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JP2001293315A - アルミナ固溶窒化ケイ素質フィルタの製造方法 - Google Patents

アルミナ固溶窒化ケイ素質フィルタの製造方法

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Publication number
JP2001293315A
JP2001293315A JP2000109805A JP2000109805A JP2001293315A JP 2001293315 A JP2001293315 A JP 2001293315A JP 2000109805 A JP2000109805 A JP 2000109805A JP 2000109805 A JP2000109805 A JP 2000109805A JP 2001293315 A JP2001293315 A JP 2001293315A
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JP
Japan
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particles
silicon nitride
alumina
solid solution
filter
Prior art date
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Pending
Application number
JP2000109805A
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English (en)
Inventor
Nobuhiro Shinohara
伸広 篠原
Naomichi Miyagawa
直通 宮川
Kanji Arai
完爾 荒井
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AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
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Publication date
Application filed by Asahi Glass Co Ltd filed Critical Asahi Glass Co Ltd
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    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B38/00Porous mortars, concrete, artificial stone or ceramic ware; Preparation thereof
    • C04B38/08Porous mortars, concrete, artificial stone or ceramic ware; Preparation thereof by adding porous substances
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
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    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
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Abstract

(57)【要約】 【課題】金属ケイ素粒子を出発原料とし、耐熱性、耐熱
衝撃性、耐酸化性に優れたアルミナ固溶窒化ケイ素質フ
ィルタを簡便に製造する方法の提供。 【解決手段】平均粒子直径が5〜150μmの金属ケイ
素粒子100質量部、セラミックス中空粒子10〜10
0質量部、β型サイアロン粒子0.1〜10質量部を含
む混合物を成形後、窒素雰囲気中で熱処理してアルミナ
固溶窒化ケイ素フィルタとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高温ガス中に含ま
れる粉塵等を除去するのに適したアルミナ固溶窒化ケイ
素質フィルタの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来高温ガス中に含まれる粉塵等を除去
するためのフィルタとして、耐熱衝撃性に優れているコ
ーディエライト製フィルタが使用されている。しかし、
コーディエライトは、耐熱衝撃性に優れるものの、耐食
性、耐熱性の点で必ずしも充分ではないことから、耐食
性、耐熱性に優れる炭化ケイ素、窒化ケイ素などの非酸
化物セラミックスが注目されている。
【0003】窒化ケイ素は、炭化ケイ素に比べて800
℃以下の強度が高いことから強度を必要とする用途での
有力なフィルタ材料である。さらに、窒化ケイ素にアル
ミナを固溶させると耐熱衝撃性や耐食性が改善すること
から、高温ガスを処理するようなフィルタ材料としてア
ルミナを固溶させた窒化ケイ素が有望視されている。窒
化ケイ素にアルミナを固溶させた材料としては、Si
6-zAlzz8-z(zは4.2以下の正数)で表される
β型サイアロンが知られている。
【0004】アルミナを固溶させた窒化ケイ素(以下、
アルミナ固溶窒化ケイ素という)の多孔体の製造方法と
して、特開平06−239667には、窒化ケイ素、窒
化アルミニウム、アルミナ、イットリアに気孔形成剤と
して球状のポリエチレン樹脂を配合して熱処理する方法
が提案されている。しかし、この方法では、気孔率が3
0%を超えるような多孔質体が製造しにくい、出発原料
が主として窒化ケイ素であることから製造原価が高いな
どの問題がある。
【0005】また、特開平06−116054には、サ
イアロン結晶粒子を含む焼結体を酸やアルカリでエッチ
ング処理して多孔体とする方法が提案されている。しか
し、この方法ではエッチング処理工程とその後の水洗工
程、乾燥工程が加わるため製造工程が増え、製造時間も
長くなるほか、エッチング処理設備を要する、エッチン
グ廃液処理が必要になるなど、多孔体の製造が複雑とな
り、製造原価が上昇する問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、金属ケイ素
粒子を出発原料とし、耐熱性、耐熱衝撃性、耐酸化性に
優れたアルミナ固溶窒化ケイ素質フィルタを簡便に製造
する方法の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、平均粒子直径
が5〜150μmの金属ケイ素粒子100質量部、セラ
ミックス中空粒子10〜100質量部、β型サイアロン
粒子0.1〜10質量部を含む混合物であって、前記金
属ケイ素粒子と前記セラミックス中空粒子と前記β型サ
イアロン粒子の合量が前記混合物中50質量%以上であ
り、かつ前記混合物中のAl23成分の含有量が1〜5
0質量%である混合物を成形後、窒素雰囲気中で熱処理
することによりアルミナを固溶した窒化ケイ素から実質
的になる多孔質体とすることを特徴とするアルミナ固溶
窒化ケイ素質フィルタの製造方法を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のアルミナ固溶窒化ケイ素
質フィルタの製造方法(以下、本製造方法という)で
は、金属ケイ素粒子100質量部(以下、単に部とい
う)と、セラミックス中空粒子10〜100部と、β型
サイアロン粒子0.1〜10部とを含む混合物を使用す
る。
【0009】本製造方法に用いる金属ケイ素粒子は、平
均粒子直径が5〜150μmである。金属ケイ素粒子の
平均粒子直径が5μm未満であると、フィルタ機能に寄
与しない閉気孔が数多く形成されたり、細孔直径が小さ
くなりすぎるために、フィルタ機能の低下や圧力損失の
増加をもたらす。また、金属ケイ素粒子の平均粒子直径
が150μmを超えると、フィルタの壁が肉薄の場合に
欠陥ができやすく、焼結体内部に窒化されない金属ケイ
素粒子が残留しフィルタ特性が低下する。金属ケイ素粒
子の平均粒子直径が30〜100μmであると成形性、
フィルタの機械的強度の点からさらに好ましい。
【0010】本発明において、混合物中に含まれるセラ
ミックス中空粒子(以下、単に中空粒子という)の含有
量は、金属ケイ素粒子100部に対して10〜100部
である。含有量が10部未満では、フィルタ機能を果た
す気孔の割合が充分でなく、一方、含有量が100部を
超えるとフィルタの気孔率が大きくなるものの、充分な
強度が得られにくい。
【0011】中空粒子がAl23成分を10質量%(以
下、単に%という)以上含むと、気孔を形成しながら窒
化ケイ素にアルミナを固溶させることができるため好ま
しい。中空粒子がAl23成分以外にSiO2成分、C
aO成分、MgO成分、Y2 3成分の少なくとも1種を
含んでいると、焼結助剤的な働きによりフィルタの機械
的強度が向上するためさらに好ましい。中空粒子として
は、Al23成分を含む中空粒子とAl23成分を含ま
ない中空粒子を併用してもよい。
【0012】中空粒子は中空であれば外皮に相当する部
分が緻密質でもよいし多孔質でもよい。また、中空粒子
は外形が球状粒子であると成形体の均質性が向上するほ
か、入手性もよいので好ましいが、球状粒子以外の粒子
でも中空であればよい。
【0013】中空粒子の平均粒子直径が30〜150μ
mであると、フィルタの気孔率が大きく、しかも強度が
確保されるため好ましい。中空粒子の平均粒子直径が3
0μm未満であると気孔形成への寄与が低下し、一方、
150μmを超えると、フィルタの壁厚に比して平均細
孔直径が大きくなりすぎフィルタの強度が不充分となり
好ましくない。
【0014】本発明において、混合物中に含まれるβ型
サイアロン粒子の含有量は、金属ケイ素粒子100部に
対して0.1〜10部である。含有量が0.1部未満で
は窒化ケイ素へのアルミナの固溶が充分に促進されず、
10部を超えると製造原価が高くなるため実用性に乏し
い。
【0015】β型サイアロン粒子は、金属ケイ素粒子が
熱処理中に窒化ケイ素を形成した後、混合物中に含まれ
るAl23成分と反応して固溶体を形成するのを促進す
ると考えられる。
【0016】β型サイアロン粒子の粒子直径は特に限定
されないが、平均粒子直径が0.1〜5μmであると窒
化ケイ素へのアルミナの固溶が均一化されやすいため好
ましい。β型サイアロン粒子としては市販の粒子だけで
なく、合成した粒子も使用できる。β型サイアロン粒子
の合成方法としては、窒化ケイ素粒子とアルミナ粒子の
混合粒子、または窒化ケイ素粒子、アルミナ粒子および
窒化アルミニウム粒子の混合粒子を窒素中で加熱する方
法などがある。
【0017】本発明において、前記金属ケイ素粒子と前
記セラミックス中空粒子と前記β型サイアロン粒子の合
量は、前記混合物中50%以上である。合量が50%未
満であるとアルミナを固溶した窒化ケイ素から実質的に
なるフィルタとすることが難しい。
【0018】本発明において、前記混合物中のAl23
成分の含有量は1〜50%である。Al23成分の含有
量が1%未満であると窒化ケイ素に固溶するアルミナが
少なすぎるため耐熱衝撃性や耐酸化性の改善効果が小さ
く、またAl23成分の含有量が50%を超えるとアル
ミナが固溶しにくくなり、フィルタの耐熱性などが低下
する。
【0019】本発明において、Al23源としては、A
23成分を含む中空粒子の他にAl23成分を含む中
実セラミックス粒子を利用してもよい。前記中実セラミ
ックス粒子としては、市販のアルミナ粒子などが例示さ
れる。
【0020】本製造方法において、金属ケイ素粒子、中
空粒子およびβ型サイアロン粒子の混合にはボールミル
やミキサーなどの一般的な混合手段が使用でき、成形体
を作製する方法としては、プレス成形、押出成形、鋳込
み成形、射出成形などの通常のセラミックス成形法が適
宜採用される。なお、成形に際して、有機バインダーな
どの成形助剤を加えてもよい。このような有機バインダ
ーとしては、ポリビニルアルコールまたはその変性物、
でんぷんまたはその変性物、アクリル樹脂またはアクリ
ル系共重合体、酢酸ビニルまたは酢酸ビニル系共重合
体、メチルセルロース類、などの有機物を使用できる。
【0021】フィルタがハニカム構造を有する場合に
は、金属ケイ素粒子と、中空粒子と、β型サイアロン粒
子とを含む混合物に、バインダーと水を配合して混練し
た坏土を押出成形する方法が適している。
【0022】坏土の混練には、リボンミキサーやヘンシ
ェルミキサー、ニーダー等が使用できる。バインダーと
してはポリビニルアルコールまたはその変性物、でんぷ
んまたはその変性物、メチルセルロース、カルボキシメ
チルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリエ
チレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン
などの各種有機物質があげられ、単独でまたは2種以上
混合して使用される。
【0023】坏土中のバインダーの配合割合としては、
前記混合物100%に対して外掛で10〜40%の範囲
が好ましい。10%未満では坏土の粘性が高いため押出
成形することが困難になり、一方40%を超えると脱バ
インダーの過程で成形体に膨れ等の欠陥が生ずるおそれ
がある。
【0024】坏土中の水の配合割合としては、前記混合
物100%に対して外掛で5〜50%の範囲が好まし
い。水の配合割合が5%未満であると混練した坏土の均
一性が悪くなり成形性が低下する、一方50%を超える
と、混練した坏土の粘性が低くなりすぎ、押出成形体の
形状がだれるなどの保形不良が発生するおそれがある。
【0025】本製造方法において、混合物を含む成形体
を熱処理する条件としては、窒素雰囲気下で2段階の熱
処理とし、金属ケイ素粒子の窒化に適した第1段および
生成した窒化ケイ素粒子がアルミナを固溶させながら焼
結するのに適した第2段に分けるのが好ましい。
【0026】第1段の熱処理条件としては、窒素雰囲気
下で1200〜1400℃の温度で4〜50時間保持す
るのが好ましい。温度が1200℃未満であると金属ケ
イ素の窒化が起こらず、一方、温度が1400℃を超え
ると金属ケイ素の融点(1410℃)付近で金属ケイ素
粒子が融解し、焼結体の形状を保持できないため好まし
くない。また温度保持時間が4時間未満であると金属ケ
イ素粒子の窒化が不充分となり好ましくなく、また温度
保持時間が50時間を超えると窒化反応がそれ以上ほと
んど進行しなくなり、運転費用がかさむため好ましくな
い。温度保持時間が4〜12時間であるとさらに好まし
い。
【0027】第2段の熱処理条件としては、窒素雰囲気
下で1500〜1800℃で1〜50時間保持すること
が好ましい。温度が1500℃未満であると窒化ケイ素
とアルミナとの固溶が進まないため好ましくなく、18
00℃を超えると窒化ケイ素粒子が分解するので好まし
くない。
【0028】また、温度保持時間が1時間未満であると
粒子同士の結合が充分に進行しないために好ましくな
く、一方50時間を超えると、特に高温では窒化ケイ素
が分解し易くなり好ましくない。温度保持時間が1〜1
2時間であるとさらに好ましい。なお、第1段の熱処理
と第2段の熱処理は、中間で温度をいったん下げても、
または温度を下げることなく連続で実施してもよい。
【0029】熱処理時の昇温速度は、成形体の大きさや
形状、熱処理する個数等により適宜選択されるが、50
〜600℃/hであると窒化率、細孔直径の点で好まし
い。昇温過程であっても、第1段および第2段で規定す
る温度範囲にある場合は、その経過時間はそれぞれ第1
段および第2段の保持時間に加えるものとする。
【0030】ここで窒素雰囲気とは、実質的に窒素のみ
を含み、酸素を含まない雰囲気をいうが、他の不活性気
体を含んでいてもよい。窒素分圧は50kPa以上が好
ましい。
【0031】本製造方法で得られるアルミナ固溶窒化ケ
イ素質フィルタ(以下、本フィルタという)の気孔率は
20〜80%であると好ましい。本明細書において気孔
率は水銀ポロシメータにより測定する。気孔率が20%
未満であると圧力損失が大きくなるためフィルタとして
好ましくなく、また気孔率が80%を超えると強度が低
くなるため好ましくない。
【0032】本フィルタの水銀圧入法で測定された平均
細孔直径が1〜40μmであると好ましい。平均細孔直
径が1μm未満であるとフィルタ使用時の圧力損失が大
きくなり、一方40μmを超えるとディーゼルエンジン
から排出されるディーゼルパティキュレート(以下、単
にパティキュレートという)のような排気微粒子の捕捉
除去がしにくくなるため好ましくない。
【0033】本フィルタの平均細孔直径が5〜20μm
であると、高温ガス中に含まれる粉塵等を除去するのに
適しており、パティキュレート用フィルタとして使用す
る場合、圧力損失の増大を防ぎながらパティキュレート
を効果的に除去できるためさらに好ましい。
【0034】本フィルタの構造としては特に限定されな
いが、ハニカム構造を有すると単位体積当りの濾過面積
が高いことから好ましい。ハニカム構造とする場合は、
流路隔壁の厚さが200〜1000μmであると好まし
い。流路隔壁の厚さが200μm未満であると押出成形
が困難になるうえ、機械的強度が不充分となる。流路隔
壁の厚さが1000μmを超えると圧力損失が増大する
ほか、単位体積当りのフィルタ面積が狭くなり単位時間
当りの処理ガス量が低下する。
【0035】
【実施例】以下に実施例(例1、例8、例9)と比較例
(例2〜例7、例10)を示す。金属ケイ素粒子は、純
度98%のものを使用した。β型サイアロン粒子は、市
販の窒化ケイ素粒子(宇部興産社製、商品名:E−1
0)とアルミナ粒子(住友化学工業社製、商品名:AK
P−50)の混合物を窒素中で熱処理して得られたもの
を使用した。
【0036】[評価項目] 細孔特性:水銀ポロシメーター(ユアサアイオニクス社
製、商品名:AUTOSCAN−33)で平均細孔直
径、気孔率を測定した。 構造解析:X線回折装置(リガク社製、商品名:ガイガ
ーフレックスRAD−IIA)を用いてアルミナ固溶窒
化ケイ素の生成の有無を同定した。 熱膨張係数測定:熱膨張計(リガク社製)を使用し室温
から1000℃の範囲で測定した。
【0037】4点曲げ強度(以下、単に曲げ強度とい
う):多孔体から4×3×40mmの試験片を切り出
し、スパン間隔を上;10mm、下;30mmとし、荷
重印加速度0.5mm/分で室温で測定した。 耐酸化性:多孔体から4×3×40mmの試験片を切り
出し、電気炉中、1200℃で10時間保持した。保持
前後での試験片の質量測定から質量増加率を算出して評
価した。質量増加率が小さいほど耐酸化性がよい。 圧力損失:多孔体から50×50×1mmの試験片を切
り出し、室温で窒素ガスを5〜20×10-33/mi
nの流量で通気させて測定した。
【0038】[例1]平均粒子直径50μmの金属ケイ
素粒子100部に対して、平均粒子直径50μmのアル
ミナ(38%)−シリカ(60%)系の中空粒子42.
9部を添加し、さらにβ型サイアロン粒子1.4部を配
合して、エタノールを分散媒としてボールミルで30分
間湿式混合した。乾燥後、得られた混合粒子を40×6
0mmのプレス金型に充填し、成形圧20MPaで一軸
加圧成形した。成形後、電気炉中窒素雰囲気下で室温か
ら1300℃まで400℃/hで昇温し、1300℃で
8時間保持した後、1750℃まで60℃/hで昇温
し、1750℃で5時間保持して熱処理した。
【0039】得られた多孔体の気孔率は62%、平均細
孔直径は12μmであった。この多孔体についてX線回
折測定したところ、アルミナのピークがなかったこと
と、β型窒化ケイ素と同様の回折パターンであり、それ
ぞれのピーク位置が低角側にシフトしていることからア
ルミナ固溶窒化ケイ素体の生成が確認された。
【0040】また、熱膨張係数は2.9×10-6/℃で
あり、曲げ強度は38MPaであった。酸化による質量
増加率は2%と低く、良好な耐酸化性を示した。一方、
圧力損失は、窒素ガス流量5〜20×10-33/mi
nでの平均値として15kPa・sec/mとなり、フ
ィルタとして充分適用可能な値であった。
【0041】[例2(比較例)]例1において、β型サ
イアロン粒子を配合せず、中空粒子としてアルミナ(3
8%)−シリカ(60%)系の代わりにアルミナを含ま
ないシリカガラス(98%)系とした以外は例1と同様
にした。
【0042】得られた多孔体の気孔率は65%、平均細
孔直径は11μmであった。X線回折測定の結果、β型
窒化ケイ素のピークのみ観察された。熱膨張係数は3.
0×10-6/℃と低く、曲げ強度は28MPaであっ
た。酸化による質量増加率は6%であり、例1に比べて
3倍の質量増加となり耐酸化性が低い。圧力損失は15
kPa・sec/mであり、例1とほとんど同程度の値
であった。
【0043】[例3(比較例)]例1においてβ型サイ
アロン粒子を配合しない以外は例1と同様にした。得ら
れた多孔体の気孔率は60%、平均細孔直径は12μm
であった。X線回折測定の結果、アルミナ固溶窒化ケイ
素体の生成とアルミナの弱いピークが確認された。熱膨
張係数は4.0×10-6/℃と低く、曲げ強度は26M
Paであった。酸化による質量増加率は4%であり、圧
力損失は15kPa・sec/mであった。
【0044】[例4(比較例)]例1において金属ケイ
素粒子とβ型サイアロン粒子を配合せずに、アルミナ
(38%)−シリカ(60%)系中空粒子だけとする以
外は例1と同様にした。得られた多孔体の気孔率は86
%、平均細孔直径は24μmであった。X線回折測定の
結果、アルミナのピークの他にアルミナ固溶窒化ケイ素
の弱いピークが認められた。熱膨張係数は5.1×10
-6/℃であり、例1の熱膨張係数に比べて高かった。曲
げ強度は3MPaであった。酸化による質量増加率は3
%であり、圧力損失は5kPa・sec/mであった。
【0045】[例5(比較例)]例1において中空粒子
とβ型サイアロン粒子を配合せず金属ケイ素粒子のみと
する以外は例1と同様にした。得られた多孔体の気孔率
は15%、平均細孔直径は0.6μmであった。X線回
折測定の結果、β型窒化ケイ素のピークが認められた。
熱膨張係数は3.0×10-6/℃であり低かった。曲げ
強度は196MPaであった。しかし、細孔直径が小さ
すぎて圧力損失を測定できなかった。酸化による質量増
加率は細孔が微細であるため7%と大きく耐酸化性が低
下した。
【0046】[例6(比較例)]例1において平均粒子
直径50μmの金属ケイ素粒子の代わりに平均粒子直径
1μmの金属ケイ素粒子とする以外は例1と同様にし
た。得られた多孔体の気孔率は30%であり、平均細孔
直径は3.6μmであったが、0.2μmと13μmの
2カ所にピークを持っていた。X線回折測定の結果、ア
ルミナ固溶窒化ケイ素の生成が認められた。熱膨張係数
は、3.2×10-6/℃であり、曲げ強度は62MPa
であった。圧力損失は高すぎて測定できなかった。使用
した金属ケイ素粒子が微細であったために、小さな細孔
直径の割合が増えて、フィルタ特性に寄与する細孔の連
鎖性が損なわれたためと思われる。酸化による質量増加
率は微細な気孔が多いため6%と大きく耐酸化性が低下
した。
【0047】[例7(比較例)]例1において平均粒子
直径50μmの金属ケイ素粒子の代わりに平均粒子直径
400μmの金属ケイ素粒子とした以外は例1と同様に
した。得られた多孔体の気孔率は70%、平均細孔直径
は20μmであった。X線回折測定の結果、アルミナ固
溶窒化ケイ素の生成が確認されたほか、シリコンのピー
クが認められた。熱膨張係数は4.8×10-6/℃であ
り、曲げ強度は18MPaであった。酸化による質量増
加率は5%であり、圧力損失は10kPa・sec/m
であった。
【0048】[例8]平均粒子直径25μmの金属ケイ
素粒子100部に対して、平均粒子直径50μmのアル
ミナ(95%)系の中空粒子33.1部を添加し、さら
にβ型サイアロン粒子0.7部を配合して、エタノール
を分散媒としてボールミルで30分間湿式混合した。乾
燥後、得られた混合粒子を40×60mmのプレス金型
に充填し、成形圧20MPaで一軸加圧成形した。成形
後、電気炉中窒素雰囲気下で室温から1300℃まで4
00℃/hで昇温し、1300℃で8時間保持した後、
1750℃まで60℃/hで昇温し、1750℃で5時
間保持して熱処理した。
【0049】得られた多孔体の気孔率は58%、平均細
孔直径は10μmであった。X線回折測定の結果、アル
ミナ固溶窒化ケイ素の生成が確認された。熱膨張係数は
3.3×10-6/℃と低く、曲げ強度は50MPaであ
った。酸化による質量増加は1.5%と低く、良好な耐
酸化性を示した。一方、圧力損失は平均値として20k
Pa・sec/mとなり、フィルタとして充分適用可能
な値であった。
【0050】[例9]平均粒子直径25μmの金属ケイ
素粒子100部に対して、平均粒子直径50μmのアル
ミナ(38%)−シリカ(60%)系中空粒子33.1
部とβ型サイアロン粒子0.7部を配合し、ミキサーに
よって乾式混合した。この混合粒子100部に外掛で、
メチルセルロース10部、グリセリン1部およびイオン
交換水15部を加えてニーダーで充分混練して押出成形
用坏土とした。
【0051】作製した押出成形用坏土を真空押出機に入
れてハニカム成形体を押出成形した。ハニカム成形体の
形状は、直径80mm、長さ100mmの円柱形状で、
軸方向に多数の貫通孔(セル)が形成されている。セル
壁の厚さは0.25mmで6.4516×10-42
りのセル数は100セルである。
【0052】得られたハニカム成形体を乾燥し、両端を
千鳥状に金属ケイ素粒子のペーストで目封止した後、電
気炉中で窒素雰囲気下で室温から1300℃まで200
℃/hで昇温し、1300℃で10時間保持した後、1
750℃まで60℃/hで昇温し、1750℃で5時間
保持して熱処理してハニカム体を得た。
【0053】得られたハニカム体は形状のだれや変形も
なく、表面、内部ともにクラック等の欠陥は観察されな
かった。この多孔体の気孔率は60%、平均細孔直径は
8μmであった。この多孔体についてX線回折測定した
ところ、アルミナ固溶窒化ケイ素の生成が確認された。
酸化による質量増加率は2%であり、圧力損失は流量
1.5m3/minの条件下で200kPa・sec/
mとなり、フィルタとして充分適用可能な値であった。
【0054】[例10(比較例)]例9において、平均
粒子直径50μmの金属ケイ素粒子の代わりに平均粒子
直径200μmの金属ケイ素粒子とした以外は例9と同
様にしてハニカム体を作製した。得られたハニカム体は
形状のだれや変形はなかったものの、表面、内部ともに
多くのクラックが観察された。
【0055】
【発明の効果】本発明により得られるアルミナ固溶窒化
ケイ素質フィルタは、機械的強度が高く、かつ従来の窒
化ケイ素フィルタより耐酸化性にも優れている。またフ
ィルタの平均細孔直径がパティキュレートなど固体微粒
子の捕集に適しており、かつ気孔率も高くできることか
ら、特に機械的強度、耐熱性、耐食性、耐久性等が要求
されるパティキュレートフィルタとして好適である。ま
た本製造方法によって、アルミナ固溶窒化ケイ素質フィ
ルタを簡便にかつ実用的な原価で製造できる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平均粒子直径が5〜150μmの金属ケイ
    素粒子100質量部、セラミックス中空粒子10〜10
    0質量部、β型サイアロン粒子0.1〜10質量部を含
    む混合物であって、前記金属ケイ素粒子と前記セラミッ
    クス中空粒子と前記β型サイアロン粒子の合量が前記混
    合物中50質量%以上であり、かつ前記混合物中のAl
    23成分の含有量が1〜50質量%である混合物を成形
    後、窒素雰囲気中で熱処理することによりアルミナを固
    溶した窒化ケイ素から実質的になる多孔質体とすること
    を特徴とするアルミナ固溶窒化ケイ素質フィルタの製造
    方法。
  2. 【請求項2】前記セラミックス中空粒子が粒子中にAl
    23成分を10質量%以上含む請求項1記載のアルミナ
    固溶窒化ケイ素質フィルタの製造方法。
  3. 【請求項3】前記多孔質体の気孔率が20〜80%であ
    る請求項1または2記載のアルミナ固溶窒化ケイ素質フ
    ィルタの製造方法。
  4. 【請求項4】前記多孔質体の水銀圧入法で測定される平
    均細孔直径が1〜40μmである請求項1、2または3
    記載のアルミナ固溶窒化ケイ素質フィルタの製造方法。
  5. 【請求項5】前記熱処理条件が、成形体を温度1200
    〜1400℃の窒素雰囲気中で、4〜50時間保持して
    第1段階の熱処理をした後、さらに温度1500〜18
    00℃の範囲で1〜50時間保持して第2段階の熱処理
    をする請求項1、2、3または4記載のアルミナ固溶窒
    化ケイ素質フィルタの製造方法。
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