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JP2003524578A - 抗微生物性ペプチド - Google Patents

抗微生物性ペプチド

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JP2003524578A
JP2003524578A JP2000528598A JP2000528598A JP2003524578A JP 2003524578 A JP2003524578 A JP 2003524578A JP 2000528598 A JP2000528598 A JP 2000528598A JP 2000528598 A JP2000528598 A JP 2000528598A JP 2003524578 A JP2003524578 A JP 2003524578A
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peptide
amino acids
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amino acid
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JP2000528598A
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エンゲルムンドゥス・コルネリス・イグナティウス・フェールマン
ウィレム・ファント・ホフ
エーファ・ヨセフィーネ・ヘルメルホルスト
Original Assignee
スティヒティング・フォール・デ・テヒニシェ・ウェテンシャペン
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、抗微生物活性を有する、10から25のアミノ酸のドメインを含有するアミノ酸からなるペプチドに関する。このドメインの半分についてのアミノ酸の過半数は正電荷アミノ酸であり、ドメインの残りの半分についてのアミノ酸の過半数は非電荷アミノ酸である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、抗微生物活性を有する新規のペプチドに関する。この抗微生物活性
が特に目標とするのは、細菌、真菌、酵母である。
【0002】 既知の抗生物質の使用において、感染の処置にもはや十分でない事例が増加し
ている。多くの細菌株が既知の類の抗生物質に対して耐性を有するようになり、
この30年間に新しい類の抗生物質が見つかっていない。このことからして、新
しい類の抗微生物剤が非常に望まれるところである。アルカリ性のペプチドおよ
びタンパク質が、インビトロで殺菌および殺真菌の活性を有する唾液中に存在し
ている。ヒスタチンは、かかる唾液ペプチドの既知ファミリーを形成する。しか
し、臨床的に適用可能となるために望まれるのは、抗微生物活性がさらに高いこ
とである。高い活性は、多かれ少なかれ起きる薬剤のタンパク質分解性の減成を
償う。さらに、天然に生じるペプチドに関するタンパク質分解性減成の低下が望
ましい。最後に、ペプチドの生産に関する経済的観点からして、推奨されるのは
、抗微生物剤が比較的小さいことである。
【0003】 本発明の目的は、上記の欠点を有さないで、かつ推奨される必要条件をできる
だけ含有するような、アミノ酸鎖からなるペプチドの提供である。
【0004】 このような目的の本発明による達成は、10から25のアミノ酸のドメインか
らなるペプチドによりなされる。このドメインの半分についてのアミノ酸の過半
数は正電荷アミノ酸であり、残りの半分の過半数は非電荷アミノ酸である。
【0005】 これらのペプチドの構造は種々の変化を有する。第一に、ドメインはα−ヘリ
ックスを形成でき、その部位1、2、5、6、9(12、13,16,19、2
0、23、24)の少なくとも過半数が正電荷アミノ酸を含有し、部位8が正電
荷または非電荷のアミノ酸であり、部位3、4、7、10(11、14、15、
17、18、21、22、25)の少なくとも過半数が非電荷アミノ酸である。
これらのペプチドは、片側両親媒性、すなわち100°で最大疎水性モーメント
を有する。簡単に述べると、これらのペプチドは、左側が疎水性であり、右側が
親水性であり、またはその逆である。これらのペプチドを本明細書では“I型”
と呼ぶ。
【0006】 ドメインは別のα−ヘリックスを形成でき、その部位1、2、5、6、9(1
2、13,16,19、20、23、24)の少なくとも過半数が非電荷アミノ
酸を含有し、部位8が正電荷または非電荷のアミノ酸であり、部位3、4、7、
10(11、14、15、17、18、21、22、25)の少なくとも過半数
が正電荷アミノ酸である。これらのペプチドは、片側両親媒性、すなわち100
°で最大疎水性モーメントを有する。簡単に述べると、これらのペプチドは、右
側が疎水性であり、左側が親水性であり、またはその逆である。これらのペプチ
ドは、本明細書では“II型”と呼び、原則的にI型ペプチドに対し鏡対称形であ
る。
【0007】 ドメインはさらに別のα−ヘリックスを形成でき、その部位1から6(または
7または8または9または10または11または12)の少なくとも過半数が非
電荷アミノ酸を含有し、正電荷アミノ酸が部位7(または8または9または10
または11または12または13)から25に存在する。これらのペプチドは、
縦の片側両親媒性、すなわち100°で最小疎水性モーメントを有する。これら
のペプチドは、その“上部”で疎水性であり、その“下部”で親水性である。こ
れらのペプチドを“III型”と名付ける。
【0008】 逆に、ドメインはα−ヘリックスを形成でき、その部位1から6(または7ま
たは8または9または10または11または12)の少なくとも過半数が正電荷
アミノ酸を含有し、非電荷アミノ酸が部位7(または8または9または10また
は11または12または13)から25に存在する。これらのペプチドは同様に
、縦の片側両親媒性、すなわち100°で最小疎水性モーメントを有する。これ
らのペプチドは、その“上部”で親水性であり、その“下部”で疎水性である。
これらのペプチドを“IV型”と名付ける。
【0009】 最後に、ドメインは、いわゆるβ鎖を形成し、正電荷アミノ酸を部位1、3、
5、7、9(11、13、15、17、19、21、23、25)の少なくとも
過半数に、および非電荷アミノ酸を部位2,4、6、8、10(12、14、1
6、18、20、22、24)の少なくとも過半数に含有できる。このようなβ
鎖は、片側両親媒性であり、180°で最大疎水性モーメントを有する。β鎖構
造は、αヘリックスよりも平面的であり、簡単に言うと、左側が疎水性であり、
右側が親水性であり、またはその逆である。これらは“V型”である。
【0010】 正電荷アミノ酸の好ましい選択は、オルニチン(O)、リシン(K)、アルギ
ニン(R)およびヒスチジン(H)よりなる群からなされ、一方、非電荷アミノ
酸の好ましい選択は、脂肪族アミノ酸、グリシン(G)、アラニン(A)、バリ
ン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、両極側鎖を有するアミノ酸、
メチオニン(M)、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、ト
レオニン(T)、芳香族側鎖を有するアミノ酸、フェニルアラニン(F)、チロ
シン(Y)、トリプトファン(W)よりなる群からなされる。親油性と親水性と
の境界上のアミノ酸の選択は、両群から、または残りのアミノ酸からできる。
【0011】 活性の相違が原則的にほとんど検出できないのは、正電荷アミノ酸の1つおよ
び/または非電荷アミノ酸の1つがランダムアミノ酸で置換されているときであ
る。従って、正電荷アミノ酸の過半数は、好ましくは正電荷アミノ酸の全数から
引く1であり、非電荷アミノ酸の過半数は、好ましくは非電荷アミノ酸の全数か
ら引く1である。
【0012】 ドメインは、より大きいペプチドの一部分であり得るが、それ自体で全ペプチ
ドを形成することもできる。ドメインがより大きいペプチド部分を形成している
とき、C末端および/またはN末端のアミノ酸が追加的に存在してランダムアミ
ノ酸となり得る。
【0013】 I型について次のペプチドが特に推奨される。 KRLFKELKFSLRKY (ペプチド3) KRLFKELLFSLRKY (ペプチド4) KRLFKELKKSLRKY (ペプチド5) KRLFKELLKSLRKY (ペプチド6) OOLFOELOOSLOOY (ペプチド7) OOLFOELLOSLOOY (ペプチド8) KRLFKKLKFSLRKY (ペプチド9) KRLFKKLLFSLRKY (ペプチド10)
【0014】 III型についての好ましいペプチドは、次のアミノ酸配列を有す。 LLLFLLKKRKKRKY (ペプチド11)
【0015】 本発明のペプチドはさらに修飾を含有し得る。この修飾は、例えば、N末端ア
ミド環、酢酸無水物の保持、C末端が修飾される合成樹脂の代替開裂などである
。後者については、C末端のカルボン酸がアミド、エステル、ケトン、アルデヒ
ド、アルコール基で置換される。このような修飾を有するペプチドは、例えば、
次の通りである。 KRLFKELKFSLRKY−アミド (ペプチド12) KRLFKELLFSLRKY−アミド (ペプチド13)
【0016】 単一のペプチドに加えて、オリゴマーもつくることができる。好ましくは、本
発明のペプチドについては直線状のオリゴマーである。カップリングを、ヘッド
とヘッド、テイルとテイル、ヘッドとテイルで、直接合成的または合成後酵素的
になすことができる。膜貫通性細孔の形成について、最小ペプチド長を必要とす
る。本発明のペプチドのオリゴマーは、2倍の長さであることにより、細菌細胞
膜の全リン脂質二重層に原則的にうまく及び得る。このためにペプチドの活性が
さらに改善される。追加的に、ペプチドの伸張がヘリックスの立体配座を安定に
する。スペーサーを通常は挿入する。ヘッドとテイルでの結合オリゴマーの直接
合成において、スペーサーを挿入して、適正な長さの非天然型アミノ酸、例えば
、β−アラニン、γ−アミノ酪酸、ε−アミノカプロン酸などの鎖を使用して大
きさを調整できる。ヘテロ2機能カップリング試薬は、担体タンパク質にペプチ
ド抗体をカップリングするために市販されており(例えば、1−エチル−3−[
3−ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド(EDC)、m−マレイミドベン
ゾイル)−N−ヒドロキシサクシニミド・エステル(MBS)、N−サクシニミ
ジル−3−[ピリジルジチオ]プロピオネート(SPDD)など)、これらを用
いて直線オリゴマーを挿入スペーサーでつくる。ヘッドとヘッドおよびテイルと
テイルのカップリングには3価アミノ酸、例えば、アスパラギン酸(D)、グル
タミン酸(E)、オルニチン(O)、リシン(K)、セリン(S)、システイン
が使用される。オリゴマーの例は次の通りである。
【0017】 KRKFHEKHHSHRGYC−CYGRHSHHKEHFKRK(ペプチ
ド14) YGRHSHHKEHFKRKC−CKRKFHEKHHSHRGY(ペプチ
ド15) αN,εN−(KRKFHEKHHSHRGY)2K−アミド(ペプチド16) αN,εN−(KRLFKELKFSLRKY)2K−アミド(ペプチド17) αN,εN−(KRLFKKLKFSLRKY)2K−アミド(ペプチド18)
【0018】 ペプチド14および15は、ペプチド2の追加C末端毎N末端システインとの
合成によって得られ、その後にオリゴマーが空気酸化で得られる。ペプチド16
、17および18は、多重抗原ペプチド(MAP)方式を用いて得られ、α−お
よびε−アミノ酸の両方上にFmoc保護を有するリシンを合成樹脂上の第1ア
ミノ酸として用い、それによって2つの同一のアミノ酸鎖(ペプチド2、3、9
)が1つのリシン分子上に自動的に合成された。
【0019】 本明細書に記載のペプチドは、PBS(リン酸緩衝液)などの緩衝液中で溶血
活性をほとんどまたはまったく有さない。ヒト臓器の赤血球に対する低い活性は
毒性が低いことの指標である。この選択性は、これらのペプチドを抗生物質とし
て使用するのに必須である。
【0020】 本発明のペプチドは、抗細菌剤においてまたは抗細菌剤として、抗真菌剤にお
いてまたは抗真菌剤として、または酵母感染に対する薬剤として使用できる。そ
の活性は添付の実施例にさらに示す。
【0021】 従って、本発明はさらに、抗細菌剤としての使用、抗真菌剤としての使用およ
び抗糸状菌剤としての使用のためのペプチドに関する。
【0022】 また、本発明は、細菌感染の処置のための医薬の製造、および真菌感染および
/または酵母感染の処置のための医薬の製造にペプチドを使用することに関する
【0023】 本発明のペプチドは、種々の医薬形態での投与に使用できる。特に推奨される
のは、噴霧、軟膏、ゲル、ロゼンジである。これらの投与形態を用いて、口腔や
皮膚または家畜や食品におけるカンジダなどの酵母、細菌および真菌を制御する
のに使用できる。
【0024】 本発明はさらに添付の実施例に示す。実施例は単に説明のために提示されるの
であって、いかなる場合でも本発明を限定するものでない。
【0025】 実施例 実施例 1 ペプチドの合成 本発明によるペプチドを、Van 't Hof et al. (1991) およびHelmerhorst et
al.(1997) らの記述にしたがって化学合成した。ペプチドはTバッグ法を使用し
て、p−フルオレニルメトキシカルボニル((Fmoc)chemistry)に適合させて
合成した。p−ベンジルオキシベンジルアルコール樹脂は、N−Fmoc保護ア
ミノ酸との結合を最初にすませておき、T−バッグ中で調整した。カップリング
反応をN,N−ジメチルホルムアミド中で行った。アミノ酸連鎖の完成の後に、
それを樹脂から開裂せしめて、同時に側鎖保護基を5%のチオアニソール、5%
のフェノール、5%の水、85%のトリフルオロ酢酸の混合液で除去した。純度
分析は、逆相高速液体クロマトグラフィーを使用して行った。わずかの数種の汚
染物質(5%以下)を含むにすぎない1つの単一ピークがあった。
【0026】 すべてのペプチドを10mMリン酸ナトリウム緩衝液(PPB)、pH7.0に
濃度2mg/mlまで溶解し、−80℃で貯蔵した。貯蔵液の最終pHは6.0で
あった。抗菌性検定において使用する厳密なペプチド濃度は、アミノ酸分析によ
って測定した。
【0027】 表1は、上記の方法で生成したペプチド2〜13の全体像である。この表にお
いてペプチド1および2は、それぞれヒスタチン5およびそのC−末端部を示し
ている。ゴシック体文字のアミノ酸はペプチド2と対比したときの変化である。
【0028】 実施例 2 インビトロ単独培養に対する抗菌活性 ストレプトコッカス・ミュータント(Streptococcus mutants)(R9)、ストレプ
トコッカス・サンギス(Streptococcus sanguis)(SB179)、ストレプトコッカス・
サリバリウス(Streptococcus salivarius)(SS196)、アクチノミセス・ネスルン
ド(Actinomyces naeslundii)(WVU627)、フソバクテリウム・ヌクレアツム(Fusob
acterium nucleatum)(ATCC 10953)、プレボテラ・インターメディア(Prevotella
intermedia)(T588)、ベイヨネラ・パルブラ(Veillonella parvula)(ATCC 17745
)等の単独培養菌を、脳心臓浸出液(BHI)(Difco)中で後期対数期間培養し
、10mMリン酸ナトリウム緩衝液(PPB)中で3度洗って、懸濁度を106
CFU/mlまでに希釈した。この懸濁液250mlをポリプロピレン Eppendo
rf cups(Costar)中に混合し、その混合液を本発明の抗微生物性ペプチド溶液2
50μlと混合して2倍にし(最終ペプチド濃度は100μlであった)、好気性
環境下、30分間、37℃で培養した。対照の処置はペプチドのない10mMP
PBで実行した。
【0029】 培養の終了後、標本を遠心分離して上澄み液400μlを除去し、それにPB
S400μl(9mMリン酸ナトリウム、pH7.0、150mMのNaCl溶液)
をペプチド不活性の状態で加えた。標本をさらにPBS中で希釈して、10倍希
釈液50μlおよび1000倍希釈液50μlを血液寒天培養地(Difco)上で平板培養し
て、生存能を計数した。
【0030】 試験の結果を表2に示す。この表によると、本発明のペプチドは、天然に生じ
るヒスタチン5より明らかに高い活性を有する。
【表1】
【表2】 1 緩衝液による処理は、殺菌率0.00%で正常とした。平均値からの標準偏差はカ
ッコ内の数字で表わす。* 投与緩衝液のみの標本より有意に高い殺菌力。
【0031】 実施例 3 増殖の抑制 カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)およびトルロプシス・グラブラー
タ(Torulopsis glabrata)等の酵母菌、およびメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(m
ethicillin-resistant Staphylococcus aureus)(MRSA) を寒天の上で増殖させ
て試験した。本発明の各ペプチド10μlを寒天の上に斑点状に置いた。表3はそ
の結果を示す。「+」は増殖を完全に抑制、「+/−」は部分的に抑制、「−」
は抑制なしを示す。
【表3】
【0032】 実施例 4 乳酸産生の抑制 本発明のすべてのペプチドについて、細菌の乳酸産生を抑制する能力を試験し
た。細菌は、ストレプトコックス・サンギス(Streptococcus sanguis)、ストレ
プトコックス・ミュータンス(Streptococcus mutans)、ストレプトコックス・サ
リバリウス(Streptococcus salivarius)、ラクトバシルス・ラムノーサス(Lacto
basillus rhamnosus)である。乳酸形成は代謝活性の尺度である。
【0033】 この試験のために、菌細胞の培養基を0.5グルコースおよび種々の濃度ペプチ
ドを加えたPPB10mM中で1時間培養した。乳酸の形成をスペクトル光度測
定法でモニターした。表4はその結果を示す。「+」は4〜20μg/mlペプチ
ドで完全に抑制したことを示し、「−」は100μg/ml以下ペプチドで乳酸形
成の抑制が認められなかったことを表わす。
【表4】
【0034】 実施例 5 酵母の殺菌 5*106のカンジダ・シュードトロピカリス(Candida pseudotropicalis)、
カンジダ・アルビカンス(Candida albicans) 10231、クリプトコックス・
ネオホルマンス(Cryptococcus neoformans)、カンジダ・クルセイ(Candida krus
ei)、カジダ・パラプシロシス(Candida parapsilosis)、カンジダ・グラブラタ(
Candida glabrata)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans) 32354お
よび、そのエルゴステロール欠損変異体を、リン酸カリウム緩衝液1mM、pH
7.0中の、本発明のペプチドの希釈系の存在下あるいは抗真菌抗生物質アンホテ
リシンBの存在下で、1時間半、37℃で培養した。生存能力を平板培養で確認
した。正対照として使用したのは、合成PGLa(“Protein beginning with Gl
ycine and ending with Leucin-amide”、アミノ酸配列GMASKGAIAGK
IAKVALKAL−アミドを有する)であった。負対照は、合成シスタチンS
(SSSKEENRIIPGGI)の残基1〜14を含むペプチドであった。ア
ンホテリシンは既知の抗真菌剤である。しかし、カンジダ・アルビカンス(Candi
da albicans)の変異体(菌種 32354)はその細胞膜にエルゴステロールを
有せず、アンホテルシン Bに対して耐性を有するものがある。IC50値は、接
種材料の50%が殺されるペプチド濃度である。表5はその結果を示す。
【表5】
【0035】 実施例 6 人工口腔バイオフィルムにおける抗菌活性 人工口腔バイオフィルムは、水酸化リン酸カルシウム板を5日間継続培養系に
入れて製造した。この系は、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus
mutans)、ストレプトコッカス・サンギス(Streptococcus sanguis)、ストレプ
トコッカス・サリバリウス(Streptococcus salivarius)、アクティノミセス・ネ
スルンド(Actinomyces naeslundii)、ベイヨネラ・パルビュラ(Veillonella par
vula)、プリボテラ・インターメディア(Prevotella intermedia)、 フソバクテ
リウム・ヌクレアツム(Fusobacterium nucleatum)の7つの口腔好気性菌および
嫌気性菌を含む。
【0036】 次に、バイオフィルムの形成した板を、濃度の相異したペプチドを溶解した1
0mMリン酸カリウム緩衝液、pH7.0の溶液中で30分間培養した。 続いて、そ
のバイオフィルムを音波破砕して板から取りはずして、PBS中で培養し、半選
択的細菌培養板上で平板培養した。全嫌気性菌計数を好気性培養血液寒天培地板
上で(連鎖球菌+放線菌)、全グラム陰性計数をバンコマイシン含有板上で(Ve
illlonella, Fusobacterium, Prevotella)、および全計数を嫌気性培養血液寒
天培地上で行った。Von Ebner's Gland Protein(VEGh,3-21: LLASDEEIQDVS
GTWYLKA)の不活性ペプチドを負対照として使用した。
【0037】 結果を表6に示す。その中で「*」は殺菌力が明らかに負対照(p<0.05)より
高いことを表わす。
【表6】
【0038】 実施例 7 口腔細菌に対する抗菌活性 本発明によるペプチドが、口腔内細菌に対しても活性を示すかどうかを確認す
るために、唾液および歯垢から細菌を集めた。唾液をボルテックス・ミキサーで
振動させて遠心分離した。ペレットを10mMリン酸カリウム緩衝液で洗い、30
分間37℃で、緩衝液(正対照)、ペプチド10(100μg/ml;本発明)、P
GLa(100μg/m;正対照)、クロルヘキシジン(50ppm)とともに培養し
た。表7にその結果を示す。
【表7】
【0039】 実施例 8 殺菌におけるペプチド10およびヒスタチン5の比較 クレブシエラ(Klebsiella)(ATCC 43186)およびシュードモナス・エ
ルキノーサ(Pseudomonas aeruqinosa)(PA01, 臨床単離)の106細菌を1時間3
7℃で、1%トリプシン・豆・肉汁培養基(pH7.4)を含む10mMリン酸ナト
リウム緩衝液中で、25または50μg/mlのヒスタチン5、3.12、6.25、12.5、25
または50μg/mlのペプチド10、10μg/mlのプロテグリン(正対照)、50μ
g/mlのペプチド4またはペプチド非含有(両者は負対照)の存在下で培養した
。さらに含まれるのは、1時間、37℃で培養されなかったブランクである(t
=0分)。次に、各標本のコロニー形成ユニットをDST(診断感性試験)による
平板培養法によって確認した。
【0040】 図1Aは、各標本のクレブシラ(Klebsiella) によるコロニー形成ユニット
(CFU)の数をグラフ化したものである。図1Bは、プソイドモナス(Pseudo
monas )についての結果を示す。
【0041】 実施例 9 カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)殺菌について相違培養時間におけ
るペプチド10およびヒスタチン5の比較 106カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)を1時間あるいは3時間、
37℃で、1%サブロー(Sabouraud)(pH7.4)の10mMリン酸ナトリウム緩衝
液中で、25、50または100μ/mlのヒスタチン5、3.12、6.25、12.5、25、50ま
たは100μg/mlのペプチド10、10μg/mlのプロテグリン(正対照)、50μg/
mlのペプチド4またはペプチド非含有(両者は負対照)の存在下で培養した。さ
らに含まれるのは、1時間、37℃で培養されなかったブランクである(t=0
分)。次に、各標本のコロニー形成ユニットを上記のサブロー平板培養で確認し
た。
【0042】 図2Aは、培養1時間後の各標本のコロニー形成ユニット(CFU)の数をグ
ラフ化したものである。図2Bは、3時間培養の結果を示している。
【0043】 実施例 10 ペプチド10によるサルモネラ菌およびエルシニア菌種の殺菌 ペプチド10を50μg/mlの濃度で106サルモネラ・チフィムリウム菌(Salmo
nella typhimurium)の培養基に加えた。対照として、何も加えていない培養基を
ブランクとして用意した。CFUの値を0、1、2、3時間ごとに確認した。同
様な実験を腸炎エルシニア(Yersinia enterocolitica)(PYv+)についても行なっ
た。図3Aおよび3Bによると、ペプチド10を加えると、菌の数が検出限界以
下に下がる。
【0044】 上記の各実施例から、本発明のペプチドは、天然に生じるヒスタチン5よりか
なり高い抗菌性、抗真菌性、抗糸状菌性を有することが分かる。特定のペプチド
はまた、現在使用されている抗微生物剤に耐性を示す微生物に対しても殺作用を
有することがわかった。
【図面の簡単な説明】
【図1A】 図1Aは、各標本のクレブシラ(Klebsiella) によるコロニ
ー形成ユニット(CFU)の数をグラフ化したものである。
【図1B】 図1Bは、プソイドモナス(Pseudomonas )についての結果を
示す。
【図2A】 図2Aは、培養1時間後の各標本のコロニー形成ユニット(C
FU)の数をグラフ化したものである。
【図2B】 図2Bは、3時間培養の結果を示している。
【図3A】 図3Aは、ペプチド10を加えると、菌の数が検出限界以下に
下がる。
【図3B】 図3Bは、ペプチド10を加えると、菌の数が検出限界以下に
下がる。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成12年3月2日(2000.3.2)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 31/10 C07K 7/08 C07K 7/08 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM ,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE, KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,L T,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX ,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE, SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,U A,UG,US,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 エンゲルムンドゥス・コルネリス・イグナ ティウス・フェールマン オランダ、エヌエル−1132テーゼット・フ ォレンダム、ウィレム・ファン・デン・ベ ルフストラート27番 (72)発明者 ウィレム・ファント・ホフ オランダ、エヌエル−2313ゼットゼット・ レイデン、シェルペンカーデ61番 (72)発明者 エーファ・ヨセフィーネ・ヘルメルホルス ト オランダ、エヌエル−1015エルエス・アム ステルダム、エーヘランティエルスグラフ ト630番 Fターム(参考) 4C076 AA06 AA09 AA24 CC31 DD26 FF15 4C084 AA02 AA07 BA02 BA17 BA18 BA19 CA59 DA41 NA14 ZB352 4H045 AA10 AA30 BA05 BA16 EA29 FA34

Claims (39)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 抗微生物活性を有する、10から25のアミノ酸のドメイン
    を含有するアミノ酸からなるペプチドであって、このドメインの半分についての
    アミノ酸の過半数は正電荷アミノ酸であり、ドメインの残りの半分についてのア
    ミノ酸の過半数は非電荷アミノ酸であるペプチド。
  2. 【請求項2】 ドメインがα−ヘリックスを形成し、その部位1、2、5、
    6、9(12、13,16,19、20、23、24)の少なくとも過半数が正
    電荷アミノ酸を含有し、部位8が正電荷または非電荷のアミノ酸であり、部位3
    、4、7、10(11、14、15、17、18、21、22、25)の少なく
    とも過半数が非電荷アミノ酸であることを特徴とする、請求項1のペプチド。
  3. 【請求項3】 正電荷アミノ酸の選択が、オルニチン(O)、リシン(K)
    、アルギニン(R)およびヒスチジン(H)よりなる群からなされることを特徴
    とする、請求項2のペプチド。
  4. 【請求項4】 非電荷アミノ酸の選択が、脂肪族アミノ酸、グリシン(G)
    、アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、両極
    側鎖を有するアミノ酸、メチオニン(M)、アスパラギン(N)、グルタミン(
    Q)、セリン(S)、トレオニン(T)、芳香族側鎖を有するアミノ酸、フェニ
    ルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)よりなる群からなさ
    れることを特徴とする、請求項2および3のペプチド。
  5. 【請求項5】 正電荷アミノ酸の過半数が、好ましくは正電荷アミノ酸の全
    数から引く1であることを特徴とする、請求項2−4のペプチド。
  6. 【請求項6】 非電荷アミノ酸の過半数が、好ましくは非電荷アミノ酸の全
    数から引く1であることを特徴とする、請求項2−5のペプチド。
  7. 【請求項7】 ドメインが全ペプチドを形成することを特徴とする、請求項
    2−6のペプチド。
  8. 【請求項8】 ドメインが次のアミノ酸配列:KRLFKELKFSLRK
    Y(ペプチド3)を有する、請求項2−7のペプチド。
  9. 【請求項9】 ドメインが次のアミノ酸配列:KRLFKELLFSLRK
    Y(ペプチド4)を有する、請求項2−7のペプチド。
  10. 【請求項10】 ドメインが次のアミノ酸配列:KRLFKELKKSLR
    KY(ペプチド5)を有する、請求項2−7のペプチド。
  11. 【請求項11】 ドメインが次のアミノ酸配列:KRLFKELLKSLR
    KY(ペプチド6)を有する、請求項2−7のペプチド。
  12. 【請求項12】 ドメインが次のアミノ酸配列:OOLFOELOOSLO
    OY(ペプチド7)を有する、請求項2−7のペプチド。
  13. 【請求項13】 ドメインが次のアミノ酸配列:OOLFOELLOSLO
    OY(ペプチド8)を有する、請求項2−7のペプチド。
  14. 【請求項14】 ドメインが次のアミノ酸配列:KRLFKKLKFSLR
    KY(ペプチド9)を有する、請求項2−7のペプチド。
  15. 【請求項15】 ドメインが次のアミノ酸配列:KRLFKKLLFSLR
    KY(ペプチド10)を有する、請求項2−7のペプチド。
  16. 【請求項16】 ドメインが、α−ヘリックスを形成、部位1から6(また
    は7または8または9または10または11または12)の少なくとも過半数で
    非電荷アミノ酸を、および部位7(または8または9または10または11また
    は12または13)から25で正電荷アミノ酸を含有することを特徴とする、請
    求項1のペプチド。
  17. 【請求項17】 ドメインが、α−ヘリックスを形成、部位1から6(また
    は7または8または9または10または11または12)の少なくとも過半数で
    正電荷アミノ酸を、および部位7(または8または9または10または11また
    は12または13)から25で非電荷アミノ酸を含有することを特徴とする、請
    求項1のペプチド。
  18. 【請求項18】 正電荷アミノ酸の選択が、オルニチン(O)、リシン(K
    )、アルギニン(R)およびヒスチジン(H)よりなる群からなされることを特
    徴とする、請求項16または17のペプチド。
  19. 【請求項19】 非電荷アミノ酸の選択が、脂肪族アミノ酸、グリシン(G
    )、アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、両
    極側鎖を有するアミノ酸、メチオニン(M)、アスパラギン(N)、グルタミン
    (Q)、セリン(S)、トレオニン(T)、芳香族側鎖を有するアミノ酸、フェ
    ニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)よりなる群からな
    されることを特徴とする、請求項16、17または18のペプチド。
  20. 【請求項20】 正電荷アミノ酸の過半数が、好ましくは正電荷アミノ酸の
    全数から引く1であることを特徴とする、請求項16−19のペプチド。
  21. 【請求項21】 非電荷アミノ酸の過半数が、好ましくは非電荷アミノ酸の
    全数から引く1であることを特徴とする、請求項16−20のペプチド。
  22. 【請求項22】 ドメインが全ペプチドを形成することを特徴とする、請求
    項16−21のペプチド。
  23. 【請求項23】 ドメインが次のアミノ酸配列:LLLFLLKKRKKR
    KY (ペプチド11)を有する、請求項16および18−22のペプチド。
  24. 【請求項24】 ドメインが、いわゆるβ鎖を形成し、正電荷アミノ酸を部
    位1、3、5、7、9(11、13、15、17、19、21、23、25)の
    少なくとも過半数で、および非電荷アミノ酸を部位2,4、6、8、10(12
    、14、16、18、20、22、24)の少なくとも過半数で含有することを
    特徴とする、請求項1のペプチド。
  25. 【請求項25】 正電荷アミノ酸の選択が、オルニチン(O)、リシン(K
    )、アルギニン(R)およびヒスチジン(H)よりなる群からなされることを特
    徴とする、請求項24のペプチド。
  26. 【請求項26】 非電荷アミノ酸の選択が、脂肪族アミノ酸、グリシン(G
    )、アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、両
    極側鎖を有するアミノ酸、メチオニン(M)、アスパラギン(N)、グルタミン
    (Q)、セリン(S)、トレオニン(T)、芳香族側鎖を有するアミノ酸、フェ
    ニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)よりなる群からな
    されることを特徴とする、請求項24のペプチド。
  27. 【請求項27】 正電荷アミノ酸の過半数が、好ましくは正電荷アミノ酸の
    全数から引く1であることを特徴とする、請求項24−26のペプチド。
  28. 【請求項28】 非電荷アミノ酸の過半数が、好ましくは非電荷アミノ酸の
    全数から引く1であることを特徴とする、請求項24−27のペプチド。
  29. 【請求項29】 ドメインが全ペプチドを形成することを特徴とする、請求
    項24−28のペプチド。
  30. 【請求項30】 N末端がアミド化された、請求項1−29のペプチド。
  31. 【請求項31】 C末端カルボン酸基が、アミド、エステル、ケトン、アル
    デヒド、アルコール基で置換された、請求項1−30のペプチド。
  32. 【請求項32】 抗細菌剤としての使用のための、請求項1−31のペプチ
    ド。
  33. 【請求項33】 抗真菌剤としての使用のための、請求項1−31のペプチ
    ド。
  34. 【請求項34】 抗糸状菌剤としての使用のための、請求項1−31のペプ
    チド。
  35. 【請求項35】 細菌感染を処置する医薬の製造のための、請求項1−31
    のペプチド。
  36. 【請求項36】 真菌感染を処置する医薬の製造のための、請求項1−31
    のペプチド。
  37. 【請求項37】 酵母感染を処置する医薬の製造のための、請求項1−31
    のペプチド。
  38. 【請求項38】 請求項1−31の1以上のペプチドおよび1以上の適当な
    賦形剤を含む医薬組成物。
  39. 【請求項39】 噴霧、軟膏、ゲルまたはロゼンジの形態における、請求項
    38の医薬組成物。
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