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JP2003089561A - 耐爆裂性高強度セメント質硬化体の製造方法 - Google Patents

耐爆裂性高強度セメント質硬化体の製造方法

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Publication number
JP2003089561A
JP2003089561A JP2001279564A JP2001279564A JP2003089561A JP 2003089561 A JP2003089561 A JP 2003089561A JP 2001279564 A JP2001279564 A JP 2001279564A JP 2001279564 A JP2001279564 A JP 2001279564A JP 2003089561 A JP2003089561 A JP 2003089561A
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JP
Japan
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strength
fibers
length
fiber
diameter
Prior art date
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Pending
Application number
JP2001279564A
Other languages
English (en)
Inventor
Makoto Katagiri
誠 片桐
Daisuke Mori
大介 森
Kazuyoshi Shirai
一義 白井
Yutaka Kobayashi
裕 小林
Keizo Mizuno
敬三 水野
Shintarou Michikoshi
真太郎 道越
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Taisei Corp
Taiheiyo Cement Corp
Original Assignee
Taisei Corp
Taiheiyo Cement Corp
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Filing date
Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 硬化体の爆裂を防止することのできる耐爆裂
性高強度セメント質硬化体の製造方法を提供すること。 【解決手段】 圧縮強度が150MPa以上、かつ、曲
げ強度が30MPa以上を発現する高強度セメント質硬
化体の製造方法において、金属繊維(例;長さが2mm
以上、かつ、長さ/直径の比が20以上の鋼繊維)を
0.5〜4.0体積%(内割)、直径0.08〜0.1
2mmかつ長さ0.5〜4.0mmの有機質短繊維を
2.0体積%以上4.0体積%未満(外割)、および直
径0.03〜0.05mmかつ長さ6.0〜12.0m
mの有機質長繊維を0 .5〜1.0体積%(外割)が
配合され、フロ−値が240mm以上に調製された混練
物を成形し養生して硬化させること。なお、有機質短・
長繊維としては、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維な
どを使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐爆裂性高強度セ
メント質硬化体の製造方法に関し、特に、使用する繊維
類、その寸法および配合量を特定し、かつ、混練物の流
動性を特定した耐爆裂性高強度セメント質硬化体の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、モルタル・コンクリ−トを緻密
化して圧縮強度を改良(高強度化)した場合、耐磨耗
性、中性化、クリ−プなど他の特性をも向上させる。そ
のようなモルタル・コンクリ−トを用いて、 ・建築物を現場打ちで施工した場合:モルタル層および
コンクリ−ト層の厚さを薄くできるので、打設量が減少
し、材料の使用量の低減(コスト削減)、利用可能な空
間の増大、作業量の軽減など、 ・プレキャスト部材を製造した場合:部材の厚さを薄く
することができるので、材料の使用量の低減(コスト削
減)、軽量化、運搬・施工作業の軽減など、のメリット
が生じる。
【0003】その反面、前記高強度モルタル・コンクリ
−ト硬化体は、周辺で火災が発生した場合、その熱によ
り爆裂し、該硬化体を破壊する、という欠点を有してい
る。その爆裂の一因として高強度モルタル・コンクリ−
ト硬化体が緻密質であるために、火災熱によって硬化体
内部に存在する水が水蒸気に変化してもその飛散経路が
殆ど無いので、蒸気圧が急激に上昇し爆裂するものと考
えられている。
【0004】爆裂防止方法として、特許第262091
0号公報には、強度90〜105N/mmのコンクリ
−ト部材について、普通セメント、2mm以下の砂、2
〜8mmの砂利、8〜16mmの砕石、シリカフュ−ム
などのコンクリ−ト原材料に、特定の粉末度を有する沈
殿活性ケイ酸塩および有機繊維を添加した硬化体は、火
災熱で該繊維が溶解、軟化、分解し直径3〜350μ
m、0.05〜1容量%の毛細管を形成することによっ
て破壊的スポ−リングを防止できる旨、そして、該有機
繊維として、300℃以下で軟化、分解できるものであ
って(例;ポリプロピレン繊維)、直径3〜350μ
m、長さ5〜35mmのものを使用してコンクリ−トの
0.05〜1容量%含有させる旨、の記載がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】近年、前記モルタル・
コンクリ−ト硬化体(部材)に比し、緻密さを高め、強
度を著しく改良(圧縮強度;150MPa以上、かつ、
曲げ強度;30MPa以上)した高強度セメント質硬化
体が開発されている。該硬化体は、一般のモルタル・コ
ンクリ−ト用原料のほかにシリカフュ−ム、石英粉末、
ウォラストナイトなどを配合し、水粉体比を小さくし、
かつ、減水剤を添加することにより十分な流動性を有す
る混練物を調製し、打設・成形し、硬化させて製造され
ている
【0006】しかしながら、上記のような高強度セメン
ト質硬化体をそのまま火災に曝露した場合、従来の硬化
体より高緻密質であるために、爆裂の頻度は高く、か
つ、激しい、という欠点を有している。
【0007】そこで、高強度セメント質硬化体を製造す
るとき、前記従来法の有機繊維を原料配合物に添加し毛
細管を形成することが試みられたが、緻密過ぎるため、
十分に爆裂を防止することができない、という問題点が
残った。
【0008】本発明は、上記欠点・問題点に鑑みなされ
たものであって、その目的は、 ・硬化体の爆裂を防止することのできる耐爆裂性高強度
セメント質硬化体の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明を大まかに言え
ば、高強度セメント質硬化体が火災により被熱した折り
に生じる爆裂、それを改良できる製造方法であり、金属
繊維および複数の有機質繊維を組み合わせて配合し、か
つ、混練物を高流動性に保持させることを特徴とし、こ
れによって、前記目的を達成するようにした耐爆裂性高
強度セメント質硬化体の製造方法を提供するものであ
る。
【0010】すなわち、本発明(耐爆裂性高強度セメン
ト質硬化体の製造方法)は、「圧縮強度が150MPa
以上、かつ、曲げ強度が30MPa以上を発現する高強
度セメント質硬化体の製造方法において、 ・金属繊維を0.5〜4.0体積%(内割)、 ・直径0.08〜0.12mmかつ長さ0.5〜4.0
mmの有機質短繊維を2.0体積%以上4.0体積%未
満(外割)、および ・直径0.03〜0.05mmかつ長さ6.0〜12.
0mmの有機質長繊維を0.5〜1.0体積%(外割) が配合され、 ・フロ−値が240mm以上 に調製された混練物を成形し養生して硬化させること」
(請求項1)を要旨とする。
【0011】また、本発明は、 ・金属繊維が鋼繊維であること(請求項2)、 ・金属繊維の長さが2mm以上、かつ、長さ/直径の比
が20以上であること(請求項3) ・有機質繊維が、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、
ポリエチレン繊維、アラミド繊維から選ばれる1種また
は2種以上の混合繊維であること(請求項4) ・混練物に含まれる骨材の最大粒径が2mm以下である
こと(請求項5)などを特徴とするものである。
【0012】
【本発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明す
る。本発明は、(a)圧縮強度が150MPa以上、か
つ、(b)曲げ強度が30MPa以上を発現する高強度セ
メント質硬化体を対象としたものであって、その耐爆裂
性を改良できる製造方法の発明である。主な特徴は、金
属繊維および特定寸法の有機質繊維2種類をそれぞれ特
定の割合で配合し、混練物の流動性を特定した点にあ
る。
【0013】なお、この明細書において、後記繊維類の
配合量は、配合物に対する「体積%」であって、特に断
らない限り金属繊維は『内割』、有機質繊維は『外割』
で表示したものであり、その他の原材料の配合量は、セ
メント100重量部に対する「重量部」である。
【0014】最初に、金属繊維について説明する。金属
繊維は、硬化体の強度、特に曲げ・引張強度を向上させ
るために配合するものである。金属繊維は、鋼繊維、ア
モルファス繊維などが挙げられる。中でも鋼繊維は、強
度が優れている点、およびコスト、入手のし易い点から
好ましい。
【0015】使用する金属繊維は、長さが2mm以上で
長さ/直径の比が20以上のものが好ましく、長さが2
〜30mmで長さ/直径の比が20〜200のものがよ
り好ましい。これは、直径が小さいと、繊維自身が細過
ぎて強度が不足し張力を受けたさいに切れ易く、逆に、
直径が大き過ぎると、配合できる金属繊維の本数が減少
し硬化体が所定の曲げ強度を発現できないこともあり、
また、長さが2mm未満の場合、短過ぎて硬化体が所定
の曲げ強度に達しないので、逆に、長過ぎる場合、配合
物を混練したさいファイバ−ボ−ルが生じ易く均一に分
散しないこともあるためである。
【0016】金属繊維の配合量は、0.5〜4.0体積
%であり、好ましくは1.0〜3.0%である。配合量
が0.5体積%未満の場合、硬化体の曲げ強度が極端に
低下するので、逆に、4.0体積%を超える場合、混練
物のフロ−値が240mmに達せず流動性が悪くなるた
め単位水量を増加して混練する必要があり、そのため、
硬化体の圧縮・曲げ強度を低下させるので、いずれの場
合も好ましくない。
【0017】次に、有機質繊維について説明する。有機
質繊維は、高強度セメント質硬化体の耐爆裂性改良のた
めに配合するものである。該繊維としては、ビニロン繊
維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、アラミド
繊維など、1種又は2種以上の混合繊維が使用される。
混練物の流動性、爆裂防止などの点からビニロン繊維が
最も好ましい。
【0018】有機質繊維は、寸法を違えた、つまり、 ・[短]繊維;直径0.08〜0.12mm、長さ0.
5〜4.0mm、および ・[長]繊維;直径0.03〜0.05mm、長さ6.
0〜12.0mmの長短2種類の繊維を併用することが
重要である。本発明は、有機質[長]・[短]繊維を併
用することにより、混練物の流動性を保持すると共に、
火災熱による硬化体の爆裂を防止することができる。
【0019】有機質[短]繊維は、直径が0.08mm
未満の場合または長さが4.0mmを超える場合、混練
物の流動性(フロ−値;240mm以上)を保持するこ
とが困難なことから、また直径が0.12mmを超えた
場合、爆裂防止が不十分な場合があることから、さらに
長さが0.5mm未満の繊維は入手が困難なうえ、割高
となり経済的不利益が大き過ぎるから、いずれの場合も
好ましくない。
【0020】有機質[長]繊維は、直径が0.03mm
未満の場合または長さが12.0mmを超える場合、混
練物の流動性を保持することができないので、また、直
径が0.05mmを超える場合および長さが6.0mm
未満の場合、爆裂防止が不十分なので、いずれの場合も
好ましくない。
【0021】有機質繊維の配合量を説明する。前記有機
質[短]繊維の配合量は、2.0体積%以上4.0体積
%未満(外割)であり、混練物の流動性および硬化体の
強度から2.0〜3.7体積%(外割)が好ましい。配
合量が2.0体積%未満(外割)の場合、爆裂防止が不
十分であり、逆に、4.0体積%(外割)以上の場合、
硬化体が所定の圧縮・曲げ強度を発現しないので、いず
れの場合も好ましくない。
【0022】前記有機質[長]繊維の配合量は、0.5
〜1.0体積%である。配合量が0.5体積%未満の場
合、爆裂防止が不十分であり、逆に、1.0体積%を超
える場合、混練物の流動性が極端に低下するうえ、圧縮
強度も低下するので、いずれの場合も好ましくない。
【0023】耐爆裂性高強度セメント質硬化体を製造す
るために使用する繊維類以外の原材料について説明す
る。その原材料とは、セメント、ポゾラン質微粉末、骨
材、減水剤、鉱物質粉粒子など、従来から使用されてい
るものである。
【0024】本発明で使用するセメントは、普通・早強
・中庸熱・低熱ポルトランドセメント、高炉・フライア
ッシュセメントなどの混合セメントなどが挙げられ、適
宜選択して使用すれば良い。
【0025】ポゾラン質微粉末は、シリカフュ−ム、シ
リカダスト、フライアッシュ、スラグ、火山灰、シリカ
ゾル、沈降シリカなどが挙げられる。一般的に、シリカ
フュ−ムおよびシリカダストは、平均粒径が1.0μm
以下であり、そのまま使用できるので好ましい。
【0026】骨材は、従来の川砂、陸砂、海砂、砕砂な
どが挙げられる。使用する骨材は、最大粒径が2mm以
下のものを使用するのが好ましい。2mmを超える骨材
を配合すると、硬化体が前述した所定の圧縮・曲げ強度
を発現しない場合もあるので好ましくない。より好まし
い最大粒径は、1.5mm以下、さらに好ましいのは
1.0mm以下のものである。
【0027】減水剤は、従来から知られているリグニン
系、ナフタレンスルホン酸系、メラミン系、ポリカルボ
ン酸系の減水剤、AE減水剤、高性能減水剤、高性能A
E減水剤などが挙げられ、液状・粉末状を問わず使用す
ることができる。これらのうち、好ましいのは、減水効
果の大きい高性能減水剤または高性能AE減水剤であ
る。
【0028】鉱物質粉粒子は、石英粉末、および繊
維状粒子および/または薄片状粒子の2種に分けられ
る。石英粉末は、結晶質・非晶質石英の粉末、オパ−ル
質・クリストバライト質のシリカ含有粉末などが挙げら
れる。その平均粒径は、3〜20μmであり、好ましく
は4〜10μmである。平均粒径が3μm未満の場合、
混練物の流動性が悪くフロ−値を240mm以上に調製
するのが難しく、また、20μmを超える場合、反応性
が乏しくなり硬化体の圧縮・曲げ強度が低下し、いずれ
の場合も好ましくない。
【0029】繊維状粒子および薄片状粒子について、説
明する。繊維状粒子とは、ウォラストナイト、ボ−キサ
イト、ムライトなどの繊維状のものを言い、薄片状粒子
とは、マイカ、タルク、バ−ミキュライト、アルミナな
どのフレ−ク状のものを言い、1種または2種以上を混
合して使用することができる。これら粒子は、平均粒径
(ただし、繊維状粒子の場合は、平均長さを指す)が1
mm以下のものを使用するのが好ましい(注)。平均粒
径が1mmを超えた場合、混練物の流動性が低下するの
で、好ましくない。(注)繊維状粒子を[長さ/直径の
比(針状度)]で示すと、硬化体の靱性の観点から、3
以上のものを使用するのが好ましい。
【0030】次に、原材料として使用する前記ポゾラン
質微粉末、骨材、減水剤、鉱物質粉粒子(石英粉末およ
び繊維状・薄片状粒子)および水ついての配合量(セメ
ント100重量部に対する割合(重量部)で示す)につ
いて説明する。ポゾラン質微粉末(例;シリカフュ−
ム)の配合量は、5〜50重量部が好ましく、10〜4
0重量部がより好ましい。配合量が5重量部未満の場
合、混練物の流動性が悪くフロ−値が240mmに達せ
ず、かつ、硬化体が所定の圧縮・曲げ強度に達しないこ
ともあり、好ましくない。逆に、50重量部を超える場
合、単位水量の増加に伴い硬化体の圧縮・曲げ強度が低
下するので、やはり好ましくない。
【0031】骨材の配合量は、50〜250重量部が好
ましく、80〜180重量部がより好ましい。50重量
部未満では、混練物の流動性が低下するので、逆に、2
50重量部を超えると、所定の圧縮・曲げ強度に達しな
いので、いずれも好ましくない。
【0032】減水剤の配合量は、固形分換算で0.5〜
4.0重量部が好ましく、1.0〜2.0重量部がより
好ましい。配合量が0.5重量部未満の場合、減水効果
が小さく、混練物の流動性が悪くフロ−値も240mm
以下になるので、また、4.0重量部を超える場合、所
定の圧縮・曲げ強度を発現しないうえ、コスト高になる
ので、いずれの場合も好ましくない。
【0033】鉱物質粉粒子(石英粉末、および繊維
状粒子および/または薄片状粒子)の配合量を説明す
る。石英粉末の配合量は、10〜50重量部が好まし
く、20〜35重量部がより好ましい。石英粉末が10
重量部未満では、混練物の流動性が悪く、フロ−値の調
整が困難であり、逆に、50重量部を超えると、所定の
強度を発現しないので、いずれも好ましくない。
【0034】繊維状粒子及び/または薄片状粒子の配合
量は、5〜35重量部が好ましく、10〜25重量部が
より好ましい。配合量が5重量部未満の場合、該粒子が
分離して所定の圧縮・曲げ強度を発現しないこともある
ので、逆に、35重量部を超える場合、混練物の流動性
が低下しフロ−値の調整が困難なので、いずれの場合も
好ましくない。
【0035】水の配合量は、10〜30重量部が好まし
く、より好ましくは15〜25重量部である。配合量が
10重量部未満の場合、混練が困難になると共に、混練
物の流動性も悪く規定のフロ−値に達しないので、逆
に、30重量部を超える場合、硬化体が所定の圧縮・曲
げ強度を発現しないので、いずれの場合も好ましくな
い。
【0036】次に、前記原材料を使用し、その配合量に
したがって混練し、混練物を調製する。混練方法は、具
体的には、 1)原材料(水、減水剤を除く)を混合したプレミック
ス、水および減水剤をミキサに投入し、混練する方法、 2)原材料(水を除く)を混合したプレミックス(減水
剤は粉末状を使用する)および水をミキサに投入し、混
練する方法、 3)原材料をそれぞれ個別に順次ミキサに投入し、混練
する方法、 などの方法が例示される。本発明は、混練方法につい
て、上記例示その他の方法を含め、特に限定するもので
はない。
【0037】本発明は、混練物がフロ−値;240mm
以上の流動性を保持できるように調製しなけばならな
い。望ましいフロ−値は、245〜290mmである。
このように混練物の流動性を限定するのは、打設時間、
振動成形時間など作業時間の短縮はもとより、製造され
る硬化体を緻密質にし高強度にするためであって、極め
て重要な要件である。なお、フロ−値の測定方法は、後
記する。
【0038】そのうえ、該混練物は、高い流動性を保持
しているにも関わらず、材料分離抵抗性にも優れている
ので、一部の原材料が偏在して、被熱したさい硬化体が
部分的に爆裂するようなこともない。
【0039】混練に用いるミキサは、揺動型ミキサ、パ
ンタイプミキサ、二軸練りミキサなど、コンクリ−ト原
料混練用のミキサが利用でき、本発明では、これらにつ
いて特に限定しない。
【0040】前記混練物は、成形・打設し、気中・蒸気
養生などして硬化させる。成形・打設方法、養生方法な
どは、慣用の方法にしたがい特に限定するものではな
い。以上のようにして製造された硬化体は、圧縮強度;
150MPa以上、かつ、曲げ強度;30MPa以上を
発現可能な高強度セメント質硬化体である。
【0041】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて説明する。 (実施例1、比較例1〜5)原材料の配合量などを変え
て種々の高強度モルタルを製造し、その耐爆裂性を調べ
た。
【0042】1.使用した原材料 1)セメント:低熱ポルトランドセメント(太平洋セメ
ント(株)製) 2)ポゾラン質微粉末:シリカフュ−ム 3)細骨材:珪砂5号 4)金属繊維:鋼繊維(直径;0.2mm、長さ;15
mm) 5)高性能AE減水剤;ポリカルボン酸系 6)水:水道水 7)石英粉末:石英粉砕物(平均粒径7μm) 8)繊維状粒子:ウォラストナイト(平均長さ0.3m
m、長さ/直径比;4) 9)有機質[短]繊維:ビニロン繊維(直径;0.1m
m、長さ;1.0〜3.0mm) 10)有機質[長]繊維:ビニロン繊維(直径;0.04
mm、長さ;6.0mm
【0043】2.硬化体の製造 上記原材料を表1に示す配合量にしたがって二軸練りミ
キサ−に投入し混練してモルタル混練物を調製した。
【0044】
【表1】
【0045】3.混練物および硬化体の測定および結果 得られた混練物およびその硬化体について、各特性を次
に示す方法でそれぞれ測定した。 1)混練物について: ・フロ−値;「JIS R 5201(セメントの物理
試験方法)11.フロ−試験」に規定される方法に準じ
て測定する。ただし、測定過程で行なうべき15回の落
下運動は実施しない。
【0046】2)硬化体について: ・圧縮強度;混練物をφ50×100mmの型枠に流し
込み、20℃、48時間前置き後、90℃、48時間蒸
気養生し硬化させた。得られた硬化体の圧縮強度を測定
した(硬化体3本の平均値)。 ・曲げ強度;混練物を4×4×16cmの型枠に流し込
み、20℃、48時間前置き後、90℃、48時間蒸気
養生し硬化させた。得られた硬化体の曲げ強度を測定し
た(硬化体3本の平均値)。 ・爆裂性;混練物をφ50×100mmの型枠に流し込
み、20℃、48時間前置き後、90℃、48時間蒸気
養生し硬化させた。得られた硬化体を「ISO834」
の規定に準じて、耐火炉で1時間加熱し、冷却後爆裂の
有無を目視観察した。 混練物・硬化体についての測定結果を表2に記載した。
【0047】
【表2】
【0048】・実施例1(配合No.1)から、本発明
の製造方法にしたがって製造された高強度セメント質硬
化体(圧縮強度;150MPa以上、曲げ強度;30M
Pa以上を発現するモルタル)は、ISO規格に準じた
テストにおいて、十分に耐爆裂性を具備していることが
立証された。
【0049】・比較例1、3、5(配合No.2、N
o.4、No.6)から、有機質[短]繊維および/ま
たは有機質[長]繊維の配合量が不足している場合に
は、硬化体が爆裂することが確認された。 ・比較例2(配合No.3)から、有機質[短]繊維が
過剰に配合された場合、圧縮強度の低下が著しいことが
判明した。 ・比較例4(配合No.5)から、有機質[長]繊維が
過剰に配合された場合、混練物の流動性が極端に低下
(フロ−値が小さい)することが判明した。
【0050】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明は、
金属繊維および複数の有機質繊維などの繊維類、その寸
法・配合量を特定し組み合わせて配合し、かつ、混練物
を高流動性に保持させることを特徴とし、これにより、 ・高強度セメント質硬化体の爆裂の防止という効果を奏
する。しかも、繊維類の配合にも関わらず、高強度を十
分具備したままであるから、耐磨耗性、中性化、クリ−
プなど他の特性への影響も小さい、という長所を持った
硬化体の製造方法である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C04B 111:28 C04B 111:28 (72)発明者 森 大介 千葉県佐倉市大作2−4−2 太平洋セメ ント株式会社中央研究所内 (72)発明者 白井 一義 千葉県佐倉市大作2−4−2 太平洋セメ ント株式会社中央研究所内 (72)発明者 小林 裕 東京都新宿区西新宿一丁目25番1号 大成 建設株式会社内 (72)発明者 水野 敬三 東京都新宿区西新宿一丁目25番1号 大成 建設株式会社内 (72)発明者 道越 真太郎 東京都新宿区西新宿一丁目25番1号 大成 建設株式会社内 Fターム(参考) 4G012 PA19 PA24 PC14 PC15

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧縮強度が150MPa以上、かつ、曲
    げ強度が30MPa以上を発現する高強度セメント質硬
    化体の製造方法において、金属繊維を0.5〜4.0体
    積%(内割)、直径0.08〜0.12mmかつ長さ
    0.5〜4.0mmの有機質短繊維を2.0体積%以上
    4.0体積%未満(外割)、および直径0.03〜0.
    05mmかつ長さ6.0〜12.0mmの有機質長繊維
    を0.5〜1.0体積%(外割)が配合され、フロ−値
    が240mm以上に調製された混練物を成形し養生して
    硬化させることを特徴とする耐爆裂性高強度セメント質
    硬化体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記金属繊維が鋼繊維であることを特徴
    とする請求項1に記載の耐爆裂性高強度セメント質硬化
    体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記金属繊維の長さが2mm以上、か
    つ、長さ/直径の比が20以上であることを特徴とする
    請求項1または2に記載の耐爆裂性高強度セメント質硬
    化体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記有機質繊維が、ビニロン繊維、ポリ
    プロピレン繊維、ポリエチレン繊維、アラミド繊維から
    選ばれる1種または2種以上の混合繊維であることを特
    徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の耐爆裂性高強
    度セメント質硬化体の製造方法。
  5. 【請求項5】 混練物に含まれる骨材の最大粒径が2m
    m以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか
    に記載の耐爆裂性高強度セメント質硬化体の製造方法。
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