JP2004045859A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents
電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004045859A JP2004045859A JP2002204346A JP2002204346A JP2004045859A JP 2004045859 A JP2004045859 A JP 2004045859A JP 2002204346 A JP2002204346 A JP 2002204346A JP 2002204346 A JP2002204346 A JP 2002204346A JP 2004045859 A JP2004045859 A JP 2004045859A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- electrophotographic
- group
- general formula
- photoconductor
- resin
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Landscapes
- Photoreceptors In Electrophotography (AREA)
Abstract
【課題】高感度で、優れた帯電特性を有する単層構成の電子写真用感光体を提供する。
【解決手段】少なくとも、アゾ顔料と正孔輸送剤を含有する単層感光体で、結着樹脂として、溶剤可溶性含フッ素樹脂を用いる。
【選択図】 図1
【解決手段】少なくとも、アゾ顔料と正孔輸送剤を含有する単層感光体で、結着樹脂として、溶剤可溶性含フッ素樹脂を用いる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真感光体に関し、詳しくは同一層中に電荷発生物質と特定の構造の結着樹脂とを含有する負帯電型電子写真感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、複写機、プリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置における電子写真感光体として、機能設計の自由度が大きな有機感光体が使用されている。有機感光体には電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)とを積層した機能分離型の積層感光体と、電荷輸送物質の媒体中に電荷発生物質を分散させた単層感光体が知られている。積層感光体は実用化されている有機感光体の主流であるが、感光層の塗布回数が3回以上となるため生産性が悪く、また感度及び耐久性のバランスを保って良好な画像を得るためには、CGLの膜厚をサブミクロンの範囲で管理する必要があるためコストアップとなり、さらに導電性支持体上に直接塗布する場合支持体の凹凸の影響を受け易く、このため画像欠陥が発生するという欠点がある。このため、同一層中に電荷発生物質と結着剤樹脂中に分散させた単層感光体が提案されている(特開昭47−30330号公報、特開昭54−1633号公報等)。
【0003】
しかし、これらの殊どは正帯電感光体である。また従来の負帯電積層感光体用に使用される装置をそのまま使用するため、負帯電単層感光体の提案もなされているが(特願平5−348221等)未だに実用化はされていない。
【0004】
また、単層感光体は、一般に広く使用されている積層型感光体と比べ、応答に多量の光量が必要であったり、多数枚の印字を行った際の帯電能低下等の欠点があった。
【0005】
単層感光体の中には、使用される電荷発生剤、電荷輸送剤、種々の添加剤又は結着樹脂等の種類や比率により、ある入力光量までは光電流が流れず或いはごく少量であり、その光量を越えた直後から急激に光電流が流れ出すという、閾値を有する光減衰曲線を示すもの(インダクション/ハイガンマ感光体)があることが知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は上記の問題を解消し、塗布工程が簡単で、従来の負帯電積層感光体で使用される画像形成装置をそのまま使用することが可能で、帯電特性や感度特性に優れた負帯電単層型電子写真感光体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するため鋭意検討した結果、導電性支持体上に直接または下引き層を介して単層の有機感光体を設けてなり、その感光層は少なくとも電荷発生物質(アゾ顔料)が含フッ素樹脂を含む樹脂中に分散されていることを特徴とする負帯電積層感光体により目的が達成されることがわかった。
【0008】
この時、含フッ素系結着樹脂の好ましい例としては、重合活性モノマーとカルボキシル基を分子中に有する重合活性モノマーの共重合体が挙げられる。以下、この例について説明する。
【0009】
上記重合活性モノマーとしては、エチレン、プロピレン、ブテン、ブタジエン、イソプレン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン等の炭素数2〜8の炭化水素系モノマー類及び塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、三フッ化エチレン、三フッ化クロロエチレン、クロロプレン等の上記炭化水素系モノマーのハロゲン化物類、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ブチル酸ビニル、ヘキシル酸ビニル、オクチル酸ビニル等のビニルエステル類及びそのハロゲン化物類、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸オクチル等の(メタ)アクリル酸エステル類及びそのハロゲン化物類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ペンチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル等のビニルエーテル類及びそのハロゲン化物類、メチルアリルエーテル、エチルアリルエーテル、プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、オクチルアリルエーテル等のアリルエーテル類及びそのハロゲン化物類、アクリロニトリル、フマロニトリル、メチルブチロニトリル等のニトリル類及びそのハロゲン化物類、無水マレイン酸、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジプロピル等のマレイン酸エステル類、スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、等の芳香族感化水素系類及びクロロスチレン、クロロメチルスチレン等のハロゲン化芳香族感化水素系類が挙げられる。これらの中で好ましくは、エチレン、プロピレン、ブテン等の炭化水素系モノマー類及び塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、三フッ化エチレン等のハロゲン化炭化水素系モノマー類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ブチル酸ビニル等のビニルエステル類、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、等の芳香族感化水素系類及びクロロスチレン、クロロメチルスチレン等のハロゲン化芳香族感化水素系類であり、さらに好ましいのは酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ブチル酸ビニル等のビニルエステル類、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステル類である。
【0010】
含カルボン酸重合活性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、スチレンカルボン酸等が挙げられる。これらの中で好ましくは、(メタ)アクリル酸、マレイン酸であり、さらに好ましいのは(メタ)アクリル酸である。
【0011】
また、溶剤可溶性である方が、製造の容易さの点から望ましい。使用できる溶剤としてはヘプタン、ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン、ジクロロメタン等の置換又は無置換脂肪族炭化水素、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の置換又は無置換芳香族炭化水素、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノール、アミルアルコール、メトキシプロパノール等アルコール類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等エステル類、エチルセロソルブ等セロソルブ類、ジエチルエーテル、THF、ジオキサン等鎖状又は環状エーテル、アセトン、MEK、シクロヘキサノン等鎖状又は環状ケトン、DMF、DMAc等アミド類、水、もしくはこれらの混合物などが挙げられるが、これらに限られるものではない。
【0012】
本発明に用いるフッ素系樹脂の市販品としては、セントラル硝子(株)製「セフラルコート」や旭硝子(株)製「ルミフロン」等の溶剤可溶性の硬化型フッ素樹脂が挙げられる。
【0013】
また、本発明に用いる感光層はフッ素系樹脂の他に、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂等の公知の樹脂を一種または数種含有していても良い。
【0014】
さらに本発明に用いる感光層は、硬化型フッ素系樹脂の架橋硬化に用いられる架橋剤を含有するものが望ましい。
【0015】
架橋剤としては、ブチル化メラミン、メチル化メラミン、ポリイソシアネート、グリオキザール等の活性基を2以上有する化合物が好ましい。架橋剤の使用量は硬化条件、官能基の量、種類により異なるが、通常、官能基が当量又は過剰となる量で用いられる。
【0016】
電荷発生剤としては以下の一般式で表されるアゾ顔料が望ましい。
【0017】
A−(N=N−Cp)n(1)
(式中Aは直接あるいは結合基を介して結合していても良い、置換もしくは非置換の芳香族炭化水素環基又は複素環基を表す。Cpはフェノール性水酸基を有するカプラー残基である。nは1〜3の整数を示す。ただし、−N=N−Cpが同一ベンゼン環に複数個結合することはない)。
【0018】
中心骨格Aとしては以下に示す(2)〜(5)4種の構造の何れかを有することが望ましく、そのなかでも、以下の(6)式の構造をとるものが好ましく、以下(7)式のようなベンズアンスロン構造を有するものがなお好ましい。
【外6】
【0019】
R1はOまたはC(CN)2をR3〜5は水素、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、シアノ基より選択される基を、Yは直接あるいは結合基を介して結合している置換もしくは無置換の芳香環を示す。
【0020】
カプラー残基Cpとしてはそれらの少なくとも一つは下記一般式(8)で示される構造が望ましい。
【外7】
【0021】
(式中Xはベンゼン環と縮小して多環芳香環または複素環を形成するのに必要な残基を表し、R6 とR7 は水素原子、置換基を有しても良いアルキル基、アリール基、複素環基を表す。また、R6 とR7 は窒素原子を介して環状アミノ基を形成していても良い。Zは酸素原子または硫黄原子を表し、mは0または1を表す)。
【0022】
そして、以上述べた中心骨格、カプラー成分を有する下記一般(9)で表されるビスアゾ顔料が望ましい。
【外8】
【0023】
(式中、Wは水素原子またはハロゲン原子を示し、R8 、R9 は水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、置換基を有しても良いアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アリール基またはアルキルアミノ基を示し、k及び1は1または2である)。
【0024】
以下に、本発明に用いられるアゾン顔料の具体的な化合物例を列挙する。構造式は、一般式(1)のAr,Cpに相当する部分のみを記載した。なお、nが2、3の場合でCpが相違なる場合はCp1、Cp2としてその構造を示した。
【外9】
【0025】
【外10】
【0026】
【外11】
【0027】
【外12】
【0028】
【外13】
【0029】
この電子写真用感光体では、電荷発生物質の種類や量、あるいは正孔輸送物質の種類や量によっては、ある入力光量までは光電流が流れず或いはごく少量であり、その光量を越えた直後から急激に光電流が流れ出すという、閾値を有する光減衰曲線を示す事がある。
【0030】
この様な電位挙動(高γ特性)を示す感光体は、デジタル信号の劣化や、光学系による収差等を原因とするノイズの除去や、画素の鮮鋭度向上に効果があり、本来のデジタル画像を再現し得るものである。そのためコンピューターのデータ出力用のプリンタ、または画像をデジタル処理するデジタルコピー等、入力されたデジタル信号をデジタル像として描写する必要がある電子写真に適している。
【0031】
本発明の負帯電単層型電子写真感光体の代表的な構成を図1に示す。感光層は、電荷発生物質2と結着剤樹脂中に正孔輸送物質が分子状に分散されたマトリックス3から構成される。なお、1は導電性支持体である。
【0032】
本発明で用いることができる正孔輸送物質としては、例えばピレン、アントラセン等の多環芳香族化合物、カルバゾール系、インドール系、オキサゾール系、チアゾール系、オキサジアゾール系、ピラゾール系、ピラゾリン系、チアジアゾール系、トリアゾール系化合物等の複素環化合物、ヒドラゾン系化合物、スチリル系化合物、ベンジジン系化合物、トリアリールメタン系化合物、トリフェニルアミン系化合物あるいは、これ等の化合物からなる基を主鎖または側鎖に有するポリマー(例えばポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン等)が挙げられる。また、これ等の電荷輸送物質は1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0033】
感光層には必要に応じてフルオレン、キノン、ジフェノキノン、アントラキノン各化合物誘導体に代表される電子輸送剤の他、酸化防止剤、増感剤、分散剤、レベリング剤等の各種添加剤を含んでも良い。
【0034】
本発明において使用される導電性支持体としてはアルミニウム、ニッケル、銅、ステンレスなどの金属板、金属ドラムまたは金属箔、アルミニウム、酸化錫、ヨウ化銅の薄膜を塗布したプラスチックフィルムあるいはガラス、導電性微粒子(例えばカーボンブラック、銀粒子、酸化錫含有無機粒子など)を含有するプラスチックなどが挙げられる。また、導電性粒子を適当なバインダー樹脂と共にプラスチック、金属または合金支持体上に被覆した支持体を用いる事もできる。
【0035】
さらに必要に応じて、導電性支持体の表面には、酸化処理、薬品処理等の各種の処理を施すことができる。
【0036】
なお、本発明では、導電性支持体は粗面化する必要はないという利点がある。すなわち、レーザー光等の可干渉光を露光用光源として用いる場合、従来の薄膜電荷発生層と厚膜電荷輸送層からなる積層型感光体では、導電性支持体および/または電荷発生層と電荷輸送層との界面からの入射光の反射により縞模様の画像欠陥(千渉縞)が発生するという問題がある。本発明の感光体は単層型であり、上記のような内部反射が起らないため、上記のような問題を生起する粗面化処理を導電性支持体表面に施す必要はない。
【0037】
また、本発明の感光体では、帯電性を改良する目的で感光層と導電性支持体の間に下引き層を設けることができる。これらの材料としては、下引層の材料としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリエチレンオキシド、エチレンセルロース、メチルセルロース、ポリアミド、ポリアミド酸、ポリウレタン、ポリイミド、メラミン、チタンやジルコニウムなどの各種金属キレート化合物、各種金属アルコキシド等が挙げられる。
【0038】
感光層は、上記含フッ素樹脂を有機溶剤に溶解し、得られた塗布液を導電性支持体に塗布して形成することができる。
【0039】
本発明の感光層の膜厚は、5〜80μm、好ましくは8〜40μmくらいが適当である。5μmより薄いと帯電性が低下し、逆に80μmより厚いと感度低下をもたらす。本発明の感光体は、所定の材料を有機溶媒中に溶解、またはボールミル、超音波、ホモミキサーなどで分散した塗布液をディッピング、ブレード、スプレーなどで導電性支持体上に塗布して作製される。
【0040】
次に、本発明の電子写真装置について説明する。
【0041】
図2に本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成を示す。図2において、1はドラム状の本発明の電子写真感光体であり、矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。感光体1は回転過程において、一次帯電手段2によりその周面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光等の像露光手段(不図示)からの画像露光光3を受ける。こうして感光体1の周面に静電潜像が順次形成されていく。
【0042】
形成された静電潜像は、次いで現像手段4によりトナー現像され、現像されたトナー現像像は、不図示の給紙部から感光体1と転写手段6との間に感光体1の回転と同期取りされて給送された転写材7に、転写手段6により順次転写されていく。像転写を受けた転写材5は感光体面から分離されて像定着手段7へ導入されて像定着を受けて装置外ヘプリントアウトされる。像転写後の感光体1の表面は、クリーニング手段8によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、更に前露光手段(不図示)からの前露光光9により除電処理がされた後、繰り返し画像形成に使用される。なお、一次帯電手段2が帯電ローラー等を用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
【0043】
本発明においては、上述の感光体1、一次帯電手段2、現像手段4及びクリーニング手段8等の構成要素のうち、複数のものをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジをレーザービームプリンター等の電子写真装置本体に対して着脱可能に構成してもよい。例えば一次帯電手段2、現像手段4及びクリーニング手段8の少なくとも1つを感光体1と共に一体に支持してカートリッジ化し、装置本体のレール等の案内手段を用いて装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジとしてもよい。
【0044】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、これにより本発明の態様が限定されるものではない。
【0045】
(実施例1)
アゾ顔料P−28、10部(重量部、以下同様)を、THF150部、ガラスビーズ(直径1mm)400部とともにガラス容器中に密閉し、ペイントシェーカー(レッドデビル社製)で6時間分散後、この液にセフラルコートA−202B(セントラル硝子社製)20部(150℃/60分乾燥後重量換算)硬化剤としてユーバン20HS(三井化学製)10部(150℃/60分乾燥後重量換算)、下記構造式(1)で示される電荷輸送物質5部、クロロベンゼン6部を加えてさらに1時間分散。その後ガラスビーズを分離して感光体の塗布液を作成した。この塗布液をアルミニウムシート上にマイヤーバーで塗布後150℃で60分加熱乾燥し、膜厚約14μmの単層型感光体を作成した。
【外14】
【0046】
この電子写真感光体を、川口電機社製複写紙試験装置(EPA−8200)を用いて評価した。
【0047】
評価は始めに−3KVのコロナ放電で負に帯電し、1秒間放置後の表面電位Voを求めた。
【0048】
続いて、1秒間暗所放置後の表面電位が−400Vになるようにコロナ帯電機の設定を調整後、表面照度が201uxとなるような露光(ハロゲンランプに干渉フィルターを通した680nmの単色光)を行ない、表面電位が1/2に減衰するのに必要な露光量(E1/2)を測定した。また、帯電−露光−除電を1000回繰り返した後のV0を測定した。それらの結果を表1に示す。
【0049】
(実施例2〜5)
電荷発生物質を、表1に示したアゾ顔料に替えた事以外は実施例1と同様にして単層型感光体を作成し、同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0050】
(実施例6)
樹脂を、セフラルコートA−402B(セントラル硝子社製)に変えた以外は実施例1と同様にして単層型感光体を作成し、同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0051】
(実施例7)
樹脂を、ルミフロンLF200(旭硝子社製)に変えた以外は実施例1と同様にして単層型感光体を作成し、同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0052】
(実施例8)
硬化剤を、デュラネートTPA−100(旭化成社製)に変えた以外は実施例2と同様にして単層型感光体を作成し、同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0053】
(実施例9)
硬化剤を加えず、1.5倍量のセフラルコート202Bを使用した以外は実施例2と同様にして単層型感光体を作成し、同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0054】
(実施例10)
表1に記載の顔料を用い、電荷輸送物質を、下記構造式(2)で示される化合物に変えた以外は実施例1と同様にして単層型感光体を作成し、同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【外15】
【0055】
(実施例11)
表1に記載の顔料を用い、電荷輸送物質を、下記構造式(3)で示される化合物に変えた以外は実施例1と同様にして単層型感光体を作成し、同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【外16】
【0056】
(実施例12)
2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノールを0.1部、N−(2,4,7−トリニトロフルオレニリデン)−2,6−ジエチルアニリンを2部加えた以外は実施例1と同様にして単層型感光体を作成し、同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0057】
(比較例1)
樹脂を、アクリル樹脂(日立化成製:ヒタロイド1601)に変えた以外は実施例1と同様にして単層型感光体を作成し、同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0058】
(比較例2)
樹脂を、ポリサルホン樹脂(帝人アモコエンジニアリング製:ユーデルP1700)に変えた以外は実施例1と同様にして単層型感光体を作成し、同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
(実施例13)
ジルコニウムアセチルアセトネート80重量部をテトラヒドロフラン1800重量部に溶解させた後、ブタノール100重量部を加え下引層塗工液を用い30mmφ×260mmのA1シリンダー上にこの下引層液を浸漬塗布し、110℃で10分間乾燥して膜厚0.3μmの下引層を形成した。
【0061】
そして、実施例7と同処方の塗布液を用い浸漬塗布後、120℃で30分間乾燥し、膜厚27μmの感光層を形成した。
【0062】
これを、一次帯電時のDC成分のみ出力可変に改造した(AC成分は実機シーケンス)日本ヒューレット・パッカード(株)社製プリンタLaserJet4000に装着し、非露光時の表面電位(V0)が−700Vになるように調整後、帯電−露光−除電を1000回繰り返した後のV0を評価したところ、−685Vであった。
【0063】
(実施例14)
30mmφ×357.5mmのA1シリンダーを用い、下引層ではジルコニウムアセチルアセトネートの代りに可溶性ポリアミド樹脂(東レ(株)製:アミランCM−8000)を、テトラヒドロフランの代りにメタノールを用い、電荷発生層ではアゾ顔料としてP−1とP−14とを5部づつ使用した以外は実施例13と同様に電子写真感光体を作成した。
【0064】
この電子写真感光体を、一次帯電時のDC値を出力可変に改造したキヤノン製アナログ複写機NP6030本体に装着し、非露光時の表面電位(V0)が−550Vになるように調整後、帯電−露光−除電を1000回繰り返した後のV0を評価したところ、−540Vであった。
【0065】
【発明の効果】
本発明の単層型電子写真感光体は、結着樹脂として溶剤可溶性含フッ素樹脂を用い、電荷発生材料としてアゾ顔料を含有する感光体を用いたことにより、帯電に優れ高感度という優れた効果を有する。また、負帯電で動作するので、新たに正帯電用の周辺技術を開発する必要がなく、従来の負帯電積層型有機感光体に用いられている周辺技術をそのまま利用し得るという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の負帯電単層型電子写真感光体の代表的な構成を示す図である。
【図2】本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成を示す図である。
【図3】閾値を有する光減衰曲線を示す図である。
【符号の説明】
1 電子写真感光体
2 一次帯電手段
3 露光部
4 現像手段
5 転写材
6 転写手段
7 像定着手段
8 クリーニング手段
9 前露光部
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真感光体に関し、詳しくは同一層中に電荷発生物質と特定の構造の結着樹脂とを含有する負帯電型電子写真感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、複写機、プリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置における電子写真感光体として、機能設計の自由度が大きな有機感光体が使用されている。有機感光体には電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)とを積層した機能分離型の積層感光体と、電荷輸送物質の媒体中に電荷発生物質を分散させた単層感光体が知られている。積層感光体は実用化されている有機感光体の主流であるが、感光層の塗布回数が3回以上となるため生産性が悪く、また感度及び耐久性のバランスを保って良好な画像を得るためには、CGLの膜厚をサブミクロンの範囲で管理する必要があるためコストアップとなり、さらに導電性支持体上に直接塗布する場合支持体の凹凸の影響を受け易く、このため画像欠陥が発生するという欠点がある。このため、同一層中に電荷発生物質と結着剤樹脂中に分散させた単層感光体が提案されている(特開昭47−30330号公報、特開昭54−1633号公報等)。
【0003】
しかし、これらの殊どは正帯電感光体である。また従来の負帯電積層感光体用に使用される装置をそのまま使用するため、負帯電単層感光体の提案もなされているが(特願平5−348221等)未だに実用化はされていない。
【0004】
また、単層感光体は、一般に広く使用されている積層型感光体と比べ、応答に多量の光量が必要であったり、多数枚の印字を行った際の帯電能低下等の欠点があった。
【0005】
単層感光体の中には、使用される電荷発生剤、電荷輸送剤、種々の添加剤又は結着樹脂等の種類や比率により、ある入力光量までは光電流が流れず或いはごく少量であり、その光量を越えた直後から急激に光電流が流れ出すという、閾値を有する光減衰曲線を示すもの(インダクション/ハイガンマ感光体)があることが知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は上記の問題を解消し、塗布工程が簡単で、従来の負帯電積層感光体で使用される画像形成装置をそのまま使用することが可能で、帯電特性や感度特性に優れた負帯電単層型電子写真感光体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するため鋭意検討した結果、導電性支持体上に直接または下引き層を介して単層の有機感光体を設けてなり、その感光層は少なくとも電荷発生物質(アゾ顔料)が含フッ素樹脂を含む樹脂中に分散されていることを特徴とする負帯電積層感光体により目的が達成されることがわかった。
【0008】
この時、含フッ素系結着樹脂の好ましい例としては、重合活性モノマーとカルボキシル基を分子中に有する重合活性モノマーの共重合体が挙げられる。以下、この例について説明する。
【0009】
上記重合活性モノマーとしては、エチレン、プロピレン、ブテン、ブタジエン、イソプレン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン等の炭素数2〜8の炭化水素系モノマー類及び塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、三フッ化エチレン、三フッ化クロロエチレン、クロロプレン等の上記炭化水素系モノマーのハロゲン化物類、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ブチル酸ビニル、ヘキシル酸ビニル、オクチル酸ビニル等のビニルエステル類及びそのハロゲン化物類、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸オクチル等の(メタ)アクリル酸エステル類及びそのハロゲン化物類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ペンチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル等のビニルエーテル類及びそのハロゲン化物類、メチルアリルエーテル、エチルアリルエーテル、プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、オクチルアリルエーテル等のアリルエーテル類及びそのハロゲン化物類、アクリロニトリル、フマロニトリル、メチルブチロニトリル等のニトリル類及びそのハロゲン化物類、無水マレイン酸、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジプロピル等のマレイン酸エステル類、スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、等の芳香族感化水素系類及びクロロスチレン、クロロメチルスチレン等のハロゲン化芳香族感化水素系類が挙げられる。これらの中で好ましくは、エチレン、プロピレン、ブテン等の炭化水素系モノマー類及び塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、三フッ化エチレン等のハロゲン化炭化水素系モノマー類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ブチル酸ビニル等のビニルエステル類、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、等の芳香族感化水素系類及びクロロスチレン、クロロメチルスチレン等のハロゲン化芳香族感化水素系類であり、さらに好ましいのは酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ブチル酸ビニル等のビニルエステル類、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステル類である。
【0010】
含カルボン酸重合活性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、スチレンカルボン酸等が挙げられる。これらの中で好ましくは、(メタ)アクリル酸、マレイン酸であり、さらに好ましいのは(メタ)アクリル酸である。
【0011】
また、溶剤可溶性である方が、製造の容易さの点から望ましい。使用できる溶剤としてはヘプタン、ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン、ジクロロメタン等の置換又は無置換脂肪族炭化水素、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の置換又は無置換芳香族炭化水素、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノール、アミルアルコール、メトキシプロパノール等アルコール類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等エステル類、エチルセロソルブ等セロソルブ類、ジエチルエーテル、THF、ジオキサン等鎖状又は環状エーテル、アセトン、MEK、シクロヘキサノン等鎖状又は環状ケトン、DMF、DMAc等アミド類、水、もしくはこれらの混合物などが挙げられるが、これらに限られるものではない。
【0012】
本発明に用いるフッ素系樹脂の市販品としては、セントラル硝子(株)製「セフラルコート」や旭硝子(株)製「ルミフロン」等の溶剤可溶性の硬化型フッ素樹脂が挙げられる。
【0013】
また、本発明に用いる感光層はフッ素系樹脂の他に、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂等の公知の樹脂を一種または数種含有していても良い。
【0014】
さらに本発明に用いる感光層は、硬化型フッ素系樹脂の架橋硬化に用いられる架橋剤を含有するものが望ましい。
【0015】
架橋剤としては、ブチル化メラミン、メチル化メラミン、ポリイソシアネート、グリオキザール等の活性基を2以上有する化合物が好ましい。架橋剤の使用量は硬化条件、官能基の量、種類により異なるが、通常、官能基が当量又は過剰となる量で用いられる。
【0016】
電荷発生剤としては以下の一般式で表されるアゾ顔料が望ましい。
【0017】
A−(N=N−Cp)n(1)
(式中Aは直接あるいは結合基を介して結合していても良い、置換もしくは非置換の芳香族炭化水素環基又は複素環基を表す。Cpはフェノール性水酸基を有するカプラー残基である。nは1〜3の整数を示す。ただし、−N=N−Cpが同一ベンゼン環に複数個結合することはない)。
【0018】
中心骨格Aとしては以下に示す(2)〜(5)4種の構造の何れかを有することが望ましく、そのなかでも、以下の(6)式の構造をとるものが好ましく、以下(7)式のようなベンズアンスロン構造を有するものがなお好ましい。
【外6】
【0019】
R1はOまたはC(CN)2をR3〜5は水素、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、シアノ基より選択される基を、Yは直接あるいは結合基を介して結合している置換もしくは無置換の芳香環を示す。
【0020】
カプラー残基Cpとしてはそれらの少なくとも一つは下記一般式(8)で示される構造が望ましい。
【外7】
【0021】
(式中Xはベンゼン環と縮小して多環芳香環または複素環を形成するのに必要な残基を表し、R6 とR7 は水素原子、置換基を有しても良いアルキル基、アリール基、複素環基を表す。また、R6 とR7 は窒素原子を介して環状アミノ基を形成していても良い。Zは酸素原子または硫黄原子を表し、mは0または1を表す)。
【0022】
そして、以上述べた中心骨格、カプラー成分を有する下記一般(9)で表されるビスアゾ顔料が望ましい。
【外8】
【0023】
(式中、Wは水素原子またはハロゲン原子を示し、R8 、R9 は水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、置換基を有しても良いアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アリール基またはアルキルアミノ基を示し、k及び1は1または2である)。
【0024】
以下に、本発明に用いられるアゾン顔料の具体的な化合物例を列挙する。構造式は、一般式(1)のAr,Cpに相当する部分のみを記載した。なお、nが2、3の場合でCpが相違なる場合はCp1、Cp2としてその構造を示した。
【外9】
【0025】
【外10】
【0026】
【外11】
【0027】
【外12】
【0028】
【外13】
【0029】
この電子写真用感光体では、電荷発生物質の種類や量、あるいは正孔輸送物質の種類や量によっては、ある入力光量までは光電流が流れず或いはごく少量であり、その光量を越えた直後から急激に光電流が流れ出すという、閾値を有する光減衰曲線を示す事がある。
【0030】
この様な電位挙動(高γ特性)を示す感光体は、デジタル信号の劣化や、光学系による収差等を原因とするノイズの除去や、画素の鮮鋭度向上に効果があり、本来のデジタル画像を再現し得るものである。そのためコンピューターのデータ出力用のプリンタ、または画像をデジタル処理するデジタルコピー等、入力されたデジタル信号をデジタル像として描写する必要がある電子写真に適している。
【0031】
本発明の負帯電単層型電子写真感光体の代表的な構成を図1に示す。感光層は、電荷発生物質2と結着剤樹脂中に正孔輸送物質が分子状に分散されたマトリックス3から構成される。なお、1は導電性支持体である。
【0032】
本発明で用いることができる正孔輸送物質としては、例えばピレン、アントラセン等の多環芳香族化合物、カルバゾール系、インドール系、オキサゾール系、チアゾール系、オキサジアゾール系、ピラゾール系、ピラゾリン系、チアジアゾール系、トリアゾール系化合物等の複素環化合物、ヒドラゾン系化合物、スチリル系化合物、ベンジジン系化合物、トリアリールメタン系化合物、トリフェニルアミン系化合物あるいは、これ等の化合物からなる基を主鎖または側鎖に有するポリマー(例えばポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン等)が挙げられる。また、これ等の電荷輸送物質は1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0033】
感光層には必要に応じてフルオレン、キノン、ジフェノキノン、アントラキノン各化合物誘導体に代表される電子輸送剤の他、酸化防止剤、増感剤、分散剤、レベリング剤等の各種添加剤を含んでも良い。
【0034】
本発明において使用される導電性支持体としてはアルミニウム、ニッケル、銅、ステンレスなどの金属板、金属ドラムまたは金属箔、アルミニウム、酸化錫、ヨウ化銅の薄膜を塗布したプラスチックフィルムあるいはガラス、導電性微粒子(例えばカーボンブラック、銀粒子、酸化錫含有無機粒子など)を含有するプラスチックなどが挙げられる。また、導電性粒子を適当なバインダー樹脂と共にプラスチック、金属または合金支持体上に被覆した支持体を用いる事もできる。
【0035】
さらに必要に応じて、導電性支持体の表面には、酸化処理、薬品処理等の各種の処理を施すことができる。
【0036】
なお、本発明では、導電性支持体は粗面化する必要はないという利点がある。すなわち、レーザー光等の可干渉光を露光用光源として用いる場合、従来の薄膜電荷発生層と厚膜電荷輸送層からなる積層型感光体では、導電性支持体および/または電荷発生層と電荷輸送層との界面からの入射光の反射により縞模様の画像欠陥(千渉縞)が発生するという問題がある。本発明の感光体は単層型であり、上記のような内部反射が起らないため、上記のような問題を生起する粗面化処理を導電性支持体表面に施す必要はない。
【0037】
また、本発明の感光体では、帯電性を改良する目的で感光層と導電性支持体の間に下引き層を設けることができる。これらの材料としては、下引層の材料としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリエチレンオキシド、エチレンセルロース、メチルセルロース、ポリアミド、ポリアミド酸、ポリウレタン、ポリイミド、メラミン、チタンやジルコニウムなどの各種金属キレート化合物、各種金属アルコキシド等が挙げられる。
【0038】
感光層は、上記含フッ素樹脂を有機溶剤に溶解し、得られた塗布液を導電性支持体に塗布して形成することができる。
【0039】
本発明の感光層の膜厚は、5〜80μm、好ましくは8〜40μmくらいが適当である。5μmより薄いと帯電性が低下し、逆に80μmより厚いと感度低下をもたらす。本発明の感光体は、所定の材料を有機溶媒中に溶解、またはボールミル、超音波、ホモミキサーなどで分散した塗布液をディッピング、ブレード、スプレーなどで導電性支持体上に塗布して作製される。
【0040】
次に、本発明の電子写真装置について説明する。
【0041】
図2に本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成を示す。図2において、1はドラム状の本発明の電子写真感光体であり、矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。感光体1は回転過程において、一次帯電手段2によりその周面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光等の像露光手段(不図示)からの画像露光光3を受ける。こうして感光体1の周面に静電潜像が順次形成されていく。
【0042】
形成された静電潜像は、次いで現像手段4によりトナー現像され、現像されたトナー現像像は、不図示の給紙部から感光体1と転写手段6との間に感光体1の回転と同期取りされて給送された転写材7に、転写手段6により順次転写されていく。像転写を受けた転写材5は感光体面から分離されて像定着手段7へ導入されて像定着を受けて装置外ヘプリントアウトされる。像転写後の感光体1の表面は、クリーニング手段8によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、更に前露光手段(不図示)からの前露光光9により除電処理がされた後、繰り返し画像形成に使用される。なお、一次帯電手段2が帯電ローラー等を用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
【0043】
本発明においては、上述の感光体1、一次帯電手段2、現像手段4及びクリーニング手段8等の構成要素のうち、複数のものをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジをレーザービームプリンター等の電子写真装置本体に対して着脱可能に構成してもよい。例えば一次帯電手段2、現像手段4及びクリーニング手段8の少なくとも1つを感光体1と共に一体に支持してカートリッジ化し、装置本体のレール等の案内手段を用いて装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジとしてもよい。
【0044】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、これにより本発明の態様が限定されるものではない。
【0045】
(実施例1)
アゾ顔料P−28、10部(重量部、以下同様)を、THF150部、ガラスビーズ(直径1mm)400部とともにガラス容器中に密閉し、ペイントシェーカー(レッドデビル社製)で6時間分散後、この液にセフラルコートA−202B(セントラル硝子社製)20部(150℃/60分乾燥後重量換算)硬化剤としてユーバン20HS(三井化学製)10部(150℃/60分乾燥後重量換算)、下記構造式(1)で示される電荷輸送物質5部、クロロベンゼン6部を加えてさらに1時間分散。その後ガラスビーズを分離して感光体の塗布液を作成した。この塗布液をアルミニウムシート上にマイヤーバーで塗布後150℃で60分加熱乾燥し、膜厚約14μmの単層型感光体を作成した。
【外14】
【0046】
この電子写真感光体を、川口電機社製複写紙試験装置(EPA−8200)を用いて評価した。
【0047】
評価は始めに−3KVのコロナ放電で負に帯電し、1秒間放置後の表面電位Voを求めた。
【0048】
続いて、1秒間暗所放置後の表面電位が−400Vになるようにコロナ帯電機の設定を調整後、表面照度が201uxとなるような露光(ハロゲンランプに干渉フィルターを通した680nmの単色光)を行ない、表面電位が1/2に減衰するのに必要な露光量(E1/2)を測定した。また、帯電−露光−除電を1000回繰り返した後のV0を測定した。それらの結果を表1に示す。
【0049】
(実施例2〜5)
電荷発生物質を、表1に示したアゾ顔料に替えた事以外は実施例1と同様にして単層型感光体を作成し、同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0050】
(実施例6)
樹脂を、セフラルコートA−402B(セントラル硝子社製)に変えた以外は実施例1と同様にして単層型感光体を作成し、同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0051】
(実施例7)
樹脂を、ルミフロンLF200(旭硝子社製)に変えた以外は実施例1と同様にして単層型感光体を作成し、同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0052】
(実施例8)
硬化剤を、デュラネートTPA−100(旭化成社製)に変えた以外は実施例2と同様にして単層型感光体を作成し、同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0053】
(実施例9)
硬化剤を加えず、1.5倍量のセフラルコート202Bを使用した以外は実施例2と同様にして単層型感光体を作成し、同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0054】
(実施例10)
表1に記載の顔料を用い、電荷輸送物質を、下記構造式(2)で示される化合物に変えた以外は実施例1と同様にして単層型感光体を作成し、同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【外15】
【0055】
(実施例11)
表1に記載の顔料を用い、電荷輸送物質を、下記構造式(3)で示される化合物に変えた以外は実施例1と同様にして単層型感光体を作成し、同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【外16】
【0056】
(実施例12)
2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノールを0.1部、N−(2,4,7−トリニトロフルオレニリデン)−2,6−ジエチルアニリンを2部加えた以外は実施例1と同様にして単層型感光体を作成し、同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0057】
(比較例1)
樹脂を、アクリル樹脂(日立化成製:ヒタロイド1601)に変えた以外は実施例1と同様にして単層型感光体を作成し、同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0058】
(比較例2)
樹脂を、ポリサルホン樹脂(帝人アモコエンジニアリング製:ユーデルP1700)に変えた以外は実施例1と同様にして単層型感光体を作成し、同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
(実施例13)
ジルコニウムアセチルアセトネート80重量部をテトラヒドロフラン1800重量部に溶解させた後、ブタノール100重量部を加え下引層塗工液を用い30mmφ×260mmのA1シリンダー上にこの下引層液を浸漬塗布し、110℃で10分間乾燥して膜厚0.3μmの下引層を形成した。
【0061】
そして、実施例7と同処方の塗布液を用い浸漬塗布後、120℃で30分間乾燥し、膜厚27μmの感光層を形成した。
【0062】
これを、一次帯電時のDC成分のみ出力可変に改造した(AC成分は実機シーケンス)日本ヒューレット・パッカード(株)社製プリンタLaserJet4000に装着し、非露光時の表面電位(V0)が−700Vになるように調整後、帯電−露光−除電を1000回繰り返した後のV0を評価したところ、−685Vであった。
【0063】
(実施例14)
30mmφ×357.5mmのA1シリンダーを用い、下引層ではジルコニウムアセチルアセトネートの代りに可溶性ポリアミド樹脂(東レ(株)製:アミランCM−8000)を、テトラヒドロフランの代りにメタノールを用い、電荷発生層ではアゾ顔料としてP−1とP−14とを5部づつ使用した以外は実施例13と同様に電子写真感光体を作成した。
【0064】
この電子写真感光体を、一次帯電時のDC値を出力可変に改造したキヤノン製アナログ複写機NP6030本体に装着し、非露光時の表面電位(V0)が−550Vになるように調整後、帯電−露光−除電を1000回繰り返した後のV0を評価したところ、−540Vであった。
【0065】
【発明の効果】
本発明の単層型電子写真感光体は、結着樹脂として溶剤可溶性含フッ素樹脂を用い、電荷発生材料としてアゾ顔料を含有する感光体を用いたことにより、帯電に優れ高感度という優れた効果を有する。また、負帯電で動作するので、新たに正帯電用の周辺技術を開発する必要がなく、従来の負帯電積層型有機感光体に用いられている周辺技術をそのまま利用し得るという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の負帯電単層型電子写真感光体の代表的な構成を示す図である。
【図2】本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成を示す図である。
【図3】閾値を有する光減衰曲線を示す図である。
【符号の説明】
1 電子写真感光体
2 一次帯電手段
3 露光部
4 現像手段
5 転写材
6 転写手段
7 像定着手段
8 クリーニング手段
9 前露光部
Claims (17)
- 導電性支持体上に、直接または下地層を介して、電荷発生物質1種類以上が結着樹脂中に分散された単一膜より成る感光層を有する電子写真用感光体において、前記結着樹脂として少なくとも含フッ素樹脂を有し、電荷発生物質として少なくとも下記一般式(1)で表されるアゾ顔料を含有してなることを特徴とする電子写真用感光体。
A−(N=N−Cp)n(1)
(式中Aは中心骨格であり、直接あるいは結合基を介して結合していても良い、置換もしくは非置換の芳香族炭化水素環基または複素環基を表す。Cpはフェノール性水酸基を有するカプラー残基である。nは1〜3の整数を示す。ただし、−N=N−Cpが同一ベンゼン環に複数個結合することはない。) - 請求項1〜6に記載の電子写真用感光体において、含フッ素樹脂が溶剤可溶性であること特徴とする電子写真用感光体。
- 請求項7に記載の電子写真用感光体において、含フッ素樹脂が繰り返し単位の一つとして、少なくともフルオロエチレン構造を有している事を特徴とする電子写真用感光体。
- 請求項8に記載の電子写真用感光体において、含フッ素樹脂がカルボキシル基を含有している事を特徴とする電子写真用感光体。
- 請求項8、9に記載の電子写真用感光体において、含フッ素樹脂が、重合活性モノマーと、カルボキシル基を分子内に有する重合活性モノマーとの共重合体であることを特徴とする電子写真用感光体。
- 請求項1〜10に記載の電子写真用感光体において、結着樹脂が含フッ素樹脂とメラミン系硬化剤とを反応硬化させた樹脂であることを特徴とする電子写真用感光体。
- 請求項1〜10に記載の電子写真用感光体において、結着樹脂が含フッ素樹脂とイソシアネート系硬化剤とを反応硬化させた樹脂であることを特徴とする電子写真用感光体。
- 感光体の帯電方式が負帯電である請求項1〜12に記載の電子写真用感光体。
- 光照射時の電位の光減衰曲線において閾値を有し、デジタル光入力用であることを特徴とする請求項1〜13に記載の電子写真用感光体。
- 該感光層に有機正孔移動物質を含有する請求項1〜14に記載の電子写真用感光体。
- 請求項1〜15に記載の電子写真用感光体と帯電手段、像露光手段、現像手段及びクリーニング手段を有することを特徴とする電子写真装置。
- 請求項1〜15に記載の電子写真用感光体と帯電手段、像露光手段、現像手段及びクリーニング手段の少なくとも一つを一体に支持してユニットを形成し、装置本体に着脱自在なユニットであることを特徴とする電子写真装置ユニット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002204346A JP2004045859A (ja) | 2002-07-12 | 2002-07-12 | 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002204346A JP2004045859A (ja) | 2002-07-12 | 2002-07-12 | 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004045859A true JP2004045859A (ja) | 2004-02-12 |
Family
ID=31709973
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002204346A Withdrawn JP2004045859A (ja) | 2002-07-12 | 2002-07-12 | 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004045859A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008233893A (ja) * | 2007-02-21 | 2008-10-02 | Ricoh Co Ltd | 電子写真感光体とこれを搭載する電子写真用プロセスカートリッジ及び画像形成装置 |
CN103282443A (zh) * | 2010-12-28 | 2013-09-04 | 大日精化工业株式会社 | 黑色偶氮色素、制造方法、着色组合物、着色方法及着色物品类 |
-
2002
- 2002-07-12 JP JP2002204346A patent/JP2004045859A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008233893A (ja) * | 2007-02-21 | 2008-10-02 | Ricoh Co Ltd | 電子写真感光体とこれを搭載する電子写真用プロセスカートリッジ及び画像形成装置 |
CN103282443A (zh) * | 2010-12-28 | 2013-09-04 | 大日精化工业株式会社 | 黑色偶氮色素、制造方法、着色组合物、着色方法及着色物品类 |
CN103282443B (zh) * | 2010-12-28 | 2015-01-07 | 大日精化工业株式会社 | 黑色偶氮色素、制造方法、着色组合物、着色方法及着色物品类 |
TWI478983B (zh) * | 2010-12-28 | 2015-04-01 | Dainichiseika Color Chem | Black azo pigments, manufacturing methods, coloring compositions, coloring methods and colored articles |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3809396B2 (ja) | 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 | |
JP2007086522A (ja) | 電子写真感光体並びに該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置 | |
JP2005062301A (ja) | 電子写真感光体 | |
JP3314702B2 (ja) | 電子写真感光体、および画像形成装置 | |
JP2005062300A (ja) | 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 | |
JP4194606B2 (ja) | 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 | |
JP5719886B2 (ja) | 電子写真感光体及びそれを用いた画像形成装置 | |
JP2005189765A (ja) | 電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置 | |
JP2004045859A (ja) | 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 | |
JP2007178813A (ja) | 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 | |
JPH03246551A (ja) | 電子写真感光体及びそれを用いたファクシミリ | |
JP2003186225A (ja) | 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 | |
JP3201134B2 (ja) | 電子写真感光体 | |
JP3684044B2 (ja) | 電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカ−トリッジ及び電子写真装置 | |
JPH0588388A (ja) | 電子写真感光体 | |
JP2010002698A (ja) | 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 | |
JPH1020517A (ja) | 電荷輸送層用組成物及びこれを用いた電子写真感光体 | |
JP2007101807A (ja) | 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 | |
JP2002148835A (ja) | 電子写真感光体およびこれを用いた画像形成装置 | |
JP2000075517A (ja) | 電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカ−トリッジ及び電子写真装置 | |
JP2003195539A (ja) | 画像形成装置および画像形成方法 | |
JP2000066433A (ja) | 電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカ−トリッジ及び電子写真装置 | |
JP3294935B2 (ja) | 電子写真感光体及び電子写真装置 | |
JP2004093800A (ja) | 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 | |
JP2000122314A (ja) | 電子写真装置及びプロセスカートリッジ |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20051004 |