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JP2002052669A - 積層体およびこれを用いたパウチ - Google Patents

積層体およびこれを用いたパウチ

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JP2002052669A
JP2002052669A JP2000239156A JP2000239156A JP2002052669A JP 2002052669 A JP2002052669 A JP 2002052669A JP 2000239156 A JP2000239156 A JP 2000239156A JP 2000239156 A JP2000239156 A JP 2000239156A JP 2002052669 A JP2002052669 A JP 2002052669A
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Tatsuyuki Kamiya
達之 神谷
Toshio Taka
敏雄 鷹
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Japan Polyolefins Co Ltd
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Japan Polyolefins Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐カール性、剛性、低温ヒートシール性、水
蒸気バリア性、保香性、衛生性、耐熱性に優れ、高いヒ
ートシール強度、突刺強度を有する積層体およびこれを
用いたパウチを提供する。 【解決手段】 密度が0.94g/cm3 以下である線
状低密度ポリエチレンまたは高圧ラジカル法エチレン系
重合体を主成分とする第I層と、曲げ弾性率2500k
gf/cm2 以上であるポリオレフィン系樹脂材料(i
i)からなる第II層と、密度が0.94g/cm3 以下
である線状低密度ポリエチレン樹脂を主成分とする樹脂
材料(iii)からなる第III層とを有し、第I層と第III
層との間に第II層が設けられた積層体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、洗剤、化粧品、食
料品等に用いられるスタンディングパウチ、レトルトパ
ウチ等のパウチおよびパウチに好適な積層体に関し、耐
カール性、剛性、低温ヒートシール性、水蒸気バリア
性、保香性、衛生性、耐熱性、耐ピンホール性に優れ、
高いヒートシール強度を有する積層体およびその積層体
を用いたパウチに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、液体洗剤、シャンプー、リン
ス、食用油、調味料などは注出口の付いた容器に入れら
れて使用されている。最近では、省資源化のため、容器
の再利用を目的として、スタンディングパウチ(例え
ば、底ガゼットの自立袋)等の補充用の内容物が入れら
れた詰め替え製品が別売りされている。パウチの別の形
態としては、レトルト食品用のレトルトパウチ、吸飲ゼ
リーなどに用いられる吸飲用スパウト付きパウチなども
知られている。
【0003】このようなパウチには、高密度ポリエチレ
ン、線状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等か
らなる単層フィルム、あるいは高密度ポリエチレンと低
密度ポリエチレン、あるいは線状低密度ポリエチレンと
の積層体等が用いられている。これらのパウチはヒート
シールが容易であり、かつ高いヒートシール強度が得ら
れ、袋形状が得やすいことが要求されている。また、昨
今ではこのような単層フィルム、積層フィルム等から得
られるパウチには、さらに高性能性と低コスト化が望ま
れ、かつ内容物の品質を保つために水蒸気バリア性、保
香性に優れること;パウチから低分子量成分などの移行
によって味覚や品質が変化したり、パウチから臭気が内
容物に移行したりしないように衛生性に優れること;製
品輸送時の振動によってピンホールが生じないために十
分な突刺強度を有すること;などが要求されている。
【0004】また、スタンディングパウチには、自立に
必要な十分な剛性(腰)を有することがさらに要求され
る。さらに、最近では、省資源化、環境保護等の観点か
ら容器や包装材には、リサイクル性や回収が容易になさ
れることが要望され、上記諸性能とリサイクル性や回収
性を満足することが求められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記高
密度ポリエチレンの単層フィルムにおいては、ヒートシ
ール性が劣り、線状低密度ポリエチレンあるいは低密度
ポリエチレンからなる単層フィルムからなるパウチは剛
性(腰)がなく、自立性に乏しい。また、高密度ポリエ
チレンと線状低密度ポリエチレンまたは低密度ポリエチ
レンからなる積層フィルムは、カールが生じ、取扱いが
悪く作業性が劣るという問題がある。また、最近では、
省資源化、環境保護等の観点から容器や包装材には、上
記諸性能とリサイクル性や回収が容易になされることな
どの要求性能を同時に満足することが要望されている。
【0006】よって、本発明の目的は、耐カール性、剛
性、低温ヒートシール性、水蒸気バリア性、保香性、衛
生性、耐熱性、耐ピンホール性に優れ、高いヒートシー
ル強度を有する積層体およびこれを用いたパウチを提供
することにあり、さらには、リサイクル性に優れる積層
体およびこれを用いたパウチを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の積層体は、密度
が0.94g/cm3 以下である線状低密度ポリエチレ
ンまたは高圧ラジカル重合法エチレン系重合体を主成分
とする樹脂材料(i)からなる第I層、第I層と第III
層との間に設けられた、曲げ弾性率が2500kgf/
cm2 以上であるポリオレフィン系樹脂材料(ii)から
なる第II層、および密度が0.94g/cm3 以下であ
る線状低密度ポリエチレンを主成分とする樹脂材料(ii
i)からなる第III層の少なくとも3層からなることを特
徴とする。また、曲げ弾性率が2500kgf/cm2
以上であるポリオレフィン系樹脂材料(ii)は、密度
0.93g/cm3 以上の中・高密度ポリエチレンおよ
び/またはポリプロピレン系樹脂を主成分とすることが
望ましい。また、前記第III層同士をヒートシール圧力
1kg/cm2 、ヒートシール時間1秒間の条件でヒー
トシールしたときのヒートシール強度が3kg/15m
mとなるようなヒートシール温度は、85〜125℃の
範囲であることが望ましい。
【0008】また、積層体の厚さが10μm〜0.5m
mであり、かつ第I層、第II層および第III層の厚さ
が、それぞれ3μm〜0.4mmの範囲であることが望
ましい。また、本発明の積層体は、さらに第III層に接
着されたバリア層(IV)を有することが望ましい。ま
た、第I層、第II層および第III層のいずれかの層が、
積層体をリサイクルすることで得られる樹脂材料
(i)、樹脂材料(ii)および樹脂材料(iii)のブレ
ンド樹脂で形成されている、もしくは、該ブレンド樹脂
からなるリサイクル樹脂層(V)が、さらに設けられて
いることが望ましい。
【0009】また、前記線状低密度ポリエチレンは、下
記(a)から(d)の要件を満足する(A)線状低密度
ポリエチレンであることが望ましい。 (a)密度が0.86〜0.94g/cm3 、(b)メ
ルトフローレートが0.01〜50g/10分、(c)
分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜4.5、(d)連
続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量
曲線の積分溶出曲線から求めた全体の25%が溶出する
温度T25と全体の75%が溶出する温度T75との差T75
−T25および密度dが、下記(式1)の関係を満足する
こと (式1) T75−T25≦−670×d+644
【0010】また、前記(A)線状低密度ポリエチレン
は、さらに下記(e)および(f)の要件を満足する
(A1)線状低密度ポリエチレンであることが望まし
い。 (e)25℃におけるオルソジクロロベンゼン(ODC
B)可溶分量X(重量%)、密度dおよびメルトフロー
レート(MFR)が下記(式2)および(式3)の関係
を満足すること (式2)d−0.008logMFR≧0.93の場合 X<2.0 (式3)d−0.008logMFR<0.93の場合 X<9.8×103×(0.9300−d+0.008
logMFR)2+2.0 (f)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度
−溶出量曲線のピークが複数個存在すること
【0011】また、前記(A)線状低密度ポリエチレン
は、さらに下記(g)および(h)の要件を満足する
(A2)線状低密度ポリエチレンであることが望まし
い。 (g)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度
−溶出量曲線のピークが一つであり、かつT75−T25
よび密度dが、下記(式4)の関係を満足すること (式4) T75−T25≧−300×d+285 (h)融点ピークを1ないし2個有し、かつそのうち最
も高い融点Tmlと密度dが、下記(式5)の関係を満足
すること (式5) Tml≧150×d−17 また、前記(A2)線状低密度ポリエチレンは、さらに
下記(i)の要件を満足することが望ましい。 (i)メルトテンション(MT)とメルトフローレート
(MFR)が、下記(式6)を満足すること (式6) logMT≦−0.572×logMFR+0.3
【0012】また、前記線状低密度ポリエチレンは、少
なくとも共役二重結合をもつ有機環状化合物と周期律表
第IV族の遷移金属化合物を含む触媒の存在下に製造され
たものであることが望ましい。また、前記樹脂材料(ii
i)に配合された添加剤が実質的に被接触物に移行しな
い添加剤である、もしくは前記樹脂材料(iii)に添加
剤が配合されていないことが望ましい。また、前記樹脂
材料(iii)のハロゲン濃度は、10ppm以下である
ことが望ましい。また、本発明のパウチは、本発明の積
層体を、第III層を内側にして袋状に成形してなること
を特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
第I層を形成するポリエチレン系樹脂を主成分とする樹
脂材料(i)とは、密度が0.94g/cm3 以下であ
る線状低密度ポリエチレンまたは高圧ラジカル法エチレ
ン系重合体を主成分とし、必要に応じて他のポリエチレ
ン系樹脂を配合したものである。樹脂材料(i)に使用
されるポリエチレン系樹脂としては、チーグラー型触
媒、フイリップス系触媒、メタロセン系触媒等によって
得られる線状低密度ポリエチレン、後述の特定の(A)
線状低密度ポリエチレン、高圧ラジカル法エチレン系重
合体等が挙げられる。
【0014】チーグラー型触媒等によって得られる線状
低密度ポリエチレンは、密度が0.94g/cm3
下、好ましくは0.86〜0.935g/cm3の範
囲、より好ましくは、0.89〜0.935g/cm3
の範囲である。密度が0.94g/cm3を超えるとカ
ールが生じる虞がある。また、メルトフローレート(以
下MFRと記す)は、一般に0.01〜50g/10分
であり、好ましくは0.5〜30g/10分、より好ま
しくは0.5〜10g/分である。MFRが0.01g
/10分未満では、流動性(インフレーションによる積
層体の成形性)などの低下が見られ、50g/10分を
超えると強度等の低下が見られる。
【0015】高圧ラジカル重合法エチレン系重合体とし
ては、高圧ラジカル重合法による低密度ポリエチレン
(LDPE)、エチレン・ビニルエステル共重合体、エ
チレンとα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体と
の共重合体などが挙げられる。
【0016】上記低密度ポリエチレン(LDPE)のM
FRは、0.01〜50g/10分、好ましくは0.0
5〜30g/分、さらに好ましくは0.1〜10g/1
0分の範囲である。この範囲であれば、メルトテンショ
ンが適切な範囲となり、成形加工性が向上する。また、
MFRが20g/10分を超えると積層体の強度が不足
するようになる。また、LDPEの密度は、0.91〜
0.94g/cm3 、さらに好ましくは0.912〜
0.935g/cm3 の範囲である。この範囲であれ
ば、メルトテンションが適切な範囲となり、成形加工性
が向上する。LDPEのメルトテンションは、1.5〜
25g、好ましくは3〜20g、さらに好ましくは3〜
15gである。また、LDPEの分子量分布Mw/Mn
は、3.0〜12、好ましくは4.0〜8.0である。
【0017】上記エチレン・ビニルエステル共重合体と
は、高圧ラジカル重合法で製造されるエチレンを主成分
とするプロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、カプロン酸ビ
ニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリ
ン酸ビニル、トリフルオル酢酸ビニルなどのビニルエス
テル単量体との共重合体である。中でも、特に好ましい
ものとしては、酢酸ビニルを挙げることができる。ま
た、エチレン50〜99.5重量%、ビニルエステル
0.5〜50重量%、他の共重合可能な不飽和単量体0
〜49.5重量%からなる共重合体が好ましい。特に、
ビニルエステルの含有量は3〜30重量%、好ましくは
5〜25重量%の範囲である。エチレン・ビニルエステ
ル共重合体のMFRは、0.01〜50g/10分、好
ましくは0.05〜30g/分、さらに好ましくは0.
1〜10g/10分の範囲である。
【0018】上記エチレンとα,β−不飽和カルボン酸
またはその誘導体との共重合体としては、エチレン・
(メタ)アクリル酸またはそのアルキルエステル共重合
体が挙げられ、これらのコモノマーとしては、アクリル
酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メ
チル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリ
ル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸イソ
プロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−
ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸シクロヘ
キシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ラウ
リル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、
メタクリル酸ステアリル、アクリル酸グリシジル、メタ
クリル酸グリシジル等を挙げることができる。この中で
も特に好ましいものとして、(メタ)アクリル酸のメチ
ル、エチル等のアルキルエステルを挙げることができ
る。特に、(メタ)アクリル酸エステルの含有量は3〜
30重量%、好ましくは5〜25重量%の範囲である。
エチレンとα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体
との共重合体のMFRは0.01〜50g/10分、好
ましくは0.05〜30g/10分、さらに好ましくは
0.1〜10g/10分である。
【0019】第I層は、ポリエチレン系樹脂を主成分と
する層であり、第III層に使用される線状低密度ポリエ
チレンと同種または異種のポリエチレン、高圧ラジカル
法ポリエチレンの少なくとも1種のポリエチレンが用い
られるが、カールを生じない範囲において高密度ポリエ
チレン等を配合することができる。
【0020】第II層を形成する樹脂材料(ii)は、その
曲げ弾性率が2500kgf/cm 2 以上である必要が
ある。該曲げ弾性率は、好ましくは3500kgf/c
2以上、より好ましくは4500kgf/cm2 以上
である。該曲げ弾性率が2500kgf/cm2 未満で
は、積層体の剛性(腰)が低下し、自立性がなくなり、
自動充填性能が低下することになる。ここで、樹脂材料
(ii)の曲げ弾性率は、JIS K 7203に準拠し
て測定される。
【0021】上記曲げ弾性率が2500kgf/cm2
以上である樹脂材料(ii)としては、中・高密度ポリエ
チレンおよび/またはポリプロピレン系樹脂を主成分と
する樹脂材料であって、必要に応じて他のポリオレフィ
ン系樹脂を配合したものが挙げられる。該中密度ポリエ
チレンおよび高密度ポリエチレンとしては、密度が0.
93g/cm3 以上のものであれば各種のものを利用す
ることができる。具体的には、エチレンのみからなるホ
モポリマー、エチレンと他のモノマー(例えばプロピレ
ン、1−ブテン、1−ヘキセンなどのα−オレフィン)
とからなる共重合体、あるいはエチレンと2種以上のモ
ノマーからなる多元共重合体などを例示することができ
る。
【0022】上記中・高密度ポリエチレンの密度が0.
93g/cm3 未満では、得られる積層体の腰の強さ
(剛性)、水蒸気バリア性、保香性、防湿性、耐熱性な
どが損なわれる。また、中・高密度ポリエチレンのMF
R(190℃)は好ましくは0.01〜50g/10
分、より好ましくは0.05〜30g/分、さらに好ま
しくは0.1〜10g/分の範囲である。MFR(19
0℃)が0.01g/10分未満では加工性に問題を生
じ、50g/10分を超えると積層体の強度が低下する
傾向にある。
【0023】ポリプロピレン系樹脂としては、ホモポリ
プロピレン、プロピレン・エチレンブロック共重合体、
プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・
α−オレフィンブロック共重合体、プロピレン・α−オ
レフィンランダム共重合体などが挙げられる。また、ポ
リプロピレン系樹脂のMFR(JIS K 6758準
拠)は好ましくは0.1〜50g/10分、より好まし
くは0.1〜20g/分の範囲である。MFR0.1g
/10分未満では加工性に問題を生じ、50g/10分
を超えると積層体の強度が低下する傾向にある。
【0024】第II層を形成する樹脂材料(ii)中の中・
高密度ポリエチレンおよび/またはポリプロピレン系樹
脂の配合割合は、50〜100重量%であり、好ましく
は70〜100重量%である。これらの割合が50重量
%未満では、積層体の剛性(腰)、水蒸気バリア性、保
香性が低下する。
【0025】第III層を形成する線状低密度ポリエチレ
ンを主成分とする樹脂材料(iii)とは、密度が0.9
4g/cm3 以下である線状低密度ポリエチレンを主成
分とし、必要に応じて他のポリエチレン系樹脂を配合し
たものである。
【0026】線状低密度ポリエチレンは、エチレンとα
−オレフィンとを共重合させることにより得られる密度
0.94g/cm3 以下の共重合体であって、エチレン
と炭素数3〜20、好ましくは炭素数3〜12のα−オ
レフィンとの共重合体である。炭素数3〜20のα−オ
レフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、4−メチ
ル−1−ペンテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−
オクテンなどが用いられる。LLDPE中における炭素
数3〜20のα−オレフィンから導かれる構成単位は、
1〜7モル%、好ましくは1〜5モル%、さらに好まし
くは2〜3モル%である。炭素数3〜20のα−オレフ
ィンから導かれる構成単位が7モル%を超えると、耐衝
撃性、耐クリープ性、ヒートシール強度の低下が見ら
れ、1モル%未満では、透明性の低下が見られる。
【0027】本発明における線状低密度ポリエチレン
は、上述のものであれば特に限定はされないが、特に以
下の(a)〜(d)の要件を満たす特定の(A)線状低
密度ポリエチレンが好ましい。
【0028】本発明における(A)線状低密度ポリエチ
レンの(a)密度は、0.86〜0.94g/cm3
好ましくは、0.89〜0.94g/cm3 、さらに好
ましくは0.90〜0.93g/cm3 の範囲である。
密度が0.86g/cm3 未満では、剛性(腰の強
さ)、耐熱性が低下するおそれがある。また、密度が
0.94g/cm3 を超えると、耐ピンホール性、引裂
強度、耐衝撃性等が不十分となるおそれがある。
【0029】本発明における(A)線状低密度ポリエチ
レンの(b)MFRは、0.01〜50g/10分であ
り、好ましくは0.05〜30g/10分、さらに好ま
しくは0.1〜10g/10分である。MFRが0.0
1g/10分未満では、流動性(積層体の成形性)の低
下が見られ、50g/10分を超えると強度の低下が見
られる。
【0030】本発明における(A)線状低密度ポリエチ
レンの(c)分子量分布(Mw/Mn)は、1.5〜
4.5、好ましくは2.0〜4.0、さらに好ましくは
2.5〜3.0の範囲である。Mw/Mnが1.5未満
では、成形加工性が劣り、Mw/Mnが4.5を超える
と、耐ピンホール性、引裂強度、耐衝撃性等が劣る。こ
こで、線状低密度ポリエチレンの分子量分布(Mw/M
n)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(G
PC)により重量平均分子量(Mw)と数平均分子量
(Mn)を求め、それらの比(Mw/Mn)を算出する
ことにより求めることができる。
【0031】本発明における(A)線状低密度ポリエチ
レンは、例えば、図1に示すように、(d)連続昇温溶
出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線の積
分溶出曲線から求めた全体の25%が溶出する温度T25
と全体の75%が溶出する温度T75との差T75−T25
よび密度dが、下記(式1)の関係を満足するものであ
る。 (式1) T75−T25≦−670×d+644 T75−T25と密度dが上記(式1)の関係を満足しない
場合には、低温ヒートシール性が劣るものとなる。
【0032】このTREFの測定方法は下記の通りであ
る。まず、試料を酸化防止剤(例えば、ブチルヒドロキ
シトルエン)を加えたODCBに試料濃度が0.05重
量%となるように加え、135℃で加熱溶解する。この
試料溶液5mlを、ガラスビーズを充填したカラムに注
入し、0.1℃/分の冷却速度で25℃まで冷却し、試
料をガラスビーズ表面に沈着する。次に、このカラムに
ODCBを一定流量で流しながら、カラム温度を50℃
/hrの一定速度で昇温しながら、試料を順次溶出させ
る。この際、溶剤中に溶出する試料の濃度は、メチレン
の非対称伸縮振動の波数2925cm-1に対する吸収を
赤外検出機で測定することにより連続的に検出される。
この値から、溶液中のエチレン共重合体の濃度を定量分
析し、溶出温度と溶出速度の関係を求める。TREF分
析によれば、極少量の試料で、温度変化に対する溶出速
度の変化を連続的に分析出来るため、分別法では検出で
きない比較的細かいピークの検出が可能である。
【0033】本発明における(A)線状低密度ポリエチ
レンは、さらに後述の(e)および(f)の要件を満足
する(A1)線状低密度ポリエチレン、または、さらに
後述の(g)および(h)の要件を満足する(A2)線
状低密度ポリエチレンのいずれかであることが好まし
い。
【0034】本発明における(A1)線状低密度ポリエ
チレンの(e)25℃におけるODCB可溶分の量X
(重量%)と密度dおよびMFRは、下記(式2)およ
び(式3)の関係を満足しており、 (式2)d−0.008logMFR≧0.93の場
合、 X<2.0 (式3)d−0.008logMFR<0.93の場
合、 X<9.8×103×(0.9300−d+0.008
logMFR)2+2.0 の関係を満足しており、好ましくは、 d−0.008logMFR≧0.93の場合、 X<1.0 d−0.008logMFR<0.93の場合、 X<7.4×103×(0.9300−d+0.008
logMFR)2+2.0 の関係を満足しており、さらに好ましくは、 d−0.008logMFR≧0.93の場合、 X<0.5 d−0.008logMFR<0.93の場合、 X<5.6×103×(0.9300−d+0.008
logMFR)2+2.0 の関係を満足している。
【0035】ここで、上記25℃におけるODCB可溶
分の量Xは、下記の方法により測定される。試料0.5
gを20mlのODCBにて135℃で2時間加熱し、
試料を完全に溶解した後、25℃まで冷却する。この溶
液を25℃で一晩放置後、テフロン(登録商標)製フィ
ルターでろ過してろ液を採取する。試料溶液であるこの
ろ液を赤外分光器によりメチレンの非対称伸縮振動の波
数2925cm-1付近の吸収ピーク強度を測定し、予め
作成した検量線により試料濃度を算出する。この値よ
り、25℃におけるODCB可溶分量が求まる。
【0036】25℃におけるODCB可溶分は、線状低
密度ポリエチレンに含まれる高分岐度成分および低分子
量成分であり、耐熱性の低下や成形体表面のべたつきの
原因となり、衛生性の問題や成形体内面のブロッキング
の原因となる為、この含有量は少ないことが望ましい。
ODCB可溶分の量は、共重合体全体のα−オレフィン
の含有量および分子量、即ち、密度とMFRに影響され
る。従ってこれらの指標である密度およびMFRとOD
CB可溶分の量が上記の関係を満たすことは、共重合体
全体に含まれるα−オレフィンの偏在が少ないことを示
す。
【0037】また、本発明における(A1)線状低密度
ポリエチレンは、(f)連続昇温溶出分別法(TRE
F)により求めた溶出温度−溶出量曲線において、ピー
クが複数個存在するものである。この複数のピーク温度
は85℃から100℃の間に存在することが特に好まし
い。このピークが存在することにより、融点が高くな
り、また結晶化度が上昇し、成形体の耐熱性および剛性
が向上する。
【0038】本発明における(A2)線状低密度ポリエ
チレンは、(g)連続昇温溶出分別法(TREF)によ
る溶出温度−溶出量曲線のピークが一つであり、かつT
75−T25および密度dが、下記(式4)の関係を満足す
るものである。 (式4) T75−T25≧−300×d+285 T75−T25と密度dが上記(式4)の関係を満足しない
場合には、ヒートシール強度と耐熱性が劣ることにな
る。
【0039】また、本発明における(A2)線状低密度
ポリエチレンは、(h)融点ピークを1ないし2個有
し、かつそのうち最も高い融点Tmlと密度dが、下記
(式5)の関係を満足するものである。 (式5) Tml≧150×d−17 融点Tm1と密度dが上記(式5)の関係を満足しない
と、耐熱性が劣るものとなる。
【0040】また、(A2)線状低密度ポリエチレンの
中でも、さらに下記(i)の要件を満足する線状低密度
ポリエチレンが好適である。 (i)メルトテンション(MT)とメルトフローレート
(MFR)が、下記(式6)の関係を満足すること (式6) logMT≦−0.572×logMFR+0.3 MTとMFRが上記(式6)の関係を満足することによ
り、積層体等の成形加工性が良好なものとなる。
【0041】ここで、(A1)線状低密度ポリエチレン
は、図2に示されるように、連続昇温溶出分別法(TR
EF)により求めた溶出温度−溶出量曲線において実質
的にピークが複数個の特殊な線状低密度ポリエチレン
(エチレン・α−オレフィン共重合体)である。また、
(A2)線状低密度ポリエチレンは、図1に示されるよ
うに、TREFピークが1つであるが、上記(式4)等
を満足し、従来の典型的なメタロセン系触媒によるエチ
レン共重合体とは区別されるものである。一方、図3
は、従来の典型的なメタロセン系触媒による実質的にピ
ークを1個有する線状低密度ポリエチレン(エチレン・
α−オレフィン共重合体)の連続昇温溶出分別法(TR
EF)により求めた溶出温度−溶出量曲線を示したもの
である。
【0042】本発明における(A)線状低密度ポリエチ
レンは、前記のパラメーターを満足すれば触媒、製造方
法等に特に限定されるものではないが、好ましくは少な
くとも共役二重結合を持つ有機環状化合物と周期律表第
IV族の遷移金属化合物を含む触媒の存在下にエチレンと
α−オレフィンとを(共)重合させて得られる直鎖状の
エチレン(共)重合体であることが望ましい。このよう
な直鎖状のエチレン(共)重合体は、分子量分布および
組成分布が狭いため、機械的特性に優れ、ヒートシール
性、耐熱ブロッキング性等に優れ、しかも耐熱性の良い
重合体である。
【0043】本発明における(A)線状低密度ポリエチ
レンの製造は、特に以下のa1〜a4の化合物を混合し
て得られる触媒で重合することが望ましい。 a1:一般式Me11 p2 q(OR3r1 4-p-q-r で表
される化合物(式中Me1 はジルコニウム、チタン、ハ
フニウムを示し、R1 およびR3 はそれぞれ炭素数1〜
24の炭化水素基、R2 は、2,4−ペンタンジオナト
配位子またはその誘導体、ベンゾイルメタナト配位子、
ベンゾイルアセトナト配位子またはその誘導体、X1
ハロゲン原子を示し、p、qおよびrはそれぞれ0≦p
≦4、0≦q≦4、0≦r≦4、0≦p+q+r≦4の
範囲を満たす整数である) a2:一般式Me24 m(OR5n2 z-m-n で表される
化合物(式中Me2 は周期律表第I〜III 族元素、R4
およびR5 はそれぞれ炭素数1〜24の炭化水素基、X
2 はハロゲン原子または水素原子(ただし、X2 が水素
原子の場合はMe2 は周期律表第III 族元素の場合に限
る)を示し、zはMe2 の価数を示し、mおよびnはそ
れぞれ0≦m≦z、0≦n≦zの範囲を満たす整数であ
り、かつ、0≦m+n≦zである) a3:共役二重結合を持つ有機環状化合物 a4:Al−O−Al結合を含む変性有機アルミニウム
オキシ化合物および/またはホウ素化合物
【0044】以下、さらに詳説する。上記触媒成分a1
の一般式Me11 p2 q(OR3r1 4-p-q-r で表され
る化合物の式中、Me1 はジルコニウム、チタン、ハフ
ニウムを示し、これらの遷移金属の種類は限定されるも
のではなく、複数を用いることもできるが、共重合体の
耐候性の優れるジルコニウムが含まれることが特に好ま
しい。R1 およびR3はそれぞれ炭素数1〜24の炭化
水素基で、好ましくは炭素数1〜12、さらに好ましく
は1〜8である。具体的にはメチル基、エチル基、プロ
ピル基、イソプロピル基、ブチル基などのアルキル基;
ビニル基、アリル基などのアルケニル基;フェニル基、
トリル基、キシリル基、メシチル基、インデニル基、ナ
フチル基などのアリール基;ベンジル基、トリチル基、
フェネチル基、スチリル基、ベンズヒドリル基、フェニ
ルブチル基、ネオフイル基などのアラルキル基などが挙
げられる。これらは分岐があってもよい。R2 は、2,
4−ペンタンジオナト配位子またはその誘導体、ベンゾ
イルメタナト配位子、ベンゾイルアセトナト配位子また
はその誘導体を示す。X1 はフッ素、ヨウ素、塩素およ
び臭素などのハロゲン原子を示す。pおよびqはそれぞ
れ、0≦p≦4、0≦q≦4、0≦r≦4、0≦p+q
+r≦4の範囲を満たすを整数である。
【0045】上記触媒成分a1の一般式で示される化合
物の例としては、テトラメチルジルコニウム、テトラエ
チルジルコニウム、テトラベンジルジルコニウム、テト
ラプロポキシジルコニウム、トリプロポキシモノクロロ
ジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラブ
トキシジルコニウム、テトラブトキシチタン、テトラブ
トキシハフニウムなどが挙げられ、特にテトラプロポキ
シジルコニウム、テトラブトキシジルコニウムなどのZ
r(OR)4 化合物が好ましく、これらを2種以上混合
して用いても差し支えない。また、前記2,4−ペンタ
ンジオナト配位子またはその誘導体、ベンゾイルメタナ
ト配位子、ベンゾイルアセトナト配位子またはその誘導
体の具体例としては、テトラ(2,4−ペンタンジオナ
ト)ジルコニウム、トリ(2,4−ペンタンジオナト)
クロライドジルコニウム、ジ(2,4−ペンタンジオナ
ト)ジクロライドジルコニウム、(2,4−ペンタンジ
オナト)トリクロライドジルコニウム、ジ(2,4−ペ
ンタンジオナト)ジエトキサイドジルコニウム、ジ
(2,4−ペンタンジオナト)ジ−n−プロポキサイド
ジルコニウム、ジ(2,4−ペンタンジオナト)ジ−n
−ブトキサイドジルコニウム、ジ(2,4−ペンタンジ
オナト)ジベンジルジルコニウム、ジ(2,4−ペンタ
ンジオナト)ジネオフイルジルコニウム、テトラ(ジベ
ンゾイルメタナト)ジルコニウム、ジ(ジベンゾイルメ
タナト)ジエトキサイドジルコニウム、ジ(ジベンゾイ
ルメタナト)ジ−n−プロポキサイドジルコニウム、ジ
(ジベンゾイルメタナト)ジ−n−ブトキサイドジルコ
ニウム、ジ(ベンゾイルアセトナト)ジエトキサイドジ
ルコニウム、ジ(ベンゾイルアセトナト)ジ−n−プロ
ポキサイドジルコニウム、ジ(ベンゾイルアセトナト)
ジ−n−ブトキサイドジルコニウム等があげられる。
【0046】上記触媒成分a2の一般式Me24 m(O
5n2 z-m-n で表される化合物の式中Me2 は周期
律表第I〜III 族元素を示し、リチウム、ナトリウム、
カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、ホウ素、
アルミニウムなどである。R4およびR5 はそれぞれ炭
素数1〜24の炭化水素基、好ましくは炭素数1〜1
2、さらに 好ましくは1〜8であり、具体的にはメチ
ル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル
基などのアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケ
ニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル
基、インデニル基、ナフチル基などのアリール基;ベン
ジル基、トリチル基、フェネチル基、スチリル基、ベン
ズヒドリル基、フェニルブチル基、ネオフイル基などの
アラルキル基などが挙げられる。これらは分岐があって
もよい。X2 はフッ素、ヨウ素、塩素および臭素などの
ハロゲン原子または水素原子を示すものである。ただ
し、X2が水素原子の場合はMe2 はホウ素、アルミニ
ウムなどに例示される周期律表第III 族元素の場合に限
るものである。また、zはMe2 の価数を示し、mおよ
びnはそれぞれ、0≦m≦z、0≦n≦zの範囲を満た
す整数であり、かつ、0≦m+n≦zである。
【0047】上記触媒成分a2の一般式で示される化合
物の例としては、メチルリチウム、エチルリチウムなど
の有機リチウム化合物;ジメチルマグネシウム、ジエチ
ルマグネシウム、メチルマグネシウムクロライド、エチ
ルマグネシウムクロライドなどの有機マグネシウム化合
物;ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛などの有機亜鉛化合
物;トリメチルボロン、トリエチルボロンなどの有機ボ
ロン化合物;トリメチルアルミニウム、トリエチルアル
ミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチル
アルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリデシル
アルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、エチ
ルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムセス
キクロライド、ジエチルアルミニウムエトキサイド、ジ
エチルアルミニウムハイドライドなどの有機アルミニウ
ム化合物等の誘導体が挙げられる。
【0048】上記触媒成分a3の共役二重結合を持つ有
機環状化合物は、環状で共役二重結合を2個以上、好ま
しくは2〜4個、さらに好ましくは2〜3個有する環を
1個または2個以上もち、全炭素数が4〜24、好まし
くは4〜12である環状炭化水素化合物;前記環状炭化
水素化合物が部分的に1〜6個の炭化水素残基(典型的
には、炭素数1〜12のアルキル基またはアラルキル
基)で置換された環状炭化水素化合物;共役二重結合を
2個以上、好ましくは2〜4個、さらに好ましくは2〜
3個有する環を1個または2個以上もち、全炭素数が4
〜24、好ましくは4〜12である環状炭化水素基を有
する有機ケイ素化合物;前記環状炭化水素基が部分的に
1〜6個の炭化水素残基またはアルカリ金属塩(ナトリ
ウムまたはリチウム塩)で置換された有機ケイ素化合物
が含まれる。特に好ましくは分子中のいずれかにシクロ
ペンタジエン構造をもつものが望ましい。
【0049】上記の好適な化合物としては、シクロペン
タジエン、インデン、アズレンまたはこれらのアルキ
ル、アリール、アラルキル、アルコキシまたはアリール
オキシ誘導体などが挙げられる。また、これらの化合物
がアルキレン基(その炭素数は通常2〜8、好ましくは
2〜3)を介して結合(架橋)した化合物も好適に用い
られる。
【0050】環状炭化水素基を有する有機ケイ素化合物
は、下記一般式で表示することができる。 ALSiR4-L ここで、Aはシクロペンタジエニル基、置換シクロペン
タジエニル基、インデニル基、置換インデニル基で例示
される前記環状水素基を示し、Rはメチル基、エチル
基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのアル
キル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブト
キシ基などのアルコキシ基;フェニル基などのアリール
基;フェノキシ基などのアリールオキシ基;ベンジル基
などのアラルキル基で示され、炭素数1〜24、好まし
くは1〜12の炭化水素残基または水素を示し、Lは1
≦L≦4、好ましくは1≦L≦3である。
【0051】上記成分a3の有機環状炭化水素化合物の
具体例としては、シクロペンタジエン、メチルシクロペ
ンタジエン、エチルシクロペンタジエン、1,3−ジメ
チルシクロペンタジエン、インデン、4−メチル−1−
インデン、4,7−ジメチルインデン、ブチルシクロヘ
プタジエン、1−メチル−3−プロピルシクロペンタジ
エンとインデン、1−メチル−3−ブチルシクロペンタ
ジエンとインデン、プロピルシクロペンタジエン、1−
メチル−3−エチルシクロペンタジエン、1,2,4−
トリメチルシクロペンタジエンシクロヘプタトリエン、
メチルシクロヘプタトリエン、シクロオクタテトラエ
ン、アズレン、フルオレン、メチルフルオレンのような
炭素数5〜24のシクロポリエンまたは置換シクロポリ
エン、モノシクロペンタジエニルシラン、ビスシクロペ
ンタジエニルシラン、トリスシクロペンタジエニルシラ
ン、モノインデニルシラン、ビスインデニルシラン、ト
リスインデニルシラン、メチルシクロペンタジエントリ
メチルシランなどが挙げられる。
【0052】本発明においては、a4:Al−O−Al
結合を含む変性有機アルミニウム化合物および/または
ホウ素化合物が使用される。Al−O−Al結合を含む
変性有機アルミニウムオキシ化合物の具体例としては、
アルキルアルミニウム化合物と水とを反応させることに
より得られる、通常アルミノキサンと称される変性有機
アルミニウムオキシ化合物が挙げられる。この変性有機
アルミニウムオキシ化合物としては、分子中に通常1〜
100個、好ましくは1〜50個のAl−O−Al結合
を含有するものが挙げられる。また、変性有機アルミニ
ウムオキシ化合物は線状でも環状でもいずれでもよい。
【0053】有機アルミニウムと水との反応は通常不活
性炭化水素中で行われる。該不活性炭化水素としては、
ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベン
ゼン、トルエン、キシレン等の脂肪族、脂環族、芳香族
炭化水素が好ましい。水と有機アルミニウム化合物との
反応比(水/Alモル比)は通常0.25/1〜1.2
/1、好ましくは0.5/1〜1/1であることが望ま
しい。
【0054】ホウ素化合物としては、テトラ(ペンタフ
ルオロフェニル)ホウ酸トリエチルアルミニウム、トリ
エチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)
ボレート、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸ジ
メチルアニリニウム、ジメチルアニリニウムテトラ(ペ
ンタフルオロフェニル)ボレート、ブチルアンモニウム
テトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−
ジメチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニ
ル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラ
(3,5ージフルオロフェニル)ボレート等が挙げられ
る。
【0055】上記触媒はa1〜a4を混合接触させて使
用しても良いが、好ましくは無機担体および/または粒
子状ポリマー担体(a5)に担持させて使用することが
望ましい。該無機物担体および/または粒子状ポリマー
担体(a5)とは、炭素質物、金属、金属酸化物、金属
塩化物、金属炭酸塩またはこれらの混合物あるいは熱可
塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。該無機物担体
に用いることができる好適な金属としては、鉄、アルミ
ニウム、ニッケルなどが挙げられる。具体的には、Si
2、Al23、MgO、ZrO2、TiO2、B23
CaO、ZnO、BaO、ThO2等またはこれらの混
合物が挙げられ、SiO2−Al23、SiO2−V
25、SiO2−TiO2、SiO2−V25、SiO2
MgO、SiO2−Cr23等が挙げられる。これらの
中でもSiO2およびAl23からなる群から選択され
た少なくとも1種の成分を主成分とするものが好まし
い。また、有機化合物としては、熱可塑性樹脂、熱硬化
性樹脂のいずれも使用でき、具体的には、粒子状のポリ
オレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリスチレン、ポ
リノルボルネン、各種天然高分子およびこれらの混合物
等が挙げられる。
【0056】上記無機物担体および/または粒子状ポリ
マー担体は、このまま使用することもできるが、好まし
くは予備処理としてこれらの担体を有機アルミニウム化
合物やAl−O−Al結合を含む変性有機アルミニウム
化合物などに接触処理させた後に成分a5として用いる
こともできる。
【0057】本発明における(A)線状低密度ポリエチ
レンの製造方法は、前記触媒の存在下、実質的に溶媒の
存在しない気相重合法、スラリー重合法、溶液重合法等
で製造され、実質的に酸素、水等を断った状態で、ブタ
ン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水
素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水
素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族
炭化水素等に例示される不活性炭化水素溶媒の存在下ま
たは不存在下で製造される。重合条件は特に限定されな
いが、重合温度は通常15〜350℃、好ましくは20
〜200℃、さらに好ましくは50〜110℃であり、
重合圧力は低中圧法の場合通常常圧〜70kg/cm2
G、好ましくは常圧〜20kg/cm2 Gであり、高圧
法の場合通常1500kg/cm2 G以下が望ましい。
重合時間は低中圧法の場合通常3分〜10時間、好まし
くは5分〜5時間程度が望ましい。高圧法の場合、通常
1分〜30分、好ましくは2分〜20分程度が望まし
い。また、重合は一段重合法はもちろん、水素濃度、モ
ノマー濃度、重合圧力、重合温度、触媒等の重合条件が
互いに異なる2段階以上の多段重合法など特に限定され
るものではない。特に好ましい製造方法としては、特開
平5−132518号公報に記載の方法が挙げられる。
【0058】本発明における(A)線状低密度ポリエチ
レンは、上述の触媒成分の中に塩素等のハロゲンを含ま
ない触媒を使用して製造することにより、ハロゲン濃度
としては多くとも10ppm以下、好ましくは5ppm
以下、さらに好ましくは実質的に含まない(ND:2p
pm以下)ものとすることが可能である。このような塩
素等のハロゲンフリーの線状低密度ポリエチレンを用い
ることにより、従来のような酸中和剤を使用する必要が
なくなり、化学的安定性、衛生性が優れ、特に食品用包
装材料等の分野において好適に活用される積層体を提供
することができる。
【0059】第III層を形成する樹脂材料(iii)中の線
状低密度ポリエチレンの配合割合は、50〜100重量
%であり、好ましくは70〜100重量%である。線状
低密度ポリエチレンの割合が50重量%未満では積層体
の、耐熱性、耐突刺強度、低温ヒートシール性、ヒート
シール強度、機械的強度が低下する。
【0060】樹脂材料(iii)に配合できる他のポリエ
チレン系重合体としては、チーグラー型触媒等を用いる
高・中・低圧法およびその他、公知の方法によるエチレ
ン単独重合体、エチレンと炭素数3〜12のα−オレフ
ィンとの共重合体、および高圧ラジカル重合法によるエ
チレン系(共)重合体などが挙げられる。
【0061】上記チーグラー型触媒等を用いる高・中・
低圧法およびその他の公知の方法によるエチレン単独重
合体もしくはエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィ
ンとの共重合体とは、密度0.94〜0.97g/cm
3 の高密度ポリエチレン、密度が0.91〜0.94g
/cm3 の線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、密
度が0.86〜0.91g/cm3 の超低密度ポリエチ
レン(VLDPE)、密度が0.86〜0.91g/c
3 のエチレン・プロピレン共重合体ゴム、エチレン・
プロピレン・ジエン共重合体ゴム等のエチレン・α−オ
レフィン共重合体ゴムを挙げることができる。
【0062】上記チーグラー型触媒によるLLDPEと
は、密度が0.91〜0.94g/cm3 、好ましくは
0.91〜0.93g/cm3 の範囲のエチレン・α−
オレフィン共重合体であり、α−オレフィンは、炭素数
3〜20、好ましくは炭素数4〜12の範囲のものであ
り、具体的にはプロピレン、1−ブテン、4−メチル−
1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げら
れる。
【0063】また、上記チーグラー型触媒による超低密
度ポリエチレン(VLDPE)とは、密度が0.86〜
0.91g/cm3 、好ましくは0.88〜0.905
g/cm3 の範囲のエチレン・α−オレフィン共重合体
であり、LLDPEとエチレン・α−オレフィン共重合
体ゴム(EPR、EPDM)の中間の性状を示すポリエ
チレンである。
【0064】また、上記エチレン・α−オレフィン共重
合体ゴムとは、密度が0.86〜0.91g/cm3
満のエチレン・プロピレン共重合体ゴム、エチレン・プ
ロピレン・ジエン共重合体ゴム等が挙げられ、該エチレ
ン・プロピレン系ゴムとしては、エチレンおよびプロピ
レンを主成分とするランダム共重合体(EPM)、およ
び第3成分としてジエンモノマー(ジシクロペンタジエ
ン、エチリデンノルボルネン等)を加えたものを主成分
とするランダム共重合体(EPDM)が挙げられる。
【0065】本発明における樹脂材料(i)と樹脂材料
(iii)は、同種または異種の樹脂材料で構成され、密
度においても特に限定されるものではないが、樹脂材料
(i)および樹脂材料(iii)と、樹脂材料(ii)と
が、同種の樹脂材料の場合には、それらの密度が、樹脂
材料(i)および樹脂材料(iii)<樹脂材料(ii)の
関係を有することが好ましい。また、樹脂材料(i)と
樹脂材料(ii)には、公知の添加剤、充填材等を配合し
てもよい。樹脂材料(iii)として、ハロゲンを含まな
い触媒を用いて製造された(A)線状低密度ポリエチレ
ンを用い、かつ樹脂材料(iii)に酸化防止剤、中和剤
等の添加剤を配合しないことにより、クリーンな成形体
を提供することができる。
【0066】また、本発明においては、前記樹脂材料
(iii)に酸化防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤、
帯電防止剤、防曇剤、紫外線吸収剤、有機系あるいは無
機系顔料、造核剤、架橋剤などの公知の添加剤が配合さ
れてない、もしくは、前記樹脂組成物に添加剤が配合さ
れたとしても、配合された添加剤が実質的に内容物等の
被接触物に移行しない添加剤であることが望ましい。本
発明においては、外部に溶出または滲出してしまうよう
な添加剤、例えば、内容物が液体の場合は、該液体に溶
出されてしまうような添加剤、臭気が移行してしまう添
加剤、あるいは時間とともにフイルム表面に偏在するよ
うな添加剤が、樹脂材料(iii)に含まれていないこと
により、臭いの少なく、衛生的で、クリーンな積層体、
容器を提供することが可能となる。
【0067】本発明における、実質的に被接触物に移行
しない添加剤とは、有機あるいは無機フィラーのような
充填剤であって、被接触物を変質させず、かつ本発明の
樹脂シートの特性を本質的に阻害しない範囲で添加が可
能な添加剤である。無機フィラーとしては、炭酸カルシ
ウム、タルク、シリカ、クレー、カリオン、アルミナ、
水酸化アルミニウム、マグネシア、水酸化マグネシウ
ム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、硫酸バリウ
ム、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸ナトリウ
ム、珪酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、
酸化カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、マイカ、ガラ
スフレーク、ゼオライト、珪藻土、パーライト、パーミ
キュライト、シラスバルーン、ガラスマイクロフェア
ー、フライアッシュ、ガラスビーズなどが挙げられる。
有機フィラーとしては、ポリメチルメタクリレート架橋
物、ポリエチレンテレフタレート架橋物、フェノール樹
脂その他の合成樹脂の粉末および微小ビーズ、木粉、パ
ルプ粉等が挙げられる。これら充填材は、積層体の剛性
を向上させる目的で配合可能である。
【0068】本発明の積層体は、密度が0.94g/c
3 以下である線状低密度ポリエチレンまたは高圧ラジ
カル重合法エチレン系重合体を主成分とする樹脂材料
(i)からなる第I層と、曲げ弾性率2500kgf/
cm2以上のポリオレフィン系樹脂材料(ii)からなる
第II層と、密度が0.94g/cm3 以下である線状低
密度ポリエチレンを主成分とする樹脂材料(iii)から
なる第III層とを有するものである。
【0069】なお、本発明の積層体は、容器に成形した
際に、容器の最内層に相当する層を第III層で形成する
ことが肝要である。特に、各層の特性(第I層:カール
防止、第II層:剛性、水蒸気バリア性、保香性、第III
層:低温ヒートシール性、ヒートシール強度、突刺強
度、衛生性)を生かし、かつスタンディングパウチとし
たときに自立性を効率よく発揮させるためには、第I層
と第III層との間に第II層が設けられていることが必要
である。第II層と第I層の間、または第II層と第III層
との間に、その他の層を介在させてもよい。その他の層
としては、第II層とその両面の第I層および第III層と
をより強固に結合するための接着性樹脂層などが挙げら
れる。
【0070】本発明の積層体は、第III層同士をヒート
シール温度120℃、ヒートシール圧力1kg/cm
2 、ヒートシール時間1秒間の条件でヒートシールした
ときのヒートシール強度(以下、120℃ヒートシール
強度と記す)が、2.5〜6kg/15mmの範囲であ
ることが望ましい。
【0071】ここで、120℃ヒートシール強度は、具
体的には以下のようにして測定される。ヒートシール試
験機(シールバー幅1mm)を用い、積層体の第III層
どうしを、シール温度120℃、シール圧力1kg/c
2 で1秒間ヒートシールし、室温23℃かつ湿度50
%で24時間状態調節後、ヒートシール部を15mm幅
で短冊状に切り出し、引張試験機にて300mm/mi
nでヒートシール部を剥離し、その最大荷重を測定す
る。
【0072】本発明の積層体は、第III層同士をヒート
シール圧力1kg/cm2 、ヒートシール時間1秒間の
条件でヒートシールしたときのヒートシール強度が3k
g/15mmとなるようなヒートシール温度(以下、3
kg荷重ヒートシール温度と記す)が、85〜125℃
の範囲であることが望ましい。3kg荷重ヒートシール
温度が85℃未満では耐熱性が劣り、125℃を超える
と高速充填性が劣るものとなる。
【0073】ここで、3kg荷重ヒートシール温度は、
具体的には以下のようにして測定される。ヒートシール
試験機(シールバー幅1mm)を用い、積層体の第III
層どうしを、ヒートシール温度80℃、ヒートシール圧
力1kg/cm2 で1秒間ヒートシールし、室温23℃
かつ湿度50%で24時間状態調節後、ヒートシール部
を15mm幅で短冊状に切り出し、引張試験機にて30
0mm/minでヒートシール部を剥離し、その最大荷
重(ヒートシール強度)を測定する。上記の測定をヒー
トシール温度を5℃ずつ上げながら繰り返し行い、8
5,90,95,100,105,110,115,1
20,125および130℃におけるヒートシール強度
を測定する。ヒートシール温度に対してヒートシール強
度をプロットしてヒートシール温度−ヒートシール強度
曲線を作成し、この曲線からヒートシール強度が3kg
/15mmにおけるヒートシール温度を読み取る。
【0074】本発明の積層体の厚さは、目的、用途等に
より異なるが、一般的には10μm〜0.5mmの範囲
であり、好ましくは30μm〜0.3mm、より好まし
くは50μm〜0.2mmの範囲で選択されることが好
ましい。また、本発明の積層体の第I層、第II層および
第III層の各層の厚さは、3μm〜0.4mmである
が、好ましくは、それぞれ10μm〜0.2mm/20
μm〜0.2mm/10μm〜02mmの範囲で選択さ
れることが好ましい。また、各層の厚み比(第I層/第
II層/第III層)は、1〜10/1〜20/1〜20で
あることが好ましい。
【0075】本発明の積層体は、第I層に接着するバリ
ア層(IV)を有していてもよい。バリア層(IV)を設け
ることによって水蒸気バリア性、保香性がさらに向上す
る。また、バリア層(IV)は、積層体の補強、保護層、
印刷層、遮光層としての役割を担うこともでき、さらに
は、ヒートシール時に積層体の形状を保持するための耐
熱層としての役割も担っている。
【0076】上記バリア層(IV)としては、例えば、ポ
リプロピレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル
系樹脂、エチレンー酢酸ビニル共重合体鹸化物、ポリ塩
化ビニリデン、ポリカーボネート等のプラスチックフイ
ルムまたはシート(これらの延伸物、印刷物、金属等の
蒸着物等の二次加工したフイルム、シートを包含す
る)、アルミニウム、鉄、銅、これらを主成分とする合
金等の金属箔が挙げられる。あるいは、本発明の趣旨を
逸脱しない範囲で、金属板、セロファン、紙、織布、不
織布等も場合によっては用いてもよい。
【0077】また、前記第I層、第II層および第III層
のいずれかの層が、積層体をリサイクルすることで得ら
れる樹脂材料(i)、樹脂材料(ii)および樹脂材料
(iii)のブレンド樹脂で形成されていてもよい。ま
た、本発明の積層体は、前記ブレンド樹脂からなるリサ
イクル樹脂層(V)をさらに有していてもよい。ここ
で、積層体をリサイクルすることで得られブレンド樹脂
とは、積層体の不良品、積層体からなるパウチの回収
品、パウチ等に加工後の仕上げ段階で生ずるバリ等を粉
砕した混合樹脂のことである。このように、本発明の積
層体は、リサイクルされたブレンド樹脂を用いることが
可能であり、リサイクル性が良好である。
【0078】上記積層体の例としては、I/II/III、
I/IV/II/III、IV/I/II/III、 I/V/II/III
、 I/V/II/V/III、I/接着剤/V/接着剤/I
I/IIIなどの態様が挙げられる。より具体的には、LD
/HD/LL、LD/HD+LL/LL、LD+LL/
HD/LL、LD/HD/LL+LD、LD/HD+L
L/LL+LD、LD/RC/HD/LL、RC/LD
/HD/LL、LD/RC/LL、LD/RC+HD/
LL、LD/RC+HD/HD/LL、LD/接着剤/
バリア層(EVOH、PA、PEs、OPPなど)/接
着剤/HD/LLなどが挙げられる(ここで、HD:高
密度ポリエチレン、LD:高圧ラジカル重合法低密度ポ
リエチレン、LL:線状低密度ポリエチレン、RC:リ
サイクルされたブレンド樹脂、EVOH:エチレン−酢
酸ビニル共重合体の鹸化物、PA:ポリアミド樹脂、P
Es:ポリエステル樹脂、OPP:配向ポリプロピレン
樹脂、接着剤:酸変性ポリエチレン樹脂を示す)。
【0079】本発明の積層体は、カールがなく、剛性
(腰)に優れることから、自立性が求められるスタンデ
ィングパウチに好適に用いることができる。また、本発
明の積層体は、比較的低いヒートシール温度でも十分な
ヒートシール強度を発揮することができることから、パ
ウチ等を低温のヒートシールで製造することができ、製
造されたパウチ等には、臭気などの発生が少なく、内容
物の品質を悪化させることがない。
【0080】本発明の積層体は、種々の方法で製造する
ことが可能であるが、好ましくは、第I層、第II層、お
よび第III層を共押出法により成形することによって製
造される。成形方法としては、例えば、多層インフレー
ション成形法、多層キャスト成形法等によって生産性高
く製造できる。中でも、多層インフレーション成形法
が、経済性、成形性等の点で好適に用いられる。
【0081】多層インフレーション成形法によるシート
の製造は、通例の空冷法インフレーションフィルム製造
装置で実行可能であり、例えば、各樹脂材料を150〜
250℃の温度で押出機よりサーキュラーダイを通して
押出し、空冷式エアーリングより吹き出す空気に接触さ
せて急冷し、固化させてピンチロールで引き取った後、
枠に巻き取ることにより行われる。
【0082】また、空冷法インフレーション成形以外に
も、水冷法インフレーション成形、T−ダイ法等で製造
することもでき、透明性、低温衝撃性等の良好なシート
を得ることができる。
【0083】また、少なくとも前記樹脂材料(i)、樹
脂材料(ii)および樹脂材料(iii)を多層インフレー
ション成形して得られる中空状のチューブを挟み潰し
て、5層以上の積層体とすることも可能である。このよ
うな積層体を得る方法としては、各樹脂材料をサーキュ
ラーダイを通して押出して形成された中空状のチューブ
を、内層の樹脂材料の融点よりも高い温度の状態でピン
チロールで挟み潰す方法や、各樹脂材料をサーキュラー
ダイを通して押出して形成された中空状のチューブを、
空冷式エアーリングより吹き出す空気に接触させて冷却
し、固化させた後、加熱したピンチロールで挟み潰す方
法などが挙げられる。このような製造方法によれば、効
率的かつ経済的に安価な積層体を得ることができる。
【0084】このように多層インフレーション成形法に
よって積層体を製造することによって、Tダイ法で得
られた積層体のようなむらがない、空冷による徐冷の
ため樹脂が均一に結晶化し、強度の強い積層体となる、
低温成形が可能であるところから添加剤フリーで成形
でき、被接触物に悪影響を与えない積層体が得られる、
ブローアップ比(BUR)が調節でき、品質のコント
ロールが可能である、Tダイ法に比べ、耳ロスがな
く、生産性が高く、経済性に優れる、ピンチロールに
より多層化して押しつぶすことにより、倍の肉厚のシー
トが一度に成形が可能であり、厚みの均質化も可能であ
るという利点が得られる。
【0085】本発明のパウチは、本発明の積層体を、第
III層が内側になるようにヒートシールして袋状とした
ものである。パウチの種類としては、自立性のスタンデ
ィングパウチ、アルミ箔からなるバリア層を有するレト
ルト食品用のレトルトパウチ、吸飲用スパウト付きパウ
チ等が挙げられ、より具体的にはフレキシブルスパウト
パウチ、デユアルチャンバーパウチ、ディスペンサーパ
ウチなどが挙げられる。また、パウチの形状としては、
ガゼット袋、四方シール袋、合掌貼りの三方シール袋、
インフレーション法による筒状フィルムの上下をシール
した袋などが挙げられる。
【0086】ヒートシールの方法としては、公知の方法
を使用でき、例えば、加熱バー、加熱ナイフ、加熱ワイ
ヤ、インパルスシールなどの外部加熱方式、超音波シー
ル、誘電加熱シールなどの内部加熱方式が挙げられる。
【0087】本発明のパウチ、特に、スタンディングパ
ウチは、本発明の積層体が剛性(腰)に優れることか
ら、自立性にたいへん優れ、薄肉化、軽量化も可能であ
る。また、本発明のパウチは、本発明の積層体が比較的
低いヒートシール温度でも十分なヒートシール強度を発
揮することができることから、低温のヒートシールで製
造することができ、臭気などの発生が少なく、内容物の
品質を悪化させることがない。
【0088】このようなパウチは、食用油、調味料、乾
物、加工食品等の食品用包材;液体洗剤、シャンプー、
リンスなどの日用品包材;輸液バックなどの医療用包材
などとして幅広く利用することができる。
【0089】
【実施例】以下、実施例を示して本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるも
のではない。
【0090】本実施例における試験方法は以下の通りで
ある。 [密度]JIS K6760に準拠した。 [MFR]JIS K6760に準拠した。 [Mw/Mn]GPC(ウォータース社製150C型)
を用い、溶媒として135℃のODCBを使用した。カ
ラムはショウデックス HT806Mを使用した。 [DSCによるTmlの測定]厚さ0.2mmのシートを
熱プレスで成形し、シートから約5mgの試料を打ち抜
いた。この試料を230℃で10分保持後、2℃/分に
て0℃まで冷却した。その後、再び10℃/分で170
℃迄昇温し、現れた最高温ピークの頂点の温度を最高ピ
ーク温度Tmlとした。 [TREF]カラムを140℃に保った状態で、カラム
に試料を注入して0.1℃/分で25℃まで降温し、ポ
リマーをガラスビーズ上に沈着させた後、カラムを下記
条件にて昇温して各温度で溶出したポリマー濃度を赤外
検出器で検出した。(溶媒:ODCB、流速:1ml/
分、昇温速度:50℃/hr、検出器:赤外分光器(波
長2925cm-1)、カラム:0.8cmφ×12cm
L(ガラスビーズを充填)、試料濃度:0.05重量
%)
【0091】[メルトテンション(MT)]溶融させた
ポリマーを一定速度で延伸したときの応力をストレイン
ゲージにて測定することにより決定した。測定試料は造
粒してペレットにしたものを用い、東洋精機製作所製M
T測定装置を使用して測定した。使用するオリフィスは
穴径2.09mmφ、長さ8mmであり、測定条件は樹
脂温度190℃、シリンダー下降速度20mm/分、巻
取り速度15m/分である。 [塩素濃度]蛍光X線法により測定し、10ppm以上
の塩素が検出された場合はこれをもって分析値とした。
10ppmを下回った場合は、ダイアインスツルメンツ
(株)製TOX−100型塩素・硫黄分析装置にて測定
し、2ppm以下についてはNDとし、実質的には含ま
れないものとした。
【0092】<積層シートの評価> [ヒートシール強度]テスター産業(株)製ヒートシー
ル試験機(シールバー幅1mm、シール圧力1kg/c
2 )を用い、積層体の第III層どうしを、ヒートシー
ル温度120℃で1秒間シールし、室温23℃かつ湿度
50%で24時間状態調節後、シール部を15mm幅で
短冊状に切り出し、引張試験機にて300mm/min
でシール部を剥離し、その最大荷重を測定した。 [3kg荷重ヒートシール温度]テスター産業(株)製
ヒートシール試験機(シールバー幅1mm、シール圧力
1kg/cm2 )を用い、積層体の第III層どうしを、
ヒートシール温度80℃、ヒートシール圧力1kg/c
2 で1秒間ヒートシールし、室温23℃かつ湿度50
%で24時間状態調節後、ヒートシール部を15mm幅
で短冊状に切り出し、引張試験機にて300mm/mi
nでヒートシール部を剥離し、その最大荷重(ヒートシ
ール強度)を測定した 上記の測定をヒートシール温度を5℃ずつ上げながら繰
り返し行い、85,90,95,100,105,11
0,115,120,125および130℃におけるヒ
ートシール強度を測定した。ヒートシール温度に対して
ヒートシール強度をプロットしてヒートシール温度−ヒ
ートシール強度曲線を作成し、この曲線からヒートシー
ル強度が3kg/15mmにおけるヒートシール温度を
読み取った。
【0093】[耐ピンホール性]積層体から、成形時の
流れ方向に幅200mm、長さ300mmの試験片を切
り取った。この試験片を理学工業(株)製ゲルボフレッ
クステスターに取り付け、常温で3000ストローク負
荷後、試験片のピンホール数を測定した。同様の試験を
3回繰り返し、ピンホール数の平均値を求めた。 [水蒸気透過率]JIS K7129に準拠した。 [ヘイズ]ASTM D1003に準拠した。 [引張弾性率]ASTM D882に準拠し、MD(押
出方向)について測定した。 [引張衝撃強さ]ASTM D1822に準拠し、MD
(押出方向)について測定した。 [カール性]巾300mmの積層体のTD方向について
のカールの程度を目視で測定した。 ○:カール性なし △:ややカール性あり ×:著しいカール性あり
【0094】<パウチの評価> [臭気および衛生性]蒸留水500mlを充填し、40
℃オーブン中にて72時間保存したのち室温まで冷却
し、内容液を20mlを磁器製の器に移し、浮遊物の有
無と臭気および味覚について官能試験を実施した。 ◎:良い ○:比較的良い △:やや不良 ×:不良
【0095】[耐熱性]蒸留水500mlを充填した容
器を121℃、20分間高圧蒸気滅菌し、変形を目視に
より観察した。 ○:変形せず △:やや変形した ×:変形著しい [落下試験]蒸留水500mlを充填した容器を5℃の
雰囲気化で24時間、状態調節したのち、10個の容器
を高さ1.2mから落下させ、破袋した容器の数を調べ
た。 ○:破袋せず △:1〜2個破袋 ×:3個以上破袋 [自立性]直径200mmφ、高さ300mmの円筒を
制作し、自立させた時の上部開口部のたわみから判定し
た。 ○:たわみなし △:ややたわみあり ×:たわみ著しい
【0096】実施例および比較例に用いた各種成分は以
下の通りである。 [線状低密度ポリエチレン] 1)(A1)特定の線状低密度ポリエチレンは次の方法
で重合した。 (固体触媒の調製)電磁誘導攪拌機を備えた触媒調製装
置に、窒素下で精製したトルエン1000ml、テトラ
エトキシジルコニウム(Zr(OEt)4 )22gおよ
びインデン74gを加え、90℃に保持しながらトリプ
ロピルアルミニウム100gを100分かけて滴下し、
その後、同温度で2時間反応させた。40℃に冷却した
後、メチルアルモキサンのトルエン溶液(濃度2.5m
mol/ml)を3200ml添加し2時間撹拌した。
次にあらかじめ450℃で5時間焼成処理したシリカ
(グレース社製、#952、表面積300m2 /g)2
000gを加え、室温で1時間攪拌の後、40℃で窒素
ブローおよび減圧乾燥を行い、流動性のよい固体触媒を
得た。
【0097】(気相重合)連続式の流動床気相重合装置
を用い、重合温度80℃、全圧20kgf/cm 2 Gで
エチレンと1−ヘキセンの共重合を行った。前記固体触
媒を連続的に供給し、エチレン、1−ヘキセンおよび水
素を所定のモル比に保つように供給して重合を行い、エ
チレン共重合体(LLDPE−1)を得た。また、LL
DPE−1と同じエチレン共重合体であり、かつ添加剤
を含まないものをLLDPE−3とした。これらの物性
を表1に示した。
【0098】2)(A2)特定の線状低密度ポリエチレ
ンは次の方法で重合した。 上記連続式の流動床気相重合装置を用い、重合温度75
℃、全圧20kgf/cm2 Gでエチレンと1−ヘキセ
ンの共重合を行った。前記固体触媒を連続的に供給し、
エチレン、1−ヘキセンおよび水素を所定のモル比に保
つように供給して重合を行い、エチレン共重合体(LL
DPE―2)を得た。その物性を表に示した。
【0099】3)一般のメタロセン系触媒によるエチレ
ン・ヘキセン−1共重合体(M−LLDPE) 窒素で置換した撹拌機付き加圧反応器に精製トルエンを
入れ、次いで、1−ヘキセンを添加し、更にビス(n−
ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライ
ド、メチルアルモキサン(MAO)の混合液を(Al/
Zrモル比=500)を加えた後、80℃に昇温し、メ
タロセン触媒を調整した。ついでエチレンを張り込み、
エチレンを連続的に重合しつつ全圧を6kg/cm3
維持して重合を行い、エチレン・ヘキセン−1共重合体
(M−LLDPE)を製造した。その物性を表1に示し
た。
【0100】4)市販のチーグラー型触媒による線状低
密度ポリエチレン(Z−LLDPE)物性を表1に示し
た。
【0101】
【表1】
【0102】[密度0.94g/cm3 以下のポリエチ
レン系樹脂] 高圧法低密度ポリエチレン:HP−LDPE MFR=2.0g/10min、密度=0.923g/
cm3 [曲げ弾性率2500kgf/cm2 以上のポリオレフ
ィン系樹脂] (1)高密度ポリエチレン エチレン・1−ブテン共重合体(HDPE:MFR=
1.5g/10分、密度=0.951g/cm3 、曲げ
弾性率=11,000) (2)エチレン・1−ブテン共重合体(MDPE:MF
R=1.0g/10分、密度=0.942g/cm3
曲げ弾性率=10,000) (3)エチレン・プロピレン共重合体(PP:エチレン
含有量=3重量%、曲げ弾性率=12,500)
【0103】[実施例1〜8、比較例1〜4]酸化防止
剤(イルガノックス1076=0.1重量%、イルガフ
ォス168=0.1重量%)とステアリン酸カルシウム
(中和剤=0.1重量%)を配合した表2〜表4に示す
HDPE、HP−LDPE、LLDPEを、トミー機械
工業(株)製3層インフレーション成形機(40mmφ
押出機3台)を用い、成形リップギャップ3mm、成形
温度200℃の条件下で成形し、巾が300mmであ
り、表2〜表4に示す層厚み構成を有する積層体を製造
した。ついで、O−ナイロン(厚み15μm、ユニチカ
(株)製)を接着剤(アンカーコート剤:東洋モートン
TM―329)を使用しドライラミネート法により貼り
合わせた。
【0104】さらに、積層体の第III層同士を3kg荷
重ヒートシール温度+5℃の温度で、圧力1kg/cm
2、1秒間でヒートシールして内容量500mlのスタ
ンディングパウチを製造し、積層体およびパウチの評価
を行った。結果を表2〜表4に示す。
【0105】[実施例9]実施例1の第II層のHDPE
をポリプロピレン系樹脂(PP)に代えた以外は実施例
1と同様に積層体およびパウチを製造し、その評価の結
果を表3に示した。[実施例10]実施例1の第II層の
HDPEをMDPEの代え、かつ実施例1で製造された
積層体を粉砕したリサイクル樹脂(RC)を第I層とし
て実施例1と同様に積層体およびパウチを製造し、その
評価の結果を表3に示した。 [実施例11]実施例1の第II層のHDPEをMDPE
の代え、かつ第III層のLLDPEを酸化防止剤が配合
されていないLLDPE−3に代えて実施例1と同様に
積層体およびパウチを製造し、その評価の結果を表3に
示した。
【0106】
【表2】
【0107】
【表3】
【0108】
【表4】
【0109】表2および表3の結果から明らかなよう
に、実施例の積層体は、カール性、ヒートシール性、耐
ピンホール性、水蒸気バリア性、透明性および機械的強
度に優れていることがわかる。また、実施例の容器は、
十分な耐熱性および落下強度を有していた。特に、ハロ
ゲンがなく、かつ添加剤の配合されていないLLDPE
−3を内層(第III層)に用いたパウチは、臭気が少な
く、衛生性に優れていた。
【0110】一方、表4の結果から明らかなように、比
較例1の積層体およびパウチは、第III層に密度0.9
4g/cm3 以下の線状低密度ポリエチレンを用いてい
ないため、ヒートシール強度、耐ピンホール性、引張衝
撃強さ、落下強度に劣っていた。また、密度が高いため
カールが若干生じていた。比較例2の積層体およびパウ
チは、第III層に密度0.94g/cm3 以下の線状低
密度ポリエチレンを用いず、HP−LDPEを用いたた
め、ヒートシール強度、耐ピンホール性、引張衝撃強
さ、落下強度に劣り、しかも、臭気が激しく、衛生性が
悪かった。比較例3の積層体およびパウチも、第III層
に密度0.94g/cm3 以下の線状低密度ポリエチレ
ンを用いず、HP−LDPEを用いたため、ヒートシー
ル強度、耐ピンホール性、引張衝撃強さ、落下強度に劣
り、しかも、臭気が激しく、衛生性が悪かった。また、
密度も高いためカールが著しく生じていた。比較例4の
積層体およびパウチは第II層にLDPEを用いているた
め、耐熱性、落下強度、自立性が劣るものであった。
【0111】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の積層体
は、密度が0.94g/cm3 以下である線状低密度ポ
リエチレンまたは高圧ラジカル法エチレン系重合体を主
成分とする樹脂材料(i)からなる第I層と、曲げ弾性
率が2500kgf/cm2 以上であるポリオレフィン
系樹脂材料(ii)からなる第II層と、密度が0.94g
/cm3 以下である線状低密度ポリエチレンを主成分と
する樹脂材料(iii)からなる第III層とを有し、第I層
と第III層との間に第II層が設けられた積層体であるの
で、耐カール性、剛性、低温ヒートシール性、水蒸気バ
リア性、保香性、衛生性、耐熱性に優れ、高いヒートシ
ール強度、突刺強度を有する。
【0112】また、第III層同士をヒートシールしたと
きのヒートシール強度が3kg/15mmとなるような
ヒートシール温度が、85〜125℃の範囲であれば、
耐熱性、高速充填性がさらに向上する。また、積層体の
厚さが10μm〜0.5mmであり、かつ第I層、第II
層および第III層の厚さがそれぞれ3μm〜0.4mm
の範囲であれば、使いやすく、各層の特性が十分に発揮
された積層体となる。また、本発明の積層体が、さら
に、バリア層(IV)を有していれば、水蒸気バリア性、
保香性がさらに向上する。また、第I層、第II層および
第III層のいずれかの層が、積層体をリサイクルするこ
とで得られる樹脂材料(i)、樹脂材料(ii)および樹
脂材料(iii)のブレンド樹脂で形成されている、もし
くは、該ブレンド樹脂からなるリサイクル樹脂層(V)
が、さらに設けられていれば、リサイクルされたブレン
ド樹脂を用いることが可能となり、かつ同種の樹脂材料
で構成されるためリサイクル性が良好となる。
【0113】また、前記線状低密度ポリエチレンが、下
記(a)から(d)の要件を満足する(A)線状低密度
ポリエチレンであれば、積層体の耐熱性、低温ヒートシ
ール性、機械的強度、剛性、成形加工性等がさらに向上
する。また、前記(A)線状低密度ポリエチレンが、さ
らに上述の(e)および(f)の要件を満足する(A
1)線状低密度ポリエチレンであれば、積層体の耐熱
性、衛生性、剛性がさらに向上する。また、前記線状低
密度ポリエチレンが、さらに上述の(g)および(h)
の要件を満足する(A2)線状低密度ポリエチレンであ
れば、積層体の耐熱性、ヒートシール強度がさらに向上
する。また、前記(A2)線状低密度ポリエチレンが、
さらに上述の(i)の要件を満足すれば、積層体の成形
加工性がさらに向上する。
【0114】また、前記線状低密度ポリエチレン、少な
くとも共役二重結合を持つ有機環状化合物と周期律表第
IV族の遷移金属化合物を含む触媒の存在下にエチレンと
α−オレフィンを共重合させて得られる直鎖状のエチレ
ン共重合体であれば、積層体の機械的特性、ヒートシー
ル性、耐熱ブロッキング性、耐熱性がさらに向上する。
また、前記樹脂材料(iii)に配合された添加剤が実質
的に被接触物に移行しない添加剤である、もしくは前記
樹脂材料(iii)に添加剤が配合されていなければ、臭
いが少なく、衛生性を有する積層体を得ることができ
る。また、樹脂材料(iii)のハロゲン濃度が、10p
pm以下であれば、化学的安定性、衛生性が優れ、特に
食品用包装材料等の分野において好適に活用される積層
体を提供することができる。
【0115】また、本発明のパウチは、本発明の積層体
を、第III層を内側にして袋状に成形してなるものであ
るので、耐カール性、剛性、低温ヒートシール性、水蒸
気バリア性、保香性、衛生性、耐熱性に優れ、高いヒー
トシール強度、突刺強度を有する。特に、スタンディン
グパウチの形状としたときには、自立性に優れたものと
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る(A)または(A2)線状低密
度ポリエチレンの溶出温度−溶出量曲線を示すグラフで
ある。
【図2】 本発明における(A1)線状低密度ポリエチ
レン(エチレン共重合体)の溶出温度−溶出量曲線を示
すグラフである。
【図3】 メタロセン系触媒による線状低密度ポリエチ
レン(エチレン共重合体)の溶出温度−溶出量曲線を示
すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3E064 AA05 AA08 AA11 AB23 BA01 BA07 BA09 BA16 BA17 BA18 BA27 BA28 BA29 BA30 BA36 BA38 BA54 BA60 BB03 BC01 BC07 BC08 BC18 BC20 EA07 EA17 EA23 FA04 FA05 HN05 HN65 3E086 AD01 BA04 BA15 BB02 BB41 BB51 CA01 CA35 DA08 4F100 AK03B AK03D AK05B AK05D AK06A AK06E AK07B AK07D AK48G AK63A AK63C AK63E AK63K AL05B AL05D BA03 BA05 BA07 BA10A BA10C BA10E BA15 BA25 CA06 CA24 CB00 DA01 GB16 GB23 JA04A JA04C JA04E JA06A JA06C JA06E JA07A JA07C JA07E JA13A JA13B JA13C JA13D JA13E JA20A JA20C JA20E JB08A JB08C JB08E JD01A JD01E JD04 JJ03 JK01 JK04B JK04D JK06 JK07B JK07D JK14 JL00 JL04 JL12 JL16 JN01 YY00A YY00B YY00C YY00D YY00E

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 密度が0.94g/cm3 以下である線
    状低密度ポリエチレンまたは高圧ラジカル重合法エチレ
    ン系重合体を主成分とする樹脂材料(i)からなる第I
    層、第I層と第III層との間に設けられた、曲げ弾性率
    が2500kgf/cm2 以上であるポリオレフィン系
    樹脂材料(ii)からなる第II層、および密度が0.94
    g/cm3 以下である線状低密度ポリエチレンを主成分
    とする樹脂材料(iii)からなる第III層の少なくとも3
    層からなることを特徴とする積層体。
  2. 【請求項2】 前記曲げ弾性率が2500kgf/cm
    2 以上であるポリオレフィン系樹脂材料(ii)が、密度
    0.93g/cm3 以上の中・高密度ポリエチレンおよ
    び/またはポリプロピレン系樹脂を主成分とすることを
    特徴とする請求項1記載の積層体。
  3. 【請求項3】 前記第III層同士をヒートシール圧力1
    kg/cm2 、ヒートシール時間1秒間の条件でヒート
    シールしたときのヒートシール強度が3kg/15mm
    となるようなヒートシール温度が、85〜125℃の範
    囲であることを特徴とする請求項1または請求項2記載
    の積層体。
  4. 【請求項4】 積層体の厚さが10μm〜0.5mmで
    あり、かつ第I層、第II層および第III層の厚さがそれ
    ぞれ3μm〜0.4mmの範囲であることを特徴とする
    請求項1ないし3のいずれか一項に記載の積層体。
  5. 【請求項5】 第I層に接着されたバリア層(IV)を有
    することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項
    に記載の積層体。
  6. 【請求項6】 第I層、第II層および第III層のいずれ
    かの層が、積層体をリサイクルすることで得られる樹脂
    材料(i)、樹脂材料(ii)および樹脂材料(iii)の
    ブレンド樹脂で形成されている、もしくは、該ブレンド
    樹脂からなるリサイクル樹脂層(V)が、さらに設けら
    れていることを特徴とする請求項1ないし5いずれか一
    項に記載の積層体。
  7. 【請求項7】 前記線状低密度ポリエチレンが、下記
    (a)から(d)の要件を満足する(A)線状低密度ポ
    リエチレンであることを特徴とする請求項1ないし6い
    ずれか一項に記載の積層体。 (a)密度が0.86〜0.94g/cm3 、(b)メ
    ルトフローレートが0.01〜50g/10分、(c)
    分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜4.5、(d)連
    続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量
    曲線の積分溶出曲線から求めた全体の25%が溶出する
    温度T25と全体の75%が溶出する温度T75との差T75
    −T25および密度dが、下記(式1)の関係を満足する
    こと (式1) T75−T25≦−670×d+644
  8. 【請求項8】 前記(A)線状低密度ポリエチレンが、
    さらに下記(e)および(f)の要件を満足する(A
    1)線状低密度ポリエチレンであることを特徴とする請
    求項7記載の積層体。 (e)25℃におけるオルソジクロロベンゼン(ODC
    B)可溶分量X(重量%)、密度dおよびメルトフロー
    レート(MFR)が下記(式2)および(式3)の関係
    を満足すること (式2)d−0.008logMFR≧0.93の場合 X<2.0 (式3)d−0.008logMFR<0.93の場合 X<9.8×103×(0.9300−d+0.008
    logMFR)2+2.0 (f)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度
    −溶出量曲線のピークが複数個存在すること
  9. 【請求項9】 前記(A)線状低密度ポリエチレンが、
    さらに下記(g)および(h)の要件を満足する(A
    2)線状低密度ポリエチレンであることを特徴とする請
    求項7記載の積層体。 (g)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度
    −溶出量曲線のピークが一つであり、かつT75−T25
    よび密度dが、下記(式4)の関係を満足すること (式4) T75−T25≧−300×d+285 (h)融点ピークを1ないし2個有し、かつそのうち最
    も高い融点Tmlと密度dが、下記(式5)の関係を満足
    すること (式5) Tml≧150×d−17
  10. 【請求項10】 前記(A2)線状低密度ポリエチレン
    が、さらに下記(i)の要件を満足することを特徴とす
    る請求項9記載の積層体。 (i)メルトテンション(MT)とメルトフローレート
    (MFR)が、下記(式6)を満足すること (式6) logMT≦−0.572×logMFR+0.3
  11. 【請求項11】 前記線状低密度ポリエチレンが、少な
    くとも共役二重結合をもつ有機環状化合物と周期律表第
    IV族の遷移金属化合物を含む触媒の存在下に製造された
    ものであることを特徴とする請求項1ないし10いずれ
    か一項に記載の積層体。
  12. 【請求項12】 前記樹脂材料(iii)に配合された添
    加剤が実質的に被接触物に移行しない添加剤である、も
    しくは前記樹脂材料(iii)に添加剤が配合されていな
    いことを特徴とする請求項1ないし11のいずれか一項
    に記載の積層体。
  13. 【請求項13】 前記樹脂材料(iii)のハロゲン濃度
    が、10ppm以下であることを特徴とする請求項1な
    いし12いずれか一項に記載の積層体。
  14. 【請求項14】 請求項1ないし13いずれか一項に記
    載の積層体を、第III層を内側にして袋状に成形してな
    ることを特徴とするパウチ。
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