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JP2001342847A - ガスタービンとガスタービン発電システム - Google Patents

ガスタービンとガスタービン発電システム

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Publication number
JP2001342847A
JP2001342847A JP2000164752A JP2000164752A JP2001342847A JP 2001342847 A JP2001342847 A JP 2001342847A JP 2000164752 A JP2000164752 A JP 2000164752A JP 2000164752 A JP2000164752 A JP 2000164752A JP 2001342847 A JP2001342847 A JP 2001342847A
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JP
Japan
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water
orifice
gas turbine
header
fluid nozzle
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Pending
Application number
JP2000164752A
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English (en)
Inventor
Hisamichi Inoue
久道 井上
Hidetoshi Karasawa
英年 唐沢
Eitaro Murata
英太郎 村田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】圧縮機の吸気に安定した微細粒径の水滴を同伴
させ、その水滴の有効利用効率を向上させ、さらに圧縮
機羽でのエロージョンを防止して耐久性の低下を抑制す
ると共に熱効率向上を可能とする水噴霧システムを具備
したガスタービン発電システムを提供する。 【解決手段】垂直方向に設置される各2流体ノズル23
の水頭の影響を減少させる方法として、水噴霧システム
の水ヘッダ18にオリフィス板19を設置する。また、
使用する2流体ノズルの水注入部に小孔28のオリフィ
スを設置、または、水注入管20の一部に小孔のオリフ
ィスを設置、または、水注入管20を取付ける水ヘッダ
18位置に小孔のオリフィスを設置し、水圧に対する水
量変化割合を小さくする。これにより、噴霧システムの
水ヘッダ内に発生する水頭差の影響が小さくなり、設置
する各2流体ノズル23で均一な噴霧水滴分布を形成す
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガスタービンと、
そのガスタービンを用いたガスタービン発電システムに
関する。
【0002】
【従来の技術】夏季などにおいて、外気気温が上昇する
ことに伴うガスタービンの出力低下を緩和する方法とし
て2流体ノズルを用いた噴霧システムを採用したガスタ
ービンシステムが下記の特許公開公報に記載されてい
る。
【0003】特開平9−236024号,特開平10−246027
号,特開平11−13486号,特開平11−72029号,特開平11
−22487号,特開平11−190228号,特開平11−287132
号。
【0004】この中で、特開平11−13486 号には、垂直
ヘッダに水を下から注入する噴霧システムにおいて、ノ
ズルへの分岐管にオリフィスを設け、そのオリフィスの
口径は、注入水入口に近いほど口径を大きくし、遠くに
なるほど小さくすることの記載がある。水を下から注入
する垂直ヘッダで発生する水頭を考えると、注入水入口
に近いほどヘッダ内圧が高くなり、噴霧される水量も多
くなる。
【0005】この公知例のように注入水入口に近いほど
口径を大きくすると、さらに下部設置ノズルからの噴霧
水量が多くなり噴霧水量のアンバランスが助長され、噴
霧水滴径のアンバランスも助長されることになる。ま
た、この公知例には、管路摩擦損失の記載はあるが、水
頭の影響による水ヘッダ内圧の変化についての記載はな
い。
【0006】その他の公知例にも、噴霧水滴径に大きな
影響を及ぼす2流体ノズル設置部の水頭差について、そ
れを解決できる構造とはなっていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術には、ガ
スタービンシステムにおける夏季の吸気温度の上昇によ
る出力低下並びに熱効率の低下を防止する方法として、
圧縮機上流側の空気室に水ポンプの吐出圧力と圧縮機出
口側の空気を利用する2流体ノズルにより水を噴霧する
方法が記載されているが、この方法には以下の課題があ
る。 (1)設置する2流体ノズルは、ヘッダを介して垂直方
向に多数設置されるため、ヘッダ内水の水頭差の影響を
受け、上部設置のノズルと下部設置のノズルでは噴霧水
量が大きく変化し、噴霧水滴径も大きくばらつく。 (2)下部に設置したノズルから水頭差の影響で大きな
水滴が噴霧され、圧縮機羽でのエロージョン(防止策と
して噴霧水滴径が20μm以下)、圧縮機内での蒸発の
遅れが発生し、耐久性の低下及び熱効率向上への貢献度
が小さくなる。 (3)噴霧水滴径が大きくなると、吸気に同伴されずに
流路内構造物に衝突しドレーン水となり、有効活用がで
きない噴霧水が多くなる。
【0008】本発明の目的は、ガスタービンの圧縮機が
吸込む空気に噴霧する水滴の径が水頭差の影響でばらつ
くことを抑制する点にある。
【0009】その他の目的は、ガスタービンの圧縮機が
吸込む空気に噴霧した水滴の有効利用効率を向上させ、
さらに圧縮機羽でのエロージョンを防止して耐久性の低
下を抑制すると共に熱効率の向上を可能とするガスター
ビン発電システムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明では、2流体ノズ
ル水注入部口径を注入水中の塵を捕集するフィルターの
通過径より大きくするが、できるだけ小孔として、圧力
損失を大きくして、2流体ノズルの水ヘッダ取付位置に
おける水頭変化を許容できる口径とする。
【0011】これによりノズル設置高さ方向で個々のノ
ズルでの水頭差の影響を緩和でき、噴霧する水滴径の均
等化を図ることができる。
【0012】さらには、本発明は、噴霧する水滴径の均
等化を図るのに有利な条件範囲を具体的に規定するもの
で、2流体ノズルの水圧と水量の関係で水圧が大きく変
化(水頭変化)しても規定水量近傍での水量変化を最小
とすることで水頭差の影響を緩和するため、2流体ノズ
ルの水注入部オリフィス径、または、注入水配管の一部
に設置するオリフィス径、または、注入水配管を取付け
るヘッダ位置のオリフィス径を、定格水量,定格水圧を
基準とする水量変化割合(ΔW)と水圧変化割合(Δ
P)から決定する。
【0013】ここで、特にその比(ΔW/ΔP)が5.
0〜0.1となるようにオリフィス径を決定する。つま
り、ノズルに流入する水の圧力損失を大きくして圧力変
化に対する水量変化割合を小さくし、水量変化感度を鈍
感にすることで、ヘッダ内水頭の影響を小さくするもの
である。ΔW/ΔPが5.0 とは、今定格水圧が5kg/
cm2、定格水量が1L/minで水滴許容範囲から水量変化
許容範囲が工業的誤差範囲と考えられる±5%とした場
合、水圧変化範囲が±1%となり、水頭変化の許容範囲
は±0.5m(1m)となる。技術的な限界に近いと考え
られるΔWとΔPの比率を0.1 とし、水量変化許容範
囲を±1%と高精度とした場合、水圧変化範囲が±10
%となり、水頭変化の許容範囲は±5m(10m)とな
る。
【0014】ガスタービン発電システムの空気室の高さ
は、250MW級で約5〜8m程度、10MW級で約1
〜2mであり、これらの水頭差、噴霧水滴の均一性を考
慮すると、ΔW/ΔPが5.0〜0.1となる。ここに示
したΔW/ΔPは、その値が小さいほど水圧変化に対す
る水量変化感度が鈍感となることを意味している。
【0015】さらには、特に上部注水型水ヘッダに使用
するに有効な手段で、ノズル設置部の任意の位置に水頭
変化分の圧力を圧力損失を大きくするように調節するオ
リフィスを設置し、ノズル設置高さ方向で個々のノズル
での水頭差の影響を緩和するものである。
【0016】また、水頭差が大きい噴霧システムの上部
注水型水ヘッダで前記の各手段でも水頭変化を許容でき
ない場合、前記に示す各手段を併用してオリフィスを水
ヘッダノズル設置部の任意の位置に設置し、水頭変化量
を分割して小さくすることで水頭変化を許容範囲とし、
ノズル設置高さ方向で個々のノズルから噴霧する水滴径
の均等化を図ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明によるガスタービン発電シ
ステムの実施例について図1〜図16を用いて説明す
る。ここで、図1は本発明によるガスタービン発電シス
テムの第1実施例の全体図を示し、図2〜図4は水ヘッ
ダに水頭の影響を緩和するためにオリフィスを設置した
噴霧システムの構造及び効果の概要を示す。
【0018】図5,図6,図7には、水ヘッダにオリフ
ィス板を設置した場合の1実施例を示す。ここで、図5
は2流体ノズル17個を設置し、水ヘッダに2つオリフ
ィス板を設置した体系の噴霧システムの模式図を示す。
図6には空気圧力を一定とした場合の従来品である一般
的な2流体ノズルの特性を示す。図7には上記した体系
及び2流体ノズルを使用した場合の各ノズルからの噴霧
水滴分布を示す。
【0019】図8〜図14には、水ヘッダにオリフィス
板を使用しないで2流体ノズルの水注入部に小孔オリフ
ィスだけを設けた噴霧システムの1実施例を示す。ここ
で、図8,図9には2流体ノズルの水注入部に小孔オリ
フィスを設けた3種類の構成と効果の概要を示す。図1
0,図11は、水注入部に設置する小孔オリフィスの口
径決定方法を説明する図である。図12,図13,図1
4には、ΔW/ΔPが2となる小孔オリフィス径を有す
る2流体ノズルを用いた場合の噴霧システムの構成と効
果の概要を示す。ここで、図12はΔW/ΔPが2の2
流体ノズル17個を設置した体系の噴霧システムの模式
図を示す。図13にはΔW/ΔPが2の2流体ノズルの
特性を示す。図14には上記した体系及び2流体ノズル
を使用した場合の各ノズルからの噴霧水滴分布を示す。
【0020】図15,図16は本発明である水ヘッダに
小孔を有するオリフィス板を設置し、さらに、2流体ノ
ズルとして、本発明である水注入部オリフィス径が小さ
く、圧力損失が大きく、ΔW/ΔPが2となるノズルを
併用した場合の噴霧システムの1実施例を示す。
【0021】以下に、上記図1〜図16を用いて、本発
明について説明する。
【0022】図1は水ヘッダに小孔を有するオリフィス
板を設置し、さらに、2流体ノズルとして、水注入部オ
リフィス径が小さく圧力損失が大きいノズルを併用した
場合の噴霧システムを設置した場合のガスタービン発電
システムの1実施例を示す。
【0023】ガスタービン発電システムの基本構成機器
は、吸気を圧縮する圧縮機1,圧縮した空気に燃料を注
入して燃焼させる燃焼器2、その燃焼ガスが基となり回
転するタービン3、この回転による電気を発生させる発
電機4である。
【0024】この発電機4には変電設備5,電気を送電
する送電端6接続されている。このような構成でのガス
タービン発電システムでの運転は、初期状態で別設備で
あるモータ(図示せず)により回転させ、燃料タンク
7,ポンプ8,調節弁9,フィルター10等で構成され
る燃料供給系から燃料を燃焼器2に供給しバーナ11に
より燃焼させる。定常状態になったら、別設備であるモ
ータを切り離し、燃焼させることで定常運転状態を形成
する。
【0025】タービン3からの排ガス12は排ガス処理
装置(NOX,SOX等の除去)13,スタック14を
経由して大気に放出される。ここで、圧縮機1,タービ
ン3,発電機4が同軸上に連結されているが、圧縮機1
がタービン3と別軸となっていてもよい。圧縮機1の上
流側である空気室15内部には、吸気量を調整するルー
バー16,消音するサイレンサー17,本発明の主要で
ある噴霧システムが収納されている。
【0026】この噴霧システムの空気室内の構成は、水
ヘッダ18,水ヘッダの任意の位置に設置され、水頭の
影響を緩和するためのオリフィス板19、その水ヘッダ
から2流体ノズルに水を供給する水注入管20,空気ヘ
ッダ21,その空気ヘッダから2流体ノズルに空気を供
給する空気注入管22、この空気注入管22と前記水注
入管20に取り付けられた2流体ノズル23で構成され
ている。この2流体ノズル23は、ボディ24,空気注
入管が固定されるニップル25,水注入管が固定される
ニップル26,先端の噴出口を有するノズルチップ27
で構成され、水注入管が固定されるニップル26には、
ヘッダ内水頭の影響を緩和するために圧力損失を大きく
する小孔28のオリフィスを有しているものである。
【0027】この噴霧システムにおける空気ヘッダへの
空気の供給は、圧縮機1で加圧された空気を抽出しフィ
ルター29を経由して、流量調節弁30で調節され空気
ヘッダ21に供給される。また、水の供給は、給水タン
ク31からポンプ32により、水処理装置33,フィル
ター34を経由して流量調節弁35で調節され水ヘッダ
18に供給される。
【0028】このような構成の噴霧システムから噴霧さ
れた水滴は吸気36に同伴され圧縮機1に流入する。こ
の時空気室の壁等の構造物に衝突し再結合した大粒の水
滴は水となりドレーン管37より外部に排水される。
【0029】このようなシステムで構成されるガスター
ビン発電システムでは、制御監視用コンピュータ38に
燃料,空気,水フィルター情報,発電出力情報が入力さ
れ状態把握される。さらに発電出力の調整はこのコンピ
ュータ38からの制御命令により燃料,空気量,水量が
制御される。以下に吸気36に同伴され圧縮機1に流入
する水滴の作用を示す。
【0030】圧縮機1に流入する水滴は、作動流体の重
量流量を増加させ、圧縮機1内で気化する。この作動流
体は、気化が完了するとさらに断熱圧縮を受ける。その
際水蒸気の定圧比熱は圧縮機1内の代表的な温度(30
0℃)近傍では、空気の約2倍となり、熱容量的には空
気換算で気化する水滴の重量の約2倍の空気が作動流体
として増したのと等価となる。
【0031】圧縮機1の動力は、圧縮機1出入口の作動
流体のエンタルピの差に等しく作動流体のエンタルピは
温度に比例するので、圧縮機1出口の作動流体温度が下
がると、圧縮機1の所要動力もそれにつれて低減するこ
とができる。
【0032】したがって、圧縮機1内に流入する水滴の
粒径はできるだけ小さくし、早めに気化させることで圧
縮機1出口の温度を低く抑えることが効率向上に重要と
なる。
【0033】本発明による噴霧システムでは、水ヘッダ
にオリフィス板19を設置し、さらに2流体ノズルの水
注入部に小孔のオリフィスを設けることで水ヘッダ内で
発生する水頭差の影響を微小にすることができ均一化し
た微細水滴の噴霧ができることから、効率向上に大きく
貢献できる。したがって、このようなガスタービン発電
システムでは最も有効である。
【0034】圧縮機1で加圧された作動流体は、燃焼器
2で燃料の燃焼により昇温された後タービン3に流入し
て膨張し仕事を行う。この仕事はタービンの軸出力と呼
ばれタービンの出入口作動流体のエンタルピの差に等し
い。
【0035】燃料の投入量は、タービン3入口のガス温
度が所定の温度を超えないように制御される。たとえ
ば、タービン3出入口の作動流体温度が本発明適用前の
値と等しくなるように燃焼器2への燃料量を制御する。
【0036】このような燃焼温度一定制御がおこなわれ
ると、先に述べたように圧縮機1出口の温度が低下して
いる分だけ燃料投入量が増すことになる。また、燃焼温
度が不変かつ流入水滴の重量割合が吸気の数パーセント
程度であれば、タービン3入口部の圧力と圧縮機1出口
圧力は水滴注入の有無で近似的に変わらないので、ター
ビン3出口温度T4も変化しない。よって、タービン3
の軸出力は水滴注入の有無で変化しないことになる。
【0037】一方、タービン3の正味出力は、タービン
3の出力から圧縮機1の動力を差し引いたものであるか
ら、結局本発明を適用することで圧縮機1の動力が低減
した分だけタービン3の正味出力を増すことができる。
【0038】今、吸気36の温度をT1,圧縮機1の出
口の温度をT2,燃焼器2の温度をT3,タービン3出
口温度をT4とすると、タービン3の電気出力Eはター
ビン3の軸出力Cp(T3−T4)から圧縮機1の仕事
Cp(T2−T1)を差し引いて得られ、近似的に次式
で表される。
【0039】 E=T3−T4−(T2−T1) …(1) 通常、燃焼温度T3は一定となるように運転されるの
で、圧縮機1の出口温度T2が水滴の注入によりT2′
に低下すると、圧縮機1の仕事の低下分に等価な増出力
Cp(T2−T2′)が得られることになる。
【0040】一方、ガスタービン発電システムの効率η
は近似的に次式で与えられる。
【0041】 η=1−(T4−T1)/(T3−T2) …(2) これから、T2′<T2であるから、右辺第2項は小さ
くなるので水滴注入で効率も向上する。
【0042】圧縮機1内の温度低下割合は注入水滴が多
いほど大きくなるので、前述したように空気・水の噴霧
量を制御することにより、増出力割合をコントロールで
きる。
【0043】以上、ここでは、水ヘッダ18にオリフィ
ス板19を設置し、かつ2流体ノズル23の水注入部に
小孔28のオリフィスを設けた噴霧システムの全体構成
と噴霧水滴の作用及び効果について記したが、以下に
は、上記噴霧システムの特徴である水ヘッダ18にオリ
フィス板19を設置した場合の噴霧システム構成と効
果、2流体ノズル23の水注入部に小孔28のオリフィ
スを設けた噴霧システムの構成と効果及び両者を併用し
た噴霧システムの構成と効果について記する。
【0044】図2,図3には、縦型,横型噴霧システム
の概要を示す。ここで水の注入方向は上から下である。
水ヘッダ18にオリフィス板19を設置して水頭差を緩
和する場合、水注入が上から下で効果を発揮し、下から
上では逆効果となる。そのオリフィス板19は上下に離
して二枚備えられ、上方のオリフィス板19のオリフィ
スの口径(小孔の径)は下方のオリフィス板19のオリ
フィスの口径(小孔の径)よりも大きな口径とされる。
水ヘッダ18にオリフィス板19を設置すると図4に示
すようにオリフィス板19が無い場合と比較して、ヘッ
ダ高さ方向で水ヘッダ18内圧力の圧力変化が小さいこ
とが分かる。したがって、水ヘッダ18内水頭差の影響
を緩和する方法として有効である。
【0045】図5,図6,図7には、水ヘッダ18にオ
リフィス板19を設置した場合の1実施例を示す。ここ
で、図5は2流体ノズル17個を設置し、水ヘッダ18
に2つのオリフィス板19を設置した体系で高さが約5
mの噴霧システムの模式図を示す。使用した2流体ノズ
ル23は注入水圧に対する水量の感度が良い一般的な2
流体ノズルで、基準水量が0.7L/minで基準水滴径が
15μmのものである。その2流体ノズルの特性を図6
に示す。
【0046】上記した体系及び2流体ノズルを使用した
場合の各ノズルからの噴霧水滴分布を図7に示す。この
結果から、オリフィス板19で仕切られた各ブロックの
中央部の水滴径が基準水滴径である15μmで、ノズル
6個のブロックでの水滴径の変化は13〜18μmであ
る。前記課題でも述べたが、圧縮機の羽で発生するエロ
ージョンが問題となる水滴径20μm以下となることが
わかる。このオリフィス板19の設置がなければ最下部
のノズルでは20μmを超える結果となる。
【0047】以上ここでは、水ヘッダ18にオリフィス
板19を設置した場合の噴霧システム構成と効果を示し
たが、これからも水頭差の緩和法として有効であること
がわかる。
【0048】図8,図9には各2流体ノズル23への水
注入水路に小孔28のオリフィスを設けた噴霧システム
の構成と効果の概要を示す。ここで、図8は、水注入水
路に設ける小孔28のオリフィスの設置場所は以下の
(1)〜(3)で示す3箇所から選択される。そして、
各2流体ノズル23に対する各小孔28のオリフィスは
一定の口径(小孔の径)とされ、各2流体ノズル23毎
に相違する事は無い。 (1)は、2流体ノズル23を構成する水注入ニップル
26に小孔28のオリフィスを設けたものである。 (2)は、2流体ノズル23と水ヘッダを接続する水注
入管20の一部に小孔28のオリフィスを設けたもので
ある。 (3)は、水注入管20を接続する水ヘッダ18の位置
に小孔28のオリフィスを設けたものである。
【0049】水ヘッダ18内で発生する水頭差の影響を
緩和するために設ける水注入水路での小孔28のオリフ
ィスは上記3箇所のどの位置でも同様な効果がある。図
9には、上記(1)〜(3)に示した水注入部に小孔2
8のオリフィスを設けた場合と設けない場合でその効果
を比較して示した。
【0050】これから、水注入水路部に設けた小孔28
のオリフィスの口径が大きく水圧変化に対する水量変化
の感度が良い一般的な2流体ノズル23の場合、水ヘッ
ダ18内で発生する水頭差を一定とすると水量変化が大
きくなる。水注入部に設けた小孔28のオリフィスの口
径を小さく水圧変化に対する水量変化の感度を鈍感にす
る本発明によると、水ヘッダ18内で発生する水頭差の
変化に対して水量変化が小さくなる。本発明はこの特性
を利用したものである。
【0051】図10には、2流体ノズル23の噴霧水量
に対する噴霧水滴径の特性を示す。この特性は、空気圧
力を一定として水量を変化させた場合のものである。こ
れから、前記したように水ヘッダ18内水頭の影響が大
きく作用し、噴霧水量が大きく変わる場合、噴霧水滴径
も大きく変化することが分かる。
【0052】したがって、水ヘッダ18内水頭が大きく
ても水量変化が少ない2流体ノズル23とする必要があ
る。噴霧システムの設計に当たっては、まず、圧縮機1
内での気化し易さ、圧縮機1の羽に発生するエロージョ
ンの防止の観点から、噴霧水滴径変化の許容範囲が決定
され、2流体ノズル特性から噴霧水量変化の許容範囲が
決定される。
【0053】したがって、水頭差の影響による水量変化
の少ない2流体ノズル23、すなわち、水注入部に小孔
28のオリフィスを設け、圧力損失を大きくし、水圧に
対する水量変化を鈍感にした方が良いことになる。つぎ
に、この水注入部に設置する小孔28のオリフィスの口
径決定方法について図11を用いて説明する。
【0054】この図は、噴霧水滴径から決定した設計定
格噴霧水量及び定格水注入水圧を基点(0位置)とし、
横軸を水圧変化割合ΔP、縦軸を水量変化割合ΔWとし
たグラフで水注入部オリフィス口径の大小の違いを示し
ている。
【0055】ここでΔW/ΔPが小さいことは水注入部
オリフィス口径が小さいことを示している。ここで、Δ
W/ΔPが5.0とは、今定格水圧が5kg/cm2、定格水
量が1L/min で噴霧水滴許容範囲から水量変化許容範
囲を工業的誤差として許容される±5%とした場合、水
圧変化範囲が±1%となり、水頭変化の許容範囲は±
0.5m(1m)となる。ΔW/ΔPが0.5で水量変化
許容範囲を同様に±5%とした場合、水圧変化範囲が±
10%となり、水頭変化の許容範囲は±5m(10m)
となる。
【0056】さらに技術的な限界に近いと考えられるΔ
WとΔPの比率を0.1 とし、噴霧水滴径の精度を上げ
るべく水量変化許容範囲を狭く±1%とした場合、水圧
変化範囲が±10%となり、水頭変化の許容範囲は±5
m(10m)となる。このように、噴霧システムのヘッ
ダの高さ分の水頭差(実水頭)が上記した水頭変化の許
容範囲内に位置すれば、噴霧水滴径は当初設定した水滴
径変化許容範囲になる。
【0057】現状におけるガスタービン発電システムの
空気室の高さは、250MW級で約5〜8m程度、10
MW級で約1〜2mであり、これらを考慮し、さらに水
量変化範囲を±5%〜±1%との範囲にする場合、ΔW
/ΔPを5.0〜0.1の範囲で設定すれば十分な噴霧水
滴の精度となる。
【0058】図12,図13,図14には、噴霧システ
ムにΔW/ΔPが約2の2流体ノズル23を設置した場
合の1実施例を示す。ここで、図12は2流体ノズル1
7個を設置した体系で高さが約5m噴霧システムの模式
図を示す。使用した2流体ノズル23はΔW/ΔPが約
2で注入水圧に対する水量の感度があまり良くない2流
体ノズルで、基準水量が0.7L/minで基準水滴径が1
5μmのものである。その2流体ノズルの特性を図13
に示す。上記した体系及び2流体ノズルを使用した場合
の各ノズルからの噴霧水滴分布を図14に示す。
【0059】この結果から、中央部の2流体ノズルから
噴出する水滴径が基準水滴径である15μmで、最上部
と最下部のノズルから噴出する水滴径の変化は14〜1
5.5μmである。前記課題でも述べたが、圧縮機の羽で
発生するエロージョンが問題となる水滴径20μm以下
となることがわかると共にかなり均一な分布となること
がわかる。
【0060】以上ここでは、2流体ノズル23の水注入
部にニップル26内の小孔28のオリフィスを設置した
場合の噴霧システム構成と効果を示したが、これからも
水頭差の緩和法として有効であることがわかる。
【0061】図15,図16には、噴霧システムにΔW
/ΔPが約2の2流体ノズル23と水ヘッダ18にオリ
フィス板19を設置した場合の1実施例を示す。ここ
で、図15はΔW/ΔPが約2の2流体ノズル17個を
設置した体系で高さが約5mの噴霧システムの模式図を
示す。
【0062】使用した2流体ノズル23はΔW/ΔPが
約2で注入水圧に対する水量の感度があまり良くない2
流体ノズルで、基準水量が0.7L/minで基準水滴径が
15μmのものである。使用した2流体ノズルの特性を
図13に示す。
【0063】上記した体系での各ノズルからの噴霧水滴
分布を図16に示す。この結果から、オリフィス板19
で仕切られた各ブロックの中央部の2流体ノズル23か
ら噴出する水滴径が基準水滴径である15μmで、各ブ
ロックの最上部と最下部のノズルから噴出する水滴径の
変化は0.5μm 程度である。前記課題でも述べたが、
圧縮機の羽で発生するエロージョンが問題となる水滴径
20μm以下となることがわかると共に、前記水ヘッダ
18にオリフィス板19を設けた体系及びΔW/ΔPが
約2の2流体ノズル23を用いた体系よりかなり均一な
分布となることがわかる。
【0064】以上、ここでは、前記した2流体ノズル2
3の水注入部に小孔28のオリフィスを備えた水注入管
固定ニップル26を設置する方法と水ヘッダ18にオリ
フィス板19を設置する方法を併用した場合の噴霧シス
テム構成と効果を示したが、併用することで単独で使用
するよりさらに均一な水滴分布が得られ、水頭差の緩和
法として最も有効であることがわかる。
【0065】本発明の実施例によれば、以下の(1)〜
(3)がなせるので、以下の〜の効果が得られる。 (1)2流体ノズルの水注入部に小孔のオリフィスを設
け、水圧に対する水量の感度を鈍くし、水頭変化の影響
を減少させた。 (2)水ヘッダの任意の位置にオリフィス板を設け、水
ヘッダ内で発生する水頭差を分割し、水頭変化の影響を
減少させた。 (3)上記(1),(2)を併用し、水ヘッダ内で発生
する水頭差の影響を上記(1),(2)より小さくし
た。
【0066】このような構造とすることで、 ヘッダに設置される2流体ノズルからの噴霧水滴径の
ばらつきを小さくできる。
【0067】噴霧水滴径のばらつきを小さくでき、そ
の噴霧水滴径を20μm以下とすることができることか
ら、圧縮機羽でのエロージョンの防止,圧縮機内での水
滴蒸発遅れの回避ができ、耐久性の向上及び熱効率向上
ができる。
【0068】噴霧水滴径に大きいのがなくなり、ほと
んどの噴霧水滴が吸気に同伴されるため、流路内構造物
に衝突しドレーン水となる噴霧水が少なくなる。
【0069】このような効果により、ガスタービン発電
システムにおける夏季の吸気温度の上昇による出力低下
並びに熱効率の低下を効率良く防止することができる。
【0070】
【発明の効果】以上のように、本発明のガスタービンに
よれば、上下方向のノズルの配置に起因する噴霧水滴径
のばらつきを抑制出来るから、夏季の吸気温度の上昇に
よるガスタービンの出力低下を効率良く抑制し、かつタ
ービン羽の損傷をも抑制出来る。
【0071】また、本発明のガスタービン発電システム
によれば、上下方向のノズルの配置に起因する噴霧水滴
径のばらつきを抑制出来るから、夏季の吸気温度の上昇
による発電力低下を効率良く抑制し、かつガスタービン
のタービン羽の損傷をも抑制出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるガスタービン発電システムの1実
施例の全体図。
【図2】本発明による水ヘッダにオリフィス設置した縦
型噴霧システムの概要図。
【図3】本発明による水ヘッダにオリフィス設置した横
型噴霧システムの概要図。
【図4】水ヘッダに設置するオリフィスの効果を示す模
式図。
【図5】本発明による水ヘッダにオリフィス設置した縦
型噴霧システムの概要図。
【図6】水注入口径が大きい2流体ノズルの特性図。
【図7】本発明による水ヘッダにオリフィス設置した縦
型噴霧システムでの噴霧水滴分布図。
【図8】本発明による2流体ノズルへの水注入部オリフ
ィスの設置図。
【図9】本発明による2流体ノズルへの水注入部オリフ
ィスを小さくする効果を示す模式図。
【図10】2流体ノズルの噴霧水量と噴霧水滴径の関係
図。
【図11】本発明による2流体ノズルの水注入部オリフ
ィス口径の決定方法を示す図。
【図12】本発明による2流体ノズルを設置した縦型噴
霧システムの概要図。
【図13】本発明による2流体ノズルの特性図。
【図14】本発明による2流体ノズルを設置した縦型噴
霧システムでの噴霧水滴分布図。
【図15】本発明による2流体ノズルと水ヘッダオリフ
ィス両者を併用した縦型噴霧システムの概要図。
【図16】本発明による2流体ノズルと水ヘッダオリフ
ィス両者を併用した縦型噴霧システムでの噴霧水滴分布
図。
【符号の説明】
1…圧縮機、2…燃焼器、3…タービン、4…発電機、
5…変電設備、6…送電端、7…燃料タンク、8,32
…ポンプ、9…調節弁、10,29,34…フィルタ
ー、11…バーナ、12…排ガス、13…排ガス処理装
置、14…スタック、15…空気室、16…ルーバー、
17…サイレンサー、18…水ヘッダ、19…オリフィ
ス板、20…水注入管、21…空気ヘッダ、22…空気
注入管、23…2流体ノズル、24…ボディ、25…空
気注入管固定ニップル、26…水注入管固定ニップル、
27…ノズルチップ、28…小孔、30,35…流量調
節弁、31…給水タンク、33…水処理装置、36…吸
気、37…ドレーン管、38…制御監視用コンピュー
タ。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】圧縮機が吸込む空気に上下方向に配置され
    た複数のノズルから水滴を噴霧する水噴霧システムを備
    えたガスタービンにおいて、前記水噴霧システムは、上
    下方向に向けられていて、上方から注水を受け入れる水
    ヘッダと、前記水ヘッダへ水注入管を介して前記ノズル
    が接続される構成を有し、前記水ヘッダの上下方向の途
    中に圧力損失を増大させる手段を備えた事を特徴とする
    ガスタービン。
  2. 【請求項2】請求項1において、圧力損失を増大させる
    手段としてオリフィスを用い、水ヘッダに上下方向に間
    隔を置いて複数の前記オリフィスを装備し、上方のオリ
    フィスのオリフィス口径よりも下方のオリフィスのオリ
    フィス口径を小さくしてある事を特徴とするガスタービ
    ン。
  3. 【請求項3】圧縮機が吸込む空気に上下方向に配置され
    た複数のノズルから水滴を噴霧する水噴霧システムを備
    えたガスタービンにおいて、前記水噴霧システムは、上
    下方向に向けられていて、上方から注水を受け入れる水
    ヘッダと、前記水ヘッダへ各水注入管を介して前記各ノ
    ズルが接続される構成を有し、前記各水注入管の前記水
    ヘッダへの接続部から前記各水注入管の前記各ノズルへ
    の接続部までのいずれかの部位に同一オリフィス口径の
    オリフィス又は小孔を圧力損失を増大させる手段として
    備えた事を特徴とするガスタービン。
  4. 【請求項4】請求項3において、前記複数のノズルに各
    水注入管を水注入管固定ニップルを介して接続し、前記
    水注入管固定ニップル内に小孔を圧力損失を増大させる
    手段として備えた事を特徴とするガスタービン。
  5. 【請求項5】請求項1から請求項4までのいずれか一項
    に記載のガスタービンと、前記ガスタービンからの動力
    で駆動される発電機とを備えたガスタービン発電システ
    ム。
  6. 【請求項6】空気を圧縮して吐出する圧縮機と、前記圧
    縮機から吐出した空気と燃料が供給され燃焼する燃焼器
    と、前記燃焼器の燃焼ガスにより駆動されるタービン
    と、前記タービンに接続されている発電機とで構成さ
    れ、さらには、前記圧縮機に供給される空気に空気と水
    を用いる2流体ノズルから水滴を噴霧する水噴霧システ
    ムが付加されたガスタービン発電システムにおいて、 前記水噴霧システムは前記2流体ノズルへ水を分配する
    水ヘッダを備え、前記水ヘッダの水出口部から前記2流
    体ノズルへの水注入部までの水路のいずれかの部位にオ
    リフィスを設けて圧力損失を大きくし、前記2流体ノズ
    ルの水ヘッダへの取付け高さ方向で個々の前記2流体ノ
    ズルでの水頭差の影響を減少させ、前記2流体ノズルか
    ら噴霧する水滴径の均等化を図ることを特徴とするガス
    タービン発電システム。
  7. 【請求項7】請求項6において、前記オリフィスの径
    を、定格水量,定格水圧を基準とした水量変化割合(Δ
    W)と水圧変化割合(ΔP)から、その比(ΔW/Δ
    P)が5.0〜0.1となるように決定して、圧力損失を
    大きくし、水圧の変化に対する水量増減感度を鈍感とす
    ることを特徴とするガスタービン発電システム。
  8. 【請求項8】空気を圧縮して吐出する圧縮機と、前記圧
    縮機から吐出した空気と燃料が供給され燃焼する燃焼器
    と、前記燃焼器の燃焼ガスにより駆動されるタービン
    と、前記タービンに接続されている発電機とで構成さ
    れ、さらには、前記圧縮機に供給される空気に空気と水
    を用いる2流体ノズルから水滴を噴霧する水噴霧システ
    ムが付加されたガスタービン発電システムにおいて、 前記水噴霧システムは前記2流体ノズルへ水を分配する
    上部注水型の水ヘッダを備え、前記水ヘッダ内に、各2
    流体ノズルの設置高さ方向での途中の高さの位置に、オ
    リフィスを備え、前記2流体ノズルの設置高さ方向で個
    々の前記2流体ノズルでの水頭差の影響を減少させ、前
    記2流体ノズルから噴霧する水滴径の均等化を図ること
    を特徴とするガスタービン発電システム。
  9. 【請求項9】請求項8において、前記水ヘッダの水出口
    部から前記2流体ノズルへの水注入部までの水路のいず
    れかの部位にオリフィスを設けて、前記オリフィスの口
    径を、定格水量,定格水圧を基準とした水量変化割合
    (ΔW)と水圧変化割合(ΔP)から、その比(ΔW/Δ
    P)が5.0〜0.1となるように決定して、圧力損失を
    大きくし、水圧の変化に対する水量増減感度を鈍感とす
    ることを特徴とするガスタービン発電システム。
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