部材48a〜48c間に形成される間隙46に至る傾斜部45aを有しており、該傾斜部45aは、図5に示すように、縦断面において徐々に幅を狭めるテーパー状を成し、押出し生地79が棒状部材48a〜48c間に形成される間隙46へ流動しやすいよう形成されている。
【0070】
また、中子体40は、成形ダイ10入口側の結合部45において成形ダイ10の溶融部21aの上下内壁に固着された基部44と一体的に形成されており、基部44は、溶融部21aを流れる押出し生地79が抵抗無く流れるよう、平面において流線形に形成されている。
【0071】
この中子体40の基部44を固着する成形ダイ10の上部内壁面には、成形ダイ10の壁面を貫通して、水、油等の液体、空気、その他のガス等の冷却媒体を供給する図示せざる冷却媒体の供給源と連通された導入路41が形成されており、この冷却媒体の導入路41が成形ダイ10の壁面及び基部44を貫通して溶融部21aにおける中子体40に至り、徐冷部21bにおいて中子体40内に形成された後述の冷却媒体の流路42に連通している。
【0072】
中子体40内に形成された冷却媒体の導入路41は、断熱材43にて包囲されており、導入路41内を通過する冷却媒体が該部において押出し生地を冷却することを防止すると共に、冷却媒体の温度を保ち、後述の冷却媒体の流路42に冷却媒体が導入されたときの冷却効果の向上を図っている。
【0073】
本実施形態にあっては、外周に断熱材としてミオレックスPMX−575(菱電化成)を配置した直径4mmの金属製パイプにて成形ダイ10の壁面、基部44及び中子体40を貫通し、これを冷却媒体の導入路41としている。
【0074】
本実施形態にあっては、流路42は、一端において前述のように冷却媒体の導入路41に連通し、他端を中子体40の端部(成形ダイ出口23方向)において開口するものとする。流路42内に導入された冷却媒体は、中子体40内に形成された流路42及び木質合成材組成物29内に形成された中空部を通過するときに押出し生地79及び木質合成材組成物29を内部より徐冷する。なお、流路42は、前述の構成に代えて、例えば徐冷部21bの中子体40内において成形ダイ出口23側の端部で連通する二重管構造とし、この一方を冷却媒体の導入源に連通すると共に、他方を冷却媒体の排出口に連通して、冷却媒体である例えば冷却水や冷却油が、中子体40内を循環するよう構成しても良く、押出し生地79を内側より徐冷し得る構成であれば導入される冷却媒体の種類、その他各種の条件の変更に従って種々の設計変更が可能である。
【0075】
前述した成形ダイ10内壁面と同様、押出し生地79との摩擦を緩和するため、中子体40の少なくとも一部を、フッ素樹脂シート50’の収容体50にて被覆する。収容体50は、着脱・交換が容易であると共に、立体形状の中子体に対しての使用に好適である。
【0076】
収容体50を形成するフッ素樹脂シート50’としては、収容体50として形成しうるものであれば如何なるものであってもよいが、アラミド繊維の織布にフッ素樹脂分散液を含浸し、乾燥・焼成した前述のアラミド繊維フッ素樹脂シート50’を用いることが好ましい。
【0077】
このアラミド繊維フッ素樹脂シート50’の母材を構成するアラミド(全芳香族ポリアミド)は耐熱性に優れ、高強度、高ヤング率であるため強化材としても使用されており、このアラミド繊維の織布を母材とするフッ素樹脂シート50’は、立体形状である中子体40に取り付けて使用するに適した柔軟性と耐屈曲特性を有すると共に、高い引張り強さを備えることから、長期間の使用にも耐え得るものとなっている。
【0078】
アラミド繊維フッ素樹脂シート50’に用いられるフッ素樹脂としては、ポリ四フッ化エチレン(登録商標テフロンTFE;デュポン社)、フッ化エチレン−プロピレンコポリマ(登録商標テフロンFEP)、ポリ三フッ化塩化エチレン(登録商標テフロンCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(登録商標テフロンVdF)等が挙げられる。
【0079】
なお、本実施形態にあっては、アラミド繊維フッ素樹脂シート50’の一例として、本多産業(株)製のライナーベルト用フッ素樹脂コーティングシート「マックスライナーベルト」(HAS−P506)を用いている。
【0080】
アラミド繊維フッ素樹脂シート50’の収容体50により、中子体40全体を被覆しても良いが、溶融部21a内に位置する中子体40の少なくとも一部分に対して被覆され、本実施形態にあっては結合部45に対して被覆される。アラミド繊維フッ素樹脂シート50’は、その柔軟性と耐屈曲性により、これを逢着又は接着剤等で接着する等して接合することにより、袋状体や筒状体の収容体を形成し、中子体40の結合部45等へ被せることが好ましい。。
【0081】
(4)引取手段
図6において30は引取手段であり、成形ダイ出口23側に配置され、成形ダイ出口23を介して押出された木質合成材組成物29を引き取るものである。
【0082】
図6に示す実施形態にあっては、この引取手段30は無端ベルト33にて同時に巻回された複数のローラ31を上下方向に対向配置して、上下に配置された無端ベルト33,33間で木質合成材組成物29を挟持し得るよう構成したもので、このローラ31のうち少なくとも1つを駆動源に連結された駆動ローラ31aと成し、無端ベルト33を介して上下ローラ31,31間に挟持された木質合成材組成物29を、駆動ローラ31aの回転により押出し方向に引き取るよう構成されている。
【0083】
次に、木質合成材組成物29の利用例を説明する。ここでは、製品80(例えばラティス等)への利用例と製造方法について図8〜図10を参照して説明する。製品80は、長尺方向に形成された中空部84a及び中空部84a上に縦方向に形成された複数の貫通穴81〜83を備えた酸化チタン含有木質合成材組成物84と、複数の長い中空脚部85〜87と、中空脚部85〜87を酸化チタン含有木質合成材組成物84に固定する複数の中空固定部材88a〜88c及び89と、中空脚部85〜87より短い中空脚部91〜93と、中空脚部85〜87の上部を連絡する連絡板94及び95と、中空脚部85〜87を酸化チタン含有木質合成材組成物84に係止する係止板96等を備えたものである。図8に示す通り、酸化チタン含有木質合成材組成物84の片側端部に中空脚部85〜87が縦方向に貫通可能な複数の貫通穴81〜83を中空部84aに沿って所定間隔又は適宜間隔で形成している。中空部84aと貫通穴81〜83とは連通する構造である。中空脚部85〜87の上部には連絡板94及び95を係止する溝85a、86a,86b,87aが形成されている。中空脚部85〜87の中央部にビス穴85c〜87cが形成され、中空脚部85〜87が貫装された中空固定部材88a〜88cにねじ込まれるビス88d〜88fが固定できるようになっている。中空固定部材88a〜88cの一端は、凹み89aが形成された中空固定部材89に嵌合され、ビス89b〜89dにより中空脚部85〜87及び/又は中空固定部材88a〜88cにねじ込まれるように構成されている。中空脚部91〜93は、酸化チタン含有木質合成材組成物84の裏側の一端部側に所定間隔又は適宜間隔でビス90で固定されたブロック97等に、ビス100で固定されている。中空脚部85〜87は中空脚部91〜93とは、酸化チタン含有木質合成材組成物84の中空部84aの長手方向端部に対称的に配置されている。
【0084】
木質合成材組成物29のその他の用途としては、家具(テーブル、椅子、たんす、事務机、テレビ台等)、インテリア製品、間仕切りパネル、床パネル、屋根パネル、浴室パネル、トイレパネル、外装材、内装材、仮設ハウス、物置、玄関ドア、室内ドア、カウンター、フラワーボックス、ラティス、犬小屋、ペット用品、DIY用品、船舶用パネル、型枠パネル、遮音パネル、植木鉢(フラワーポット)、プランター等が挙げられる。木質合成材組成物29を適用したこれらの製品は、パーティクルボード、MDF、合板、さらに自然木をも超えた性能を備えている上、空気清浄効果も備えている。
【0085】
【発明の効果】
請求項1〜8の発明によれば、以下の効果を備える。
(1)表面に酸化チタン含有塗料を塗布し、該塗布後に表面をサンディングして酸化チタンを露出させることにより、空気清浄効果を備えた酸化チタン含有木質合成材組成物を好適に製造することができる。特に、酸化チタンは高価であるが、少量の酸化チタンで充分に空気清浄効果を発揮するので、安価に製造することができる。
(2)木質合成材組成物の表面に凸凹や傷条を形成することにより、酸化チタン含有塗料の塗布及びサンディングが容易となり、酸化チタン含有木質合成材組成物を簡単に製造することができる。
(3)サンディングすることにより、酸化チタンを表面に露出させると共に、独特の色調、木質感、自然感を出すことができる。例えば、自然木と見分けがつかない落ち着いた深みのある外観であり光反射が少なく高級感が演出できる。また、ブラック、グリーン、レッド等、種々の美しく素晴らしい趣のある色感を出せる。さらに、木目の溝や凹凸を自然の形で出せるので木目が平坦に見えることがない。
(4)ゼラチンに酸化チタンを包含させて表面に塗布すれば、湯等をかけて加温するだけでゼラチンが溶出して酸化チタンが露出するので、酸化チタン含有木質合成材組成物をさらに簡単に製造することができる。
【0086】
また、酸化チタン含有木質合成材組成物は、他にも以下の特性を備えるので、種々の製品の原材料として利用できる。
優れた曲げ強度を備えている(MDFの約2倍)。伸縮が少ない。アルミ並みの寸法安定性がある。表面硬度が硬い(木材の約5倍、耐磨耗性はレッドシダーの約7倍)。木ねじ保持力が木材より優れている(パーティクルボードの約4倍、MDFの約5倍)。水に強くて腐らない(水に30日間つけても3%程度しか吸水しない)。耐熱性がよい(120℃の高温でも軟化しない)。屋外に長期間置いても割れたりしない(−30℃の低温にも耐えられる)。虫が食わない。カビない。天然木の感触がある。木粉を大量に含むので加工も簡単である。彫刻加工が自由である。パーティクルボード、MDF、合板など従来の建築材料などに含まれる接着剤(ホルムアルデヒド)の害が無い。ムク板状を中空形状にして軽くすることができる。熱可塑性合成樹脂製品の廃材から得られた回収熱可塑性樹脂を利用できるので、低コストで生産できる。木質合成材組成物自体も何度でもリサイクルできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の木質合成材組成物の成形方法の一例を示す工程図である。
【図2】本発明の実施形態における押出成形装置1の押出機70の一部断面図である。
【図3】本発明の実施形態における押出成形装置1の連結手段及び成形ダイ10の一部断面図である。
【図4】本発明の実施形態における押出成形装置1の成形ダイ10の平面断面図である。
【図5】本発明の実施形態における中子体40の一部断面図である。
【図6】本発明の実施形態における成形ダイ10及び引取手段30の一部断面図である。
【図7】(a)はアラミド繊維フッ素樹脂シート50’の平面図、(b)はアラミド繊維フッ素樹脂シート50’のIXB−IXB断面図である。
【図8】インテリア製品80の分解斜視図である。
【図9】インテリア製品80の組立図である。
【図10】インテリア製品80のコーナー部分の詳細分解図である。
【符号の説明】
1 押出成形装置 10 成形ダイ 13 流入口(押出ダイの)
14 ヒータ 15 射出口(押出ダイの) 16 流入口(フランジの)
17 フランジ 18 射出口(フランジの) 19 押出ダイ
21a 溶融部 21b 徐冷部 22 成形室
23 成形ダイ出口 25 冷却管 29 木質合成材組成物
29a リブ 30 引取手段 31 ローラ
31a 駆動ローラ 33 無端ベルト 40 中子体
41 導入路 42 流路 43 断熱材
44 基部 45 結合部 45a 傾斜部
46 間隙 48 分割部 48a〜48c 棒状部材
50 フッ素樹脂シートの収容体
50’ (アラミド繊維)フッ素樹脂シート
70 押出機 71 スクリュ 72 ギヤ減速機
73 ホッパ 74 バレル 75 バンドヒータ
76 スクリーン 79 押出し生地
【発明の属する技術分野】
本発明は、木粉等のセルロース系破砕物と熱可塑性樹脂の混合物から製造される木質合成材組成物及び該木質合成材組成物の製造方法に係り、詳しくは、空気清浄効果を備える酸化チタン含有木質合材組成物及び該酸化チタン含有木質合成材組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、家具(テーブル、椅子、たんす、事務机、テレビ台等)、インテリア製品(屋外家具、デッキ材、フェンス)、間仕切り板、床、屋根、浴室、トイレ、外装材、内装材、仮設ハウス、物置、玄関ドア、室内ドア、カウンター、フラワーボックス、ラティス、犬小屋等、種々の用途に木製の板材(天然木又はベニヤ板のような合板等)が広く利用されている。しかしながら、木製の板材をこのように製品化する際には、連結金具等を必要とするため見栄えが悪くなることもある。また、水に弱く、腐蝕し易い等、耐久性にも問題があるので、特に風雨に直接晒される屋外にて利用する場合等には好ましくないことが多々ある。そのような点から、最近では上記製品の原材料である木製の板材の代替材として、木粉及び合成樹脂(例えば熱可塑性樹脂等)の混合物を原料とした木質合成材組成物から成る板材が普及してきている。
【0003】
上記製品の原材料となる木質合成材組成物は、木粉及び熱可塑性樹脂を加熱・混練すると共に、所定形状に成形して得られる。これらの混合割合等によっても異なるが、木質合成材組成物は比重が0.97〜1.48と、一般の木材の板材(例えば、ベニヤ板のような合板の比重は0.45〜0.75)に比較して大きく重いため、軽量化を図るべく、内部に中空部を形成することもある。また、カラフルな製品を製造したり用途の多様化を図るべく、これらの木質合成材組成物を成形する際又は加工して製品化する際に、その用途に応じて着色剤、充てん剤(補強剤)、安定剤、可塑剤、発泡剤、難燃剤等を加え、種々の優れた性能を発揮させている。着色剤等の種類は原料となる合成樹脂の種類によっても異なり、製品の付加価値を高めるために使用する場合が多い。
【0004】
一方、現在、我々の生活環境の悪化に伴い、室内作業者、例えば、事務者等には、空気清浄機能を備えた空気調和装置が設置されており、空気の環境への配慮がなされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、現在の合成樹脂製品(例えば、上記木質合成材組成物から成る製品)については、合成樹脂等には空気清浄機能がないのが現状である。酸化チタン等は表面に露出しなければ充分な効果は期待できないので、少量の酸化チタン等を効率良く製品の表面に集中させることが必要である。また、酸化チタン等を含有した塗料等を製品の表面に塗布しても、酸化チタン等が表面に露出しない場合もある。表面を削れば美観が損なわれ製品とならないおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、上記課題を解決すべく、空気清浄機能を備えたチタン含有木質合成材組成物及び該酸化チタン含有木質合成材組成物の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、セルロース系破砕物40〜60重量%と熱可塑性樹脂60〜40重量%とを混合した木質合成粉から木質合成材組成物を成形し、該木質合成材組成物の表面に酸化チタンを含有した塗料を塗布し、該塗布後、前記塗料を研磨して前記酸化チタンを表面に露出させることを特徴とする酸化チタン含有木質合成材組成物の製造方法である。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記塗料はトルエン溶剤中に前記酸化チタンを混合したものであることを特徴とする請求項1記載の木質合成材組成物の製造方法である。
【0009】
請求項3記載の発明は、前記塗料は顔料を混合したものであることを特徴とする請求項1又は2記載の木質合成材組成物の製造方法である。
【0010】
請求項4記載の発明は、前記塗料の塗布後に、前記顔料を混合した着色料を塗布し、該塗布後、前記塗料及び前記着色料を研磨して前記酸化チタンを表面に露出させることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の酸化チタン含有木質合成材組成物の製造方法である。
【0011】
請求項5記載の発明は、セルロース系破砕物40〜60重量%と熱可塑性樹脂60〜40重量%とを混合した木質合成粉から木質合成材組成物を成形し、該木質合成材組成物の表面に酸化チタンを包含したゼラチンを塗布し、該塗布後、前記木質合成材組成物の表面を加温し、前記ゼラチンを溶出させて前記酸化チタンを表面に露出させることを特徴とする酸化チタン含有木質合成材組成物の製造方法である。
【0012】
請求項6記載の発明は、前記木質合成材組成物の表面に凸凹又は傷条を形成することを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の酸化チタン含有木質合成材組成物の製造方法である。
【0013】
請求項7記載の発明は、前記木質合成材組成物は中空構造の板材であることを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の酸化チタン含有木質合成材組成物の製造方法である。
【0014】
請求項8記載の発明は、請求項1乃至7いずれかに記載の酸化チタン含有木質合成材組成物の製造方法によって製造された酸化チタン含有木質合成材組成物である。
【0015】
ここでいうセルロース系破砕物としては、木粉等が好ましい。木粉等はその含有水分量を3重量%以内、好ましくは0.3重量%以内とする。また、平均粒径は50〜300メッシュ、好ましくは60(篩下)〜150(篩上)メッシュとする。木粉の種類は問わない。強化剤(サフラニン液等)を数%程度以下(例えば0.5%)で混合することもある。また、熱可塑性樹脂としては、好ましくは汎用プラスチック(ポリオレフィン、ポリスチレン系樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニール等)、エンジニアリングプラスチック(ポリアミド、ポリカーボネート、飽和ポリエステル、ポリアセタール等)等である。例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、塩化ビニル樹脂(PVC)又はナイロン等の熱可塑性エラストマーより成ることが好ましい。
【0016】
酸化チタンは、半導体の性質を有し、ダイオードとして整流、感光素子等に用いられ、また、トランジスタとして増幅、発振等に広く用いられている。現在では、光ファイバーの素材や高品質のペットボトルの製造に欠かせない触媒としても用いられている。ここで用いる酸化チタンは粉粒体状のものが好ましい。
【0017】
塗料とは、顔料が混合されていても良いし、されていなくても良い。顔料が混合されていない場合は、酸化チタンを含有した塗料の塗布後にさらに顔料を含んだ着色料を塗布することが好ましい。塗布するのは両面でも良いし、片面でも良い。研磨とは、サンディングペーパー等で塗料等の酸化チタン以外の物質を研磨し、酸化チタンを表面に露出させることが好ましい。加温とは、ゼラチンを溶出し包含されている酸化チタンを表面に露出させることができれば良く、例えば、湯等をかけて洗い流すことが好ましい。
【0018】
木質合成材組成物の形状としては、板材、柱材等が挙げられる。また、中空構造のものが好ましい。木質合成材組成物の成形には押出成形が好ましい。このときに使用する押出成形装置の金型の中にフッ素樹脂シートを設け、該フッ素樹脂シートの表面に凹凸を設けて、木質合成材組成物の表面に凸凹のある表面を形成することが好ましい。表面に凸凹を形成することにより、塗料や着色料が塗布し易くなる上、サンディングペーパー等で研磨し易くなる。また、成形後に研削研磨して傷条を多数形成することが好ましい。
【0019】
また、木質合成材組成物(例えば、中空構造の板材)の製造に適用される押出成形装置は、原料を加熱、練成し、スクリュをもって押出す押出機に、前記押出機から押し出された押出し生地を加熱する溶融部及び該溶融部から押し出された押出し生地を冷却する徐冷部から成る成形室と、前記溶融部から押出し生地の押出方向に平行に突出して少なくとも前記徐冷部に延長する中子体とを備えた成形ダイを連結すると共に、該成形ダイより押し出された木質合成材組成物を引き取る引取手段を備えた押出成形装置であって、少なくとも前記成形ダイの溶融部において前記中子体の少なくとも一部が、フッ素樹脂シート(好ましくはアラミド繊維フッ素樹脂シート)の収容体により被覆されていることが好ましい。前記引取手段は無くても実施できる。
【0020】
前記中子体が、成形された木質合成材組成物に形成される各中空部の断面形状と略同様の断面形状を有し、押出方向を長さ方向として略平行に配置された複数の棒状部材と、前記各棒状部材に連続し、前記溶融部において前記棒状部材の端部を結合する結合部から成る場合にあっては、このうちの少なくとも前記結合部を、アラミド繊維の織布にフッ素樹脂分散液を含浸させて乾燥、焼成して成る前記フッ素樹脂シートの収容体により被覆することが好ましい。
【0021】
この収容体による被覆は、前記中子体の前記結合部を、前記フッ素樹脂シートから成る袋状体の収容体内に挿入することにより行っても良い。また、別の方法としては、一辺に対し直交方向を成す切り込みが前記棒状部材間に形成される間隙の位置に対応して設けられた二枚の前記フッ素樹脂シートを重ね合わせ、前記切り込みに対し平行な2辺と、前記切り込みを挟んだ両側において接合することにより、一端開口が前記棒状部材の形成本数に対応して複数に分岐された筒状体を形成し、前記中子体の前記結合部と前記棒状部材の少なくとも前記結合部寄りの端部をこの筒状体の収容体内に挿入することにより行なうこともできる。また、前記袋状体及び前記筒状体を接合して両者を一体に収容体として形成することもできる。前記結合部をなくして、棒状部材を分離したものでも実施できる。
【0022】
さらに、前記中子体を被覆する材料と同様の前述のフッ素樹脂シートが、前記押出成形装置の前記成形ダイ内壁面にも貼設されていることが好ましい。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0024】
なお、本実施形態にあっては、一例として、セルロース系破砕物と熱可塑性樹脂を加熱・混練して得られた混練物を、冷却・固化して所定の粒径に粉砕したもの(本明細書において「木質合成粉」という。)を原料として成る木質合成材組成物の製造について説明する。
【0025】
〔木質合成材組成物〕
本実施形態で用いる木質合成粉の原料となるセルロース系破砕物たる木粉は、熱可塑性樹脂成形材とのなじみを良好にすると共に、成形押出し時における摩擦抵抗を減じ、成形機の損耗、毀損の防止を図るべく、その粒径を50〜300メッシュ、好ましくは60(篩下)〜150(篩上)メッシュの微細な粉末状とする。また、成形時における木酸ガスを揮散し、水蒸気あるいは気泡発生のおそれをなくし、表面の肌荒れを防止する意図から、木粉の乾燥前においてその含有水分量を15重量%以内、好ましくは11重量%以内、理想的には5重量%以内、特に好ましくは0.3重量%以内とする。
【0026】
なお、かかる木粉の特性をさらに向上させるため、尿素系樹脂接着剤に木材チップ等の素材を浸漬あるいはこれに添加し、加熱硬化した後に破砕、微粉末化することが可能である。使用目的に応じて、木粉には顔料を添加し、予め着色しておくこともできる。
【0027】
また、熱可塑性樹脂成形材としては、廃棄された各種の樹脂成形品をそのまま、もしくは表面樹脂塗膜を形成した樹脂成形品を複数の各小片に破砕し、これに圧縮研削作用等を付加して樹脂塗膜を研削、剥離することにより素材化した、PVC、PET、PP等の樹脂を用いることができる。
【0028】
そして、木粉乾燥後、含有水分量3重量%、好ましくは0.3重量%以内、平均粒径200メッシュ以下のセルロース系破砕物40〜60重量%に対して熱可塑性樹脂成形材60〜40重量%をともに攪拌衝撃翼により混合、ゲル化混練し、ゲル化した混練材料を冷却して、さらに粒径200メッシュ以下に整粒して得た木質合成粉を用いることにより、木粉の摩擦抵抗を減じ得る良好な混練状態の生地が形成される。
【0029】
本実施形態において用いる木質合成粉及び木質合成材組成物の製造方法の一例として、図1を参照して説明する。
【0030】
(1)乾燥工程
熱源(ボイラー熱、電気熱、ヒーター熱等)を使用することなく、回転の衝撃によるせん断発熱を利用して水分を木粉からたたき出す乾燥方法である。水分除去に必要な時間は約15分である。一例としてミキサーを用い、セルロース系破砕物である木粉を乾燥させる。ミキサーの攪拌衝撃翼を回転させ剪断発熱が生じることによってミキサー内の温度が上昇し、これによりミキサーに投入された木粉が乾燥される。本実施形態にあっては、投入された木粉の含有水分量が0.3重量%以下となるように乾燥する。木粉の粒径は50〜200メッシュが好ましい。水分は0〜0.3重量%に乾燥することが好ましい。方法はミキサーを回転させて水分を除く。
【0031】
また、顔料等として酸化チタン等を添加する場合には、この乾燥工程において前記木粉と共にミキサー内にこれを投入する。顔料の種類は、無機、有機を問わない。顔料の重量比率は、顔料の種類により異なる。例えば、木粉100重量%に対して10重量%前後の白酸化チタンを投入する。木粉のみに着色し、熱可塑性樹脂を着色しないので、木粉の変色を防ぐことができる。木粉で紫外線を防ぎ、劣化を少なくすることができる。
【0032】
(2)溶融・混練工程
木粉と熱可塑性樹脂を混合・溶融し、一体化する。高速回転翼による発熱で木粉とプラスチックとを溶融し、分子レベルで一体化する。重量比率は、顔料と木粉の混合体40〜60重量%に、着色しない熱可塑性樹脂60〜40重量%である。熱可塑性樹脂は、溶融混合して顆粒状ペレットとする。溶融機ミキサーの回転数は、850〜900rpm、温度は180〜190℃である。
【0033】
例えば、乾燥された木粉55重量%に対して、熱可塑性樹脂成形材としてPP45重量%を前記ミキサー内に投入し、さらに攪拌加圧する。熱可塑性樹脂成形材の形態は、本実施形態では直径3mm程度の大きさの粒状からなるペレットを使用している。
【0034】
熱可塑性樹脂成形材は、熱可塑性合成樹脂製品の廃材から得られた回収熱可塑性樹脂、バージンの熱可塑性樹脂、あるいはバージンの熱可塑性樹脂と前記回収熱可塑性樹脂をそれぞれ、例えば50重量%ずつ用いることもできる。
【0035】
この工程においては、原材料内の木粉によりPP等の熱可塑性樹脂は大きな塊とはならず、直径約10〜100mmの粘土状にゲル化した「混練材料」が形成される。
【0036】
(3)冷却・造粒(整粒)工程
本工程では、一例として前述の混練材料の冷却と造粒とを同時に行うことができる、所謂クーリングミキサーを用いる。前工程において形成された混練材料はクーリングミキサーヘ投入され、冷却水により冷却されたミキサー本体内周壁面で冷却され、直径約25mm以下に造粒された「造粒原料」が形成される。
【0037】
前記工程で形成された造粒原料は、さらに必要に応じてカッタミルを使用して粒径8mm以下に整粒することで、ペレット状の「木質合成粉」とする。なお、整粒工程は必ずしも必要ではなく、前述の冷却・造粒工程により得られる造粒物のサイズによってはこれを省略することもできる。
【0038】
木粉と熱可塑性樹脂成形材との混合、分散状態を定常的に維持し、良好なる流動性を有すると共に、冷却による凝縮、縮小作用とも相まって、化学的な反応や接着によらない木質合成粉が形成される。
【0039】
(4)成形工程
押出成形装置1に木質合成粉(顆粒状ペレット)を投入し、木粉が高濃度で混合されたものを高粘度の状態に溶融させ、押出成形装置1で高圧力で押し出し、金型の中に押し込み、高圧力で押し固めながら木質合成材組成物29を押し出す(図2〜図6参照)。粘度が高いので、前方への圧力が加えられた状態で押し出す。粘度が高いほど流れが早いチクソトロピーの原理を応用している。押出成形装置1の詳細は後述する。金型の中にフッ素樹脂シート50’を設け、フッ素樹脂シート50’の表面に凹凸をつけ、金型の中にフッ素樹脂シート50’を貼り、高圧力を加えて木質合成材組成物29の表面に熱可塑性樹脂の凹凸の或る(溝の或る)表面等を作り中空形状の製品を作る。このフッ素樹脂シート50’は、アラミド繊維の織布にフッ素樹脂分散液を含浸、乾燥、焼成したシートである。そのためシートの表面には、アラミド繊維の織り目が格子状等の所定形状に現われている(図7(a)及び(b)参照)。また、木質合成材組成物29の成形後に、目の粗いサンディングペーパー(度数40〜60)等で表面を研削し、傷条を多数形成することもできる。
【0040】
(5)塗布工程
前記の通り成形された木質合成材組成物29の表面に、トルエンやラッカー等に顔料及び酸化チタン粉を含有した塗料(着色料)をロール又はスプレー等で塗布する。なお、塗布方法は、立体的なものにはスプレー方式、一部に静電塗装方式、平面的なものにはカーテンフローコータ、ローラコータ、ボトムコータ等が用いられる。次いで、塗料塗布後の木質合成材組成物は自然乾燥される。このとき、塗料は木粉に浸透するので、塗料の密着性が向上する。なお、塗料は、トルエンやラッカー等に酸化チタン粉を含有していれば良く、木質合成材組成物に着色しない場合には、顔料を混合する必要はない。また、塗料(顔料が混合されているといないとを問わず)の塗布後に、さらに顔料を混合した塗料(着色料)を塗布しても良い。
【0041】
(6)サンディング工程
上記塗布後、木質合成材組成物29の表面をサンディングペーパー(度数40〜180)等で研磨し、塗料内に含有する酸化チタンを表面に露出させる。このとき、表面は溝の部分まで全て削ることが好ましい。木質合成材組成物29の表面には凸凹又は多数の小さい傷条を付けたので、表面のサンディングが容易になる。このように、酸化チタンを表面に露出させることにより、酸化チタンが備える空気清浄効果が充分に発揮される。
【0042】
また、サンディングすることにより、色を表面に出すことができ、独特の木質感、自然感を出すことができる。木目模様は、着色剤が木粉に浸透して滲みが生じることと、凹凸形状の表面にある着色木粉はそれぞれ切断位置が異なるため各着色木粉の濃淡が異なること等との相乗作用により、結果的に、独特の色調を演出し、天然木の木目に近い濃淡のぼかした模様がかもし出される。
【0043】
(7)仕上げ工程
最後に、木質合成材組成物29の表面にクリアラッカーあるいは艶消し等の透明塗料を塗布し、乾燥して仕上げる。この仕上げ塗料には、アミノアルキッド、ラッカー、ポリエステル、ポリウレタン等がある。これにより、木質感が向上する。
【0044】
また、他の実施形態として、(5)の塗布工程において、酸化チタンを包含したゼラチンを塗布することもできる。この場合、(6)のサンディング工程に代えて、木質合成材組成物29の表面に湯等をかけることにより、ゼラチンを溶出し、酸化チタンを表面に露出させることが好ましい。また、ゼラチン溶出後に表面をサンディングしても構わない。この方法であれば、木質合成材組成物29に限らず、衣類等の繊維にも酸化チタンを好適に塗布することが可能となる。
【0045】
〔押出成形装置〕
図2〜図6に示す通り、前記木質合成粉を木質合成材組成物29に成形する本発明の押出成形装置1は、押出機70と、この押出機70により吐出された押出し生地79を所定形状に成形する成形ダイ10、及び成形ダイ10のダイ出口23より押し出された木質合成材組成物29を引き取る引取手段30を備えており、成形ダイ10は、押出ダイ19及びフランジ17より成る連結手段を介して押出機70に連結されている。
【0046】
(1)押出機
図2において、70は前述の押出成形装置1を構成する押出機である。一般に押出機70はスクリュ型で単軸押出成形装置と多軸押出成形装置があり、この変形又はこれらが組み合わさった構造を持つものがあるが、本発明ではいずれの押出成形装置も使用することができる。
【0047】
71はスクリュで、図2に示す実施形態にあっては単軸型であり、このスクリュ71はギヤ減速機72を介して図示せざるモータによって駆動され、バレル74内で回転する。ホッパ73から投入された木質合成粉は、このスクリュ71の回転によって混練されながら前方へと押出される。
【0048】
バレル74の外面にはバンドヒータ75を設けており、このバンドヒータ75によりバレル74内で木質合成粉が加熱され、スクリュ71の溝に沿って前方へ搬送されながら漸次溶融・練成される。
【0049】
(2)連結手段
押出機70により溶融・練成された木質合成粉は、押出ダイ19及びフランジ17から成る連結手段を介して成形ダイ10へ押出し生地79として押出される。
【0050】
図2及び図3において、バレル74先端には押出ダイ19が連結されており、本実施形態にあっては、この押出ダイ19は、バレル74の出口側の後端面に直径65mmの円形を成す流入口13、成形ダイ側の先端面に幅65mm、高さ25mmの略楕円形状を成す射出口15を備えており、押出ダイ19内には、流入口13から射出口15に向けて徐々に小径に断面変形する連通孔が形成されている。もっとも、この押出ダイ19は押出機70の大きさに応じて種々の大きさに形成できる。
【0051】
押出ダイ19の先端には、フランジ17が取り付けられている。本実施形態にあっては、このフランジ17は、押出ダイ19の射出口15と同形状の流入口16と、幅97.5mm高さ46.7mmの射出口18を備えており、フランジ17内には流入口16から射出口18にかけて徐々に大径に断面変形する連通孔が形成されている。
【0052】
なお、押出ダイ19やフランジ17の周壁内に加熱手段たるヒ一夕(図示せず)を取り付けても良い。ヒータにより、押出機70より押し出された押出し生地79は、押出ダイ19及びフランジ17から連通孔を経る際にも加熱保温されるので、押出ダイ19から成形ダイ10内へ流動する押出生地79の流動状態が良好となる。
【0053】
しかも、押出ダイ19は、通常の一般的なダイとは異なり射出口15が大きいため、多量の溶融原料(本実施形態にあっては木質合成粉)を吐出することができ、且つ圧密を促進することが可能な形状に形成されているので、通常の押出ダイで生じていたようなダイの目詰まりが生じない。
【0054】
(3)成形ダイ
図2〜図4において、10は成形ダイであり、上記連結手段を介して押出機70より押し出された押出し生地79が導入される。
【0055】
成形ダイ10は、導入された押出し生地79を加熱する溶融部21a及び溶融部21aから押し出された押出生地79を徐冷する徐冷部21bから成る成形室22と、押出し生地79に中空部を形成する中子体40を備えている。
【0056】
成形室22は、加熱及び冷却手段をそれぞれ備える上下2枚の金属板を両側縁に配置した金属製の図示せざるスペーサで断面方形に形成したもので、前記スペーサの交換により任意の目的とする成形板の肉厚が得られるように調整する。
【0057】
成形ダイ10は、一例として、幅230mm、高さ250.7mmの矩形状の断面を成し、成形室22の入口から出口までの距離は1000mmとする。
【0058】
本実施形態にあっては、溶融部21aは、フランジ17の射出口18と同形状の入口及び出口を有する長さ61mmの押出し生地79の流路を成すと共に、この溶融部21aの入口と同形状の断面形状を成す徐冷部21bが形成され、成形室22が押出し方向に一定の断面形状に形成されている。
【0059】
図3において、14はヒータで、電熱ヒータ等の加熱手段から成り、押出し生地79を加熱保温し、押出し生地79の流動性を維持するため、溶融部21aの上下に等間隔で挿通して配管設置されている。
【0060】
また、25は冷却管で、成形室22の徐冷部21bを冷却する冷却手段の一例を示すもので、この冷却管25に冷却液を供給して成形室22内の押出し生地79をその外側から冷却する。この冷却管は、成形ダイ出口23(図6参照)の方向に向けて4分の3を占める徐冷部21bに、等間隔で挿通して配管設置されている。なお、冷却管25の間隔を次第に狭くするように設けることもでき、あるいは冷却管25を成形ダイ10の外壁に配設することもできるが、成形室22内の押出し生地79を冷却できればよいので、この構造に限定されない。
【0061】
成形ダイ10の内壁面は、フッ素樹脂により被覆されていることが好ましい。このフッ素樹脂の被覆方法としては、フッ素樹脂を直接表面にコーティングすることによって行っても良いが、交換が容易であり且つ耐久性に富むという点で、母材となるシートにフッ素樹脂をコーティングしたフッ素樹脂シート50’の貼設により行うことが好ましい。
【0062】
フッ素樹脂シート50’は、成形室22の上下の内壁面、すなわち木質合成材組成物29の表裏面を形成する面に相当する内壁面のみに施すこともできるが、成形室22の上下左右の内壁面全体に一連に貼設することが好ましい。
【0063】
成形ダイ10内壁面に貼設するフッ素樹脂シート50’としては、ガラス繊維の織物を母材とし、これにフッ素樹脂をコーティングしたもの(以下、本明細書において「ガラス繊維フッ素樹脂シート」という。)等を使用することもできるが、後述するフッ素樹脂分散液を含浸させ、乾燥、焼成して成るアラミド繊維の織布(以下、本明細書において「アラミド繊維フッ素樹脂シート」という。)を用いることが好ましい。
【0064】
図3〜図5において、40は中子体で、この中子体40は、大別して木質合成材組成物29内に形成される各中空部の断面形状と略同様の断面形状を有し、成形ダイ10の溶融部21aから成形ダイ出口23側(図4であれば左側)に向かって押出し生地79の押出方向と略平行に突出する複数の棒状部材48a〜48cを有する分割部48と、この分割部48に連続して形成され、分割部48を構成する棒状部材48a〜48cの上流側端部を結合する結合部45により構成されている。
【0065】
前述の分割部48を構成する棒状部材48a〜48cは、本実施形態にあっては、成形ダイ10の溶融部21aから成形ダイ出口23側に向かって、その矩形状の断面を僅かに狭めるテーパー状を成しており、従って成形ダイ出口23方向に向かって木質合成材組成物29を押し出し易い形状に構成されている。
【0066】
本実施形態にあっては図4に示すように、長さを681mm、成形ダイ10入口側端部(図4中右側)において高さ34.5mm、幅25.4mm、成形ダイ出口23側端部(図4中左側)において高さ33.8mm、幅24.8mmにその矩形状の断面を徐々に狭めるテーパー状の2本の棒状部材48a,48c間に、長さを681mm、成形ダイ10入口側端部において高さ34.5mm、幅24.4mm、成形ダイ出口23側端部において高さ33.8mm、幅23.8mmにその矩形状の断面を徐々に狭めるテーパー状の1本の棒状部材48bを、上記2本の棒状部材48a、48cに対し所定の間隔で略平行に設けると共に、該3本の棒状部材48a〜48cを成形ダイ10の溶融部21b内においてこれら3本の棒状部材48a〜48cと一体的に形成された結合部45により結合しており、中子体40は、この結合部45及び棒状部材48a〜48cにより全体として略櫛歯状に形成されている。
【0067】
なお、分割部48の棒状部材48a〜48cは、木質合成材組成物29内に形成する中空部の数に応じて2本以下、または4本以上とすることができ、断面形状も矩形に限定されず、種々の形状を採ることが可能である。
【0068】
本実施形態にあっては、棒状部材48a〜48cを結合して成る中子体40の結合部45は、長さ116mm、高さ21.9mm、幅131.6mmのブロック状であり、結合部45の押出し生地79の押出方向上流側端部は、図4に示すように平面において両角部が丸められており、且つ、図5に示すように縦断面において半円弧状に膨出した全体として丸みを帯びた形状に形成され、押出し生地79との間に生じる摩擦抵抗を緩和するよう形成されている。
【0069】
また、結合部45は、押出し生地79の押出方向下流において棒状部材48a〜48c間に形成される間隙46に至る傾斜部45aを有しており、該傾斜部45aは、図5に示すように、縦断面において徐々に幅を狭めるテーパー状を成し、押出し生地79が棒状部材48a〜48c間に形成される間隙46へ流動しやすいよう形成されている。
【0070】
また、中子体40は、成形ダイ10入口側の結合部45において成形ダイ10の溶融部21aの上下内壁に固着された基部44と一体的に形成されており、基部44は、溶融部21aを流れる押出し生地79が抵抗無く流れるよう、平面において流線形に形成されている。
【0071】
この中子体40の基部44を固着する成形ダイ10の上部内壁面には、成形ダイ10の壁面を貫通して、水、油等の液体、空気、その他のガス等の冷却媒体を供給する図示せざる冷却媒体の供給源と連通された導入路41が形成されており、この冷却媒体の導入路41が成形ダイ10の壁面及び基部44を貫通して溶融部21aにおける中子体40に至り、徐冷部21bにおいて中子体40内に形成された後述の冷却媒体の流路42に連通している。
【0072】
中子体40内に形成された冷却媒体の導入路41は、断熱材43にて包囲されており、導入路41内を通過する冷却媒体が該部において押出し生地を冷却することを防止すると共に、冷却媒体の温度を保ち、後述の冷却媒体の流路42に冷却媒体が導入されたときの冷却効果の向上を図っている。
【0073】
本実施形態にあっては、外周に断熱材としてミオレックスPMX−575(菱電化成)を配置した直径4mmの金属製パイプにて成形ダイ10の壁面、基部44及び中子体40を貫通し、これを冷却媒体の導入路41としている。
【0074】
本実施形態にあっては、流路42は、一端において前述のように冷却媒体の導入路41に連通し、他端を中子体40の端部(成形ダイ出口23方向)において開口するものとする。流路42内に導入された冷却媒体は、中子体40内に形成された流路42及び木質合成材組成物29内に形成された中空部を通過するときに押出し生地79及び木質合成材組成物29を内部より徐冷する。なお、流路42は、前述の構成に代えて、例えば徐冷部21bの中子体40内において成形ダイ出口23側の端部で連通する二重管構造とし、この一方を冷却媒体の導入源に連通すると共に、他方を冷却媒体の排出口に連通して、冷却媒体である例えば冷却水や冷却油が、中子体40内を循環するよう構成しても良く、押出し生地79を内側より徐冷し得る構成であれば導入される冷却媒体の種類、その他各種の条件の変更に従って種々の設計変更が可能である。
【0075】
前述した成形ダイ10内壁面と同様、押出し生地79との摩擦を緩和するため、中子体40の少なくとも一部を、フッ素樹脂シート50’の収容体50にて被覆する。収容体50は、着脱・交換が容易であると共に、立体形状の中子体に対しての使用に好適である。
【0076】
収容体50を形成するフッ素樹脂シート50’としては、収容体50として形成しうるものであれば如何なるものであってもよいが、アラミド繊維の織布にフッ素樹脂分散液を含浸し、乾燥・焼成した前述のアラミド繊維フッ素樹脂シート50’を用いることが好ましい。
【0077】
このアラミド繊維フッ素樹脂シート50’の母材を構成するアラミド(全芳香族ポリアミド)は耐熱性に優れ、高強度、高ヤング率であるため強化材としても使用されており、このアラミド繊維の織布を母材とするフッ素樹脂シート50’は、立体形状である中子体40に取り付けて使用するに適した柔軟性と耐屈曲特性を有すると共に、高い引張り強さを備えることから、長期間の使用にも耐え得るものとなっている。
【0078】
アラミド繊維フッ素樹脂シート50’に用いられるフッ素樹脂としては、ポリ四フッ化エチレン(登録商標テフロンTFE;デュポン社)、フッ化エチレン−プロピレンコポリマ(登録商標テフロンFEP)、ポリ三フッ化塩化エチレン(登録商標テフロンCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(登録商標テフロンVdF)等が挙げられる。
【0079】
なお、本実施形態にあっては、アラミド繊維フッ素樹脂シート50’の一例として、本多産業(株)製のライナーベルト用フッ素樹脂コーティングシート「マックスライナーベルト」(HAS−P506)を用いている。
【0080】
アラミド繊維フッ素樹脂シート50’の収容体50により、中子体40全体を被覆しても良いが、溶融部21a内に位置する中子体40の少なくとも一部分に対して被覆され、本実施形態にあっては結合部45に対して被覆される。アラミド繊維フッ素樹脂シート50’は、その柔軟性と耐屈曲性により、これを逢着又は接着剤等で接着する等して接合することにより、袋状体や筒状体の収容体を形成し、中子体40の結合部45等へ被せることが好ましい。。
【0081】
(4)引取手段
図6において30は引取手段であり、成形ダイ出口23側に配置され、成形ダイ出口23を介して押出された木質合成材組成物29を引き取るものである。
【0082】
図6に示す実施形態にあっては、この引取手段30は無端ベルト33にて同時に巻回された複数のローラ31を上下方向に対向配置して、上下に配置された無端ベルト33,33間で木質合成材組成物29を挟持し得るよう構成したもので、このローラ31のうち少なくとも1つを駆動源に連結された駆動ローラ31aと成し、無端ベルト33を介して上下ローラ31,31間に挟持された木質合成材組成物29を、駆動ローラ31aの回転により押出し方向に引き取るよう構成されている。
【0083】
次に、木質合成材組成物29の利用例を説明する。ここでは、製品80(例えばラティス等)への利用例と製造方法について図8〜図10を参照して説明する。製品80は、長尺方向に形成された中空部84a及び中空部84a上に縦方向に形成された複数の貫通穴81〜83を備えた酸化チタン含有木質合成材組成物84と、複数の長い中空脚部85〜87と、中空脚部85〜87を酸化チタン含有木質合成材組成物84に固定する複数の中空固定部材88a〜88c及び89と、中空脚部85〜87より短い中空脚部91〜93と、中空脚部85〜87の上部を連絡する連絡板94及び95と、中空脚部85〜87を酸化チタン含有木質合成材組成物84に係止する係止板96等を備えたものである。図8に示す通り、酸化チタン含有木質合成材組成物84の片側端部に中空脚部85〜87が縦方向に貫通可能な複数の貫通穴81〜83を中空部84aに沿って所定間隔又は適宜間隔で形成している。中空部84aと貫通穴81〜83とは連通する構造である。中空脚部85〜87の上部には連絡板94及び95を係止する溝85a、86a,86b,87aが形成されている。中空脚部85〜87の中央部にビス穴85c〜87cが形成され、中空脚部85〜87が貫装された中空固定部材88a〜88cにねじ込まれるビス88d〜88fが固定できるようになっている。中空固定部材88a〜88cの一端は、凹み89aが形成された中空固定部材89に嵌合され、ビス89b〜89dにより中空脚部85〜87及び/又は中空固定部材88a〜88cにねじ込まれるように構成されている。中空脚部91〜93は、酸化チタン含有木質合成材組成物84の裏側の一端部側に所定間隔又は適宜間隔でビス90で固定されたブロック97等に、ビス100で固定されている。中空脚部85〜87は中空脚部91〜93とは、酸化チタン含有木質合成材組成物84の中空部84aの長手方向端部に対称的に配置されている。
【0084】
木質合成材組成物29のその他の用途としては、家具(テーブル、椅子、たんす、事務机、テレビ台等)、インテリア製品、間仕切りパネル、床パネル、屋根パネル、浴室パネル、トイレパネル、外装材、内装材、仮設ハウス、物置、玄関ドア、室内ドア、カウンター、フラワーボックス、ラティス、犬小屋、ペット用品、DIY用品、船舶用パネル、型枠パネル、遮音パネル、植木鉢(フラワーポット)、プランター等が挙げられる。木質合成材組成物29を適用したこれらの製品は、パーティクルボード、MDF、合板、さらに自然木をも超えた性能を備えている上、空気清浄効果も備えている。
【0085】
【発明の効果】
請求項1〜8の発明によれば、以下の効果を備える。
(1)表面に酸化チタン含有塗料を塗布し、該塗布後に表面をサンディングして酸化チタンを露出させることにより、空気清浄効果を備えた酸化チタン含有木質合成材組成物を好適に製造することができる。特に、酸化チタンは高価であるが、少量の酸化チタンで充分に空気清浄効果を発揮するので、安価に製造することができる。
(2)木質合成材組成物の表面に凸凹や傷条を形成することにより、酸化チタン含有塗料の塗布及びサンディングが容易となり、酸化チタン含有木質合成材組成物を簡単に製造することができる。
(3)サンディングすることにより、酸化チタンを表面に露出させると共に、独特の色調、木質感、自然感を出すことができる。例えば、自然木と見分けがつかない落ち着いた深みのある外観であり光反射が少なく高級感が演出できる。また、ブラック、グリーン、レッド等、種々の美しく素晴らしい趣のある色感を出せる。さらに、木目の溝や凹凸を自然の形で出せるので木目が平坦に見えることがない。
(4)ゼラチンに酸化チタンを包含させて表面に塗布すれば、湯等をかけて加温するだけでゼラチンが溶出して酸化チタンが露出するので、酸化チタン含有木質合成材組成物をさらに簡単に製造することができる。
【0086】
また、酸化チタン含有木質合成材組成物は、他にも以下の特性を備えるので、種々の製品の原材料として利用できる。
優れた曲げ強度を備えている(MDFの約2倍)。伸縮が少ない。アルミ並みの寸法安定性がある。表面硬度が硬い(木材の約5倍、耐磨耗性はレッドシダーの約7倍)。木ねじ保持力が木材より優れている(パーティクルボードの約4倍、MDFの約5倍)。水に強くて腐らない(水に30日間つけても3%程度しか吸水しない)。耐熱性がよい(120℃の高温でも軟化しない)。屋外に長期間置いても割れたりしない(−30℃の低温にも耐えられる)。虫が食わない。カビない。天然木の感触がある。木粉を大量に含むので加工も簡単である。彫刻加工が自由である。パーティクルボード、MDF、合板など従来の建築材料などに含まれる接着剤(ホルムアルデヒド)の害が無い。ムク板状を中空形状にして軽くすることができる。熱可塑性合成樹脂製品の廃材から得られた回収熱可塑性樹脂を利用できるので、低コストで生産できる。木質合成材組成物自体も何度でもリサイクルできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の木質合成材組成物の成形方法の一例を示す工程図である。
【図2】本発明の実施形態における押出成形装置1の押出機70の一部断面図である。
【図3】本発明の実施形態における押出成形装置1の連結手段及び成形ダイ10の一部断面図である。
【図4】本発明の実施形態における押出成形装置1の成形ダイ10の平面断面図である。
【図5】本発明の実施形態における中子体40の一部断面図である。
【図6】本発明の実施形態における成形ダイ10及び引取手段30の一部断面図である。
【図7】(a)はアラミド繊維フッ素樹脂シート50’の平面図、(b)はアラミド繊維フッ素樹脂シート50’のIXB−IXB断面図である。
【図8】インテリア製品80の分解斜視図である。
【図9】インテリア製品80の組立図である。
【図10】インテリア製品80のコーナー部分の詳細分解図である。
【符号の説明】
1 押出成形装置 10 成形ダイ 13 流入口(押出ダイの)
14 ヒータ 15 射出口(押出ダイの) 16 流入口(フランジの)
17 フランジ 18 射出口(フランジの) 19 押出ダイ
21a 溶融部 21b 徐冷部 22 成形室
23 成形ダイ出口 25 冷却管 29 木質合成材組成物
29a リブ 30 引取手段 31 ローラ
31a 駆動ローラ 33 無端ベルト 40 中子体
41 導入路 42 流路 43 断熱材
44 基部 45 結合部 45a 傾斜部
46 間隙 48 分割部 48a〜48c 棒状部材
50 フッ素樹脂シートの収容体
50’ (アラミド繊維)フッ素樹脂シート
70 押出機 71 スクリュ 72 ギヤ減速機
73 ホッパ 74 バレル 75 バンドヒータ
76 スクリーン 79 押出し生地
Claims (8)
- セルロース系破砕物40〜60重量%と熱可塑性樹脂60〜40重量%とを混合した木質合成粉から木質合成材組成物を成形し、
該木質合成材組成物の表面に酸化チタンを含有した塗料を塗布し、
該塗布後、前記塗料を研磨して前記酸化チタンを表面に露出させることを特徴とする酸化チタン含有木質合成材組成物の製造方法。 - 前記塗料はトルエン溶剤中に前記酸化チタンを混合したものであることを特徴とする請求項1記載の木質合成材組成物の製造方法。
- 前記塗料は顔料を混合したものであることを特徴とする請求項1又は2記載の木質合成材組成物の製造方法。
- 前記塗料の塗布後に、前記顔料を混合した着色料を塗布し、
該塗布後、前記塗料及び前記着色料を研磨して前記酸化チタンを表面に露出させることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の酸化チタン含有木質合成材組成物の製造方法。 - セルロース系破砕物40〜60重量%と熱可塑性樹脂60〜40重量%とを混合した木質合成粉から木質合成材組成物を成形し、
該木質合成材組成物の表面に酸化チタンを包含したゼラチンを塗布し、
該塗布後、前記木質合成材組成物の表面を加温し、前記ゼラチンを溶出させて前記酸化チタンを表面に露出させることを特徴とする酸化チタン含有木質合成材組成物の製造方法。 - 前記木質合成材組成物の表面に凸凹又は傷条を形成することを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の酸化チタン含有木質合成材組成物の製造方法。
- 前記木質合成材組成物は中空構造の板材であることを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の酸化チタン含有木質合成材組成物の製造方法。
- 請求項1乃至7いずれかに記載の酸化チタン含有木質合成材組成物の製造方法によって製造された酸化チタン含有木質合成材組成物。
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JP2002174434A JP2004017434A (ja) | 2002-06-14 | 2002-06-14 | 酸化チタン含有木質合成材組成物及び該酸化チタン含有木質合成材組成物の製造方法 |
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JP2013540615A (ja) * | 2010-09-23 | 2013-11-07 | フローリング・テクノロジーズ・リミテッド | パネルを製造する方法およびこの方法で製造されたパネル |
JP2015512348A (ja) * | 2012-04-03 | 2015-04-27 | エルジー・ハウシス・リミテッド | 木材プラスチック複合材及びその製造方法 |
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2002
- 2002-06-14 JP JP2002174434A patent/JP2004017434A/ja active Pending
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