JP2003010162A - 位相コントラストx線撮像装置 - Google Patents
位相コントラストx線撮像装置Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 広い視野を一度に観測することができ、視野
範囲内でいずれの方向にも空間分解能が優れた位相コン
トラストX線撮像装置を提供するものである。 【解決手段】 本発明の位相コントラストX線撮像装置
は、X線源1 と、X線源1 からのビームを直交する2 方
向にビーム幅を広げる単色器群4,6 と、単色器群4,6 で
拡大され被写体8 を透過したX線の屈折角度を分析する
角度分析器10と、角度分析器10を透過又は/及び反射し
たX線を検出するX線検出器11を備えている。
範囲内でいずれの方向にも空間分解能が優れた位相コン
トラストX線撮像装置を提供するものである。 【解決手段】 本発明の位相コントラストX線撮像装置
は、X線源1 と、X線源1 からのビームを直交する2 方
向にビーム幅を広げる単色器群4,6 と、単色器群4,6 で
拡大され被写体8 を透過したX線の屈折角度を分析する
角度分析器10と、角度分析器10を透過又は/及び反射し
たX線を検出するX線検出器11を備えている。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、X線を用いて物体
の内部構造を観測するための位相コントラストX線撮像
装置に関する。特に被検体の構造を広い視野によって一
度に観測することができ、空間分解能が優れた画像を得
ることができる位相コントラストX線撮像装置に関す
る。 【0002】 【従来の技術】物体の内部構造を観測するためのX線装
置は、医療や非破壊試験の分野で用いられている。従来
の装置は、物体の部位毎に異なるX線の吸収率の差を画
像の明暗比( 以下、コントラストという) として観測す
るものであるために、X線の吸収率の差が小さい物体、
特に生体の軟組織ついて良好なコントラストを得ること
ができない。位相コントラストX線装置は、X線が透過
する物体の部位毎の位相差を検出する装置であって、吸
収率の差が小さい生体軟組織であっても良好なコントラ
ストを得ることができるので着目されている( X線位相
コントラスト法による生体組織のイメージング; 百生
敦) 。 【0003】位相コントラストX線装置の観測法の一つ
にブラッグ回折法があり、例えば特許登録第2,694,049
号にブラッグ回折法の装置が開示されている。図5 にそ
の装置構成の一例を示す。図5 において、101 はX線
源、102,103,106 はスリット、104 は単結晶モノクロメ
ータ、105 は物体への入射X線、107 は物体、108 は結
晶分析器、109-1,109-2 はX線検出器、111,112 は画像
の記憶装置、113 は加減算器、116 はビデオモニタ、11
7 はフィードバックユニット、118 は変位アクチュエー
タ、RO,RH はそれぞれ透過・回折ビームである。 【0004】回折ビームRHによる画像を用いて、変位ア
クチュエータ118 は、最大コントラストを与えるブラッ
グ回折角の廻りに結晶分析器108 を回転させる。最大コ
ントラストを与える回転角度の時、透過ビームROの画像
は、図6 に示すように位相変化部分がコントラストとな
って現れる。回折ビームがブラッグ回折角となる付近の
角度の両側で黒白・ 白黒が反転し、それぞれの画像が
画像記憶装置111,112に記憶される。そして、加減算器1
13 で両者の差分をとることにより、コントラストが増
大し、ビデオモニタ116 で観測される。単結晶モノクロ
メータ104 によるX線の非対称反射は、非対称因子(非
対称性係数の逆数)をb とするとき、モノクロメータヘ
の入射X線の角度広がり(分散) を√b に小さくするこ
とが知られている。 【0005】また、物体への入射X線105 の角度分散が
小さいほど、小さな位相差しか持たない物体でも高いコ
ントラストで検出できる。図5 の例では、単結晶の220
面の非対称反射を使ったb=1/25の例が示されている。こ
の発明は、非対称反射を用いることによって、入射X線
の角度分散を小さく取り、従来よりも高感度で位相差が
検出できることを特徴としている。 【0006】しかし、上記ブラッグ回折法コントラスト
X線撮像装置は、物体107 に入射するX線のビームの広
がりが狭いために、実質的には数mm×数cm程度のごく小
さな領域しか観測できないという問題を有していた。人
体の検査において異常部位を検出しようとするとき、数
cmの範囲では判断が不能である。最低限10cm×10cm程度
の視野が必要とされる。そこで、従来の装置を用いて、
観測位置をずらしつつ観測を繰り返し、小さな領域をつ
なぎ合わせて広い視野を観測することが考えられた。実
際に上記特許登録第2,694,049 号の発明者の論文にある
カエルの腹部写真は、短冊状の検査視野を複数回観測し
て腹部の一定範囲を観測したものである。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この方
法では、観測に時間がかかる問題がある。実際の生体で
は、観測中に移動するので、視野の重複や欠落を防止す
ることができない。更に、上記ブラッグ回折法は、観測
方向によって検出可能な位相差物体の大きさ( 以下、空
間分解能という) が異なるという問題を有している。数
mm×数cm程度の観測領域内に納まる程度の寸法、例えば
図6 のような直径が1 〜2mm の円形をした位相差物体で
あれば、結晶分析器の一方向の位相差を示す像でほぼ全
体の形状を推測することができ、位相差物体の有無を判
別できることが多い。 【0008】更に、結晶分析器の感度の良い方向と直行
する方向(図6 の下部の例では紙面の水平方向) に伸び
た形状の物体は、原理的に位相差によるコントラストが
できないので物体の有無を検出することがきない。言い
かえると、観測画像の2 次元面内においてモノクロメー
夕と結晶分析器の方向で決まるところの一方向に空間分
解能が劣る方向があるという問題を有している。 【0009】視野の拡大を検討すると、上記の2 つの問
題は関連している。現在のブラッグ回折法及びその装置
は、物体に入射するX線ビームを広い範囲に拡大する手
段が提示されていない。さらに、何らかの方法でX線ビ
ームを拡大できたとしても、観測画像が一方向の分解能
しかないために、得られる画像からの異常検出能力が落
ちるので、ビームを拡大する意味がない。即ち、従来の
ブラッグ法のX線観測装置では、10cm×1Ocm程度の広い
視野に亘って空間分解能が優れた観測を行なうことは不
可能とされていた。 【0010】本発明は、上記問題を鑑みてなされたもの
であって、その目的とするところは、広い視野を一度に
観測することができ、視野範囲内でいずれの方向にも空
間分解能が優れた位相コントラストX線撮像装置を提供
するものである。 【0011】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の位相コントラストX線撮像装置は、X線源
と、該X線源からのビームを直交する2 方向にビーム幅
を広げる単色器群と、該単色器群で拡大され被写体を透
過したX線の屈折角度を分析する角度分析器と、該角度
分析器を透過又は/及び反射したX線を検出するX線検
出器を備えている。更に、上記角度分析器は、被写体に
照射されるX線の進行方向軸の廻りに回転可能であるこ
とが好ましい。上記角度分析器は、角度分析器の結晶面
の法線の廻りに回転可能であることが好ましい。上記角
度分析器は、更に、被写体に照射されるX線の進行方向
に直交する方向の軸の廻りに回転可能であることが好ま
しい。 【0012】上記本発明の位相コントラストX線撮像装
置によれば、X線の回折方向を変えた複数の単色器を組
合わせることにより、X線ビームの角度広がりを小さく
し、かつビーム幅の広がりを大きくすることができる。
同じX線ビームを物体にあてた状態で、角度分析器を2
から3 軸方向に回転させ、それぞれ得られた画像を合成
することによって、被写体断面の全方向に亘って高い空
間分解能の画像を得ることができる。 【0013】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図を用いて説明する。図1は、本発明の第1の実施形
態の一例を示す図であり、図1(a)は平面図、図1(b)は正
面図、図1(c)は右側面図である。図1 において、符号1
はX線源、2 はスリット、4 は第1 単色器、6 は第2 単
色器、8 は被写体、10は角度分析器、11は第 1X線検出
器、12は画像処理装置、13は駆動コントローラ、14は角
度分析器用駆動装置を示している。また、符号3はスリ
ットを通過したX線、5 は単色器4 で回折されたX線ビ
ーム、 7は単色器6 で回折され被写体8 に入射する前の
X線ビーム、9 は被写体を通過した後のX線ビームを示
している。更に、被写体8 におけるX線の進行方向を z
方向とし、被写体の断面方向を図のように x方向, y方
向とし、前記x,y,z 方向は互いに直行している。 【0014】(X線源の説明)X線源1 は、対象とする被
写体8 に応じて、大きな位相差を与える波長のX線を発
生させることができるX線源を用いる。例えば、生体軟
組織において良好な位相コントラストを得るために適用
するX線のエネルギーは60〜70keV が良いとされてい
る。X線源1 としてX線管を用いる場合、この程度のエ
ネルギーを持つ特性X線を発生させるターゲットには、
タングステン(W) 、レニウム(Re)、金(Au)があり、それ
ぞれによって発生されるX線のエネルギーは次の通りで
ある。W: Kα1=59,3keV, Re: Kα= 61.12keV, Au: K
α1=68・78keV 【0015】後述するように、X線の角度広がりは、コ
ントラストの良否に影響するので、X線管のターゲット
サイズは小さいほうがよい。X線の取り出し角6度とし
て、ターゲットサイズには、ファインフォーカス0.4 ×
8 mm2 またはポイントフォーカス0.4 ×0.8 mm2 が好
ましい。このような条件を満たす市販の装置には下記が
あり、市販品が利用できる。 ・フィリップス製PW2274/20(PW2284/20) (W) 最大定格出力3kW ファインフォーカス ・リガク製ultraX18: 回転対陰極型強力X線発生装置
(W,Au) 最大定格出カ18kW 他のX線源としては、電子線加速器からの放射光を用い
ることもできる。 【0016】(単色器)第1,第2 単色器4,6 は、大型の単
結晶が得られるシリコン単結晶から製作する。半導体業
界では、現在直径25cm、長さ1mまでのシリコン単結晶が
製造可能である。例えば、単結晶422 面を単色器の結晶
面とし、数百μm 程度の厚さにカットして10cm×10cmの
寸法を持つ単色器とする。観察視野の大きさに相当する
大型の単結晶が得られるものであれば、第1,第2 単色器
4,6 及び後述する角度分析器10の材質はシリコンに限定
するものではない。尚、第1 実施形態の例においては、
第1,第2 単色器4,6 を用いてxy方向にそれぞれ一回拡大
しているが、更に単色器を増やして、 x方向、 y方向、
または両方に複数回拡大させても良い。 【0017】(角度分析器)角度分析器10は被写体8 を透
過してきたX線ビームを結晶面で反射したり、透過させ
たりして屈折角度を分析し、被写体8 の位相差を検出す
るためのものである。角度分析器10はシリコン単結晶の
422 面 (単色器と同じ面) を結晶面として板状にカット
したものを用いる。角度分析器10の寸法は、入射X線ビ
ーム幅に等しい約10cm×10cm程度の大きさが必要とな
る。角度分析器は、単色器と別な面(220面など) でカッ
トして角度を傾けて使う場合は、傾き角度に応じてビー
ム全体をカバーできる寸法とする。シリコン単結晶はよ
り大きなものが製造可能なので、422 面以外を用いても
寸法的な問題はない。 【0018】(回転装置)回転装置14は、 x軸と平行な
軸17の廻り及び z軸廻りに角度分析器10の結晶面を回転
させてX線ビームに対する結晶面の傾き角度を変化させ
るための装置である。回転装置14は角度分析器10を保持
して x軸と平行な軸17の廻りの回転が可能な第1 ホルダ
ー14a と、前記第1 ホルダー14a を保持して z軸廻りの
回転が可能な第2 ホルダー14b と、前記第1,第2 ホルダ
ーをそれぞれ回転させる第1,第2 駆動部14c,14d を有し
ている。 前記第1 ホルダー14a の x軸と平行な軸17の
廻りの回転角θは、数ミリラジアンあればよく、前記第
2 ホルダー14b の z軸の廻りの回転角ωは90度以上必要
であり、前記第1,第2 ホルダー14a,14b は互いの回転を
妨げない構造となっている。前記第1,第2 駆動部14c,14
d は駆動コトローラ13によって制御されて前記第1,第2
ホルダー14a,14b をそれぞれ回転させる。 【0019】(X線検出器)第 1X線検出器11としては、
原子核乾板、イメージングプレート、X線用CCD検出器
などを用いることができる。原子核乾板は、空間分解能
が数μm と優れているが、現像時間が4 〜5 時間かか
る。イメージングプレートは、空間分解能が数10μm で
あるが、読み取り時間が数分で可能である。観測した画
像処理の電子化のためにはイメージングプレートが適し
ている。X線用CCD 検出器は、空間分解能が数10μm で
あり、測定領域が数cm角に限られているが、観測と同時
に画像処理が可能であり観測機器の制御に適している。
従って、X線用CCD 検出器で検出した画像を用いてコン
トラストの高い角度が得られるように前記角度分析器10
を駆動し、その角度で得られる画像をイメージングプレ
ートで撮像する組合わせとすると、短時間で広い範囲の
画像処理が可能となるので好ましい。 【0020】画像処理装置12は、前記第 1X線検出器11
からの信号に基づいて画像を合成する装置である。画像
処理装置12は、高いコントラストが得られるような結晶
分析器の設定角度を求めるために、前記第 1X線検出器
11の画素各々の強度を短時間に演算することが可能であ
る。また、前記画像処理装置12は複数の画像を合成する
能力をもつ。画像合成には検出の目的等に応じて各種の
方法が適用できる。例えば2枚の画像各々を微小区画に
分解して、コントラストの大きい方の画素(平均明るさ
からのずれが大きいほう)を取る方法がある。 【0021】(駆動コントローラ)駆動コントローラ13
は、前記画像処理装置12と連動して動作し、角度分析器
用回転装置14 の前記第1,第2 駆動部14c,14d を制御し
て x軸と平行な軸17の廻り及び z軸廻りにそれぞれ前記
第1,第2 ホルダー14a,14b を回転させることにより、角
度分析器10を回転させるための装置であり、短時間の内
に角度分析器10を所望の角度位置にまで回転させる。前
記駆動コントローラ13は、前記回転装置14の第1 ホルダ
ー14a をx 軸と平行な軸17の廻りに回転角θ (数ミリラ
ジアンあればよい) で回転させ、前記回転装置14の第2
ホルダー14b を z軸の廻りに回転角ω (90度以上必要)
で回転させる。 【0022】(配置)X線源1 から x方向に放出されたX
線が、スリット2 を通過することによって、ビーム進行
方向のビーム幅(位置の広がり)と角度分散がしぼられ
たX線ビーム3 となるように、X線源1 の前面にスリッ
ト2 を配置する。スリット2 は1つだけ図示している
が、縦横方向に組み合わせて複数使用してもかまわな
い。第1単色器4 は、入射したX線ビーム3 が x軸と直
交する方向に非対称反射され、 y軸方向の幅は変わらな
いがx 軸方向の幅の広がったX線ビーム5 となるように
配置する。第2単色器6 は、X線ビーム5 がz 軸方向に
非対称反射され、x 軸方向の幅は変わらないが、y 軸方
向に幅の広がったX線ビーム7 となるように配置する。
角度分析器10は、物体8 を透過したX線が角度分析器10
の結晶面に入射可能なように、X線ビーム9 の進行方向
上であって物体8 の背後に配置する。第 1X線検出器11
は角度分析器10を透過したX線を検出するために、X線
ビーム9 の進行方向上であって角度分析器10の背後に配
置する。 【0023】(作用)単色器による非対称反射は、非対称
因子をb とするとき、回折X線のビーム幅を入射X線ビ
ーム幅の1/√b 倍に広げ、ビーム進行方向に対して直交
する方向の角度広がり (分散) を√b に小さくすること
が知られている。前述したシリコンの422 面のとき b=
1/100 とすると、反射ビーム幅を入射ビーム幅の10倍に
広げるとともに、角度広がりを1/10に小さくすることが
できる。第1単色器4 に入射するX線ビーム3 の幅を約
10mm×10mm、第1, 第2単色器4,6 による拡大率をそれ
ぞれ10倍とすれば、最終的にxy方向に略均等に幅約100m
m ×100mm に広がったX線ビーム7 を得る。とともに、
第1単色器4 によって、ビーム進行方向についてx 軸方
向の角度広がりが1/10に小さくなり、更に、第2単色器
6 によって物体透過時のy 軸方向の角度広りが1/10に小
さくなる。これは物体通過方向について x軸及び y軸方
向の角度分散が小さくなることになる。 【0024】(効果)このようにX線ビームを直交する
2 方向に反射させることによって、前記直交する2 方向
にX線ビームの幅を拡大させる単色器の配置法は、従来
の位相コントラストX線撮像装置には示されていない、
新規な配置方法である。 ここで直交する2方向とは、
X線ビーム5 の幅拡大方向(x軸) と、X線ビーム7 の幅
拡大方向(y軸) とが直交することを意味しており、単色
器の結晶面法線や、ビーム方向自体が直交していること
は不必要である。更に、第1、第2単色器4,6 は、X線
ビームの白色X線部分を除いて特性X線のみに単色化す
ることに加え、物体を透過するX線ビーム7 の直交する
2 軸( xy)方向のビーム角度分散を小さくし、z 軸方向
に進む理想的な平面波に近づける作用がある。 【0025】また、被写体8 を透過するときのX線の位
相変化に応じて角度分析器10に入射する反射波の強度が
変化し、その分だけ透過波も変化して位相差のある被写
体の内部構造がX線の強度差としてX線検出器11にて検
出される。角度分析器10の x軸と平行な軸17廻りの回転
角θや z軸廻りの回転角ωを回転装置14によって調節で
きるので、ひとつの角度分析器10を使って第1, 第2単
色器4,6 のそれぞれの回折面と角度分析器10の回折面を
一致させることができる。 【0026】角度分析器10が非常によい精度で測定でき
るとき、入射X線の角度分散が小さいほど、小さな位相
差しか持たない物体でも高いコントラストで検出でき
る。従って、本発明の装置は、従来の装置に比べより広
い領域に亘って、より高感度で位相差を検出できるX線
ビームが得られるとともに、位相差検出の方向差がない
X線ビームを得ることができる。上記第1、第2単色器
4,6 によって、ほぼ理想的な平面波になったX線ビーム
7 は、物体8 に入射する。物体8 の内部構造によって、
物体を通過したX線ビーム9 は図10で説明したような位
相差のある物体によってX線の波面がゆがむ。これは、
位相差のある物体の位相変化部分で透過X線の方向が変
化 (屈折) することを意味している。図1 では、物体の
例として人体を描いているが、観測の対象物は人体に限
るものではない。 【0027】(観測方法) A:透過法 図1 の装置による観測方法を説明する。まず、駆動コン
トローラ13の制御指令に基づき回転装置14の第2駆動部
14d が第2 ホルダー14b を z軸を回転軸として回転させ
て、第2単色器6 の回折面と同じ角度分析器10の回折面
が平行となる回転角ωの位置に角度分析器10をおく。そ
して、被写体8 を第 1X線検出器11及び画像処理装置12
で観測しつつ、画像処理装置12と連動している駆動コン
トローラ13の制御指令に基づき回転装置14の第1 駆動部
14c が第1 ホルダー14a を x軸に平行な軸17を回転軸と
して回転させて、被写体8 の画像コントラストが最大と
なる回転角度θを求める。 【0028】この時、検出器11で得られた被写体8 の画
像は、画像処理装置12の内部に保存される。この場合、
被写体8 のy 軸方向に高精度な画像が得られるので、こ
の回転角ωの位置は、y 軸方向について高い空間分解能
で観測する時に適している。また、第2単色器6 で平面
波化しているので、いままでの方法に比ぺ x軸方向も高
い空間分解能が得られる。 【0029】次に、図2 に示すように、駆動コントロー
ラ13の制御指令に基づき回転装置14の第2駆動部14d が
第2 ホルダー14b を z軸を回転軸として90°回転させ
て、第1 単色器4 の回折面と同じ角度分析器10の回折面
が平行となる回転角ωの位置に角度分析器10をおく(図
2 参照) 。そして、上記と同様に、被写体8 をX線検出
器11及び画像処理装置12で観測しつつ、画像処理装置12
と連動している駆動コントローラ13の制御指令に基づき
回転装置14の第1 駆動部14c が第1 ホルダー14a を x軸
に平行な軸17を回転軸として回転させて、被写体8 の画
像コントラストが最大となる回転角度θを求める。 【0030】この時、第 1X線検出器11で得られた画像
は、上記と同様に画像処理装置12の内部に保存される。
この場合、被写体8 の x軸方向に高精度な画像が得られ
るので、 x軸方向について高い空間分解能で観測するこ
とができる。さらに、y 軸方向も第1 単色器4 で平面波
化しているので、従来の方法に比べ高精度である。 【0031】このようにして、前記被写体8 の水平(x
軸),垂直(y軸) 方向に対してそれぞれ高い空間分解能を
持つ2 枚の画像が得られる。さらに、これら2 つの画像
を画像処理装置12において合成することによって、10cm
×1Ocm以上の視野を持つ画像が両方向とも同じ空間分解
能で得ることができる。画像合成には検出の目的等に応
じて各種の方法が適用できる。例えば2 枚の画像各々を
微小区画に分解して、コントラストの大きい方の画素
(平均明るさからのずれが大きい) を取る方法がある。 【0032】上記第1実施形態の例における観測方法と
しては、次の三つが考えられる。水平方向に対して高い
位置分解能で観測する方法、垂直方向に対して高い位置
分解能で観測する方法、同時に水平、垂直方向に対して
高い位置分解能で観測する方法である。第1実施形態の
例では、これら3 通りの使い方を自由に組合わせること
ができる。 【0033】尚、第1実施形態の例において、位相差の
検出は角度分析器の透過波のみを使う例を説明した。し
かしながら、角度分析器は透過波と同時に反射波が発生
するので、透過波と反射波を両方用いて被写体8 透過後
のX線ビームの位相差を検出することができる。さら
に、角度分析器10からは、複数の反射波を得ることがで
きるので、それらの反射波をそれぞれに検出する複数の
X線検出器15,16 を設けて被写体8 透過後のX線ビーム
の位相差を検出することができる。従って、xy両方向に
広いビーム幅を有するX線ビーム及び一つの角度分析器
を用いて、xy両方向に対して高い空間分解能で画像を得
るための観測方法の例としては、次の3つが挙げられ
る。 【0034】A:透過法 角度分析器10を x軸に平行な軸17及び z軸の廻りで回転
させ、被写体8 の x軸方向 y軸方向に高い分解能が得ら
れるそれぞれの角度θ、ωにおける透過波で観測する。
このとき、角度分析器10は透過波の減衰を少なくするた
め数100 μm 程度の厚さとする( 第1実施形態の例にお
いて述べた方法) 。 B:反射法 角度分析器10を x軸に平行な軸17、 z軸及び、角度分析
器10の結晶面の法線方向の軸18の廻りで回転させ、それ
ぞれの角度θ、ω、φにおける反射波で観測する。この
ときは、反射波を主体とするため、角度分析器の結晶厚
さを上記より厚くする( 第2 実施形態の例に示す)。 C:透過・反射法 角度分析器10を x軸に平行な軸17、 z軸及び、角度分析
器10の結晶面の法線方向の軸18の廻りで回転させ、それ
ぞれの角度θ、ω、φにおける反射波及び透過波で観測
する。このときは、反射波と透過波を両方用いるので、
角度分析器の結晶厚さを上記A,B における厚さの中間と
する( 第3実施形態の例に示す) 。 【0035】(第2 実施形態の例) B:反射法 第2 実施形態の例を図3を用いて説明する。この実施形
態の例では、被写体8に入射させるためのX線ビーム発
生させるまでの構成は図1 と同じであるので、省略す
る。X線ビームが被写体8 を透過した後の機器の構成を
図3に示している。図1 において説明したと同様の機能
を有するものについては同一の符号を付してその説明を
省略する。この第2実施形態の例は、角度分析器10には
複数の回折面があるので、第1実形態の例のように1 つ
の回折面だけでなく、他の回折面をも使って観測する方
法である。 【0036】複数の回折面に対応できるように、前記回
転装置14に角度分析器の結晶面の法線方向の軸18の廻り
の回転を可能にする手段を付加する。角度分析器の結晶
面の法線方向の軸18の廻りの回転角度をφとすると、角
度分析器10の回転角θ、ω、φの3 軸が調整可能とな
り、3 軸の回転により角度分析器10の結晶面の法線の廻
りに任意の角度設定が可能となる。 【0037】そして、第1 X線検出器11に代わり、第2,
第3 X線検出器15,16 を設ける。これらは、角度分析器
10において反射された反射波を検出するために、X線ビ
ーム9 の反射方向上に配置される。第2,第3 X線検出器
15,16 は、それぞれ水平及び垂直方向に対して高い位置
分解能で観測するためのものである。画像処理装置12と
同期している前記駆動コントローラ13は、回転装置14を
用いて角度θ, ωのみならずφをも調整する。 【0038】次に、角度分析器10の調整方法を説明す
る。角度分析器10は、画像処理装置12と同期している前
記駆動コントローラ13からの制御信号により回転装置14
を用いて角度θ, ω, φを調整する。先ず、回転角φを
調整して観測するべき回折面を定める。その後は、図1
で説明したと同様の手順で回転角ωを調整する。そし
て、第1実施形態の例と同様に、X線検出器15,16 で得
られた画像は、画像処理装置12を用いてコントラストが
最大を与える回転角θをそれぞれ決定し、被写体8 を観
測する。 【0039】(第3実施形態の例) C: 透過・反射法 第3 実施形態の例を図4 に示す。この実施形態の例で
は、被写体8 に入射させるためのX線ビーム発生させる
までの構成は図1 と同じであるので、省略する。X線ビ
ームが被写体8 を透過した後の機器の構成を図3に示し
ている。また、図1 及び図3において説明したと同様の
機能を有するものについては同一の符号を付してその説
明を省略する。本実施形態の例は、第1 実施形態の例及
び第2 実施形態の例において示した3つの第1,第2,第3
X線検出11,15,16を用いて、被写体8 の画像情報を得る
形態の例である。第1、第2実施形態の例に比べて、画
像処理装置12で得られる被写体8 の画像情報が多いの
で、同じ時間観測してもより高い空間分解能を得ること
ができる。ここでは、第2実施形態の例と同様にX線ビ
ームに対する角度分析器10のX線ビームに対する結晶面
の傾き角度θ、ω、φが回転できる。 【0040】 【発明の効果】10cm×10cm以上の大視野の確保が可能な
ので、人体などの対象物を正確に検査できる。画像は方
向によらず高い空間分解能で観測できるので、任意方向
に伸びた物体が検出できる。角度分析器に複数の回折面
を用いているので、透過・反射を組合わせた観測が可能
となる。
の内部構造を観測するための位相コントラストX線撮像
装置に関する。特に被検体の構造を広い視野によって一
度に観測することができ、空間分解能が優れた画像を得
ることができる位相コントラストX線撮像装置に関す
る。 【0002】 【従来の技術】物体の内部構造を観測するためのX線装
置は、医療や非破壊試験の分野で用いられている。従来
の装置は、物体の部位毎に異なるX線の吸収率の差を画
像の明暗比( 以下、コントラストという) として観測す
るものであるために、X線の吸収率の差が小さい物体、
特に生体の軟組織ついて良好なコントラストを得ること
ができない。位相コントラストX線装置は、X線が透過
する物体の部位毎の位相差を検出する装置であって、吸
収率の差が小さい生体軟組織であっても良好なコントラ
ストを得ることができるので着目されている( X線位相
コントラスト法による生体組織のイメージング; 百生
敦) 。 【0003】位相コントラストX線装置の観測法の一つ
にブラッグ回折法があり、例えば特許登録第2,694,049
号にブラッグ回折法の装置が開示されている。図5 にそ
の装置構成の一例を示す。図5 において、101 はX線
源、102,103,106 はスリット、104 は単結晶モノクロメ
ータ、105 は物体への入射X線、107 は物体、108 は結
晶分析器、109-1,109-2 はX線検出器、111,112 は画像
の記憶装置、113 は加減算器、116 はビデオモニタ、11
7 はフィードバックユニット、118 は変位アクチュエー
タ、RO,RH はそれぞれ透過・回折ビームである。 【0004】回折ビームRHによる画像を用いて、変位ア
クチュエータ118 は、最大コントラストを与えるブラッ
グ回折角の廻りに結晶分析器108 を回転させる。最大コ
ントラストを与える回転角度の時、透過ビームROの画像
は、図6 に示すように位相変化部分がコントラストとな
って現れる。回折ビームがブラッグ回折角となる付近の
角度の両側で黒白・ 白黒が反転し、それぞれの画像が
画像記憶装置111,112に記憶される。そして、加減算器1
13 で両者の差分をとることにより、コントラストが増
大し、ビデオモニタ116 で観測される。単結晶モノクロ
メータ104 によるX線の非対称反射は、非対称因子(非
対称性係数の逆数)をb とするとき、モノクロメータヘ
の入射X線の角度広がり(分散) を√b に小さくするこ
とが知られている。 【0005】また、物体への入射X線105 の角度分散が
小さいほど、小さな位相差しか持たない物体でも高いコ
ントラストで検出できる。図5 の例では、単結晶の220
面の非対称反射を使ったb=1/25の例が示されている。こ
の発明は、非対称反射を用いることによって、入射X線
の角度分散を小さく取り、従来よりも高感度で位相差が
検出できることを特徴としている。 【0006】しかし、上記ブラッグ回折法コントラスト
X線撮像装置は、物体107 に入射するX線のビームの広
がりが狭いために、実質的には数mm×数cm程度のごく小
さな領域しか観測できないという問題を有していた。人
体の検査において異常部位を検出しようとするとき、数
cmの範囲では判断が不能である。最低限10cm×10cm程度
の視野が必要とされる。そこで、従来の装置を用いて、
観測位置をずらしつつ観測を繰り返し、小さな領域をつ
なぎ合わせて広い視野を観測することが考えられた。実
際に上記特許登録第2,694,049 号の発明者の論文にある
カエルの腹部写真は、短冊状の検査視野を複数回観測し
て腹部の一定範囲を観測したものである。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この方
法では、観測に時間がかかる問題がある。実際の生体で
は、観測中に移動するので、視野の重複や欠落を防止す
ることができない。更に、上記ブラッグ回折法は、観測
方向によって検出可能な位相差物体の大きさ( 以下、空
間分解能という) が異なるという問題を有している。数
mm×数cm程度の観測領域内に納まる程度の寸法、例えば
図6 のような直径が1 〜2mm の円形をした位相差物体で
あれば、結晶分析器の一方向の位相差を示す像でほぼ全
体の形状を推測することができ、位相差物体の有無を判
別できることが多い。 【0008】更に、結晶分析器の感度の良い方向と直行
する方向(図6 の下部の例では紙面の水平方向) に伸び
た形状の物体は、原理的に位相差によるコントラストが
できないので物体の有無を検出することがきない。言い
かえると、観測画像の2 次元面内においてモノクロメー
夕と結晶分析器の方向で決まるところの一方向に空間分
解能が劣る方向があるという問題を有している。 【0009】視野の拡大を検討すると、上記の2 つの問
題は関連している。現在のブラッグ回折法及びその装置
は、物体に入射するX線ビームを広い範囲に拡大する手
段が提示されていない。さらに、何らかの方法でX線ビ
ームを拡大できたとしても、観測画像が一方向の分解能
しかないために、得られる画像からの異常検出能力が落
ちるので、ビームを拡大する意味がない。即ち、従来の
ブラッグ法のX線観測装置では、10cm×1Ocm程度の広い
視野に亘って空間分解能が優れた観測を行なうことは不
可能とされていた。 【0010】本発明は、上記問題を鑑みてなされたもの
であって、その目的とするところは、広い視野を一度に
観測することができ、視野範囲内でいずれの方向にも空
間分解能が優れた位相コントラストX線撮像装置を提供
するものである。 【0011】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の位相コントラストX線撮像装置は、X線源
と、該X線源からのビームを直交する2 方向にビーム幅
を広げる単色器群と、該単色器群で拡大され被写体を透
過したX線の屈折角度を分析する角度分析器と、該角度
分析器を透過又は/及び反射したX線を検出するX線検
出器を備えている。更に、上記角度分析器は、被写体に
照射されるX線の進行方向軸の廻りに回転可能であるこ
とが好ましい。上記角度分析器は、角度分析器の結晶面
の法線の廻りに回転可能であることが好ましい。上記角
度分析器は、更に、被写体に照射されるX線の進行方向
に直交する方向の軸の廻りに回転可能であることが好ま
しい。 【0012】上記本発明の位相コントラストX線撮像装
置によれば、X線の回折方向を変えた複数の単色器を組
合わせることにより、X線ビームの角度広がりを小さく
し、かつビーム幅の広がりを大きくすることができる。
同じX線ビームを物体にあてた状態で、角度分析器を2
から3 軸方向に回転させ、それぞれ得られた画像を合成
することによって、被写体断面の全方向に亘って高い空
間分解能の画像を得ることができる。 【0013】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図を用いて説明する。図1は、本発明の第1の実施形
態の一例を示す図であり、図1(a)は平面図、図1(b)は正
面図、図1(c)は右側面図である。図1 において、符号1
はX線源、2 はスリット、4 は第1 単色器、6 は第2 単
色器、8 は被写体、10は角度分析器、11は第 1X線検出
器、12は画像処理装置、13は駆動コントローラ、14は角
度分析器用駆動装置を示している。また、符号3はスリ
ットを通過したX線、5 は単色器4 で回折されたX線ビ
ーム、 7は単色器6 で回折され被写体8 に入射する前の
X線ビーム、9 は被写体を通過した後のX線ビームを示
している。更に、被写体8 におけるX線の進行方向を z
方向とし、被写体の断面方向を図のように x方向, y方
向とし、前記x,y,z 方向は互いに直行している。 【0014】(X線源の説明)X線源1 は、対象とする被
写体8 に応じて、大きな位相差を与える波長のX線を発
生させることができるX線源を用いる。例えば、生体軟
組織において良好な位相コントラストを得るために適用
するX線のエネルギーは60〜70keV が良いとされてい
る。X線源1 としてX線管を用いる場合、この程度のエ
ネルギーを持つ特性X線を発生させるターゲットには、
タングステン(W) 、レニウム(Re)、金(Au)があり、それ
ぞれによって発生されるX線のエネルギーは次の通りで
ある。W: Kα1=59,3keV, Re: Kα= 61.12keV, Au: K
α1=68・78keV 【0015】後述するように、X線の角度広がりは、コ
ントラストの良否に影響するので、X線管のターゲット
サイズは小さいほうがよい。X線の取り出し角6度とし
て、ターゲットサイズには、ファインフォーカス0.4 ×
8 mm2 またはポイントフォーカス0.4 ×0.8 mm2 が好
ましい。このような条件を満たす市販の装置には下記が
あり、市販品が利用できる。 ・フィリップス製PW2274/20(PW2284/20) (W) 最大定格出力3kW ファインフォーカス ・リガク製ultraX18: 回転対陰極型強力X線発生装置
(W,Au) 最大定格出カ18kW 他のX線源としては、電子線加速器からの放射光を用い
ることもできる。 【0016】(単色器)第1,第2 単色器4,6 は、大型の単
結晶が得られるシリコン単結晶から製作する。半導体業
界では、現在直径25cm、長さ1mまでのシリコン単結晶が
製造可能である。例えば、単結晶422 面を単色器の結晶
面とし、数百μm 程度の厚さにカットして10cm×10cmの
寸法を持つ単色器とする。観察視野の大きさに相当する
大型の単結晶が得られるものであれば、第1,第2 単色器
4,6 及び後述する角度分析器10の材質はシリコンに限定
するものではない。尚、第1 実施形態の例においては、
第1,第2 単色器4,6 を用いてxy方向にそれぞれ一回拡大
しているが、更に単色器を増やして、 x方向、 y方向、
または両方に複数回拡大させても良い。 【0017】(角度分析器)角度分析器10は被写体8 を透
過してきたX線ビームを結晶面で反射したり、透過させ
たりして屈折角度を分析し、被写体8 の位相差を検出す
るためのものである。角度分析器10はシリコン単結晶の
422 面 (単色器と同じ面) を結晶面として板状にカット
したものを用いる。角度分析器10の寸法は、入射X線ビ
ーム幅に等しい約10cm×10cm程度の大きさが必要とな
る。角度分析器は、単色器と別な面(220面など) でカッ
トして角度を傾けて使う場合は、傾き角度に応じてビー
ム全体をカバーできる寸法とする。シリコン単結晶はよ
り大きなものが製造可能なので、422 面以外を用いても
寸法的な問題はない。 【0018】(回転装置)回転装置14は、 x軸と平行な
軸17の廻り及び z軸廻りに角度分析器10の結晶面を回転
させてX線ビームに対する結晶面の傾き角度を変化させ
るための装置である。回転装置14は角度分析器10を保持
して x軸と平行な軸17の廻りの回転が可能な第1 ホルダ
ー14a と、前記第1 ホルダー14a を保持して z軸廻りの
回転が可能な第2 ホルダー14b と、前記第1,第2 ホルダ
ーをそれぞれ回転させる第1,第2 駆動部14c,14d を有し
ている。 前記第1 ホルダー14a の x軸と平行な軸17の
廻りの回転角θは、数ミリラジアンあればよく、前記第
2 ホルダー14b の z軸の廻りの回転角ωは90度以上必要
であり、前記第1,第2 ホルダー14a,14b は互いの回転を
妨げない構造となっている。前記第1,第2 駆動部14c,14
d は駆動コトローラ13によって制御されて前記第1,第2
ホルダー14a,14b をそれぞれ回転させる。 【0019】(X線検出器)第 1X線検出器11としては、
原子核乾板、イメージングプレート、X線用CCD検出器
などを用いることができる。原子核乾板は、空間分解能
が数μm と優れているが、現像時間が4 〜5 時間かか
る。イメージングプレートは、空間分解能が数10μm で
あるが、読み取り時間が数分で可能である。観測した画
像処理の電子化のためにはイメージングプレートが適し
ている。X線用CCD 検出器は、空間分解能が数10μm で
あり、測定領域が数cm角に限られているが、観測と同時
に画像処理が可能であり観測機器の制御に適している。
従って、X線用CCD 検出器で検出した画像を用いてコン
トラストの高い角度が得られるように前記角度分析器10
を駆動し、その角度で得られる画像をイメージングプレ
ートで撮像する組合わせとすると、短時間で広い範囲の
画像処理が可能となるので好ましい。 【0020】画像処理装置12は、前記第 1X線検出器11
からの信号に基づいて画像を合成する装置である。画像
処理装置12は、高いコントラストが得られるような結晶
分析器の設定角度を求めるために、前記第 1X線検出器
11の画素各々の強度を短時間に演算することが可能であ
る。また、前記画像処理装置12は複数の画像を合成する
能力をもつ。画像合成には検出の目的等に応じて各種の
方法が適用できる。例えば2枚の画像各々を微小区画に
分解して、コントラストの大きい方の画素(平均明るさ
からのずれが大きいほう)を取る方法がある。 【0021】(駆動コントローラ)駆動コントローラ13
は、前記画像処理装置12と連動して動作し、角度分析器
用回転装置14 の前記第1,第2 駆動部14c,14d を制御し
て x軸と平行な軸17の廻り及び z軸廻りにそれぞれ前記
第1,第2 ホルダー14a,14b を回転させることにより、角
度分析器10を回転させるための装置であり、短時間の内
に角度分析器10を所望の角度位置にまで回転させる。前
記駆動コントローラ13は、前記回転装置14の第1 ホルダ
ー14a をx 軸と平行な軸17の廻りに回転角θ (数ミリラ
ジアンあればよい) で回転させ、前記回転装置14の第2
ホルダー14b を z軸の廻りに回転角ω (90度以上必要)
で回転させる。 【0022】(配置)X線源1 から x方向に放出されたX
線が、スリット2 を通過することによって、ビーム進行
方向のビーム幅(位置の広がり)と角度分散がしぼられ
たX線ビーム3 となるように、X線源1 の前面にスリッ
ト2 を配置する。スリット2 は1つだけ図示している
が、縦横方向に組み合わせて複数使用してもかまわな
い。第1単色器4 は、入射したX線ビーム3 が x軸と直
交する方向に非対称反射され、 y軸方向の幅は変わらな
いがx 軸方向の幅の広がったX線ビーム5 となるように
配置する。第2単色器6 は、X線ビーム5 がz 軸方向に
非対称反射され、x 軸方向の幅は変わらないが、y 軸方
向に幅の広がったX線ビーム7 となるように配置する。
角度分析器10は、物体8 を透過したX線が角度分析器10
の結晶面に入射可能なように、X線ビーム9 の進行方向
上であって物体8 の背後に配置する。第 1X線検出器11
は角度分析器10を透過したX線を検出するために、X線
ビーム9 の進行方向上であって角度分析器10の背後に配
置する。 【0023】(作用)単色器による非対称反射は、非対称
因子をb とするとき、回折X線のビーム幅を入射X線ビ
ーム幅の1/√b 倍に広げ、ビーム進行方向に対して直交
する方向の角度広がり (分散) を√b に小さくすること
が知られている。前述したシリコンの422 面のとき b=
1/100 とすると、反射ビーム幅を入射ビーム幅の10倍に
広げるとともに、角度広がりを1/10に小さくすることが
できる。第1単色器4 に入射するX線ビーム3 の幅を約
10mm×10mm、第1, 第2単色器4,6 による拡大率をそれ
ぞれ10倍とすれば、最終的にxy方向に略均等に幅約100m
m ×100mm に広がったX線ビーム7 を得る。とともに、
第1単色器4 によって、ビーム進行方向についてx 軸方
向の角度広がりが1/10に小さくなり、更に、第2単色器
6 によって物体透過時のy 軸方向の角度広りが1/10に小
さくなる。これは物体通過方向について x軸及び y軸方
向の角度分散が小さくなることになる。 【0024】(効果)このようにX線ビームを直交する
2 方向に反射させることによって、前記直交する2 方向
にX線ビームの幅を拡大させる単色器の配置法は、従来
の位相コントラストX線撮像装置には示されていない、
新規な配置方法である。 ここで直交する2方向とは、
X線ビーム5 の幅拡大方向(x軸) と、X線ビーム7 の幅
拡大方向(y軸) とが直交することを意味しており、単色
器の結晶面法線や、ビーム方向自体が直交していること
は不必要である。更に、第1、第2単色器4,6 は、X線
ビームの白色X線部分を除いて特性X線のみに単色化す
ることに加え、物体を透過するX線ビーム7 の直交する
2 軸( xy)方向のビーム角度分散を小さくし、z 軸方向
に進む理想的な平面波に近づける作用がある。 【0025】また、被写体8 を透過するときのX線の位
相変化に応じて角度分析器10に入射する反射波の強度が
変化し、その分だけ透過波も変化して位相差のある被写
体の内部構造がX線の強度差としてX線検出器11にて検
出される。角度分析器10の x軸と平行な軸17廻りの回転
角θや z軸廻りの回転角ωを回転装置14によって調節で
きるので、ひとつの角度分析器10を使って第1, 第2単
色器4,6 のそれぞれの回折面と角度分析器10の回折面を
一致させることができる。 【0026】角度分析器10が非常によい精度で測定でき
るとき、入射X線の角度分散が小さいほど、小さな位相
差しか持たない物体でも高いコントラストで検出でき
る。従って、本発明の装置は、従来の装置に比べより広
い領域に亘って、より高感度で位相差を検出できるX線
ビームが得られるとともに、位相差検出の方向差がない
X線ビームを得ることができる。上記第1、第2単色器
4,6 によって、ほぼ理想的な平面波になったX線ビーム
7 は、物体8 に入射する。物体8 の内部構造によって、
物体を通過したX線ビーム9 は図10で説明したような位
相差のある物体によってX線の波面がゆがむ。これは、
位相差のある物体の位相変化部分で透過X線の方向が変
化 (屈折) することを意味している。図1 では、物体の
例として人体を描いているが、観測の対象物は人体に限
るものではない。 【0027】(観測方法) A:透過法 図1 の装置による観測方法を説明する。まず、駆動コン
トローラ13の制御指令に基づき回転装置14の第2駆動部
14d が第2 ホルダー14b を z軸を回転軸として回転させ
て、第2単色器6 の回折面と同じ角度分析器10の回折面
が平行となる回転角ωの位置に角度分析器10をおく。そ
して、被写体8 を第 1X線検出器11及び画像処理装置12
で観測しつつ、画像処理装置12と連動している駆動コン
トローラ13の制御指令に基づき回転装置14の第1 駆動部
14c が第1 ホルダー14a を x軸に平行な軸17を回転軸と
して回転させて、被写体8 の画像コントラストが最大と
なる回転角度θを求める。 【0028】この時、検出器11で得られた被写体8 の画
像は、画像処理装置12の内部に保存される。この場合、
被写体8 のy 軸方向に高精度な画像が得られるので、こ
の回転角ωの位置は、y 軸方向について高い空間分解能
で観測する時に適している。また、第2単色器6 で平面
波化しているので、いままでの方法に比ぺ x軸方向も高
い空間分解能が得られる。 【0029】次に、図2 に示すように、駆動コントロー
ラ13の制御指令に基づき回転装置14の第2駆動部14d が
第2 ホルダー14b を z軸を回転軸として90°回転させ
て、第1 単色器4 の回折面と同じ角度分析器10の回折面
が平行となる回転角ωの位置に角度分析器10をおく(図
2 参照) 。そして、上記と同様に、被写体8 をX線検出
器11及び画像処理装置12で観測しつつ、画像処理装置12
と連動している駆動コントローラ13の制御指令に基づき
回転装置14の第1 駆動部14c が第1 ホルダー14a を x軸
に平行な軸17を回転軸として回転させて、被写体8 の画
像コントラストが最大となる回転角度θを求める。 【0030】この時、第 1X線検出器11で得られた画像
は、上記と同様に画像処理装置12の内部に保存される。
この場合、被写体8 の x軸方向に高精度な画像が得られ
るので、 x軸方向について高い空間分解能で観測するこ
とができる。さらに、y 軸方向も第1 単色器4 で平面波
化しているので、従来の方法に比べ高精度である。 【0031】このようにして、前記被写体8 の水平(x
軸),垂直(y軸) 方向に対してそれぞれ高い空間分解能を
持つ2 枚の画像が得られる。さらに、これら2 つの画像
を画像処理装置12において合成することによって、10cm
×1Ocm以上の視野を持つ画像が両方向とも同じ空間分解
能で得ることができる。画像合成には検出の目的等に応
じて各種の方法が適用できる。例えば2 枚の画像各々を
微小区画に分解して、コントラストの大きい方の画素
(平均明るさからのずれが大きい) を取る方法がある。 【0032】上記第1実施形態の例における観測方法と
しては、次の三つが考えられる。水平方向に対して高い
位置分解能で観測する方法、垂直方向に対して高い位置
分解能で観測する方法、同時に水平、垂直方向に対して
高い位置分解能で観測する方法である。第1実施形態の
例では、これら3 通りの使い方を自由に組合わせること
ができる。 【0033】尚、第1実施形態の例において、位相差の
検出は角度分析器の透過波のみを使う例を説明した。し
かしながら、角度分析器は透過波と同時に反射波が発生
するので、透過波と反射波を両方用いて被写体8 透過後
のX線ビームの位相差を検出することができる。さら
に、角度分析器10からは、複数の反射波を得ることがで
きるので、それらの反射波をそれぞれに検出する複数の
X線検出器15,16 を設けて被写体8 透過後のX線ビーム
の位相差を検出することができる。従って、xy両方向に
広いビーム幅を有するX線ビーム及び一つの角度分析器
を用いて、xy両方向に対して高い空間分解能で画像を得
るための観測方法の例としては、次の3つが挙げられ
る。 【0034】A:透過法 角度分析器10を x軸に平行な軸17及び z軸の廻りで回転
させ、被写体8 の x軸方向 y軸方向に高い分解能が得ら
れるそれぞれの角度θ、ωにおける透過波で観測する。
このとき、角度分析器10は透過波の減衰を少なくするた
め数100 μm 程度の厚さとする( 第1実施形態の例にお
いて述べた方法) 。 B:反射法 角度分析器10を x軸に平行な軸17、 z軸及び、角度分析
器10の結晶面の法線方向の軸18の廻りで回転させ、それ
ぞれの角度θ、ω、φにおける反射波で観測する。この
ときは、反射波を主体とするため、角度分析器の結晶厚
さを上記より厚くする( 第2 実施形態の例に示す)。 C:透過・反射法 角度分析器10を x軸に平行な軸17、 z軸及び、角度分析
器10の結晶面の法線方向の軸18の廻りで回転させ、それ
ぞれの角度θ、ω、φにおける反射波及び透過波で観測
する。このときは、反射波と透過波を両方用いるので、
角度分析器の結晶厚さを上記A,B における厚さの中間と
する( 第3実施形態の例に示す) 。 【0035】(第2 実施形態の例) B:反射法 第2 実施形態の例を図3を用いて説明する。この実施形
態の例では、被写体8に入射させるためのX線ビーム発
生させるまでの構成は図1 と同じであるので、省略す
る。X線ビームが被写体8 を透過した後の機器の構成を
図3に示している。図1 において説明したと同様の機能
を有するものについては同一の符号を付してその説明を
省略する。この第2実施形態の例は、角度分析器10には
複数の回折面があるので、第1実形態の例のように1 つ
の回折面だけでなく、他の回折面をも使って観測する方
法である。 【0036】複数の回折面に対応できるように、前記回
転装置14に角度分析器の結晶面の法線方向の軸18の廻り
の回転を可能にする手段を付加する。角度分析器の結晶
面の法線方向の軸18の廻りの回転角度をφとすると、角
度分析器10の回転角θ、ω、φの3 軸が調整可能とな
り、3 軸の回転により角度分析器10の結晶面の法線の廻
りに任意の角度設定が可能となる。 【0037】そして、第1 X線検出器11に代わり、第2,
第3 X線検出器15,16 を設ける。これらは、角度分析器
10において反射された反射波を検出するために、X線ビ
ーム9 の反射方向上に配置される。第2,第3 X線検出器
15,16 は、それぞれ水平及び垂直方向に対して高い位置
分解能で観測するためのものである。画像処理装置12と
同期している前記駆動コントローラ13は、回転装置14を
用いて角度θ, ωのみならずφをも調整する。 【0038】次に、角度分析器10の調整方法を説明す
る。角度分析器10は、画像処理装置12と同期している前
記駆動コントローラ13からの制御信号により回転装置14
を用いて角度θ, ω, φを調整する。先ず、回転角φを
調整して観測するべき回折面を定める。その後は、図1
で説明したと同様の手順で回転角ωを調整する。そし
て、第1実施形態の例と同様に、X線検出器15,16 で得
られた画像は、画像処理装置12を用いてコントラストが
最大を与える回転角θをそれぞれ決定し、被写体8 を観
測する。 【0039】(第3実施形態の例) C: 透過・反射法 第3 実施形態の例を図4 に示す。この実施形態の例で
は、被写体8 に入射させるためのX線ビーム発生させる
までの構成は図1 と同じであるので、省略する。X線ビ
ームが被写体8 を透過した後の機器の構成を図3に示し
ている。また、図1 及び図3において説明したと同様の
機能を有するものについては同一の符号を付してその説
明を省略する。本実施形態の例は、第1 実施形態の例及
び第2 実施形態の例において示した3つの第1,第2,第3
X線検出11,15,16を用いて、被写体8 の画像情報を得る
形態の例である。第1、第2実施形態の例に比べて、画
像処理装置12で得られる被写体8 の画像情報が多いの
で、同じ時間観測してもより高い空間分解能を得ること
ができる。ここでは、第2実施形態の例と同様にX線ビ
ームに対する角度分析器10のX線ビームに対する結晶面
の傾き角度θ、ω、φが回転できる。 【0040】 【発明の効果】10cm×10cm以上の大視野の確保が可能な
ので、人体などの対象物を正確に検査できる。画像は方
向によらず高い空間分解能で観測できるので、任意方向
に伸びた物体が検出できる。角度分析器に複数の回折面
を用いているので、透過・反射を組合わせた観測が可能
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1 】本発明の第1 実施形態の例を示す図である。
【図2 】図1 の位相コントラストX線撮像装置の作動を
説明する図である。 【図3 】本発明の第2 実施形態の例を示す図である。 【図4 】本発明の第3 実施形態の例を示す図である。 【図5 】従来の位相コントラストX線装置の例である。 【図6 】従来の位相コントラスト画像の例である。 【符号の説明】 1 X線源 2 スリット 4 第1 単色器(水平方向単色器) 6 第2 単色器(垂直方向単色器) 8 被写体 10 角度分析器 11 X線検出器 12 画像処理装置 13 駆動コントローラ 14 角度分析器用駆動装置
説明する図である。 【図3 】本発明の第2 実施形態の例を示す図である。 【図4 】本発明の第3 実施形態の例を示す図である。 【図5 】従来の位相コントラストX線装置の例である。 【図6 】従来の位相コントラスト画像の例である。 【符号の説明】 1 X線源 2 スリット 4 第1 単色器(水平方向単色器) 6 第2 単色器(垂直方向単色器) 8 被写体 10 角度分析器 11 X線検出器 12 画像処理装置 13 駆動コントローラ 14 角度分析器用駆動装置
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Fターム(参考) 2G001 AA01 BA05 BA11 BA18 CA01
DA09 GA01 GA19 HA13
4C093 AA30 CA04 EA02 EA20 FA15
FA17 FA20 FA55 FF33 FF34
FF35
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 X線源と、該X線源からのビームを直交
する2 方向にビーム幅を広げる単色器群と、該単色器群
で拡大され被写体を透過したX線の屈折角度を分析する
角度分析器と、該角度分析器を透過又は/及び反射した
X線を検出するX線検出器を備えている位相コントラス
トX線撮像装置。 【請求項2 】 上記角度分析器が、被写体に照射される
X線の進行方向軸の廻りに回転可能としたことを特徴と
する請求項1 に記載の位相コントラストX線撮像装置。 【請求項3 】 上記角度分析器が、角度分析器の結晶面
の法線の廻りに回転可能としたことを特徴とする請求項
1 乃至2 のいずれかに記載の位相コントラストX線撮像
装置。 【請求項4 】 上記角度分析器が、被写体に照射される
X線の進行方向に直交する方向の軸の廻りに回転可能と
したことを特徴とする請求項1 乃至3 に記載の位相コン
トラストX線撮像装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001203219A JP2003010162A (ja) | 2001-07-04 | 2001-07-04 | 位相コントラストx線撮像装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001203219A JP2003010162A (ja) | 2001-07-04 | 2001-07-04 | 位相コントラストx線撮像装置 |
Publications (1)
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