JP2002003951A - 異方性の小さい冷延鋼板の製造方法 - Google Patents
異方性の小さい冷延鋼板の製造方法Info
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Abstract
延鋼板の製造方法を提供する。 【解決手段】 質量%で、0.01%≦C≦0.05
%、Si≦0.1%、Mn≦0.5%、S≦0.03
%、P≦0.025%、Al≦0.1%、N≦0.00
4%、B≦0.0035%を含み、更に、−0.001
0≦N−14/11B≦0.0015を満たし、残部が
実質的にFe及び不可避不純物よりなる鋼を(1)仕上
圧延温度をAr3以上、930℃以下とする熱間圧延。
(2)熱間圧延後、t≦5.77−0.006×FT+
250×Bを満足するt秒以内に200℃/S以上で冷
却を開始し、800〜700℃まで冷却。但し、FT:
仕上圧延温度(℃)(3)冷却後、1S以上放冷した
後、40℃/s以下で緩冷却した後に巻取る。(4)酸
洗後、冷圧率(90−|N−14/11B|×1000
0)%以下の冷間圧延。(5)800℃以下で焼鈍する
ことを含む工程により製造する。
Description
等に用いられる冷延鋼板の製造方法に関し、特に異方性
の小さいものの製造方法に関する。
には高い成形性が要求され、軟質,高r値化が精力的に
進められている。連続焼鈍によってこのような高加工性
冷延鋼板を製造する場合、鋼中のC,Nを低減し、炭窒
化物形成元素を添加し、C,Nを完全に固定することが
有効で、IF鋼として実用化されてきているが、鋼中
C,Nを極限にまで低減し、Ti,Nb等を添加するた
め、製造コストが高く、また異方性が大きい。そこで、
Cを極限まで低減せずに高加工性を得る技術として、低
炭素鋼にBを添加してNのみをBNとして固定するB添
加低炭素鋼が開発されてきたが、未だ、異方性を小さく
した鋼板の開発には至っていない。
分のうち、C−Mn,Mn−Bの添加量バランスの検討
により、熱延組織を細粒化し、異方性を低減する方法が
開示されているが、Cを3〜25ppmまで低減する必
要があり、更に極低炭素鋼であるため本来は粒成長性が
良く、熱延条件に敏感であり、実用的技術とは言い難
い。
熱により、Bの炭化物形態を制御し、異方性を低減する
技術が開示されている。しかし、加熱温度が1050℃
程度であり、圧延負荷が大きく、鋼板サイズや生産管理
上の制約を生じ、実用上、問題があった。特開昭58−
25436号公報には、Cを40ppm以下まで低減
し、Ti,Nb等の炭窒化物形成元素を添加する異方性
の小さい冷延鋼板の製造方法が開示されているが、やは
り、粒成長性が良く、熱延条件の変動に敏感であり、実
用に供するのは困難であった。
−117759号公報、特開平5−171292号公報
には、B添加鋼の熱延条件を規定し、異方性を低減する
技術が開示されているが、熱延途中の中間保持時間が長
く、再加熱による鋼板温度の上昇が必要とされ、工業生
産上、効率的とは言い難かった。
値の異方性の小さい軟質冷延鋼板の製造技術としていく
つか提案されているが、安定的に異方性を低減し、且つ
工業生産上有用な技術は開示されていない。
で、複雑な工程や極低炭素鋼を用いずに異方性の小さな
冷延鋼板の製造方法を提供する。
を低減させるため、本発明者らは、成分組成、製造条件
の観点から鋭意検討を行い、低炭素鋼が極低炭素鋼に比
して、異方性が小さいことに着目し、B添加低炭素鋼に
おいてB量の制限により熱延板を細粒化し、冷間圧延率
を規定した場合、異方性が低減されること及び、焼鈍温
度の調整により、更に、異方性が低減されることを見出
した。尚、本発明における異方性とはr値における異方
性(Δr)を対象とする。
てなされたものである。すなわち、本発明は 1.下記の工程を備えたことを特徴とする、質量%で、
0.01%≦C≦0.05%、Si≦0.1%、Mn≦
0.5%、S≦0.03%、P≦0.025%、Al≦
0.1%、N≦0.004%、B≦0.0035%を含
み、更に、−0.0010≦N−14/11B≦0.0
015を満たし、残部が実質的にFe及び不可避不純物
よりなる冷延鋼板の製造方法。
℃以下とする熱間圧延を行う工程。
S以上で冷却を開始し、800〜700℃まで冷却する
工程。
250×B FT:仕上圧延温度(℃) (3)冷却後、1S以上,40℃/S以下で緩冷却した
後に、巻取る工程。
/11B|×10000)%以下の冷間圧延を行う工
程。
るため添加する。0.01%未満の場合、その効果が得
られず、0.05%を超えると炭化物が多量に析出し、
延性を低下させ、耐時効性も低下させるため、0.05
%以下とする。
させるため、0.1%以下とする。
させるため0.5%以下とする。尚、SをMnSとして
固定し、熱間延性を向上させるため、0.05%以上添
加することが望ましい。
するので、0.025%を上限とする。
ため、MnSとして固定するが、その量が多すぎると伸
びフランジ性が低下することから、0.03%以下と
し、その含有量は低いほど望ましい。
剰に添加すると変態点を上昇させ、鋼を硬質化させるた
め、0.1%以下とする。
制し、異方性(Δr値)を助長させる。更に多量のNは
耐時効性を劣化させるとともに、多量の窒化物は延性を
低下させることから0.004%以下とする。
固定し、異方性を低減させる。しかし、過剰に添加され
ると熱間圧延中の変形抵抗が大きくなり、熱延板の形状
精度を悪化させるため、0.0035%を上限とする。
定し、異方性を低減させるため、−0.0010≦N−
14/11B≦0.0015を満足するようにする。本
規定により、効果が得られる詳細な理由は不明である
が、固溶N,Bが熱延板粒界に偏析し、冷間圧延時、集
合組織の配向性を強め、異方性を助長するのを防止する
ためと思われる。
焼鈍を行う。
る。仕上温度がAr3未満の場合、粗大粒が発生し、一
方、930℃を超えるとオーステナイトが再結晶し、や
はり、結晶粒が粗大化するため、Ar3以上、930℃
以下とする。尚、回復を完全に抑制するためには、92
0℃以下が望ましい。
るため、規定する。圧延で導入した転位が回復を開始す
る前に、冷却を行うため、冷却開始時間は、下式より求
まるt秒以内とする。
性に及ぼす圧延後冷却開始時間の影響を調査した結果を
示す。供試鋼は仕上温度を種々変化させ、熱間圧延後、
圧延終了から冷却開始までの時間を変化させ、720℃
まで200℃/Sで冷却し、3S放冷後、620℃で巻
き取りを行った。その後、表層を研削し、板厚を調整し
た後、冷間圧延し、700℃で焼鈍した。更に1%の調
質圧延を行い、板厚0.8mmの冷延鋼板を製作した。
尚、図中の添え字は異方性(Δr)を示す。
006×FT+250×Bより短い場合、異方性(Δ
r)は0.2以下となり、低減する。圧延開始時間が短
い場合、熱延板粒径は微細で、粒形状が等方的(扁平率
がほぼ1)となり、焼鈍板の異方性が改善されたためと
思われる。
冷却速度が200℃/S未満の場合、γ→α変態時に過
冷却されず、また、変態直後のフェライト粒の成長も抑
制できないことより200℃/S以上とする。
る。200℃/S以上で冷却した場合、フェライト粒の
形状は、粒界の凹凸の激しい波状となり、El,r値は
向上しない。界面エネルギーの高い凹凸の粒界の凹部の
みを張出させ、フェライト粒を整粒化し、El,r値を
向上させるため、冷却停止温度は若干の粒成長が生じる
温度である700℃以上、800℃以下とする。
粒とするため、1S以上とする。また、10Sを超える
とフェライト粒の粗大化傾向が強くなり、異方性向上効
果が低下するため10S以下とするのが好ましい。
上の時間があっても粒界の凹部の張り出しが十分に起こ
らず、r値が低下してしまう。よって、緩冷却速度の上
限を40℃/S以下とする。緩冷却後はそのまま巻き取
るか巻取温度まで再度冷却して巻き取っても良い。この
際の冷却速度は特に規定しない。
(r値)を向上させるため、冷間圧延率を高くした場
合、異方性も大きくなるため、本発明ではBを添加し、
固溶Nを低減した成分組成により、異方性の増大を抑制
している。しかし、冷間圧延率が(90−|N−14/
11B|×10000)%を超えると異方性の増大を抑
制する成分組成の効果が損なわれるため、冷間圧延率は
(90−|N−14/11B|×10000)%以下と
する。
も含む)の鋼を用い、固溶N量の指針となる|N−14
/11B|と冷間圧延率により、異方性(Δr)を整理
した結果を示す。図中の添え字は異方性(Δr)を示
す。供試鋼は、熱間圧延後、720℃まで200℃/S
で冷却し、その後3S放冷し、620℃で巻取り処理を
行った。更に、冷延後の板厚を同じとするため、熱延板
の表層を研削し、板厚を調整した後、冷間圧延率を変え
ながら圧延し、700℃で焼鈍、1%の調質圧延を行
い、板厚0.8mmの冷延鋼板を作成した。
≦N−14/11B≦0.0015を満足し、冷間圧延
率を(90−|N−14/11B|×10000)%以
下とした場合、異方性(Δr)は0.2以下と低減され
る。
に伴い、r値を向上させる集合組織が優先的に発達し、
異方性が大きくなるため、800℃以下とする。図2
は、異方性(Δr)に及ぼす、焼鈍温度の影響を示すも
ので、本発明範囲内の成分を有する鋼を、熱間圧延後、
720℃まで200℃/Sで冷却し、その後3S放冷
し、620℃で巻取り処理を行った。
延板の表層を研削し、板厚を調整した後、冷間圧延を行
ない、供試鋼とした。図より、焼鈍温度を800℃以下
とした場合、0.2以下の優れた異方性が得られる。
粗バーを接合し仕上圧延を連続で行う連続圧延を採用し
ても問題はない。粗圧延後、温度調整を目的に粗バーを
加熱し、コイルボックスに巻き取っても良く、粗バー加
熱と連続圧延を組み合わせても良い。
室温まで冷却せずスラブの均熱を目的に、100分以内
の補熱、または加熱を行っても良い。更に、薄スラブを
用いて、粗圧延を省略しても本発明の効果は損なわれな
い。また、調質圧延は、圧延率が高いと、ELの低下が
著しいため、2%以下とするのが好ましい。
気炉のどちらでも良く、原料にスクラップを用いること
も可能である。スクラップを用いた場合、混入する不純
物に対して制限はない。本発明鋼板に亜鉛めっき、錫め
っき、クロメート及びリン酸亜鉛などの化成処理を行っ
ても本発明の効果は損なわれない。
解鋳造後、熱間圧延、冷間圧延、焼鈍し、更に伸長率
1.0%の調質圧延し、供試鋼板とした。熱延後の冷却
については、表1に示す急冷後は、2S間、20℃/S
で空冷し、再び冷却して表1の巻取温度で巻き取った。
r)を測定した。Δrについては、圧延方向のr値(r
0)、圧延方向と45°方向のr値(r45)、圧延方
向と垂直方向のr値(r90)より、Δr=(r0+r
90−2r45)/4で算出した。
板No.1〜7は熱延仕上圧延後、冷却開始時間を変化
させたもので、冷却開始時間が本発明範囲外となるN
o.7はr値の異方性(Δr)が大きい。No.8から
No.12は熱延後冷却の冷却停止温度を変えたもの
で、冷却停止温度が本発明の範囲外となるNo.8,N
o.12ではr値の異方性(Δr)が大きい。
たもので、圧延率が高く、本発明範囲外となっているN
o.17で異方性が大きい。No.18〜21は焼鈍温
度を変化させたもので、焼鈍温度が高く、本発明範囲外
となっているNo.21で異方性が大きくなっている。
特殊な成分組成によらず、軟質で、r値の異方性(Δ
r)が小さい冷延鋼板が得られ、高い成形性が容易に得
られ、産業上、極めて有用である。
冷間圧延率の影響を示す図
図
時間の影響を示す図
Claims (1)
- 【請求項1】 下記の工程を備えたことを特徴とする、
質量%で、0.01%≦C≦0.05%、Si≦0.1
%、Mn≦0.5%、S≦0.03%、P≦0.025
%、Al≦0.1%、N≦0.004%、B≦0.00
35%を含み、更に、−0.0010≦N−14/11
B≦0.0015を満たし、残部が実質的にFe及び不
可避不純物よりなる冷延鋼板の製造方法。 (1)仕上圧延温度をAr3以上、930℃以下とする
熱間圧延を行う工程。 (2)熱間圧延後、t秒以内に200℃/S以上で冷却
を開始し、800〜700℃まで冷却する工程。 但し、t≦5.77−0.006×FT+250×B FT:仕上圧延温度(℃) (3)冷却後、1S以上,40℃/S以下で緩冷却した
後に、巻取る工程。 (4)酸洗後、冷圧率(90−|N−14/11B|×
10000)%以下の冷間圧延を行う工程。 (5)800℃以下で焼鈍を行う工程。
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JP2000191409A JP3818025B2 (ja) | 2000-06-26 | 2000-06-26 | 異方性の小さい冷延鋼板の製造方法 |
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KR101630548B1 (ko) | 2011-12-08 | 2016-06-14 | 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 | 냉간 압연의 소재용 열연 강판 및 그 제조 방법 |
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