【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ベタ印刷時の均一性に優れ、かつ文字の印刷品位も高いインクジェット被記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、インクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させ、紙などのインクジェット記録シートに付着させることで画像や文字などの記録を行う記録方式である。特に、多色インクジェット方式で形成された画像は、製版方式による多色印刷やカラー写真方式による印画と比較しても遜色のない記録を得ることが可能で、作成部数が少ない場合には通常の印刷技術や写真技術より印刷コストが安価に済むという利点もあることから、近年、各種情報機器の画像記録装置として急速に普及している。
【0003】
このようなインクジェット記録方式において、記録の高速化、高精細化あるいはフルカラー化といった記録特性を向上させるため、記録装置や記録方法の改良が行われてきたが、それに伴いインクジェット被記録媒体にも、より高度な特性が要求されるようになってきた。すなわち、インクジェット被記録媒体に求められる特性としては、ドットの濃度が高く鮮やかで、明るい色調が出せること、コントラストが高いこと、ドットが重なってもインクが流れ出したり、滲んだりしないような高いインク吸収性を有すること、真円に近いドット形状であること、さらに境界が滑らかで、ぼやけないことなどが挙げられる。
【0004】
また、最近では、プリンタの高性能化に伴い、銀塩写真調の光沢や質感をもった画像が形成し得る被記録媒体が重要視され始めている。
【0005】
そこで、高画質化に加えて、光沢性およびインク受容層に透明性を付与したものとして、微細なアルミナ水和物を水溶性のバインダーとともに支持体上に塗布したインクジェット被記録媒体が提案されている。例えば、特開昭60−232990号公報には、多孔質のカチオン性アルミナ水和物を含有するインク受容層を有する記録紙が開示されている。また、特開平2−276670号公報、特開平6−48016号公報、特開平6−55829号公報、特開平7−76161号公報、特開平8−22608号公報、特開平10−44585号公報および特開平11−34484号公報では、擬ベーマイトを含有する記録シートが開示されている。特に、特開平7−76161号公報や特開2000−239578公報には、擬ベーマイト構造のアルミナゾルと、ホウ酸またはホウ酸塩を含有する記録シートが開示されている。
【0006】
しかしながら、上記微粒子を用いて空隙層を形成したインクジェット被記録媒体は、プリンタの種類や印刷方法によっては、形成されるドットの拡がりが不十分になる。その結果、ベタ印刷時の均一性(以下、ベタ均一性という)が悪化して、印刷品位が低下するといった問題が生じる。さらにドット同士の重なり合いが少ない場合は、白スジとよばれる印刷画像の抜けが発生することがある。
【0007】
適度なドット径を与えるものとして、特開平10−114141号公報では撥水性物質を含有させたインクジェット被記録媒体が開示されている。しかし、この発明は実質的にインク受容層の塗工量でドット径を制御するため、コストや生産条件などの制約を受けやすいという欠点がある。また、特開平10−157278号公報ではアルミナゾルおよび塩基性乳酸アルミニウムを添加したインクジェット被記録媒体が開示されている。しかし、上記のように微細なアルミナ水和物を主成分とした被記録媒体には十分な制御効果が得られず、必ずしも満足できるものではなかった。また、ベタ均一性を向上させるためにドットを大きくした場合、同時にドットの境界がシャープにならずにぼやけ、その結果、文字の印刷品位が悪化するという問題点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の実態に鑑みてなされたものであり、ベタ均一性に優れ、かつ文字の印刷品位も高いインクジェット被記録媒体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、カチオン樹脂およびポリエーテルを同時にインク受容層に含有させて、インク滴の滲み率を一定の範囲とすることで、前述した課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、基材の少なくとも一方の面に、主として無機顔料からなるインク受容層を設けたインクジェット被記録媒体において、該インク受容層が、カチオン性樹脂およびポリエーテルを含有し、かつ該インク受容層に水性インクを用いてインクジェット記録を行った場合に、ノズルより吐出されるインクの体積から求めた球相当径(d)と、該インクが被記録媒体のインク受容層に着弾した際に形成するドット径(D)から求めたインクの滲み率(D/d)が2.2〜2.4の範囲であることを特徴とするインクジェット被記録媒体を提供する。
【0011】
また、本発明は、無機顔料が、アルミナおよびベーマイト構造または擬ベーマイト構造のアルミナ水和物の少なくとも1種である上記のインクジェット被記録媒体を提供する。
【0012】
さらに本発明は、ポリエーテルが、数平均分子量(Mn)1,000〜50,000のポリエチレングリコールまたはポリエチレンオキサイドであり、無機顔料に対して0.5〜10質量%含有された上記のインクジェット被記録媒体を提供する。
【0013】
上記インク受容層を設けることにより、本発明のインクジェット被記録媒体はベタ均一性に優れ、かつ文字の印刷品位も高いインクジェット被記録媒体を提供することが可能である。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。
本発明において使用する基材としては、特に限定されるものではないが、例えば、適度のサイジングが施された紙、無サイズ紙、塗工紙、ポリエチレンなどを用いたレジンコート紙などの紙類からなるもの:ポリエチレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ乳酸、ポリアセテート、ポリ塩化ビニル、酢酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレートおよびポリカーボネートなどの透明な熱可塑性樹脂フィルム:無機物の充填または微細な発泡により不透明化されたフィルムからなるシート状物質(合成紙など):さらには布やガラスまたは金属などからなるシートなどが挙げられる。また、これら基材とインク受容層との接着強度を向上させるため、基材表面にコロナ放電処理や各種アンダーコート処理を施すことも可能である。
【0015】
本発明においては、無機顔料とともにカチオン性樹脂およびポリエーテルを含有させてインク受容層を上記基材表面に形成することを特徴としている。
【0016】
本発明で使用可能なポリエーテルは、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコールやポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオキサイドなどのポリアルキレンオキサイドを挙げることができる。また、これら分子構造または分子量が異なるポリエーテルを複数種共重合した樹脂を用いたり、あるいは複数種を混合して用いることもできる。これらのポリエーテルの中ではポリエチレングリコールまたはポリエチレンオキサイドが好ましく用いられる。
【0017】
ポリエチレングリコールおよびポリエチレンオキサイドの含有量は、インク受容層中の無機顔料に対して0.5〜10質量%が好ましい。さらに好ましくは、1〜5質量%の範囲である。含有量が10質量%を超えても顕著な効果が発揮されず、むしろ文字品位が低下することがあり、また、0.5質量%未満では本発明の効果が十分に発揮されない。また、上記のポリエーテルの数平均分子量(Mn)は1,000〜50,000が好ましく、さらに好ましくは2,000〜30,000の範囲である。数平均分子量(Mn)が1,000以下では本発明の効果が十分には発揮されず、むしろ文字品位が低下することがあり、50,000を超えると、インク受容層を形成する塗工液の粘度が高くなり、塗工性が低下する場合がある。
【0018】
本発明に用いられるカチオン樹脂の例としては、ポリアリルアミン、ポリアミンスルホン、ポリビニルアミン、ポリエチレンイミン、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂、ポリビニルピリジニウムハライド、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライド、ポリアクリルアミドのカチオン変性物あるいはアクリルアミドとカチオン性モノマーとの共重合体、ビニルピロリドン系モノマーと他の一般的なモノマーとの共重合体、ビニルオキサゾリドン系モノマーと他の一般的なモノマーとの共重合体、ビニルイミダゾール系モノマーと他の一般的なモノマーとの共重合体などが挙げられる。好ましくは、ポリアリルアミン酢酸塩重合物とポリアクリルアミド−ジアリルアミン塩酸塩共重合体であり、それらは、塗工液の安定性や文字の印刷品位向上効果に優れている。これらのカチオン性樹脂は、単独あるいは混合してもよく、さらには上記のその他のカチオン性樹脂を複数混合して使用してもよい。
【0019】
本発明で使用するカチオン性樹脂の数平均分子量としては特に限定はしないが、好ましくは1,000〜500,000、より好ましくは5,000〜200,000が望ましい。数平均分子量が1,000未満の場合は、本発明の効果が十分に発揮されない。また、500,000を超えると、インク受容層を形成する塗工液の粘度が高くなり、塗工性が低下する場合がある。
【0020】
本発明に使用されるカチオン樹脂の含有量は、インク受容層中の顔料に対して0.01〜10質量%が好ましく、さらに好ましい含有量は、0.05〜5質量%である。含有量が10質量%を超えても顕著な効果が発揮されず、むしろドットの広がりを抑制することがあり、また、0.05質量%未満では文字の印刷品位の向上効果が十分に発揮されない。さらにポリエーテル化合物とカチオン樹脂は1:0.001〜1:20の比率で含有させるのが好ましい。この比率で含有させて滲み率を2.2〜2.4の範囲とすることで本発明の効果が発揮される。
【0021】
本発明のインクジェット被記録媒体は、以上の成分を含有する塗工液を調製し、該塗工液を基材の表面に塗工してインク受容層を形成することで得られるが、このインク受容層は、無機顔料と少量の水溶性樹脂から形成される空隙を有するものが好ましい。
【0022】
本発明において使用する無機顔料としては、インク吸収能が高く、発色性に優れ、高品位の画像が形成可能な無機微粒子であることが好ましい。このような無機微粒子としては、例えば、炭酸マグネシウム、カオリン、ハイドロタルサイト、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、アルミナ、コロイダルアルミナ、水酸化アルミニウム、ベーマイト構造のアルミナ水和物および擬ベーマイト構造のアルミナ水和物、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、リトポン、ゼオライトなどが挙げられ、これらを単独あるいは複数種を併用することができる。これらの中でより微細な空隙が形成できるという点で、アルミナ、ベーマイト構造または擬ベーマイト構造のアルミナ水和物を用いるのが好ましい。特に、BET比表面積が50m2/g以上の、アルミナ、ベーマイト構造または擬ベーマイト構造のアルミナ水和物がより好ましい。
【0023】
本発明に用いられるアルミナ水和物としては、下記一般式(1)により表されるものを使用できる。
Al2O3−n(OH)2n・mH2O (1)
式中、nは0、1、2または3の整数内のいずれかを表し、mは0〜10、好ましくは0〜5の値を表す。mH2Oは多くの場合、結晶格子の形成に関与しない脱離可能な水相を表すものであるため、mは整数でない値をとることができる。また、この種のアルミナ水和物を加熱するとmは0の値に達することがあり得る。
【0024】
一般にベーマイト構造を示すアルミナ水和物の結晶は、その(020)面が巨大平面を形成する層状化合物であり、X線回折図形に特有の回折ピークを示す。ベーマイト構造としては、完全ベーマイトの他に擬ベーマイトと称する、過剰な水を(020)面の層間に含んだ構造を取ることもできる。この擬ベーマイトのX線回折図形は完全なベーマイトよりもブロードな回折ピークを示す。完全ベーマイトと擬ベーマイトは明確に区別できるものではないので、以下特に断らない限り、両者を含めてベーマイト構造を示すアルミナ水和物という。
【0025】
特開昭56−120508号公報に開示されているように、X線回折的に無定形のアルミナ水和物を、水の存在下で50℃以上で加熱処理することによってベーマイト構造に変えて用いることができる。特に好ましく用いることができる方法は、長鎖のアルミニウムアルコキシドに対して酸を添加して加水分解および解膠を行うことによってアルミナ水和物を得る方法である。
【0026】
ここで、長鎖のアルミニウムアルコキシドとは、例えば、炭素数が5以上のアルコキシドであり、さらに炭素数12〜22のアルコキシドを用いると、後述するようにアルコール分の除去およびアルミナ水和物の形状制御が容易になるため好ましい。
【0027】
添加する酸としては有機酸および無機酸の中から1種または2種以上を自由に選択して用いることができるが、加水分解の反応効率および得られたアルミナ水和物の形状制御や分散性の点で硝酸が最も好ましい。この工程の後に水熱合成などを行って粒子径を制御することも可能である。硝酸を含むアルミナ水和物分散液を用いて水熱合成を行うと、水溶液中の硝酸がアルミナ水和物表面に硝酸根として取り込まれて水分散性を向上させることができる。
【0028】
上記方法には、アルミナヒドロゲルやカチオン性アルミナを製造する方法と比較して、各種イオンなどの不純物が混入しにくいという利点がある。さらに長鎖のアルミニウムアルコキシドは、加水分解後のアルコールが除去し易いため、アルミニウムイソプロポキシドなどの短鎖のアルコキシドを用いる場合と比較して、アルミナ水和物の脱アルコールを完全に行うことができるという利点がある。
【0029】
本発明のインクジェット被記録媒体は、少なくとも前記無機顔料、カチオン性樹脂およびポリエーテルからなる組成物を、必要に応じた量の水溶性樹脂および水性媒体とともに混合して塗工液を調製し、これを基材の表面に塗布し乾燥させてインク受容層を形成することで得られる。
【0030】
前記塗工液に含有させる水溶性または水分散性の高分子化合物としては、例えば、澱粉、ゼラチン、カゼインおよびそれらの変性物、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体、完全または部分ケン化のポリビニルアルコールまたはその変性物(カチオン変性、アニオン変性、シラノール変性など)、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、エピクロルヒドリン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエチレンイミン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸またはその共重合体、アクリルアミド系樹脂、無水マレイン酸系共重合体、ポリエステル系樹脂、SBRラテックス、NBRラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス、アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのビニル系重合体ラテックスおよびこれらの各種重合体ラテックスにカチオン性基またはアニオン性基を付与した官能基変性重合体ラテックス類が挙げられる。好ましくは、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールで、平均重合度が300〜5,000のものが好適に用いられる。ケン化度は70〜100%未満のものが好ましく、80〜99.5%のものが特に好ましい。また、これらの水溶性または水分散性樹脂は単独あるいは複数種混合して用いることができる。
【0031】
塗工液中の無機顔料と水溶性樹脂の混合質量比は、好ましい範囲は1:1〜30:1、より好ましくは2:1〜12:1の範囲である。水溶性樹脂の量がこれらの範囲内であれば、形成されたインク受容層のひび割れや粉落ちが発生し難くなり、インク受容層のインク吸収性も良い。
【0032】
本発明のインクジェット被記録媒体において、そのインク受容層の皮膜の脆弱性を改善させるために、硬膜剤を使用してもよい。本発明に用いられる硬膜剤は様々なものが選択されて用いられる。硬膜剤の例として、エポキシ系硬膜剤、アルデヒド系硬膜剤、活性ハロゲン系硬膜剤、活性ビニル系化合物、イソシアネート化合物、ホウ素化合物などが挙げられる。ポリビニルアルコールを使用する場合には、ホウ酸、その塩およびホウ砂から選ばれる硬膜剤を使用するのが好ましく、ホウ酸がより好ましい。
【0033】
ホウ酸の含有量は、インク受容層中の水溶性または水分散性の高分子化合物に対して0.1〜50質量%が好ましく、さらに好ましくは0.5〜30質量%である。含有量が50質量%を超えた場合、塗工液がゲル化し塗工適性が悪化することがあり、また、0.1質量%未満では硬膜剤としての効果が十分に発揮されない。
【0034】
また、塗工液の基材となる水性媒体としては、水または水に混合可能な有機溶剤との混合溶液であれば特に制限はない。水に混合可能な有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類:エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテルなどの多価アルコールの低級アルキルエーテル類:アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類:テトラヒドロフランなどのエーテル類が挙げられる。
【0035】
インク受容層を形成するための塗工液中の固形分濃度は、基材上にインク受容層を形成できる程度の粘度であれば特に制限はないが、塗工液全質量に対して5〜50質量%が好ましい。固形分濃度が5質量%未満の場合は、インク受容層の膜厚を厚くするのに塗工液量を増やす必要があり、乾燥に多くの時間とエネルギーを必要とすることから非経済的となる場合がある。また、50質量%を越えると塗工液の粘度が高くなり、塗工性が低下する場合がある。
【0036】
このような塗工液を基材上に塗工する方法としては、スピンコート法、ロールコート法、ブレードコート法、エアナイフコート法、ゲートロールコート法、バーコート法、サイズプレス法、スプレーコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、ロッドブレードコート法、リップコート法、スリットダイコート法など、従来公知の塗工方法を用いことができる。また、必要に応じて塗工後にカレンダーロールなどを用いてインク受容層の表面平滑性を向上させることも可能である。
【0037】
塗工液の基材上への塗工量として好ましい範囲は、固形分換算で0.5〜60g/m2であり、より好ましい範囲は1.0〜50g/m2である。塗工量が0.5g/m2未満の場合は、形成されたインク受容層がインクの水分を十分に吸収できず、インクが流れたり、画像が滲んだりする場合があり、60g/m2を超えると、乾燥時にカールが発生したり、印字性能に期待されるほど顕著な効果が現れない場合がある。
【0038】
また、ポリエーテル化合物を使用する方法としては、以上に説明したように直接塗工液に添加する方法、無機顔料などによりインク受容層が形成されたインクジェット被記録媒体に、ポリエーテル化合物を添加する方法がある。いずれの方法も可能であるが、後者の場合には、予め溶媒にポリエーテル化合物を溶解または分散し、この溶液にインクジェット被記録媒体を浸漬するか、あるいはオーバーコートすることで添加できる。
【0039】
本発明のインクジェット被記録媒体は、前記基材上にこれらの方法で塗工液を塗工し、熱風乾燥機、熱ドラム、遠赤外線乾燥機などの乾燥装置を用いて乾燥することにより得られる。また、基材上に設けられるインク受容層は、基材の片面もしくは両面に設けることが可能であり、両面の場合は、設けられるインク受容層の組成が、それぞれ同じものでも異なっていてもよい。
【0040】
また、本発明のインクジェット被記録媒体のインク受容層には、被記録媒体としての性能を損なわない範囲で、着色染料、着色顔料、染料固着剤、分散剤、増粘剤、pH調整剤、潤滑剤、流動変性剤、界面活性剤、帯電防止剤、消泡剤、抑泡剤、剥離剤、浸透剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを添加することもできる。
【0041】
なお、本発明のインクジェット被記録媒体に記録する際に使用するインクは特に限定されないが、色材として染料または顔料を使用し、媒体として水と水溶性有機溶剤との混合物を使用し、該媒体に染料または顔料を溶解または分散させた一般的なインクジェット記録用の水性インクの使用が好ましい。また、インクの各種物性の範囲は、25℃付近で表面張力を10〜60mN/mとするのが好ましく、さらに粘度を1〜20cpsとするのが好ましい。この範囲であれば本発明の効果がより発揮される。
【0042】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の文中「部」および「%」は特に記載が無い限り質量基準である。
【0043】
評価1<滲み率測定方法>
インクジェット被記録媒体に、インクジェット記録装置P−660C(キヤノンアプテックス社製)を用いて、ブラック(Bk)インクによる印刷を行い、単ドットの直径(D)をオリンパス社製インライン顕微鏡(型式STJ)で測定し、下記の式1および式2を用いて算出した。
・滲み率=D(ドット径)/d(インクドロップ径)・・・式1
・d=2(3/4Π×Φ)1/3、Φ:インク滴体積・・・式2
また、上記ブラック(Bk)インクの25℃での表面張力を協和界面科学社製自動表面張力計(型式CBVP−A3)で測定したところ、41.8mN/mであった。さらに25℃での粘度を東機産業社製ELD型粘度計を用い、(条件1°34’×R24コーンロータ使用、回転数100rpm)で測定したところ2.09cpsであった。
【0044】
評価2<ベタ均一性>
インクジェット被記録媒体に、P−660Cを用いて、シアン(C)インクによるベタ印刷を行い、白スジの発生状態を目視で観察した。
○:画像のムラがなく、均一な画像である。
×:白スジが発生し不均一な画像であり、実使用上問題がある。
【0045】
評価3<文字品位>
インクジェット被記録媒体に、P−660Cを用いて、ブラック(Bk)インクにより、明朝体で6ポイントの「電」の文字を印刷し、文字の状態を目視で観察した。
○:文字の輪郭がシャープである。
△:文字が若干ぼやけているが、実使用範囲内である。
×:文字の一部が完全につぶれている。
【0046】
<アルミナ水和物の製造>
米国特許明細書第4,242,271号に記載された方法でアルミニウムドデキシドを製造した。次に米国特許明細書第4,202,870号に記載された方法で、前記アルミニウムドデキシドを加水分解してアルミナスラリーを製造した。このアルミナスラリーをベーマイト構造を有するアルミナ水和物固形分が7.6%になるまで水を加えた。アルミナスラリーのpHは9.3であった。3.9%の硝酸溶液を加えてpHを調整した。
【0047】
次に、オートクレーブを用いて、熟成前のpH:6.0、熟成温度:150℃、熟成時間:6時間にて熟成を行いコロイダルゾルを得た。このコロイダルゾルを87℃でスプレードライすることにより、ベーマイト構造を有するアルミナ水和物粉末を得た。さらに、イオン交換水中に、前記ベーマイト構造を有するアルミナ水和物を17%の濃度に混合することにより、アルミナ水和物分散液を調製した。
【0048】
<実施例1>
上記のアルミナ水和物分散液100部と、ポリビニルアルコール(PVA−224、クラレ社製)1.7部を水15.3部に溶解したものを混合し、これに数平均分子量18,000〜20,000のポリエチレングリコールを固形分換算で0.51部(アルミナ水和物に対して3%)、カチオン樹脂としてポリアリルアミン酢酸塩重合物(PAA−CH3CO2H−L、日東紡社製)を固形分換算で0.17部(アルミナ水和物に対して1%)、硬膜剤(3%−ホウ酸水溶液)を固形分換算で0.34部(ポリビニルアルコールに対して20%)加えて塗工液を調製した。次に、レジンコート紙を基材とし、この基材上に先程調製した塗工液を乾燥塗布量30g/m2となるようにバーコート法にて塗工し、60℃で30分間熱風乾燥してインク受容層を形成させた。このようにして得られたインクジェット被記録媒体を用い、前記評価を行った。結果を表1に示す。
【0049】
<実施例2>
実施例1において、カチオン樹脂としてPAA−CH3CO2H−Lの代わりにをポリアクリルアミド−ジアリルアミン塩酸塩共重合体(スミレーズレジン1001、住友化学社製)を固形分換算で0.17部(アルミナ水和物に対して1%)加えた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット被記録媒体を作製し、前記評価テストを行った。結果を表1に示す。
【0050】
<実施例3>
実施例1において、数平均分子量18,000〜20,000のポリエチレングリコールの添加量を1.70部(アルミナ水和物に対して10%)とした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット被記録媒体を作製し、前記評価テストを行った。結果を表1に示す。
【0051】
<実施例4>
実施例1において、数平均分子量18,000〜20,000のポリエチレングリコールの代わりに数平均分子量1,800〜2,000のポリエチレングリコールを固形分換算で0.85部(アルミナ水和物に対して5%)加えた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット被記録媒体を作製し、前記評価テストを行った。結果を表1に示す。
【0052】
<実施例5>
実施例1において、数平均分子量18,000〜20,000のポリエチレングリコールの代わりに数平均分子量1,800〜2,200のポリエチレンオキサイドを固形分換算で0.85部(アルミナ水和物に対して5%)加えた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット被記録媒体を作製し、前記評価テストを行った。結果を表1に示す。
【0053】
<比較例1>
実施例1において、数平均分子量18,000〜20,000のポリエチレングリコールの代わりに数平均分子量570〜630のポリエチレングリコールを固形分換算で0.85部(アルミナ水和物に対して5%)加えた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット被記録媒体を作製し、前記評価テストを行った。結果を表1に示す。
【0054】
<比較例2>
実施例1において、数平均分子量18,000〜20,000のポリエチレングリコールを加えなかったこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット被記録媒体を作製し、前記評価を行った。結果を表1に示す。
【0055】
<比較例3>
実施例1において、カチオン樹脂を加えなかったこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット被記録媒体を作製し、前記評価を行った。結果を表1に示す。
【0056】
【0057】
表1の結果から明らかなように、カチオン性樹脂およびポリエーテルを含有し、滲み率(D/d)が2.2〜2.4の範囲にした本発明のインクジェット被記録媒体は、ベタ均一性に優れ、かつ文字の印刷品位も高いものであった。
【発明の効果】
【0058】
カチオン性樹脂およびポリエーテルを含有し、かつ該インク受容層に水性インクを用いてインクジェット記録を行った場合に、ノズルより吐出されるインクの体積から求めた球相当径(d)と、該インクが被記録媒体のインク受容層に着弾した際に形成するドット径(D)から求めたインクの滲み率(D/d)が2.2〜2.4の範囲とすることで、ベタ印刷時のベタ均一性に優れ、かつ文字の印刷品位も高いインクジェット被記録媒体を提供することができた。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to an ink jet recording medium having excellent uniformity during solid printing and high print quality of characters.
[0002]
[Prior art]
The ink jet recording method is a recording method for recording an image, a character, and the like by flying fine droplets of ink according to various operating principles and attaching the ink droplets to an ink jet recording sheet such as paper. In particular, an image formed by the multi-color ink jet method can obtain a record comparable to multi-color printing by a plate making method or printing by a color photographic method. In recent years, it has been rapidly popularized as an image recording device for various information devices, because it has an advantage that printing cost is lower than printing technology and photographic technology.
[0003]
In such an inkjet recording method, to improve the recording characteristics such as high-speed recording, high-definition or full-color recording, the recording apparatus and the recording method have been improved. More advanced characteristics have been required. In other words, the characteristics required for the ink jet recording medium include high dot density, vivid and bright color tone, high contrast, and high ink absorption such that ink does not flow out or bleed even when dots overlap. , A dot shape close to a perfect circle, and a smooth boundary without blurring.
[0004]
In recent years, with the advancement of the performance of printers, recording media capable of forming images having silver halide photographic gloss and texture have started to be regarded as important.
[0005]
Therefore, in addition to the enhancement of image quality, an inkjet recording medium in which fine alumina hydrate is applied on a support together with a water-soluble binder has been proposed as a material having glossiness and transparency to the ink receiving layer. I have. For example, JP-A-60-232990 discloses a recording paper having an ink receiving layer containing a porous cationic alumina hydrate. In addition, JP-A-2-276670, JP-A-6-48016, JP-A-6-55829, JP-A-7-76161, JP-A-8-22608, JP-A-10-44585 and JP-A-11-34484 discloses a recording sheet containing pseudo-boehmite. In particular, JP-A-7-76161 and JP-A-2000-239578 disclose a recording sheet containing an alumina sol having a pseudo-boehmite structure and boric acid or borate.
[0006]
However, in the ink jet recording medium in which the void layer is formed using the fine particles, the spread of the formed dots becomes insufficient depending on the type of the printer and the printing method. As a result, there arises a problem that uniformity during solid printing (hereinafter, referred to as solid uniformity) is deteriorated and print quality is reduced. Further, when the overlap between the dots is small, missing of a printed image called a white stripe may occur.
[0007]
Japanese Patent Application Laid-Open No. H10-114141 discloses an inkjet recording medium containing a water-repellent substance to give an appropriate dot diameter. However, the present invention has a drawback that the dot diameter is substantially controlled by the coating amount of the ink receiving layer, and thus the cost and production conditions are easily restricted. Japanese Patent Application Laid-Open No. H10-157278 discloses an ink jet recording medium to which alumina sol and basic aluminum lactate are added. However, as described above, a recording medium containing fine alumina hydrate as a main component could not obtain a sufficient control effect, and was not always satisfactory. In addition, when the dots are enlarged to improve the solid uniformity, the boundaries of the dots are blurred instead of being sharpened at the same time, and as a result, the print quality of characters deteriorates.
[0008]
[Problems to be solved by the invention]
SUMMARY OF THE INVENTION The present invention has been made in view of the above situation, and has as its object to provide an ink jet recording medium having excellent solid uniformity and high print quality of characters.
[0009]
[Means for Solving the Problems]
The present inventors have made intensive studies and found that the above-described problem can be solved by simultaneously containing a cationic resin and a polyether in the ink receiving layer to keep the bleeding rate of ink droplets within a certain range. Thus, the present invention has been completed.
[0010]
That is, the present invention provides an ink jet recording medium provided with an ink receiving layer mainly composed of an inorganic pigment on at least one surface of a substrate, wherein the ink receiving layer contains a cationic resin and a polyether, and When ink-jet recording is performed using an aqueous ink for the ink receiving layer, the equivalent spherical diameter (d) calculated from the volume of ink ejected from the nozzle and the ink landing on the ink receiving layer of the recording medium Wherein the bleeding rate (D / d) of the ink obtained from the dot diameter (D) to be formed is in the range of 2.2 to 2.4.
[0011]
The present invention also provides the above-described inkjet recording medium, wherein the inorganic pigment is at least one of alumina and alumina hydrate having a boehmite structure or a pseudo-boehmite structure.
[0012]
Furthermore, the present invention provides the above-mentioned inkjet coating composition, wherein the polyether is polyethylene glycol or polyethylene oxide having a number average molecular weight (Mn) of 1,000 to 50,000, and the polyether is contained in an amount of 0.5 to 10% by mass with respect to the inorganic pigment. A recording medium is provided.
[0013]
By providing the ink receiving layer, the ink jet recording medium of the present invention can provide an ink jet recording medium having excellent solid uniformity and high print quality of characters.
[0014]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Next, the present invention will be described in more detail with reference to preferred embodiments.
The base material used in the present invention is not particularly limited, and for example, papers such as resin-coated paper using moderately sized paper, non-sized paper, coated paper, polyethylene, etc. Consists of: Transparent thermoplastic resin films such as polyethylene, polyester, polystyrene, polylactic acid, polyacetate, polyvinyl chloride, cellulose acetate, polyethylene terephthalate, polymethyl methacrylate and polycarbonate: opaque by filling with inorganic material or fine foaming Sheet-like substance (synthetic paper and the like) composed of a coated film: further, a sheet composed of cloth, glass, metal, or the like; In order to improve the adhesive strength between the substrate and the ink receiving layer, the surface of the substrate may be subjected to a corona discharge treatment or various undercoat treatments.
[0015]
The present invention is characterized in that a cationic resin and a polyether are contained together with an inorganic pigment to form an ink receiving layer on the surface of the base material.
[0016]
Examples of the polyether usable in the present invention include polyalkylene glycols such as polyethylene glycol and polypropylene glycol, and polyalkylene oxides such as polyethylene oxide, polypropylene oxide and polybutylene oxide. A resin obtained by copolymerizing a plurality of kinds of polyethers having different molecular structures or molecular weights may be used, or a mixture of a plurality of kinds may be used. Among these polyethers, polyethylene glycol or polyethylene oxide is preferably used.
[0017]
The content of polyethylene glycol and polyethylene oxide is preferably 0.5 to 10% by mass based on the amount of the inorganic pigment in the ink receiving layer. More preferably, it is in the range of 1 to 5% by mass. If the content exceeds 10% by mass, a remarkable effect is not exhibited, but rather the character quality may be reduced. If the content is less than 0.5% by mass, the effect of the present invention is not sufficiently exhibited. The number average molecular weight (Mn) of the above polyether is preferably from 1,000 to 50,000, more preferably from 2,000 to 30,000. If the number average molecular weight (Mn) is less than 1,000, the effect of the present invention may not be sufficiently exhibited, but the character quality may be deteriorated. If it exceeds 50,000, the coating liquid for forming the ink receiving layer may be used. May increase, and the coating property may decrease.
[0018]
Examples of the cationic resin used in the present invention include polyallylamine, polyamine sulfone, polyvinylamine, polyethyleneimine, polyamide epichlorohydrin resin, polyvinylpyridinium halide, polydimethyldiallylammonium chloride, cation modified product of polyacrylamide or acrylamide and cationic monomer Copolymer with vinyl pyrrolidone monomer and other general monomers, copolymer with vinyl oxazolidone monomer and other general monomers, vinyl imidazole monomer and other general monomers Examples include a copolymer with a monomer. Preferred are a polyallylamine acetate polymer and a polyacrylamide-diallylamine hydrochloride copolymer, which are excellent in the stability of the coating liquid and the effect of improving the print quality of characters. These cationic resins may be used alone or as a mixture, or a plurality of the above-mentioned other cationic resins may be used as a mixture.
[0019]
The number average molecular weight of the cationic resin used in the present invention is not particularly limited, but is preferably 1,000 to 500,000, and more preferably 5,000 to 200,000. When the number average molecular weight is less than 1,000, the effect of the present invention is not sufficiently exhibited. On the other hand, when it exceeds 500,000, the viscosity of the coating liquid for forming the ink receiving layer becomes high, and the coating property may be reduced.
[0020]
The content of the cationic resin used in the present invention is preferably 0.01 to 10% by mass relative to the pigment in the ink receiving layer, and more preferably 0.05 to 5% by mass. If the content exceeds 10% by mass, a remarkable effect is not exhibited, but rather the spread of dots may be suppressed. If the content is less than 0.05% by mass, the effect of improving the print quality of characters is not sufficiently exhibited. . Further, the polyether compound and the cationic resin are preferably contained in a ratio of 1: 0.001 to 1:20. The effect of the present invention is exerted by containing the compound at this ratio and adjusting the bleeding rate to a range of 2.2 to 2.4.
[0021]
The ink jet recording medium of the present invention is obtained by preparing a coating liquid containing the above components, and applying the coating liquid to the surface of a substrate to form an ink receiving layer. The receiving layer preferably has a void formed from an inorganic pigment and a small amount of a water-soluble resin.
[0022]
As the inorganic pigment used in the present invention, it is preferable to use inorganic fine particles having a high ink absorbing ability, excellent color developing properties, and capable of forming a high-quality image. Examples of such inorganic fine particles include, for example, magnesium carbonate, kaolin, hydrotalcite, calcium silicate, magnesium silicate, alumina, colloidal alumina, aluminum hydroxide, alumina hydrate having a boehmite structure and alumina hydrate having a pseudo-boehmite structure And synthetic amorphous silica, colloidal silica, lithopone, zeolite and the like, and these can be used alone or in combination of plural kinds. It is preferable to use alumina hydrate having an alumina, boehmite structure or pseudo-boehmite structure in that finer voids can be formed among them. In particular, alumina having a BET specific surface area of 50 m 2 / g or more and alumina hydrate having a boehmite structure or a pseudo-boehmite structure is more preferable.
[0023]
As the alumina hydrate used in the present invention, those represented by the following general formula (1) can be used.
Al 2 O 3-n (OH) 2n · mH 2 O (1)
In the formula, n represents any one of the integers of 0, 1, 2 and 3, and m represents a value of 0 to 10, preferably 0 to 5. Since mH 2 O often represents a detachable aqueous phase that does not participate in the formation of a crystal lattice, m can take a non-integer value. Also, heating this type of alumina hydrate can cause m to reach a value of zero.
[0024]
In general, the crystal of alumina hydrate having a boehmite structure is a layered compound whose (020) plane forms a giant plane, and shows a unique diffraction peak in an X-ray diffraction pattern. As the boehmite structure, a structure containing excess water between layers on the (020) plane, which is called pseudo-boehmite, in addition to complete boehmite, may be employed. The X-ray diffraction pattern of this pseudo-boehmite shows a broader diffraction peak than perfect boehmite. Since complete boehmite and pseudo-boehmite cannot be clearly distinguished, hereinafter, unless otherwise specified, they are referred to as alumina hydrate showing a boehmite structure including both.
[0025]
As disclosed in JP-A-56-120508, an amorphous alumina hydrate which is X-ray diffractive is used in the form of a boehmite structure by heat treatment at 50 ° C. or more in the presence of water. be able to. A method that can be particularly preferably used is a method in which an acid is added to a long-chain aluminum alkoxide to carry out hydrolysis and peptization to obtain an alumina hydrate.
[0026]
Here, the long-chain aluminum alkoxide is, for example, an alkoxide having 5 or more carbon atoms. When an alkoxide having 12 to 22 carbon atoms is used, the removal of alcohol and the shape of alumina hydrate will be described later. It is preferable because control becomes easy.
[0027]
As the acid to be added, one or more of an organic acid and an inorganic acid can be freely selected and used, but the reaction efficiency of the hydrolysis and the shape control and dispersibility of the obtained alumina hydrate can be used. In view of this, nitric acid is most preferred. After this step, it is also possible to control the particle size by performing hydrothermal synthesis or the like. When hydrothermal synthesis is performed using an alumina hydrate dispersion containing nitric acid, nitric acid in the aqueous solution is incorporated as a nitrate group on the surface of the alumina hydrate to improve water dispersibility.
[0028]
The above method has an advantage that impurities such as various ions are less likely to be mixed as compared with a method for producing alumina hydrogel or cationic alumina. Furthermore, since alcohols after hydrolysis are easily removed from long-chain aluminum alkoxides, the dealcoholation of alumina hydrate can be completely performed in comparison with the case of using short-chain alkoxides such as aluminum isopropoxide. There is an advantage that you can.
[0029]
The inkjet recording medium of the present invention is prepared by mixing at least the composition comprising the inorganic pigment, the cationic resin and the polyether with a water-soluble resin and an aqueous medium in necessary amounts to prepare a coating liquid. Is applied to the surface of a substrate and dried to form an ink receiving layer.
[0030]
Examples of the water-soluble or water-dispersible polymer compound to be contained in the coating solution include starch, gelatin, casein and modified products thereof, methylcellulose, carboxymethylcellulose, cellulose derivatives such as hydroxyethylcellulose, complete or partial saponification. Polyvinyl alcohol or modified products thereof (cation-modified, anion-modified, silanol-modified, etc.), urea resin, melamine resin, epoxy resin, epichlorohydrin resin, polyurethane resin, polyethyleneimine resin, polyamide resin, polyvinylpyrrolidone Resin, polyvinyl butyral resin, poly (meth) acrylic acid or copolymer thereof, acrylamide resin, maleic anhydride copolymer, polyester resin, SBR latex, NBR latex, methyl Methacrylate-butadiene copolymer latex, acrylic polymer latex such as acrylate copolymer, vinyl polymer latex such as ethylene-vinyl acetate copolymer, and cationic or anionic type of these polymer latexes Functional group-modified polymer latexes having a group are given. Preferably, polyvinyl alcohol obtained by hydrolyzing polyvinyl acetate and having an average degree of polymerization of 300 to 5,000 is suitably used. The saponification degree is preferably from 70 to less than 100%, particularly preferably from 80 to 99.5%. These water-soluble or water-dispersible resins can be used alone or as a mixture of two or more.
[0031]
The mixing mass ratio of the inorganic pigment and the water-soluble resin in the coating liquid is preferably in the range of 1: 1 to 30: 1, and more preferably in the range of 2: 1 to 12: 1. When the amount of the water-soluble resin is within these ranges, the formed ink receiving layer is less likely to crack or fall off, and the ink receiving layer has good ink absorbency.
[0032]
In the ink jet recording medium of the present invention, a hardener may be used in order to improve the brittleness of the film of the ink receiving layer. Various hardening agents are selected and used in the present invention. Examples of the hardener include an epoxy hardener, an aldehyde hardener, an active halogen hardener, an active vinyl compound, an isocyanate compound, and a boron compound. When using polyvinyl alcohol, it is preferable to use a hardening agent selected from boric acid, a salt thereof, and borax, and boric acid is more preferable.
[0033]
The content of boric acid is preferably from 0.1 to 50% by mass, more preferably from 0.5 to 30% by mass, based on the water-soluble or water-dispersible polymer compound in the ink receiving layer. If the content exceeds 50% by mass, the coating solution may gel and the coating suitability may deteriorate, and if it is less than 0.1% by mass, the effect as a hardener may not be sufficiently exhibited.
[0034]
The aqueous medium serving as the base material of the coating liquid is not particularly limited as long as it is a mixed solution with water or a water-miscible organic solvent. Examples of water-miscible organic solvents include alcohols such as methanol, ethanol and propanol: lower alkyl ethers of polyhydric alcohols such as ethylene glycol monomethyl ether and ethylene glycol dimethyl ether: ketones such as acetone and methyl ethyl ketone: tetrahydrofuran Ethers.
[0035]
The solid content concentration in the coating liquid for forming the ink receiving layer is not particularly limited as long as the viscosity is such that the ink receiving layer can be formed on the substrate, but is 5 to 5% based on the total mass of the coating liquid. 50% by mass is preferred. When the solid content concentration is less than 5% by mass, it is necessary to increase the amount of the coating liquid to increase the thickness of the ink receiving layer, and it takes a lot of time and energy for drying, which is uneconomical. May be. On the other hand, if it exceeds 50% by mass, the viscosity of the coating liquid may increase, and the coating properties may be reduced.
[0036]
Examples of the method for applying such a coating liquid on a substrate include a spin coating method, a roll coating method, a blade coating method, an air knife coating method, a gate roll coating method, a bar coating method, a size press method, and a spray coating method. Conventionally known coating methods such as a gravure coating method, a curtain coating method, a rod blade coating method, a lip coating method, and a slit die coating method can be used. If necessary, the surface smoothness of the ink receiving layer can be improved by using a calender roll or the like after coating.
[0037]
The preferable range of the coating amount of the coating liquid on the substrate is 0.5 to 60 g / m 2 in terms of solid content, and the more preferable range is 1.0 to 50 g / m 2 . If the coating amount is less than 0.5 g / m 2 , the formed ink receiving layer may not sufficiently absorb the water of the ink, and the ink may flow or the image may bleed, and the amount may be 60 g / m 2. If it exceeds 2,000, curling may occur during drying, or a remarkable effect may not be exhibited as expected in printing performance.
[0038]
Further, as a method of using a polyether compound, a method of directly adding to a coating liquid as described above, a method of adding a polyether compound to an inkjet recording medium having an ink receiving layer formed by an inorganic pigment or the like. There is a way. Either method is possible, but in the latter case, the polyether compound can be added by dissolving or dispersing the polyether compound in a solvent in advance and dipping the ink jet recording medium in this solution or by overcoating.
[0039]
The ink jet recording medium of the present invention is obtained by applying a coating liquid on the base material by these methods and drying using a drying device such as a hot air dryer, a hot drum, or a far infrared dryer. . Further, the ink receiving layer provided on the substrate can be provided on one side or both sides of the substrate, and in the case of both sides, the composition of the provided ink receiving layer may be the same or different. .
[0040]
The ink receiving layer of the inkjet recording medium of the present invention includes a coloring dye, a coloring pigment, a dye fixing agent, a dispersant, a thickener, a pH adjuster, and a lubricant, as long as the performance of the recording medium is not impaired. Agents, flow modifiers, surfactants, antistatic agents, defoamers, foam inhibitors, release agents, penetrants, fluorescent brighteners, ultraviolet absorbers, antioxidants and the like can also be added.
[0041]
The ink used for recording on the inkjet recording medium of the present invention is not particularly limited, but a dye or pigment is used as a coloring material, and a mixture of water and a water-soluble organic solvent is used as a medium. It is preferable to use a general aqueous ink for inkjet recording in which a dye or pigment is dissolved or dispersed. Further, the range of various physical properties of the ink is preferably such that the surface tension is about 10 to 60 mN / m at around 25 ° C., and it is further preferable that the viscosity is 1 to 20 cps. Within this range, the effects of the present invention will be more exhibited.
[0042]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described more specifically with reference to Examples and Comparative Examples. In the following description, “parts” and “%” are based on mass unless otherwise specified.
[0043]
Evaluation 1 <Bleed rate measurement method>
Using an inkjet recording device P-660C (manufactured by Canon Aptex), printing was performed with black (Bk) ink on the inkjet recording medium, and the diameter (D) of a single dot was measured using an inline microscope manufactured by Olympus (model STJ). And was calculated using the following equations 1 and 2.
Bleed rate = D (dot diameter) / d (ink drop diameter) Expression 1
D = 2 (3 / 4Π × Φ) 1/3 , Φ: Ink droplet volume formula 2
The surface tension of the black (Bk) ink at 25 ° C. was measured with an automatic surface tensiometer (model CBVP-A3) manufactured by Kyowa Interface Science Co., Ltd. and found to be 41.8 mN / m. Further, the viscosity at 25 ° C. was measured using an ELD viscometer manufactured by Toki Sangyo Co., Ltd. under the conditions of 1 ° 34 ′ × R24 cone rotor, rotation speed 100 rpm, and it was 2.09 cps.
[0044]
Evaluation 2 <Solid uniformity>
Solid printing was performed on the inkjet recording medium with cyan (C) ink using P-660C, and the occurrence of white streaks was visually observed.
:: A uniform image without unevenness of the image.
X: An uneven image due to generation of white stripes, which has a problem in practical use.
[0045]
Evaluation 3 <Character quality>
Using a black (Bk) ink, 6-point "den" characters were printed on the inkjet recording medium with black (Bk) ink, and the state of the characters was visually observed.
:: The outline of the character is sharp.
Δ: The character is slightly blurred, but within the actual use range.
×: Part of the character is completely crushed.
[0046]
<Production of alumina hydrate>
Aluminum dodexide was prepared by the method described in U.S. Pat. No. 4,242,271. Next, the aluminum dodexide was hydrolyzed to produce an alumina slurry by the method described in U.S. Pat. No. 4,202,870. Water was added to the alumina slurry until the alumina hydrate having a boehmite structure had a solid content of 7.6%. The pH of the alumina slurry was 9.3. The pH was adjusted by adding a 3.9% nitric acid solution.
[0047]
Next, using an autoclave, aging was performed at pH before aging: 6.0, aging temperature: 150 ° C, and aging time: 6 hours to obtain a colloidal sol. This colloidal sol was spray-dried at 87 ° C. to obtain an alumina hydrate powder having a boehmite structure. Furthermore, an alumina hydrate dispersion was prepared by mixing the alumina hydrate having the boehmite structure to a concentration of 17% in ion-exchanged water.
[0048]
<Example 1>
A mixture of 100 parts of the above-mentioned alumina hydrate dispersion and 1.7 parts of polyvinyl alcohol (PVA-224, manufactured by Kuraray Co., Ltd.) dissolved in 15.3 parts of water was mixed, and the number average molecular weight was 18,000 to 0.51 parts 20,000 of polyethylene glycol in terms of solid content (3% based on the alumina hydrate), polyallylamine acetate polymer as the cationic resin (PAA-CH 3 CO 2 H -L, manufactured by Nitto Boseki 0.17 parts (1% based on alumina hydrate) in terms of solids, and 0.34 parts (20% based on polyvinyl alcohol) in terms of solids of a hardener (3% -boric acid aqueous solution). %) To prepare a coating solution. Next, using a resin-coated paper as a base material, the coating solution prepared above is applied on the base material by a bar coating method so as to have a dry coating amount of 30 g / m 2, and dried with hot air at 60 ° C. for 30 minutes. Thus, an ink receiving layer was formed. The above evaluation was performed using the ink jet recording medium thus obtained. Table 1 shows the results.
[0049]
<Example 2>
In Example 1, in place of PAA-CH 3 CO 2 H- L as the cationic resin polyacrylamide - 0.17 parts diallylamine hydrochloride copolymer (SumirezResin 1001, manufactured by Sumitomo Chemical Co., Ltd.) in terms of the solid content (1% based on alumina hydrate) An ink jet recording medium was prepared in the same manner as in Example 1 except that the addition was performed, and the evaluation test was performed. Table 1 shows the results.
[0050]
<Example 3>
Ink jetting was performed in the same manner as in Example 1 except that the amount of polyethylene glycol having a number average molecular weight of 18,000 to 20,000 was changed to 1.70 parts (10% based on alumina hydrate). A recording medium was manufactured, and the evaluation test was performed. Table 1 shows the results.
[0051]
<Example 4>
In Example 1, instead of polyethylene glycol having a number average molecular weight of 18,000 to 20,000, polyethylene glycol having a number average molecular weight of 1,800 to 2,000 was converted to a solid content of 0.85 part (based on alumina hydrate). 5%), an ink jet recording medium was prepared in the same manner as in Example 1, and the evaluation test was performed. Table 1 shows the results.
[0052]
<Example 5>
In Example 1, instead of polyethylene glycol having a number average molecular weight of 18,000 to 20,000, polyethylene oxide having a number average molecular weight of 1,800 to 2,200 was converted to 0.85 part in terms of solid content (based on alumina hydrate). 5%), an ink jet recording medium was prepared in the same manner as in Example 1, and the evaluation test was performed. Table 1 shows the results.
[0053]
<Comparative Example 1>
In Example 1, instead of polyethylene glycol having a number average molecular weight of 18,000 to 20,000, 0.85 parts of polyethylene glycol having a number average molecular weight of 570 to 630 in terms of solid content was calculated (5% based on alumina hydrate). Except for the addition, an ink jet recording medium was manufactured in the same manner as in Example 1, and the evaluation test was performed. Table 1 shows the results.
[0054]
<Comparative Example 2>
An ink jet recording medium was prepared in the same manner as in Example 1 except that polyethylene glycol having a number average molecular weight of 18,000 to 20,000 was not added, and the evaluation was performed. Table 1 shows the results.
[0055]
<Comparative Example 3>
An ink jet recording medium was prepared in the same manner as in Example 1 except that the cationic resin was not added, and the evaluation was performed. Table 1 shows the results.
[0056]
[0057]
As is evident from the results in Table 1, the inkjet recording medium of the present invention containing a cationic resin and a polyether and having a bleeding rate (D / d) in the range of 2.2 to 2.4 has a solid uniformity. In addition, the printing quality of the characters was high.
【The invention's effect】
[0058]
When ink-jet recording is carried out using a water-based ink in the ink receiving layer, containing a cationic resin and a polyether, the equivalent spherical diameter (d) obtained from the volume of the ink discharged from the nozzle, and the ink By setting the ink bleeding rate (D / d) obtained from the dot diameter (D) formed when the ink lands on the ink receiving layer of the recording medium in the range of 2.2 to 2.4, solid printing can be performed. Thus, an ink jet recording medium having excellent solid uniformity and high print quality of characters could be provided.