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JP2002153795A - 枚葉基板の製造方法および塗布装置 - Google Patents

枚葉基板の製造方法および塗布装置

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JP2002153795A
JP2002153795A JP2000349265A JP2000349265A JP2002153795A JP 2002153795 A JP2002153795 A JP 2002153795A JP 2000349265 A JP2000349265 A JP 2000349265A JP 2000349265 A JP2000349265 A JP 2000349265A JP 2002153795 A JP2002153795 A JP 2002153795A
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die
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coating
slit
coating liquid
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正弘 山本
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 (1)枚葉基板の表面のほぼ全範囲に均一な塗
布膜を形成することができ、一時的に塗布作業を中断し
た場合にダイの先端に付着した塗布液が乾燥するのを防
止できる枚葉基板の製造方法、および、(2)上記方法で
使用可能な塗布装置を提供すること。 【構成】 第1発明は、平面形状が矩形状の基板の上方
で、ダイを走行させながら、このダイのスリットから基
板表面に塗布液を吐出して枚葉基板を製造する方法にお
いて、まず、ダイを基板表面の塗布開始部の上方に移動
させて初期ビードを形成し、ついで、ダイを定常間隔へ
と移行させて定常塗布を行い、続いて、基板表面の塗布
終端部でサックバックを行うことを特徴とし、第2発明
は、上記方法で使用することができる塗布装置を要旨と
する。 【効果】 上記課題が解決される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、枚葉基板の製造方
法および塗布装置に関する。さらに詳しくは、液晶表示
ディスプレイやプラズマディスプレイ製造用のガラス基
板、半導体集積回路製造用のシリコンウエファー、光学
フィルター製造用のプラスチック基板などの基板の表面
に、ダイ・コーティング法によって、各種の塗布液を塗
布して、例えばフォトレジスト膜、絶縁膜または導電膜
などの塗布膜を形成して枚葉基板を製造する方法、およ
び、この方法に使用される塗布装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、液晶表示ディスプレイ、プラズマ
ディスプレイ、半導体デバイス、光学フィルターなどを
製造する際には、所定のサイズの矩形状に切断されたガ
ラス基板、シリコンウエファー、プラスチック基板など
の基板(枚葉基板)の表面に、用途に応じて各種の塗布
液を塗布して塗布膜を形成する方法が採用されている。
これら枚葉基板の表面に塗布膜を形成する方法として
は、スピン・コーティング法、ブレード・コーティング
法、バー・コーティング法、スプレー・コーティング
法、ロール・コーティング法などが提案され、実用化さ
れている。
【0003】上記した塗布膜形成方法の中でも、スピン
・コーティング法は、液晶表示ディスプレイ製造用のガ
ラス基板や半導体デバイス製造用のシリコンウエファー
に、フォトレジスト膜を形成する際に広く採用されてい
る。このスピン・コーティング法は、回転させた基板の
表面中央に塗布液を滴下し、遠心力によってこの塗布液
を薄く延ばして所定の厚さの塗布膜を形成する塗布方法
であり、この方法によると、形成する塗布膜の厚さを、
基板表面のほぼ全範囲に亘って比較的高精度に均一化す
ることができる。
【0004】しかし、上記したスピン・コーティング法
によると、基板表面に滴下した塗布液のうち、この基板
の表面上に残って塗布膜の形成に寄与するのはわずか数
%にすぎず、余った塗布液は遠心力によって基板の外部
に飛散されるため、塗布液の消費量が多く歩留まりが悪
いという欠点があった。また、このスピン・コーティン
グ法によると、基板の周縁や裏面に塗布液が付着するこ
とがあり、得られた枚葉基板の製品価値が低下するとい
う欠点がある上に、飛散された塗布液が塗布装置内に付
着してゲル化ないし固化することがあるため、この塗布
液の除去作業が繁雑であるという欠点もあった。
【0005】そこで近年では、ダイ・コーティング法に
よって基板の表面に予備塗布した後、上記したスピン・
コーティング法によって塗布液を均一化させるという省
液法や、ダイ・コーティング法のみによって基板に塗布
膜を形成する方法が提案されている。このダイ・コーテ
ィング法は、特開平6−339656号公報、特開平9
−206652号公報、特開平11−169769号公
報などに記載されているように、ダイに装備されたスリ
ットから塗布液を吐出しながら、基板の表面に沿ってこ
のダイを走行させて、基板の表面に塗布膜を形成する方
法である。このダイ・コーティング法によると、塗布液
供給機構によるダイへの塗布液の供給量を、ダイのスリ
ットから吐出される塗布液の吐出量と同一量とすること
により、塗布液の無駄を省いて連続的に塗布膜を形成す
ることができる。
【0006】上記したダイ・コーティング法は、ロール
状に巻回された樹脂フィルムや金属箔などのような連続
体に塗布液を塗布する場合には極めて優れた塗布方法で
あるが、前記したような平面形状が矩形状の基板(枚葉
基板)に塗布液を塗布する場合には、この枚葉基板の表
面の塗布開始端と塗布終了端に形成される塗布膜の厚さ
が、枚葉基板の表面の中央部分に形成される塗布膜の厚
さに比較して厚くなり易く、全体として厚さが不均一に
なり易いという欠点がある。特に、液晶ディスプレイ用
のカラーフィルターの製造工程で、ガラス基板に着色層
を形成する場合には、上記のように厚さが不均一になる
と製品の表面に色ムラが生じ、製品価値が低下するとい
う欠点があった。
【0007】また、複数枚準備した枚葉基板に塗布液を
塗布する場合には、移送機構によって枚葉基板を順次入
れ替えながら塗布することとなるが、この際に移送機構
に故障が発生することがあり、一時的に塗布作業を中断
しなければならない場合がある。この不測の中断の場
合、ダイのスリットの先端に付着した塗布液は、溶媒の
蒸発によって乾燥固化することがあり、ダイのスリット
の先端を再度溶媒に浸しても、乾燥固化した塗布液が十
分に溶解せず、塗布作業の再開が困難となることがあ
る。この塗布液の乾燥固化を防止する手法として、特開
平10−216598号公報に記載されているように、
ダイのスリット先端に付着した塗布液を清掃機構によっ
て除去する手法が提案されているが、この公報に開示さ
れている清掃機構は構造が極めて複雑であるため取り扱
い難いという欠点があった。
【0008】
【発明が解決しようとした課題】本発明者は、上記した
状況に鑑み、従来のダイ・コーティング法によって枚葉
基板の表面に塗布膜を形成する際に、この塗布膜の厚さ
が不均一となるという欠点や、不測の事態によって一時
的に塗布作業を中断した場合に、ダイのスリットの先端
に付着した塗布液が乾燥固化して塗布作業の再開が困難
となるという欠点を一挙に解決すべく鋭意研究を重ねた
結果、本発明を完成するに至ったものである。
【0009】本発明の目的は、次のとおりである。 1.ダイ・コーティング法を用いて、基板の表面のほぼ
全範囲に均一な塗布膜を形成することができる、枚葉基
板の製造方法を提供すること。 2.不測の事態によって一時的に塗布作業を中断した場
合にも、ダイのスリットの先端に付着した塗布液が乾燥
固化するのを防止することができ、塗布作業を迅速に再
開することができる枚葉基板の製造方法を提供するこ
と。 3.上記した枚葉基板の製造方法に使用することができ
る塗布装置を提供すること。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の第1発明では、平面形状が矩形状の基板の
上方で、塗布液吐出用のスリットを備えたダイをスリッ
トの延在する方向とほぼ直角方向に走行させながら、こ
のスリットから基板表面に塗布液を吐出して枚葉基板を
製造するにあたり、まず、基板表面の塗布開始部の上方
にダイを移動させ、基板表面とダイのスリットの先端と
の間隔を定常間隔より狭い間隔としてこのスリットと塗
布開始部との間に初期ビードを形成し、ただちに、ダイ
のスリットから塗布液を吐出しながらダイを若干上昇さ
せて初期ビードを定常ビードへと移行させ、ついで、ス
リットへの塗布液供給速度とダイの走行速度とを同期さ
せて定常ビードを保持したままダイを基板表面に沿って
走行させ、続いて、基板の塗布終端部で、基板表面とダ
イのスリットの先端との間隔を定常間隔ないしそれ以下
の間隔に調節しながら、定常ビードのサックバックを行
うことを特徴とする、枚葉基板の製造方法を提供する。
【0011】また、第2発明では、平面形状が矩形状の
基板を載置可能な載置台と、この載置台上に載置される
基板表面に対して狭い間隔を隔てて配置され、基板表面
に沿って走行可能で基板表面上に塗布液を吐出可能なダ
イとが装備されてなる塗布装置において、ダイには、塗
布液吐出用のスリット、塗布液供給機構、昇降機構、走
行機構およびサックバック機構がそれぞれ装備され、ダ
イの走行方向終端部近傍には、載置台から若干隔離させ
て、ダイのスリットと平行にディスペンス・ロールが配
置され、このディスペンス・ロール表面の最上部とダイ
のスリットの先端との間隔が、基板表面とダイのスリッ
トの先端との間隔とほぼ同一の間隔とされてなることを
特徴とする塗布装置を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明方法は、平面形状が矩形状の基板(枚葉基板)の
表面のほぼ全範囲に均一な塗布膜を形成する、枚葉基板
の製造方法である。ここで、本発明において「基板の表
面のほぼ全範囲」とは、枚葉基板の塗布開始部側の周縁
から5mm幅の部分と、塗布終端部側の周縁から2mm幅の
部分とを除いた枚葉基板の表面の全範囲を意味し、「均
一な塗布膜」とは、厚さの変動が1%以内にある塗布膜
を意味する。
【0013】本発明方法を実施する際には、基板を載置
可能な載置台と、この載置台上に載置される基板表面に
沿って走行可能で、基板表面上に塗布液を吐出可能で、
かつ、サックバック可能なダイとを備えた塗布装置を使
用する。本発明方法によって製造される枚葉基板は、液
晶表示ディスプレイやプラズマディスプレイ製造用のガ
ラス基板、半導体集積回路製造用のシリコンウエファ
ー、光学フィルター製造用のプラスチック基板などであ
って、平面形状が矩形状のものを挙げることができる。
基板表面上に吐出される塗布液の種類としては、ネガ型
レジスト、ポジ型レジスト、平坦化剤、導電用高分子、
絶縁用高分子などを挙げることができ、本発明では、以
下これらを総称して「塗布液」と記載し、塗布液によっ
て形成される薄膜を「塗布膜」と記載する。
【0014】載置台は、平面形状が矩形状の基板を水平
に載置可能な構造のものであればよい。この載置台の基
板を載置する平面(基板載置面)は、基板の表面に塗布
膜が均一に形成されるように、水平度・平滑度の高い平
面とされるのが好ましい。この観点から、平滑度の高い
グラニット定盤が好適である。この載置台の大きさは、
塗布液を塗布する基板の大きさに応じて適宜決めること
ができる。載置台は、架台に固定するのが好ましい。
【0015】ダイは、塗布液吐出用のスリット、塗布液
供給機構、昇降機構、走行機構およびサックバック(吸
引)機構がそれぞれ装備されたものを使用することがで
きる。ダイのスリットは、塗布液供給機構から供給され
た塗布液を基板表面に吐出し、サックバック機構を稼働
させた際には余分な塗布液を吸引する機能を果たす。こ
のスリットは、フロント・リップとリア・リップによっ
て形成される(後記、図3参照)。フロント・リップと
リア・リップとの間隔(以下、「スリット間隔」とい
う)は、20μm〜300μm程度とすることができ、
特に、この範囲の中でも20μm〜50μmとすると、
サックバックの際にスリット内に空気が吸い込まれても
多数の独立気泡が形成されることがないので、好まし
い。
【0016】上記したフロント・リップおよびリア・リ
ップのエッジ面(基板と対向する面)のダイ走行方向に
沿った長さは1mm以内とされるのが好ましく、特に0.
3mm程度が好ましい。これらリップのエッジ面の長さが
1mmより長いと、後記する初期ビードを定常ビードへと
移行させる際に、メニスカスの位置がエッジ面の外側か
ら内側に移動するため、この際に形成される塗布膜の厚
さが厚くなることがあり、かつ、塗布終端部において大
量の塗布液が溜まることがあり、従って大量の塗布液を
サックバックしなければならなくなるので好ましくな
い。
【0017】ダイの内部には、ダイの走行方向と垂直に
延在するスリットの幅と同一幅、ないし、このスリット
の幅よりも若干広幅のマニホールドを設けるのが好まし
い。このマニホールドを設けることにより、塗布液供給
機構から供給された塗布液をスリット全幅に亘って行き
渡らせ、この塗布液の吐出圧力を均一に調整した上で吐
出することができる。また、上記したスリット間隔を調
節するためのシムを設けることもできる。
【0018】ダイの塗布液供給機構は、所定の塗布液タ
ンクから、所定量の塗布液をダイの塗布液供給口へと供
給するものである。この塗布液供給機構の代表的なもの
としては、ギヤポンプ、ダイヤフラムポンプ、シリンジ
ポンプなどの容積式ポンプによって塗布液タンクから配
管を介して塗布液供給口へと塗布液を供給する機構を挙
げることができる。
【0019】上記した容積式ポンプは、通常、三方切り
替え弁を介して塗布液タンクおよびダイの塗布液供給口
に連接され(後記、図2参照)、この三方切り替え弁の
切り替え動作と、容積式ポンプの往復動作によって、塗
布液の供給時期や供給量を調節することができる。な
お、上記した容積式ポンプを用いる場合には、塗布液タ
ンクと容積式ポンプとの間に、異物除去を目的としたフ
ィルターを設けることもできる(後記、図2参照)。塗
布液供給口に供給された塗布液は、マニホールドを経由
して、スリットから吐出される。
【0020】ダイの昇降機構は、ダイを適宜上昇または
降下させてダイの上下方向の位置を制御するものであ
る。具体的には、基板の塗布開始部にダイのスリットの
先端を近接させる際や、ダイの走行開始直後にダイを若
干上方に移動させてダイのスリットの先端と基板表面と
の間に形成された初期ビードを定常ビードへと移行させ
る際や、ダイの定常走行状態から基板の塗布終了部にダ
イのスリットの先端を近接させる際などに、後記する走
行機構と連動して、ダイの位置を制御するように機能す
る。この昇降機構は、上記機能を果たすものであればい
かなる構造のものでもよい。
【0021】ダイの走行機構は、載置台に載置された基
板表面に沿ってダイを走行させるものであり、上記した
昇降機構と連動して、ダイの位置を制御するように機能
する。この走行機構は、上記機能を果たすものであれば
いかなる構造のものでもよく、例えば、ダイの走行方向
に沿って載置台の両端部に設けられたリニアモーター
と、ダイの両端部に設けられたスライダーとによって構
成することができる(後記、図1参照)。前記した塗布
液供給機構による塗布液供給速度と、この走行機構によ
るダイの走行速度とを同期させることにより、基板の表
面のほぼ全範囲に均一な塗布膜を形成することができ
る。
【0022】ダイのサックバック機構は、塗布終端部で
ダイの走行を停止させた際に基板表面に吐出されている
余剰塗布液を、サックバックするものである。このサッ
クバック機構は、上記機能を果たすものであればいかな
る構造のものでもよく、前記した塗布液供給機構と別構
造とすることもできるが、塗布液の供給と吸引の双方の
動作を可能とする構造が好ましく、例えば、塗布液の供
給と吸引の双方が可能なシリンジ・ポンプを挙げること
ができる。
【0023】本発明方法を実施する際には、上記したよ
うな載置台およびダイを備えた塗布装置を使用するが、
この塗布装置には、載置台から若干隔離させて、ダイの
走行方向終端部近傍にディスペンス・ロールを配置する
のが好ましい(後記、図1参照)。このディスペンス・
ロールは、(1)後記する基板移送機構によって塗布後の
基板を載置台から取り除き、新たな基板を載置台に載置
する操作を行っている間にサックバック戻しを行う間、
または、(2)不測の事態が発生して基板への塗布作業を
中断している間、回転させているディスペンス・ロール
表面にダイを移動させ、ロール表面にダイのスリットか
ら塗布液を少量吐出させて、塗布液がダイのスリットの
先端で乾燥固化するのを防止するという機能を果たす。
【0024】ディスペンス・ロールの構造は、駆動機構
によって連続的に中心軸を軸として回転可能とされた円
筒状のロールとされる。この円筒状のロールは、金属ま
たは合成樹脂によって調製することができる。また、ダ
イを走行機構によってディスペンス・ロールの上方に移
動させたときに、ディスペンス・ロール表面の最上部と
ダイのスリットの先端との間隔が、基板表面とダイのス
リットの先端との定常間隔とほぼ同一の間隔となるよう
に、このディスペンス・ロールの位置を決定する。
【0025】サックバック戻しを行う場合には、ディス
ペンス・ロールの回転速度を、ダイを基板表面に沿って
走行させる際の定常走行速度とほぼ同一の速度に調節
し、ダイの塗布液の吐出量を、定常走行時における吐出
量とほぼ同一にすることにより、基板上への塗布状態と
ほぼ同一条件とすることができる。また、ダイからの塗
布液の吐出状態をより迅速に調節する目的で、ディスペ
ンス・ロールの回転速度を上記した定常走行速度の2倍
の速度に調節し、ダイの吐出量を2倍とすることもでき
る。なお、基板移送機構に突発的に故障が発生した場合
には、ディスペンス・ロールの表面に吐出させる塗布液
の吐出量は、塗布液がダイのスリットの先端で乾燥固化
するのを防止できる最小限度の量とし、塗布液の乾燥固
化を防止できれば連続的に塗布液を吐出させる必要はな
く、間歇的に吐出させることで目的が達成できる。
【0026】ディスペンス・ロール近傍には、ドクター
ブレードを設けるのが好ましい(後記、図4参照)。こ
のドクターブレードは、回転させたディスペンス・ロー
ルの表面に付着した塗布液を連続的に掻き落とすという
機能を果たす。このドクターブレードによってディスペ
ンス・ロール表面を絶えず塗布液のない状態にしておく
ことにより、ディスペンス・ロール表面とダイのスリッ
トの先端との間に、基板上への塗布状態と同様の定常ビ
ードを形成することができる。
【0027】なお、ディスペンス・ロールの回転を一定
時間停止させると、上記したドクターブレードとディス
ペンス・ロール表面との間に筋状の塗布液溜りが形成さ
れ、この塗布液溜りが乾燥固化(粉化)して塵芥が発生
することがある。これを放置したままディスペンス・ロ
ールを回転させると、この塵芥がドクターブレードとデ
ィスペンス・ロールとの間をすり抜けてダイのスリット
先端に付着し、その後の塗布作業に悪影響を及ぼすこと
があるので、これを防止するために、ディスペンス・ロ
ール近傍にスプレー式の溶媒噴霧装置を設け(後記、図
4参照)、定期的にディスペンス・ロール表面上に溶媒
を噴霧して、上記した塗布液溜りの乾燥固化を防止する
のが好ましい。
【0028】本発明方法によって、複数の枚葉基板に塗
布液を塗布する際には、基板を載置台の表面に移送する
基板移送機構を設けるものとする。この基板移送機構と
しては、通常用いられているアンローディング・ローデ
ィング装置を挙げることができる。また、載置台近傍に
は、載置台の基板載置面の水平度を記憶させるトランス
デューサーを設けることができる。この機構によって、
ダイを交換した後においても、ダイのスリットの先端の
エッジ面を、容易に、載置台の基板載置面と平行にする
ことができる。さらに、載置台近傍には、塗布液用の溶
媒と同一の溶媒蒸気を充満させたポットを配置するのが
好ましい。塗布作業を比較的長時間休止する際には、上
記した溶媒蒸気を満たしたポット内にスリット先端を封
入することにより、スリット先端に付着した塗布液の乾
燥固化を防止することができる。
【0029】ダイの近傍には、載置台上に載置した基板
の位置および厚さを測定するセンサーを設けることがで
きる。このセンサーと載置台との隔たり、および、この
センサーと基板との隔たりを測定し、これらの測定値を
演算装置に入力して演算を行うことにより、基板の位置
と厚さ分布を出力することができる。また、ダイのスリ
ットの先端の位置の測定値と、上記の手順によって出力
した基板の位置および厚さ分布とを演算装置に入力して
演算を行うことにより、基板表面とダイのスリットの先
端との間隔の不均一さを検出することができる。この不
均一さに応じてダイの高さを調節しながら走行させるた
めに、上記した間隔を自動調節する機構、例えば、ダイ
の左右高さ調節装置を設けることもできる。
【0030】サックバックの際にダイのスリット内に空
気が気泡となって混入した場合、または、塗布開始前に
マニホールド内に空気が残存している場合には、この気
泡がスリット内で塗布液の流れを乱したり、塗布液の供
給を停止させた際に、この気泡の膨脹によってスリット
内に残存する塗布液が先端へ押し出されることがある。
この場合、適切なサックバックやサックバック戻しが困
難となったり、塗布作業時に塗布液の吐出量を制御する
ことも困難となる。このため、ダイのスリット内または
マニホールド内の空気を抜く目的で、ダイ自体の回転機
構を設けるのが好ましい。
【0031】上記した回転機構としては、スリットの延
在方向に平行に設けられた軸を中心としてダイを上下反
転させて、ダイのスリットを上側に配置できるようにし
た構造のものを挙げることができる。この種回転機構を
用いて空気抜きを行うには、ダイを、上記軸を中心にし
て90°以上回転させて、スリットの先端を上記軸の高
さよりも若干上方に位置させ、この状態で塗布液を吐出
させながら空気を排出する方法を採用することができ
る。
【0032】以上に記載した塗布装置の主要部分である
走行機構、昇降機構、塗布液供給機構、サックバック機
構、および、ディスペンス・ロールの各動作や、この塗
布装置の付属部分である基板移送機構、センサー、ダイ
の左右高さ調節装置などの各動作は、あらかじめ設定し
てコンピューターに入力しておき、コンピューターによ
って制御するのが好ましい。特殊な場合、例えば、上記
各機構に不測の事態が発生した場合や、載置台の平行度
をトランスデューサーを用いて記憶させる場合などに
は、手動に切り替えて操作可能とするのが好ましい。
【0033】本発明の第1発明に係る枚葉基板の製造方
法においては、前記した塗布装置を使用し、まず、基板
表面の塗布開始部の上方にダイを移動させ、基板表面と
ダイのスリットの先端との間隔を定常間隔より狭い間隔
としてこのスリットと塗布開始部との間に初期ビードを
形成する(後記、図5参照:以下、「操作1」とい
う)。この操作1の際には、前記の走行機構および昇降
機構を連動させることにより、ダイのスリットの先端
を、基板表面の塗布開始部とこのスリットの先端との間
にメニスカスを形成するために必要な間隔(初期メニス
カス形成間隔)まで近接させ、かつ、このメニスカスを
形成するために必要な最低限の塗布液を供給する。な
お、本発明において「メニスカス」とは、塗布液と空気
との間の界面(気液界面)を意味する。
【0034】上記のように初期ビードを形成した後、た
だちに、ダイのスリットから塗布液を吐出しながらダイ
を若干上昇させて初期ビードを定常ビードへと移行させ
る(後記、図6参照:以下、「操作2」という)。この
操作2の際には、塗布液の吐出速度とダイの上昇速度と
を調節して初期ビードを定常ビードへと移行させ、基板
表面の塗布開始部近傍に均一な塗布膜を形成するように
する。この際、ダイの上昇速度に対して塗布液の吐出速
度が大きすぎると、ダイのスリットの先端の側面に塗布
液が付着し、これが乾燥固化して円滑な塗布作業を妨げ
るので好ましくない。また、ダイの上昇速度に対して塗
布液の吐出速度が小さすぎると、初期ビードから定常ビ
ードへの移行の際に塗布液が不足し、塗布膜が薄くなる
ので好ましくない。
【0035】ついで、スリットへの塗布液供給速度とダ
イの走行速度とを同期させて定常ビードを保持したまま
ダイを基板表面に沿って走行させる(以下、「操作3」
という)。この操作3の際には、前記したようなダイの
塗布液供給装置によって塗布液タンクから所定量の塗布
液を供給し、ダイの走行速度を走行機構によって所定の
速度に調整する。このように、ダイのスリットへの塗布
液供給速度とダイの走行速度とを同期させることによ
り、基板の表面のほぼ全範囲に均一な塗布膜を形成する
ことができる。
【0036】続いて、基板の塗布終端部で、基板表面と
ダイのスリットの先端との間隔を定常間隔ないしそれ以
下の間隔に調節しながら、前記した定常ビードのサック
バックを行う(以下、「操作4」という)。すなわち、
(1)ダイの昇降機構によってダイを降下させて、定常間
隔よりも狭い間隔でダイのスリットの先端を基板の塗布
終端部に近接させながら、前記したようなダイのサック
バック機構によってサックバックを行う(後記、図7参
照)か、または、(2)基板表面とダイのスリットの先端
との間隔を定常間隔に維持したまま、サックバックを行
う。
【0037】上記(2)の場合には、幅広いダイのスリッ
トの全幅に亘って均一にサックバックすることは、通常
困難であるため、塗布終端部において定常間隔でサック
バックを行った後、ダイを降下させて定常間隔よりも狭
い間隔でダイのスリットの先端を基板表面に近接させ、
ダイのスリットの先端と基板表面との間に再度ビードを
形成した後、サックバックを行うのが好ましい(後記、
図8参照)。この操作を行うことによって、ダイのスリ
ットの全幅に亘って安定的にサックバックを行うことが
できる。
【0038】操作1のように、上記した初期メニスカス
形成間隔で初期ビードを形成し、ついで、操作2で、ダ
イを定常間隔に移行させることにより、基板の表面や裏
面に異物が存在した場合でも、その影響を避けることが
できる。操作1の初期ビードの形成を、上記した初期メ
ニスカス形成間隔で行わずに定常間隔で行った場合に
は、基板の塗布開始部に塗布液溜まりが生じ、この部分
で塗布膜の厚さが厚くなるので好ましくない。また、低
粘度、具体的には粘度が20cP以下の塗布液を用いた場
合や、薄い塗布膜、具体的にはウエット厚さ20μm以
下の塗布膜を形成する場合には、初期ビードの形成を上
記したように定常間隔で行うと、ダイを走行させるに従
って塗布膜の厚さが徐々に薄くなり、均一な塗布膜を得
るまでの距離が長くなるので好ましくない。
【0039】なお、操作1においては、ダイのスリット
からの塗布液の吐出速度を操作3における吐出速度より
遅くして、初期ビードの形成操作を精確に行うのが好ま
しい。また、操作2においては、ダイの上昇速度と塗布
液の吐出速度との双方を可及的速くし、初期ビードから
定常ビードへの移行に要する時間を可及的短くするのが
好ましい。塗布液の粘性や基板表面の物性にもよるが、
操作1の初期メニスカス形成間隔は、20μm〜100
μmの範囲とするのが好ましく、このメニスカスを形成
するために必要な塗布液の最低量は、ダイのスリットを
形成するリップのエッジ面の単位長さ(1cm)あたり、
0.2μl〜1.0μlの範囲とするのが好ましい。
【0040】操作3の際には、昇降機構によってダイを
若干上昇させ、初期メニスカス形成間隔よりも若干広い
定常間隔でダイを走行させる。なお、基板の裏面に異物
が存在して基板が部分的に浮き上がっていることが塗布
前に認識された場合には、前記したようなダイの左右高
さ調節機構によってダイのスリットの先端と基板表面と
の間隔を一定間隔に制御しながらダイを走行させること
もできる。なお、高速塗布するためには、上記した定常
間隔を狭くすることを要するが、この定常間隔は、基板
の表面粗さや載置台の基板載置面の水平度・平滑度によ
って決めるのが好ましい。この定常間隔は、通常、30
μm〜200μmの範囲とすることができ、中でも50
μm〜150μmの範囲が特に好ましい。
【0041】なお、本発明方法においては、上記操作1
ないし操作4を経て基板への塗布液の塗布を完了した
後、前記したアンローディング装置によってこの塗布後
の基板を載置台から別の載置場所へ移送し、かつ、ロー
ディング装置によって新たな基板を載置台の表面へと載
置する間に、前記したディスペンス・ロール上でサック
バック戻し(サックバックした塗布液を再度吐出するこ
と)を行うのが好ましい。このサックバック戻しは、ダ
イのスリットの先端における塗布液の状態を調節するた
めに行う操作である。サックバック戻しの初期段階では
塗布液の吐出量は不均一であるが、ディスペンス・ロー
ル上で前記したように一定時間吐出を行った後に塗布液
の供給を停止することにより、ダイのスリットの先端の
塗布液の状態を、所定の塗布開始状態に調節することが
できる。
【0042】上記したような基板の入れ替えの際に要す
る時間は比較的短いため、この間にダイのスリットの先
端に付着した塗布液が乾燥して、その後の塗布作業に支
障をきたすことはほとんどないが、上記したアンローデ
ィング・ローディング装置にが故障するなどの不測の事
態が発生して、一時的に塗布作業を中断しなければなら
ない場合がある。この場合、前記したように、ダイのス
リットの先端に付着した塗布液が、溶媒の蒸発によって
乾燥固化してしまい、この後に塗布作業を続行すること
が困難となる場合がある。
【0043】このような不測の事態が発生した場合に
は、ダイを前記したポットへと移動させ、このダイのス
リットの先端近傍を溶媒蒸気でみたしたポット内に封入
して、このスリットの先端の乾燥を抑制するが、先端の
乾燥を完全に抑制することが困難であるので、前記した
とおり、定期的にダイをディスペンス・ロール上に移動
させ、このディスペンス・ロールを回転させながら、ダ
イのスリットから塗布液を吐出することにより、ダイの
スリットの先端に付着した塗布液が乾燥固化するのを防
止することができる。
【0044】
【実施例】以下に本発明を図面に基づいて詳細に説明す
るが、本発明は、その趣旨を超えない限り、以下の記載
例に限定されるものではない。
【0045】図1は、本発明に係る塗布装置の主要部の
一例の斜視図であり、図2は、図1に示した塗布装置の
全体の概略図であり、図3は、図1の塗布装置に装備さ
れるダイの一例の一部概略側面図である。図4は、図1
の塗布装置に装備されるディスペンスロール近傍の機構
の一例の概略側面図である。図5は、図3のダイのスリ
ットの先端と基板との間に初期ビードを形成した状態の
一例の拡大概略側断面図であり、図6は、図5の状態か
らダイを若干上方に移動させて定常ビードを形成した状
態の一例の拡大概略側断面図である。図7は、本発明方
法におけるダイの走行経路の一例を示した概略図であ
り、図8は、本発明方法におけるダイの走行経路の他の
例を示した概略図である。
【0046】図1は、本発明方法で使用することができ
る塗布装置100の主要部を示している。図1に示すと
おり、塗布装置100には載置台10とダイ20とが装
備されている。この載置台10は水平度・平滑度の高い
グラニット定盤であり、架台12に装備されている。ダ
イ20には、昇降機構30とスライダー40とが装備さ
れ、このスライダー40は、載置台10に装備された走
行機構であるリニアモーター11によって、載置台10
上を往復走行可能とされている。
【0047】ダイ20は、載置台10の表面に基板を載
置した状態で、この基板の塗布開始部から塗布終端部へ
と走行させながら塗布液を吐出することによって、この
基板の表面に塗布膜を形成するものであり、基板表面に
塗布膜を形成した後には、図示していない基板移送機構
によって、載置台10上の基板を移送し、次いで、新た
な基板を載置して再度塗布作業を再開する。
【0048】また、図1に示すように、ダイ20には複
数のセンサー50が装備されている。このセンサー50
によって、センサー50と載置台10の表面との隔た
り、および、センサー50と基板表面との隔たりを測定
し、これら測定値に基づき、図示されていない演算装置
を用いて、基板の位置および厚さ分布を算出することが
できる。塗布の際には、この基板の厚さ分布を参照しな
がら、図示されていないダイ左右高さ調節装置によって
ダイ20の左右の高さを調整しながら、塗布を行うこと
ができる。
【0049】さらに、図1に示すように、ダイ20の走
行終端部側には、載置台10に隣接させて、ディスペン
ス・ロール60および密閉式のポット70およびが装備
されている。上記ポット70は、ダイ20の塗布作業休
止時に、このダイ20のスリットの先端の乾燥を防止す
るように機能するものである。なお、ダイ20には、上
記した昇降装置30およびスライダー40のほか、図示
されていない塗布液供給機構およびサックバック機構が
装備されている。
【0050】図2は、図1に示した塗布装置100の全
体の概略図を示している。この図2には、塗布液タンク
81と、塗布液を供給可能なシリンジ・ポンプ82と、
塗布液の流れの切り替えを行う三方切り替え弁83とが
示されており、これらは、図1で図示しなかった塗布液
供給機構80を構成する。なお、シリンジ・ポンプ82
は、塗布液の吸引も可能であるためサックバック機構と
しても機能する。塗布液タンク81と三方切り替え弁8
3との間には、塗布液中の異物を除去するためのフィル
ター84が設けられている。この塗布装置100に装備
されているリニアモーター11、昇降装置30、シリン
ジ・ポンプ82、および、ディスペンス・ロール60
は、それぞれ多軸コントローラー90によって駆動さ
れ、これら各機構の動作はコンピューター91によって
制御される。
【0051】図3は、塗布装置100に装備されるダイ
20の一部概略側面図である。このダイ20のスリット
21は、フロント・リップ22およびリア・リップ23
によって形成されており、スリット21の上方には、こ
のスリット間隔を調整するシム24が装備されている。
上記した塗布液供給機構80によって供給された塗布液
は、塗布液供給口25を経由してマニホールド26に流
入し、ダイ20のスリットの全幅に亘って均一に広がっ
た後、スリット21内を流下する。
【0052】図4は、ディスペンス・ロール60の周辺
の機構を示している。ディスペンス・ロール60は、前
記したように多軸コントローラー90で駆動され、コン
ピューター91によってその回転動作を制御されてお
り、その近傍には、吐出された塗布液を掻き取るドクタ
ーブレード61が設けられている。また、このディスペ
ンス・ロール60の近傍には、溶媒噴霧装置62が設け
られており、前記したとおり、ディスペンス・ロール6
0表面に付着した塗布液溜まりが乾燥固化(粉化)し、
これによって発生した塵芥がドクターブレード61とデ
ィスペンス・ロール60との間をすり抜けて、ダイ20
のスリット21先端に付着することがないように、溶媒
をディスペンス・ロール60表面に定期的に噴霧するよ
うに機能する。
【0053】上記した塗布装置100を使用して基板に
塗布液を塗布するには、まず、三方切り替え弁83を塗
布液タンク81側に切り替えた状態で、塗布液タンク8
1からシリンジ・ポンプ82で塗布液の吸引を行い、つ
いで、三方切り替え弁83をダイ20側に切り替えた状
態で、塗布液をシリンジ・ポンプ82でダイ20へと供
給し、ダイのスリットから吐出させる。この動作を開始
した当初においては、塗布液タンク81とダイ20とを
繋ぐ配管内に空気が充填されているので、この配管内の
空気が全て塗布液で置換されるまで上記操作を繰り返し
行う。この操作においては、ダイ20のスリット内の空
気抜きも併せて行う。
【0054】上記操作の後、ダイ20を元の状態に戻
し、上記したポット70に移動させて待機状態とする。
この後、基板を載置台10に載置して真空吸着し、載置
台(グラニット定盤)10の水平度を基板に反映させ
る。次いで、ダイ20をディスペンス・ロール60の上
に移動させる。このとき、ダイ20のスリット21とデ
ィスペンス・ロール60の表面の最上部との間隔が、ダ
イ20のスリットと基板の表面との定常間隔とほぼ同一
になるように、ダイ20の位置を調節する。
【0055】ついで、ディスペンス・ロール60の回転
を開始した後、ダイ20のスリット21から塗布液を吐
出して、吐出状態を、基板に塗布する際と同様の状態に
調節した後に、塗布液の供給を止める。この際にディス
ペンス・ロール60の回転を持続させることにより、デ
ィスペンス・ロール60とダイ20のスリット21の先
端との間に形成されるメニスカスは、ディスペンス・ロ
ール60の回転方向に引きずられて最終的にスリット2
1の先端から離れる。この操作により、スリット21の
先端の状態を常に一定の状態に調節することができ、迅
速かつ確実に塗布を開始することができる。
【0056】ついで、ダイ20をディスペンス・ロール
60の位置から、基板表面の塗布開始部へと移動させ
る。この際、ダイ20に装備したセンサー50と演算装
置を用いて、上記したように基板の位置および厚さ分布
を算出すると、このデータに基づいて、ダイ20の左右
高さを調整しつつ塗布することができる。ダイ20を塗
布開始点まで移動させ、ダイ20のスリットと基板表面
との間に初期ビードが形成される位置までダイ20を降
下させた後、シリンジ・ポンプ82によって塗布液の供
給を行う。
【0057】この際に形成される初期ビードBpを図5
に示す。この際には、このダイ20のスリット21の先
端と基板200との間にメニスカスMが形成される。初
期ビードBpを形成する際には、ダイ20のスリット2
1の先端を、基板200の表面の塗布開始部とこのスリ
ット21の先端との間が、このメニスカスMを形成する
ために必要な間隔(初期メニスカス形成間隔)Dpとな
るまで近接させ、かつ、このメニスカスMを形成するた
めに必要な最低限の塗布液を供給する。
【0058】ついで、初期メニスカス形成間隔Dpから
ダイ20を若干上昇させながら走行を開始させ、定常間
隔Dcに移行させて塗布液の塗布を行う。この際、塗布
液供給速度とダイ20の走行速度とを同期させ、図5に
示した初期ビードBpを、図6に示した定常ビードBc
に移行させる。続いて、基板の塗布終端部において、定
常間隔以下の間隔Dtまでダイ20を降下させながら、
定常ビードBcをサックバック(吸引)する。この際、
吸引する塗布液の量は非常に少量で良いが、ビードを均
等に吸引するためには、比較的高速で吸引する必要があ
る。このようにサックバックを行うことにより、基板の
塗布終端部に形成される塗布膜の厚さを、定常塗布部に
形成される塗布膜の厚さとほぼ同一とすることができ、
基板表面のほぼ全範囲に均一な塗布膜を形成することが
できる。以上の一連の塗布操作におけるダイ20の走行
経路を、図7に示した。
【0059】なお、ダイ20を初期塗布状態から定常塗
布状態へと移行させる際には、図8に示すように、初期
メニスカス形成間隔Dpからダイ20を定常間隔Dcま
で上昇させた後に、走行を開始させてもよい。また、ダ
イ20を定常塗布状態から終端塗布状態へと移行させる
際には、この図8に示すように、ダイ20を定常間隔D
cを塗布終端部まで維持しつつ走行させながらサックバ
ックを行い、かつ、ダイ20を基板200の表面へと降
下させて再度サックバックを行ってもよい。
【0060】
【発明の効果】本発明は、以上詳細に説明したとおりで
あり、次のような特別に有利な効果を奏し、その産業上
の利用価値は極めて大である。 1.本発明の第1発明に係る枚葉基板の製造方法によれ
ば、まず、基板表面の塗布開始部の上方にダイを移動さ
せ、基板表面とダイのスリットの先端との間隔を定常間
隔より狭い間隔としてこのスリットと塗布開始部との間
に初期ビードを形成し、ただちに、ダイのスリットから
塗布液を吐出しながらダイを若干上昇させて初期ビード
を定常ビードへと移行させ、ついで、スリットへの塗布
液供給速度とダイの走行速度とを同期させて定常ビード
を保持したままダイを基板表面に沿って走行させ、続い
て、基板の塗布終端部で、基板表面とダイのスリットの
先端との間隔を定常間隔ないしそれ以下の間隔に調節し
ながら、定常ビードのサックバックを行うので、基板の
表面のほぼ全範囲に均一な塗布膜を形成することができ
る。 2.本発明の第1発明に係る枚葉基板の製造方法におい
て、載置台の近傍にディスペンス・ロールを配置した場
合には、基板にダイを移動させて塗布液を塗布する前
に、上記したディスペンス・ロール上でサックバック戻
しを行って、ダイのスリットの先端における塗布液の状
態を所定の塗布開始状態に調節することができるので、
複数枚の基板を順次入れ替えながら塗布する場合にも、
各基板に均一な塗布膜を形成することができる。 3.本発明の第1発明に係る枚葉基板の製造方法におい
て、載置台の近傍にディスペンス・ロールを配置した場
合には、不測の事態によって一時的に塗布作業を中断し
た場合にも、ダイのスリットの先端に付着した塗布液が
乾燥固化するのを防止することができるので、塗布作業
を迅速に再開することができる。 4.本発明の第2発明に係る塗布装置は、ダイに塗布液
供給機構、昇降機構、走行機構、サックバック機構がそ
れぞれ装備され、かつ、載置台近傍にはディスペンス・
ロールが装備されているので、上記した枚葉基板の製造
方法に使用することができ、上記各効果の達成に良好に
寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る塗布装置の主要部の一例の斜視
図である。
【図2】 図1に示した塗布装置の全体の概略図であ
る。
【図3】 図1に示した塗布装置に装備されるダイの一
例の一部概略側面図である。
【図4】 図1に示した塗布装置に装備されるディスペ
ンスロール近傍の機構の一例の概略側面図である。
【図5】 図3のダイのスリットの先端と基板との間に
初期ビードを形成した状態の一例の拡大概略側断面図で
ある。
【図6】 図5のダイを若干上方に移動させて、定常ビ
ードを形成した状態の一例の拡大概略側断面図である。
【図7】 本発明方法におけるダイの走行経路の一例を
示した概略図である。
【図8】 本発明方法におけるダイの走行経路の他の例
を示した概略図である。
【符号の説明】
10:載置台 11:リニアモーター 12:架台 20:ダイ 21:スリット 22:フロント・リップ 23:リア・リップ 24:シム 25:塗布液供給口 26:マニホールド 30:昇降機構 40:スライダー 50:センサー 60:ディスペンス・ロール 61:ドクターブレード 62:溶媒噴霧装置 70:ポット 80:塗布液供給機構 81:塗布液タンク 82:シリンジ・ポンプ 83:三方切り替え弁 84:フィルター 90:コントローラー 91:コンピューター 100:塗布装置 200:基板 Bp:初期ビード Bc:定常ビード Dp:初期メニスカス形成間隔 Dc:定常間隔 Dt:定常間隔以下の間隔 M:メニスカス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 21/027 H01L 21/30 564Z Fターム(参考) 2H025 AA00 AB13 AB16 AB17 EA04 4D075 AC02 AC16 AC53 AC84 AC88 AC92 AC93 CA22 CA23 CA48 DA06 DB13 DB14 DB31 DC18 DC22 DC24 EA07 EA45 4F041 AA02 AA05 AB02 BA02 BA22 BA38 BA56 BA60 CA03 CA18 CA25 4F042 AA02 AA06 AA10 BA03 BA08 BA25 CB02 CB11 CC03 CC08 CC30 5F046 JA02 JA03 JA27

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平面形状が矩形状の基板の上方で、塗布
    液吐出用のスリットを備えたダイをスリットの延在する
    方向とほぼ直角方向に走行させながら、このスリットか
    ら基板表面に塗布液を吐出して枚葉基板を製造するにあ
    たり、まず、基板表面の塗布開始部の上方にダイを移動
    させ、基板表面とダイのスリットの先端との間隔を定常
    間隔より狭い間隔としてこのスリットと塗布開始部との
    間に初期ビードを形成し、ただちに、ダイのスリットか
    ら塗布液を吐出しながらダイを若干上昇させて初期ビー
    ドを定常ビードへと移行させ、ついで、スリットへの塗
    布液供給速度とダイの走行速度とを同期させて定常ビー
    ドを保持したままダイを基板表面に沿って走行させ、続
    いて、基板の塗布終端部で、基板表面とダイのスリット
    の先端との間隔を定常間隔ないしそれ以下の間隔に調節
    しながら、定常ビードのサックバックを行うことを特徴
    とする、枚葉基板の製造方法。
  2. 【請求項2】 載置台から若干隔離させて、ダイの走行
    方向終端部近傍にディスペンス・ロールを配置し、ディ
    スペンス・ロール表面の最上部とダイのスリットの先端
    との間隔を、基板表面とダイのスリットの先端との定常
    間隔とほぼ同一の間隔とする、請求項1に記載の枚葉基
    板の製造方法。
  3. 【請求項3】 基板の入れ替えの間にダイをディスペン
    ス・ロール上に移動させ、回転させたディスペンス・ロ
    ール上でサックバック戻しを行って、ダイのスリットか
    らの塗布液の吐出量を調節する、請求項2に記載の枚葉
    基板の製造方法。
  4. 【請求項4】 塗布作業の不測の中断の際に、ダイをデ
    ィスペンス・ロール上に移動させてダイのスリットから
    塗布液を吐出させる、請求項2に記載の枚葉基板の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 平面形状が矩形状の基板を載置可能な載
    置台と、この載置台上に載置される基板表面に対して狭
    い間隔を隔てて配置され、基板表面に沿って走行可能で
    基板表面上に塗布液を吐出可能なダイとが装備されてな
    る塗布装置において、ダイには、塗布液吐出用のスリッ
    ト、塗布液供給機構、昇降機構、走行機構およびサック
    バック機構がそれぞれ装備され、ダイの走行方向終端部
    近傍には、載置台から若干隔離させて、ダイのスリット
    と平行にディスペンス・ロールが配置され、このディス
    ペンス・ロール表面の最上部とダイのスリットの先端と
    の間隔が、基板表面とダイのスリットの先端との間隔と
    ほぼ同一の間隔とされてなることを特徴とする塗布装
    置。
  6. 【請求項6】 塗布液供給機構およびサックバック機構
    が、ダイに連接された塗布液供給・吸引兼用シリンジ・
    ポンプより構成されてなる、請求項5に記載の塗布装
    置。
  7. 【請求項7】 ディスペンス・ロール近傍に、ドクター
    ブレードと、ディスペンス・ロール表面上の塗布液の乾
    燥固化防止機構とが装備されてなる、請求項5または請
    求項6に記載の塗布装置。
  8. 【請求項8】 ダイ近傍に、載置台上に載置した基板の
    位置および厚さを測定するセンサーと、基板表面とダイ
    のスリットの先端との間隔の不均一さを検出してこの間
    隔を自動調節する機構とが装備されてなる、請求項5な
    いし請求項7のいずれか1項に記載の塗布装置。
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