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JP2003284590A - プロテアーゼ活性の測定方法 - Google Patents

プロテアーゼ活性の測定方法

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Publication number
JP2003284590A
JP2003284590A JP2002090167A JP2002090167A JP2003284590A JP 2003284590 A JP2003284590 A JP 2003284590A JP 2002090167 A JP2002090167 A JP 2002090167A JP 2002090167 A JP2002090167 A JP 2002090167A JP 2003284590 A JP2003284590 A JP 2003284590A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
protease
thin film
inhibitors
support
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002090167A
Other languages
English (en)
Inventor
Masayoshi Yamamoto
正義 山本
Riyouichi Nemori
良一 根守
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP2002090167A priority Critical patent/JP2003284590A/ja
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  • Investigating Or Analysing Materials By The Use Of Chemical Reactions (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 生体試料に含まれる特定のプロテアーゼのみ
を選択的に測定する方法を提供する。 【解決手段】 プロテアーゼ活性の測定方法であって、
少なくとも1種のプロテアーゼ基質、硬膜剤、及び2種
以上のプロテアーゼ・インヒビターを含み支持体表面に
形成された薄膜に対して、プロテアーゼを含む試料を接
触させる工程を含む方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プロテアーゼ活性
の測定方法に関するものである。より具体的には、癌細
胞の浸潤活性や転移活性などの癌の悪性度、歯周炎など
の歯周病の進行度、リウマチ性関節炎などにおける破壊
性病変などの正確な診断を可能にするプロテアーゼ測定
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】癌細胞の浸潤や転移、歯周炎などの歯周
病の進行、リウマチ性関節炎などにおける組織破壊の進
行、創傷治癒過程、個体発生過程などにおいて、マトリ
ックスメタロプロテアーゼ、プラスミノーゲンアクティ
ベーターなど種々のプロテアーゼが関与することが知ら
れており、それらのプロテアーゼの検出及び定量方法と
して、抗体を用いたイミュノアッセイ法、イミュノブロ
ッティング法、電気泳動ザイモグラフィー法などが知ら
れている。また、組織中におけるプロテアーゼの活性を
測定する方法として、The FASEB Journal, Vol.9, Jul
y, pp.974-980, 1995又は国際公開WO 97/32035及び同WO
01/71025に開示されたいわゆるin situ zymography法
が知られている。
【0003】国際公開WO97/32035及び同WO 01/71025に
開示されたプロテアーゼ活性の測定方法によれば、ゼラ
チン、コラーゲン、カゼイン、アルブミン誘導体、卵白
アルブミン誘導体、又はトランスフェリン誘導体などの
薄膜に生体試料を接触させて反応させる工程により、試
料中のプロテアーゼ活性の検出が可能である。しかし、
生体試料中には複数のプロテアーゼが発現している場合
があり、目的のプロテアーゼの活性のみを特異的に検出
することが困難な場合が多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、国際
公開WO97/32035及びWO 01/71025に開示されたプロテア
ーゼ活性の測定方法において、目的のプロテアーゼ活性
だけをより詳細に解析できる方法を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決すべく鋭意努力した結果、ゼラチン、コラーゲ
ン、カゼイン、アルブミン誘導体、卵白アルブミン誘導
体、又はトランスフェリン誘導体などのプロテアーゼ基
質、硬膜剤、及び2種以上のプロテアーゼ・インヒビタ
ーを含む支持体表面に形成された薄膜に対して、プロテ
アーゼを含む試料を接触させて反応させることにより、
測定対象のプロテアーゼ以外のプロテアーゼ活性の抑制
が可能となり、目的のプロテアーゼ活性のみを選択的に
測定できることを見いだした。本発明はこれらの知見を
基にして完成されたものである。
【0006】すなわち本発明は、プロテアーゼ活性の測
定方法であって、少なくとも1種のプロテアーゼ基質、
硬膜剤、及び2種以上のプロテアーゼ・インヒビターを
含み支持体表面に形成された薄膜に対して、プロテアー
ゼを含む試料を接触させる工程を含む方法を提供するも
のである。
【0007】この発明の好ましい態様によれば、プロテ
アーゼがマトリックスメタロプロテアーゼあるいはセリ
ンプロテアーゼである上記方法;プロテアーゼ基質がゼ
ラチン、カゼイン、コラーゲン、アルブミン誘導体、卵
白アルブミン誘導体、及びトランスフェリン誘導体から
なる群から選ばれる上記方法;薄膜の消化を色素により
染色する上記方法;消化痕の検出を顕微鏡により目視で
判定する上記方法;画像処理装置を用いて消化痕の定量
あるいは数値化を行う上記方法が提供される。
【0008】また、本発明の別の態様によれば、プロテ
アーゼ活性の測定方法であって、(1)少なくとも1種
のプロテアーゼ基質、硬膜剤、及び2種以上のプロテア
ーゼ・インヒビターを含み支持体表面に形成された薄膜
に対して、プロテアーゼを含む試料を接触させる工程;
及び(2)該薄膜を色素で染色してプロテアーゼの作用
により該薄膜に形成された消化痕を検出する工程を含む
上記方法が提供される。
【0009】さらに、本発明の別の態様によれば、プロ
テアーゼ活性の測定方法であって、(1)少なくとも1
種のプロテアーゼ基質、硬膜剤、及び2種以上のプロテ
アーゼ・インヒビターを含み支持体表面に形成された薄
膜に対して、生体試料の実質的に連続した2以上の切片
のうちの一つを接触させる工程;(2)少なくとも1種
のプロテアーゼ基質、硬膜剤、及び上記工程(1)とは
異なる1種又は2種以上のプロテアーゼ・インヒビター
を含み支持体表面に形成された薄膜に対して残りの切片
を接触させる工程;(3)工程(1)で用いた薄膜の消
化痕と工程(2)で用いた薄膜の消化痕とを対比する工
程を含む方法が提供される。
【0010】本発明の別の態様によれば、プロテアーゼ
活性の測定方法であって、(1)少なくとも1種のプロ
テアーゼ基質、硬膜剤、及び2種以上のプロテアーゼ・
インヒビターを含み支持体表面に形成された薄膜に対し
て、生体試料の実質的に連続した2以上の切片のうちの
一つを接触させる工程;(2)少なくとも1種のプロテ
アーゼ基質、硬膜剤、及び上記工程(1)とは異なるプ
ロテアーゼ・インヒビターを含み支持体表面に形成され
た薄膜に対して残りの切片を接触させる工程;(3)該
薄膜を色素で染色してプロテアーゼの作用により該薄膜
に形成された消化痕を検出する工程;及び(4)上記の
工程(1)で用いた薄膜の消化痕と上記の工程(2)で
用いた薄膜の消化痕とを対比する工程を含む方法が提供
される。
【0011】これらの発明の好ましい態様によれば、プ
ロテアーゼ・インヒビターがマトリックスメタロプロテ
アーゼ・インヒビター、セリンプロテアーゼ・インヒビ
ター、システインプロテアーゼ・インヒビター、あるい
はアスパラギン酸プロテアーゼ・インヒビターの作用を
持つ化合物群の中から選ばれる上記方法が提供される。
【0012】また、本発明の別の態様によれば、少なく
とも1種のプロテアーゼ基質と硬膜剤を含み支持体表面
に形成された薄膜を調製した後、該薄膜を2種以上のプ
ロテアーゼ・インヒビターを含む水溶液又は2種以上の
プロテアーゼ・インヒビターを含む水と有機溶媒との混
合溶液に浸漬し、及び/又は該薄膜に2種以上のプロテ
アーゼ・インヒビターを含む水溶液又は2種以上のプロ
テアーゼ・インヒビターを含む水と有機溶媒との混合溶
液を塗布し、得られた薄膜を乾燥する工程を含む上記薄
膜の製造方法、及び上記の製造方法により得られた薄膜
を用いる上記のプロテアーゼ活性の測定方法が本発明に
より提供される。さらに、本発明の別の態様によれば、
2種以上のプロテアーゼ・インヒビターを含む水溶液又
は2種以上のプロテアーゼ・インヒビターを含む水と有
機溶媒との混合溶液であって、上記の製造方法に用いる
ためのプロテアーゼ・インヒビター溶液、及び該溶液を
製造するための2種以上のプロテアーゼ・インヒビター
を含む乾燥粉末形態の混合物が提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】本明細書において用いられる測定
方法という用語は、定性及び定量を含めて最も広義に解
釈されるべきである。本発明の薄膜は、試料中に含まれ
るプロテアーゼによってプロテアーゼ基質が消化され、
薄膜中に消化痕が形成されることによりプロテアーゼを
測定する方法(いわゆるin situ zymography法:例えば
国際公開WO97/32035に開示されている)、好ましくはfi
lm in situ zymography法(細胞培養工学, vol.25(9),
pp29-32, 1999)に用いることができ、少なくとも1種
のプロテアーゼ基質を含有する架橋された薄膜である。
【0014】本発明の薄膜では、試料中に含まれるプロ
テアーゼによって薄膜中のプロテアーゼ基質が消化さ
れ、薄膜中に消化痕が形成される。薄膜が色素を含む場
合には、薄膜を水洗することにより消化された部分の基
質と色素が洗い流され、消化痕を光学濃度の低い部分と
して顕微鏡下で検出し、試料中のプロテアーゼ活性の存
在を検出することができる。また、薄膜を色素で染色及
び/又は水洗することにより、消化痕を光学濃度の低い
部分として顕微鏡下で検出することができ、試料中のプ
ロテアーゼ活性の分布とその強度を検出することができ
る。
【0015】本発明の方法に用いる薄膜では、実質的に
プロテアーゼ基質が水中に溶出することがないことが好
ましく、具体的には、支持体表面上に形成された薄膜を
30℃の水に30分間浸漬した場合に、実質的にプロテ
アーゼ基質が水中に溶出しないことが好ましい。また、
例えば、上記の条件で浸漬前後の薄膜質量の減少率が4
0%未満である薄膜を好ましく用いることができる(た
だし、薄膜中に存在する水溶性低分子成分の質量変化は
除く)。
【0016】本発明の方法の測定対象となるプロテアー
ゼとしては、例えば、マトリックス・メタロプロテアー
ゼ及びセリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼを
挙げることができ、これらの酵素については、鶴尾隆編
「癌転移の分子機構」、pp.92-107 、メジカルビュー
社、1993年発行に詳細に説明されている。本発明の方法
に特に好適なプロテアーゼとして、例えば、間質型コラ
ーゲナーゼ(MMP-1) 、ゼラチナーゼA (MMP-2)、及びゼ
ラチナーゼB (MMP-9)、マトリライシン(MMP-7)など
のマトリックス・メタロプロテアーゼ;及びプラスミノ
ーゲン・アクティベーター(PA)などのセリンプロテアー
ゼを挙げることができるが、本発明の方法の対象は上記
の特定のプロテアーゼに限定されることはない。
【0017】プロテアーゼ基質は、プロテアーゼの基質
として分解される高分子化合物であれば特に限定されな
い。例えばコラーゲン、ゼラチン、プロテオグリカン、
フィブロネクチン、ラミニン、エラスチン、カルボキシ
メチル化トランスフェリン、カルボキシル化アルブミン
又はカゼインなどを用いることができる。好ましくは、
コラーゲン、ゼラチン、フィブロネクチン、カルボキシ
メチル化トランスフェリン、カルボキシル化アルブミン
又はカゼインを用いることができ、より好ましくはゼラ
チン又はカゼイン、カルボキシメチル化トランスフェリ
ン、カルボキシル化アルブミンを用いることができる。
ゼラチンを用いる場合には、ゼラチンの種類は特に限定
されず、例えば、牛骨アルカリ処理ゼラチン、豚皮膚ア
ルカリ処理ゼラチン、牛骨酸処理ゼラチン、牛骨フタル
化処理ゼラチン、豚皮膚酸処理ゼラチンなどを用いるこ
とができる。プロテアーゼ基質は上記の1種を用いても
よいが、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0018】2種以上の異なるプロテアーゼ基質を組み
合わせて用いることにより、生体試料中に含まれるプロ
テアーゼの種類を正確に特定できる場合がある。例え
ば、生体試料中の実質的に連続した切片のうちの一つを
ある種のプロテアーゼ基質を含む薄膜に接触させて表面
変化を検出し、他の2以上の切片をそれぞれ異なるプロ
テアーゼ基質を含む2以上の薄膜に接触させて薄膜上の
消化痕を検出し、それぞれの結果を対比することができ
る。プロテアーゼ基質を含む薄膜の膜厚は、乾燥後の膜
厚が1〜10μm、好ましくは2〜7μmのものを用いる
ことが好適である。
【0019】本発明の薄膜は支持体表面上に形成するこ
とができる。支持体の材質や形状は特に限定されない
が、薄膜上の表面変化を顕微鏡下で観察するような場合
や、吸光度測定や蛍光測定などの分光学的手段により表
面変化を検出する場合には、例えば、薄膜は平面状の透
明又は半透明の支持体上に形成されることが好ましい。
このような透明又は半透明の高分子支持体としては、例
えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフ
タレート、アタクティックポリスチレン、シンジオタク
ティックポリスチレン、ポリカーボネート、トリアセチ
ルセルロース、ポリメチルメタクリレート、ポリスルフ
ォン、ポリアリレート等からなる透明又は半透明プラス
チックフイルムなどを用いることができる。特に好まし
いのはポリエチレンテレフタレート、シンジオタクティ
ックポリスチレン、ポリアリレートであるが、ポリエチ
レンテレフタレートを用いることが最も好ましい。用い
る支持体自体に着色が施されていてもよい。
【0020】支持体の厚さは特に限定されないが、50
μm以上、300μm以下が好ましく、より好ましくは
100μm以上、200μm以下である。特に好ましく
は175μm程度のものを用いることができる。該支持
体上の薄膜は単層又は重層で形成することができるが、
薄膜はできる限り均一な表面を与えるように調製すべき
である。
【0021】薄膜を支持体上に形成するにあたり、薄膜
と支持体との接着を改善するために、薄膜と支持体表面
との間に下塗り層を設けてもよい。例えば、塩化ビニ
ル、塩化ビニリデン、ブタジエン、スチレン、メタクリ
ル酸、アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸等から
選ばれるモノマーの1種又は2種以上を重合させて得ら
れる重合体又は共重合体、ポリエチレンイミン、エポキ
シ樹脂、グラフト化ゼラチン、又はニトロセルロースな
どの重合体を下塗り層として形成することができる。ま
た、ポリエステル系支持体を用いる場合には、下塗り層
に替えて、支持体表面をコロナ処理、紫外線処理、又は
グロー処理することによっても、支持体と薄膜との接着
力を改善できる場合がある。コロナ処理、紫外線処理、
又はグロー処理を行った後下塗り層を塗布する方法も支
持体と薄膜との接着力を改善できる。
【0022】本明細書において用いられる「支持体表面
上に形成された薄膜」という用語又はその同義語につい
ては、このような1又は2以上の下塗り層及び/又は支
持体表面の処理を排除するものと解釈してはならない。
もっとも、薄膜と支持体との接着を改善するための手段
は上記のものに限定されることはなく、例えば、写真用
フイルムの技術分野などにおいて汎用されている手段を
適宜採用することができる。また、薄膜が複数の層を重
層してなる場合には、重層される2つの層の間にさらに
中間層を設けてもよく、2つの層が直接接触している場
合に限定して解釈してはならない。このような中間層を
適宜配置する手段は、例えば、写真用フイルムの技術分
野などにおいて汎用されている。また、支持体表面上に
形成された膜の表面に保護層を設けることも好ましく、
その技術も写真用フイルムの技術分野などにおいて汎用
されている。
【0023】硬膜剤としては無機又は有機の硬膜剤のい
ずれを用いてもよい。例えば、クロム塩(クロム明ば
ん、酢酸クロムなど);カルシウム塩(塩化カルシウ
ム、水酸化カルシウムなど);アルミニウム塩(塩化ア
ルミニウム、水酸化アルミニウムなど);アルデヒド類
(ホルムアルデヒド、グリオキサール、グリタールアル
デヒドなど);N-メチロール化合物(ジメチロール尿
素、メチロールジメチルヒダントインなど);ジオキサ
ン誘導体(2,3-ジヒドロキシジオキサンなど)、カル
ボキシル基を活性化することにより作用する化合物類
(カルベニウム、2-ナフタレンスルホナート、1,1-
ビスピロリジノ-1-クロロ-ピリジニウム、1-モルホリ
ノカルボニル-3-(スルホナトアミノメチル)-など);
活性ビニル化合物(1,3-ビスビニルスルホニル-2-
プロパノール、1,2-ビス(ビニルスルホニルアセトア
ミド)エタン、ビス(ビニルスルホニルメチル)エーテ
ル、ビニルスルホニル基を側鎖に有するビニル系ポリマ
ー、1,3,5-トリアクリロイル- ヘキサヒドロ-s-ト
リアジン、ビス(ビニルスルホニル)メタンなど);活
性ハロゲン化合物 (2,4-ジクロル-6-ヒドロキシ-
1,3,5-トリアジン及びそのナトリウム塩など);ム
コハロゲン酸類(ムコクロル酸、ムコフェノキシクロル
酸など);イソオキサゾール類;ジアルデヒド澱粉;又
は、2-クロル-6- ヒドロキシトリアジニル化ゼラチン
などの硬膜剤を単独で又は2種以上を組み合わせて用い
ることができる。これらのうち、例えば、活性ハロゲン
化合物(2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−1,3,
5−トリアジン及びそのナトリウム塩など)及び活性ビ
ニル化合物(1,3−ビスビニルスルホニル−2−プロ
パノール、1,2−ビス(ビニルスルホニルアセトアミ
ド)エタン、ビス(ビニルスルホニルメチル)エーテ
ル、及びビニルスルホニル基を側鎖に有するビニル系ポ
リマーなど)を好ましく用いることができ、1,2−ビ
ス(ビニルスルホニルアセトアミド)エタンなどの活性
ビニル化合物を用いることが特に好ましい。硬膜剤の使
用量は特に限定されないが、例えば、プロテアーゼ基質
100gに対して0.1〜20mmol、さらに好ましくは
0.3〜10mmol 程度を配合するのがよい。
【0024】本発明の薄膜には必要に応じて色素を配合
することができる。色素を配合した場合には、薄膜を水
洗することによりプロテアーゼの作用により薄膜に形成
された消化痕を検出することが可能になる。色素として
は可視域に吸収を有するものであれば特に制限はなく、
公知の物質を含む種々の色素を使用することができる。
色素として、蛍光色素又は蛍光色素以外の色素のいずれ
を用いてもよいが、高分子支持体を用いる場合には蛍光
色素以外の色素を用いることが好ましい。1種類の色素
を用いてもよいが、2種以上の色素を組み合わせて用い
てもよい。色素としては染料又は顔料のいずれを用いて
もよく、両者を組み合わせて用いてもよい。例えば、重
層した薄膜を用いる場合には、各層に異なる色の色素を
配合することができる。薄膜中への色素の添加量は特に
限定されないが、薄膜の面積に対する色素合計量として
0.001〜10 mmol/m2、好ましくは0.01〜1 mmol/m2であ
る。
【0025】染料としては、例えば、アゾ染料、アゾメ
チン染料、インドアニリン染料、ベンゾキノン染料、ナ
フトキノン染料、アントラキノン染料、ジフェニルメタ
ン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、ア
クリジン染料、アジン染料、オキサジン染料、チアジン
染料、オキソノール染料、メロシアニン染料、シアニン
染料、アリーリデン染料、スチリル染料、フタロシアニ
ン染料、ペリノン染料、インジゴ染料、チオインジゴ染
料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料などを挙
げることができる。具体的な化合物については「新版染
料便覧」(有機合成化学協会編;丸善,1970)、
「カラーインデックス」(The Society of Dyers and c
olourists)、「色材工学ハンドブック」(色材協会
編;朝倉書店、1989)などに記載されている。薄膜
の製造には水溶性の染料を用いることもできるが、油溶
性の染料は酵素反応に対して悪影響を及ぼさない点で好
適である。薄膜に配合可能な好ましい染料の具体例は特
願平11−365074号明細書に記載されているが、
それらの色素に限定されることはない。
【0026】本発明に用いられる顔料の種類は特に限定
されず、有機又は無機のいずれの顔料を用いてもよい。
また、顔料としては、市販のものの他、各種文献に記載
されている公知のものや新規化合物を利用できる。具体
的には、有機顔料としては、例えば、アゾ顔料(アゾレ
ーキ顔料、不溶性モノアゾ顔料、不溶性ジスアゾ顔料、
縮合アゾ顔料、金属錯塩アゾ顔料、キレートアゾ顔
料)、多環式顔料(フタロシアニン系顔料、アントラキ
ノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、インジゴ系
顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオ
キサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロ
ン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料等)、染付けレ
ーキ顔料(酸性又は塩基性染料のレーキ顔料)、アジン
顔料等、その他の顔料(ニトロソ顔料、アリザリンレー
キ顔料、アルカリブルー)などを挙げることができ、無
機顔料としては群青、コバルトブルーなどを挙げること
ができる。
【0027】これらのうち、油溶性の顔料は酵素反応に
対して悪影響を及ぼさない点で好適である。また、好ま
しい青味の色調を得るためには、フタロシアニン顔料、
アントラキノン系のインダントロン顔料、染め付けレー
キ顔料系のトリアリールカルボニウム顔料、インジゴ、
無機顔料の群青、コバルトブルーなどが好ましい。さら
に色調を調整するために、赤ないし紫色の顔料、例え
ば、ジオキサジン系顔料、キナクリドン系顔料、ジケト
ピロロピロール系顔料を上記青色顔料と併用してもよ
い。顔料に関しては、カラーインデックス(The Societ
y of Dyers and Colourists編)、「改訂新版顔料便
覧」日本顔料技術協会編(1989年刊)、「最新顔料
応用技術」CMC出版(1986年刊)、「印刷インキ
技術」CMC出版(1984年刊)、W. Herbst, K. Hu
nger共著による Industrial Organic Pigments(VCH Ve
rlagsgesellschaft、1993年刊)等がある。
【0028】青色顔料の例としては、好ましくは、フタ
ロシアニン系のC.I.Pigment Blue 15、同15:1、同15:
2、同15:3、同15:4、同15:6(銅フタロシアニン)、モ
ノクロロないし低塩素化銅フタロシアニン、C.I.Pigmen
t Blue 16(無金属フタロシアニン)、中心金属がZ
n、Al、Tiであるフタロシアニン、バット染料とし
ても知られるインダントロン系のC.I.Pigment blue 60
やそれらのハロゲン置換体、例えばC.I.PigmentBlue 6
4、同21、アゾ系のC.I.Pigment Blue 25、インジゴ系の
C.I.Pigment Blue66及びレーキ顔料であるC.I.Pigment
Blue 63、トリアリールカルボニウム型酸性染料あるい
は塩基性染料のレーキ顔料であるC.I.PigmentBlue 1、
同2、同3、同9、同10、同14、同18、同19、同24:1、同2
4:x、同56、同61、同62などが挙げられる。
【0029】赤ないし紫顔料としては、好ましくは、ジ
オキサジン系のC.I.Pigment Violet23、同37、アゾ系の
C.I.Pigment Violet 同13、同25、同32、同44、同50、
C.I.Pigment Red 23、同52:1、同57:1、同63:2、同14
6、同150、同151、同175、同176、同185、同187、同24
5、キナクリドン系の C.I.Pigment Violet 19、同42、
C.I.Pigment Red 122、同192、同202、同207、同209、
トリアリールカルボニウム系のレーキ顔料であるC.I.Pi
gment Violet 1、同2、同3、同27、同39、C.I.Pigment
Red 81:1、 ペリレン系のC.I.Pigment Violet 29、アン
トラキノン系のC.I.Pigment Violet 5:1、同31、同33、
チオインジゴ系のC.I.Pigment Red 38、同88などが挙げ
られる。これらのほか、好ましい顔料の具体例及びその
使用法については特願平11−365074号明細書に
示されている。
【0030】薄膜の製造には、上述の顔料それ自体を用
いてもよいが、表面処理を施された顔料を用いてもよ
い。表面処理の方法には、例えば、樹脂やワックスを表
面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応
性物質(例えば、シランカップリング剤やエポキシ化合
物、ポリイソシアネートなど)を顔料表面に結合させる
方法などを挙げることができ、その具体的手段は「金属
石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」
(CMC出版、1984)、「最新顔料応用技術」(C
MC出版、1986)などに記載されている。
【0031】薄膜の製造にあたり、一般的には、顔料を
プロテアーゼ基質中に分散させることが望ましく、その
目的のために分散剤を用いることができる。分散剤の種
類は特に限定されず、用いるプロテアーゼ基質と顔料と
の組み合わせに応じて種々のもの、例えば界面活性剤型
の低分子分散剤や高分子型分散剤などを用いることがで
きる。疎水性のプロテアーゼ基質中で用いる場合には、
分散安定性の観点から高分子型分散剤を用いることが好
ましい。分散剤の例としては、特開平3−69949号
公報、欧州特許公開549486号公報等に記載のもの
を挙げることができる。
【0032】薄膜の製造に使用される顔料の粒径は、例
えば、分散後に0.01〜10μmの範囲であることが
好ましく、0.05〜1μmであることがさらに好まし
い。顔料をプロテアーゼ基質中に分散する方法として
は、インク製造やトナー製造時に用いられる公知の分散
技術を利用できる。分散機としては、例えば、サンドミ
ル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボール
ミル、インペラー、デスパーサー、KDミル、コロイド
ミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等
を挙げることができ、その手法の詳細は「最新顔料応用
技術」(CMC出版、1986)に記載されている。
【0033】薄膜には、染料を固体微粒子分散物として
添加することができる。染料の固体微粒子分散物は、所
望により適当な溶媒(水、アルコールなど)を用い、ボ
ールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、サンドミ
ル、コロイドミル、ジェットミル、ローラーミル等の分
散機を用いて調製することができるが、縦型あるいは横
型の媒体分散機を用いることが好ましい。また、染料を
適当な溶媒中に溶解させたのち貧溶媒に添加して微結晶
を析出させる方法や、pHをコントロールすることによ
ってまず染料を溶解させ、その後pHを変化させて微結
晶を析出させる方法などを利用しても分散物を得ること
ができる。いずれの場合も分散剤を用いることが好まし
い。
【0034】染料の固体微粒子分散物を含有する薄膜
は、上記のようにして得た染料の固体微粒子を適当なプ
ロテアーゼ基質中に分散させることによってほぼ均一な
固体微粒子分散物を調製した後、これを所望の支持体上
に塗設することによって形成することができる。また、
解離状態の染料を塩の形で水溶液として塗布した後、酸
性のゼラチンを上塗りすることにより、析出分散を塗布
時に得る方法を採用してもよい。分散剤としては、例え
ば、公知のアニオン性、カチオン性、ノニオン性、又は
両性の低分子又は高分子分散剤を用いることができる。
例えば、特開昭52−92716号公報、国際公開WO
88/04794号、特開平10−20496号公報に
記載の分散剤を挙げることができる。特にアニオン性及
び/又はノニオン性の高分子分散剤の使用が好ましい。
【0035】薄膜に含まれる色素は、特開昭62−21
5272号公報(125頁右上欄2行目〜127頁左下
欄末行)、特開平2−33144号公報(37頁右下欄
14行目〜38頁左上欄11行目)、欧州特許公開EP
0.355.600A2号(85頁22行目〜31行
目)に記載の紫外線吸収剤、特開平07−104448
号公報(第70欄10行目〜第71欄2行目)記載の退
色防止剤と併用することもできる。
【0036】また、薄膜への色素の導入は、例えば、特
開平07−104448号公報(第71欄3行目〜第7
2欄11行目)などに記載の種々の公知分散方法により
行うことができるが、高沸点有機溶媒(必要に応じて低
沸点有機溶媒を併用してもよい)に溶解し、ゼラチンな
どのプロテアーゼ基質水溶液に乳化分散する水中油滴分
散法を採用してもよい。水中油滴分散法に用いられる高
沸点溶媒の例は米国特許第2,322,027号明細書
などに記載されている。また、ポリマー分散法の1つと
してのラテックス分散法及びラテックスの具体例は、米
国特許第4,199,363号明細書、西独特許出願第
(OLS)2,541,274号明細書、同2,54
1,230号明細書、特公昭53−41091号公報、
及び欧州特許公開第029104号公報等に記載されて
おり、これらを薄膜製造に利用してもよい。また、有機
溶媒可溶性ポリマーによる分散法について国際公開WO
88/00723号公報に記載されている。
【0037】水中油滴分散法に用いることのできる高沸
点有機溶媒としては、例えば、フタール酸エステル類
(例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレー
ト、ジシクロへキシルフタレート、ジ−2−エチルヘキ
シルフタレート、デシルフタレート、ビス(2,4−ジ
−tert−アミルフェニル)イソフタレート、ビス
(1,1−ジエチルプロピル)フタレート)、リン酸又
はホスホンのエステル類(例えば、ジフェニルホスフェ
ート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフ
ェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、
ジオクチルブチルホスフェート、トリシクロヘキシルホ
スフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート、
トリドデシルホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルフ
ェニルホスフェート)、安息香酸エステル酸(例えば、
2−エチルヘキシルベンゾエート、2,4−ジクロロベ
ンゾエート、ドデシルベンゾエート、2−エチルヘキシ
ル−p−ヒドロキシベンゾエート)、アミド類(例え
ば、N,N−ジエチルドデカンアミド、N,N−ジエチ
ルラウリルアミド)、アルコール類又はフェノール類
(イソステアリルアルコール、2,4−ジ−tert−
アミルフェノールなど)、脂肪族エステル類(例えば、
コハク酸ジブトキシエチル、コハク酸ジ−2−エチルヘ
キシル、テトラデカン酸2−ヘキシルデシル、クエン酸
トリブチル、ジエチルアゼレート、イソステアリルラク
テート、トリオクチルシトレート)、アニリン誘導体
(N,N−ジブチル−2−ブトキシ−5−tert−オ
クチルアニリンなど)、塩素化パラフィン類(塩素含有
量10%〜80%のパラフィン類)、トリメシン酸エス
テル類(例えば、トリメシン酸トリブチル)、ドデシル
ベンゼン、ジイソプロピルナフタレン、フェノール類
(例えば、2,4−ジ−tert−アミルフェノール、
4−ドデシルオキシフェノール、4−ドデシルオキシカ
ルボニルフェノール、4−(4−ドデシルオキシフェニ
ルスルホニル)フェノール)、カルボン酸類(例えば、
2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ酪酸、
2−エトキシオクタンデカン酸)、アルキルリン酸類
(例えば、ジ−2(エチルヘキシル)リン酸、ジフェニ
ルリン酸)などが挙げられる。また、補助溶媒として沸
点が30℃以上約160℃以下の有機溶剤(例えば、酢
酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、メチルエ
チルケトン、シクロヘキサノン、2−エトキシエチルア
セテート、ジメチルホルムアミド)を併用してもよい。
【0038】高沸点有機溶媒の量は用いられる色素1g
に対して10g以下、好ましくは5g以下、より好まし
くは1g〜0.1gである。また、プロテアーゼ基質1
gに対して1ml以下、好ましくは0.5ml以下、さ
らに好ましくは0.3ml以下が適当である。疎水性の
色素を親水性コロイドに分散する際には、種々の界面活
性剤を用いることができる。例えば、特開昭59−15
7636号公報の第37〜38頁、リサーチ・ディスクロー
ジャー(以下、RDと略す)17643に界面活性剤とし
て挙げられたものを使うことができる。
【0039】薄膜中には少なくとも一種のプロテアーゼ
基質、硬膜剤、及び2種以上のプロテアーゼインヒビタ
ーのほか、必要に応じて少なくとも一種の色素を配合で
き、さらに各種の添加物を加えてもよい。添加物として
は、例えば薄膜の塗布を容易にするための界面活性剤、
色素を分散するためのオイル又は乳化剤、防腐剤、防か
び剤、pHを調節するための酸又は塩基、酵素活性を調
節するためのCa++等の無機イオンがあげられる。また、
薄膜の滅菌に際してガンマ線照射を行う場合には、架橋
形成などの薄膜性能の低下を防ぐために放射線防護物質
としてアルコール類、グリコール類、ポリエチレングリ
コール類、グリセリン、ジメチルスルフォキシド、アス
コルビン酸ナトリウム、イソアスコルビン酸ナトリウ
ム、ギ酸塩、コハク酸塩、ピルビン酸塩、フマル酸塩、
乳酸塩、単糖類、二糖類、多糖類などを配合してもよ
い。
【0040】本発明の薄膜には帯電防止の手段が施され
ていてもよい。例えば、プロテアーゼ基質層側又はその
反対側の表面電気抵抗が1012Ω以下であるものを好ま
しく用いることができる。膜の表面電気抵抗を低下させ
るための手段は、例えば、写真用フイルムの技術分野な
どにおいて汎用されているものを用いることができる。
【0041】例えば、本発明の薄膜の製造には、以下に
示すような添加剤を必要に応じて使用することができ
る。バインダー(RD17643:26頁;RD18716:651頁左
欄;RD307105:873〜874頁)、可塑剤又は潤滑剤(RD17
643:27頁;RD18716:650頁右欄;RD307105:876頁)、
塗布助剤又は界面活性剤(RD17643:26〜27頁;RD1871
6:650頁右欄;RD307105:875〜876頁)、帯電防止剤
(RD17643:27頁;RD18716:650頁右欄;RD307105:876
〜877頁)、マット剤(RD307105:878〜879頁)。これ
らの添加剤はいずれも写真用フイルムの技術分野におい
て汎用されており、薄膜の製造に同様に利用できる。
【0042】本発明の方法に用いる薄膜では、2種以上
のプロテアーゼ・インヒビターを組み合わせて用いるこ
とを特徴としている。プロテアーゼ・インヒビターの種
類は特に限定されないが、例えば、マトリックスメタロ
プロテアーゼ・インヒビター、セリンプロテアーゼ・イ
ンヒビター、システインプロテアーゼ・インヒビター、
あるいはアスパラギン酸プロテアーゼ・インヒビターの
作用を持つ化合物群から選択することができる。
【0043】セリンプロテアーゼ・インヒビターとして
はアプロチニン、ロイペプチン、エラスタチナール、メ
シル酸ガベキサート、3,4ジクロロイソクマリン、フ
ェニルメタンスルホニルフルオリド、Pefablock SCなど
公知のインヒビターを用いることができる。マトリック
スメタロプロテアーゼ・インヒビターとしては1,10
フェナントロリン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、
ティッシューインヒビターオブメタロプロテアーゼ(TI
MP)類、Batimastat、Marimastat、ほか各種のキレート
作用を持つ化合物を用いることができる。システインプ
ロテアーゼ・インヒビターとしては、N−エチルマレイ
ミド又はジチオスレイトールを用いることができる。ア
スパラギン酸プロテアーゼ・インヒビターとしては、ペ
プスタチンを用いることができる。
【0044】2種以上のプロテアーゼ・インヒビターの
組み合わせとしては、同一のプロテアーゼ・インヒビタ
ー群のなかから2種以上のプロテアーゼ・インヒビター
を選択して組み合わせる場合、あるいは異なるプロテア
ーゼ・インヒビターの群からそれぞれ1種類以上のプロ
テアーゼ・インヒビターを選択して組み合わせる場合な
ど、いかなる形態で組み合わせてもよい。より具体的に
は、例えばセリンプロテアーゼ・インヒビターの中から
2種以上のプロテアーゼ・インヒビターを選択して用い
てもよく、また例えばセリンプロテアーゼ・インヒビタ
ーとマトリックスメタロプロテアーゼ・インヒビターか
ら1種類以上のプロテアーゼ・インヒビターを選択して
組み合わせてもよい。プロテアーゼ・インヒビターの組
み合わせに含まれるプロテアーゼ・インヒビターの数は
特に限定されないが、好ましく2種以上10種類以下で
あり、さらに好ましくは2種以上4種類以下である。2
種以上のプロテアーゼ・インヒビターは支持体上に形成
される薄膜が単層である場合には、該単層中に添加する
ことができ、該薄膜が複数の層からなる場合には、それ
ぞれの層に2種以上のプロテアーゼ・インヒビターを添
加することができる。
【0045】薄膜の調製は、例えば、プロテアーゼ基質
の水溶液に、硬膜剤の所定量、及び2種以上のプロテア
ーゼ・インヒビターを添加し、さらに必要に応じて色素
溶液、色素分散物、水溶性ポリマーなどを加えて均一に
混合し、得られた溶液又は分散液を支持体表面に塗布し
て乾燥すればよい。塗布方法としては、例えば、ディッ
プ塗布法、ローラー塗布法、カーテン塗布法、押し出し
塗布法などを採用することができる。もっとも、薄膜の
調製方法はこれらに限定されることはなく、例えば、写
真用フイルムの技術分野などにおいて汎用されている薄
膜形成方法などを適宜採用することが可能である。
【0046】また、他の好ましい方法として、プロテア
ーゼ基質と硬膜剤とを含む水溶液を支持体上に塗布して
乾燥することにより支持体上に薄膜を形成した後、2種
以上のプロテアーゼ・インヒビターを含む溶液に膜を浸
漬してプロテアーゼ・インヒビターを薄膜に染み込ま
せ、その後に薄膜を乾燥する方法がある。さらに、プロ
テアーゼ基質と硬膜剤とを含む水溶液を支持体上に塗布
して乾燥することにより支持体上に薄膜を形成した後、
2種以上のプロテアーゼ・インヒビターを含む溶液を該
薄膜に塗布して乾燥する方法も好ましく用いられる。
【0047】プロテアーゼ・インヒビターの溶液に用い
る溶媒としては、プロテアーゼ・インヒビターを必要濃
度に溶解することができ、プロテアーゼ基質薄膜に浸透
できるものであれば何でもかまわないが、水、又は水と
有機溶媒との混合液を用いるのが好ましい。有機溶媒と
しては水混和性の有機溶媒を用いることができ、例え
ば、メタノール、エタノール、プロパノール、テトラヒ
ドロフラン、アセトニトリル、アセトンの中から選ぶの
が好ましい。また、水溶液の中にバッファーや、カルシ
ウムイオン、亜鉛イオンなどが含まれていてもよい。
【0048】プロテアーゼ基質と硬膜剤の水溶液を支持
体上に塗布して乾燥した後、複数のプロテアーゼ・イン
ヒビターを含む溶液に得られた薄膜を浸漬する際に用い
るプロテアーゼ・インヒビターの濃度は、通常の溶液で
の酵素阻害実験で各プロテアーゼ・インヒビターが効果
を示す濃度と同等からその200倍までが好ましく、1
0倍から100倍が特に好ましい。
【0049】生体試料としては、ヒトを含む哺乳類動物
から分離・採取された生体試料を用いることができる。
例えば、罹患した哺乳類動物、疾患の存在が疑われる哺
乳動物、又は実験動物などから分離・採取した生体試料
を用いることができる。生体試料の形態は特に限定され
ないが、組織切片などの固形試料や体液などの非固形試
料を用いることができる。非固形試料としては、例え
ば、組織から吸引により採取した細胞又は組織片を含む
試料、血液、リンパ液、唾液などの体液を用いることが
できる。例えば、肺癌、胃癌、食道癌、大腸癌、乳癌、
子宮癌、卵巣癌、甲状腺癌、肝臓癌、口腔癌、前立腺
癌、腎臓癌、膀胱癌などの癌組織から手術や組織検査な
どにより分離・採取した癌組織、リンパ節、歯周病組
織、リウマチ性関節炎の滑膜や骨組織などの組織から手
術や組織検査などにより分離・採取した組織、歯肉溝滲
出液、破壊性病変組織に含まれる液(例えばリウマチ性
病変の関節液又は歯槽膿漏組織抽出液)、胸水、腹水、
脳脊髄液、乳腺異常分泌液、卵巣嚢胞液、腎臓嚢胞液、
喀痰、血液あるいは血球などを用いることができる。
【0050】試料が組織の場合には、例えば、液体窒素
で急速凍結した試料から凍結切片作製装置を用いて厚さ
1〜10μm、好ましくは4〜6μmの切片を調製し、
この切片を薄膜に貼付することによって試料と薄膜とを
接触させることができる。穿刺吸引により採取した組織
検体についても、コンパウンドと共に液体窒素で急速凍
結し、同様に切片を作製して用いることができる。ま
た、穿刺吸引により採取した組織検体について細胞診を
行う場合には、吸引した検体をプロテアーゼ基質を含む
薄膜の上に吐出して分散状態で接着させることで試料と
薄膜とを接触させることができる。さらに、組織検体の
場合は、採取した組織の水分を軽く拭った後、プロテア
ーゼ基質を含む薄膜の上に一瞬軽く押しつけるか、1分
間から30分間程度静置することで試料と薄膜とを接触
させることができる。
【0051】また、リウマチ性関節炎の患者から採取し
た滑膜液の様な液体試料を用いる場合には、適当な濃度
に希釈し、あるいは必要な前処理を行った後に約1〜5
0μL、好ましくは1〜20μL程度を薄膜上に滴下す
ればよい。歯周病の歯肉溝滲出液を試料として用いる場
合には、歯肉溝内に濾紙を挿入して約5〜10μL 程
度の歯肉溝滲出液を採取し、該濾紙を薄膜に貼付する方
法を採用することができる。歯肉溝滲出液の採取後、必
要に応じて蒸留水や適宜の緩衝液(例えば、50 mM Tris
-HCl, pH 7.5, 10 mM CaCl2, 0.2 M NaCl など)を用い
て濾紙から歯肉溝滲出液を抽出し、抽出液を薄膜上に滴
下してもよい。
【0052】本発明の方法では、プロテアーゼ基質を含
む薄膜に組織の一部を貼付するか、あるいは液体試料を
滴下することによって薄膜とプロテアーゼを含む試料を
接触させた後、プロテアーゼ活性の発現に適した温度、
例えば37℃で飽和湿度条件下にインキュベートする。
また、比較のためにプロテアーゼ・インヒビターを含ま
ない薄膜を調製して、同様にインキュベートを行う。イ
ンキュベートに必要な時間は試料によって異なるが、好
ましくは対照の薄膜に十分な消化痕が形成されるまで、
例えば組織切片あるいは細胞については37℃で1〜4
8時間、さらに好ましくは6〜30時間、液状試料につ
いては0.5〜24時間、好ましくは1〜6時間インキ
ュベートを行うことができる。その後、必要に応じて薄
膜を染色し、光学顕微鏡で消化痕を観察することができ
る。
【0053】プロテアーゼ基質を含む薄膜の染色に好ま
しい染料は、赤色染料としてはAcid Red 1 (C.I.1805
0), Acid Red 4(C.I.14710), Acid Red 8 (C.I.1490
0), AcidRed 37 (C.I.17045), Acid Red 40(C.I.1807
0), Acid Red 44 , Acid Red 106 (C.I.18110), Acid
Red 183 (C.I.18800), Xylidin Ponceau 2R (C.I.161
50), Mordant Red 19, Nitro Red、ポンソー3R及び
Biebrich Scarlet,sodiumsaltが好ましく、特にBiebri
ch Scarlet, sodium saltが好ましい。橙色の染料では
Methyl Orange, Ethyl Orange, Crocein Orange G,
Orange II, Orange G, Acid Orange 8 (C.I.15575),
Acid Orange 74 (C.I.18745)が挙げられ、黄色の染料
ではMordant Yellow 10, Mordant Yellow 7, Acid Yell
ow 99(C.I.13900), Acid Yellow 65(C.I.14170), Acid
Yellow 17(C.I.18965), Nitrazine Yellow (C.I.1489
0)が好ましく使用できる。また青色の染料では、Amidob
lack10B, Coomassie Brilliant Blueが好ましい。
【0054】例えば薄膜をBiebrich Scarlet, sodium
salt で赤色に染色した場合、通常膜の最大吸光度は2
以上になるが、膜面全体にわたって組織の観察が可能で
顕微鏡により組織のどの部分に消化痕があるか特定する
ことが容易である。さらに常法によるヘマトキシリンあ
るいはメチルグリーンの核染色を併用すると、核の形態
と消化痕を光学顕微鏡下で別の色調の信号として同時に
観察することができる。
【0055】本発明の方法によれば、対照の薄膜におい
て消化痕が形成され、一方、本発明の方法で用いる薄膜
には実質的に消化痕が形成されない場合には、生態試料
中に含まれるプロテアーゼが薄膜中にプロテアーゼ・イ
ンヒビターにより阻害されたものと結論できる。この情
報から、生体試料に含まれるプロテアーゼの種類を特定
することが可能になり、生体試料が由来した生体の状
況、例えば癌の転移・癌の悪性度・リウマチの進行度な
どの有用な情報を入手することができる。消化痕におけ
る消化の強さの判定には、光学顕微鏡下で目視で判定す
る方法、分光器により消化痕の光学濃度を測定する方
法、光学顕微鏡で得られる画像をコンピューターに取り
込み、画像解析の方法により消化痕における各種の数値
化を行う方法がある。
【0056】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定され
ることはない。 例1:メシル酸ガベキサートと1,10−フェナントロ
リンを含むゼラチン膜の作製 豚皮酸処理ゼラチン10gを純水127gに溶解し、硬
膜剤として1,2ビス(ビニルスルホニルアセトアミ
ド)エタン(2%)0.8mLを添加した後、pHを
7.0に調節した。さらにメシル酸ガベキサート0.5
4gと1,10−フェナントロリン2.58gの50%
メタノール水溶液を添加した後、下塗りを施した厚さ1
75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に乾
燥膜厚が約7μmになるように均一に塗布し、乾燥して
ゼラチン塗布膜とした。
【0057】例2:メシル酸ガベキサートと1,10−
フェナントロリンを含むカルボキシメチルトランスフェ
リン膜の作製 (カルボキシメチルトランスフェリンの作製)牛血清ト
ランスフェリン10gを、7M塩酸グアニジンと10mM EDT
A 2Naを含む0.5Mトリス−塩酸バッファー(pH8.5)3L
に溶解する。容器内を窒素ガスで置換した後、Dithioth
reitol 10gを加えた。室温で2時間撹拌した後、直射
光の当たらないところで秤量したヨード酢酸25gを加
え、遮光下で室温30分間反応させた。反応終了後、カ
ットオフ分子量7000の透析膜を用いて透析し、脱塩し
た。
【0058】(メシル酸ガベキサートとキレート剤を含
むカルボキシメチルトランスフェリンの薄膜の作製)上
記実施例1の操作により得られたカルボキシメチルトラ
ンスフェリン3gを100mLの純水に溶解し、塩酸又はN
aOHによりpHを7.0から7.5の間に調整した。硬膜剤とし
て1,2−ビス(ビニルスルホニルアセトアミド)エタ
ンを45mg、キレート剤として1,10−フェナントロ
リンを0.38g、メシル酸ガベキサートを0.42g添
加した。下塗りを施した厚さ175μmのポリエチレン
テレフタレートフィルム上に、乾燥膜厚が約3μmにな
るよう塗布した。
【0059】例3:アプロチニンとエラスタチナールを
含むゼラチン膜の作製 (ゼラチン膜の作製)豚皮酸処理ゼラチン10gを純水
127gに溶解し、硬膜剤として1,2ビス(ビニルス
ルホニルアセトアミド)エタン(2%)0.8mLを添
加した後、pHを7.0に調節した。この溶液を下塗り
を施した厚さ175μmのポリエチレンテレフタレート
フィルム上に乾燥膜厚が約7μmになるように均一に塗
布し、乾燥してゼラチン塗布膜とした。
【0060】(プロテアーゼ・インヒビター溶液による
処理)アプロチニン10mg とエラスタチナール51.3mgを1
00mlの水に溶解した。ゼラチン膜をこの水溶液に室温で
10分間浸漬し、取り出した後垂直に立てて自然乾燥し
た。
【0061】例4:アプロチニンとエラスタチナールを
含むカルボキシメチルトランスフェリン膜の作製 (カルボキシメチルトランスフェリンの薄膜の作製)上
記実施例1の操作により得られたカルボキシメチルトラ
ンスフェリン3gを100mLの純水に溶解し、塩酸又はN
aOHによりpHを7.0から7.5の間に調整した。硬膜剤とし
て1,2ビス(ビニルスルホニルアセトアミド)エタン
を45mg添加した。下塗りを施した厚さ175μmのポ
リエチレンテレフタレートフィルム上に、乾燥膜厚が約
3μmになるよう塗布した。
【0062】(プロテアーゼ・インヒビター溶液による
処理)アプロチニン10mg とエラスタチナール51.3mgを1
00mlの水に溶解した。ゼラチン膜をこの水溶液に室温で
10分間浸漬し、取り出した後垂直に立てて自然乾燥し
た。
【0063】例5:アプロチニン、エラスタチナール及
び1,10−フェナントロリンを含むゼラチン膜及びカ
ルボキシメチルトランスフェリン膜の作製 (プロテアーゼ・インヒビター溶液の作製)1,10−
フェナントロリン一水和物を198mg秤量し、1mlの5
0%エタノールで溶解した。アプロチニン1mg とエラス
タチナール15.4mgを秤量し、9mlの50%エタノール
に溶解した。二つの液を混合し、0.1N塩酸によりpHを約
6.5-7.5の間に合わせた。
【0064】(ゼラチン膜及びカルボキシメチルトラン
スフェリン膜の処理)例3に示す方法で作製したプロテ
アーゼ・インヒビターを含まないゼラチン膜、及び例4
に示す方法で作製したプロテアーゼ・インヒビターを含
まないカルボキシメチルトランスフェリン膜の2.6cm
四方に上記プロテアーゼ・インヒビター溶液を125μ
L滴下し、その上からスライドガラスで覆って10分間
静置した。その後スライドガラスを取り除き、自然乾燥
した。
【0065】例6: 食道癌、胃癌、大腸癌組織のプロ
テアーゼ活性の測定 外科手術により摘出し凍結した表記癌各2検体を、凍結
切片作製装置を用いてー20℃で厚さ4μに薄切して連
続切片を作製し、各一枚を例3に開示されたアプロチニ
ンとエラスタチナールを含むゼラチン膜、及び例4に示
されたアプロチニンとエラスタチナールを含むカルボキ
シメチルトランスフェリン膜に接着させた。この検体を
のせたゼラチン及びカルボキシメチルトランスフェリン
膜を、37℃、相対湿度100%で12時間インキュベ
ートし自然乾燥させた。染色液としては3%のトリクロ
ロ酢酸水溶液に濃度0.3%になるようにBiebrich Sca
rlet,sodium saltを溶解させた液をエタノールと等量混
合した液を用い、室温で4分間浸漬して染色した。10
分間水洗後、マイヤーのヘマトキシリン液に2分間浸漬
して核染色を行い、10分間水洗後自然乾燥させた。乾
燥後、組織切片を覆うようにカバーエイドフィルム(サ
クラ精機製)をキシレン又はアパチ水溶性封入剤を用い
て貼り付け、切片を封入した。このフィルムをプラスチ
ック製のマウントに保持し、光学顕微鏡を用いて観察す
ると、癌組織切片の癌細胞の存在部位に基質薄膜の消化
が認められ、プロテアーゼ活性があることが明らかとな
った。アプロチニンとエラスタチナールを含む膜を用い
たことから、これらのプロテアーゼ活性はセリンプロテ
アーゼではないと考えられ、マトリックス・メタロプロ
テアーゼである可能性が示唆された。
【0066】同様に、連続切片の別の一枚を、例5に示
されたアプロチニン、エラスタチナール及び1,10−
フェナントロリンを含むゼラチン膜及びカルボキシメチ
ルトランスフェリン膜に接着させた。これらの膜を37
℃、相対湿度100%で12時間インキュベートし、自
然乾燥させた。染色液はBiebrich Scarlet染色液を用
い、室温で4分間浸漬して染色した。10分間水洗後、
マイヤーのヘマトキシリン液に2分間浸漬して核染色を
行い、10分間水洗後自然乾燥させた。乾燥後、組織切
片を覆うようにカバーエイドフィルム(サクラ精機製)
をキシレンあるいはアパチ水溶性封入剤を用いて貼り付
け、切片を封入した。このフィルムをプラスチック製の
マウントに保持し、光学顕微鏡を用いて観察すると、癌
組織切片の癌細胞の存在部位に基質薄膜の消化が認めら
れない検体が多かった。マトリックスメタロプロテアー
ゼ阻害剤である1,10−フェナントロリンを含まない
ゼラチン膜、カルボキシメチル化トランスフェリン膜で
プロテアーゼ活性が認められ、1,10−フェナントロ
リンを含むゼラチン膜、カルボキシメチル化トランスフ
ェリン膜でプロテアーゼ活性が認められなかった検体で
は、この活性の差がマトリックスメタロプロテアーゼに
由来するものであると判断された。
【0067】比較のために、プロテアーゼ・インヒビタ
ーを含まないゼラチン膜に上記と同じ癌の凍結切片をそ
れぞれ貼り付け同様に処理すると、非常に強いプロテア
ーゼ活性が検出された。また、例5と同様の方法で1,
10−フェナントロリンのみで処理したゼラチン膜に同
じ癌の凍結切片を貼り付けて同様に処理すると、活性は
少し減少するものの、依然強いプロテアーゼ活性が検出
された。このことから、今回用いた癌の検体にはアプロ
チニンやエラスタチナールで阻害されるセリンプロテア
ーゼ活性が発現しており、マトリックスメタロプロテア
ーゼの活性を検出するためにはアプロチニンとエラスタ
チナールによる処理が必要であることがわかた。また、
アプロチニン単独又はエラスタチナール単独による膜の
処理では、マトリックスメタロプロテアーゼ活性を選択
的に検出することはできなかった。
【0068】
【発明の効果】本発明の方法によれば、測定対象のプロ
テアーゼ以外のプロテアーゼ活性の抑制が可能となり、
目的のプロテアーゼ活性のみを選択的に測定できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2G054 AA04 AA06 AB03 AB05 BA01 BA02 BB10 BB13 CA28 CE01 CE08 GB04 GE06 JA09 4B063 QA19 QQ36 QR41 QR66 QR67 QR84 QS02 QS39 QX02 QX10

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プロテアーゼ活性の測定方法であって、
    少なくとも1種のプロテアーゼ基質、硬膜剤、及び2種
    以上のプロテアーゼ・インヒビターを含み支持体表面に
    形成された薄膜に対して、プロテアーゼを含む試料を接
    触させる工程を含む方法。
  2. 【請求項2】 プロテアーゼ活性の測定方法であって、
    (1)少なくとも1種のプロテアーゼ基質、硬膜剤、及
    び2種以上のプロテアーゼ・インヒビターを含み支持体
    表面に形成された薄膜に対して、プロテアーゼを含む試
    料を接触させる工程;及び(2)該薄膜を色素で染色し
    てプロテアーゼの作用により該薄膜に形成された消化痕
    を検出する工程を含む方法。
  3. 【請求項3】 プロテアーゼ活性の測定方法であって、
    (1)少なくとも1種のプロテアーゼ基質、硬膜剤、及
    び2種以上のプロテアーゼ・インヒビターを含み支持体
    表面に形成された薄膜に対して、生体試料の実質的に連
    続した2以上の切片のうちの一つを接触させる工程;
    (2)少なくとも1種のプロテアーゼ基質、硬膜剤、及
    び上記工程(1)とは異なる1種又は2種以上のプロテ
    アーゼ・インヒビターを含み支持体表面に形成された薄
    膜に対して残りの切片を接触させる工程;及び(3)工
    程(1)で用いた薄膜の消化痕と工程(2)で用いた薄
    膜の消化痕とを対比する工程を含む方法。
  4. 【請求項4】 プロテアーゼ活性の測定方法であって、
    (1)少なくとも1種のプロテアーゼ基質、硬膜剤、及
    び2種以上のプロテアーゼ・インヒビターを含み支持体
    表面に形成された薄膜に対して、生体試料の実質的に連
    続した2以上の切片のうちの一つを接触させる工程;
    (2)少なくとも1種のプロテアーゼ基質、硬膜剤、及
    び上記工程(1)とは異なるプロテアーゼ・インヒビタ
    ーを含み支持体表面に形成された薄膜に対して残りの切
    片を接触させる工程;(3)該薄膜を色素で染色してプ
    ロテアーゼの作用により該薄膜に形成された消化痕を検
    出する工程;及び(4)上記の工程(1)で用いた薄膜
    の消化痕と上記の工程(2)で用いた薄膜の消化痕とを
    対比する工程を含む方法。
  5. 【請求項5】 プロテアーゼ・インヒビターがマトリッ
    クスメタロプロテアーゼ・インヒビター、セリンプロテ
    アーゼ・インヒビター、システインプロテアーゼ・イン
    ヒビター、及びアスパラギン酸プロテアーゼ・インヒビ
    ターの作用を持つ化合物からなる群から選ばれる2種以
    上のプロテアーゼ・インヒビターである請求項1ないし
    4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 【請求項6】 セリンプロテアーゼ・インヒビターがア
    プロチニン、ロイペプチン、エラスタチナール、メシル
    酸ガベキサート、3,4−ジクロロイソクマリン、及び
    フェニルメタンスルホニルフルオリドからなる群から選
    ばれる請求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 マトリックスメタロプロテアーゼ・イン
    ヒビターが1,10−フェナントロリン、エチレンジア
    ミン四酢酸(EDTA)、及びティッシューインヒビターオ
    ブメタロプロテアーゼ(TIMP)類からなる群から選ばれ
    る請求項5に記載の方法。
  8. 【請求項8】 システインプロテアーゼ・インヒビター
    が、Nエチルマレイミド及びジチオスレイトールからな
    る群から選ばれる請求項5に記載の方法。
  9. 【請求項9】 プロテアーゼ基質がゼラチン、コラーゲ
    ン、カゼイン、アルブミン誘導体、卵白アルブミン誘導
    体、及びトランスフェリン誘導体からなる群から選ばれ
    る請求項1ないし8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 【請求項10】 少なくとも1種のプロテアーゼ基質と
    硬膜剤を含み支持体表面に形成された薄膜を調製した
    後、該薄膜を2種以上のプロテアーゼ・インヒビターを
    含む水溶液又は2種以上のプロテアーゼ・インヒビター
    を含む水と有機溶媒との混合溶液に浸漬し、及び/又は
    該薄膜に2種以上のプロテアーゼ・インヒビターを含む
    水溶液又は2種以上のプロテアーゼ・インヒビターを含
    む水と有機溶媒との混合溶液を塗布し、得られた薄膜を
    乾燥する工程を含む方法により得られた薄膜を用いる請
    求項1ないし9のいずれか1項に記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007514952A (ja) * 2003-12-16 2007-06-07 キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド 微生物の検出および定量
CN105136699A (zh) * 2015-08-25 2015-12-09 四川大学 基于未变性染色皮粉底物的蛋白酶胶原蛋白水解活力测定方法及其应用
CN112921067A (zh) * 2019-12-05 2021-06-08 四川远大蜀阳药业有限责任公司 一种蛋白水解酶标准品溶液及其制备方法和应用

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